どうせ忘れるなら今日だけお願い

レス6 HIT数 96 あ+ あ-

小説ファンさん( ♀ )
24/09/08 10:35(更新日時)

明日になれば忘れてるから。
だからお願い、今日だけ俺を見て、俺を愛して。

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No.4133679 24/09/08 09:57(スレ作成日時)

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No.1 24/09/08 10:03
小説ファンさん0 ( ♀ )

プルルルルルル,,,


電話の着信音が鳴ったときから、なんとなく厭な予感がしていた。

「石川ゆかり様のご関係者様でございますね。石川様は今、事故に遭われて一日の記憶が―――。五年前のことは覚えておられるようですが―――。」
「はい、はい、」

気が付くと涙が流れていた。

No.2 24/09/08 10:08
小説ファンさん0 ( ♀ )

松島翔斗―20歳―大学生―同い年の石川ゆかりという彼女が居た

俺のプロフィールはこんな感じ。
車にはねられて見舞いに言ったときの第一声は

「誰?」

だった。あんまりじゃないか。

どうやらゆかりは五年前までの記憶はあるが、それ以降の記憶はなく、一日ごとに記憶が無くなってしまうのだそうだ。

No.3 24/09/08 10:15
小説ファンさん0 ( ♀ )

俺と付き合いだしたのは四年前。
おぼえている五年前までの記憶を、見事に交わした。

そう、ゆかりは俺のことを覚えちゃいない。
いや、知らないのだ。

最初に『誰?』って言われたときは冗談だろうと思った。でもゆかりは相手が困る嘘や冗談は言わない。
俺はゆかりのそこが好きだった。
そんな真面目の奥にみせる不器用さ、可愛さ、愛らしさ、か弱さ、全部が好きだった。

あとに医師から事情を聞かされたときは絶望した。

No.4 24/09/08 10:20
小説ファンさん0 ( ♀ )

俺は医師と廊下で話していたが、聞かされてからもう一度、猛スピードでゆかりの病室に向かった。

「また、あなた?」
「うん。また、俺。」
「あなたは誰?」
「俺は、『元』お前の彼氏。」

今のお前は前のお前と違うんだから、選ぶ相手も違う。俺がお前の彼氏だっつっても。。。

「どういうこと?」

もう止めてくれ。明日にはまた。。。

No.5 24/09/08 10:28
小説ファンさん0 ( ♀ )

俺は今までのこと全部話した。

ゆかりは只々黙って頷きながら、俺の目を見て話を聞いていた。
そういうとこ、ほんと変わってない。

俺が話し終わると、ゆかりは紙とペンを取り出してなにかを書いている様子だった。
「何してんの。」
「メモってんの。明日もそんな長い話させたら可哀想じゃない。私はまだ中3。あなたは大学二年生。忙しいでしょ。」
真面目か。

気遣いなのか哀れんでんのか。

てゆうか「明日も」って。

No.6 24/09/08 10:35
小説ファンさん0 ( ♀ )

>> 5 やっぱり好きだよ。
諦められない。
ズルい。ほんと。

ゆかりの言った通り、ゆかりはまだ中3。俺は大学二年生。
駄目なんだよ。好きなんだよ。大好きなんだよ。

「明日も来ていいの。」
「あなたの話聞きたい。てゆうかなんで顔赤くなってんの。」
「うるさい。翔斗って呼んで。」
「翔,,,斗?」
「ゆかりも赤いじゃん。」
「うるさい。あなたもよ。」

昔を思い出してしまう。思い出して欲しいと願う。

でもそれは叶わない。

明日になれば忘れてるから。
だからお願い、今日だけ俺を見て。

愛してなんて言わないから。多分。

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