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リリア( 20代 ♀ hSC01 )
10/11/27 14:35(更新日時)

過去は過去💡大事なのは今です❗
自他共に認めるヤリマン時代を遡って記載していこうと思います😌

ヤリマン・援交・セ○レ等に嫌悪感を抱く方はスルーして下さい
お願いしますm(__)m
マメに更新しますが、長い目で見ていただけると助かります😆💦

それでは、どーぞ👍✨

No.1162175 09/09/26 14:00(スレ作成日時)

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No.1 09/09/26 14:05
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

結婚して6年
優しく働き者の主人と、主人に良く似た可愛い3人の子供達

私は今こんなに幸せでいいのかしら
いつか神様が昔の行いの罰として、この幸せを奪いにこないだろうか

そんな不安とともに日常を過ごしてる…
こんな平穏で満ち足りた生活を送れるとは7年前は想像出来なかった

主人が真っ暗な闇から救いだしてくれた…こんな私を

No.2 09/09/26 14:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

平凡で真面目な中学生だった私は、勉強よりも恋やHにすごい興味を持っていた

もともと好奇心は旺盛で、色んな事に興味を持っていた。
だから、好きな男の子は何人もいたし、限定することが難しく、告白することが出来なかった。

中2の時、私は一番後ろの席で
右隣は色白のヤンキー
左隣は色黒の陸上部エース
タイプが違う2人とも大好きで、どっちも私に優しかった。

No.3 09/09/26 14:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

どちらのタイプとも、デートに行くなら~とか
キスをするなら~とか
抱き合った感触とか
妄想して楽しんでいた

彼等の態度も両極端で、色白ヤンキーはぶっきらぼうなツンケン
色黒スポーツマンは控えめだが芯の強いかんじ
でも私を見る目が2人とも同じくらい優しかった

今思い返すと、中2の二学期の初々しい感情ににやけてしまう

身体の関係のない、純情
多分本当の初恋の頃だと思う

No.4 09/09/26 14:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そんな私に変化が起きたのは、中三の初め

色白&色黒とは特に発展なくクラス替えで別々の階に

新しい中三のクラスには、サッカー部のエースのモテオ君がいた。
休み時間には彼女が隣のクラスからやってきて、椅子の上でイチャイチャしてるような奴だった

好奇心旺盛の私でも、さすがにごめんなさい

でもモテオ君はそんな私に興味をもったのかチョッカイを出してくる


サッカー部の友人達を使って、私に質問攻め
彼氏はいるのか?
好きな男はいるのか?
どういう男が好きなのか?処女か聞いてきた人もいた
もちろんバージンなので、正直に答えたのがいけなかった

No.5 09/09/26 14:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

モテオの心に火がついた
彼女とやりまくってたモテオはそろそろ違う味を求めていた

どうしても私のバージンを奪いたいと思うようになったらしい


そうは問屋が卸さない
だってまだ15才、いくら好奇心旺盛な私でも初体験は好きな人と結ばれたい

それでも餓鬼だった私は、モテオの口車に乗せられ何回か一緒に遊びに行くようになる

中学生とは言え、遊園地や動物園デートは当たり前に行く


何回目かの映画デートのあと、主演俳優の他の作品ですごく面白いビデオがあるから家で見ようということになった

No.6 09/09/26 14:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

モテオは立派な一軒家に住んでいて、部屋には彼女とのラブラブ写真や、❤一杯のラブレターが飾ってあった

このベットでいつもやってんだな~と思った事を覚えている

家には明らかに他の人の気配がない
でも単純にビデオが観たかった私は警戒感が皆無だった

モテオは飲み物と一緒にラベルの貼ってないビデオを持ってきた

No.7 09/09/26 14:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

モテオは終始紳士的で落ち着いていた
だから私も気が緩んでいたのかもしれない

ビデオの上映が始まってすぐ異変に気付く

なんと、それはエロビデオだったのだ

高校生くらいに見える若い女優がはにかんでいた

モテオの顔を見ると
「兄貴の部屋にあった
新作で見たことないから先にこれを観させてよ」
とはにかんでいた

やられたと一瞬思ったが、エロビデオなんて観たことないし興味もあり一緒に鑑賞することにした

No.8 09/09/26 15:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私はベットを背もたれに体育座りで観ていた

モテオはあぐらをかいて座っていた

2人の距離は微妙に近かった

想像と違うドロドロとしたキスから始まり、少女漫画とは違う乱暴な愛撫が行われていた

「リリア」と呼ばれ
振り向くと、モテオが軽くキスをしてきた
ビデオとは違う本当に軽い優しいキスを

「バカたれ」
モテオは笑っていた
なにくわぬ顔で画面に視線を戻したが心臓はバクバク

これはファーストキスに
入るのか否か

触れただけだし、不意打ちだし…
そんな事を考えている間に女優は全裸になっていた

No.9 09/09/26 15:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そこで再び違和感が…

なんとモザイク一切なく、女優のオマタが映っていた
初めて観たエロビデオが無修正
泣きたくなってきた…
慌てる間もなく男優が股関立てて登場

人間の物とは思えないものを引っ提げて
当時それが大きいのか、普通なのか判断できず、ただただガン見していた

フェラもクンニも気持ち悪かった

でも挿入された時の喘ぎ声を聞いた時に身体の中心が火照った

気持ちいいの…?

No.10 09/09/26 15:50
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

想像と違うH
Hというよりセックスって言葉の方がピンとくる

モテオが野獣で襲いかかってきたら、ガムシャラに
抵抗してぶん殴って帰ったと思う

でも彼は終始紳士だった
体験済みの余裕なのか、
とても15才とは思えない
落ち着きだった

ただ喘いでいる時間が流れている時に、どちらからと言うわけでもなくキスをした

ごく自然に
だんだん激しく

モテオがいとおしく思う自分がいた

身体の火照りのせいか、
デートを重ねてきて愛情が生まれたのか良くわからない

「同じクラスになった時から好きだった。」
言われて何故か嬉しかった
恐怖心を抱かず初体験を迎え、激痛が走ったが血は思ったより出なかった

エロビデオ効果なのか…身体は十分反応していた

No.11 09/09/26 15:58
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

>> 10 終わった後、照れ臭くて
すぐ家に帰った

大人になったんだとスキップしてはにかんだ

避妊について保健体育で習ったが、まだ先の事だと思ってた
でもモテオはちゃんとゴムを使っていた

それがまた嬉しかった
ドキドキしてその夜は眠れなかった

明日学校でモテオに会ったら、どんな顔しようか悩んでいると知らないうちに眠りについた

ところが、登校すると事態は急変…

No.12 09/09/26 16:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

下駄箱で友達のサチが駆け寄ってきた
嫌な予感…

「アイツとやっちゃったんだって?彼女公認なのだ、二股始めますって言ってたよ」

一瞬意味が分からない
私は2号さん?

涙が出る前に、腹が立った

サチが前以て教えてくれて良かった
さて、どうしよう

私はひたすらとぼけることにした
浮気も認めなければ、浮気じゃないし

No.13 09/09/26 16:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

息を整えて教室に入る

いつもと変わらないように振る舞う
モテオの取り巻きが近づいてきた

「何時もと違う朝はどうだった?」
「ん?何の事?」
「またまた~」
「意味がわかんないんだけど~」

本当に苦しい言い訳だったと思う
でもクラスの真面目な中学生達は、
「そうだよね、リリアに限ってそんな事するはずないもんね」
と無理やり自分を納得させていた

モテオもしばらくは控え目に誘ってきたが、誘いには乗らなかった

この頃から、同級生と温度差を感じ始めた
セックスを知ってしまったからだと思う

15才にして人肌の温もりを恋しくなっていた

No.14 09/09/26 16:39
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

初体験は中三の秋
それから四ヶ月後の冬休み
サチに彼氏が出来て暇してる事が多くなった

平和な冬休みを過ごしていたある日、母に頼まれ近所のスーパーに小麦粉を買いに行くと数学担当の副担が買い物していた

「先生!」
後ろから声をかけると、ビクッと反応した
「リリアか
大きな声で先生って呼ばないでくれよ」
意識したことなかったが、25才の副担は笑うと八重歯があった

好奇心の虫はここでも疼いた
「先生、家近いの?一人暮らし?遊びに行ってもいい?」
「馬鹿言ってんじゃない 家に帰ったのに生徒の顔なんか見たくないよ(笑)」
「なーんだケチ」

そんな他愛のない会話から、副担を意識するようになった

早く副担に会いたい
早く冬休み終われと

No.15 09/09/26 16:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

もっと早く副担の存在を意識していれば、数学の成績はもっと良かったのに

それからは、数学の授業中寝たり手紙書いたりせず
真剣に副担の話を聞いた

たまにニヤって笑った時に見せる八重歯が大好きだった

三学期の中間テストの数学は92点で生涯最高点を記録した

サチにも相談したら、幸せ絶頂の彼女は応援してくれた
嬉しかった

モテオとは普通の同級生として接する事が出来ていた

バレンタインデーの日に、副担が帰る所を校門で待ち伏せして告白した

驚いた副担は
「助手席に乗りなさい、家まで送るから」と
そのときカーステレオからは、チャゲアスの【始まりはいつも雨】が流れていた

No.16 09/09/26 17:04
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

あと一ヶ月もしたら、卒業してしまう
副担と離れるのは嫌だった

私は10才も年上の副担に、真剣に告白した
今日はサチの家に泊まるって言ってあるから、先生の家に泊めてと

副担は困った顔していた
今思うと、迷惑の何者でもない
私も必死だった

モテオの件があり、どこまで知っているかわからない状態で同級生に恋する勇気はなかった

でも誰かを好きでいたかった
恋愛をしていたかった
副担に受け止めて欲しかった

副担は根負けして
「今日は帰りなさい。ホワイトデーに返事するよ」
と肩を抱き寄せてくれた

副担の身体から仄かに煙草の匂いがした
モテオとは違う大人の男だった

うまく誤魔化されたが、満ち足りていた

No.17 09/09/26 17:16
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

それから平穏に過ごした
卒業式にはモテオに
「卒業記念にまたやらせて」と言われたので、アッカンベーしてやった
「ホントに好きだったんだよ」と去り際呟いていた

私も、モテオとやった事は後悔してない
モテオはずっとモテ続けると思う
また縁があったら、
やってもいいかなとほんの少しだけ思った


学校の机の中に見慣れない封筒があった
副担の字で、
【約束の日18時に駅で】
と書かれていた

素知らぬ顔で参加した式では、やはり泣けなかった
ニヤケないようにするので精一杯だった

No.18 09/09/26 17:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ホワイトデーの日、
約束通り待ち合わせ場所に来た副担はいつも以上に
無口だった

私も軽口叩けず、無言のドライブが続いた

「先生、迷惑かけてごめんね」
「まったくだ(笑)何食べに行くか?」
一応回りの目を気にして、隣県のデ○ーズに入り他愛のない話で盛り上がる

副担は大人だった
モテオも大人の振る舞いをしていたが、やはり根本的に違う
その時の私は、付き合う事は無理だと理解していた

だからこそ、強引にホテル行きを決めた
副担を知りたかった
たかだか15才の小娘が


車内でモテオとの関係を暴露した
少しでも副担の重荷を軽くしてあげるために

副担が雄の顔になった瞬間が私には分かった
無言のまま、国道沿いのラブホテルへ…

No.19 09/09/26 18:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

部屋に入ると、副担に抱き締められた
「参ったなぁ~こんな餓鬼に(笑)」
文句言ってやろうと顔を
上げるとキスされた

私の前では煙草を吸わなかったが、やはり煙草の味がした

長い長いキスだった
この時まで副担は躊躇していたんだと思う
戻れるなら戻ろうと葛藤してたのだと思う

副担の背中に手を回し、思いっきり抱き締めた
もう戻らせはしない
そんな意思表示をした

ブチッ

我慢の糸が切れた音がした

No.20 09/09/26 18:37
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

まるで別人のようなキスに変わった
あのビデオを思い出し懸命に応える

フッ
副担は笑った
「無理しないでいいよ」

優しいキスに戻してくれた。優しいキスでお返しした

副担に手を引かれ、見たことない大きなベットに
横たわる

副担の目はもう迷って
いなかった

二度目の体験が始まった…

No.21 09/09/26 18:53
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

恥ずかしいから、布団に潜った
掛け布団はフカフカだ
このまま寝れそうな居心地の良さ

でも副担は寝かせてくれない
洋服の下に手を入れ、未熟なまだ固めの胸を愛撫している

くすぐったい
つい、笑ってしまう

「最近の子は発育がいいな。時代が違う。」
黒板の前に立ってるような口調で話すので、もう一度キスしてみた

私だけに八重歯を見せてくれた
幸せだった

愛撫は全てが、くすぐったかった
でも身体は反応する
乳首は立つし、ちゃんと湿ってくる

「入れるよ」
覆い被さってきた時に少し身構えた
表情変化を知った副担は、「怖い?」
首を振り、副担を受け入れる

No.22 09/09/26 19:04
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

二度目というのもあり、痛みはなかった
ただ濡れが不十分で副担の方が痛がった

でもゆっくり、ゆっくり動かしていると徐々に滑らかになってきた
不思議な現象だった

モテオはすぐ逝ってしまったので、副担の動きが新鮮だった
自然と声が漏れる

副担も笑顔になる
「餓鬼だと思ってても、
女は女なんだな。末恐ろしい」
「ロリコンが(笑)」

意地悪な顔して少し激しく腰を振った
正直、痛くなってきたので初めて演技で喘いだ

「もう逝くよ」
少し激しく腰を動かし、ゴム越しに射精した

No.23 09/09/26 22:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私も少し成長した
照れて帰る事はしなかった
布団の中で、中途半端に着ていた服を全部脱いだ
副担は驚いていたが、Tシャツを脱いで全裸で隣に入ってきた

やっぱり照れくさかった
気持ち良いとか、快感とかは良くわからないけど、凄く満ち足りていた


「そういう顔は一丁前の女だな。煙草吸うよ。」
先生の顔じゃない、男の顔だった
私にかからないように煙を横に吐く
煙草はセッターだった


数口吸った後、煙草を揉み消し、突然枕に頭を埋めた
「あ~あ、教え子とやっちゃった。ヤバイよな~」
チラチラと私の顔を見る

「もうどうにでもなれ」
近づいてきて腕枕してくれた
副担の顔が近い

照れ臭くて後ろ向きに体勢を変えたら、後ろから抱き締められた

大きく復活した物がお尻に当たった

No.24 09/09/26 22:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「責任とるからもう一回戦やらして」
求められるまま、その後
二回やり、バックや騎乗位を体験した

私的には、バックだと気持ち良かったような気がする

もう副担が痛がる事はなく、三回戦目にはゴムがなくなり生だった
さすがに私のお腹の上に出していたけど

「ちょっと休憩(笑)」
私の頭を撫でながら、軽い寝息を立て始めた

無性にいとおしい
何だろう、この気持ち

サチに聞けば分かるかな?
永久にこの時間が続けばいいのに
学校なんて行かないで四六時中、抱き合っていたい

No.25 09/09/26 23:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

副担との赤ちゃんを想像してみた
結婚生活を想像してみた
全然アリだった

経済力もあるし、時折見せるさりげない気配りも好印象だった

私は全然寝付けなかった
副担は無防備に寝ていた

寝顔が可愛かった
寝息も静かなリズムだった

安心しきって寝てる姿は、母性本能をくすぐる

私の中に母性本能が産まれたのかは定かじゃないけど

突然目覚めた
そして現状に驚いていた

そして一服
もちろん私に断ってから

No.26 09/09/26 23:27
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリア来月で16才だろ。結婚するか?」

ベッドの上での戯れ言だと思っていたから、正直驚いた


それくらいの覚悟で今日という日を臨んだのだろう

申し訳ない気持ちで一杯だった。私の方が軽い気持ちでいた

副担に16才の教え子と結婚というレッテルを貼りたくなかった

「嫌だよ。まだ16だよ。もっと遊びたいよ。ごめんね」
微かにホッとした表情をしたような気もした

時計を見ると4時前だった

No.27 09/09/26 23:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

目が覚めてしまったので、お湯をはり一緒にお風呂に入った

15才でここまで体験してる子ってどれくらいいるんだろう

ゴムが無いので、挿入はしなかったが湯船の中でイチャイチャした
キスも沢山した

ベッドに戻り色んな話をした。子供の頃の話、生徒の話、成績の話は早めに話題を変えた
幸せだった

着替えてホテルを出たら
7時になっていた

夕食摂ったデ○ーズで一緒にモーニングを食べた

目の前にいる人は、身体の関係はあるけど彼氏ではない

No.28 09/09/27 00:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

車内でも沢山話をした
バレンタインに告白されてから、副担は私について色々情報収集したと言う

先生達からの評判、成績、家族関係などの調査表、授業中の態度、男の噂等々

調べれば調べる程気になる存在になったと
当初の予定では、ホワイトデーには飯だけ食って、
4月に16才になったらデートでも。
一度どこかに遊びに行けば、私も納得して離れていくだろうと素直に話してくれた

やっぱり副担はいい奴だ

「またやりたくなったら連絡ちょうだいね」
近くの駅で降ろしてもらった
「バカ、こんなオジサンじゃなく年相応の恋愛しろ。気を付けて帰れよ」

車はそのまま三年生の抜けた学校に向かった
私は春休みだけど、副担には仕事が残ってる
寝不足のまま出勤して行った。昨日と同じ服だと気付く先生はいるのかな?

No.29 09/09/27 00:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

家族が各々出ていった後の時間に帰り、一眠りした

股関節が痛かった。軽い筋肉痛にもなっていた

春休み副担から連絡は来なかった。私からも連絡はしなかった

ふと思いだし、卒業文集を開くと、
【滅びた一夫多妻制について】という題名が目についた。筆者はモテオだ

文中で彼は魅力的な女が多く1人に絞れない。個性は色々あって当然。一夫多妻制の復活を切に願うと書かれていた
他の同級生は修学旅行の思い出やら、部活の思い出を書いていると言うのに(笑)

モテオの彼女は立派な人格者だった。噂のあった私にも優しかった。
朗らかで、いつも余裕があってそしてモテオの事が大好きだった



予定通り生理がやってきて、桜が咲き、私は高校生になり、続けて16才になっていた

No.30 09/09/27 01:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

第一部~完~

第二部スタート✋


高校にはサチはいなかった
比較的大人しい同級生が多く、中には大人ぶって意気がってる人もいた。
ごく普通な高校生の出で立ちをしてる私は大人しく過ごしていた

でも刺激が足りなかった
いいなと思った男の子は、秀才君でギターとバイクが趣味
私は彼の影響で原付の免許を取得した
休日は引っ越し屋でアルバイトしてる頑張り屋
なかなか遊んでくれなかった

ある日家まで押し掛けると嫌な顔せず上がらせてくれた
高層マンションの一室には彼しかいなかった
彼の部屋でギターの練習を見学し有線を聞いていた

ベットに2人で腰掛けているのに、何もなく、帰り際に【アルジャーノンに花束を】という本を借りた
帰り道、何か物足りなかった。もどかしさからイライラした。

後日、彼と原付二台で遊園地に行った。大通りを彼のスピードに合わせて駆け抜けるのは快感だった

遊園地デートでも手を繋ぐ事はなく、でもまーまー楽しかった

健全な付き合いが続いたある日、彼が「俺の事好きなら、さっさと告白してくればいいのに」と話している声がした
それから遊園地の話しになっていたので、やっぱり私の事だと確信した。

No.31 09/09/27 01:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

一気に彼の評価は下がり、男を見る目のなさに落胆した。
告白されるの待つって、お前は女子かと心の中で突っ込んだ
自惚れるな、童貞のくせに
高一はそれから大人しく過ごした。恋をしてないと脱け殻のようだった。記憶があまり残っていない


高二のクラス替えで体育会系の集団とつるむようになり、男五人と女二人でご飯食べたり、六時間500円でカラオケ歌いまくったりした。当時最強の7人組だった。
夜中にバカ騒ぎして、お巡りさんから逃げたり、花火で大笑いしたりと。

皆が原付を持っていた。その点は童貞君に感謝した
誰かの家に集まって、ゲームしたりトランプした

勿論うちにも来た
六畳間に7人、密着してトランプで大富豪した
「いい加減にしなさい、うるさい」と母にも怒られた

No.32 09/09/27 01:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

彼等が原付で帰って行くのを見送ると、無性に寂しくなった
1人が耐えられなく、テレクラに電話するようになった
年齢を偽り、その気にさせて電話を切る
また掛ける。違う相手と似たような話をする。会う約束して切る。待ち合わせ場所には勿論行かない
また掛ける
その繰り返し

一瞬でも寂しさが紛れる
一人じゃなくなる。見知らぬ男性がチヤホヤしてくれる
ドンドンのめり込んだ

No.33 09/09/27 02:03
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ある時、テレクラで訛りのスゴイ人と出会った
注意してヒアリングしてないと聞き取れない
青森から出てきたと言う

興味が湧き、会う事にした
待ち合わせ場所に着くと熊みたいな大柄の優しい目をした男性が小さく立っていた
恐縮してペコペコしていた
傍らには青森ナンバーの
大型ダンプが停車していた
折角だから乗らせてもらう

タイヤが大きくて乗り込むのも一苦労。でも眺めは最高だった。
男は、「こんな別品さん来てくれると思わなんだ。オラはどうしたらいい?」
と困っていた

私も困った。こんな大型車じゃドライブも出来ないし、散歩するには目立ちすぎる
トラックの中でイチャイチャしてたら丸見え
さて困った

なんかイイ人でほっとけない。やったことないけど、口で奉仕か~
すると、滅相もないと逃げ腰。17才じゃ末の妹と同い年で、立つものも立たないという

テレクラにもこんな人いるんだなと感心してしまった。28才の人妻の設定で話してたから、騙した事を謝ってダンプを降りた

去り際、「オラが言うのも何だが、テレクラなんかで遊んじゃいけない」と叱られた

No.34 09/09/27 02:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

熊さんに叱られた事もあり、暫くは大人しくしていた

家庭環境に問題ありそうな私の行動だけど、至って普通の4人家族。
サラリーマンの父に、パートの母。
二つ上に姉がいるけどバイト掛け持ちで必死にお金貯めてるため、あまり会わない
仲良い家族。秘密にしていることは多いけど…

父の教育方針は娘を信じる。原付免許も反対しませんでした。門限もなし、バイトも禁じない。人様に迷惑はかけるなが口癖

娘想いの優しい父です。
ごめんね、こんな娘で

No.35 09/09/27 12:11
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

高2の夏
体育会系男子は部活のラグビーで忙しく、コンビニのアルバイトが入っていない日はやることがなかった

この頃から、独りエッチを始めた。今の時代なら、携帯のサイトですぐ遊び相手は捕まるが、この頃はポケベルから携帯への移行時期であった

健康的な肉体は、癒しを求める
副担の愛撫を思い出しながら、自分の身体をまさぐる
布団の中で全裸になり、シーツの冷たさに反応する。シティーハンターの夜のもっこりを妄想して、自分の身体を
辱しめる

男性と違い、女の自慰は
終わりがない。飢えはドンドン深まる
人肌に触れたいという欲求は益々高まる

毎日自慰に励んでいたある日、お風呂場でビクッと
なった
一瞬、何が何だが分からなかった。シャワーをクリに当てていて、強弱をいじっていたら身体が弾けた

もう一度やってみたが、
駄目だった。それからは
お風呂場での自慰にハマるが、家族に怪しまれるリスクが高い

さらに、私の欲求不満は高ぶっていった…

No.37 09/09/27 14:20
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

夏休み最後の週の月曜日、駅前をブラブラしていると張り紙が至るところに張られている公衆電話が目についた

何気なく中に入り、電話するフリをしながら張り紙を読む

殆んどが出前人妻サービスや駅前風俗の広告で一種類だけシンプルに【女子高校生急募】と書かれていた

一枚、一枚が簡単には剥がれるようになっており、
求人の広告を一枚いただきボックスから出た

仕事内容や給料など一切
明記されておらず、ただ携帯番組だけが載っていた

退屈しのぎに家に帰り早速電話してみた

No.38 09/09/27 23:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「はい」
しばらく呼び出し音が鳴ってから、低い声の男が出た

公衆電話の女子高校生急募を見たことを伝えると、
面接日を強引に決められた

仕事内容はその時説明するので、その後決めてもらって構わないと言う
バイトのない木曜日の2時に駅前で約束した

怪しいかなとも思ったが、男を容姿を見て危険な匂いがしたらバックレようと思っていた

危機管理が備わってないから、危なっかしい橋ばかり渡っていた高校時代だった
恐れを知らぬ未熟な年頃は危険がいっぱいだ
年を重ねた今、その頃がいかに無防備だったか思い知らされる

No.39 09/09/28 00:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

5分遅れで待ち合わせ場所に行くと、30代後半位の 人の良さそうな色白オジサンがいた

一応、合格と言う事で顔を出すと「リリアさん?」と声を掛けられた
頷くと、一枚の名刺を渡された。【マ○キコーポレーション 代表取締役 柴田…】と書かれていた

「AV?」
「違うよ、似てるかもしれないけど(笑)」

詳しい話は車の中でとミニクーパーの助手席に促され乗り込んだ
地元はここか尋ねられ、そうだと言うと、場所移動しようと車を走らせる

仕事内容は、出張サービス女子高校生バージョンだった。

No.40 09/09/28 00:27
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

すでに10人登録しており、仕事を始めていて事業拡大のための求人だった

「登録してる子教えて」
と頼むと、プライバシーだから駄目だと言われた
そりゃそーだと納得

知り合いに遭遇しないために、出張先は隣の県になるという
隣の県にある店に来た客は写真で女の子を指名
女の子と客の都合をつけ、スタッフが家に女の子を連れて行き、終わったら連れて帰るシステムだと言う

一回45分で3万円女の子に支払われる。隣県までの交通費込みで

客がいくら払うのかは教えてくれなかった
援交の先駆けの商売だった
今ほど簡単に高校生とやれる時代ではなかったので、需要は多かったのだろう

客も好みがうるさく、なるべく普通の高校生を探していたという。登録してる子達は、仕事が次々入るため嫌気がさしてきて、投げやりで困ると言っていた

No.41 09/09/28 00:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

時給750円のコンビニバイトと比べると、酷い差だった
1ヶ月頑張って働いた給料と2人相手にした額が一緒
頭がクラクラした

「やってみる?」
タイミングを見計らって声を掛けてきた
指名入っても、面倒だったら難癖つけてバックレようと思ってた

とりあえず頷く

「ヨロシクね、取り敢えず社内規則だから身体検査するよ」
ミニクーパーは左折して、見慣れぬ建物に入っていった…

No.42 09/09/28 00:47
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そこは隣県のラブホテルの駐車場
あらら、やられたと気付いた時には遅く、柴田は慣れた手付きで部屋のキーを手にしていた

しずしずと付いていく
大事な商品傷つける事は
しないだろうと高をくくっていた

部屋に入り、無造作に荷物を置くと
「まず下着姿になって」
柴田はベットに腰掛けながら指示した

言われた通り脱ぎ出すと
聞き慣れない着信音が

「はい」低い声で柴田が答える。話の内容から、生け贄の子羊がもう一匹罠にかかったらしい

自分の事は棚に上げて、馬鹿な娘だなと思った

No.43 09/09/28 01:00
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「おお」
電話を切った柴田が下着姿の私を見て喜んだ

毎日の自慰のせいで女性ホルモンが沢山分泌したのか、ここ1年で胸はDカップまで成長していた

「ずいぶん着痩せするんだね。第一印象おっぱい大きいとは思わなかったよ。」
柴田は近寄ってきて、ジロジロ全身を観察している
「巨乳の童顔 素人高校生。いいねえ~」

水着は見られても平気なのに、下着はなんでこんなに恥ずかしいんだろう
顔が赤くなり、身体が火照る

下着姿のまま、ジャンプしたり、開脚したり、前屈みになったりした
その度に柴田は興奮して、奇声を上げた

No.44 09/09/28 01:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

次は実技指導だとお風呂場に連れていかれた
全裸になった柴田は痩せた白ブタみたいだった

色白で弛んだ皮膚。ポッコリ出たお腹。やたら細い手足
鳥肌が立った
生理的に無理だった

唯一救われたのは、左手の薬指に結婚指輪をしていた
柴田を良いと思ってる女性もいるのかと、安堵した

泡立てたスポンジを手渡され、直立不動に立っていた「洗って」

下着姿のまま、柴田の全身を洗ってみる。柴田の視線は終始胸の谷間に
このおっぱい星人が!!と心の中で悪態をつく

一通り洗い終わると、バスタブに腰掛け足を開いた
「ここは手で丁寧に」

No.45 09/09/28 01:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

しゃがんで、柴田の物を両手で包み込みながら洗った
「強く握って」
「先っぽ刺激して」
「玉と玉の後ろの方も」
次から次へと指示が変わり言われた通りに洗った

その度に、小振りなあそこはビクッと動く

「オーケイ。じゃあ俺はベットにいるから身体洗って出てきて」
泡を流したあと、バスタオル持って出ていった

一人風呂場に残された私は、下着を脱ぎ、言われた通り身体を洗いバスタオルを巻いて出た

No.46 09/09/28 01:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「バスタオル取って」
ベットの上から指示され、浴槽へ続く扉の前で全裸になった

この時、もうどうにでもなれと思っていた。バージンでもないし、恋人もいない

鳥肌が立って、全身で拒絶したあの時に、この仕事はやらないって決めた
私には無理

「こっちきてベットに横になって」
全裸で横たわる
柴田が胸に触れる。反応して乳首が立ったが、感じたのではなく鳥肌の一種だと思う

胸だけを執拗に愛撫する
股の間は、濡れたかどうかだけ確認して、濡れてないとわかると自分の唾を塗りたくった

そして上に乗ってきた…

No.47 09/09/28 01:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

チラッと見ると、いつ装着したのかゴムは着けていた

小さくても、ゴムは密着するんだと変な発見に気を逸らしている間に挿入されていた

柴田は息を切らしながら
腰を振っている
演技で喘ぐ
益々腰を振る

頭の中は冷めていた。何でこんなことしてんだろうと振り返っていた
事の発端は~と記憶を遡り、広告いっぱいの公衆電話が思い出された

あそこで好奇心の虫が蠢かなければ、こんなことにはならなかったなと反省

知らないうちに柴田の腰の動きは止まり、肩で息をしていた。どうやら逝ったらしい

ゴムを外しながら、ブツブツ言っている。
様子伺っていると、セカンドバックからゴムを取り出し装着しようとしていた

「身体検査終わりましたよ。合格ですか?」
控えめに声をかける

No.48 09/09/28 02:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

柴田は顔を上げて
「店に出すには勿体無い。俺の専用にしたい。
でもリリアは儲けを産む金の卵だ」

言い終わらないうちに、
覆い被さってきた
殆んどレイプ
渇いていたため、どんなに小さくても擦れると痛い

「やめて下さい」の声にますます興奮して、激しく腰を動かす

無理やり私の身体をうつ伏せにすると、バックから
挿入してきた
力ずくで腰を持ち上げ、
四つん這いにし、腰を打ち付けながら奇声を発してる

こんなセックスが気持ち
言い分けない
早く終われ、早く逝けと
願っていた

願いが通じ、すぐ果てる

「シャワー浴びてきます」返答待たずにバスタオルを持ってお風呂場へ駆け込む

柴田が触った所をゴシゴシ洗う。股間はこれでもかという位洗浄した

下着をつけ風呂場を出ると、柴田は煙草を吸っていた

「リリアはどうしたい?」一瞬意味が分からない
咄嗟に柴田に囲われるか、店の看板になるかだと
思い付く

服を着ながら、悩むふりをする。入れ換えに柴田が
風呂場へ

落ち着いて考える
ここから逃げる方法を
愛人にも売り子にもならない方法を…

No.49 09/09/28 02:26
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

風呂場から出てきて身仕度を調えた柴田は、高そうな財布からお札を出し私に
手渡した

諭吉が五枚

「90分だと五万円」時計を見ると確かにそれくらいの時間が経っていた

決意した
「お金が欲しいので、店に出させて下さい」
柴田は少し残念そうな顔をしたが、すぐ社長の顔に戻った

セカンドバックから一枚の紙とボールペンを出し、記入するよう言った

サラサラと嘘の住所と電話番号、嘘の名字を記載する
バレないよう平常心で

書き終わると柴田は書類を仕舞い、帰り支度を始めた
「店用の写真撮るから、いつでも名刺の住所の所に
来て。店の奴には伝えて
おくから」
「はい、よろしくお願いします」恭しくお辞儀する

心なしか上機嫌な柴田に、駅まで送ってもらい別れた

No.50 09/09/28 02:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

駅のトイレの汚物入れに、5人の諭吉を捨てた

届けるか、猫ババするかは汚物入れを開けた人の良心次第

やっちゃった
後悔ばかりが溜め息と共に


翌日、サチから副担が結婚することを聞いた
異動した先の養護教員だ

良い出会いがあったんだとホッとした
私のせいで、生徒に手を出す鬼畜教師になってなくて良かった

副担のおかげで、少し
テンションが復活した
やっぱり副担は良い奴だ


第二部~完

  • << 58 副担の幸せを喜んであげられてよかったですね。汚物入れのお金はきっと必要な人が拾って感謝してるよ。

No.51 09/09/28 18:11
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

第三部~スタート✋

隙があるから痴漢される
のか、痴漢が好むオーラが出てるのか
高2の秋は痴漢に悩まされた

一番多かったのは、乗換駅で下車する時。大勢の人が降りる瞬間を狙い、後ろから胸を鷲掴みされる
体勢を整えて振り向くと、次から次へと人の波で
怪しい人なんて分からない

揉まれ損


胸ならまだ良い方で、
人混みに紛れてやはり後ろから、制服のスカートをめくりパンツの割れ目を擦られた事も

一瞬なのに、良くピンポイントで狙えるなと感心する
時間や車両変えたりしても、痴漢にあう日は会ってしまう

同じ人に狙われていたのだろうけど、他にも何人かいたと思う

No.52 09/09/28 18:22
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

痴漢は触れれば満足なのか、車内でイタズラはしてこなかった

下半身を押し付けてくる
サラリーマンや、髪の毛の匂いを嗅ぐオジサンもいた
しばらく我慢したり、抵抗したが敵も細やかに攻撃してくる
さすがにパンツの中までは侵入してこなかった

痴漢は一体何が楽しいのだろう?

No.53 09/09/28 19:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

柴田の件もあり、好きでもない人に身体を触られると、一瞬で渇いてしまう

頭にくるし、朝からイライラして登校するのも嫌なので、自転車通学を試みた

電車で一時間かかる距離が自転車だと45分だった
のんびり漕いで一時間程度
最初疲れたが、半月もすると快適だった。自然とダイエットにもなった
もっと早く自転車にすれば良かった。雨のおかげで、傘差し運転も上手になった

それでもやっぱり痴漢に出会った…

木の繁った人気のない道を漕いでると、中年のオジサンが向こうから歩いてやって来た
別に気にしないですれ違おうとすると、声を掛けられた

「すみません…」

No.54 09/09/28 19:41
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

自転車を止めると
「ここら辺に郵便局はないですか?」と
一番近いのは、商店街なので、そこまでの道程をどう説明しようか考えてると、
突然
横から抱きしめられた

自転車のバランスを崩し、倒れそうになるも、しっかりオジサンが私の身体を
抱き止めていたので転ばずに済んだ

腰をガッチリ抱え、胸に顔を埋めて左右に動かしている
Yシャツのボタンの隙間
から舌を入れて谷間を舐めていた

私は必死に抵抗して、頭や肩を叩くも離れず、大声出してもオジサンは怯まなかった

オジサンの左手が、サドルとパンツの隙間に滑り込んだ
何がなんだかわからず、
無我夢中に自転車を倒し
数メートル逃げ出した。振り返ると

「ホントは気持ちイイくせに…」
ニヤッと笑い、そのまま歩いて行った。

自転車まで走り、飛び乗ってオジサンとは逆方向に
逃げた

No.55 09/09/28 19:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

怖くて涙が出た
オジサンの力の強さが怖かった

時間にしたら、ほんの一瞬の出来事
電車の痴漢の方が、まだ
マシ

親には話せなかった。
お前が悪いって言われると思った
お前がそんなに短いスカート履いてるからだって

学校の皆は、私よりもっと短いし、ルーズソックスは全員が履いてる

特別に挑戦的な制服の乱れ方はしてない

私に隙があったのだろう
次の日は遠回りして自転車で通学した

No.56 09/09/28 20:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

嫌な事は続き、別ルートで下校していたある夕方

冬が近付くと、5時過ぎには暗くなる

県道と平行して走ってる
横道を通って帰宅していると、一台の白いフルスモのセダンが路駐していた
運転手はいなかった

横道なので、車がすれ違うのがやっとの道路幅
邪魔だなと思いながら、セダンの横を通り過ぎた瞬間
眩しい光が目に飛び込む

写真を撮られたと分かった時にはセダンから随分離れていた

車内の見えない車に戻る
勇気はなくそのまま走り去った

オジサン事件のあと、隠れて写真まで撮られ、恐怖で自転車通学は断念した

10月からの1ヶ月半
快適な自転車の時間は終わりを告げ、痴漢の待つ電車通学に戻した

No.57 09/09/28 20:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

一連の痴漢騒ぎは、柴田が裏で関係してるのかもと疑心暗鬼になった
あれから音沙汰は全くない
自分でも自意識過剰だなと思い、気にしない事にした

電車の痴漢に対しても、脇を締めて下車したり、毛糸のパンツを履いて防御した
知り合いを探して、一緒に登校した
そのうち、痴漢もターゲットを変えたのか、被害にあわなくなった

17才の秋は、やっと安息

No.59 09/09/28 20:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

寒くなり性欲が減退したのか、柴田のせいで懲りたのか自慰をする回数が激減

再び穏やかに過ごしていたが、長くは続かない


冬休みに入り、コンビニバイトの時間を少し早めて、7時半からにしてもらった
時給も少しアップ

底冷えのする朝、いつものように愛車の原付ジョグZに乗り、コンビニへ向かう

寒い日の朝の原付は、本当にツライ。自転車は走ってると身体が暖まるが、原付はドンドン冷え込んでいく

橋の上で信号に引っ掛かる。ジョグZは馬力があり、スタートが早い分振動も強い

対向車が通過すると橋が揺れ、原付のバランスが悪くなった

治そうと両足を地面に着けた瞬間

ビクッ

No.60 09/09/28 20:40
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

身体が仰け反った

この感じどこかで…
原付の振動が絶妙にクリに当たり、私は突然絶頂を迎えてしまったのか

それから原付に乗る度、クリの位置をかえ試みるも、登り詰める感覚も、気持ちイイ場所も見付からなかった

冬の間、私の自慰は原付の上で行われていた

No.61 09/09/28 21:00
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

高3になり、すぐ18才になった。
誕生日前の日に高2のクラスメート体育会系で集まり、オールでカラオケ大会をした

男子は部活とデートで忙しく、なかなか全員が揃わずこのカラオケ大会が解散記念イベントになった

参加者は男5人、女2人+彼女2名の参加で総勢9名

0時までのカウントダウンの後、突然クラッカーが
鳴り響き、私の誕生日を祝ってくれた
何故か9人で、
【あなたが私にくれたもの…(繰り返し)】を熱唱
お酒も少し入ってて、何をしても大爆笑だった

1時過ぎた頃から、彼女連れが帰って行き、男3人、女2人が残った

No.62 09/09/28 21:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ここで乱交が始まり…

となると盛り上がるのかもしれないけど、うちらはそんな関係ではなく、純粋に仲間だった

4人抜けたので、急に部屋が広くなり場が白けた
歌うのをやめて、暴露大会に趣旨を変更

「今だから言うけど…」をテーマにひとりひとり話始めた
私には言えない事が多すぎる。

No.63 09/09/28 22:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

向かいに座っていたテツが「リリア、タローに告られたんだろ?」
タローは先に帰った彼女持ちの1人だ
「今だから言うけどね、うん。」

左隣に座るマリは、タローが好きだった
気にして見てれば、バレバレなマリの態度だった
第3者が知っていたので、タローもマリの気持ちは知っていた筈

それでも私に付き合って欲しいと言ってきた。タローはいい奴だけど、付き合う事はできないと断った

それから、タローは付き合いが悪くなり、全員が揃うのは難しくなったのだ

「今だから言うけど…」
マリが口を開く

「タローが落ち込んでたから、励ました事があって。丁度リリアに玉砕した頃かな?」
マリが言葉を選んで…

「慰めてって言うから、慰めてあげちゃった」自傷的に笑った

No.64 09/09/28 23:14
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「えっ!」
「はぁ?」
「え…」
私以外の男性3人が一斉に声を出しマリを見る。

「やっちゃったの?」
代表して私が冷静に質問した。
「だって…」
マリは泣き笑い顔

テツは泣き顔だった
マリに負けないくらい、テツの行動も第3者にはバレバレだった

テツはマリが大好きだったのだ

仲良し7人組は見掛けだけで胸の奥は男と女の駆け引きでドロドロだったのかもしれない

No.65 09/09/29 22:55
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「で?やられるだけやられて付き合ってもらえなかったわけ?」
マリは私の質問には答えず
「タローは何でナッチと付き合ってんだろう。リリアに未練タレタレのくせに…」

誰もが口を開かなくなり、リーダー格のマッキーがお開きを決めた。

会計の後、トイレに行ったメンバー待ちの時マッキーが話し掛けてきた

「タローと俺はお前のファンだったんだ。」
私のファン?全然ピンと
こない

「可愛い顔してんのに、いつも暗い顔してるから、勿体無いって思ってた。
だから俺達はお前が笑ってくれると嬉しかった」
そんなに暗い子だったんだなと、ちょっと反省

自惚れる頑張り屋のせいだなと、顔を思い出そうとするが曖昧…

No.66 09/09/29 23:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

トイレ組も加わり、改めて解散になった
原付を停めている駐輪場へ向かおうとすると、マッキーが小声で
「このあと学校で待ち合わせしようぜ」
返答待たずにテツたちの側へ行ってしまった

時計を見ると、もう少しで午前3時
こんな時間に家に帰っても確かに中途半端だなと思い、マッキーと語るのも悪くないから学校に行く事にした

「じゃあまた来週~」
「お疲れ~」
各々帰路へ着く

春はバイクの季節だ。風の抵抗がホロ酔いには気持ちイイ

夜中の人影のない街は嫌いじゃない。無性に大声を出したくなる
スピード出して叫びたくなる
そんな勇気は持ち合わせてないけど…


遠回りして高校に向かう
校門にマッキーの姿はない
学校の回りを一周すると、裏門が開いていて中に原付が一台停まっていた

No.67 09/09/30 00:01
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

免許取得が校則で禁じられているのに、原付で高校に入るなんて。
真夜中だから出来る特権だ

裏門を閉め、二台の原付を見えないとこに停める
ここにもマッキーの姿はない
回りを見渡すと、部室の
電気が一ヶ所点いていた
部活動に入ってない私は、下3部屋、上3部屋の部室の何処が何部かさっぱり
わからない

電気が点いてる下の真ん中の部屋をノックする。
マッキーがいた

良かった
ホッとした

「汚いけどどうぞ。女人禁制の城へ」マッキーがお茶目に出迎えてくれた

No.68 09/09/30 00:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

思っていた部室のイメージとは違った
もっと狭くて、臭くて、汚い部屋だと想像していた

10畳ほどの縦長で、ロッカーと炬燵と事務机が置いてあるシンプルな部屋だった

「思ったより綺麗?」
図星だった
エロ本とか煙草は隠したのかな?
マッキーは事務机のスタンドを点けると部屋の照明を落とした

「外から通報されると厄介だから。」
仄暗いけどマッキーの表情はちゃんとわかる
「良く勝手に使ってんの?」

「勝手に合鍵作ったから(笑)試験前とか。女性連れ込んだのは初」
マッキーは嘘は言わない
マッキーはいかにもラグビー部って体型で、強いて
言うなら虎っぽい

頼れる兄貴分だ

ボロい冷蔵庫から、ペットボトルを二本出して炬燵の上に置いた

No.69 09/09/30 00:40
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マッキーが炬燵に入ったので、私は真向かいは避け
左側に入った

「リリアってさ、経験豊富じゃない?」
突然何の話を…
「いやいや、今まで付き合ったことないからー」
私は嘘は言ってない

「処女じゃないんでしょ?」ここに来たことは間違いだったかもしれない

「何、どーしたのいきなり?」
マッキーは真剣な顔で
「俺どーてー」
「え?高1の時彼女いたじゃん」

「それがさ、聞いてくれる?リリアちゃん」
ちょっと興味津々

内緒事を打ち明けるかのように声を潜めて「デカ過ぎて入らなかったの」

「へ?」
思わず間抜けな声が出た
「そんなことあるんだ」
「それがあるんだな~」

No.70 09/09/30 00:55
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「どれくらい?」興味津々に質問する
「その前に。処女じゃないよね?」

素直に頷く
マッキーは深い溜め息を
ついて肩を落とす
「誰だそいつは。羨ましいな~コノヤロー」
モテオの顔はすぐ浮かんできた。元気かなぁ?

「エッチは普通に出来た?」
ちょっと思い出す
まーまー出来てたかな…

控えめに頷く

「リリア、お願い!
やらせて。初めては好きな子とやりたい」
タローと一緒じゃん。タローも付き合えないって断ったら同じお願いをされた。男ってやつは…

「マッキーのでかいんでしょ。入らないよ~」
断る口実を探す。でもデカイと豪語するサイズは見てみたいかも

No.71 09/09/30 21:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「やっぱり入んないよな…痛い思いさせるのも可哀想だし」
半ば諦めモードのマッキーが、ちょっと不憫に

マッキーのお陰でたくさん笑った。マッキーの歌う
東京プリンの【青のり】は私の中でヒットだった

彼氏としても文句ない。
先生から最も信頼されているラガーマンだし、何より優しい

でも、タローとマリの顔が浮かんでしまう。何も言わないけど、多分マッキーもタローの事が引っ掛かっていたと思う

高校生の時って、恋愛と
同じくらい友情も大事
大人になるとだんだん違ってくるけど…

「マッキー。いいけど、
タローには絶対言わないで」ウヒョって顔になった

「もちろん、誰にも言わないよ」

マッキーは擦り寄ってきた

No.72 09/10/01 18:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ここでやったら又経験人数が増えてしまうな…とぼんやり考えた
いい加減、彼氏欲しいな…とキスされながら思った

テレパシーかマッキーが
「リリア、俺と付き合える?」と聞いてきた

んー 難しい問題
回りは祝福してくれるだろうか
告白されたのに、冷めている私がいた。身体を許してから、告白されても何か
微妙

遊びの方が楽と考える。マッキーに対して失礼極まれない

「良くわからない…」
私は正直に答える
「7人でいる時も楽しかったけど、俺なら2人でも
十分楽しませてあげられる」

そうかもしれない。

No.73 09/10/01 18:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「私なんかでいいの?」
「リリアがいいんだよ」

マッキーの笑顔に胸がキュンとなった。
私は、大切な人が近くにいても気付かない程、鈍感なんだと気付いた

「一年前から決めてました。よろしくお願いします」 昔に流行ったねるとん風に右手を差し出してきた

「ふつつかな彼女ですが…よろしくお願いします」

マッキーの右手を大事に
両手で包む
18歳の誕生日に生まれて
初めての彼氏が出来た

「最初から告ってくれればいいのに。何でやらせてが先なわけ?」
「バカたれ~告白して振られたら立ち直れないじゃんか(笑)
Hを断られてもジョークで笑って流せるから
また一緒に遊びに行ける
じゃん」

No.74 09/10/01 18:47
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

良くわからない持論だけど、マッキーらしくていい

今までの男達は、キスしたらすぐ身体に触れてきた
でも自称童貞のマッキーは会話してる時私に触れていなかった

そーいう余裕が、マッキーの器の大きさと誠実さを表していると思う。大切にしてもらえる気がした。

「帰ろう」
突然マッキーが立ち上がる
そのまま、カーテンを開けると外は明るくなってきていた

「やらないでいいの?」
マッキーの行動に予測が
出来ず、思わず尋ねた

「焦らない、焦らない。
ムードあるとこで思い出に残るセックスしよう」
「強がっちゃって(笑)」

「ちげーから。俺はビビってんの(笑)
今強引にやって、目が覚めてハイ夢でしたって落が怖いの」

マッキーは素直だ。
私は立ち上がり、背伸び
した。マッキーは戸惑いながら、腰を屈めてキスしてくれた
「夢じゃないよ」唇を離して笑いかけると、すぐ塞がれた。

No.75 09/10/01 19:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ぎこちないキスで、マッキーが緊張してるのが分かる

いつも冷静なマッキーが。185cmの細マッチョを可愛いと思った

激しく舌を絡めないキスの方が、身体が反応する。

男は激しい方が女も喜ぶと勘違いしてそうなのに、マッキーのキスは優しい愛撫のようなキスだった

優しさが唇から伝わる

「んっ…ん」
思わず吐息が漏れる

突然マッキーがキスを止め、私を抱き締めて
「ヤバい、ヤバい。リリア色気有りすぎる!!」

「リリアは時々ドキッと
させる仕草をするんだ。無意識なんだろうけどさ」

マッキーは目を見て話すから、こっちが恥ずかしくなる。

No.76 09/10/01 19:56
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「そろそろ此処を出よう」「えっ?」
「俺が我慢出来なくなる」
真面目だなぁ。
でもマッキーについて行こうと思った。
マッキーのペースにあわせて、高校生の恋愛を楽しもうと

手を繋いで部室を出る
マッキーは最初から今日
告白しようと決めていたらしい。
突然のマリのぶっちゃけ話がなければ、カラオケBOXで皆の前で言うつもりだったと。

今日で仲良し7人組は解散した。でも寂しくはない。隣にマッキーが居てくれるから…


第三部~完~

No.77 09/10/01 20:15
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

第四部~スタート~

付き合い始めてすぐ私は
マリに、マッキーはタローに報告した。
マリもタローも祝福してくれた。嬉しかった

タローは、「別れたら一番に報告してくれ、リリアを慰めに行くから」と笑っていたらしい
マッキーは、いの一番に
タローに報告していた。

もう7人で集まることは
無いけど、友情にヒビは
入らなかった
マッキーの人柄だ

男を見る目がなかったなと反省
こんなに良い男が側にいたのに、1年も気付かなかった。寄り道ばかりしていた

本当の幸せは、身近にあるもんだ

No.78 09/10/01 20:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マッキーは部活で忙しい。三年生は春の大会で引退し、冬の受験に備えるのが普通なのだが、マッキーは
夏の大会までコーチとして残って後輩を指導する約束になっていた

こんな風に教室の窓から
校庭の部活動を眺めた事
なんて一度もなかった
いつもすぐ帰宅していた

誰もいない夕方の教室は、静かすぎて寒い。
でも何時間でも待っていられた。幸せな時間だった

暗くなりボールが見えなくなると部活が終わり。
二年生は学校周りを三周ジョギングして終わるが、コーチは帰れる

頃合いを見て昇降口に行き、ちょっと待ってると制服に着替えたマッキーが走ってくる

No.79 09/10/01 21:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「待たせてごめんなさい」「たまにはね」
コンビニのバイトのない
木曜日だけ一緒に帰れる

マッキーの鎌チャリの後ろに立ち乗りして校門を出る

「先輩お疲れ様です~」
ジョギング中の後輩だ
「おぅ、お先~」
「リリアさん、パンツ見えそうですよ!(笑)」

「見たら高いぞ」マッキーが答えて後輩が笑ってる

「そんな金持ち合わせてませんから~お疲れ様でした~」

教室は寒かったけど、風は心地よい。マッキーの汗の匂いも心地よい。
「パンツ回りに見えてんの?」
「んー見えてるかも」
「なにー俺は見せてもらえてないのに」
「冗談だよ(笑)そう簡単には見えないよ」
「どーだかな~」

実際はエナメルの肩掛けバックで通学してたので、バックが重石になりスカートは捲れない

No.80 09/10/01 21:43
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

一緒に帰れる日は、マッキーの家に寄っていく
7人組で麻雀するために
集まってたから、家族とは面識があった

お母さんは彼女としても
温かく迎えてくれた。
「上出来」と息子を誉めていた。
実はハズレクジかもしれませんよと心の中で思った

マッキーがシャワー浴びている間、彼の部屋で過ごす。今日で四回目、付き合って2ヶ月くらいになる。
まだキス止まり

CDは洋楽が殆んど。適当に選んでコンポに入れる

No.81 09/10/01 22:00
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

少しすると、髪を濡らしたままのマッキーが戻って
きた
水も滴るいい男
「何にやけてるの?」
マッキーは笑ってる

「いい男だなと思って」
「やっと気付いたのか。
そろそろ飽きられる頃かと思ってたけど」

正直、どんどんマッキーに惹かれて行く。嫌われたくないと思う。でも何をしても嫌われそうな気がする

自分に自信がない
恋をすると臆病になる

「飽きる頃かもね~」
つい意地悪が出る。天の邪鬼な私の悪い癖だ
「はいはい」隣に座り私を抱き寄せる

「バイト代入ったから、
日曜日どこか行こうか?」マッキーは忙しい合間の休みの日に宅配ピザでデリバリーのバイトをしていた

No.82 09/10/01 22:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

デートらしいデートをしていなくても不満はなかった

一緒にいるだけで満たされていた。
不思議な事に、マッキーと付き合い出してから自慰は一度もしてない

会えない日には電話をくれたり、原付で一瞬だけでも会いに来てくれる

それだけで充分身体も満たされていた

「どこか行きたい所ある?」すぐには思い付かない
一緒にいられれば何処でもいいのだから。

「出来れば…その時やりたい」真剣な目。思わず笑っちゃう
「体調はどう?平気そう?」しばらく間があき、生理の事だなと思い当たる

No.83 09/10/01 22:25
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「予定日はもう少し後だから、全然大丈夫です」
言ってて恥ずかしくなる

今日が木曜だから、3日後が日曜日
思いきって今襲い掛かってくれた方が気が楽なのに

「楽しみ。デートプランは任せるよ」強がって、余裕を見せる
心臓はバクバク

最後にキスして駅まで送ってもらう

どーしよう。夜眠れるかしら?

No.84 09/10/02 00:50
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

布団の中に入っても寝付けない
ドキドキがしばらく止まらなかった
初体験じゃないのに。

金曜と土曜は浮かれてた
テンション上げすぎて疲れた

そんな時、マリとテツが
付き合い出した。マリから告白したようだ
しっかり者のマリと少し抜けてるテツはいいコンビかもしれない

皆も幸せになれますように

そして前日の夜、マッキーと電話で打ち合わせ

日曜日11時に駅待ち合わせとなった。

No.85 09/10/02 07:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

日曜日の朝、下着選びに
悩まされる。こんなこと
初めて

どうせすぐ脱がされるブラを選ぶなんて、今まで考えもしなかった
マッキーに見られるブラは可愛い系か、シンプル系か、はたまたセクシー系か

マッキーはどんなのが好みなんだろう?
聞いておけば良かった

悩みに悩んで、ピンクの
レースにした
着ていく洋服も悩む

デートって大変だ
でも楽しい

約束10分前に駅に着く
マッキーはもういた
「待たせてごめんなさい」「待たされてないよ、まだ待ち合わせ時間の前だし」
最高の彼氏だ。
手を繋ぎ、電車に乗り込む。電車内は混んでいた
マッキーが包み込んで守ってくれる
電車内でキスするカップルの気持ちが分かる
キスする勇気はないけど…

しばらく乗っていると、行き先が分かってきた
東京ディズニーランドだ

子供の頃、親に連れていってもらったのが最後
顔を上げるとマッキーが
笑ってた
「どう?嬉しい?」
「もちろん~」

でも初めてのデートで来ると別れるってジンクスがある。マッキーに知ってるか尋ねると
「そんなの関係ないよ」 その強さがカッコイイ

No.86 09/10/02 07:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

梅雨の時期でもあり、園内は比較的空いていた
途中ポツポツ雨が降ったが、すぐ止んだ
ドナルドダックと写真を撮った
お尻のフリフリが可愛い

グーフィーと抱き合ったらマッキーが妬いた
ディズニーランドの着ぐるみの中は女性が入ってるって聞いた事ある。
単なる噂か、真実かはグーフィーの感触では分からなかった

中止のアトラクションもあったけど、パレードは中止にならなかった。
クタクタになり、夜のパレード観て帰路につく

「楽しかった?」
「もちろん」
マッキーとの初Hのことなんてすっかり忘れていた
もう20時過ぎてる
明日は学校だ

「ごめんマッキー。はしゃぎ過ぎた」
「俺も楽しかったよ」

No.87 09/10/02 07:46
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「次どこにいくの?」
しばらく考えてたマッキーは、
「リリアはどこでやりたい?」と耳元で囁いた

んー、ラブホテルには良い思い出がない
「マッキーの部屋で」

また考え始めたマッキー
「明日、俺の部屋から登校しな。午前中家族いないから、8時過ぎにうち来て」「今日じゃなくていいの?」
正直、疲れていた。
マッキーはそこら辺もくみ取ってくれていたのかもしれない
「家族いる家の中じゃ、落ち着かないでしょ」
マッキーの行動力や思考力は大人だ

また今夜も寝不足かも
ピンクの下着は出番なく、洗濯機の中へ…

No.88 09/10/02 08:45
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マッキーの家まで原付で
行った。30分かからないで着いた

マッキーが出迎えてくれる「おはよ」
「おはよう。お邪魔します」

マッキーの部屋は玄関すぐの階段を登って一番奥の
八畳間だ
いつも綺麗に片付いている

これからやるんだなと思ったら、緊張してきた
家の中はシーンとしてる

「学校間に合わないけどいいの?」
「部活に間に合えば(笑)」
良かった。慌ててやって
学校に行くんじゃ寂しかった

どちらからともなくキスをした。キスはもう数えられない位してる。もう緊張は解けていた。

そのままセミダブルのベットに倒される…

No.89 09/10/02 09:10
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリア、超好き」
「私の方が超好き」激しくキスをする
そのままマッキーはYシャツのボタンを外していく

今日の下着は白のフリフリにしてみた
やっぱりあまり見ないで
背中のホックを外しブラを取ってしまった

そんなもんか(笑)
思わず苦笑してしまう

「綺麗だ」
胸をガン見されているので、恥ずかしくて顔を背ける

すかさず首筋にキスされた。マッキーは本当に童貞?って思うほど行動にソツがない

耳を愛撫された時、身体が反応してしまった
「んっ」声も出る

愛撫は胸に…
触りながら、すごく悦んでいる。男はいくつになってもおっぱいが好きなんだな

でも乳首は、敏感に反応する。マッキーの愛撫は大きな手で優しく動き回る

身体はもう充分満たされていた。いつでもマッキーを受け入れる準備万端

そんな所にマッキーの指が触れてきた。
「おっ嬉しいね、感じてるんだ」
「バカ」
マッキーはTシャツを脱いだ。しなやかな筋肉が現れる。セクシーだ

「スカート皺になるから脱がせるよ」白のフリフリパンツが見られた
「高いよ」意地悪言ってみる
「今から身体で払うよ」

No.90 09/10/02 09:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マッキーの指での愛撫も
優しくいやらしいものだった
すでに濡れているのに、さらにいやらしい音を立てている。声は我慢して出さない
「リリア、俺のも触って」触れたかったけど、我慢していた。卑しい女だと思われたくなかったから

右手をマッキーの股間に
持っていく。スウェット越しに大きさがわかる。
でかい

スウェットの中に手を入れ、トランクス越しに上下に擦る。カチッコチだ
時々マッキーも声が洩れる

スウェットとトランクスを一気に下ろすと、巨大な物が姿を現した。
2人とも全裸だ

マッキーに座ってもらい、フェラを始めた
今までの誰よりも大きい
とにかく太い
「気持ちいいなぁ、リリアがこんなことまでしてくれるなんて」

「でかすぎ(笑)」
「入れてみたくなる?」
「なる(笑)」素直になってみた。人間は裸の方が素直になれるのかもしれない

No.91 09/10/02 10:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「入れてみる?入れてみよーか?」
「入れてみる!!」

マッキーを倒して上に股がる。「美乳だ。ツンと上向いて」
立ってる乳首を刺激される

「全部俺のもの」黙らせるためにキスをする
マッキーの指がまた悪さをする。落ち着いてた洪水がまた復活

「この童貞野郎が」身体を起こし、見下ろす。
「先輩ご指導願います」 「わかりました」 騎乗位で挿入していく。

潤滑油がたっぷりあり、徐々に滑らせていく
「おお、おお」マッキーが吠える
まだ先しか入ってない

こんなの初めて
存在感が全く違う
早く全部が欲しいと思った

「痛くない?」
「リリアは?俺はめちゃめちゃ気持ちいい。もう逝きそう」
ヤバイ、ゴムしてない。 私がもし病気持ちだったらどうしようと不安になった

その時、マッキーが腰を突き上げズズズっと挿入
そのまま中で果てた

No.92 09/10/02 10:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「童貞奪われた(笑)」
「中に出したでしょ」
怒ったふりをする。本当は不安でしょうがない
「まだ経済力ないけど、 頑張って働くから、出来ちゃったら結婚しよう」
真顔で言う。
18歳で二回目のプロポーズ
「バカ」
「本気ですから」
嬉しかった。でも何かが引っ掛かる
「っていうか、童貞じゃないでしょ!!」 あの愛撫は初Hとは思えない

「残念ながら、童貞です。元彼女はいくら愛撫しても全然濡れなくて…」 濡れてなかったら、あの 巨根は先っぽさえ入らないだろう

マッキーも色々努力したんだ。なんか元彼女にジェラシーを感じた

No.93 09/10/02 10:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

タオルケットを肩までかけ、全裸のまま横になる。
手足は細いのに、胸板が
厚い。

「気持ち良かった?」マッキーの胸板を撫でていたら聞かれた。
「超気持ち良かった」
笑顔で答える。

「良かったー!
この2ヶ月何気にビビってたんだ。やりたいけど、やったら逃げられるかもって」
「逆に別れられなくなったよ」
「俺も」

抱き合ってキスしてたら、また大きくなってた。
今度はマッキーが上に
股を大きく開き、受け入れる。
ズボズボ、ズボズホ入ってきた。膣の中で当たっている全ての箇所が気持ちいい

マッキーが少し動かすだけで、広範囲に刺激が走り、快楽へ変わる。
ドンドン潤滑油が溢れる

No.94 09/10/02 10:45
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「っん、っん、あっ…」
マッキーの動きが激しく
なるにつれ、喘ぎ声も出ちゃう

二回目ということもあり、マッキーも持久力がある。
セミダブルのベットマットが軋む。容赦なく腰を振るため、胸が左右に踊る

「もう逝く!」
あっ…。私の中で逝った瞬間
マッキーは肩で息をしている
マッキーは私の中に入ったまま。杭を打ち込まれているみたいな感覚

「リリアってすごいなぁ。何回でも出来るよ」
「マッキーのせいでガバガバになっちゃう」
「責任は取るよ。元気な赤ちゃんを産んでくれ」

しばらくの休憩のあと、
また大きくなっていた

No.95 09/10/02 11:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

スポーツマンは体力がある

すぐに三回目をしようと
したので休憩を願い出た。「やりすぎ(笑)」
「しょうがない、リリアのエロイ身体のせいだ」

悪い気はしなかった。私もセックスは大好きだから、エロイ身体は最高の誉め言葉だ。

巨根の余韻が残って、痺れていた。痛みは全くない。
何回でもやりたい
そう思える楽しいセックスだった

「もうそろそろいい?」
15分も休んでない
「いいよ」しょうがないなぁ(笑)

「やっぱり、止めとこう。これからいつでも出来るから」ちょっとガッカリ

「少しこのまま寝かせて」連日の寝不足がたたり、眠くなってきた。
「いいよ、おやすみ」
優しいキスを唇に感じながら、意識が薄れていった

No.96 09/10/02 11:14
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

目覚めた時には、一時間近く経っていた。
マッキーは部屋にいない

マッキーのTシャツを一枚借りて着て、トイレに行った。下から美味しい匂いがする。

恐る恐る台所を覗くと、
マッキーがフライパンを振っていた。
「おはよう、もう出来るから部屋で待ってて」
美味しい匂いの素はニンニクだった

大人しく部屋で待ってると、大盛りと普通盛りの炒飯がやってきた。
「美味しい」
「だろ~」
卵とニンニクと葱のシンプル炒飯
醤油が香ばしくて美味しい

マッキーは本当に何でも
出来る。

No.97 09/10/02 11:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

食べ終わると、また絡み合った。キスはニンニクの味がした

今度は徹底的に焦らされた。身体のラインを優しく撫でるだけで、肝心な所には触れない

背中やお尻を撫でて、足を撫でる。
「意地悪」
「何が?」
内腿を撫でながらにやける

「おいで」
座っているマッキーが両手を広げて待っていた
お望み通り、向かい合わせに座る。
抱っこされ、大きく待ち構えていた所にゆっくり下ろされる

座位のまま、ズブブと挿入されていった
「ハアッ…」

No.98 09/10/02 11:54
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「おぉ~入るもんだなぁ」マッキーにしがみ付きながら、上下に揺さぶられる

また違う所に当たる快感に、思わず声が出る
私を抱き抱えたまま、マッキーは立ち上がった

「初駅弁(笑)」
「バカ!」
わっさ、わっさと揺さぶられる。気持ちいいと言うより、笑っちゃう。 三回目ともなると、そう簡単には逝かないようで、ずいぶん虐められた
クタクタになった

「最後はどんな体位がいい?」と聞かれた
もうどんなでもいいと思ったけど、まだやってない体位があった
「後ろからきて…」
バックで入れようとした マッキーの動きが止まった
どうやら、渇きだしたようだ。

No.99 09/10/02 11:58
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

突然、優しく舌が這ってきた。初めてのクンニに戸惑う
「いや、汚いよ」
「なんで?きれいだよ」 すぐ潤いが戻ってきた。

後ろからマッキーが入ってきた。
「締め付けられる!!」
「これはヤバイ」
「おぉおぉ」
吠えながらゆっくり動かす

少し私も前後に身体を動かすと
「ヤバイ、気持ちいい」と私の背中に倒れ込み、後ろから胸を揉まれた
何でバックってこんなに 気持ちいいんだろう…

「もう逝くぞ」 激しく
後ろから叩きつけられた。「そんなにしたら、壊れちゃうー」
マッキーは止まらない
奥までズンズン突かれる
今までにない快感が上り詰める
もう少し!!ってとこで、 マッキーが果ててしまった

No.100 09/10/02 12:15
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「部活行く体力残ってないかも」と息を切らしてる

「激しすぎなの」
シャワー浴びてきなとバスタオルを渡された

私も下半身がクタクタ

温めのシャワーを浴びていると、ドロッとしたものが出てきた。
マッキーの精子たちだ

部屋に戻ると、マッキーは寝息を立てていた。
あまり残された時間はないけど、少し寝かせておく

窓を開けて換気した。
男と女が絡み合った匂いが薄れていった

制服に着替えて、髪を整えてると玄関の鍵が開く音がした。
慌てて、マッキーを起こす

マッキーは寝起きも良かった。素早く身支度を整えるとカバンを持ち
「行こうか」と部屋を出た

No.101 09/10/02 12:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「これから学校?」
スーパーで買ったものを
冷蔵庫に仕舞いながらお母さんが尋ねてきた

「部活行ってくる」
「留守中にすみません、お邪魔しました」

「いってらっしゃい。また来てね」

マッキーは部活へ、私は
バイトへ慌ただしく別れた

お母さんはあの後、色んな事を目にして、勘づくと思う。
お皿は洗ってないし、シャワーは使ってる。
ベットのシーツは乱れてるし、沢山のティッシュはゴミ箱に捨ててある

それからも、私に対する態度は変わらなかった。
なんか、それが嬉しかった

No.102 09/10/02 12:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

あんなに中出ししたのに、2日後に生理が来た。

妊娠しずらい体質なのかもしれない
生理が終わってから、婦人科を受診した。
最初抵抗があったけど、マッキーの為だと思い頑張った

性病、AIDS、不妊の検査をした。どれもマイナスだった

モテオ、副担、柴田ありがとうと思った。 婦人科のナースから、避妊についてのパンフレットをもらった。 講演会の申込み用紙と共に

これからマッキーはますます部活が忙しくなる
1人分で申込みをした
講演会は夏休みの初日だ

No.103 09/10/02 12:50
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マッキーとはあれからやってない。
なかなかマッキーの家族が留守にならないのと、マッキーがうちでやるのを嫌がったからだ。

うちは、留守にしてる事が多いからいつでもやれるよと誘っても、彼女の家ではやりたくないと譲らなかった。

真面目だ(笑)あんなセックスをするくせに。

高校生最後の夏休み
電車に乗り講演会に行ってきた。母親の年代の女性が多くて驚いた

我が子に性教育するためにかな? 若い子はポツポツしかいなかった。

保健体育にプラスα程度の内容だったが、排卵日と 生理の関係を学んだ。

私の生理は予定通りに28日周期でくる。排卵日の前後3日、つまり1週間は危険日ということだ。

その週は絶対中出しさせないと決めた。
講演会の最後に見た、鉗子で引っ掻き出される胎児を絶対に作っちゃいけない。

No.104 09/10/02 12:57
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

夏休み前から、運転免許を取得しに教習所に通い始めた。
30万はバイトで貯めた。

マッキーはお金がないからと中免を取りに通っている

ラグビー部はくじ運がなく強豪チームと初戦で当たり一回戦で散った。

白熱したいい試合で、ルールがわからない私が観ても手に汗を握る試合だった

そうしてマッキーのラグビー生活も終わった。

No.105 09/10/02 14:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

夏休みも半分過ぎた頃、
マリから泊まりで海に行かないかと誘いのメールが来た。

お盆前の土曜日、マリのお姉さんの彼氏の運転する
車で、トリプルデートが
実現した。

片道300キロのロングドライブ。マリのお姉さんとは顔見知りだ。

「まさか、リリアとマッキーが付き合うとはね。マリとテツはそんな気はしたけどさ」
「嘘だー何でそんな気がしたのよ」マリが食って掛かる

「テツはマリしか見てなかったじゃん(笑)マリはよそ見してたけど~」
さすが良く見てる。テツもマリの隣で頷いてる

「リリアは男がいるんだと思ってた。」ギクッ
「いませんよ~マッキーが初めてです」彼氏としては…

「あの5人の男の中では
No.1とNo.2をちゃんと選んだ貴女達は男を見る目がある」ありがとうお姉さん

「もちろんNo.1はテツでしょー!?」
「俺じゃないよ、マッキーだよ。ね、リリア?」

「私にとって1番はマッキーだけど、マリにとっての1番はテツだよ」

「はいはい、ご馳走様。サービスエリア寄ってくよ」

No.106 09/10/02 15:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

運転手の高橋さんは、とてもいい人だ。マリのお姉さんこそ見る目があると思う

マリの話では、そろそろあの2人結婚かもって言っていた。
結婚か…全然ピンとこない

私達は三列目に座っていた。ずっと手を握っていた
マッキーはボンヤリと外を見る事が多かった
何を考えているんだろう

サービスエリアで飲み物とお菓子を選んでると、マッキーが近づいてきた。
「水着はビキニ?」
「そうだよ」
「相変わらずリリアはエロイなぁ」
「じゃあ水着にならない」「それも困る」

「なんかあったの?」
「別にないよ。買う物はそれだけ?」
商品を持ってレジに行ってしまった。相変わらず優しい。でもなんかオカシイ

車に乗り込む前に、高橋さんにガムを渡した。
「リリアは気がきくなぁ。いいお嫁さんになれるよ」高橋さんに誉められた

社会人に認められると、嬉しい。
「どーせいいお嫁さんにはなれませんよ」
助手席でお姉さんが臍曲げる。

No.107 09/10/02 15:16
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリアのガム食べる?」「食べる」
それで仲直りが出来てしまった。結婚かぁ。

三列目に乗り込むと、マッキーが近づいてきて肩を抱いた。今まで離れて座って手だけ繋いでいたのに

耳元で
「高橋さんタイプなの?」と聞いてきた。はぁ?
「いい人だと思うよ」
「あっそ」
そしてまた離れた

斜め前からテツが心配そうに見ていた…

No.108 09/10/02 15:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

明け方出発して、四時間ちょっとで海に着いた。
荷物担いで浜辺に下りるとテツが近づいてきた
「マッキーと喧嘩してるの?」

そんなことないと否定するも、自信がない。

更衣室でビキニに着替える。マリはピンクで私は黒
一緒に買いに行って選んだ

私は上からTシャツを来た。マリは何も言わなかった

男達は、パラソルを立てていた。高身長の三人組は遠目でも目立つ。
マリのお姉さんは水着に着替えてなかった。

「テツ、海入ろう」浮き輪を持ってマリがはしゃいでる。

No.109 09/10/02 15:43
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

高橋さんはちょっと休憩とクーラーBOXからビールを取り出し、プルタブを開ける。お姉さんはすかさず
柿の種を渡していた。

マリはテツと波打ち際で
イチャイチャしてる

「リリア、海入ろう」
マッキーが浮き輪を膨らまし終わったようだ。
何を考えているのか分からない。
Tシャツを脱いでビキニになる。

皆が私を見る。お姉さんが「リリア胸でかいんだ」
高橋さんまでガン見してる

「俺が毎日揉んでますから(笑)行くぞ」

No.110 09/10/02 15:57
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

日本海は冷たい。
波打ち際でキャキャやってるマリの気持ちが分かった

水温が低い。もう少し陽が入らないと海に入れない
「磯の方に行ってみようか?」マッキーに手をひかれテトラポットが重なってる所へ向かった

「マッキーに会うの何気に久しぶりなんだよ」
「知ってる」
「なんで素っ気ないの?」「欲求不満だから(笑)」
振り向いたマッキーは優しい顔してた。

「安心しな、こんなとこじゃ襲わないよ」
テトラポットを越えると磯場があり、逃げ遅れた魚や小さい蟹がいた。
磯巾着を触ると潮を吹いた

パラソルの下でマリが呼んでいた。「戻ろう」
テトラポットの陰にマッキーを引っ張り込んでキスをした

No.111 09/10/02 16:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「今はこれで我慢する」
マッキーを置いて先に行く

なんか今日のマッキーは
変だ。どうしたんだろう。
いつの間にか、バーベキューの用意がされていた。
高橋さんは本当にマメだ
少しの休憩だけで、また動き出している。

6人で食べて飲んで騒いだ。マッキーは普通だった。いつものように私にも優しかった。
「リリア、今度こそ海に
入ろう」 マッキーに手をひかれ海に入る

冷たいけど、入れない事はない。マッキーが浮き輪を貸してくれた。
すぐ足が届かなくなる。
しばらくマッキーは爪先立で平気だったけど、そろそろヤバイってとこで浮き輪に入ってきた

大きい浮き輪だから、大人2人入っても余裕がある。
「食べ過ぎたなぁ」マッキーが浮き輪を枕にして空を仰いだ。
「何を悩んでるの?」
「進路をとるか、リリアをとるか」

「そんなの決まってるじゃん、両方とる」
「無理だよ。リリアは遠距離恋愛は出来ないよ」

それは出来ない。寂しさには勝てない。

「遠くに進学するの?」
「もしかしたらね。これからは大学くらい卒業しておかないと、稼げない」

No.112 09/10/02 16:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マッキーと離れたくない

「自分だけの生活で精一杯だろうから、リリアは連れて行けない。地元で就職すれば平気か…」

マッキーは成績もトップクラスだ。就職なんて先生達が許さないだろう

「そんなことで悩んでたのか~。」わざと明るく言う
「私を信じなさいよ。休みの度に会いに行くし、マッキー一筋にきまってるじゃん」
「高橋さんくらい経済力があれば、一緒に暮らして、毎日やれるのになぁ」

だから高橋さんに絡んでいたのか。

No.113 09/10/02 16:39
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「そろそろ戻ろう」
「嫌だ。キスして」
海の上で足を絡めてキスをした。
「地元戻ったら、ホテル行こう」
「朝まで抱いてね」
「もちろん」

春が来たらマッキーとお別れだ。涙が出たけど、顔に水を掛けて誤魔化した。

足を引っ張る彼女にはなりたくない

思い描いていたマッキーとの結婚生活は遠退いた。

No.114 09/10/02 16:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

陸に上がり、5人でビーチバレーをした。マリは中学でやっていたらしくなかなかの腕前を披露した。

マリのお姉さんは、年だからと見学してた。
久しぶりの運動。いいストレス解消

宿はすぐ裏手のバンガローで夕飯はお姉さんが近所のスーパーでつまみを調達してきた。

大浴場でお風呂に入り、パジャマで宴会に。

そこでお姉さんは発表した「もうじき4ヶ月」
マリも含めて3人が驚いた。私は何となく気付いていた。
大浴場で見たお姉さんのウエストは、丸みを帯びていた
「何ーあと半年で私叔母さんじゃん」

No.115 09/10/02 17:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

お姉さんは22歳で母になった。高橋さんは23歳だ

何で私とマッキーはまだ18歳なんだろう。神様は不公平だ…
浜辺で花火やって、バンガロー戻って6人でごろ寝した

寝付けず、一人抜け出して浜辺に戻った。テトラポットに腰かけて真夜中の海を眺める

泣きたくなってきた

後ろに人の気配がして、振り返ると高橋さんがいた
「隣いいかな?」
「はい、どーぞ」
「大丈夫?」
「駄目です」
「僕でよければ話して」

マッキーが地方に進学してしまう事、
足手まといにはなりたくない事、
でも離れたら寂しさには勝てない事、
お姉さんが羨ましい事、
どうしたらいいのか分からない事
を泣きながら話した

No.116 09/10/02 17:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

途中から後ろに人の気配がしたけど、気にしなかった

お姉さんごめんなさい、今だけ高橋さんを貸して下さいと思っていた

でも後ろにいたのはマッキーだった。

高橋さんは、
「リリアはどうしたいの?」と聞いてきた。
「良くわからないんです。理想は、マッキーの子供を妊娠して、マッキーの為に食事を作ってあげたい」

「でもまだ18だから、もう少し遊びたい」
「リリアもマッキーも充分大人なんだから、ちゃんと2人で話し合うんだよ」

泣いてすっきりした。
「僕は戻るけど、もう少し落ち着いてから戻っておいで」
「すみません、ありがとうございました」

鼻水が出る。男運がないのかなぁ。

No.117 09/10/02 18:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

隣に気配がした
高橋さんが戻ってきたのかと思ったから、横向いたらマッキーがいて驚いた

「悪かったね、高橋さんじゃなくて」
「いつから盗み聞き?」
「俺が地方に進学してしまう当たりから」
最初の件じゃん

「いつまで盗み聞き?」
「ありがとうございました当たり」最後じゃん

「リリアはさ、きっと回りの男がほっとかないよ。俺はそれが不安でさ。一緒に進学しない?」
私には進学する目的がない

目的がないのに親にお金を出してもらう訳には行かない。コンビニでバイトしてお金を稼ぐ大変さを知った

マッキーと一緒にいたいってだけの理由で親のお金は使えない。

「ごめん、それは出来ない」
「だよねー」
「四年間待てる?無理だよね」頷く。

「なんで俺達まだ高校生なんだろうなー」まったくだ

No.118 09/10/02 18:20
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

次の日は、海の幸をたらふく食べてから帰った。帰りの車の中でマッキーに寄り掛かって眠った

寄り掛かっていられる間は、寄り掛かって行こうと
決めた

春には別々の道を歩むけどそれまでは一緒にいられる

海から帰り、家にはマリの家に泊まると伝えてマッキーとラブホテルに泊まった

激しく身体を求め合ったのに、なぜか悲しいセックスになった。まるでこれが
最後といわんばかりの…

マッキーの部屋での初めてのセックスは思い出に残る素晴らしいものだった

あれを越える思い出はもう作れないだろう

七ヶ月後には別れる2人なのだから

No.119 09/10/02 18:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マッキーは変わった
うちが留守の時にやって来てセックスするようになった

猛勉強の合間にデートしたり、セックスしたりした。センター試験の結果はまずまずで、希望の国立大の
教育学部に進路が決定した

私も車の免許を取得して、コンビニからガソリンスタンドへバイト先を変えた。時給が100円アップした

3月の頭に、偶然副担がお客としてガソリンスタンドへ来た。丸三年ぶり
奥さんは同乗してなかった

「先生、元気?」
「リリア、進路はどうしたんだ?」
「また結婚しそびれて、しばらくここでバイトだよ~」

「先生、離婚したらここに迎えに来てね」
「残念、来月子供産まれるんだ。」
「さっさと帰りなさい~」

「リリア、頑張れよ」
やっぱり副担はいい奴だ。今はもう立派な担任なんだろうけど、私の中では副担は副担だ(笑)

第四部~完~

No.120 09/10/02 19:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

第五部~スタート~


3月下旬にマッキーは引っ越した。お母さんは、また遊びに来てねと言ってくれた。
マッキーとは最後に握手して別れた。家に帰ってから泣いた。

マッキーに素敵な出会いがありますように


ガソリンスタンドのバイトは結構忙しかった。月末になると洗車の客が増え、夕方から帰宅途中の給油が増える。

オイル交換やタイヤ交換も教えてもらった。
今でもエレメントまでなら交換できる。

忙しい分、給料も良かった。そして、ファンクラブも出来た。地元の走り屋達だ

スタンドに入るのに、段差があり車高の低い車は擦ってしまう。
彼等はギリギリまで斜めに段差を乗り越え来店してくれた。

店長からは嫌な顔されていたので、閉店前に来て千円だけハイオクを給油してくれていた。

No.121 09/10/02 19:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

走り屋の中で、猛烈に私にアタックしてくる人がいた

22才のサトシだ。子供がいるって噂があった。ワガママだけど憎めないタイプ
仲間内からは凄く好かれていた
土曜の夜、サトシが誘ってきた
「仕事が終わったら遊びに行こうよ。みんなで走りに行くから助手席乗ってよ」

次の日は公休だったし、
暇だし軽い気持ちでOKした

22時に仕事終わり、23時にスタンドで待ち合わせした

マフラー音がうるさいのですぐ分かる。シャコタンのツアラーVに乗り込む

「どこまで行くの?」
「30分くらいかな」
後ろに五台のうるさい車が連なる。

県内の工業団地に着く。
先に六台来ていて、円座になってしゃべっていた。
サトシに付いて行く。

「うっす。今夜のお客さん。リリア」
「うぃす」
「スタンドの姉ちゃんだ」「若いね~」

年齢不詳の軍団だった。車をいじってるから仕事はしてるだろうけど、チャラいかんじだった

No.122 09/10/02 20:01
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

女の人も何人かいた。
子供を抱っこしてる人も
いた。
一番ケバい娘は15才だった

人懐っこくていい人達だったけど、温度差は初めからあった。

サトシが
「リリアそろそろ始まるよ。乗って~」
サトシの車に乗り込む。
女性達も各々パートナーの車に乗り込む
運転席に乗る子もいた

「シートベルトして、窓の上の取っ手掴んでてね」
エンジンをかけ、総勢11台が動き出した。

T字路で一台がUターンしてウィンカーで対向車の
有無を教えてくれる

サトシが先頭。いきなり
アクセルをベタ踏みした。

No.123 09/10/02 20:15
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

サイドブレーキを思いっきり引くと、車体が横滑りしハンドル操作で左に曲がった。
生まれて初めてのドリフト体験だった。

工業団地内を一周して最後尾に付く。
「どう?怖かった?」
「スゴイ横G。面白かったよ」正直な感想だった

「良かった。二回目行くよ」
サトシのドリフトはブレなかった。横顔は真剣だったし、ケアミスも冷静に建て直していた。
見てると簡単そうだけど、ミスってる車も多かった。
サイドブレーキ音はとても響くので、すぐ通報され
パトカーがやってくる。
車対車のドロケイが始まり、バラバラに逃げた

No.124 09/10/02 20:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「そろそろ解散かな?」
携帯を弄りながら呟いた。
「また来る?いろんなスポットに出張するから楽しいよ」暇潰しにいいかもと思った。
「ぜひ」「了解」

携帯番号を交換して送ってもらった。
19才になる一週間前の出来事である。

マッキーを忘れられるかもしれない…その頃は、マッキーを思い出さないように必死だった

走りに行くのは大抵、金曜か土曜の夜だった。
でもサトシは平日遊びに
誘ってくれた。車でデートはやっぱり便利だ。

No.125 09/10/02 21:03
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

金曜の夜にサトシとデートした。明日誕生日だと打ち明けると、
「もっと早く教えてくれればいいのに。何にも用意してないな」

ちょっと考えて、車を走らせた。
「ドライブ行こう」
2時間程走ると0時を回って、海に着いた。
「4月の海って贅沢だと思わない?」
自然と涙が出てきた。18才の誕生日にマッキーに告白されて、海で別れを決めた

何も知らないサトシは19才の誕生日に海に連れてきてくれた

マッキーに会いたい
涙が止まらない

「嬉し涙じゃなさそうだけど…」
サトシの胸で泣かせてもらった

No.126 09/10/02 21:45
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「驚かせてゴメンね」
「こんな時に何だけど、
リリアのことマジなんだ。俺じゃ駄目?」

良く分からなかった。分かってることは、マッキーはもういない
「私で良ければ」

そのまま車の中でやった。狭くても出来るんだなと
思った。それ以外は何も思わなかった。

サトシと付き合い始め、週末の走りに行くのも楽しくなった。
失敗して事故る仲間もいて、牽引しながら帰った事もあった。
サトシのドリフトの腕は確かだった。

ただHはいつも車の中で、自分本意の終わり方だった。
それでもサトシと肌を重ねてると安心した。

No.127 09/10/02 22:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

6月頃、古い木造アパートの一階を借りた。家賃は五万円
親は反対しなかった。

サチやマリも泊まりに来てくれた。マリのお姉さんと高橋さんも遊びに来てくれた。4ヶ月になる華チャンと一緒に

でもサトシは一度も泊まった事はない
サトシは母親と、アパートに住んでいた。サトシの家でやってると、玄関のチャイムが鳴った。
走り屋仲間だった。
「ちょっと待ってて」
「了解」

サトシは上に乗って腰を振ってる。チラッと玄関を
見ると郵便受けから覗いてる目と目があった。
「入ってきてもらった方が興奮する?」

早く終われと思った。
なんで私はこんな人と付き合ってるんだろう。

No.128 09/10/02 22:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

やっと果てて、外に出るとニヤニヤした仲間がいた。「リリアあまり声出さないタイプなんだ。サトシの声しか聞こえなかったよ」
作り笑顔で誤魔化す。

3人で駐車場に向かうと、一台のワゴン車が横で止まった。運転席はサトシの
母親。

助手席の女性が、私に
「こんにちは」
と言ってきた。全く知らない女性だ

二歳くらいの女の子を抱いていたが、
「見てみて、サトシの子よ」と。

「ババァ、さっさと車出せ、ボケが」
サトシは車を蹴っていた。早歩きでその場から立ち去る「奥さんと子供いたんだ?」
「今は見ての通り別居中」
「ごめん、別れて下さい。もう無理。スタンドにも来ないで」
歩いて帰った。

男運の無さに悔し涙が出た

知らずに不倫してたなんて

No.129 09/10/03 00:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

サトシとはきっぱり別れられた。この3ヶ月の事は
リセットしたい

2週間後、サトシとのHを覗いてたミムが訪ねてきた「どう元気?ハーゲンダッツ買ってきた」

まだ20時だったし、上がってもらう。早速ハーゲンダッツのクッキー&クリームをご馳走になる
「ミムさんはサトシの差し金?」
「違うよーリリアの顔見てなかったし、元気かなってさ」
ミムさんはバニラを食べてる。

「サトシは結婚してること言ってなかったんだな」
言われてたら、絶対付き合ってない。
「俺も妻子持ち。うちは男の子2人」
「えー、全然見えない。だってゆうチャンは彼女でしょ?」
15才のケバいゆうチャンはメンバー公認のミムさんの彼女だ

「ゆうは知ってるよ。妻子持ちだって事は。それでもいいって」

No.130 09/10/03 00:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

それからたまーにミムさんが遊びに来た。お土産持参で
ゆうチャンと喧嘩したやら奥さんにバレそうやら、
サトシは今パチンコ屋のお姉ちゃん口説いてるやら

ミムさんが来ない日に、やっぱり走り屋仲間の新ちゃんが遊びに来るようになった。
ミムさんはローレル、新ちゃんは180X乗りでマフラー音でどっちが来たのか分かった。

新ちゃんは無口だった。主に聞き役だった。でも可愛い顔をした23才だった。

走り屋はみんなお金を車に注ぎ込むから、貧乏人が
多い

新ちゃんはうちで夕飯を
食べるようになった

No.131 09/10/03 00:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

新ちゃんが毎日来るようになって、ミムさんは来なくなった。
一緒にハヤシライスを食べてると新ちゃんが
「危なかったね。ミム、
リリア狙ってたから」
「そーなの?別に口説かれなかったよ」

「俺がゆうにチクると思ったんじゃん?ご馳走様」
新ちゃんはいつも食器を
台所まで下げてくれる

「食事のお礼に何でも言うこと聞いてあげるよ。次までに決めといて。お金の事以外でね」

新ちゃんの真意も良く分からない。野良猫に餌をあげる心境に近いかも

野良猫の恩返し

No.132 09/10/03 00:46
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

新ちゃんは次の日来なかった。豚丼作り過ぎちゃったな…

次の日も来なかった。
3日目、もう寝ようとしてた時間にひょっこりやってきた。本当に猫みたい。気紛れでやってくる

何も材料がなく、インスタントラーメンに野菜炒めを乗せて出した
「願い事決まった?」
ラーメンを啜りながら聞いてきた。

「いつでもいいから、添い寝してよ。1人で寝てるの寂しくて」
「お安い御用だよ。」
「今日でも?」
「いいよ。」

野良猫のお泊まり
布団引いて枕を二個並べる

新ちゃんは作業服を脱いで白いTシャツ一枚になった「ハーフパンツ履く?」
「リリアのサイズは入らないよ」
「違うよ、フリーサイズ」
男性用のフリーサイズは新ちゃんには大きめだった。

No.133 09/10/03 01:00
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

洗い物済ませると、新ちゃんはもう布団の中にいた

電気を消して、布団に潜り込む。
「おやすみ」「おやすみなさい」
どれくらいぶりだろう。
隣で寝息を聞きながら、眠りにつくなんて

新ちゃんのおかげで、安らぎをもらった。
寝顔は女の子みたいに可愛いかった。

朝目覚めたら、目の前に胸があった。新ちゃんに抱き付いていた。
「添い寝はおさわりなしだよ」
新ちゃんに怒られた。

新ちゃんの目の下に隈のようなものが出来てるような気がする。

欠伸をしながら玄関へ。
「また来てね」
「おう」頭をボリボリ掻きながら180Xに乗り込み新ちゃんは仕事へ

No.134 09/10/03 01:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

またしばらく来ない日が
続いた。もう来ないのかなと思った5日目ひょっこりやってきた

「ご飯食べた?」
「まだだよ」
「食べに行こう。車乗って」
初めて180Xの助手席に座る

バケットシートは固いし、車高低すぎて自転車に上から目線で見られる。
「気にしない、気にしない」新ちゃんはマイペースだ

連れて行かれたのは、隣の市で開催されてた花火大会。もう世の中は夏休みなんだ。学生じゃないから忘れていた。

車を路駐して、人波をかき分けて進む。間近で見上げてみる花火は格別だった。

No.135 09/10/03 01:34
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

屋台で広島焼きとたこ焼き買って食べた
「新ちゃん、連れて来てくれてありがとう。お礼に何でも言うこと聞くよ」

「女の子が軽々しくそんな事言っちゃ駄目だよ」
また怒られた。新ちゃんには怒られてばっかりだ

次の日は来た
この野良猫は本当にマイペース
ご飯食べて帰って行った。
9月のある日、ハンバーグを食べながら
「これめちゃくちゃ旨い。作ってくれたお礼に何でも言うこと聞いてあげるよ」「絶対?」
「お金はないよ」
「彼氏になって」
「いいよ」「へ?」
「俺はスタンドに来る前のリリアを知ってるし、好きだったんだ。あのコンビニの常連だったし」
全然気付かなかった

「サトシ何かに引っ掛かりやがって」

No.136 09/10/03 15:54
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その日も新ちゃんは泊まってった。白いTシャツに
ハーフパンツで

「この前の添い寝は辛かった。グーグー寝やがって」腕枕されながら怒られた。「今日も添い寝で(笑)」

「そうはいきません」
身体を密着され、下半身が大きくなってるのがわかる

最初っから新ちゃんを好きになってれば泣かないで済んだのに…

久し振りに、愛のあるセックスをした。
新ちゃんは淡白だった。
あららって間に終わって
しまったけど、寝顔が可愛いから許してあげた。

No.137 09/10/03 16:04
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その日から、半同棲が始まった。
新ちゃんは、必要最低限のものだけ持ってきた
そして必ず毎日一回だけやった。
生理中はお風呂場でやった

一緒に暮らして分かったことは、新ちゃんの仕事は
めちゃくちゃ忙しい
0時過ぎることも多い

たまに早く帰れた日に、
うちに寄ってくれていたのだ。新ちゃんは巨大倉庫のフォークマン
働いてる姿を覗いたら、
立ち乗りフォークリフトに乗って忙しなく動いていた

年越すまでは忙しいと言う

No.138 09/10/03 22:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

新ちゃんは走りに連れて
行ってはくれなかった
サトシと会わせないようにしてるのかと思ったら違った
「事故ったらどうするの?自分はしょうがないけど、リリアにもしもの事があったら親御さんに申し訳ないでしょ」

確かに、走りに行く時は
新ちゃんはいつも独りだ
友達を乗せてるのも見たことがない

その頃、大井ふ頭でギャラリーの未成年の女の子が
ドリフト族のスピンした車が突っ込んできて、亡くなっている。

軽い気持ちでいた
新ちゃんは無口だけど、
発言した内容は結構重たい

出不精の新ちゃんの行動パターンはパチンコか走りかゲーセンだった。

パチンコ初体験。ビギナーズラックは本当にある
1000円が5万5000円に

新ちゃんの180Xのバンパーを新調して、焼き肉食べた

それからパチンコに行くと少しプラスになるも、騒音と煙草の臭いが嫌で行かなくなった

No.139 09/10/03 23:16
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

同じ頃、スタンドの女性
先輩に飲みに連れて行ってもらうようになった
お酒は、普段から全く飲まない。新ちゃんもそんなに強くない。だから晩酌もしてない

行きつけのスナックがあり、そこに連れて行ってもらった。雰囲気で大量に飲んでしまい、お店のトイレや家のトイレで吐く事が増えた。先輩や新ちゃんにバレないように吐いた。

父はゲコで母はノンベイの血筋。

お酒はあまり好きじゃないけど、飲み会の雰囲気は
好き。だから無理して飲んでしまう。

この頃に鍛えられ、お酒には強くなった。

No.140 09/10/03 23:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

年末、新ちゃんは帰ってこれない日が続いた。
年始に休むために、過密な配車が組まれ、次から次からトラックが積み込みに来た
それでも給料は恐ろしく
安かった。顔はやつれ、げっそりしてきた

家賃や生活費は全額私が出していた。外食したら新ちゃんが出してくれたけど、滅多に行けなかった

年始の休みが終わり、仕事始めに新ちゃんは仕事を辞めてきた。
相談もなく、「辞めた」の一言だった。
そこから、新ちゃんのやることはテレビゲームかセックスしかなかった。

今まで一生懸命働いてきたからと、私も許していた。夜中に何度も起こされ、
セックスするのは酷だった

もう、好きにしてとマグロ状態になった。酷いときは一晩で七回。私はダッチワイフだなと思った。

No.141 09/10/03 23:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

叱れば良かったのか、
突き放せば良かったのか、新ちゃんの堕落した生活は続いた。
「新が走りに来ないけど、どうかしたの?」
とミムさんからメールがきた。

仕事終わりにスナック行ってくると新ちゃんには嘘を付き、ミムさんに相談した

セックスの件は省いて

ミムさんは仕事の宛を探してくれると約束してくれた。「働けとは言わない方がいい」と念押しされて

帰宅すると、ゲームやりながら
「早かったね」と
「お酒の匂いしないけど」と

No.142 09/10/03 23:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

新ちゃんが怖かった。
ちゃんと向き合えば良かったのかもしれない

でも19才の私は新ちゃん
から逃げていた。こんなのは新ちゃんじゃないと思っていた。
新ちゃんはその内帰ってくると…


新ちゃんを養うのに、ガソリンスタンドでは心許なかった。
求人広告を見ながら、就活をした。
社会保障がしっかりしてる地元の会社を探した。職種はこだわらなかった。

求人広告は枠の大きさで
掲載金が違うと聞いた事があったので、一番大きく掲載していた所に電話して
面接に。

No.143 09/10/04 00:04
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

倉庫の事務と、タクシー
会社と教習場の受付は断られた。もう決まったからと面接さえしてくれなかった会社もあった

ミムさんがうまく取り繕ってくれて、新ちゃんは2月中旬から大工見習いとして働き始めた。

白と薄紫、二着の寅一の長々ロングをプレゼントした。
ニッカポッカとは言え、上下で一万円もした。

私も運送屋に就職が決まった。しばらく、スタンドの遅番と掛け持ちで働いた。
3月には2人の仲も経済的にも立ち直した。新ちゃんは私をダッチワイフ変わりにする事もなくなった
その変わり、セックスレスになった

No.144 09/10/04 00:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

運送屋は市内の宅急便配送の仕事で、軽トラックだった。マニュアル運転は楽しかった
新ちゃんはたまに180Xを
運転させてくれたので、
マニュアル運転に抵抗は
なかった。

地図を見て、番地を探して届けるのは楽しかった。
階段しかない団地の五階に野菜の段ボール2箱届けたのは辛かった。
でもそこの若奥さんが
「お疲れ様」と冷えたオレンジジュースをくれた。

仕事が楽しかった。

18時定時に上がれて、19時から22時までスタンドでアルバイト。休みの日は1日スタンドで働いた。

給料は二つあわせて26万程になった。
仕事が楽しくて、新ちゃんの変化に気が付かなかった

お金を貯めて新ちゃんと結婚したいと真剣に思ってたから。

No.145 09/10/04 00:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

朝から晩まで働いても、
見習いの新ちゃんの給料は12万程だった

天候が悪く、仕事が休みになるとさらに少なくなる。22時まで私は仕事なので、1人でパチンコに行くようになっていた。

20才の誕生日に新ちゃんから、ブランド品の財布を貰った。初めて手にしたブランド品はプリマクラッセ
だった。
もっと仕事頑張って、新ちゃんと結婚式を挙げようと心に決めた

その決意が別れる切っ掛けになるとは、その頃は思いもしなかった…

No.146 09/10/04 00:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

夕方のアルバイトがない日に、運送屋の人達が歓迎会を開いてくれた。
軽トラ配送してる女性が
4人。あとは年配から若い人まで男性が沢山

普段、事務所で会う位で
話す切っ掛けはなかった
皆から質問攻めにされ、
同棲してる事や、結婚を考えている事までも発表した

若い男性からはブーイングやヤジが飛んできた。
楽しい飲み会だった。

12時前に帰宅すると、新ちゃんは寝ていた。お風呂に入り、新ちゃんの背中に
抱きついて眠る。
新ちゃんは動かない。

No.147 09/10/04 00:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

運送屋の若い人で、スタンドに様子見に来てくれる人もいた。
スタンドでのアルバイトは月曜・木曜休みなのでその日に飲み会に誘われるようになった

新ちゃんに食事を作らなくなっていた。
すれ違いが多くなり、セックスしてくれないなら、
ご飯作らないと意地になっていた。

飲み会の誘いは、年配の人からが多かったので新ちゃんへの罪悪感は全くなかった。家族持ちが多く、解散も早かった。

この頃少し天狗になっていた。成人したし、稼いでるし、運送屋だからチヤホヤされるし。
新ちゃんに怒られるのを
待っていたのかもしれない

「いい加減にしなよ」って。でも新ちゃんは何も言わなかった

No.148 09/10/04 00:59
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

一度、横になってTVを見てた新ちゃんの背中に抱きつきながら
「別れたいなら、別れようよ。」と言った

「突然何を言い出すの?」一笑された。安心した。

次の日、押し入れの整理をしているとプラモデルの
空箱からエロ本が三冊出てきた。

どれも貧乳物だった。

新ちゃんはDカップは要らないんだなと悲しくなった。エロ本は戻して、見てない事にした。

私はどうしたらいいんだろう

No.149 09/10/04 01:10
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

運送屋の若者に、GWのバーベキューに誘われた。
車三台で遠出する本格的な日帰りバーベキューだ

新ちゃんに聞くと
「行ってきなよ」お礼を言って出掛けた

普段トラック乗ってるだけあって、みんな運転が上手かった。
それだけでも好印象。

そのバーベキューは、特になにも事件はなかったけど、そのメンバーの中に私の人生を左右する3人の人が含まれていた。
その日、全員と連絡先交換したことで歯車は動き出した…


第五部~完~

No.150 09/10/04 01:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

第六部~スタート~

運送屋の付き合いが増え、スタンドのスナック通いは途絶えた。
この運送屋の若者の飲み会は、一種の麻薬みたい。
楽しくて、お酒も美味しくて、ハイになれて、癖になっていった

家に帰っても、暗い彼氏がいるだけで刺激がなかった

全然Hな事をしてないのに朝帰りになる日もあった。ただカラオケに居ただけで

それだけでも新ちゃんは、何も言わない。
私は寂しかった。同棲していても孤独だった。

その内、カラオケ中に王様ゲームが始まっても、ノリノリで参加していた。
例え女性1人でも
お酒も入っているし、気分はハイだし何でもありだった。

命令されたの番号が私じゃないと皆明らかに落胆した。それを見てるのが楽しかった。「残念でした」と舌出して笑った。

No.151 09/10/04 01:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

王様の命令も、最初はカワイイ物だったが回数を重ねていくとヒートアップした

何人と舌を絡め、何人に生でおっぱいを揉まれた事か…
口移しでお酒を飲ませたり、噛んだポテトを口移しで食べさせたりもした

皆が狂ってた。私が一番
狂ってた。

宅飲みで野球拳大会になり、パンツ一枚に手ブラで勘弁してもらった事もある。回りには全裸の男が3人と観客の男2人
犯されても分からないくらい飲まされていた

男が2、3人しかいなかったら、マワされていたかもしれない

No.152 09/10/04 01:46
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

とうとう、一線を越えてしまう出来事が起こる。

その日の飲み会は、新参者がいて盛り上がりにかけた

次は家で飲もうと、一人暮らしのトオルが言い出した。私は買い出しを頼まれ、コンビニでツマミやら酒を買ってトオルの家に行くと誰もいなかった。

その内来るからと上がらされ、2人で酒を飲み始める

一向に誰も来ない。トオルは電話を掛ける仕草をするがわざとらしく「出ないな~寝ちゃったのかな」と

帰ろうとすると、もう少し、もう少しと引き留める。正直、トオルは生理的に受け付けない。
痩せた白ブタ、柴田を思い出させる。

あらゆる手を使って引き留めるが、私のテンションは上がらない。でも帰らしてくれない

No.153 09/10/04 01:59
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その内に、「お願いだから一回やらせて」と言い出した。
「同棲してる彼氏がいるし、この仕事を続けたいから無理」と断わる

トオルも引かない。
うんざりして、
「添い寝だけなら」
と申し出る。眠ったら帰ろうと思った

トオルは喜んだ
私の手を引きベッドルームへ誘う
布団に入ると、いきなり
身体を愛撫しだした
「話が違う」と抵抗するも「一緒に寝てくれるって言ったじゃん」と聴かない

新ちゃんとトオルは違った

新ちゃんに触れてもらってない身体はすぐ反応してしまう

No.154 09/10/04 02:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリアの身体、準備OKなんですけど~」
トオルがニヤニヤ笑う

身体が火照るなんて、3ヶ月以上ぶり
そのままトオルを受け入れた。

トオルはテクニシャンだった。挿入しながらクリを
愛撫したり、挿入の強弱が読めなかったり刺激が多いセックスだった

何より、言葉攻めがスゴく「リリア、可愛い。なんでこんなに可愛いんだ」
「こんなに乱れるなんて」「すごい、すごい締まる。こんな名器に出会ったことない」等々…

ずっと褒めちぎる。
その度に身体は反応していた。寂しかった心に、癒しの言葉が嬉しかったのかもしれない

No.155 09/10/04 02:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

不思議と、新ちゃんに対する罪悪感はなかった
抱かないあなたが悪いと、責任転嫁していた。

それから、トオルから呼ばれるとノコノコ出向いて
セックスをした

やってる最中に、新ちゃんから電話があった。
トオルの上に股がりながら、もう少ししたら仕事終わると電話を切った
「悪い女だ」
下から激しく突かれた
思わず、声が洩れた

遊びが忙しくなってきたので、スタンドのバイトを辞めた

週3のペースでトオルの家に通った。トオルは一度も彼氏と別れて、付き合ってとは言わなかった。
私にとってトオルは、性欲処理でしかなかったから、付き合う気はない

No.156 09/10/04 02:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

一ヶ月ほどセ○レの関係を続けた頃、トオルが、今まで逝ったことあるか聞いてきた。
2回怪しいのがあると答えた。シャワーオナとジョグZの振動だ

セックスではまだ無い

その日から、トオルは私を逝かせようと躍起になった

雨の日曜日、初めてホテルに呼び出された。
散々愛撫され、恥ずかしい格好させられ、エロビデオ見せられたりした。

さすがにちょっと引いてきた頃、大人のおもちゃを
取り出した。
大きく反り返った紫色のバイブだ

一気に渇いたのが分かったが、私の両手足はベッドに縛られている

No.157 09/10/04 02:47
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

それでもトオルはそのバイブを挿入してきた
痛みが走る

嫌だと叫び、抵抗を試みるもプレイと勘違いしたのかドンドン挿入していく

電源を入れモーター音が聞こえてバイブが動いてるのを見て満足したのか、私の顔を覗き込む


トオルは「えっ」と驚いて、慌ててバイブを引き抜いた
私は痛みで涙が止まらなかったのだ

手足の拘束を解いて、
「ごめんね、ごめんね」
と言いながら覆い被さり、痛み残る所に自分のを挿入してきた

私の涙を舐めながら、腰を振ってた
私は一体何をしてきたのだろう。そこでやっと目が覚めた。

No.158 09/10/04 03:05
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

服を整え、トオルに別れを告げる
「もう無理。あなたとHしない」と

帰り道、股がヒリヒリ痛んだ。もうセックス出来なくなってたらどうしようと真剣に悩んだ。罰が当たった

新ちゃんにゴメンナサイと思った。

数日後、新ちゃんは必要最低限の荷物を持って黙って出て行った。
思い当たる事が多すぎて、どれを謝ればいいか分からない。

不思議と涙が出た。
ここ数週間は会話らしい
会話をしていない

でも、付き合う前の野良猫状態の新ちゃんを思い出しては泣いた
食べ終わって食器を台所に下げてた後ろ姿や、添い寝してくれた新ちゃんがもういない

どこから壊れ始めたのだろう。たくさん新ちゃんを傷つけてしまった

しばらく涙は止まらなかった。居なくなってやっと
新ちゃんの存在の大きさを知る

新ちゃんが戻ることはなかった

No.159 09/10/04 11:56
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

彼氏と別れたことは、すぐ社内で広まった
トオルとの事も殆んどバレていた

でもトオルとの終わった原因を知ってる人は皆無だった
プライドの高いトオルが
黙秘したのだろう。私も敢えて自分の汚点を披露しなかった

一昔前みたいに、若者達が慰安飲み会を開いてくれた。そこにトオルは呼ばれなかった。
私も弾けはしなかったが、飲み会はそこそこ盛り上がった。
彼氏とトオルと別れたばかりの私に、みんなが優しかった。隙あらばと見え見えだったけど、気付かないふりして参加した。

電気の消えた家に帰るのは辛かった。物音1つに怯えた。すぐ布団にくるまって寝た。

No.160 09/10/04 12:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

久しぶりに手土産持参で、ミムさんが遊びに来た。
お土産は有名店のプリンだった

新ちゃんは仕事を頑張っていて、正式に採用された。給料も10万上がり、走り屋を引退したと。

全然知らなかった。
新ちゃんに、素敵な出会いがありますようにと祈った

ミムさんが
「リリアは変わった」と言った。私は15才からあまり変化してないと思っていたから、不思議だった。

どう変わったのか聞くと、「弱々しい」と言われた。「強がってるのがバレバレで脆いぞ」と

No.161 09/10/04 12:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ギクッと思った。
私は男の人に依存してないと、自分を保てない事は
自覚していた。
今も寂しくてしょうがない

何でこんな風になっちゃったのだろう。1人で生きていけない、身体の成熟した赤ちゃんだった

ミムさんにもそこをつけ込まれた。
いい子いい子されていたら涙が出てきて、そのまま
押し倒された。抵抗する
理由もなく抱かれた。

暗闇で息使いと擦れる音が響く。一人じゃないと安心する自分がいた。
「サトシの言う通りだ」とミムさんが呟く。
そのあとすぐ果てた
サトシが何を言っていたのか興味がなかった

No.162 09/10/04 12:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

このままじゃ、この部屋がやり部屋になると危惧し
翌日解約しに不動産屋に行った

私は実家に出戻った。
母は、「嫁に行ったわけではないんだから、出戻るなんて遣わない」とたしなめた。
でも逃げ帰ってきた私は、出戻りだった。

職場が遠くなったこともあり、飲み会を断わる口実が出来た
お酒もセーブして飲むようになった。家に帰ると、父も母も時折姉もいて寂しくなかった

No.163 09/10/04 13:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

20才の秋頃だったと思う
飲み会が決まったメンバーになってきた。
男4人と私。その男性達はみんな彼女や妻子持ちだった。

しっかりした人達で、安心して飲めた。大人だった。
無茶して飲ませる人達に
飲みに誘われても、その
4人のうち誰かがいれば
参加した。そして、その人の隣に座るようにして身を守った

遠距離恋愛中だった4才上の中野さんの隣に座ることが多かった。中野さんは、全然私に興味を示さなかったのが、好都合だった

その内、中野さんいるからおいでよと誘われるようになり、中野さんいるならと参加するようになった

中野さんとトオルは同い年で、親友だった。トオル
から私の事を色々聞いていて、引いてたのかもしれないけど、嫌な顔しないで
隣に座らせてくれた

中野さんは典型的なイイ人だった

No.164 09/10/04 13:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんから飲みに誘われた。教えられた居酒屋に
行くと、トオルと中野さんが2人で飲んでた。

中野さんに謝られた
「トオルが謝りたいって言うんだ」と
トオルとは社内では普通に接していたが、目は合わせないようにしていた
避けていた

カウンターで中野さんを
挟んで3人で飲んだ。楽しくなかった。
トオルには、全然気にしてないと伝えた。トオルは、ホッとしていた

中野さんは悪酔いしてた。気を使いながら飲んで、
消化不良だったんだろう
途中まで同じ方向だったので、私がタクシーで送っていった

トオルは何か言いたげだったけど、無視して中野さんと帰った

No.165 09/10/04 14:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんはタクシーの中でずっと謝っていた。みっともない姿をゴメンと
呂律は廻ってなかった

アパートに付いても、階段をのぼって行かない。
ヤレヤレと思った。日頃
中野さんにはお世話になってる。置いてきぼりには
出来なかった

料金を払って、タクシーを帰した。
さすがに60キロある男性を抱えて階段は上がれない

自販機で水を買ってきて
飲ませる
「あれ?トオルは?」
とんちんかんな事を言う

アパートの階段でしばらく2人で座ってると、トオルが自転車でやってきた
心配で見に来たのか、やってる所に乱入しようとしたのか、真意はわからない

トオルが中野さんを抱えて階段を上がってくれた。
鍵を開け中に入り、電気を点けると、部屋は片付いていた。
中野さんらしいシンプルな部屋だった。

トオルは中野さんを乱暴にベッドに下ろす
「リリア、送っていくよ」トオルとは2人っきりに
なりたくなかった。

「中野さんの様子をもう少し見てから、タクシーで帰る」トオルはしつこく言ってこなかった

No.166 09/10/04 14:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

トオルが帰ったあと、中野さんも酔いが覚めてきた

「みっともない姿を…」と繰り返し謝った。そのまま帰ろうとすると、
「こんな時間に女の子1人で帰るのは危ない。リリアが嫌じゃなかったら泊まっていきなさい」
とベッドを空けてくれた。
中野さんは毛布にくるまりソファーに寝そべった。

好意に甘えてベッドに入った。見たことない彼女さんにゴメンナサイと思いながら
中野さんがベッドに入ってくることは無かった

翌朝、一緒に通勤したので皆に冷やかされた
中野さんは、きっぱりと
「泊めたけどやってない」と断言してた
皆はちゃんと信じた
中野さんの人望だ

遠くでトオルはホッとした顔をしていた

No.167 09/10/04 14:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

気が緩んでたのかもしれない。
いつものメンバーに誘われて忘年会に参加した
中野さんはデートで不参加だった

1人が彼女と別れての慰め会も兼ねていた。そろそろ結婚かと言われていたイケメンさんだ。
原因はどうやら彼女の浮気、経験者は胸が痛かった

二次会は、彼女が出て行ってしまったイケメンさんの家で飲んだ
テレビやテーブルも持っていかれてしまい、広々とした寒々とした部屋だった

冬に別れると淋しさ倍増だなと学習した

最初テンション高く慰めながら飲んでいたが、最後は4人でしんみり飲んだ
別れの寂しさが伝染した

朝方まで飲んだ。出勤時間になり慌てて会社へ
私が早出当番で残りは休みだった。
イケメンが責任感じて送ってくれた

No.168 09/10/04 14:43
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

事務所の鍵を開けて、タイムカードを押すとギリギリセーフ
ホッとして振り返ると、
真後ろにイケメンが立っていた

おもむろに抱き締められ、そしてキスをされた。
お互い酒臭い。お酒のせいにしてあげようと、拒まなかった
別れてのすぐの寂しさは、痛いほどわかる。
イケメンは背が高くて、
ガタイもいい。上から抱えられるマッキーのキスを思い出させた

相手の気が済むまで、キスを受け入れた。私好みの上手なキスだった

薄い唇のキスは、鳥に突っつかれているようで好きじゃない。だから、トオルみたいに唇の薄い人には惚れない。
イケメンは肉厚のある唇をしていて、優しいキスだった。

No.169 09/10/04 14:54
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

唇が離れ、見つめあった後事務所を出た。会話はなかった
軽トラの停めてある倉庫に行き伝票を探していると、イケメンが追い掛けてきた

また抱き締められた
二回目のキスをされていると、外が騒がしくなってきた。他の人が出勤してきたのだ。イケメンはなかなか離してくれない
「誰か来ちゃうよ」

ハッとして彼は離れて倉庫を出ていった。
酔った勢いのキスだと割り切り、仕事に行った。
それからは、普通に接している。キスは2人だけの
秘密として

でもそのキスは生涯忘れられないでいる。時折、その続きを想像してしまう
それくらい相性のいいキスだった

No.170 09/10/04 15:05
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

3月になると運送屋は忙しくなる
引っ越しの季節だから
普段6t、10t車で物流の仕事をしてる人達も2t、4t車に乗り換えて引っ越しに駆り出される

特に春休みになってからと希望する家族が多く、20日以降はてんやわんや。
家賃の関係で、どうしても月末に引っ越す人も多く、最後の3日は戦争状態

4月に入るとバタッと件数が減り落ち着く

女性も例外なく駆り出され、食器梱包したり台車押したりして男性のサポートをする

普段1人で配送しているので、大勢で仕事するのは
新鮮だった

No.171 09/10/04 15:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その年は運悪く、3月29日が土曜日で最悪の3日間となった。
積んで移動して卸すまでを一回戦とすると、1チーム3人で三回戦組まれていた。
1チーム6人だと二回戦、但しトラック二台分の荷物量である
普通は一回戦を一日で行う

当然人手は足りない
派遣や高校生バイトで賄う

三回戦目に組まれたお客さんは、夜逃げのような引越になる。それでもいいからと月末を希望される。
社員はクタクタだった

社員1人にバイト2人で
1チームになると社員が全ての運転までしないとならない
そうして30チーム作り、三日間を何とか乗り越える

No.172 09/10/04 15:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

普段バカやってる社員達がみんな格好よく見える
チームワークの良さに、胸があつくなる

冷蔵庫を階段で下ろしたり、段ボール3つ重ねて運んでる姿は男らしさを感じる

移動中のトラックの中で、「今日の客の娘、巨乳だったな」とか「奥さん黒い下着透け透け」とかで盛り上がっているのを聞いてるのも楽しかった

運送屋は大変な仕事だ

怒っている客に中野さんが謝っているのを偶然見た。段ボールが1つ紛失したと言う
おまかせパックは梱包から開梱までスタッフが行うが、一般的な引越はお客さん自ら梱包して開梱する

素人のお客さんは、梱包の時に何を入れたのか箱に記入するのを忘れる
段ボールは20個から多いと60個を越える

お袋の遺影が見つからないと怒っていた。

No.173 09/10/04 15:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そんな大切なもの、自分で運べと言いたい。実際、開いてない段ボールもまだ
たくさん残ってた

中野さんは次のお客さんが押していた
私が1人残って探す事にした。お客さんも納得してくれて、中野さんは
「この借りはいつか返す」と次の現場に急いだ

各部屋に無記名の段ボールが山積みに
畳部屋に仏壇があって、
そこの段ボールは開封されていた
食器の段ボールだったり、子供服の段ボールだったりとめちゃくちゃだった

どこの部屋に置く段ボールかぐらい、書いておいて
欲しかった。中野さんも
困って取り敢えず置ける所に置いていったのだろう

No.174 09/10/04 15:56
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

奥さんはいい人だった。
「あの人マザコンでね~引越したらすぐ母親にこの眺めを見せてやるって(笑)」確かに14階の眺めは絶景だった

そんな母親の遺影を段ボールに入れて業者に運ばせるな

奥さんと旦那さんと一緒に開梱していく。私1人いなくても、中野さんは困らない。時間気にせず、おしゃべりしながら開けていった

それはダイニングのL箱の中から賞状なんかと一緒に出てきた。旦那さんの機嫌も治り、最後は中野さんに謝ってくれと言っていた。

慣れない引越は思っている以上に疲れるし、ストレスになる。
中野さんの役に立てて良かった。

一階のエントランスを見ると見慣れたトラックが二台いた。
降りて行くと、2台口、二回戦目のイケメンとトオルだった。
エレベーター係りを手伝い、ホールから10階のお客さんの家の前まで台車押しをする。
途中、中野さんに電話してイケメンに乗っけてもらって帰ると連絡した

No.175 09/10/04 16:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

引越終わったのが、23時。繁忙期にしてはまずまず。中野さんは三回戦目を降ろしてる最中だった

場所が離れているので、応援には行かず直帰になった。
迷わずイケメンのトラックに乗せてもらう
トオルの方には乗りたくなかった

現地バイトはその場で解散。他に年配の社員さんが2人いた。
一人ずつ別れてトラックに乗り込んだが、イケメンが「吉さんごめん、トオルの方に乗ってくれる?」と
願い出た。

吉さんもイケメンより、
同い年のナベさんの方が気が合うから喜んでトオルのトラックへ移動した
トオルは怒ってるだろうな

No.176 09/10/04 16:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

イケメンとツーショットになる機会なんてなかったから、新鮮。
全然緊張もしなかった。

秘密のキスをしたのは、
もう3ヶ月前だ

道中なぜか私の人生相談になった。男を見る目の無さについて。
イケメンだって私と3つしか違わないし、女を見る目があるのか怪しいもんだ

「リリアはさ、極度の寂しがり屋なんだろうね。
寂しい思いをさせない男を探さないと」
難しいなぁ~

秘密のキスについては、
お互い触れなかった。あれは酔っ払った勢いなのだから


4月に入り落ち着いた頃、中野さんから飲みに誘われた
「この前の借りを返すよ。何でも奢るよ」予定をあわせると、偶然私の21回目の誕生日だった
勿論、中野さんはその事を知らない

No.177 09/10/04 16:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

運悪く、中野さんの仕事が押してしまい飲み屋に着いたのは21時回っていた。

初めて中野さんと2人で飲む。遠距離の彼女の話や、イケメンの別れ話、吉さん&ナベさんの武勇伝
話題は尽きなかった

そろそろ行こうかとなり、レジに向かうと、
「トイレ行ってくるから払っといて」と財布を渡された。
アレッと思った。
私随分と信頼されてるじゃん
何となく、財布を開けたくなかったので、そこは自分の財布から支払い、戻ってきた中野さんに財布を返して
「ゴチソウサマ」とお礼を言った
真っ直ぐ実家まで送ってもらいそのまま別れた
最後まで、中野さんは私が誕生日だと知らなかった

No.178 09/10/04 16:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

翌週、突然イケメンから呼び出された
「中野さんと飲んでるから、ツマミ買ってうちに持って来い」と
暇だったので、言われた通りカキPやポテトチップスとジンロを買って行った

呼び出した本人は、ベッドで寝ていた。
中野さんは笑っていた。
中野さんと乾杯して、自分で買ってきたお酒を飲んだ

イケメンに彼女が出来たらしい。良く行く飲み屋の
バイトの子だ。私も知ってる。いつの間に(笑)

彼女のバイト終わりに、
2対2でボーリングに行く事になっていた。初耳。
人数合わせで呼ばれたらしい。

でもそのダブルデートは、楽しかった。イケメンと彼女は喧嘩しながらイチャイチャしてた。
彼女は見た目超ー派手だけど、とてもいい子だった。
素直に良かったじゃんと
思えた。イケメンに惚れてるのかなと思った事もあったけど、そうじゃなかった。私も大人になった。

No.179 09/10/04 16:57
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ボーリングは私と中野さんの圧勝だった。3ゲーム
やったけど、ストレート
勝ちだった

イケメンは彼女と、私は
中野さんに送ってもらった

何気なく、
「中野さん、明日はデート?」と聞いてみた
遠距離の彼女とは五年目だと言ってた

「その予定だけど、連絡してないし、連絡こない」
とクールに笑ってた。もう時刻は12時回ってる

「そんなことより、この前誕生日だったんでしょ。
しかも支払いまでして」と怒られた
「言ってくれれば良かったのに」

今まで、誕生日だと打ち明けて辛い思いをしてきた
保身を考えて、敢えて言わなかった

「プレゼント、何がいい?」と聞いてくれた。
冗談で、
「ハグ」と言ってみた
単純に、中野さんの困った顔が見たかった

でも中野さんは私の身体を運転席に引き寄せ、抱き締めてくれた

No.180 09/10/04 17:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

驚いて顔を上げると、中野さんは真っ直ぐ前を見て
固い表情だった

困らせたと思い離れようとすると強い力で抱き締められた

中野さんの事が好きだと
気付いた。何時からとか、何処がとか分からない

でも、中野さんがいると
安心したし、中野さんに
迷惑をかけたくなかった

どうして私はこんなに涙脆いんだろう。すぐ涙が出る。
家の前まで着いていたが、中野さんは車を走らせた。人気がない所に車を停めて、もう一度抱き締められた

「泣きたいなら、泣きな」なんの涙なのか、分からなかった。大好きな中野さんに抱かれてるのに

突然中野さんにキスされた。慰めてくれるつもりなのか、理由がわからない。
胸を揉まれた。嫌だった。

「もう遊ばれるのは嫌」
中野さんから離れて、車を降りて走って帰った

No.181 09/10/04 17:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

イケメンに泣きながら電話した
「中野さんが好きかも」って。笑われた
「見てればバレバレ」って

教えてくれればいいのに。高校生の時のマリとテツの顔が浮かんだ。彼らは私から見てバレバレだった
その時、私は1人で冷めていた。

21歳になって戸惑う。
中野さんは彼女持ちだ
でもこの気持ちは押さえられない。どうしていいか
わからなかった

イケメンは「俺知らない」と電話を切った
仕事辞めようと思った

このまま働くのは辛い

No.182 09/10/04 17:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

週明け、中野さんからメールが来た。
電話番号とアドレスかえたからと。中野さんからの
メールがこんなに嬉しいなんて
会いたいと思うようになっていた。
今までなかったのに

5月の給料日に、今度こそ奢らせてと中野さんから誘われた。
悩んだけど会いたい方が勝った。

いつもよりお洒落して出掛けた。完全に恋していた

No.183 09/10/04 17:41
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

いつもの居酒屋で、いつものように盛り上がる。
中野さんの声が好き、仕草が好き、再確認する

今夜はご馳走になった
いつものように家まで送ってもらった
最後にキスされた
車を降りようとすると、
「彼女と別れたよ」と

慌てて振り向く
中野さんは笑ってた
「イケメンに怒られた(笑)リリアの事、どう思ってんですか?ハッキリさせて下さいよ」って
「あいつ、リリアの事が好きだったんだな」

イケメンはいい奴だ
いつも私の心配をしてくれてたのだ

「俺と付き合って下さい」頭の中がぐちゃぐちゃだった

中野さんは私が王様ゲームで弾けてた事も、野球拳でほぼ全裸になってた事も、同棲中にセ○レ作っていたことも、全部知ってる

それ以前の行いもある
パニックになった

No.184 09/10/04 19:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「俺じゃ駄目?」
駄目じゃない、中野さんがいい。でも、私じゃ駄目だ、こんな私じゃ…

「トオルとの事もあるし」「俺じゃ駄目?」
「駄目じゃない」
抱き締められた
「良かった。イケメンに報告できる(笑)」

Uターンして中野さんの
家に行った
今度は一緒のベッドに寝た

中野さんは暖かかった、
優しかった、そして
激しかった

No.185 09/10/04 20:07
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

目覚めると、隣に中野さんがいた。中野さんは起きていて目があった
「おはよ」
「おはようございます」

恥ずかしい
「もう浮気させないよ」
「はい…」

全裸で抱き合った。中野さんの肌はすべすべだった
二の腕の筋肉はもりもりで身体は細かった

中野さんは着痩せする
全裸の中野さんは筋肉質だ

セクシーだった
初めて男の人の身体を見てムラムラした

私の身体がすごい反応した。中野さんは悦んだ

No.186 09/10/04 20:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私の希望で、付き合い始めた事は会社に内緒にしてもらった。中野さんの評判が悪くなるのが嫌だった

飲みのメンバーには祝福
してもらった。イケメンに「もうよそ見するなよ」
と耳元で囁かれた

座り慣れた中野さんの隣は、私の指定席になった
中野さんは、デレデレしてた。それがまた嬉しかった

妻子持ちの水田さんが
「じゃあここは中野の奢りで」回りから拍手と歓声が起こる

「マジッスか?普通逆じゃないですか?」
「リリア独り占めしてんだから当然だろー」
「今日だけっすからね」
支払いは1万8千円だった

No.187 09/10/04 22:05
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんの家で、半同棲が始まった
同棲する前に、うちの親に今付き合ってる人だと紹介してくれと言われた
驚いた

今まで親に彼氏を紹介した事がない
言われた通り、実家の夕飯に中野さんを招待した

照れ臭い
父も母も喜んだ。姉は残念ながら留守だった
中野さんは率なく両親と
会話をしていた

私の方が無口になる
同棲することに父は反対
しなかった
「自慢の娘です。お目が高い」と中野さんを褒めていた

一番の親孝行は、自分が
幸せになることなんだなと思った
中野さんありがとう

No.188 09/10/04 22:14
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

同棲する前にもうひとつ
確かめておきたい事があった。中野さんの元彼女だ

「別れたのはわたしのせい?」
中野さんは違うと即答した

「もうずいぶん前から駄目になってた。どちらも別れを言い出すのを待っていた。そういうタイミングだったんだろうな」
最後は泣かれたと

会ったことない彼女さんに申し訳なかった
別れた翌日に携帯をかえたと言う
「あっあの時…」
メールが着て喜んだ日
その前日に一組のカップルが別れていたなんて

No.190 09/10/04 23:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

>> 189 💡💡💡雑談💡💡💡
レスありがとうございます

自分本意の話に、ここまで読んでくれてる事に、ただただ感謝です(^人^)

感想スレは、日記コーナーでいいのでしょうか😅
作ってみますので、覗いてみて下さいm(__)m

ストーリーはすでに決まってますので、感想スレは
自由にお使いください✋💦

No.191 09/10/05 00:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんは遠距離恋愛していたせいか、貪欲だった
前の彼女さんは、濡れにくいタイプだったようで、
挿入まで時間かけても、痛がったという。

中野さんの大きさが要因でもあったと思う。太さは
標準でも、少し長い
濡れてないと辛い大きさだ

感じやすい私の身体にとても感動して、どんどん求めてきた

20時に地方に向けて出発しなきゃいけない長距離の仕事の前でも、一発抜いてから行った

私の休みと長距離の仕事が重なると、運転席の裏の
寝台に私を隠して連れて行ってくれた

大型トラックの寝台は、結構広い
サービスエリアの駐車場で寝台でやった事もある

No.192 09/10/05 01:14
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

9月に中野さんは25歳になった。プレゼントはZippoを用意した
手料理と、ケーキを用意して2人で祝った

中野さんはお礼と共に
「リリア、結婚しよう」
とんだサプライズ
人生三回目のプロポーズ

断わる理由なんてどこにもなかった
私はもう21歳だ

「私でいいのですか?こんなヤリマンの私で…」
「俺だけのヤリマンでいてくれ。最高だ」

中野さんとのセックスの
相性は文句ない。付き合って3ヶ月半でのプロポーズ

何一つ不安はなく、お受け致しました
父と母の泣き顔が浮かんだ。間違いなく嬉し涙だ

随分遠回りしたけど、遠回りした分得たものも大きい。
これからは中野さんが隣にいてくれる。寂しくはない

私にはバラ色の未来しか
見えなかった


第六部~完~

No.193 09/10/05 08:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

第七部~スタート~

プロポーズを受けたその後、私達は避妊をしなかった

中野さんの覚悟を文字通り身体で受け止めた
熱い思いを身体の中でも感じた
怖いことなんて何もなかった。もう何も失うものなんてないと思ってた。


この時は…

No.194 09/10/05 08:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

便りが無いのは、元気な証拠。じゃあ便りがあったら…?


次の日、仕事中に実家の母から電話があった

プロポーズの件は、ちゃんと挨拶に行くから、それまで親には言わないでと言われてた
さすが母親、何かを感じたのかなぁ?


母は開口一番
「リリア、槇田君覚えてる?」
覚えてるも何も、マッキーだ。嫌な予感がした。
一瞬で鳥肌が立ったのを
今でも鮮明に覚えてる


「昨夜、亡くなったって…今槇田さんのお母さんから連絡が…」
最後は母の声が聞こえなかった
嘘だ、夢だ、マッキーは
幸せな大学生活を満喫してるはず、素敵な彼女が隣にいるはず…

No.195 09/10/05 08:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その日はどうやって仕事を終わらせたのか覚えていない
泣きながら中野さんに電話した。中野さんは私が何をしゃべってるか全く聞き取れなかったと思う
それでも辛抱強く付き合って聞いててくれた

マッキーが死んだ?
マッキーはもういない?
嘘だ、嘘だ
高校の同窓会で会える
偶然地元で会えると
信じていた


こんな事って…
私は何も考えられなかった

No.196 09/10/05 08:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

夜、中野さんが帰宅してから、マッキーの自宅へ電話をした
知らない女の人が出た

連絡をもらった事を告げると、お通夜は明日、お葬式は明後日になりますと告げられ、電話を切られた

電話口の向こう側では、
聞き慣れたマッキーのお母さんの悲鳴に近い叫び声が聞こえた気がした

何もかもが、現実だった
明日になれば、全てがわかる
中野さんにギュッと抱いてもらって何とか眠りにつくことができた

No.197 09/10/05 12:20
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

お通夜は地元の斎場で
行われた。中野さんに送ってもらい、1人で行った

喪服の人でごった返していた。知った顔がいたので、そちらへ歩いた
マリとテツとタローだ

マリは涙でぐちゃぐちゃの顔をしていた

反対側で同じようにぐちゃぐちゃの顔をした女の子がいた。
その子と一緒にいる人達に、見知った顔はいなかったから、大学関係だろう
もしかしたら彼女かもしれない

No.198 09/10/05 12:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリア~」マリはさらに泣き出した
マリの肩を抱きながら、
テツが教えてくれた。

バイクで走行中、信号無視のワゴン車が左から突っ込んできたと
相手は18才、無免許だと

意識不明の重体で病院に
運び込まれ、意識戻らぬまま…

他人事のように聞いていた。ラグビー部みんな集まってるのに、何でマッキーはいないんだろうと思ってた

No.199 09/10/05 12:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「顔見てくれば?まだだろう?」
タローと話したのも久しぶりだ

タローに案内されて、御焼香の最後尾に並ぶ
遺影のマッキーは少し髭が生えててワイルドになってた
誰に向けた笑顔なんだろう、素敵な笑顔だった

御焼香中、マッキーのお母さんと目があった。
一晩でやつれてしまったんだろう、私に深々とお辞儀すると泣き崩れた

あの頃私は一番幸せでした。本当にありがとうございましたと心の中でお礼を言い、深々と頭を下げた

No.200 09/10/05 13:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

箱の中のマッキーは、私の知らないマッキーだった

この3年で大人の男性に
なっていた
でも寝顔はマッキーだ
涙が止まらない

マッキーの顔を見ていられず、マリの所へ戻った

斎場にいたくなかった
マリとテツとタローに挨拶して帰った…。

今でもマッキーの死を受け入れてない
花園でラグビー部の監督が映ると見てしまう
10年もしたら、
「優勝おめでとうございます。監督の槇田さんです」とインタビューを受けているマッキーに会えると信じているから

No.201 09/10/05 18:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

帰宅してから、中野さんにマッキーとの思い出を泣きながら語った
私がどんなに好きだったか、マッキーの凄さ、マッキーの素晴らしさ、マッキーがどれだけ私を愛してくれていたか…

中野さんは、
「そうか、そうか」と聞いてくれた

気付いたら午前2時を過ぎていた。仕事まであと4時間しかないのに中野さんは口を挟むことなく聞いて
くれていた

「マッキーのおかげで今のリリアがいるんだね。今日はもう休もう」
頷きながら眠った
夢の中のマッキーは笑っていた

No.202 09/10/05 18:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

告別式には行かなかった
斎場の方角に手を振った
「マッキー、マッキー」と

もう泣かないと決めた
マッキーに迷惑掛けたく
ないから
マッキーの足手まといに
なりたくないから


中野さんは私が落ち着くまで待っててくれた
隣にいてくれた
中野さんの胸の中なら、ちゃんと眠れた

お通夜で見掛けたあの子は眠れてるのかな…?

No.203 09/10/05 18:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私は11月の初めに体調を壊した。ストレスか、胃腸がやられた。
内科にかかり問診票を書いてると、妊娠の有無の欄が

「えっ…」
そう言えば生理は遅れている。マッキーの事があり、すっかり気にしていなかった。

内科から産婦人科に変更した。10週・2ヶ月に入っていた
「どうしよう」
中野さんに電話すると、
「やったじゃん。順番変わっちゃったけど籍入れよう。早いうちにリリアの家にも報告に行こう」

死があって生がある
この子は男の子かもしれないなと思った

No.204 09/10/05 18:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

色んな事がトントン拍子で進む
早々に籍を入れ、親と会社に報告した
母は、泣いていた。思わず貰い泣きしてしまった

来年の2月に式を挙げる段取りを組む。

軽トラの振動がつわりを
誘発してしまい仕事が
続けられなくなった

産婦人科の検査で、性病もAIDSも陰性だった
こんなに不摂生な性生活をしていても、妊娠した

優しくて働き者の旦那様
私の過去を丸ごと飲み込んでくれた旦那様

過去の経験を踏まえて、
これからは全力で中野さんを支えていく

No.205 09/10/05 18:58
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

出産予定日は7月中旬
逆算すると、妊娠したのは中野さんの誕生日
つまりマッキーの命日


予定日に産まれたのは、やっぱり男の子だった
中野さんに良く似た切れ長の目の赤ちゃん

小声で「マッキー」と呼んでみた。産まれたばかりの赤ちゃんは、一瞬迷惑そうな顔をした…

第七部~完~

No.206 09/10/05 19:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

22才で最初の男の子を産み、24才でまた男の子、26才で女の子を出産した

そして今、私は3人の中野さんに良く似たカワイイ
子供達に囲まれ、穏やかに過ごしている

時折、副担やマッキーの事を思い出す
彼らと結婚していたら…と

こんなに幸せでいいのかしら。
ふと、私の胸の奥底に、どす黒い何かがいるような気がした……




     完

No.207 09/10/05 19:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

お礼💡
最後までお付き合いして
いただき、ありがとうございましたm(__)m

みっともない半生を振り返りましたが、フィクションと思い読んでいただければ幸いです

途中、不倫や略奪等見苦しい場面があったことをお詫び致しますm(__)m

次回作でお会いできることを願っております。
それでは、失礼します✋✨

No.210 09/10/06 22:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

💡💡💡雑談💡💡💡
その後の話を少し載せます

お時間のある時にでも、
読んでみて下さい😌

No.211 09/10/06 22:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんと結婚して、めでたく寿退社となった

翌年に太郎が産まれ、2年後次郎がお腹の中にいる時、私は24歳になっていた

中野さんが忘れ物をしたので、太郎を連れて三年ぶりに会社行った
その時、目を疑った

車庫の片隅にいた作業服の集団の中に、見覚えのある男がいた
新ちゃんだ

でも何か違う
良く見ると、新ちゃんより全然背が高い

新ちゃんは170cmなかったけど、その人はイケメン
より少し低いくらいだから175cmは越えていた

遠目だったけど、俯いた
感じが似ていてドキッと
した

No.212 09/10/06 22:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

後日、さりげなく中野さんに聞いてみた
やっぱり新ちゃんでは
なかった

久しぶりにドキッとしてしまった。新鮮だった

半月ほど経った頃、中野さんがベテランドライバー
吉さんに草野球に誘われた

少年野球の経験がある中野さんは、喜んで参加した
太郎を連れて、応援に行った。その頃お腹はもう
9ヶ月に入っていた

見知った顔もいた
「久しぶり~」
と沢山声を掛けられた
草野球チームは、社員で
構成されていた。いわば、寄せ集めチームだった

イケメンの彼女も来ていた。どこかで見たことのある人だが思い出せない。

中野さんにこっそり尋ねると、飲み屋のネェチャンだった。
次から次へと同じお店の
女の子と付き合っている
らしい
モテる男はスゴいなぁ

No.213 09/10/06 22:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

見知った顔の中に、全然
知らない人もいた
私が退社してから、入社した人達だ

その中に、新ちゃんそっくりさんもいた
でも近くで見ると、全然
似てない。顔も声も。
でも雰囲気はスゴく新ちゃんに近い

世の中には自分に似ている人が3人はいると言う
雰囲気が似てるのも、その中に入るのかな?

新ちゃんそっくりさんは、皆から池田と呼ばれていた

No.214 09/10/06 22:53
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

寄せ集めチームの実力は、散々たるものだった
でも久しぶりに大笑いした

家庭は円満で笑顔も多い。でもなかなか大笑いする
機会はないものだ

中野さんは内野ゴロとフォアボールに終わった
一生懸命走ってる姿は、
格好良かった
さすが元陸上部だ

中野さんも大笑いしていた。真似して太郎も笑って
いた
幸せな日曜日の午後だった

No.215 09/10/07 00:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんのアパートで暮らすのも、手狭になってきた

2人目が産まれる前に、
市内の中古マンションを購入した
引越しはプロ軍団に
中野さんは
「社内でも選りすぐりの精鋭部隊に依頼した」
と威張っていたが、当日にやってきたのはいつもの
飲みのメンバーだった
階段要員として紹介されたのは、池田さんだった

手際よく荷物を運び出してくれる。池田さんとイケメンで階段を繋ぐ。
2DKのアパートは、あっという間に空っぽになった

そのまま車で10分かからない新居へ
イケメンと水田さんが
「奥さん、この段ボールはどこ置きますか~?」
と茶化す
全部ちゃんと段ボールに
記入してあるのに

「奥さんの下着どこに仕舞いますか?」と水田さん
その声の所へ何故かみんな集まる
中野さんが
「いいから仕事してくれ」と玄関で洗濯機抱えながら叫んでた

賑やかで楽チンな引越し

  • << 217 次回、楽しみにしてます❤

No.216 09/10/07 00:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

一通り終わった所で、簡単なツマミを用意して宴会を開いた
正味、四時間かからずに
引っ越す事ができた
費用はトラック代5000円と酒代

久しぶりに中野さんの隣に座って宴会に参加する
池田さんはお酒弱いようで、コークハイをチビチビ
飲んでいた

間近で見ると、新ちゃんには全然似てない
もしかしたら新ちゃんよりいい男だ
私と同い年だった

池田さんから池田君と呼び名をかえた

No.218 09/10/09 06:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

引っ越から半年、次郎の
首が座ってきた頃またいつものメンバーが遊びに来た

皆、出産祝いを持参で
イケメンは太郎にとレゴを水田さんは次郎にと布製のガラガラを
池田君は私にとUNIQLOTシャツを二枚
何故か中野さんは私にと
ホールケーキを

私も少し料理が楽しくなってきた頃でもあったので、ツマミは手料理でもてなした
普段、外で飲んでる彼等は私の拙い手料理を喜んだ


我が家での宅飲みは月1位のペースで行われ、メンバーも増えた
おかげで私の料理のレパートリーもどんどん増えた

No.219 09/10/09 06:56
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ある日シメに焼きうどんを出したら、池田君が
「これ、超うまい~」
と大皿を抱えて食べてくれてた

(…美味しい物食べさせてくれたお礼に何でも言うこと聞いてあげるよ)
新ちゃんの声が聞こえた
気がした

少しダシをきかせた、鰹節たっぷりの醤油味の焼きうどんだ
「美味しい、美味しい」
といってくれる姿が、また新ちゃんとダブる

その日からさらに池田君を意識するようになった

池田君には同い年の彼女もいて、同棲をしていた
「あまりにも料理が下手だから、リリ教えてやってくれ」
と彼女を連れて来るようにもなっていた
細くて美人だけど、どこか抜けてる彼女さんだった

No.220 09/10/09 18:26
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

お酒の弱い池田君は、のんべぇの輪にいるよりも太郎や次郎と戯れてる事が多かった
必然と私と話す機会も増える

池田君はどこまで私の悪行を聞いてるんだろう
ふと、疑問に思ったがすぐ忘れた
所詮、過去のこと

親しくなるにつれ、新ちゃんに似てるとは思わなくなった
新ちゃんよりも馴れ馴れしいし、賑やかだ
年も3つ違うせいか、池田君の方が全然幼い

それがまた彼の魅力でも
あった

No.221 09/10/10 10:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

月1の宅飲みは中野さんの配慮だった
自分が外で飲んでばかりだと、私が面白くないだろうと気遣ってくれていた

「ツマミ作り大変ならデリバリー頼もう」
と薦めてくれていた

お酒は持参してくれるので酒代はかからず、ツマミも手料理で賄っていたので
経済的な飲み会だった

授乳中で飲めない私でも、楽しい飲み会だった

中野さんは本当に私の事をいつも一番に考えてくれる

「次郎のおっぱい取れたら、子供達実家にあずけて
2人で飲みに行こうな」

しばらく自由がなくても、全然苦にならなかった

中野さんも嘘は言わない

No.222 09/10/10 10:37
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

次郎のおっぱいは1才3ヶ月で取れた
中野さんの実家に預けて
2人で飲み屋に行く事が出来た

久し振りのお酒と回りの
雰囲気に呑まれてしまい
酔っぱらってしまった

子供達のいない夜、私達は激しく愛し合った
お酒のせいか、とても乱れた。中野さんは悦んでいた

私の身体も充分悦んでいた

声が出る。中野さんの口で塞がられる
お酒臭い
「リリア、愛してるよ」
身体はさらに潤う

結婚4年目、このあとしばらくして3人目を授かったのは、当然の成り行きだったのかもしれない

No.223 09/10/10 10:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

池田君の事は、いつも胸の奥で燻っていた
会いたいと思う
美味しいって言ってもらいたい
リリって呼ばれたい

どうしたいんだろう?
自分で自分がわからない

中野さんに秘密にしていることで、罪悪感が増し
余計に意識してしまう

ある日子供達を前と後ろに乗せて自転車で買い物に
突然、トラックが徐行して並んだ
運転席を見上げると、池田君が手を振っていた

あの笑顔が好きだ
中野さんは、もう私の中で絶対的な存在
失ったら生きていけない

でも池田君が私に見せた
笑顔が心臓の鼓動を速くする
池田君には八重歯があった

No.224 09/10/10 22:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

25才の池田君はどんな風にセックスにもっていくんだろうと想像した

全然思い付かない

この時点でもう立派な心の浮気だ
中野さんよりも好きって
わけではない
でも心の中にはいつも2人の男性がいた

月1の宅飲みが来週と決まった日
布団の中で、私は全てを
中野さんにカミングアウトした
もう黙っていられなかった

中野さんに相談するなんてお門違いもいいところだ

どうしていいのかわからず涙も出てきた
もうめちゃくちゃだ

中野さんは腕枕をしながら聞いてくれた
途中で口出しはしないで
髪を撫でていてくれた

No.225 09/10/10 22:43
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリアは油断できない
なぁ(笑)でも確かに池田はいい奴だ」
意味のわからない返事

泣き笑いになった
「中野さんが1番好きなんだよ」
「当たり前でしょ」
そのままギュッと抱き締められた

中野さんの胸の中は私の
精神安定剤だ
その日は胸の支えが取れ
ゆっくり眠れた

No.226 09/10/12 08:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

既婚者だって恋をする
それは人間だったら当たり前の事だと思う

ちゃんとセーブできる人、溢れる思いが止められない人、恋をしても恋と認めない強い心を持ってる人

色々なパターンがあると思う
私は真ん中のタイプだ

溢れる思いを池田君ではなく中野さんに伝えた
中野さんは呆れたかもしれない
でもしっかり抱き締めてくれた

中野さんは口数が少ない
その分、態度や行動で示す

奥様の突然の告白
貴方ならどうしますか?

No.227 09/10/12 08:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

答えは各家庭違います
奥様との関係によって異なると思います

私の場合、秘密の想いを
打ち明けてた事で胸の燻りが無くなりました
中野さんへのやましさが
胸のドキドキを後押ししていたようです

翌週、いつものように宅飲みが開かれ池田君もやってきました
不思議と胸の高鳴りはありません

池田君はいい奴です
でも中野さんはいい人でもあり、いい旦那そしていいパパなのです

だれも中野さんには勝てません
今でも私の中では、池田君はお気に入りです
でも恋心はありません

皆さまの心の片隅に、残しておいて下さい
恋をした時、どうしようと悩まれた時、一番大切な人に相談してみて下さい

旦那さんでも、奥様でも、親友でも、親でも、子供でも
1人で悩んでいると、その想いはドンドン膨らんで
しまいます

伝えることで解毒して下さい
止められる思いは止めて
下さい

No.228 09/10/12 08:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

言葉が足りませんでした
私が解毒を薦めているのは禁断の恋といわれる部類

ごく普通の恋愛なら推進
します
想いは直接伝えてと、玉砕してもいいじゃない
経験が貴方をさらに魅力的にしてくれますから


中野さんにカミングアウトした翌月、池田君に告白
された
彼もまた、溢れる思いを
止められないタイプだった

彼の告白は、ズルく
「中野さんと別れてくれとは言わない。けど俺の気持ちは知っててほしい」と

胸に燻りを持っていたら
嬉しくて池田君を抱き締めてキスして、中野さんの目を盗んで会っていたかも

昔の私みたいに

今の私は中野さんの胸の中で解毒されていた
池田君には
「ありがとう、嬉しい。でもその思いには答えられない、ごめん」と返事を

No.229 09/10/12 08:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そのあとすぐ、池田君は
美人な彼女と結婚した
曖昧な関係を築かなくて
良かった

一度だけ中野さんに
「ショックだった?」と
聞かれた
「全然!!」笑顔で答えられた
中野さんは一瞬ホッとした顔をしたような気がする

「もうよそ見するなよ」
イケメンとの約束も守れた。良かった。

それからも池田君ファミリーとは家族ぐるみの付き合いは続いている

No.230 09/10/13 22:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

3人目を妊娠してる頃には私は26才の目前にきていた

中野さんは、30才で3人のパパだ
仕事も順調で、何段階か
出世もし、私は専業主婦でいられた

ある時、中野さんはトオルと飲みに行った
私と付き合い始めてから、少し距離を置いてた2人だが、時間が経ちまた飲みに行くようになったのだ

トオルも子連れの女性と縁があり、同棲をしているという
彼女の連れ子と太郎が同い年ということもあり、中野さんは子育てについて相談されていた

No.231 09/10/17 16:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

久しぶりに酔っぱらって
帰宅した中野さん
上機嫌で、饒舌
「ごめん、ごめん」
を繰り返す

付き合う前にも、こんな姿あったなぁと懐かしく思い出す
あの時は、トオルに担いでもらって階段上げたっけ

「トオルに言われたよ~」ヘラヘラしながらこっちを見てる
何を?

ミネラルウォーターを渡すと、一気に飲み干した

「結局、なんだかんだ言っても、俺が一番幸せになったなってさ」
自虐的に微笑んだ気がした

No.232 09/10/17 16:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私のしてきたことは、社内でも有名なんだろう
人の口は塞げない

噂も尾ひれがついたら、
収拾がつかない
それは違いますと、否定
して歩く事も出来ない

私は退社して逃げれた
でも中野さんはそこに踏み止まっている

「あのリリアがねぇ~」
と言う声が聞こえる
過去は消せない
でも、過去があるから今の私がいる

関係を持った男達から
いろんな事を教わった
善いことも悪いことも含めて

それらの経験を踏まえて
全身全霊をかけ、中野さんを幸せにする
それが私の過去への贖罪

彼は私を暗闇から救って
くれた。幸せな生活を与えてくれた

中野さんは優しい
「私と結婚して良かった?」と聞くと、
「もちろん」
いつもそう答える
だから、トオルの一言は
嬉しかった

No.233 09/10/17 16:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

宅飲みで、酔ったイケメンに言われた事がある

その時、中野さんは足りなくなったお酒を仕入れに
太郎と近くのコンビニに
出掛けていた

「もし、もしも中野さんが浮気したら…」
イケメンの目は真剣


「それはきっと本気だから、別れてやってな」
複雑な笑顔だった

イケメンは本当に中野さんの事が好きなんだなと嫉妬した
でもその通りな気がした

私も中野さんを元彼女から奪ったから、私も奪われるかもしれない

こんな考えの妻は可笑しいかな?

中野さんには
「好きな人出来たら、早目に教えてね。私も次の相手探すから」と伝えてある
「そーだね」
と流されるけど、私は
いつでも本気の覚悟だ

No.234 09/11/11 21:56
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

平凡に過ごしていた

4歳、2歳、0歳の子供達も午前中公園ではしゃぎ
過ぎたのか、昼ご飯のあと揃ってお昼寝タイムに

静かになった部屋で、ふと新ちゃんの事を思い出した

同じ市内に住んでるだろうけど、全然会わない
もしかしたら、ニアミス
してるのかも

違う場所で新たな生活をしているのかも

いつか、同棲していたボロアパートの前を通ったら、新たな居住者がいた
若い2人だった

私達のような同棲カップルか、新婚さんか、はたまたただのルームメートか

No.235 09/11/11 22:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

子育ての合間に、過去を
振り替えるのは日課のようになっていた

マッキーと同棲してたら…新ちゃんと結婚してたら…モテオと付き合ってたら…
たら、れば、を言い出していてはキリがない

決して、今の生活を後悔
してはいない
幸せだからこそ、過去の
男性達が気になるのかも
しれない
彼らも幸せになってると
いいな

でも、彼らに二度と会ってはいけない
私は男女間の友情は無いと思うから

身体の関係があったら、
それはもう友情ではないし

身体の関係が有り得ない
異性が魅力的だと思えない

No.236 09/11/11 22:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そんな時に夢を見た
とても柔らかい雰囲気に
包まれた幸せな夢だった

でも、やましい夢
私は既婚者なのに旦那に
内緒で出掛ける

気分はワクワクしてる
夢なのにリアルに伝わる

待ち合わせ場所で待って
いるのは何故かイケメン
中野さんの同僚のイケメンだ

イケメンの車に乗り込み
行き先のないドライブへ
夢なので音声が全くないが車内の雰囲気はラブラブだ

運転してるイケメンの横顔を眺めている所で突然目が覚めた

目が覚めてビックリした
私はなんて夢を見てるんだろう
隣では中野さんが静かな
寝息を立てていた

No.237 09/11/11 22:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私は浮気願望が心の奥底にあるのかもしれない
そのまま中野さんに抱きついた

寝てるのに、こちら向きに寝返りしてくれて抱き締めてくれた
中野さんの胸の中で
「ごめんなさい」
起こさないよう、心の中で謝った

でも、続きが気になる
あの後、イケメンとどんな場所にデートに行くんだろう
きっと楽しいに違いない
夢の中なら…

No.238 09/11/11 22:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

しばらく寝付けず、色んな事を思い出した

あれは結婚してすぐの妊婦の頃だったと思う
ホルモンバランスが崩れていたのか、一時期情緒不安定な時があった

退職して1人で留守番している毎日に気が狂いそうになり、中野さんの帰りを
ひたすら待っていた

平日の昼間は、友達も親も仕事をしている
気が付くと、誰とも会話してない日もあった

どんどんお腹は大きくなる、行動も制限されてきた

そんな頃、続けて夢に悩まされた

No.239 09/11/11 23:05
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

1つ目の夢は、もちろん
マッキーだ
もうマッキーには夢の中でしか会えないと分かっているからか、頻回に現れた

目覚めて夢だと分かると、その度に落胆した
夢の中でいいから会いたいと願うと現れず、いつも
不意をつかれる

だからその分、ショックも大きい

でも夢の中のマッキーは、いつも同じ笑顔だ
なぜか、いつも高い位置にいて触れられそうで、届かない
だから、目覚めると涙が
出てしまう
夢の中でくらい抱き締めてくれればいいのに

No.240 09/11/11 23:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

もう1つの夢は本当に辛かった
夢なのに、体力消耗した

それは中野さんに別れを
告げられる夢
誠意を持って、真剣に謝られる「本当にごめんな」と
「幸せにしてあげたい子がいるんだ」と
それは私じゃなかった
なぜか直感で思い当たる子がいた

最後に、実家まで送ってもらった
運転手は何も言わない
BGMだけが寂しく流れている

「別れたくない」
強がりを押さえて本音を
告げる「嫌だよ」

頭の中ではちゃんと分かっていた、そんな事を言っても中野さんを困らせるだけだと
でも最後くらい正直になってみようと思ったのだろう、大泣きして引き留めた

プライドの高かった私からは考えられない醜態だ
振られてるのに必死に繋ぎ止めるなんて

そんな風に考えていたら、隣の寝息がリアルに聞こえた
一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった
中野さんが寝てる
お腹の中には赤ちゃんが

安心したら涙が出てきた
仕事で疲れてる中野さんもビックリして起きてしまった
寝ぼけ眼のまま、頭を撫で「勝手な夢を見ないで下さい」と笑われた

一緒になって7ヶ月目に
見た悪夢

それから何年か経って、
宅飲み中にイケメンに言われた
「中野さんが別れ話もってきたら…」

No.245 10/02/05 17:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

🍒🍒おわび🍒🍒

長い間放置してしまい
すみませんでしたm(__)m

その間、不快に思われた方更新を信じて待っていた方
ご迷惑をお掛けしました。

また書き始めます💡
不快に思われる方は、
何卒スルーして頂ければ
幸いです💦


最後になりましたが、
温かいメッセージありがとうございました。

拙い文章能力で申し訳ありませんが、もうしばらくお付き合い下さいな✨

No.246 10/02/05 19:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

この夢のおかげで抵抗なくすんなり私の心の中に
染み入った。

人の心は縛れない。
だから外から繋ぎ止める
術はない。


数年後、身を持って体験
することになろうとは
幸せ絶頂のこの頃は思いもしなかった。

No.247 10/02/05 19:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

月日が経つのは本当に
早いもので、何事もなく
ただただ幸せに過ごして
いた。

息子2人も小学生になり、私も時間を持て余し気味になっていた

娘が幼稚園に行ってる間、中野さんの勧めもあり
働くことにした

市内の病院の受付係りだ

久しぶりに社会に出た喜びと、働くことへの不安は
半々だった
専業主婦の間、幸せでいたけど刺激はなかった

敢えて刺激から離れていた

自分を刺激しないように
平穏な生活を心掛けていた

不安があるとは中野さんには言えなかった…

No.248 10/02/05 19:41
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

病院の外来の内側は、
面白かった

診察券からカルテの流れ

普段、病院に連れて行き、診察券を出していたが

今私は診察券を預かる立場にいる
支払い額もまちまちで、
覚える事が多く大変だったが楽しかった

私より全然若い子に教わる事も、患者に「まだ?」と怒られても働く事が楽しかった

水を得た魚のように
活き活きしていた

No.249 10/02/05 19:57
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そんな私を中野さんも
温かい目で見守っていて
くれた
どんなつまらない仕事の話でもちゃんと聞いてくれた

病院での初めての給料は、半月分ということもあり
贅沢な外食代くらいだった

使い道を模索してると、
中野さんの宅飲みメンバーが、いつものお礼と子守りを申し出てくれた
たまには夫婦で出掛けて
きな~と


彼等は、地域の体育館施設を借りてくれた


太郎と次郎はイケメンや
池田君になついていたので大喜びだった

思わぬプレゼントに涙腺が緩んだ

No.250 10/02/05 20:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

彼等に促されて乗用車に
乗り込むと、末っ子の花子も水田さんに抱かれて
笑顔で手を振っていた


太郎と次郎は池田君ファミリーの車に乗り込んでいた

安心して夫婦水入らずの
デートに出発できた
直前、イケメンが中野さんに耳打ちした


「さて、どーしますか」
お互い、はにかんでしまう
宛もなく、ドライブ
そんな事も幸せに感じる事に感謝

中野さんは普段大型トラックに乗ってるので、運転も上手だし、道にも詳しい

だから中野さんとドライブしてるだけで充分楽しい

「あ、イケメンなんだって?」耳打ちしたのが、気になった

「ん?」
中野さんはわざと惚ける
でも根が真面目だから
ちゃんと教えてくれる

No.251 10/02/05 20:27
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「国道沿いに新しいラブホ出来ましたってさ」

そんな事だろうとは思ったけど、その通りすぎて笑ってしまった

私と中野さんは仲良しだけど、どちらかというと
兄と妹に近付いていた

夫婦生活は勿論あった
でも昔のようなお互いの体を求め合うセックスでは
なく、
お互いの体を癒し合う関わりへと変化していた

年を重ねてきた故に、やむを得ないのかもしれない


だから、今はホテルへ行くという選択肢はお互いなかった

No.252 10/02/05 20:39
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

結局、
こ洒落たレストランで
イタリアンのランチを
食べて、洋服を買って
早目に体育館施設に
向かった

私は赤が似合う人が
好きなのかもしれないと
中野さんの服を見立てて
気付いた

なんでだろう…


体育館では、盛大な鬼ごっこが行われていた
宅飲みメンバー以外にも、大人が何人かいた

次郎が中野さんに気付いて駆け寄ってきて、はぁはぁ言いながら報告してくれた

イケメンがやっぱり息を
切らしながら
「きゅうけい~」と叫んだ

No.253 10/02/05 20:47
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

子供たちはもちろん休憩
しない
大人が抜けて、子供たち
総勢7人で鬼ごっこが始まった


子守りを言い出してくれたイケメンにお礼を言った

「きれいだったでしょ?」汗を拭きながらイケメンが微笑む

「行ってないから」
中野さんが笑顔で否定する
イケメンはちょっと
ホッとしたような顔をしたように見えた

No.254 10/02/05 22:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その日から、体育館施設で遊ぶブームがやってきた

もともと運動神経のいい
彼等は草野球をやらなくなってから体力を持て余していた

30代になり、健康志向に
傾き始めたのかもしれない

どっちにしろ、良い傾向だ

元バレー部のイケメンの
一存で、バレーボールを
することになった

元バスケ部の池田君は
バスケを主張したが、
即却下されしょげていた

元陸上部の中野さんは
身体を動かせれば何でも良かった

中学時代バスケ部だった私としては、バスケも捨てがたいが体力的に無理だろう

バレーボールの選択は
嬉しかった

No.255 10/02/05 22:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

この刺激が、また私の悪い部分を掻き乱す

努めて平静を装っても、
胸の奥のさらに奥に閉じ込めた感情が、微かに蠢く


何年かぶりに息を吹き返しまた秘かに呼吸を始めた



~続 第一部 完~

No.256 10/02/05 22:41
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

~続 第二部 スタート~

平日は仕事と家事の両立で忙しく、1日があっという間に過ぎていった

日々が充実してると家庭も潤う

そんな時、職場で私の歓迎会の話が持ち上がった
中野さんに言うと、二つ返事で了承してくれた

幹事の薬剤師さんの配慮でその週の土曜日に近くの
居酒屋で開かれる事になった

気分がワクワクした
久々の外での飲み会だ

何を着ていこう
何を履いていこう
髪型はどうしよう

浮かれていた

No.257 10/02/06 09:53
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

当日、すぐ近くの居酒屋なのに中野さんは車で送ってくれた

おかげで早く着きすぎた
主役なのに、幹事より早く会場入りするなんて

20人が座れるよう配置された座敷の一番の下手に
座った


そこは海鮮が美味しいのに安いと地元でも有名な店で、とても賑わっていた

活気がある居酒屋は
嫌いじゃない

「中野さん~お疲れ様。
一番乗り?」
幹事と数人が来た
私は職場では中野さんだ
当たり前の話だけど…


「中野さんの席はこっち」幹事の薬剤師さんは会費の集金を始め、リハビリの
近藤君が手招きで上座に
来るよう促してくれた

No.258 10/02/06 10:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

続々メンバーが揃い、
最後にドクターが重役出勤で合流し乾杯の運びに
なった


ビールで乾杯
つまみも美味しく、騒がしくても怒られず、子供達は中野さんが見ていてくれる

幹事はどうやら薬剤師さんと近藤君の2人だったようで、皆のコップが空にならないよう追加の注文に気を配っていた

20人弱の職場で、男性は4人
ドクター、事務長、リハビリに2人、あとは皆女性
医療の世界は男女平等ではなく完全に女性優位だ

ドクターですら、ナースに頭が上がらない

でも決して嫌な関係ではなく、ナースを信頼しているドクターをナース達も敬っているのが分かる

いい職場だなと思った

No.259 10/02/06 12:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

美味しいお酒を程々で
切り上げ、烏龍茶にしてもらった

明日は日曜日、
病院も休みだから二次会へとなり、驚いたことに全員が行くと言う

中野さんに言ってなかったので、明日出掛ける用があるからと辞退して徒歩で
帰宅した

皆元気だな
カラオケかぁ…
最近の曲は全然知らない

高校時代の仲良し七人組が思い出された、
朝までカラオケしてた頃
若かったなぁ

マッキーとはまだ
付き合っていなかった
テツ、タロー、マリ

元気にしてますか?

No.260 10/02/06 12:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

11時に家に着くと
「おかえり、楽しかった?」と中野さんが玄関まで
出迎えてくれた


そのまま中野さんに抱きつく
「子供たちありがとうネ」「リリア、ヤニ臭い」

私の髪の毛に埋もれながら中野さんが呟いた

「しょうがないでしょ…」言葉の途中で口を塞がれた
軽いけど長いキスの後、
「リリア酒臭い」

中野さんはいつでも迎えに行けるよう家では飲まずに待っていてくれた

そのまま炬燵に入って
2人だけで二次会
350ml缶ビールで乾杯

ずいぶん酔いもまわった頃就寝
お酒が入った私の身体は
火照りやすく、敏感で
「子供が起きるよ」
と中野さんに怒られた

それでも中野さんは執拗に攻めてくる
こういう時は意地悪だ

No.261 10/02/06 12:56
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

朝はすっきりと目覚めた

まだ誰も起きていないうちに、シャワーを浴び朝食の支度に
正直、昨夜のセックスは
所々記憶がない
いつもの中野さんぽくない記憶はあった

でも具体的に思い出せない
身体は正直だ
とても満ち足りている
幸福感に包まれている

女は単純だなと思う
身体が満たされると、
心まで清められる

幸せな朝だった

No.262 10/02/06 14:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

月曜日の職場は
診察が始まるまで飲み会話で盛り上がっていた

ドクターの矢沢永吉は
ぜひ一度聞いてみたい

20代から60代までがいて
盛り上がるカラオケなんて想像できない

60代の事務長は何を唄うんだろう
今度の飲み会が、今から
楽しみになった

「中野さん、ぜひまた飲みましょ。恋ばな、女子トークしましょネ」
22才のくーチャンが誘ってくれた
若さが溢れ出てる魅力的な女の子だ

この短期間で専業主婦では想像もできないほどに交遊関係が広がった

若い子達は流行りを
先輩主婦たちは家事の手の抜き方を
男性陣はくだらない男心を
それぞれレクチャーして
くれた

No.263 10/02/06 15:11
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

趣味で始めたバレーボールも順調に開催され、
平日の夜だったり
休みの日の昼間だったりと不定期に集まった


男女混合で6人集まれば
ネットを張って3対3で
以下なら丸くなって円陣で遊んだ

素人でも何とか落とさず
続けられるレベルではあり、楽しかった

太郎と次郎と花子は得点板をしてくれる
歓声もくれる

終いにはダメ出しもするようになった
子供たちも楽しそうだった

No.264 10/02/06 15:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

経験者のイケメンが1番
静かに燃えていた
確かに彼がいるだけで、そのチームは活き活きプレイが出来ていた

決して、でしゃばらない
でも、チームメートが上げたボールは何としても繋いでくれる

180センチが横に飛ぶ姿は圧巻だった
相手チームに池田君や中野さんがいると目掛けてアタックを打ったりとお茶目に楽しんでいた


噂を聞き付けて、バレー経験者が集まるようになり、日曜は大人10人子供8人の大所帯になった


私もバレーボールが結構
上達した
イケメンがトスしてくれたボールをアタックしたりと素人ながら満喫した

No.265 10/02/06 15:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その後
なかなか体育館が取れず、一ヶ月ぶりに平日の夜に
開催された

中野さんは仕事で行けず、子供たち連れて私だけで
参加した

この日は集まりが悪く、
ダラダラ過ごすしか
なかった

「やる?」
子供たちがボールで遊んでるのを眺めてたらイケメンが声をかけてくれた

片手にはバレーボール

「お願いします」
2人でパスをした
イケメンは受けやすいところに、取りやすいボールを返してくれる

でもたまに意地悪なとこに
「少しづらすと取れないんだから」
にやっと笑ったのが、悔しく、負けず嫌いの私は夢中になった

No.266 10/02/06 19:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「おっ、やるね」
って言われると嬉しかった

ジャンプしてトレーナーからお臍が見えるとドキドキした

もうかれこれ10年来の付き合いになるのに、どうしたんだろう

目があうとドキッとした

「遊ぼうよー」
太郎がイケメンに抱き付きパス練は終了になったが
胸の中の違和感は拭えな
かった


その日から、無意識に
イケメンを目で追うように
意識的に避けるように
なった

No.267 10/02/06 19:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

我が家と一番関わりが
あったイケメン
今までこんなヤマシイ感情を持ったことがない


大昔、酔った勢いでキスはした
夢の中でならデートもした

でもこんなに胸は高鳴らなかった
哀しくなった
バレーボールしてる
イケメンは確かに魅力的

高く跳ねてる姿は格好良かった

でも、何で突然…
訳がわからなかった

No.268 10/02/06 19:46
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

努めて平静を装う

でも帰宅した中野さんが
イケメンの話をすると
嬉しかった

次のバレーボールの日程が決まると心待ちにした

完全に恋をしていた

10年来の友人が、突然
片想いの相手に
さすがに中野さんには
言えなかった

池田君の時より全然洒落にならないし、笑えない

No.269 10/02/06 20:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

火曜日の昼休憩中
近藤君が話しかけてきた

「中野さんに相談が…」
誰もいない待合室に移動しソファーに腰かける

この時、なんとなく相談
される内容がわかっていた
近藤君は私より二つ年下
だが、ピュアで真っ直ぐな青年だった
仕事中彼の行動を見てれば、彼の悩みは想像つく

彼もまた恋をしていた
相手はきっと…


「あの~栗田のことなんすけど…」
ほらやっぱり
栗田はくーチャンの名字だ

「くーチャンはいい子だよね、可愛いし。近藤君は女性を見る目がある」
突然の発言に、近藤君が
あわてふためく

落ち着くと
「やっぱバレバレですよね~俺嘘とかつけないし」
と苦笑い

No.270 10/02/06 20:15
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

二人はお似合いだと
思った
若いけどしっかり者のくーチャンと、働き者で優しい
近藤君

うまくいってほしいなと
老婆心で思った

結局相談と言うのは、
くーチャンを誘う口実に私を遣わせて欲しいと言うものだった

直接誘えばいいのに、それだと断られたらショックで立ち直れないらしい

最近の男子はナイーブだ
年はそれほど変わらないのに、随分打たれ弱い


私が承諾すると、近藤君の行動は早かった

「中野さんと飲むけど一緒にどう?栗田はいつなら来れそう」
と聞こえてきた

おいおい
私の都合は無視ですか

No.271 10/02/06 20:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

今週末はくーチャンの都合が悪く、飲み会は翌週の土曜日に決定した

近藤君に私はお邪魔じゃないか聞くと、
「何言ってるんですか、居ないと困ります。俺の友達も連れて来ますから4人で飲みましょ」と

もう気分はハイテンションだった

若さだなぁ


帰りがけ、くーチャンに会い「来週楽しみです。早く来週にならないかな~」と
こちらも上機嫌

でもどうやら近藤君というより飲む事を楽しみにしてるようだった

さてさて、
どうなることやら

No.272 10/02/06 20:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その週の日曜日体育館で
不思議な現象が起きた


1試合ごとに
女性4人でチーム決めをし、男性6人でチーム決めをして男女混合で5対5の試合をしていたが

なぜかイケメンといつも
一緒のチーム

さすがにおかしいと思い
女性陣でチーム分けしてる時にイケメンの姿を探すと
チーム分けの様子を盗み見していた

案の定、次のチーム分けも同じパーのチームだった


私は一緒のチームだと嬉しいなと秘かに思っていたけど、まさかイケメンも?

まさかと思いながらも
胸は鼓動が激しくなった

No.273 10/02/06 21:01
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

もうバレーボールに行かない方がいいかも
でも行かない理由が説明
できない


イケメンの声や仕草やプレイを思い出すと胸が暖かくなる
後ろから眺める背中の広さや、動くと揺れる銀のネックレスが脳裏に焼き付いてる

ヤバイ兆候
長年忘れてたけど、
これはマズイ

そのうちイケメンに
触れたくなる
抱かれたくなる

私を見て欲しくなる

もう手遅れかもしれない

No.274 10/02/06 21:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

夜寝付けない日が続いた
明日も仕事だから眠らないといけないのに

色々考えて眠れない

そうなるとあらゆる事を
考えて尚更目が冴える

挙げ句の果てにイケメンに会いたくなる始末
もう悪循環

中野さんの寝顔さえ
憎らしく思える
スヤスヤ寝ている中野さんにしてみればとばっちりもいい所

その日出した結論は
「なぜ私だけこんなに苦しまなきゃいけないの
イケメンも同罪だ
今度会ったら思いの丈を全て打ち明ける」

もう寝不足の頭の中は
支離滅裂

でも告白したら…
どうなっちゃうんだろう

No.275 10/02/06 21:20
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

今週末くーチャンと飲める
近藤君はニヤニヤしてる

看護師のくーチャンと事務の私では仕事中の交流は殆んどなく、くーチャンの様子は窺えない

中野さんも二人の行く末を気にしてくれて飲み会は
OKしてくれた

今度中野さんにくーチャンを紹介しよう
きっと仲良くなれる

でも近藤君ももれなくついて来そうだな
するとややこしくなり
そうだ


飲むお店は近藤君チョイス当日やっぱり中野さんは
店まで送ってくれた

No.276 10/02/06 21:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

隠れた名店
こんなところにショットバーがあったんだ
というお店だった

カウンターメインで
申し訳ない程度のテーブル席

やっぱり一番乗りだった私は、カウンターかテーブルかで悩んでると、近藤君が友人と現れた

驚いた

友人は近藤君より全然背が高かった

察した友人が
「でかいでしょ。188センチあります」
とはにかんだ
優しい笑顔だった


「ちょっと、近藤君。友人のチョイス間違えたんじゃないの」
心配になった
くーチャンが背の高い男が好みだったらどーするんだか

「大丈夫です。こいつ超いいやつですが、妻子持ちですから」

No.277 10/02/06 21:46
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

カウンターに私を挟ん
で男性二人が腰掛けた

友人はマコと名乗った

近藤君のためにわざわざ
電車で来たらしい
「彼女ができるかどうかの大事な飲み会だからどーしてもって」

マコは大きな手で丁寧に
おしぼりを扱っていた

注文しようとしたら
くーチャンがやってきた
「ごめんなさい~遅れちゃった」

近藤君が席を一つずれて
私と近藤君の間にくーチャンが座った

フワッといい匂いがした
香水かシャンプーか
男は弱いだろう匂いだった

細いグラスに入れられた
ビールで乾杯
メニューを見て、近藤君とマコがつまみを注文して
くれる

No.278 10/02/06 22:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「中野さんと飲むの楽しみにしてたんですよ」
くーチャンが朗らかに話始めた

「だって~超若い時に結婚なんて一度も後悔とかしてないんですかぁ?」

後悔はしてないな
答えようと思ったら近藤君が

「マコも23で結婚したんだよ」
左を見るとマコがちょうどビールを飲み干すとこ
だった

「俺の事は別にいいんじゃね?おかわり下さい」

「マコは自由だ~」
くーチャンが重ねて質問した
「マコも後悔してない?」
ちょっと考えてから
「教えない」とマコが答えた

No.279 10/02/06 22:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

既婚対未婚だったり
男対女だったり

男女の友情の有無だったりどこからが浮気かだったり
トークバトルでとても
盛り上がった

近藤君とくーチャンはやっぱりお似合いだったし、
近藤君の友人チョイスは
決して間違ってなかった

マコは初対面の私達にも
馴れ馴れしく、でも全然嫌な感じはなかった


盛り上がったあとは
しんみり飲んだ

自然とくーチャンは近藤君の方を向いて飲んでいたので邪魔しないよう
マコの方を向いて飲んだ


静かにマコはカウンターの一番端の椅子に移り、手招きで私を呼んだ
「この椅子、背もたれ低くて背中痛い」

確かに身体の大きいマコには辛い背もたれだった
そのまま壁に寄り掛かる
「全然楽」

でも問題があった
マコが壁に寄り掛かると

横に並んで話してる時より距離が近くなる

No.280 10/02/06 22:59
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

少し離れた席で、くーチャンの元彼の愚痴を近藤君が
聞いてあげていた


気になってたことをマコに聞いてみた
「聞いてもいい?」
「ん?」
「結婚後悔してるの?」

「あぁ、そのことか。」
マコは今ちょっと妻子と
複雑な感じである事を話してくれた
「そっか、大変だね」

当たり障りない返事しか
出来なかった

「俺の事は別にいいっしょ、暗くなるし。今楽しければ良くない?」
空元気のように見えたけど言わなかった

「おーい、くーチャンも今が大事だぞ」
近藤君が睨んだ

いいとこだったのにと言いたそうだった
マコはお構いなしだ

そのままお開きになり、
私はくーチャンと自転車二人乗りして帰宅

マコは近藤君の家に泊まるらしく2人は二次会に行った


くーチャンは自転車の運転が上手でいい匂いもしていてお節介な質問をしたく
なった

「くーチャンは近藤君と付き合うのかな?」
「中野さん~、んーとリリアさん。コクられたらOKしますよ、きっと」

No.281 10/02/06 23:11
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

うわっ
動揺したのか、自転車が横にぶれた

「そっか、お似合いだよ」「私、不倫してて~でも近藤君にバカじゃんって。確かにって思ったし、あれ私何言ってんだろ~えへへ」

22才のくーチャンも一生懸命生きてるんだな

仕事して恋愛して
若くて明るくて何不自由
しなそうな女の子が不毛な恋愛で悩む

でもその経験がくーチャンをさらに魅力的にする

不倫してた過去があっても近藤君には関係ないんだろう
彼も大きな男だ

そんな風に考えるなんて、私も年を取った証拠だな
若さにちょっと嫉妬した


くーチャンの家に着いたのと中野さんが目の前のコンビニに着いたのは一緒だった

コンビニで中野さんに
くーチャンを紹介しながら
助手席に乗り込んだ

「遅くまでリリアさん連れ回してごめんなさい~でもまた貸して下さいね~」

中野さんのくーチャンの評価はやっぱり高かった
「今時の子なのにしっかりしてるな」

くーチャンが褒められると
私も嬉しい

今夜も楽しいお酒が飲めた

No.282 10/02/06 23:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

日曜日にくーチャンから
メールが着た

「あのあと近藤君が来ました。そのままお持ち帰りされ付き合い始めました~」
中野さんにもメールを見せて、幸せをお裾分けした

そっか、近藤君も頑張ったな
役に立って良かった

ふとマコはどうしてたのかなと心配になった
中野さんにはマコの事は
詳しく話してない

何となく言わないで
いたかった

No.283 10/02/06 23:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

月曜日、真面目な顔で近藤君がやってきた

「リリアさん、ありがとうございました」
「私なにもしてないよ」
「いや、リリアさんのおかげです。」

すっかり男の顔になった
近藤君はリハビリ室に戻っていった

どうやら職場では付き合っている事は内緒にする
みたいだ
2人の態度はいつも通りに見えた

ちゃんと回りの事も考えられる若い2人に感心した

一番みんなに言い触らしたい時だろうに


お昼休憩中、近藤君に
「渡そうか止めようか悩んだんですが…」
と手紙を貰った


彼が去った後、開封して
みると一枚の紙にメールアドレスと一言

「メール待ってる マコ」と書かれていた…

No.284 10/02/07 13:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

2人の男性
イケメンとマコ

中野さんに言えない事が
どんどん増えていく
やましさが胸のトキメキを後押しする


何も知らない中野さんは
宅飲みをしようと
言い出した
「鍋でいいから、よろしくな」

はぁ…
自然と溜め息が出た
今はイケメンに会いたく
ない
これ以上刺激しないで

会わなきゃ冷静にいられるでも会いたい
宅飲み断わる理由もない

週末仕事終わりに
水田・イケメン・池田・
新人早野君がやってきた

早野君はバレー経験者で
体育館で何回か面識があった
若干22才の草食系男子だ


チゲ鍋を突っつきながら
ビールを空ける
冬は鍋が美味しい

子供たちには不評なので、違うテーブルでシチューを食べている

No.285 10/02/07 14:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

イケメンの顔をまともに
見れない

男連中は、毎度のように
配車の文句や上司の愚痴で大騒ぎだ

何とかさんがお得意先の
事務員と不倫してるって
話題にはドキッとした

「へえ、身近にも不倫してる奴いるんだなぁ」
中野さんが、興味無さそうに答えた

「案外多いんだよ、不倫ってさ」
水田さんがちょっと怒り
気味に言った
確かに水田さんの浮いた話は全然聞かない
3姉妹のお父さんは、見掛けによらず真面目なんだろう
早野君は「マジッスか」を繰り返す


イケメンと池田君は話題に乗らない。
池田君は食い気の方が勝ってるみたいで、つまみの
唐揚げを頬張っていた

相変わらず美味しそうに
食べてくれる、イイヤツだ

イケメンはヤッコの海藻とシラスのせを食べてて
「これ旨い」と


思わず目をあわせてしまった
「それは良かった。ありがとうー」
大丈夫、いつも通りの受け答えが出来た筈

途中空いた500mlの缶を
片付け始めたら、イケメンと手が触れた

平常心、平常心

何度も心の中で呟く

No.286 10/02/07 14:34
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

子供たちは水田さんの
手土産のロールケーキに
夢中だ

池田君とお酒が飲めない
早野君もロールケーキに
群がって花子にアーンしてもらってた

キッチンで洗い物してるとイケメンがやってきた
「ビールもらっていくよ」と冷蔵庫を開けた

自分たちで持ってきたビールだから、全然構わない

冷蔵庫を開ける礼儀として声を掛けてくれた事が嬉しかった
「セルフでどーぞ」

平常心、平常心

ビール持ってすぐダイニングに戻って行った
完全な片想いだな…

ちょっと寂しくなった
矛盾した2つの感情で
苦しくなる

このままの関係で…と
このままじゃヤダ…と

No.287 10/02/07 14:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ずいぶん仕事にも慣れ
任される内容も濃くなってきた

責任感

責任感が増えると仕事へのやり甲斐も増えてくる

あれから、結構経つけど
マコにメールはしてなかった
近藤君も特別何も言ってこないし

でも携帯には登録してある
ズルい女だな、私は

No.288 10/02/07 19:46
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

胸の燻りが日に日に
大きくなってきたのが
分かった

解毒しなくてはと、相談相手を必死に探す
打ち明けられる相手を模索したが、誰一人と思い付かない

こんな時しっかり叱ってくれる存在はいつもイケメンだった

でも今回はそれが出来ない

私には親しい友人が
いなかった
年賀状のやり取りや、ママさん友達、メル友は比較的たくさんいた

でもこんな相談は絶対
出来ない

姉や両親はきっと悲しむ

出口の見えない袋小路に
入り込んでしまった

このままじゃいけないと
思うが、想いは
膨らむ一方だった…


なぜこの時、中野さんに
相談しなかったのだろう

二回目という負い目からか、イケメンに恋している
状態が心地よかったからか

どっちにしろ
私はバカだった

No.289 10/02/07 21:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

神様はたまに意地悪をする

そんな時に中野さんの出張が決まった
二泊三日で岡山行き

不安でしょうがなかった
でも笑顔で送り出した

中野さんはメールがマメなタイプではない
用がないと、余程の事がないとメールはしてこない

子供が寝てしまうと、
寂しくてしょうがなかった

テレビが面白い番組を
やっていても全然集中できなかった

本を開いても、
携帯をいじっても
いつも同じ事を考える

イケメンに会いたい…

おかしくなりそうだった
ふと、

「別にいいんじゃない?」

No.290 10/02/07 21:27
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

なぜかマコの顔が

迷わず気紛れにメールした

返事が来なくても構わないむしろ来ない方が好都合

マコからの返信を待っているという状態でいたかった

イケメンに会いたいと悶々としてる自分でいたくなかった

期待を裏切り、返信はすぐに来た

「久しぶり。
何かあったん?」
すがり付くように返信した

「別に、特には。元気?」
「元気だけど…仕事が忙しい。休みが欲しい」

なんて事ない内容のメールを続ける
すごく癒された

誰かとメールでこんなに
長く会話したことあった
かな
気がつくと12時近かった

「ごめん、もうこんな時間。疲れてるのに…」
「いや、楽しかったよ。またいつでもメール頂戴。待ってるよ」


メールを終わらせるのが、勿体無かった

でもマコのおかげでリフレッシュできた
ありがとう

No.291 10/02/08 13:43
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコはメールがマメだった
気付いたらすぐ返信を
くれた

「おはよう」
「仕事行ってくる」
「寒い」
「お腹空いた」

他愛のないメールなのに
なぜか凄い大事なやり取りに思えたから不思議

その間、中野さんからの
メールはなかった


夜、子供たちを寝かし付けてからマコに返信した

「お疲れ様」
9時前に
「ただいま。疲れた」と
メールが着ていたから

「また飲もうよ」
ドキッとした
同じ事を同じタイミングで思ってた
また一緒に飲みたいな

「そーだね、ぜひ」
とりあえず当たり障りの
ない返事をしておく

マコとメールしてると
イケメンの事は忘れて
いられる

ちょっとマコに申し訳ないなと思った
疑似恋愛させてもらってる

No.292 10/02/08 14:01
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

確かにメールじゃ
もどかしい

マコにイケメンの事を聞いてもらうのもいいかも

「いつ飲む?」
私から誘ってみた

「大丈夫なん?」
何か駄目な事あったかな…
マコと飲むのにやましさ
ないし、最近は夜外出してないから問題ないように
思えた

「早いうちがいいな。今週土曜とか」
明後日だ

ちょっと急にも思えたが、承諾した
中野さんはダメって言わない変な確信があった

明日岡山から帰ってきたら聞いてみよう

「飲みの約束が励みになって、仕事頑張れそうだ」
マコは思ったことをストレートに表現する

時々、こっちが恥ずかしくなる
真っ直ぐで素直な青年

場所はマコに任せた
「リリアは電車乗れる?」
今まで、電車に乗って飲みに行くなんて、
友人の結婚式くらいしか
無かった

「普通には乗れるよ」
マコは私の最寄り駅から
五つ目の駅の名前を口にした

「そこにお薦めの居酒屋あるから、出てきてよ」

No.293 10/02/08 14:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

メールを終えたあと私には沢山の課題が残された

中野さんに何て言おう
正直に言ったら、電車に
乗るって言ったら反対される気がした

でも電車に乗りたかった

違う駅のお店に行ってみたかった

マコのお薦めのお店に
行ってみたかった

一晩中悩んだ
答えは出なかった



でも朝一番のメールを見て決めた
「おはよう、いい天気だな。仕事頑張れよ」
マコからだった


マコに会いに行く

No.294 10/02/09 12:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

金曜日の夕方、中野さんは岡山土産のきびだんごと
桃のロールケーキを
買って無事帰宅した

「久々の長距離は疲れる」「お疲れ様でした」
良心が痛む


友人と飲むだけだから
自分に無理に言い聞かせる

「帰ってきて早々ごめん、明日飲みに行ってもいい?」
「おぉ。今度はどこで?」まず誰と聞いてこない

私を信頼してくれてる証拠だと思う

中野さんに直接尋ねたら、「たまたまでしょ、質問の順番なんて」
って笑って答えると思う
今は直接聞けないけど…


「明日は駅付近らしい。お薦めのお店に連れて行ってくれるって」
「いいよ。さすがに明日は帰り早いだろうし。くーチャンと?」

No.295 10/02/09 12:59
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「うん…」
心なしか小声になる

「いつもごめんね」
「たまには気分転換も必要でしょ」

飲みに行ける嬉しさより
中野さんへの罪悪感の方が断然大きかった

今更、やっぱり行かないとは言えない
明日はすぐ帰ってこよう


その日マコからは
「仕事終わり」のメールが届いただけで、返信しなかったらその一通だけだった

マコはそういう男だった

No.296 10/02/09 13:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

夜、布団の中で中野さんと話しているとメールの着信が鳴った

近藤君からだ
用があると、口で伝える彼からのメールは珍しかった

「明日6時に駅でどーですか?」
一瞬、近藤君の戸惑いも
感じた
絵文字が困った顔をしていたから
近藤君も一緒なの?
ダミーのメールなの?


「近藤君からだ、6時に駅だって」
「了解、遅くなりそうなら早めに連絡入れるよ」

「了解しました」
と近藤君に返信して
眠りについた

No.297 10/02/09 13:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

出掛ける支度をしてると
6時前に中野さんが帰宅
した

「君たち待ってられるな?お母さん駅まで送ってくるから」
「大丈夫だよ、いってらっしゃい」
小学生になって、太郎も
次郎もすっかりお兄さんになった

中野さんに似て、優しい
男の子達だ
「大丈夫?」
「早く行かないと間に合わないよ~」

いっちょまえの口をきく
花子も兄と一緒に笑顔で
手を振ってくれる

3人の子の頭を撫でてから玄関を出る

中野さんはもう車に乗り込んでいた
「すみません、駅までお願いします」

6時丁度に駅に着いた
中野さんはすぐ引き返して行った

さて、行きますか


改札を通ると目の前に
大柄なマコがいた

No.298 10/02/09 13:45
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「こんばんは」
「時間通りだ、行きますか」

2人でホームへ移動する
近藤君は来ない気がしてたから、特に質問はしなかった

人混みに混じると、マコは私を見失う
188センチの視界って想像できないけど、色々大変そうだ

マコは前を歩くよう、私を誘導する
エスカレーターに乗っても後ろのマコの方が全然
大きい

目立ってしょうがない
でもやましくないから、
目立っても平気だ

むしろママさん友達にも
つり革が顔にぶつかるマコを見せてあげたかった

五つ目の駅に着いた時
「電車にはあまり乗りたくないんだ」
と不貞腐れていた
確かにストレスだろうと
思う


わざわざ迎えに来て
くれたんだ
「来ないかと思った?」
「いや、少しでも長く一緒に居たかったの」

言葉につまる
ちょっとドキッとした
優しい笑顔に弱くなってる

No.299 10/02/10 00:03
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

線路沿いを少し歩いた所にそのお店はあった

赤提灯の引き戸の小さい
お店

ガラッ
「いらっしゃい」
「ちわっ」

駅から離れてるのに店内は賑わっていた
「マコが女連れてきたぞ」客層は比較的若かった

こういう店は、年輩
サラリーマンが似合うのに、若い女の子も多い

視線を感じながら、奥の
座敷に通される

狭めの掘り炬燵仕様の個室の座敷

なるほど、これならマコも壁に、もたれられる
テーブルは切り株のように丸い
っていうか切り株だった

「面白いお店だね」
「幼馴染みがやってるんだ。カウンターの中にいた奴」

No.300 10/02/10 07:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

板前は若い男性だった
「親が突然倒れて店を継いだんだ。元フレンチシェフ」
へぇ、確かにメニューに
横文字も多い
でも主に和食メインだ

「いらっしゃい」
お絞りと御通しをもって
40代くらいの女性が来た

「マコが女の子連れてくるなんてね」
「ん。こちらリリア。
ビールでいい?ビール2つと適当によろしく」


「リリアさん好き嫌いは?」
「特にないので、大丈夫です」
「了解」

女性は暖簾をくぐって厨房に戻っていった
「板前の奥さん」
えっ…

かなり年上に見えた
お姉さんか、下手したら
お母さんにも見えなくない

「あいつも波瀾万丈な人生だから」
マコがにやける
ぜひ今度、板前さんに人生語ってもらおう
そんな機会があればの話だが

No.301 10/02/10 07:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

すぐに冷えたビールと枝豆と野菜スティックが運ばれてきた

「乾杯」

グラスも冷えててビールがウマイ
御通しは切り昆布とガンモの煮付け
美味しかった
店内の喧騒も気にならない

「いいお店だね」
「良かった。近藤には言ってないから内緒ね。唯一
弱音を吐けるとこだから」

マコはどうして私を連れてきてくれたんだろう
マコの優しさに戸惑う


海鮮サラダや小振りの揚げ物盛り合わせ、
サイコロステーキは
ソースが絶品だった

つまみが美味しくて
お酒も進む

会話もつまることなく、楽しい時間はあっという間に過ぎた

No.302 10/02/10 08:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

イケメンの事を相談する
つもりだったけど、すっかり忘れていた

そのかわりマコの身の上話は聞いてあげられた


二人目を里帰り出産して
から、帰ってこないらしい。もう二年、生活費を送って年に何回か会う生活

妻子がこっち来たり
マコが向こうに会いに行ったり

妻は離婚にも応じない
仕事辞めて妻子の元に行くことも考えたけど、今は
それほど嫁を愛していないと言う


「俺ってきっと生活費を送るだけの存在なんだろうな」
夫婦の形として、アリなのだろうか

「マコ、浮気とか暴力とかギャンブルとかは?」
「一緒にいてわかんない?真面目な優しい亭主だよ」

それは信じる事が出来る
マコほど気が使えて、優しい男はそういないと思う

「さらにさ…」
声を潜めて呟いた

No.303 10/02/10 09:24
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「先月、四ヶ月ぶりに会った妻にセックス断られたのよ。四ヶ月ぶりなのにさ」言葉が出ない

さらにマコは続けた
「しょうがなく口でして
貰ったわけよ。したら、えっ何それって思う位上手くてさ…」


「正直萎えちゃったよね。無心になって出したけど」
マコの奥さんの気持ちを
想像してみた

離れて暮らしてる旦那
一緒に暮らしてる自分の親と子供達
月々の生活費を貰えて、
男まで作って

夫婦間は他人には伺え知れない、奥さんには奥さんの言い分もあると思う


それにしたって
マコが不憫だった

「だから、俺だって遊んでやるって思ってる時に近藤に誘われたって訳よ」

暗い話なのに努めて明るく話すマコがなんとなく
痛々しい


「そっか。でも独身の女の子はダメだよ。離婚してからにしな」
くーチャンの悲しい笑顔が
頭をよぎった

男の都合で、利用される
女の子は辛い恋愛にしか
ならない

「ユミにも言われた。」
顎で店内を指す
さっきの板前さんの奥さんだ

No.304 10/02/10 09:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「だからリリア誘った」

真っ直ぐ見つめられても
困る
私はそんなに強い女じゃないし、むしろ情には流されやすい

「そろそろ終電近いんだ、帰ろう」
携帯で時間確認すると、
11時半回っていた

個室の暖簾をくぐると、
ユミさんがいた
「ごちそうさまでした。とても美味しくて飲み過ぎました」
「リリアちゃん一人でも
構わないからまた来てね」

「ないから。そん時は俺も一緒だから」
ユミさんがお土産に紙袋を持たせてくれた
マコはお会計しないで、外に行ってしまう

「先に貰ってるから」
ユミさんに背中を押されてマコの所へ

「あっご馳走様でした」
店を出る直前に、カウンター内の旦那さんに声を掛けると、無愛想に手を挙げてくれた

No.305 10/02/10 13:26
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

線路沿いを歩きながら、
財布から五千円出してマコに渡す

「ごちそうさま」
「出しすぎでしょ」
マコは受け取らない

ジャンパーのポケットに
強引に入れた
「奢られたら、次回会い
にくいか…」

マコはお金を受け取って
くれた


夜風が気持ちいい
お酒のせいか、隣を歩く
マコの体温か、寒さは感じない

会話が途絶えても、
気にならない程自然体で
いられた

だからすぐ改札に着く
「ここでいいよ」
「ん、大丈夫か?」

「今夜はありがとう、楽しかった。おやすみなさい」「こちらこそ。癒されま
した」
マコが深々と頭を下げる

改札を通った私の姿が、
見えなくなるまでマコは
見送ってくれていた

No.306 10/02/10 13:39
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

なんだろうこの感情
マコとマコの回りの人たちにとても癒された

ユミさんからの土産は
シフォンケーキだった
「甘い物苦手だったら
ごめんなさいね」
女性らしい綺麗な字で
カードも添えられていた

電車の中で笑顔になる

終電ではなかったけど、
間違いなく12時は過ぎる

メールは一件も入って
いない
中野さんに駅まで迎えに
来てもらおうか悩んでるとメールが来た

「眠いから寝るよ。帰りは大丈夫?」
中野さんからだ
「タクシーで分乗して帰るから大丈夫だよ」
「了解、おやすみ」
「ごめんね、ありがとう」

また一つ、嘘を重ねた

No.307 10/02/10 14:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

最寄り駅に着く頃、マコ
からもメールが届いた
「今日はほんとありがとう。おかげでぐっすり眠れそうだ。帰り道気をつけてな」
お役に立てて良かった


私もすっかり解毒された
リフレッシュできた
あんなに飲んだのに、酔いも回ってない


駅からタクシーで帰る
中野さんは布団の中にいた、寝てるのか起きてるのか分からないから声は掛けず静かにお風呂に入った


湯船の中で今夜の出来事を振り返る
非現実的な時だった

またマコと一緒にあの店で飲みたいな
正直な感想だった

これはもう立派な
浮気なのかな…
考えることをやめた

No.308 10/02/11 14:20
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

日曜日、洋食の朝食にした
昨夜の余韻を引き摺って、ボッーとしてると中野さんが起きてきた

「おはよう」
中野さんは朝が強い
寝ぼけ眼や大あくびで起きてくる事はまずない


「おはよ」
コタツの座椅子に座った
中野さんに新聞を渡す
「昨日のお店は店員さんがいい人だったよ。土産付き」

シフォンケーキ入りの紙袋を見せる
マコの事には触れず、
話題を詳しく提供する


そこに嘘はない
ユミさんのこと
若い板前さんのこと
出てきた料理のこと


「そうか、そんな店があったのか。駅には行かない
からなぁ」
電車に乗った事は言って
ない

No.309 10/02/11 14:27
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

子供達も起きてきて、
皆で朝ご飯にする

主婦業の始まりだ

洗濯物を干しながら
洗い物をしながら

所帯染みたこんな姿、マコには見せられない

と思ったら可笑しくなった

そんな見栄張るなんて
どうしたんだろう私

No.310 10/02/11 14:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

また仕事始めの月曜日が
やってきた

近藤君はやっぱり1番に
駆け寄ってきた
「駆け寄る相手間違えてるんじゃん?」
わざと軽口を叩く

「あいつとは同伴出勤ですから」
もう付き合いがバレても
いい頃なのに、あまりにも自然過ぎてまわりは気が
つかないのだろうか

それとも、皆で温かく
見守ってあげてるのか…


どっちにしろ
付き合いは順調そうで
なによりだ

「マコと会ってるんですか?」
「あの日初めて2人で飲んだのよ」

「そーですか…」
マコは近藤君には何も言ってないのかな?

No.311 10/02/11 17:26
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「あいつ、ちょっと寂しい病で。迷惑だったら突き放した方がいいですよ」
「了解」

「あいつ、ああ見えて意外に真面目な奴なんで…」
「そーなんだ。モテそうなのにね」

近藤君の態度が煮え切ら
ない
何が言いたいのかハッキリしない

結局、うやむやなまま
仕事場に戻って行った


集中して仕事をこなす
休憩や、仕事終わりに携帯のメール着信を見るのが
楽しみになった

必ず着信が入ってる
着信アリの表示がこんなに嬉しいなんて

No.312 10/02/11 17:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

毎日高い頻度でメールを
交わす
いつもマコの存在を感じて生活していた


返信がないと心配して
「ごめん、携帯握って寝てた」
と朝一でメールが着てるとホッとした


メールに依存するなんて、まさに現代病だ
最近の学生は1日200通のメールを交わすという

私はずいぶん年を重ねた
から、メールより電話で
話したり直接会って話し
たい


でもそれが叶わない今は
メールで代用している

だからいつもマコに
会いたいって思っていた
けど、本人には伝えて
いない


マコも既婚だけど、今置かれている立場は独身と変わらない
自由になる時間が多い
一人寂しい時間も多い

私は対等に時間を作って
あげることは出来ない

ならば、メールくらいは
付き合ってあげよう
そんな軽い気持ちでいた…

No.313 10/02/11 18:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

メールの相性ってあると
思う

絵文字の使い方や、
改行の仕方
文章の終わらせ方、
メールの終わらせ方
聞き役、話し手のバランス

マコのメールは短い文で
読みやすく、絵文字も
多からず少なからず

返信か早いのに、まとまった内容で返ってくる


何気なく携帯を開いたら、数秒後に受信したり

送信したら送れず、受信が着たりと
受信、送信のタイミングも相性が良かった


だから、メールの回数は
日に日に増えた

No.314 10/02/11 22:19
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

忘れた頃の日曜の午前中、バレーボールがあった

イケメンに会うのも久しぶりだ


体育館に向かってる最中、運転中の中野さんが携帯を渡してきた

「イケメン昨日飲み行ったから、まだ寝てると思う。電話して起こしてやって」
言われた通りに中野さんの携帯からイケメンに電話
した

数回コールしたあと、
留守電に切り替わる
「出ないよ。留守電になる」

「爆睡だな~何回か電話しても出なかったらいいよ」
次も留守電に
これで最後にしようと
掛けると2コールで出た

「もしもし」
寝惚けた声のイケメンだ

「おはよ。飲み過ぎなの」電話の向こうからイケメンの笑い声がした


「あとでね」
「ほ~い」

胸の高鳴りはなかった
いつも通り
無理はなかった


マコの存在はでかい

No.315 10/02/12 08:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

流石に休日の午前中だと
集まりが悪かった

その分子供たちは自由に
遊べるので大喜び

大人と鬼ごっこしたり
ドッチボールしたり

年中の花子も上手にボールから避けている
太郎と次郎は休憩なしで
走り回っていた


沢山の大人と触れ合うことで自然と躾される事がある

兄弟喧嘩が始まると、側にいた大人が仲裁に入る
時には叱る

親じゃない大人だと彼らも遠慮し、すぐ自分の非を
素直に認めたりする

友達と揉めても同じだ


独りっ子の男の子は、太郎達より花子の面倒を見てくれたり、我が儘を言って大人を困らせたりもした


「ごめんなさいね、言うこと聞かなくて」
「そんなことないよ、ちゃんと池田くんに謝ってるよ」

子供を学習させるためには根気と回数が必要だと思う

一回で出来る子もいれば、二回、三回目で出来る子もいる
子供は柔軟性に長けているから、親にも根気が必要だ

No.316 10/02/12 12:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

イケメンと普通に接する事ができたし、近距離に
いてもドキドキしなかった

不思議だな

あんなにときめいていた
のに
嘘のように冷静だった

好きな気持ちが無くなったわけではないと思う
心に余裕が生まれた

とりあえず一安心だ

No.317 10/02/12 19:40
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコと飲みに行ってから、1ヶ月経った頃
またマコから誘われた


今度はランチの誘いだった

中野さんの扶養でいるため収入に制限があり
平日休みが時折設けられていた

水曜の10時に待ち合わせ
ランチなんて、今までに
経験がない


ママさん友達と子連れで
ファミレスでランチなら
あるけど…


いつもより、ちょっとだけお洒落して待つ
待ち合わせは駅にしてもらった

約束の10分前に駅に着くと、5分後にマコも着いた

「待たせたね」
「まだ約束の時間前だよ」「待たせるより待ちたい
タイプなんだ」

No.318 10/02/13 04:57
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

運転席から降りてきたマコはそのまま助手席の扉を
開き、私をエスコートした

促されるよう乗り込む

「閉めるよ」
お嬢様扱いだ
なかなか悪くない

扉も優しく閉まる

行動の一つ一つが自然で
女性の扱いが上手かった

中野さんの優しさと
またタイプの違う優しさだ

中野さんは静の優しさ
マコは動の優しさ
そんな感じ


BGMは今流行りのラップ系の音楽が控え目に流れてた
「行きますか」
マコは運転も優しかった

No.319 10/02/13 05:10
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「今日はどこへ連れて行ってくれるの?」
「タイムリミットは2時
だっけ?」
幼稚園のバスは3時前に
家の前に着く
あまりギリギリには
なりたくなかった


「そうだね、それくらいには家に居たい。」
「そうすると遠出はできないから…」


暫し考え込むマコ
和洋中どれでもOKとは
伝えてある

「ホテルバイキングにしときますかね」
横向いて、私の反応を伺う

「いいネ」
笑顔で答える
マコも笑顔だ

「次回は中華街で」
ちゃっかり次の予約も入れとく辺りは、卒がない
「了解しました」

No.320 10/02/13 05:22
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

車内では会話も弾む

あんなにメールを交わしていたのに、よくもまあ話題が尽きない


マコは話上手だし、
聞き上手だった

お互い家庭の話は極力
避けた
それが相手に対するマナーのような気がした


そして、マコは煙草を
吸わない
理由を聞くと
「バスケットマンだから」

趣味で成人バスケチームに所属しているという
「ホントに!?今度練習風景見たい」
「俺、背が高いだけで下手くそだよ」
「無理強いはしないよ」

「考えておく」
車は首都高速に乗り込んだ

少し混んだが、程無くしてホテルに着いた

No.321 10/02/13 05:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「ホテルの部屋を取って
ある…ってオチはない?」努めておちゃらけて言う


「取って欲しいの?」
予想外の展開にドキッと
する
墓穴を掘ってしまった


言葉につまっていると
「リリアの嫌がる事はしないよ。会えなくなるのが
一番嫌だから」

余りにストレートで
肯定も否定も出来なかった

No.322 10/02/16 08:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

迷うことなく、バイキングをやってるホテルに着いた

「仕事中に見つけて
チェックしてたんだ。
ケーキが美味しいらしい」
ホテルの地下駐車場に入る

平日なのに案外車も
多かった
運転席側が壁になる端に
空きがあり、そこに車庫
入れする


後ろを向いたマコの顎の
ラインがセクシーだった

視線を感じたのか、
「ん?何?」
「運転上手だね」
「ありがと」

一発で車庫入れ完了

「行きましょか」
マコの横を歩くのも随分
慣れた
身長差がすごい
マコの肩が遠い


エレベーターに乗り込む
時も、マコの行動は紳士的だった
子供じゃないんだからと
伝えたが嫌な気はしない

ホテルのバイキング
オープンまで時間があり、ホールの展示場で時間を
潰す

そこでは、絵手紙が多数
展示されていた

私は絵心がないので、
全てに凄いなと
思ってしまう


天使が1人真ん中で
両手を組んで目を
瞑っている絵があり
「あなたからは目に見えない贈り物をたくさん
もらった
私はあなたに何を贈れる
かなぁ
考えてる時間がまた私を
幸せにしてくれる」

と描かれていた

No.323 10/02/16 09:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

大小あわせると100枚以上展示してあり、時間が経つのは早かった

自筆の手紙
久しく書いてないな

何人か遠く離れてる友達の顔が浮かんだ
手紙書こうかな

突然すぎてビックリする
かな



「どうだった?」
「面白かった」
素直な感想


バイキングオープン時間
から20分過ぎていた
マコは静かに待っててくれたようだ

「行きますか」
エスコートされ、
バイキングへ

No.324 10/02/16 12:54
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

さすがホテルのバイキング

洒落た料理が多く並ぶ
私は好き嫌いがないが、
マコは多かった


好き嫌いある方が、大きく育つのか、
180センチのイケメンも
食べられない物が多かった

飾らなくていいから
素でいられるから
楽だった

まれに長い付き合いの友人と食事をしている錯覚に
陥る

バイキングに時間の制限はなかったが、私にはタイムリミットがある

食後に一口大のケーキを
三種類とシャーベットを
二種類
どれも美味


一人分の代金をマコに渡しお会計をしてもらう

もう1時近い

No.325 10/02/16 13:14
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「食べ過ぎたなぁ」
エレベーターの中でマコはお腹を擦っていた

見た感じ、お腹に余分な
脂肪はついてなさそう
だった


「美味しかったね、特に
デザート」
時間に余裕があれば、もう少し種類を食べたかった

「喜んでくれて良かった」「また来たいね」

マコはいつも優しく微笑む


地下駐車場に停めてある
車に乗り込む

が、マコは一向にエンジンをかけない


「リリアにお願いがあるんだけど…」
前を向いたままマコが
口を開いた

No.326 10/02/16 14:05
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「ん?なに?」
「リリアに触れたい」


どこかで予期してた

私もきっと心のどこかで
マコに触れたいと思ってたのかもしれない


「こっちきて」
返事を待たずに、2人の間にあった肘置きを立てた

ベンチシートになってる
前列、横にずれればマコと並ぶ

「リリア」
私の躊躇を見破ったマコが強く名前を呼んだ

シートベルトを外し、マコの方へ身体をずらす

「リリア」
今度は優しく呼ばれ、
優しく髪の毛を触られた

マコの顔を見れない

マコは大きな手で私の
髪の毛を優しく愛撫し続けていた

No.330 10/02/17 08:43
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

⚠⚠⚠⚠⚠
感想スレありますので、
そちらにカキコミ
お願いします😞💧

No.331 10/02/17 09:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「さて、そろそろ
行きますか」


頭を撫でてたマコの左手は私の左肩を抱いた


右の手でエンジンをかけ、片手で器用に車を出発
させる


身体はマコに、もたれ
かかっている
顔を上げると、マコの顎が近い


視線に気づいたのか
「歯止め効かなくなっちゃうからさ」
と前を見ながら、はにかむ

しばらく寄りかかっていたが、運転中なので離れた

そして、そのままマコの
左手に私の右手を絡ませた

マコは大きい手をゆっくり握って私の右手を包み込んだ


駅に着くまで車内で会話はなかった

No.332 10/02/17 09:27
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

駅に着いた

2時5分前だった


もう少し握っていたかった手を離して、車を降りる


窓を開けてくれたマコに
ドア越しにお礼を言った

「こちらこそ」
名残惜しそうな顔
マコは本当に正直者だ

無言で封筒をくれた
「俺の気持ち。じゃあまた」


車を見送って、バスに乗り込んだ
なんだろう、封筒を開くと一枚のポストカード


それはホテルのロビーで
展示されていた天使の
絵手紙のポストカード
だった

マコ、いつの間に…
にやけた顔が戻らなかった

No.333 10/02/18 08:34
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

バイキングに行った翌日
続けて誘いのメールが来た

「突然だけど、明日の夜
会えない?
でも無理はしないで」

ランチに行ったことは
家族の誰にも行ってない


さすがに、無理だと思った

続けて会うことへのリスクも大きい気がした


でも神様はマコの味方
だった


実家の母から、
「土曜日、子供達を映画に連れて行きたいから、前の日に泊まらせてもいい?」とメールが着た


断わる理由はどこにもない

母に電話して、金曜日の
夕方泊まりに行く事にした

でも、
「リリアは来なくていいわよ、たまには家でゆっくり過ごしなさい」


まるで神様にマコのとこに行ってこいって背中を押されてる錯覚に陥る

No.334 10/02/18 09:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんにそのことを
メールで伝える


しばらく経って返信があり「なら、俺も外で飲んでくるよ。夕飯の心配はいらないよ」


一緒に美味しい物食べに
行こう、
たまには2人で外で飲むかと

言って欲しかった

でも、
私も言い出さなかった


本当に些細な事が切っ掛けで夫婦は簡単にすれ違う

私の胸の中は
トキメキ6割
罪悪感 4割と

やましさより切ない恋心が勝っていた

No.335 10/02/18 09:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

金曜日の昼休み
マコに会える旨を伝える
メールをした


返信は
「飯食ってる時間ないから、済ましてきて。
7時半に駅で」
だった


夕方、子供たちを連れて
実家へ
久しぶりの里帰りで、子供たちも喜んでいる
里帰りと行っても、車で
30分とかからない

母に浮かれてる姿を
見破られたくなかったので早々に実家を出た

子供達の笑顔に
胸が痛んだ

No.336 10/02/18 09:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

約束の時間を10分過ぎて
マコの車が駅にやってきた

遅れるなんて珍しい


「ごめん、仕事が終わらなかった」
助手席に乗り込むなり、
謝られた

「そんなに待ってないし、仕事ならしょうがないよ」
マコの服装がラフだった
まるで部屋着だ


「どこに連れて行かれるかわかる?」
全く検討もつかない

分からないと伝えると
「そっか~」
と上機嫌でニヤニヤした

今度はどんなサプライズを企んでるのか、私も
興味津々だった

車は30分程走って、マコの住んでる地域に向かっていることは分かった


「あそこだよ」
顎で指された場所はどう
見ても学校だった

No.337 10/02/18 10:04
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中学校の門をくぐり
駐車場に車を停める

夜の8時を過ぎているのに車が沢山停まっていた


「今日バスケの練習日なんだ。前に練習見たいって言ってたからさ」
本当にマコは私を喜ばせる壺を心得てる


スポーツは観るのも、
実際にやるのも好き


「俺は下手だけど、めちゃめちゃ上手い奴もいるから観てても飽きないよ」

体育館から、ドムドムと
ボールをドリブルする音が聞こえる


テンションが上がったのが自分でも分かった


マコが予備のバッシュを
貸してくれた
「履いてな、足から冷えるから」
30センチのNIKEのバッシュはブカブカだった


体育館には15人ほどの男性がいて、皆が一斉に入り口の私達を見たのがわかった

マコに舞台に上がるよう
促され、脱ぎたてのダウンのジャンパーを渡された
「寒いからくるまってな」

やたら視線を感じる

きっとマコが既婚だと皆が知ってるんだろうな
居心地の悪さを感じた

No.338 10/02/18 10:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコは着ていたジャージを脱ぎ、メールを一通打ってから皆の所へ合流した


マコもテンションが
上がっていた

シュート練が終わり、
5対5のゲームが始まった

マコが一番背が高い
ジャンプボールは勿論
マコが飛ぶ

188センチがゴール下で
しなやかに動く姿はド迫力だった
大型の猫科の動物の様で
可愛いけど怖かった


1クォーター終わる頃、
顔見知りが体育館にやってきた
私を見付けて、驚いた顔をしている

近藤君だ

No.339 10/02/18 10:22
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリアさん~何やってんすか?こんな所で…」

隣に座り込み、バッシュを履き始めた
「マコに拉致られた」


近藤君は温かいペットボトルのお茶をくれた
「えっ、いいの?」
「さっきマコからメールが着て、温かい飲物買ってきてって」

気が利くなぁ

10分のゲームが終わり、
マコが戻ってきた


「寒くない?平気?」
マコの身体からは蒸気が
上がってる

「ありがとう」
ペットボトルを見せてお礼を言った

またすぐゲーム開始の笛が鳴り、マコと近藤君は
コート内に戻った

No.340 10/02/18 10:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

10時の終了まで、メンバーチェンジはあったが
休憩なしでゲームは行われていた


見たところ20代~30代
すごい体力

近藤君がボールを運んで、マコがゴール下

近藤君が外した3Pシュートのリバウンドをマコが
取ってシュート


無邪気に楽しそうだった


あんなに跳べたり
あんなに上手くボールを
扱えたら楽しいだろうな

ちょっと嫉妬した

確かに高レベルなゲーム
だった

連れてきてくれたマコに
感謝

No.341 10/02/18 10:45
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

最後のゲームにマコは参加せず、皆に
「お先~お疲れ」
と声をかけて舞台に戻ってきた

「帰ろっか」
襟足の髪が汗で濡れてる
「疲れた~飽きなかった?寒かったでしょ?」

ゲーム中の近藤君に
手を振り、得点板してた人に
「おじゃましました」
と声を掛けて体育館を後にした


「面白かったよ、視線が痛かったけど」
マコはハハハと笑った

「近くの駅に降ろしてくれればいいよ」
「大丈夫、最寄りまで送って行く」

汗をかいているのに、私のために車の暖房を入れてくれた

自分で暖房を切り、マコのジャンパーにくるまる

マコが左手を差し出してきたから、右手で握った
「ひゃ、冷たい手」

マコの手は熱いくらい
左の手も温めてもらった

No.342 10/02/18 15:53
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

変な関係だなと思う

俗に言う浮気だろうけど、不倫ではない


マコは私の嫌がる事は絶対しない
反面、私が望めばどんな事でも叶えてくれる気がする

それが例えば身体の関係
だとしても

今の関係は私は楽しいけどマコにはツライだけかも
しれない


車内で会話をしながら
そんな事を考えてた

No.343 10/02/18 16:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そんな都合のいい関係は
そうは続かない


マコを甘く見てた

最寄り駅近くのグラウンド横で車を停めた

見渡すも人影が全くない
車さえ通らない


「リリア、こっちきて」
マコはズルイ
決定権を私に委ねた

嫌なら寄らなければいい
寄ったらOKと受け取る
だろう


一瞬の間に様々な葛藤が
頭の中に起きた

マコに触れたい
でも中野さんを裏切れない

マコを失いたくない
でも子供達を泣かせたく
ない

でもマコには沢山尽くしてもらった
そのマコが初めて私に
ワガママを…

No.344 10/02/18 16:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

人生を謳歌してた
独身時代の私なら

もっと早いうちにマコとはやっていたと思う

でも今は色んな物を背負ってしまった
私の身体は、私だけの物ではなくなってしまった


人間の基本的な内面は
変えられないから、
マコとのセックスは興味がある
もっとマコを知りたいと
思う


悪い私が囁く
「バレなきゃ平気。
バレようがないよ」

善の私が囁く
「マコのために止めな。
後戻り出来なくなるよ」

No.345 10/02/18 16:50
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ぐちゃぐちゃな回路を
中断させて、正直に伝えた

「マコの事は本当に好き。でもHは出来ない」

「やらせろとは言わないよ。俺責任取れないし」

ポカンとしてしまった


それならと
横にずれて隣に座ると、
突然抱き締められた
「話が違うんですけど…」

マコの首筋に顔があたる
「リリアも抱き締めて」

やれやれと思いながら
両手を背中に回す

汗の匂いが仄かに香る
不快な感じはしない、
むしろ心地良い


「リリア、これ以上は
望まないからキスして」

No.346 10/02/18 17:11
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

セックスで躊躇してた私は麻痺してた


ブーツを脱ぎ
シートに膝立ちになった
そうしないとマコの顔に
届かない

マコも左足をシートに上げ私を受け入れた


してやられたなと思った
何枚もマコの方が
上手だった


私からマコの唇へ近づいていった
やっぱりマコはキスも
優しく上手かった


「ありがとう。
ホントはくわえてもらう
つもりだった」
悪ぶれる様子なく言って
くる


「あぶない、あぶない」
長いキスの後、抱き締められていた

名残惜しそうに私を解放し「でも満足」

車を発進させる直前に、
キスされた

それからは隙があれば
キスを繰り返した

No.347 10/02/18 17:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

玄関の鍵を開けると
家の中は真っ暗だった


なんか、違う男の匂いが
身体についてる気がして
すぐシャワーを浴びた

髪を乾かしてると、
中野さんが帰ってきた

「ただいま」
すごい強い匂いがする
「お帰りなさい、
何の匂い?」
「ん?何か匂うの?」

お酒臭い中野さんを
風呂場へ
「とりあえずシャワーを
浴びて」

強烈な香水の匂い
ここまでくると臭い
甘ったるいけど体臭のような匂い

詮索するのは止めた
お互い様だから

No.348 10/02/18 17:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

翌朝、聞いてないのに
フィリピンパブに行って
きたと中野さんから
報告があった


キャバクラやスナックなどは容認してる
もちろんフィリピンパブも我が家のルールではOKだ

「楽しいお酒飲めた?」
「まぁまぁだな。匂いが
キツイから悪酔いする」

大丈夫、いつも通りの夫婦の会話が出来ている

いつも通り、いってらっ
しゃいのキスをした

瞬間マコの唇が蘇った

やっぱり昨日のキスは
ヤバかったなと反省

暫く会うのは止めよう

No.349 10/02/18 17:54
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

男は割り切れるけど
女は割り切れない

男は身体で感じ、
女は心で感じる


つくづく女は不利に出来てるなと思う

日に日にマコに会いたいと思うようになった

でもマコからは、次はもう抑えられないかもって
メールが届く


私にとってツライ選択
どうすればいいんだろう


取り敢えず会わない方を
選んでいるが、
胸が苦しい
会いたくて涙が出る

いてもたってもいられ
なくなる

完全にマコに恋をしていた

No.350 10/02/18 18:05
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

仕事中、近藤君は特別何も言ってこない

私から話を振ってみた
「くーチャンはバスケ連れて行ってないの?」

「彼女いない奴等が
ジロジロ見るから嫌なんですよ」
あぁ、確かに…

「でもバスケしてる近藤君格好いいのに」
「マジっすか?暖かくなったら1度連れて行ってみます」


「リリアさん…」
「ん?」
「マコと付き合ってるんすか?」

んー、微妙
いや、付き合ってはない

「付き合ってないよ。遊んでもらってるけど」
「ふーん」

納得してない様子で仕事場に戻って行った
付き合うの定義って難しい

No.351 10/02/18 18:15
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

無理して頑張って
会わないでいるとマコから別れのメールが届いた


「リリア色々ありがとう。本当にたくさんの思い出ありがとう。リリアと出会えて幸せだった。
そして、つらい思いさせてゴメンな。
もう連絡しないから」


何が何だか分からなかった
会わなかったけど
毎日メールしてたのに

そんな素振り見せなかったのに

なんで突然そんなこと
しかもメールで言うの?

子供に心配されても
涙は止まらなかった

なんで、なんで、なんで…
携帯の画面はマコからの
最後のメール
他のは全部消去していた

突然マコがいなくなった


なんて返信すればいいか
分からなかった
返信してシカトされたらと思うと怖くて送れなかった

No.352 10/02/18 20:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコからのメールは、
中野さんが出勤したあとで子供達を送り出す前の
最悪のタイミングで
入ってきた


「ママは大丈夫だから、
学校行きなさい」
太郎と次郎は後ろ髪を
引かれながら玄関を出た


涙は止まらない

「パパに電話すれば?
どっか痛いんでしょ」
花子が心配して覗き込んでくる


胸が痛い
心が苦しい

でも、パパには言えない

「大丈夫、
ありがとう花子」
大きめのマスクで顔を
隠して幼稚園バスを待つ

「花子、ママちょっと家で横になるから頑張って
幼稚園行ける?」
「うん。ゆっくり休んでね」
丁度バスも来た

「バイバイ」
ごめんね、花子にまで
心配かけて

No.353 10/02/18 20:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

くーチャンに電話した

「朝早くごめんね、風邪引いちゃったみたいで仕事休むって伝えて。
診察始まった頃にまた連絡入れますって」

「ずいぶん鼻声ですが、
大丈夫ですか?
熱は?
ひどくならないうちに受診した方がいいですよ~」


お礼を言って電話を切る
泣きすぎて頭がジンジン
する


携帯を見るも、メールは
着てない
あんなに届いてたのに

本当にもうマコからの
メールは届かないんだ…

No.354 10/02/18 20:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

1日脱け殻のように
過ごした

泣く以外に何も
出来なかった

初めて会ったバー
ユミさんのいる居酒屋
ランチしたホテル
バスケ見学した体育館

たった3ヶ月以内の出来事が遠い昔のように感じた

マコとの出会いが
夢ならいいのに


キスなんかしなきゃ
よかった
抱き締めた感触は、リアルに蘇る

マコの優しい笑顔が
もう見れないなんて

声が聞けないなんて

信じられない
涙が止まらない

No.355 10/02/18 21:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

子供達が帰ってきても、
放心状態が続いてた

心配した太郎が
中野さんの携帯に電話した

中野さんは仕事を誰かに
変わってもらって早退してきた

「大丈夫?どうしたの?」血相を変えてオロオロするしかない中野さんに
静かに抱き付いた

中野さんの胸の中で
マコの事を考えて泣いた

いつも中野さんの胸の中は私の精神安定剤だったのに今日は効かない


泣き疲れていつの間にか
眠ってしまった

目覚めたら、真夜中だった

やっぱりメールは着てない

あんなに泣いたのに
また涙が出てきた

どうしよう…

No.356 10/02/18 21:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

次の日も仕事は休ませて
もらった

こんな顔で受付に座れない近藤君に会えない


中野さんが有休使って
休んでくれた
何も聞かないで、ずっと
側にいてくれた

抱き付いてる私の頭を
撫でてくれていた

「ごめんね、中野さん」
「少しは落ち着いた?」

頷いたが、いつでも涙は
出てこようとしてた

それくらいマコの存在は
私の中で大きくなってた


プラトニックな関係
だったのに
もっと深い所で繋がって
いた

マコは今どうしてるん
だろう
平然と仕事してるのかな…

No.357 10/02/18 21:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

さすがに翌日は出勤した

泣き腫らした目に
違和感は残るも
ヒドイ状態は脱した

職場の皆が心配してくれていた

顔色が悪いからと、
ドクターがブドウ糖点滴の指示を出してくれて

リハ室のベッド1つ借りて横になり、
くーチャンに点滴を刺して
もらった

「リリアさんゲッソリしてますよ~大丈夫ですか?」「ダメかも~」

「何かありましたか~?私で良ければ話して下さい」
優しい言葉につい涙ぐむ
「ダメかも~」

重症だと診断したくーチャンは静かに離れて行った
近藤君休みの日で良かった

近藤君の顔を見ただけで
マコを思い出して涙が出るだろう

No.358 10/02/18 21:37
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

徐々に、本当に徐々に
落ち着いてきた

マコにはメールせず、
毎晩中野さんの胸の中で
眠った


近藤君とは仕事以外話してない
くーチャンもあれから何も
言ってこない

天使のポストカードを
見ても泣かなくなった

マコは私の中で思い出に
なった
最初は擬似恋愛の相手
だったのに


マコは元気かな?
バスケしてるのかな?
いい子見付かったかな?

私の事たまには思い出してくれてるかな?

No.359 10/02/18 21:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「今年の春は
どこに行こうか
今年の夏は
どこに行こうか~」

マコの車からよく流れて
いたこの曲を聴く度、
胸がキュンと痛む


これから先、もうこんな
思いはしたくない

でもマコと出会ったこと
マコと過ごした日々は
大切な宝物だ

ヤリマンだって成長する
奮闘して生きている

そんな物語


~ 続 完 ~

No.360 10/02/18 21:58
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

~エピローグ~


岡山に出張に行ってから
妻の様子が少しオカシイ

上の空な事があったり
ずっと携帯を弄っていたり

まぁでも何かあるわけではあるまい

結婚後、妻は本当に良く
やってくれている
感謝をどう表現していいかわからずここまで
来てしまった
妻を喜ばす方法がわから
ない


仕事を始めて、活き活き
してる妻が誇らしい

No.361 10/02/18 22:07
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

元来、活動的な妻が
専業主婦として子育てに
専念してくれたおかげで

3人も子供を授かり
親バカながらいい子に
育っている


妻にだって息抜きは必要だ多少の事は目を瞑ろうと
思っていた


フィリピンパブに行った日妻のキスシーンを見るまでは…

No.362 10/02/18 22:14
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

妻を信じている自分と
信じられない自分との
葛藤で苦しんだ日が続いた

でもあの日以来、妻は
出掛けない
相変わらず携帯は弄って
いるが…

夜の生活にも特別な変化はない

目撃したキスシーンは
見間違えだったのか?

でも車から降りてきたのは確かに妻だった

直接聞く勇気は私には
なかった
妻を愛しているから

No.363 10/02/18 22:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

いけないと知りつつ、
入浴中や就寝中に妻の携帯を開いた


完全にメールは消去
されていたが
送信に消し忘れが残って
いた

マコ

誰だ?それは


アドレスを自分の携帯に
打ち込んだ

No.364 10/02/18 22:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

妻が寝たのを見計らって
マコというやつにメールをした


「あなたは妻とはどういう関係なのですか?」

思いがけず、すぐ返信が
着た

「私が一方的に想っているだけです
完全な私の片想いです、
すみません」


予想外のメールに戸惑う
惚けるか、返信してこないと読んでいた

「妻も少なからず貴方に
好意を抱いているようです」
「奥様は側にいるのですか?」
「いえ、隣の部屋で寝ています。一切知りません」


返信が途絶えた
相手も色々考えているの
だろう

No.365 10/02/18 22:41
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「私は妻を信じてますからアレコレ詮索はしません。妻の事を一番に考えて
やって下さい」


メールはそれで終わりと
なった


そして
翌朝から妻が壊れた


3時に太郎から電話を
もらって慌てて帰宅すると
妻の目に生気が宿って
なかった
泣きじゃくって話にならなかった

携帯を開くとマコからの
メール画面
携帯を見られてる事すら
気付いていなかった

No.366 10/02/18 22:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

次の日は仕事を休んだ

妻の体調も心配だったが、何より家を出てしまうのではと懸念していた

そこまで惚れていたのか

妻の頭を撫でながら、
あの男の元へ行かせるのが優しさなのかと自問自答
した

「ごめんね」
妻がやっと声を出した
何に対しての謝罪なのか

怖くて聞けなかった

妻の本音
妻の叱咤
妻を失うこと

全てが怖かった

No.367 10/02/18 22:56
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私は妻を抱き締める事しか出来なかった

なんの言葉も
かけられなかった

もしかしたらマコって奴も今苦しんでいるのかも
しれないと
心配になったりもした


妻は徐々に、本当に徐々に回復していった

携帯を開いて涙ぐむ事も、可愛い葉書を見て泣くこともなくなった

私のしたことは
果たして正解だったの
だろうか

誰か教えてくれないか…

   ~完~

No.368 10/02/18 23:01
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

❤お礼❤


最後までお付き合い
ありがとうございました💦

所々、誤字があったり
表現がおかしかったりと

読みづらいところもあり
スミマセンでした😢

いかがだったでしょうか?ぜひ感想スレに一筆
戴けると嬉しいです💡⤴


またご縁がありましたら、よろしくお願いします
m(__)m

ありがとうございました✨

No.369 10/07/09 19:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

❤ご挨拶❤

少し時間が経ったので、
更新します✨

さて…
どうなる事やら😆💦


愚かな女の話ですが、
またお付き合い下さい➰

No.370 10/07/09 19:31
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

~続 第三部 スタート~

マコに振られて2ヶ月が
経った
こんなに時間ってゆっくり流れるんだっけ…


私、ちゃんと笑えてる?
鏡の前に立つと、無防備な自分が写し出されて不安になる

思い出さないように、
過去を振り返らないように感情を閉じ込めることにも慣れてきた

でも、何故か凄く疲労する

自分らしくない、
毎日とても疲れる、
意味もなく苛々する、
私はちゃんと笑えてる?


このポッカリと空いてしまった穴はいつか埋まるのかな…
それとも空いたまま残りの人生歩まなければいけないのかな…

子供が寝た後の時間が
私のツライ贖罪の時間と
なっていった

No.371 10/07/09 19:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

五人家族は平穏に暮らしていた

新聞を読んでいる中野さんの隣で花子は絵本を読んでいて、

太郎と次郎は仲良くDSで対戦

それを食器を洗いながら、見守っている私


平和だった

私さえしっかりしていれば、ふらふらしなければ、
この幸せは永遠

守るのも壊すのも私次第


洗い物をしながら、意識は違うところへ

そう、昨日のあの出来事
神様は本当に意地悪だ

No.372 10/07/09 19:54
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリア、珈琲」

中野さんから声を掛けられ我に返る

私、今、無意識に笑って
いたかも

「ホット?アイス?」
いつも通りに聞き返す
平常心、平常心


「ホットで」
ポットのお湯は使わずに、ヤカンでお湯を沸かす

ドリップコーヒーをブラックで渡す

「どーも」
もう当たり前になった日曜の午前中の風景だ


ベランダで洗濯物を干しながら、思わず鼻唄が出る

1人でいると気が緩む


昨日の出来事が頭の中を
占領する

No.373 10/07/09 20:12
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

昨日は、久しぶりに
くーチャンとお酒を飲んだ

優しいくーチャンは自分の事のように心を痛めてくれていつも心配して、気にかけてくれていた

でも何も聞かないでいて
くれた
近藤君も私を避けるような事はなく、仕事中はむしろ積極的に絡んでくれた

この2人には本当に助けてもらった
気を使ってもらった

年上なのに、だらしない


だから、くーチャンとお酒を飲みに行けたのは本当に
嬉しかった

くーチャンも本当に喜んで
最後は泣き笑いになってた

相変わらずいい匂いがした
笑顔が可愛くて、
肌とかピチピチしてて、
すごい気使いが出来て、
でもお酒を飲む勢いはすごくて、
女の私でさえ
惚れ惚れしてしまった


近藤君とは順調なんだろう
迷い悩みが感じられない
少し嫉妬した自分が嫌になった

No.374 10/07/09 20:39
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

だからか、この日は
2人とも飲み過ぎた

ラストまで2人で飲んで、くーチャンが悪酔いした
トイレで吐いていた

年上としてしっかりしなくては
でも私より15㎝背が高い
くーチャンの介助は出来ず、近藤君にヘルプを頼んだ

1時近いのに、すぐ電話に出た
くーチャンはやっぱり愛されてるなぁ

「すぐ迎えに行く」
近藤君は本当にすぐ迎えに来た
くーチャンに声を掛けてから優しく抱き抱えて車に
乗せた

私も助手席に

心配して後部座席を覗くと静かな寝息が聞こえてきた

近藤君の声を聞いて、車の匂いに安心したんだろう

No.375 10/07/09 20:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「あ、自転車」
くーチャンはお店まで自転車で来ていた

「明日俺が取りに来ますよ。といっても今日か~」
近藤君も優しい、そしてマメだ


「リリアさん」
突然真面目なトーンで話し掛けられた
くーチャンを飲ませ過ぎた事を怒られると咄嗟に思った

でも意外なお願いだった
「くーと話し合って決めたんです。家庭は壊さずに
マコと会ってやって下さい」


頭の中は?でいっぱい
だった
意味が分からない

私は振られたんだよ?
私は今でもマコでいっぱいなのに

なんで逆にお願いされるん?

No.376 10/07/09 21:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

後ろから気配を感じた
くーチャンが起き上がっていた

「リリアさん、会いたい?それとも、もう会いたくない?」

それを言い出せなくて
悪酔いさせちゃったんだなと反省した

一目でいいから会いたい
でもせっかく会わないで
2ヶ月過ごせた
中野さんの顔も思い浮かぶ

「返事は急ぎません。無理言ってすみません」
ちょうど家の前だった

お礼を言って車から降りた

玄関を開けるとリビングに中野さんがいた
「おかえり、ずいぶんゆっくりしてきたんだね」

くーチャンが酔っ払って大変だった事、
近藤君が颯爽と現れて優しく介抱した事、
車で送ってくれた事を
話した

マコの事は話せない

No.377 10/07/09 21:39
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

シーツまで干し終えて、
リビングに戻ると

太郎と次郎が喧嘩の最中

どうしてもゲームで兄に
勝てず、弟が癇癪を起こしたようだ

中野さんは我関せず

「はいはい、ケンカは
おしまいにして」
仲裁に入り、外出の提案をする

今まで喧嘩していた兄弟が、どこに行くか仲良く相談し始めた

男の子は本当に単純で
可愛い

結局アスレチックの豊富な公園に決まりすぐ出発

持っていったオニギリと
水筒のお茶はあっという間になくなった

夕方までタップリ遊んで
夕飯は楽して、回転寿司


子供が寝た後、やっぱり
ため息が出た

なんだろう、満たされない

こんなに忙しく過ごしていても、子供の笑顔見ても、突然虚しさに襲われる

No.378 10/07/09 21:50
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコと過ごした時間

あのドキドキ感のない
日常が退屈に感じてしまっている自分に、
気付かないフリをしてるのも限界だった


家庭は壊さずマコには会う
あの2人からの悪魔の囁き

私は悩んでなかった
心は決まっていた

会えるんなら、どんなことをしても会いたい

そして、巧くやらなきゃと悪魔の囁きに答えていた

マコに会えるかも
それだけで、私は満面の
笑みを浮かべていた

No.379 10/07/09 22:01
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

月曜日、いつものように
中野さんを見送り、
小学生を送り出し、
幼稚園のバスに乗せてから
職場へ


近藤君を見つけた
「いつでもいいよ。連絡
待ってるって伝えて」
近藤君は複雑な表情を
浮かべた

「すみません」
何に対する謝罪なんだろう

浮かれて仕事が手につかなくなることはなく、黙々とこなした
落ち着いてる自分が怖かった

いつかマコから連絡が来る

それだけでポッカリ空いた穴が塞がってしまった

女も単純
そして卑怯で汚い

でももう抑えられない

No.380 10/07/09 22:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコからの連絡は、その日の夕方にあった

「久しぶり?元気?」
素っ気ない一行のメール

でもマコっぽい
ずっと求めていたメール

他愛のない文章で会話し
離れていた2ヶ月が嘘の
ようだった

中野さんの帰るコールに
あわせて
「また明日」
とメールを終わらせた

マコの存在の大きさを
思い知らされた

深呼吸して自分の中のマコの存在を消す

最低だと分かっている
だから誰にもバレないよう覚悟を決めた

中途半端はいけない
私はマコなしでは生きられない

二度とマコを失わないよう、仮面を着けた
家族に向けて

自分の事しか考えられない最低の女だ

そのうち家族にもマコにも捨てられるだろうなと
想像しても尚、マコに
会いたかった

No.381 10/07/09 23:26
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「おはよう、今日は花見
日和だ」
そんなメールで1日
頑張れた


ヤマシイ気持ちで一杯でもヤマシイ行動してないからいつも通りの生活ができた

メールだけで充分癒されたマコもそう伝えてきた

だからあっという間に
1ヶ月が過ぎた
離れていた2ヶ月はあんなに長かったのに

「飲み行くべ」
それは自然な流れで出た
「ユミさんとこがいい」

あの無口な板前さんと
素敵な姉さん女房がやってる、こ洒落た赤提灯

「いいんじゃない?」
土曜の夜は中野さんの飲み会が入っていたので、前日に決めた

明後日だ
私は土曜休みだけど、マコは仕事
そんなに遅くまではいられない

でも会える
ワガママは言わない

何を着ていこう
髪型はどうしよう
胸が高鳴る

No.382 10/07/09 23:53
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

家事も育児も、仕事も
全然苦にならない

人参を目の前に与えられると、頑張って走れる

生き甲斐があると、自分を磨こうと気合いが入る
不平不満を感じなくなる

躁状態だ
アドレナリンが出続けて
いる状態だ

でも表面には出さず、
クールに過ごした
いつものように過ごす

子供が寝ても、ため息が
出なくなった
虚しさに襲われることも、突然泣きたくなることも、無くなった

その代わり、大事な何かを失ったのかもしれない

No.383 10/07/10 00:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

当日、中野さんは仕事で
遅くなると言うので
子供達は実家に預けることにした

久しぶりの実家にお泊まりで、子供達は大喜び
それは何よりの救いだった

土曜日は温水プールに連れて行ってもらえると知った兄弟は笑顔でバイバイと
私に手を振った

父と母に申し訳ない気持ちはあったが、実家を後にして待ち合わせ場所に急いだ

少し遅れそうなことは
先に伝えてあったけど、
やはり15分遅刻して待ち合わせの駅に着いた


どんな人混みにいてもマコは見つかる
188センチの存在感は
スゴイ

「どこにいてもリリアを
見つけられる」
似た価値観を持ってるマコ

嬉しい言葉をくれる
「お待たせしました」
「行きましょか」

自然と手を繋ぎ、改札を
通った

最寄り駅だからって、人の目は気にならなかった

またマコの隣にいる
それだけで幸せだった

No.384 10/07/10 13:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

電車の中では、会話をしなかった
話す内容に困った訳では
なく、お互いの空気に酔っていた

電車の窓のガラス越しに
目があう
ちょっと右上に顔を向けると、マコの肩がある
「なに?」

「次だね」
照れを隠して尋ねる
「そうだね」

駅に着いて線路沿いを歩く
伝えたい事、聞きたい事は沢山あるのに
どれもこれも、この空気を壊しちゃいそうで言えなかった


そうしてるうちに店に着き
「いらっしゃい」
「マコが女連れてきた」
デジャブだ

顔見知りに挨拶しながら、マコはズイズイと奥に入っていく

板前さんもユミさんも
変わらない
ここだけ時間が止まってるみたいだ

「シフォンケーキはお口にあった?」
ユミさんが笑顔で佇んで
いた
「はい。とても美味しくいただきました」


「それはよかった」
マコのあとについていくように促され、奥の座敷に
入った

No.385 10/07/10 17:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

前回と同じ席
ここがマコの定位置なんだろう

二膳分すでに用意されて
いた

私の右側がマコの定位置になっていたから、左側に
いるとなんだか落ち着か
ない

ワガママを言って、座る
位置を変わってもらった

「ビールで良かったかしら?」
ユミさんがキンキンに冷えたビールを二杯持ってきた

1つは大ジョッキ
1つは中ジョッキ

ビール党の私は何の文句もなく中ジョッキを
受け取った

「乾杯」

No.386 10/07/10 21:46
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

おまかせのオツマミが
一通り揃ったところで
マコが語り始めた


「俺さぁ、離婚したんだ」マコは嫁と子供と別居していたはず

「生活費を送るだけ、
俺から会いに行くだけ。
行っても手料理でもてなしてくれるわけでもなく、
外食三昧」
私と目はあわせず、ビールを眺めながら語っている

「こっちで外食三昧なのにさ。嫁さんも他人行儀だし。子供や親の事考えたけど、嫁に離婚伝えたら数日後にOKってさ」


「いつ…?」
「離婚して2ヶ月経ったよ」

No.387 10/07/10 23:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

今から2ヶ月前となると、私達が会わなくなって
1ヶ月経った頃だ


「でも正直、離婚決まった時に衝撃はそんなになかった。別居が続いた時点で、夫婦は難しいよ」


大ジョッキを飲み干し、
マコは私を見た
ドキッとした

「リリアと別れた時に
比べたら…」


近藤君とくーチャンの顔が
浮かんだ

【家庭を壊さず…】
マコの離婚は知っていたのだろう
だから私に釘を刺した

マコは話を続けた
「近藤は合コン開いたり
女の子を紹介してくれた。見ていられなかったんだろうな…」

「それでも沈みっぱなしの俺に、どうして欲しい?って聞くから、リリアに会いたいって言った」

その時の近藤君の顔が想像出来る
そんな無茶言うなよ…って顔だろうな

立ち直るために、私も必死に笑っていた頃だ
独りになると泣いてた頃だ

でも今こうして2人で
会ってる
近藤君とくーチャンはどんな決断をしたのだろう?

No.388 10/07/11 13:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「そっか…まぁ呑みなよ」ユミさんを呼んで、ビールのおかわりを注文

すぐ運ばれてきたビールは中ジョッキだった
一杯目だけ大ジョッキ
なんだ

ユミさんはマコの女房
みたい


「そっちはどう?出歩いて平気なの?」
「うちは平穏だよ。これといってなにもない」

笑顔で嘘をついた
苦しかった毎日、
ため息ばかりの夜

それを告げるのは、ルール違反の気がした

No.389 10/07/11 21:58
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「勝手に振ったくせに~」
努めて明るく振る舞う
別れのメールの真意が
知りたい

あの時は聞けなかった
私を否定する言葉をマコの口から聞きたくなかった

「あの時は……、
本当に色々あったんだよ。昔の事はいいんじゃね?」

良くない
でも、今はいいや
時間がもったいない


仕事の話、バスケの話、
離婚の話、美味しいラーメン屋の話

話題は尽きなかった
あっという間に終電の時間

No.390 10/07/11 22:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「また会える?」
マコが心細そうに聞いて
きたから

「もちろん」
躊躇なく答えた

「やっぱりリリアといると落ち着く」
真っ直ぐ目を見て言われると、動揺が隠せなくなる


「ささ、行きましょ」
促して座敷を後にする
マコはまたも支払いせずに出ようとする
「ごちそうさん」

ユミさんから小さい紙袋を手渡された
「リリアさんに似合うと思って衝動買い。渡せて良かったわ」

「えっ?開けてもいいですか?」
「もちろん」
二重になったシルバーの鎖に小さいハートの付いたブレスレットが入ってた

「えっ?」
「かわいいでしょ、だめ?」

マコは何も言わないし、
表情も読めない

「可愛いです。頂いちゃっていいんですか?」
「勿論。マコとのデートでは是非着けてね」

No.391 10/07/11 22:26
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

お願いして早速マコに
左腕に着けてもらった

「いいんじゃない?」
無口な板前さんがしゃべった
思っていたより高い声が
印象的

細い二重の鎖とハートの
バランスが可愛い

「ありがとうございます。すごく嬉しいです。」
「良かった。押し付けて
ごめんなさいね」


「また飲みに来てもいいですか?」
「もちろん。リリアさん
1人で来ても全然構わないのよ」

「リリア1人はあり得ないから。俺も来る」
いつか、違う店で4人で
まったり呑みたい

きっと楽しいだろうな…

No.392 10/07/11 22:49
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

お礼を言って店を出て
マコに5000円を渡す
でも今回は受け取ってくれなかった

「今日は奢らせて。色んな人に謝罪の意味でも」
「抽象的でわかりづらいんですけど。色んな人?」

まぁいいから~と
はぐらかし駅に向かう

駅に着いて、急に心細く
なった
改札を通ったら現実に戻らなくては

次は何時会えるんだろう?また突然の別れが来たら、どうしよう
離れたくない

冷静な私が、ワガママな私に負けてる

今の感情で、今後一緒に
過ごす可能性を潰してしまうリスクは分かってる

でも先の事なんて不確かだ

今、まだ一緒にいたい
現実に帰りたくない
お酒の力も借りて、精一杯駄々をこねた

No.393 10/07/11 23:11
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「俺は明日仕事なんです。素直に帰りなさい」

頭をイイコイイコされても治まらない

「既婚者なんだから。待ってる家族がいるんだから」
マコには言われたくない


悔しいから、引き寄せて
唇にキスをした
キスした後、膨れっ面で
睨んだ

「バ~カ」
軽くキスされた後、改札の方へ誘導された

「ちゃんと帰れる?送ろうか?」
巧くやるって決めたのに
マコに会ったらダメダメだ

「迷惑かけてごめん」
素直に謝り、改札を通った
「気を付けてな、また」
または何時になるんだろう
1人で乗る電車は寂しかった
右隣にマコがいない

再びマコに会ったのは、
私にとってプラスだったのか、マイナスにしかならないのか

プラスであって欲しい
と願わずにはいられなかった

No.394 10/07/12 13:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

沈んだ気持ちで家に着いた

気分を入れ換えて、明るく振る舞おうと思っても、
駄目だった

「おかえり」
中野さんは何にも変わらない
「ただいま。いつも子守りありがとうね」
「風呂沸かしておくから、荷物置いたら入りな」


そんな優しさが胸に痛い
私の中野さんに対する優しさは本心ではないから

やましさがあるから、
無意識だとしても優しさに計算が入る

私は一体何を守りたいんだろう
どうしたいんだろう

湯船に浸かりながら考えたけど、答えは出なかった

No.395 10/07/12 13:25
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その夜、中野さんに抱かれながらマコの事を考えて
いた

満足げにしてる所を見ると中野さんは何も気付いて
ない

本当に愛し合ってる夫婦ってどれくらいいるんだろう

もしかしたら片方は私みたいに、冷めているのに
パートナーに気付かれて
いないだけなのかも

冷めているのは女とも
限らない

こんなことは誰にも相談
出来ない
でも、好きな相手との
セックスが苦痛に感じたのは生まれて初めての経験


気分がのらないって本当にあるんだな
今度のらない事があったら、断ろう…

修復した筈の亀裂にまた
ヒビが入った夜だった

No.396 10/07/12 13:36
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

翌日、会社の飲み会に参加した中野さんは11時過ぎに帰宅した

「早かったね、二次会は?」
「みんなスナック行ったけど帰ってきた」

私は飲みに出掛けて、11時に帰るのが信じられなかった
どちらかというと、
まだ11時って感覚だ


「たまには行ってくれば
いいのに。スナックでもキャバクラでも」
「いいよ、興味ない」


そのあとは黙りだった

毎日会社と家の往復だけ
飲みに行ってもすぐに
帰ってきちゃう

真面目で優しい旦那様
話題に乏しい、無趣味な人

贅沢な愚痴は誰にも聞いてもらえず、不満は私の中に蓄積されていく

No.397 10/07/13 13:25
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

翌日の日曜日はママさん
友達と公園に

36才と37才のお母さんと

子供が同級生なので、育児や嫁姑の悩みなど本当に
頼りになる

親はベンチに座り、
総勢7人の子供達は公園に放し飼い状態

みんな気ままに遊んでいる
太郎がハイハイの頃からの付き合いなので、親も子供も気兼ねなく過ごせる


「やっと就職決まったの」36才のミイさんがホッと
した顔で話始めた

同い年の旦那さんが、半年前に仕事を辞めて、失業保険もらいながら職探しを
しているのは知っていた

ミイさんも働いているが、パートなので貯金を切り崩して生活してるとは噂で聞いた

相手から言ってこない限り立ち入った話は難しい


ずっと心配していたから、私も隣のサエコさんも安堵した

「良かったね、ミイさん」「とりあえず一安心だね」

仕事も探さず家に引き込もっていた時期には、さすがに離婚を考えたと言う

No.398 10/07/13 13:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「旦那はあれはやだ、これは無理、それは出来ないって文句ばっかりでさ~。
そんな事言ってないで、
何でもいいから働いてって怒ったら、現実逃避よ。
引きこもり」


ミイさんの旦那さんは、
優しいおっとりした人だ
確かに器用に色々できるタイプではない

36才の再就職がどれほど
厳しいか、ミイさんのげっそりした顔を見れば一目瞭然だった

「離婚を切り出したら、やっと重い腰あげてまた職探し始めて、近所の小さい
倉庫に就職決まったけど、とりあえずって感じ。
これから子供にもお金かかるのに、どうしよう~」


井戸端会議では必ずお金の悩みが出る
答えは出ないし、なるようにしかならないって話は
まとまるけど切実な問題だ

No.399 10/07/13 13:50
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

本当に主婦はお金で悩む
旦那の給料は上がらないのに、子供にドンドンお金がかかる

先の見えない不安がまとわりついている

不景気だ

タンス貯金を全額銀行に
預ければ、もっと経済が
動くのに…

お墓までお金は持っていけないから、生前贈与の税金額をもっと下げればいいのにといつも思ってしまう


世の中の妻たちが、苛々してる原因はそこら辺にあると思う

ミイさんの話を聞いていて強く感じた

No.400 10/07/13 14:00
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

37才のサエコさんとこは
家庭内別居中

夫婦の会話は殆んどなし
旦那さんが休みの土日に
サエコさんは働いている

「すれ違いは楽よ。必要最低限の会話で済むから。」
そもそもの原因は旦那さんの浮気
さらにサエコさんは旦那さんの親と同居している

「人質預かってるようなもんだから、離婚とか言わせないし」
と笑って話すサエコさんはどこか痛々しい

一度3人でお酒を飲んだ時に夫婦生活の話になった

ミイさんは笑ってはぐらかした
元々そういう話は苦手な
タイプなようだ
ミイさんの口から、下ネタを聞いたことがない

サエコさんは驚いたことに2~3ヵ月に一度あると
言う

No.401 10/07/13 14:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

やることはやってんだ
その時、率直にそう思った

普段会話なくても、旦那さんが布団に入ってきたら
許しちゃう女心が分からなかった

そんなセックス気持ちいいのかな?
思ったけど、聞けなかった

うちは夫婦生活は普通に
あるって話をしたら、
サエコさんに
「リリアは早く枯れちゃいなさい。私のように(笑)」って言われた

「危ういから、子供のためにも女を枯らしなさい」と

今なら、その言葉が理解できる
でも女として枯れたくは
ない、いくつになっても…

No.402 10/07/13 21:58
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

公園で遊び飽きて来た頃に、解散となった

もうとっくにお昼は過ぎている

各々帰路へ
「じゃあまたね」
「お疲れさん」
「また遊びましょ、バイバイ」

帰りの車内でも子供達は
大騒ぎ
「暑い~」
「お腹空いた~」
「お茶~」

「はいはい、もう少し辛抱して~」
家に着いて昼ご飯にパスタを茹でた

子供達はお茶漬けパスタが大のお気に入り
お茶漬けの素とバターと
少しの醤油を和えるだけ

No.403 10/07/13 22:10
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

パスタを食べ終えた頃、
中野さんは何処かから帰宅した

「おかえり」
「ワークマンで靴下と皮手を買ってきた」

「パスタ食べる?」
「うん」

もう一度台所に立って、
多目に茹でてたパスタを
使ってペペロンチーノを
作ってテーブルに出した

中野さんは黙々と食べる

今日の公園での話をする
ミイさんの家の事、
サエコさんの家の事、
子供達の様子など


中野さんはちゃんと聞いてくれる

「でね、今度ミイさんと
サエコさんを家に呼んで
飲み会しようと思うんだけど…」

「いいんじゃない?俺は
実家にでも帰ってるよ」

「え?中野さんも一緒にって話だよ」
「俺はいいよ。気を使うし」

なんか、寂しくなった
ミイさんの旦那さんも、
サエコさんの旦那さんも
本当は嫌々付き合ってくれてたのかもと疑いたくなった

「そっか、わかった」

No.404 10/07/13 22:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

結局、私の友達を家に招いて飲み会は行わず、外で飲む機会が増えた

気が付けば、ここ最近会社の人達も家に招いてない

「最近、水野さん達遊びに来ないね」
「外で飲むことが増えたからね。家に呼ぶのはリリアが大変だろう」


何故か歯車が確実に狂い
始めていた
意思の疎通がはかれていない気がする

人を招待するのは、大変
だけど遣り甲斐があるし、楽しいし料理の腕も上がるから、全然苦じゃないって常々伝えていたのに


その後、中野さんに
「たまにデートしようよ。サプライズ考えてよ」
って甘えたら

「え~面倒だよ、そう言うの」と拒まれた
悪気はないんだと思う

結婚生活が当たり前になり過ぎて、なぁなぁになっただけ

でもそんな生活つまらない

私は毎日家事、育児、仕事頑張ってる
だから、中野さんに遊んでもらいたかった

でも中野さんに断られる事が多い
もう私に興味ないのかな?

No.405 10/07/13 22:41
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコと再会したから、すれ違いを感じるようになったのか、


すれ違いを感じてたから、マコに会ったのか

卵が先か、鶏が先かの話だ

中野さんが遊んでくれないから、マコに遊んでもらう

自分の中で、正当化した
理由を勝手に作った

それから、マコとはユミさんの店じゃないとこで何回か2人で飲んだ

再会初日にキスをしただけで、後は何もない

でも愛情のバロメーターが中野さんからマコに移動していったのがはっきりと
分かった


その頃から、何故か中野さんの行動に苛々する事が、多くなっていった

結婚当初から中野さんは
何一つ変わってないと言うのに…

No.406 10/07/15 21:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんの目を盗んで
マコとメールをしていた

そして
読んだらすぐ削除していた

癒されたメール
励まされたメール
ドキッとしたメール

それらを削除するのは
とても切なかった
保護できたら…

でもマコからのメールは
全て削除していた


ところが、ある日洗濯物を干しそうとベランダに
出たが、用を思いだし
リビングに戻ると中野さんが私の携帯をチェックしていた

ハッと思い、すぐベランダに戻ったから気付かれなくて済んだが、胸がドキドキしていた


いつから?
マコとの関係知ってるの?
そんなこと聞けない

だから、すれ違ってるの
かな

No.407 10/07/15 21:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

洗濯物を干しながら、
考えた

どうしよう…

こんな時、経験者はどう
してるんだろう

不安でどうしようもなく、マコに会いたかった
でもマコには迷惑かけちゃいけない

私が考えなくちゃ


その日も特に変化なく1日が終わった
中野さんの素振りもいつもと変わらない


その沈黙が逆に怖かった

No.408 10/07/15 21:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

数日、そのまま過ごしたが耐えられなかった
携帯をチェックしていた
後ろ姿が頭から離れない

やましい私が悪いことは
わかってる
でもやっぱりその行為は
中野さんの器を小さく感じるに充分だった

私に対して不信感でいっぱいなんだろうな

子供が寝静まってから
中野さんに話しかけた

「もう離婚かなぁ」
「え?」
「もう違和感ある生活は
耐えられない。私を信用できないでしょう…」

「何を突然言ってるんだ?」
「すぐにとは言わない、子供の事もあるし。でも考えといて下さい」


その夜、中野さんは布団に入ってきたけど、拒んだ

とてもじゃないけど、そんな気にはなれなかった

うちで離婚の話になる
なんて
誰も信用しないだろうな

これからどうなるんだろう

でもマコがいるから、離婚しても寂しくないって計算もあった

女が離婚を言い出したら
100%男の影はあると思っていい
問い詰められても絶対に
認めないけど…

No.409 10/07/15 22:20
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「ねぇ、お母さん。
お父さんと喧嘩したの?」子供は敏感だ

「え?してないよ~」
「そっか、良かった」

普段通りに過ごしてる
つもりでも子供は知らずに空気を読む

確かに会話は減った

あれから離婚についての
話し合いは何回かした
でも中野さんは絶対にNOだったし、聞く耳を持たなかった


中野さんの外での飲みが
増えた
やけ酒をしているよう
だった


少し前まで、ラブラブな
夫婦だったのに…
どこで道を誤ったんだろう

久しく中野さんの笑顔を
見ていない気がする
中野さんの胸の中が、
私の精神安定剤だった頃もあるのに

今は迷わずマコの胸の中に飛び込みたい

No.410 10/07/15 22:34
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

夕方突然、中野さんの会社の後輩のイケメンから
家電に電話があった

「何があったわけ?」
「えっと…、」
「無駄にハイテンション
何ですけど~家に帰りたがらないし」

「側に子供いるから、電話じゃ話せない」
イケメンのメアドを聞いて電話を切った

何から話せばいいか、
何を話さない方がいいか
考えたかったので、後日
呑む約束をした

「了解」
イケメンは快くOKしてくれた
この時から、携帯はロックした

イケメンにまで迷惑かけている
でも、飲みの約束は楽しみだった

気持ちは中野さんから
ドンドン離れていった

No.411 10/07/16 13:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

日曜の夕方、ママさん友達のサエコさんの家に行ってくると自転車で家を出た


中野さんの表情からは
何も汲み取れない


イケメンお薦めの鉄板焼の店に五分前に着いたが、
すでに彼は店の前で立っていた


180センチで細身の体型にはシャツとジーンズが
良く似合う


「お待たせ」
「待ってないし、今来た」「歩き?」
「友達に送ってもらった」


時間が早いせいもあり、
一番乗りだった

奥の窓側の席に座り、
とりあえずビールを注文

イケメンは好き嫌いが多い

私は好き嫌いないので、
注文はおまかせした

乾杯の後、他愛のない話をしていた
続々と運ばれてくる生物をイケメンは器用に焼き始めた

No.412 10/07/16 19:59
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「で?」
「ん?」

「で?何があったの?」
「んー」

素直に
すれ違ってる事
苛々してしまう事

一緒に生活してるのが苦痛な事
離婚を申し出たことを
言った


マコの事と
携帯チェックの事は
敢えて言わなかった


「んー、男か?」
「はい?」
「好きな男でも出来たのか?」

おっと、鋭い


「好きな男か~いたら、
もっと毎日楽しいだろうね」

「本当にいないの?」
「身体の関係のあるって
意味の男でしょ?
いないよ」
嘘は言ってない

「ふ~ん」
100%信用してない

No.413 10/07/17 13:07
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「その話は置いといて、
折角だから楽しく飲もう」

それからイケメンの過去の恋愛話やら、家族の事、
結婚に対する意識など
普段聞けない内容をツマミに楽しく飲んだ


別れ話のもつれで、元カノが包丁を持ち出した話は
リアルに驚いた

「別れないって包丁を出されても、こっちは余計に
引いちゃうのにね…」


ふと、窓の外を見たら
うちの車に似た車が行き過ぎた

まさかね…


12時まで飲んで、店を出た

雨が降っていた

「傘買いに行こう、後ろ乗りな」
自転車に股がりながら、
イケメンがニケツを促す

「私の自転車なんですけど(笑)」
「俺を後ろに乗せてくれるの?」

憎まれ口を叩きながら
私は素直に後ろに座った

自転車がぶれる事なく、
安定して走り出した

「自転車なんて何年ぶりだろう」
イケメンは楽しんでるようだった

No.414 10/07/17 13:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

近くのコンビニにはすぐ
着いた

イケメンはビニール傘を
一本買ってきて
「これさして帰りな」

「そっちは?」
「いいよ、歩いて帰る」


もう少し、自転車のニケツを楽しみたかった
「いいよ、送ってあげる。乗りな~」

さも当たり前のように
自転車の後ろに股がり
サドルを空けて座るよう
叩いた


イケメンは最初渋っていたが、観念し素直に自転車を漕ぎ出した

「家から逆方向になるよ」

「明日太もも筋肉痛だね」「鍛えてるからこれくらいなら全然平気」

背中やら腹筋やらを
ペタペタ触ってみた

確かに固い
無駄な肉は全然ついてない

「結構すごいね」
「腹筋割れてるから(笑)」
意外な一面

「やっぱり心配だから、家まで送るよ。俺はそこから歩いて帰れるし」
「意味ないよ、いいから、いいから」

「リリアって、頑固だ」
「今頃気付いた?」


こんなやり取りが、
楽しかった

妻でもない、母でもない
私の存在

No.415 10/07/17 13:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

会話が途切れた頃
一息ついてから背中越しに聞いてみた

「イケメン、私の事結構 好きでしょ~」
「大好きだよ」


即答だった
こっちが絶句してしまった

「大好きだから、どんな 理由であろうと離婚して 欲しくない。頑張れよ~」「頑張れるかなぁ」
「頑張れなくなったら、また飲もう、頑張れって言ってやるから」


イケメンはやっぱりイイ奴
巻き込んで申し訳ない気持ちになった


もう少し、色々頑張って みよう


「イケメンも煙草止めな、煙草吸う男はヤダし」
「分かった、俺も禁煙頑張る。禁煙成功したら焼き肉な」

「期待しないで待ってるよ」

「ヒドイ、はなから信じてないのか、俺を分かってないなぁ」

楽しい時間はあっという間にすぎ、イケメンの家に
着いた

No.416 10/07/17 13:53
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

自転車に乗り
「お疲れ、今日はありがとうね。また遊んでね」


グダグダ引き延ばしてると妙な空気になりそうだった

心配してるイケメンの前から逃げるように離れた

帰り道今日の出来事を
思い返してみた
雨も酔いも気にならない
気分は高揚していた


でも家が近づくに連れて、塞いできた
サエコさんの家に行ったはずなのに、中野さんに言う内容がない

嘘が嘘を呼ぶ
こんなんで頑張れるのか 不安になってきた

No.417 10/08/01 17:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

日常をいつものように過ごす
気分の変化はどこに出るかわからないから、気をつける

嘘がどこでバレるか分からないから、必要最低限の事しか話さなくなった

女は怖いなとつくづく思う

そんな風に1週間経った頃に、イケメンからメールが届いた

「どうよ?」
「正直きっついよ」

「1週間頑張れたんだ、
もう1週間頑張ろう」

つい笑顔になった

「了解」

メールはすぐ消去
もう少し頑張ろう

No.418 10/08/01 18:57
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私の気にし過ぎなのか、
実際そうなのか

中野さんがイケメンの話をしなくなった

夫婦の会話自体が減っているので、たまたまなのかもしれないけど

その事をイケメンに伝えると
「気にしすぎでしょ、
たまたまだよ」
と軽い調子で返信が着た


近頃は中野さんの隣で寝ているのが苦痛になってきた

なかなか寝付けない
中野さんが寝返りをうつ度ヒヤッとする

暗闇にため息をつく
マッキーに会いたくなった

【何やってんだよ(怒)、
リリア】
涙が出てきた
マッキーに叱って欲しい

でももう何処にもマッキーはいない

さらに涙が出てきた

No.419 10/08/01 19:07
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

隣で泣いてる私に気付いた中野さんが、布団に入ってきた

身体に触られたくなかった嫌悪感

嫌な言葉
でもまさにそうだった

抱き締められた
我慢したが身体は強張っていた

「抱いていい?」
身体をピクリとも動かせず否定も肯定もしなかった

涙はいつの間にか止まっていた

「抱いていい?」
何度聞かれても、答えはNOだったが声に出せなかった

あんなに大好きだった
中野さんの胸の中が、
こんなに恐怖の場に変わるなんて

「ごめんなさい、もう…」耐えられず伝えた
その先の言葉は続けれらなかった

「そう」
中野さんは意図も簡単に
布団に戻った

No.420 10/08/01 19:17
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

タイミング悪く、翌朝
イケメンからメールが着た
「どーよ?」
「もう無理」
「マジか~じゃとりあえず呑むか。それまで頑張ろう」

週末、呑む約束をした
その日から、夫婦の寝室は別々に

私は子供たちの寝室へと
逃げ出した

中野さんも子供たちも
何も言わなかった

イケメンに心配してもらっていても、私はずっとマコの事を考えていた


もう2週間マコと会って
ない
他にイイ人出来たかな?
私の事はどうでもいいの
かな?

自分から連絡すればいいのに、意固地に連絡を待っていた

会いたいって言って
欲しかった

No.421 10/08/01 19:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

イケメンは、行きつけの
バーに連れて行ってくれた
やっぱりビールで乾杯
ツマミはシーザーサラダとチョリソとサクサクポテト

緊張もドキドキもなかった
昔から一緒に呑んでるからか、マコの存在があるからか

気兼ねなく過ごせる

「禁煙はどう?」
「20本から5本に減った」
「いやいや~0本じゃ
なきゃ意味ないでしょ」
「5本ってスゴイ事なんだぞ、誉めよう。誉めて伸ばそう(笑)」

呑んでる最中も確かに煙草は吸ってなかった

「あると吸っちゃうから、持ってきてない」

私は煙草を吸わないから、禁煙の辛さの実際を
知らない

でも仕事柄、肺疾患の患者さんと話をする機会もある

痛みは薬で散らせるけど、咳や呼吸苦はどうしようもない

肺疾患で酷くなると、
慢性的に溺れているような苦しさが続くと聞いてから、親しい友人には禁煙を
勧めている

No.422 10/08/01 19:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私は禁煙を勧めているだけで、あとは本人次第だ

「早く焼き肉行きたい」
「5本で良しとしない?」「しない(笑)」
「だよね~もう少し待ってて」


イケメンは禁煙出来ない
気がした

自然とマコとイケメンを
比べてる自分がいる

付き合い短いのにマコの
優勢は変わらない
それくらいマコの存在は
私の中で絶対だった


「で?」
「…で?」
「もう離婚か?」

あぁ、その話をするために呑んでるんだった

寝室を別にしたこと
夫婦の会話がないこと
嫌悪感を抱く事を話した


「結婚って怖いなぁ~」
独身に話す内容ではない
かも

「でももう頑張らなくてもいいんじゃね!?
多分、頑張れば頑張るほど相手の事嫌いになるだろうし」

確かにそうかもしれない

No.423 10/08/01 19:59
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「皆で呑んでる頃、楽しかったなぁ。もうあの頃には戻れないのか」
イケメンがボソッと呟いた

水野さんとイケメンと
中野さんと池田君

過去の楽しい頃には戻れ
ない
人生はそんな想いの繰り返しなのかもしれない


中学生の頃の純愛
高校の頃の仲良し7人組
中野さんと付き合い始め
新婚の時

その時はいつも幸せの絶頂だった

人間は、というか
私は、ワガママだ

壊してばかりで、
何一つ守れない


「やっぱり我慢して家庭を守るべきなんだよね。
中野さんから逃げ出す事
しか考えられない私は最低だよね」

つい本音が出た

No.424 10/08/01 20:20
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「それって良く妻子持ちが嘆いてるぞ。嫁から逃げたいって(笑)」

ビールを一飲みしてから
続けた
「でもそんな度胸も勇気もないから人生家と会社の
往復だって」

酒が入ったイケメンは饒舌になった
「中野さんは誰よりも先に家に帰るし、浮気はしないし、ギャンブルも暴力も勿論ない。理想の旦那でしょうが~」

「知ってる」
「でも、しょうがない事もあるのか~結婚こえぇ…」

私も自分で自分が
分からない

ただ1つ言えるのは
中野さんを愛していない

子供のために、それでも
家庭を維持していかなくてはいけないと頭では分かってる

でもそんな生活に意味あるのかな?
自分の人生は一回キリ

でも他の人に迷惑かけて
まで貫いた先に幸せがあるとも思えない

宙ぶらりんのまま帰宅した

No.425 10/08/01 20:32
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「会いたい」
イケメンと呑んだ数日後
マコからメールが着た

「いつ?」
すぐ返信する

「今日」
今日!?こんな誘いは初めてだった
頭をふる回転させて、
夜出掛けられるように
段取りを模索した

今日は水曜日だ
子供を実家に預けることも、呑みに行くとも言えない

でもマコに会いたい
声を聞きたいから必死に
考えた

でも
なにも言い訳が思い付かなかった

会いたいのに会えない
想いは募るばかり

恋してる自分に酔っていた

No.426 10/08/01 22:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

毎週末、続けて出掛ける事になったが気にせずマコと会う約束をした

子供は実家にお願いした

中野さんは何も言わない
誰と?と聞かれなかったので言わなかった


いつもの様に駅で待ち合わせして、どこかの駅で降りて行き当たりばったりの店に入った

居酒屋を新規開拓する
マコとはそれをモットーに呑み歩いていた

だからチェーン店は避けて個人経営の店を選んだ

マコはすぐ店内の人と打ち解ける
無邪気な人柄のせいだろう
私も人見知りはしない
だから隣にいて居心地が
良かった

お酒も美味しかった
2人きりじゃなくても、
楽しかった

No.427 10/08/01 22:27
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ほろ酔いでお腹もいっぱいになった頃店を出ると
大抵、終電間近だった

「最近連絡くれなかったね~」
酔いに任せて素直に伝えた

「近藤から厳しいチェック入るから(笑)本当は毎日でも会いたい」
マコは真っ直ぐ目を見て
話す

ニカッて笑うと綺麗な並びの歯が白く光る

あぁ、
やっぱり大好きだ

中野さんが待ってる家に
帰りたくない

「呑み足りない!」
帰りたくないとは言えな
かった

「えっ」
「呑み足りない…」
目を見れない、俯いた
汲み取って欲しかった

「リリア…」

No.428 10/08/01 22:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「もう終電来るよ、俺は
タクシーで帰れる距離
だけど、リリアは電車乗らないと」
「分かってる」

テコでも動かない私に
マコは困った顔をした

「リリア、今日は帰りなさい。俺はもう帰るよ」
丁度乗り換え駅だったので、マコは違う線路になる隣の駅に歩き出した

後ろ姿を見送った
マコは一度も振り返らないまま姿が見えなくなった

私、何やってんだろう
皆に迷惑かけてんなぁ

それでも足は改札口に向かわなかった



「ば~か」
聞きなれた声が頭の上からした

「素直に帰りなさい」
呆れた顔のマコがいた
嬉しくて抱きついた

No.429 10/08/01 23:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

抱きついても私の顔は
マコの心臓の位置
ヒールのサンダル履いて
いてもだ

「終電行っちゃったよ」
「知ってる」
23時42分が終電だった

でも私は知っていた
私の最寄り駅より2つ前の駅が終点の最終が24時10分にある事を


戻ってきてくれた事が
嬉しかった
人目を気にせず、キスを
した
年甲斐もなく
マコも答えてくれた


もう、好きって事を伝えたかった
色んなしがらみがあるけどそんなのちょっと置いといて夢中でキスをした


「バカタレ、誰に見られてるか分からないぞ」
「そんなの知らない」

遠慮なく抱きついた

No.430 10/08/01 23:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコが財布から1万円を出して渡してきた
「タクシー代」

もしかしたら足りないかもともう1万円を出そうとしたので、手前までの終電がある事を正直に伝えた


携帯で時間を確認したマコは、キスをしてきた
「リリアのバカ」

でも笑顔だった
「帰したくなくなるから、ちゃんと帰りなさい」

今度は素直に最終に乗り込んだ
タクシー代は受け取らなかった

マコは本当に終電逃した
ので、1駅分歩いて帰ったと後で聞いた

2つ手前の駅で下ろされ、タクシーで帰宅
最寄り駅より2000円タクシー代が掛かったが、得たものも大きかった

中野さんには会わずに布団に入れたのも嬉しかった

No.432 10/08/02 13:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

月曜日、昼休憩の時間に
近藤君と近くのファミレスでランチをした

クーちゃんも誘ったけど、近藤君の判断で2人での
会食になった

お互いに言いたい事は沢山あるのに何から伝えていいか分からなかった

他愛のない話ばかりして
いても、ラチがあかない

私から切り出した

「マコが好きなの」
「…」

近藤君は目を伏せた
「昨日マコから連絡きました。好きって、リリアさん大切な家庭があるじゃないですか」


幾分怒ってるようだった
それは私達に対してなのか自分自身に対してなのか


「俺に何て言って欲しいですか?」
「マコの幸せの為に、私はどうしたらいいか教えて
欲しい」

終始困り果てた顔をしていたが、一瞬綻んだ

「あいつのために離れて
下さいって言ったら、もう会わない?」
「それがマコのためなら」
嘘だった
建前は何とでも言える

No.433 10/08/02 19:03
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

でも本気でそう思う自分もいた
まだ引き返せる段階なのかもしれないと


しばしの沈黙の後、
近藤君は長く息を吐いた

「マコはイイ奴です」
「知ってます」
「アイツをよろしくお願いします」

「えっ?」
「あとは当事者同士で。
もう外野がヤイヤイ言ってもしょうがないでしょう」

「大人同士、自己責任と言うことで…」
「それはもう呆れ果てた、軽蔑するって感じ?」


そりゃそうだと思ってた

3人も子供いるお母さんが年下男に浮かれてる姿なんて、独身の男の子にしてみたら軽蔑の対象だろう

No.434 10/08/02 19:18
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「クーと良く話すんです。4人でダブルデートしたら、絶対に楽しいって」

クーちゃんの優しい笑顔が思い浮かんだ

「でもリリアさんは既婚者だし、迂闊には誘えない」

「これからは自己責任でお願いします。
無責任ですが、マコは親友です。リリアさんが自分で考えて行動して下さい」


「結果、マコが立ち直れなくなってもリリアさんを
怨みませんし軽蔑する事も決してないです。
逆にリリアさんがどうなっても…」

近藤君はその先言葉を
濁した
言わせるまでもない

「私は人のせいにして生きる事はしないよ。自己責任の覚悟はいつもあるよ」

私は私の人生いつも振り返るけど、後悔はしない

きっとやった事よりも
やらなかった事を後悔する性格なんだと思う

No.435 10/08/02 22:15
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その日の夜にマコにメールした
「会いたい」

すぐに返信は着た
「俺は会いたくない」

「意地悪」
「(-。-)y-~」

「煙草吸わないくせに」
「( ̄^ ̄)」

「いつ呑めるの?」
「呑みならいつでも」

メールしてるのが
もどかしい
電話出来ればいいのに


携帯をいじっていても、
中野さんは何も言わなくなった

「おはよう」
「おやすみ」
そんな会話しかしてない

No.436 10/08/02 22:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

携帯はセキュリティロックしてある

暗証番号はマコの誕生日
だから家族には解除できない

ロックしてあるのを知った中野さんはどう思ったんだろう

まさか中野さんに隠し事をするようになるなんて…


出会った相手が悪かった
マコを失うことは考えられない

1年先の事はわからない
相手なのは重々承知してる

途中まれに止まるけど、
歯車は確実に狂った方向に動き始めていた

中野さんも敢えて話し合いの場を設けてこない
それがまた私を苛立たせた

怒ればいいのに…
出て行けって怒鳴ればいいのに…

優しい中野さんは、私と
喧嘩することが出来ない

喧嘩するほど仲が良い
昔の人はうまく例えたなと思う

喧嘩できたら、
お互い言いたい事言えたら何かが違ったのかな

No.437 10/08/02 22:43
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

こんな生活をしていたら、子供達にも変化が現れた


花子が夜中に突然40度近い高熱を出した
熱でうなされている花子に「大丈夫だよ、すぐ下がるからね、ツライね」

優しく声を掛けて寝かしつけた


でも心の中ではひたすら
謝っていた
「ごめんね、浮かれてるママのせいだ」

一番小さい花子なりに何かを敏感に察していたの
だろう

弱めの解熱剤が効き、翌朝にはケロッとして元気に
幼稚園に行った

でもしばらくマコの事は
考えないように過ごし
母であることを優先した

太郎と次郎は小学生だ
もっと敏感に感じてるんだと思う

No.438 10/08/02 23:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

妙に聞き分けがいい

お手伝いを進んでやって
くれたり、私に気を使ってる素振りを時折見せる

私の変化を見破ってるんだろう、パパにはいつも通りに接してるし

ママがいなくなるかも

その恐怖心からママに嫌われないよう振る舞う事を
身に付けさせてしまったとしたら、
私は子供達にとんでもない傷を負わせてしまっている


でも夫婦仲は戻れない

仮面夫婦でいても、一緒に暮らす子供は不仲を感じて過ごすことになるだろう

子供のために…
答えはどこに?

子供のために離婚しない
子供のために私は出ていく

私は子供を理由にしたくはない
子供のために…は親のエゴだと思うから

No.439 10/08/03 18:03
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

しばらくは自粛して、マコともイケメンとも会わずに過ごした

彼等とはメールだけで繋がっていた


暇にしてると神様は意地悪な出会いを設ける
それも絶妙なタイミングで

大型ショッピングモールで子供達とサーティワンの
アイスを食べていたら
突然声を掛けられた


「えっ?
…もしかしてリリア?」

振り返ると40歳前くらいの女性が驚いた顔で立って
いた

あっ!!
見知った顔だった

思い出せない
でも絶対に知ってる
どこで会ってるんだろう
確信がない

「ごめんなさい、名前が出てこないです」
正直に謝ると

「リリア私の名前知ってたっけ?」
とケラケラ笑った

No.440 10/08/03 18:20
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「ごめんなさい、えっと」
降参して正体を証してもらった
「マリの姉ちゃんです」


あぁ!!
10年以上会っていなかったけど、確かにお姉さんだった
「ごめんなさい」
謝ってばかりだ。雰囲気が少し違ってたから、咄嗟に分からなかった

「リリアは変わらないなぁ、相変わらず童顔だ」
やっぱりケラケラ笑ってた

「高橋さんは元気ですか?華ちゃんは?マリは?」
再会が嬉しくて質問攻めに

お姉さんも、
「リリアの子供達?可愛いねぇ」
と興味津々


会話は止めどない
別れが惜しかった
メアドを交換してもらって呑む約束をした

No.441 10/08/03 23:10
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

去り際、お姉さんが
「リリア、私の名前は杏子だよ。またね~」


不思議な縁で、この日から杏子さんは私の一番の理解者となった


行動派の杏子さんは、
驚く事に次の日うちに遊びに来て、夕飯を一緒に食べた

我が家に来客なんて、
いつぶりだろう

できる限りの力をフルに
発揮して、細かいとこまで掃除して、手の凝った料理で、もてなした


豚の角煮や棒々鶏なんて
久しぶりに作った
筑前煮の味付けは不安だったが、まぁまぁな仕上がりに

料理は楽しいって思い出させてくれた杏子さんに感謝

中野さんは珍しくビールを呑んでいた
朗らかに笑ってる姿も
久しぶりのような気がする

杏子さんは我が家に笑顔を届けてくれた

「中野さん、土曜日リリア借りるね。今度は私がもてなすわ~」
「どうぞ遠慮なく」

という運びで、土曜日は
杏子さんと飲みが決定した

No.442 10/08/03 23:28
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

杏子さんは、マコの家とは逆方向に住んでいた

最寄り駅から逆方向の電車に乗るのは違和感があった

そして一回乗り換えて、やっと着いた
住所は隣県になる


これまた渋い居酒屋
半地下にあたる店で、階段を降りて店内に

若い店員が多く活気があり混んでいた
今度マコと来ようと密かに思った


ツマミは杏子さんにおまかせしてビールを注文

ピリ辛牛煮込みは絶品
お代わりしたくらい美味


お酒が進んだ理由として、美味しいツマミの他に
ぶっちゃけた告白があった

旦那さんの高橋さんとは
離婚の方向で話し合いが
なされていると言う

しかも2人いる娘は、親が親権を取り合っているため離婚が進まないらしい


あんなにマッキーと羨んだ夫婦も壊れかけているなんて…

No.443 10/08/03 23:41
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

離婚の原因は、はっきり
しなかった

「15年も一緒にいるとね、お互いに我慢していた事が爆発するようになるのよ。私は家政婦じゃないっつーの」

なんかわかる気がした
夫婦も所詮、他人なのだから


「マリは?元気?」
「年子で女の子産んで、
幸せな顔してヒーヒー言ってる」

そっか、幸せなんだ
嬉しくなった

でも旦那さんはテツじゃないんだろうな
敢えて聞かなかった


でもそこには相談できない杏子さんの気持ちが痛いほど分かった


ぶっちゃけて話してくれた杏子さんに
私も今まで誰にも言えなかった悩みを打ち明けた

No.444 10/08/04 00:05
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリアはどうしたい?」話を一通り聞き終えた
杏子さんに質問された

マコやイケメンの存在も
中野さんとの不仲も話した

「リリアが今、自分がどうしたいかじゃない?
先の事なんて、誰にも分からないよ」


今…

今はただマコに会いたい
マコと一緒に居たい

「じゃあ会いたい時に会えばいいじゃん?
向こうも既婚と付き合う
ならそれなりの覚悟で来るでしょう!?」

強力な援護を味方にした

No.445 10/08/04 13:46
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「実はさ…」

ケラケラ笑ってた時とは
180度変わって真剣な
それも悲しそう顔で
話始めた

「好きな奴がいて、
もうかれこれ2年かなぁ」

「えっ?」
「そいつ独身だから、子連れはNGって。私だけならいつでも受け止めるって。 私も子供は手離せないし、いつまでも平行線。
でも好きなんだよね…」
「えっ…」
「旦那とはもう3年家庭内別居中、セックスなんて 最後にいつやったか思い出せないよ」

私が口を挟む隙がない
「杏子さんどうするの?」「好きでない人と一緒に 暮らしてるとドンドン相手の事嫌いになるよ。
終いには帰ってこなければいいのにって。
そんな自分がドンドン嫌いになるし…」

No.446 10/08/04 13:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その気持ちは分かる

中野さんが出張だったり、会議で遅くなるとホッとする時がある

一緒にいると息が詰まる
「私は旦那が帰ってきて、子供達が寝ると家を出てそいつのアパートで過ごす」
「高橋さんは何も言わないの?」
「友達のとこって言ってるし、それ以上は聞いてこないよ」

中野さんが帰宅したらマコの元へ… そんな二重生活、私には 耐えられない
この2年で杏子さんの何かが壊れて麻痺しちゃったんだろうな

でも離婚してないから、 子供のためにはいいのかな?

決してそうは思えないけど

No.447 10/08/04 21:13
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

杏子さんはスタイルも良く綺麗に年を重ねていた

その人のおかげなんだろう
女は恋をしていると綺麗になれる

皮肉なもんだ
家庭を一番大切にしている女性は、女より母として
輝く。あくまでも母だ

母と女はお互いに対極
少しでも女が優位に立つと母としてはマイナス要素となる

母を生き甲斐として持つ
女性は、自分の事より家族優先で自己犠牲の精神が強い人だと思う


男はどちらを求めるんだろう
きっと嫁には母を
でも男としては女を
求めるんだろうな

杏子さんと呑んで、そんな事を考えていた

No.448 10/08/04 21:30
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「マコと呑みたい」
杏子さんがニヤリと笑った

「なんで!?」
「リリアの男の好みは、
私と似てる(笑)
マリはテツを選んだけど、マッキーの方がイイ男だったし」

「中野さんもパパとしては文句ない。うちの旦那タイプだし。
でもきっとマコは男として文句ない気がする(笑)」
「勝手な判断だよ~」

「会わせられないん?」

いや、マコだったら自信
持って会わせられる

「今呼びなよ、来てくれるかもよ。したら終電気に
せず呑めるよ」

No.449 10/08/04 21:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

杏子さんってこんなタイプだったっけ?


きっとO型なんだろうと
勝手に決めつけていたら、A型だった

驚いた

お酒も入っていたし、
最近会えてないし、
促されるままマコにメールしてみた

携帯で時間を見たら
22時48分だった
「今電話できる?」

返信が来るまでやたら緊張した

確かにそろそろ帰りを気にしないといけない時間だ


しばらくすると、マコに
設定してある着信が鳴った
杏子さんが喜びの声を
上げた

No.450 10/08/04 21:55
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「なんかあった?」

突然電話を求めるなんて
初めての事だ
心配そうな声が嬉しかった

簡単に今の状態を説明して、会えるか聞いてみた
アルコールの力を借りて、ずいぶん図々しいお願いだ

夜とはいえ、マコの家からここまでは高速を使っても1時間はかかる
決して近い距離ではない

正直、杏子さんにマコを
紹介するのは今度だなと
思ってた


でもマコは
「いいけど、1時間は
かかる。待てる?」

杏子さんと一緒に
はしゃいで喜んだ

「やっぱりマコはイイ奴
だろう~」
なぜか杏子さんが威張った
それが可笑しくてさらに
笑いあった

No.451 10/08/04 22:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

それからの1時間は
良く覚えてないほどあっという間だった

実質1時間経ってないと
思う


店内に入ってきたマコを
見つけて杏子さんは
「でかっ」

とケラケラ笑った
「そんなにでかくて
どうするのよ~」

「なんだ?この失礼な酔っ払いは」
マコは私の隣に座って、
店員に烏龍茶を注文した

「わざわざありがとう」
「いえいえ、ゴチになります」

「リリア、リリア」
杏子さんに手招きでトイレに呼ばれた

「自由な人だなぁ、行ってきな」
マコをテーブルに残して
トイレに

「リリア、今日はうちに
泊まりな。電話貸して」
携帯を取り上げると、テキパキと電話を掛けた


「遅くにすみません、
杏子です。
リリアともう少し語り合いたいので、今夜うちに
泊めますね。
明日の朝には帰します。
え?
はい、分かりました。
じゃあ替わります~?
はい、おやすみなさ~い」

No.452 10/08/04 22:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「あとはリリア次第」

返された携帯のリダイヤルを見たら、電話の相手は
中野さんだった

「朝はゆっくり寝かせて
やってくれってよ、優しい旦那だねぇ」

中野さんはいつも優しい

杏子さんはそそくさと席に戻って、マコと話始めた
もう笑い声が聞こえる


トントン拍子で怖い
酔いが一気に冷めた

迎えに来てくれたマコに
感謝の気持ちを伝えたい

覚悟は決まっていた


杏子さんとの再会は
私にとって
プラスだったのか
マイナスだったのか


テーブルに戻って、
焼酎と烏龍茶で乾杯

「敬語はやめてよ、イラッとくる(笑)」
「だってしょうがないじゃないっすか、実際年上だし」

敬語で話すマコはなんだかくすぐったい
またわざと敬語で話してるようだ

「ムカツクんですけど~
リリアもマコより年上
じゃん」
「リリアはいいんです、
姉さん(笑)」
マコが私の肩を抱いて、
側に引き寄せた


「姉さんってあんた!!
ってかくっつき過ぎ(笑)」
そんな調子で初対面は
楽しく終わった

No.453 10/08/04 23:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

3人でマコの車に
乗り込んだ

「運転手さん、その交差点左でお願いします」
後部座席から杏子さんが
ナビをする

「歩いて帰ればダイエットになりますよ~」
「ひどい!!リリアに歩いて帰れなんて!!(笑)」

「リリアは降ろしません」「いいから次の信号右ね」
杏子さんの家は閑静な住宅地にある一軒家で、周りは静まり返っていた

どの家ももう眠っているんだろう
車のドアの開け閉めが響く

一緒に降りようとしたら、2人に怒られた

車から降りて杏子さんに
お礼言おうと思っただけなのに

マコと杏子さんはどうやら気が合いそうだ

「マコ、リリアよろしくね~おやすみ」
「おやすみなさい」
「また呑みましょね~」

走り出すまで杏子さんは
手を振ってくれていた

「面白い人だ」
「無理して明るく振る舞ってるとこもあるけど…」

時々ふと寂しそうな表情を見せた
特に帰る家に近づいてきた時は明らかにテンションが下がった

そこが杏子さんの現実だ

No.454 10/08/05 00:27
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

2人っきりでどんな会話をしたのか覚えてない

でも肘置きの上で手は絡めていた
マコの運転は穏やかで
居心地が良く、ウトウト
しそうだった


「寝るなよ」
「意地悪」
「誰が~?」


「来てくれてありがとうね、本当に嬉しかった」
「俺は高いよ」
「身体で払うよ」

売り言葉に買い言葉で
冗談がさらりと出てきた


でもその冗談はここでは
通用しない
そんな雰囲気だった

「今日は本当に払って
貰うよ」
「…」

私は卑怯だ
ギリギリまで躊躇した

沈黙が長ければ長いほど、余程の覚悟の上だと相手に思い知らせてしまう

相手を思うなら、軽いノリで了承するべきだった

No.455 10/08/05 10:16
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

車は黙ってホテルの駐車場に

さすがに土曜の夜だけ
あって、車がいっぱいだ


駐車場空いてなければ…


そんな臆病風にも吹かれたが、マコは結構強運の持ち主で、大抵一台くらい空きがある


今日もそうだった
難なく駐車しエンジンを
止めた


絡ませてた手を引っ張られ抱き締められた
強い力だった

抵抗する気なんてないのに

こうして車の中で抱き締められたのは、半年以上も前の事だ

また一緒にいられるなんて

マコの胸の中はやっぱり
居心地が良かった

匂いも肌の感じも、筋肉も私が求めていたもの
離したくない

強く抱き締めた

でも泣きそうだった

No.456 10/08/05 10:39
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

優しく顔を近づけてきた
マコの唇にキスをした


優しく触れたらすぐ離れるその繰り返しのキス
合間に目を合わせて
お互いに、はにかむ


「もっと一緒にいたい」
素直に想いを伝えた

鞄を持って車を降り
マコの背中に隠れるようについて行った

この手が繋がってる限り、怖いものはなかった
広い大きな背中

フロントでキーを貰い
エレベーターに乗り込む
緊張する

「緊張するね」
マコに肩を抱かれた
「マコも緊張するの?」

「うそ」
ニカッと笑った自信に満ちた顔に不安が吹き飛んだ


部屋に入った時は緊張してなかった
今日はゆっくり眠れそう
そんな気持ちでいた

鞄を床に落として
マコに抱き付き激しくキスを求めた

No.457 10/08/06 12:33
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

一旦離れたマコはベットに横になった

「おいで」
掛け布団を持ち上げて呼んでいる

跳ねるように隣に入り、
抱き付いてキスをした


無邪気に抱き合った
足を絡めあった
髪をなであった

キスはずっとしていた


「もう我慢できひん」
マコはベットの中で器用に服を脱いだ

「リリア、服脱いで」
「えっ?」
「甘えないで自分で脱いで」
「(笑)」

マコは時々こういう所が
ある
自分の事は自分で
優しいんだか、面倒くさがりなんだか

脱いでる姿を見て興奮したのか、結局待てずに
手伝ってきた

下着姿で抱き合う
人肌は暖かい

「俺の上に寝て。重さを
感じたい」厚い胸板を枕にして完全に乗っかった

ムギュと抱き締められた
「人の重さっていいよね、落ち着く」
「重くない?」
「全然、むしろ心地好くて寝れそう」
「うそつき」
「うそ(笑)」

No.458 10/08/06 12:52
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

お互いの下着を脱がせて
全裸に
そのままマコに股がった

筋肉質で日焼けしている
身体はセクシーだった
ゾクゾクした

下になってるマコは、私を見上げてる
「なに?」
「素敵な身体だね」

「ありがと」
起き上がったマコに優しく横に寝かされて、立場逆転

今度は私が横になりマコを見上げる
覆い被さってキスされ、
その唇が首筋から鎖骨へ下がった

手は身体中を撫でている

マコが愛しくて、ゴアゴアの茶髪を優しく撫でた
ライオンのタテガミのような髪質


「リリア反応しすぎ」
「しょーがない」
「もう我慢できひん」

仰向けに寝そべった
大の字に寝るとベットの
殆んどが埋まる
手足が長い

再度股がり、してもらった様に唇から首筋、鎖骨へと愛撫していった

No.459 10/08/21 23:04
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「リリアやらしい(笑)」

鎖骨から首筋を這って
左の耳を優しく舌で愛撫
する

ポイント、ポイントで
マコの身体がビクッと反応したが、敢えてそのポイントはスルーした


「ねぇ…?」
「ん?」
ムギュと抱き締められた

「いいの?」
「ん?」
「後悔しない?」

正直、ずっと頭の片隅に
家族が浮かんでいた
気付かないフリをしていた

でも家に帰るという選択肢は私の中には無かった
この胸の中の罪悪感は一生のし掛かる


それでもマコと一緒に居たかった
マコに触れていたかった

会えなかった半年で、
想いは膨らんでしまって
いた

「後悔するようなHなら
したくないなぁ」
惚けて明るく言う

またキスを重ねた

No.460 10/08/21 23:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

なんだろう…

全然どこも似てないのに、マッキーを思い出させる

無意識なムード作りか
会話のニュアンスか
存在感か?

明確な答えは導き出せな
かったけど、とにかく
居心地のイイ室内だった
安らぐ時間だった


「後悔なんかさせるわけ
ないだろう」
意地悪に笑う

そこからはお互いへの
愛撫の時間となった
初めて身体を重ねてるから相手の感じる所を探す
まずそこから入った

「痛くない?」
イチイチ聞いてくれる

3人も子供を産んでる女にまるで初めての子を刺激
しているかのように、
優しく尋ねてくれた

「痛くない?聞いてるんですけど(笑)」
「意地悪」
「気持ちいいの?」


優しく動き回ってるマコの手を私の身体から離した
「気持ち良すぎ(怒)」
「濡れすぎ(笑)」

またしても意地悪に微笑む

No.461 10/08/21 23:39
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

お返しに私が動いて
口で優しく刺激を与える

血管が異様に浮き出ていたとこを親指の腹で刺激
すると
「うぉっ」
と声がした

親指をその箇所から離して、握って擦る

一つ一つマコの性感帯を
探る
見つけた性感帯は今日は
敢えて刺激しない
それからも舌を這わせたり緩急つけて両手を動かしたりと情報収集に余念がない


しばらく口で刺激してるとマコがギブアップした
「もう無理~、出すよ」

その後すぐ大量に口の中で、射精

沢山のティッシュが手渡されたのでその中に口の中の物を出した

No.462 10/08/22 00:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「苦くない?冷蔵庫に飲み物あるかも」

促されるように冷蔵庫を
開けるとフリードリンクとしてミネラルウォーターと烏龍茶が入ってた

烏龍茶を開けて一口飲む
「飲む?」
ベットに持って行くと、
ペットボトルを取り上げられ、またギュと抱き締められた


「年上の貫禄(笑)落ち着いてるね~」
マコは私より2つ若い
年下の男に随分振り回されている

マコの胸に顔を埋めて
いるとお尻の方からまた
愛撫が始まった

「こっちは落ち着いてないじゃん」
マコに触れているだけで、私の身体は潤う

「入れていい?」
ニカッて笑った顔が大好きで質問には答えずキスを
した


答えを待たず、私の腰を
掴んで移動させ
下半身同士をあてがう

ついさっきイッたばかりなのにもう回復していた

No.463 10/08/22 00:22
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私がマコの上に股がった
まま、腰を落としていった

実際、久しぶりの愛のあるセックス

その存在感は絶大だった

「大丈夫?痛くない?」
「全然!!大丈夫?
緩くない?」
「全然問題ない、入れてるだけで気持ちいいよ」

嘘でも嬉しい
幸せだった

好きな人と繋がれる
その事がこんなに
気持ちいいなんて忘れてた

さらにマコが愛しい
揺さぶられる振動で、
声も跳ねる

マコが上になり、
覆い被さりキスしてから
「気持ちいいね」と
無邪気に笑った顔を見て、

もうこの人とは離れられ
ないと直感で思った
ひどく激しいのに優しい
セックス

二回目の最後は私のお腹の上に放出された

No.464 10/08/22 00:53
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

裸のまま、横になった

「朝もう1回ね」
「バカ(笑)」
「こっちおいで、くっついて寝よ」

マコの目は半分閉じていた

あれだけ激しく動いたら、そりゃ疲れるよ

「もう寝ましょ」
マコの頭を抱き締めて、
髪を撫でていたら
寝息が聞こえてきた

でっかい猫が眠った

マコが眠りやすいよう
離れて、枕を直してから
私も眠りについた

マコの左手に両手を絡めてしばし眠った

その頃にはもう家族の顔は浮かんでいなかった

No.465 10/08/22 06:47
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ふと違和感を感じて
目を開けたら
「おはよ」

目の前にマコがいた
そうか…一緒に泊まったんだっけ

「おはよ」
喉がカラカラに渇いてた
温くなった烏龍茶で潤した

じっと見守っていたマコが動いて私に近付いた
横向きで見つめあう
顔が近い

身体はもっと近い
エアコンの利きすぎてる
室内でマコの身体は程好く温かい

「夢みたい」
目覚めたら目の前に好きな人がいるなんて

両手でマコの顔を包み、
そっとキスをした
一晩で数えられないくらいキスをした

それでも飽きない

「お風呂入ろう、そろそろお湯も溜まった」
「いつの間に」
「リリアがグースカ寝てる間に(笑)」

手をひかれバスルームへ

No.466 10/08/23 17:57
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

バスルームの椅子に腰掛け威張ってる後ろ姿が
憎らしくも、愛しくもあり

髪の毛を洗ってあげることにした

「美容師以外に洗ってもらった事ないよ」
「嫁も?」
「元嫁だけどね、ないよ」

たっぷりシャワーで髪を
濡らした後、手のひらで
シャンプーを馴染ませ

満遍なく頭に塗ってから、左の揉み上げから
洗い始めた

生え際を右に移動して、
右の揉み上げへ

「痛くない?」
「頭を洗ってもらうって
気持ちいいね、丁度いいよ」

結構力を入れて、指先の腹で洗っていく

「痒いところは?」
「てっぺんの方」
言われたところ付近を
広い範囲で洗う

こういう事がやってて
楽しい
だから、相手にも喜ばれる

マコも流し終わったら
ご満悦だった

リンスの後、
そのままスポンジで身体も洗った
普通の人より面積が広い
泡が途中でなくなり、
付け足して洗う

結構な重労働(笑)

No.467 10/08/24 23:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

泡を残さないよう
しっかり流す

お返しに洗ってくれるって言うので辞退して
湯船に入るようリードした

根が素直なので、そのまま湯船へ

ザパーンと豪快にお湯が
溢れた
「ちょい温めだけど
キモチイイ」

マコがジャグジーを作動
させたり付属のボタンで
照明の色を変えたりしているうちに、髪を洗い終えた


ふとマコを見ると、お湯の中で手首をバタバタして
いる

「何してるの?」
「手首の筋トレ。シュートするとき安定するんだ」
オールバックのマコが、
ニヒッと笑った

「こっちおいで。背中洗っちゃるから」
椅子を浴槽近くまで運び、背中だけ洗ってもらった


「華奢な背中だなぁ」
と言いながら、優しく丁寧に洗ってくれる

「背中洗ってもらうって
気持ちいいね」
「だろ。御返し」

流してから、湯船に入り
向かい合わせに座った
確かにちょい温め

マコの長い足が、私の両耳サイドにある

No.468 10/08/28 13:47
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

浴槽で向かい合ったまま
色んな話をした

マコの離婚
私の夫婦の不仲
バスケの話
仕事の話

元々ぬるま湯だったが、
話しているうちにさらに
温くなった
「おいで」
手を引っ張られ、マコの
胸にもたれる
顔を上げると顎のラインが近い
肩に顔を乗せ、話の続きを促した

近藤君とクーちゃんの事
美味しいパスタ屋の話
お薦めの日本酒がある店



話題が尽きない
ホテルでおしゃべりする
余裕のある男は女にとって好印象だ

「続きはベットで聞くよ。風邪引いちゃう」
マコが立ち上がると、一気にお湯の量が減った

No.469 10/08/28 14:21
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

『俺らは何で知り合って~

なぜこの関係になって~

気がつけば今日も一緒さ』

有線からラップが流れて
いた
KREVAだ


本当にそう思う
何でこんな関係に…

もっと祝福される関係で
出会いたかった
やましさを感じることなく堂々と

一緒にいるのに
裸で抱き合っているのに
こんなに大好きなのに
悲しくなった


所詮不倫だから

No.470 10/08/29 16:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

そんな事を考えていたら、
「リリアは離婚しない方がいいぞ。子供いるんだし」
「えっ?」

私の定位置、マコの胸の上から慌ててマコの顔を見上げた

マコは宙を見ながら続けた

「離婚するとなると大変だよ、思っている以上に。
相手も傷つけるし、自分だって無傷じゃいられない」
マコの真意が分からない
1回やれたから、もう私は用無しってこと?

幻滅させた?
何でそんな事を言うの?

立て続けに言葉を吐いた
こんなに感情を露にしたことなんて今までなかった

「リリアの為を思ってだよ」
「それがホントに私の為?」

目を合わせてくれない
マコに股がる
強引に顔をこちらに向け、もう一度同じ質問をした

「ホントに私の為?」

No.471 10/08/29 17:09
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「俺のとこに来いとでも
言って欲しいの?」

真っ直ぐ目を見て言われてしまった

もし、早い段階でマコに
そう言われていたら、私は身体を許してなかった

何を舐めた事を言ってるんだと冷めていたかも
そんなこと出来る訳ないでしょ…と

女はそこら辺は妙に
シビアだ

「離婚するしないはウチの問題だから…」
「まぁね」


「んで、いつまで俺に乗っかってんの?
入れちゃうよ?(笑)」

マコの真面目な顔も
おちゃらけた所も、全部を独り占めしたい


先の約束なんて出来ない
これからなんて誰にも分からない


出会っちゃったんだから
しょうがない
だから今を楽しむ
人生1回なんだから

「入れちゃう?逆でしょ!入れて下さいは?」
見下ろしながら意地悪に
微笑んだ

「入れて下さい」
「良くできました」
チェックアウトの時間
ギリギリまで裸で
抱き合った

No.472 10/08/29 17:25
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

ホテルを出て、
車に乗り込んだ

罪悪感は全くなかった
中野さんに対しても、
子供に対しても

ただこの関係がバレた時にマコに迷惑が掛かる
それだけが心配だった


「一緒にラーメン食べる
時間ある?」
バックから携帯を出し、
家族からの着信を確認するもメールも電話も入ってなかった

「お昼にラーメン食べて
帰ります」
中野さんにメールすると
「了解」
とすぐ返信があった

「ラーメン食べていこ」
そう伝えると、
マコがニカッと笑った

「サッパリ系?こってり系?どっちがいい?」
「んーどっちも捨てがたい。マコのお薦めは?」

「どっちも旨い」
しばらく考えていた

「こってりの店はリリアの家から遠くなるから、
サッパリにしよう」
と言うわけで佐野ラーメンに決まった

No.473 10/08/29 17:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんは食に対しての
興味は薄く、食べ歩きを
趣味としない

だから美味しいお店は全く知らない


マコのエスコートが新鮮でどんどんハマってしまったのだと思う

実際、県道沿いの
佐野ラーメン屋は、白い麺で魚介出汁でアッサリで
でも美味だった


大盛りの2種類のラーメンを頼み、各々味見をしたが殆んどマコが平らげた

いい食べっぷり

私は全然食べてないって
理由でお勘定はマコが支払った

今まで食べたラーメンの中で一番私好みの味だった


「ごちそう様」
「殆んど俺食べたし(笑)
次回はこってりに連れて
行くよ。そっちもまた違うけど旨いよ」

次回はいつになるんだろう

約束が出来ない…

No.474 10/08/29 17:57
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

家が近付くにつれて、車内は無言になった

否応なしに現実が
あからさまになる

昼間だったので、最寄り駅ではなく人影のない路地で降ろしてもらった

降りる前に私から抱き付きキスした
ギュッと抱き締められた

その瞬間幸せだった

家に帰ってからを思うと
気持ちが落ちたが、乗り越える力をもらった

いつまでも先伸ばしにしてもしょうがない
最後にキスして車から降りた

「また」
「またね」

走り去る車を見送ってからタクシーを呼んだ

独りになって急に心細く
なった
マコの温もりを知ってしまったから、独りだと不安に

タクシーに乗っているのにマコに会いたかった
さっきまで一緒にいたのに

寂しくて涙が出そうだった

でもタクシーは無情にも
家の前に着いた

No.475 10/08/29 21:34
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

深呼吸してドアを開ける

ガチャ
鍵が閉まっていた

キーを取り出し家の中に
入るもそこは無人

シーンとした室内
ソファーに鞄を置き、一息つくとメールが着た

杏子さんからだった
「昨日はどうだった?近々報告しにきなさいよ♪」

「近いうち必ず行きます」と返信
また一つため息をつく

マコからじゃなくて
ガッカリした自分がいた


お湯を沸かしてコーヒーを入れた
ボーッとしてるとホテル
での事を考えてしまうので新聞を読み誤魔化した


ふと時計を見ると2時
玄関が騒がしくなった

父子のお帰りだ
玄関で出迎える

「おかえりなさい。どこ
行ってきたの?」
「ファミレスでご飯と
パフェ食べてきた!」
代表して太郎が答えてくれた

「その後公園で遊んだの。私はチョコパフェ」
花子が捕捉してくれて、

「ラーメン美味しかった?」
次郎に質問された


さっきまでの静けさが嘘のような賑わい

「サッパリで美味しかったから、今度一緒に行こうね」
ワーイと騒ぎながら、皆
洗面所へ
うがいのコーラスが聞こえてきた

No.476 10/08/29 21:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

マコと別れてから、1人になる時間があったので
気持ちにも十分余裕が
生まれた

中野さんに対しても、
平常心でいつも通りに
接した

「子供達ありがとう」
「いいえ。どこのラーメン屋に行ったの?」

佐野ラーメン屋の説明を
した
誰と行ったのか聞かれ
なかったから、敢えて
言わなかった

「そんなところに美味しいラーメン屋あったんだ~」それ以上会話を続けずに
ダイニングを出た

ダメだ
息が詰まる


どうしよう…
こんな生活私に続けられるとは思えない

No.477 10/08/31 13:43
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

その日の晩だとあからさまになると思い、
数日経った平日の夜
中野さんと話し合いを
設けた


子供が寝てから、向かい 合って家族会議を始めた
「この前も話したけど…」私が話始めると、
中野さんは立ち上がり棚から封筒を取り出した

私の目の前にサラリと
落とす

中から紙を取り出すと、 緑のラインが鮮明な離婚届だった
婚姻届は茶色のラインだったと関係ない事を
思い出した



ハッと
中野さんの顔を見ると
「役所も日常なんだろうな、簡単にくれたよ」

「離婚するの?」
「リリアはそうしたいん だろ」

「子供は手離せない…」 「勝手にしろ」


私達は最後を迎えようと していてもケンカに
ならない


もっと夫婦喧嘩をしたかったな…
中野さんの本心を知りたかったな…

ボールペンで妻の欄に記入していく

手渡すと、隣の夫の欄に
記入していた

呆気ない…

No.478 10/08/31 13:51
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

記入し終わり、また封筒に締まったのを見届けてから

「一晩色々考えてみて」 と伝えると

「何も考えることはない」の一言だった

子供達の事
お金の事
これからの住まい
両家の親の事

離婚に関していくらでも 考えなきゃいけないのに…

そのまま中野さんは寝室へ

あまりにも呆気なく、
緊張の糸が切れた


子供達の寝顔を見てたら
しばらく寝付けず、これからを色々想像してみた


家庭は壊さず、うまく遊ぶのが正解なのか

離婚して子供達に傷を負わせて、そこに私の幸せは
あるのかしら


どこをどう考えても袋小路に辿り着く


どんどん目が冴えてきた
仲良し5人家族に戻れるのか

中野さんと中野の父と母に子育てを任せる事まで考えた

子供がいない生活
想像しただけで涙が出そうだった

No.479 10/09/06 00:07
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

翌日から仮面夫婦の生活が始まった

気持ちはすれ違い
夫婦生活のない
パパとママでしかない男女

やっぱり全然楽しくない
単純に計算しても、
あと50年は共に過ごす


ここで頑張って修復してもきっと1年後、3年後に
同じような状態になる可能性だって決して低くない


中野さんはどう考えてるんだろう
想いを飲み込んでしまう
優しい性格が、こういう時もどかしく苛々してしまう

やっぱり離婚の二文字が
私の中でブレる事は
無かった

No.480 10/09/06 20:37
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

アリバイを駆使してマコとのデートを重ねた

中野さんが仕事から
帰宅すると、入れ替えで
家を出て

マコとラーメンを食べに
行ったり
カラオケで歌ったり
ちょっとドライブした


数時間会えるだけで満足
だった

夜出掛けるといつも、
11時30分~12時位に
「おやすみ」と中野さんからメールが入った

それを確認してから家に
帰るように
完全にすれ違うよう生活をしていた

多少の寝不足も気にならなかった


「2人でゆっくりしたいね」
メール中、つい本音が出た
「既婚者の癖に、何言ってんだか~」

マコは私に離婚を迫りは
しない
むしろ子供のために離婚
するなと言う

その事で何度もケンカをし実際、別れ話にもなった

私はマコの連絡先を全て
消去した
本当に終わりだと、涙が
止まらなくなった日もある

No.481 10/09/06 20:53
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

それでも、何事もなかったように
「会いたい」
ってメールが来ると、
懲りずにアドレスを登録
してしまう


そして会うとやっぱり
大好きなんだ、別れる事は出来ないと思い知る事に



ある日、中野さんが離婚届を破った
証人二名が決まらず、書いたもの提出していなかった

ビリビリ破りながら
「離婚はしない」
と言い切った

「こんなすれ違いの生活を続けると?」
「何と言われようと離婚はしない」

中野さんの無表情が
怖かった
何処を見ているか分からない虚ろな目が、部屋の温度を一度下げた気がした

私は中野さんの何かを奪い確実に何かを壊してしまった


「分かりました、もう寝ます」
そこには居られなかった

逃げるように子供部屋に
向かい、花子の手を握って眠りについた

No.482 10/09/14 19:44
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

明けない夜はない

どんなことがあっても
朝はやってくる

とうとう寝付けないまま
朝を迎えた
目覚ましが鳴る前に、オフにして布団から出た


するとメールが入った
携帯がバイブしている

「おはよ」
マコからの他愛のない
メールに背中を押され身体を動かす

私の原動力はマコの存在
現実から逃げててもしょうがない

次いつ会えるかわからないけど、いつかは会える

普段通りの日常を送るため、深呼吸して子供部屋を
出た

No.483 10/09/14 20:10
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

キッチンで朝食の準備を
していると、中野さんが
起きてきた

「おはよう」
「おはよ」
目を合わせられない


すぐに太郎が起きてきたので、張り詰めてた空気が
なんとか和らいだ

子供たちの前では普通を
装う
会話も多く、笑顔もあった
作り物だったけど


中野さんと子供たちを送り出したらドッと疲れた


そしたらまたメール
「最近どう?」
イケメンからだった

タイミングがいいんだか
悪いんだか…
泣き笑いの絵文字で返信
すると、
「今日俺休み~」
と返ってきた


偶然にも私の勤務は午前中のみで午後は休み
仕事終わりにランチの約束した

玄関を出る時、気分的に
足が軽やかだった
こんな生活、必ず罰が当たるだろう

自分に酔っていた
なるようになれと半ば自棄にもなっていた

戻れない性格の自分を
恨んだ
何をどうすれば良かったのか、どの分岐点での決断が決定打だったのか、

振り返ってみても
分からない

けど中野家は確実に崩壊していった…

No.484 10/09/14 21:06
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

12時に仕事が終わり、待ち合わせの大型ショッピングモール駐車場へ急いだ

イケメンはすぐ見付かった「何?この車は!?」
「親の車(笑)」

「ビビりすぎなの~」
「ムリムリ(笑)」

イケメンは敢えて親に車を借りてきたようだ

確かに日中誰かに見られていても不思議ではない

でもイケメンとの関係は やましくないから、私は 堂々としていられる

イケメンにはマコの事を 話していないので良心が 傷んだ

次、呑む機会があったら ちゃんと打ち明けよう

「で?どこ行くの?」
「月島でお好み焼きか~ 銀座でラーメンか~
築地で丼?」
素敵な3択
「築地で丼!!」 「了解」
トラック運転手のイケメンはびっくりするくらい
安全運転


車内で最近の我が家の様子を伝えた
黙って聞いていてくれたが時々溜め息をついていた 「中野さんは職場では何にも変化ないよ。
いつも通り。まさかそんなに家の中病んでるとは…子供らが可哀想だな…」

胸の中心に一撃を受けた 子供

忘れたふり、気付かないふりをして自分の行いから わざと遠ざけて、逃げていた

子供の存在

No.485 10/09/14 21:10
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

「胸が痛い」
「離婚かぁ…。
太郎と次郎は俺が引き取って立派なバレー選手にしてやるから(笑)」


「もれなく花子も付きますけど!」
「女の子はムリ(笑)」

ふと、再婚するなら 子供の事を知ってる人が 安心だなと思ってしまった

離婚もしてないのに
でもイケメンはまずない
あまりにも中野さんに近すぎる


マコには子供達を会わせていない
むしろ今まで会わせる気がなかった

でもいつかちゃんと紹介 出来る日が来ればいいなと思った
現実的には有り得ないと
わかっていても

No.486 10/09/14 21:41
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

築地は近かった
2人でブラブラ探索して、店を決めた

全てがカウンターの様な
横列びで、ラーメン・そば・寿司・丼と多様な店が並んでいた

海鮮丼の店に座り
マグロの頬肉ステーキ丼とねぎまぐろ丼を注文
どちらもビックリするくらい美味しかった

昔の私なら、中野さんを
連れて来てあげたいって
思ったのに、
今はマコの顔しか思い浮かばない

もうダメなんだと思い知る

お土産に有名な玉子焼きを買った
知名度代か、高い

「今日はありがとう、いい気分転換になった」
素直にお礼を伝えた

「いつでもメールくれればいいのに、水臭いなぁ~」
イケメンとは一生付き合っていきたい
男女間の友情を信じて
マコの事を打ち明けてみよう

「今度焼き肉で」
「来月には禁煙成功してるはず」
「はいはい(笑)」
「また俺を信用してないな~褒めて伸ばそ。やる気にさせよ(笑)」

No.487 10/09/15 22:48
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

イケメンやマコと楽しい
時間を過ごしてしまうと、気持ちは中野さんから
さらに離れてしまう


悪循環


アルバムを開いても、
楽しい思い出を頭の中で
思い返してみても、

中野さんの笑顔が浮かんでも

冷めてる自分がいる
中野さんに優しく出来ない
思いやりをもてない

確かに大好きになって
結婚して、幸せな結婚生活を送っていた筈なのに…

その頃の気持ちを思い出せない

No.488 10/09/16 00:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

離婚をしないと言ってから中野さんは毎日呑んで
帰ってくるようになった


ある夜、お風呂に入るため脱衣所に向かうと
玄関が開く音がした


気にせず服を脱ぎ始めたら中野さんが扉を開け
脱衣所に入ってきた

また今日も飲んできた、
作業服がヤニ臭い


脱ぐのを止めて一歩退いて洗面所前を空けた
手を洗ってウガイが終わるのを待つつもりだった


でも中野さんは私の方へ
向かってきて強引に抱き付いた

Tシャツはすでに脱いで
いて前を隠してるだけの
状態だったから、ブラジャーはすぐに外された

必死に抵抗した

でも両腕でしっかり抱き締められているため身動き
取れない

首筋にあたる中野さんの
髭が嫌悪感を一層強くした

舌が首筋を這ったときは、鳥肌が立った

身体全体で中野さんを拒否していた


強引にスカートが捲られ、下着の中に手を入れられそうになった時は涙が出てきた

抵抗することを止めたら、中野さんは私から離れて
何も言わず脱衣所を出て
行った…

No.489 10/09/17 13:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

虚脱感に襲われ、しばらく動けなかった
涙は止まってる

男の人の力が怖かった

本気を出されたら、いくら抵抗しても敵わないことを思い知った

それよりそこまで
追い詰めてしまっていた
必死に抵抗され、中野さんはさらに傷付いただろう

潮時なのかもしれない


性的DVを受けていた友人がいる
彼女は旦那の借金と暴力を理由に離婚を訴えていたが、正式に離婚が成立するまで1年を要した

その間、旦那は彼女を押し倒しては一方的に性生活を強要していた
彼女の嫌がってる顔を見ると良心が痛むのか、必ず
彼女の顔には枕が
押し付けられていたと言う

ふと思い出してしまった
彼女は今、良い縁があり
再婚して幸せに暮らしている


中野さんとセックスをしたくない
私もきっと嫌がってる顔を見せてしまう

旦那とも、浮気相手とも
セックスが出来る女性は
凄いと思う
セックスはその時1番
好きな人とだけやりたい


今の私はマコしか
考えられない

マコに会いたい…

No.490 10/10/01 13:58
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

翌日、中野さんは荷物を
まとめて実家に帰った

「頭冷やしてくるわ
このままじゃ、おかしく
なる」

着るものとバイクのみ
持って出て行った


当然その日の夜に中野の親から私に電話があった

どうしたのよ?
あんなに仲良かったじゃ
ない?
何が不満なの?

矢継ぎ早に質問されたが、ただただ謝った
一切、何も言わずに

ただ私がワガママで…
本当にスミマセン…と


結局不完全燃焼のまま
電話は切れた


疲れた


子供たちに何て説明
しよう

No.491 10/10/21 23:08
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

中野さんが出て行き、
子供たちには仕事で帰って来れないと伝えた

出張に行くと5日間帰らないこともあったので、
その嘘は難なく通った

でも子供は敏感だ
4日目に長男の太郎が
「パパ電話くれないね、
お仕事忙しいのかな?」
と寂しそうな顔をした


「そうね、後で電話して
みようね」
子供にとって世界でたった一人の父親

胸が苦しくなった
子供に申し訳ない気持ちでいっぱいになった

大人の嘘は無垢な子供を
残酷に傷付ける


子供の目を盗んで中野さんにメールをした
【寂しがってるから、電話してあげて】と

数分後、家の電話が鳴り
次郎が出た
「パパだよ!」
残りの2人も駆け寄り、
受話器を奪い取っている

キャッキャ言ってる子供達を複雑な思いで見つめた


溜め息を何回ついた事か、それでもまだ迷っていた

どうするべきかハッキリ
分かっていたのに、決めかねていた

No.492 10/10/21 23:26
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

別居して1週間が過ぎた
マコにもその旨を伝え、
しばらく会えないと謝った
たった一言
「そうか」と返事が着た

我が家の別居をどう捉えたのか、直接会って聞いてみたかった

嬉しいの?
重い?
迷惑なの?
ホッとしてる?

メールじゃ表情を汲み取れない
その答えが本音か建前か
わからない
そんな曖昧な答えは
いらない
だからそれ以上返信は
しなかった

中野さんもマコもいない、それからの数日は
子供がいても孤独感が
まとわりついていた

半月経った頃、別居してから初めて中野さんから
メールが着た

「明日話がある。子供が寝た頃帰るから」

私も決意した
全ては明日

最後になるか、
新たなスタートになるかは中野さん次第

10年弱連れ添った夫婦
最後の決意の方向が一緒でありますように

その日の夜は、やはり
寝付けなかった

No.493 10/10/22 00:02
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

次の日、22時過ぎに
中野さんは帰ってきた

湯呑みに熱めの緑茶を注ぎ2つダイニングテーブルに置いた
「ありがとう」
向かいに腰掛け、中野さんの次の声を待った

「どんなことがあっても、やっぱり離婚はしない。 そう簡単に離婚は出来ない」
「そうね、私もそう思います。」
それは紛れもない本心
だった

「そうか。それは良かった」
「でも以前の生活ように 戻れるかは不安です」
「焦らず待つよ。」
中野さんはいつも優しい

それは昔から変わらない こんなに器の大きい人、 2人といないかもしれない
でも私の中の感情は、
一歩引いて冷めていた

二兎追う者は一兔も得ず 片方選んだら、片方失う事を意味する
数日散々泣き腫らした

自分の中で整理をつけた 最後までマコはマコだった「リリアの生き方を応援 してる。リリアがそう決めたのなら、仕方無い」

誰よりも愛していた
もっと早く出会いたかった
むしろ出会わなければ
良かった

マコの存在を知らなければこんなに苦しい思いしなくて済んだ

マコに会ってしまうと 話せない
別居を伝えた2日後にもう会えませんとメールで伝えていた…

No.494 10/10/25 23:42
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

数日間、走馬灯のように
マコと一緒に過ごした時間が駆け巡った

普通の主婦だった私が
1人の女に戻れた貴重な
時間
誰にも言えない、
墓場まで持っていく覚悟の淡い恋の話


最初の別れはマコから
だった
その時は余りにも突然で、目の前が真っ暗で何にも
考えられなかった

でも縁があって
数ヵ月後寄りが戻った

でも今回は
私から別れを告げた

常々
「リリアが別れたいって
言ったらしょうがない。
身を引くよ」
とマコから言われていた

バツイチだけど独身で
長身で愛嬌のあるマコならすぐ彼女はできるだろう

何も3人の子持ちを相手にしなくても…

でも離れることは
出来なかった
マコを失いたくなかった

No.495 10/11/14 22:38
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

でも私の身勝手で
3人の子供たちの存在や
権利、自由を蔑ろにする事はできない

いつかは終わりの来る
年甲斐のない淡い恋
その別れがほんの少し
早まっただけ


マコに
オンブしてもらいたかった
お姫様抱っこしてもらいたかった

佐野ラーメンにもう一度
行こうって約束も
果たしてない

バスケの試合の応援にも
行けなかった

未練だらけ


でもこれからは中野さんに頑張ってもらおう

間に小さいの3人挟んで

3人が巣立った後も、2人で手を繋いで散歩できる
そんな夫婦を目指して


神前で誓った約束
寄り道したけど、
戻れるかな

No.496 10/11/15 07:29
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

近藤君とくーチャンを呼び出して、今までの経緯を
話した

2人とも神妙な顔つきで
聞いていた

敢えて明るく、
「結局ダブルデートできなかったね。ゴメン」
と、くーチャンに伝えた

「リリアさんは大丈夫なの?」
「母は強し!!失恋したからって寝込めない(笑)」
涙が出そうになったけど、グッと堪えた


「マコの事は任せて下さい。もうリリアさんに付き纏わないよう強く言っておきます」
近藤君も両肩が落ちている

「ゴメンね~家庭壊さず
マコと付き合うなんて芸当出来なかった…」

「いや、それが正解だと思います。
俺結婚してないからわからないけど、結婚ってそんな簡単なものじゃないような気がします。リリアさんは既婚者なんですから」


重々しい雰囲気のまま解散

仕事は辞めよう
近藤君とくーチャンと一緒に働いてたから嫌でもマコを思い出す

家庭に戻ると決めた
中途半端は良くない

翌日、一身上の都合により退職しますと届けと共に
事務長に伝えた…

No.497 10/11/16 13:40
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

『殴るより殴られる男
破るより守り抜く男の
辛さを知ること…』

レゲイの歌詞だけど
まさに中野さんの強さだなと思う

夫婦はこうして大なり小なり峠を越えて、年老いて
いくのだろう

中野さんと正面から向かい合うにはまだ時間が掛かる

それでも中野さんは待っているだろう

どれだけ彼は悩み、自分を責め、心に傷をおったかなんて当事者の私には想像もつかない



私は職とマコを失った

でもそれだけで済んで
良かったと、いつの日か
笑って話せる日が来るだろうか…

30代、40代、50代
いつまでも女でいることは失いたくない

No.499 10/11/27 14:23
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

私達夫婦は、引越しをする事にした
共通の何かをやり遂げないと歩み寄ることは難しい

子供達も大きくなる
転校させるとしても早い
うちがいい
目標があると自然な会話も増える

中野さんの職場からは離れるが、通えない程ではない所に広めの中古の一戸建ても見つかった
ここから離れた方がいい

様々な思い出がありすぎる

新天地で家族5人再出発
子供達は庭で飼う犬選びで忙しい
時には喧嘩もしているが、3人で空想の話で盛り上がっている

隣で中野さんは爪を切っている
それを私は台所から眺めている

ごく当たり前の普通の家族幸せな風景

来月にはこのマンションをこの土地を去る

バイバイ、マコ
大好きだったよ…

夢のような時間を
ありがとう…

   ~~完~~

No.500 10/11/27 14:35
リリア ( 20代 ♀ hSC01 )

✨✨✨お礼✨✨✨

とうとう500を踏みました
ツタナイ文章と、
どうでもいい内容と
ごちゃまぜで満レスなので大層読みづらかったと
思います😞

最後間延びしてしまって、スミマセンでした⤵⤵


フラフラ生きてきたリリアいかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたら
幸いです😄


読み返してみると、書き直したいとこも多く…
(特に最初の方💦)

根気よく最後までお付き合い下さった皆様、ありがとうございましたm(__)m

とても貴重な経験をさせていただきました✨

続きはありません💦
また機会がありましたら
皆様の前にお目見えしたいです💡

本当にありがとうございましたm(__)m

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