のうみそかにみそ

レス11 HIT数 3429 あ+ あ-


2012/01/11 22:29(更新日時)



私は高熱でベッドに寝ていた。

少し頭を動かすだけで、ぐぁーんと激痛が響く。

一緒に暮らす婚約者の則政が友人の結婚式に出かけて4時間がたとうとしていた。

「披露宴終わらないのかな…」


行く前の則政は「心配だ心配だ」と言っていたが、その後なんのメールもない。
「もしや…」
と思った瞬間に携帯が鳴る。

「もしもし?由希子?」ガヤガヤ…

「もしもし?」

「あのさぁ~二次会、どうしても顔だけ出さなくちゃならなくなって~」
背後のガヤガヤに負けない大声と浮かれっぷり。


あぁ…
コイツの脳みそカニ味噌だって忘れてた…

もうコイツだめだ…

熱のせいなのか?
今まで我慢してきた事が吹き出した。
パジャマ姿のまま車に飛び乗った。




初めての小説です。
頑張ります。

No.1686621 (スレ作成日時)

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No.1

出会いは三年前。

なんてことない飲み会だった。

いきなり則政が言った。

「俺、好きな女がいるから、こーゆーとこ来たくないんだよね」


イケメンしか許されないような台詞をのたまうダサ男に唖然とした。


この時に感じた違和感を忘れてはいけなかったんだ…

大後悔だ。

No.2

よくよく話を聞いてみれば「好きな女」は片思いらしい。

必死に「まだはっきり付き合っていないだけ」と主張していた。

はぁーさようですか。

何故か初対面のダサ男の恋バナを聞かされ、また相談にのって欲しいと携帯を交換する事になった。

あの頃の私はイエスマンで周りに流されてばかりいた。
嫌な事を嫌と言えない態度に出せない。見た目とは裏腹な弱々しい性格だった。

ゆえに面倒くさいと思いつつも則政の恋愛相談の為に出かけたりもした。

そうして三回目の食事のときだった。

No.3

「俺、好きな人が出来た」

「知ってるよ、あやちゃんでしょ?」
恋バナの相手の名前もすっかり覚えてしまった。


「いやーあやじゃなくて新しくさ~」

ニヤニヤしながら、誰だか当てて見ろと言う。

お前の交友関係なんて把握してないから…と思った瞬間に嫌な予感がした。

なんとかスルーしようと気付かないフリをしたが、ダメだった。

「由希子ちゃんだよ。付き合ってくれる?」


しまったぁー

No.4

はっきりと断れずに、ぐだぐだとした話の後で

「よし!分かった試しに付き合ってみてよ!」

則政の提案で1ヶ月付き合う事になった。

それは、なかなか濃い1ヶ月だったし、三年後の悪夢の序章だった。

No.5

付き合って早々に自宅に呼ばれた。

母親がお菓子を出してくれる。
彼女はずっと泣きそうな困ったような顔をしていた。それが通常の顔なのだ。

きみまろのライブに行ったと楽しそうな話題でも笑顔は見せず。少し笑っても下を向いて顔を隠していた。

彼女の笑顔をうばったのが、カニ味噌父ちゃんだと今は分かる。

居間で少し話してると父親登場。
かなりくたびれたテリー伊藤がいた。歯が足りないのか言葉がよく分からない。

なんとか挨拶をすませた後、則政の部屋へ行った。
アルバムを見ているとふすまがそぉっと開いた。

先ほど「じゃぁごゆっくり」とはけていった父親再登場。

ニヤニヤしながら小さな包みを差し出している。

明らかに一度そぉっと開けて戻した包装紙にくるまれていた。

「ありがとうございます!」と笑顔で受け取ったが私の頭の中は???
カニ味噌脳の思考など普通の人類には理解できるはずもない。

ふすまが開き、あやしげなプレゼントを渡されるという行為はその後二回繰り返された。

No.6

中身は企業名の入ったテレフォンカードやら計算機のいわゆる記念品だった。
彼の勤め先というわけではなく、企業名はバラバラ。

なぜ?
どうして?なんて考えるだけ無駄。
彼のカニ味噌は熟成していたのだ。

同じカニ味噌の息子ですら「オヤジは変人だから」と言うくらいだ。

プレミアカニ味噌を持つ彼の伝説はいつかまた…

No.7

付き合ってみて、則政がどんどんイヤになる私。

食事の時のくちゃくちゃ。

店員への俺様な態度。

付き合う前に何故気付かなかったんだろう…
興味がなさすぎた。

セックスもカニ味噌パワー炸裂で鳥肌もん。


約束の1ヶ月を待たずに別れを切り出した。

これでもかなり我慢した。

No.8

お試しと言ったのは則政の方だったのに、すっかり忘れてたようでゴネるゴネる。

無料お試しと聞いて使ってみたら代金を請求された気分。
とんだ悪徳商法だ。

クーリングオフは二週間以内だったか…?なんて事を考えつつ則政の話を流す。

折れない私にまたもや則政の妥協策が出された。

友達になろう!


内容はメールやご飯をたまにすると言うものだった。

今度はこっちが詐欺師になる番だ。
連絡を取るつもりもないが、賛成して別れた。



別れてストレスが減ったのか痩せた。
良かった、本当に良かった。

つかの間の喜びだった。

No.9

別れてからも変わらずにメールが届く。
メールを無視すると電話が鳴る。

電話に出ないと家の前で待たれた。

メールや電話の内容は「いつ暇?」

今週は?
来週は?
来月は?

そんな先の予定まで決まってるわけない!って言うまで聞かれた。

数カ月に一度の頻度で食事をしたりした。
二人で会わないように飲み会も何度かした。

No.10

2ヶ月後の約束をし、近づいてきたら断る。
そんな失礼をしてもへこたれない男、則政。

誕生日には職場にホールのケーキが届く。

この時ばかりは私から電話をかけた。

「お願いなので職場はやめて欲しいんだけど」

「職場のみんなで食べられると思って😊」

とんちんかん…


しかし、その後はスイーツの差し入れ先は自宅になった。

こんな日々が二年続いた。

No.11

二年たっても則政は一生懸命だった。

私程度の女を捕まえる為に必死だった。
風邪を引いたと言えば差し入れを届け、どこか出張に行けばお土産を買ってきた。

会話のとんちんかんにも慣れ、情がうつってきた頃にまた私の誕生日がきた。

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