歪んだ恋愛
今年で30歳。
未だ独身。
これまでの恋愛を振り返ってみます。
決して【まとも】とは言えない私の恋愛歴だと思います。
※性に関する表現が多々でてくると思います。
不快な方はスルー願います。
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【生い立ち】
私は四国の田舎町で生まれ育った。
年子の姉と、4つ下の弟の三人兄弟。
幼い頃から性に関して、物凄く興味が強かった。
まだ保育園児の頃、父の机の引き出しにある男性用週刊誌をこっそり持ち出し、ヒワイな写真を見るのが好きだった。
でもそれもいつしか父の机に置かれなくなってしまい、残念に思っていたのを覚えている。
恐らく、発見した両親が“教育上良くない”との事で置かないようにしたのだろう。
小学生になると自分の小遣いでレディコミを買うようになり、ありきたりのベッドに隠しておいたが、それも発見され、母親に勝手に捨てられていた。
小学三年にはすでに自慰をしていた。
小学校五年には初潮がきた。
学年で一番早かった。
sexに関する興味もかなり強くなっていった。
小学生の頃、二度痴漢にあった。
一度目はお寺で遊んでいた時。
60代くらいの小学生からすれば“おじいさん”くらいの男性に『おいでおいで』と手招きされ、恐々と近付くとおもむろにズボンを下ろし局部を見せられた。
二度目はさらに強烈だった。
学校の帰り道、信号待ちをしていると30代半ばくらいの男性に腕を掴まれ、『こっちにおいで、怖くないから』と言われ引っ張られた。
いつもは集団で帰るのに、その日に限って一人だった。
いつもはおてんばで騒がしい私も、さすがに恐くて声も出せなかった。
ズルズルと引きずられるようにして連れて行かれた。
もう家には帰れないかもしれない……。
そう思った。
着いた所はスーパーマーケットの女子トイレ。
個室に二人で入った。
男性はオドオドして『怖くないからから。』と何度も繰り返した。
すると私のパンツを膝まで下ろし、私の局部を荒い息づかいで舐め回した。
当時まだ私は小学生。
sexに関して激しい興味は持っていたものの、はたして“sex”とはどういうモノなのか、全く実態を知らなかった。
ただ、女性が歓喜に満ち溢れて、楽しくて気持ちのいいモノ……くらいにしか思ってなかった。
しばらくして満足したのか、次は自分のモノを見せてきた。
『ほら、見て。見て。』
私はソレが、私が興味を抱いていたsexに欠かせないモノだともわからず、何かとても気持ち悪かった。
後になって思うと、立派なモノだった。
私はやっとの事で、『イヤ、イヤ』と小さな声が出た。
すると男性はさらにオドオドして『大丈夫。すぐに帰してあげるから。見て。ほら、大きくなったり動いたりするんだよ。』と言った。
薄目を開けて見ると、黒っぽい棒で赤い先端。
少し動いている……。
幼稚園の頃から、父とはお風呂に入っていなかった。
大人の男性のソレは初めて目にしたような衝撃だった。
ただ怖くて、『イヤ』と何度か繰り返した。
他の人に見つかるのを恐れたのか、男性はその後直ぐに解放してくれた。
【武史との恋】
中学生になった私は愛読する雑誌ができた。
高校生や大学生が彼氏とのsexを赤裸々に投稿するような雑誌。
他の人の実体験を見るうち、さらにsexに対しての興味が増す日々…。
sexって、どれだけ気持ちのいいモノなんだろう……。
私も早く体験してみたい。
そこで武史を思い出した。
武史は小学校からの同級生だ。
変な嘘をよくつく子で、
『俺の家には白いグランドピアノがある』
『俺の家には大きな蔵があって、何兆円っていうお金がある』
とか、本当にわけのわからない嘘ばかりだった。
小学五年の頃、武史が
『お腹が痛い』と訴えたが、皆『また嘘だろう』と相手にしなかった。
唯一私だけが信じて面倒をみた事があった。
それ以降、武史が私の事を好きだという噂を耳にした。
自分でも、少なからず好かれている自覚もあったし、何より“武史のアソコはデカイ”という噂もあった。
それに武史はよく
『sexしてぇ~』
と言っていた。
武史なら、すぐ体験させてくれるかも。
そんな理由で中学一年生の私は武史に告白した。
私の思惑通り、武史と付き合う事になった。
………が。
“付き合う”って言ったって、何をどうすればいいのかわからない。
何せ頭の中はマセてても、実際は田舎の中学生。
付き合う意味も、何をすればいいのかもわからない。
武史とは同じ剣道部だった。
とりあえず、部活が終わったら途中まで一緒に帰ったり、家に遊びに行ったりしていた。
学校と部活が休みの時に、一度だけ街にデートに行った。
ちょうどX'masシーズンだったように思う。
駅で待ち合わせて初めて二人きりで電車に乗った。
………とても気まずい。
中学一年生の二人はどうする事も出来ずに、お好み焼きを食べて帰った。
本当は肉玉が食べたかったけど、肉なんていやしいと思われたくなかったから、イカ玉にした。
変な話だけど、私なりの可愛らしさがあった。
大晦日。
中学生の私は、その日の夜だけ初詣に行くのに夜中の外出を認められた。
同じ剣道部の仲の良い五人で大晦日の夜、自転車に乗って初詣に出掛けた。
勿論、武史も一緒だった。
露店が沢山出てて、買い物したりおみくじしたり。
初日の出を見ようと、小高い山に登ったが結局曇りで見る事は出来なかった。
武史と付き合い始めて半年。
私のそもそもの目的である“初体験”は全く期待外れだった。
半年経っても、手すら握ってなかった。
私は雑誌を読み勉強した。
床にわざとに物を落とし、武史の方にお尻を向け四つん這いの格好をしてみたり…。
ぶつかるフリをして胸を武史の腕に押し当ててみたり…。
武史は『あ~~!たまんねぇ』としか言わない。
ボディタッチさえも避けられてなかなかできない。
口ばっかの奴だ。
早くヤッてくれないかな?
とイラついてきた。
武史も多分私と同じだったと思う。
sexに興味はあったものの、経験は無い。
どうすればいいかわからなかったし、踏み込む勇気もなかったんだと思う。
そのうち、もう武史じゃ初体験は無理だと感じてきた。
そして私は別に好きな人ができた……。
【高橋さんへの片思い】
新しくできた好きな人。
街中のデパートの店員さんだった。
まさに片思いだった。
通いつめて、名前が“高橋”という事と、大学生だという情報を得た。
武史への思いより、高橋さんの方が気持ちが大きくなったので、武史とは別れる事にした。
『他に好きな人ができたから、別れて。』
武史は、
『百合子が好きな奴と、どうこうなってないのなら、別れる必要なんか無い。』
と言った。
それもそうかもしれないが、なかなか手を出してくれない武史が鬱陶しくさえ思えていた。
それに、他の人に気持ちが行ってるのに、付き合ったままなんてイケナイ気がしてた。
なかなか話がつかないので、部活の女友達に間に入ってもらい、何とか説得して別れた。
別れ際、
『百合子の為にエンゲージリング作ったけど、ノコギリで壊してやる!』と武史に言われた。
その時は何とも思わなかったが、後で武史の“冬休みの思い出”という作文を目にした時、少し胸が苦しかった……。
『この冬休みはX'masも初詣も好きな子と一緒に居れて、初めての事ばかりでとても楽しい冬休みでした。』
という内容だった…。
武史と別れて、もう直ぐバレンタインが来る。
高橋さんに告白しよう!
バレンタイン当日は平日だった。
学校が終わったら急いで家へ帰り、着替えた。
前もって作っておいた手作りのチョコレートを持って電車に乗り、デパートへ向かった。
…………いた!!!
今日もお仕事で良かった。
息を整えて、前進した。
『高橋さん。好きです。
チョコレート作ったので食べて下さい!!!』
凄く驚いてたけど、貰ってくれた。
周りの従業員さん達も驚いて見てた。
その後しばらくしてまたそのデパートに行ってみた。
高橋さんの姿がない。
すると一人の男性従業員が声をかけてきた。
『君、高橋にチョコくれた子だよね?
高橋辞めたんだ。
君が来たら渡して欲しいって言われてたんだ。』
と言って“伊藤”という男性から、電話番号が書かれたメモ紙を渡された。
高橋さんの電話番号だ!
緊張した。
え~、電話かけて何て言おう?!
後日勇気を出してコールしてみた。
プルル…プルル…。
コールが鳴る度に心臓が壊れそう。
『高橋です。』
運良く本人が出た。
今から16年も前の話だ。
携帯はおろか、ポケットベルさえあまり一般には普及していない。
教えてもらったのは当時は勿論家の電話だった。
『あの、私この前チョコレート渡した者ですけど、……覚えてますか?』
『え…あ、うん。』
『あの、食べて貰えましたか?』
『うん。食べたよ。ありがとう。』
食べてくれたんだ~!!
それだけでもう胸がいっぱいになってしまった。
『同じデパートの“伊藤さん”っていう方から、高橋さんに電話するように言われて、電話番号受け取ったのですが。』
そう言うと思いもかけない返事が返ってきた。
『え……?!
俺そんな事言ってないけど??』
『アイツ、俺に女がいないからってこんな事したんだな?』
と独り言のように言っていたが、私はパニクってしまった。
少しでも私の事気にしてくれてたと思ってたのに……。
急に自信過剰な自分がとてつもなく恥ずかしくなった。
『あ、そうなんですか?!勝手に電話してすみませんでしたっっ!!』
そう伝えると早々に電話を切った。
それ以来高橋さんに会う事はなかったし、再び連絡する勇気もなかった。
一方通行の片思いは終わった。
中学一年が終わろうとしていた頃だった……。
中学生の私は、まだまだ初体験からは遠い所にいた。
男性と手を握ったのも、体育のフォークダンスの時ぐらいだったが、だんだんと自慰の気持ちよさはわかってきた。
いつしか訪れる快感の日を夢見て、自慰に励んだ。
高校を卒業するまで、弟と同じ寝室だったが、隣で弟が寝てようがお構いなしだった。
丁度その頃、家の風呂にジャグジーが付いた。
中学生の私はひらめいた。
このジャグジーにアソコを当ててみよう……。
最初は怖かったが、手で何度も感触を確かめたら、そんなに痛くない。
恐る恐るアソコを当ててみた……。
!!!?
何とも言えない、今までに味わった事の無い快感と刺激が私の局部に集中した。
それ以来、私は入浴の度にジャグジーが恋人になった。
【健太との恋】
私は高校生になった。
当時流行っていたのが“ルーズソックス”。
私もスカートを短くし、伸ばせば太ももの付け根までありそうなくらいのルーズソックスをはいた。
眉毛も安室奈美恵のように細くした。
髪の毛も茶色くしたかったが、高校に入っても剣道を続けていたのでそれはできなかった。
学校は田舎では特殊な英語専攻の学科で、一クラスだけしかなかった。
その為クラスは凄く仲が良く、何をするにもいつも男女ごちゃ混ぜの15人くらいで遊んでいた。
高校入学して直ぐの5月。
高校生なのに、林間学校があった。
そこで、仲良しグループの中の“健太”と急激に近付いた……。
健太は野球部だった。
スラッとした長身で坊主頭。
ポジションはセンター。
お調子者だが心の優しい男の子だった。
キャンプファイヤーでも、重たい荷物を持ってくれたり、気付けば側にいてくれてた。
ひそかに女子同士では
『健太いいよね』
と言っていた。
林間学校で他の男子から
『健太が百合子の事好きらしいぞ』
と聞いて余計に意識してしまった。
林間学校のトイレは男女別だったが、天井は筒抜けだった。
話し声は十分聞こえる。
夜、私がトイレに行くと、しばらくして男子トイレから歌声が聞こえてきた。
『恋が走り出したら
君が止まらない~』
福山雅治だ。
声で直ぐ健太だとわかった。
『君の笑顔捕まえるのさ、きっと』
……聞き終わると同時に私は外に出た。
そこに健太も出てきた。
照れくさそうに私の顔を見て、健太は走って行った。
一緒に居た女友達は
『今のって、絶対告白だよ~』
と言ってはしゃいだけど、私もなんだか照れくさくて
『違うでしょ~?』
と言ったが、内心凄くドキドキしてその後は健太に夢中になった。
林間学校から帰ってきても、健太とはこれといって進展は無かったが、授業中アイコンタクトをとってくれたりして私は健太から目が離せなかった。
……告白しよう。
当時、私の学校は野球部は男女交際禁止だった。
顧問の先生はそれは厳しい先生だったし、男女交際が見付かった野球部員は酷い地獄のような練習をさせられていたのは私も知っていた。
でも、もっと健太と近付きたい。
“友達”よりもっと…。
中学時代の恋愛など、“恋愛”と呼ぶに値しない。
本当の恋がようやくやってきた気がした…。
武史の頃とは全く違う、“好きだから、近付きたいから、付き合いたい”という、まともな恋愛だった。
幼なじみの美奈から、
『6のつく日に何かを始めると長続きするんだって』
と聞いて、じゃあ6月6日に決行しよう!!と、単純な私は決めた。
6月6日。
やってきた……。
決戦の時。
どう言って告白しよう。
考えている間にも時間は過ぎてゆく。
その日の授業は全く身に入らなかった。
放課後。
いつも通り大きなバックを背負い部活に行く健太を呼び止めた。
学校の廊下だった。
『健太。』
恥ずかしくて健太を直視できない……。
『私を健太の彼女にして下さい。』
………言ったぁぁぁぁ!!!
健太は私以上に真っ赤な顔をして
『うん。』
と答えた。
『じゃあ部活行ってくるよ』
と満面の笑みでスキップでもしそうな感じで健太は部活に向かった。
私に初めて本当に好きな“彼氏”ができた。
高校一年の6月6日。
健太との付き合いが嬉しくて、何ヶ月も先のスケジュールに毎月6日は○ヶ月記念日♪と手帳がある分だけ書いた。
あれだけ興味深々だったsexに関しても、どうでもよくなった。
そんな事よりも、健太と一緒に居られる事。
友達以上の特別な存在だって事だけで嬉しかった。
まだ歪んでいない、真っ直ぐな恋愛だった。
当時はポケベルさえ持っている子は珍しかった。
それに健太は部活が夜10時近くまである。
私も放課後は部活、その後は道場に通い剣道の稽古に励んでいた。
土日もない。
学校の授業以外で会える事は滅多になかった。
電話して欲しい夜は、健太の自転車にメモをくくりつけて帰る。
そうすると必ず寝る前に電話をくれた。
そういう風に意志の疎通をはかっていた。
夏の甲子園への地方大会が始まった。
幼なじみの美奈は野球部のキャッチャー林君に片思い中だったので、いつも美奈と一緒に、試合の応援に行った。
残念ながら地方大会で敗退した日、私達は観客スタンドで泣いた。
まさに青春だった。
夏休みに入り、少し会える時間が多くなった。
夏休みは部活が午前中から始まるので、夕方6時半頃にお互いの家の中間点で待ち合わせた。
部活を終えてシャワーを浴びても、早く会いたくて自転車をこぐので結局着く頃には汗だくだった。
高速道路の高架下。
何をするでもなく、ただ二人並んでた。
私はもっともっと健太と近付きたかった…。
『健太、手ぇ繋ごう?』
勇気を振り絞った。
健太は軽く自分の手のひらをズボンで拭いてから、そっと私の右手を握った。
初めて握った、男の人の手……。
女の子とは全く違う。
厚みがあって。
少し硬くて。
でも手を繋いだだけで心が通った気がして、とても心地よかった…。
その後、高架下を手を繋いで何往復もした。
ある日、いつもの高架下ではなく別の公園で会った。
時間は7時頃でもう公園で遊ぶ子供達も居なくなって、私達二人きり。
芝生に寝ころんでじゃれてると、ふとした拍子に健太に大接近した。
顔と顔が今までに経験の無いくらいの、まさに今にも鼻がつきそうな距離……。
それまではしゃいでいた空気が一瞬にして変わった。
私は自然と目を閉じた…。
唇に初めての感触。
他に例えようのない、柔らかくて温かい。
健太の薄い唇が私の唇に重なった。
夕焼けのオレンジと夜空が交わる綺麗な空だったのを覚えている。
唇が離れた後、私は恥ずかしくてうつむいたまま健太に抱きついた。
健太は優しく、子供を寝かしつける時のようにポンポンと私の背中を撫でてくれてた…。
帰り道、
『私初めてだったんだよ』
と言うと
『マジで?!マジで?!やったぁ~~!!!』
と健太は叫んでいた。
『…健太は?』
と聞くと、
『俺は……違うよ。』
と言った。
少し残念だったが、健太は中学の時彼女がいたと聞いていたから納得した。
それより大好きな彼氏と、初キスができた喜びの方が嬉しかった。
夏休みが終わり、また学校生活が始まった。
私は健太の異変に気付く。
休み時間、いつも同じ女の子と喋ってる…。
その女の子は美佐江だった。
美佐江は真っ黒で真っ直ぐのロングヘアが印象的な女の子。
そんなには明るくはないが、陰気ではない。
ほどよい落ち着きがあった。
健太と美佐江の関係はクラスでも噂になる程だった。
私達が付き合ってるのは、あんまり公表してなかった。
男女交際禁止の野球部にバレないようにする為だった。
私は何だか怖くなってきた。
健太が美佐江を好きになってるんじゃないかと……。
休み時間の二人を見てると、すごく楽しそう。
見ていられなかった。
私は幼なじみの美奈に頼んで、健太に本心を聞いてもらった。
自分では恐ろしくて聞く勇気が無かったから。
美奈は申し訳なさそうに口を開いた。
『百合子の事も勿論好きなんだけど……美佐江の事も気になってるって』
美奈は一つ一つ言葉を選んでるようだった。
『大丈夫だから、はっきり言って。』
そう私が伝えると
『今は美佐江の方が気持ち大きくなってる……って言ってた。』
ショックだった。
それを聞いたからには、このままではいけない。
放課後、いつものように健太の自転車にメモをくくりつけた。
いつもなら、
“部活お疲れ様。
今晩声聞きたいから
電話下さい”
って感じだけど……。
今日の内容はいつもと違う。
“今日、どんなに遅くなっても電話下さい。
もし電話がなければ、健太の事は諦めます。
待ってます。”
その日、健太からの電話が鳴る事はなかった…。
そして私の初めてづくしの健太との恋愛は終わった。
あれから10年以上経ってお互い大人になったある日、健太から
『最後に手紙を自転車にくくりつけてた日、俺本当に本当に手紙の存在に気付いてなかったんだ。』
と打ち明けられた。
健太が言うには、手紙に気付いたのは私がくくった次の日の夜だったそうだ。
電話しようと思ったが、もう遅いだろうと思って静かに終わらせたとの事だった。
『なんで次の日でも電話してきてくれなかったのよ~』
と大人になった私は怒った。
あの高校一年の秋。
私達にもっと勇気があれば…。
私達にもっとお互いに向き合って、問題を一緒に乗り越えてゆく発想があれば…。
私はその後の恋愛も真っ直ぐに進めれたかもしれない。
健太とは別れた直ぐはなんだか気まずかったが、高校を卒業する頃にはとてもいい関係になっていて、今でも大事な友人の一人だ。
お互い“未練”とか“恋愛感情”などは全くない、大事な人になった。
“友達”…と言えば、それだけではない。
しかし“元カレ”…と言えば、それだけではくくれない。
友達以上に気に掛けてあげる。
でも、恋愛感情はない。
とても変な関係だと自分でも思うし、周りからもそう言われる。
健太は大学卒業後から彼女がいなかった。
誕生日は毎年一人で過ごす健太に忘れずに“おめでとう”と電話をしていた。
昨年、健太は知り合って3ヶ月の私の知らない人と電撃に結婚して、私の誕生日に毎年していた電話もお役御免となった。
健太の結婚に、心から嬉しく思っている。
素晴らしい人生を送って欲しい。
今でも健太は相変わらず“大事な人”である事は変わらない。
【勝彦との恋】
健太と別れて2ヶ月程した11月。
二つ上の仲良くしていた男の先輩に誘われた。
『今週末ボーリング行くんだけど、一緒に行かない?』
たまたま剣道の稽古も休みだったので、行く事にした。
『他にも男二人連れてくから。』
と先輩に言われたので、私も女友達二人連れて行った。
“一目惚れ”だった。
私が一目で恋に落ちたのは、先輩のバイト先の人だった。
名前は勝彦。
昭和46年生まれで、当時24歳。
高校一年の私からすれば、すごく大人だった。
小麦色に焼けた肌。
だいぶ前に染めてそのままだろうな…って思うような茶色のような金色のようなウェーブがかった肩まで伸びた髪の毛。
タバコを吸うしぐさも格好良かった。
大きな口を開けてガハガハ笑う無邪気な所。
全く気取らない勝彦が直ぐ好きになっていた。
その日は皆でボーリングし、カラオケに行った。
カラオケには自信があったが、勝彦を意識して上手く歌えなかった。
2、3日して先輩から電話があった。
『この前一緒に遊んだバイト先の人が百合子の事気に入ったみたいだから、電話してやってくれる?』
え~~~~!?
嬉しいっっ!!
直ぐに勝彦に電話した。
とりあえずこの前のお礼をして、しばらく話こんだ。
突然勝彦が
『俺、百合子ちゃんの事気に入ったから、付き合ってみる?』
と言ってきた。
嬉しくて仕方がなかった。
『うん。』
と返事をすると、勝彦は
『でも、付き合ってる事誰にも言わないで欲しいんだ。』
と言った。
24歳の勝彦が高校一年の私と付き合うなんて、世間体が悪いから……という理由だった。
私はそんな事どうでもよかった。
また、大好きな彼氏ができてたまらなく嬉しかった。
この勝彦により、私は遂に念願の“脱処女”の日を迎える事となる……。
勝彦との付き合いが始まった。
季節は肌寒い、高校一年の11月の終わりだった。
勝彦にはポケベルを渡された。
まだ数字入力しかできないポケベルだった。
ポケベルに勝彦の携帯番号が届くと、私が直ぐ電話した。
当時かなりの枚数のテレフォンカードを使った。
勝彦は免停中だったので、デートはいつも駅で待ち合わせて電車で街に出掛けた。
デートらしいデートはした事がなかったが、勝彦は大人だ。
健太の時は手を繋ぐのもあんなに緊張したのに、勝彦はいとも簡単に私の手を握った。
ウィンドーショッピングをしたり、街中を手を繋いでウロウロする。
映画を見たり、食事をするのも勝彦お勧めの店があったりして、そんなデートが出来る勝彦にどんどんハマりきっていた。
勝彦は口も上手だった。
私は右ききで、勝彦は左きき。
手を繋ぎながら
『俺が左ききなのは、百合子と手を繋いでも利き手が自由に使えるだろ?小百合と手が繋げるように神様がそうしてくれたんだよ。』
『それに並んで食事しても手がぶつからないし、全部百合子と一緒に居る為なんだよ。』
と言った。
当時私の姉は三年間付き合っている彼がいた。
その事を勝彦に話し、
『三年だよ~。長いよね~。』
と私が言うと勝彦は
『え~、短いよ。だって俺らは生まれた時から繋がってたんだから。』
とさらりと言った。
まだまだ純粋だった私は素直に嬉しかった。
そういう風に言ってくれる勝彦をさらに大好きになったし、全ての言葉を信じた。
12月の始め。
勝彦が
『Hしよう。』
と言ってきた。
あれだけ早く経験したかったが、いざとなると怖くなってきた…。
『私……した事ないから…。』
そう言うと勝彦は
『じゃあ日を決めよう。もう直ぐX'masだから、X'masにしよう。女って、そういう記念日みたいなの好きだろ?』
と言われた。
“女ってそういうの好きだろ”
その言葉が少し気になったが、勝彦の言う通りにした。
🌱皆様にお知らせ🌱
ご覧頂いてる皆様、有難うございます。
この度、一人前に感想スレなんてモノを立ててみました。
もしよろしければ、ご活用下さい。
更新出来ない日などは、そちらにてお知らせ致します。
どうぞ今後とも宜しくお願い申し上げます。
スレタイ
歪んだ恋愛~感想スレ~
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恋愛・彼氏・sex
です。
平成7年12月25日。
遂に来た。
私の人生で記念すべき日が……。
午前中、いつものように自転車で待ち合わせの駅に向かう。
いつものように電車に乗って街へと向かう。
X'mas当日。
街はX'masムード最高潮。
昼間は街中で、しっかりX'masデートをした。
でもいつもよりかなり緊張していた……。
だって、後数時間後には私はもう処女じゃなくなる…。
私の緊張は勝彦にも十分伝わっていた。
『すごく緊張してるね、大丈夫?でも今日は百合子が嫌って言ったって、スルからね。』
『一ヶ月も待たされたんだから。』
と言った。
お昼ご飯を食べ、私達はまた電車に乗った。
待ち合わせた駅まで戻り、私の自転車を二人乗りして勝彦の家へと向かった。
自転車二人乗りなんて、本当にカップルみたいで実は憧れていた。
小さな夢が一つ叶った。
道中、勝彦はジョークを言って和ませてくれたりして少しリラックスできた。
勝彦の家に着いた。
勝彦は自転車を庭に置き、自慢の愛車に私を乗せた。
バブルの産物とも言える、大きな黒いスポーツカー。
私を乗せてラブホテルへと進み出した……。
進み出した途端、物凄い緊張と不安が襲ってきて、体はガチガチ。
何も喋る余裕もなく、黙っていた…。
勝彦は
『こんな時オートマ車だったらなぁ~。ずっと手を握ってあげられるのに。』
と信号待ちの間にシフトレバーから手を離し、私の手を握ってきた。
とても温かくて嬉しかったが、信号が青に変わるとまたシフトレバーを握らなくてはいけない。
その手が離れる瞬間が、もの凄く切なかった……。
20分程して車が止まった。
ただの道端だ。
『ジュース買うから。百合子何かいる?』
と聞かれたが、緊張でそれどころじゃない。
『いらない。』
と答えた。
勝彦は350ミリ缶のりんごジュースを2本自販機で買っていた。
『Hすると喉が渇くし、ホテルのは高いからな~。』
と言っていた。
再び車が走り出し、ホテルの真ん前まで来た。
『シート倒して。』
と言われ、その通りに私は身を隠した。
ホテルの駐車場で、他の人に見られないように女性に対する気遣いだそうだ。
そして部屋に入った……。
…ここが…ラブホテル………。
駐車場から直結している階段を登って、勝彦がドアを開けてくれた。
小さな玄関。
中に入ると冷蔵庫やポットなどがあり、奥に大きなベッド。
大きなソファーにテレビ。
さらに奥にはドアが二つあった。
ちょっとしたマンションだ…。
どこかから連れて来られた猫のように、呆然と立ちつくす私…。
一方勝彦は、住み慣れた我が家のようにソファーにドカッと座りテレビをつけ、タバコを吸いくつろぎ始めた。
『百合子もそんな所にいないで、こっちおいで。』
と呼ばれて隣に座った。
かなりぎこちない歩き方だったと思う。
肩に手を回されキスをした…。
すでに心臓は爆発寸前。
『シャワー先に浴びてくる』と、勝彦は私を残して行ってしまった。
つかの間の休息もすぐに終わり、勝彦が出てきた。
『百合子も浴びておいで。』
と言うので奥の扉を開いてシャワーを浴びに行った。
あ!
ムダ毛の処理!!
朝わきをカミソリで処理したが、夕方にもなれば少し生えてきてる。
ふとアメニティを見ると“razor”と書かれた袋を見つけた。
カミソリ!!
英文科で良かった。
よし、これでもう一度処理しておこう…。
…でも、私が使ったってバレたら恥ずかしい……。
しばらく考えたが、少し生えてきてるのを見られるよりはマシだと思った。
ドア一枚隔てて、勝彦が居る。
本当に二人きり…。
ドアの向こうをかなり気にしながら服を脱いだ。
浴室に入ったものの……鍵がついていない!!
ラブホテル初入室の私は慌てた。
でも仕方がない。
次は“シャワーを浴びる”と言っても、どこまで洗ったら良いのかわからなかった。
髪の毛も洗うのかどうかに、一番悩んだ。
結局洗わずに、体だけをいつもより入念に洗って部屋に戻った。
勝彦はすでにベッドに移動していた。
ベッドの端に腰をおろした私を、後ろから勝彦が抱き締めてきた……。
『百合子。大丈夫か?』
優しく私に呼びかける。
キスをして…。
まだ誰も触れた事のない私の乳房に手を伸ばしてきた…。
勝彦は優しく私の乳首を口にふくんだ……。
それまで沢山のsex体験談の雑誌やHな本を読んできたのに、その記憶は全て頭の中では喪失していた。
ただ目の前の状況を把握しようとするが、それさえも出来ずにいた。
勝彦の頭がだんだんと下へ近付いた……。
『いやっ!』
思わず叫んだ。
『舐めてあげる。俺アソコ舐めるの、最高のテクニックだから。』
と言われたが、大好きな人にそんな所舐められるなんて出来ない!!
『お願いだから、それだけは止めて。』
と何度も頼むと、
『せっかく俺のテクニック披露してやろうと思ったのに…』
と言いながらも止めてくれた。
勝彦は胸や局部をしばらく触ってくれたが、私はほとんど濡れなかった。
極度の緊張からだろう。
一人でスル時はたとえ処女だろうと、濡れていた。
初めてのsexで、緊張しないなんて方が無理な話。
それでもわずかに潤いを見せた私の局部を察し、勝彦は自分のモノを私の入り口に当てた…。
『痛い!!』
本当に痛かった。
『まだ全然入ってないよ。』
と勝彦。
何度か入れようとチャレンジしたが、どうしても無理だった。
そのうち、勝彦は萎えてしまった…。
『ごめん。ごめん…。もう一回して。どうすればいい?』
と尋ねると、それじゃあ『俺のしゃぶって。』
『歯をたてずにくわえて……上下に動かして。』
言われる通りにしたら、勝彦の男の部分が再び元気になった。
もう一度チャレンジしてみる……。
『痛い~!!』
『痛いから止めて…』
そんな事を三回繰り返して、遂に勝彦は怒って
『もう止めたっっ!』
と言いソファーに行きタバコを吸い始めてしまった…。
私はうろたえた。
私のせいで、大好きな勝彦を怒らせてしまった…。
私は腹をくくった。
次はどれだけ痛くても我慢しよう。
『勝彦、ごめん。
次は絶対我慢するから。』
『もういいっ!!』
『本当に本当に我慢するから。お願い。怒んないで。』
『でももう大きくないし。…舐めて大きくしてくれる?』
『うん。』
という会話をして、勝彦はまたベッドへ戻ってきてくれた。
もう中断は許されない。
人生で初めて、腹をくくった瞬間だった…。
私の局部はすでにわずかな潤いはなくなっていた。
『入れるよ。』
!!!!!!!!
悲鳴さえも出ない。
私の体は強烈に強張っていた。
切り傷でもない。
打ち身でもない。
腹痛でも頭痛でもない。
“身を引き裂かれる”とはまさにこの事だ。
私は力の限り目を閉じ、手のひらを握り締めていた。
『入ったよ。』
勝彦の声で恐々と目を開ける。
『百合子の中に俺が入ってるよ』
一気に涙が流れた…。
勝彦は驚いた。
『痛いのか?』
確かにまだ痛みも和らいでいない。
『ううん。嬉しくて…。』
と答えた私にとびきり優しい笑顔で
『そんな、泣くな~。』と言いながら私を抱き締めた。
ただ“嬉しい”。
それだけだった。
脱処女が嬉しいんじゃない。
本当に心の底から大好きな勝彦に処女を捧げられた事が、嬉しかった。
勝彦が私に入ったまま、私は泣いた……。
人生で初めての“嬉し涙”だった。
念願の初体験を終えたものの、私が想像していた歓喜に満ちた快感は全くなかった。
痛みと、緊張そして恥ずかしさだけだった。
でもその痛みを乗り越えたとき、心は今まで味わった事のない程満たされた……。
初めてがこの人で良かったと心底思った。
処女を失った後、その証に出血が二日間止まらなかった…。
椅子に座るのも痛い。
でも私は少し大人になった喜びを感じていた。
年が明け、それから二度勝彦と体を重ねた…。
場所は毎回同じホテル。
どうやら勝彦のお気に入りらしい。
そしてお決まりのように、途中の自販機で350ミリ缶のりんごジュースを2本買った。
しかし、私は“快感”の二文字は程遠かった。
相変わらず私の潤いは少なく、sexをするのが2度目になっても3度目になっても、初めての時と同じ痛さだった。
アダルトビデオのように喘ぐ事はなかった。
勝彦はさぞかしつまらなかっただろう。
ある日、勝彦とケンカになった。
“彼氏”という存在と初めてケンカをした。
勝彦の会社でバイトしている私の先輩が、車の免許をとった。
学校の帰りに偶然会ったので家まで送ってもらった。
その話を何気に勝彦にすると、キレた。
『何で他の男の車に乗せてもらうんだ?!』
何でそんなに怒るのか理解できなかった。
だって勝彦もよく知ってる人だし、私なら知らない人の方が嫌だ。
でも勝彦は
『自分の知らない人となら一緒に居てもいい。
でも、自分の知ってる人とは何もやましい事が無くても、気になってしまうから嫌だ。』
と言った。
しばらく話したが、全く話が交わらない……。
私が
『それじゃあ、仕方ないよ。基本的な考え方が違うんだから。全く平行線だし。』
と言うと勝彦は
『もう俺ら終わりや!
我がの女に“考え方違う”とか言われたらもうやっていけんわ!!』
とキレた。
さらに意味がわからなかったが、とりあえずはもう勝彦の知ってる人でも二人で接触するのは止める……というので話がついた。
その件については、大人になった今でも腑に落ちない。
そんな事もあったが、私は勝彦の事が好きでたまらなかった。
しばらくして、勝彦は私に“パメラ”というグループの“I FEEL DOWN”という歌を繰り返し聞かせるようになった。
“いつもお前だけを愛してる、と言う彼氏を信じてたのに実は自分の他にも抱かれている女がいた。”
という内容の歌だ。
何年も後になって、もしかしたら勝彦はあの時私に悟らせたかったのではないか…と思った。
でも当時の私は“疑う”なんて言葉を知らないくらい、勝彦が大好きだった。
この歌好きなんだなぁ~くらいにしか思ってなかった。
その歌を私に聞かせるようになってから、勝彦と連絡がとりにくくなっていった……。
それでも全く不安にはならなかった。
私達が“別れる”なんて、1ミクロも想像してなかった。
私は勝彦からポケベルを渡されてたが、渡された時の約束があった。
他の誰にも番号を教えない事。
そして、勝彦が
『ポケベル返して』
という言葉がイコール
『別れよう』
という意味だという事。
そんな事、実際言われる瞬間まで忘れていた。
でも……。
別れの時は私の知らない所で、ゆっくりと近付いていた。
私達はよく映画を見に行った。
最初に二人で見たのはサンドラブロックの“あなたが寝てる間に…”だった。
2月に入り、バレンタイン前にサンドラブロックの新作がロードショーになる予定だったので、バレンタインデートでは映画“インターネット”を見に行くはずだった。
相変わらず勝彦とはなかなか電話も出来なかったが、次のデートの日にちも行動も決まっていたので私は楽しみにしていた。
2月7日。
授業中、勝彦からポケベルで呼び出される…。
休憩時間になり、走って公衆電話まで行った。
『もしもし?どうしたの?今日仕事お休み?』
久しぶりの勝彦との電話に声が弾んだ。
勝彦は
『百合子、愛してるよ。』
と、何度も繰り返し
『百合子は?』
と尋ねてきた。
それまで勝彦から“好き”と言われる事はあっても、“愛してる”と言われるのはこの時が初めてだった。
何か変な感じはしたものの、嬉しくて舞い上がった。
私も
『愛してるよ、勝彦。』と答えると
『それだけ言いたかったんだ。』
と言って電話を切った。
別れを切り出される3日前の事だった…。
バレンタインを直前に控えた2月10日。
夕方6時を過ぎて部活を終えた頃、勝彦からの呼び出し音…。
学校の目の前にある公衆電話から勝彦に連絡した。
勝彦は低い声でこう言った。
『今日ポケベル持ってきてるよね?』
『え?うん。』
『今から俺の会社まで持ってきて返してくれ。』
ベルを勝彦に返す…。
あ、別れるって事?
瞬時に頭の中で繋がったが、“今から勝彦に会える”という嬉しさの方が勝っていた。
『うん。わかった~。
15分くらいで行けるから~。』
やけに弾んだ声の私を勝彦は事態を理解してないのかと思ったらしく、
『ベルを返すって、どういう事かわかってる?』
と尋ねてきた。
わかってるよ、と答えると
『それならいいんだけど…』
と何か気味悪そうだった。
ベルを返す為に、自転車で勝彦の会社へ向かった。
その時も、私は“勝彦に久しぶりに会える”という喜びを感じていた。
もうずっと会ってない。
毎日していた電話も、最近じゃめっきり減ってしまっていた。
別れをしに行く。
そうわかっていても、会える事の方が嬉しかった……。
夕方6時過ぎといっても、季節は真冬。
冷たい風に辺りは真っ暗だった。
勝彦の会社の前で立っていると、見慣れた大好きな勝彦が走って向かってきた。
やっと会えた。
やっぱり男前だなぁ~。
なんて思った。
ポケベルを返すと、番号を誰にも教えていないか、勝彦は何度も私に確認した。
そしてもう一つ。
“生理はきたかどうか”を確認してきた。
『きたよ。』
と答えると
『前に付き合った奴で、別れてから妊娠してるなんていう女がいて、面倒だったんだよ。』
と言った。
結局その妊娠話は嘘だったようだが、勝彦はその時の怒りを私に話した。
私はその女性も、どうしても未練が断ち切れなかったんだろう…と思って心の中で同情した。
勝彦は別れ際に
『お前ガキすぎるんだよ』
と言って行ってしまった。
ガキ……。
そりゃそうだ。
高校一年生。
ろくにデートもした事の無い処女だった。
男が喜ぶツボもわからないし、駆け引きもできない。
勿論sexだって、勝彦にとっては楽しい物ではなかったはずだ。
勝彦が目の前から去っていって始めて“終わり”を理解した……。
やっと事態を理解し、呆然と立ち尽くした。
……帰ろう。
自転車に乗り、家へと向かったが全ての思考回路はストップしたみたいだった。
何も考えられない……。
それまでの人生、食欲がなくなるなんて事は一度もなかった。
そんな私が三日間食事できなかった。
食事もとらずに部屋にこもった私を母は心配した。
四日目。
バレンタインがきた。
皮肉にも最高のデート日和だった。
勝彦と見るはずだった映画も放映が始まっている…。
それまで止まっていた思考回路が急に動き出し、感情が溢れだしてきた。
私は公衆電話に走った。
プルル……プルル…
『はい。』
大好きな勝彦の声だ。
『百合子だけど、……もう一度考え直して。』
『もう終わった!!』
苛立った声で勝彦は言った。
『この前の夜で終わっただろ?!』
引き下がらない私に勝彦は
『好きなだけ喋ってたら?受話器そのままにしとくから。』
と言い残し、電話から離れたようだった……。
しばらく私は勝彦に心の声が届くように訴え続けたが、本当に受話器の向こう側には誰も居ないようだった。
諦めて私も受話器を下ろした…。
こうして私に“初めて”を沢山くれた勝彦との恋は終わった。
高校一年が終わりに向かう2月の事だった…。
それ以降、私は彼氏に“ずっと一緒に居よう”とか、“愛してる”というセリフを言わなくなった。
彼氏にそう言われても信じなくなった。
“ずっと一緒”なんて無い。
いつかは必ず“別れ”がやってくる。
そう思いながらでしか、付き合えなくなっていった。
今思えば、勝彦は最初から私と真剣に付き合うつもりはなかったのかもしれない。
でも、当時あれだけ好きだった人に処女を捧げる事ができた私は幸せだと、今でもそう思う…。
ただ、当時の失恋の痛みは私の心を歪めていった。
脱処女の相手だった勝彦は、私の中で忘れなれない人となり、たった2ヶ月ほどしか付き合わなかった勝彦を完全に吹っ切れるまで五年の歳月を要するようになる……。
そんなに心がダメージを受けているとは、その時はまだ知らなかった。
【雅也との恋】
高校二年になった私は、部活の合間をみてアルバイトを始めた。
お好み焼き屋さんだ。
その店では“女子従業員は必ずミニスカートを着用の事”という訳のわからない就業規則があった。
制服はエプロンを支給されたが、あとは私服だった。
そのアルバイト先で出会ったのが雅也だ。
雅也は私より二つ年上で、高校卒業後一部上場の電機メーカーに勤めていた。
雅也は高校時代にその店でアルバイトをしてたが、就職した当時も人手不足の為たまに手伝いに来ていた。
時々一緒に仕事をしたが、全くタイプじゃなかったし勝彦の失恋もまだまだ癒されてはなかった。
少しして“もしかして私の事好きなのかな”と感じてきた。
ある日店長と雅也と三人で仕事をしてる時、店長が
『百合子ちゃんって、男が乗る車って気にする?』
と聞いてきた。
高校二年の私は、本当は凄く気になった。
軽自動車なんかの助手席には乗りたくなかった。
当時雅也は高卒の新入社員。
私の嫌いな軽自動車に乗っていた。
雅也の手前、
『そんなの、全然気になりませんよ~。』
と答えた。
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