「女王の教室」から再びタッグを組む天海祐希と脚本家・遊川和彦の新ドラマ『偽装の夫婦』

目次

人当たりの良い人間嫌い

小さい頃から美しく、何でもできた嘉門ヒロ。彼女に向けられるのは賞賛と妬み嫉みの目だった。美しく成長した彼女は、優しい笑顔をたたえながら、心の中では周囲の人に悪態を吐く、立派な「人間嫌い」に。

父も母も逝去した世界で一人古いアパートに大好きな本にかこまれて静かに暮らす毎日に、ヒロは満足していた。「一人で生きて行く」と思っていた矢先、かつての恋人が現れる。人間嫌いのヒロが愛し、そして自分を捨てた元恋人、陽村超治は「なぜ自分を捨てたのか」と尋ねるヒロに自分がゲイであった事を打ち明ける。

ヒロと付き合ううちに自分がゲイである事に気付けた為、ヒロには感謝をしている事を伝える超治。その上でヒロに「自分と偽装夫婦になってほしい」と打ち明ける。超治の母はガンで余命宣告をされており、母を安心させたいのだという。身勝手な申し出を拒否するヒロだが、ヒロの身に不幸がふりかかり…。人間嫌いが「愛」とは何か、本当のパートナーとは何かを探す、「新しい形の夫婦」の物語。

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キャスト

嘉門ヒロ…天海祐希

陽村超治…沢村一樹

水森しおり…内田有紀

弟子丸保…工藤阿須加

名波八重子…坂井真紀

郷田天人…佐藤二朗

原すみれ…柴本幸

須藤利一…田中要次

郷田照乃…キムラ緑子

陽村華苗…富司純子

スタッフ

脚本…遊川和彦

音楽…平井真美子

チーフプロデューサー…伊藤響

プロデューサー…大平太・高明希・田上リサ

演出…深川栄洋・石尾純・日暮謙

女王の教室のコンビが再びタッグを組む

社会現象にもなった2005年放送の『女王の教室』。主演の天海祐希さんと脚本家の遊川和彦さんが再びタッグを組みます。前回の女王の教室も氷の心を持った女性でしたね。人間嫌いの底にあたたかい心が眠っていそうな本作の主人公はどのような物語を紡ぎ出すのでしょう。楽しみでなりません。

【ネタバレ】第一話

⚪︎⚪︎妻、女王の教室を彷彿とさせるヒロのキャラクター作り。それに家政婦のミタのような自分を抑制している女性の性格が出ていました。彼女は表面上、にこやかでおだやかな笑みを作り、相手の要求に応え、たまにあしらい、つつがなく世間を渡っていますが、彼女の心の声はまさに「毒づくし」。真の「人間嫌い」であるヒロの苦悩と、幼い頃のゴタゴタとした人間関係と機能不全家族の様子がコミカルに描かれていました。

冒頭でベストセラー絵本「百万回生きた猫」がヒロにより読まれていましたが、この絵本の世界観が若干このドラマに共通しているような印象を受け、ヒロの仮面が外れ、自由に生きるまでのサクセスストーリーなのかなと感じます。ヒロは今、いろいろな思いや過去の悲しい経験から心を閉ざし、自分で自分に呪いをかけてしまっていますが、その呪いを解いてくれる王子様は現れるのでしょうか。話中に「アナと雪の女王のエルサ」というワードが出てくる事も意味深。

なんといっても沢村一樹さんの「オネエ」がハマりすぎていて、もうこれは演技という事を忘れてしまいそうになります…! 必見です。それだけ演技力が素晴らしいという事なのですが、彼はどんな役でもこなしてしまう実力のある俳優さんなんですね。

また、彼のコミカルな調子と、冷徹でクールな天海祐希さんの演技が対照的で、「自分の呪いを解いたゲイvs自分の殻に閉じこもる氷の女王」という図が際立っており、メッセージ性がありました。

注目のオープニング

氷に閉ざされたヒロに、ヤカンのお湯をかける超治というオープニングですが、話を追うごとに氷がとけていきそうですね。

同性愛がテーマ?

バリバリのゲイとして描かれている超治。ドラマ終盤では彼に新しい恋の予感(男性)が訪れていましたし、ヒロとの口論のシーンは本当に「尻を叩くゲイ」そのもの。「しっかりしなさいよ!」と涙を浮かべて力説する彼とヒロの間にラブロマンスが生まれるような印象は今の所感じられないような雰囲気でしたが、この先どうなっていくのか期待ですね。

話の最後で、ヒロが女性から告白をされています。予告では超治が「付き合ってみなさいよ」と勧めている事を踏まえると、ヒロも女性との恋におちてゆくのでしょうか。ヒロに告白した女性は「超治が運営する幼稚園の園児の母親」というこれまた身近な存在で…。これから先どのように糸がからまっていくのか楽しみですね。

【ネタバレ】第二話

今回は人とのつながりがかなり強調された回だったように思います。前回でヒロに告白した女性しおりとその子供のユウ。しおりは夫にDVを受け、それから男性恐怖症に…。愛する相手は女性となり、レズビアンとなったそうです。そしてヒロに、魅力を感じたと打ち明けます。

昔から誤解されるけど、そうじゃないからね、わたし

天海さんが演じているからか、このセリフ、リアリティがあります。

その後、娘のユウが幼稚園でレズビアンの事を聞かれ、超治が「レズビアン」の事を園児に説明します。「個性だ」と伝える超治。自分の事も重ねて語っていたのでしょうか。園児にはまだ早い大人の世界の話ですが、確かにそういう人もいるだろうし、それでもその人と相手の間に流れている愛情は、ノンケもレズもゲイも変わらないのだろうなと感じるシーンでした。

その超治も前回ときめいたイケメン宅配員、弟子丸に近づこうと行動を始めます。ヒロも超治が弟子丸に惚れたなと気づいた様子。(しかし、その後その弟子丸は「世界を救いたい。正義の味方になりたい」とこぼします。弟子丸も面倒臭い人のようで、ヒロはげんなりしてしまいます。)

超治はヒロとの結婚を前に、ヒロの両親の墓前に手を合わせに行きます。「俺がゲイじゃなかったら、彼女と結婚するけれど、ごめんなさい。そのかわり親友でいさせてください。決してヒロを一人にしませんから」と誓う超治。ヒロはそんな事は信じないとバッサリ切り捨てる。

すると超治はヒロに「あんたは人を馬鹿にして面白がっているだけ」「ユウちゃんのお母さんの思いにもちゃんと答えないで逃げてばかり」と指摘します。「何が本気を出せば人を不幸にする、よ!」と叱咤します。

いっとくけどね、俺は愛するよ。キリスト教もイスラム教も仏教も無宗教もガキもジジイもババアもノンケもみんな愛して生きていくから

そう啖呵を切る超治。愛を全身で追い求めている人だなという印象を抱きました。愛を信じられないヒロと対照的な人物像ですね。

ヒロはその後、しおりに「家族にはなれません」ときっぱり返事を返します。きちんと向き合ったのです。それを見て感動する超治。

昔のヒロを取り戻したいと願う超治とヒロの関係はどのように進んでいくのか、そしてヒロは愛を信じる事ができるのか、次回が楽しみですね。

【ネタバレ】第三話

婚姻届を早く出して! と迫る母。勢いに流されるような形で婚姻届を出して本当の夫婦になってしまった超治とヒロですが、更に二人に披露宴をしてほしいと母は迫ります。「それはダメだ!」と必死になって止める超治。「披露宴をしないと親子の縁を切ります!」と母。二人は真剣に喧嘩をします。

板挟みになるヒロ。二人の喧嘩はガキのケンカだな…と思うヒロ

意地を張る母とムキになる超治。なぜそんなに披露宴をしたくないのかと聞くヒロ。「お前にウエディングドレスを着させた時辛い思いをさせてしまっただろう? 2度もお前に辛い思いなんかさせられないよ」と答える超治。ヒロを思っての行動だったのですね。

披露宴当日。母の体調を気遣うヒロ。それになんだか不自然な答えを返す母…。

だけど招待していた弟子丸がこない。どうやら面倒ごとに巻き込まれている様子。披露宴をすっぽかす覚悟で弟子丸を助けに行く超治。それに加勢するヒロ。全てを解決した二人と弟子丸は急いで披露宴に向かい、つつがなく終えるのでした。

しかし、母から衝撃の告白。「私、健康なの! 病気じゃないの! ガンじゃないのよ〜…」「嘘ついてたの〜。仮病なのよあたし〜」

泣き出す母に「テメェ…なんて嘘つきやがるんだぁ」とヒロの心の声。来週…どうなるのでしょう。

【ネタバレ】第四話

超治の母の仮病発覚で、ヒロはなぜだか母から「共犯」扱いにされ、「ヒロさんって頭いいからチャチャッと片付けてくれるでしょ」とばかりに今後の作戦を丸投げされてしまいます。心の声の口がどんどん乱暴になっていくヒロ。その上、弟子丸がヒロの事が好きだと超治の前でヒロに告白し、弟子丸の事が好きな超治はもう大パニックと嫉妬の嵐。

なぜこんな時に色々な面倒ごとが舞い込んでくるのか。ほんの少し前に過ごしていた日常とは正反対のトラブル続きにヒロも精神的に参ってしまったのか、たまたま声をかけてきたレズビアンのしおりに、ついつい「友達の話なんだけど」と今回の事を相談していまうのでした。

そんな中、妊娠していると嘘をついていたヒロのお腹もそろそろ目立っていなければいけない時期にさしかかります。超治と二人、こっそりクッションを忍び込ませる事でカモフラージュをしていましたが、全てを知っているヒロは、この茶番がバカバカしく思えてきて、「もう正直に話そう」と超治にもちかけます。

しかし母が病気だと信じている超治は「お母ちゃんをがっかりさせるわけにはいかない」と譲らないし、子供ができていると信じている義母は赤ちゃんのお祝いを持ってくるしでヒロだけが疲れる毎日は続きます。

そんな中、ヒロの兄である天人が女性に騙されている事を知り、にっちもさっちも行かなくなったヒロは兄のマジックショーに忍び込みます。直前で女性に振られた兄がプールに入水自殺を図ろうとするのを寸前で助ける事に成功しました。

「ずっと思ってた。俺は男なのに、どうして取り柄がないんだろうって。…いつか魔法みたいに皆を驚かせて、幸せにしたい」

優しい点人の心を再確認したヒロは、なんとなくお節介になってきた自分の心に気づくのでした。

そしてついにヒロは義母にカミングアウト「私赤ちゃんできていません」。しかも赤ちゃんがいないのは超治も知らない事であり、自分が超治と結婚したいがためについた嘘であるとまで言ったのです。

それに驚く超治。しかし義母は烈火のごとく怒りだします。

「人にはね、ついていい嘘と悪い嘘があるの!!」

お前が言うな! というセリフを吐き、「しばらく会いません!」と怒って出て行った義母。「お互い様」と水に流してくれる事を期待していたヒロは、開いた口がふさがらず…。

次の日イライラしたまま仕事にいくと、しおりが「お友達はどうなりましたか」と訪ねてきます。そしてヒロの話を聞いて「そのお友達は偽装結婚の相手を好きになったのでは?」と言いだしました。固まるヒロ。その夜やけに傷心した超治がヒロに抱きつき愚痴り始めます。「弟子丸くんに告白しちゃった〜」それどころではないヒロに「甘えさせてよぉ〜親友でしょ」と言ってのけた超治。ヒロの中で何かが切れ「ちょっと、私に甘えんのやめてくんねぇかなぁぁぁ!」と心の声を表に出してしまうのでした。

ヒロの心は少しづつ溶け始めている様子。それにしても今回、超治役の沢村一樹さんがヒロ役の天海さんをチョイチョイ笑わかそうとしていましたね。

【ネタバレ】第五話

前回、弟子丸くんに告白してしまって逃げられた超治は、ヒロに「好きって言ったのはかわいい後輩としてだった」と弟子丸くんにとりなしてほしいと懇願します。

ヒロは嫌々ながらも無事その役目を終え、弟子丸くんとしおりを呼びホームパーティーを開催する事に。その席でしおりは自分がレズビアンである事を打ち明け、ヒロの事が好きだという事も公言しました。

そして「同性愛者をどう思いますか」と弟子丸くんに水を向けます。しかし「ちょっとイメージがわきませんね」とバッサリ。ショックを受ける超治。

続いて話題は超治とヒロのなれそめへ転じます。「はじめてヒロの事見た時、そこだけ輝いて見えたんだ。こいつだ、こいつなら俺の事わかってくれるって思った」そう話す超治。そして二人の別離の理由に話が進むと、突然インターフォンが鳴りました。そこにいたのはヒロのいとこである八重子がいました。

八重子は離婚の危機にさらされていました。そして夫にストーカーのような行為をしていて、その場面をヒロに見られてしまいます。「ヒロちゃんのようになりたかった。でもなれないから違う方向へ頑張った。ヒロちゃんみたいに綺麗にはなれないから、かわいいと思ってもらえるように。…こんな風になったのはヒロちゃんのせいだからね!」

そう叫びます。するとヒロは「私は八重ちゃんの事がずっと羨ましかった」そう打ち明けます。「小さい頃から自分は愛されるという事を本能的に知っていた八重ちゃんが、うらやましくて眩しくて。私はそんなに幸せじゃないよ」

そして二人は一緒に帰る事に。実は八重子が夫と話をつけに行くと決めた時、超治が八重子の子供を預かってあげていました。「何か困ったらいつでもおいで」そう子供達に笑いかける超治に、「やっぱりこの人が好きかもしれない」と気づくヒロ。

超治に告白しようと決意する。

もし受け入れられなくても、思いを伝えるという事は大切だと思ったと語るヒロ。そして、肝心な事を話す直前、突然超治が決意してしまいます。「俺、引かれても、弟子丸くんに告白する! ちゃんと素直な気持ち伝えてくる! どうせ振られても仕方ないよな、でも、ちゃんと伝える!」

ヒロの話に勇気がわいた超治は弟子丸の元へ行こうと家を出て行ってしまいます。…思いがけず超治の背中を押してしまったヒロ。上手くいきません…。

今回は素直な気持ちを伝える事の大切さがよく伝わる回でしたね。素直な気持ちを伝えなければ物事は動き出さないのかもしれませんが、ヒロは超治に好きだと伝えられるのでしょうか。

【ネタバレ】第六話

弟子丸に告白した超治。しっかり自分はゲイである事を伝え、そして弟子丸が好きだと伝えたのでした。そして弟子丸に返事はいつでもいいと言って逃げ帰ってしまいます。

それを聞いたヒロは、お母さんにも言ったらいいと伝えますが、なかなか言えない超治。そんな中、しおりの元旦那がもう一度やりなおしたいとしおりに伝えます。しかしそれを断った途端に逆上。ユウをさらってしまいます。

元旦那は弁護士であり、実家はかなりのお金持ちなようで、とりあえずユウは実家へ隔離されてしまいます。何度会いに行っても門前払いされてしまったしおり。ヒロと超治、弟子丸の力をかりてなんとかユウを奪還する事に成功しました。しかし、ヒロの実家にも超治がゲイである事がばれてしまいます。

そして弟子丸は超治に「友達から始めてください」と伝えます。「俺は超治さんが好きだけど同じくらいヒロさんが好きだから。もしヒロさんを泣かせたら、もう会いませんからね」と。結局弟子丸は前向きに超治の事を考える意向を示したのでした。

そして超治との離婚を決意したヒロ。「お母さんはガンではありません」と超治に告げます。「もうカミングアウトしてくれませんか」と話すヒロに驚く超治ですが、「今なら言っても大丈夫です。世界で二人だけの親子なんですから」との言葉に、決意した様子でした。

周りの事ばかり助けて肝心の自分が泣いてばかりのヒロ。切ないヒーローの恋の行方はどうなってしまうのでしょうか。次回必見ですね。

【ネタバレ】第七話

ゲイである事を打ち明けろと話すヒロに背中を押され、打ち明けようとした矢先、幼稚園から緊急の電話が超治にかかってきます。なんでも幼稚園の掲示板内に「超治がゲイ」という告発文が載せられたのです。緊急保護者会に駆り出される超治。ヒロも慌てて母に誤魔化すように働きかけます。

しかし、保護者会でゲイであるという事をカミングアウトした超治を、保護者たちは受け入れませんでした。「辞めろ」という声の中、駆け付けたヒロが「なんでこの人を信じてあげないの!? 子供達に迷惑をかけた? こいつの溢れるような愛をなんでわかってあげねーんだよ!」と心から叫びます。

しかし保護者には伝わらず、結局皆帰ってしまいました。

いつのまにか心の声が実際の声として表に出てしまうようになったヒロ。自分の気持ちと表面上の自分の温度差が徐々になくなっていっているようです。

そして、超治と超治の母、そしてヒロで食卓をかこみます。「一人ずつ、カミングアウトしていきましょう」と促すヒロのおかげで、超治の母の「ガンは嘘」という告白と、超治の「ゲイである」という告白を無事に済ませる事ができました。そしてヒロは静かに「超治さんが好きになってしまいました。身も心も愛して欲しいのです。…だからもう親友ではいられません」と別離の決意を述べたのでした。

しおりの店へ行き、一人で泣くヒロ。そんなヒロを撫でるしおりの娘ユウちゃん…。二人はどうなってしまうのでしょうか。切ない展開が続くヒロ。物語はどのような方向へ着地するのでしょうか。

【ネタバレ】第八話

今回はヒロと家族の確執が溶け、ヒロの心のかたくなな部分も溶けきった回でした。第一章終わりといった感じです。

しおりの膝で目をさますヒロ。ヒロは一晩中泣いて泣きつかれて寝てしまったのです。彼女は夢を見ます。それは母親が彼女を抱きしめて「もう大丈夫だからね」という夢。

彼女はこの声を聞くと安心して幸せな気持ちで目覚めることができる様子。この夢は何度も見ているヒロは、しおりに別れを告げると両親の墓前に手を合わせに行き、「またお母さんの夢を見たよ」と報告したのでした。

その時、墓の後ろから声が。天人が墓に隠れてヒロの母になりきっていました。「最近降霊術にハマっていて」という彼ですが「全然似てないよ」とヒロに突っ込まれる始末。

天人は「ヒロはきっと行く所がないだろうから、ここへくると思っていた」と打ち明けます。ずっとお墓の裏でヒロを待っていたのです。「小さいころみたいに、一緒に家へ帰ろうよ」とさそう天人。2人は手をつないで叔母の家へ帰りました。

叔母は八重子の子供2人に絵本を読んで聞かせています。「さすが八重子の子供だ。少し読んだらすぐ寝たよ」と話す叔母。そして自分も離婚を決めた事を話すのでした。

それに驚いたのはヒロでした。ヒロは「結婚がもたらしたものは何もない」と話す叔母に「ヤエちゃんとテンちゃんがいるでしょう」と問いかけますが、「ろくな大人にならなかった」と揶揄する叔母の言葉にブチ切れてしまいます。

心の声が炸裂するヒロ。「あんたは私がいなければよかったって…引き取りたくなかったって思っているんでしょう!」そう本音をぶちまけます。「ああ、そう思ってくれてかまわないね!」と、言葉を投げつけた叔母に絶句するヒロ。それを見かねた八重子と天人が、恐る恐る真実を話しだしました。

叔母が夜、眠れないと泣く八重子に絵本を読んでやっている時に、八重子はすぐに寝てしまったこと。だけどその後寝ている八重子に最後まで絵本を読んでやっていたのは、こっそり聞いているヒロに気がついていたからだと打ち明けた天人。ヒロは驚きを隠せません。

さらに、八重子と天人の手によって、叔母の背中の大やけどを見せられます。実はヒロの両親の死は事故ではなく、夫の浮気に発狂した母が自ら家に火をつけたからだったのです。寝ているヒロを助けたのは叔母その人。「もう大丈夫だからね」と声をかけてきてくれたのは、母ではなく叔母だったのです。ヒロはその事をおぼろげながら覚えており、それが何度も夢に出てきていたのだと気付きました。

こうして、不器用な叔母が本当はヒロの事を愛していた事に気づき、ヒロは人間嫌いをやめました。いままで気づかなくてごめんなさいと泣き、心の声を隠さずに生きると誓ったのです。

一方超治は廃人のようになっていました。部屋から一歩も出ずにずっとヒロの本を読んでいます。「世界中の人を幸せにしたいと思っていたのに、不幸にしてばかりだ」と嘆く超治。ヒロの真似をして薄ら笑いと心の声も手に入れていました。

そこにヒロがカツを入れます。「偽装結婚を了承したのも、あんただったからだよ! 心の声をやめて本音で生きようと思えたのもあんたのおかげだよ!」その言葉に超治は目を覚ましたようでした。

そして別れの時…。2人はある約束をします。「一年後、同じ時間に同じ場所で会おう」と。そしてもしその時に恋人がいたら、紹介し合おう。そう固く誓って2人は背を向け合うのでした。

これで話は1年後に飛びます。少しくたびれた超治と、服装が女性らしくなったヒロがまた同じ場所で出会う所から話が再開するのです。そして期待どおり、お互い恋人がいる状態だとわかり、次回はそのお披露目会となるようですが…。果たして弟子丸としおりは出てくるのでしょうか。

とりあえず、今回の話で物語の第一章が終わり、次からは後日談とまとめといった話の展開になりそうですね。8話でストーリーが1年後に飛ぶという展開は珍しい気がしますが、それ以上に2人の今後が気になって、ますます来週が楽しみな展開になっています。

【ネタバレ】第九話

7話・8話で感動し盛り上がったにも関わらず、9話でまさかの波紋…そんな回でした。

一年後、約束通りお互いの恋人を紹介しあうヒロと超治。案の定ヒロはしおりさんと。超治は弟子丸君と結ばれていました。ヒロはしおりさんといる時、口調が男っぽくなっていたり、パジャマが男性を意識したようなものだったり、また弟子丸君も超治の前では男っぽかったりと、キャラクターにも少しだけ変化が現れていました。

しかし、一年ぶりに同じテーブルを囲んだヒロカップルと超治カップル。それぞれのパートナーは恋人に不安を抱きます。「まだ好きなんじゃないの?」そんな問いかけをする2人に、そんなわけないと首をふる2人。

しかし、超治の母が本当に病気になり、母の願いで2人揃って母の住む富山へと向かいます。もちろんお互いのパートナーには2人で行くとは伝えていません。そしてその夜、たまたまダブルしか開いていなかったホテルの部屋で、超治が「もう一度、昔に戻れないか」と告白するのです。

「お互いにパートナーがいて幸せな今は良いんだけど、なんだかヒロと合ったら胸がザワザワするんだ。2人なら沢山の人を笑顔にできるはず」そう言う超治にちょっと待てとツッコミを入れた人も沢山いるのでは。ヒロと超治がどうなったのかは次回に持ち越されるという展開となりました。

まさかの超治の発言。「ゲイである超治がヒロと付き合う為」もしくは「愛とは必ずしも夫婦である必要はないというようなメッセージを伝える為」には仕方ないストーリー展開かもしれませんが、8話で丸く収まり、9話で超治とヒロは親友のままお互い幸せに暮らした後日談…という展開でも、充分幸せだと感じるのですが…。

もし2人がくっつくとしたら、しおりと弟子丸が可愛そう…。かといって全員がそれぞれ別れて違う道を行くというパターンはあまり見たくはありませんね…。さて次回はいよいよ最終回。どのような場所に着地するのか楽しみです。

【ネタバレ】第十話

良くも悪くも現実というものの残酷さをしらしめる最終回となりました。

やはりヒロと一緒でないと無理だと悟った超治は、ヒロに復縁を迫ります。しかし、ヒロは「それならお互いのパートナーと別れてから」と言い出し、その話は立ち消えに。

その後、ヒロは自分のこころの声を封印し、しおりと式を挙げることを決意します。ユウにも「パパになる」と約束し、館長の好意で図書館で式を挙げられることとなりました。

しかし、図書館で式の打ち合わせをしている時、超治と再び会い、やはり自分は超治と一緒に生きていきたいと感じます。

「こころの声をまた押し殺して生きて行きたくない。どんなに辛くても超治と生きていきたい」としおりに告げるヒロ。それにショックを受けたのは他でもないユウでした。

「ごめんね、私は超治と沢山の人を幸せにしたいの」と告げるヒロに、「ユウは幸せじゃない!」と正論をたたきつけるユウ

その場になぜかヒロの叔母と兄弟達、そして超治の母がビデオカメラを携えて現れ、「どう生きるかを決めるのは本人だけ」という言葉と「困ったときに助け合う家族のような人間関係がある」という事を教えます。ユウは泣く泣くヒロの事を許したのでした。

その後、弟子丸と別れた超治と、しおりと別れたヒロが一緒に暮らしますが、なかなか身体の関係がもてません。「ヒロを身も心も愛す」と言った手前、超治はヒロを愛そうと頑張ったようですが、結果は上手くいきませんでした。

やはり自分はゲイだから、女性を愛する事はできないと思い知った超治。しかし、ヒロは「それでも一緒にいたい」と強く宣言します。

「この世界中どこを探したって、私達と同じ夫婦はいないんだよ」「だったら皆と同じじゃなくてもいいじゃない」そう言って、2人なりの夫婦の形を創りだしたようです。

かなり衝撃的な最終回でした。全ての人が「ハッピーエンド」にはなれない。日向があれば日陰もあるという現実の公平さが浮き彫りになっていましたね。

人それぞれの愛のカタチがあるという事なのでしょうか。ヒロと超治はプラトニックな愛を育み、まさに「純愛」と呼べる関係を作ることを決意したようです。

しかし、エンディングの前に、後日談のようなVTRが流れていました。それは超治の母が動画サイトに「ゲイ」や「レズ」の人々にインタビューした動画を流しており、その中にヒロと超治が「再び結婚」してから一年後に受けたという設定のインタビューが入っているという内容でした。

インタビューに答えている2人は楽しそうで、未だ、プラトニックな純愛を継続していて、仲睦まじく生活している様子が伝わってきます。しかしヒロが話すには、どうやら超治は「ちょくちょく浮気」しているそう。それでも笑って許している彼女から愛の深さを感じます。

偽装の夫婦は視聴者に「問題提起」するような、濃い内容のドラマでしたね。次の水ドラも楽しみです。

視聴率

なんと全話二桁キープという安定した結果でした。

第一話・「人嫌い女がゲイと結婚!?」…14.7%

第二話・「花嫁になると決めた理由」…10.3%

第三話・「ついて良い嘘と悪い嘘」…11.3%

第四話・「親友に怒りの鉄拳!」…12.3%

第五話・「恐怖の四角関係パーティー」…11.4%

第六話・「今夜、私を抱いて…」…12.3%

第七話・「夫を奪われた妻」…11.0%

第八話・「驚愕の再会!変わり果てた夫に妻は…」…13.4%

第九話・「1年後の約束!新パートナーは誰?」…11.8%

第十話・「一生のパートナーと出逢えた奇跡」…12.8%

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