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飢餓のガダルカナル島

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ライター
15/11/09 14:55(更新日時)

太平洋戦争で激戦地の一つとなったガダルカナル島は、ソロモン諸島の東部に位置する小さな島で、日本軍は米豪の海上交通を遮断する為に、航空部隊を進出させる計画を立てていた。
1942年7月から飛行場建設を始め、その間、敵の大きな攻撃もなく、工事は順調に進み、8月初旬に完成した。

しかし、米軍は日本軍がガダルカナル島に飛行場を建設している事は既に察知しており、その完成を待って攻撃を仕掛けてきたのである。
日本軍が飛行場建設を始めた時、一部の住民達が工事を手伝っていたが、実は彼らは豪軍と英軍に雇われた謀報員で、日本の情報は筒抜けだったのだ。
この時、日本軍の陸戦隊はわずか300人弱、残りの設営隊は約2500人の労働部隊であり、米軍が攻めてきた時にはこの兵力ではどうにもならず、後退する他なかった。

ガダルカナル島に上陸した米軍の兵力は、空母3隻、戦艦1隻、重巡洋艦11隻、駆逐艦31隻、輸送船23隻、上陸部隊2万人という大規模なもので、この情報はラバウルにあった日本軍の拠点にもすぐに伝わった。
日本軍はこれを攻撃する為、零戦17機、一式陸攻27機、そしてラバウルを泊地としていた第8艦隊をガダルカナル島に向けて出撃させた。

深夜に到達した第8艦隊は、米軍艦隊を発見すると日本軍が得意とする夜戦を仕掛け、米豪軍重巡洋艦6隻の内、4隻を撃沈し、1隻を大破させた。
対する日本軍の被害は、魚雷や砲弾の攻撃を受けたものの、航行に支障をきたす事はなく、ほぼ日本の完勝に終わった。これが第一次ソロモン海戦である。

日本はガダルカナル島の奪回をすべく、本土から次々に部隊を派遣した。
しかし、米軍の戦力は膨大で、且つ、情報力に長けていた米軍は、日本の情報を事前に把握しており、日本の攻撃はことごとく打破された。
加えて、制空権を奪われた日本の物資輸送船は現地に到達する前に撃沈され、その多くは兵士の下に届く事なく、大海原に沈んでいった。
弾薬も食料も届かず、日本兵は飢餓の中で戦いを強いられる事となり、飢餓、マラリアなどで死者が続出した。その事から、後にガダルカナル島は、ガ(飢餓)島と呼ばれるようになる。

いよいよ総攻撃の日が決まった。その前日の作業中、私は凄まじい腹痛に襲われた。
我慢しようにもじっとしていられない痛みで、兵長の肩を借りてジャングルの中にある宿舎に戻った。
軍医の診断によると、回虫性腸閉塞で「手術しなければ助からない」と言われた。
腹はパンパンに膨れ上がり、呼吸すら困難になってくる。じっとしている事が出来ず、七転八倒の苦しみに転げ回った。
「ここには手術設備がない、死なせるより他にない」と軍医はサジを投げた。
(俺はどうなるんだ?このジャングルで一人ぼっちで死ぬのか?)痛みと悔しさで涙が溢れた。
「石川っ!飛行場を奪ったらすぐに迎えにくるからな!死ぬなよ!」
戦友達が心配して声を掛けてくれたが、隊長は口を一文字に結んだまま、声も掛けてこなかった。総攻撃出発という一大事の前に、一人の兵隊の生死など構っていられなかったのかも知れない。
(隊長のヤツ…薄情なヤツだ…隊長が負傷した時、飛んでくる敵弾の中、担架をかついで付きっきりで世話をしたのに…!)と思うと、私は悔しくて仕方がなかった。

No.2273084 15/11/09 14:45(スレ作成日時)

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