⇔対な二人 ~another~
舞台は東京。
荒木正義(あらきまさよし)はエリート刑事。彼は今日も出勤前、行き付けのカフェでコーヒーを飲んでいた。そんな時、外から急に大声が……そこから彼はとんでもない事件に巻き込まれていく!
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僕の名前は荒木正義。
ここ東京で刑事として働いている。
先日、迷宮入りしかけていた難事件を解決し、同僚達から「エリート刑事」と言われるようになった。
そんな中今日も僕はアパートを出て、行き付けのカフェでゆったりとしたモーニングタイムを過ごしていた…。
女店員「荒木さん、今日もブラックでよろしいですか?」
荒木「よろしく🎵」
僕がまだ新人刑事の時から利用しているこのカフェの従業員で僕の名前を知らない人はいない。
女店員「お待たせしました」
荒木「どうも」
僕は熱いブラックを息を吹きながら一口飲んだ。
テーブルの横にある窓からはいかにも東京という大都会を感じさせるスクランブル交差点が見える。
まだ朝早いというのにすごい人の量だ。
そんな人達を横目で見ながらまたブラックを一口…。
どうでもいい事だが、ここのホットのブラックはものすごく熱い。だからゆっくりと飲まないと火傷する恐れがあるのだ。
荒木「ゴク…ゴク…」
僕がゆっくりあわてずブラックを飲み進めていると…。
?「何処見て歩いてんだよこのアホがぁ~!!」
荒木「ブッ!熱っ!」
店内にも聞こえる急な外からの大声に思わずブラックを吹き出してしまった。
女店員「大丈夫ですか!?」
荒木「ご…ご心配なく」
…なんだったんだ今の大声は…?
声の先はどうやらスクランブル交差点からの様だ。
荒木「勘定は置いとくよ」
そう店員に告げると僕は交差点に向かった。
仕事柄こういうのは放っておけない。
店を出てすぐ現場へ向かおうとすると携帯が鳴った。
荒木「…もしもし」
上司「荒木か?急ですまないが実は今日からウチへ移転される新米がいるんだが迎えにいくはずだった者が行けなくなってな…そこで代わりにいってくれないか?」
電話の相手は上司の岡部さんだった。
荒木「…わかりました、それで場所は?」
岡部「東kyoホテルだ」
東kyoホテルか…、
あれならここからそんなに遠くはない。
荒木「了解しました」
岡部「念のため相手にはお前の顔写真と名前を送ってあるからな。では頼んだ」
ピ…。
僕は携帯を切るとさっきの交差点に目をやった…が、そこにはもうただ多量の人が交差点を歩いているだけだった。
荒木「…何事もなかったか…」
そして僕は今度は交差点に背を向け、東kyoホテルを目指そうとした…がその時。
?「マサさん、待ってましたぜ」
僕は後方から下の名前を呼ばれた。
荒木「君は…」
?「まったく相変わらず遅いですよマサさん。あんまり来ないんでこっちから来ました」
誰だこの人は…?
岡部さんが言ってた新米の人か…?
でも岡部さんから名前を聞いていきなりマサさんって…馴れ馴れしいにも程があるぞ。
それに相変わらず遅いって…僕は絶対この人と会うのは初めてだ。
ってことはこの人は…?
荒木「あの…君は?」
?「にしてもすぐにマサさんだってわかりましたよ。なんせこんな人が多い所でも騒ぎを起こすんですから」
この人…こっちの話聞いてないな…。
でもなんとかして誰か確かめて人違いなら人違いって伝えないと…。
荒木「あの…名前は?」
?「昨日の博打のおかげで機嫌が悪いんでしょ?でも大丈夫ですよ。良い情報を得てきました」
荒木「いや…だから」
?「では、仲間がいる所まで行きましょうか」
…駄目だ。
まったく話が通じない…。
一体誰なんだこの人…?
…俺の名前は新井正也
(あらいまさや)。
ここ東京の裏の世界、
新井組の長だ。
まだ警察からは正体をバラされてないがな。
本来俺みたいな奴はこんな朝早くから表は歩かないんだが、俺の右腕の最上(もがみ)の奴が良い情報があってすぐに伝えたいんで指定の場所まで来いと言ってきやがった。
待ち合わせ時間は朝の4時、ちなみに今は5時過ぎだ。
新井「朝ってのは俺は苦手なんだよ…」
一人でブツブツとぼやく。
今日は特別に機嫌が悪かった。
その理由は昨日の博打が大負けだったからだ。
新井「面倒だな…」
ブツブツ言ってるうちにスクランブル交差点に差し掛かった。
夜よりも人が多いのは予想してたが、まさかこれほどとは…。
俺は交差点を進んだ。すると一人の男が肩にぶつかった。
新井「糞が…」
俺はその男をにらみつけた…がその男は構わず俺とは反対の方へ進んでいく。
新井「謝りの一言も無いのか…」
その時、
俺の中で何かが切れた。
新井「何処見て歩いてんだよこのアホが~!!」
俺は大声を発し、男の肩をつかみ自分にむかせると…思いきり殴った!
バキィ!
殴られた男は倒れた後、泡を吹いていた。
周りは何がなんだか分からないといった感じの顔で俺を見ていた。
新井「目立ち過ぎたか……」
俺はこれ以上ここにいると更に面倒なことになると思い、交差点からすぐに去ることにした……。
東kyoホテル前に差し掛かった。
確か待ち合わせ場所はこのホテルの裏にある人気の無いとこのバーだ。
?「あれ、もしかして荒木さんですか?」
前を通り過ぎようとした時、スーツを着た男に話かけられた。
?「あ!やっぱり荒木さんだ」
荒木…?
誰だそいつは…。
俺は新井だ…。
新井「悪いが俺は荒木じゃなくて新…」
?「本日からお世話になります!内藤と申します!」
新井「!!」
その男は警察手帳を見せてきた。
こいつ…警察!?
一方荒木は…。
自分の知らない男に悪戦苦闘していた。
?「マサさん、今回の情報はマジですごいですぜ…」
荒木「それはいいから…名前を教えてくれ」
?「名前?何のジョークですか?」
こんな人記憶に無い…。
それは確かだ。
かといって岡部さんが言ってた新米でもないみたいだし…。
でもじゃあなんで俺の名前を知っている!?
荒木「と…とりあえず誰なんだ?人違いじゃないのか?」
?「マサさん…大丈夫ですか?酔ってます?」
荒木「とにかく答えてくれ!」
?「マサさん…相当酔ってますね?俺は最上ですよ。思い出しました?」
最上…?
知らない…。
やっぱり人違いだ!
マサというのは単に偶然下の名前が同じなだけだな…。
最上という男に強制的に一緒に歩いて来させられたが…ここで人違いというのを伝えよう。
荒木「!」
その時僕は今いる場所が東kyoホテル付近であることに気付いた。
荒木(ちょうどいい!ここでこの人と別れてそのまま新米君を迎えに行こう)
荒木「あ…あの、実は…」
最上「あれは…矢島組だ!」
荒木「へ?」
最上「あいつら先週マサさんが潰したのに…もう立ち直ってやがる!」
荒木「あのーだからそのマサっていうのは…」
最上「気付かれた!マズイですよマサさん」
荒木「何?」
何やら前方から怖そうな男達が5~6人こっちに走ってきた。
男達「新井~!!探したぜ~!」
最上「マズッ!マサさんひとまず逃げましょうや!」
荒木「何がどうなってんだよ~!?」
一方新井…。
東kyoホテル前。
新井(な…なんで警官が俺に…、俺の正体がバレたのか!?)
内藤「荒木さん…どうかしました?」
新井「え?い…いや…」
そうだ…。
コイツは俺をただ荒木って奴と間違えてるだけなんだ…。
新井「わ…悪いが俺は荒木じゃない」
内藤「え?名前違いましたっけ?」
内藤とかいう警官は訳の分からないことを言うと、携帯をイジリ始めた。
内藤「岡部さんからは名前は荒木って送ってきてますよ。ほら」
内藤は携帯のモニターを見せてきた。
確かにそこには荒木正義という名前と一枚の顔写真が……
新井「!!」
ちょっと待て!!
この写真の男…俺とそっくりじゃねーか!!
内藤「荒木さんですよね?」
新井(なるほど…どおりでおかしいと思ったぜ、こういう事か!)
俺は安心した。
いくら正体がバレてないといえど、警官と一対一で会話をするのは焦るからな…。
だがそうと知ったらさっさとコイツに伝えてここの裏のバーに行かないとな…。
流石に最上達も待ちくたびれてるだろう。
にしてもこんなに俺に似てる奴がいるとはな…。
しかも警察で!
内藤「署の方までよろしくお願いします」
新井「あの、そのことだがな…」
?「新井~!探したぜ~!!」
新井「!!」
急に遠くから声が聞こえた。
そしてその声は明らかに俺の名前を呼んでいた。
新井(今の声は…たぶん別の組のもんだ!!)
バンバンバン…!
今度は大きな音がした。
内藤「今のは…銃声!?」
新井(違う、今のは爆竹の音だ!どこかは知らないが別の組の奴がこの近くにいるのは間違い無いな…。まさか裏のバーか!?)
内藤「荒木さん!行ってみましょう!」
新井(く…、今ここで警官を連れていくのはマズイ!ひとまず引き止めねぇーと!)
新井「今のは爆竹の音だ、気にすんな」
俺は冷静を装いながら喋った。
内藤「そうなんですか?」
新井「ああ。とりあえずホテルのレストランに行くぞ。話すことがある」
内藤「署の方へはいいんですか?」
新井「いいから来い」
とりあえずこの場は去らないとな……!
休憩2
感想有難うございます。
m(_ _)m
主人公が同時進行なんで分かりにくいかもしれないので、一回ここで話を整理します。
~ここまでの登場人物~
荒木……(刑事)
新井…(新井組 組長)
岡部……(荒木の上司)
内藤……(新米刑事)
最上……(新井の右腕)
荒木と新井の顔は激似。
それが原因で立場がまったく違う二人が入れ替わってしまいます。
現在荒木は自分を新井だと勘違いしている最上に悪戦苦闘中。
新井は自分を荒木だと勘違いしている内藤に正体がバレないかどうか四苦八苦してます。
同時進行でこれからも行きたいと思います。
最後まで読んで頂けるとかなり嬉しいです。
よろしくお願いします。
m(_ _)m
引き続き新井…。
ホテル内レストランにて
新井(ふぅー、とりあえず強引ではあったがコイツを引き止めることが出来たぜ…もしあそこで行ってたら組の関係者に出会い、俺の正体がバレていただろう…)
その時俺はあることに気付いた。
新井(ん?まてよ…確かにあの時大声で俺の名前が呼ばれていたが…俺はその時コイツと一緒にホテル前にいたんだよな……ということは…あの声はもう一人の俺に向けられていたということ!つまり警官の荒木って奴に!!)
内藤「荒木さん、話って何ですか?」
新井「え?い…いや…」
新井(ということはマズイぞ!警官である俺に似た荒木って奴に俺の正体がバレたということになる)
内藤「荒木さん…?」
新井(いや、考えすぎか…。まだそれくらいで俺が新井組組長であると判断できるとは限らない。…最上達に接触してれば話は別だが)
内藤「荒木さんどうしたんですか?さっきからずっと黙って」
新井「え?い…いや…」
内藤「ところで荒木さん…さっきの大声のことなんですけど」
新井「!?」
内藤「新井って…叫んでましたよね?実は最近ここ東京の裏の世界って奴が少しずつ明らかになってるらしくて、確かその中に新井組ってのがあったような…」
新井(な…なんだと!?既にそこまで調べがついていたのか!?)
新井「そ…そうなのか?」
新井(組の存在までしか知られてないと思ってたんだが…既に名前まであがっていたとはな)
ということは…。
もし俺の名前がバレただけでもアウトということか…。
内藤「新井組ってことは組長は新井ですよね?さっきのはもしかすると組長が付近にいたかもしれないってことですよ。……まぁ記憶違いかもしれないし、手錠も何も持ってなかったんで黙ってついてきましたけどね」
新井(ってことはさっきの場面でやっぱり引き止めてなかったら俺は終わりだったな…。でもこれは逆に有利になったかもしれないな。もし荒木の奴が最上達となんらかの形で接触してたら本人には俺の正体はバレている…が、少なくとも内藤含む他の警官にはバレていない)
内藤「荒木さん…そろそろ話の方をしてください」
新井(このまま俺がここから去ったとしたら…荒木が全てを知って警察に戻ったら俺は正体がバレる。だからそれは出来ない。これは最上達と接触していたらというケースを想定してのことだが、決してその可能性も無くはない。むしろ今考えればそっちの可能性の方が高い…。それはもう俺が何時間も遅刻してるというのに、いつまでたっても携帯に連絡が無いことから分かる…。と、いうことは俺が取るべき行動は…)
新井「ふふふ…」
内藤「荒木さん?」
新井(次に取るべき俺の行動…それは……)
俺が荒木になりすまし、
荒木を新井として
捕まえることだ!!…
その頃荒木は…。
荒木「はぁ…はぁ…」
矢島組から必死の逃亡を続け、最上と共にとある公園についていた。
荒木(な…なんでこんなことに!)
最上「ここまで来れば大丈夫ですよマサさん。にしても丁度爆竹を持っててよかったです」
荒木(この最上という人といいさっきの人達といい、かなり危ない感じだな…なにかとんでもないのに巻き込まれてるか?)
最上「にしても矢島組の奴ら、こんな朝から仕掛けてくるとは相当殺気だってますね。これはもう一回新井組の力を教えないとな!」
荒木(矢島…組!?今確かに組って聞こえたぞ。しかも新井組ってのは確か最近の極秘調査で明らかになった東京最強の裏世界組織だったぞ!?)
最上「へへへ…、またここで新井組組長のマサさんの出番ですね」
荒木「新井組組長!?」
僕は自分の耳を疑った。
まさか自分が勘違いされてるのが組長だったなんて!!
荒木「く…組長なのかマサっていうのは!?」
最上「何言ってるんですかマサさん…?新井正也、正真正銘の新井組の長ですよ」
荒木「新井正也…」
そうか…。
それでマサだったのか。
それにしてもここまで勘違いをしているんだから、よっぽど僕と新井ってのは似てるんだな…。
最上「バーの中の仲間達は大丈夫だろうか…、連絡とりたいけど携帯をどっかで落としたみたいなんすよね」
荒木(これは予想以上にヤバイ事態だ…とりあえずゆっくり落ち着いて人違いだと説明しないと…でもどうやって!?相手はもう何を言っても信じてもらえなさそうだし)
その時僕はあることに気付いた!
荒木(そうだ!警察手帳を見せれば信じてもらえる!………って駄目だ!相手は組の関係者なんだぞ!僕が刑事だと分かれば殺されてしまう!!クソッ!組長の決定的な情報を掴んだのに何も出来ないとは!!)
新井…レストランにて。
新井(ふふふ…、これが今全ての可能性を考えたうえで俺が考えられる最も良い手段だ)
内藤「荒木さん!聞いてるんですか?」
新井「え?あ…あぁ。」
ここは荒木になりすますか…!
新井「話ってのはその、君のことをよく聞いとけって上司に言われてね」
内藤「私のことですか?」
新井(とりあえず適当に会話を続けるか…)
内藤「その前に荒木さん…失礼かもしれませんが警察手帳を見せてくれませんか?」
新井(警察手帳!?しまった!重要なものを忘れていた!)
俺はとりあえずその場はトイレに行くと言って誤魔化した…。
荒木…公園にて。
荒木(どうする!?この状況で!)
最上「マサさん、すみませんが携帯の方貸してくれませんか?仲間に連絡を入れたいので」
荒木(携帯!?そうだ!それで仲間に救助を要請すればいいじゃないか!)
最上「マサさん…?」
荒木(駄目だ。今最上に携帯を貸せばアドレス帳か何かで僕が新井正也ではないことがバレてしまう!)
荒木「わ…悪い。お、俺の携帯も落としたみたいなんだ…」
僕は新井という自分の中のイメージのキャラで話すことを試みた。
荒木(よし…!なんとか最上と距離をとって携帯を使うか……!)
休憩(3)
…話が複雑です。
あと作文書くの下手で
ごめんなさいm(_ _)m
また一回整理します。
~ここまでの主な流れ~
(荒木)
交差点で新井と勘違いしている最上と接触
↓
ホテル裏で矢島組と遭遇
↓
最上と共に公園へ逃亡
↓
自分に似ているのが新井組の組長とわかる。
↓
刑事であるのを隠しつつ新井になりきり逃げ出すチャンスを探す
(新井)
ホテル前で荒木と勘違いしている内藤と接触
↓
矢島組の大声を聞き、
ひとまずホテル内に逃げ込む
↓
荒木も自分と同じ状況になっているのに気付き、万が一自分の正体を警察に漏れるのを防ぐため、先手として自分が荒木になりすまし、荒木を捕まえる計画をたてる
↓
不審な行動に疑惑をもった内藤が警察手帳を見せるように言う。
↓
誤魔化してトイレに…
…わかるでしょうか?
とりあえず今はこんな様な感じです。
感想随時待たせてもらっています。
お願いしますm(_ _)m
新井、トイレにて…。
新井(警察手帳!!しまった!それがなければ荒木になりきるなど無理じゃねーか!)
俺はトイレの個室に入って、一人考えた。
新井(最初っからなんか俺の計画に落ち度があるなと思ってたがこの事だったか…いや、まず今はそれよりも内藤の奴をどうするかだ…。完全に俺を疑ってやがる)
その時トイレに数人入ってきた。
男A「くそ!なんて逃げ足の速い奴らなんだ」
男B「まったくだ。でもどのみち新井組もこれで終わりだな」
新井(新井組!?)
男C「今頃仲間達が総員で奴らの本拠地を攻め込んでるぜ」
新井(何!?まさかコイツ達は…)
男D「バーにいた奴らも捕まえて、あとは最上と新井だけだが、どの道二人だけじゃ何も出来ねぇよな」
男A「にしても俺らの組長はなんで奴らの出現が分かってたんだ?それにアジトの位置も」
男D「それに関してはある一人の男が絡んでるらしいぜ」
新井(間違い無い!コイツ達は矢島組だ!バーにいた奴らは全滅だと!?しかもアジトの方も…。最上と荒木は予想通り接触して逃げ延びたか…)
男C「そういえばさっき奴らを追い掛けてる時にこれを拾ったんだが…」
男A「なんだこれ?警察手帳?しかも新井の奴のじゃねーか」
男D「名前は荒木正義になってるぜ」
新井(!?)
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