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低収入だけど優しくて暴力(DV)をしない旦那ならいい?
言い方とか、誹謗中傷等したりはやめて下さい。原因はなんだろね
私が悪いのですが、新入社員に腹が立ちます。

麗香の微風

レス142 HIT数 5586 あ+ あ-

自由人
21/04/05 20:56(更新日時)

私は麗香


そう、名前なんてどうでもいいの


毎日生きて行けるだけで


こんな私に興味を持ってくれた貴方


そう、貴方の事です



好きになってもいいですか?



遠い昔にそんな事を言われた記憶が



あったわね




No.2868003 19/06/19 00:47(スレ作成日時)

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No.51 19/08/04 08:24
自由人 

宮町とは毎週末に宮町の家の近くに私が車で迎えに行きその足で行きつけの「如月」に行く事が多かった





如月でお店の咲ちゃんが宮町が行くとよくカウンターについて水割りを作ってくれる





宮町がトイレに立った時、「前の彼女は歌が上手くてよく歌っていたのよ」





トイレから戻った宮町に「ねぇ宮町の彼女さんは歌が上手かったの?」「誰がそんな事を言った!」






「咲ちゃんが教えてくれたんだよ」「もう、、」





宮町は咲ちゃんがカウンターの前に来ると「やめてくれよ~、前の事話すなんてルール違反やろ」怒って言った






前の彼女は旦那さんがいて宮町とは5年付き合っていたと聞かされていた





宮町とエッチすると旦那とはしたくないと言っては宮町を困らせていたとの事だった




No.52 19/08/06 23:51
自由人 

そんなある日、拓が通っている小学校の担任から拓の事で話をしたい。と連絡ノートに書いてあった





何の話だろうと小学校の職員室に行くと担任の青木先生がかしこまったように





「お母さん、実は拓君が本屋さんで本を万引きをしたと一緒にいた同級生の田中君が教えてくれました。」







思いもよらない話に心臓がドキドキした。「田中君がそんな事しちゃあダメだよ!」と言ったけどそのまま持って来てしまったとの事だった。





「私がその本屋さんに電話をして事情を話しましたら、初めてだと言う事で本人に謝りに来るように言われましたのでとの事です。」






私は「ご迷惑おかけして申し訳ございません。」と言うと青木先生は「お母さんあまり拓君を叱らないで下さいね。本人は反省してもうやりません、と言ってますから」






私はただ頭を下げるしかなかった。「お母さん私も父親が居なかったので拓君の気持ちがよくわかるのです」






「もっと拓君の話を聞いてあげて下さいね」「ご迷惑おかけして本当にすみません。その本屋さんに明日、拓と謝りに行って来ます」






先生の優しさに涙が出そうだった。






No.53 19/08/07 19:18
自由人 

次の日の夕方、仕事を終えてから拓と先生に聞いた本屋さんに謝りに行った。





拓に「この本屋さんだった?」と聞くと「うん」と頭を下げた




意を決して、レジにいる店員さんに「すみません、店長さんいますか?」と聞くと怪訝そうな顔をしながらも奥から年配の男性を呼んで来てくれた





「あの、うちの息子が本を万引きしてしまったと学校で聞いたものですから、、大変申し訳ありません」





すると店長は「本来なら警察に連絡するところですが、子供さんも小さいし初めてと言う事ですので、こうやって来られたと言う事もあり、今回は警察に連絡はしません。」





「私の不届きでご迷惑をおかけして申し訳ございません」拓と頭を下げるしかなかった。





「ただしこの次は警察に連絡しますので」






拓が持っていた本を差し出した。640円の車の本だった。「ごめんなさい、、」
小さな声で言った。








No.54 20/02/24 10:31
自由人 

あれから時が経ち拓も6年生になった



宮町とは相変わらず週末に会っていた



宮町の家の近くまで車を運転していき車の中で宮町を待つ



10分ほど待っていると宮町が姿を表す



宮町を乗せた私は隣街にある馴染みのお店に車を走らせた



お店ではママさんが「いらっしゃい!」と笑顔で迎えてくれた

No.55 20/02/24 10:49
自由人 

30分も過ぎた頃宮町がカラオケでリクエストを入れた




十八番の細川たかしの「一緒に暮らそう」だった




とまどう時に上目遣いで♪



爪を噛む癖はなおってないんだね♪



お前を見ていると俺も昔を思い出す♪




この曲は私と宮町のテーマソング、、私は勝手にそう決めていた




0時も近くなった頃「そろそろ出ようか」





ほろ酔いかげんでいい気分、、






私は車で近くのホテルに入って行った








No.56 20/02/24 18:50
自由人 

息子が中学生になるまでは宮町は毎週末は家に泊まっていた。




さすがに中学生になった今は家に泊める訳にはいかなくなった。




そんな私達が愛し合うにはホテルに泊まるしかない。




一緒にお風呂に入ると私の身体中に石鹸を付けて優しく洗ってくれた。




スケベ椅子と言うものがあるのを初めて知った。




お返しに今度は私が宮町の身体を洗う番だった。




お風呂に浸かると宮町がキスをしてきた。そのままお風呂の中で結ばれた。




ある時は宮町が激しく動く度に空気が入るのかあそこの中でキュッキュッと音がした。




その音がお風呂中に響き渡り恥ずかしさでまた興奮して来るのだった。






終わると宮町は優しくキスをしてベッドに戻って行った。




私は身体の火照りを静めるようにしばらく湯船に浸かっていた。




宮町によって心も身体も充たされていた。


No.57 20/02/24 21:39
自由人 

シャワーを浴びてベッドに戻ると宮町は静かに煙草を吸っていた。




私はバスタオルを脱ぎ捨ててベッドに潜りこんだ




しばらく天井の鏡に映った自分の顔をぼんやりと見ていた。




「どう、仕事は上手くいってる?」




あれから私は仕事を変わっていた。




仕事を辞めると奥さんに言ったら、何故か社長から電話がかかってきた。




何とか引き留めたいようだったがもう無理だった。私はもう決めていた。




パートで生活をしていくのは無理だった。



No.58 20/02/25 00:35
自由人 

宮町には社長の事は黙っていた。別に付き合っていた訳ではないから特に話す必要はなかった。




近くの大型スーパーが人を募集している事を知り合いに聞いた。





その地域では馴染みのない名前だった




ハンドバッグと靴のお店のチラシが目に付いた




正社員ではないが地元のパートの社員を募集していた。





給料を調べて見ると今の仕事よりは4万円ほど高かった。





面接は2週間後になっておりオープンは1ヶ月後だった。




宮町に相談すると麗香がやりたいのならやってみたら、、と言われた





さっそく履歴書と写真を用意して面接に行く事にした。

No.59 20/02/25 21:01
自由人 

面接日には多くのおばさんもとい、女性が来ていた。




確か3階建てで3階が映画館になっており当時では珍しく客席が画面によっては動く仕掛けになっていた。




何とか面接に受かり社員の研修が始まった。




ハンドバッグと靴の店は専門店ながら同じ系列店だった。




正社員は主に若い人が多く地元の女性社員が準社員として雇われていた。




社員の人達は私達おばさん社員に仕事を覚えて貰おうと必死だった。




3階の映画館に新入社員?を集めての合同の研修だった。




トイレの時間になるとトイレが混みあい中には男性トイレの個室に入るつわものもいた。


No.60 20/02/25 21:24
自由人 

最後の研修では舞台に上がり全社員の前でひとりひとりが「ネ○ステージ○○、今発進!!」




「一生懸命頑張ります!」と大きな声で叫ばなければならなかった。





まるである宗教団体のようだと思った。





それが終わるとそれぞれの部署に移って細かい研修が始まる事になった。





お客様の対応など正社員の人達は優しくも厳しく指導をしていた。




ハンドバッグの包装の仕方も丁寧に何回も練習した。




特にハンドバッグを入れた大きな箱の包装はとても難しかった。





1日の研修が終わるともうくたくただった。

No.61 20/02/26 00:38
自由人 

オープンが近くなると正社員の指導にも熱が入り緊張感が増してきた



レジの打ち方から朝、一番でお札を100円硬貨に両替してくるなど初めてやる事ばかりだった



そんなある日正社員の岡田さんがバイヤーの山崎さんを私達に紹介した




山崎さんは「初めてで大変でしょうがみんなで頑張って行きましょう!」と私達を激励してくれた。




山崎さんはいかにもやり手のキャリアウーマンと言う感じのハキハキした身のこなしをしていた。




紹介が済むと忙しそうにバタバタと動きまわっていた。





とうとうオープンの日がきた。





10時近くになるとお客様を迎える為に私達はお店の前に並んだ。




No.62 20/02/26 23:28
自由人 

賑やかな声と共にお客様がそれぞれの店に吸い込まれてゆく




私達、準社員もそれぞれの接客に入り声をかける




並べてあるバッグを物珍しそうに次々と手に取っては元に戻す




財布やポーチなどカラフルな色合いのものがよく売れた




お客様を鏡の前に案内しては「よくお似合いですね」と声を掛ける




「そう?」満更でもなさそうだった




初めての接客だったがお買い上げ下さったのは大きな手応えを感じた




ハンドバッグと靴のお店は予想外の売り上げがあり正社員の人達は嬉しそうだった

No.63 20/02/27 19:25
自由人 

それから3ヶ月ぐらい過ぎて接客にも慣れた頃




お店に年輩のお客様がやって来た




大きなブランドのバッグをお買い上げになり、プレゼントにしたいから箱に入れて欲しいとの事




その日は生憎私ともう一人準社員の2人で対応した




バックヤードに行って箱を探し、箱の大きさに合う包装紙を取り出した




お客様の前でもう一人の準社員の近藤さんが得意と言う事で包装をする事になった




包装を見ていたお客様の顔がだんだん険しくなってきた



近藤さんのラッピングが上手くいかないみたいだった




慌てて駆け寄るとラッピングの終わりの始末が端に寄ってしまっててこずっているとの事だった




2人でラッピングしようにもどうにも上手く出来ない、、、




お客様は呆れた顔で「まぁネ○ステージの社員ともあろうものが、、、」




「申し訳ありません、、、」





何とかラッピング出来たものの2人して汗だくになってしゅんとしてしまった。




気を取り直して接客しているとあっという間に正社員の人とシフトの時間が来てしまった


No.64 20/02/27 20:15
自由人 

それから数日が過ぎ近藤さんと私はバイヤーの山崎さんに呼ばれた




「あなた達もっと真剣に仕事をして下さい!」




「はい、、、」




(だったら大きい箱のラッピングの仕方をもっと練習させてくれたら良かったのに)




私達はどれだけ大変だったのか、、、




一方的にあーだこーだ言われるだけでは話が何も頭に入って来なかった




確かにバイヤーさんは大変でしょうね




お客様がいない時の社員達の無駄話は何?






そんな時2階の靴売り場で面白い出来事があった




何と展示していた靴をお客様が履いて行き代わりに汚れた汚い靴が置いてあったらしい




は?社員の人達は何をしていたの?




何のお咎めもなし、、、ですか




ひどい目にあったような話になってる、、




何だかね、、、







No.65 20/02/28 23:02
自由人 

それから半年過ぎた頃、仕事が終わって家に帰ると拓が指に包帯をしていた





「何で包帯してるの?指にケガでもしたの?」




「宮町さんが包丁の使い方教えてくれると言ったので教えて貰ったら指を切った。」




「えー!何も聞いてないけど大丈夫?」





「大丈夫。大した事ないから、、、」





その夜宮町から電話が掛かってきた。




「拓の事なんだけど包丁使わせたの?」




「いや、拓が包丁使った事ないと言ったから教えてやろうと思ってね。まさか指切ると思わんかったよ。」




「今まで包丁使った事ないから!最初から上手く包丁を使うなんて!無理だよ!」




「はじめから本物の包丁を使った方が使い方を覚えると思ったから!」





宮町の郷里は漁師だったから宮町は魚を捌いたりするのは得意だった




「ありがたいけどケガをするような教え方をしないで欲しいの。宮町みたいに包丁を使いなれて無いから」





「わかったよ!もう何もしないから!電話切るわ!」





こんなやり取りは仕事で疲れた身体には余計に応えた


No.66 20/02/28 23:42
自由人 

宮町とは相変わらず週末に車で近くまで迎えに行き




行きつけの居酒屋で飲んだ後、ホテルに泊まる日を送っていた




ある日宮町を送って行く前に行きつけの喫茶店でモーニングを食べていた





ポロン♪ポロン♪





宮町の携帯が鳴った





宮町は携帯を取って着信を確認するとテーブルに置いた





まだ鳴り続けている携帯を見た私は





「出なくてもいいの?出たら?」





宮町は携帯を取り「もしもし宮町ですけど、、、」





「電話ありがとうね。はい、はい、じゃあまたね」






私は黙ったままコーヒーを飲んでいた





宮町の家の近くまで来ると車を降りるとき




「麗香に余計な詮索をされたくなかったから電話に出たんだ。また電話するから」




宮町はそういいながら車のドアを閉めた

No.67 20/02/29 10:01
自由人 

お客様が来ない時はお店は暇だった




ハンドバッグをお店に出したり、並べ替えたりした




私は服を見たり試着したりするときは店員さんはいない方がいい




鏡の前で自由に横を向いたり近付けて見たり、店員さんがじゃまになる




時にはお店の人が声を掛けて来るとサッと立ち去ったりする





たまに高い服を勧められたりする事があるから






自由に服を選びたいだけなのだ





だからお客様が入って来てもしばらくは声をかける事はしない





何か聞いて来たら一緒にあれこれ見ては選んであげる





笑顔でお買い上げ頂いた時はとても嬉しい



No.68 20/02/29 10:36
自由人 

そんな時阪神淡路大震災が起きた





休憩室の大型テレビに亡くなられた方の数が映し出されていた





周りの人達は言葉もなくただ画面を見ていた





横に倒れて崩壊した高速道路の映像は衝撃的だった





明日は何が起きるかわからない






この仕事は合わないのではないか、と思い初めていた





鬱々とした気分の日が続いた





仕事に入れば無理にでも笑顔で対応していた




No.69 20/02/29 20:32
自由人 

眠れない毎日が続いた、ある日無理がたたったのか熱が出た




でも、代わりの人がいないから出てくれと言われ38度の熱があるまま立ち続けた




近藤さんが「どうしたの?顔色が悪いわよ」「大丈夫です、、」





正社員の人に話をしたらしく「麗香さん、今日は帰っていいから」




「すみません、、、」





近藤さんが「お大事にしてね。気を付けてね。」と声を掛けてくれた





迷惑をかけているのが申し訳なかった





それからは身体が言う事を聞かなくなった




「もう無理だ。辞めよう」





ハンドバッグの店に勤めて半年が過ぎていた

No.70 20/02/29 21:13
自由人 

2日振りに出勤した。今日は店長が2階の靴の店にいるとの事だった。




休憩時間に店長の所に行き、周りりに迷惑をかけていて体調も良くないので仕事を辞めたいと話をした。




「えっ、どうしたの?突然そんな事言われても、、代わりもいないから。困るよ」





「申し訳ないんですけど、もう無理なんです」





「せめて今週いっぱいは出てくれないかな」






「わかりました」





あの後、どうやって帰ったのか全く覚えていなかった




最後の日、店長に保険証を返しに行ったが居なかった




私は仕方なく社員室の入り口にある事務所に店長に伝えてくれるよう言付けて帰る事にした




事務所を出る時、近藤さんが私を探していたのかバタバタとかけてきた




「本当に辞めるんだね!また店に遊びに来てね。」





「ありがとう、今までありがとうございました。」

No.71 20/02/29 21:25
自由人 

雇用保険が貰えないので直ぐに仕事を探さなくてはならなかった




生活に不安はあるものの鬱々とした気分が無くなったのは不思議な気がした




団地から車で10分位の所にある会社が人を募集していた




何と図面が読める人と言うめったにない条件だった




前の会社で図面を書いていた私には好都合だった




さっそく電話を掛けると「社長の都合があるので明後日来て下さい」との事だった


No.72 20/03/01 11:01
自由人 

その夜、宮町に会った時面接日が決まった事を話すと



「それは良かったな。上手く行くといいな!今日は咲ちゃんの店に飲みに行こう」




咲ちゃんは如月でチーママをしていた
お店を出すのに宮町もお金を出したらしい




宮町と咲ちゃんは20年来の付き合いらしい




咲ちゃんの店の名前は『クラビクラ』と言う。珍しい名前だった




お店のドアを開けると咲ちゃんが「いらっしゃい!」と笑顔で迎えてくれた





いつの間にか宮町はボトルをキープしていた




お店はシックな感じで落ち着いた雰囲気だった




「乾杯!」




咲ちゃんのお店のオープンをお祝いして咲ちゃんと3人で乾杯した



No.73 20/03/01 18:44
自由人 

面接の当日、朝から緊張して落ち着かなかった




午後1時の面接に合わせて家を出た




5分前に会社に着いた




建物の横に階段があり、階段を上がって行くと会社の入り口らしき物があった




「あの、今日1時に面接をする事になっている麗香と申しますが、、」






事務員らしき人が出て来て「どうぞ、こちらでお待ち下さい。」と長椅子に案内された。




5分ぐらい待っていると年配の社長らしき人が部屋に入ってきた




慌てて立ち上がると「あ、そのままで」と言いながら手前の長椅子に座った




履歴書を差し出すと袋から出しては「ふん、ふん、」と言いながら「図面を書いていたのかね」と聞かれた




「はい、少しだけですが」




「なるほど、いつから来れるかね」




「はい、明後日からで宜しければ」




「じゃあ明後日の9時に来て下さい。社の者には話しておくから」




話が上手く行き過ぎて驚いたが生活の事を考えると正直、嬉しかった。

No.74 20/03/01 20:51
自由人 

拓が高校受験で公立の志望校に受かり少しは肩の荷が軽くなった気がした。



宮町に話すと「良かったな~。お祝いに拓の好きな焼き肉でも食べに連れていってやろうか!」と言った




拓の進学を祝ってくれる宮町の気持ちが嬉しかった




宮町と付き合って8年が過ぎようとしていた。




新しい会社は自動車関係の部品を作っていた




会社に着くと綺麗な女の人が来て『里英』と言います。宜しくお願いします。」と言われた




「麗香さんにはワイヤーカットと言う機械があるのでそれをやって貰います。」




と言いながら一緒に階段を降りて行った。後で解ったのだが里英さんは社長の娘だった。




No.75 20/03/03 19:16
自由人 

このところ宮町は前のように毎週末には飲みに行かなくなった





県人会の友達と飲みに行く事が多くなり、何故か日曜日の朝家に来るようになった




家に来て新聞を読んではのんびり過ごしてはお昼過ぎに帰って行く





私は前のように喫茶店に行きモーニングコーヒーを飲んでまったりしたいのだ、そう言うと





「行って来れば?俺はしばらく家に居るから」と言った。宮町は家の合鍵を持っていた





宮町を置いて一人で出かける訳にも行かず





『何か倦怠期の夫婦みたいだわ』そんな気がした





今日も宮町は午前中はのんびり家で過ごし、「来週は飲みに行こう!また電話するから」と言ってお昼近くに帰って行った



No.76 20/03/04 00:23
自由人 

週末の土曜日、宮町は約束通り拓を焼き肉に連れていってくれた。




最初は遠慮していた拓も宮町に「好きなだけ食べていいから」と言われ肉を焼こうとしたら




「最初はタンから焼かないとダメだ」と言われ自由に食べられなかった




考えると私はタンを拓と食べたりした事がなかった





「タンは焼きすぎると固くなるから焼きすぎない内に食べた方がいいぞ」宮町は拓に言いながら食べ始めた。





その後はどんどんハラミ等を網に乗せていきみんなでたらふく食べた。





1時間もするとお腹がいっぱいになり拓も満足そうだった。





拓はあまり話をしなかったが宮町に「受かって良かったな!」と言われ軽く笑っていた。





私は宮町が「俺はあいつの父親にはなれないからな」





と言っていた事を思い出した。そうだね子供がいない宮町には子供の気持ちは理解出来ないんだわね。






理解しようとしないんだね、、

No.77 20/03/04 18:53
自由人 

ワイヤーカットの仕事は面白かった。右周りとか左回りのコマンド等を覚えてはプログラムを確認したりする。




銅線に電気を通して水を掛けながら鉄の部品をカットすると言うものだった。




ワイヤーカットに張り付いて見ていると社長が側を通った。




30分程過ぎた頃里英さんに呼ばれた。




麗香さん、手が空いてるでしょう?2階にある放電もやって貰いたいの。




ある機械の前にいた男の人に私に仕事を教えるように頼んだ。




「麗香と申します。よろしくお願いします。」と言うと




佐藤さんと言うその人は「解りました」と言った。




会社の人達にも少しずつ慣れて行った。



No.78 20/03/05 21:16
自由人 

社長の娘である里英さんは社員より1時間遅く出勤していた。





社員は制服を来ているが里英さんはいつも私服だった。ワンマン社長のせいか誰も咎める者はいなかった。





社長は2人乗りのスポーツカータイプのベンツに乗っていた





社員はおっさんの癖にあんな車に乗って、、と陰では言っていた。





社長は昔、女がいた事があって奥さんが女の所へ乗り込んで行った事があると言う話を古くからいる社員が噂をしていた。





会社は社員が20人くらいおり年末はいつも忘年会をやっていた。





その年は社員が15人くらい参加して盛り上がっていた。





忘年会は社員のお兄さんがやっていると言う居酒屋で行われた。






No.79 20/03/06 06:50
自由人 

会社に入って2年が過ぎ現場の仕事を手伝う事もあった




ある時その現場の市原さんが「今日、仕事が終わったら




T駅の前にアランと言う喫茶店があるだろう。そこでコーヒーでも飲まない?待ってるから」




と言う。別に会社の同僚だし、予定はないから行ってもいいかな。そんな気持ちだった。




「うーん、行ってもいいけど、、、」




「じゃあ、待ってるわ」





市原さんは私より若い気がした、少しハゲてるけど、、




でもそれが気にならない何かがあった


No.80 20/03/17 22:10
自由人 

仕事が終わって『アラン』に行くと駐車場に市原さんの車が止めてあった




ドアを開けて『アラン』に入って市原さんを探すと窓側の席に座っていた




私の顔を見て照れたように笑った。仕事以外に外で会うのは何故か新鮮な気がした。




市原さんの前の席に座ると「何飲む?コーヒーでいい?」と聞いた。




「この店よく来るの?」





「いや、会社から近いのはこの店だと思ったからね」





「麗香さんが頑張ってくれるから助かるよ~。ところで麗香さんて年いくつなの?」





「いくつに見えますか?」





「いや、女の人は化粧するからね。年はわからないんだ」





「そうか、、44歳です。会社の人には内緒にして下さいね」





「そうなんだ~、俺と4つ違いだね。もっと若いと思ったよ。」





「やっぱり年下だったのね。なんとなくそんな気がしてたわ」





「あっ、今俺の頭見ただろう。だめだよ!誤魔化したって!」





何故か二人して笑いこけてしまった





No.81 20/03/17 22:28
自由人 

仕事の話をしたりしていつの間にか1時間が過ぎていた




「この後どうする?少しドライブしない?」





「でも、車で来たから、、、」





「じゃあ車置いておいでよ。家近いんでしょ?俺が迎えに行くから」





「うん、、、わかった。○○棟の202号の前の道で待ってます」





「わかった!じゃあ先に行ってて!直ぐ迎えに行くから!」





仕事と同じく少し強引な市原さんのペースで出かける事になった





私の迷いがそうさせたのだろうか、、


No.82 20/03/17 22:55
自由人 

車を家に置いて窓から外を見ていると市原さんの車が近付いて来るのがわかった





私は慌てて階段を降りて行った





車に乗り込むと市原さんはスピードを上げて走らせた




となり街に入ると「この街は原田さんが住んでるんだよ。見つかるといけないからこれを掛けてくれる?」





そう言うとダッシュボードからサングラスを出しては私に掛けるように言った





私がサングラスを掛けると「あんた以外とサングラス似合うね。謎の女になるね!」





いつの間に私は「あんた」と呼ばれた





別に「あんた」の女でもないのに、、、






市原さんは結婚していて子供が3人いる事や奥さんが夜の相手はしたくないから






よそでわからないようにやってと言われたとドキッとするような事をポツポツと話した





何でも保育園に行ってる子供と一緒に寝てしまうので





後で寝室に戻って来いと言ってもそのまま寝てしまうので喧嘩になると言う事だった




挙げ句の果てにもう疲れて面倒くさいから夜の相手はしたくないから私にわからないようにやってと言われたらしい







No.83 20/03/17 23:52
自由人 

いつの間にか海が見えてきた




「ここでたまに釣りをするんだ、、」





「そう、、」





「麗香さんは釣りをやった事ある?」





「ないけど、、、」





「じゃあ今度釣りに行かない?釣竿とか俺のを貸してやるから」




「やった事ないのに釣れるかしら?」




「大丈夫!教えてやるから」





対岸の明かりが仄かに揺れていた





「そろそろ帰るか!」





車を運転する市原さんの横顔がゆらゆら揺れていた




泣かないでひとりで♪



微笑んで見つめて♪





ラジオから安全地帯の曲が流れていた





1時間ぐらい車を走らせると私の家に着いた




「じゃあ!またね!おやすみ!」





そう言うと市原さんは車をゆっくり走らせて帰って行った

No.84 20/03/19 22:05
自由人 

金曜日、久し振りに宮町から電話があった




「麗香、明日飲みに行こう!7時に迎えに来てくれ!」




「はーい、解りました。楽しみにしてまーす。」




仕事が終わって拓の夕飯の準備をしてから宮町を迎えに行った。



いつもの場所に車を停めて宮町を待つ




こんな付き合いいつまで続くのだろうか




宮町が歩いて来て車に乗り込んだ。「来週おばさんが友達と旅行に出掛けるから家に来るか?」




宮町は奥さんの事をおばさんと呼んでいる




「ふーん、でも行っていいの?」




「こんな時でもないと家に来れないだろ」




私は宮町さえいればいいので特に家に行きたいと思った事はなかった

No.85 20/03/19 23:13
自由人 

次の週の金曜日、仕事中に市原さんが「明日、デートしようよ!お昼一緒に食べよう!11時に迎えに行くから。」




そう言って会社の更衣室に入って行った




土曜日、11時に外を見ると市原さんの車が止まっていた。慌てて私は階段を降りて行った




『キャットカフェ』でお昼を食べようと言う事になりとなり街まで車を走らせた





もうサングラスは掛けていない。そこはサンドイッチが美味しいお店だった。




食事が済むと車を走らせながらがんこな社長のエピソードなどをこことばかりに話した




車はプラネタリウムに着いた。




プラネタリウムは拓が中学生の時に行ったきりだった




家族連れや若いカップルに混じって久し振りにはしゃいだ気分になった




こんなデートは久し振りだった。その時は宮町の事は忘れていた。


No.86 20/04/04 14:14
自由人 

その後は、市の図書館に行った



隣街の図書館に行ったのは初めてだった



自分の住んでいる街の図書館よりも大きくてビックリした




帰りにびっくりドンキーでハンバーグセットを頼んだ



今日のデートはお金のかからない所ばかりでとても新鮮に感じられた



家に着く途中に田んぼ道に入りしばらく音楽を聴いていると



市川さんは静かにキスをしてきた



「送って行くね!ありがとう。」




「楽しかったわ」




しばらく車を走らせた。




「何で、あんたは俺に付き合ってくれたの」




市川さんが聞いて来た




「あんたは旦那がいるんでしょう?俺が可哀想だと思ったの?」




「違う。そんなんじゃない、、」




何故か私にも解らなかった、理由などなかった



宮町の顔が頭に浮かんでいた


No.87 20/05/07 00:00
自由人 

いつしか家の前に着いた。



気まづい空気を振り払うように「気を付けてね。おやすみなさい」と言うと




市川さんは黙って頷いた




私が家に入り窓のカーテンを開けて市川さんの車を見ると




それを合図の様にして市川さんは車を走らせて帰って行った。




次の日、出勤すると市川さんは何事も無かったかの様に忙しく働いていた。




その夜、宮町から電話があった。




「今週、飲みに行こう!元気でやってるか?麗香」何やらバックから騒がしい声が聞こえて来た。




「飲んでるの?」




「飲んでるよ!今週飲みに行こう!」




「はーい、解りました。あんまり飲み過ぎないでね」




「じゃあ、また電話する!」




何なんだ、今の電話、、




私と宮町の関係が落ち着いている証拠何だろう。勝手にそう思っていた。





No.88 20/05/07 01:52
自由人 

木曜日の午後、仕事中に市川が麗香さん、と呼び止められて紙を渡された




そこには「今日、会えない?仕事終わったらいつもの喫茶店で待ってる」と書かれていた。



私は迷ったけど行く事にした



仕事が終わって喫茶店に行くと市川の車が止まっていた




「車を置いておいでよ!迎えに行くから。」




「わかった!」




私は家に車を止めに行き市川さんの車が来るのを待った




しばらくすると市川さんの車が見えた。私は慌てて車に乗り込んだ。




「この前は俺が言い過ぎた!ごめん。」




「別に気にしてないから良いです」





近くの田んぼ道の空いてる所に車を停めて1時間ぐらい話をしている内に辺りは暗くなってきた




「あのさ、、、」と言うと突然市川さんが覆い被さって来た




助手席の椅子を倒してキスをしてきた





私は抵抗したけど無理だった、そのまま結ばれてしまった





「これからも会ってくれる?」





「あんたの彼は子供いないんだろ。気を付けなくてもいいからなんて言ってるけど種無しだろ、、、」




「そんな事関係ないけど、、、」




「もう暗くなってきたから送って行くから」


No.89 20/05/08 01:21
自由人 

子供がいない宮町の事をそんな風に思った事は無かった、、




家に帰ると何かがおかしかった




その時は拓の携帯の調子が悪かったから伝言みたいな事を書いた用な気がする




宮町は家の合鍵を持っていた




そこには(遅くなるから何かあったら連絡してね!)と拓に伝言を書いてたんだろう




宮町が家に来て伝言を見たらしい事が後で解った




その週末に宮町から電話がかかって来る事は無かった




今までの私ならあり得ない事だとすぐ気が付くはずだった











No.90 20/05/10 13:18
自由人 

その週の土曜日に宮町から電話があった



「宮町だけど、今日飲みに行こう。今から迎えに来てくれ。」





「はーい。解りました」いつもと変わりない宮町の声




迎えに行くと宮町はすでに来ていた




「しおんに飲みに行こうか!」




しおんは最近見つけた飲み屋だったが、如月と違って騒がしい店だった。




12時近くになり、コンビニで宮町の好きなワンカップを買って近くのホテルに入った。




シャワーを浴びてベッドに入り、いつものように愛し合った。




そしていつしか眠ってしまった。






明け方に目が覚めると宮町は静かに煙草を吸っていた。私は宮町の煙草の匂いが好きだった。




ふと、宮町が私に気が付いた。





宮町は「麗香、木曜日の夕方はどこにいた?」




「会社の人とお茶してた、、」




私はドキドキしながら平静を装って言った









No.91 20/05/11 01:23
自由人 

「そうか、、、」





宮町はチラッと私を見て





「麗香、本当の事を言ってくれ!今なら許してやるから、、、」





「、、、」





「家に行った時に連絡してくれと書いてあったのは何の事なんだ!」





やっぱり宮町は家に来て書いてある伝言を見たのだ





「あれは拓に連絡が取れないといけないから書いておいただけなの!拓の携帯の調子が悪いから、、、」





最初は何を言っているのかわからなかった





「宮町の事が嫌いなら言ってくれれば良かったのに、、、」






「もう、別れようか!」





「なんで?どうして、、、」言葉に詰まった





気まずいまま仕度をして、黙ってホテルの階段を降りて行った




そのまま宮町を家の近くまで送って行った




宮町は振り向きもせず自分の家に向かって歩いて行った




(私だって8年待ってるのに)





言葉にならない呟きだった


No.92 20/05/12 00:24
自由人 

それから何日も眠れない日が続いた



私は宮町に本当の事を話そう、きっと宮町ならわかってくれる




嘘は付きたく無かった




それから1週間後、宮町から電話があった




「話したい事があるの」





「そうか、、、明日朝、マーメイドに来れるか?」





マーメイドは宮町の街にある喫茶店だった





朝、マーメイドに着くと宮町が車の中で待っていた





宮町は車に乗るように手招きをした





車に乗り込むと「話しがあるんだろ、どうなんだ、、、」





「ごめんなさい、、、私もなんて言っていいのかわからなくて」





「、、、」





「会社の人に誘われてて、1度だけ、、、」





「その人の事は好きなのか?」





「、、、」





「好きでもないのか!好きならわかるけど好きでもないのになんでや!」




「そんなの相手の男がかわいそうやんか!」





「そんなんでなんで俺に抱かれたんだ!あんたのやってる事は如月のママと一緒やんか!けがわらしい!!」





「もう、降りてくれ!!」





宮町の怒りは凄かった





私は黙って車を降りた


No.93 20/05/12 00:49
自由人 

車の中でどれくらい時間がたったのだろう




まさか宮町と別れる事になるなんてなんて、、、




テレビで誰かが言っていた





好きな人が浮気をしたら本当に好きだったら許せないから別れる、好きな人の事がどうでもよかったら別れない





宮町は本当に私の事を愛していたのだろう





それから2日仕事を体調が悪いと休んだ






3日後、朝7時頃、宮町から電話があった





「麗香、、なんでなんだ、、」





「あの、、宮町、、ごめんなさい」





宮町も苦しんでいるんだ





それきり電話は切れた





宮町と別れる事がこんなに苦しいなんて、自分を責めて苦しんだ





ただ、ただ涙がこぼれた





私が初めて愛した人、そして身体で愛し合う歓びを教えてくれた人










No.94 20/05/12 02:04
自由人 

それからは宮町の事を忘れようと仕事に没頭した




定時が近い時間の納品も進んでやるようにした



そして、ある日糸がぷつりと切れた




いつしか妹に電話をしていた



妹と待ち合わせをしたのは奇しくも如月と言う喫茶店だった



宮町の行きつけの如月だった



如月は名前こそ変わっていないが時代の流れに押されたのか



喫茶店に変わっていた



店の奥を見ると着物を着た女の人がおしぼりを用意していた




かって「ちあきなおみ~」と私を迎えてくれたあのママだった





相変わらず着物が似合っていたが少しくたびれたような後れ毛が淋しげに見えた



ママはおしぼりを置いてコーヒーの注文を取るとさっさと店の奥に戻って行った




妹の顔を見ると思わず涙がこぼれてきた




「どうしたの?彼と何かあったの?」




妹は宮町とは顔を合わせた事があり知っていた




今までのいきさつを話した




「それは姉さんが悪いわ。すんでしまった事は仕方がないけど別れたくなかったら本当の事を話しちゃダメだわ!」




「話したら許してくれると言ったから本当の事を話したんだけど、、」




「男は口ではそういうけど、そんなもんじやないわ!」




「、、、」




「いくら嘘でも何にも無かったと言わなきゃ!そんなもん男が許す訳無いんだから」




「、、、」





「私は女優よ!みたいな気持ちでやらなきゃ!本当の事なんて黙っていたらわかりゃあしないんだから」




恋愛経験豊富だとのたまう妹の言葉にますます落ち込んでいった




後からわかった事だが妹はこの時不倫をしていた




旦那さんと子供3人いての不倫に旦那さんの顔が浮かんだ




相談した相手を間違えた、とさすがの私も冷静さをなくしていたのだった

No.95 20/05/13 01:21
自由人 

それから数日たった夕方玄関のチャイムが鳴った




誰だろうと思いながら玄関を開けると宮町が立っていた




「これ、、返すから」




手元を見ると部屋の合鍵だった




言葉もなく受け取ると




「これも、、、」




見覚えのある封筒だった




私が宮町にあげた手紙の数々が入っていた、宮町に対する想いがつまっていた



「じゃあ、、、」




そう言うと宮町は階段を降りて行った




私はなすすべもなくその場に立ちすくしていた



これは自分がした事の結末だった




何を言えば良かったのだろうか、許してくれると言ったのに、と泣いてすがれば良かったのだろうか


No.96 20/09/01 19:18
自由人 

それからしばらくは何事もやる気が起きなかった。



拓は高校を卒業してある会社に就職が決まっていた。




拓の担任は就職が決まった時「こんな事言うと何だけどまさか拓君が決まるとは、、、」




と驚いていた。担任なのに受け持ちの生徒の就職が決まったのに、良かったですねの一言も言えない人なのか




拓は小遣い稼ぎに吉野家でずっとアルバイトをやっていた。




母子家庭の私としては小遣いをあげる余裕などなかったのでこれが凄く助かっていた。




「ありがとう!拓」



No.97 20/09/01 22:07
自由人 

それから1ヶ月が過ぎた頃、会社で現場に行くと市川さんに呼び止められた。




「麗香さん、久しぶりにお茶しない?」




「え!なんですか?」




「最近、元気がないみたいだね。お茶しないか?」




市川さんは側に来て私の顔を心配そうに見ながら言った。




この人の事が原因で宮町と別れたのだ。私は心がざわざわしてきた。




「すみません、、、」





そう言うと慌ててその場を離れた。





宮町はもう私の事など忘れたのだろうか



No.98 20/09/01 23:13
自由人 

その次の日、現場で調べ物をしていると市川さんが話しかけて来た




「今度、気のあった仲間で食事会やるんだけど麗香さんも来ない?」





「いや、家の兄貴が店をやっててね。そこでやろうと思ってるんだけど」





「ふーん、石川さんも出るの?」石川さんは古参の事務員で私とは気が合う人だった




気晴らしになるかも、、、と思いながら出席する事に決めたのだった





この事が思いもよらない出会いになろうとはその時は思いもしなかった


No.99 20/09/01 23:48
自由人 

それから10日ぐらい過ぎた日の夕方職場の仲間がA駅の近くの店に集まっていた




全部で14、15人位はいただろうか





女の人は私と石川さんと職場のアイドルの順ちゃんの3人がいた





市川さんが「石川さん達もこっちの部屋に入って!」




通された部屋に入るとお刺身とか天ぷらなどが美味しそうに並べられていた





「美味しそう!」順ちゃんが声をあげるとみんな思い思いにテーブルに着いた





石川さんが周りの人達にビールをついでいたので私と順ちゃんもビールをついだ




すると市川さんが「皆さん遠慮なく飲んで食べて下さ~い!」





と言うと歓声が上がり「かんぱい~」とあちらこちらでグラスを重ねていた



No.100 20/09/02 01:18
自由人 

それから1時間近く過ぎた頃だろうか、
突然会場の電気が突然消えて真っ暗になった




みんなは一瞬何事が起こったのか解らずに静まりかえった






すると突然、隣の人が私の手に何かを握らせた




しばらくすると電気が付いた。その後は何事もなかったかの様に飲み会が続いた





私は恐る恐る手に握らされたものをそっと見てみた





それは営業の加藤さんの名刺だった





裏返して見ると『もし宜しければ電話を下さい!』と書いてあり携帯番号が乗っていた





思わず隣の加藤さんを見ると向かいの人にビールをついで話をしていた





まるで名刺を渡すタイミングを見計らった様に、突然電気が消えた事が不思議な感じがした





その後、加藤さんと特別に話す事もなく飲み会はお開きになった



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