キミ、泣き虫だったね?

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裏レンカ(旧レンカ)( ♀ xNVK )
09/03/19 23:12(更新日時)

以前、ミクルで携帯小説を書いていたレンカです。

封鎖したスレの続きを書く前に、ちょっと短編小説を書いてみたいと思います。

下手なので読みにくい点も多いと思いますが、最後まで読んで頂けたら嬉しいです🙇

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No.1158814 08/11/14 20:18(スレ作成日時)

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No.1 08/11/14 20:27
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

まず溶けていく雪、壊れた愛、T-002のスレを未完のまま封鎖した事をお詫びします🙇

この3作品は、新しくスレ作って必ず完結させます。


その前に、作者の遊び心で作った"キミ、泣き虫だったね?"

過去の作品とはだいぶ雰囲気が違う(予定)作品ですが😣
感想など気軽にレスして下さい✨


前の作品の方が好きだった、なんてレスもありですよ(笑)

No.2 08/11/14 20:28
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

序章


『遊んでそうな男。』

それがよく言われる、俺の第一印象…。


人間中身が大切だ!!とか言うけど…実際はまず外見で判断されるもんだろ?
だから第一印象って大事なワケで。その点で俺は、損をして生きて来た…。


だけど君は、俺の顔も知らなくて…。

ホントの俺も知らなくて……。



『好きだ。』
って言葉も…結局、言えなかった。

No.3 08/11/14 20:29
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~1~
 深夜2:30。

俺は真っ暗な部屋の中で、日課みたいに携帯をいじる。…隣りにはアレで疲れて眠る彼女。
右手に携帯、左手にタバコといつものスタイルで、俺は彼女にチラリと目をやる…。


「…イビキ……うるせぇんだよな。」

コレは本人に自覚が無いみたいだから、言わずにいる事実。
言ったらショック受けそうだし…傷付けるのは可哀想だからな。

なんて、意外と優しい俺。


視線を携帯に戻し、新しく見つけたサイトに登録してみる…。

プロフィールの設定…他のサイトと同じで、適当な年齢と住所。


性別……



たまには女にしてみるか?

ニヤリと笑い、俺は世に言う"ネカマ"に初めて挑んだ…。


この時、いつも通り男で登録していれば…なんて後悔、今更したって遅いんだけどさ……。

No.4 08/11/14 20:31
匿名 ( b6ZM )

おぉ~待ってました~前作とも読んでて、すごく気になってましたぁ~是非完結させてください✨もちろんこの作品も楽しみによませてくださいね☺

No.5 08/11/14 20:35
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

>> 4 早速のレスありがとうございます🙇✨

そう言って頂けると、かなり嬉しいです☺思わずニヤけてる変態作者(笑)ですが…今後も宜しくお願いしますo(_ _*)o

レスありがとうございました😃

No.6 08/11/14 20:36
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~2~
登録を済ませて直ぐ、男達が絡んできはじめた。

女のフリをしつつそれに応対する…なかなか面白い。


とにかく毎日に退屈さを感じてた俺は、バーチャルとは言え相手は人…そんな事も考えてなくて。
一種のゲーム感覚で…顔も見たことない、名前すら分からない人を相手に(分からないからこそ、罪悪感とか感じなかったのかもしれないけど…)俺は嘘だらけのサイト内メールを返信した。




こうして、ミキちゃん(設定19歳、福岡出身の女の子)を主人公に、俺のネカマプレイの日々が始まる…。

No.7 08/11/14 20:37
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~3~
『ミキちゃん福岡のドコらへんに住んでるの?俺は○○だよ!近かったら会いたいな。』


…コレはマズイ。
適当に登録した住所だから、俺は地理も苦手だし…。

『住んでるトコはまだ内緒だよ、もっと仲良くなってからねぇ~。』


…さすが。上手いかわし方だ!さすが俺!!


『分かった!じゃあいっぱいメールしようね!!』



ケンジと名乗る27歳男。
彼が俺の最初のターゲットとなった…。


攻略してやる!!落としてやる!!!



心の中でそう誓い、俺は携帯を閉じた…。

No.8 08/11/14 20:50
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

まずは、この作品の軽い紹介を…。

主人公の男、実は作者をモデルに作りました(笑)
基本的な性格や趣味はそのまんまですね…。多分。


ですが、主はネカマじゃないですから✋
男と女どちらにするか迷ったんですが、結局男の方が面白そうだったので✨

彼が登録したサイト、これは一時期いたグリーがモデルです。


作品自体は…ノンフィクション……という事にしておきましょうか。

No.9 08/11/15 00:00
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~4~
「おはよう直ちゃん。」
《朝っぱらから、なんつーキスを……。》


低血圧で朝はとにかくダルいし、機嫌も良くない俺は…キスを続ける彼女、恭子の頭を掴み引き剥がそうとする。

「逃がさないよ?」
ニッコリ笑う恭子、その笑顔が怖いよ…。
抵抗された事で、彼女は燃えたらしい。Sっ気を全開に迫られ…俺の更なる抵抗は、虚しく散った……。

《若いって…スゲーよ……。》





「はぁ…ダルい……。」

手にしたタバコの箱が妙に重たく感じる…。
いつもの倍時間がかかったけど、ようやくタバコに火を付ける事ができ、俺は深く煙を吸う。


「1本ちょうだい!!」

「未成年はダメです。」

俺の言葉を無視し、タバコを奪おうとする恭子に背を向け、もう1度深く、肺いっぱいに煙を吸い込む。

No.10 08/11/15 00:01
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~5~
「そういやお前、学校は?」

「今日は休みだし。直ちゃんタ~バ~コ~!!」

後ろでわめく恭子を無視し、俺は携帯を開く。目的は勿論、"ミキちゃん"をプレイする為…。

サイトに行くと

新着メール2件の文字。


『ミキちゃんってどんな感じなの?仕事とか服装知りたいな~。』

コレはケンジからのメール。
《服装って…知ってどうなる?!》
ツッコミ入れつつ、俺はもう1つのメールを開いた。

『初めまして。良かったら仲良くして下さい。』

新たなターゲット"ゆきひろ"からだった。

相手のデータを確認する為、ゆきひろのプロフィールを見に行く…。
36歳独身…自己紹介文は簡単なもので、彼の性格の大人しさを感じた。



『仕事は、病院の事務してるよ!服はお姉系かな~。ケンジは??』

…我ながら、よくこうも簡単に嘘の文が出来るものだと感心した。


『メールありがとう。仲良く出来たら良いね!』

こちらは簡単に、ゆきひろの性格に合わせて返信してみた…。

No.11 08/11/15 00:02
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~6~
こんな感じで、数人の男とメールを繰り返す…。
中には露骨な出会い目的の男も多く、一方的にアドレスを送って来る輩も居た。

"悲しき男の性(さが)"なんでしょうか?
俺なら…そんな目的見え見えの行動はせず、キッチリ計画たてて落とすけどなぁ…。


「まぁ…バーチャルとリアルを混ぜる気は元々、無いんですけどね…。」

ぼそりと呟いた独り言に、散らばった漫画を読んでた恭子が『またか…』と呆れた顔で俺を見る…。


ネットで遊ぶ俺…いわゆる"暇人"なだけで、なんとも悲しい現実だ。

暇だから…退屈なのが嫌だから……かなり自己中な俺。
そんな俺が、この厳しき現実世界で"良い人"として生きてこられたのには、理由がある。




……とても簡単な理由。猫被ってるから。…それだけ。

だけど、本音を言わず生活するのは、割とストレスたまりますよ?
そのストレスにも慣れてしまえば…後は偽った人格と本当の自分をすり替えれば良い。

…どっちが本当の自分か、分からなくなる位……。

No.12 08/11/15 11:41
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

ノンフィクション…って言いましたが、やはり実話だけじゃない部分、事実と変えた部分がいくつかあります😣
なので、実話を元にしたフィクションの作品って事で…。


ストーリーは、コメディ目指してましたけど(新たな境地に挑んだつもりが)またいつもの泥沼化しそうです🙅ごめんなさい🙇


それと…主人公の"直ちゃん"が過去最強の屈折キャラなのは、忠実に再現された作者の性格です。

だからって……引かないで下さいね(笑)

No.13 08/11/15 13:40
バトー ( 10代 ♂ IbDL )

どうも、お邪魔します。
バトーです。

なかなか作品の発想が面白いですね😁
コレからもジックリと読ませていただきますので、レンカさんもレンカさんのペースでジックリと書いて下さいね。

応援しています😊

  • << 15 バトーさん早速のレスありがとうございます🙇 今まで書いて来た作品とは発想変えてみましたから😁でも、相変わらず暗いストーリーになりそうです😂 コメディ難しいですね🙅向いて無いのを実感しましたよ🔥 でも必ず完結させます✨バトーさんも更新頑張って下さい😸

No.14 08/11/15 16:14
I'key ( 10代 ♂ GDnM )

レンカさんお久しぶりです。復活おめでとうございます。

と言っても、名前が変わってるから分からないでしょうか……?
『百丁のコルト』を書いていた「高校生」です。大学生になっちゃったのでハンネを変えました。今はI'keyという名前で小説を書いています。

お互いに自分のペースで書いていけるといいですね。

それでは、またよろしくお願いします。

  • << 16 I'Keyさんレスありがとうございます🙇 お久しぶりですね😁ハンネが変わったのは知ってましたよ✨ ちゃっかり作品読ませて頂いてますから🙆完成度の高さに感心させられてます😃 これからも更新頑張って下さいね✨楽しみに待ってます😁

No.15 08/11/15 19:24
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

>> 13 どうも、お邪魔します。 バトーです。 なかなか作品の発想が面白いですね😁 コレからもジックリと読ませていただきますので、レンカさんもレンカ… バトーさん早速のレスありがとうございます🙇

今まで書いて来た作品とは発想変えてみましたから😁でも、相変わらず暗いストーリーになりそうです😂

コメディ難しいですね🙅向いて無いのを実感しましたよ🔥

でも必ず完結させます✨バトーさんも更新頑張って下さい😸

No.16 08/11/15 19:29
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

>> 14 レンカさんお久しぶりです。復活おめでとうございます。 と言っても、名前が変わってるから分からないでしょうか……? 『百丁のコルト』を書いて… I'Keyさんレスありがとうございます🙇
お久しぶりですね😁ハンネが変わったのは知ってましたよ✨

ちゃっかり作品読ませて頂いてますから🙆完成度の高さに感心させられてます😃

これからも更新頑張って下さいね✨楽しみに待ってます😁

No.17 08/11/15 20:05
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

ここまでを読み直してみましたが、主人公の性格最悪ですね…。

それと、この作品のタイトル、最初は全く違う物にしてました。
でも"キミ"って付けた方が過去の読者さんに分かりやすいかと思い、このタイトルにしました。


でも玲や唯は、一切出ません。
"キミ"との関係も、恋愛要素ゼロで、友情テーマの作品です。


恋愛ネタの作品を期待された方、すみません🙇

ネットを通して、リアルな人間の優しさを感じていく…そんな物語にしたいと思ってます😃

では、続きをお楽しみ下さい…。

No.18 08/11/15 20:07
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~7~
その内…絡んでる男の友達、つまりは女の人も絡みに来るようになった……。


その中の1人が、キミ。
ほんと偶然って感じな出会いで…でも、あんなに沢山の人がいる中で巡り会えたのは…凄い事だって、今更ながら感動しちゃうんだ。


でも、今以上に子供だった俺は…人との繋がりなんて、どうでも良かった。

楽しめたら良い、笑えたら良い…。
邪魔になれば、切れば良いだけ。変わりなんて他に、いくらでもいるじゃん?


受けとめたくない現実、忘れたい過去…そういうのから、逃げたかった。

だから、別人格の"ミキちゃん"になりきった。というか、他の性格になりきるのは身についてたからな…。

所々、素の自分が出てた部分はあるかもしれない。だけど自分にとって"ミキちゃん"は全くの別人で……。


そんな"ミキちゃん"の元に集まって来た人達。

No.19 08/11/15 20:08
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~8~
リアルじゃただ…恭子とヤッて、働いて、酒とタバコに溺れて、寝て…同じような毎日。

制服姿の恭子を見ても、俺の家族は何も言わなかった。てか俺の家族はバラバラだったから、普段から会話もないし…それが日常。

唯一話す家族は、姉ちゃんと兄貴くらいで。でも姉ちゃんは嫁にいったし、兄貴は新婚ホヤホヤで、俺の事なんて見えてないって感じだった…。


それを良いことに、ますます荒れてく俺。仕事も休む日が多くなり、恭子もほとんど俺の部屋に入り浸り…。

恭子のいない時間(いる時もだけど…)は、ほとんど携帯を手にしてた。


ケンジはあっさり攻略され、増えてくる露骨な下ネタに嫌気がさした俺は、彼を"アクセス禁止"にした…。

リアルで言う"縁を切る"って事だろう。
けどその方法は、リアルと違ってとても簡単だった…。

彼のIDを登録、それだけでケンジは"ミキちゃん"への接触手段を断ち切られるのだから……。


なんて簡単、なんて冷たい……そんなシステム…。

No.20 08/11/15 21:09
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~9~
でも、そんなシステムは出会い目的の嫌な男を寄せ付けない為の、女の人を守るシステム…そんな感じに俺は思えた。

色んな人が集まるサイト、その中には嫌な人だって居ると思う。そんな人に絡まれた時、使えば良い…。

バーチャルな世界の中でまで、嫌な人間関係に捕らわれたくないだろ?
楽しみたいから…ここに居る……。少なくとも俺はそうだった…。


ケンジと縁を切った頃から、俺は当初の目的"女のフリして男と遊ぶ"よりも、ただ純粋にバーチャルな友人と絡むのが楽しくなって…。

そういう目的の男達とは一切、絡まなくなった。

No.21 08/11/15 21:10
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~10~
そんな中で、ゆきひろとのメールは続けてた。

メールを重ねる度に分かって来る彼の性格…。とても弱気でマイナス思考のネガティブなゆきひろ。


それはまるで、偽ってない俺の性格そのもので…。
彼を励まし、少しでも良い方向に変えてやりたくて…。そうする事で自分も…変わりたかったのかも、しれないけれど。


俺は作りきった"ミキちゃん"で彼に接し続けた…。本当の事は、何一つ言って無い俺。


そして届いた、一通のメール…。




『僕ミキちゃんの事本気で好きになったかも…。でも僕じゃ、ミキちゃんに全然相応しくないし、リアルで幸せになって欲しい。いつもこんな僕とメールしてくれて、ありがとう。本当に…ありがとうね。』

No.22 08/11/15 21:12
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~11~
このメールで俺は、今まで自分がして来た事の愚かさを知った…。

顔も見た事ない、会った事もない相手…だけど、そこに居るのは…俺の言葉で傷ついたり悩んだり、笑ったりする…確かに意志を持った、1人の…人間なんだ……。



この時初めて生まれた、罪悪感って感情…。
それは、ゆきひろに対してだけじゃない。他にも"ミキちゃん"って人と仲良くしてくれてる、沢山の人達……。

皆、良い人ばかりなのに…俺は……





…俺はなんて…醜かったんだろう……。






『ゆきひろ君、買い被りすぎだよ。ミキの方が…ゆきひろ君に相応しくないから。だってゆきひろ君は、こんなに優しいじゃん?』



このメールを最後に、俺は彼とのメールを交わさなくなった。

俺と彼は…全然似てなかった。彼の方がずっとずっと…優しくて、思いやりがあって……。

……そうだよ…完璧…


「……真逆じゃん。」

そう呟き…俺は携帯を閉じた……。

No.23 08/11/15 22:21
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~12~
「直ちゃん?」

顔を上げると、今来たばかりの恭子が扉の前に立ってた…。

「……何??」
珍しく真顔の恭子…。

……嫌な感じがした…。
何を言われるのか、実際は短い時間だったと思うけど…その時間が凄く長く感じて、心臓は鼓動を早め…俺の頭の中はグルグル渦巻いてた……。




「私、妊娠した。」

No.24 08/11/15 22:24
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~13~
「最初に言うけど、産むつもりないから。」


いきなり現れてそんな事言われても…俺の思考は、なかなか彼女の言葉に追い付かなくて……。



「…何?なんで……産みたく…ないわけ??」

「じゃあ直ちゃんは…父親になった自分を想像出来る?母親になった私が想像出来る??家庭を持って、家族になって…それでも良いって位、私の事好き?!」


そりゃ…ほとんど寝てばかりの関係だったのは、認めるよ。でも、俺は本気で恭子の事が好きだった。愛しいって思ってた…。

…だけど突き刺さる、彼女の言葉。
『父親になった自分を、母親になった私を想像出来る?』

俺は正直"父親"と"母親"がどんなものか、想像出来ない…。
母親に関して印象に残る記憶は、父親と喧嘩してる姿と…俺に"一緒に来ない?"って聞いた時の悲しそうな瞳…。

父親の方は一緒に住んではいるけど、いつも酔って酒に溺れて…何かに当たってるだけの人……。


そんな両親……俺は…"自分はそんな風にはならない"って、言い切る自信が…無かった……。

No.25 08/11/16 01:11
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~14~
何も答えない俺…恭子はそんな俺を憎らしげに見た後、また口を開く…。

「それに直ちゃん、他に女いるでしょ?メール見たもん。てか…私もホントは……付き合ってるの、直ちゃん以外にもいる。でもそれは、直ちゃんが私を不安にさせるからだよ?私が何言ったって…どんな言葉投げつけても……直ちゃん全然、私に対して本気じゃなかった。」

「女なんていないし…メールは、ただの幼なじみ…。でもそんな風に、不安にさせてたのは…ごめん。」

「ほら!!直ぐそうやって謝る!!浮気してた事怒らないの?!直ちゃんの"ごめん"は心こもってないよ?言いたい事我慢して"ごめん"って言葉で済ませて、バカみたい!!!」


バシッ!!と投げつけられたのは、前にやったまま置きっぱなしだったゲーム…。カランとケースから飛び出たディスクを拾い、俺は裏面の傷を確認する…。


恭子がこんなにも…俺の事を見て悩んでた事に、驚かずにはいられなかった…。


《このディスクに付いた傷よりも、もっと深く…俺は恭子を、傷付けてたんだ……。》

No.26 08/11/16 01:11
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~15~
その後、何度も話し合ったけど、出て来た結論は最初と同じ…。
『子供を降ろして、2人も別れる…。』



こんな事になったのも全部、俺が今までしてきた事の報い……そう思えた。

人の心を弄んで、平気で傷付けて…そのクセ自分は"何もしてない"みたいな偽善者で。


そんな俺が原因で、1つの命が消えていく…。


俺が殺す……。

人を…自分の子供を、殺すんだ。




…この手で……。

No.27 08/11/16 01:12
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~16~

真っ暗な部屋の中で何時間も、俺は考え続けた…。
何を考えてたのか、何を思ったのかは…はっきり言って、よく覚えてない……。



《もう…嫌だ。もう、何も見たくない…聞きたくない…考えたくない……。》


気付けば何処から持って来たのか…鎮痛剤を握り締めてた……。


それを見た時…こうするしか……道は無いって…そう、思った。

俺は部屋の明かりを点け、一応家族への手紙と友人への手紙、それと恭子への手紙を書いた…。

コレはいわゆる、"遺書"ってものだ。


《準備…終わり……。》
そう思った時、ふと携帯が目に入る…。

持ち主の居なくなった携帯…当然、どこのサイトにも行く事は無くなる。
そうなれば、あのサイトの友人達はきっと……俺を心配するだろう。


《これ以上、振り回すのは嫌だ…。》

だから俺は1人1人に、メールを送る。

『今までありがとう。元気でいてね。』
省略すると、こんな感じの文章だった気がする。

だけどそんな中で、キミにだけは別の言葉を残したんだよ?




『また帰って来るから、それまでバイバイ。』

No.28 08/11/16 01:15
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~17~
なんて、希望を持たせる言葉…余計に残酷だったと今なら思う。

でも…キミへのメールを作ってる時、キミとのやりとりを思い出したから……。



まだ会ったばかりの頃だったかな?キミは俺の性格を、ピタリと言い当てたんだ…。

自分ですら分かってない、ホントの性格。
たった数回、言葉を交わしただけなのに…俺は不思議で仕方なかった。

"何者だ?"なんて思って、頻繁にキミの所に行ったっけ…。
そうやって分かっていった、キミって人。


誰に対しても優しくて、親身になってたね?

俺もそんな風になりたい…なんて、ちょっとした願望を抱いたのを覚えてる。


直ぐに俺の機嫌の悪さを見抜くキミ…。だから俺は、キミにだけ…別の言葉を送ったのかもしれない。

嘘に気付いて、引き止めて欲しかった…そんな感情が、心のどこかにあったのかもしれないね。



でも送ってから思う、最後にまた嘘をついてしまったって…。もう2度と会えない、帰らないのに。

《ごめん…。》

俺はサイトの登録を解除(つまりは退会)をし、携帯の電源を切った。

これで、この世界にあるのは俺と…目の前の薬……。

No.29 08/11/16 22:27
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~18~
気の抜けたビールで、口一杯に含んだ錠剤を飲み込む……。

そのまま電気を消し、ベッドに横になった。
急に入って来た異物に、胃の辺りがチクチク痛む…。



これで、この先俺を待ってるのは…"死"だけ……。

ようやく…解放されるんだ。……やっと…。



なのに…出て来る気持ちは、後悔ばかりだった。
逃げた自分。
ずっと逃げてきて…俺は今まで誰かを幸せにできた?

『ありがとう』
って…心から感謝された事、ある??



涙が溢れ、吐き気と頭痛に襲われた…。
世界がグルグル回ってて、気持ち悪くて……。


そんな時間が一生続くんじゃないかって…自分でした事なのに、気付けば"助けて"って思ってて……。


だけど…もう……このまま眠って…一生起きる事は…ないん…だよ…な……??





……もう…二度と……

No.30 08/11/16 22:28
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~19~
ぼんやりと見える景色……。


《……??どこだ……ここ?》



俺は死んだはず。もう2度と、目覚める事はないって思ってた……。
それなのに…目の前にあるモノ……それは見慣れた、部屋の天井…。


《……生きてる…??》
体を起こそうとしたけど、酷い目眩がして俺はまた横になる…。

頭の中が、ぼんやりしてて…胸やけみたいな吐きそうな感覚と、体全体を妙に重たく感じた…。
だけど……その重さが俺に、生きてるって事を…何より実感させて…。



「……死ねてないって…バカじゃん…俺……ただのアホだし……。」

不意に流れた涙、その意味は…自分でも分からなかった…。



その後また眠り…喉の渇きで目が覚めた俺。
水を飲もうと部屋を出たけど、そのままトイレに直行……。

カラッポの胃から…ほんの少しの胃液を吐き出す。…それだけだった……。


あれだけの覚悟をして、コレだけ…。

なんて、間抜けだったんだろう。

No.31 08/11/16 22:29
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~20~
そこで俺は、新しく計画を立てた。

コンビニに行き、アルコールの高い酒を大量買い…。
薬局で適当な薬を買いまくった。その時のレジ…店員の不思議そうな顔は、今でも鮮明に思い出せるよ……。




「準備、完了……。」

そう呟いた自分が滑稽に思えた。
でも今度は、失敗しない。本当に…死ねるんだよな??

書いてある遺書はそのままにしてあったから、他にする事もない…。
俺はブランデーのボトルを開け、グイッと飲み込む。
それだけで、胃には焼けるような痛みが走った。

《気持ちワリィ……。》
そう思いながら、一口…また一口と酒で胃を満たす……。

だいぶ酔いが回った頃、目に入ったのは…電源が切られたままの携帯。


チラリと頭をよぎったのは、皆の驚き、悲しんでるメールと…俺がキミに送った、あの嘘のメール……。



…皆は



……キミは……





「今、何してる??」

No.32 08/11/16 23:17
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

区切りが悪いのは分かってます。ですが、ここで一旦更新止めます…。

読まれている方すみません🙇


少し休憩入れて、また更新再開しますので😣

No.33 08/11/17 00:22
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

やはり、区切れが悪すぎるので1話分更新します😣

No.34 08/11/17 00:24
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~21~
サイトに行き、新しくプロフの設定をする…。今度の名前は"ミキちゃん"ではなく、あの日恭子が投げたゲームのキャラの名前…。
なんとなく、その名前が浮かんだんだ。

登録を済ませて直ぐ、キミを探した。

かなり酔ってた俺…。酔ってなかったら、きっと戻りはしなかった。酒と薬…飲む順番が違ったら……俺の辿った運命は、全く違ってたと思う。


《見つけた…。》
意外と簡単に見つかったキミ。俺は最初、他人のフリしてキミに絡んだ…。
…気付かなかったキミ。だから俺は"ミキちゃん"と確実に分かる文章をキミに送る…。

さすがにコレには、キミも気付いて…一気に変わる、キミからのメール。

『心配してたんだよ!?今仕事中で来られないけど、またすぐ来るから!それまで、いなくならないでね?!』

"いなくならないで"
この言葉が俺の心に突き刺さった…。


キミは……今俺がしようとしてる事、見透かしてるの?

「どうして、こんなタイミングでそんな事言うんだよ…?」



そんな言葉…言われたら…。


せっかく…せっかく死のうとしたのに…。

ほんとは怖くて仕方ない気持ち…頑張って押し殺して決めた決心、それが揺らいじゃうだろ??

No.35 08/11/18 23:49
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~22~
『分かった。ちゃんと待ってるから、真面目に働いて来なさい(笑)』


携帯の画面にポタポタと落ちる水滴…あの時、俺の顔は……涙でグシャグシャだったんだよ?

No.36 08/11/19 10:41
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~23~
キミを待つ間、他に別れを告げた人達にも連絡をとる…。


『心配してた。でも、帰って来たから許すよ。ありがとう。』

皆して同じメールを送ってくれて……俺はまた泣かずには…いられなかった。



どうしてこんなに優しいのか…俺には全然、分からなくて。
こんな嘘つきで…皆を騙してる自分を、どうして"好きだ"って言ってくれんの??


そんな風に心配してもらう価値なんて、俺には無いじゃん。

なのに……なんで?





本当の事…ずっと言いたかった。誰かに聞いてほしかった本音。
それを言うのに、1番良いタイミング…だったかもしれない……。

現に今の俺は、タイミング逃して…言えずに…逃げ出したから……。



なのに…俺はこの時、皆が『好きだ』と言ってくれる"ミキちゃん"であり続ける事を、誓った……。



そう、人ってのは……俺って人間は


…後悔ばかりだ。

No.37 08/11/19 17:14
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~24~
俺が1度サイトを辞めた事をきっかけに、キミとのメールの回数は増えたね。

心配してくれてるのが、痛い位…伝わってきた。
なのに、俺はまだ…"死"への未練が残ってて。


遺書は灰皿の上で燃やしたけど、向き合わなきゃいけない現実は、目の前にあって…。

『いま酒飲んでる。』

皆によく、そう言う様になった…。
その度『飲むな~。』って同じ様な返事を返されて……。
心配してくれてるのは、キミだけじゃない。
『飲むな。』って…誰かに叱ってもらったのは……2度目…かな??



"叱られる"って事に慣れてない自分。
"叱られる"って事に憧れてた自分…。


だって"叱る"って事は、相手の事を思ってする行為じゃん?



だから俺は…キミや皆に叱られるのが、好きだった……。


なんて…Mキャラ全開とか思うなよな…。

No.38 08/11/19 19:56
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~25~
だけど、どんなに叱られても、酒はやめなかった……。
毎晩友人と飲み行って、家に帰ってからも飲んで…吐いた…。

飲めれば良い。飲んで笑えたら、それで良い…。
少しでも現実を忘れたい。

相変わらず現実逃避しかしない自分。そんな自分からも逃げたかった…。
そんな感じで…何日か過ぎて……。



リアルじゃ別れたはずの恭子と、また会うようになってた。
でも彼女には新しい彼氏がいたし、俺達2人の関係は"ただの友達"だった。…最初は……。


お互いに罪の意識と、ちょっとした未練が…あったのだろう。



彼と喧嘩したらしい恭子…。グチを聞いてたら急に、抱き付いてきた。


「なに??」

「エッチしようか?」



本音を言えば、嫌だったし…すごく怖かった。
でもなかなか…その気持ちを言葉に出来なくて……。


待つのが苦手な恭子に、半ば強引にキスされて…そうなればもう……どうにでもなれって、やけくそになった…。




こうやって始まる、2人の関係…。
会う回数に比例して、更に増えてく酒……。

No.39 08/11/19 20:10
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~26~
この頃、バーチャルな世界でも…俺は荒れた。


キミとのメールの回数が増えて……俺は初めて、キミから相談をされた。

詳しい内容は書かないけど、俺に分かったのは…何よりキミが傷付いて、苦しんでるってこと。


"何かしてあげたい"
そう思ってるのに…俺に出来る事は、メールで励ます事だけ……。


そんな自分が…たまらなく悔しくて。



せっかく話してくれたキミ。"相談する"って、それだけでストレス溜まるもんじゃん?

何か…何かしてあげたい……。


そう思ってた時、目に入ったのが…四つ葉のクローバー。

「これだ!!」って…そう思った。


必死に探した、7枚見つけたくて……。
キミの力に、支えになりたくて…。


無事7枚見つけ…俺は写メに撮り、サイトに載せた。

『偶然見つけただけだよ。』

…って言葉とセットで。

No.40 08/11/19 20:11
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~27~
だけどキミは、しばらくサイトに来なくなったね?

その頃、俺はこのサイトで初めて日記を載せた。
あの日記ほんとは…キミに宛てた物で……。



バーチャルな関係の、不安定さを改めて感じた。

繋がってるのは、たった1つのサイト。どちらかがソコから居なくなれば、その関係は跡形もなく…消え去ってしまう…。

不安で…不安で仕方なかった。



言いたかった気持ちや、もっと一緒に笑いたかったって気持ち…『ごめん』って言葉……。


その全部が、言えなくなるの??




《お願いだから……また、来てよ。》

そう思ってたのは、俺だけじゃなくて。
他にも沢山の人が…キミを待ってた。


キミは凄く、人気者だったから……。

No.41 08/11/19 20:58
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~28~
「恭子…ちょっとストップ。やめて。」

メールが届き、それを知らせる受信音をうるさく鳴らせる携帯…。


ストップと言われ…言う事を聞く性格じゃない恭子。

ブツブツと文句を並べつつ、動きを止める気配は…無い。
というか、抵抗され…また燃えだしたらしい。


放っといてメールを確認しようとしたけど…今置かれてる状況を無視するなんて……無理です…。



だから携帯を閉じ、とりあえず済ませた。

No.42 08/11/19 20:58
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~29~
メールは、サイトからの通知メールだった。

送信相手は……キミ。


「オォッ!!!!!!!」

雄叫びあげて、俺はサイトに移動する…。


心の中は…嬉しさで一杯で。
嬉しくて……泣けてくる位。本当に…嬉しかったんだよ…。

No.43 08/11/19 20:59
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~30~
サイトに復帰したキミは、やっぱりまだ…元気がなくて…。
笑わせたいって、必死になってた。


だからこの頃は、飲んでるのも内緒にしてたけど…。そんなの多分…バレてたよね?


それとこの時期、俺に一通のメールが届いた。
恭子が"浮気相手"と誤解した、幼なじみから…。

『亜沙子が帰って来たって!!直ちゃん会いたいでしょ?会いたいでしょ~?!
って事で、日曜会いに行くってメールしといたからね!』



《マジっすか??!》

亜沙子ってのは、県外に進学した…俺の元カノ。
初めて付き合った人で…その後も、何度か付き合ったり…別れたり。


唯一、俺が"本音"を言えた相手で…。それは多分…2人の性格が、よく似てたから……。


『分かった!ありがとう。』
って返事を返し、俺は恭子に


『しばらく会えない。』
ってメールを送った…。

No.44 08/11/19 21:32
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~31~
日曜…久しぶりに会う亜沙子の姿……。

前から一目につく容姿だった彼女は…前よりもっと、綺麗になってた。


「直也?!アンタ変わってないね~?笑えるっ!!」

「…お前だって!」


その口の悪さは、変わってない。でもコイツ、無神経な訳じゃなくて…ほんとは凄く、人に気を遣うタイプ。


「てか、何しに帰って来たんだよ?学校は??」

買っておいた、彼女の好きなジュース。それをヒョイと投げると、嬉しそうにキャッチする亜沙子。


「私、結婚するから!」

笑う彼女の笑顔は、今まで見たどんな表情(かお)より…輝いて見えた……。

No.45 08/11/19 21:33
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~32~
「良かったじゃん??お前みたいなのと結婚してくれる相手、いないと思ってた!」

「キツい事言うね?毒舌なのも変わってないか…。てかアンタには言われたくないし!!」

トォッ!!と、効果音付きで、飲み終えたジュースの空き缶を投げられ…俺はそれを投げ返す。



最初は笑顔で戯れてたけど、だんだん2人共本気になり、投げられる缶のスピードは増していく…。

そして俺は、それを避けるだけの立場になって…散々だった……。


「あ~楽しかった。」

なんて爽やかな笑顔で言う亜沙子。今度は俺にではなく、ゴミ箱に向かって缶を投げる…。


こういうやり取りは…凄く懐かしくて。


笑顔を返し、2人並んで俺の家へ向かった…。

No.46 08/11/19 21:35
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~33~
「アレ、何??」

俺の部屋に入って一言、昨日飲んだ酒の残骸を指差し、彼女は俺に問う。その目には迫力があった。

「…いっ…一週間分の…ゴミ……。」


俺の言葉に亜沙子は、無言でゴミを片付けていく…。
その後ろ姿…嘘なんてバレてるのは明らかだ。



「……いつから??病院はちゃんと通ってる?」

「…病院は行くのやめた。行ったって治らないじゃん?金かかるだけだしさぁ~。」

重苦しい空気、それを変える為…ふざけた口調で俺は言葉を返した。


「それでも!!…それでも……今より…元気だった…。」



俺に背を向けたままの亜沙子…。
詳しい事は書けないけど、色々と事情を知ってるコイツ。
…多分、最近俺が何も食べてないって……気付いてたんだと思う。



バーチャルじゃなくて、リアルな存在。

俺の元カノで……婚約者…アリ。

No.47 08/11/19 23:04
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~34~
地元に帰ったのは、結婚の準備をするため。

だから…また県外に出て行く。そして、そのまま…その土地で暮らす……。


「…もう……今みたいに…会えなくなるんだ…。」




俺の心境は、複雑だった。

No.48 08/11/19 23:05
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~35~
俺を心配する亜沙子、毎日みたいに呼び出されて…一緒に笑った……。

嫌がる俺を、無理やり病院に連れて行ったり。点滴されてる俺の隣りで、他愛ないこと言って笑わせてくれた…。


だけど帰り道、「またね。」と手を振る彼女を見る度…"もう会いたくない"って思ってしまって……。


そう…亜沙子の事……また好きになってたから…。



会いたくないって思うのは、彼女には好きな人がいて…その人と結婚の約束をしてて…ソイツの話題になると、幸せそうに笑うから。

それでも"会いたい"って思うのは、彼女が好きで…残り少ない時間、彼女の笑顔が見たいから…。


「直也といると、楽で良いや。」

笑う彼女の言葉が…痛かった……。

No.49 08/11/19 23:50
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~36~
その辛さを、キミに相談したりも…したね。
自分の事、誰かに相談するのは慣れてないから、変な感じがした…。


でも…相談されたキミの反応には、かなり…笑えた。
"笑えた"って表現は、2人のメールを知らない人にとっては、意味不明だと思う。

だけど、ここでメールの内容を書かないのは…なんとなく、誰にも話したくないって…思うから。


俺にとって
"誰にも話したくない大切な思い出"
だから……。

この思い出、今では1人だけの記憶になってる。
だって今頃、キミは俺の事を思い出したり……しないと思う…。


もう2度と伝えられないけど…あの時凄く心強かったし、話した事で…楽になった。
キミの言葉で、また笑えたから……。


だからもう1度、お礼が言いたいよ…。


『ありがとう。』


…って……無理なんだけどね。会う事は2度と無いって、分かってるから。

No.50 08/11/19 23:51
裏レンカ(旧レンカ) ( ♀ xNVK )

~37~
久しぶりに亜沙子が俺の家に来た日…最悪なタイミングで……恭子が現れた。

「何?その人。」

って恭子のセリフから、作者の都合上思いっきり省いて――



恭子は一旦、帰る事になった。

さすが亜沙子。…強いです。
…言うことが…他の人と違います……。


不機嫌なオーラ全開の亜沙子…。恭子との事は、話して無かったですから。


"言いたくない"って、思ってたから…。

そんな俺の心境は、彼女にも分かりきってる。
だから何も聞かず、無言でイライラと格闘してるんだ…。



「…あのさ……。」

「……」


返事はない…。つまり"続きを言え"って意味。

亜沙子の不器用な優しさを感じつつ…俺は恭子との関係、過去の付き合い…キミと出会ったサイトの事も含め、全部…話した……。

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