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目が覚める瞬間に

No.2　16/06/29 10:35
汚れキャラ ( ♀ ) あ+あ-

続き

あれから何週間が過ぎたのだろう。わたしは虚無と鬱の海の底に沈んでいた気分だ。

世界は徐々に、あの人たちの世界同時大量失踪事件から立ち直り、秩序を取り戻しつつあった。

そして今朝は久々のビッグなグッドニュースに世界が沸き返っていた。

この二千年間人類が解決できなかった問題が、大戦後七十年以上の和平問題が、たった一人の大統領が僅か一時間の演説で解決して見せたのだ。彼はEU大統領だった。

混乱の中で独立を果たしたイスラム国とイスラエルの和平仲介をし、トドメの僅か一時間の演説で、両国は若いに同意せざるを得ない事態に追い込まれ、七年の時限条約ではあったが、両国は正式に停戦したのだ。

これからはEU連合軍が国連軍としてエルサレムを管理しイスラエルを防御することになる。

はやくも国連は彼を地球連邦初代大統領に選出する動きを見せた。

その中で、あの日に取り残された牧師の言葉も現実になった。世界中でキリスト教大布教運動がはじまったのだ。ほんの僅かな人数によってだが、日に日にクリスチャンは増えていた。

しかし、この数週間で聖書を三度全巻読破したわたしには、終わりの始まりとしか思えなかった。彼らのほとんどは殉教、つまり迫害に合い殺される運命なのだから。

そして、わたしもその一員のはずなのだ。この終末から救われるのは、キリスト以外の者を拝まないクリスチャンのみ。つまり、地球連邦初代大統領を礼拝しないで殉教するクリスチャンのみなのだが、さいわいにも今は世界が平穏だった。

また、ラジオはイスラエルのユダヤ教に新興のキリスト派が現れ勢いを日に日に増しているのを告げていたのは、わたしを奮い立たせるには充分だった。

その後、今はあの日から一年が過ぎていた。国連の推すEU大統領が正式に地球連邦初代大統領に選出され、着任した。

その日、各国政府から命令が出された。世界中の市民は額または手の甲に地球連邦の印を刻まれねば市民権が剥奪されるとの内容だ。

来たな！と、わたしは確信した。いよいよ、現実に終わりの始まりの時計が動きはじめたのだ。

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ここから、わたしの作品です
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