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【遠い日の約束】

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高校生
17/11/04 11:35(最終更新日時)

【徹子の部屋より〜ゲスト美輪明宏(1)】



黒柳「ヨイトマケの唄を作るきっかけはどんなでしたの?」

美輪「慰問で炭鉱町を訪れましてね、そこの公民館で歌う事になったんです。そこに労働者の方達がたくさんいらして下さって、会場は満席で、皆さん炭塵が染み込んで、肌が真っ黒で、服もボロボロだったんですね。で、私はステージ衣装をまとって、綺麗に着飾ってる訳ですよね。それで歌ってると、何だか情けなくて恥ずかしくて、申し訳ないような気持ちになりましてね。穴があったら入りたいくらいだったんですけど、皆さん、貧しくて生活が苦しい中、せっかく来て下さったんだから、何かこの人達を励ましたり、慰めたり出来る歌はないかと思ったんですが、無いんですよね…」

黒柳「その頃は、メケメケとか歌ってらした頃ですよね?」

美輪「そうです。シャンソンとかね

黒柳「あ、そうそう、シャンソンね」

美輪「後は流行歌とかばかりで、外国には働く人の為の歌とか、反戦歌とかたくさんあったんですけど、日本には無かったんですよ、当時は…。じゃあ私が作ろうじゃないかという事で、そう思った時に、小学校低学年の頃の思い出がパっと蘇りましてね、ある日、父兄会がありまして、まだ太平洋戦争が勃発する前でしたから、モンペを穿けという命令が出てない時だったので、みなさん綺麗に着飾っていたんですね。で、一人遅れて来たお母様がいて、野良着にモンペという格好で、頭に手ぬぐいを被って、背の小さい痩せた方で、おみ足がちょっと不自由でいらしたの。誰のお母さんかしら?と思っていたら、クラスで一番出来の悪い子のお母様だったの。で、ちょうどその時、その出来の悪い子が鼻水を垂らしていたんですよ。そしたらそのお母さんがその子の鼻元に口を付けて、直接鼻水を啜って、窓から『ペッ!』吐いて捨てたんですね」

黒柳「へぇ、お母さんが!」

美輪「えぇ。周りはみんな訝しげにその様子を見てたんだけど、もう自分の子供の事しか頭に無いんですね、そのお母さんは」

黒柳「あぁ…分かります」

美輪「それを見た時に、もう阿弥陀様みたいな光で照らす母性の塊に見えたの。それがずっと頭の中にインプットされてたんですよ」

黒柳「へぇ」

美輪「当時、私はいつも級長をやってましてね、その子が虐められるとよく庇ってたんですよ。一緒に帰る事とかもあって…。ある時、その子と一緒に帰ってたら、ちょうどお母様が働いてらして、地ならしの仕事だったんですけど、おみ足が不自由だからよろけるんですよ、だから他のお母様達にご迷惑をかけていて、『辞めちまえ!迷惑なんだよ!ろくでなし!』と言われて、その度に、『すいません!すいません!』と謝ってるの」

黒柳「まぁ…」

美輪「その様子を私とその子で見てまして、お母様もこちらに気付いて、だけどそのお母さんは子供に、『大丈夫!大丈夫!心配すんな!』っていう仕草をして、笑顔を向けてるのね。本当はその子は、苛めっ子をお母さんに言いつけてやっつけてもらおうと言ってたんだけど、お母さんのその姿を見て言うのをやめるって言うんですよ。心配させたくなかけんって言ってね」

黒柳「そう…偉いわねぇ…」

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No.2557164 17/11/04 11:16(スレ作成日時)  
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