『あさが来た』(NHK連続テレビ小説) 大森美香脚本、江戸時代・幕末の激動の時代を明るく生き抜いたヒロインの物語 1話から最終回まで全話紹介
第一週「ちいさな許婚(いいなずけ)」
あさが成人し、設立した女子大で挨拶をするシーンから話は始まりました。そこから幼少期へ話は戻ります。彼女がどのように夢を叶えたのかを振り返る形式ですね
あさは近所でも評判のじゃじゃ馬娘で、姉のはつは親の期待に応えようと必死に頑張る良い子です。対照的な二人ですが、あさの方がストレスなく伸び伸び育っているようですね。はつは家の為にと必死に頑張り、たくさん我慢をしていうようでせつないです。
二人の生家は地元でも優秀な商家。その為、二人は将来許嫁が決められており、大阪の、現代でいう所の銀行を営む家へ嫁ぐという運命です。
あさの許嫁は飄々とした青年新次郎。周りを意に返さない性格は二人ともよく似ていますね。その点はつの許嫁の惣兵衛は、能面のような人で冷たい印象。はつはその点を物足りなく、なんだか怖く感じています。物語が進むにつれ、あさと新次郎は少しづつ距離を縮めていきますが、はつと兵衛衛はどうなるのか…。対照的な二人の姉妹が印象的ですが、二人とも幸せになってほしいと思いますね。二人の心の流れに目が離せません!
第二週「ふたつの花びら」
子供時代も終わり、子供から少女へ成長したあさとはつ。じゃじゃ馬なあさが新次郎に惹かれていく姿がかわいらしくうつりますね。新次郎から文が届き、「ラブレターだ」とはしゃぐ二人はとても仲の良い姉妹に育ったようです。あさは新次郎に手紙の返事を書くべく、文の勉強を始めます。そしてようやく書き上げた文に、あさははつの婚約相手惣兵衛の事を探ってもらえるように、新次郎へ頼む内容を書き含めました。それからパタリと新次郎の文が止まります。それと同時に彼が京都へ訪問する事もなくなり、「余計な事書いてしもたんやろか…」と気をもむあさ。
しかしなんてことありません。あさの字があまりにも汚かったので、手紙を見たお付き人が破って捨ててしまっていただけでした。汚い文をゴミ箱から拾った新次郎が面白がって繋げたところ、そこには「新次郎」「あさ」の文字が。「えらい事してもた…」そう言って青くなる新次郎は惣兵衛と食事の席を設けます。どうやら二人はもともとの知り合いのようですね。
惣兵衛は自分の事を道具だと思っている節があり、縁談には感情や愛情が必要ないと思っているようです。やかましい母親に言い含められ、何事も決められたせいなのか、自分の意思がないようです。
そんな折…新次郎が父親と共に、鎮痛な面持ちであさの元へ訪れました。「嫁入りの話を見送らせてもらえまへんやろか」そう言った新次郎の父に「どういうことや」と詰めよる父。よく聞けば新次郎の兄が身罷ってしまったため、日を延期したいという話だったようで。きっと視聴者全員「あさが婚約破棄される!!」と固唾を飲み、「なんだ、よかった」と胸をなでおろしたことでしょう…。
しかし、兄の死で新次郎の方には家を継ぐという重荷がのしかかってきましたね。
そして嫁入りに際しての姉妹の別れの言葉。いじわるな姑と能面のような夫の元へ行く姉はつに、付き人であり乳母でもあるうめをつけるようにと母とあさは父につめよります。はじめは何色を示していた父ですが、ついに折れ、うめははつの元へ着くことが決まりました。
しかし、はつはそれを覆し、「うめはあさの元へ」と願います。「自分は器用にやっていけるから。最後くらい姉らしいことをさせてください」そう言って微笑む姿が健気で胸をつかれました。
二人は悲しみをこらえ、嫁入りの儀を執り行います。仲の良い姉妹が別れを告げる場面はとても胸に染みるシーンでした。
来週はいよいよあさの嫁ぎ先での物語が始まりますね。どのような物語になるのか、楽しみでなりません。
第三週「新撰組参上!」
今週はあさ役の波瑠さんが大風邪をひいてしまい、声が出なくなったというニュースが世間を驚かせましたね。朝ドラのヒロイン役はスケジュールも過密な上に撮影期間が長いので体調管理が難しいと言われています。早く治るといいですが…。心配ですね。
さて、お話の方は、とうとうあさが新次郎の元へお嫁入り。しかし当日、新次郎はそれをすっかり忘れて紅葉狩りに行ってしまっていました。「…びっくりぽんや」というあさ。そして迎えた初夜では、あさはつい、新次郎を投げ飛ばしてしまい、小指に怪我を負わせてしまいました。その夜から新次郎はあさの隣で眠らず、日が暮れるとどこかへ行ってしまい、朝方に帰ってきてはぼんやりと番台に座るだけといった生活。
一体どこへいってしまったんやろか…
あさは持ち前の好奇心の強さとマイペースな気質で日々をこなしていきますが、それでも新次郎が自分の隣で眠らない事は若干気にはなっているようで、ある日姉のはつに会いに行く事にしました。
なんと、はつと兵衛衛はうまくいっていた
子宝には恵まれないものの、ふたりは仲睦まじくお芝居を観に行ったりと距離を縮めている様子。それにあさは自分の危機的状況を悟り、新次郎の後をつけてみる事に。
新次郎は夜な夜な三味線の稽古をしていた
浮気をしていたわけではなく、新次郎は自分の好きな事に興じていただけでした。しかし、自分の行動がバレた夜から新次郎は夜に出歩く事はしなくなり、あさの隣で眠るようになりました。
深夜、新撰組局長・土方歳三がお金を借りに来る
幕府の為に金を都合しろという土方に、あさは毅然と立ち向かいます。「いつ返してくれるのか」と強気に出るあさに土方は「良い女じゃ」と感心した様子。あわてた新次郎があさをいなしますが「うちはこの家の嫁です!」と啖呵を切りました。
いつまでも子供や思っていたけれど、あさちゃんはもう大人の女やったんやな。…惚れてもうたわ。結婚してください
すでに結婚しているあさに飄々といいのける新次郎。こうしてマイペースなふたりはその夜晴れて夫婦になったようでした。
第四週「若奥さんの底力」
新生幕府の結成により、動乱の世を迎えて世の中が大きくかわってきました。あさは全ての貸し出し帳を計算し、だいたいの収支の割合を把握します。そして一件お金を返してくれない不良物件がある事に気付いたのでした。そして新次郎の父にお願いをして取り立てを任されます。門前払ばかりなのに何度も通い、ついに貸付金を返してもらうあさ。その功績に進次郎の父はあさを信用します。
一方はつは姑からひどい仕打ちを受けていました。わざわざ訪ねてきてくれた母をバカにされた挙句、あさにも会わせてくれなくなっていました。さらに反抗すれば蔵に閉じ込める始末。惣兵衛はそんな母に抵抗できません。そしてついにお供のふゆも田舎に返そうとする姑。全てに絶望したはつは井戸を覗きに行きます。そこにははつあてにあさが書いてくれていた手紙が落ちているのです。中身をみる前に落ちてしまった手紙が、ひっかかっているのを見つけるはつ。
取ろうと身を乗り出し、井戸へ落ちてしまいます。
はつを心配した惣兵衛。井戸へ躊躇なく降ります。「死んでしもたとおもた」今まで冷淡に接していたのに実ははつを愛していた惣兵衛でした。二人の思いは通じ合いました。
しかし、その直後姑から「実家へお金を借りてこい」と命じられる二人。「あんたらにはそれしかできへん!」と言われ、悔しい思いをする惣兵衛。しかし何も言い返せません。
はつと連れだって実家へお金を借りに行く惣兵衛。はつの両親に頭を下げますが断られてしまいます。しかし「それでよかったんや」と静かに言うはつ。「断られてよかったんや。それがうちらの誇りどす」と姑の思い通りに事が進まなかった事に安堵する二人。
奈良にお金を借りに来たあさと再会するはつ。色々話したい事があったけど、それを押し殺して「お互い精一杯頑張ってお家を守ろな」と告げ去るはつでした。
そして告げられる真実。はつは本当は加野家に嫁ぐはずだったというのです。次週、眉山家が夜逃げ…!? 物語は急展開を迎えそうです。
第五週「お姉ちゃんを笑顔に」
ついに経営破綻を迎えてしまった眉山家。夜逃げを決行します。空き家に身を潜めていたはつ達を、あさとうめが見つけるも、はつは「あんたとは会いとぉない!」と会ってくれませんでした。翌日、着物や食べ物を持って再び空き家を訪れるもそこはもぬけの殻。どうやらあさ達が騒いだために借金取りにみつかり再び逃げてしまったようです。
どうにもならない眉山家。はつに対する姑、菊の態度も変わりません。「お前のせいで家が落ちぶれた。お前は疫病神だ!」と言い捨てます。その言葉に惣兵衛は何かが切れてしまいます。
「疫病神はお前じゃぁ!」
惣兵衛は包丁を手に菊に襲いかかりました。しかしすんでのところではつが間に入り、惣兵衛が振り上げた刀を肩口に浴びてしまいました。
一方あさは新次郎から炭鉱の話を聞き、「石炭」に興味を持ちます。まだまだ機関車などが普及していない世の中ですから、あさは石炭を見たことがありません。たちまちあさの日常は石炭一色に。その間新次郎はあさのためにはつを探し、やっとはつの居場所を見つけることに成功しました。はつ達は親切な農家の世話になり、仕事と家を与えてもらっていたのでした。
しかし、はつは「あさには言わないでください」と伝えます。
あさは相変わらず炭鉱の事に興味津々。単身九州へ石炭を見に行くと言い出します。いつもはヘラヘラしている新次郎も厳しい顔で「許さん」と怒り、姑は呆れ果てます。
そしてあさは新次郎の着物の袖が綺麗に縫われている事で浮気を疑い、新次郎は袖を縫ってくれたオナゴに会わせると、はつの元へあさを連れて行きます。姉妹は感動の再会を果たす事ができました。
「母を殺せなかった。本当に殺してやろうと思ったのに」新次郎にそう語る惣兵衛の顔にはためらいなく母を殺す決意が現れていました。そして、なんだか惣兵衛の行動がおかしいとはつは感じるようになります…。
そしてある日、はつの妊娠が発覚しました。嬉しくてすぐに惣兵衛に伝えようとする道すがらあさに会うはつ。はつはあさと一緒に惣兵衛の元へ走ります。しかし、惣兵衛は天秤棒と収穫した野菜を残して消えていました。惣兵衛が失踪してしまったのです。
第六週「妻の決心、夫の決意」
依然として炭鉱に興味を示しているあさと、それを快く思っていない新次郎。そしてはつの妊娠を知らぬまま失踪してしまった惣兵衛。全ての人物が新しい方向へむかって動き始めました。
産気づいたはつが、あさの家で子供を産んだのです。元気な男の子を出産したはつ。その幸せそうな笑顔にあさも嬉しそう。しかし炭鉱炭鉱と言っているあさにいい加減しびれを切らした姑が、新次郎に妾を持たそうと企みます。
「お家のため、お妾さんを囲ってくださいませ」
そう新次郎に頼み込むあさ。家のためなら妾を囲ってもいいと話すあさに呆れるやら悲しむやらの新次郎でしたが、「わかった」と了承します。しかし妾が引っ越してくる当日に、あさは新次郎に妾がくる事を受け入れられず家を飛び出してしまいました。
雨の中追いかけてきてくれた新次郎に、「やっぱりお妾さんを囲わないでほしい」と頼み込むあさ。やっぱり新次郎が好きだと気付いた瞬間でした。
そしてついに、炭鉱を持っている女主人櫛田そえがあさを訪ねてきます。交渉の結果炭鉱を買う事ができる事になり、あさは新次郎を残して九州へ旅立つのでした。
次回、怒涛の九州編が始まります。そして失踪中のはつの旦那惣兵衛が見つかった…!? ますます目が離せませんね。
第七週「だんな様の秘密」
はるばる九州へ行ったあさですが、早速大問題。鉱夫が誰も働いていなかったのです。鉱夫の代表の治郎作は「女の下で働かない!」とあさをみとめてくれません。「明るい未来をつくりまひょ」と皆を決起しようとしますが、逆に大反発を受けてしまい、喧嘩をしてしまいました。「男も女も力を合わせなどないなりますねん!」と叫び、鉱夫ともみ合いになった時、あさが転んだ拍子にお守りとして入れていたピストルが暴発してしまいます。「炭鉱を成功させるまで大阪には帰りまへんよってに!」と啖呵を切ります。
だんだんあさの熱意が伝わってきた鉱夫達。最後は相撲勝負であさが勝利し、鉱夫達は力を合わせて炭鉱を盛り上げようと働きだしました。
男の意地がある鉱夫達。「すもうに負けた」という口実がなければ動けなかったのかもしれませんね。
一方惣兵衛をみつけたはつ。家に連れ帰る事に成功しました。惣兵衛は自分の所へ嫁いだばっかりにはつを不幸にしてしまったという負い目から、逃げ出してしまったのでした。
はつに連れられ、子供にも会う事ができた惣兵衛。「今更ええ旦那さんになろうやなんて思わんといてください。ええお父ちゃんになってください」はつはそう言って惣兵衛を抱きしめるのでした。
第八週「京都、最後の贈り物」
九州の炭鉱業務は順調に進んでいます。そんな中、おじいちゃんが亡くなります。あさをかわいがってくれたおじいちゃんの死に、朝は悲しみに暮れますが、時代は待ってくれません。あさは次に「銀行」の話を聞き、興味をいだきます。次は銀行経営に乗り出そうと考えているあさ。
「お金で人を応援し、救う」という説明にたいそう心を動かされたのです
バリバリと働くあさに、新次郎の心も変わっていきます。
そんな中、はつに二人目ができます。惣兵衛はもう百姓の道に進む事を決め、はつもそれに同意します。「沢山の食料を作って、子どもたちにかこまれて…」夢を語る惣兵衛の表情は活き活きとしていました
そんな中、はつの家から預けられたお付きの「ふゆ」が、なんだか新次郎に懸想している様子…。またあさ達の周囲もだんだんと変化がおとずれていきます…。
今週は「変化」の週
あさが大阪へ戻ったり、新次郎とふゆの関係性が変わっていたり、はつの懐妊や祖父の死、そして父親の新事業に伴った引っ越しによる母との別れ…。とにかくあさの周りがめまぐるしく変わっていった週でしたね。
あさの事業も軌道に乗り始めていますがまだまだ油断ができない局面にたたされそうですし、はつは惣兵衛に言いたいことを言えずにいます。次週はその事柄がどのように発展していくのか期待できそうですね。
第九週「炭鉱の光」
大阪と九州を行き来するあさ。あさは炭鉱で働く皆の様子を見ているうちに、鉱夫の賃金など、もう少し改善することができる事に気づきます。「炭鉱の仕組みを変えたい」というあさに、はじめは反対していた鉱夫達でしたが、鉱夫と同じように朝早く起き、仕事に勤しむあさの姿にこころがゆらぎ、だんだんとあさの意見に賛成するようになっていきました。
新次郎とあさは相変わらずのすれ違い。「新次郎の三味線の会」に行く約束をしていたのですが炭鉱の仕事が重なりいけなくなってしまったあさ。だんだん元気がなくなります。「妻として旦那さんのおそばにいられない」というジレンマにどんどん気持ちが落ち込んでいきます。
そんなあさを心配した鉱夫の妻達が、「一度大阪へ帰って下さい」と勧めますが、あさはがんとして帰りません。「私が始めた仕事を皆が手伝ってくれています。そんな時に休んでいる暇なんてあらしまへん!」と気丈に振る舞うあさに、鉱夫達がこころのうちを明かしました。「いつも感謝している。俺たちはあささんが大好きや」と、その言葉を聞いたあさはついつい涙を流し、勧められるまま少し休息を取り、大阪へと帰りました。
突然のあさの帰宅に喜ぶ新次郎達。その夜はしゃみせんを弾いてきかせてあげます。そして翌日、新次郎の父の突然の隠居宣言が飛び出し、「次の番台」の発表があったのですが…。
さて、加野屋の次の番台は誰になるのでしょうか。来週も見逃せません。
第十週「お姉ちゃんの旅立ち」
次の番台は弟の栄三郎となりました。新次郎とあさはしばし夫婦として毎日を過ごします。そんな中、姉のはつ夫妻が和歌山へ移住することになりました。はつは大阪から立つ日にあさの家に泊まることに。はつとあさは姉妹で過ごす最後の1日を楽しく過ごします。幼少時代は毎日こんな日を送っていたのに、もう大人になった2人にとっては、久々で、そしてきっとこの先訪れることのない素晴らしい1日になったようです。
そして夜。2人は布団を隣同士に敷き、話をします。「実はずっとあさに嫉妬していた」と話すはつ。新次郎さんに恋文をもらって、こんな豪華な家に住んで…。はつはあさの事を羨ましく思っていたと告白するのです。「ついに言うてしもうた」と笑うはつ。あさは「お姉ちゃんがそんな事いうなんて」と驚きます。「だけど今はもう何も思っていません。この人生で良かったと思います」と話すはつ。お互いしっかりとお家を守ろうとあさの肩を叩くのでした。
「もう子供やないんどすな」とつぶやくあさはさみしそうです。とっくに子供時代は終わっていて、もう誰にも頼らずに自分の足で歩くしかないという現実を思い知ったようでした。
そして昔したように、姉妹で抱きしめ合って涙を流します。しかしその涙は昔のように翻弄される子供の涙ではなく、自分の意思でまっすぐ歩くための決意の涙でもありました。
そして翌日、はつは和歌山へ旅立ち、あさはその後姿を見送ります。離れていても2人の絆は変わらない、そんなシーンでした。
炭鉱へ戻ったあさ。突然の吐き気に見舞われます。それは「つわり」でした。なんと、あさは新次郎の子供をみごもったのです。
それなのに相変わらず炭鉱を離れようとしないあさ。彼女を連れ戻そうと、新次郎と梅が九州へ旅立ちました。
次週はとうとうあさが出産するまでを放送するようです。新たな問題が発生しそうな予感がしますが、あさは大丈夫なのでしょうか。
第十一週「九転び十起き」
妊娠したのに帰ってこないあさを連れ戻そうと九州へ来た新次郎とうめ。案の定あさはつわりで苦しんでおり、寝たきりとなっていました。2人はあさを連れ戻し、出産までを加野屋で過ごさせる事に。
あさは自分の身体が上手く動かない事に憤りを感じつつ、無事妊婦生活を乗り切り出産。生まれた女の子には「千代」と名付けます。
その時、あさの耳に訃報が飛び込みました。なんと炭鉱で落盤事故が起きたのです。しかも中に誰かが取り残されている様子。一刻をあらそう事態に「すぐに行かへんと!」と産後の身体で身支度を整えるあさ。それに新次郎が「千代の事は任せとき!」と送り出します。
偶然居合わせた五代友厚があさの同伴をしてくれると言うのでその言葉に甘えて九州へと旅だったあさですが、炭鉱の様子は酷いものでした。
再起まで時間がかかる上に鉱夫達のお給料の保証もしなければなりません。加野屋にとっては大赤字です。しかも悲しいことに、炭坑の入り口から火薬が見つかり、「人為的に起こされた事故」の可能性も浮上してきました。
つまずいてしまった炭坑事業。一体あさはどのようにのりきっていくのでしょうか…。正念場ですね。それにしても、何が合っても「きょとん」としているあさはかなりの大物だと感じます。
第十二週「大阪一のおとうさま」
あさの義父正吉が倒れ、危篤となってしまいます。「お伊勢さんへお参りにいきたいなぁ」とそらんじるものの、妻よのの目からみても正吉にそんな体力が残っていない事は明白。別れの時が迫っていました。
そんな中、炭坑に火をつけた犯人が見つかり、実は昔正吉がやとっていた番頭の息子であった事が判明します。正吉は、彼の父が生活に困って金の無心をしたのを、にべもなく断り、それによって一家離散となったのを恨んでいたのでした。しかし、あさと新次郎に話した後、「父の事と炭坑の事は関係なかった」と思い直し、正吉にも頭を下げます。
正吉は彼の父を救えなかった事を後悔していて、会えたことを喜びます。そしてその後急に力を失ったように再び危篤になってしまいます。
あさや新次郎に逝去の言葉を告げた後、「よのと2人にしてくれ」と頼む正吉。もう死期が近いのです。そしてついに死が正吉の側に忍び寄ってきた時、よのに手を握ってくれと頼む正吉。そして、心だけ「お伊勢さん」に参ります。暗峠を超えて奈良へ行き、そしてお伊勢さんに手を合わせ、「よのさんが、この先困らず生きていけますように」と祈った所で息耐えました。
「置いていかんといておくれやす…」と泣き崩れるよの。最期まで妻を愛した夫の姿はせつなくも強いものでした。
しかし物語はノンストップ。次はあさが東京へ行く事になりそうです。
第十三週「東京物語」
あさはとうとう東京へ「勉強のため」ウメとふたりで憧れの蒸気機関車に乗って登ります。新しくなった東京は大阪と大きく違い、あさは襟がひきしまる思いです。
そんな中、五代友厚の親友である大久保利通と出会うことに。親交を深めたのもつかの間、大久保利通は暗殺されてしまいました…。悲しみにくれる五代友厚を慰めているうちに、友厚があさに抱きつきます。あさはきょとんとするばかり。友厚は「この時だけ」と言ってあさの肩を借りました。
友厚はあさに好意をもっているのですが、あさはそれに気づきません。鈍感ですが気のいい娘のあさなのです
そして友厚に「私があなたの友になれたら」と告げるのでした。
そしてもう一つの出会いが東京であさを待っていました。それは父との再会と、なんとあさが愛して止まない「学問のススメ」を書いた福沢諭吉との出会いです。
諭吉に「女社長になりなさい」と告げられるあさ。今は意味がわかっていないあさですが、この言葉が彼女を後々律し押し上げる金言となることでしょう。
さて、次週は「恋心のゆくえ」だれの恋心がどうなるのか…ハラハラしますね。
第十四週「新春、恋心のゆくえ」
新次郎に恋をするふゆ。彼女に縁談がきました。
父親に連れてこられた優男は、ふゆをひと目で気に入ります。しかしふゆは新次郎に思いをよせているのです…。 何もしらないあさは「このまま祝言挙げてもいいのか」とふゆにつめよります。あさはふゆに想い人がいる事を知っていたのです。しかしそれが誰なのかは鈍いあさにはわかりませんでした…。
「うちの好きなお人には、うちなんかよりお似合いの方がいらっしゃいます」
ふゆは健気にもあさにそう告げます。やはりあさは「?」といった様子。まっすぐに生きているあさはまさかふゆが自分の旦那である新次郎に思い焦がれているなんて想像もできませんでした。
そんな中、ふゆに陰ながら好意をよせ、ふゆの想い人が新次郎であるという事を知っている中番頭の亀助は、じれったいふゆの動向にしびれを切らしました。
もちろんふゆを誰にも渡したくない気持ちはありましたが、縁談相手は申し分ない人物…。ふゆが良いのなら見送ろうと考えています。しかし、ふゆが好きな人に想いも告げず、知らない人の所にお嫁に行ってしまうというのがどうも不憫でなりません。
「ふゆの想い人はあんたや」亀助は思い切って新次郎に告げました。
「最後の思い出に、ふゆをどこかへ連れて行っておくんなはれ」亀助は新次郎に頭をさげます。叶わぬ恋だけど、せめて楽しい思い出をつくらせてあげたい。そう思ったからこその行動でした。
新次郎は「へえ」と軽い気持ちで了承します。 そして2人はデートに。しかしその様子をふゆの縁談相手が見ていました。
一気に破断へと向けて動き出す縁談話。ふゆの父は怒り狂い、ふゆを罵倒し殴りつけます。亀助はその姿を見ているだけの縁談相手にキレてしまいました。
「お前は一度嫁に迎えようと決めたオナゴが殴られているのを黙ってみているつもりか!」亀助はそう言ってふゆを助けようとふゆの父につかみかかります。「ふゆちゃんはわしらの身内みたいなもんや!」そう言って大げんかをしてしまいました。
そして夕方、ふゆに怪我の手当をしてもらっている亀助。ごめんと謝る亀助に、うれしかったとふゆは答えました。「身内と言ってくださって嬉しかったです」と頭を下げます。亀助は「嫁になってくれへんか」とふゆに告げました。「ふゆちゃんを想う心は誰にもまけへん」と話す亀助に「おねがいします」と微笑むふゆ…。
こうしてふたりは夫婦になりました、というのが「恋心のゆくえ」のお話でした。 恋よりも仕事!なあさに代わって、ちょっとした恋愛物語を紡いでくれたふゆ。せつなくてとてもかわいいお話でしたね。 ハッピーエンドになったようで良かったです。
さて、来週からはいよいよ「銀行」について話が動いていきますよ。果たしてどのようになっていくのか、ますます目が離せません!
第十五週「大阪の大恩人」
あさは相変わらず銀行をあきらめられません。「銀行業務をしたい銀行業務をしたい」と言いすぎて、番頭さんに怒られてしまいました。「してもいいだすけど、何かあった時もう私は走りませんで」と切り捨てられるあさ。内部分裂が勃発しそうな勢いに、あさの銀行への道は停滞してしまいます。
しかし良い知らせもありました。なんとあさが手がけている炭鉱から沢山の石炭が発掘されたとの知らせが舞い込んできたのです。大幅な利益が舞い込んできました。
そんな時、五代友厚にピンチが訪れました。なんと新聞社にスキャンダルをすっぱ抜かれてしまいます。そのスキャンダルとは、『五代友厚が北海道の官有物を不当に安い値段で払い受けようとしている』というものでした。
もちろん事実無根…というよりも、事実が歪曲されて伝わっただけでした。政府は北海道の事業で多額の損失を出し、商売上手の友厚になんとか負債を完済するための手助けをお願いしたのでした。そして大阪の商売を盛り上げることによって、負債をなんとか完済しようと大阪商人を奮い立たせたのです。
事実を知った協会の皆はホッと胸をなでおろし、そしてますます五代を信用し頑張ろうと拳をあげました。しかし、五代に病の手が忍び寄ります…。あさは五代の顔色が悪いことに気づきますが、五代はなんでもないとあしらいます。そして日常通りの姿を演じますが、「私が死んでも、五代が作った大阪は残ります」とあさに意味深な言葉を残して…。またも涙の予感ですね。大阪の大恩人とは、五代友厚を指すのでしょうか
第十七週「最後のご奉公」
今週は…あさがきたファンを涙に濡らした回となりました。五代友厚がついに亡くなってしまったのです。
まず、加野屋が銀行業務に手を出すことを決めました。そして炭鉱を新事業として会社を建てることとなりました。その代表取締役に新次郎を押す五代。ひとの話をちゃんと聞けるという才能がある進次郎は人間関係を円滑にすることができる素質があると見抜いたのです。
あさが新次郎に頭を下げて頼み込むと、新次郎はあっさりと承諾してくれました。これで事業は安泰、新しい風が吹き始めました。
そして…前回からなんとなく「死」を予感させる発言をしていた五代。やはり病気を患っていたようで、商工会議所で倒れてしまいました。あわててあさがかけつけました。「五代様、私ともう会わないつもりでおりましたな」と問いただすと、五代は自分の死期を察していたことを匂わせます。
「まだ何も恩返しできていない」と泣くあさに「恩返しをしなければならないのはこちらの方だ」と告げる五代。「あなたがファーストペンギンだ」とあさを讃える五代でしたが、「あなたこそがファーストペンギンです」とあさはそう五代に告げました。あなたがいなければこんな風に自分の道をみつけられなかったと嘆くあさ。そして五代は東京に療養に行き、一ヶ月後そこで亡くなりました。
「五代ロス」という現象をにわかに巻き起こした今回の話。「五代さまが…」という言葉がツイッターに流れ、たくさんの人が五代さまの死をなげき悲しみました。「五代さまがなくなったので仕事をする気がない…」という人まで。それを聞いて「うむ」と納得する上司まで現れたというからおもしろいですね。それほどまでに国民に愛されていたあさがきたの五代さま、その死を嘆き悲しむ間もなく、あさには次々と忙しい毎日が舞い込みます。ファーストペンギンに休む暇なんてないのです。
史実では、五代友厚は明治18年9月6日、糖尿病で東京の自宅で亡くなったそうです。享年49歳でした。当時としては平均的なのでしょうか。そして葬儀は大阪で行われたそうです。糖尿病という病は当時食生活が豊かになったことから発症されるようになった病のようで、もしかしたらまだ現代のような治療法が確立されていなかったのかもしれませんね。五代は忙しい毎日を送っていたのでなおさら病の進行に拍車をかけていたのかもしれません。しかし五代友厚は現在の商業に革命的な変化をもたらし、日本の活性化にたいへん貢献した方であったことには間違いありませんね
第十八週「ようこそ! 銀行へ」
あさのもとへ姉のはつが訪ねてきました。久々の姉妹の再会。あんなにちいさかった藍之助も大きくなっていて、あのおしとやかなはつは立派な肝っ玉かあちゃんになっていました。あさの娘の千代はあさとは正反対のおしとやかで静かな女の子になっており、はつは「会いたかった」と彼女を優しく抱きしめます。
そんな嬉しい再会もつかの間、はつはあさに「あさらしく生きなさい」と伝え、また帰って行ってしまうのでした。
そして銀行を開ける前に「銀行の神様」と言われる渋沢栄一という男性と面談します。渋沢はあさに「銀行をつくるにあたって一番大切なものは信用」と説きます。そして「教育」がなによりも大切だと話しました。今は亡き五代友厚も同じことを話していたというのです。
あさは銀行業務に先駆けて、新次郎を社長に「加野商店」を作りました。事業は上々。新次郎は商売の才があったようで、その能力をめきめきと発揮していきます。
銀行業務へ向かっている時に、あさのお付きのうめと良い関係になっていた雁助が故郷に帰ることになりました。別れた妻との間にできている娘が病に倒れてしまい、元妻が「戻ってきてくれないか」と雁助に懇願したそうです。
うめに「すまない」と謝る雁助。しかしうめは「あなたとの思い出があれば私はこの先も一人でいきていけます」と気丈に笑います。
それを見たあさはうめと相撲を取ることを提案します。「うちを何歳やとおもうてるんですか」と呆れるうめに、あさはなおも挑発し、ふたりは相撲を取ることに。しかしあさは負けてしまいます。
「あーあ。うめを思いっきり泣かしたろおもたのにな」と呟くあさ。あさは雁助とのことがあっても気丈にふるまううめを負かして「相撲に負けた」という笠にかくれて思いっきり涙をながしてほしかったのです。そうでもしなければうめは泣けないと思ったのでしょう。
その優しさに涙をながすうめ。あさを抱きしめて大泣きするのでした。そしてあさはとうとう加野銀行を開くことに。加野銀行は大阪で大きな功績をあげ、どんどん大手に成長したのでした。
第十九週「道を照らす人」
さて、加野銀行は大阪で1番の銀行となりました。あさは取材やらなんやらにひっぱりだこ。息を吐く間もなければ家族とゆっくりご飯をかこむ暇もありません。それに複雑な思いを抱いているのはあさの一人娘「千代」です。
小さい頃から「お母ちゃんは忙しい人」という印象があったのでしょう。千代は事あるごとにあさにつっかかり、反発します。しかしそれは「お母ちゃんにかまってほしい、こっちを向いてほしい」というこころの表れのようで。進次郎はそれに気づいていました。
そんなある日、あさの姉、はつの子供「藍之助」がなんと加野屋に訪れました。「銀行で働かせてください‼︎」と頭をさげる藍之助。「お母ちゃんはなんて言うてますのや」とたずねるあさに「お母ちゃんも頑張ってきなさいと言ってくれています」と話す藍之助。しかしあさは「お姉ちゃんがうちに一言の文もなく、藍之助を預けるはずがない」と進次郎に話し、きっと家出をしてきたんだろうと考えます。
あさの予想は的中していました。藍之助は農家の仕事よりも銀行の仕事がしたくて家を飛び出してきたのです。あさはこっそりはつに文を出す事にしました。
また、あさは新しい試みをしようと考えます。それは「女性行員の採用」。男女の隔たりなく働く事、そして女性の独立という事をテーマに動き出したのです。あさ自ら面接をして厳選した女性行員を選び抜き、そして訓練を開始。人前に立てるまで教育をしました。
一方、進次郎はどんどん不満をつのらせていく千代を見て、あさに「京都の女学院に行かせたらどうや」と提案します。井の中の蛙で居させるよりも、広い世界を見せたほうが良いであろうという広い視野からの提案でした。
そしてあさはそれを了承。千代を単身、京都へ送り届けました。
まさに、働く母の苦悩が表現されていた今週。千代は広い世間で何を知り、またあさの事をどう思うようになるのでしょう。彼女の成長が楽しみですね。がんばってきてほしいです。
第二十週「みかんの季節」
女学校へ通う事にした千代。そしてあさは進次郎と共に旅に出る事にしました。ふたりはぶらりと愛媛のはつの家へ。そこでまたもや藍之助の「銀行への思い」を聞くあさ。そしてはつ達も藍之助の本気の思いを知り、あさの元へと預ける事を決意したのでした。
一方、銀行へ戻ったあさには事件が。大阪一の銀行となった加野屋にはちょっと変なお客さまが訪れたのです。彼は「日本の女性に学問を!」と主張するちんちくりんな男性で「成澤泉」という人物でした。彼は学校教員を経て、アメリカへ留学。そこで女性に教育が大切という事を学び、帰国後あさの存在を知り直々に協力を申し出てきたのです。
あさはその姿に「過去の自分」を重ねます。そして女性に学問をという理論にもだんだんひかれていくのでした…。
第二十一週「今、話したいこと」
あさは成澤の女子大学設立の夢を書いた書物を見て、いたく感動します。そして成澤に会い、賛同するという意を伝えたのです。
「資金面は自分が工面する」と告げるあさに、感謝の意を示した成澤。そして成澤とともに賛同者を集めます。その中にはあの大隈重信も含まれたというから驚きですね。あさは成澤を「ファーストペンギン」であると伝え、彼のこころを奮い立たせました。
ファーストペンギン。これは今は亡き五代友厚に告げられた先頭を切り開く人間のこと。あさにとってもまた勇気を得ることができた言葉でした。
とにかくあさは「女子大学設立」のために奮闘し、活発に活動を始めました。やがて周りにもその行動を認められ、徐々に賛同者があつまってきます。
しかし表立って行動しすぎたせいか民衆からは「加野銀行は自分達が預けた大切なお金を女学校設立というおかしなものに使っている」と悪い噂が立ち、まだ女子の教育に積極的ではない時代背景からか眉をしかめる人が続出。結果、銀行業務に差しさわりが出てしまいあさは大目玉をくらうことになりました…。
こってりと絞られたあさ。どうしたらいいのかと考えているうちに千代が「進路を決めたい」と相談してきます。しかし、それどころではないあさは「あんたは好きにすればよろしい。また話をきくさかいな」と放っておこうとしてしまいました。
そこで我慢の限界に達した千代。彼女は「お母ちゃんはうちの事はどうでもいいさかいな」と積年の寂しさを爆発させますが、彼女は不器用なのかまるでイヤミのようにしか伝えることができません。挙句あさに「あんたに寂しい思いをさせたのは悪いと思ってます。でもあんたはもうええ大人やろ⁉︎ いつまで甘えるつもりや⁉︎」とまるで見当違いな方向から怒られてしまうのです。
千代は涙を流し、あさもまた千代のこころがわからず困惑します。「働く母の苦悩」がこういった場面でも現れましたね。この状況に共感した人は多いかったはずです…。そしてギズギズした毎日が続きますが、あさはなおも千代に歩み寄ろうとします。
と、その時、なんとあさはおちぶれてしまった以前の顧客萬屋にお金をせびられ、それを断り恨みを買い、刺されてしまいます。それを見た千代は大変なショックを受け看病 をしますが、あさはなかなか目を覚ます事ができません。三途の川をさまようあさ。そして「九つ転び十起き」という言葉をきっかけに目を覚ましました。
第二十二週「夢みるひと」
あさはなんとも大変な闘病生活を迎える羽目になってしまいました。元気とはいえ重症です。いつもは憎まれ口をたたく千代も、あさに素直に甘えます。そして親子で一つベッドの上、小さいころの話や商売の事を話す機会が設けられました。
あさは千代に「あんたはうちの宝や」といい、千代も素直に「寂しかった」とつたえることができたのです。こうして、親子の間にあった氷山が溶ける兆しを見せた時、またしても事件が。なんとはつの姑が倒れてしまったのです。
どうやら寝たきりになってしまうほどの病気らしく、またもや一波乱巻き起こりそうな状態となってしまいました。
あさが倒れて、やっと元気を取り戻したと思ったらはつが…運命の神様はまだまだ船を揺らすつもりのようですね
第二十二週「自慢の娘」
このタイトルからあさから見た千代の話かと思った方は多数いらっしゃると思います。しかし今回はあさとはつの両親から見た二人にかけられた言葉であったのです。
今週は喪中という言葉がふさわしいほど、影の立役者が亡くなりました。はつの義母、菊は腰を折って病床に伏し亡くなり、あさとはつの母も亡くなってしまいました。
そして病床に伏す父から「あさ、お前は自慢の娘や」と伝えられるのです。これまで学問をしたいというあさを一切認めようとしなかった父ですが、この時になって初めてあさを認めました。それによって親子の確執は溶けたようです。
あさの父は「大学の建設地に別荘を使ってくれ。あそこをお前に寄付する。それでお前みたいな学問がしたい女性に学んでもらえるような立派な学校をたてるんや」と応援の言葉までなげかけてくれました。
大阪に戻ったあさは前にもまして大忙し。協力者が増えてきて事業に追い風が吹きます。その時、突如雁助が仕事中に頭を打って目を覚まさないという知らせが入ってきて…‼︎
第二十三週「大番頭の手のひら」
慌てて雁助の元へ走る梅。そこにはベッドでふせっている雁助の姿がありました。あさが「手をさすってあげて」といいます。自分が意識がなくなっていた時も千代が手や足をさすってくれてそれで目を覚ましたのだという事を思い出したのです。すると奇跡が起き、雁助が目を覚ましました。
そしてまた「こうして生きているという事は何かしなくてはならない事があるはず」と加納屋に戻ってきたのです。
一方その頃、あさの父は亡くなり、いよいよ別荘の所有権があさに渡りました。別荘に学校を建築し、ますます寄付をつのらなければなりません。女学校建設もそろそろ佳境に入ってきます。
そんな中、千代の初恋物語がそっと幕をあげました。千代の初恋は以前、あさの看病をしている時に出会ったT大生、東柳。あさは応援したいと思っているようですが、どうやら新次郎はかわいい娘を嫁に出したくはない様子。ひねくれ者になっています。だけど最終的には優しい新次郎。きっと千代の思うように手助けをしてくれるに違いありません。
一方、はつの居る和歌山では養之助が結婚。幸せな毎日が始まるのかと思いきや…なんと養之助に赤紙が。兵隊にとられてしまうとの事。
働き手をなくした惣兵衛一家は苦肉の策として藍之助を呼び戻す事に…。藍之助は道半ばで家へ帰る事となってしまいました…。
第二十四週「おばあちゃんの大仕事」
あさの義母よのは、どこかポワンとしてはいますがとても人の気持ちの変化に敏感な人です。今回も千代が東柳啓介(工藤阿須加)に想いを寄せている事に気付き、ふたりをなんとか結婚させてあげようとあさにもちかけるのでした。
あさはその願いを快く引き受け、大隈綾子(松坂慶子)に相談します。綾子は東柳家とかなり親しい間柄にあるようで、彼女の取り仕切りによって千代と啓介の見合いが決まりました。
一方で女子大学設立もなんとか軌道に乗ってきました。大々的に発表する事で世間の注目を集めようとしたのですが、逆に反感を買ってしまう羽目に…。成澤はひどく落ち込んでしまいますが、あさがバシッと喝を入れるシーンも見受けられました。
また、和歌山にいるはつのところでは惣兵衛が自分の体力に限界を感じ、山を手放そうと考えていました。しかし藍之助からみかんをもっと楽に育てたり栽培したりする事ができる方法の提案を受けたり、兵隊に行く予定の養之助からも「家族みんなでおみかんをつくろう」と言われ、手放す話がなくなりました。
そしてあさは無事女学校を開く事ができ、彼女の夢はひとまず叶ったのでした。
第二十五週「誇り高き人生」
戦争に行った養之助が戻ってきて、またも活気付いたみかん畑。人手も足りた事ですし、藍之助が加野銀行へ戻ってきました。そして時同じくして戦争が終わった事で日本は混乱に巻き込まれます。激動の時代。すでに日本は新しい様式に次々と変わっていきました。「夜明け」だった時代は終わったのです。
そしてなんだか新次郎の様子がおかしい事にあさは気づき始めます。「思い過ごしならええんやけど…」そう言いつつあさは不安を拭い去れないようでした。
事件ははつのいる和歌山で起こりました。なんと惣兵衛が肺の病で倒れたのだそう。不治の病のようで、この時代では手の施しようがないようです。床に伏せる惣兵衛。はつは心配げに見守ります。「わろうてくれ」と話す惣兵衛に「わらえまへん」と返すはつ。「皆をよんでくれ」と言った惣兵衛は子供達に「自分の人生は幸せやった」と伝えます。「本当に本当に幸せやった。だからはつ、わろうてくれ」と微笑んだのでした。それを受けてはつも微笑みを返します。その後、惣兵衛は亡くなってしまいました。
お葬式に現れたあさと新次郎。新次郎は縁側で茶器を二つ並べて「惣兵衛さん、そっちはどないですか」とひとりごちます。なんだかおかしな雲行きになってきました…。
最終週「柔らかい心」
惣兵衛の死後、新次郎も体調を崩して行きました。一方啓介と結婚した千代にはもう子供ができており、ふたりめがお腹に宿っている状態。その喜びをかみしめながら新次郎は徐々に弱っていきます。
※この時の新次郎の病気は胃ガンではないかと言われています。当時は不治の病とされていました。
そしてある日をきっかけに床についてしまうことに。医師から新次郎の状態をきいたあさは、仕事を一切やめて新次郎のそばにつききりになる覚悟を決めました。
「あさ、ええんか。お前はそろばんをはじいている姿が一番似合ってるのに。ワテの事は気にしたらあきまへん。自分がやりたい事をするんやで」と遠慮がちに伝える新次郎にあさは首を振ります。「うちが旦那さまのそばにいたいんだす」そしてあさは静かに語ります。初めてそろばんをもらった時とても嬉しかった事。そして新次郎が背中を押してくれたから自分の好きな道を走ってくる事ができたという事。「だからもういいんだす。うちは人の何倍も働きました。ちょっと休ましてください」。そう言うと新次郎は「それは、ワテの事がお商売よりも大切だという事かいな」と笑います。「もちろんだす」と話すあさ。その後、医師の診察に呼ばれた新次郎。ひとりになったあさは涙を流します。もっと一緒にいたらよかった…そんな後悔が胸中をめぐったのでしょう。
そしてついにその時がやってきました。新次郎が病に倒れたのです。医師は「もう時間の問題です。親しい人を呼んでください」とあさに伝えます。皆が囲む中、ひとりひとりの名を呼んでお別れの言葉を言う新次郎。あさとふたりきりにしてほしいと言ってあさにだけこっそり甘えます。
「あーさ」とあさを呼ぶ新次郎に「へえ」と答えるあさ。それだけでもう気持ちは伝わるのです。そして何度もあさの名前を呼び一筋の涙を流して新次郎は他界しました。
あさはその日から涙が止まりません。お葬式の用意の途中、新次郎の昔話を聞き涙があふれてその場を後にしました。「あかん、泣いてしまう。もっとしっかりしてなあかんのに…涙がとまらへん」と顔をこするあさ。彼女の心はもう折れそうでした。
と、その時、サーっと雨が降ってきたのです。天気雨。新次郎は雨男で、うれしい事があるといつも雨が降ると話しており、それは事あるごとに実現し現実味を帯びていました。新次郎が楽しみにしていた事や、夫婦の絆が深まった日、お見合いの日などは決まって雨が降り、それを見て新次郎も「またあめだすな」とにっこり笑うのです。
あさは縁側に出て降りしきる雨に手を伸ばしました。「びっくりぽんや」あさは笑顔で空を見上げます。
そして、物語は一気に進みあさの晩年になりました。杖をつきよわったあさは今日も勉強会とピクニックをかねて外で講義をしていました。若者達にメッセージを伝えた後、ふと遠くから手をふる男性の影を見ます。「…旦那さま⁉︎」あさは駆け出し、やがて杖も放り捨てて走り続けます。
みるみる若い姿になっていくあさ。そして同じく青年に戻った新次郎があさをしっかりだきしめました。「ようがんばりましたな」そう言って新次郎はあさを抱きしめます。「旦那さま」嬉しそうに笑うあさの顔は少女のままで、いつまでもいつまでも幸せそうに見つめ合っていたのでした。
おわり
いかなる記事内容もその正確性が保証されているものではありません。自己判断でお願い申し上げます。
この記事に誤りがある場合は、こちらまで詳細をご連絡ください。
※対応結果等はご案内差し上げておりませんので、ご了承ください。