うるる🙆な毎日

ずいぶん寒くなりました。
この前、風邪で咳がひどくて救急外来受診しました。幸い主治医がいたので😿安心しました。
風邪なんて、たいしたことないと思ってたけど…やっぱり体力落ちてるんだなぁ。

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>> 1 発病を知るきっかけが、勤務していた会社の健康診断。2006年8月。血液検査の貧血で、『要精査』だから病院に行って詳しく調べて下さい。子宮筋腫があったので🏥総合病院の婦人科に行ったら『白血球が急激に減ってるんだね。血液内科に紹介状を送ったから、受診して下さい。』その日に血液内科を受診。何日か経って、仕事中に病院から電話で『検査があるので🏥病院に来て下さい』なんとなく…嫌な予感がした。金曜日、内科受診。『リウマチでもなく、膠原病でもありません。もう少し、込み入った検査をしなきゃいけません。胸骨から血を採取します。』処置室で、上半身、服脱いで仰向けで青い布をかぶせられて待ってる間、すごく不安だった。医師が『大丈夫ですよ😃抜歯するような感じだから』と言ってたなぁ。でも…いざ、始まると麻酔は痛いし、血を抜かれる時なんか…死ぬかと思った。人によって、痛み方は違うけど、私は😱怖がり屋の😨痛がり屋で😫小心者。30分安静後、会計を済ませて出社した。『顔色悪いけど大丈夫？』検査の話をしたら『なんか、やばいんじゃない？』『やっぱり？』そう…。それは私も、ずっと思ってた。

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夕方、病院から電話。
『月曜日、大事な話があります。ご家族の方といらして下さい。』
夜、🐶ポチと散歩しながら涙が出た。

月曜日(9/11)、内科受診。
『あなたは…急性骨髄性白血病です。すぐに入院して下さい』
覚悟していたけど、『今日は…無理です。会社の整理してないので…』
隣の夫を見たら、顔面蒼白だった。私は落ち込んでいられない気がした。
医師から『会社に提出する診断書の病名は、どうしますか❓』と聞かれて、咄嗟に『違う病名でお願いします。』と答えた。
入院の説明を聞いて、会社に行き、診断書を渡した。病名は、骨髄機能不全となっていた。
机の中を片付けている時、職場の人が『まさか、本田美奈子と同じ白血病じゃないよねぇ？』
彼の表情を見て、私を気遣っているのがわかった。
いつも一緒にいる友達とお茶を飲みながら、病名を告白した。

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>> 3 帰宅して、ボストンに『何を詰める？』と手が止まり、茫然とする。下を向くと涙が出そうだから上を向いた。
医師から渡された白血病の資料に目を通す。
『大量化学療法』の文字を見て不安だった。沢山の薬品を投入されるの？

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翌朝、病気の内科ロビーで病棟の看護師を待つ。
病室は、ナースステーションの斜め向かいの個室。
担当看護師の治療の流れの説明。
ずっと、他人事みたいだった。
自分の事なのに。
午後からＣＶを挿入。なんとなく実感。
病気の受け入れ。
１人の時間。

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>> 5 がん治療の薬品の色は…レモン色、オレンジ色、赤、インクの青、透明…。
朝、その色を見ただけで気分が落ちたりする。
最初の頃は、見舞いに来て下さる方も多い。体調不良でも、笑って対応する。
主治医から脱毛の話が出ていたので、髪のあるうちに…って思ってた。
いろいろな表情があった。
温室みたいな空気清浄器を見て😲戸惑う人。
来て良かったのかな？って顔。
みんな心配してくれて『早く復帰してね』って言ってくれる。
こんなに嬉しい事があるだろうか。
復帰を目指して、耐えてやる。そう思うけど、吐き気に耐えられずナースコール。
注射の痛みで涙が出て、グチも言ってしまった。注射を打っている看護師さんを見たら、彼女も泣いていた。
注射を打つ側も、辛いよねぇ。
彼女の優しさを思うとさらに、泣けてしまった。

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>> 6 脱毛が始まった。
髪が長かったので、病院内の理髪店に出張依頼して髪をカットしてもらった。
カットしている途中で具合が悪くなってしまった。
理容師は迷惑そうな感じで電話していた。
少し悲しくなった。

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>> 7 急性骨髄性白血病の治療は、
点滴で薬品を一定期間(私の場合 長くても１週間/24h)投入。
その後、白血球、血小板、赤血球の順で減少する。
状態によって 輸血。
徐々に数値が上がり、だいたい、１ｸｰﾙ/1ヶ月。
治療が終了後、骨髄穿刺(ﾏﾙｸ)が実施、経過確認される。
２度目の治療終了後、完全寛解(病状が落ち着いた状態)になった、と言われた。

3ヶ月経ち、冬至の日、骨髄移植の説明があった。

―『冬至』
陰陽五行説において「陰極まって陽に転ずる」時とされ この日を 境に太陽の力が少しずつ回復していく、おめでたい日とされている。
長い不幸が去って一条の希望の光が見えてくることを「一陽来復」
これはまさに冬至の事を言う。―
階下の売店で購入した雑誌に『冬至』について書かれていた言葉である。
それを読んで…私は
希望をもらった気がした。

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>> 8 新しい年になり、世間は楽しい雰囲気に包まれている。
…娘の成人式を見たい…と話したら５日の入院が８日に延びた。
嬉しかった。
これから この子にどんな未来が訪れるのだろうか？
その笑顔は明るくて、見ている私も笑っていた。
よく言われているが、笑えば、免疫力アップするから…笑う。
本当だろうか？
私は、無理してまで笑えない。

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>> 9 入院生活に備えて、ヒマ対策グッズを購入した。
ポータブルTV/DVD
ﾆﾝﾃﾝﾄﾞｰDS
あとは…ずっと忙しくて できなかった編物の毛糸。
毛糸の在庫は たくさんあったので、とりあえず黄色から始めよう。
入院生活は、ある意味で とても贅沢だと思う。
今まで、ずっと時間に追われて過ごしてきた。
朝起きて、ご飯の支度→お弁当作って→洗濯して→会社。
帰宅→夕飯の支度、食事→ポチの散歩→後始末→お風呂→就寝。
自分の時間なんて、ほとんどなかった。
入院生活は、自分だけの時間がたっぷり…というか…全て自分のための時間。

病気は…自分で治せる訳ないし、入院するのは仕方ない。

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>> 10 2007年1月8日 再入院。
今、思い出すと辛い時だった。
妹とHLAの型が合ったことを主治医から告げられる。妹夫婦と共に移植の説明を受けた。
妹夫婦の質問は、後遺症の有無と入院に関わる経済的な事だった。
やりとりを聞いているうちに、具合が悪くなり席を外した。

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>> 11 立場が逆だったら…私はどうだったんだろう？
妹にも家族があり、生活があり…いくら後遺症がないとは言うけど…100% 無い と名言できない。
それに、妹は体重が40㎏前後で虚弱体質で…無理だと思った。

翌日、会社の人事から電話で『2月いっぱいで契約満了となります。』
復帰を目指していただけにショックだった。
ＣＶ挿入側の肩こりやら、頭痛、発熱。
感染したらしく、カテーテルを抜いた。
血管が細くて、点滴が入りにくい。

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>> 12 夫が退社に関する書類を病室に持って来てくれた。
夜になって、睡眠導入剤を飲んだにもかかわらず…眠れず…先が見えない治療を思うと…泣いた。

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>> 13 書類に記入して、窓の外を眺めた。
病院の脇に川が流れていて、河川敷公園、遊歩道が整備されている。
ふと、いい香りに気づいた。
自宅から持って来てもらったｼﾝﾋﾞｼﾞｭｰﾑ だった。
薬品の匂いしかしない無機質な病室に。
自宅にいる時には気づかなかった。
元気をもらった気がした。

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>> 14 再び、ＣＶ挿入した。
この治療が終われば、退院と言われて嬉しかった。
でも…いざ治療が始まると具合が悪い。
点滴の他に注射があった。
その後、2週間位、食べる事ができず…夢の中に…周りの亡くなった身内の人達が次々に現れて励ましてくれた。
今も思い出すと不思議な位、表情を覚えている。
そんな中、主治医がインフルエンザで倒れてしまい、副主治医も腰痛で動けず…。
話した事のない内科医が回診にきた。

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>> 15 腰痛の主治医は指導医師で…インフルエンザの主治医は研修医。
やっと、食べられるようになった頃、主治医が回診に来てくれました。
腰痛だけど…私の様子が気になったようで…やっと歩いて。
食べる事ができた事を伝えたら、安心したようでした。
ありがたいなぁ。
なんだか、嬉しくて涙が出ました。
その後、インフルエンザの主治医も復帰して、私も一安心。
それからは、貧血も回復…退院が近くなったのを感じた。
体調のいい日は、パズル、編物、ゲームを楽しんだ。
部屋の外に出てもいいと言われた。
病棟の掲示板の携帯OKのチラシに『重症個室』を見つけて、
重症？。
鏡の中の自分に『あなた、誰？』
自分を離れて見ている自分もいた。
でも…点滴スタンドといつも一緒にいる自分。
たぶん、ここら辺から気持ちに余裕が出て、看護師さん達とも冗談を言って笑っていた。

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>> 16 教授回診で『(移植は)大丈夫ですよ。』と微笑みながら、教授から言われた。

翌日、主治医に『移植をしない』と伝えた。
早く退院したかった。

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>> 17 主治医は、『それでいいの？再発したら、今までの治療を初めからしなきゃいけないよ？』彼女の顔が曇った。
研修医の彼女は、３月いっぱいで大学病院に帰る。
私のいる総合病院は…骨髄移植はできず、移植は大学病院になる。
だから、彼女は『(移植で)大学病院に行っても 私がいるよ。』
と私を励ましてくれていた。

だけど…実親からも、妹の家族からも…拒否されている。
もし、移植後に何かが起きてしまったら…？と思うとできない。

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>> 18 嫌な骨髄穿刺(ﾏﾙｸ)も終わり、ベッドの上で30分安静にしている時、涙が出ていた。

退院だ！

毎日、ギフト・カタログを眺めて 快気祝いをどれにするか？
贈る人達の顔を想い浮かべながら…。
庭の花の世話の事とか…。
今、何が食べたい？とか…楽しくて仕方がなかった。

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>> 19 主治医から…今後の治療方針の説明があった。
移植をしないと言った時点で 先の事を聞かなきゃいけないと思っていたけど…怖かった。
主治医：これから維持強化療法に入り、１ヶ月おきに入院して治療となります。５ｸｰﾙかな？
ショックだった。
え～！また １０ヶ月？
でも…仕方ない。
自分のため。
やっぱり、生きていたいから…。

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>> 20 2007年3月24日
退院。
嬉しかった。
自宅に着いたら、花も咲いて歓迎しているようだった。
ｼﾝﾋﾞｼﾞｭｰﾑﾞ､ﾃﾞﾝﾄﾞﾛﾋﾞｭｰﾑ ､雪割草、福寿草…
愛犬のポチも、愛猫のペルも、白玉も久しぶりの私の匂いを確かめたりして…。
やぁ、病院の匂いがするでしょ？
やっと帰った実感がした。

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>> 21 快気祝いを会社に渡しに行った。
久しぶりにみんなの顔を見られて、嬉しかった。
上司から…『もし、復帰できそうだったら、電話下さいね。』と言われて嬉しかった。
ところが、体力がなくて帰宅するとぐったりして、身を起こしていられなかった。
私がいた頃は

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>> 22 🐶ポチも元気だった。
私がいなくなり、生活のリズムが狂ったのか…ポチの体調が悪い。

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>> 23 スノードロップが終わり、エビネの芽が昨日より大きさを増して春を実感する。
今までは…毎年 同じ花で飽きた感じがあったけど、これからは たぶん…あぁ、今年もこの花を見られて幸せ…って思うんだろうなぁ。
春といっても、夜は寒い。
髪がなくて寒いので、帽子をかぶって寝ていた。
朝、妙に頭が暖かくて目が覚めた。
驚いた事に、ペルがお腹で頭を温めていた。帽子は近くに脱いだみたい…。
なんだか…嬉しくて、少しうるうるした。
家族に話したら、みんなビックリ！
そうだよね。猫の恩返し？なんて…。
なんとなく、4月末に入院するというのがあって、落ち着かない自分がいる。
こんなに元気(気持ちは)なのに。入院、嫌だなぁ。

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>> 24 穏やかな日、ポチと短い散歩に出かけた。
呼吸が苦しそうで…『帰ろうか？』と声をかけたら、すぐに家の方へ私より先に歩く。
よほど、辛かったんだと思う。
そんな事、一度も今までなかった。

1ヶ月近い休みが終わって再入院。

入院して ２日目の朝『ポチの様子がおかしい』と電話があり…夕方『亡くなった』と聞いた時、涙があふれた。
頬に『がん』があったという。だから、呼吸が辛かったんだね。
苦しかったね。
ポチといた時間は、楽しかった。
心から感謝します。
ありがとう ポチ。

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>> 25 ポチと出会ったのは、10年前位だったかなぁ。
自宅のすぐ近くにある自動販売機でコーヒーを買っている時、後方から強い視線を感じて振り返ったら…痩せて やつれて 疲れた犬ががいた。
可哀想で、思わず『一緒に来るかい？』って声をかけたら…ついて来た。
それから、ずっと一緒だったのに…。
私は病院で何もしてやれない。

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>> 26 この頃は、見舞いの客人も少なく寂しかったと思う。
時々、会社の人からメールがあって嬉しかったなぁ。
夜になれば、暗い病室で絶望的な気分で泣いた。

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>> 27 再入院は、奇数月。
入院してる時は、いつも大相撲が放送されていた。
大相撲が、こんなに頻繁に開催されていたなんて…初めて知った。

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>> 28 ７月の再入院。
治療終了後に外泊許可が出た。
やっぱり…🏠家はいいなぁ。しみじみ、そう思う。
病室に帰って来たら、主治医が心配して採血→結果を確認して帰ったようです。
腰痛の時も回診に来て頂き、私の『今』があるのも先生のおかげだと思います。

窓の外を観ると病院の脇を流れている川が大氾濫。
川の幅が、3倍位に！
翌朝には、だいぶ水量が引いていた。
雨の日は、身体もだるいので１日中 降る雨をずっと見ていた。

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>> 29 ７月末に退院して８月は、治療休み。
暑かった。
夏の暑さを忘れていた。少し歩いて、海を見に行った。
潮風が心地よく、身体をすり抜けていく。
帰り道、子供達が遊んでいた。
夏休みだね。その元気を少し分けて欲しいな。
お盆の準備万端。
夏祭りの花火が、打ち上げられて…秋を感じた。
グロリオサが、次々に咲き アブチロンと競い合っていた。
休みは、短い。
再入院が近づいていた。

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>> 30 ９月 再入院の早朝、主治医から電話があった。
『今日の入院ですが、強い台風が近づいているので、延期して月曜日に入院しましょう。』
嬉しくて…その日は、ぶとう園に出かけた。
９月１１日 再入院。昨年、私は…この日に告知された。
ＣＶ挿入する際、３人の研修生が見学していた。
主治医は、解説しながら施術したので、時間が長かった。
確かに研修生の育成も大事だが、患者には苦痛でしかない。
私の心が狭いのだろうか…。
治療が始まった。
白血球の値が下がって、感染すると発熱。
熱が38度を超えると何時だろうが採血され、抗生剤の点滴が追加される。
そして、血小板の輸血。場合によって、赤血球も。
輸血をされる度に、『輸血して頂いてありがとうございます』と感謝する。
私は、あなたのおかげで生きていられるんです。

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>> 31 カテーテルを外さないで帰れないのか？
聞いてみたら、週1回に消毒しに通院する事で大丈夫と言われた。
退院が近づいていた。
ﾏﾙｸは、主治医が多忙の為 他の医師が行なった。
夕方の回診の際、ﾏﾙｸの事を聞かれ『緊張しちゃって…』
主治医は苦笑していたが、それ以降 他の医師の事はなかった。
心遣いが嬉しかった。看護師さん達の事情もわかったり、辛い治療をなんとか 乗り越えられた。
１日おきに 顔を見せてくれる夫。
私は周りの人に支えられている。
治ったら…恩返ししたいなぁ。

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>> 32 2007年10月12日 退院。
毎日 花を見て暮らせる事がこんなに幸せだったなんて思った事がなかった。
でも カテーテルの挿入部分が テープかぶれで 皮膚がただれて救急外来に駆け込む事が何度か、あった。
外来の消毒時、主治医が『(かぶれが)辛そうだねぇ。早めに入院してみようか？』
帰宅するとシュウメイギクが 風に吹かれて揺れていた。

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>> 33 11月 再入院。
４人部屋だった。
挨拶したら 以前 会社で一緒に仕事した人がいた。
私に全然 気づかなかったらしい。声をかけたらビックリしていた。
彼女から、京鹿の子とくちべに紫蘭を頂いた事があり、久しぶりに花の話ができて楽しかった。
翌朝、抗がん剤治療が始まる。
身体が だるくて吐き気がひどかった。
相部屋は、話し相手がいて楽しい反面、みんなが楽しい食事中 食べられず、吐き気を耐えるのが辛かった。
ベッドで 丸くなっていたら、挨拶と共にカーテンが開いた。
研修医だった主治医が大学病院から 面会に来てくれました。
『辛くなってきた？だって、いつものかたつむりスタイルだねぇ』
嬉しかった。話しながら…目が潤んだ。
翌日の昼過ぎ、個室に移った。

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>> 34 個室に移った…ﾄﾞﾗｲ ﾗﾍﾞﾝﾀﾞｰをヒーターの上にのせた。
部屋にﾗﾍﾞﾝﾀﾞｰの香りが広がった。
ｸﾛｽﾜｰﾄﾞ ﾅﾝﾌﾟﾚ ﾄﾞﾗｸｴ 4 編物 DVD 1日の時間つぶしメニュー。
個室では…いろんな周りの音が聞こえてくる。
急ぐ足音、鳴き声、説明、電気ショックの振動の音、ｽﾄﾚｯﾁｬｰの音…ポンプの警告音。
その度に…私の最期を考えてしまう。
いつも そう。
この頃、治療に疲れて気分が落ち込む事が多かった。

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>> 35 治療の説明があり
『残りの抗がん剤治療は ２回あります。治療は、1～2月で続けて行いますか？』
同意した。
ついに、『終わり』という言葉が…！
嬉しかった。

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>> 36 12月の初めに退院。
帰宅すると家事をしなきゃいけない。
仕事していた頃は、毎日 嫌だなぁって思っていた。
だけど それが楽しいと感じる。
食べたいものを作って食べられる…こんな当たり前の事が幸せなんだと病気して 初めて知った。
自由って…幸せだ。

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>> 37 入院中、病室に鉢植えを置けるか？
主治医に聞いたら…少し間をおいて許可がでた。

夫が黄色いプリムラを買ってきてくれた。
そのおかげで、水をあげたり、陽に当てたり…少し 気が紛れた。
鉢植えを置くと「根が張る」から病院から離れられない…なんて言われるけど、私は病院から見放されたら困っちゃう。

あと少し。その言葉を繰り返し自分に言い聞かせた。

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>> 38 2007年が終わって、2008年になった。
今年は…治療が終わる。
1月17日 再入院。
趣味の園芸と花のカタログを持って来てもらった。
治療は、きつい。
それでも耐える。
花のカタログを見て、花好きな看護師さんといろいろ話して楽しい。
彼女は押し花のｲﾝｽﾄﾗｸﾀｰらしく、教本を持って来てくれた。
彼女: ﾌﾗﾝﾈﾙﾌﾗﾜｰがいいね。
私: それじゃ、苗を注文して 咲いたら病院に持って来るね。
退院したら、押し花を習ってみようかな？

退院の先は…楽しい事がたくさんある。

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>> 39 ゲームも行き詰まり、編物も飽きた。
パズルも解く気にならない。
ずっと、空の雲の流れを見たり、夕方はカラスの数を数えた。
そんなある日、看護師さんが…韓流ドラマのDVDを持って来てくれた。
『ごめん 愛してる』
何枚もある。
内心、うわぁ！全部見れるかぁ？
翌日から、韓流ドラマどっぷりが始まる。

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>> 40 見始めの頃は…『ワザとらしい…あり得ない展開だ、え～？』なんて、独り言を言ってしまう。
それを見られて、笑われる。
韓流ドラマが苦手だと思っていたけど、1日で6時間 見っぱなし！
ヒマって…すごい。
さすがに、見終わった後はドラマのお母さんの声が離れなくて。
ドラマの結末に納得いかない、キレイすぎると笑いながらお礼を言ってDVDを返した。
なんだかんだ言ったけど、面白かった。
もっと、持ってこようか？と聞かれ、丁重にお断りした。
本当にありがとう。

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>> 41 そういえば…その韓流ドラマの主人公の女の子が、可愛い手編みのセーターを着こなしていて、思わずパターンをメモしたりしました。
そんな事をしているうちに、また嫌な骨髄穿刺が迫っていた。
検査の前夜は…怖くて眠れず。
何度やっても…嫌な検査。慣れるなんて とんでもない。
回を重ねると嫌な記憶も しっかり刻まれて…。
当日、朝 窓の外は雪が降り積もって一面、真っ白だった。
この検査をしないと帰れない…耐えなきゃ。自分に言い聞かせた。

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>> 42 時間が長く感じる。
検査は短時間だけど、『検査します』と言われた時から…始まると思う。
備品を積んだワゴンの音が…ドアに近づいてノック。
『大丈夫。大丈夫。
私は大丈夫だよ。』
検査は、終わった。
ﾍﾞｯﾄﾞの上で30分安静 、放心状態。
今回も無事に治療を終えた事に感謝。
自然に 涙が出た。
起き上がり 病衣を着てﾍﾞｯﾄﾞを降り、外を見た。
朝の雪は、雨に変わっていた。やさしい雨だった。
午後から、教授回診。
「落ち着いた状態ですね。でも…次は大学病院に…。大丈夫ですよ。」
つい「次ですか…」と言ってしまった。
検査をやっと乗り越えたのに…。

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>> 43 翌日の回診で、主治医が教授の言葉の説明をしてくれた。
「次というのは…再発した時の話です。大学病院には、2種類の薬(治療法)があるので…そちらの病院へ」
再発と聞いて、気分が落ちそうになったけど…少し じっと考える。事実を受け入れないと次には進めない。
外泊許可が出て、最後の治療の前に久しぶりに帰宅した。
スノードロップが咲き、福寿草も雪割草も蕾が見えている。
あと少しで、帰って来るよ。

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>> 44 最後の治療が 始まる。
夜、睡眠導入剤を飲んだのに眠れない。叫び声が聞こえる。
ずっと「看護師さ～ん」って呼んでいる。
部屋に点滴チェックしに来た看護師さんに
「ずっと呼ばれてるねぇ」と言ったら
「そのうち、静かになるよ。薬が効くから…他の患者さんから苦情が出てるのよ」
確かに30分位で静けさが戻ってきた。

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>> 45 病室から見える川に、白鳥が4羽いた。
こんな所にも、白鳥がいるなんて…少し驚いた。
治療の点滴が終わって、あまりの嬉しさに涙が出てしまい、看護師さんから「良かったねぇ」と言われ 泣いて笑った。
これから、血液が減少して辛いんだろうけど…なんとか乗り越える。

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>> 46 外泊の許可が出て、帰宅した。
ﾅｰｽｽﾃｰｼｮﾝに「行って来ます～」と声をかけたら…看護師さん、私の足元を見て「ｽﾘｯﾊﾟで？」
帰宅するとｷｯﾁﾝが、暗くて乱雑に感じ、片付けた。
ｼｸﾗﾒﾝに水をやった。
廊下に置いている蘭も寒さに耐えて、開花の準備をしている。
帰って来たら…次々に開花すると思うと少しｳｷｳｷしてきた。

病室の棚の中に、ﾁｮｺﾚｰﾄとﾌﾟﾁ煎餅と柑橘類を 常備していた。
吐き気で食べれない時は、オレンジ。
小腹が空いた時のﾌﾟﾁ煎餅。
まったりしたい時のﾁｮｺﾚｰﾄ。
そんな訳で…太ってしまった。これから感染の心配があるので、病室だけの生活。
ｽﾄﾚｯﾁをしたらいいんだろうけど…左腕を上げられない…以前、左側のＣＶが感染した後遺症なのか？
手足の指先も相変わらず、しびれて痛い。
強い薬だったんだろうな…。でも、まだ生きている。
『大丈夫だよ。』
自分に言い聞かせる。

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>> 47 副作用が出始めて、起きているより 眠っていた方が楽だった。
そんなある日、ポチの夢を見て 思い出すと悲しくて号泣。
ちょうど、午後の検温で入室した担当看護師が ビックリして「具合悪いの？」

同じ日に「東京タワー」が最終回。
感動して泣いている時に ノックの音が…
主治医の回診だった。検査結果と退院の話を ひととおりした後、
「目薬、差しました？」
翌日、看護師さん達から「女優」と言われ苦笑するしかなかった。
涙腺が緩くなったなぁ。

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>> 48 気分転換に持って来た花のカタログ。
いざ、注文しようとピックアップしたら すごい金額！
毎日、どれを削るか？それを考えていると時間が早い。
寄せ植えの組み合わせ、レイアウトも考えてスケッチする。
書かないとすぐ忘れてしまうこの頃。日増しに回復に向かっている。
回診で今回の骨髄穿刺は 無いと言われ、有頂天！私の喜ぶ様子に、主治医の驚いた顔。
何を言われたって怒らず笑ったりした。
おかしいくらい。

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>> 49 血液検査の数値が上がらず、退院が延びていた。
早く帰りたい気持ちはあったけど…家事全般が待ってる。
焦りはなかった。
窓の外を見渡すと白鳥の姿がない。
春が来た。

人間の『背負い水』という講演の放送があり、ぼんやり聞いていた。
ドラえもんの大山のぶよさんの講演だった。
人間は、皆一生に使用分の水を背負って生まれてくる。一生分の水を使ってしまうと、そこで…人生に終止符を打つらしい。

ふぅーん。
それなら私は…早く使っちゃったのかも知れないなぁ。

• << 51 2008年3月14日 退院。 ﾅｰｽｽﾃｰｼｮﾝでお礼を言ってｴﾚﾍﾞｰﾀｰの近くに来たら…処置中の看護師さん達が追いかけて来た。 背後で「うるるさんが行っちゃうよ～。」と聞こえた。 振り返ったら、入院した頃に新人だった看護師さん。 『4月から別の病院に移ります。』 いろいろな場面が思い出され、気がつけば2人で涙していた。 お礼を言って、お互い励ましあった。 帰宅して、ふと思った。 妙に『行っちゃうよ～。』が心に残って…自分が逝く時にそれが繰り返されそうな…なのかなぁ…。 今も…時々 そう思う。

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