オーダーメイド
服を作る事の意味を見出だせなくなった世奈。
微妙な人間関係の中で、モデルとイメージと感情の折り合いをつけるため、世奈は、試行錯誤をくり返していくーー
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私にとっての彼女の第一印象は、なんだか、外国の絵本から抜け出たお姫さまのように思えた。
幸せに生まれてきたけれども、魔女やら、敵の国の王家やら、意地悪なお妃(きさき)様やらによってトラブルに引きずり込まれ、悲運の身となるが、やがて王子様というヒーローによって助けられ、末永く幸せに二人で暮らしていくという宿命を身にまとっているように見えた。
同僚にうながされ、冬美は、向かいのソファーに座った。
「、、、、それで?」
私が尋ねると、ゆったりとした横縞(よこじま)の半そでシャツを着ている同僚は、愛想よく、てきぱきと答える。
「だから、もうすぐ、次のシーズンの受け付けが始まるでしょう?こちらで、旅行用のワンピースを、ひとそろい作りたいんですって。ね、冬美ちゃん」
「はい」警戒している小動物のような瞳で、冬美が、うなずいた。
私は、目の前の二人に気付かれないように、かすかなため息をつき、机の上のパンフレットを手に取った。
同僚は、私の心情を知ってか知らずか、ペラペラとしゃべり続ける。
「あなたの腕だったら、そんなに長いことかからないわよね。冬美ちゃんも、いろいろ忙しいから、あまり待たされるのは、都合が悪いみたいなの。一ヶ月以内には、お届けしたいのよね。私のほうから、配達してもいいし。冬美ちゃんは、免許持ってるの?」
彼女は、首を振った。よくできたお人形のような、ゆるいパーマをかけた髪の毛が、首のまわりで揺れる。
「じゃあ、取りにこれないわよね?大丈夫。私がちゃんと手配するから。
この人の作る服は、今、一番売れ筋で、評判がいいのよ。仕立て直したりする手間もいらないわ。ちょっとした時間さえあれば、お望み通りの服が、完成するから。きっと、きれいで素敵な一着になるわよ。よかったわね」
機嫌良く話す同僚につられて、私も、笑顔になってしまった。
机の上には、今シーズンのコレクションのパンフレット。描きかけたデザイン画のデッサン。
ペンシルを手にとろうかどうか迷って、両手を、軽く組み合わせた。
「あなたは、他の所でも、服を作った事はあるの?」と、尋ねると、
「え? 、、、、いいえ」少し退屈そうにしていた冬美は、眠たそうな声で答える。
「いつもは、自分で買ってます。親の選んだ服は、あんまり着る気になれなくて、そのままになってることが多いし」
私と同僚は、一瞬、視線を合わせて、黙り込んだ。
「冬美ちゃんのファッションは、お友達の間で、人気があるのよ。ほら、このとおり、いいスタイルでしょう?何回か、雑誌にも出たことがあるのよね?」
「ええ、まあ」
冬美は、同僚に向かって、あいまいに首を振る。
なんだか、部屋の隅に置いてある西洋百合の匂いがきつくなったようで、私は、書類に視線を落とした後、冬美を見て、言った。
一気に話し終えた私の目をじっと見つめて、冬美は、「一ヶ月くらいだったら、できると思います」と、言い、ひざの上のバックから携帯電話を取り出して、「今日、申し込みできるんですよね?」と聞く。
「お父様のサインがいるわ」と、同僚が、連絡用の電話帳を手に取る。
同僚が、別室で電話をしている間、私と冬美は、手持ちぶさたになり、やがて、彼女が口を開いた。
「きれいなお部屋ですね」
パンフレットを手に取りかけていた私は、ちょっと微笑んで、
「ありがとう。スタッフがきれい好きなの」と、言った。
どうやらメールを受信したようで、冬美は、携帯電話の電源を入れようかどうか、迷っている様子だ。
やがて、同僚が、申し込み書を手に笑顔で戻って来て、二人は、手続きをするために、別の部屋へと立ち去っていった。
充樹と初めて会ったのは、もう十年以上前の事になる。
仕事がらみのパーティーで知人から紹介され、意気投合して、いつの間にか、お酒の飲み比べをしていた。景気のいい時代だった。
お互いにデザイン関連の仕事をしていたので、歴代のデザイナーについての議論をしているうちに、いつのまにか夜明けを迎えたり、新しい個性を持ったデザイナーのプロデュースを頼んだり、仕事仲間としては、ベストパートナーといえたと思う。
二人の歯車がずれ始めたのは、五、六年くらい付き合った時、普通なら結婚を考える頃だったはずだ。
私の友人の一人が、事業に失敗した。ひととおりの資金の問題で騒ぎになったあげく、私のオフィスにも、「つけ」は回ってきた。
「大した額じゃないから」
たしか、そういう一言だったと思う。
「そんなに、大きな痛手じゃないのよ。私のポケットマネーでなんとかなると思うし」
「なんとかなるって、本気で言ってるのか?」
「ええ。あなたに迷惑をかける事はないわ」
私がそう言うと、充樹は、細いフレームのメガネを外し、薄い色の瞳で、じっと、私を見た。
「どういう事だか、わかってるのか?」
「そんなに、心配しなくてもいいのよ。こういうトラブルは、今までも何回かあったでしょ?」
「オレが言ってるのは、そういう事じゃないんだ」
少し上目使いに、にらみつけるクセ。若い頃は、そういう充樹の何もかもが好きだと思ったけれど、その時初めて、その目付きを、怖いと思った。
「そいつと、特別な関係があったのか?」
「ええ?何言ってるの?あなただって、知ってるでしょう?一緒にお酒を飲みに行った事もあるし、、、、」
「何回か、一緒に組んで仕事したんだよな」
彼は、イライラした感じで、タバコを手に取り、一本くわえると、大きく煙を吐き出した。
「男が女にすがりついてくる時は、二つしか目的はないんだ。金か、その女自体か」
私は、少しカッとして、言い返した。
「、、、、じゃあ、あなたが今までしてきた事は何?私の知らない所で、女の子と遊んでいたんでしょう?」
「それは、君に会う前の話だ」
「それでも、金銭的な事で、つながりてるんでしょう?」
タバコの入っていた箱を、ゆっくり握りつぶし、充樹は、立ち上がって、窓際へと歩き出す。
「君に迷惑はかけてない」
「迷惑はかけてないかもしれないけど、都合の悪い話はあるのよね?私に言えないような事が」
「何を言いたいのか意味がわからない。いったい何の話だ、金の事か、女の事なのか?」
「お金の事よ」
私は、まっすぐ充樹の目を見つめて、言い放った。
「私達二人のための資金だったはずでしょう?どうして、他の女の子に、簡単に使ってしまえるの。私には、そのことのほうがわからないわ」
そこまで言うと、私は、チェアーから立ち上がり、コーヒーの入ったポットに手を伸ばし、コーヒーをカップへと注いだ。
しばらく黙り込んだあと、彼は、おもむろに口を開いて、ぽつりと言った。
「、、、、わかった。オレの力不足だった。君の大事な財産を守りきることができなかったのは、謝(あやま)る。でも、こちらにも、言い分は、ある」
私は、少し眉をひそめて、窓の外の風景を眺めた。
「とにかく、失敗した事業に、金は回すな。オレも、連中のことは、昔から知っている。君に、リスクは負わせたくない」
「リスク?」
私がそう言うと、充樹は、窓枠に手をついたまま、ゆっくりとふり返った。
「そう。リスクだ。会社が一つつぶれていく時に、それが君にとっては大したことがない規模の会社でも、どれだけ周りに被害を与えるのか、全然わかってない。君は、本気で、あの連中を助ける事ができると思ってるのか?」
窓の外では、やけにのんびりと平和そうに見える人々が、舗道を行き交っていた。一瞬、私も、何もかも忘れて、人々の群れの中に入り込んでしまいたいと、強く思った。
「、、、、わかったわ。じゃあ、こうしましょう。私は、あの人たちとの取り引きには、一切応じないことにする。あなたは、これからは、もう、遊び仲間の女の人たちとの約束より、私を優先する。そういうことで、もうこの話は、締めくくってもいいんじゃない?」
充樹は、しばらくじっと窓の外の様子に目を凝らしていた。
やがて、大きくため息をつくと、まるで何かに失望したかのような声で、言った。
「君の好きなようにしたらいい」
そして、机の上の書類を手に取ると、ゆっくりと歩き出し、疲れたような表情で、ドアを開けて出て行った。
乾(かわ)いた固い静寂が、部屋の中に残っていた。
その後、会社には、一本の電話が入っていた。
「布地が足りないので、空輸便で送って欲しい。急ぎではないけれども、前回よりも、薄く、光沢がある物を希望。
、、、、これは、誰が受けたの?」
「先月入った事務の子よ。なんでも、依頼者が、創立記念のパーティーで必要なんですって。事務室に行けば資料があるけど、ついでに持ってきましょうか?」
同僚が、大きな型紙をひとまとめに抱えながら、言う。
「いいえ、いいわ。後でパソコンで確認するから」
私は、来年度の春物のカタログの山を整理しながら、ふと、手を止める。
(あら、、、この名前は?)
どこかで聞いた事のある名前が印刷されていた。
思わず、その中の一冊を手に取り、ページをめくる。
以前、一緒に仕事をしたことのあるメンバーが、ファッションモデルの装(よそお)いと共に名前を連ねている。それはいいのだか、私の後輩の一人が、ライバル会社のブランド品のコーナーに名前を載せていた。
しばらく絶句して、あわてて思考をまとめる。
(そういえば、あの子、同業者と付き合ってるとか言ってたわね。その時は、気にも留めてなかったけど、、、、同姓同名じゃないわよね?これが事実なら、どうなるのかしら?)
ひととおりカタログに目を通して、机の上に放り出した。
(やっぱり、彼氏から引き抜かれたのね、、、、しょうがないわ、才能のある子だったもの)
ドアの向こう側からは、ひっきりなしに行き交う人々の気配が伝わってくる。
急に、疲れた気持ちになり、ダークな花模様のソファーに腰を降ろし、携帯電話でスケジュールを確認した。
知り合いからもらったエステの割引券が残っていたので、一日休みが取れないかと思い、チェックしたが、結局、今シーズンの企画が終了しないと、どうにもならない。
いっそ、何もかも、同僚に引き継いで雲隠れし、リフレッシュしてこようかとも思うが、そうすれば、帰って来た時、この会社に、私の席はもうないのだろうと、思う。
頭をぼおっとさせて、目を閉じていると、ドア越しにノックの音がした。あわてて体を起こし、
「どなたですか?」
と言うと、ノブが回り、隙間から
「こんにちは」
と、冬美が顔をのぞかせた。
「あら、、、、今日だったかしら?」
思わず、ファンデーションがとれかかってないか、鼻のあたまに手をあてて、冬美と目を合わせた。
ほとんど素肌のようで、リップグロスだけが目立っている彼女を見ていると、自分が、十も二十も年を取ったように思えてくる。
「ちょっと時間がとれたから、来ました。お忙しいですか?」
バレンシアオレンジとレモンの中間色のような丈の短いワンピースを着ている冬美は、部屋の中を見回して、ゆっくりとドアを開いた。
「忙しいのは、年中忙しいんだけど、今はいいわ。お客も来てないし」
私は、ソファーの上で、ゆっくりと体を起こし、脚を組んだ。
なおもじっと鏡の中の自分に見入っている冬美に、私は、背後で腕を組み、声をかける。
「あなたは、センスはあると思うわよ。だからこそ、お父様方も、ここに来て本格的な服作りを体験させようと思われたんだろうし」
「うーん」
くるっときびすを返し、冬美は、笑顔になった。
「どうでしょうね。私なんて、厄介者なんじゃないかな。親は、どっちも時々テレビに出て、成功した人みたいに言われてるし。お姉さんは、ブランドの会社で、もう幹部クラスだし。お兄さんは、大学院で将来有望な技術開発チームを立ち上げてるし。
私は、一家の広告塔みたいなものです。うちは、こんなにうまく発展してますよ、って」
「そうなの?」
私は、じっと彼女の目を見つめた。自分の声に、おもしろがっている響きが混ざっているのが、わかる。
「まあ、それぞれの家庭の事情は、いろいろあるでしょうね。悩みを持たない人間なんていないわ。それは、どうでもいいのよ。
自分のコンプレックスを乗り越えた人を、自立した人っていうんじゃないかしら。私はそう思うけど」
手前の机の上に広げた様々な布地の見本帳には、百以上の小さな正方形の、やがて服になるはずの布の切れはしが収められている。
この中には、外国や国内の女優が仕立てたドレスや、雑誌の撮影で使用された服と同じ型の布地が、あちらこちらに点在している。服飾に興味のある女性なら、誰でも、1ページ1ページを食い入るように見つめるはずだ。
冬美は、パラパラとページをめくっていたが、やがて、「私、こういうの、あまりよくわかんないんです。世奈さんのセンスにお任せします」と、ファィルを閉じた。
「そう」私は、ちょっと拍子抜けしたような、でも、なんとなく納得したような気もした。この娘(こ)は、お人形さんだからーー
「でも」冬美は、髪を揺らしながら、部屋の中を見回している。
「色は、白がいいかな。今付き合っている人が、白が、好きなんです。白い服を着こなせるようになったら、一流の女性だって」
「ーーそう」
私は、ふと、冬美の姿を眺めた。お姫様でお人形で、でも、独特の魅力を体内から放散させている、まだ、25才の女の子をーー
「ーー別に、隠すつもりじゃなかったんだけど」
冬美を私に引き合わせた同僚が、私の目を見ずに、言う。
「もう、すでに、知ってると思ったのよ。ほら、あの家は、ここのスポンサーとも、深いつながりがあるでしょう?それとも、何?まだ、充樹に、こだわりがあるの?」
冬美が、充樹の恋人であるというーーしかも、結婚が確定した仲であるという事が判明するのに、時間はかからなかった。
結婚!私と付き合っていた頃の充樹は、結婚なんていう言葉に、一番遠い所にいたのに。
二人の仲を知った事に、自分でも、驚くほどショックはなかった。ただ、あのお姫様は、どんな魔法を使って、充樹にプロポーズさせたのだろうと、ぼんやりと考えた。
「あなたしかいなかったのよ。あの子が満足するような服を作れそうな人が」
「別にーー 仕事は仕事よ。私は、何もこだわってないわ」
「そう?」
同僚は、そこで初めて微笑んだ。「さすが、世奈よね。正直言って、多少悩んだのよ。ほんとに頼んでいいのかなって。でも、あなたは、仕事に私情をはさむような人じゃないと思ってたのよね」
「ーーあと、二、三日したら、仕上げに出せるわ」
「よかった!じゃあ、間に合うわね。どうやら、新婚旅行用にするみたいよ。今、式の準備で大変なんだって」
同僚の言葉のひとつひとつが、私の中を素通りしていく。
こんな、ゆがんだ関係は、この業界で珍しい事ではない。上司と愛人が組んで新しい製品を作ったり、仕事上ではパートナー、裏にまわると敵同士、そういうのは数が多すぎて、人の噂にものぼらないほどだ。
「ーー新婚旅行だったら、華やかな感じがいいかしらね」
「あら、冬美ちゃんは、世奈のシンプルなデザインが、すごく気に入ってるらしいわよ。大丈夫。大人っぽいくらいのほうが、喜ばれるわよ」
私は、ふと、仮縫いの仕上げに入った、白いワンピースを思った。
あの服を着て、冬美と充樹が、旅に出る。
今まで、私と付き合ってた時も、さんざん女の子に手を出していた人だけど、この二人の組み合わせは、どうしてもピンとこない。
嫉妬とかではなく、充樹のキャパシティの中に、冬美のような女の子の入る場所があるのかどうかーー
そこまで考えて、自分が、客観的なのか、主観的なのか、わからなくなり、仕事用のファィルに目を落とす。
ーー関係ないわ。今さらどうなろうと。
昔の恋人の今の女の服に毒針を仕込むようなエネルギーも、今の私には、ないし。
そう思いつつ、パソコンで、冬美のワンピースの納品日をチェックする。
5月ーー すると、冬美は、ジューンブライドなのか。いかにも、お姫様らしい。
なぜか、あの二人の新生活が、想像できなかった。
おとぎ話のように、結婚したとたん、すべての話が終結してしまうような、そんな気がした。
5月の始めの週に、冬美が、やってきた。
最初に会った時と、ほとんど変わらない、お姫様のような印象。
花柄のキャミソールの上に、丈の短い半袖のジャケットを着て、細身のジーンズをはいている。
冬美の目が、ワンピースをとらえて、何か考えている。
「、、、、すごいですね」
「すごくなんてないわよ。あなたたちのほうが、最近流行のおしゃれな服を、よく知ってるんじゃない?」
「ちがいますよ。全然ちがう。シンプルだけど、きれいだし、こんなワンピース、街とか行っても、誰も着てませんよ」
「、、、、着てみる?」
「はい」
マネキンからワンピースを脱がせ、空いたスペースのカーテンを引き、「そこで、とりあえず今着てる上下脱いで。シューズは、そのままでいいわ」と、冬美に呼びかける。
ショルダーバックを机の上に置いて、冬美は、するするとキャミソールとジーンズを脱いで、下着だけになった。
バストもヒップも、成人しているとは思えない、ふくらみもくぼみも、大してない体つき。
ーー充樹は、この子の体に、満足しているのかしら。
再び、雑念がわき起こる。以前、私の首筋や胸を撫(な)でた指。腰にしっかりとまわした強い腕。
そんなもの全てが、今、この子に同じ事をしてるの?
一瞬で、過去の思い出から自分を取り戻し、冬美に白いワンピースを着せてやる。
「ぴったりです」
鏡に写った自分を見て、冬美がつぶやく。
「よかったわ。なんとか間に合って。もう少し、丈を短くしようかと思ったんだけど」
「このままでいいです」
「そう?」
私は、やさしくワンピース越しに冬美の背中に触れながら、その背中が、なんとなく、充樹の背中に似ていることに気がつく。
結局、男と女は、年齢とか、社会的立場とかではなく、体の相性なのかもしれないーー
「、、、、ファスナーが、少し浮いてるわね。折り込めば、目立たないかもしれないわ」
そう言って、冬美の背中のファスナーの留め具を少し下げながら、私は、その白いワンピースが、以前担当した外国のナース役を演じた女優がまとったコスチュームに似ている事に思いあたった。
(ーーまあ、いいわ。この子に限らず、女は、一生、男のナース役を演じるのかもしれないわね)
冬美は、じっと、鏡の中の自分と、ワンピースに見入っている。
私は、目をそむけて、机の上にある次の服のオーダーの書類に、目を落とした。
その横にある、次のコレクションのパンフレットに目がとまり、気付くと、新作のドレスのアイデアが次々と浮かんできた。
ビル街を広く見渡すことができる窓の外からは、せわしない喧騒と、人々が集う声が響いてきて、部屋の空気を揺らし続けている。
〈End〉
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