こんな私でも💍⛪

スキー場へは私の母と彼母もついてきた。

取り合えず母親二人には喫茶店で待ってもらって私たち二人でスキーをしにいくことにした。

雪を見るのも初めてなら当然スキーをするのも初めて。

初心者用の傾斜の緩いところで練習していると、いつの間にか彼母がゲレンデに出てきてこっちを見てる…。

何か監視されてるようで気持悪い…。

その後、そろそろ昼食時だったのでみんなで昼食を食べに行った。

カレーを注文して食べる彼。

その隣には彼母。

そしてカレーを食べ終った彼の顔を見て、彼母が彼の口を拭い始めた。

それを甘んじて受ける彼。

…衝撃の光景だった。

こんなのマンガかテレビだけの話かと思ってた…。

典型的なマザコン息子に子離れできてない母親。

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予定の日程が過ぎ、彼らは帰国した。

それから聞いたのだか、彼は私に良い印象を持ってくれたようだったが、彼母はそれが気に入らなかったようで、私の母に

「あんなにおしりが大きい子、どこが良いのかしらねぇ」

と言っていたらしい。

母は笑いとばしていたが、普通母には言わんだろう…？

更に帰国後電話で
「息子と結婚したいなら、私にマンションを買って。生活費も毎月もらえないと嫌よ」

らしい。

要するに、結婚させたくないのね…？

好青年ではあったが、そこまでして結婚したいわけじゃなかったし、お断りしました。

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十人目は二つ年下の人。

彼とは仲人さんの家で会うことになった。

この仲人さん、かなりたくさんのカップルを成立させたと評判の方だった。

初めは両家両親も含めて自己紹介。

その後、二人きりで別室に通された。

昼食のためのお弁当をとってくれて、渡されるとき、

「ちゃんと女性が取り分けてあげるのよ」

とアドバイス。

アドバイス通り取り分けながら当たり障りのない話をした。

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暫くしたところで仲人さんが入ってきた。

「どうかしら？お相手のことは少しは分かってきた？」

そして、色々と私たちがお互いに聞けなかった結婚に関する話題を振った後、

「西日が強くなってきたからカーテン閉めるわね」

とカーテンを閉めていった。

カーテンを閉めると間接照明だけになりムードたっぷりな雰囲気になる。

残された私たちは仲人さんに誘導されるように結婚の話になった。

きっと仲人さんの狙い通りだったのだろう。

しかし、彼からは

まだ、結婚する気にはならない。

と。

どうも両親に言われて渋々出てきたようだ。

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さすがやりての仲人さんだけはあり、雰囲気も良く、話の進み方も早かったが彼にその気が無いのなら仕方がない…。

また暫くすると仲人さんが入ってきた。

先程二人で話したことを報告する。

仲人さんは彼を一生懸命説得しようと頑張っていたが、

いまの彼は何を言われても無理だろう。

なんだか重々しい空気のまま両親のいる部屋に行き、報告を促された。

暗い雰囲気が流れる……。

その後聞いたのだが、仲人さんは

「もう彼には何年後かに頼まれてもお世話しない昤」

と切れ、周りにも彼の文句を言い回っていたらしい。

非常にお世話になったし、やり手でもある仲人さんだったが、敵に回すと恐い…。

この仲人さんからの紹介は今後受けない方がいい気がした。

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十一人目は五歳上の人だった。

遠距離だったが、毎週のようにどちらかが新幹線か飛行機で会いに行ったり来たりした。

三回目に会ったときに手を繋いだ。男の人と手を繋ぐのは初めてで正直戸惑った。

四回目には偶然会った彼の友人に紹介され、

五回目には私の知らないところで両親に結婚の了承をとられていた。

その後、プロポーズの様なこと（その時はよく分かっていなかった）を言われ、宝石店に連れていかれた。

何のための宝石店か分からず、取り合えず小さなネックレスを買ってもらった。

その日の夕食時、レストランで
「今日は婚約記念なんです」
と彼。

え？
私達いつの間に婚約したんだろう…？

彼のペースに着いていけなかった。

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一緒にいても苦痛じゃなかったし、今までの中で一番結婚を考えられる人だったが、早すぎる展開に着いていけない。

「まだ踏み切れない。もう少し待ってほしい。」

と言うと、

「そんなに深刻に考えなくてもいいんじゃないか？
結婚してうまく行かなければ離婚って言う選択肢もあるんだし。」

……。

絶句した。

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帰宅してからやっぱり納得できずに電話してもう一度聞いてみた。

「初めから離婚って選択肢を考えるのはおかしくない？」

すると

「あらゆる可能性を考えて行動するのは当たり前。
世の中には離婚している人なんて沢山いるんだよ。」

それでも反論すると

「君は知識が足りない。沢山本読んでもっと勉強した方がいいね」

…馬鹿にされた。

腹がたって
「あんな人と結婚できない。」
と両親に報告した。

両親が彼に真意を確かめるために電話をかけてくれた。

両親にたしなめられて謝っていたそうだ。

しかし、私には謝罪の言葉はない。

プロポーズ（らしき）の時も両親から先に許可取りに言ってたし、目上の人の言うことは聞くようだが、私は見下されている。

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しかし、彼の思惑は当たっていた。

両親は謝られたことで気を良くし、

「別に悪い人じゃなさそうだし、また考えてみたら？」

と言ってきた。

ここまで沢山お見合いしてきてなかなかうまく行かず、今は彼しか当てがないのもあったのだろう。相当焦っていたようだ。

両親をうまく丸め込んだな。

そう思った。

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そんなことがあってすぐ、彼の両親から私の両親に連絡があった。

かなり急いでいたので何事かと思っていたら、

結婚の条件として私の両親が経営している病院の一つを彼の名義にしてほしい。

とのことだった。

彼の弟も大手企業の令嬢と結婚したのだが、その時も彼の両親は息子を重役にするべきだと主張し、結局離婚してしまったらしい。

本性が見えた。

私と両親の意見は一致。

即お断りした。

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>> 60 更新待ってます😍

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>> 61 ｱｽﾞｷﾞさん、読んでくださってありがとうございます。
読んでくださってる方がいるとは思わなかったので嬉しいです。
更新滞ってすみません。
ボチボチ更新していきますので今後も読んでくださいね。

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今までお見合いで断ったり断られたりしてきたが、離婚発言といい、病院発言といい、ここまで失礼な言動は初めてだった。

怒りが収まらず、病院の看護師さんの休憩室で愚痴っていた。

その数日後たまたま病棟の飲み会があった時に師長さんに声をかけられた。

「先生、彼氏と別れたらしいですね。」

え？

彼氏？

びっくりした。

私の中ではお見合いであった変な人のことを愚痴ったつもりだった。

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更に師長さんは続ける

「最近お見合いって下火だけど、お見合いで知り合って結婚してから恋愛するのも素敵よね。
今回は残念だったけど頑張ってね」

出会ってから毎週会ってデートして結婚の話が出て、喧嘩して…。

そうか。

彼氏なんだ。

ちょっとうれしかった。

今まで彼氏ができたことがなかったことがコンプレックスだった私に元彼ができた。

普通に恋愛をしている人にとっては邪道かもしれない。

でも師長さんの言葉は私の自信になった。

今後友達と過去の恋愛の話になったら私にも話せるエピソードがある。

それだけでうれしかった。

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私も拝読している一人です。これからも引き続き更新宜しくお願いします。

• << 67 パペットマペットさん 読んでいただいてありがとうございます。 時間がある時にボチボチ更新していきますので今後も読んでくださいね。

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私も読んでますよ✋

看護師なので
女医さんにはいつもお世話になってます
<(_ _)>


ご主人との出会い…
楽しみにしてます

• << 68 茜チャンさん 読んでいただいてありがとうございます。 看護師さんなのですね。 看護師さんにはいろいろ愚痴を聞いてもらったり勇気をもらったり、とてもお世話になっています。 主人との出会いまで頑張って書きますので読んでくださいね。

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>> 65 私も拝読している一人です。これからも引き続き更新宜しくお願いします。 パペットマペットさん
読んでいただいてありがとうございます。
時間がある時にボチボチ更新していきますので今後も読んでくださいね。

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>> 66 私も読んでますよ✋ 看護師なので 女医さんにはいつもお世話になってます <(_ _)> ご主人との出会い… 楽しみにしてます 茜チャンさん
読んでいただいてありがとうございます。
看護師さんなのですね。
看護師さんにはいろいろ愚痴を聞いてもらったり勇気をもらったり、とてもお世話になっています。
主人との出会いまで頑張って書きますので読んでくださいね。

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十二人目の人とも遠距離で初めは新幹線で二時間かけて両親と共に向かった。

彼の父親はクリニックをしていて、彼は四代目になる。

200坪の土地があり、広大な土地の中に家が何軒も建っていた。

小さい時に住んでた家。
高校ぐらいから住んでた家。
現在の家。

家を建て替えて古い家を残しているのだ。

家の使い捨て状態。

それぐらい広かった。

両親からすれば娘を嫁がせるには申し分ない条件だ。

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>> 36 そこから結局約八年間の婚カツが始まる。 初めはいやいやだったが、今思えば人間観察にもなったし、男性と二人きりで話す練習にもなった。 中に… 前の文章読み返していたら、27才からお見合い開始したように書いてました昉
正しくは24才から8年間です。

すみません。

誤字、脱字多いですが、ご容赦下さい珵

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彼自身も大学院で博士号をとり、専門医の資格も数個持っている。

大学病院で勤務しながら父親のクリニックでも週に一度外来に出るなど、跡取りとして着実な道を歩んでいた。

しかし、本人との相性。

そこが問題だった。

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今回は仲人さんを介しておらず、私の母が医学系雑誌の「良縁求む」というコーナーに勝手に掲載をお願いしており、そこに応募してきた人だ。

その為初めから母同士が連絡を取り合っていた。

その日早速電話があり

「息子も私達も大変〇〇ちゃんのことを気に入っていて、今後ともお付きあいいただきたい。」

とのことだった。

ありがたいことだ。

私は第一印象ではあまり好きなタイプではなかったが、良い人そうだし、もう少し付き合ってみよう。

そう思った。

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ほぼ毎週のように新幹線でお互いのところへ行き来した。

しかし、彼のところに行くと必ず彼の両親に会わされた。一緒に食事をしたり、家に行ったり。

初めはお見合いなのでそんなものかと思っていた。
彼の両親も息子の嫁候補として観察したかったのだろう。

しかし、それはいつまでも続いた。

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逆に彼が私のところに来てくれた時は二人だけで過ごし、そのまま帰ってもらうこともあった。

すると、彼は必ず私の両親に電話をかけるのだ。

遠距離にも関わらず両家で食事をすることも多かった。

更には彼の方はおばあちゃんまで出てきて

「よろしくお願いします」
と頭を下げられた。

結婚が二人だけの問題ではないのは分かっている。家族との繋がりも必要だ。

でも、まずは二人の気持が大切なのではないのか？

まだお互いに相手のことを知ろうとしている段階。

私は彼と結婚するとは一言も言っていない。

初めから家族が関わりすぎて重かった。

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もし、彼自身のことが気に入っていればそれほど気にならずに結婚に進んでいたかもしれない。

しかし、なかなかそういう気持にはなれなかった。

また、小さなことが引っ掛かり嫌になっていった。

一緒に歩いていても目的地に行くことに必死になって私が数メートル遅れても気付かない。

電話でも私が
「今出先なので」
と切ろうとしても自分の言いたいことをしゃべり、こちらはおかまいなし。

まぁ、我ながら細かいことだとは思うが、嫌になるとトコトンいやになるのだ。

私の悪い癖だ。

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段々態度にも表れてきて、彼と会うときはかなり冷めていた。

今までは私の不機嫌な態度に相手が気付き、引いていくことが多かった。

しかし、彼は全く引かなかった。

というか、彼の両親が押しまくってきた。

よく彼の母から私の母に電話があり、

息子がどれだけ私に対して頑張っているか。

をアピールしてきた。

しかし、本人から何も言われないだけに気持は複雑だった。

なんで親が言ってくるの？

しかもわたしの母を通してだ。

外野ばかりが盛り上がっているように見えた。

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そろそろ三ヶ月がたつころ、彼の両親から
「話を進めたい」
と言ってきた。

両親はかなり彼も彼の両親のことも気に入ってたし、すぐにでも結婚させたがっていた。

しかし、私は気が乗らない。

断ってほしいと伝えたが、なかなか断ってくれない。

「彼のどこが気に入らないんだ？」
「もったいない。これ以上の人に出会えるはずがない」
「わがままだ」
と毎日のように責められた。

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私も私なりに努力はしたつもりだった。

彼のことが嫌になりかけていた時も
次に会うときはもしかしたら良いところが発見できるかも。
と思って会いに行った。

しかし、会った途端にテンションが下がる。

何度あっても無理だった。

しかし、自分でも断れたのに行動には移せなかったのは、

自分でも自信が無かったからだ。

この人を逃したら本当に結婚できないのではないか。

両親の目の方が確かなのかも…。

葛藤していた。

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ずるずると付き合って半年がたとうとしていた。

その頃には好きになるどころか、ますます嫌になり、

あった途端に帰りの新幹線をチェック。

あと何時間の辛抱だ。と考えるようになり、

言動全てが気持悪い…。

誠に失礼な話だが、生理的に受け付けない状態となっていた。

ここまできたら彼との結婚はないだろう。

彼自身は良い人だし、頑張ってくれてるのは分かっていた。

だが、私とは合わないのだ。

きっと他に良い人が見付かるだろう。

その為にずるずると引き留めていてはいけない。

そう思い、自分で断った。

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直接話す勇気は無く、お断りのメールを送ったが、彼からの返事はない。

数日後彼の母親から私の母に電話が来た。

「息子が断られたと大変落ち込んでいる。もう一度会ってやってくれないか」と。

私が仕事から帰ってくるとまたなんとか説得しようとしてきた。

今回は譲らない。

しばらくは両親と毎日のように喧嘩をしていた。

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彼と会ったのは27歳の頃。十二人目で書いたが、順番としてももう少し前のことで、私がお見合いに前向きになる前のことである。

元々いやいやだった上に大人達が絡みすぎてもうお見合いは嫌になっていた。

しかし、両親は次のお見合いを持ってきた。

私が拒否してもお見合いをするか、この彼とまたやり直すかどちらかにしろ、と。

仕方なく次のお見合いをする。

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私が彼と付き合っている半年の間に私の両親と彼の両親はかなり仲良くなっていた。

私が断った後も連絡を取り合い、四人で旅行に行ったり、仕事の相談をしたり…。
私が結婚した今でも友人として時々連絡をしあっているらしい。

別に両親の友人に関してとやかく言うつもりはない。今は連絡を取り合っていようといいのだか、

当時は結婚問題が絡んで来ていたのでややこしかった。

電話がある度に彼の両親や彼自身が私ともう一度やり直せないのか。と頼んでくる。

それを受けて両親は私をなんとか説得しようし、大喧嘩になる。

そんなことを繰り返していた。

それは私が次のお見合いをしてようと、それがうまく行っていようとおかまいなしだった。

新たなお見合いか彼とやり直すか選べ。

と言っていたのに結局彼を選ばせたいのだ。

こんなことが現旦那と付き合っているときでさえ、それこそ結婚が決まる直前まで続いた。

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両親の攻撃（私にはそう感じられた）は29歳の時がピークだった。

30歳を目前にして結婚の兆候はなく、相手もいない。

お見合いの話も格段に減っていた。

両親の当ては彼しかいなかったのだ。

確かにこのままでは結婚出来ないかも…。

口では反抗しながらも私自信にも不安があった。

両親に背中を押され、一度だけ家族で彼の家族に会いに行ったことがある。

初めて会った時から二年たっている。
もしかしたら少し変わっていて受け入れられるかもしれない。

少し期待していた。

しかし…。

二年前と同じだった。全く気持ちは動かない。

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やっぱり無理。

そう両親に告げたが、

「なぜ？理由は？」

両親も一歩も引かない。

「生理的に受け付けない。
一緒に生活するなんて考えられない。
結婚したら家に帰りたくなくなるかも。
すぐに離婚する。それでもいい？
好きでもない人と結婚しても不幸になるだけだ。
私が不幸になっても良いの？」

ここまで言っても分かってもらえない。

「結婚は好きや嫌いだけでするもんじゃない。

彼の家庭に入って不幸になるわけがない。親の目の方が確かだ。俺が保証する。

お前は恋愛なんて出来ない性格なんだ。好きな人と結婚したいなんて夢をみるのはやめろ！」

更には

「嫌なところは結婚してから直してもらえば良い。
顔が嫌なら顔を見ないようにして生活すれば良い。その内慣れる。」

もう言ってることがめちゃくちゃだった。

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こんなことを毎日顔を会わせる度に言われる。

どんどん私は追い込まれていった。

この苦痛から逃れるにはどうしたらいいのか？

結婚するしかないが、当ては彼しかいない。

悩んだ…。

とりあえず彼と結婚して、両親を説得させ、すぐに離婚しようか…。

あれほど離婚を考えるのが嫌だった私がそこまで考えた。

それほど追い詰められていた。

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五年間もこんな私のことを待ってくれている人がいる。

その事自体は嬉しいはずのことだった。

しかし、彼の場合は全く嬉しくなかった。

彼の気持はいつも母から伝え聞くばかりだった。

「彼がこんなことを言ってたらしいよ。よっぽどあなたのことが好きなのね～。」

情報源は彼の母。

はじめは彼の母が息子の為に勝手に動いているのかと思ったが、

彼自身も私の両親に私を説得してくれと頼んでいたらしい。

全くの他力本願にあきれた。

彼から私自身に連絡があったのは五年間で二回だけだ。

それも私の母が

「直接連絡したら？」

と助言してやっとだ。

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私はこれまでの人生、両親の敷いたレールの上を歩かされた。

と言う思いが強い。

結婚は人生の大きなイベントだ。

だから結婚相手ぐらいは自分で納得できる相手としたかった。

両親に説得されて結婚するなんてまっぴらだった。

彼のやり方で私が納得できる訳がなかった。

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しかし、私もその時既に29歳。

結婚はそろそろしたかった。

だか、プライベートでもお見合いでもうまくいかない。

そこでふと思った。

今まで、数々のお見合いをして来た。ここに書いてきた12人の他にも一度しか会ってない人や取り立てて書くエピソードのない人など合わせると25人ぐらいだろうか。
それらは全て両親が持ってきたものだ。

これでは私も他力本願なんじゃないか？

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私はようやく重い腰をあげて自分で仲人さんの所に行ってみることにした。

両親に紹介された仲人さんだったので正確には全て自分で。と言うわけでは無かったのだが…。

仲人さんはようやく本人が出てきたことで大変喜んでくれた。

「いくら周りが頑張ってもこう言うのは本人の気持ちが重要だからね。」

そしてお見合い結婚と恋愛結婚の違い。

お見合いではなぜ三回で決めるのか。

など丁寧に教えてくれた。

この仲人さんも両親に決められて結婚し、後悔しているという。

だから無理強いはしない。自分の目で見極めて決めたら良いよ。

と言ってくれた。

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私は早速資料の中から数人の人を選んで申込み、帰宅した。

数日後、仲人さんに連絡をしてみる。

見事に全員NG。

会ってもくれない。

ネックは年齢。

私は下は五歳から上は十歳までで申し込んだが、年下にはもちろんみ向きもされず、十歳年上の人も20代前半を希望してくるそうだ。

29歳の私は既に売れ残りと言うことか…。

厳しい現実を知った。

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お見合いが全くうまくいかない頃、プライベートではどうだったかというと、

28歳の時にまた職場が変わった。

今度は同年代の医者が多い病院だ。

今までの経験上期待せずにその病院へ向かった。

確かに前の病院より若い医者が多い。

同じ科にも一つ上の男の先輩と四つ上の女の先輩がいていろいろ教えてもらった。

仲良くなるにつれて雑談も多くなり、他の先生方の情報も教えてくれる。

意外と既婚者が多い事が分かった。

そういえばその先輩方も既婚者だ。

がっくり…。

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まぁ、それでも同年代の同僚が多いのは楽しかった。

医局でも座席が近い先輩や後輩と仲良くなった。

食事に行ったり、ボーリングやカラオケをしたり…。

その中で一人、私と同い年で彼氏がいない女の子の後輩がいた。

自然と恋愛や結婚話になる。

それを聞いていた周りの既婚者の先輩方が面白がって話題に入ってくる。

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29歳のある日、そんな話の流れから
「この病院内で好きなタイプは？」
という話題になった。

丁度学生の時にお世話になったかっこいい先輩がいたので、その先輩の名前をだしてみた。

結構万人受けするかっこよさだったので後輩の子も
「かっこいいですよね～炻」
と盛り上がる。

すると先輩の一人が、

「確かあいつ独身だったと思うよ。俺、同学年だし、ロッカー隣だから彼女いるか聞いといたげる」
と言い出した。

早速翌日には聞いてくれて彼女はいないことが判明。

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みんなに
「ちょっと頑張ってみたら？」
と乗せられる。

好きな相手がいて、その人の話で盛り上がるなんて学生以来だ。

なんだか楽しかった。

ただ、学生の時は友達と騒ぐだけで行動には移せなかった。

またそんな風に終わるのは嫌だ。

そう思った私は初めて行動に移した。

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行動に移す。
…と言っても何をすれば良いのだろう？

最終的には告白して…？

でも今いきなり告白するのは唐突すぎるし。

かといって駆け引きなんてしたことないのでどうすればいいのか分からない…。

とりあえず先輩の科に関係のある患者さんのことは全て先輩に聞きに行った。

そして数回行ったところで食事に誘う。

「二人で」と言うのは緊張して、先輩の科の上司も一緒に行くことになった。

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そして当日。

行くときに少し迷って遅れてしまった。

先輩とその上司の先生は既にお店に着いていた。

その上司も私が大学での研修時代にお世話になったことがあるのでその時の話で盛り上がる。

こうして初めての食事は何事もなく終わっていった。

帰り際、来るときに迷ってしまった究極の方向音痴の私は帰り道も分からない。

「どっちだろう…？」
と迷っていると先輩が途中まで道案内をしてくれた。

やっぱり優しい。

そのお陰で少しだけ二人きりになる。

勇気を絞って

「また食事に行きましょうね」

と言ってみる。

「いいけど、俺、結構忙しいからなぁ。」

うまくかわされた。

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今回食事に行った感じではおそらく告白しても付き合える可能性はほとんど無さそうだ。

それに、その先輩はかっこよくて優しく、大人気でありながら大学二年ぐらいまで学外に彼女がいたという噂以降、誰かと付き合っているという話は聞かなかった。

前の彼女が忘れられないのか…。

そこに私が入り込めるとは思えなかった。

でも、その時の私は先輩と付き合いたいというよりは告白がしてみたい。という気持の方が大きかった。

私は男性と（お見合い以外では）付き合ったことがないばかりか、告白したこともされたこともない。

『告白して振られる。』

そんな事にすら憧れを持っていた。

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しかし、いつ気持ちを伝えたら良いのだろう。
どうやって二人きりになる？

どうやって……？

そんな時だった。
毎月仲の良い先輩や同期の友人とボーリングに行くのだが、その時に、私の好きな先輩も呼ぼうということになった。

前に彼女がいるかどうかを聞いてくれた先輩が誘ってくれるという。

「その時に告白しろ」

という話になった。

早速作戦会議が開かれた。

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私の好きな先輩はボーリングは好きだが、カラオケは嫌いとのこと。

ボーリングに行った後、「みんなでカラオケに行こう」
と提案するから、そこで先輩が帰ると言い出したら、私も一緒に帰ることにした。

幸い家の方向が同じで二人とも車通勤なので私がその日は車を置いてきて、先輩に送ってもらえるようにお願いしよう。
という作戦だ。

作戦通りに行くだろうか…。

人生初めての告白。
大失恋するかもしれないというのに、緊張よりなんだかワクワクしていた。

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そしてついにボーリングの日。

予定通りボーリング終了後、カラオケに行こうと言うことになった。

そして、私の好きな先輩は予測通り
「俺はいいわ」
と言い出したので私も一緒に帰ることにした。

家まで送ってもらえるように交渉も成立。

本当は私、カラオケ大好きなんだけどなぁ…。

ここはグッと我慢して先輩の車に乗り込む。

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