愚かな母

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匿名さん
2022/11/06 00:28(更新日時)

『貧しさに負けた。いいえ、世間に負けた…』という歌があったが、私は人間に負けたと思う。

暴力に耐えられなかった。
暴言に耐えられなかった。
虐めに耐えられなかった。
嘲笑に耐えられなかった。

私は弱い人間だったのだ。

暴力を振るわれたからといって負けてはいけなかった。

暴言に耐えられなかったのも、虐めに耐えられなかったのも、私が弱かったからだと思う。

嘲笑した相手が悪いのではなく、暴力を振るった相手が悪かったのでもなく、耐える事が出来なかった、乗り越える事が出来なかった私が悪いのだ。

私は母にそのように言われとても辛かった。
母は精神根性論が大好きだった。

お前が甘いからだ、お前がたるんでるからだ、お前弱いからだと、全て私が悪いの一点張りだった。

母は言った。
私はおまえに強くなって欲しくて厳しくしたと。

そして今、私は母に厳しく接している。
年老いた母に。

かつて母が私に厳しくしたように。
幼児の私に大人扱いしたように。

子供に強くなって欲しくて厳しくしても子供は強くならない。
ただ、同じように子供も親に厳しく接してくるようになるだけだ。

子供は母親に優しさを求める。
妻が夫に優しさを求めるように。

子供は母親に厳しさなど求めていない。

優しくして欲しかった相手に厳しくされると人間はその相手を憎むようになる。その憎しみは同じように厳しくしてやる事で晴らそうとする。

外に出れば（学校、会社）否が応でも厳しさを味わう。わざわざ母親が厳しさを与える必要は無いのだ。

外で傷付いて帰って来た子供を慰め、励ますのが母親の役目なのに、母はそれが理解出来ていなかった。

子供に厳しくする自分に満足していたのだ。
自己満足である。

晩年になって子供から報復される母。
愚かな母だった。