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麗香の微風

レス142 HIT数 5588 あ+ あ-

自由人
21/04/05 20:56(更新日時)

私は麗香


そう、名前なんてどうでもいいの


毎日生きて行けるだけで


こんな私に興味を持ってくれた貴方


そう、貴方の事です



好きになってもいいですか?



遠い昔にそんな事を言われた記憶が



あったわね




No.2868003 19/06/19 00:47(スレ作成日時)

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No.142 21/04/05 20:56
自由人 

するとその隣にいた洋子さんも「麗香さん、はい」と包みを渡してくれた



「うわー、嬉しいありがとうございます!」




多い時は6人いた事務の女の子も2人だけになってしまった




餞別まで貰えるとは思っていなかったので本当に嬉しかった



それから30分程過ぎた頃、これでお開きにしたいと思います



最後に麗香さん一言と言われた




「本日はお忙しい中私の為にお集まり頂きありがとうございます。至らない私が今日まで仕事を続けられたのは皆さまのお陰だと思っています。




どうか皆さまもお身体に気を付けてください。本当にありがとうございました」




深々と頭を下げるといつの間にか拍手が起こった



みんな、みんな本当にありがとう






あれから20年が過ぎた今



この会社は10年前に倒産してしまった



そして社長は3年前に亡くなった

No.141 21/04/05 08:19
自由人 

会社を辞めて1週間、これからの生活を考えるとのんびりしていられない



俊の紹介で面接を受ける事が決まっただけでもまず第一歩だ



俊と付き合っている事は知られないようにしなくてはいけない



送別会は近くの飲み屋さんでやる事に決まった



当日には現場の人達もたくさん来てくれた



もちろん経営サイドは社長初め娘の理恵さんも顔を出していなかった



ベテランの近藤さんが音頭を取って「麗香さん、お疲れさまでした。まずは乾杯!」




そう言うとみんなで乾杯してくれた




近藤さんは職人気質の人で仕事に厳しくて気難しい人だった



初めてやる仕事でミスをすると、「こんなもん知っていて常識だわ!」と頭ごなしに言われた事があった




現場の仕事は初めなので知らない事ばかりだった



だから不安を抱えながらやっていた時にバーっと言われた時は泣きそうになった



そんな人だけど仕事を離れると気さくなところがある人だと解った



全部で14,5人も来てくれたらだろうか、本当にありがとう!



2時間も過ぎる頃隣に座った順子ちゃんが「はい!」と何やら手渡してくれた。



「まあ、嬉しい!ありがとうございます。」




No.140 21/04/05 01:22
自由人 

午前中はテレビを見てまったりと過ごした



「麗香ちゃんの仕事の話を社長に話したら




『面接をしてどれくらい図面がみれるのか見てから決めたい』と言ってたから面接の日にちを決めてもいいかい?」



「そうなのね。仕事は辞めたからいつでもいいのでよろしくお願いします」



「じゃあ、明日社長と相談して日にちを決めるから」




「来週、会社の人達が送別会をやってくれるんだって」




「それはいいなあ。俺の時は何もやってくれなかったぞ」




俊が辞める時は会社の人達と仕事で摩擦があったからやらなかった、と言うよりやって貰えなかったのだろう

No.139 21/04/05 01:04
自由人 

朝になって目を覚ますと俊はいなかった



慌てて階段を降りて行くと俊が「麗香ちゃん、おはよう!」と言った



「おはようございます」と言うと




「コーヒー飲むかい?」




「はい!頂きます!」




「そこに座ってて!今からパンを焼くから」
そう言うと





食パンにオレンジマーマレードを乗せてその上にチーズを乗せてオープントースターに入れた



私は椅子に座って俊のやる事を見ていた



「はい!コーヒー出来たよ」




「ありがとう!」



(チン!)パンが焼けたので取りに行くと俊がお皿を出してくれた




テーブルには目玉焼きとサラダが並んでいた



「いただきます!」




手を合わせてパンにかじりついた



「美味しい!」



オレンジの甘さと濃厚なチーズが混ざりあって美味しかった



「美味しいだろう!」



こんな風に焼いて食べるのは初めてだった






私は今でもたまにこのオレンジマーマレードのチーズ焼きトーストを作って食べている



No.138 21/04/02 16:43
自由人 

気が強そうな奥さんの顔が浮かんだ



いつだったか俊に写真を見せて貰った時に奥さんが移った写真が混ざっていたことがあった



若い頃の奥さんが写真の中で笑っていた



洗い物が終わるとビールを飲みながらテレビを見て過ごした



「そろそろ寝ようか」時計を見ると0時近かった



2階に上がって俊の部屋に入るとキスをしてきた



そのまま布団の上に倒れこんだ



俊が胸をまさぐって来た、気持ちよさに身体をよじると胸にキスをしてきた



「あっ、あっ、あー、」思わず声が漏れた



俊は私の秘部にキスをしてきた




そして私の中に入って来ると激しく腰を動かした




私はたまらず声を上げた




お酒をたくさん飲んだからかとても気持ちが良かった




そしてそのまま2人とも眠ってしまった






No.137 21/04/01 20:02
自由人 

俊が作ってくれたカレイのフライ、ポテトサラダ、お味噌汁等を食べてビールと烏賊の塩辛



酔っぱらっていい気分になって来た



すると俊は「ひと風呂入って来るから麗香ちゃんはそのままゆっくりしていていいよ」



そう言うとさっさとお風呂に入って行った



しばらくするとお風呂から出て来た俊は私の隣に来るとキスをしてきた



「どうだい!ご飯は美味しかったかい」




「はい!とても美味しかったです。ごちそうさまでした。」




お風呂上がりにビールを飲んでいる俊にビールを注ぐと




食べ終わった器を台所に持って行って洗いものをしながらふと見ると梅干しを浸けた瓶があった


No.136 21/04/01 18:25
自由人 

「俊はギターが弾けるんだ凄いね!」



「若い時にちょっといじったぐらいだけどな」



「どんな曲を弾いていたの?」




「それこそ大昔だから忘れちまったわ」そう言いながらギターを置くと




「そろそろ夕食の支度をするから、先にお風呂に入っておいで!」




「えー、でもそんなの悪いから何か手伝いますよ~」




「いいからお風呂に入って、もういい湯加減だから」お風呂の蓋を開けながらお湯をかき混ぜている




「じゃあ、お言葉に甘えましてお先に入ります」




身体を洗ってお湯に浸かっていると台所からいい臭いがしてきた



服を着て台所に行くと「もう出たのかい」




そう言いながら嬉しそうに器にカレイの天ぷらで揚げたのを載せて別に作ったタレをかけている




「うわあ!こんな手の込んだもの作れるんだね!」タレには細かく刻んだ人参等が入っていた




出来上がった料理を運んでいると俊はお鍋を洗っている



「あ、洗い物は私がやりますから」と言うと「麗香ちゃん、料理はこうやって洗いながら作ると効率がいいんだよ!」




確かにそうだけど、私はいつも食べ終わってからお茶わん等を洗ってお鍋を洗っている




「俊が料理するのが好きだなんて知らなかったわ」




「そうだろ!」そう言うと俊はニコニコしながらビールをついでくれた



No.135 21/04/01 12:01
自由人 

「はーい、コーヒー出来たよ!」



そう言いながら俊はコーヒーとお菓子を持って来てくれた



「ありがとうございます!」




「仕事を辞めて欲しいと理恵さんに言われたの。他にも辞めた人がいるし仕事を探さなくては、、、」




そう言うと「麗香ちゃん、良かったらうちの会社に来ないかい?図面が見れるなら検査の仕事があるから」




「そうなの?確かに図面は解るけど、、、」





「社長に聞いてみるわ。検査の人間が欲しいような事を言ってたから」




なんと社長は俊と同い年だと言う事だった




「解りました。すみませんけどよろしくお願いします。」





「仕事の話しはこれくらいにして、このお菓子は美味しいぞ」




そう言うとテレビを付けてニュースの画面を見た




しばらくするとギターを持ち出して来て何やら引き始めた

No.134 21/04/01 10:53
自由人 

それから何日か過ぎたある日、俊が「今日は家のおっかあが2、3日友達と旅行に行くから家に来るかい?」と言った



「ふーん、でも良いの?」



「良いよ!こんな時でもないと家には来れないから」




車で15分程走ると俊の家に着いた



2階建てのお洒落な家だった



「俺は20歳で結婚して20歳で家を建てたんだよ」




「凄いね!20歳で家を建てるなんて」そう言いながら家に入って行った




「ちょっと中を見せるからね」




そう言うと台所、お風呂場そして階段を上がって行き「ここがおっかあの部屋、そして隣が俺の部屋だよ!」そう言いながら戸を開けた



どの部屋もこぢんまりとしてかたずいていた




「テレビの部屋でコーヒーでも飲んでゆっくりしておいで」




そう言うと俊は台所に立ってコーヒーを入れ始めた

No.133 21/04/01 02:15
自由人 

「麗香さん、本当に申し訳ないだけど、仕事が少なくなってきてるので辞めて欲しいのだけど」




「そうですか、、、」




現場の人が定年で1人、若い人が1人いつの間にか辞めていた



「会社都合の退職にして、退職金はちゃんと出しますから、、」



社長の娘、理恵さんの申し訳無さそうな顔を見ていると何も言えなかった




「こちらこそワイヤーカットとか放電とか色々な機械を触らせて頂いていい経験になりました。ありがとうございました」




私は感謝の気持ちでそう言った




辞めると決まった時に、社員の人に挨拶に行ったら事務の山本さんが




「麗香さんお疲れ様でした。送別会をやるからまた日にちが決まったら連絡するからね」




「ありがとうございます。送別会やって頂けるなんて嬉しいです。皆さんによろしくお伝え下さい」




そんなみんなの気持ちが嬉しかった



No.132 21/04/01 01:54
自由人 

そんな事があったからか、現場に活気なくなっているように思えた。



ある日、週末に俊に「モーニングに行こう!」と言われた



いつもの通り俊は10時過ぎに迎えに来た



コーヒーを飲みながら俊は「市原は仕事のやり方が協力的ではないと社長に話をしたら、社長は渋い顔をしていた」と言った



あの気性の激しい社長に睨まれたら会社に居ずらくなるのは目に見えていた



それから2ヶ月程して市原さんは会社を辞めていた



同じような製品を他社も作り始めたらしいと言う事で会社の仕事の量が減って来た



しばらくして仕事が減って来たので危機感を感じたのか俊が「昔、働いていた会社から声がかかったから会社を辞めるわ」と言った




それから1ヶ月もしないうちに俊も会社を辞めてしまった




事務の女の子が2人辞めると言う事で女の子だけ集まり近くのレストランで送別会を開いた



それから10日程したある日、社長の娘さんに「麗香さん、ちょっと話があります」と呼ばれた


No.131 21/03/28 14:12
自由人 

それから1週間ほど過ぎた頃、市原さんの仲の良い人達の態度がおかしい事に気がついた




仕事の話をしていても何やら訳ありの視線で見てくる



中には目があうと慌てて反らす人もいた




これは市原さんが私と俊の事を話したに違いない



そう感じた、、、、



悪いのは自分だから仕方がない、仕事だけはちゃんとやるようにした



ある朝、仕事のやり方についての集まりがあった




俊が効率的な仕事のやり方について説明をした後、みんなに協力してくれるように頼んだ



すると市原さんが「現場の事は現場の人間がよくわかっている。現場のやることに口出しをして欲しくない」と言う事を言った



すると俊は「自分は生産管理をしているので会社の利益を優先に考えているのだから、協力して欲しい」




どちらも譲らず話し合いは平行線のままだった



年長者がそろそろ仕事に取り掛かりたい、、、と言う事で結論が出ないままに終わってしまった

No.130 21/03/28 13:41
自由人 

「今日は別の店でコーヒーを飲もうか」




「うん」





そのお店はいつもとは反対の方向にあった




ここのモーニングはコロッケが付いていた




「このコロッケは美味しいね」




「美味しいだろ!」




話をしていると物を時間かけて加工をして残業をしているのは市原さんだと言う事が解った




「そうなんだ」




「好き勝手に残業をして会社に損害を与えているのだから!」





「基本的にこの品物はどれくらいで加工出来るのかは解る筈だけどね」




仕事が絡むと何やらややこしくなりそうな予感がした




今日は娘が来るとの事で「また何かあったら電話をしてくれ」




そういってお昼近くに俊は帰って行った


No.129 21/03/28 10:51
自由人 

「麗香ちゃんから電話くれるなんて珍しいね。どうした?」




「あの、、話したい事があるんです。」




「今度の日曜日にモーニングでも行こうか?」




「はい、お願いします」




日曜日の朝、10時過ぎに俊が迎えに来た




「どうした?何かあったのか?」




「実は、前に市原さんと付き合っていてこんな手紙を渡されて、、、」




と仕事中に渡された紙を3、4枚俊に見せた




「なんじゃこれは!凄い事が書いてあるな!!」




「市原とはもう付き合ってないんだろう!他って置けばいいよ!」




俊は紙を見ながら呆れたように言った




市原さんとは将来の約束をした訳でもないし、こんな手紙を書いて来るのなら




もう、終わりにするしかない、、、



市原さんの怒りを含んだ目を思い出すと話をする勇気がなかった



市原さんが怒るのも無理もない事かも知れなかった

No.128 21/03/28 10:24
自由人 

それから2、3日過ぎた頃仕事中に現場を通りかかると





市原さんが怒ったような顔をして言った「あんた、加藤と付き合ってるのか!」




突然の言葉に黙っていると




「あんたが加藤の車に乗るのを見たんだ!!」




「、、、、」





「やつと付き合ってるのか!!はっきり言え!!」怒りを含んだ声で言った




どうしていいか解らず、私は黙って立ち去った




次の日、現場に行くと市原さんにメモらしき紙を渡された





「俺が先に付き合ったんだろ!!人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ!!」





と書かれていた





また別の日には




「二人とも会社を辞めろ!!会社のみんなにやつとの事を話すからな!!」




と書かれていた。とりつくしまもなかった





私が悪いのは解っていた、、私は怖くなり俊に電話をした




No.127 21/03/28 09:52
自由人 

俊は煙草を吸いながらしばらく天井を見つめていた



私は子供の頃うんていを登る時におしっこを我慢すると何故か気持ちが良かった



初めての感覚に戸惑った覚えがあった、、、




2時間ほど過ぎると「そろそろ帰ろうか」




身支度をして外に出るとあたりは暗くなっていた



2時間ほど車を走らせると家に着いた




「麗香ちゃん、今日は楽しかった!また電話するね」




そう言いながら握手をしてきた




「こちらこそ楽しかったです」




この人は何かと言うと握手をする癖がある人なんだ、、、




車を降りるとクラクションをプッと軽く鳴らすと去って行った


No.126 21/03/28 09:38
自由人 

部屋の番号のランプが点滅している部屋の前に来ると俊が振り返り




「麗香ちゃん」と私を呼んだ




私は言われるままに部屋に入った




部屋に入ると俊はキスをしてきた



そしてベッドの上に私を押し倒して服を静かに脱がせた



私は布団の中に入ると俊は服を脱いで入ってきた



私の胸にキスをしながらゆっくりと秘部をまさぐると




私は「ああ、、」と声が漏れた




私の秘部にキスをすると静かに私の中に入ってきた




俊は強く激しく腰を動かした




その度に「あっ、あっ、」と溢れるように声が漏れた




そして静かに俊は果てた




「麗香ちゃん、どこで覚えたんだい」




「え、何の事、、」




「あそこを締め付ける事、、凄く気持ちいいんだよ」




「そうなの?よくわからないけど、、、」

No.125 21/03/27 23:43
自由人 

いくつかの階段を上がって行くと境内に近付いて行った



今年1年拓と私が無事に過ごせますように



お賽銭を入れて手をあわせた




階段を降りる途中に白馬が見えて来た




私は白馬に近付いて人参代を100円入れて人参を白馬に食べさせた




白馬は優しい目をしていた




帰り道、お腹が空いたと言う事でスパゲッティ専門店に寄った




しばらく走るとホテルの灯りが見えて来た




車は当たり前の様にホテルに入って行った




中に入ると入り口に部屋のパネルの明かりが付いていた




俊はその中のひとつのパネルを押して部屋の番号を確かめるとエレベーターの前に歩いて行く




私は黙って後をついて行った




No.124 21/03/27 21:59
自由人 

それから1週間後加藤さんから電話がかかってきた



「お久しぶりぶり、麗香ちゃん元気にしとるかね。明日、コーヒーでも飲みに行くかい?」



「はーい、良いですよ」



次の日の朝、10時過ぎに加藤さんが迎えに来た。



車に乗り込むと、「お正月はお母さんの所に行ったの?」と聞いてきた




「うん、3日の日に実家に行って買い物に連れて行ったよ。」




「そっか、そっか~。家は娘が来たけど、大きなお腹をしていて大変だったな」




「そうなんだ~、奥さんも大変だったでしょう?」




「ん?ああ、おっかあはいつも通りだわ」




『ハーフタイム』に着くといつものモーニングを食べながら会社の事を色々話をした




「今日は初詣に行こうか?」





「何処でも良いですよ」




それから2時間ほど車で走ると白馬伝説で有名な神社に着いた




車を降りて階段を上がって行くと白い馬が建物の中にいるのが見えた


No.123 21/03/26 23:56
自由人 

お昼近くになると、お餅があるのを思い出しぜんざいを作った




台所にいると「何作ってるの?」市原さんが起きたのか聞いてきた



「お昼にぜんざいを食べようと思って」



「ぜんざい?いいね~、ここ何年か食べてないな~」



「お餅いくつ食べる?」




「おお~、餅入りか3つ貰おうかな」




ぜんざいにお餅を入れて持って行くと



市原さんは美味しそうにペロリと平らげてしまった



それから1時間ほど過ぎた頃、市原さんは「楽しかったね。また来るね」と帰って行った

No.122 21/03/26 23:43
自由人 

「明けましておめでとう!」市原さんが改まって言った




「明けましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いします」




気持ちとは裏腹に自然に言葉が出て来た




「お腹が空いたね!」




「うん、少し空いてきたわ」




国道沿いのラーメン屋さんは人がいっぱいだった




みんな初日の出の帰りの人達らしかった




10分程待つとラーメンが運ばれて来た



ラーメンを食べると身体がだんだん温まって来た




1時間ほど走ると家に着いた




「コーヒーでも飲んで行く?」



「そうしようかな」




家に入ると拓は出掛けていていなかった




市原さんは横になるとそのまま眠ってしまった



私は一人コーヒーを飲みながらため息をついた





No.121 21/03/26 21:03
自由人 

その日はモーニングを食べただけで用があるからと1時間ほどで別れた



私は別に結婚がしたい訳ではない、もちろん嫌いな訳でもない




でもこのままでは良くないと思っていた




拓と紅白歌合戦を見てまんじりとしていると





2時過ぎに市原さんが迎えに来た




拓には市原さんと初日の出を見に行く事は話していた





夜の暗い道をひたすら海に向かって車を走らせた




白々と夜があける頃には少し小高い丘の上に車を止めた




驚いたのは周りの駐車場に日の出を見ようとする車でいっぱいになっていた




小高い丘の回りにも車が止まっている




やがて海の上がオレンジ色に染まって来た




神々しい光が辺りに広がってゆく





人生初の初日の出だった




今年1年の無事を祈った




No.120 21/03/26 18:56
自由人 

「実は娘に子供が出来てね」




「え~、加藤さんじゃなくて俊にお孫さんが産まれるの?」




「そうだよ!」




「それにおっかあに別れたいと言ったら、別にあんたがそうしたいなら構わないと言われたよ」




ふーん、上手くいってないと言ってたのは本当だったんだ




「今の家を売ったらそのお金を半分に分けて財産分与にするから」




市役所の前にあるこじゃれた加藤さんの家を思い出した




立地がいいからすぐに売れるそうだとも言っていた


No.119 21/03/26 18:44
自由人 

時計を見ると10時30分を過ぎていた



もう、居ないかも知れないと思って外を見ると加藤さんの車が止まっていた




慌てて化粧をして階段を降りて行った




「すみません、遅くなってしまって、、、」




「麗香ちゃんは朝は食べたかい?」




「いえ、まだです」




「じゃあ、いつもの店に行こうか?」




「はい」




「それから麗香ちゃんいつも加藤さんと呼んでるだろ。他人行儀だと思うけど」





「あ、はい、じゃあ俊行だから俊にしようかなとしで」



「うん、まあ、何でもいいよ!」





これからは「とし」と呼ぶ事に決めた

No.118 21/03/26 17:58
自由人 

市原さんは拓とはあれから2回ほどゲームを持ってきては遊んでいた



その日は拓は友達と約束があるからと夜遅く出掛けて行き帰って来なかった




その夜初めて市原さんが家に止まった




次の日の朝、10時過ぎに用があるからと市原さんは帰って行った




しばらくすると市原さんから電話があった




「今、帰る時に加藤さんの車が近くに止めてあったけど、あんたじゃあないだろうな!」




怒りを含んだ声に思わずたじろいだ




「あっ!」




なんと言う事だろう加藤さんが10時過ぎに迎えに行くと行ってたのをすっかり忘れていたのだった


No.117 21/03/26 13:35
自由人 

ある朝、会社のロッカーに行こうと階段を上がっていたら前に市原さんがいた



周りを見渡して近くに来ると「ブラの紐が見えてるぞ!」と小さな声で言った




私は「あっ!」と慌てて肩に手をやるとブラジャーの紐が服から少しはみ出していた




その時はノースリーブの服を着ていたのでブラジャーの肩ヒモが横から出ていたのだった




「あんたのブラの紐が出ているのを他の奴に見られるのは嫌だった」




後になってそんな事を言われた事があった




ある日「新年の初日の出を見に行こうか」市原さんが言った




私は今まで初日の出を見に行った事がなかった




紅白歌合戦が終わると拓と二人で近くの神社に初詣をして




神社にある小さな鐘をひとつ鳴らした後




甘酒とお付け物を食べたらお菓子を貰って帰るのが常だった


No.116 21/03/26 12:39
自由人 

そんなこんなで加藤さんのパンティをはいていく事になった




仕事中の真面目な加藤さんの顔を思い出すと




女物のパンティをはいていると思うと何故かにやけて来た




それから外に出ると日が沈みかけていた




2時間ばかり車を走らせるとラーメン屋さんがあった



「ラーメン食べて行こうか?」




「うん」





気を使う高いおしゃれなレストランもいいけど肩の凝らないお店が好きだ




ラーメンセットを2つ頼んだ




「ここの餃子は美味しいな!」




「うん、美味しいね!」



それから1時間ほど走ると家の前に着いた




「今日はありがとう!楽しかった!また電話するから!」




そう言うと握手を求めて来た




「こちらこそごちそうさまでした!楽しかったです」







No.115 21/03/26 12:03
自由人 

そして静かに結ばれた




「麗香ちゃんは肌が綺麗だね」




昔、誰かにも言われたような気がした




宮町の事を忘れられるかしら、、、



「麗香ちゃん、かわいいパンティだね」




「そうかなぁ、ちょっとシックな感じだと思うけど、、、」




「これと交換してくれないかな?」




「え?」




よく見ると加藤さんは女物のパンティをはいていた



「加藤さん、パンティはいてるの?」




「そうだよ!おかしいかい?女物の方がちゃんと収まる所に収まるんだよ!」




「ブリーフは前がぶらぶらして落ち着かないから俺はこっちの方が収まるからいいんだ」




真面目な顔をして言う加藤さんの顔が可笑しかった

No.114 21/03/26 11:47
自由人 

しばらく走るとこじんまりした和風のホテルに車を止めた




車から降りて部屋に入ると畳のある部屋だった




加藤さんは軽くキスをすると「お風呂に入っておいで」と言った




お風呂から出ると加藤さんはビールを飲んでいた




「麗香ちゃん、ビール飲むかい?」




「飲もうかな、、、」




そう言うとキスをして加藤さんはお風呂に入って行った




お風呂から上がると濡れた身体を拭きながら



「麗香ちゃん、おいで」と言いながら布団に手招きした




私は静かに布団の中に入って行った




加藤さんは胸にキスをしながら「愛しとるよ、、」と言った





No.113 21/03/26 11:27
自由人 

いつしか紅葉の季節になっていた




『ハーフタイム』でモーニングコーヒーを食べた後



「今日はちょっとドライブに行こうか」




そう言うと加藤さんは車を走らせた




2時間ばかり走ると見事な紅葉が広がっている




近くで美味しそうな五平餅を売っていた




ゴマだれのかかった熱々の五平餅を買って2人でふう、ふう言いながら食べた




それから1時間ばかり走るとホテル街が見えて来た




加藤さんは「ちょっと休憩しようか?」と言った




「うん、、、」




私は黙って頷いた

No.112 21/03/26 11:13
自由人 

夕方近くになると市原さんは「もうこんな時間だ。今日は用があるから帰るわ」




と言ってゲームをかたずけ始めた




そして拓に「拓!またやろうな」と言って帰って行った




家でのんびりしていると加藤さんから電話があった



「麗香ちゃん久しぶりぶり!今週コーヒーでも飲みに行かないかい?」




「良いですよ。よろしくお願いします」





会社で加藤さんを見かける事はあまり無かった

No.111 21/03/26 11:01
自由人 

「コーヒーでも飲む?」



「いらない」



市原さんを見ると何やらテレビの裏を覗いては何かをやっていた



それから10分程過ぎると上手く繋がったのかテレビの画面が切り替わった



どうやらカーレースのゲームらしかった



それから1時間位過ぎた頃、拓が帰って来た



市原さんは拓を見ると「ゲームやるか?」




ゲームが好きな拓は「あ、はい」




と言いながら市原さんに操作の仕方を教えて貰うと2人して夢中になって遊んでいた




拓には前に会社の人と付き合っている事は話をしていた



私はコーヒーを入れながら2人が楽しそうに遊んでいるのを眺めていた


No.110 21/03/26 10:48
自由人 

それから10日程過ぎた朝、珍しく市原さんが仕事中にメモを渡して来た




「明日、デートしない?お昼頃迎えに行くから」と書いてあった




お昼頃に外を見ると市原さんの車が止まっていた




慌てて降りて行くと「お昼食べた?」




「食べてないわ」




そう言うと近くのファミレスに車を止めた




食事が終わると「今日はあんたんちでゆっくりしようか」




家の前に車を止めると何やら紙袋を持って私と歩き出した




「拓はいるの?」




「いないと思うけど、、」




そのまま部屋に入ると紙袋から何かを取り出した

No.109 21/03/25 11:45
自由人 

お昼になり、帰り道にあるファミレスに入った



加藤さんはステーキランチを私はハンバーグ定食を食べた




加藤さんは会社の人の仕事のやり方に不満があるようだった



仕事に対する意識が低いとこぼしていた




だらだらと物を作り残業時間を増やしている人がいるらしい




やがて家の近くに来ると「今日はありがとう!楽しかった」




「こちらこそ、ごちそうさまでした」




車を降りる時に握手をしてきた




「また、電話するから!」




「はい!待ってます」




ドアを閉めるとクラクションをビーと鳴らし帰って行った



No.108 21/03/24 22:48
自由人 

加藤さんは私が知らない会社の事情をいろいろと話をしてくれた




そして1時間も過ぎた頃、出ようかと言う事になり車に戻ると




何処に行こうか?と言いながら車を走らせた





「そうか子供さんと二人暮らしとは知らなかったな」




「昔、付き合っていた人の事を旦那だと回りには言ってたから、、、余計な詮索されなくて済むし」




「なるほど、、、うちもおっかあとはここ何年何にもないんだわ」





「そうなんですか」(だから何?)




「そう言えば最近、ヴィッツと言う車の名前をよく聞くけどどれかしら?」




その時前から赤い車が走って来た




「あ、あれだよ!あの赤い車!」




車に詳しくない私はよく解らなかった




しばらく車を走らせると高台に着いた




「風が吹くと気持ちいい!」




車を降りて下を見ると町並みが広がっていた





No.107 21/03/24 19:47
自由人 

近くにこんな洒落た喫茶店があるのを知らなかった




加藤さんは「麗香さん何にする?」




メニューを見るとモーニングの種類が豊富にある




「加藤さんは何にするんですか?」




「俺はいつもこれを頼むんだけどね」




メニューを見せながらそう言った




「じゃあ私も同じもので、、」




そう言うと加藤さんはそうそうと頷いていた




「麗香さんがいつ連絡くれるのかな、とずっと待っていたんだよ。」




「そうなんですか~」




そんな事とは思いもかけなかった私は驚きを隠せなかった




No.106 21/03/24 12:47
自由人 

会社では加藤さんと話をした事がなかった



加藤さんは営業で出ている事が多く、現場にいる私とは接点がほとんどなかった



同僚の話しでは現場で物を作り過ぎているのでストップをかけた等と言う噂だった




当日の朝、10時に加藤さんの車が建物の前に止まっていた




私は慌てて口紅を塗り直して外に出て行った



「おはよう!近くに『ハーフタイム』と言う店があるからそこにいくかい?」




車に乗り込むと早速、加藤さんは言った。




「はい」




とっさに答えると車を走り出した。


No.105 21/03/24 10:59
自由人 

そんなこんなで10日ほど過ぎたある日



電話台の下に名刺があるのに気が付いた



営業の加藤さんの名刺だった



ああ、、あの飲み会の時に渡された名刺だった



何の気なしに書いてある番号に電話をした



ルルル、ルルル~



「はい,もしもし」




「あの、加藤さんですか?私、麗香です」




「あー、麗香さん!嬉しいな。やっと電話くれましたね。今週の日曜日空いてますか?」




「今のところ特に予定はないです」




「じゃあ朝、家まで迎えに行くからモーニングに行きませんか?」





「はい、、お願いします」



No.104 21/03/24 10:22
自由人 

私は動揺を隠すように仕事の話を話題にした



車は田んぼ道に入った



市原さんはカーステレオを止めた




そして軽く私に顔を近付けてキスをしてきた



「今日はなんかあんたに凄く会いたかったんだ」




「、、、、」




私は言葉に詰まった




そして私の下着に手をかけた



そのまま静かに結ばれた



遠い街の灯が揺れていた




私の心は置き去りのままだった



No.103 20/09/02 19:32
自由人 

「この前の飲み会どうだった?楽しめた?」




家の近くの田んぼ道に車を停めると市原さんは聞いて来た。




「料理が新鮮で美味しかったし、お酒も楽しく飲めたし久しぶりにみんなと楽しめたわ」





「それにあのお酒、姫善?飲みやすくて美味しかったわ」





「あーあのお酒は女の人に人気があるんだよ。飲み会の時は兄貴が何本かサービスで出してくれたんだよ!」






「そうなんだ~、あのお酒だけなら何本でも飲みたいわ。フルーティーで飲みやすかったから」





「あんたね、そんな事言ってるけどオレとは飲みに行かないでしょう」





「うーん、どうかしら」





「あれから、彼とはどうなったの?」





沈黙の後、聞いて来た





「うん、、、別れた、、、」




「そっか、、、」




市原さんはカーステレオのスイッチを入れた









No.102 20/09/02 11:31
自由人 

主です。つたない文章を読んで下さりありがとうございます。





市原さんの名前が市川さんになっていました。正しくは市原さんです。





お詫びをして訂正させて頂きます。m(__)m







No.101 20/09/02 10:53
自由人 

それから何日か過ぎたある日、市川さんから「久しぶりにお茶しない?」と現場にいると声をかけて来た。




「良いですよ~、お茶だけなら」私は言った。




「じゃあ仕事終わったら、家に行くから待ってて!」





仕事を終わって家に帰ると、服を着替えてテレビを見ていた。




30分ほどして外を見ると市川さんの車が止まっていた。



私は慌てて化粧直しをして階段を降りて行った。




この頃には携帯電話は出ていたのだろうかその辺りの記憶が定かではないのだったが。




私が車に近付いて行くと「やあ!」と言うように手を上げた。


No.100 20/09/02 01:18
自由人 

それから1時間近く過ぎた頃だろうか、
突然会場の電気が突然消えて真っ暗になった




みんなは一瞬何事が起こったのか解らずに静まりかえった






すると突然、隣の人が私の手に何かを握らせた




しばらくすると電気が付いた。その後は何事もなかったかの様に飲み会が続いた





私は恐る恐る手に握らされたものをそっと見てみた





それは営業の加藤さんの名刺だった





裏返して見ると『もし宜しければ電話を下さい!』と書いてあり携帯番号が乗っていた





思わず隣の加藤さんを見ると向かいの人にビールをついで話をしていた





まるで名刺を渡すタイミングを見計らった様に、突然電気が消えた事が不思議な感じがした





その後、加藤さんと特別に話す事もなく飲み会はお開きになった



No.99 20/09/01 23:48
自由人 

それから10日ぐらい過ぎた日の夕方職場の仲間がA駅の近くの店に集まっていた




全部で14、15人位はいただろうか





女の人は私と石川さんと職場のアイドルの順ちゃんの3人がいた





市川さんが「石川さん達もこっちの部屋に入って!」




通された部屋に入るとお刺身とか天ぷらなどが美味しそうに並べられていた





「美味しそう!」順ちゃんが声をあげるとみんな思い思いにテーブルに着いた





石川さんが周りの人達にビールをついでいたので私と順ちゃんもビールをついだ




すると市川さんが「皆さん遠慮なく飲んで食べて下さ~い!」





と言うと歓声が上がり「かんぱい~」とあちらこちらでグラスを重ねていた



No.98 20/09/01 23:13
自由人 

その次の日、現場で調べ物をしていると市川さんが話しかけて来た




「今度、気のあった仲間で食事会やるんだけど麗香さんも来ない?」





「いや、家の兄貴が店をやっててね。そこでやろうと思ってるんだけど」





「ふーん、石川さんも出るの?」石川さんは古参の事務員で私とは気が合う人だった




気晴らしになるかも、、、と思いながら出席する事に決めたのだった





この事が思いもよらない出会いになろうとはその時は思いもしなかった


No.97 20/09/01 22:07
自由人 

それから1ヶ月が過ぎた頃、会社で現場に行くと市川さんに呼び止められた。




「麗香さん、久しぶりにお茶しない?」




「え!なんですか?」




「最近、元気がないみたいだね。お茶しないか?」




市川さんは側に来て私の顔を心配そうに見ながら言った。




この人の事が原因で宮町と別れたのだ。私は心がざわざわしてきた。




「すみません、、、」





そう言うと慌ててその場を離れた。





宮町はもう私の事など忘れたのだろうか



No.96 20/09/01 19:18
自由人 

それからしばらくは何事もやる気が起きなかった。



拓は高校を卒業してある会社に就職が決まっていた。




拓の担任は就職が決まった時「こんな事言うと何だけどまさか拓君が決まるとは、、、」




と驚いていた。担任なのに受け持ちの生徒の就職が決まったのに、良かったですねの一言も言えない人なのか




拓は小遣い稼ぎに吉野家でずっとアルバイトをやっていた。




母子家庭の私としては小遣いをあげる余裕などなかったのでこれが凄く助かっていた。




「ありがとう!拓」



No.95 20/05/13 01:21
自由人 

それから数日たった夕方玄関のチャイムが鳴った




誰だろうと思いながら玄関を開けると宮町が立っていた




「これ、、返すから」




手元を見ると部屋の合鍵だった




言葉もなく受け取ると




「これも、、、」




見覚えのある封筒だった




私が宮町にあげた手紙の数々が入っていた、宮町に対する想いがつまっていた



「じゃあ、、、」




そう言うと宮町は階段を降りて行った




私はなすすべもなくその場に立ちすくしていた



これは自分がした事の結末だった




何を言えば良かったのだろうか、許してくれると言ったのに、と泣いてすがれば良かったのだろうか


No.94 20/05/12 02:04
自由人 

それからは宮町の事を忘れようと仕事に没頭した




定時が近い時間の納品も進んでやるようにした



そして、ある日糸がぷつりと切れた




いつしか妹に電話をしていた



妹と待ち合わせをしたのは奇しくも如月と言う喫茶店だった



宮町の行きつけの如月だった



如月は名前こそ変わっていないが時代の流れに押されたのか



喫茶店に変わっていた



店の奥を見ると着物を着た女の人がおしぼりを用意していた




かって「ちあきなおみ~」と私を迎えてくれたあのママだった





相変わらず着物が似合っていたが少しくたびれたような後れ毛が淋しげに見えた



ママはおしぼりを置いてコーヒーの注文を取るとさっさと店の奥に戻って行った




妹の顔を見ると思わず涙がこぼれてきた




「どうしたの?彼と何かあったの?」




妹は宮町とは顔を合わせた事があり知っていた




今までのいきさつを話した




「それは姉さんが悪いわ。すんでしまった事は仕方がないけど別れたくなかったら本当の事を話しちゃダメだわ!」




「話したら許してくれると言ったから本当の事を話したんだけど、、」




「男は口ではそういうけど、そんなもんじやないわ!」




「、、、」




「いくら嘘でも何にも無かったと言わなきゃ!そんなもん男が許す訳無いんだから」




「、、、」





「私は女優よ!みたいな気持ちでやらなきゃ!本当の事なんて黙っていたらわかりゃあしないんだから」




恋愛経験豊富だとのたまう妹の言葉にますます落ち込んでいった




後からわかった事だが妹はこの時不倫をしていた




旦那さんと子供3人いての不倫に旦那さんの顔が浮かんだ




相談した相手を間違えた、とさすがの私も冷静さをなくしていたのだった

No.93 20/05/12 00:49
自由人 

車の中でどれくらい時間がたったのだろう




まさか宮町と別れる事になるなんてなんて、、、




テレビで誰かが言っていた





好きな人が浮気をしたら本当に好きだったら許せないから別れる、好きな人の事がどうでもよかったら別れない





宮町は本当に私の事を愛していたのだろう





それから2日仕事を体調が悪いと休んだ






3日後、朝7時頃、宮町から電話があった





「麗香、、なんでなんだ、、」





「あの、、宮町、、ごめんなさい」





宮町も苦しんでいるんだ





それきり電話は切れた





宮町と別れる事がこんなに苦しいなんて、自分を責めて苦しんだ





ただ、ただ涙がこぼれた





私が初めて愛した人、そして身体で愛し合う歓びを教えてくれた人










No.92 20/05/12 00:24
自由人 

それから何日も眠れない日が続いた



私は宮町に本当の事を話そう、きっと宮町ならわかってくれる




嘘は付きたく無かった




それから1週間後、宮町から電話があった




「話したい事があるの」





「そうか、、、明日朝、マーメイドに来れるか?」





マーメイドは宮町の街にある喫茶店だった





朝、マーメイドに着くと宮町が車の中で待っていた





宮町は車に乗るように手招きをした





車に乗り込むと「話しがあるんだろ、どうなんだ、、、」





「ごめんなさい、、、私もなんて言っていいのかわからなくて」





「、、、」





「会社の人に誘われてて、1度だけ、、、」





「その人の事は好きなのか?」





「、、、」





「好きでもないのか!好きならわかるけど好きでもないのになんでや!」




「そんなの相手の男がかわいそうやんか!」





「そんなんでなんで俺に抱かれたんだ!あんたのやってる事は如月のママと一緒やんか!けがわらしい!!」





「もう、降りてくれ!!」





宮町の怒りは凄かった





私は黙って車を降りた


No.91 20/05/11 01:23
自由人 

「そうか、、、」





宮町はチラッと私を見て





「麗香、本当の事を言ってくれ!今なら許してやるから、、、」





「、、、」





「家に行った時に連絡してくれと書いてあったのは何の事なんだ!」





やっぱり宮町は家に来て書いてある伝言を見たのだ





「あれは拓に連絡が取れないといけないから書いておいただけなの!拓の携帯の調子が悪いから、、、」





最初は何を言っているのかわからなかった





「宮町の事が嫌いなら言ってくれれば良かったのに、、、」






「もう、別れようか!」





「なんで?どうして、、、」言葉に詰まった





気まずいまま仕度をして、黙ってホテルの階段を降りて行った




そのまま宮町を家の近くまで送って行った




宮町は振り向きもせず自分の家に向かって歩いて行った




(私だって8年待ってるのに)





言葉にならない呟きだった


No.90 20/05/10 13:18
自由人 

その週の土曜日に宮町から電話があった



「宮町だけど、今日飲みに行こう。今から迎えに来てくれ。」





「はーい。解りました」いつもと変わりない宮町の声




迎えに行くと宮町はすでに来ていた




「しおんに飲みに行こうか!」




しおんは最近見つけた飲み屋だったが、如月と違って騒がしい店だった。




12時近くになり、コンビニで宮町の好きなワンカップを買って近くのホテルに入った。




シャワーを浴びてベッドに入り、いつものように愛し合った。




そしていつしか眠ってしまった。






明け方に目が覚めると宮町は静かに煙草を吸っていた。私は宮町の煙草の匂いが好きだった。




ふと、宮町が私に気が付いた。





宮町は「麗香、木曜日の夕方はどこにいた?」




「会社の人とお茶してた、、」




私はドキドキしながら平静を装って言った









No.89 20/05/08 01:21
自由人 

子供がいない宮町の事をそんな風に思った事は無かった、、




家に帰ると何かがおかしかった




その時は拓の携帯の調子が悪かったから伝言みたいな事を書いた用な気がする




宮町は家の合鍵を持っていた




そこには(遅くなるから何かあったら連絡してね!)と拓に伝言を書いてたんだろう




宮町が家に来て伝言を見たらしい事が後で解った




その週末に宮町から電話がかかって来る事は無かった




今までの私ならあり得ない事だとすぐ気が付くはずだった











No.88 20/05/07 01:52
自由人 

木曜日の午後、仕事中に市川が麗香さん、と呼び止められて紙を渡された




そこには「今日、会えない?仕事終わったらいつもの喫茶店で待ってる」と書かれていた。



私は迷ったけど行く事にした



仕事が終わって喫茶店に行くと市川の車が止まっていた




「車を置いておいでよ!迎えに行くから。」




「わかった!」




私は家に車を止めに行き市川さんの車が来るのを待った




しばらくすると市川さんの車が見えた。私は慌てて車に乗り込んだ。




「この前は俺が言い過ぎた!ごめん。」




「別に気にしてないから良いです」





近くの田んぼ道の空いてる所に車を停めて1時間ぐらい話をしている内に辺りは暗くなってきた




「あのさ、、、」と言うと突然市川さんが覆い被さって来た




助手席の椅子を倒してキスをしてきた





私は抵抗したけど無理だった、そのまま結ばれてしまった





「これからも会ってくれる?」





「あんたの彼は子供いないんだろ。気を付けなくてもいいからなんて言ってるけど種無しだろ、、、」




「そんな事関係ないけど、、、」




「もう暗くなってきたから送って行くから」


No.87 20/05/07 00:00
自由人 

いつしか家の前に着いた。



気まづい空気を振り払うように「気を付けてね。おやすみなさい」と言うと




市川さんは黙って頷いた




私が家に入り窓のカーテンを開けて市川さんの車を見ると




それを合図の様にして市川さんは車を走らせて帰って行った。




次の日、出勤すると市川さんは何事も無かったかの様に忙しく働いていた。




その夜、宮町から電話があった。




「今週、飲みに行こう!元気でやってるか?麗香」何やらバックから騒がしい声が聞こえて来た。




「飲んでるの?」




「飲んでるよ!今週飲みに行こう!」




「はーい、解りました。あんまり飲み過ぎないでね」




「じゃあ、また電話する!」




何なんだ、今の電話、、




私と宮町の関係が落ち着いている証拠何だろう。勝手にそう思っていた。





No.86 20/04/04 14:14
自由人 

その後は、市の図書館に行った



隣街の図書館に行ったのは初めてだった



自分の住んでいる街の図書館よりも大きくてビックリした




帰りにびっくりドンキーでハンバーグセットを頼んだ



今日のデートはお金のかからない所ばかりでとても新鮮に感じられた



家に着く途中に田んぼ道に入りしばらく音楽を聴いていると



市川さんは静かにキスをしてきた



「送って行くね!ありがとう。」




「楽しかったわ」




しばらく車を走らせた。




「何で、あんたは俺に付き合ってくれたの」




市川さんが聞いて来た




「あんたは旦那がいるんでしょう?俺が可哀想だと思ったの?」




「違う。そんなんじゃない、、」




何故か私にも解らなかった、理由などなかった



宮町の顔が頭に浮かんでいた


No.85 20/03/19 23:13
自由人 

次の週の金曜日、仕事中に市原さんが「明日、デートしようよ!お昼一緒に食べよう!11時に迎えに行くから。」




そう言って会社の更衣室に入って行った




土曜日、11時に外を見ると市原さんの車が止まっていた。慌てて私は階段を降りて行った




『キャットカフェ』でお昼を食べようと言う事になりとなり街まで車を走らせた





もうサングラスは掛けていない。そこはサンドイッチが美味しいお店だった。




食事が済むと車を走らせながらがんこな社長のエピソードなどをこことばかりに話した




車はプラネタリウムに着いた。




プラネタリウムは拓が中学生の時に行ったきりだった




家族連れや若いカップルに混じって久し振りにはしゃいだ気分になった




こんなデートは久し振りだった。その時は宮町の事は忘れていた。


No.84 20/03/19 22:05
自由人 

金曜日、久し振りに宮町から電話があった




「麗香、明日飲みに行こう!7時に迎えに来てくれ!」




「はーい、解りました。楽しみにしてまーす。」




仕事が終わって拓の夕飯の準備をしてから宮町を迎えに行った。



いつもの場所に車を停めて宮町を待つ




こんな付き合いいつまで続くのだろうか




宮町が歩いて来て車に乗り込んだ。「来週おばさんが友達と旅行に出掛けるから家に来るか?」




宮町は奥さんの事をおばさんと呼んでいる




「ふーん、でも行っていいの?」




「こんな時でもないと家に来れないだろ」




私は宮町さえいればいいので特に家に行きたいと思った事はなかった

No.83 20/03/17 23:52
自由人 

いつの間にか海が見えてきた




「ここでたまに釣りをするんだ、、」





「そう、、」





「麗香さんは釣りをやった事ある?」





「ないけど、、、」





「じゃあ今度釣りに行かない?釣竿とか俺のを貸してやるから」




「やった事ないのに釣れるかしら?」




「大丈夫!教えてやるから」





対岸の明かりが仄かに揺れていた





「そろそろ帰るか!」





車を運転する市原さんの横顔がゆらゆら揺れていた




泣かないでひとりで♪



微笑んで見つめて♪





ラジオから安全地帯の曲が流れていた





1時間ぐらい車を走らせると私の家に着いた




「じゃあ!またね!おやすみ!」





そう言うと市原さんは車をゆっくり走らせて帰って行った

No.82 20/03/17 22:55
自由人 

車を家に置いて窓から外を見ていると市原さんの車が近付いて来るのがわかった





私は慌てて階段を降りて行った





車に乗り込むと市原さんはスピードを上げて走らせた




となり街に入ると「この街は原田さんが住んでるんだよ。見つかるといけないからこれを掛けてくれる?」





そう言うとダッシュボードからサングラスを出しては私に掛けるように言った





私がサングラスを掛けると「あんた以外とサングラス似合うね。謎の女になるね!」





いつの間に私は「あんた」と呼ばれた





別に「あんた」の女でもないのに、、、






市原さんは結婚していて子供が3人いる事や奥さんが夜の相手はしたくないから






よそでわからないようにやってと言われたとドキッとするような事をポツポツと話した





何でも保育園に行ってる子供と一緒に寝てしまうので





後で寝室に戻って来いと言ってもそのまま寝てしまうので喧嘩になると言う事だった




挙げ句の果てにもう疲れて面倒くさいから夜の相手はしたくないから私にわからないようにやってと言われたらしい







No.81 20/03/17 22:28
自由人 

仕事の話をしたりしていつの間にか1時間が過ぎていた




「この後どうする?少しドライブしない?」





「でも、車で来たから、、、」





「じゃあ車置いておいでよ。家近いんでしょ?俺が迎えに行くから」





「うん、、、わかった。○○棟の202号の前の道で待ってます」





「わかった!じゃあ先に行ってて!直ぐ迎えに行くから!」





仕事と同じく少し強引な市原さんのペースで出かける事になった





私の迷いがそうさせたのだろうか、、


No.80 20/03/17 22:10
自由人 

仕事が終わって『アラン』に行くと駐車場に市原さんの車が止めてあった




ドアを開けて『アラン』に入って市原さんを探すと窓側の席に座っていた




私の顔を見て照れたように笑った。仕事以外に外で会うのは何故か新鮮な気がした。




市原さんの前の席に座ると「何飲む?コーヒーでいい?」と聞いた。




「この店よく来るの?」





「いや、会社から近いのはこの店だと思ったからね」





「麗香さんが頑張ってくれるから助かるよ~。ところで麗香さんて年いくつなの?」





「いくつに見えますか?」





「いや、女の人は化粧するからね。年はわからないんだ」





「そうか、、44歳です。会社の人には内緒にして下さいね」





「そうなんだ~、俺と4つ違いだね。もっと若いと思ったよ。」





「やっぱり年下だったのね。なんとなくそんな気がしてたわ」





「あっ、今俺の頭見ただろう。だめだよ!誤魔化したって!」





何故か二人して笑いこけてしまった





No.79 20/03/06 06:50
自由人 

会社に入って2年が過ぎ現場の仕事を手伝う事もあった




ある時その現場の市原さんが「今日、仕事が終わったら




T駅の前にアランと言う喫茶店があるだろう。そこでコーヒーでも飲まない?待ってるから」




と言う。別に会社の同僚だし、予定はないから行ってもいいかな。そんな気持ちだった。




「うーん、行ってもいいけど、、、」




「じゃあ、待ってるわ」





市原さんは私より若い気がした、少しハゲてるけど、、




でもそれが気にならない何かがあった


No.78 20/03/05 21:16
自由人 

社長の娘である里英さんは社員より1時間遅く出勤していた。





社員は制服を来ているが里英さんはいつも私服だった。ワンマン社長のせいか誰も咎める者はいなかった。





社長は2人乗りのスポーツカータイプのベンツに乗っていた





社員はおっさんの癖にあんな車に乗って、、と陰では言っていた。





社長は昔、女がいた事があって奥さんが女の所へ乗り込んで行った事があると言う話を古くからいる社員が噂をしていた。





会社は社員が20人くらいおり年末はいつも忘年会をやっていた。





その年は社員が15人くらい参加して盛り上がっていた。





忘年会は社員のお兄さんがやっていると言う居酒屋で行われた。






No.77 20/03/04 18:53
自由人 

ワイヤーカットの仕事は面白かった。右周りとか左回りのコマンド等を覚えてはプログラムを確認したりする。




銅線に電気を通して水を掛けながら鉄の部品をカットすると言うものだった。




ワイヤーカットに張り付いて見ていると社長が側を通った。




30分程過ぎた頃里英さんに呼ばれた。




麗香さん、手が空いてるでしょう?2階にある放電もやって貰いたいの。




ある機械の前にいた男の人に私に仕事を教えるように頼んだ。




「麗香と申します。よろしくお願いします。」と言うと




佐藤さんと言うその人は「解りました」と言った。




会社の人達にも少しずつ慣れて行った。



No.76 20/03/04 00:23
自由人 

週末の土曜日、宮町は約束通り拓を焼き肉に連れていってくれた。




最初は遠慮していた拓も宮町に「好きなだけ食べていいから」と言われ肉を焼こうとしたら




「最初はタンから焼かないとダメだ」と言われ自由に食べられなかった




考えると私はタンを拓と食べたりした事がなかった





「タンは焼きすぎると固くなるから焼きすぎない内に食べた方がいいぞ」宮町は拓に言いながら食べ始めた。





その後はどんどんハラミ等を網に乗せていきみんなでたらふく食べた。





1時間もするとお腹がいっぱいになり拓も満足そうだった。





拓はあまり話をしなかったが宮町に「受かって良かったな!」と言われ軽く笑っていた。





私は宮町が「俺はあいつの父親にはなれないからな」





と言っていた事を思い出した。そうだね子供がいない宮町には子供の気持ちは理解出来ないんだわね。






理解しようとしないんだね、、

No.75 20/03/03 19:16
自由人 

このところ宮町は前のように毎週末には飲みに行かなくなった





県人会の友達と飲みに行く事が多くなり、何故か日曜日の朝家に来るようになった




家に来て新聞を読んではのんびり過ごしてはお昼過ぎに帰って行く





私は前のように喫茶店に行きモーニングコーヒーを飲んでまったりしたいのだ、そう言うと





「行って来れば?俺はしばらく家に居るから」と言った。宮町は家の合鍵を持っていた





宮町を置いて一人で出かける訳にも行かず





『何か倦怠期の夫婦みたいだわ』そんな気がした





今日も宮町は午前中はのんびり家で過ごし、「来週は飲みに行こう!また電話するから」と言ってお昼近くに帰って行った



No.74 20/03/01 20:51
自由人 

拓が高校受験で公立の志望校に受かり少しは肩の荷が軽くなった気がした。



宮町に話すと「良かったな~。お祝いに拓の好きな焼き肉でも食べに連れていってやろうか!」と言った




拓の進学を祝ってくれる宮町の気持ちが嬉しかった




宮町と付き合って8年が過ぎようとしていた。




新しい会社は自動車関係の部品を作っていた




会社に着くと綺麗な女の人が来て『里英』と言います。宜しくお願いします。」と言われた




「麗香さんにはワイヤーカットと言う機械があるのでそれをやって貰います。」




と言いながら一緒に階段を降りて行った。後で解ったのだが里英さんは社長の娘だった。




No.73 20/03/01 18:44
自由人 

面接の当日、朝から緊張して落ち着かなかった




午後1時の面接に合わせて家を出た




5分前に会社に着いた




建物の横に階段があり、階段を上がって行くと会社の入り口らしき物があった




「あの、今日1時に面接をする事になっている麗香と申しますが、、」






事務員らしき人が出て来て「どうぞ、こちらでお待ち下さい。」と長椅子に案内された。




5分ぐらい待っていると年配の社長らしき人が部屋に入ってきた




慌てて立ち上がると「あ、そのままで」と言いながら手前の長椅子に座った




履歴書を差し出すと袋から出しては「ふん、ふん、」と言いながら「図面を書いていたのかね」と聞かれた




「はい、少しだけですが」




「なるほど、いつから来れるかね」




「はい、明後日からで宜しければ」




「じゃあ明後日の9時に来て下さい。社の者には話しておくから」




話が上手く行き過ぎて驚いたが生活の事を考えると正直、嬉しかった。

No.72 20/03/01 11:01
自由人 

その夜、宮町に会った時面接日が決まった事を話すと



「それは良かったな。上手く行くといいな!今日は咲ちゃんの店に飲みに行こう」




咲ちゃんは如月でチーママをしていた
お店を出すのに宮町もお金を出したらしい




宮町と咲ちゃんは20年来の付き合いらしい




咲ちゃんの店の名前は『クラビクラ』と言う。珍しい名前だった




お店のドアを開けると咲ちゃんが「いらっしゃい!」と笑顔で迎えてくれた





いつの間にか宮町はボトルをキープしていた




お店はシックな感じで落ち着いた雰囲気だった




「乾杯!」




咲ちゃんのお店のオープンをお祝いして咲ちゃんと3人で乾杯した



No.71 20/02/29 21:25
自由人 

雇用保険が貰えないので直ぐに仕事を探さなくてはならなかった




生活に不安はあるものの鬱々とした気分が無くなったのは不思議な気がした




団地から車で10分位の所にある会社が人を募集していた




何と図面が読める人と言うめったにない条件だった




前の会社で図面を書いていた私には好都合だった




さっそく電話を掛けると「社長の都合があるので明後日来て下さい」との事だった


No.70 20/02/29 21:13
自由人 

2日振りに出勤した。今日は店長が2階の靴の店にいるとの事だった。




休憩時間に店長の所に行き、周りりに迷惑をかけていて体調も良くないので仕事を辞めたいと話をした。




「えっ、どうしたの?突然そんな事言われても、、代わりもいないから。困るよ」





「申し訳ないんですけど、もう無理なんです」





「せめて今週いっぱいは出てくれないかな」






「わかりました」





あの後、どうやって帰ったのか全く覚えていなかった




最後の日、店長に保険証を返しに行ったが居なかった




私は仕方なく社員室の入り口にある事務所に店長に伝えてくれるよう言付けて帰る事にした




事務所を出る時、近藤さんが私を探していたのかバタバタとかけてきた




「本当に辞めるんだね!また店に遊びに来てね。」





「ありがとう、今までありがとうございました。」

No.69 20/02/29 20:32
自由人 

眠れない毎日が続いた、ある日無理がたたったのか熱が出た




でも、代わりの人がいないから出てくれと言われ38度の熱があるまま立ち続けた




近藤さんが「どうしたの?顔色が悪いわよ」「大丈夫です、、」





正社員の人に話をしたらしく「麗香さん、今日は帰っていいから」




「すみません、、、」





近藤さんが「お大事にしてね。気を付けてね。」と声を掛けてくれた





迷惑をかけているのが申し訳なかった





それからは身体が言う事を聞かなくなった




「もう無理だ。辞めよう」





ハンドバッグの店に勤めて半年が過ぎていた

No.68 20/02/29 10:36
自由人 

そんな時阪神淡路大震災が起きた





休憩室の大型テレビに亡くなられた方の数が映し出されていた





周りの人達は言葉もなくただ画面を見ていた





横に倒れて崩壊した高速道路の映像は衝撃的だった





明日は何が起きるかわからない






この仕事は合わないのではないか、と思い初めていた





鬱々とした気分の日が続いた





仕事に入れば無理にでも笑顔で対応していた




No.67 20/02/29 10:01
自由人 

お客様が来ない時はお店は暇だった




ハンドバッグをお店に出したり、並べ替えたりした




私は服を見たり試着したりするときは店員さんはいない方がいい




鏡の前で自由に横を向いたり近付けて見たり、店員さんがじゃまになる




時にはお店の人が声を掛けて来るとサッと立ち去ったりする





たまに高い服を勧められたりする事があるから






自由に服を選びたいだけなのだ





だからお客様が入って来てもしばらくは声をかける事はしない





何か聞いて来たら一緒にあれこれ見ては選んであげる





笑顔でお買い上げ頂いた時はとても嬉しい



No.66 20/02/28 23:42
自由人 

宮町とは相変わらず週末に車で近くまで迎えに行き




行きつけの居酒屋で飲んだ後、ホテルに泊まる日を送っていた




ある日宮町を送って行く前に行きつけの喫茶店でモーニングを食べていた





ポロン♪ポロン♪





宮町の携帯が鳴った





宮町は携帯を取って着信を確認するとテーブルに置いた





まだ鳴り続けている携帯を見た私は





「出なくてもいいの?出たら?」





宮町は携帯を取り「もしもし宮町ですけど、、、」





「電話ありがとうね。はい、はい、じゃあまたね」






私は黙ったままコーヒーを飲んでいた





宮町の家の近くまで来ると車を降りるとき




「麗香に余計な詮索をされたくなかったから電話に出たんだ。また電話するから」




宮町はそういいながら車のドアを閉めた

No.65 20/02/28 23:02
自由人 

それから半年過ぎた頃、仕事が終わって家に帰ると拓が指に包帯をしていた





「何で包帯してるの?指にケガでもしたの?」




「宮町さんが包丁の使い方教えてくれると言ったので教えて貰ったら指を切った。」




「えー!何も聞いてないけど大丈夫?」





「大丈夫。大した事ないから、、、」





その夜宮町から電話が掛かってきた。




「拓の事なんだけど包丁使わせたの?」




「いや、拓が包丁使った事ないと言ったから教えてやろうと思ってね。まさか指切ると思わんかったよ。」




「今まで包丁使った事ないから!最初から上手く包丁を使うなんて!無理だよ!」




「はじめから本物の包丁を使った方が使い方を覚えると思ったから!」





宮町の郷里は漁師だったから宮町は魚を捌いたりするのは得意だった




「ありがたいけどケガをするような教え方をしないで欲しいの。宮町みたいに包丁を使いなれて無いから」





「わかったよ!もう何もしないから!電話切るわ!」





こんなやり取りは仕事で疲れた身体には余計に応えた


No.64 20/02/27 20:15
自由人 

それから数日が過ぎ近藤さんと私はバイヤーの山崎さんに呼ばれた




「あなた達もっと真剣に仕事をして下さい!」




「はい、、、」




(だったら大きい箱のラッピングの仕方をもっと練習させてくれたら良かったのに)




私達はどれだけ大変だったのか、、、




一方的にあーだこーだ言われるだけでは話が何も頭に入って来なかった




確かにバイヤーさんは大変でしょうね




お客様がいない時の社員達の無駄話は何?






そんな時2階の靴売り場で面白い出来事があった




何と展示していた靴をお客様が履いて行き代わりに汚れた汚い靴が置いてあったらしい




は?社員の人達は何をしていたの?




何のお咎めもなし、、、ですか




ひどい目にあったような話になってる、、




何だかね、、、







No.63 20/02/27 19:25
自由人 

それから3ヶ月ぐらい過ぎて接客にも慣れた頃




お店に年輩のお客様がやって来た




大きなブランドのバッグをお買い上げになり、プレゼントにしたいから箱に入れて欲しいとの事




その日は生憎私ともう一人準社員の2人で対応した




バックヤードに行って箱を探し、箱の大きさに合う包装紙を取り出した




お客様の前でもう一人の準社員の近藤さんが得意と言う事で包装をする事になった




包装を見ていたお客様の顔がだんだん険しくなってきた



近藤さんのラッピングが上手くいかないみたいだった




慌てて駆け寄るとラッピングの終わりの始末が端に寄ってしまっててこずっているとの事だった




2人でラッピングしようにもどうにも上手く出来ない、、、




お客様は呆れた顔で「まぁネ○ステージの社員ともあろうものが、、、」




「申し訳ありません、、、」





何とかラッピング出来たものの2人して汗だくになってしゅんとしてしまった。




気を取り直して接客しているとあっという間に正社員の人とシフトの時間が来てしまった


No.62 20/02/26 23:28
自由人 

賑やかな声と共にお客様がそれぞれの店に吸い込まれてゆく




私達、準社員もそれぞれの接客に入り声をかける




並べてあるバッグを物珍しそうに次々と手に取っては元に戻す




財布やポーチなどカラフルな色合いのものがよく売れた




お客様を鏡の前に案内しては「よくお似合いですね」と声を掛ける




「そう?」満更でもなさそうだった




初めての接客だったがお買い上げ下さったのは大きな手応えを感じた




ハンドバッグと靴のお店は予想外の売り上げがあり正社員の人達は嬉しそうだった

No.61 20/02/26 00:38
自由人 

オープンが近くなると正社員の指導にも熱が入り緊張感が増してきた



レジの打ち方から朝、一番でお札を100円硬貨に両替してくるなど初めてやる事ばかりだった



そんなある日正社員の岡田さんがバイヤーの山崎さんを私達に紹介した




山崎さんは「初めてで大変でしょうがみんなで頑張って行きましょう!」と私達を激励してくれた。




山崎さんはいかにもやり手のキャリアウーマンと言う感じのハキハキした身のこなしをしていた。




紹介が済むと忙しそうにバタバタと動きまわっていた。





とうとうオープンの日がきた。





10時近くになるとお客様を迎える為に私達はお店の前に並んだ。




No.60 20/02/25 21:24
自由人 

最後の研修では舞台に上がり全社員の前でひとりひとりが「ネ○ステージ○○、今発進!!」




「一生懸命頑張ります!」と大きな声で叫ばなければならなかった。





まるである宗教団体のようだと思った。





それが終わるとそれぞれの部署に移って細かい研修が始まる事になった。





お客様の対応など正社員の人達は優しくも厳しく指導をしていた。




ハンドバッグの包装の仕方も丁寧に何回も練習した。




特にハンドバッグを入れた大きな箱の包装はとても難しかった。





1日の研修が終わるともうくたくただった。

No.59 20/02/25 21:01
自由人 

面接日には多くのおばさんもとい、女性が来ていた。




確か3階建てで3階が映画館になっており当時では珍しく客席が画面によっては動く仕掛けになっていた。




何とか面接に受かり社員の研修が始まった。




ハンドバッグと靴の店は専門店ながら同じ系列店だった。




正社員は主に若い人が多く地元の女性社員が準社員として雇われていた。




社員の人達は私達おばさん社員に仕事を覚えて貰おうと必死だった。




3階の映画館に新入社員?を集めての合同の研修だった。




トイレの時間になるとトイレが混みあい中には男性トイレの個室に入るつわものもいた。


No.58 20/02/25 00:35
自由人 

宮町には社長の事は黙っていた。別に付き合っていた訳ではないから特に話す必要はなかった。




近くの大型スーパーが人を募集している事を知り合いに聞いた。





その地域では馴染みのない名前だった




ハンドバッグと靴のお店のチラシが目に付いた




正社員ではないが地元のパートの社員を募集していた。





給料を調べて見ると今の仕事よりは4万円ほど高かった。





面接は2週間後になっておりオープンは1ヶ月後だった。




宮町に相談すると麗香がやりたいのならやってみたら、、と言われた





さっそく履歴書と写真を用意して面接に行く事にした。

No.57 20/02/24 21:39
自由人 

シャワーを浴びてベッドに戻ると宮町は静かに煙草を吸っていた。




私はバスタオルを脱ぎ捨ててベッドに潜りこんだ




しばらく天井の鏡に映った自分の顔をぼんやりと見ていた。




「どう、仕事は上手くいってる?」




あれから私は仕事を変わっていた。




仕事を辞めると奥さんに言ったら、何故か社長から電話がかかってきた。




何とか引き留めたいようだったがもう無理だった。私はもう決めていた。




パートで生活をしていくのは無理だった。



No.56 20/02/24 18:50
自由人 

息子が中学生になるまでは宮町は毎週末は家に泊まっていた。




さすがに中学生になった今は家に泊める訳にはいかなくなった。




そんな私達が愛し合うにはホテルに泊まるしかない。




一緒にお風呂に入ると私の身体中に石鹸を付けて優しく洗ってくれた。




スケベ椅子と言うものがあるのを初めて知った。




お返しに今度は私が宮町の身体を洗う番だった。




お風呂に浸かると宮町がキスをしてきた。そのままお風呂の中で結ばれた。




ある時は宮町が激しく動く度に空気が入るのかあそこの中でキュッキュッと音がした。




その音がお風呂中に響き渡り恥ずかしさでまた興奮して来るのだった。






終わると宮町は優しくキスをしてベッドに戻って行った。




私は身体の火照りを静めるようにしばらく湯船に浸かっていた。




宮町によって心も身体も充たされていた。


No.55 20/02/24 10:49
自由人 

30分も過ぎた頃宮町がカラオケでリクエストを入れた




十八番の細川たかしの「一緒に暮らそう」だった




とまどう時に上目遣いで♪



爪を噛む癖はなおってないんだね♪



お前を見ていると俺も昔を思い出す♪




この曲は私と宮町のテーマソング、、私は勝手にそう決めていた




0時も近くなった頃「そろそろ出ようか」





ほろ酔いかげんでいい気分、、






私は車で近くのホテルに入って行った








No.54 20/02/24 10:31
自由人 

あれから時が経ち拓も6年生になった



宮町とは相変わらず週末に会っていた



宮町の家の近くまで車を運転していき車の中で宮町を待つ



10分ほど待っていると宮町が姿を表す



宮町を乗せた私は隣街にある馴染みのお店に車を走らせた



お店ではママさんが「いらっしゃい!」と笑顔で迎えてくれた

No.53 19/08/07 19:18
自由人 

次の日の夕方、仕事を終えてから拓と先生に聞いた本屋さんに謝りに行った。





拓に「この本屋さんだった?」と聞くと「うん」と頭を下げた




意を決して、レジにいる店員さんに「すみません、店長さんいますか?」と聞くと怪訝そうな顔をしながらも奥から年配の男性を呼んで来てくれた





「あの、うちの息子が本を万引きしてしまったと学校で聞いたものですから、、大変申し訳ありません」





すると店長は「本来なら警察に連絡するところですが、子供さんも小さいし初めてと言う事ですので、こうやって来られたと言う事もあり、今回は警察に連絡はしません。」





「私の不届きでご迷惑をおかけして申し訳ございません」拓と頭を下げるしかなかった。





「ただしこの次は警察に連絡しますので」






拓が持っていた本を差し出した。640円の車の本だった。「ごめんなさい、、」
小さな声で言った。








No.52 19/08/06 23:51
自由人 

そんなある日、拓が通っている小学校の担任から拓の事で話をしたい。と連絡ノートに書いてあった





何の話だろうと小学校の職員室に行くと担任の青木先生がかしこまったように





「お母さん、実は拓君が本屋さんで本を万引きをしたと一緒にいた同級生の田中君が教えてくれました。」







思いもよらない話に心臓がドキドキした。「田中君がそんな事しちゃあダメだよ!」と言ったけどそのまま持って来てしまったとの事だった。





「私がその本屋さんに電話をして事情を話しましたら、初めてだと言う事で本人に謝りに来るように言われましたのでとの事です。」






私は「ご迷惑おかけして申し訳ございません。」と言うと青木先生は「お母さんあまり拓君を叱らないで下さいね。本人は反省してもうやりません、と言ってますから」






私はただ頭を下げるしかなかった。「お母さん私も父親が居なかったので拓君の気持ちがよくわかるのです」






「もっと拓君の話を聞いてあげて下さいね」「ご迷惑おかけして本当にすみません。その本屋さんに明日、拓と謝りに行って来ます」






先生の優しさに涙が出そうだった。






No.51 19/08/04 08:24
自由人 

宮町とは毎週末に宮町の家の近くに私が車で迎えに行きその足で行きつけの「如月」に行く事が多かった





如月でお店の咲ちゃんが宮町が行くとよくカウンターについて水割りを作ってくれる





宮町がトイレに立った時、「前の彼女は歌が上手くてよく歌っていたのよ」





トイレから戻った宮町に「ねぇ宮町の彼女さんは歌が上手かったの?」「誰がそんな事を言った!」






「咲ちゃんが教えてくれたんだよ」「もう、、」





宮町は咲ちゃんがカウンターの前に来ると「やめてくれよ~、前の事話すなんてルール違反やろ」怒って言った






前の彼女は旦那さんがいて宮町とは5年付き合っていたと聞かされていた





宮町とエッチすると旦那とはしたくないと言っては宮町を困らせていたとの事だった




No.50 19/08/04 08:02
自由人 

宮町は新しい会社の話をよくするようになった。事務の女の人がドラム缶みたいに太っていて面白い人だと言う事。





私は今の会社はパート扱いなので生活がえらくなり正社員にして貰えないか社長の奥さんに相談した





奥さんは社長と話をしてから返事を貰える事になった





それから1週間後奥さんから「麗香さん、ごめんなさいね。うちはこの通り社員の人数が少ないから、やっとだから正社員は無理だと社長が言ってたの。」





「解りました。すみませんでした」私は考えるしかないな。と思った。






まだ35歳正社員で働くのはやる気さえあれば大丈夫!そんな気持ちだった。



No.49 19/08/03 10:22
自由人 

それから別の日久しぶりに義姉とお茶をする事になった





義姉は別れた旦那のお兄さんのお嫁さんさんである





「麗香さんとはこれからも会うからね。友達なんだから」と義理の兄に言って来たそうだった





本家の義理の姉の事をよく思っていない人だった。もちろん私もきつい本家のお嫁さんは苦手だった。





「麗香さんが『私は頼まれ仲人だからあんた達がどうなろうと関係ない!』と言われたと言ったら」確かにそう言ったわと言ったよ。」






私にはもう遠い過去の出来事のようだった





お義姉さんは「麗香さん達も離婚してからお互いに車を変えて今の方がいい生活してるんじゃない、、」と言った。






まさか私に好きな人がいてその人に買って貰ったと聞いたらどんな顔をするのだろうか。


No.48 19/08/03 09:51
自由人 

週末の土曜日に久しぶりに宮町の行きつけの『如月』に行った






ママは私を「いらっしゃい!ちあきなおみ~」と言って出迎えてくれた。





宮町に「何で?ちあきなおみ?」と聞くと「たらこ唇が似てるんじゃない!あははっ」と笑った






私達の他に客がいなかったからかママはカウンター前の宮町の隣に座った






「お久しぶりねっ」と言ってママは宮町の膝に手を置いた






「の身体に勝手に触らんといて下さいよ~」そう言うと宮町はママの手を避けるように私の方に向き反った






ママは気を取り直してカウンターの中に戻った。宮町と私に水割りを作ってくれた。そして3人で軽く乾杯をした。




そして宮町はカラオケを歌った




とまどう時に 上目遣いで爪を噛む癖は なおってないんだね♪





お前も騙されて 俺とおんなじお人好し♪





似た者どうし 似た者どうし~♪





一緒に暮らしてみよう♪





久しぶりに聞いた宮町の十八番だった


No.47 19/08/03 01:48
自由人 

その週末の土曜日の昼過ぎに宮町は団地まで車で迎えに来た





拓は友達の所に遊びに行くと出かけていた。車に乗り込むと宮町はさっそく「車を見に行こうか」と隣街まで車を走らせた。






軽自動車が並んでいる車の販売店に入って車を止めた





「どれにしようか?」いろいろ見ていたらある濃紺の車が目に止まった






「これがいいかなぁ」と言うと「この車気に入った?」「色がシックで良くない?」「じゃあこれにしようか!」






支払いの手続きは宮町がやってくれた「納車は来週の日曜日でいいか?」「はい、ありがとう!楽しみだわ!」






初めての新車に私はウキウキしていた。日頃の疲れが吹き飛ぶ気がした。宮町には感謝しかなかった。








No.46 19/08/03 01:17
自由人 

その夜、宮町から電話が掛かってきた「もしもし、宮町だけど、、」






どうやら酔っているようだった「今、友達ん所」「そうなんだ~、今日母さんからお金借りてきたから、、」





宮町は長崎の県人会を作っていて同郷で20人位で月に1度集まっては飲み会をやっていると言っていた






前に県人会に彩ちゃんと言うスタイルのいい綺麗な子がいて宮町の事が好きで





飲み会の時はいつも宮町の隣に座っていて酔って来ると「宮ちゃん好き~」と言って来ると言っていた






「そうか~良かったな、来週車見に行こうか!」「はーい、楽しみにしてます。」





あんな思いをして母からお金を借りてきた事などおくびにも出さずにただ新車に乗れる事が嬉しかった。

No.45 19/08/03 00:20
自由人 

週末に車で30分の所にある実家の母を訪ねた





「久しぶりだね。身体の調子はもういいのかい」5年前に父を亡くし独り暮らしの母は嬉しそうだった。





「うん、もう大丈夫だよ」1時間が過ぎる頃私はきりだした。「母さん、お願いがあるんだけど、、」






「なんだね」「うん、最近車の調子が悪いから安い車に買い替えようと思って、、」





「ふん、、」「お金を貸して欲しいんだけど」






「いくらいるの?」「20万円、、夏のボーナスが出たら返すから」





「なんだね、あんたは!いつも来んくせに、こんな時だけ来やがって!」






「貰おうと思ってないから、、返すから!」






母は奥に引っ込んだ、、しばらくして出てきた手には封筒が握られていた






それをテーブルの上に置くと「持って行きん!」と言った






封筒を見ると20万円入っていた






「ありがとう!必ず返すから、、約束するから!」






その時は私にはどうしても必要なお金だった。宮町を引き留めておくためにも、、







No.44 19/08/02 23:12
自由人 

そして新学期が始まった。拓は元気になり毎朝一人で登校した。





その頃になると宮町からは夜10時前後になると毎日電話が掛かって来るようになった。





話す事は仕事の愚痴だったりたわいのない事だった。






週末に会った時車の税金が高いからやりくりが大変だと話すと宮町は「宮町が50万円出すからお袋さんに20万円借りて来れないか」






「今は軽自動車の方が安いから軽自動車に買い替えたらいいよ。お袋さんに1度相談してきたらどうかな?」






「車買ってくれるの?嬉しい!今週母さんに相談してくるわね」






軽自動車とはいえ新車に乗るのは初めての事だった。



No.43 19/08/02 22:57
自由人 

私は学校に電話をして事情を話して拓の担任に電話を代わって貰った。拓の担任の30代のインテリっぽい顔を思い出した






担任は「お母さん事情は解りました。3学期ももう残り少ないんです。その女子達と話をしてももうすぐ春休みになるんです」






「もうすぐクラス替えがあるんです。だからここは何とか押さえて貰えませんか」






この担任には何を話しても無駄だとわかった。3学期も終わりに近付いている今面倒な事は避けたいのだ。






拓には「先生に相談したらもうすぐクラス替えがあるからと言われたからもう少しだけ頑張ろうね。」と言うしかなかった。






そして新学期を迎えた。新しい担任は優しそうな女の先生だった。






気になったいじめた女の子は1人だけ同じクラスになった。私は胸を撫で下ろした。




No.42 19/07/21 23:54
自由人 

家のかたずけに追われてあっという間に1週間が過ぎた




久しぶりに会社に出社すると奥さんは「お見舞いに行こうとしたんだけど仕事が忙しくて」




と申し訳なさそうに言った。「身体はもう大丈夫なの?」と心配そうに聞いた





「お蔭さまで引っ越しも無事終わりました」と言うと「そうだわね。引っ越し祝いをあげなくちゃね」




「ありがとうございます。団地なので間取りは大きくないんですよ。息子と2人で住めればいいですから」





「玄関マットをあげたいから1度部屋を見せて貰わなくちゃねどんなのがいいかわからないから」私は気が進まなかったが「そうですね」と言った





結局玄関マットのお祝いは貰う事はなかった





ある日、仕事から帰ると拓の様子がおかしかった




「どうしたの。元気がないみたいだけど、、」顔を覗き込むとノートをサッと隠した





ノートには何か落書きみたいな字が見えた




「見せてごらん!」ノートを取り上げて見てみると『バカ』『クズ』とかいろいろ何ページかに落書きがしてあった





『これ誰が書いたの?」『女子が書いた」





新しい学校のやり方が解らなくて戸惑っていると4人の女子にノートに落書きされたと言う





そんな事が3日も続いて私は黙っていられなくなり学校の担任に電話をした

No.41 19/07/21 19:58
自由人 

その夜、宮町から電話が掛かってきた





「その後、変わった事はないか?拓は帰ってきたのか?」と言う事だった。「あまり無理しないようにね。また電話するから。おやすみ!」






この夜から宮町からの電話が毎日掛かって来るようになった






拓は学校まで歩いて10分とかからず集団下校と言うものがなかった






私は会社にもう1週間体調が落ち着くまで休みたいと届けを出しておいた






引っ越しの食器の整理とか細かいやることがまだまだあった





ある日保険会社から30万円のお金が降りたと連絡があった





入院費用を支払いをしたため当面の生活費が必要な私にはとてもありがたいお金だった



No.40 19/07/21 00:33
自由人 

その日の夕方、元旦那が拓を連れて来た





玄関を開けると拓は照れたような顔をして立っている「お帰りなさい」





拓もこの部屋に入るのは初めてだった。靴を脱ぐとテレビのある部屋へ入って行った






「ちゃんと学校に行ってた?」「送り迎えしたんだぞ」「それはご苦労様!」






元旦那は部屋に入ろうとしていた「あの、、辞めてくれない?ありがとうございました。拓がお世話になりました」






「、、、」
そう言うとバタバタと階段を降りて行った





来週の月曜日から拓は団地の隣にある小学校に転校が決まっていた



No.39 19/07/21 00:20
自由人 

それから1時間あまり過ぎてから拓の机を隣の部屋の窓際に運んだ





すると部屋のテレビが小さいのが気にかかったのか、「落ち着いたらテレビを見に行こう」






「今のままでいいから、、」「小さいと見にくいだろう?ボーナスが入ったら買ってあげるから」






「後、合鍵を貰っていい?いつでもこれるように」驚いたが何となく嬉しかった







「また来るからね。身体に気をつけるんだよ。」





玄関で軽くキスをして宮町は帰って行った。





No.38 19/07/20 11:02
自由人 

車で30分も走ると私の住む団地に着いた





鍵を回して初めて部屋に入った。部屋は引っ越し当時のままになっていた




リビングの真ん中に拓の勉強机と椅子が置いてあった




テレビと机の間のすき間で宮町が軽くキスをしてきた




「良かったね無事に退院出来て」
「いろいろお世話になりました。これからもよろしくお願いします」






そう言うと宮町はまたキスをしてきた。今度は舌を入れてきた。深いキスだった。






そのまま横になり私の服を脱がせてきた、、「いいかい?」





そのまま静かに私達は結ばれた。会社であの電話を貰ってから2ヶ月が過ぎていた



No.37 19/07/20 10:23
自由人 

退院の朝、11時過ぎに宮町は病室に迎えに来てくれた




入院中の簡単な荷物をまとめていると同室の大野さんが「元気でな」と言った





私は「早く治して下さいね」と頭を下げながら言った





病院の会計を済ませて車に乗り込むとお昼近かった





何処かでお昼を食べて行こう。と宮町は言って車を走らせた




するとステーキの○○○○にしようか?と宮町は言った





お肉は大丈夫かな?と思ったが宮町は退院祝いだからと言って駐車場に車を停めた





私は1番小さいステーキを注文したがそれでも大きかった




もう何を食べてもいいんだろう?と宮町は全部食べるように言った





私は胃がパンパンだったが無理やり押し込んで食べた





「じゃあ部屋に行こうか」






お腹がいっぱいで苦しい私の気も知らず宮町は車に戻った

No.36 19/07/20 08:23
自由人 

そう言えば私が緊急外来に乗ってきた車はと言うと





緊急外来の駐車場はスペースが少なく空いてなかったので路上駐車したのです





そのまま診察を受けて手術になってしまったので車はそのまま路上駐車のままになってしまった





妹が気がついて2日後に車を取りに言ったらあの黄色い『駐禁』の札が貼ってあった






警察に本人はそのまま入院して手術をしたから車を動かせなかった事情を説明したが





警察はとにかく2日も路駐していたからダメです!と言う事で聞き入れて貰えず






違反金を払う事にして車は私のマンションの駐車場まで乗って来て置いておいてくれたのだ





本人は入院して車を運転出来なかったのに警察は何でそれが解らんの!!






と妹は怒っておりました、、、





妹よごめんなさい迷惑をかけてしまって


No.35 19/07/15 23:25
自由人 

いよいよ明日は退院すると言う前日、自販機の前に病室の4人が集まった




「麗香ちゃんが居なくなると寂しくなるなあ」




「私も皆さんの顔が見れなくなると寂しいです。本当にお世話になりました。早く元気になって下さいね。」




「麗香ちゃんは化粧したら私らとあっても全然顔がわからんわ」





「何~、それって酷くない。化けるのが上手いってこと?」




私達はカップコーヒーを飲みながらささやかな退院祝いをした。





10分ぐらい過ぎた頃「ほな戻ろうかね」





「今日はありがとうございました」






「おやすみ!」





それぞれが同じように同じ病室に戻って行った。


No.34 19/07/15 19:13
自由人 

やがて食事も普通食になった。看護師さんには運動をした方がいいと言われたので病室の廊下を1日2回一周したりして体力をつけたりしていた。





退院の日が近付いてきたが息子の拓が見舞いに来る事はなかった。






旦那の実家に電話をしても拓の事はよくわからないとと言われて電話を切られた。





そうこうしているうちに引っ越しの日がやって来た。





入院していたので細かい間取りは妹に任せて妹夫婦と男手がいるという事で友達だと言う事で宮町にお願いした





朝、9時に私のマンションに荷物やタンスを取りに行き公団まで30分の道のりを運んで貰った






引っ越しの当人は入院中と言うあまりに喜劇みたいな流れになったが






妹の旦那の仕事の都合でこの日しか空いていないと言う事で仕方がなかった





狭い団地に入り切らない和箪笥は車で20分ほどの所にある実家に運ぶ事にしたと言う





No.33 19/07/15 16:15
自由人 

その日の夜、夕方宮町が仕事帰りに見舞いに来てくれた




「調子はどう?」「うん、大丈夫です」なぜかほっとする





「ご飯食べてるの?」「うんお粥を少しずつだけど」





短い会話の中に優しさを感じる私、しばらくすると「また来るから」と帰って行った





同じ病室の人達は宮町は旦那だと思っているみたいだった





毎日見舞いに来てくれる優しい旦那さん





そんな私に嬉しい事があった。申し込んでおいた公団に当選したのだった





2週間後には公団に引っ越しをする事になった




拓はどうしているのだろうか?旦那は同じ市内にアパートを借りたとお義姉さんに聞いた






ちゃんとご飯を食べて学校に行っているのだろうか






身体は順調に回復して口の管とお腹の管が取れた





公団は2階の2DKに決まった。妹には前から引っ越しが決まったら手伝って貰う事になっていた





病室の人達とも話しをするようになった。夕方には自販機の前に集まってカップコーヒーを飲んだりするようになった






一人の人が退院が決まった時はみんなで自販機の前でコーヒーを飲んでお祝いしたりした





No.32 19/07/15 14:41
自由人 

手術をした次の日の昼近く母と妹が見舞いに来てくれた




「大変だったね。だから言ったでしょう、無理するなって、、」





「さっき先生から説明を受けたよ。切った物も見せて貰ったよ。」






「あの、拓はどうしてるの?」






「拓君はね元旦那さんに預けたよ。いいでしょう。お父さんなんだから、それに学校の送り迎えもやって貰わんといかんし」






「そ、そうだね。すみません。ご迷惑おかけして」






あまりにいろんな出来事が多過ぎて疲れてしまった






その後はどうやら眠ってしまったらしい






夕方になると夕御飯に重湯が出て来た





気がつくと何も食べていなかった事に気がついた





ゆっくりだがトイレも行けるようになった



No.31 19/07/15 13:53
自由人 

静かな夜だった。




夜遅くに宮町が見舞いに来た。「要るものはないか?」見ればタオルケットとタオルを何枚か持ってきてくれていた





「ありがとう。ごめんなさい心配かけて、、」





「何も言わなくていいから。大丈夫か?」そのまま30分くらいいて帰って行った





そう言えば妹に電話をする前に宮町の家に電話をした事を思い出した





どうしても一言連絡したかった私は奥さんが出る覚悟で宮町の家に電話をした





電話をすると奥さんが出た「友達の麗香と言うものですが連絡したい事があるので旦那さんをお願いします」





宮町に代わってくれた「どうした?」「すみません電話をして今から○○病院で手術をする事になったから」





「わかった。」それだけで電話は切れた。



No.30 19/07/15 13:23
自由人 

目が覚めたのはどれくらいの時間が経っていたのだろうか





手術は無事に済んだようだった。息子はどうしているのだろうか





口から管を通されている。お腹の脇にも管が通されていた





しばらくぼーっとしていると看護師さんが麗香さん目が覚めましたかと声をかけてきた





あー、声を出したが声にならなかった





部屋には6人の患者さんがいたみんな心配そうにこちらを見ていた





うー、うー、痰を取るための管が喉の奥に付いているのが苦しくて思わず呻いてしまった




麗香さん大丈夫ですからね!それだけ言うと看護師さんは病室を出て行った


No.29 19/07/15 11:46
自由人 

病院に着くとさっそく診察が始まった。医者はお腹の辺りを押さえながら「今からレントゲンを撮りますね」と言った





そのままレントゲン室に連れて行かれてレントゲンを撮られた




しばらく横になっていると看護師さんが呼びに来た




「十二指腸潰瘍で直ぐに手術をします。こんな時間ですが連絡をしたい所があれば連絡をして下さい。」





突然の事に頭が混乱してしまった。時間を見ると朝の6時半を過ぎていた。




実家に電話を掛けたが誰も出なかった。次に妹の家に電話を掛けると妹が出た。




混乱しながらも昨夜からの事情を話した。今から手術をする事を伝えるとさすがに驚いていた。





尚も息子の事を頼みたく話しをしていると看護師さんが「もう手術の時間です。」と呼びに来た。





すると妹は「後の事はやっておくから心配しないで大丈夫だから」と話してくれた。そのまま私は手術室に入って行った




No.28 19/07/15 07:45
自由人 

そしてそんな日々が続いたある日の夜、私は胃にいつもと違う締め付けるような鈍い痛みを感じた





かかりつけの病院に電話をした(ルルル、ルルル、ルルル、、、)呼び出し音が空しく響くだけだった





昔、一度だけかかった事があるとなり街をの病院にすがる思いで電話を掛ける(ルルル、ルルル、、、)




「はい、こちら○○病院緊急外来ですが」





「あ、あの胃の辺りがとても痛くて段々いつもと違う痛みで見て頂きたいのですが、、」





「今から来られますか?何で来られますか?車で来られますか?気を付けて来て下さいね」






私は救われたような気がした。時計を見ると朝の5時だった





慌てて寝ている息子を起こして話をする「あのねお母さんはとてもお腹が痛くて我慢出来ないの。





だから今から病院に行くから。解る?机の上にパンと牛乳があるからちゃんと食べて学校に行くんだよ。解る?」






息子は小さく頷いた





私は慌てて取るものも取り敢えずとなり街の病院に向かった


No.27 19/07/15 01:45
自由人 

旦那にお金がない事は解っていた。何と2社から380万円の借金がある事が解ったから。




それも取り立てに困り旦那の実家が100万円払ってくれたそうだ。





旦那には私には言わないで欲しいと言われていたと全て義姉が教えてくれたのだった。





そして私がおこずかいをあげていないと言って旦那の実家からお金を貰っていた事もわかった。





もう駄目だと思った。許せなかった。





旦那にはこれからは気をつけるから別れたくないと泣きつかれた。





もう駄目だ、もう同じ部屋で空気を吸う事が出来なくなってしまった、、





せめて旦那の口から全て聞きたかった





慰謝料はいらない。でも子供の養育費だけは払って欲しかった





あなたは父親なのよ。





そしてあなたの本屋のお義姉さんに相談した時に言われたの。





私は頼まれ仲人だからあなた達がどうなろうと私には関係無いから。



No.26 19/07/15 00:51
自由人 

旦那は「あんな古い車はいらない」と車を置いて家を出て行った。






そして実家に帰ると俺の分の荷物は送ってくれ。と電話をしてきた






旦那の荷物を整理しているとエロ本が出てきた。プロレスの本と共にエロ本を衣装ケースの見える所にエロ本を5冊ほど乗せて蓋をした。





衣装だんすは旦那が欲しいと言ったのでそれも送る事にした





今の賃貸マンションは家賃が高いので公団に引っ越す事に決めた





そして旦那と別れる事を実家の母に話をすると「何も別れる事ないのに」と言われた





旦那と別れる事を決めたけど話し合いが上手く行かずに裁判所に調停に出す事になった





自分はお金がないから慰謝料は出せない。養育費も出さない。と言う事で揉めていた。



No.25 19/07/15 00:15
自由人 

「そろそろ帰ろうか?」気がつくと夜の11時を過ぎていた




車に乗ると「今日は楽しかった。いいお酒だった。」何ともなしに宮町が言った





しばらく走らせて家が近付くと「また電話するから。おやすみ!」と宮町が言った





「楽しかったです。」と言うとじゃあと言って静かに車を走らせて去って行った





海を見に行ってその帰りにお酒を飲んで、、





この歳になってこんな気持ちになるなんてとても自分が信じられなかった





旦那と別れて良かった、、旦那といたらこんな時間は持てなかった。全て宮町と出会って感じたものだった。






No.24 19/07/14 23:48
自由人 

無言のまましばらく車を走らせていた宮町は「この前の店に行こうか?」と聞いて来た。





お酒はあまり強くないけどお店の雰囲気が好きになった私に異存はなかった。





如月の扉を開けるとママが「まあ!宮さんいらっしゃい」と声をかけた。




私達は隅の席に座るとママがさっそくボトルを持って来た。着物が良く似合う素敵なママは常連さんからは「みえこー」と呼ばれていた。




「ねえママは歌手の○○三枝子に似てるからみえこって呼ばれてるの?」と宮町に聞いた





「バカだなあ、名前が三枝子っていうからそう呼んでるんだよ」そんな他愛ない話が楽しかった。





しばらくすると宮町はカラオケをリクエストした。




流す涙はかわいても 寂しい心は隠せない♪




星も見えないこの街に あなたしかない私♪




ああ お酒下さい♪




ああ 寂しい胸に♪




ひとりがつらいこんな夜は あなたが憎めない♪





宮町の歌とお酒にすっかり酔ってしまった

No.23 19/07/14 23:23
自由人 

しばらく歩いていると宮町が立ち止まった。私の髪を撫でながら「この髪飾り良く似合っているよ」と言った。






そんな何気ない言葉がたまらなく嬉しかった。





海を見ながら私の気持ちがゆらゆら揺れていた。日常から離れたこんな時間が持てるなんて幸せだと思った。






そして車に戻った時宮町は「楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうね。」と言った。何だか可笑しくて思わず笑ってしまった。






帰りの車の中で気になっている事を聞いた。「宮町さんは子供さんはもう大きいの?」





しばらくの沈黙の後宮町は「うちには子供はいないんだ。」と言った。






宮町が原因で出来なかったとの事だった。「だからおばさんとは家庭内別居みたいなものなんだ。家にお金を入れる代わりにご飯はちゃんと用意して貰う事。奥さんのパート代は自由に使ってもいい事。」と約束していると話てくれた。







No.22 19/07/14 14:28
自由人 

それから1週間後宮町から電話があった。今度は海を見に行こうと言う事になり私のマンションの近くまで宮町が迎えに来た。





久しぶりのデートと言う事もあり、念入りにお化粧をして鏡の前に立つ私だった。毎日子供との生活に追われてお洒落をする事もなかった。





宮町が迎えに来た。私は懐かしい人に会ったような不思議な感情を感じた。





その時は子供はどうしていたのだろうか。確か小学校3年ぐらいだったと思う。その時は実家の母に預けていたのかもしれない。






1時間も走ると海が見えて来た。私は窓を開けて海の香りを吸い込んだ。







堤防に車を停めると海岸沿いを2人で歩き出した。宮町は自然と私の手を繋いできた。私を包み込むような大きく温かな手だった。

No.21 19/07/14 13:58
自由人 

宮町の仕事ぶりを見ていた私は悪い人ではないと解っていた。




その時は旦那とは上手くいっていなかった私は頼れる人が欲しかったのかもしれない。





それからしばらくして宮町は会社を辞めた。





後から聞くと私を誘った時点で会社を辞める事が決まっていた。だから私が電話に出てくれなかったら私の事は諦めるつもりだったと。





運命の糸は繋がっていたのかもしれない。そんな予感さえ感じさせた出会いだった。


No.20 19/07/14 03:11
自由人 

そろそろ帰ろうか?時計は11時近かった「どう?楽しめた?」







「はい凄く楽しかったで
す」




「それは良かった!また来ましょう」







私の車を取りに行くためにパチンコ屋さんの駐車場に向かっているとき「宮町と付き合って貰えますか?」






この人は自分の事宮町と言うんだ。「はい」

No.19 19/07/14 01:26
自由人 

車で向かった先は「如月」と言うスナックだった




宮町が扉を開けると着物を来た綺麗な女性が「宮ちゃんお久しぶり」と私をチラッと横目で見ながら声をかけた。




宮町はこの店の常連らしかった。ママがボトルと氷を持って目の前に来た。宮町のグラスに氷を入れるとウィスキーをロックで入れた




こちらは「初めてかしら」と言いながら私に薄い水割りを作ってくれた。





店内にはカラオケがあり「兄弟船」とか「宗右衛門町ブルース」とかおじさま達の好きそうな演歌がかかっていた。

No.18 19/07/14 01:08
自由人 

「来てくれてありがとう。時間があれば麗香さんと話しがしたいと思ったから」





宮町は照れくさそうにそう言うと「コーヒー飲みますか?」と言った。




「会社には宮町さんが電話したんですか?奥さんが出たけど大丈夫だったの?」






私は気になっていた事を聞いた。「いや、会社に電話をしてから店の女の人に頼んで友達だといって麗香さんを呼びだして貰ったんだよ」





「そうだったの。会社で呼び出すなんて大胆な事するなと思ったわ」






会社の人達の話しや仕事の話をして1時間近く過ぎてしまった





「これから行きつけのお店があるのでそこに行きましょう。車は近くのパチンコ屋さんに止めて置いて宮町の車で行きましょう。」



No.17 19/07/14 00:49
自由人 

しばらく雑談が続いた後、話し尽きたのか奥さんが「そろそろお開きにしましょう」



時計を見ると宮町との約束の時間の15分前だった。(どうしようか、、特に予定はないしお茶だけして帰ればいいか)




「どうもごちそうさまでした。お先に失礼します」私は車に乗って宮町の待ち合わせのパリに向かった。






約束の7時を少し過ぎてパリに着いたが宮町は待っていた。






ドアを開けてパリに入って行くと宮町が奥の席に座っていて軽く手を上げた。



No.16 19/07/14 00:32
自由人 

>> 15 「はい、そうですか?じゃあ何時ぐらいがいいんですか?」




私はなぜかドキドキしながら不自然にならないように話をした。




すると宮町はそれを了解の返事と取ったのか「駅前にパリと言う喫茶店があるのを知ってる?そこで7時に来てくれる?。」




「はい。解りました」私は行くとも決めてないのにそう返事をして電話を切った。




社長の奥さんが不思議そうにこちらを見ていたので「友達と約束していたんだけど少し遅くなると言う事だったので連絡をくれたんです。」と言った







携帯の無かったので時代だったので今ならとても考えられない話ではある。

No.15 19/06/23 11:19
自由人 

宮町が入って1週間を過ぎた頃社員の慰労を兼ねて仕事終わりに会社でビールとおつまみを買い込んで飲み会をやった





宮町が長崎出身だと知ると社長の奥さんは自分も九州の福岡出身だからと「やっぱり九州の食べ物は美味しい物が沢山あるわね~」





と他の人達をそっちのけで宮町に話し掛けていた





1時間も過ぎた頃話しが途切れたのを潮に宮町が「すみません、用事があるのでお先に失礼します」と社長に挨拶をして帰って行った






それからしばらくすると会社の電話が鳴った






奥さんが出てしばらく話をしていたが「麗香さんに山田さんと言う方から電話よ!」






「すみません、、」山田と言う名前の友人はいたが会社の電話番号は知らないはずだった






「もしもし、、」電話に出ると「もしもし、宮町です。突然驚かせてすまないけどこれから会えませんか?」






突然の事に私は何と返事をしたらいいのかわからなかった

No.14 19/06/23 09:15
自由人 

そんな様子をまた別の意味で見ていた人がいる事をその時の私は気づかなかった





それから数日が過ぎたある日、階段の下で何やら騒がしい声がした






私が降りて行くと古田さんの作業靴が無くなっているという






ゴミ箱の近くを探すとスーパーのビニール袋の中に汚れた靴が何足か入っているのを見つけた






「古田さんの靴この中に入ってない?」






すると「俺のだよ!何でこんな所にあるんだ!」






たぶん社長の奥さんが辞めた社員の靴が何足かあったのでかたずけた時に古田さんの靴も一緒に入れてしまったらしい






「奥さんも一言聞いてくれたらいいのにね!」






私が言うとその様子を社長が階段の上から見ていたらしく「何だと!」と怒鳴りながながら階段を降りて来た






その剣幕に私達は黙ってその場を後にした


No.13 19/06/23 07:59
自由人 

ある寒い日私は外での作業をしていた





その日は風が強く上着を持っていなかった私は寒さに震えながら作業をしていた





社長が自分の作業用ジャンパーを私に持ってきて「麗香さんこれ着たら!」と言って手渡した





「いえ!大丈夫ですから!」と押し返したけど





「そのままじゃ仕事が出来んから」と手渡してきた






社長の作業ジャンパーを着て作業を続けていると社長の奥さんが出先から戻って来た






「お疲れ様です!」奥さんに声をかけたが私をチラリと見ては







返事もせずにそのまま階段を上がって社内に入って行った

No.12 19/06/22 00:41
自由人 

それから1ヶ月ぐらい過ぎたある日の事




仕事が終わったら会社から車で5分ぐらいの所にあるスナック「ぼんやり」に奥さんと古田さんと私の3人で飲みに行く事になった




社長は打ち合わせで遅くなると言う事で参加出来なかった





わずか3人での飲み会だった





スナックのママさんの話しが面白くて時間が立つのも忘れてしまった





10時過ぎに社長から奥さんに電話が入った





何時ぐらいに帰って来るのか?と言う事で後30分ぐらいで帰りますと奥さんが返事をしていた





すると社長が電話を私に代われと言ったらしく私に電話に出るように言った







遅くなると危ないから奥さんが帰る時に一緒に帰った方がいいとの事だった






何で?もう少し店にいたかったけど奥さんが私の手を取って店の外に引っ張って行った



No.11 19/06/21 23:18
自由人 

実は何かあったのかしら?と古くからこの会社にいる近藤さんにお昼休みの出来事を話したのだった





近藤さんは「そりゃ、きっと山本だわな!」と言った





一人暮らしの人が体調を崩して仕事を休んでいた時に





奥さんはお粥を作ってあげたりして夜遅くまで帰って来なかったらしい






その人は社長も信頼していて社長が忙しい時は社長の代わりに打ち合わせに行ったりしていたらしい






その時は奥さんも会社には顔を出さなかったと言う事だった





近藤さんはお酒が好きなので社長に毎日のように飲みに誘われて






「あの時はいくら酒が好きでも参ったよ!」と当時を思い出したのか口をつぐんでしまった






その人は奥さんの事が好きだったのだろうか





だから「とし子さんいますか?」と会社に電話をしてきたのだろうか







奥さんもその人の事が好きだったのかしら





最後の恋だったのだろうか













No.10 19/06/21 21:41
自由人 

社長は奥さんが作ったお弁当を食べると階段をバタバタと降りて車で出掛けてしまった





奥さんは部屋の気まずい空気を払うかのようにラジカセのスイッチを入れた





昼休み時間に奥さんが気まぐれにラジカセをつけたりする事があった





それではリクエスト曲をかけます!矢神純子の「思い出は美し過ぎて」






優しく時は流れ過ぎて♪



一人ふりかえる♪




今でもあなたの微笑みを♪




感じる事があるのよ♪




思い出は美し過ぎて♪




それは悲しいほどに♪








家庭の事情を職場に持ち込まないで欲しいわ!まったく!!





私はそれからしばらくは車で10分ほど離れた定食屋さんでお昼を食べていた

No.9 19/06/20 23:43
自由人 

それから1年ぐらい過ぎたお昼前に会社の電話が鳴った






「はい、マツコエンジニアリングです。」






「あの、、○○さんいますか?」






くぐもった男の低い声だった






「はい?こちらマツコエンジニアリングですが?」






「あの、とし子さんいますか?」





今度ははっきりした声だった。とし子は社長の奥さんの名前だった






「今ちょっと出ておりますが。戻ったら折り返しお電話差し上げましょうか?」






「い、いえ結構です」






慌てて電話を切るような気配だった






お昼に社長と奥さんが会社に戻ってきた






「先ほど奥さんにお電話がありましたけど、何かおかしな電話でとし子さんいますか?と言ってたんですが」





とたんに部屋の空気がピーンと張りつめて社長と奥さんは黙ってしまった


No.8 19/06/20 22:47
自由人 

A4のコピー用紙が見つからないんだ、探してくれないか





隣の部屋は倉庫みたいになっていて図面とか工具等いろんな物が置いてあった





コピー用紙を探しているといつの間にか社長が近くにいた





麗香さん、、と言うといきなり社長に抱きしめられた





必死で抵抗する私にキスをしようと社長は顔を近付けて来た





やめて下さい!!やめてっ!!私の声に社長は手を緩めた






今度こんな事をしたら辞めます!!






「悪かった、、」






そう言うと部屋のドアを閉めて社長は階段を降りて行った







私は自分が情けなかった、、










No.7 19/06/20 22:06
自由人 

あれは宮町が入ってくる3年前の事だった





ある日仕事中に社長が私の顔をじっと見つめていた




私は視線を感じながら知らぬ顔をしてドラフターに向かい図面を書いていた




ふと見ると社長は階段を降りて車で出掛けてしまった




私はなぜかホッとしたような気持ちになった




そんな事が2、3回続いたある日社長が麗香さんちょっと、と隣の部屋のドアを開けた


No.6 19/06/20 21:46
自由人 

ある日出勤すると宮町が山城君に仕事を教えていた



山城君はなかなか筋がいいね!仕事の覚えも早いし!




と宮町は私の入れたお茶を飲みながら休憩の時に話かけてきた




ふーん、そうなんだ。これでパチンコに行かないで仕事をしっかり覚えたらいいのに




そんな期待も空しくそれから1ヶ月後山城君は仕事を辞めてしまった




私は会ってもいない山城君の若い奥さんの事が可愛そうでならなかった





山城君の事については社長も奥さんも何も言わなかった





No.5 19/06/20 21:29
自由人 

宮町が入ってくる少し前に社長が若い人を育てたいと



沖縄から出て来たと言う山城君と言う人を入れた




山城君はなかなかのイケメンで何と22歳だと言うのに子供がいた




ある日、その彼が出勤時間を過ぎても会社に来ないので




社長の奥さんが自宅に電話をしたら山城君の奥さんが出て





仕事に行くと朝、家を出た、と言う事だった。結局その日は出勤して来なかった




次の日の朝、出勤すると何事もなかったように現場で働いていた




それから1週間が過ぎる頃にまた会社に出て来なくなった




何を考えているのだろうか?子供もいるのに、、




社長の奥さんの話だとどうもパチンコにのめり込んでいるらしいとの事だった




No.4 19/06/20 00:21
自由人 

そうあの人と出会ったのは何年前なのだろうか




当時私はある会社で図面を書いていた



図面を書くと言っても社長が手書きで描いたものを清書したり



寸法が変わった部分を書き直したりして当時よくあった図面の青焼きをしたりしていた




そこに新しく入って来たのが宮町だった




私はあまり興味がなくお茶の時間が来るとみんなと同じようにコーヒーを入れて




話が面白い佐藤さんとパチンコの話をしては盛り上がっていた




ある日宮町が遅刻をしてきた。タイムカードの近くにいた私は思わず




「重役出勤ですね」と言ったら可笑しそうにニコッと笑った


No.3 19/06/19 07:41
自由人 

>> 2 え、刑務所を出所した男が暴れるかもしれないと言う事で



出所した男の周りを10人ぐらいの私服警官が取り囲んでショッピングモールとか



携帯ショップに一緒に移動しているって、、




何でこんな男を出所させるんでしょうか




その間に何処かの交番が襲われたりしたらどうするんでしょう




あ、勤務部署が違うから大丈夫ですか?





すみません。マジで現実に戻りました





もう少ししたら仕事に行くのでこの変で失礼しますね


No.2 19/06/19 07:17
自由人 

本当に人を好きになったのはバツイチになってからの事でした



世間知らずの私は愛のない関係を持った事もありました




結婚前はあんなにモテなかったのに





と言うより愛の意味を知らなかったの




好きな人が後ろにいるだけでも背中が熱い、、そんな思いをする事はもうないでしょう




好きな人が欲しい!とかよく聞くけど



自分でも気が付かないうちにその人が好きになっていた




会いたいと言う気持ちが押さえられなかった

No.1 19/06/19 00:54
自由人0 

優しさの欠片を求めてさまよう



私の身体と心



本当の愛は何処にあるのだろう



どこまでも求め続けた私の心




もう疲れてしまった




何気ない日常の中にふともどかしさを感じる


なぜだろうか何を求めているのだろうか

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