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社会人( ♂ )
19/02/01 01:23(更新日時)

大っきらいな会社の飲み会。今回はP社との合同の新年会ということで、欠席しにくい雰囲気があり、しぶしぶ参加した。もちろんそんな気持ちは表情に出さないで。

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No.2788735 19/02/01 00:04(スレ作成日時)

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No.1 19/02/01 00:12
社会人0 ( ♂ )

Tさんとは今まで2度お会いしたことがある。そのときは事務所に男性社員が誰もいなくて、Tさん一人しかいなかったので、請求書を渡して、簡単な挨拶だけして俺はすぐ帰った。その時のTさんの印象は、特になく、名前もすぐに忘れてしまっていた。

No.2 19/02/01 00:19
社会人 ( ♂ )

飲み会は19時から。お店に着いて、入り口から一番近い端っこの席に座った。隣の席に先に女性がいた。
「あれ?この人誰?P社にこんな人いたっけ?あ、あの時請求書を渡した人か… あの時名前聞いたんだけど忘れちゃった…また名前聞くの気まずいな…」

No.3 19/02/01 00:29
社会人 ( ♂ )

P社の男性社員の会話から、隣の女性の名前がTさんとわかった。

そういえばたしかそんな名前だったな…

飲み会の参加者は15人くらいで、2つのテーブルに別れていた。こっちのテーブルの人は、おとなしい人が多いせいか、あまり会話が盛り上がらない。
まぁ、一番無口な俺が一番悪い訳だが…

あっちのテーブルはやけに盛り上がってる。

No.4 19/02/01 00:38
社会人 ( ♂ )

もともと人見知りで話すのが苦手な俺が、仕事上でほとんど接点がない、となりの女性とうまく会話できる訳がない。どちらも萎縮した感じで、ぎこちない時間が過ぎていく。
「だから俺は飲み会のこういう雰囲気が嫌いなんだよ…!!」

No.5 19/02/01 00:49
社会人 ( ♂ )

俺の向かい側に座ってる男性が言った。
「Tさん、こないだ昼休みに分厚い本読んでたよね」

なにげなく俺はTさんに聞いた。
「どんな本読んでるんですか」

その時、Tさんが放った言葉に俺はぶったまげた…
「ドストエフスキーの悪霊です」

まじか…
この子、こんなかわいい顔して…

No.6 19/02/01 01:02
社会人 ( ♂ )

俺は一気にヒートアップした。
たたみかけるようにドストエフスキーについての質問をした。
すると今度はTさんが驚いた。
気がつくとTさんも熱くなっていた。
突然せきをきったかのように言葉があふれでてくる。
もともとかわいいTさんの顔がさらにかわいくなり、目が輝いている。明らかに最初のよそよそしさはなくなっている。
おそらくTさんもドストエフスキーについて語れる相手が今まで誰もいなかったからだろう。

No.7 19/02/01 01:23
社会人 ( ♂ )

Tさんはドストエフスキーのみならず、ナボコフのロリータも読み込んでいることがわかった。ロリータコンプレックス、ロリコンという言葉の語源となったロリータ。
ほかにはゴーゴリやプーシキンも。

さらにプラトンも読んでいた。プラトンが語るソクラテスについてTさんが語った。
これから聖書を読むつもりだという。
やはり西洋文明の行きつく先はイエスキリストなのか。

この子、一体何者なんだ…
なんでこんな子がP社にいるんだ?

しかもTさんの関心のある分野が、俺とほとんどかぶっている。それでいてTさんのほうが俺より理解力が深い。
こんなにも話の合う人に会ったのは生まれて初めてだ。

気がついたら俺はTさんを好きになっていた。

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