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最後の明治

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ウタカタのロマン（ ♂ TJxaob ）
19/11/20 15:01(更新日時)

episode １「人生の終わり」

ピピピ・・ピピピ・・ピピピ・・

個室に鳴り響く電子音は、この男の耳には最早、届いてはいない。

看護師の女
「てっ・・鉄治さん！聞こえますか？」
「鉄治さぁん！」

ピピピ・・ピピピ

険しく緊張した顔つきの看護師の目に涙が浮かんでる。

この今にも、息絶えそうな男の名は・・岡崎鉄治と言う。

頑固一徹の気難しそうな名前からは、想像出来ぬ程のお人好しな好好爺で、曲がった事が嫌いな性格ではあるが、スケベでお調子者な所が玉に瑕である。

この様な性格も手伝ってか、看護師からは、名字ではなく、鉄治さんとか、スケテツの愛称で呼ばれていた。

東京は神田育ちの生粋な江戸っ子で、37年前に連れ合いを亡くし、20年程前までは、なんと現役で小学校の教師を生業にしており、近所界隈では「てっつぁん」等と呼ばれて、非常に親しまれていた。

今は、白い病室の中で、天井を見つめ、息絶えようとしていた。

病院の表には、警備員と大勢の報道陣が待機して、男の最後の時が来るのを待ち構えてる。

野暮な連中である・・・。

それとは別に、男の最後を気配を消しながら、静かに見守る姿が闇の中にあった。

時は、202X年、令和の時代に移り数年、今この時に日本中が男の最後を見届けようとしている。

この男は「最後の明治」である。

明治生まれ最後の一人が、この岡崎鉄治なのだ。

政府は既に、この男に国民栄誉賞、殊勲賞を授与する事を決めている。

今この男は、30数年前に死別した、妻の若い頃の・・・「尻」を想像しながら、息絶えようとしている。

苦しく悶えている表情からは、伺い知れないが・・・実は、ニヤケているのだ。

最低である・・・。

ピピピ・・ピピ・・ピピ・・ピピ・・

ピー・・・・・・・・。

ゆっくりと、辺りがフェードアウトする様に、男の視界に闇が広がりだして、男からは音も視界も完全に消えた・・・。

ジーッ・・カチ、カチ、カチ・・

ボーン！ボーン！ボーン・・・

古びた柱時計が３時の時刻を知らせながら、部屋中に鳴り響いてる。

鉄治
「ん・・・あれ？・・死んだんじゃ？」

鉄治は、目をゆっくりと、見開き辺りを見渡した。

鉄治
「ん・・なんだ？どこだい、ここは？」

ゆっくりと、起き上がり回りを見渡した。

男
「いやー気が付かれましたか？」
「・・・岡崎さん」

と、長髪で細身の男が、アンティーク調の椅子に深々と腰掛けながら、此方を見ている。

その男が、スッと立ち上がり足音も立てずに、こちらに近付いてくる。

右隣に人の気配がするのを、この時初めて気付いた鉄治に

女
「わー！お気付きになったんですね？」

「良かった！」

と、明るく朗らかで、若く黒髪で清楚な女性が嬉しそうに、声を弾ませていた。

細長の男が気付けば、直ぐ間隣に立っており、それに驚いた鉄治は、思わず声を上げた。

鉄治
「うわーっ！びっくりしたーっ！何でぇ！お前さん方は！！」

細長の男
「まぁまぁ・・落ち着きましょう岡崎さん、驚くのも無理はないが、今はもう少し横になってお休みなさい。」

to be continuous・・・

19/09/25 22:39 追記
先日、一度書きましたが、荒さが見つかり、以前のものを閉鎖して新たに、書き直しました。

今や貴重な明治生まれの男の、人生のリスタートをコミカルでファンタジーに書こうと思います。

初心者なんで荒さにご容赦を(笑)