高校時代

中学はくだらないことで「次は誰をシカトしよう」とか言ってるような子ばかりだったから、つまらなかった。

高校生活は楽しく充実したものにしたいと、受験勉強はかなり頑張れた。

結果、第一志望のＭ高に合格。
偏差値もそこそこ、駅から近いし、校則もゆるい。
なにより同じ中学から進学する子がいない学区外の高校。

新しいスタートが切れるとワクワクした。

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同じ中学の子がいないのは嬉しいが、知り合いがひとりもいないというのも少し心細かった。

しかし、入学式で隣になった菜々子とすぐに仲良くなれた。

学区内からの受験の菜々子ははじめからたくさん友達がいて、彼女のおかげで私もだんだん友達が増えた。

中学時代は校則が厳しく、膝丈だったスカートも、短くして、カラーシャツやリボンなど、高校生なりのオシャレも楽しんだ。

期待通りの楽しい高校生活が始まった。

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中学時代には、好きな子すらいなかった。担任から「葉月は冷めてるな」なんて言われてただけあってか、みんな子どもっぽくみえた。ただ、私が上辺だけの友達といるのが面倒で、ひとりでお弁当を食べたりしていると、「どうした？！」っていつも気にかけてくれてた男の子には、少しだけ特別な思いがあったかもしれない。

中学はその程度だったので、高校では恋愛もしてみたいなぁなんて思っていた。

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入学して間もないのに、クラスの中野君という男の子が、別のクラスの女の子と付き合い始めた。
中野君も相手の女の子も特別目立つような子では無かったけど、多分学年で一番初めに付き合い始めたので、しばらく噂になっていた。

そんな中、私は隣のクラスのバスケ部の男の子が気になっていた。
気になると言っても、話したこともないし、ただ背が高くてかっこ良かっただけ。
今考えれば、かっこいいよね～と友達と盛り上がるのが楽しかっただけだ。

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そんな感じで、恋愛に興味はあったけれど、とりあえずは友達とはしゃぐのが楽しい毎日だった。

毎日話すことは尽きなくて、あっという間に夏休みになった。

その頃には、選択の美術の授業で知り合った、他のクラスの満里奈や朋美とも仲良くなっていた。

もちろん菜々子とも大の仲良しだ。

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昔から、図工や美術の成績は良かった。
中学時代も何度か展覧会に作品が出展された。

できたらデザイン関連の仕事につきたいな‥。
なんとなくそう思っていた。

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夏休みが終わった。
学校は好きだったので、始まるのが楽しみだったくらいだ。

相変わらずの毎日。

だけど、そういえば、中野君が来ていない。
あの他のクラスの子と春から付き合ってる彼だ。

はじめは特に気にならなかったけど、2学期が始まって3週間経っても休んでいるので、みんな「どうしたんだろう」と思い始めた‥。

担任は何も言っていない。

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智也に聞いてみた。
智也は中野君が一番親しくしていた友達で、私もちょくちょく話していた。

「智也～。中野君どうしたのかな？」

「えっ」

智也は一瞬戸惑ったように見えた。

「いや‥なんか体調悪いらしくて。‥入院してる」
智也はそう続けた。

「え～？！どこが悪いの？クラスでお見舞いとか行った方がいいかな？！」

私は中野君とは特別仲が良かったわけではないが、クラスメイトとしてそんな提案をした。

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いいじゃんっ と智也ならのってくれると思ったのだが、彼は困ったような反応だった。

「‥うーん‥いや‥しばらくは行かない方がいい‥かも。。。‥まぁ、俺そのうちまた様子見に行くしさ。心配してたって伝えとくよ‥」

なんとも歯切れの悪い返事だった。
今はまだ‥ってことはよっぽど酷い病気なのだろうか‥？
気になったが、それ以上きかないで欲しいというオーラを智也が放っていたから、やめておいた。

「‥そっか。じゃあお見舞いヨロシク!!」

クラスメイトとして少しは心配だけど‥まぁいいや。中野君とは話したこともほとんどないし。

その時は特に気にとめなかった。

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秋には体育祭があってクラス全体が仲良くなった。
みんなの輪の中に自分がいて、くだらないイジメもなくて、嬉しくて、楽しくて、毎日が充実していた。

勉強も学校の中では、中の上といったところ。
普通の大学も考えていたけど、デザイン関連の学科もやっぱり興味があって、資料を集めたり、見学に行ったりした。

中野君はまだ学校に来ない。
それどころか、退学したらしいという噂が立ち始めていた。

智也に何度か聞いてみたけど、曖昧な返事ばかり。

せっかくクラスみんなが仲良くなってきてるのにな‥。

中野君に個人的な思い入れはないけど、クラスが1人欠けてるのが残念に思えた。

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もうすぐ冬休みという時期になって、みんな浮かれ始めていた。

菜々子が、「クラスで忘年会しようよ」と言い出した。

周りで聞いていた友達が「やろーやろー」とのってきて、12月27日に学校の近くの焼き肉屋で、ということに決まった。

参加者は黒板に貼り付けた紙に名前を書くようにした。

私も楽しみだった。

菜々子が「中野君も呼んでみる？」といった。

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