あの時、違う道を選んでいたら…
高校を卒業して20年…
久しぶりの同窓会
『変わらないね~‼』
『キレイになったね‼』
キャーキャーワイワイ大騒ぎ
そう、高校を卒業して何十年たっても…
一瞬で当時にタイムスリップしたかのような同級生達
高校は女子校だった
20年もたつと、ほぼ結婚していた
と言うか、、
30代後半で独身の女子の同窓会参加は女子校ではないのかもしれない…
それでもクラスの半数以上は参加していた
もちろん卒業してから疎遠になってた仲良しグループだった仲間は連絡取り合い全員参加していた
卒業して数年は連絡も取り合い、年に何回かは集まっていたが…
結婚して、子供が生まれた頃からは段々と集まる機会もなくなり、いつしか年賀状のやりとりだけしかする事もなくなっていった…
最初の1週間は、ほぼオリエンテーションに費やした
進学校ではなかったせいもあり、勉強よりマナーとか規律に重きを置くような学校だった
入学式の直後の教室で、親の目前での校則説明のあるような学校で
『頭髪のパーマ・染め毛は禁止ですので、天パ、地毛の茶色の生徒は親の申し出のみ生徒手帳に記入しますので、本日この場で申し出て下さい。』と担任からの話もあった
今でこそ高校生の染め毛なんかも多くみられるが、当時は不良の代名詞のような時代だった
クラスで3人ほど親からの申し出があった
その内の一人マミに至っては、クルクル頭の茶髪、メンソレータムの缶にいる子のような可愛い子だった
しかしそれも数日後
染め毛にパーマと判明する事となった
3年生に姉の居るマミが仕組んだ悪知恵だった(笑)
毎朝、校門で制服検査、頭髪検査をくぐり抜けなければ校門を入れないような厳しい学校だった
同窓会で唯から声を掛けられた
『元気⁉』
唯は入学当時クラス一番目立った子だった
入学したばかりの15才なのに
華やかな雰囲気を持った
なんか近寄りがたい大人びた子だった
『ミツルの事知ってる⁉』
ミツル…
高校2年から3年くらい付き合ってた4つ上の男だった
高校2年 16才からしたら、20才のミツルは大人に見えた…
『ミツルね…逢いたがってたよ…』
唯の店に来たのだそうだ
唯の母親はスナックを経営していた
美人で、色恋沙汰の絶えない母親
中学の時に唯の父親と離婚して、シングルで唯を育てていた
唯は、そのスナックで手伝いをしていた
だから、大人びていたのだと思う
もちろんスナックでのアルバイトなんかは禁止なのだが、親の店の手伝いなのだから学校に公にばれて問題になるような事もなかった
そんなある日
下校時間の電車が遅れる事故があった
途中の駅で事故があり電車が大幅に遅れた
数時間待たされた電車は、今まででないほどギューギューに混み合っていた
『嫌だな~…』
でも乗るしかない
開いたドアから無理矢理乗り込んだ
30分で降りるから、奥に入る訳にもいかず、閉まるドア間際に立った
外を眺めていた
揺れにギューギュー押される
混んでいるのだからしかたないけど…
ふと気がついたら
頭の上から、窓に二本の手のひらをついてたっている人がいた
私は小さいので
頭の上に腕が二本
『えっ…何⁉』と
窓に写る腕の主を見たら
ミツルだった
押し潰されないように守ってくれているようだった
ミツルは私よりも何駅も前から乗っているから、ドア付近に立っているはずはないのに…
胸の鼓動が早くなる
パクパク、パクパク
聞こえちゃってるんじゃないかと思うくらい
恥ずかしい
30分、外を向く私の頭の上にミツルの腕があった
やっと降りる駅に着きドアが開いた
人波に押され流れていく
必死にミツルの姿を探し追いかけた
バスターミナルに向かう階段を降りた所でミツルの後ろ姿を見つけた
必死に追いかけた
『ありがとう‼ありがとうございます‼』
今にも涙が溢れちゃいそうな顔でペコリと頭を下げた
『えっ…えっ…どうしたの⁉ゴメンね。潰されちゃいそうだったから、嫌だった⁉ゴメン、ゴメン』とミツルが言った
次の日、久々に真智子と帰りが一緒になった
スポーツ万能でハキハキした性格の真智子、中学のバスケ部で一緒だった同級生の林君と付き合っている
恋愛に関しては先輩だ
ただし、今の時代と違って、付き合っているとは言っても、まだHなどは程遠いような時代だった
『ね~真智子~』
『何⁉』
『日曜日にデートするんだ…』
『え~っ…誰⁉誰⁉』
『電車で忘れ物届けてくれた人…』
真智子は電車で一緒に帰った時にミツルの事は話た事があったし、面識もあった
『あ~っ…あの人~⁉』
『ちょっとカッコイイなぁ~って思ってたんだ、、なんで~⁉』
真智子に昨日のいきさつを話た
『フンフン、フンフン』
真智子はただフンフンて聞いていた
『でもさ…デートなんてした事ないし…デートに着ていくような服がない…』
『真智子も一緒に来てよ。』
『何言ってんのよ~、りんごらしくないね~、いつもの笑い転げてるりんごが可愛いよ~、大丈夫、大丈夫、私が太鼓判押してあげるから、そのまんまのりんごで行ってきな~。』
って、私の背中をパンッパンッて2回叩いた
でもホントにオシャレな服なんて持ってない
真智子がマミに話して、マミが服を貸してくれる事になった
入学式に天パと地毛茶髪を申告し、後にパーマと染髪のバレたマミだ
マミは、2つ上の高3に姉さんが居て、その上にも姉さん居る3姉妹の末っ子だ
一番上の姉さんは、ファッション関係の当時ハウスマヌカン⁉って言ったかな~(笑)
そんな関係で
オシャレに敏感で
いつも背伸びしているような子だった
『りんごがデート⁉
応援するする~‼プロデュースしちゃう~⤴⤴』
ってマミが言ってくれた
背格好、体型もマミと近かったから、服を借りる事が出来た
日曜日、待ち合わせは10時だったが、マミの家に8時に行った
もう何枚かの服をピックアップしてくれてた
着た事もないような
大人びた服から
フリフリした可愛い服もあった
何度か試着して
マミのお姉さんも一緒に見てくれて、、
ミツルに合わせて、ちょっと大人っぽい黒いワンピに決めた
海岸線の広い駐車場に車を停めた
まだ海水浴シーズンには早かったから、人影はまばらだった
『外出ようか⁉』
『うん』
自然と腕を出すミツルに腕を絡めた
(心臓はパクパクしていた)
駐車場の縁に腰かけて、海を眺めた
(うわっ…借りた服なんだけど~座って大丈夫かな⁉💦💦💦)と頭をよぎった
『良かった…』
『何が⁉』
『今日さ、すっぽかされるかと思って心配だったんだ…』
『すっぽかすくらいなら、最初から約束なんてしませんよ~だ(笑)』
『寒くない⁉ちょっと風が冷たいかな⁉』
そう言ってミツルは、自分が着ていた上着を脱いで私に掛けた
『私は大丈夫‼ミツルさんが寒いでしょ⁉』
『俺は全然寒くないから。』
兄と出前を取って食べた
『お前さ、ちゃんと勉強してるの⁉』
『してるよ…』
『母さんが心配していたぞ、大学行くなら予備校入れなきゃって言ってたぞ‼』
(予備校⁉大学⁉)
まったく考えていなかった
高校受験は、兄と同じ進学校を受験していた
まさか⁉が起きた
まさか⁉
落ちる事は想定外だった
担任も塾の先生も大丈夫と言ってくれていた
母親は、兄の高校のPTA会長をしていた
それなのに落ちた
私は受験に失敗したのだ
原因はわからない
余程、入試で何か失敗をやらかしたのか⁉
今になっても原因は入試での失敗しか思いつかないが…
私は人生の岐路で
初めて挫折を味わったのは高校入試だった
無言のまま時間が過ぎていった
おもむろにミツルが言った
『なんかあったの⁉バレて怒られた⁉』
『何も話してくれなきゃ、わかんないじゃん。答えてよ⁉』
『嫌なら嫌だってハッキリ言っていいから…』
『・・・』
『心配になって…』
『何が⁉』
『ミツルさん、モテそうだから…私なんて…』
『ミツルさん⁉ミツルでいいよ…
モテそうって何⁉
勝手に決めんなよ
言ったろっ、ずっと倫子を見てたって
俺はずっと倫子を見てたんだよ。わかってよ。
勝手に不安になるなよ。
信用しろよ。』
ミツルが言った
たった1日デートしただけだったけど…
ミツルの思いは痛いほどよくわかった
高校生の幼い恋心には、ミツルの思いは、今思えば重たかったのかもしれない
ミツルが車から降りて行った
近くのコンビニでアイスとお菓子とジュースを買ってきた
『溶けちゃうから、、食べな』アイスを手渡した
『ねぇ、俺さモテないよ(笑)』
『でも慣れてるみたいだから…』
『そんな事ないってばっ‼この1年近く電車に乗ってくる笑顔の可愛いケラケラ笑う子にずっと片思いしてた純粋な僕をわかってよ。』
プッ…
(いつも俺って言うのに、僕だって…)
『良かった、やっと笑った…』
『もう勝手にモテそうなんて不安になるなよ。俺、大丈夫だから、浮気は絶対しない自信があるから』
『一つ決めていい⁉』
『何⁉』
『絶対になんかあったら話す事、嘘は付かない事。話してくれなきゃ何もわからないじゃん。無言てキツいよ。』
『わかった。』
『じゃ誓える⁉』
『私はミツルに嘘はつきません。何かあったら必ず話ます。ほらっ言って‼』
ってミツルが言った
『私はミツルに嘘はつきません。何かあったら必ず話ます。ほらっ言って‼』
『ほらっ言ってはいらないの~‼』
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