なんとなく綴る

私の人生の記憶の始まりが生後どれくらいの時だろうか。

きっと正月か何かの親戚の集まりの日。
私は昼寝をしていたのか、目覚めたのは夕方近く。
薄暗い部屋の中、ぽつんと台所に明かりが灯っていた。
居ると思う人（この場合は母親かな）が側にいなく、誰も周りにいなくて心細くなり、ふいに泣き出してしまった私。
しかし誰かの声が聞こえたのか、見ると、目の前に親戚の若いお嫁さんの姿が目に入った。
ニコニコ笑顔で、
「あ、起きたの～？みんなすぐに戻ってくるよ」
と言うふうに食器を片付けながら話しかけてくれていた。

私はなんだか、とっさに泣き出してしまったことを恥ずかしく感じてすぐに泣き止んだことを覚えている。
と、同時に人が居てくれる安心感からまた眠ってしまったように思う。

そこからまた記憶が飛ぶので赤ちゃんの頃の映像はそれくらいしか頭にない。

私の人生の始まりの記憶だ。

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次に新しい記憶が、私が3歳くらいの頃だろうか。
寒い季節だったと思う。
父、母、兄、私とで家族旅行へ行った帰り。
何故だか、お土産にヤドカリを買っており、私はそのヤドカリを見守る役割をしていた。

通りすがりに、お年寄りのご夫婦。幼い子供が見守り番をしているのを微笑ましく思ってか、こちらを見ていた。

にも、関わらず、私は
「盗っちゃだめ」と
言わんばかりに相手を睨みつけていた。

それでも、微笑んでくれていたご夫婦。

私は敵対心を持っていても、相手が優しく接してくれることもあるのだということを知り、可愛くない態度をとってしまったことをちょっと反省していた。

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子供の頃、物心がつく前には、こうした自分の思う相手の反応の違いに戸惑ったり、学んだり、ということがしばしばあった。

何か、こうでなくてはいけないと思うところが強かったからかもしれない。
私は思い込みが激しい子供だったので、思い込みが覆されると拍子抜けしていた。

4～5歳の頃、夏、家族で出掛けた海辺で水着になり、肌が出ることを恥ずかしく感じていた。
しかもビキニ。
とはいえ、子供用のもの。胸の部分には動物の顔といった子供の物らしいデザイン。
その姿を見て、若い男女が、にこやかに私を囲んだ。
男性には女性らしくしなくては、と、何故だか懸命に大人の女を演じようとしたが、当然、幼児にそれが出来る訳もなく…ただ、可愛がってくれる周りの反応を見て、「ああ、私はまだ子供でいていいんだ」と、肩の荷が下りた気がしていた。

今、本当の大人になり、もっと無邪気な子供でいれば良かったのに…と、つくづく思う。

案外、子供が一番大人なのかもしれないが。

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保育園に通うようになった。
マイペースで人見知りな私だったが、近所に幼なじみの子もいたので、それなりにやれていた。

しかし、無認可の保育園。園長や先生たちのやりたいようにやる教育。
なかなか、幼い子供には厳しく、シビアな一面もたびたびあったように記憶している。
一番衝撃的だったのは、何かミスや、いたずらをした子供をクラスの前？に立たせ、先生が「○○ちゃんと○○くんはこんなことをしました。恥ずかしいですね。みんなで笑いましょう」と、言ってクラスみんなで大笑いすること。

笑われる立場にも笑う立場にもなったことがあるが、もちろん何が可笑しいのが理解できなかった。また、笑われているときは、さっきまで仲良くしていた子供までも笑っていて、なんだか裏切られたような切ない気持ちになった。

苦痛を覚えた人生で初めての出来事かもしれない。

この当時、3つ違いの兄が保育園へ行くのを嫌がっていた。（同じ保育園）

私も兄の影響と、家に居ることが好きだったこともあり、保育園へ行きたがらない態度を示すようになっていった。

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