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精神病患者が安楽死を選べる国

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匿名
18/10/26 23:55(最終更新日時)

ベルギーでは、精神病患者の最期の選択肢として安楽死が認められ、近年増加している。
49歳の若さで30年以上にわたる躁鬱病生活に安楽死により終止符を打った男性・クン・デプリック。

クンは過去の精神病歴から、自殺未遂経験、家族関係が綿密に調べられていく。彼女のほか、セカンドドクターの診察も受け、クンの病気は

「改善の見込みがないもの」と診断された。

つまり、安楽死の条件を満たしている。

精神病患者が安楽死するための条件は、一般的にあまり認識されていない。

精神病患者の場合、「耐えられない痛み」と「改善の見込みがない」という基準が理解され難く、人それぞれの解釈が大きく異なる。
だが、この取材を続け専門家たちに会うなかで私が学んだ特徴は以下の点だった。

　1）10代の頃から精神病院に何度も通うが治らない
　2）自殺未遂の経験が数回ある
　3）セロトニン（＊）が足りないという生物学的な問題
【＊神経伝達物質の一つ。人の感情や精神面に影響を持つとされている】

クンは安楽死の条件をすべて満たしていた。
クンの家族はどんな反応だったのか。

父親はすでに他界。母親は、当初、安楽死は断固反対の立場を貫いた。
彼のお兄さんも妹2人も、『クンを殺す気だ』と、医者を殺人者扱いしていた。でも最後は医者の誠実な説明を受け、全員が受け入れていた。

医師はクンが安楽死を望み続けているかどうか、最終チェックを行う。
彼が落ち着き払って「もちろんです、先生」と答えると、居間の奥にあるソファに横たわり、全員が彼を囲んだ。

医師が注射を2本用意している間、クンは携帯電話を取り出し、誰かにメッセージを書き込んだ。そして注射が左腕に刺し込まれる前に、クンは妹を見つめ、呟いた。

「もし、あの世があるのなら、君に居心地の良いスペースを取っておくよ。でも、急がなくていいから……」
「ありがとう、クン。じゃあ、あの世で会いましょう。愛しているわ」

　
医師は昏睡状態をもたらす注射をまず1本打ち、次に心臓を停止させるとどめの1本を打ち込んだ。
30秒かからないうちに、クンは妹の腕の中で、安らかな眠りに就いた。