虹の橋の下

1ヶ月と10日目。
感情的に涙が出ると思っていた。
わんわん泣くと思っていたのに、泣けない。
一瞬ブワっと来る。でも私は冷たいのかな。それで終わってしまう。

2月の初め。
「好きな物を食べさせて下さい」と、動物病院の先生に言われた。
まさかの涙が出るとわかった。本当にまさかだったから。
お前の前で泣きたくない。
待ってくれと先生に手でジェスチャーをして後ろを向いたらね、
入って来た扉に縦長の窓から、診察を待っている犬と目が合ったんだ。
[なんかいつもと違うな]って思ってこの飼い主さんも来たんだろう。
お前を拾った日から今までが一瞬で浮かんだよ。
着いていけない早さで痩せ、甘えん坊だった面影も無くなって、
あっという間に逝ってしまったね。

後悔。罪悪感。
それも、与えない程私を愛してくれた。

申告されてから1ヶ月と約半、看病は大変だったけれどそれ以上に、幸せをくれた。
看病している時【虹の橋の下]の話をたまたま読んだ時は、
寂しくないかな。友達出来るかな。大丈夫かな。そう思わせる性格だったお前だし、私の側から離れない子だったから
心配で、今も心配しているよ。

寒く無い？もう1人じゃ無いよ。大丈夫。ずっと一緒だよ。毎日ご飯も食べれるよ。って、拾った日の夜から子守唄のように頭を撫でたね。

また子猫になって私の所においで。
気が向いたらいつでも待っているよ。

こんな飼い主で、ごめん。
わんわん泣きたいんだ。
ここに気持ちを言えばわんわん泣けるかなそう思ったんだけど。

言葉として残そうと決めた。

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もっと生きたかったろうに。
もっと私の側に居たかったろうに。

癌は残酷な病気だ。

10年前の秋の雨の日、朝起きて、玄関を開けたらポストの下にお前はケージに入れられて捨てられていた。
よろしくお願いします。
その紙が入っていた。
その年、私は猫を3匹立て続けに拾った。
その4匹目だった。

生まれた順番通り逝ってしまったって、悲しみは同じなんだけど最後に来たお前が逝ってしまったんだな。と、ふっと思う。
しかも甘えん坊で、さびしんぼうで、よく喋るお前が居なくなって、

うちはあれから寂しい位静かだよ。
朝の目覚ましはお前だったのに、目覚まし時計を付けたのは何年ぶりだろう。

お前が居なくなって寝坊したんだよ。
寝る時はお前のうるさい位のゴロゴロとニャーニャーで頭をいっぱい撫でて、大丈夫だよ。がお前の子守唄だったろうけど、
私にはお前のゴロゴロと、ニャーニャーが子守唄だったんだよ。
寝付きも悪くなったよ。

お前の毛の感触が亡くなった日からずっとある。
ペットレスになってしまうんじゃないかと思う時があるし、なった人も身近にいる。なって当たり前な事だと思う。

他の3匹が私を止めてくれているよ。

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49日が過ぎた。
南無阿弥陀から南無阿弥陀仏になった。お前は仏になった。

亡くなってすぐ私はお前が使っていた物を捨てた。今思えば看病中に買ったタオルや、通院用に使っていた物だ。
淡々と無感情にゴミ袋に詰めて、模様替えもした。
最後に捨てたのは、お前が大好きだったダイソーのクッションになる掛け布団。


仔猫の頃から自分でうんちを出せない骨盤の病気で仔猫の頃から5年間は1週間に1回は病院で出して貰った。
骨盤を切る手術もしたけど無理だった。
遠方に引っ越しをきっかけに、出し方を病院の方に教わり、手探りから始まり私が出していた。
それでもお前は自分で出そうとしていた。そりゃ食べたら出すは生きてりゃ当たり前の事だから。

薬も色々試したけど合わない。
もうあれこれ悩みたくなく、私が出すという一本でやって来た。
次に悩んだのは出そうとする気持ちと努力は認めるが粗相をし汚す。
起きたら目の前で踏ん張っていた事もあったね。
大きい布団や絨毯を洗うのは、殆ど仕事の私には一苦労で、疲れて帰った時に布団で寝れないのは辛く、冬は替えの布団も限界があり、とりあえず疲れてるから粗相した布団で寝た日も何度かあった。

お前は綺麗好きだったからね。

ダイソーの布団にもなるクッションは、何回か洗ったら捨てる。これに行き着いた。お世話になった。何個買ったかわからない。
絨毯も敷くのを辞めて、立派なホットカーペットも捨てた。
布団に敷くテロテロのホット敷布団？に行き着いた。粗相すれば私のホット敷布団が替えになった。
猫も私もストレスを溜めない様に私なりに行き着き工夫した。

いつもならすぐ捨てたのに、そんな色んな苦労で出逢ったダイソーの布団にもなるクッション。
新しいのを買えばとても気持ち良さそうにスリスリゴロゴロして、粗相して、洗って干して。
新しい物に、他の誰よりもすぐに寄って来たね。
それをこの前捨てて、ダイソーに行ったらまた売ってたんだよ。

お前は新しい物が好きだったから。
お前が居た時と同じ様に変わり用と2個買ったよ。
家に着いて、
ほら新しいぞーって口に出して言ったらお前が飛んでくる姿と、ゴロゴロスリスリが感じて、
お前を撫でたいと思ったよ。

4匹飼っていて撫でていたのに知らなかったよ。
1匹1匹毛質がこんなに違うんだなって。

私は幸せだった。お前の介護の10年間。

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