犯罪者でもないのに。

レス1 HIT数 186 あ+ あ-

読者さん
24/07/16 03:03(更新日時)

彼は死にたいと言った。五年以上の付き合った相手と別れたそうだ。その女はIT会社の社長と結婚することになったという。彼はいっそのこともう死んだ方がマシだとうなだれていた。僕は彼の背中を優しく叩いて励ましの言葉をかけ続けた。

また別の日には知り合いの女友達が死にたいと連絡してきた。実は彼女は生来から自分の容姿に自信がなかったらしくそこに好意を寄せていた男から見た目についての暴言を吐かれたそうだ。僕からすれば彼女は綺麗だと思うのだが彼女にしてみれば自分の顔はどうやら最悪らしい。僕はしばらくの間黙って彼女の話を聞き続けた。それから美しい顔であるから全く気にする必要はないことを伝えた。

僕は思う。彼らは犯罪者でもないのに度々死にたいと言う。犯罪者が罪の償いとして潔く死にたいと言うならば理解できる。しかし彼らは普通一般の善良なる一市民である。それなのに死を望む。

僕はこの惑星を大きな刑務所のように感じたことがある。衣食住は満たされているのだが、人々は狭い部屋に閉じ込められており、本当の意味での自由を失っているのではないかと。広い牢獄の中で小さな自由を得て満足する毎日。そんな日常の中でふいに訪れる死への渇望。一体人類はいつになったら釈放されるのだろうか。そんなことを考えていた時期があった。

今、混沌とした時代にいて思う。ああこの人もあの人も大変なのだろうと。だけど彼ら
はきっと罪人ではないはずだ。ずるい事ややましい事を考えていたとしても、人間ならば誰でもあり得る一過性の思考であって、すんでのところで踏み留まる限り、彼らは犯罪者ではないのだ。そして仮に犯罪者であっても、償おうとする意志さえあれば、彼はやはり善良なる一市民に変わりない。

我々は刑務所にいる訳ではない。
地球と呼ばれる緑豊かな惑星で生かされている。

人間は全てのことを、明るく、楽しく、工夫しながら、前向きに進んでいくことが出来る、素晴らしき能動的な存在なのだ。それが長い歴史の中で導き出された答えだと思っている。そして我々はこれからも無限に変化していくだろう。

この惑星が刑務所のように感じられたあの頃とは違う感覚が、今の僕の中には確かに流れている。

あなたは犯罪者じゃないのだ。だから死にたいと思わなくていい。だから楽しく生きていい。是非ともその許可を自分に出してもらいたい。

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No.4096575 24/07/16 00:14(スレ作成日時)

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No.1 24/07/16 03:03
匿名さん1 

自分が犯罪者の様だなんてその人たち思ってないと思うけどな。

ただ単に絶望した状況にあっただけでは?

人生良い時も悪い時もある。

絶望状況では五里霧中のことが多いけど、その状況を俯瞰して離れて見る視点を持てるかが重要な気がする。そうすれば抜け出せるきっかけを掴めるかもしれない。

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