注目の話題: 婚活する時の服装; どういう印象なのか？; 男性に質問です!

大笑いしたいメンバー専用仲間スレ12

No.173　18/08/06 12:15
自由人8 ( ♂ ) あ+あ-

「そうか」大男はそう言うとその場で横になり寝てしまった。
俺は彼女との事を勘違いされてとんでもない事になるんじゃないかと心配してたので安堵した。いや少しは下心があったと思う。
彼女は「ごめんなさいね」と一言言って朝御飯の支度をした。４〜5人の子供達が喧嘩しながらも賑やかな中で御馳走になった。
ふっと気がつくと縁側にお婆さんが座っていて、庭ではいつのまにかさっきの大男が釣りらしき仕掛けを作っていた。
俺は席を立って縁側に行くと、お婆さんが真っ直ぐ庭を見たままゆっくりとした口調で「ゆっくり出来たかぇ」と言ってきた。
俺が「はい」と答えると、また真っ直ぐ庭を見たまま優しい笑顔で微笑んだ。
俺は大男に話し掛けた「何の仕掛けを作ってるんですか？」「これか？これは今からフグを釣りに行くんじゃ」大男が答えた。
何故かとてもやってみたくなり「俺も連れて行って下さい！」そう頼むと大男は少し考えて何も答えなかった。
しかし、お婆さんが俺を見てうなずくと、俺は大男とお婆さんと一緒に船に乗っていた。
俺は大男の作った仕掛けでフグを１匹釣った。久しぶりに気持ちが晴れて達成感があった。俺は１匹釣ったところで船を降りて家に戻って帰る事にした。
すると途中まで彼女が送ってくれると言ってくれた。
歩いて街まで行く途中に橋があり、そこから街と海が見えた。川は橋から海まで500m程で高低差は急角度でまるでウォータースライダーの様な川で街はたいして見えない。
橋の上で彼女が立ち止まり話し始めた「あそこに見えるバーがあるでしょ」見ると川を下りきって海になる手前に川を横断する国道沿いにバーらしき店が見えて昼間から客引が立っていた。
「あの人はね（旦那）、あそこでベースを弾いてるの」「昔はあの店も凄く流行ってて人気だったけど、段々と客が少なくなってね」「お給料も殆ど貰えなくなったから一緒にやってた仲間はみんな辞めていっちゃったの」「それでもね、あの人は此処が好きだからって」「オーナーも何回も変わったのに、あの人だけは残ってる」「何度も裏切られ傷付いても、あそこにいるの」「過去の栄光にすがってるのか、諦めずにもう一度と思ってるのかわからないけどね」少し寂しそうにそう教えてくれた。
俺は何となく過去の栄光にすがっている訳では無く、もう一度と言う想いと単純にそこでベースを弾く事が好きなだけな気がした。

つづく

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