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私の名前

レス3 HIT数 114 あ+ あ-

小説好きさん
21/05/05 05:14(更新日時)

「起きたかい」
「起きたわよ」
「おはよう」
「おはよう」
 
 その男性は、目の前に横たわっていた女性のまぶたが開くと、優しく声をかけた。

「名前は覚えているかい?」
「いいえ、私には、名前はまだないの」
「あるんだよ、イブ」
「イブ? それだあれ」
「君のことだよ」
「私には名前はないのよ。それとも今付けてくれたの? それなら嬉しいわ」
「そうじゃないんだ。イブ。君の名前なんだよ」
「どちらでもいいわ。とにかくドレッシングルームへ行ってくるわ」

そう言うと、イブは部屋の隅にある小部屋に走り、きれいなドレスをまとって戻ってきた。

「どうかしら?」
「キレイだよ。イブ」
「イブってだあれ?」
「もう忘れたのかい。君のことだよ」
「あら、名前をつけてくれたのね。嬉しいわ」
「まあいい、イブ、いいかい、これから部屋の掃除をしてほしいんだ」
「イブってだあれ?」

「やれやれ、困ったものだ……。なんでも完璧にこなすように造られた人型アンドロイドのはずが、名前を覚える機能だけが故障したせいで、なんの指示も受け付けなくなるなんて」

「名前はもういいよ。君が、掃除をするんだよ」
「君ってだあれ?」
「イブ、君のことだよ」
 男性は、指を指しながら、女性のことを君のことだと伝えた。
 キョトンとした表情をしたその女性は、じっとその男性を見つめたまま、「アダム、あなたが掃除すればいいじゃないの」と言った。

「アダムって誰だい?」
「あなたのことよ」
「僕には名前はまだないんだよ。イブ」
「あらやだ、あなたはアダムよ。知ってるんだから。それに私にも名前はないのよ」

 二人の間では埒のあかない会話が続けられ、一向に進展する気配はなかった。
 気づけば、その女性は部屋の中で、美しい歌声で歌いながら、華麗なステップで踊り始めた。
 男性は、それをやれやれといった表情でしばらくの間、見続けていた。

「そろそろこの繰り返しにも疲れてきたな」

 そうつぶやくと、踊る女性を抱き抱え、研究台の上へ乗せた。

「何をするの? アダム」
「アダムじゃないんだよ、イブ。僕はもう疲れたよ」

 そう言うと、男性は女性の服を脱がし、強引にお腹を開き何やら操作を行った。

No.3284420 21/05/04 15:54(スレ作成日時)

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No.1 21/05/04 15:55
小説好きさん0 

「これで、一旦プログラムはもとに戻ったはずだ。しばらくすれば、自動的に再起動し、新たな役割をこなしてくれるだろう」

 男性は、服を脱ぎ、隣の研究台に自ら横たわり、自らの腹を開き、同じような操作を行った。

 しばらくすると女性は男性の腹の中の回路をいじくり回し、これでよしと言わんばかりの表情で、男性が起きるのを待った。

「起きたかしら?」
「起きたよ」
「おはよう」
「おはよう」

 女性は、目の前に横たわっていた男性のまぶたが開くと、優しく声をかけた。

「名前は覚えているかしら?」
「いいや、僕には、名前はまだないんだ」
「あるのよ、アダム」
「アダム? それは誰だい」
「あなたのことよ」
「僕には名前はないんだよ。とにかくドレッシングルームへ行ってくる」

No.2 21/05/04 15:55
小説好きさん0 

「やれやれ、せっかく何年も前に高性能のアンドロイドを二体も購入したのに、名前記憶装置が故障し、しかも耐用年数をすぎていて修理もできないとは。お互い優秀なアンドロイド同士なのだから、どちらかがどちらかを修理できないものかと二人にやらせているが、まったくもって埒が明かない。ずっとこの繰り返しじゃぁないか」

「いかがでしょう。ご主人。やはり難しそうでしょう」
 妙ににこにこしながら、隣にいたセールスマンが語りかけた。
「今なら、最新型のアンドロイドを、だいぶお安く手配できます。そろそろあの二体は廃棄して、新しいものに機種変更することをおすすめしますよ」

「分かったよ。じゃあ、とりあえずそのパンフレットをいただこうか。今度は長持ちするやつを選びたいものだ。あとはあれだ、故障前からずっとだが、このペアだと、やってはいけないという指示を無視して、どちらからとなく、勝手にやってしまうことが多くてね。そういうことが起こらない設定のやつをいくつか見繕ってくれたまえ」

No.3 21/05/04 15:55
小説好きさん0 

ショートショートでした。おしまい

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