鬱の兄､厨二病の彼女

始まりは兄貴の
｢今度泊まりに行ってもいい？｣
という電話だった｡
兄貴は私とは話せるが旦那とは一切話せない程人見知り｡
不思議に思ったが旦那も良いと言ってくれたのでOKした｡

3日後やって来た兄貴は私に自慢気に携帯を突き出しつつ言い放ったのだ｡
｢いや～俺彼女出来たんだよね｡｣

私は驚愕した｡
兄はカッコいいとはお世辞にも言えない｡
ジャイ〇ント白田がちょっと太った感じである｡
その上､無職+引きこもり+コミュ障という三種の神器を持つ男なのだ｡
私が黙っていると
｢年下でさーあんまタイプじゃないけど､向こうから付き合ってって言って来たから､まぁいっかと思って｡｣
｢…どこで知り合ったの？｣
｢ん？ネット｡ﾋﾟｸ〇って知ってる？｣

なるほど｡
恐らく相手の子は兄貴に会った事がないに違いない｡
もしかしたら顔も見てないのかもしれない｡
私は勝手にそう解釈した｡

｢でさー彼女にお前の話したら話してみたいって言うんだよ｡｣

(…お前は一体何を話した？)

｢だからさ､一回話してやってくんない？
なんか分けありの子で病んでるけどお前なら大丈夫だろ？｣

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絶対に無理だ｡
世の中の本当に苦しんでいる鬱病の方々には申し訳ないが私は若い子特有のなんちゃって鬱と話すのが何より苦手なのだ｡
他人の不幸話を延々と聞き続けられる忍耐の欠片も持ち合わせていない｡
リスカしちゃった…とか自殺したい…とかいう話になれば一番に話題を変えて逃げて来たタイプなのだ｡
そんな私に何をどうしろと言うのか？と力説したものの兄貴はお構い無しに電話をかけてしまった｡

｢そう妹｡
大丈夫だからな？
かわるぞ？｣

そう手渡され渋々ながらも代わる｡
｢もしもし､初めまして妹です｡｣
｢……｡｣
｢もしもーし？｣
｢…はぁ…｡｣

えぇぇぇぇ…｡
ため息つかれたよ｡
10秒経ってないのにこれかよ｡

兄貴に代わると
｢ごめんな｡
ちょっとテンション高いけど悪い奴じゃないから｡
大丈夫？
いける？｣

私のせいかよ!!!
何なんだよ!!

また代わられイライラを悟られないように話す｡

｢初めましてー｡｣
｢初め…して…｡｣

声が小さい!!
聞こえないよ!!

｢なんかテンション高いみたいでごめんね？
大丈夫？｣
｢ちょっと今リスカしてて朦朧としちゃってるだけですから平気です｡｣

…まじか｡
絶賛リスカ中かよ｡
しかもリスカの話になった途端いきなり声デカくなったよ｡
どんだけリスカ強調したいんだよ｡

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｢まじかー｡
止血しときなよ｡｣

｢いいんです｡
毎日してますから｡
てかお姉さん夜の仕事してたって本当ですか？｣

そんな報告いらねー｡
なんだその日課｡

｢してたよ｡
スナックだけどなんで？｣

｢私もしたいなと思って｡｣

｢今は何の仕事してるの？
昼の仕事の方が胸張って出来るから良いと思うけど｡｣

｢今は鬱で引きこもってます…｡
けどお金欲しくて…｡｣

無理だろ｡
喋れないホステスは無理だろ｡

｢ならリハビリにチャットレディとかから初めた方がいいんじゃない？
喋るのに慣れなきゃやっていけないし｡｣

｢そうですか…｡
でもチャットって稼げそうにないですよね…｡
やっぱり体売るのが良いのかなぁ…｡｣

何故そうなる｡
むしろ彼氏の妹に何故そんな話をするのか｡

｢体売るにしても避妊とか性病とか怖くない？
援交とかは分かんないけど風俗でも接客上手くなきゃ今は不景気だし厳しいと思うよ？｣

｢じゃあ援交ですかねー｡｣

だから何故体を売る方向にしか行かないのか？

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その後も延々と
体を売りたい→止めるというやり取りを繰り返し電話は終わった｡
途中で何故か彼女の学生時代に虐められた話やらヤンキー自慢？やら聞いていたら1時間が経っていた｡

私としてはやりきった感でいっぱいである｡

兄貴に代わり子どもと遊んでいると電話が終わった｡

｢明日暇？｣

｢昼間なら暇｡｣

｢彼女がお前に会いたいって｡｣

私の戦いが幕を開けたのだった｡

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～初対面～

電話の後初めて知ったのだが既に兄貴は何度か彼女に会っていたのだ｡
私の予想は見事に外れたわけで｡

夜帰ってきた旦那に話すと
｢…お前知ってるか？
鬱病の人には頑張れって言っちゃいけないんだぞ？
お前そんな気遣い出来るんか？｣
と心配されたがリスカや援交を嬉々として話す人にはその気遣いは必要だろうか？と尋ねると旦那は黙って苦笑いしていた｡


次の日は生憎の大雨｡
彼女が遅れるとの事だったので兄貴と先に昼御飯を食べる｡

｢てかさ､会ってどうすんの？
雨だしどっかでずっと喋るの？｣

｢さぁ？
そのままラブホ行くんじゃね？｣

この言葉にキレた私｡
ならば何故わざわざ私が車を出して来なければならなかったのか？
しかも会ってすぐラブホとかお前はただのヤり目なのか？
だから元カノにもフラれるんだよ!!
つーか男ならこうして待ってる間にデートプランの１つでも考えろや!!
とこんこんと説教した結果兄貴の鬱病が悪化し喋らなくなってしまった｡

いきなり酷いスタートである｡

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こんばんは🍀

更新楽しみにしてます☺

頑張ってください✨

• << 9 悠々さん ありがとうございます☺ 拙い文章で恥ずかしいですが読んでやって下さい✨

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めっちゃ続きが気になります❗

更新まってます‼

• << 10 ﾗNﾄﾞさん ありがとうございます☺ 生ぬるい目で見てやって下さい❤笑

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2時間後｡
かなり遅刻し彼女登場｡
初めましての挨拶の前に私に彼女は言い放った｡

｢さっきレイプされた…｡｣

｢…………。｣

普通この大雨の中レイプされたりすれば泥まみれかびしょ濡れにならないだろうか？
いや､レイプされた事ないから分からんけども｡
その真っ白い龍の書いてあるジャージめっちゃ綺麗だけども｡
いやいや､疑ってはいかん｡
本当なら一大事ですがな｡

｢まじで!?
大丈夫!?
警察行こうや｡
遅くなったら駄目らしいし!!
あと病院行ってピルもらわなきゃ妊娠したら大変だよ!!｣

私がそう言うと

｢写メ撮られて脅されました…。
言ったらばらまくって…。
病院はゴムしてたから大丈夫です…。｣

…分からない｡
レイプ魔にゴムをするような優しさがあるのだろうか？
不思議なばかりだが大丈夫だと言い張るので流す事にした｡

とりあえず出る事になり兄貴と自分達の会計を済ませて外に出ると先に待っていた彼女は言った｡

｢今ナンパされた…｡
それでキスされた…｡｣

｢…そっか。｣

長い1日になりそうだ｡

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>> 6 こんばんは🍀 更新楽しみにしてます☺ 頑張ってください✨ 悠々さん
ありがとうございます☺
拙い文章で恥ずかしいですが読んでやって下さい✨

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>> 7 めっちゃ続きが気になります❗ 更新まってます‼ ﾗNﾄﾞさん
ありがとうございます☺
生ぬるい目で見てやって下さい❤笑

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とりあえず彼女の希望でプリを撮りに行く事に｡
また今度にして今日は帰ってシャワーを浴びた方が良いんじゃないか？と聞いたが無視された｡
無視したくせにプリは兄貴とではなく私と2人で撮りたいらしい｡
よく分からない｡

たまに適当に店を指差して
｢ここーあたしらの溜まり場なんですよー｡｣

｢コンビニかー｡
でも良い年だし恥ずかしくない？｣

｢…………。｣

何やら彼女を傷付けてしまったらしい｡
兄貴に睨まれた｡

溜まり場の話は流したいのかその後何度もナンパの話をほじくり返す彼女｡
兄貴に嫉妬して欲しいのだろうが嘘だと分かりやすすぎて突っ込む気にもならない｡
いつの間にか引っ張られて店の裏に連れて行かれてキスされ胸を触られた事になっていたが支払いをしている数秒でそんな事がありえるだろうか？
いや､ない｡

失礼は承知だが彼女は美人ではない｡
のび太君の髪が伸びてニキビだらけになったような顔(旦那談)である｡
私も人様の容姿についてとやかく言えるわけではないが彼女はモテモテの人生が送れる容姿ではないだろうと断言は出来る｡

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くだらない事を話している間に彼女の案内でプリクラの器械ばかりが並ぶ建物(男子禁制)にたどり着く｡
階段だったのでベビーカーを兄貴に預け子ども&私&彼女でプリクラ｡
しかしすっぴんで来ていた彼女はトイレに駆け込み化粧をしに行ってしまった｡

そこから30分待ちである｡
兄貴の所に戻り苛立っていると
｢彼女かなり自由人なんだよな｡
前なんか3時間遅刻してきたし｡
凹んでたけど(笑)｣
とでれでれ話す兄貴｡
｢兄貴知ってる？
自由人と非常識は違うんだよ？｣
冷たく返すとまた無言になってしまった｡

ようやく化粧が終わりいざプリクラ｡
しかし30分待たされた子どもの機嫌は最悪で落書きは彼女に任せる事になってしまった｡

間違いだと気付いても後の祭である｡
私はスタンプまみれで誰だか分からなくなっていた後であった｡
彼女は何故プリを撮りたいと言ったのか｡
いまだに永遠の謎である｡

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プリの後､私の車に乗り込み次の行き先を聞く｡

まず兄貴｡
｢ラブホに送ってくれる？｣

私は兄貴だけを車から降ろし説教｡

さっきレイプされたんだぞ？
ラブホ行って傷に塩塗りたくるつもりか？
レイプってトラウマになって兄貴でさえ怖いから触らないでってなる位の事なんだぞ？
お前何考えてんだ？
デリカシーとかの以前の問題だからな？
人としての問題になってくるからな？
とまたこんこんと説教したのだが今度の兄貴は違った｡

困ったような顔で頭を掻きながら呟くのだ｡

｢…彼女がさっきから早くラブホ行こって言ってきてんだ｡｣

｢…そっか｡｣

私はそのまま無言で車を走らせラブホにカップルを放流し帰宅｡

旦那には爆笑されてしまった｡

とにかく初対面は済ませたのである｡

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～メールで仲良く～

その後兄貴が彼女に私のアドレスを教えたらしく頻繁にメールが届くようになった｡
メールの内容は大体一緒｡
本文なしで写真｡
リスカ直後の血が流れている腕の写真｡
これから飲むらしい薬の写真｡

またある時は
本文
レイプされました…
の一文｡

迷惑メールより質が悪い｡

最初はちゃんと返していたが苛立ちの方が強くなり返さなくなっても彼女はめげずに送ってきた｡

しばらくするとウケが悪いと分かったのか彼女は自分の半生を書き綴り送ってくるようになった｡

虐め｡
元彼の死｡
レイプ｡
中絶｡
大好きだった祖父母の死｡
元彼の脅し｡
裁判｡
親からの縛り付け｡
引きこもり｡

不幸を詰め込んだような人生だった｡
祖父がなぜか4人亡くなっていたが複雑な事情でもあるのだろう｡
突っ込むのはやめておいた｡

裁判に至った元彼の脅しの内容が
｢俺はお前の下の毛を持っているんだぞ｡｣
的な事だったのも引っかかるが突っ込まない事にした｡

とにかく大変な人生だったようだ｡

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一度だけ
｢携帯小説でも書いたら？｣
と送ったが無視されてしまった｡
今のところ彼女の作品らしき物は見ていないのでまだ書いてはいないようだ｡

半生を綴り終わった後､現在に至るまで送られてきているポエム｡

内容は片想い物が大部分を締め､たまに亡くなった元カレ宛と思われる
｢私は今も君を想っているよ｣
という感じの物がある｡

大体2日に一回ペースで送られて来るのだが返事に大変困る｡

私に送るより纏めて出版社にでも送った方がまだ良い方向に進めるんじゃないかと思わざるを得ないが彼女は今の状態に満足しているようだ｡

以前
｢交換日記しませんか？｣
と聞かれ断ったがこれは彼女にとって交換日記のつもりなのかもしれないと予想している｡


話は戻るが彼女が半生を綴っている頃の出来事｡

アド変しましたのとメールが来た｡

問題はアドレスである｡

彼女ふぉーえばーらぶ△△@～
という類いの物だったのだが△△が明らかに兄貴の名前ではない｡

兄貴と別れたん？
と送る私｡

いえ､別れてません｡

ならこのアドはまずいでしょ｡

お兄さんには携帯取り上げられたって言ってパソコンのアド教えたんで大丈夫です｡

そっか｡



…てか妹にも教えんなよ!!
バレたら確実に私も共犯だと思われるじゃねぇか!!

と思ったが修羅場に巻き込まれるのも嫌だったので聞かなかった事にした｡

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またある時｡
元彼(亡くなった方)の事を彼女が綴っていてめちゃくちゃイケメンだと言うので写メとかないの？見てみたいなぁ｡と送った時の事｡

送られて来た写メはかなりイケメンだった｡
芸能人かモデルでも通用しそうな位のイケメンだった｡

しかし私は彼の写真に見覚えがあったのだ｡

何年か前に迷惑メールがひどかった時､出会い系サイトからのメールで彼の写メを見たような気がした｡

探してみるとやっぱりいた｡

もちろんすぐメールが来る｡

内容を要約すると
余命宣告をされている彼｡
彼が亡くなった後遺産を受け取ってくれる人を探している｡
亡くなるまで話相手になってくれないか？
という感じである｡

彼女は本当にこれを信じているのかと思うと悲しくて堪らなかった｡

今でも彼女にこの事を教えていない｡

ある意味彼女はとても純粋なんだと思う｡

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おもしろいです(笑)
彼女は異常ですね💦それに巻き込まれずに、堂々と渡り合ってる主さんスゴイ❗
心の中のツッコミが超ウケます😆
続き楽しみにしています✨

• << 20 まままさん ありがとうございます☺ 彼女も異常ですが兄がかなり異常なので免疫がついたみたいです(笑) 生ぬるく楽しんでやって下さい✨

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メンヘラって言葉が好きじゃないし、やめた方がいい

• << 21 みぃなさん ご指摘ありがとうございます☺ 他にぴったり当てはまる言葉が思い付かず使用させていただきました💦 ボキャブラリーのなさが恥ずかしい限りです🙇

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読みやすくて面白いです😄
更新楽しみにしています！

• << 22 玄米さん ありがとうございます☺ 誉められると調子にのるタイプなので非常に嬉しいです(笑) 優しい目で見てやって下さい✨

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>> 17 おもしろいです(笑) 彼女は異常ですね💦それに巻き込まれずに、堂々と渡り合ってる主さんスゴイ❗ 心の中のツッコミが超ウケます😆 続き楽… まままさん
ありがとうございます☺

彼女も異常ですが兄がかなり異常なので免疫がついたみたいです(笑)
生ぬるく楽しんでやって下さい✨

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>> 18 メンヘラって言葉が好きじゃないし、やめた方がいい みぃなさん
ご指摘ありがとうございます☺
他にぴったり当てはまる言葉が思い付かず使用させていただきました💦
ボキャブラリーのなさが恥ずかしい限りです🙇

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>> 19 読みやすくて面白いです😄 更新楽しみにしています！ 玄米さん
ありがとうございます☺
誉められると調子にのるタイプなので非常に嬉しいです(笑)
優しい目で見てやって下さい✨

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～二度目の対決～

ある日いつもの一方通行なメールではなく着信があった｡

｢はいもしもし～｡｣

｢…………。｣

｢もしもーし？｣

｢…………。｣

無言電話だと……？
嫌がらせだろうか？
ならば非通知でするべきだ｡

｢あっ……､すいません｡
薬飲んだんでちょっとぼーっとしちゃってました…。｣

まさかのトリップ告白｡
真っ昼間から薬とはさすが引きこもり｡

｢…今から寝るの？｣

｢いや､なんか嫌な事忘れたくて…。｣

嫌な事から全て逃げ出した結果が引きこもりではないのかと言いたい｡
だけど言えない｡
チキンな私｡

｢ふーん｡
それでどうしたん？
なんか用事だったんでしょ？｣

｢えっと…。
今度妹さんの家に遊びに行きたいなと思って｡｣

｢いいけど…。
我が家でリスカとか薬とかするの禁止だからね｡
子どもいるし刃物と睡眠薬持ち込まないでね｡｣

｢え…………｡｣

悩むな｡
人ん家でもしようとしてたのか貴様｡

｢あと子どもが心配するから長袖着るか手首に包帯巻いてね｡｣

｢…………｡｣

…私は何か難しい事を言ったのだろうか｡

｢分かりました…。
あっ､旦那さんにも挨拶したいんですけどお休みっていつですか？｣

｢休みはゆっくりさせてあげたいからなぁ｡
夜帰って来てから挨拶がてら一緒に晩御飯でもいい？｣

｢はい｡
大丈夫です｡｣

旦那に会いたいという言葉に少々疑問を抱きながらも二度目の対面が決まったのである｡

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旦那の了承を得て比較的仕事が早く終わる3日後に決定｡

いつでも大丈夫と言ってもらえるのが引きこもりのメリットだと初めて知る｡

そこからはいつものように一方的なメールが来る日々が過ぎて行った｡

そして3日後｡

彼女は化粧バッチリで現れた｡

前回すっぴんで遅刻したのに今回は化粧は勿論15分前集合である｡
兄貴との対応の差に驚きを隠せない｡

｢あれー｡
化粧バッチリじゃん｡
来るの早いしどうしたん？｣

｢妹さんとだから頑張りました(笑)｣

…兄貴って一応彼氏じゃなかったか？
まぁ最近兄貴も
｢俺浮気しよっかなぁ｡
クリーで｡｣
等とアホな事を抜かしていたから適当な対応でも良かろう｡

｢あっ､さっき待ってる間にナンパされてアド無理矢理交換させられました…。｣

外出すれば100発100中でナンパですか｡
ネットで彼氏探さなくても事足りるであろうに｡

｢そっか｡
でもこの真っ昼間からフラフラしてナンパするような男はやめといた方が良くない？｣

｢…………｡｣

また彼女を傷付けてしまったらしい｡

そのまま彼女と家に帰りダラダラと話す｡
殆ど話していたのは彼女だったが｡

もちろんちょいちょい突っ込みたくなるような発言が飛び出すのが彼女クオリティである｡

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例を上げるとこんな感じである｡

例1:子ども

｢私も早く子ども欲しいー｡｣

｢まず薬やめなきゃね｡｣

｢てかもう出来そう｡｣

出来そうってなんだ｡
まず引きこもり2人が親ってお金どうするつもりだ｡

例2:初体験

｢妹さんって初体験いつなんですか？｣

｢うーん高1の春休みだったかな？｣

｢早い方ですよね｡
私､小4です｡｣

｢はやっ｡
てか小4って初潮もまだだったわ｡｣

｢えー｡
普通ですよぉ｡｣

普通じゃねーよ｡


例3:レイプ

｢妹さんってレイプされた事ないんですか？｣

｢ないよ｡
かなり平和に生きてるよ｡｣

｢珍しいですね｡｣

君はしょっちゅうみたいだもんね｡

例4:浮気

｢今ー実は5股してるんです｡｣

｢へー｡
避妊しときなよ｡
誰の子か分かんないとかなったら昼ドラ並みにドロドロじゃん｡｣

｢でもあたし生の方が好きなんですよね｡｣

ドロッドロになってしまえ｡

例5:ナンパ

｢なんであたしナンパばっかされるんだろー？｣

｢さぁ？
私に声かけて来るのは子ども目当てのおばちゃんばっかだから分かんないわ｡｣

｢モテないんですねー｡｣

うるせーよ｡

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>> 25 面白いです(￣▽￣)V



思わず笑ってしまいました。^_^;



これからも更新楽しみにしてますね！



気楽に続けてくださいね～！

• << 29 匿名さん ありがとうございます☺ 笑っていただけてありがたいです｡ ちょこちょこ更新しますのでまた見に来てやって下さい✨

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そして夕方になり旦那帰宅｡

そわそわしだす彼女｡
なんちゃって鬱が苦手な旦那は挨拶もそこそこに台所に子どもと避難してきた｡

なにやってんだお前ら｡

結局台所に全員集合｡
人口密度は高いのに無言｡

重たすぎるわ!!!
頑張れよ!!!

旦那を軽く睨むと旦那は風呂に子どもと逃げて行った｡
駄目だ｡

｢…旦那さん私の胸ばっか見てくるんです｡｣

彼女クオリティは健在のようだ｡
一安心である｡

風呂場にいる旦那からメール｡

『彼女さんが僕に腕のキズを見せて来ます｡
怖いので注意して下さい｡
お願いします｡』

何故､敬語｡
確かに旦那は血とかリスカの跡とかが大の苦手だ｡

立ち会い出産を希望しながら医者の手についた少量の血を見て気絶した強者である｡

さすがに可哀想だ｡

｢彼女さん｡
袖がめくれて傷見えてるから気を付けてくれるかな？｣

不貞腐れてしまった｡
やはりわざとだったのか｡

しかし注意してからは何事もなかったので良しとしよう｡

そこからは私が話を振り何とかご飯は済んだ｡

彼女さんも帰りまぁ自分としては上手くやった方ではないかと安心していた｡

…しかし次の日｡

兄貴からお怒りの電話が入った｡

｢もしもし｡｣

｢なぁ昨日彼女がお前の家に行ったんだろ？｣

｢来たよ｡｣

｢その時お前が見てない所で旦那にキスされて下を触られたって言ってんだけど!!｣

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さぁ整理してみよう｡
私が見てない時は料理をしていて背を向けていた時｡
旦那&子どもが風呂にいた時｡
旦那又は彼女がトイレに行っていた時｡

この3つである｡
風呂の時は彼女は台所にいたのだから触れまい｡
トイレに2人で行くなんておかしな瞬間はなかった｡

あり得るのは背を向けている時だが､旦那と彼女はテーブルに向かいあって座っていた｡
キスをするなら片方が立ち上がり身を乗り出してするか､もしくは両方が立ち上がる必要がある｡
そんな事が起こっていたら普通は気付くだろう｡

次に下を触るなら足でという事になるが体をかなり沈めてやっと届くかどうかという距離である｡
旦那は短足の為普通に座っては出来まい｡
子どもを抱いていた旦那に果たして出来るのであろうか｡

｢兄貴｡
2人はずっと台所のテーブルで向かいあって座ってたわけよ｡
私は料理してたし｡
兄貴ならあのテーブルでそんな器用な事出来る？｣

｢え？
そうなの？
じゃあまた嘘かー｡｣

良くある事なのか｡
まぁ知ってたけど｡

｢ほんとごめんな｡
じゃあなー｡｣

二度目の対決は旦那が被害者という形で幕を下ろしたのであった｡

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>> 26 面白いです(￣▽￣)V 思わず笑ってしまいました。^_^; これからも更新楽しみにしてますね！ 気楽に続けてくださいね～！… 匿名さん
ありがとうございます☺

笑っていただけてありがたいです｡

ちょこちょこ更新しますのでまた見に来てやって下さい✨

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>> 29 もうヤバイです😆

特に

俺はお前の下の毛を…

の下りがツボにハマりすぎ涙流しちゃいました💦💦💦

感想スレ立てましょーよー❤

は～ホントやばいわ😆😆😆😆😆😆

• << 34 みみりんさん ありがとうございます☺ 感想ｽﾚたてさせていただきました✨ これからも彼女クオリティを楽しんでやって下さい❤笑

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私は実際にうつ病で苦しんでいるものです。

2レス目までは病気をバカにしていて病気を受け入れない内容だと苦しくなりました。

でも彼女、うつっていうか、なんちゃってうつ病だし、うつ病というより、人格障害みたいですね💦

なんか読んでいて主さんよく付き合ったなぁと感心してしまいました✨

今もお付き合いされてたらあんまり振り回されないでくださいね😭

• << 35 匿名さん ありがとうございます☺ 本当に苦しんでおられるうつ病の方となんちゃって鬱は全く違いますよね💧 若い子は何かしらの病気でいたい人が多いのか ｢あたし鬱だわ｡ 絶対鬱だわ｡｣ と勝手に鬱宣言をする方が結構いましてそういう方々をなんちゃって鬱と表現しています🙇 彼女は人格障害なのかは分かりませんが自己申告では鬱です(笑) ネタバレになってしまうので書けませんがいまだに付き合わなくてはならない状況です😱 笑いを提供してくれるのでいいかななんて思っていますが(￣∀￣)

• 共感0

お気に入りに登録させていただきますた。更新期待してまつ🙇

• << 36 通りすがりの名無しさん お気に入り登録ありがとうございます☺ 優しい目で見てやって下さい✨

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主さん以外のレスが入ると大変読みにくいので、感想スレを立ててはいただけませんか❓

• << 37 ミニラさん ご指摘ありがとうございます☺ 感想ｽﾚを立てさせていただきました🙇

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>> 30 もうヤバイです😆 特に 俺はお前の下の毛を… の下りがツボにハマりすぎ涙流しちゃいました💦💦💦 感想スレ立てましょー… みみりんさん
ありがとうございます☺
感想ｽﾚたてさせていただきました✨
これからも彼女クオリティを楽しんでやって下さい❤笑

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>> 31 私は実際にうつ病で苦しんでいるものです。 2レス目までは病気をバカにしていて病気を受け入れない内容だと苦しくなりました。 でも彼女、うつ… 匿名さん
ありがとうございます☺
本当に苦しんでおられるうつ病の方となんちゃって鬱は全く違いますよね💧
若い子は何かしらの病気でいたい人が多いのか
｢あたし鬱だわ｡
絶対鬱だわ｡｣
と勝手に鬱宣言をする方が結構いましてそういう方々をなんちゃって鬱と表現しています🙇

彼女は人格障害なのかは分かりませんが自己申告では鬱です(笑)

ネタバレになってしまうので書けませんがいまだに付き合わなくてはならない状況です😱

笑いを提供してくれるのでいいかななんて思っていますが(￣∀￣)

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>> 32 お気に入りに登録させていただきますた。更新期待してまつ🙇 通りすがりの名無しさん

お気に入り登録ありがとうございます☺
優しい目で見てやって下さい✨

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>> 33 主さん以外のレスが入ると大変読みにくいので、感想スレを立ててはいただけませんか❓ ミニラさん
ご指摘ありがとうございます☺
感想ｽﾚを立てさせていただきました🙇

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～心中します～

とメールが来ました｡
いきなりです｡
いつも通り昼間です｡

かなり怖い｡
彼女だけならいつもの事で済ませられるが兄貴が相手だとマズイ｡
前科があるからである｡

『誰と？』

これだけ送り様子を伺う事にした｡

『誰と？
一人ですよ？』

一人かよ｡
それ心中じゃないよ｡

『それは心中ではなく自殺ではないかい？』

『あっ間違えた｡
自殺です｡』

なんか和んでしまった｡
まさかの天然発覚｡

『どうやって自殺するの？
刃物？』

『悩んでます｡
刃物は痛そうですよね｡』

君は毎日してるじゃないか｡
痛いだろうけども｡

『痛いだろうね｡』

『ですよねー｡
オーソドックスなのは首吊りですかね？』

『多分めちゃくちゃ苦しいよね｡』

『ですよねー｡』

なんだこのやり取り｡
ほのぼのしすぎだろ｡

『やめといたら？
多分何しても痛いし苦しいよ｡』

『ですね｡
リスカにしときます｡』

『そうしたまえ｡』

何かおかしくね？と思いながらも自殺を止められた事に納得しつつ携帯を置く｡

しかしまだ終わっていなかった｡

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またまたメール受信｡

『自殺って保険金入りますっけ？』

『分からん｡
でもテレビで入らないっぽい事を言ってた気がする｡』

『他殺は？』

『入ると思う｡
けど殺人事件に巻き込まれた事ないから分からん｡』

『💡じゃあ妹さんが私を殺して保険金を手に入れるってどうですか？』

どうですか？じゃねーよ｡
何ひらめいてんだ｡
びっくりするわ｡

『やだ｡
殺人とか怖い｡』

『えー｡
刃物でサクッとして一角千金ですよ｡』

『まず受取人が私って時点で確実に私が疑われるし｡
私でも私を疑うし｡』

『あっそっか｡』

『てか無職なのに保険入ってるんだね｡
私高くてやめたもん｡』

『入ってませんよ｡
入ってから決行しようと思ってました｡』

加入直後に殺害…｡
確実にバレる｡
むしろもう少し上手くやれとアドバイスしたくなる｡

『そっか｡』

『でも心中って究極の愛って感じで憧れますよね｡
やっぱり心中にしようかな｡』

怖いよ｡
もうこの子の事が分からない｡

『兄貴とはやめときなよ｡』

『なんでですか？』

『多分彼女さんが死んだの見て怖くなって逃げ出すタイプだから｡』

『あーなるほど｡
ムカつきますね｡』

『だよね｡』

今のところ心中の気配はないので説得は成功したようだ｡
彼女は自殺よりも少女漫画の主人公のような､もしくは携帯小説(恋空)のようなキラッキラした恋愛がしたいのだと知った瞬間である｡
まさにスウィーツ(笑)

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～修羅場～

『彼女が浮気しとった｡』

｢…へぇー｡
びっくりだね｡｣

早朝から兄貴の電話で叩き起こされたと思ったらこれである｡
5股とか言ってたな～｡
どれがバレたんだろー｡

などと思案していたら兄貴に怒鳴られた｡

『彼女がお前も知ってるって言ってんだけど!!
2人して俺を騙してたんだろ!!』

あいつ私を売りやがったのか｡

｢知らんがな｡
もしそうだとしても兄貴が浮気しよーとか言ってんのを彼女さんに言わないのと何が変わんないの？
逐一彼女さんに報告した方が良かったんか？｣

そう言うと兄貴は黙り込んでしまった｡
電話で無言ってなんだよ｡

｢てか何で浮気してると思ったわけ？｣

『携帯取り上げられてるって言ってたのに今日携帯からメール来てアドレス見て分かった｡』

なるほど｡
彼女ふぉーえばーらぶ△△の事ですね分かります｡
馬鹿だろ｡
彼女馬鹿すぎるだろ｡

｢で？
どうすんの？｣

『昼に話し合いするからお前も来て｡』

｢やだ｡
なんでそんな修羅場に行かなきゃならんのさ｡｣

『お前何か知ってんだろ｡
彼女が嘘ついてたら教えてほしい｡』

なんだその役目｡
一番恨まれる役じゃないか｡

｢やだ｡
絶対やだ｡
てか私アドレスは知ってたけど詳しい事は全く知らんし無理｡｣

こう断りながらも兄貴の前科を思い出し悩む｡
また鬱が悪化し自殺未遂をされてはたまった物じゃない｡

『頼むよ｡
1000円やるから｡』

｢のった｡｣

こうして修羅場に行く事が決まったのである｡

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開催地であるファミレスに到着｡

もちろん彼女は1時間の遅刻｡
兄貴は貧乏揺すりが止まらない｡
子どもは癇癪起こして赤ちゃんボーロをばらまく｡
既に後悔でいっぱいだ｡

彼女が到着した時にはファミレスでの開催は無理だとの判断に至り開催地変更が決まった｡
新しい開催地は妹宅｡
つまり我が家である｡

夕方には終わるかな～｡
帰ってくれるかな～｡
晩御飯何にしよっかな～｡
と車の中では余計な事を考え後部座席から漏れてくるブラックな雰囲気には気付かないようにした｡
バックミュージックのアンパンマンマーチが明らかに場違いで良い感じだ｡
こんな状況でもすやすやと寝られる我が子が羨ましい｡

我が家につきリビングに集合｡
窓は閉めたしご近所さんへの配慮は出来たはずだ｡

私が椅子に腰掛けると彼女がいきなり泣き出した｡
すげーよ｡
君の演技力半端ねぇ｡

｢あっ…あたしっ､怖くて…｡ｸﾞｽｯ｣

｢怖いって何が？
怒られるのが？｣

冷たく聞く兄貴｡
泣き落としは兄貴には効果がなかったらしい｡

彼女も分かったのか泣くのをやめた｡
切り替えが早い｡

｢違うの…｡
あたし､実は脅されてて…｡｣

｢誰に？｣

｢…ストーカー｡｣

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彼女の手にかかれば彼氏も立派なストーカーだ｡
さすがに馬鹿な兄貴でもこんな嘘信じるわけ

｢ストーカー!?
まじかよ!!
何で言わないんだよ!!｣

信じたよ｡
やっぱりお前馬鹿だろ｡

｢脅されてたの…｡
言ったら殺すって…｡
お前の彼氏も殺すって…｡
あたし…〇〇(兄貴)に危ない目にあって欲しくなかったの…｡｣

｢馬鹿じゃねーの!!
そんなストーカー野郎に俺が負けるかよ!!｣

馬鹿はお前だけどな｡

｢だって…｡
毎朝変な手紙が届くんだよ…｡
あたしどんどん怖くなっちゃって…｡｣

そう言って彼女が一枚の紙を鞄から出した｡
見てみると
『早く一緒に暮らそうね
君に付きまとってる男は僕が殺してあげる
僕を裏切ったら君を殺す』
と新聞を一文字ずつ切り取って張り付けた文章が書かれていた｡
テレビの犯行予告でよく使われているあれである｡
朝届いたはずなのにノリが乾いてないせいで紙が湿っているのが気になるが黙っておこう｡
これを作っていて遅刻したに違いない｡

｢…よし｡
これを警察に持って行こう｡
家にある分も一緒に｡
指紋かなんか出るかもしれない｡｣

兄貴がそう言って立ち上がった｡
彼女の顔が青ざめていく｡

そりゃそうだよね｡
君の指紋がべったり出てきちゃうもんね｡
困るよね｡

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｢まっ待って!!｣

彼女が兄貴の腕にしがみつく｡
目が泳いでるぞ彼女｡
頑張れ彼女｡

｢えっと…今は刺激しない方が良いと思う｡
怒って何かしてきたら怖いし……｡｣

｢でもほっといてエスカレートしたらどうすんだよ｡｣

兄貴もたまにはまともな事を言うじゃないか｡

｢大丈夫｡
これ以上酷くなったら〇〇にちゃんとこれからは言うし｡
〇〇は守ってくれるでしょ？｣

珍しく饒舌な彼女｡
普段からそのテンションで喋ってくれたらいいのに｡
君の電話の声聞こえないんだ｡

｢…当たり前だろ｡｣

彼女を抱き締める兄貴｡
こんな茶番に巻き込まれた私はどうすればいいのか｡

｢妹さん､怖いからそれ捨ててもらえますか？｣

証拠隠滅を謀る彼女｡
これで警察には行けない｡
兄貴が嘘だと気付く日も来ないだろう｡
あっても気付かないであろうが｡

そして2人がリビングでイチャつき出したので寝室で寝ている我が子の元へ移動する私｡
負けじと抱き締めると嫌がり蹴られた｡
なかなか凹む｡

｢なぁ妹｡｣

いつの間にか着いてきていた2人｡
何故家の中でまで手を繋いでいるのだろう｡
身内のラブシーンなど見たくない｡

｢なに？｣

｢ラブホまで送ってくれない？｣

私はタクシーじゃない｡
本物のタクシーを呼んでやった｡
全く役に立たなかったせいか1000円は貰えなかった｡

自分でも今回私がいる意味が分からなかったので何も言うまい｡

後日談になるが彼女のアドレスが
彼女ふぉーえばーらぶ名前のｲﾆｼｬﾙに変わった｡
ｲﾆｼｬﾙは兄貴も浮気相手も一緒だったようだ｡

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～本物のストーカー～

旦那の友達が彼女の知人だと判明しました｡
旦那が彼女との対決を会社で話していた所
｢もしかしてその彼女って〇〇って名前？｣
と知人が言い出し発覚｡

いやぁ世間は狭い｡
田舎だから余計なのかもしれないが｡

しかもその知人､彼女とは過去色々あったようでして｡
面白がった旦那が我が家にご招待しました｡

ここからは知人目線になります｡
勝手に私もかなり付け足します｡


～高校時代～
高1の夏｡
部活にも入ってなかった自分は暇を持て余していた｡
友人は皆彼女といちゃついているらしい｡

どうせ夏休み終わる前に別れるだろう｡
リア充は爆発すればいいのに｡

ナンパでもして彼女作ろうか…。
いやでも外に出るのダルい｡
そうだ｡
サイトにしよう｡

そう思い立ち友人から良いサイトの情報を入手｡
とりあえずプロフィールを作成し様子を伺う｡
すぐに一通のメールが届いた｡

『初めまして｡
良かったら絡みませんか？』

それが彼女との出会いだった｡

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彼女はかなり積極的だった｡
すぐに会おうと言い出したのでこれは詐欺だと思い引き延ばしたりした｡

だって会ったらどこで遊びたい？って聞いたら､ラブホって返ってくるんだもの｡
怪しすぎるもの｡
ヤっちゃった後に怖いお兄さん出てきたら嫌だもの｡

しかし性欲には勝てない高校男子｡
夏休みも後半に入った頃､とうとう会う事になった｡

あんなに疑っていたのに当日はお洒落に決めてみた｡
わざわざピアスまで開けてしまった｡
凄まじい性欲のなせる技である｡

そして待ち合わせ場所へ｡
のび太君がいるよ｡
ちょっとガッカリ｡

しかしチェリーボーイじゃなくなる事を思えば関係なかった。
大人になるのだ｡
子どもの自分に別れを告げるのだ｡

そして彼女の希望ですぐにホテルへ｡
先にシャワーを浴びる彼女｡
そわそわしながら待つ自分｡

彼女がバスタオル1枚で出てきた｡
テンションは最高潮｡

しかしそれも一瞬の出来事だった｡
彼女の肩から手首にかけて無数にあるリスカの跡に気付き固まる｡
分身も一気に凹んでしまった｡

｢あっ…気付いちゃいました？｣

妙に嬉しそうに聞く彼女｡
俺が頷くと傷を触りながら言った｡

｢色々あって…。
引いちゃいますよね？｣

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そんな風に聞かれて
｢はい｡
ドン引きしました｡｣
なんて言えるだろうか？
俺には無理だ｡

傷を見ないようにしてベッドin｡
いよいよミニ俺が大人になろうという瞬間がきた｡
焦りつつも丁寧にミニ俺に戦闘服を着せてやる｡

｢あっ､生でして｡｣

｢えっ､子ども出来たらマズイでしょ｡｣

そう答えると彼女はうっとりとしながら言った｡

｢いいの｡
あたし子ども欲しい｡
中に出して｡｣

その瞬間一気に怖くなってしまった俺｡
ミニ俺も震え上がってしまい戦闘不能に｡

結局続行不能となってしまい帰る事になった｡
彼女は不満げだったがこればかりは仕方がない｡

ここから恐怖の日々が始まったのだった｡

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何だか生きてる世界が違うと感じたのでそれからは連絡をとるのをやめた｡
しばらくは彼女からメールが来ていたが1度開いたメールが
｢もうこんな世界嫌なんです｡
いきなりでビックリすると思いますが私を殺してくれませんか？｣
だったので怖くてそれからは読まずに捨てた｡
殺人とか怖い｡
無理無理無理無理無理。

無視して2週間位が過ぎた頃､学校から帰っていると以前待ち合わせした場所で偶然彼女と再会した｡
彼女も学校帰りなのか中学の制服を着ていた｡
俺は逃げようと足を速めた｡

｢あっお久しぶりです｡｣

逃走は失敗に終わった｡
諦めて足を止める｡

｢あー久しぶりー｡｣

｢どうしてメール返してくれないんですか？｣

何事もなかったように振る舞ったのに｡
いきなり核心ついてきたよ｡
だって怖いんだもん｡
君のメール開くのも怖いんだもん｡
第六感が関わるなって言うんだもん｡

｢いや…。
忙しくて…｡｣

｢ふーん｡｣

明らかに疑ってる｡
オブラートに包みすぎたからだろうか｡
しかし本音は言えまい｡
言ったら絶対傷付くもの｡
俺が｡
心じゃなく肉体が｡

｢なら仕方ないですね…｡
そういえば家ってこの近くなんですか？｣

｢うん｡｣

｢私もなんです｡
一緒に帰っていいですか？｣

断る事も出来ず2人で歩き出す｡
あの時の自分に助言が出来るなら心から言いたい｡

らめぇえええぇぇええ!!!
逃げてええぇぇえぇえぇ!!!!

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結局俺の家まで彼女は着いて来た｡
彼女の制服の中学の校区は反対方向だと途中で気付きそれとなく聞いたけど誤魔化された｡

｢じゃあ今度はメール返して下さいね｡｣

｢…時間があれば｡｣

その日はそれで別れた｡

次の日から何となくおかしかったんです｡
友達と帰る時にも､夜窓を開けた時にも､親に頼まれて買い物に行く時にも､塾の行き帰りにも､彼女がいるような気がしたんです｡
目の端に映ってハッとして確認するといない｡
頭がおかしくなったのかと思いました｡

きっと彼女が怖すぎて恐怖の余り幻覚が見えるようになったのだと｡
その時の俺はそう結論付ける事にしましたが｡

しかしまた2週間が過ぎた頃､今度は手紙が届いたのだ｡
『どうしてメール返してくれないんですか？
ずっと待ってるのに…｡
私の事嫌いになっちゃいましたか？』

後ろでおかんがニヤニヤしてるがそんな良い物じゃない｡
恐らくラブレターだと思ってるのだろう｡
…俺が分からないだけで実はこれはラブレターなのか？
嫌だ｡
人生初のラブレターがこんなのなんて嫌だ｡
俺の理想は
『〇〇先輩の事ずっと好きでした❤
良かったら付き合って下さい(≧人≦)』
みたいな感じのを可愛い後輩に顔を真っ赤にしながら渡される事だ｡
俺は認めない｡
おかんには悪いがこれは断じてラブレターではない｡

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とりあえず久々にパソコンを付けてみる｡
メールボックスを開くと大量に溜まっていて何だか一瞬で疲れた｡

するとすぐにメールがまた届いた｡
手紙の件もあり一応メールを開く｡

『まだ家にいますよね？
手紙読んでくれましたか？
返事待ってます｡』

…まだ､だと？
背中に氷をぶっかけられた気分だった｡
確かに今日はこの後塾がある｡
しかし彼女に塾に行っているなんて言った事なんてない｡
急いで他のメールも開いていく｡

『今から塾ですよね｡
頑張って下さい｡
返事待ってます｡』

『おかえりなさい｡
お疲れさまでした｡
返事待ってry』

『家にいますよね？
返事ry』

『やっぱりいるじゃないですか｡
返ry』

怖いよぉおおおおぉぉぉお!!!
やっぱりって何!?
見に来てたの!?
あの視線やっぱり君だったの!?

チビりそうになりながらメールを全部棄てる｡
そしてアドレスを変えてちょっと落ち着いた｡
お茶でも飲もう｡


それから毎日手紙が届くようになったが読まずに棄てた｡
だって怖いんだもん｡

放って置けばいつか諦めると思っていた｡
しかしとうとう彼女は強行突破に出たのである｡

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手紙の破棄を始めて1週間後｡
学校帰りに彼女が校門の前に立っていた｡
彼女より先に彼女を見付けた俺は固まってしまう｡
視力だけは良くて助かった｡

彼女は通る男子の顔をじっくり見て確認しているようだった｡
間違いなく俺を探してる｡

友人に事情を説明して裏門から帰る事にした｡
学校から脱出すると後は猛ダッシュ｡
辺りに注意しつつ家に駆け込み鍵を掛け一応チェーンも掛けておく｡
これで安心だ｡

しかし買い物から帰って来たおかんに
｢母親を追い出すとは良い度胸だ…｡｣
とケンカを売られる結果となかってしまったが｡

そして夕飯時｡
彼女との最後の決戦が幕を開けたのだ｡

晩飯を食べているとチャイムがなった｡

｢こんな時間に誰かしら…？｣
と母親が出ていきすぐにニヤニヤしながら戻って来た｡

｢あんたにお客さんよ❤
お･ん･な･の･こ❤｣

誰か分かった俺は追い返してくれと頼むが母親には通用しない｡
渋々玄関に行くと案の定彼女が立っていた｡

｢…何？｣

｢なんでメール返してくれないんですか？｣

｢言ったじゃん｡
忙しいって｡｣

｢…手紙も読んでくれなかったんですか？｣

｢読んだよ？｣

彼女がキッと顔を上げた｡

｢読んでない!!!!｣

そう言って彼女は鞄から大量の紙の束を出して俺に突きつけた｡
それは棄てたはずの手紙の束だった｡

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