イノセンスNo.1

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高校生
2007/01/11 18:51(更新日時)

俺にはよくわからないんだ。この世界が本当に本物なのか。もしこの世界が架空のものだとしたら、もしいまの自分が自分でないとしたらどうしようか。
今から２年前、俺は初めて自分というものを否定した。
高校に入学した俺はケータイを手に入れ、胸をわくわくさせていた。しかし、中学のころとは環境が異なり、某進学校は進度が早くレベルも高く、たちまち俺は落ちこぼれた。部活も中学のころはレギュラーだったが、今ではザコ。周りには運動できて勉強できるやつがうじゃうじゃいる。俺は中学とのギャップと自分のプライドとで葛藤した。おまけに周りには特に親しい友達もできた訳でもなく、俺の心は揺らいでいた。しかし転機が訪れた。（とはいっても良い意味ではないのだが）
1年の１学期末テスト前。それは目の前にあった。ケータイである。普段憂鬱なことばかりな俺にとってケータイのインターネットは格別だった。悲惨なことにその年の夏は多大なパケ代がかかってしまった。親にあまり起こられたことのなかった俺はショックだった。しばらく俺はネットをしなくなったがすぐにまたハマりだした。ケータイというものは恐ろしいものだ。直接お金を払っているわけではないのに、機能を使うたびにじゃんじゃん金が吸い取られ行く。その実感がつかめないのが怖い。
やがて俺のネットサーフィンの時間はますます増え、着実にいろんなサイトを知っていった。アダルトサイトはもちろんあんなものやこんなものまで。中学の俺が今の俺を見たらショックを受けるだろう。『目を覚ませ！そんなの見てる暇があったら勉強しろ！』もう遅い。ネットサーフィンをしてるときほど、理性を失うことはない。やがて掲示板を見つけ、普段悩みや不安を親や友達にうち明けられない俺は、いつしかそのサイトと沈黙の会話をしていた。さらに俺は萌えな画像を大量に集めては削除し集めては削除という所謂理性の効かない悪循環が続くようになる。理性を失い、ケータイのネットサーフィンの快感に浸っているとき、現代の世界を全うし、閉鎖空間に存在する自分だ。人間は欲望を満たすために様々なことを便利にしてきた。しかしよいことばかりではなかろう。所謂負の遺産である。