貴方は私の天使

レス29 HIT数 5982 あ+ あ-


2012/05/16 23:38(更新日時)

進学校生にしては随分派手で滅茶苦茶な生活をしてきたように思う。
私は男でもあり女でもあった。
決して華やかな青春とは言えなかったけれど、鮮やかだった。

No.1790932 (スレ作成日時)

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No.1

はじめに……
この小説は中学~高校生だった頃の私の話を中心に書いています。八割が事実です。名前などはオリジナルで、話の都合上、時系列を変えてある箇所もあります。
両性具有の描写もありますし、暴力描写や軽い性描写があるので基本的にR-12です。
その方向の話を生理的に受け付けない方や中学生未満の方の閲覧はお控え下さい。
感想は随時受け付けますが、特に制限はしませんが性別を教えて下されば幸いです。なお、自スレへの過度な勧誘(リンクを貼るなど)はお控え下さい。紹介は勿論OKです。

No.2

登場人物(仮名)
野崎千歳(のざきちとせ)
城山エリ(しろやまえり)
松田夏子(まつだなつこ)
橋本杏樹(はしもとあんじゅ)
西山玲羅(にしまやれいら) 他

No.3

物心ついた時から父親の記憶はない。
母親はデリヘル嬢で、事務所の運転手だった父親の間に出来たのが私だった。

人を愛するなんてロクな事がない。

それは父親を愛した母親が、籍を入れた直後、勝手に胎内に子供(のなり損ない)を植え付けられ、棄てられた事で証明される。

妊娠が発覚したのは三ヶ月目。母親は中卒で馬鹿だった。卸すという手段は頭になかった。仕方なく産むことを決めた。

母親が18歳のとき私が誕生した。

11月1日。

No.4

私は産まれてくるまで「男」と言われていた。
だが産声を上げたその子は、男でも女でもなかった。
女なら風俗ができる。
男もホストができる。
だが、私はできない。
染色体はXYで男性。外性器、内性器は男性、女性の混合方。
仮性両性具有として誕生した。

No.5

母親は完全に育児放棄だった。
母親が男とも女ともとれる「千歳」という名前にしてくれたのが、唯一の救いだ。
私はサイレントなパーフェクトベイビー。あまり泣きもせず、子育ては楽だっただろうが、デリヘルと子育ての両立は難しく、私は二歳の時、遠い親戚の女性、華奈さんの家に預けられた。
華奈さんは優しかった。私は幸せいっぱいで小学校就学までを過ごした。
私は母親よりも華奈さんを大好きだった。
午前中は華奈さんの家の畑や果樹園で華奈さんの手伝いをして、午後は本を読んで貰ったり平仮名を教えて貰ったりした。

No.6

華奈さんの家から小学校に通った。
私はまだ自分の身体の異常を知らなかった。
水泳はさせて貰えなかった事だけは不思議だったが。
小学校は楽しかった。
でも子供は残酷だ。
「野崎んち、どうしてお母さんと苗字が違うの?」
お母さん、とは華奈さんの事だ。
「お前んち、パパもママもいないんだー」
そう言ってきた男子を嫌いになった。
生まれて初めて、あんなに人を嫌いになった。

No.7

「うるっさいなぁ……少し黙っててくれない?」
私は普段の口調を崩さずに言った。
極力穏やかに。
それでも尚からかい続ける男子に、堪忍袋の緒が切れた。
パチンと男子の頬をひっぱたく。
取っ組み合いの喧嘩になり、先生にどちら側も叱られた。
今となっては可愛い思い出。

No.8

私は女として生活していた。
華奈さんの作ってくれた服は、クラスの女の子が着ているような服とは微妙に違っていたけれど、ロック系なその服は男とも女ともつかない中性的な私の顔によく似合っていた。
華奈さんは相当な変人だった。
髪を赤く染めてパーマをかけ、パンク系の服を着て、タトゥーを施し、ピアスだらけの顔で農業をやっていた。
中身は冷静で家庭的、真面目な人だった。

華奈さんは勉強もよくできた。
私は直ぐにクラスで一番になった。

No.9

幸せな生活が続いていたけれど、やはり親がいないのは私のコンプレックスだった。
男子にからかわれるから、という理由もあるものの、本当は母親、父親と呼べる存在が近くに欲しかったのかもしれない。

華奈さんは私の身体の事情を学校に話し、保護者として世話は全てやってくれていたが、授業参観に来たことは一度しかなかった。
答えは単純。
華奈さんが初めて授業参観に来てくれた、小学校一年生の夏。
「千歳~♪」
華奈さんが教室に入った瞬間、先生、生徒、保護者、全てが華奈さんを見た。
場違いも甚だしい格好の華奈さんを。
ひそひそと話し出す保護者や、見かけはヤンキーそのものの華奈さんを怖がって泣き出す子供を見て、
「場違い……だった……かな?」
と華奈さんはそそくさと帰ってしまった。
それっきり、華奈さんは授業参観に来ない。

No.10

小学校三年生のある日、ずっと抱いていた自分の性器への不安を華奈さんに打ち明けた。
華奈さんは冷静に私の身体の異常――私が仮性両性具有だという事を話した。
そして、いつかは手術をすることになること、
でも高いお金がかかるので、もしかしたら出来ないかもしれないこと、
手術を受けたとしても子供が産まれないということを、私に教えた。
私は何の事かさっぱり判らなかった。
でも、その頃から、自分は他の女性とも男性とも違う事を意識し始めた。
勿論、心は女性だったが、いつか心まで男になりはしないか、と不安でいっぱいだった。

No.11

それまで何不自由なく育ってきた。でも、その日、私の人生を変えた事件が起きた。小学校四年生の時、十月二十日、華奈さんが事故で死んだ。
その日は華奈さんが野菜や果物を売ってくる日だった。
高速道路でガードレールにぶつかり、即死した。
華奈さんの葬儀に母は来なかった。
華奈さんも母も家族とは疎遠で葬儀には殆ど人が来なかった。
葬儀場では私は全く泣かなかった。
突然の事で精神が麻痺したような状態だった。
でも、棺を開けて、(加工により)安らかな表情を浮かべて眠っている華奈さんを見て、
華奈さんは生きていると確信した。
まだ生きている。今にも起き出して、
「千歳!!今日はお金沢山貰ったから、宿題ちゃっちゃと終わらせてレストランでも行こっ♪」
と言ってくれる。
「華奈さん、起きて」
私は華奈さんの額を触った。
冷たい……
冷えた肉に触るような感触。
生々しく今でも覚えている。

No.12

見てます。
更新まっています。すごく気になります。

No.13

>> 12 ありがとうございます!!ありがとうございます!!本当嬉しいです!!
見てくれてる人いたんだ(感動!!
更新は4時以降にします。
お待ち下さい!!

No.14

華奈さんは当然目覚めなかった。
ようやく全て悟った私は華奈さんの死体の前で号泣した。
次に見た物は、火葬場で骨まで焼き尽くされた「モノ」。華奈さんは若くて健康体だった。骨壺に入れるのに、係の人はトンカチでバラバラに砕いていた。
ついこの前まで二人でふざけあっていた華奈さんはモノになった。見ず知らずの人に、本当ならもっと後にお世話になるはずの人に骨を砕かれて、小さい壺に押し込められて。
呆気ないものだ。
どんなに生きたくても、どんなに生きていて欲しいと願うガキがいても。
少しのミスで人は死ぬ。
苦しい時は、そこから何処かへ逃げたがる。
華奈さんの事故は華奈さんのミスなのに、私は誰かのせいにしようとした。
ガードレールが堅すぎた?
ブレーキが壊れていた?
私が止めていれば良かった。
前の日、華奈さんに「売りに行くよ」と言われて喜んだから……
あの時止めていれば良かった……

No.15

辛い事があったら、どうしようもなく辛い事があったら。
それを無かった事にできなければ、
心は何処かへ逃げようとする。
華奈さんと過ごした幸せな日々をずっと続けたいと思うように、
辛い時は、何処かへ逃げたがる……
そんな時に立ち直るのか、立ち直れないのか……
その分かれ目はどこに……

No.16

家裁で、私の親権は母親に与えられた。
28になった母親は、デリヘルを辞めてスナックを経営していた。
母親は最後まで反対していたが、他に親になる者が居なかったからだ。

「千歳。病院に行くよ」
母親のスナック(一階がスナック、二階が居住区域)に入って早々に母親にそう告げられた。
母親は私が両性具有であることを示す母子手帳を持って、私を連れて車に乗った。

No.17

小さな泌尿器科、内分泌科に行った。
先生は小綺麗で清潔な感じの、初老の人。
母親から母子手帳を見せられて一瞬眉をひそめた先生は、
「男性偽両性具有ですか……」
とたいして驚きもせずに言った。
「この子の女性の器官を全て摘出して下さい」
母親は言い放った。
「えっ、お母さん……!?」
「男性偽なんでしょ。男に近いなら選ぶ必要ないっ!男になればいーの」
「そんな勝手に……」
「何が勝手よ。勝手に出来損ないとして生まれたのはあんたでしょ!?」
口をつぐむ私に、母親は更にまくしたてた。
「そーでしょ!?男でもない、女でもない!!あんたが居ることだって厄介だっていうのに、更に金かけさせやがって……」
「いい加減にしろ!!」
先生はドン、と机を叩いた。
置かれた母子手帳がクシャリと歪む。
「……な、何よあんた!!口出さないで!!」
先生は椅子から立ち上がり、母親の襟首を掴んだ。
「……育てられもしない癖に子供なんて生むんじゃねえよ」

No.18

「な……」
母親はそれきり黙ってしまった。
「今日はお引き取り下さい。お代はいりませんから」
先生は母親を追い出した。
「千歳ちゃん、だったね。君は残りなさい」
逃げるように母親の後を追いかけた私を、先生が引きとめる。
「え……でも、お母さん……」
「残ればいーじゃないの。私よりこの優しー爺さんが良いでしょっ!!」
母親は扉をピシャリと閉めて出て行ってしまった。
「酷い母親だね」
「お母さんを……悪く言わないで下さい……」
「何だって?」
「私のお母さんを怒らないで」
何で私がそんな事を言ったのか、今では判らないが、やはり「母親に対する愛情」は持ち合わせていたのかもしれない。
「……すまなかったね。私の親を思い出してしまってね、少し感情的になってしまったのかもしれない」

No.19

「君はどちらになりたい?」
私を奥の部屋に連れて行った先生は、椅子に腰掛けて私に聞いた。
「座りなさい」
先生は私を隣に座らせた。
「どちらになりたい?綺麗事かも知れないけれど、君が成りたい物になればいい。たとえ身体が男に近くても、子供ができなくても、女として生きたいなら手助けをしてあげる。選ぶのは君の自由だ」
先生の眼差しに、華奈さんを思い出した。
華奈さんが言った言葉……
「私は千歳が男でも女でも、どっちでも無くても好きだよ。千歳が卑屈にならない限り、愛してくれる人がいっぱいいるよ」
………

No.20

この人は華奈さんに似ている。
硬派で真面目で冷静で、不器用で優しくて。
「わかりません……でも……男にはなりたくないです」
それが私が出した答えだった。
この先、もしかしたら男になってしまうかもしれない。私の戸籍上の性別の欄は空欄だ。
「そうか……それでいい」
先生はゆっくり言った。
「自分なりの答えが出せたね。おめでとう。君は女の子だよ。女の子でいいんだよ。私は君に自信をつけてもらう為に、君にできないことを少し手伝うだけなんだ」
先生は暫く奥へ消えた。
私は気が付くと泣いていた。
嗚咽と共にぽろぽろと流れる涙は、私の闇を洗い流してくれるような気がした。

No.21

「千歳ちゃん」
先生が紙袋を私に渡した。
「一日一錠、ホルモン剤だよ。男になるホルモンを弱めてくれる。これで胸を大きくしたりはできないけれど、君が声変わりしたり、男性の体になることは免れるよ」
そして先生は私に言った。
「困った事があったらいつでも頼りなさい。出来る限りの事はしてあげるから」
「はい!!」
華奈さん……
華奈さん、先生、ありがとう。
私に自信をつけてくれてありがとう。
私……

私、頑張るね!!

No.22

私は転校した。
今まで通っていた学校の、例のムカつく男子――中村洋介は半泣きで見送ってくれた。……何だコイツ。
転校先は母親のスナックから歩いて十分程の小さい学校。
故に、クラスは学年一つずつしかなかった。
母親が面倒臭そうに私の障害を説明している。校長と教頭も驚きながらも「面倒臭いな」という顔をしている。
担任として紹介された黒田先生に連れられて、四年生のクラスに行く。
黒田先生は背が高くいナイスガイで、でも私は少しいけ好かないな、と感じた。

No.23

中間で申し訳ないです。
年齢を十年間違えて登録してしまってます。
実年齢は25歳です。
引き続きお楽しみ下さい。

No.24

お早うございます。
毎日、更新を楽しみにして待っております…。

No.25

>> 24 みのやさん、お久しぶりです!
更新頑張ります♪
まだ序章、エピソードゼロの段階なので、これから色々ダークになっていきますが、お付き合い下さいませ。

No.26

>> 25 はい。
そうですか…。
わかりました。

No.27

黒田先生と一緒に教室に入る。
周りがざわついた。
当たり前だが私の容姿は目立つ。初めから予想はしていたが、やっぱり慣れない。
「あの子、男?女?」
「はい、静かに。今日からこのクラスに入った、野崎千歳さんだ」
「野崎千歳です。丸○森銛小学校から来ました。よろしく」
ぺこりと頭を下げる(小学校名はギャグですので悪しからず……)。
先生に指定された席に座る。
隣は女の子。
「よろしくね」
「よろしく!!ねえ、女の子なの?男の子?」
何てストレートな……!!
だが、その方が話し安い。
「女の子だよ」
そう、私は女の子。そう思えば良い、と言ってくれた人がいるんだから。
「ボーイッシュだね!格好良い!!」
出だしは順調だった。
また良い学校生活が送れる、そう確信した私がバカだった……

No.28

ホルモン剤は毎日飲んだ。
この頃から母親は私と全く会話をしない状態になった。
何時も母親は朝は起きてこなくて一人で目玉焼きを作り、家に帰ると一階では母親が半裸のような格好をし、昼間から酒を飲み、客と卑猥な言葉を交わしあってゲラゲラ笑っている。特に夜はヤバい。スナックのママってみんなこうなのか、と偏見まで抱いてしまったが、多分そんなエロいスナックは家だけだ。
私が帰って来たことなんて気づかない。
きっと一日位帰らなくたって分からないだろう。
私はかなりの頻度で病院に通い、閉院後(七時以降)先生とだべっていた。
学校であった話、愚痴etc.私はお喋りだった。ペラペラと私の舌はよく回り、先生はニコニコしながら私の話に付き合ってくれた。
普段は四時半に学校を出て、家に帰り勉強を済ませ、七時に病院に迎い、話しまくったら家に帰る。何とも自由奔放な生活スタイルだった。

No.29

感想(というより雑談、コメントなど)スレ立ててみました。
「貴方は私の天使.交流スレ」です。
皆さんコメント宜しくお願いします。
ルールは
・誹謗中傷等の禁止
・この話に全く関係のないレスの禁止
です。
(自スレの宣伝もOKにします)
ちょくちょく覗きます。

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