゚:。+居候+。:゚

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自由人
06/08/26 06:05(更新日時)

~あらすじ~
穏やかで優しく、ちょっと天然な女子高生、日向 萌葱。
ひょんな事から、他人の家に居候する事になった。ちょっと問題が有るあの家に…

こんにちは☆夜宵と申しますm(_ _)m
一回挫折しちゃった事があるので…今回は頑張ります♪
皆さんよろしくお願いします(*≧∀≦)ノ゚:。+

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No.152831 06/08/10 10:49(スレ作成日時)

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No.1 06/08/10 12:54
自由人0 

~第1話~
ザーッザーッ…
「うわぁ…凄い雨…。」学校の帰り。
萌葱(モエギ)は仕方なく雨の中を走って行った。
「うぇ~…びしょびしょだよぉ…。」
信号待ち。萌葱はさっと店の屋根に隠れた。
「困ったなぁ…。帰れないよ…。」
雨は、ますます酷くなって来る。


どうにか駅までは着いたが、ここで更に問題発生。

「電車…?事故…?」

なんと、電車が雨のせいで転倒する事故が起こった。
幸い、次の駅に停まる所だったので速度は落ちていて勢いよく滑らず、死者はいなかった。

でも、今の萌葱にはそんな事関係無かった。
「どうしよ…もう19時だよ…。」
時計を見て焦る。門限が近づいて来ている。
「お母さんに電話しとかなきゃ…。」
だが、こんな時に限って携帯の電池が切れた。

―いやぁぁー!!―

とことんツいてない萌葱。
だが、ここで萌葱はとんでもない事を思いついた。


「そうだ!誰かに電話を借りよう!!」


そう言って、萌葱は駅の近くの家を探しに行くのだった…。

No.2 06/08/10 13:34
自由人0 

~第2話~
萌葱は人が居そうな家を探した。
「あっ…あそこ!」
萌葱が見つけたのは、立派な一軒家。
「電気もついてるし…行ってみよ!」

ピンポーンッ

チャイムを押すと、中から男の人が出て来た。
「何でしょうか?」
萌葱は低い声に包まれた。
その直後、萌葱のカン高い声が突き抜けた。
「あのっ電話を貸してくれませんかっ!?」
「はっ…??」
男の人は、明らかに不思議そうな目で萌葱を見ていた。
だが、萌葱はそんなの全然気にしてない。
「あっじゃあお邪魔します!!電話電話~」
「ちょっちょっと…」萌葱は空気の読めないオバサンのように、図々しく家の中に入った。
そして、早々に電話を見つけ家にかけた。
「もしもし~?お母さん?あのね~今日雨で電車が事故っちゃって帰れなくなっちゃった~えっ?うん。わかった~じゃあね~。」
萌葱はさっと電話をし終えた。
「あの~終わりましたでしょうか…?」
「あっはい!ありがとうございました!本当助かりました!」

萌葱は、満面の笑みを浮かべていた。

No.3 06/08/10 15:03
自由人0 

~第3話~
「あれ~?誰??」
二階から、誰か下りてきた。萌葱は、すかさず挨拶。
(ヒュウガ)
「日向 萌葱です!えっと電話を借りに来たんです!」
「は…はぁ…。」
ちょっと引き気味。

「あの…日向さん。びしょ濡れだけど大丈夫?」
「え…?あっちょっと凄い雨に降られちゃって…。」
「あっ…じゃあとりあえずこっち来て。」
「あっはい!」
私はリビングのソファに座らせてもらった。
「タオル持って来るから待ってて。」
「ありがとうございますっ」



「ねぇ。何でわざわざうちに来たのー?」
「えっ?」
階段を下りて来た人がふと聞いてきた。
「あっなんとなくです!電気点いてたし、ここで良いやって感じ!」
「なんとなく…?」
「はい!!」

「あははっ面白いねっ!君!」
「え…?」
「萌葱ちゃんだっけ?最高っ!!」
「え…な…何で…?」
「なんとなく!それじゃあね!萌ちゃんっ」

馴れ馴れしい人だ。

だが萌葱は嫌な顔一つせず、「変わった人もいるんだなぁ」と思いながら部屋を見回していた。

No.4 06/08/10 16:04
自由人0 

~第4話~
「日向さん。はい、タオル。」
「ありがとうございます!」
ほんのり温かいタオルは、雨で濡れて下がっていた萌葱の体温を上げた。

「あ、由宇の事は気にしないでね。」
「由宇?」
「あっさっきの奴。由宇って言うんだ。俺の弟。」
「あー由宇さんて言うんですかっ」
「うん。ちなみに俺は竜宇(リュウ)。もう一人の弟は琉宇(ルウ)。」
「えっ三兄弟なんですか?」
「そうそう。」
萌葱と竜宇は喋りこんでいた。


「うるさ…。寝れねーんだけど。」

二人の前には、茶髪でいかにも悪そうな奴が立っていた。
多分、琉宇だ。
「…誰?こいつ。竜宇の彼女?」
「いやっ違います!」
萌葱はまたもやカン高い声で叫んだ。
「竜宇さんに電話を貸してもらっただけです!あっじゃあそろそろ帰りますね!お邪魔しましたっ!」
萌葱は一人で話を片づけ、玄関まで走っていった。
「ちょっ…日向さん?」萌葱はバンッとドアを開けた。
「うわっ寒っ!」
外は台風並。


―どうしよ…帰れないかもだよ…。―

No.5 06/08/10 18:07
自由人0 

~第5話~
―ど…どうしよ…―戸惑う萌葱に、琉宇は追い討ちをかけた。
「あーそう言えばテレビで言ってたなぁ。台風が近付いて来てるってー。」
「えっ…そうなんですか!?」
「お前、帰る途中で風でどっか知らない場所に飛んでっちゃったりしてー。」
竜宇は、琉宇の言ったデタラメに呆れた。
「何言ってんだよ。風で飛ばされるって…小学生騙してるんじゃないんだから…」
だが、萌葱は真面目にこう言った。
「えー――!?そんな強い風吹いてるんですか!?どうしよ…もしかしたら電車も転倒しちゃうくらいなんじゃ…。」
「え…?」
「うわっ竜宇!コイツ本当に信じたじゃん!ウケる!」
琉宇は完全に萌葱をからかっている。
「日向さん…?本気で言ってんの…?」
竜宇も、驚きを隠しきれない。
「はい!」
萌葱の目は本気だった。
そして、萌葱はあるお願いをした。
「あのっ竜宇さん!お願いです!今日だけ私を泊めてくれませんか!?」
「こ…ここに?」
「はいっ!お願いします!」
萌葱は深々とお辞儀をした。
竜宇は少し迷っていたが、こう言ってくれた。
「わかった。もう時間も遅いし、今日は泊まっていきな。」
「ありがとうございます!」
萌葱は、人の温かみを感じた。

No.6 06/08/10 21:16
自由人0 

>> 5 ~第6話~
だが、その温かさを一気に冷ます奴がここに一人。
「はぁっ!?竜宇一人で決めんなよ!!ここは俺の家でもあるんだからな!?」
琉宇はかなり自己中心的な奴。
それに比べ、竜宇は優しくて大人っぽい。
「えー?じゃあ琉宇ちゃんはこんな可愛い子を追い出しちゃうのかあ。」
「はぁっ!?可愛いって…誰が…」
琉宇は言いかけて、萌葱の方をチラッと見た。
「…。」
「な…何ですか…?」

琉宇は数秒間萌葱を見つめ、また竜宇に視線を戻した。
「…許す。」
「わぁー琉宇ちゃん物分かり良ーい。」
「うざ…その喋り…。」琉宇は、顔が赤くなったのを隠すようにさっさと家の中に入っていった。
「琉宇ちゃんも素直じゃ無いなぁ。」

だが、こんな状況でも萌葱は純粋。

「琉宇さんも優しいなぁ…。」

No.7 06/08/11 10:03
自由人0 

~第7話~
今日一日泊まる事になった萌葱。竜宇により一階の寝室に案内された。
「じゃ、ごゆっくり。お風呂は…今入る?」
「え…?」
「良いよ、入って来な。まだ誰も入って無いから。」
「あっ…ありがとうございますっ」
「気にしないで。」
竜宇はフッと笑って部屋を後にした。

「お風呂か…今のうちに入って来ちゃお。」
萌葱は鞄の中に入っていたジャージを引っ張り出した。
「学校の奴だけど仕方ないか…着替え無いし。」
萌葱はブツブツ言いながらお風呂場へ向かった。


脱衣所には、バスタオルが置かれていた。
「あー竜宇さんが置いといてくれたんだぁっ。」
萌葱、また感動。

そしてバッと制服を脱いでお風呂場に入った。



「あぁー気持ち良い~。」

萌葱はお風呂で足をバタバタさせて、至福のときを過ごしていた。

No.8 06/08/11 21:42
自由人0 

~第8話~
そして萌葱はジャージに着て、脱衣所を出ようとした。
その時、誰かが入って来た。
「由宇さんっ!」
「あれ…?萌ちゃん!?どしたの?」

萌葱が話そうとした瞬間、琉宇が現れた。
「今日一日此処に泊まるんだと。」
「え~なんだぁ一日だけ~?萌ちゃんならずっと此処に居ても良いのに~。」
由宇の言葉に、琉宇は焦った。
「ふざけんなっ絶対お断り!」
「も~酷いなぁ琉宇はぁ。」
由宇はわざと怒らせる口調で言った。
「竜宇も由宇もムカつくなぁ!」
琉宇は完全に怒った。萌葱は、そんな事でさえも温かい目で見ていた。
「喧嘩する程、仲が良いって言うもんなぁ…。」
萌葱は、一人で勝手に納得をしていた。

No.9 06/08/12 02:50
自由人0 

~第9話~
「皆さん、お世話になりました!」
翌日、萌葱は家に帰ろうとしていた。
「まだ泊まって欲しかったなぁ~萌ちゃぁん。」
由宇がこんな冗談を言う。
「何にもお構い出来なくてゴメンね。日向さん。」
さすが長男。大人っぽい挨拶をする竜宇。
「あっその前に、また電話を貸してもらって良いですか?親に電話するんで…。」
萌葱が『親』と口にした時、一瞬みんなの顔が寂しそうになった。
だが、萌葱はあえてそれを指摘しなかった。いや、単純に気づいてなかっただけかもしれないが。


トゥルルルル…

電話の音が妙に心地良い。

ガチャッ
「はい。日向です。」
母が電話に出た。
「あっお母さん?私!」
萌葱が言った瞬間、母一言。
「もう帰って来んな。」

ガチャッ!
ツーツーッ

「…?」

漫画で表現すると、今は萌葱の頭の上に『?マーク』が沢山浮かんでいる状態。


「お…お母さん…?」

No.10 06/08/12 10:19
自由人0 

~第10話~
ガチャンッ!!
萌葱は受話器を床に落とした。

「日向さん…?」
「萌ちゃん?どうしたの?」

「あの…お母さんが、もう帰って来るなって…。」
「…。」
四人の間には、沈黙が走った。
その沈黙を破ったのは、琉宇だった。
「じゃあお前母親に見捨てられたって事!?」琉宇は言葉を選ばない。
だが、萌葱も負けちゃいない。
「あのっお願いがあります!私を暫くの間此処に居候させて下さい!!」
「えっ…!?」
この言葉には、さすがに竜宇も了解出来ない。
「日向さんっそれは出来ないよ…。ちゃんと両親と話した方が良いよ!」

ここで萌葱はある事を思い出した。
「でも由宇さんは言いましたよね?ずっと居ても良い的な事。」
それを聞いた瞬間、竜宇は由宇を問い詰めた。
「お前そんな事言ったのかよっ!?」
「あぁ…確かに言ったねぇ…。」
由宇は、とぼけようにもとぼけられなかった。萌葱がキラキラした目で由宇を見ていたからだ。

「ね?竜宇さん?迷惑かけないので、お願いします!!」

No.11 06/08/12 11:13
自由人0 

~第11話~
その時、またこの男が叫んだ。
「何言ってんだよお前!なぁ竜宇!居候なんてさせねぇよなあ!?」琉宇。またコイツだ。由宇は、その言葉を遮るように言った。
「でもさ~迷惑かけないって本人言ってんだから良いじゃん?竜宇ちゃんはどう思うの~?」
竜宇は暫く黙り込んでから、冷静にこう言った。
「日向さん。もし親が帰って来いって言ったら、すぐに帰る?」
「はい!」
「絶対に?」
「はい!ちゃんと帰ります!迷惑も絶対かけません!!」
「……わかった。日向さん、うちに居候する事を許可しよう。」
萌葱は、深く頭を下げた。
「ありがとうございます!!」
だが、琉宇はまだ納得していない。
「絶対無理!何が悲しくて女と一緒に生活しなくちゃいけないんだよ!!」
その言葉には、さすがに萌葱も怒った。
「何でそんな事言うんですかっ!?女の子を下に見るような言い方しないでくださいっ!!」
琉宇は言い返されて少し動揺しているようだったが、冷静を装った。
「やっぱ女は嫌いだ。」琉宇はそう呟いて二階へ言ってしまった。

―何なんだろ…。琉宇さん…。―

No.12 06/08/12 12:55
自由人0 

~第12話~
何はともあれ、これから居候する事になった萌葱。
取り合えず、着替えなどを取りに行く為一旦家に戻った。
今日は土曜日。母は買い物に行き、父は仕事に行っていて丁度留守だ。
「よーし、今のうち。」萌葱はささっと服を鞄に詰め込んで、アパートの階段をガンガン下りていった。
「よしっ!戻ろっ!」
萌葱が家を後にする途中、後ろから声がした。
「へーぇ。萌ってこんな所に住んでんだぁ。」
萌葱は慌てて振り返った。
「なっ…るっ琉宇さんっ!?何で此処に居るんですか!?」
「後つけて来た。」
「はぁ…?」
萌葱は、驚いてそれ以上声が出なかった。
「あ、そうだ。」
「な…何ですか…?」
萌葱が言いかけた時、いきなり琉宇が萌葱の頭を撫で、髪をクシャクシャにした。
「っ…琉宇さん!?」
「さっきの、言い過ぎた。」

―え…?―

琉宇は、一言そう言って前をドンドン歩いて行く。
「琉宇さんっ…待ってぇっ!!」

萌葱は、また人の優しさを感じた。

No.13 06/08/12 15:06
自由人0 

~第13話~
「琉宇さんっ!待ってよっ…!」
萌葱は重い荷物を持っている為、走る事が出来ない。
「萌トロいーっ。」
20メートルくらい前に居る琉宇がからかう。
―持ってくれたって良いのにぃ…。―
萌葱が心の中で文句を言う。
「ほらぁ。遅いぞ萌ーっ。」
「琉宇さん持ってよーっ!」
「いーやーだーっ!」
琉宇は挑発的な態度をとっている。

それが何故か、萌葱にとっては凄く楽しい時間になっていた。


そして駅に着くと、琉宇は「やばい。」と言う顔をしていた。
「どしたの?」
「金が無い。」
「えぇっ!?落としてきちゃったの!?」
「違う、行きの分の金しか無かった。」
「え…どうしよ…私も今一人分の切符しか買えないし…。」
二人は、黙り込んでしまった。

そして2分くらい経った所で、萌葱はある作戦を考えついた。

No.14 06/08/12 18:35
自由人0 

~第14話~
―よぉし…。―
「琉宇さん!黙って私について来て!」
「は…?」
萌葱は、自分の切符だけ買い、そして琉宇の腕を引っ張って改札口の前まで行った。
「琉宇さん。行くよ!」萌葱は切符を入れて、素早く改札を抜けた。琉宇も一緒に連れて…。
「なっ…お前何やってんのっ!?」
「駅員さんって、見てそーで見てないんだよね。実は。」
萌葱は琉宇の腕を掴んだままどんどん階段を上って行く。
「萌っ!これじゃキセルよりタチ悪いじゃん!」
「乗れたから良いじゃんっ!」
これには、さすがの琉宇も呆れてこれ以上声が出なかった。


そして、40分ぐらい乗り到着。
「琉宇さんは、これで改札を抜けて。」
萌葱は、切符を差し出した。
「お前はどうするんだ…?」
「良いからっ琉宇さんは普通に改札通って。」
萌葱は言うなり、慌てた素振りを見せ、駅員に話しかけた。
「あのっすみません!ちょっと急いでたら切符無くしちゃって…」
「ああ。じゃあ通って良いですよ。特別に。」
「あっありがとうございます!」
萌葱は得意げな顔をして琉宇の方を見た。琉宇は、驚いてただ呆然と萌葱を見ていた。

No.15 06/08/12 19:55
自由人15 

>> 14 頑張ってくださいね~o(^-^)o

楽しみにしています。

  • << 17 15番さん☆ありがとうございます♪♪ まだ②な部分が沢山有りますが、良かったら覗いてみてください゚:。+ by 夜宵

No.16 06/08/12 20:10
自由人0 

~第15話~
「お前、今もの凄い格好いい。」
琉宇がいきなり萌葱を誉めた。
「な…何が?」
「さっきの完全犯罪だよ!最初萌に会った時の印象はただの天然ボケだと思ってたのに!!」
「て…天然じゃないよ…。」
「いいや、お前は天然だ!そんな天然なお前があんな格好いい事出来るなんて…男の立場が無くなる!」
何故か琉宇は萌葱を語っている。
「別にそんな…」
「萌、本っ当凄すぎ!この鴫野(シギノ)琉宇を驚かせるなんて…。」
「…。」
萌葱は琉宇のペースについていけない。
と言うより、萌葱は重い荷物が気になる。
だが琉宇はズンズン前に進んで行く。

―うぇ…重…。―
萌葱はとうとう鞄を道の端に置いてしまった。
「る…琉宇さぁん…。」必死に呼ぶが、力が出ない。

―もぉー…琉宇さんってばー!!―

No.17 06/08/12 20:23
自由人0 

>> 15 頑張ってくださいね~o(^-^)o 楽しみにしています。 15番さん☆ありがとうございます♪♪
まだ②な部分が沢山有りますが、良かったら覗いてみてください゚:。+ by 夜宵

No.18 06/08/13 09:07
自由人0 

~第16話~
萌葱は、しゃがんでしまった。

「あっ…日向さんっ!?どうしたの!?」
竜宇が現れた。
「りゅ…竜宇さぁん…助けてぇ…。」
「大丈夫っ!?持つよ!」竜宇はそう言って重い鞄を快く持ってくれた。
「あ…ありがとうございます…。」
「それにしても、どうしたの?コレ。」
「あっ家に行って取って来たんです。」
「そうなんだ。結構重いね…大変だったね。」
竜宇は家に着くまで、ずっと鞄を持ってくれた。
「到着!あ~疲れた~」竜宇が廊下でバタッと寝っころぶ。
「ありがとうございます。竜宇さん。」
「平気平気。はい、どうぞ。」
竜宇が萌葱に鞄を手渡そうとした時、リビングから人が出てきた。
「あー!萌、何処行ってたんだよー!」
無神経な奴、琉宇。
「琉宇さんが置いてったんじゃないですかぁ!」
「えぇー?そうだっけー?」
「もぉ~…。」

取り合えず、琉宇と仲良くなった萌葱。
だが、これから大変な事件が起こる。

No.19 06/08/13 10:05
自由人0 

~第17話~
「うわっもうこんな時間だっ。」
竜宇は言うなり、キッチンの方へ向かった。冷蔵庫から、いろいろ食材を取り出している。
「あの…いつも竜宇さんがご飯作っているんですか?」
「そうだよ。うちには両親がいないからねぇ。」
竜宇がそう言った瞬間、琉宇は怒った口調で返した。
「そういう事すぐ喋るな。萌は関係無い。」
「はい。琉宇はこういうトコは真面目だなぁ。」
「…?」
萌葱はいろいろ聞きたい事が有ったが、口にしなかった。

「あ…竜宇さん。何か手伝いましょうか?」
「ううん、ありがと。今日はいいよ。ゆっくりしてて。」
「そうですか…。」
琉宇は、キッと竜宇を睨んでさっさと自分の部屋に戻っていってしまった。
―琉宇さん…?―

萌葱が心配している時に、ドアがガチャッと音を起てて開いた。

No.20 06/08/13 13:03
自由人0 

~第18話~
「あぁ~っ萌ちゃんただいまぁ。」
「由宇さんっあっあの…琉宇さんが…」
「どしたの?」
萌葱は、さっきあった事と鴫野家の家族関係の事について聞いてみた。
由宇は、いきなり真面目な顔して
「ちょっと来て。」
と萌葱を空き部屋に呼び、ドアを閉めた。
「実はね、この家に両親がいないのは琉宇が前にいろいろ問題を起こしたからなんだ。」
「琉宇さんが?」
「萌ちゃんを此処に居候させるのを拒んだのも、前いろいろあったからなんだ。」
「一体何があったんですか…?」
「それはね…」

由宇が言い掛けた時、ドアがバンッと開いた。
「それくらいにしろ、由宇。」
「琉宇ちゃん…でも、萌ちゃんは此処に居候する身なんだし、教えてあげた方が…」
「良いから!余計な事するなよ!!」
琉宇はそれだけ言うと、外に飛び出して行ってしまった。

「琉宇…さん…?」

No.21 06/08/13 16:02
自由人0 

~第19話~
萌葱は、琉宇を追いかけようとした。
だが、由宇に止められた。
「止めな、萌ちゃん。琉宇の事はそっとしといて。」
「え…でも琉宇さんは…。」
「良いからっ。琉宇は怒るといつもそうなんだ。」
―…。―
萌葱は、仕方なく琉宇を待つ事にした。
16時…
17時…
そして、とうとう18時を告げるベルが鳴った。

「琉宇さん…帰って来ませんね…。」
「琉宇ちゃんはさぁ~いっつもああなんだよね~竜宇ちゃん。」
「日向さん。琉宇の事は気にしない方が良いよ。」
「でっでも…」
「琉宇ちゃんはぁ自己中なんだよね~思い通りに行かないと、いつもそうなんだぁ。」
その言葉に、萌葱は黙り込んでしまった。
だが、暫く経って言った。
「竜宇さん、由宇さん。琉宇さんがいつも行く所は何処ですか?」
「え…?日向さんもしかして…。」
「今回は私のせいで琉宇さんが出ていっちゃったから…私が探しに行きます!」
「日向さん…そんなわざわざ…」
「葉月公園かな。」
竜宇が止めようとした時、由宇が琉宇の居場所を言った。
「私っ…探して来ますっ!」
萌葱はダッと走り出した。

「由宇…何で言っちゃうんだよ…。」
「えー?だって面白くない?超純粋な日向 萌葱様の活躍を見るのっ!」
「お前なぁ…。」

由宇は、萌葱を試す事にした。

No.22 06/08/13 17:15
自由人0 

~第20話~
萌葱は、此処に来たばっかりなので場所が分からない。取り合えず駅に行って地図を見た。
―あっちの方か…。―萌葱は葉月公園の場所を確認すると、ダッシュで向かった。
そして5分後、葉月公園に着いた。
「うわぁ…思ってたより広いな…。」
公園はかなり広くて、森の中に迷い込んだようだった。

「琉宇さんっ!琉宇さん何処っ!?」
萌葱は、懸命に琉宇を探した。
だが、全体を見ても琉宇を見なかった。
「もう帰っちゃったのかな…。」
―ううん!もう少し探してみよう!―

萌葱は走り続けた。公園の時計に目をやると、もう21時を回っていた。
―さすがにもういないか…。―
萌葱は、仕方なく公園を後にした。帰り道は、琉宇の事で頭がいっぱいだった。
―もし、何か事件に巻き込まれたらどうしよう…。喧嘩とか、してないかな…。―
萌葱は、不安に押しつぶされそうになりながら、鴫野家へと向かった。

No.23 06/08/13 21:34
自由人0 

~第21話~
「ただいま…。」
「日向さんっ!?何処行ってたの!?」
竜宇は見るからに慌てていた。
「え…葉月公園でずっと琉宇さんを探してたんです…。」
「はぁ…。」
竜宇は深くため息をついた後、大声で叫んだ。
「由宇っ!!ちょっとこっち来い!!」
―竜宇さん…?―
「は…はぁい…。」
由宇が、やばいと言う顔をしてこっちに来た。
「由宇。日向さんに謝れ。」
「あ…。うん…。」
「え…何の事ですか?」萌葱は、訳が分からなかった。
「ゴ…ゴメンねっ…!萌ちゃん…!」
「え…何が…?」
「…琉宇が葉月公園にいつも行くっていったの嘘なんだ…」
「えっ…?…それで、琉宇さんは…?」
「俺は此処に居る。」
琉宇は、ひょこっとリビングから現れた。
「あぁ…」
萌葱は琉宇を見た瞬間、安心して脱力してしまった。
「あ…良かった…。」
「も…萌…?」
萌葱の目からは、涙が溢れていた。
「良かった…私のせいで…琉宇さんに何かあったかと思うと…怖くて…。」
「萌ちゃん…。」
由宇は、心がズキッと痛んだ。

このしんみりした時間はほんの数秒だったが、4人には何時間もの長さに感じた。

No.24 06/08/14 10:46
自由人0 

~第22話~
それから萌葱は少し気分が悪くなり、夕食も食べずに布団に寝っころがった。
―はぁ…頭痛い…―萌葱は眠ろうと目を瞑った。
その時、ガラッとドアが開いた。
「萌。」
―琉宇さん…?―
萌葱は、琉宇と話しづらかったので寝たフリをした。
「萌はバカだなぁ。」
琉宇は冷静さを取り戻しているようだった。
「俺を探して公園に3時間もいたなんて…有り得ない。どーゆー神経してるだよ。」
萌葱は、それを聞いて悲しくて泣きそうになった。
だが、琉宇は最後にこう付け加えた。
「でも…。」
―…?―
「ありがとうな、萌。」琉宇はそう言って、リビングに戻って行った。
―る…琉宇さん…。―
萌葱は、布団の中で嬉し涙を流しながらスゥッと深い眠りについていった。

No.25 06/08/14 18:21
自由人0 

~第23話~
爽やかな日曜日。
萌葱は、朝早くに目が覚めてしまった。
「えっ…まだ6時…?」だがもう一回寝るわけにもいかず、萌葱はそのまま起きてしまった。
「お腹空いた…。」
昨日の昼から何にも食べてなかった萌葱。そこで、ある事を思いついた。
「今日は私がご飯を作ろうっ!」
萌葱は手早く着替え、リビングへ向かった。その時、キッチンからカチャカチャと物音がした。
―何だ…?―
そっと覗いてみると、萌葱の目に竜宇が映った。
「竜宇さんっ!おはようございますっ!」
「お…おはよ…日向さん、朝早いんだね。」
「竜宇さんこそ…どうしたんですか?」
竜宇は、一瞬気まずい顔をしたが我にかえった。
「実はね、昨日の夜3人で話して、日向さんの歓迎会をやろうって事になって、遊園地にでもって…。」
竜宇の目線の先には、遊園地のチケットがあった。
「で、俺は弁当を作ってるってわけ。売店のでも良いのにねぇ。2人がどーしても俺の料理が食べたいって言うから仕方なく…。」
「竜宇さん…。」
「あ、そう言えば日向さんの都合聞いてなかったけど…大丈夫かな?」
「あ…はっはい!!」

―3人と遊びに行けるなんて…嬉しい!―
萌葱は、感謝の気持ちでいっぱいだった。

No.26 06/08/14 20:23
自由人0 

~第24話~
「あれぇ~?2人共早いね~。」
由宇がノコノコと階段を下りて来た。
「由宇さん、おはようございます!」
「萌ちゃ~ん。おはよぉ~。」
由宇はそう言って冷蔵庫から缶ジュースを取り出した。
「ね~竜宇ちゃ~ん。琉宇ちゃんってば全然起きないんだけど~。」
「ん~?じゃ、日向さんに起こしに行ってもらおっか!」
―え…。―
「なっ何で私?」
「何でって…なぁ?由宇。」
「ねぇ竜宇ちゃんっ!」2人は何故かニヤニヤしている。
―…?―
萌葱は、不思議に思いながらも琉宇の部屋に向かった。


萌葱が階段をかけ上がるのを確かめると、2人はこんな会話をした。
「竜宇ちゃん。これは琉宇ちゃんの女嫌いを克服するチャンスかもね。」
「そうだなぁ。そうなると良いな…。」

萌葱は2人の会話は全然聞こえてず、必死に琉宇を起こしていた。
「琉宇さーん!起きてくださーい!!」

No.27 06/08/14 22:38
自由人0 

~第25話~
―も~…起きないなぁ…。―
「琉宇さぁんっ!?」
「うーん…。」
琉宇が寝返りをうって萌葱の方を向いた時、萌葱は少しドキッとしてしまった。
琉宇は、気持ちよさそうな寝顔をしながら、萌葱の洋服をシッカリ掴んでいた。
「琉宇さんっ…!?」
「ん…ミウ…。」
―ミウ…っ!?―
萌葱は、聞いた事無い名前を聞いて戸惑った。
その後も、琉宇は何度も萌葱の洋服を掴んでミウと呼ぶ。
とうとう、萌葱は怖くなって叫んでしまった。
「違うっ!!私はミウじゃないっ!!放してよっっ!!」
その声はあまりにも大きく、琉宇はパチッと目を開けたし、一階の2人にも聞こえたようだった。
「も…萌…?」
「琉宇さん…っミウって誰ですか!?」
「…。」
琉宇は黙ってしまった。
萌葱は、ここである言葉が浮かんで来た。
―彼女…?―

No.28 06/08/15 07:11
自由人0 

~第26話~
「もしかして、琉宇さんの彼女とかっ!?」
「はっ!?あ…あの…」 「あっまぁそれは置いといて…早く起きてください!琉宇さん!」
萌葱は『ミウ』の事は全然気にしてなかった。

「じゃ、そろそろ出発しようか。」
竜宇が鞄を持ちながら言う。
時計は、8時をさしていた。
「行こーよ行こーよ!」由宇は小学生のようにはしゃいでる。
萌葱も長い髪をサッと整え、琉宇をグイッと引っ張って外に出た。
交通手段は竜宇の車。黒くて傷も無い、新品の車だった。
4人は車に乗った。
遊園地に向かう間は、喋ったり外を見ていたりした。
そして1時間後
「着いたー―っ!!」
1番嬉しそうなのは由宇だった。
「あー遊園地なんて何年振りだろう。」
琉宇は物珍しそうな目で観覧車を見る。

―楽しそう…!―
萌葱は、今日1日が楽しみで仕方がなかった。

No.29 06/08/15 07:38
自由人0 

~第27話~
「あれ乗ろっ!!」
「あれ入ろっ!!」
由宇は萌葱達を引っ張りまわす。

「ねー!みんなっ次あれ乗ろうよっ!!」
次に由宇が指を指したのはジェットコースターだった。
「うわ…俺パス。」
琉宇は絶対お断り!という顔をしていた。
「俺もいろいろやって疲れたぁ…。俺も遠慮しとく。」
竜宇は車の運転ですでに体力を使っていたようだ。
「えぇ~じゃ、萌ちゃんっ!2人で乗ろっ!」
「あ…はい!」
由宇は萌葱の手を握って乗り場へ行った。
でも、いざとなると萌葱も怖い。
―だ…大丈夫かな…。やっぱ止めとこうかな…。―
そう思った時には、もう萌葱達の乗る番だった。
「どうしよ…。」
「何~?萌ちゃん怖いの~?」
由宇が目を細めて意地悪く笑う。
「ち…違うもんっ!!」萌葱は怖いと言い出せなくなってしまった。

そしてとうとう係員の人にベルトを閉められた。

―ど…どうしよー!―

No.30 06/08/15 09:16
自由人0 

~第28話~
ガラガラガラ…
ジェットコースターが動き始めた。
―あともう少しで下り…―
ガタッ!!
―来たっ!―

「ぎゃぁぁぁぁ!!」
「ひあぁぁぁぁ!!」
文章では説明出来ない萌葱の叫び。
―も…もう止めてぇぇー――!!―

ジェットコースターが地上に戻って来る頃には、萌葱は頭の中が真っ白だった。
「も…萌ちゃーん?」
「あっ…!」
「大丈夫?戻ろっ!」
「はぁっ…はい…。」
萌葱は、フラフラになりながらも由宇の後をついていった。
「竜宇ちゃん、琉宇ちゃんただいまぁ~。」由宇は満足そうに2人の所にかけ寄る。
「ねーっ俺と萌ちゃんカップルに見えなかったーっ!?」
「くだらない…。」
琉宇は由宇を突き放し、売店で買って来たコーラを飲んでいる。
「由宇さぁん…置いてかないでぇ…。」
萌葱がよろめきながら3人の所へ来た。
「ひ…日向さん、大丈夫…?」
竜宇はかなり驚いているようだった。
「ははは…。」

萌葱はキッパリ大丈夫とは言えず、ただ笑う事しか出来なかった。

No.31 06/08/15 09:43
自由人0 

~第29話~
「あぁ~お腹空いたぁ~竜宇ちゃん、お昼食べようよ~。」
鴫野 由宇。勝手な人だ。
「ああ。そんな大した物じゃないけど。」
4人は、取りあえずベンチに座った。
「これ…全部竜宇さんが作ったんですか!?」大きな入れ物の中には、サンドウィッチを中心に、いろいろな物が綺麗に詰め込まれていた。
「なんつったって、5時起きだもん。あぁー眠…。」
「竜宇ちゃん、萌ちゃんの為に張り切ったんだよねっ!」
―え…?―
「あーバレた?」
「え…私の為に!?」
その時、琉宇が割り込んで来た。
「何だよ、2人揃って萌葱、萌葱って…。バカっぽ…。」
―る…琉宇さん…―
「琉宇ちゃん、嫉妬してるのー?」
「はっ…!?」
由宇の鋭い突っ込み。琉宇はグルッと後ろを向いてしまった。
「あれ?図星?」
「うるさい!俺が女嫌いなのはお前等が一番よく知ってるだろ!?」
「あ、はいはい。」
由宇は、わざと余韻を残すよいな言い方をした。

No.32 06/08/15 12:34
自由人0 

~第30話~
萌葱は、何となく琉宇と話しづらい。
そんな時に限って、2人きりになってしまうのだ。
「萌、俺観覧車乗りたい。」
「わ…私と…?」
「うん。」
―な…何で、私なんだ…??―
萌葱は疑問が生まれたが、あまり気にしない事にした。


「うわぁー高いー!」
「凄…観覧車ってこんななんだ…。」
「え…琉宇さん観覧車って…」
「初めて乗った。」
「えっ…!!」
「凄いな…。あ、竜宇と由宇があんな小さく見えるー。」
―琉宇さん…。―
以外に純粋な琉宇に、萌葱は驚きを隠せなかった。
「萌。」
「え?」
「付き合ってくれて、サンキュー。」
琉宇の言葉を聞いて、萌葱は少しドキッとした。

萌葱は、琉宇の新しい一面を見られて嬉しかった。

No.33 06/08/15 14:04
自由人0 

~第31話~
「あぁ~楽しかった!」萌葱は満足して帰宅した。
「竜宇ちゃーん!早く夕飯作ってー!」
由宇は竜宇に向かって叫んでいる。
「ちょっと待て。俺だって疲れてるんだから…。」
「早く!早く!」
由宇と琉宇が『早くコール』を竜宇に向けている。
竜宇はどうにか夕食を作り、自分の部屋にさっさと行ってしまった。

「いただきまーす!!」3人は遊び疲れていた為、竜宇が作った夕食にがっついた。
「あー明日から学校かよ…。」
琉宇が憂鬱そうに言った。
「そー言えば、萌ちゃんは何年生?」
「高1です!」
その時、琉宇は食べていた物を吐き出した。
「なっ琉宇さんっ!?どうしたんですか!?」
「俺、萌と同い年なのかよ!?」
「え…?」
「俺、絶対萌は中学生だと思ってた…。」
―何か失礼な…。―
「えーじゃあ萌ちゃん、俺より2歳年下?」
「え…由宇さん高3なんですか?」
萌葱はその事にビックリした。
「じゃ、竜宇さんはいくつですか?」
「竜宇は19。もう社会人なんだよ。」
「へぇ…。」

萌葱は、更に新しい鴫野家の事を知った。

No.34 06/08/15 15:08
自由人0 

~第32話~
翌朝。萌葱は6時半に目が覚めた。
萌葱は、今日こそご飯を作ろうと着替えてリビングに向かった。
「竜宇さん、おはようございます…」
―あれ?―
竜宇がいない。いつもはもう居るはずなに…。
萌葱は不思議に思い、2階の竜宇の部屋に行った。
2階は竜宇、由宇、琉宇の順に部屋がある。
―お金持ちな家だなぁ…。―
萌葱はそう思いながら竜宇の部屋の前に立った。
「竜宇さーん…?」
萌葱がいくら呼んでも返事が無い。萌葱は、悪いと思いながらもドアを開けた。
「…竜宇さん?」
竜宇は、布団の中でうずくまっていた。
「竜宇さんっ…!?」
萌葱が近づいてみると、竜宇は息を切らし、大量の汗をかいていた。
「凄い熱…。」
萌葱は急いでタオルを濡らして来て、竜宇の汗を拭いた。
「はぁ…はぁ…」
―竜宇さんっ…苦しそう…ど…どうしよう…―

萌葱は突然の出来事に、気が動転していた。

No.35 06/08/15 16:05
自由人0 

~第33話~
「竜宇さんっ…!しっかりして…!」
萌葱は、言葉をかける事しか出来なかった。―どうしよう…。―
「はぁっ…あっ…日向さん…?」
「竜宇さんっ!大丈夫ですかっ!?」
「あっ…大丈夫だよ…心配かけてゴメンね…。」
竜宇は無理しているのがバレバレ。
―大丈夫なんかじゃ無いくせに…。―
竜宇はスッと起き上がった。
「竜宇さん…?」
「俺…バイト行かなきゃ…。」
「竜宇さん…!?無理しないでください!!」
「でも…」
竜宇は1回起き上がったが、クラッときて萌葱の体に倒れこんでしまった。
「竜宇さんっ!?」
竜宇は萌葱に覆い被さって来た。
萌葱は、動くに動けない。
「はぁ…はぁ…」
竜宇は、自力で動けない程弱っている。
―どうしよう…―
萌葱も、竜宇の重さに耐えられなくなって、倒れてしまった。

―やばい…この状態はやばいよ…。―

No.36 06/08/15 16:54
自由人0 

~第34話~
その時、ドタドタと足音が聞こえた。
「竜宇ーっ萌ーっ?」
―琉宇さんの声だ!―足音がピタッと止まった。
「るっ…琉宇さんっ!助けてぇっ!」
でもドアは開かない。―…行っちゃったのかな…。―

ガラッ!!
「なっ…も…萌!?」
「琉宇さんっ!助けてっ!竜宇さん、動けない程弱ってるの!」
「え…あれじゃ無くて…?」
「ちっ…違う!ともかく竜宇さんを助けてください!!」
「あ…ああ!」
琉宇は、竜宇を抱き起こして布団に寝かした。
「やばいじゃん竜宇!めっちゃ熱があるじゃん!」
「うん…どうしよう!病院に連れてかなくちゃ…。」
「ちょっとどいて。」
琉宇は、冷静になって竜宇に訊いた。
「竜宇、何で昨日言わなかった?」
―え…?―
「昨日から具合悪かったんだろ?何で1人で抱え込もうとしたんだよ。」
―琉宇さん…?―
琉宇が冷静に竜宇に質問をしている姿が、何故か萌葱は『怖い』と思った。

No.37 06/08/15 20:54
自由人37 

>> 36 --〇続き楽しみにしてますね(^^)

No.38 06/08/16 08:00
自由人0 

>> 37 37番さん☆ありがとうございます♪♪
これからも応援よろしくおねがいしますm(_ _)m

No.39 06/08/16 08:57
自由人37 

>> 38 37番です。
主さんは、34話まで書き続けられて
凄いですね(*^_^*)私はマダ《約》25位しか書けてません。でも頑張って最後まで続けたいです。主さんも、頑張って下さいね。もちろん応援していますよ(^^)

No.40 06/08/16 10:19
自由人0 

>> 39 ありがとうございますm(_ _)m
37番さんの物語はどれですか??見てみたいです☆良かったら教えてください♪♪(*^∀^)ノ

  • << 42 37です◇ 私のは「壊れた宝物」です。虐待がテーマになっています。 物語を書くのは今回が初めてです。つたない文ですが、良ければ読んでみて下さいね。

No.41 06/08/16 10:44
自由人0 

~第35話~
だが、次第に琉宇は竜宇を問い詰める形になった。
「何でいつも1人で解決しようとするんだよ!!竜宇っ!!」
「ちょ…琉宇さんっ…そんな大きい声出さなくても…。」
萌葱の言葉に、琉宇はハッとした。
「…悪い。」
琉宇はスクッと立ち上がると、萌葱にこう言った。
「俺、竜宇を病院に連れてく。萌葱と由宇は普通に学校行って。」
「でも…」
萌葱は、この状況に最も適してない言葉を発した。
「でも…琉宇さん頭悪いでしょ!?琉宇さんは絶対学校行くべきだよ!!」
「は…はぁ…?」
琉宇は、呆れてこれ以上喋れなかった。
(何故この場に及んでそんな人をけなす発言…?)
「おい…今は関係無いじゃん…。」
「関係ある!」
「は…そんなハッキリ言うなよ!何を根拠にそんな…」
「だって…此処から病院に連れていくなんて、無茶だよ!」
確かに、此処の近くに病院は無い。車も運転出来るのは竜宇だけだった。
「じゃ、どうすれば…」此処で、萌葱が立ち上がった。
「私が学校休んで看病する!お世話になったお礼も兼ねて!」
萌葱は真剣にそう言った。

No.42 06/08/16 10:45
自由人37 

>> 40 ありがとうございますm(_ _)m 37番さんの物語はどれですか??見てみたいです☆良かったら教えてください♪♪(*^∀^)ノ 37です◇
私のは「壊れた宝物」です。虐待がテーマになっています。
物語を書くのは今回が初めてです。つたない文ですが、良ければ読んでみて下さいね。

No.43 06/08/16 12:45
自由人0 

>> 42 はい☆★
早速拝見させてもらいますね(o^-')b

No.44 06/08/16 15:24
自由人0 

~第36話~
萌葱は、制服から私服に着替えた。
琉宇は渋々納得し、学校へ行く事になった。時刻は7時20分。
「うわぁ~寝坊したぁ~!!」
由宇がバタバタと階段を下りる音が聞こえる。
リビングに行くと、琉宇しかいない事に気づき、由宇は不思議に思った。
「あれ?竜宇ちゃんと萌ちゃんは?」
「竜宇は風邪でダウンしてる。萌は竜宇の看病。」
「え~良いな~俺も萌ちゃんに看病されたぁい。」
「竜宇の心配は無しかっ!?」
「竜宇ちゃんは無理しすぎ!そりゃ風邪もひくよ~。」
由宇は、まるで竜宇を心配していない。琉宇はそんな由宇にイラッとしていた。

「琉宇さんっ!そこに掛かってるタオル取って!」
萌葱が慌ただしく1階に下りて来た。
「これ…?」
「はい!ありがとうございます!」
萌葱は琉宇からタオルを手渡されると、また慌ただしく階段を上がっていった。
「萌ちゃん真剣になっちゃって。可愛いー。」由宇が薄笑いを浮かべている。
(バカっぽ…。)
琉宇は一瞬思ったが、それを口にする事は無かった。

No.45 06/08/16 16:52
自由人0 

~第37話~
「じゃあ萌、行って来るからな。」
「萌ちゃんバイバーイっ!!」
「行ってらっしゃい!」琉宇と由宇は学校へ向かった。萌葱は、2人の制服が違う事が少し気になった。

「ゴホッ…ゴホッ…日向さん、ゴメンね…。」竜宇は、また無理矢理起き上がろうとする。
「竜宇さんっ無理しないでってば…!寝ててください!!」
「ああ…ゴメン…。」
竜宇はクラクラしながら、枕の上に頭を乗せた。
「日向さん…ずっとこの部屋に居ると風邪移るかもよ…?」
「大丈夫です!私の事は気にしないでください!!」
「うん…ありがと…。」竜宇はスッと目を閉じた。
「おやすみなさい。竜宇さん。」
萌葱は竜宇の眠りを妨げない為に、1回部屋を後にした。

No.46 06/08/16 17:15
自由人37 

>> 45 ◇主さん、先ほどは私の所へ来てくれて有り難うございました(^-^)
3兄弟と萌ちゃんの今後の展開を楽しみにして読ませて頂きます☆

No.47 06/08/17 07:24
自由人0 

>> 46 返事遅れてすみませんm(_ _)m
私も、楽しく書いていきたいと思います☆(´艸`*)゚:。+
コメントありがとうございました♪♪

No.48 06/08/17 09:41
自由人0 

~第38話~
お昼になって、萌葱は竜宇の部屋に戻った。ドアを開けた瞬間、萌葱に衝撃が走った。
「竜宇さんっ!?」
竜宇は朝よりも風邪が酷くなっていた。
「はぁっ…!ゴホっゴホっ…」
―どうしよう…!―
「ひ…日向さん…」
「竜宇さん…!?大丈夫ですか!?ごめんなさい!!私気付いてあげられなくて…」
萌葱は気が動転していた。
「大丈夫…。」
竜宇は顔が真っ赤で、目も充血していた。
「竜宇さん…。」
ジッと萌葱を見つめる竜宇の赤い目。
萌葱はそれに怖じ気づき、一礼をしてサッと廊下に出てしまった。
―竜宇さん…。―

No.49 06/08/17 11:00
自由人0 

~第39話~
ここで、萌葱はハッとした。
―駄目!竜宇さんはこんな苦しんでるのに1人にさせちゃ…―
萌葱はダッと走って薬局に行った。
それから5分弱で家に帰って来た。
「竜宇さん…取り合えず薬…。」
萌葱は薬と水を持って来た。
「あ…。」
竜宇は意識が朦朧としながらも、水で薬を流し込んだ。
「大丈夫ですか…?」
「うん…取り合えず、寝てれば平気だよ。」竜宇は、そう言ってまた横になった。

時刻は14時。
萌葱は、一刻も早く2人が帰って来るのを願った。

No.50 06/08/17 19:36
自由人0 

~第40話~
「ただいまー。」
琉宇だ。
「あっ琉宇さん!お帰りなさい!」
萌葱は帰って来たばかりの琉宇を引っ張り、竜宇の部屋に連れ込んだ。
「竜宇、大丈夫か?」
「あ…大丈夫だよ…。」竜宇は笑ってみせたが、やっぱり辛そうだった。
「竜宇、無理するな。何かあったら俺を呼べ。萌にはあんま負担をかけるな。」
―琉宇さん…。―
「わっ…私は大丈夫だよ!頼りないかもしれないけど…。」
「良いから。分かったな、竜宇。」
琉宇はそう言うと、萌葱の腕をグッと掴んで部屋を出た。
「琉宇さん…何であんな事言うの!?」
琉宇は口を開かない。
「確かに私には何にも出来ないけど…竜宇さんの役に立ちたいの!私の為に竜宇さんはいろいろしてくれたし、それに竜宇さんは…」
琉宇は我慢が出来ず叫んだ。
「うるさいっ!!」
―え…?―
「何だよ!黙って聞いてりゃ竜宇さん竜宇さんって…俺や由宇だって、お前の為に我慢してる事沢山あんだよ!竜宇だけがすべてじゃない!ふざけんな!!」
―る…琉宇さん…?―萌葱は突然の出来事に、頭が混乱してわけが分からなかった。
「あー!もう!!」
琉宇は興奮しているせいか、顔が赤い。
萌葱はもうどうしようも出来なかった。

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