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りんご( ♀ UNyGh )
14/04/06 07:56(更新日時)


高校を卒業して20年…

久しぶりの同窓会

『変わらないね~‼』
『キレイになったね‼』

キャーキャーワイワイ大騒ぎ

そう、高校を卒業して何十年たっても…

一瞬で当時にタイムスリップしたかのような同級生達

高校は女子校だった

20年もたつと、ほぼ結婚していた

と言うか、、
30代後半で独身の女子の同窓会参加は女子校ではないのかもしれない…

それでもクラスの半数以上は参加していた

もちろん卒業してから疎遠になってた仲良しグループだった仲間は連絡取り合い全員参加していた

卒業して数年は連絡も取り合い、年に何回かは集まっていたが…

結婚して、子供が生まれた頃からは段々と集まる機会もなくなり、いつしか年賀状のやりとりだけしかする事もなくなっていった…


No.2040514 13/12/22 09:03(スレ作成日時)

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No.1 13/12/22 09:14
りんご ( ♀ UNyGh )


高校入学までは
好きになった子はいたが

告白なんてする勇気もなく
いつも片思いだった…

それでも、中学ではごく普通に仲良しの男子もいたし

グループで遊びに行く事もあったが、それだけで楽しかった

入学した高校は女子校だったので、恋愛対象になるような男子は学内には不在だ…

中には若い男の先生に夢中になる子もいたが…

私には憧れるようなタイプの先生もいなかった

初めての電車通学
30分の電車通学だったが、電車に乗るだけで緊張した

No.2 13/12/22 10:05
りんご ( ♀ UNyGh )

最初の1週間は、ほぼオリエンテーションに費やした

進学校ではなかったせいもあり、勉強よりマナーとか規律に重きを置くような学校だった

入学式の直後の教室で、親の目前での校則説明のあるような学校で

『頭髪のパーマ・染め毛は禁止ですので、天パ、地毛の茶色の生徒は親の申し出のみ生徒手帳に記入しますので、本日この場で申し出て下さい。』と担任からの話もあった

今でこそ高校生の染め毛なんかも多くみられるが、当時は不良の代名詞のような時代だった

クラスで3人ほど親からの申し出があった

その内の一人マミに至っては、クルクル頭の茶髪、メンソレータムの缶にいる子のような可愛い子だった

しかしそれも数日後
染め毛にパーマと判明する事となった

3年生に姉の居るマミが仕組んだ悪知恵だった(笑)

毎朝、校門で制服検査、頭髪検査をくぐり抜けなければ校門を入れないような厳しい学校だった

No.3 13/12/22 10:35
りんご ( ♀ UNyGh )


最初の一週間はお互いの探りあいのようだったが

地元の同じ
つまり帰りの電車が一緒になる真智子と仲良くなった

その後、真智子は、地元で結婚もしていまだに行き来をする長い付き合いの親友となる

お互い、同じ頃に結婚・出産を経て

子供も二人

同じような家庭環境で、共有するような愚痴も話せる、旦那すら知らないような過去も全て共有する大親友だ



No.4 13/12/22 10:39
りんご ( ♀ UNyGh )


遅くなりましが…

私は『倫子』
通称 『りんご』と呼ばれてます

ごくごく普通の一般家庭に普通に育った普通の子です

20年ぶりの同窓会に参加して、、、
この20年分の自分を振り返って話を綴ります

No.5 13/12/22 11:14
りんご ( ♀ UNyGh )


同窓会で唯から声を掛けられた

『元気⁉』

唯は入学当時クラス一番目立った子だった

入学したばかりの15才なのに
華やかな雰囲気を持った
なんか近寄りがたい大人びた子だった

『ミツルの事知ってる⁉』
ミツル…
高校2年から3年くらい付き合ってた4つ上の男だった

高校2年 16才からしたら、20才のミツルは大人に見えた…

『ミツルね…逢いたがってたよ…』

唯の店に来たのだそうだ
唯の母親はスナックを経営していた
美人で、色恋沙汰の絶えない母親
中学の時に唯の父親と離婚して、シングルで唯を育てていた

唯は、そのスナックで手伝いをしていた

だから、大人びていたのだと思う

もちろんスナックでのアルバイトなんかは禁止なのだが、親の店の手伝いなのだから学校に公にばれて問題になるような事もなかった



No.6 13/12/22 11:24
りんご ( ♀ UNyGh )

ミツルなんか、別れて以来一切の連絡も絶え

すっかり忘れた存在になっていた

唯の地元は、電車で30分の某有名観光地

学校を挟んで反対側だった
私の地元からは1時間は、かかるような所だった
ミツルは唯と同じ市に住んでいた

唯『ミツル店に来たんだよ。今まで来たことなんてなかったから、たぶんりんごの事を聞きたかったんだと思うよ。』

『ミツル、離婚したんだよ』

『どん底みたい(笑)りんごに逢いたいってさ…』



No.7 13/12/22 11:29
りんご ( ♀ UNyGh )


当時はスマホはもちろん、携帯なんて持ってる高校生はいなかった時代

しかも20年近く過ぎている

別れたら、お互い連絡を取る事なんてする事もない

まったく、お互い何も知らない人生を歩いてる


ミツルかぁ~…


No.8 13/12/22 11:38
りんご ( ♀ UNyGh )


唯の姉さんとミツルは同級生だった

母親が地元で昔からスナックをやってるから、同級生もよく訪れるらしい

母親、姉さん、唯と3人で店を切り盛りしている

何十年とスナックをやっているのだから、やり手なのだろう

母親は若く美人、で姉さんや唯の同級生からも慕われてた

18才で姉さんを出産したと聞いている

ミツルは、今までスナックに出入りする事はなかったようだが…

最近、離婚したからか?
よく出入りするようになってるらしい


No.9 13/12/22 11:48
りんご ( ♀ UNyGh )


唯は当時から、いつも財布には万札が何枚か入っているような子だった

スナックでアルバイトしているからか?

スナックのお客と援交してるらしいと言う噂もあった

友達の何人かは、唯の母親の店でアルバイトとしてるような子もいた

学校にはもちろん
親にも内緒で

友達の唯の家に遊びに行くとか泊まりに行くとか言って行っていた

私の家は厳しかったので
高校生の当時はアルバイトなんてさせてくれなかったし

帰りが7時を回ると
母親から
『どこで何をしていた⁉』と問い詰められるような家庭だったから

自由に遊び回る唯達が
羨ましかった

No.10 13/12/22 12:04
りんご ( ♀ UNyGh )

唯の母親はスナックの経営をする以外にも

コンパニオンの派遣もやっていた

そんなだから
唯は高校生からコンパニオン業もしていて

いつも万札が財布に入っていたのだろう

コンパニオンの先輩を
姉さん、姉さんと呼び
観光地のお座敷なんかも出入りしていた

早熟で男の扱いも上手かった

桁外れに大人の世界を知っている唯だった

同級生だが私とは違う世界に住んでいた


No.11 13/12/22 12:15
りんご ( ♀ UNyGh )


私は、真智子と他数人で仲良しグループになりいつもつるんでいた

唯は唯で地元中心の仲良しグループでいた

お互いの接点は、単なるクラスメートと言う存在くらいでしかない

唯は、今だに華やかな雰囲気で輝いて見えた

19で結婚して
離婚して…
母親と同じくシングルで娘を育てているそうだ

シングルでも、
唯は、高級マンションに住んでいた

車はベンツを乗り回している

やはり違う世界の人種なんだと思った

No.12 13/12/22 12:27
りんご ( ♀ UNyGh )


ミツルとの出会いは
駅のホームだった

B市に住むミツルの職場が、私の住むA市にあったのだ

ある日電車を降りたら

『ね~っ…』と声を掛けられた

振り返るとミツルが居た

『これ忘れ物じゃない⁉』

手にしていたのは私の手提げだった

『あっ…』

『ありがとうございます』
ペコリと頭を下げた

いつもは電車の棚に荷物なんか載せる事はないのだが…

その日に限って、荷物が多く2つになり棚に手提げを1つ載せたのを忘れ降車していたのだ

『ダメじゃん、忘れるなよ。』とミツルが言った

ミツルは、夜勤のある仕事をしていた

下校時間がミツルの出勤の時間と重なっていた

それがミツルとの出会いだった


No.13 13/12/22 12:38
りんご ( ♀ UNyGh )


数日経ったある日

いつもは一緒に帰る真智子が委員会で、私は一人で電車に乗っていた

『忘れ物はしないように‼』
振り返ると、ミツルが立っていた

『あっ…こないだはありがとうございました。助かりました』

『いつも同じ電車なんだよ、知っていた⁉』

『えっ…ごめんなさい…』

いつも真智子とお喋りに夢中になり、回りに乗っている人を見るなんて事もなかったから知らなかった…

『そっかぁ~残念』

残念⁉
どう言うこと⁉
胸の鼓動がパクパクしていた…

『じゃ~また‼』

手をあげミツルは駅の階段を降りてバスターミナルの方へ歩いて行った

No.14 13/12/22 12:48
りんご ( ♀ UNyGh )

文化祭も近くなり
真智子が委員会で忙しく
一緒に帰れない日が続いた

ミツルとは数日置きに
下校の電車で一緒になった

社会人のミツルが大人に見えた

いつも同じ電車に乗るのが、楽しみになった

乗って居ない日はガッカリする自分が居た

ローテーションの仕事の為に夜勤の日だけが通勤と下校の電車が重なると言うのを後から知った

淡い恋心だった

No.15 13/12/22 13:02
りんご ( ♀ UNyGh )


そんなある日

下校時間の電車が遅れる事故があった

途中の駅で事故があり電車が大幅に遅れた

数時間待たされた電車は、今まででないほどギューギューに混み合っていた

『嫌だな~…』

でも乗るしかない

開いたドアから無理矢理乗り込んだ

30分で降りるから、奥に入る訳にもいかず、閉まるドア間際に立った

外を眺めていた

揺れにギューギュー押される
混んでいるのだからしかたないけど…

ふと気がついたら
頭の上から、窓に二本の手のひらをついてたっている人がいた

私は小さいので
頭の上に腕が二本

『えっ…何⁉』と
窓に写る腕の主を見たら


ミツルだった

押し潰されないように守ってくれているようだった

No.16 13/12/22 13:13
りんご ( ♀ UNyGh )

ミツルは私よりも何駅も前から乗っているから、ドア付近に立っているはずはないのに…

胸の鼓動が早くなる

パクパク、パクパク
聞こえちゃってるんじゃないかと思うくらい
恥ずかしい

30分、外を向く私の頭の上にミツルの腕があった

やっと降りる駅に着きドアが開いた

人波に押され流れていく

必死にミツルの姿を探し追いかけた

バスターミナルに向かう階段を降りた所でミツルの後ろ姿を見つけた

必死に追いかけた

『ありがとう‼ありがとうございます‼』

今にも涙が溢れちゃいそうな顔でペコリと頭を下げた

『えっ…えっ…どうしたの⁉ゴメンね。潰されちゃいそうだったから、嫌だった⁉ゴメン、ゴメン』とミツルが言った

No.17 13/12/22 13:23
りんご ( ♀ UNyGh )


『ううん、ありがとう。』

『ね~良かっら、ちょっとお茶しない⁉』

知らない男の人に誘われたのは初めてだった

忘れ物を届けてくれて、
何度か電車で一緒になって何度か挨拶を交わしただけだったミツルだったけど

なぜか身近に感じる自分がいた

ミツルに恋い焦がれる自分を確信した

No.18 13/12/22 13:29
りんご ( ♀ UNyGh )

近くの喫茶店に入った

駅前にはファミレスなんて無かったし

当時はまた喫茶店がいっぱいあった

喫茶店に入るのも、初めてだった

『何にする⁉』

『ここ、ココアが美味しいんだよ。』

うつ向いたまま
『ココアにします』

『緊張してる⁉(笑)』

ミツルと二人
ココアを頼んだ

『落ち着いた⁉』

『うん…』

『名前聞いていいかな⁉』

『倫子です』

『俺ミツル20才、B市から仕事で来てるんだ。』

初めてお互いの名前を知った

No.19 13/12/22 13:40
りんご ( ♀ UNyGh )

うつ向いたまま、何もしゃべれない

きっと頬っぺたは真っ赤になっているだろう

『ね~っ、今度の日曜デートしない⁉』
不意にミツルが言った

うつ向いたまま
『うん』と頷いた

『じゃ、10時に駅の階段下でいい⁉』

『うん』

『うん』しか言う事が出来ないまま、ココアを飲んでいた

『俺さ、これから仕事だから、もう行かなきゃ…』

喫茶店を出た

『あの…払います…』

『何言ってんの⁉
俺が誘ったんだからい~の⁉
日曜、絶対だからねっ‼』ミツルはバスターミナルへの階段を降りて行った



No.20 13/12/22 13:48
りんご ( ♀ UNyGh )


日曜日にデート

どうしよう…

母親になんて言って出掛けよう…

電車で知りあった人とデートするなんて絶対に言えない

デートに着ていくようなオシャレな服なんて持ってないし

今日だって何も喋れなかった

普段はお喋りなのに…

どうしよう…
どうしよう…
どうしよう…

初めて男の人と二人きりでのデートだ

どうしよう…

No.21 13/12/22 14:11
りんご ( ♀ UNyGh )

次の日、久々に真智子と帰りが一緒になった

スポーツ万能でハキハキした性格の真智子、中学のバスケ部で一緒だった同級生の林君と付き合っている

恋愛に関しては先輩だ

ただし、今の時代と違って、付き合っているとは言っても、まだHなどは程遠いような時代だった

『ね~真智子~』

『何⁉』

『日曜日にデートするんだ…』

『え~っ…誰⁉誰⁉』

『電車で忘れ物届けてくれた人…』

真智子は電車で一緒に帰った時にミツルの事は話た事があったし、面識もあった

『あ~っ…あの人~⁉』

『ちょっとカッコイイなぁ~って思ってたんだ、、なんで~⁉』

真智子に昨日のいきさつを話た

『フンフン、フンフン』
真智子はただフンフンて聞いていた

『でもさ…デートなんてした事ないし…デートに着ていくような服がない…』

『真智子も一緒に来てよ。』

『何言ってんのよ~、りんごらしくないね~、いつもの笑い転げてるりんごが可愛いよ~、大丈夫、大丈夫、私が太鼓判押してあげるから、そのまんまのりんごで行ってきな~。』

って、私の背中をパンッパンッて2回叩いた

No.22 13/12/22 14:25
りんご ( ♀ UNyGh )


でもホントにオシャレな服なんて持ってない

真智子がマミに話して、マミが服を貸してくれる事になった

入学式に天パと地毛茶髪を申告し、後にパーマと染髪のバレたマミだ

マミは、2つ上の高3に姉さんが居て、その上にも姉さん居る3姉妹の末っ子だ

一番上の姉さんは、ファッション関係の当時ハウスマヌカン⁉って言ったかな~(笑)

そんな関係で
オシャレに敏感で
いつも背伸びしているような子だった

『りんごがデート⁉
応援するする~‼プロデュースしちゃう~⤴⤴』
ってマミが言ってくれた

背格好、体型もマミと近かったから、服を借りる事が出来た

日曜日、待ち合わせは10時だったが、マミの家に8時に行った

もう何枚かの服をピックアップしてくれてた

着た事もないような
大人びた服から
フリフリした可愛い服もあった

何度か試着して
マミのお姉さんも一緒に見てくれて、、

ミツルに合わせて、ちょっと大人っぽい黒いワンピに決めた


No.23 13/12/22 14:36
りんご ( ♀ UNyGh )

初めて化粧をした

今ならツケマばっちり
高校生の化粧なんて
普通かもしれないが…

当時は、アイラインをひいいてる子はいたが
ファンデやルージュなんて奥手の私には縁遠い物だった

さすがにお姉さんの二人居るマミは化粧道具もいっぱい持ってて、お化粧も上手かったように思う

薄く化粧をしてもらった

鏡の中に知らない私が居た

『すご~い、、、りんごって化粧ばえするね~。キレイだよ~、バッチリだよ。』マミがおだてるように言ってくれた

『ありがとう。ホントに借りちゃっていいの⁉』

『大丈夫、マブダチのりんごの初デートだもん、応援しちゃうさ~』って言ってくれた

No.24 13/12/22 14:46
りんご ( ♀ UNyGh )



マミとお姉さんに

『頑張れ~っ‼』って見送られ、マミの家を出た

今まで着たことのないような大人びた服

化粧

カールした髪

ルージュに違和感があったが、、ガマンした

30分も早く駅に着いてしまった(笑)

駅ビルのトイレに2回も行ってしまった(笑)

化粧がおかしくないかな⁉
とても気になった

母親の知り合いに会いませんように…と念じた

もし、他人から服借りたり、化粧をしてたのが、母親のバレたら…
何を言われるかわからない
何と言い訳すればいいのかわからない

よしっ、、5分前だ
待ち合わせの場所に行こう
ドキドキ、ドキドキしながら向かった


No.25 13/12/22 14:57
りんご ( ♀ UNyGh )

待ち合わせの場所には
もうミツルが待って居た

一瞬ビックリしたような顔をした

(えっ…やっぱりおかしい⁉💦💦)

『倫子ちゃん、制服とは別人だぁ~、ビックリした~…でも、可愛いよ。』

可愛いなんて男の人から言われたのは初めてだ

ミツルはいつも恥ずかし気もなく、くすぐったいような言葉を平気で口にする

『どこ行く⁉』

『どこって言われても…』

『じゃ~、今日のデートは俺に任せてもらえるかな⁉』

『よろしくお願いします。』

『倫子ちゃん堅いなぁ~(笑)もっとリラックスしなよ~』ってミツルが言った

『俺さ、今日車で来たんだよ。倫子ちゃんとドライブしたくて、いいかなドライブ⁉』

No.26 13/12/22 15:05
りんご ( ♀ UNyGh )

駅ビルの駐車場に歩いていった

前から人が歩いてきたら、スッと腕を引き寄せられた

(うわっ…💦💦)
もうそれだけで心臓がバクバク、バクバク、鼓動が早くなっている

自然と手を繋いでる

(なれてる⁉)
(ドライブなんて行っちゃって大丈夫かな⁉)

親に嘘をついて出てきている後ろめたさもあって、いろんな事が心配になった…

No.27 13/12/22 15:21
りんご ( ♀ UNyGh )


手を繋いで車の前まで行った

『どうぞ‼』
と車のドアを開けてくれた

(えっ…💦
ドアを開けてもらうのなんか初めて…)

(この車……)

すかさずミツルが

『心配しないで、俺、暴走族じゃないから安心して、車好きで決めてるけど、安全運転で行くから‼』
と敬礼して見せた

プッと二人して吹き出して笑った

車は土足厳禁だった

(当時はそんな車もありました)

ゆっくりと駐車場を出て、車は海岸線へと走り出した

No.28 13/12/22 15:30
りんご ( ♀ UNyGh )

BGMはサザンだった…

海岸線、サザン、、、
(そんな時代でした)

緊張する私の心をサザンのBGMが少し楽にしてくれた

ミツルが話始めた

『俺さ、、ずっと前から、倫子ちゃんの事見てたんだよ。知ってた⁉』

『えっ⁉いつから⁉』

『たぶん入学したくらいから…』

(知らなかった)

『いつも友達とケラケラ笑い転げてる、笑顔の可愛い子だなって思ってた…』

『だから、カバンを棚に載せたのもわかってたし…忘れて降りた時はチャンスだ‼って思ったんだ。』

(そ~なんだ、初めて知った、、、嬉しかった)

No.29 13/12/22 15:42
りんご ( ♀ UNyGh )


海岸線の広い駐車場に車を停めた

まだ海水浴シーズンには早かったから、人影はまばらだった

『外出ようか⁉』

『うん』

自然と腕を出すミツルに腕を絡めた

(心臓はパクパクしていた)

駐車場の縁に腰かけて、海を眺めた

(うわっ…借りた服なんだけど~座って大丈夫かな⁉💦💦💦)と頭をよぎった

『良かった…』

『何が⁉』

『今日さ、すっぽかされるかと思って心配だったんだ…』

『すっぽかすくらいなら、最初から約束なんてしませんよ~だ(笑)』

『寒くない⁉ちょっと風が冷たいかな⁉』

そう言ってミツルは、自分が着ていた上着を脱いで私に掛けた

『私は大丈夫‼ミツルさんが寒いでしょ⁉』

『俺は全然寒くないから。』

No.30 13/12/22 15:50
りんご ( ♀ UNyGh )


『腹減らない⁉』

『うん…ちょっと…』

『だよなぁ~、俺さ朝飯食ってないから腹ペコ~、何か食べたい物ある⁉』

(答えられない💦💦💦)

『あっ…今日のデートは俺に任せるんだったね。そこの店入ろう』
って駐車場の反対側のファミレスに入った

二人してパスタを頼んだ

ピザも1枚頼んだ

デートなんて初めてだし、緊張して食べられない⤵⤵

『ね~っ、倫子ちゃんていつも私服はそんな感じ⁉』

『えっ…おかしいですか⁉』

『ううん、意外だったから…』

『・・・』

No.31 13/12/22 15:59
りんご ( ♀ UNyGh )


飾り気のないミツルにどんどん惹かれていく自分を感じた

『あ~腹いっぱいなったぁ~』ってファミレスを出た

『あの…お金払います…』

『何言ってんの⁉
デートに誘ったのは俺‼
俺は社会人‼
高校生は金払わせる訳にゃ~いかないでしょ⁉』

『でも…』

『でもは言わないの‼
それとさ、その妙によそよそしい言葉使いやめない⁉(笑)』

『はいっ…』

また駐車場の縁に座った

『なんかさぁ~腹いっぱいになったら眠たくなってきちゃったわ』

て、ミツルは私のももを枕に転がった

(ドキドキ、ドキドキ💕心臓が口から出そうってこうゆう事なんだなって思った)

No.32 13/12/22 16:08
りんご ( ♀ UNyGh )

何もかもが初めての経験だった

デート、、
手を繋ぐ
腕を組む

膝枕

初めてのデートなのに、ミツルの事が好きって思った…

満員電車でミツルの腕に包まれた時から、恋は始まっていたのかもしれない

スースーと寝息を立てるミツルの髪をなでていた

『んっ⁉ゴメン、マジ寝しちゃった…』

下からミツルが見上げる

頭をグイッと引き寄せられて


キスをした


唇と唇がそっと触れ合うだけのフレンチキス

目を瞑っていたのか、開けていたのかも記憶にない…
私の初キスは突然にミツルに奪われた


No.33 13/12/22 16:16
りんご ( ♀ UNyGh )


涙がポタポタ落ちた

『えっ⁉ゴメン、嫌だった⁉ゴメン、ゴメン…』
ミツルが必死に謝っている

(泣くつもりはないのに涙が溢れた)

『ゴメンな…』

『ううん、、初めてだったからビックリしただけ…』

『嫌いにならない⁉』

『うん…』

『良かったぁ~…』

『俺、倫子ちゃんな事、大事にするから、ホントにホントに大事にするから…』ミツルが言った

『ありがとう』

『今日、何時までに帰ればいいの⁉』

『家ね、割合ウルサイんだ…』

『わかった、家まで送るよ。』

『ゴメン、親には友達の所に行くって言って来たから、駅でいい』

『そっか…』

No.34 13/12/22 16:22
りんご ( ♀ UNyGh )

車は、朝停めてあった駅ビルの立体駐車場に滑り込んだ

車を停める

『またデートしてくれるよね⁉』

『うん』

『電話しても大丈夫⁉』

『・・・』
『家ウルサイんだ…』

『そっか、じゃ俺んちの番号教えるよ、うちは大丈夫だから、電車でも会えるしな…』

(まだ携帯が普及していなかった時代です)

No.35 13/12/22 16:30
りんご ( ♀ UNyGh )


『キスしていい⁉』
ミツルが聞いた…

沈黙していたら
ミツルからそっと顔を近づけてきた

ギュッと目を瞑る

ミツルが笑ってる

『そんなギューッて顔されてたら…キス出来ないよ』ミツルが笑って言った

『ゴメンね…』

『大丈夫、俺本気で倫子ちゃんの事大事にするから』って繋いだ手に力を入れた

『じゃ~また✋』

車から降りた

ミツルも降りてきた

『大丈夫だよ。』

『待ち合わせた場所まで送るよ。』
腕を組、朝待ち合わせをした場合まで送ってもらった

『じゃぁ、今日は楽しかった、またね』

『またね…』
と握手をして別れた


No.36 13/12/22 16:36
りんご ( ♀ UNyGh )

時間は18時を回ってた

うちは門限はないのだが…
19時を回ると母親の機嫌が悪くなり、色々詮索し問い詰められる

それがたまらなくウザかった

私には3才年上の兄が居た
兄は成績優秀で、進学校から某有名大学に通う親の自慢の息子だった

兄弟仲は悪くはないのだが、何かと言うと

『お兄ちゃんは…』と兄と比較されるのが嫌だった


No.37 13/12/22 17:05
りんご ( ♀ UNyGh )


私は慌ててマミの家に向かった

『お帰り~‼』
満面の笑みでマミが迎えてくれた

ホッした
一気に緊張が解れていくのを感じた

服を自分の服に着替え、化粧を落とし

普段の自分に戻った

『ね~ね~、どうだったの⁉』
マミが聞きたがる

『ドライブ行った』

『キャ~ッ、車あるんだ~、いいなぁ~、』

『それで⁉それで⁉』

『ファミレスでご飯食べて帰ってきた』

『え~っ、それだけ⁉』

『うん、それだけ‼』

マミにはキスした事は内緒にした

と言うか、ミツルとの秘密にしたかった

No.38 13/12/22 17:14
りんご ( ♀ UNyGh )


『ゴメン、服汚れちゃったかも…』

『いいよ、いいよ~、、お姉のお下がりが多いいから、シミとか汚れなんて気にしないし~…』

マミは一番上の姉さんが、ショップに勤めているせいもあって、姉さんは毎月、毎月、新作を自費で購入するんだそうだ

店では店の新作を着なくちゃならない決まりになっているから、次から次へとお下がりの服が回ってくると言っていた

兄しか居ない私からしたら、羨ましい限りである

『いつでも言ってね。りんごの恋愛プロデュースしちゃうよ~応援するからね~』

『ありがと‼』

(早く帰らなくちゃ…)

慌ててマミの家を後にした…

No.39 13/12/22 17:22
りんご ( ♀ UNyGh )

滑り込みセーフ

19時前に家に着いた

(よかった~)ホッとした

『ん⁉』玄関の鍵が締まっていた

(ナイスッ、お母さんも留守だ⤴⤴)

玄関の鍵開け、家に入った

トントントンッ
二階から階段を降りてくる兄の足音がした

『お帰り~』

『ただいま、お母さんは⁉』

『なんか、朝からおばちゃんちへ行くって出掛けたよ。出前取って食べてくれってお金置いて行ったから、遅くなるんだろ⁉
何にする⁉』

(なんだぁ~、わかってたらこんなに慌てて帰ってこなくても平気だったのに…もう少しミツルと一緒に居たかったのに…)と思った

No.40 13/12/22 17:33
りんご ( ♀ UNyGh )

兄と出前を取って食べた

『お前さ、ちゃんと勉強してるの⁉』

『してるよ…』

『母さんが心配していたぞ、大学行くなら予備校入れなきゃって言ってたぞ‼』

(予備校⁉大学⁉)
まったく考えていなかった

高校受験は、兄と同じ進学校を受験していた

まさか⁉が起きた
まさか⁉

落ちる事は想定外だった
担任も塾の先生も大丈夫と言ってくれていた

母親は、兄の高校のPTA会長をしていた

それなのに落ちた
私は受験に失敗したのだ

原因はわからない

余程、入試で何か失敗をやらかしたのか⁉

今になっても原因は入試での失敗しか思いつかないが…

私は人生の岐路で
初めて挫折を味わったのは高校入試だった

No.41 13/12/22 17:41
りんご ( ♀ UNyGh )

母親と担任が必死になって、二次募集のある高校を探してきた

落ち込む私をなだめすかし、二次募集の試験会場へと送り込んだ

中学浪人なんてあり得ない

『高校なんてどこでもいいからね、頑張って大学入れば挽回出来るからね。』母親の口癖だった

進学校でもない
勉強には生ぬるい校風だったから、入学当初こそ中学同様、予習・復習に励んでいたが

いつしか、勉強なんてしなくても~って回りに感化され、教科書も学校のロッカーに置きっぱなしになり、勉強なんてしなくなっていった

それでも、友達もいっぱい出来て、毎日が楽しかった

No.42 13/12/22 17:51
りんご ( ♀ UNyGh )


『えっ⁉予備校⁉』

『そ~だよ、母さんはいい大学行かせるって意気込んでるぞ‼』

『・・・』

さっさと出前を食べ、自分の部屋へ行った

(ミツルの事は隠さなきゃ、社会人と付き合ってるなんてバレたら、絶対反対されるし、母親が何するかわからない)

ベッドに寝転び、今日の事を思い出していた

初めてのキス

思い出しても、心臓の鼓動がパクパクパクパク早くなる

ミツルの髪の毛
タバコの臭いがしてた…

でもデートの時はタバコ吸ってなかったし

この次のデートで聞いてみよう…なんて考えながら、緊張から解き放たれたからかウトウトしていた

No.43 13/12/22 18:00
りんご ( ♀ UNyGh )

次の日
電車でミツルと一緒になった
ミツルは座っていたが

私は真智子と一緒だったから、ドアの近くに立っていた

真智子が
『行ってきな~』って背中を押した


ミツルの横に座った

『やぁ~✋』

『なにが、やぁだよ(笑)』

『昨日はご馳走さまでした』

『家、大丈夫だった⁉』

『うん』

『そっか、よかった』

『俺さ、今日は夜勤じゃん、明日夜勤明け、、、学校から帰る頃、昨日の駅ビルの駐車場で待ってるから』

『えっ…』

『嫌⁉』

『嫌じゃないけど…』

『じゃ~待ってるから』と言いバスターミナルへと歩いて行った

何度も振り返って手を振っていた

No.44 13/12/22 18:05
りんご ( ♀ UNyGh )

『ミツルって、カッコイイよね⁉』
真智子が言った

『そうかな⁉』

『そうだよ、絶対モテるよ‼』

(えっ⁉モテる⁉)真智子の一言が凄く不安になった

そ~言えば…
車のドア開けてくれたり
慣れてる⁉

スッと引き寄せたり

キスしたり

慣れてるんだ…

そ~だよね、ハタチだもん、経験があっても不思議じゃないよね⁉

段々と不安で胸が苦しくなってきた


No.45 13/12/22 18:20
りんご ( ♀ UNyGh )

次の日…
真智子は委員会だった

一人で電車に乗り地元の駅に着いた

迷っていた
(行こうか、止めようか…)

改札を抜け階段を下りた

『お嬢さん、駐車場はこっちですよ‼』ミツルだった…

『ね~っ、約束忘れちゃったの⁉それともスッポカシ⁉』

ミツルに手を握られ駐車場に引っ張って行かれた

ミツルが車のドアを開ける

『どうしたの⁉俺、嫌われちゃったのかな⁉』

『違う…』

『とりあえず乗らない⁉』

『うん…』
車に乗り込んだ

駐車場をすり抜け、車は郊外へと走りだした…

無言のまま車を走らすミツル

うつ向いたままの私

ミツルの地元に着いていた

観光地の静かな駐車場に車を停めた

No.46 13/12/22 18:34
りんご ( ♀ UNyGh )

無言のまま時間が過ぎていった

おもむろにミツルが言った
『なんかあったの⁉バレて怒られた⁉』

『何も話してくれなきゃ、わかんないじゃん。答えてよ⁉』

『嫌なら嫌だってハッキリ言っていいから…』

『・・・』

『心配になって…』

『何が⁉』

『ミツルさん、モテそうだから…私なんて…』

『ミツルさん⁉ミツルでいいよ…
モテそうって何⁉
勝手に決めんなよ
言ったろっ、ずっと倫子を見てたって
俺はずっと倫子を見てたんだよ。わかってよ。
勝手に不安になるなよ。
信用しろよ。』
ミツルが言った

たった1日デートしただけだったけど…
ミツルの思いは痛いほどよくわかった

高校生の幼い恋心には、ミツルの思いは、今思えば重たかったのかもしれない

No.47 13/12/22 18:48
りんご ( ♀ UNyGh )

ミツルが車から降りて行った

近くのコンビニでアイスとお菓子とジュースを買ってきた

『溶けちゃうから、、食べな』アイスを手渡した

『ねぇ、俺さモテないよ(笑)』

『でも慣れてるみたいだから…』

『そんな事ないってばっ‼この1年近く電車に乗ってくる笑顔の可愛いケラケラ笑う子にずっと片思いしてた純粋な僕をわかってよ。』

プッ…
(いつも俺って言うのに、僕だって…)

『良かった、やっと笑った…』

『もう勝手にモテそうなんて不安になるなよ。俺、大丈夫だから、浮気は絶対しない自信があるから』

『一つ決めていい⁉』

『何⁉』

『絶対になんかあったら話す事、嘘は付かない事。話してくれなきゃ何もわからないじゃん。無言てキツいよ。』

『わかった。』

『じゃ誓える⁉』

『私はミツルに嘘はつきません。何かあったら必ず話ます。ほらっ言って‼』
ってミツルが言った

『私はミツルに嘘はつきません。何かあったら必ず話ます。ほらっ言って‼』

『ほらっ言ってはいらないの~‼』

No.48 13/12/22 18:53
りんご ( ♀ UNyGh )

笑いながらアイスを食べて

誓いの言葉を言った…

『ホントにホントにだからなっ‼』

『うんっ…』

運転席から身を伸ばして、ミツルがキスをしてきた

車のシートが倒された

初めてのディープキス

16の春
ちょっと大人になったような気がしてた

お互いをまだよく知らない2度目のデートだった

No.49 13/12/22 19:02
りんご ( ♀ UNyGh )

『帰るぞっ‼』

ミツルが急にエンジンをかけた

『大事にしたいから、困らせたくないから、ちゃんと送る。これ男のケジメ‼』
ミツルが言った

『お前高校生だし、俺大人だからちゃんとケジメはつける‼』
ミツルは自分に言い聞かせるように言っていた

『だから、信用しろよっ‼』

『うんっ…』

海岸線をずっと120kくらいで走っていた

『いつもこんなスピード出してるの⁉』

『そんなことね~よっ。遅くなると怒られんだろ⁉』

『・・・』

18時に地元の駅のターミナルに着いた

『ありがとう。』

『わかったな‼絶対だぞ‼』ミツルが言った

『うん』

『またなっ‼』

ミツルの車が走って行った

No.50 13/12/22 20:14
りんご ( ♀ UNyGh )


(良かった…
ミツルを信用しよう
ミツルの事が大好きだ…)

ちょっと安心した

2回しかデートしていないのに…

どんどんミツルの事が好きになっていく自分が居た

寝ても覚めてもミツルの事で頭がいっぱいになっていた



『昨日、うちの地元に居たよね⁉』
唯が声を掛けてきた

(見られた⁉唯に…)

(なんでか唯には知られたくない自分が居た。ミツルと地元が一緒だからヤキモチを焼いているのか⁉唯は、いつも他人の者を欲しがった。クレーンゲームのように取るだけが目的のような感じだった)

『うん…』

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