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名無し
17/11/25 16:41(更新日時)



アンダーグラウンドで生きるあなたに。



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No.2566671 17/11/24 20:20(スレ作成日時)

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No.1 17/11/24 20:50
名無し0 ( 20代 ♀ )


人を殺したのは初めてじゃなかった。
具体的な数は覚えてないけど。
だけど、過去に何度かあった。
それなのに、心臓は激しく胸を打っているし、額にはじっとりとした汗をかいていた。


私は、見られていた。


完璧だったはずなのに
気配なんて微塵も感じなかったはずなのに、彼はそこにいた。
笑うでもなく、怒るでもない。
無表情でこちらを見つめる彼は
私をとてつもなく不安にさせた。


彼の名前は、鷹乃塚 義紀。
私は彼を知っていたし、彼も私を知っている。
私の足元で人形のように転がる男は
鷹乃塚 崇。彼の父親だ。
真っ赤な絨毯で幸いだった。
彼の身体を流れていた血は、ほとんど傷口から溢れてしまっているようだし、
私も鷹乃塚も、それを目撃せずに済んだ。

冷静を装って、私は彼に向き直る。
彼が背にしている大きな窓から
幻想的に漂う満月が見える。

「君が、やったの?」

彼がやっと口を開いた。
年齢にしては幾分小柄な彼に相応しく、少年のように高い声で問う。
相変わらず無表情なまま、怒りも喜びも読み取れない。
目だけが、鋭く此方を見据えている。

「そうだとしたら

どうするの?」

自分が今できる、精一杯の不敵な笑みを浮かべたつもりだ。
上手くできているだろうか。

「別に、どうもしないよ。

君のことを恨むつもりもないし。」

彼の明るいブランドの髪が
月に照らされてキラキラと光る。
私は素直に、美しいと思った。


「でも、君の殺り方って
随分傲慢なんだね?

そこらじゅう散らかしちゃって
そんなに自分のシゴトを見せびらかしたいのかな?」



その瞬間、私は後ろに跳んだつもりだった。
背中に衝撃を受け、気がついたら組み敷かれている。
焦りよりも、驚きのほうが先だった。
捕えられたことなど一度もない。

彼は一体ーーーー


彼の膝は私の鳩尾に食い込み、
首は細い指で締め付けられている。
小柄なわりに、相当鍛えられた身体をしているんだと思う。

ここで死ぬのか、と思うと
急に全身の力が抜けた。

朦朧とする意識の傍で彼の言葉を聞いた気がする。


「本物のシゴトを教えてあげる」


その夜は満月だった。

No.2 17/11/25 16:41
名無し ( 20代 ♀ )



煙草の煙を吐き出すと
ヤツは思い切り眉間にシワを寄せる。
それがやけに癇に障り、重々しく舌打ちをして更に煙を吸い込んだ。

「呑気に煙草吸ってる場合じゃねえだろ。
自分の立場分かってんのか。」

照明は、無造作な位置に吊るされた、いくつかのランプだけのようだ。
店内は薄暗く、マイナーコードのジャズは虚しく響いている。
剥き出しの木のテーブルをコツコツと叩き、宗次郎は私を睨んだ。

「私も知らないわよ。
殺られなかっただけでもヨシとしてくれないかしら?」

宗次郎が隠そうとしない殺気も、
我慢できないと言いたげに鳴らす、手の関節の音も
もう全てが煩わしかった。

ボーイが静かに運んできたフルーツの盛り合わせを
どうでも良さそうに見つめると
ヤツもタバコに火を付けた。





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