メリーさん

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2011/08/31 07:31(更新日時)

メリーさんの本名は中山唯。
高校二年生。
この世にやり残した事がある唯は、「メリーさん」という役職をしながら、滞在時間を稼ぐ日々…。
しかし、メリーさんは物腰が柔らかすぎて、誰も怖がってはくれない。
そんな中で出会った男の子と、トイレの花子さんの力を借りて自分を殺した犯人を探す。
そこで見えてきた真実とは……。





※コピぺ

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No.1641544 (スレ作成日時)

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No.251

自転車に乗り、自宅を目指す。
荷台に乗っているメリーさんは僕の腰に手を回していた。
二人の間に会話はなかったが、自然と気まずいといった事は無かった。


沈黙が心地よい。


そんな空気を味わいながら、気が付けば家は目の前だった。


僕はメリーさんに送っていこうかと聞いたが、
大丈夫ですと笑顔で返されたので、ここで別れる事にする。

No.252

お馴染みとなった、それじゃあ、また明日の挨拶を交わし、それぞれの家へと帰った。

家の中へ入ると、台所のテーブルの上にラップされた夕食が用意されていた。
母親はもう寝てしまったのだろう。

No.253

どんなに疲れて帰ってきても、夕食の用意は、必ずしてくれる母。
僕は心の中で感謝をし、夕食を食べる。
食器を洗い、食器棚へと戻してから、自分の部屋へ向かった。


部屋着に着替えていると携帯が鳴る。
確認すると浩平からのメールだった。


『まかされた100枚、確かに貼ったぞ\(^0^)/』

No.254

ちょっと顔文字にイラッと来たが、素直にありがとう。助かった。と返信した。


今日は正直、今週でいちばん疲れた。
風呂に入って早めに寝る事にしよう。


貼り紙で何らかのアクションがあればいいのだが……
そう願い、11日の夜は更けていった。
残りは10日。時間は無い。

No.255

翌朝、起きて台所へ向かうと朝食だけが用意されており、
母親の姿はなかった。

「ああ、今日は木曜日か……」

何年も前から母は、木曜日の早朝から出掛け、泊まりがけで仕事をする。金曜の夕方まで帰ってこない。

冷めた朝食を食べ、学校に行く準備をする。

No.256

昨日の後遺症だろうか、肩が少し凝っている。
コリを感じながら、制服に袖を通し、玄関へと向かった。

玄関のドアを開け、鍵を閉めて植木鉢の下へと隠す。


バス停へ向かう中、着信があった。
メリーさんからだ。

No.257

おそらく、後ろに居るんだろうなと一瞬振り返ろうとしたが、前にそれでスネられた事があるのを思い出し、
電話に出る事にした。


「もしもし、私メリーさんですが。
今、あなたの後ろにいます」


相変わらずおかしなセリフだよなと思いながら、振り返ろうとしたが、
ちょっと僕の心にイタズラ心が芽生えた。

No.258

「おはよう、昨日はよく眠れた?」


「えっ?あっはい、おかげ様で」


振り返らないという、メリーさんの存在意義を全否定するような行動に出る。

世間話で間を持たせ、僕は決して振り返らない。
僕の後でてくてくと足音が聞こえる。

No.259

バス停に着いた所で、メリーさんの声が涙声になっていた。

「お願いですから、振り向いて下さい」


これ以上やったら本当に泣いてしまいそうだったので、僕は観念して振り向いた。

そこには半べそをかいているメリーさんがいた。


「いじわる…」


む。しまったやり過ぎた。


メリーさんは本格的にスネ始めた。

No.260

僕はどうにかしようとあの手この手を使い、
結局は放課後にクレープを奢る事で和解した。

イタズラはほどほどに。

そんなやり取りをしていると、定刻通りにバスが来た。


「今日は乗ってくの?」
メリーさんにそう聞いた。

No.261

「そうします、でも…無賃乗車じゃ……」


と、お金の心配をしていた。
どこまでも律儀な子だった。
まぁ、それがメリーさんのいい所なのだが。


バスへ乗り込むといつものように一番後ろの席へ。
案の定、一人で五人分の席を占領する浩平の元へ。


「おはよう、昨日はありがとな」

「やぁ、いいって事よ。お前の頼みだ。いつでも手を貸そう」

No.262

そう、さわやかに言いのける浩平。

「あの…この方が浩平さん?」


メリーさんが耳元で話しかける。
当たる息がくすぐったい。
僕以外に声は聞こえないのだから、ヒソヒソ話の意味はないのだが、
うん、そうだよ。と小声で言う

No.263

怪訝そうな顔で浩平がこちらを見ている。
突然、メリーさんが言った。


「初めまして!私メリーと申します。
この度は協力していただいて、ありがとうございました!」



深々と頭を下げる。
無論、聞こえるはずはないのだが、この子の律儀さときたら。

No.264

と、浩平が見えるはずの無いメリーさんの方を見ている。


「まさかとは思うが、そこに誰かいるのか?」


一瞬、僕は心臓が跳ね上がり、メリーさんは頭を上げ、目をパチクリさせている。

No.265

「信じてもらえないかもしれないけど…いる。
ありがとうだってさ」


僕は包み隠さずそう言った。

「ふむ、お前がいると言うならいるのだろう」


そう言うとバス中に響き渡る声で浩平は言った。

No.266

「俺は浩平!こいつの友達ならば、俺にとっても友達だ、何か協力する事があったら言ってくれ!」


バスの乗客全員が、浩平の方を見ている。
メリーさんはポカンとした顔をしていたが、

「はい!」

と言って、もう一度、深々と頭を下げた。


浩平。こいつは一体何者なんだろうか。


浩平がすごいのか、メリーさんの熱意が伝わったのかは分からないが、僕は少し嬉しくなった。

No.267

五人用の席を三人で占領し、いつも通りの浩平のニュースの話と
世界の車窓からの話を聞きながら、学校へと向かった。

No.268

バス停に着いてからも話は続いた。
意外だったのがメリーさんが、世界の車窓からのファンだった事。

浩平の話に興味津々だった。
時折、メリーさんが合いの手を入れるが


聞こえるはずが無い。無いはずなのだが。


話が噛み合っている。
どこまでも恐ろしい男、浩平。


僕はまたもや蚊帳の外だったのだが。

No.269

メリーさんの楽しそうな顔を見れただけでよかった。
でも少し嫉妬。
僕も世界の車窓からを見ようかな。
そんな事を考えながら、学校へ歩いて行った。


下駄箱付近でメリーさんと別れる。
まぁ、また散策か花子さんと談笑なのだろう。
浩平と教室に着いた時には遅刻寸前だった。

No.270

席に着いた瞬間、担任が入って来て、SHRを始める。
今日のSHRはいつもより、更に短かった。
出席だけ取って終わり。
別にいいが。
そして一時間目が始まる。


僕は読みかけの昨日の本の続きを読む事にした。
主人公に自分の姿を重ね合わせて、読み進める。


やはりなかなか面白い本だ。


気が付くと、本の残りも授業時間も残りわずかだった。

No.271

昼休みとなり、僕は読書をやめ、恒例のカレーパンタイムへと移る。
どんなに遅く食べても、五分でなくなるのが欠点だが、今日もおいしくいただいた。


トイレへ行こうかと思ったが、連日トイレへ入り浸っているという噂が流れたら、友達が減りそうだ。

No.272

どうせ、掃除で行かなければならないので、後回しにする事にした。

僕は本を手に取り、残り三分の一を消化する事にした。

物語もいよいよ終盤。
主人公がどう動くのかが見ものだ。

No.273

掃除開始のチャイムが鳴る。
いい所なのにと、しぶしぶトイレへ向かう。
この調子なら六時間目まで読めば終わるだろう。
早く続きが読みたいが、読んでしまえば物語が終わる。
少し悲しい。


トイレのドアを開くと花子さん、今日はメリーさんもいた。

No.274

「よぉ!」
「どうも」

なんだか機嫌が良さそうだ。

「まぁ、あらかたメリーに聞いたが、その貼り紙作戦とやらは上手くいきそうか?」

「確証はないけど、少しでもアクションがあれば。僕はそれを見逃さない」


おうおう、頼もしいね~と花子さんがニヤニヤしながら言う。
僕は馬鹿にされているんだろうか。

No.275

「まぁ、気が向いたら私も手伝ってやる」

と、花子さんは言った。
なんだろう、さっきからやけに機嫌がいい。
どうかしたのだろうか。


「小学生に頼るほど困っちゃいないよ」
「20だ!」
トイレットペーパーが飛んできた。

No.276

根本的な部分はいつもの花子さんらしい。
いや、トイレットペーパーなら軽い方か。
やっぱり今日の花子さんはどこか優しい。


「よく分からない…けど、最後まで協力するってか」
かはははは、と花子さんは笑う。


このせいか!
なんだか無性に恥ずかしくなってきた。
というか、メリーさんちょっと口が軽いんじゃないか?

No.277

メリーさんの方を見ると、白々しく窓から外を見ていた。
僕、いじられっぱなし。

その後もいじられっぱなしだった。
メリーさんに助けを求めたが、相変わらず外を見ている。

No.278

僕が恥ずかしさで死にそうになっていると、いつもの予鈴。
掃除終了のチャイムに救われた僕。
さっさとトイレを後にする事にした。

ドアを開いたとき、花子さんは言った。



「協力してやるのは本当だ。どうしても困ったら呼べよ」



僕は手を上げるだけのジェスチャーで答えた。

No.279

放課後まであと少し。
後でメリーさんに文句言ってやる。

メリーさんをトイレに置き去りにして、教室へと向かう。
授業が始まるが、当然、僕は本を読む。
残り少ない物語を読み進むために。

ゆっくりと僕は時間をかけ、読み終えた。
その物語を。

No.280

マジかよ…と、読み終わった僕の胸にはわだかまりが残った。
結局、この本の主人公は幼なじみの女の子を救えなかった。
更に言うと、最後の一押しを押したのは主人公自身だった。

自分の姿を重ね合わせて読んでいたので、正直精神的ダメージは大きかった。

まるでこれからを暗示しているような。

No.281

だが、この本の物語は終わったが、僕は続いている。

僕はこの主人公のようにはならないと心に誓った。

No.282

放課後になり、いつものように校門へ向かう。


下校していく生徒達に混ざって校門の隅に、メリーさんが立っていた。


メリーさんは僕に気付き、気まずそうな顔をしている。
僕はメリーさんの元へと近づき、言った。


「話があります」
「はい…」


メリーさんはしょんぼりと素直に聞き入れた。

No.283

「とりあえず言い訳は?」

「え、えっと…そ、そう!朝のお返しです!
全然、振り向いてくれなかったじゃないですか!」


しどろもどろにメリーさんは言った。


「じゃあクレープはなしで、これでおあいこって事で」

「…ごめんなさい、言い訳しません」



メリーさんの中では怒られる事より、クレープが食べられない事のほうが一大事らしい。

No.284

そんな素直なメリーさんを見ていたら、おかしくて笑ってしまった。
そんな僕をメリーさんはきょとんとした顔で見ている。


他にも下校途中の生徒がこちらを白い目で見ていたが、最近じゃもう気にしなくなった。


「まぁいいや、クレープ食べに行こう」

きょとんとした顔が笑顔に変わる。

No.285

「はい!」
そう、元気よく返事をするメリーさん。

僕達は繁華街へと歩き始めた。
貼り紙というタネは蒔いた。


だが、犯人探しはメリーさんの果たせなかった事ではない。



果たせなかった事は別にある。
今日は、初めて出会った時に言っていた、断片的な記憶の中で出てきた場所に行ってみる。

No.286

この位置から行けば、川、神社、クレープ屋、屋上の順番だろうか。
曖昧な所もあるが、そこはメリーさんに案内してもらう事にしよう。

最初に川に行く事にする。

この街を流れている川は一級河川で、なかなかに広い。


とりあえず、川が見える所までメリーさんと行ってみた。

No.287

流れる川を眺めていると、メリーさんは言った。


「知ってますか?この川って結構綺麗で、夏になれば蛍も見れるんですよ」

「へぇ、それは知らなかった」



長年、この街に住んでいるが初めて得た情報だった。
この川周辺に蛍の光が無数に飛んでいるのを想像する。

No.288

「あのさ」

「はい?」

「いやごめん、何でもない」



蛍を一緒に見に行こう。



そう言いかけたが、やめた。
蛍が飛んでいるのを想像した時、隣にはメリーさんがいた。

叶うはずもないのに。

No.289

でも、願う事ぐらいしてもいいだろう?
僕は誰となく話しかけた。
ここに手がかりはなさそうだ。


気を取り直し、次の場所へと向かう事にした。
神社
と言っても漠然としていて、この街で一番大きな神社かと思ったが、メリーさんが言うには違うらしい。

No.290

メリーさんに案内されるがまま、僕は街外れへと向かった。
そこには、細く長い階段。
その先にはさびれた境内があった。


「ここ?」
「そうです」


そう一言言ってメリーさんはずんずんと階段を上っていった。
僕も後を追う。

No.291

小さな森の中にいるような気分だった。
木々が太陽の光を遮り、薄暗かったが、なぜだか不気味な感じはしない。

No.292

階段を上りきると、小さな神社があった。
小さいが、厳かな雰囲気があった。


無神派な僕でさえ、神様がいるような気分になる。


この神社に用があるのかと思ったが、そうではないらしい。

少し先の木製のベンチに、メリーさんは座って手招きをしている。
近づいていくとポンポンと、ベンチの空いてる部分を叩く。

No.293

隣に座れとの事らしい。
とりあえず、座ってみた。


「ここは、私が思い悩んだりした時によく来てたんです。
目を閉じると結構気持ちいいんですよ」


まぁ、そのまま寝ちゃう事が多かったんですがとメリーさんが笑う。
僕は目を閉じてみる。

No.294

辺りが静寂に包まれ、車の騒音などは一切聞こえない。
木々の葉が擦れる音だけが聞こえる。

そして、涼しい風がどこからか吹いてきて、僕の頭を透明にする。


月並みだが、清々しい気持ちになれた。
確かにここはいい場所だな。
僕も思い悩んだら、ここへ来よう。

No.295

目を開けると隣でメリーさんが目を閉じていた。
僕も、もう一度、目を閉じる。
二人の間を駆ける風が心地良かった。


結局、ここにも手掛かりはなかった。


僕達は、繁華街の中にある公園前へと向かう。
次はメリーさん待望のクレープ屋だ。


このクレープ屋は移動式で、街の人間なら誰もが知ってるほど有名。

No.296

僕が中一の頃に出来た老舗だ。
今日も女子高生達で賑わっている。

メリーさんに何味がいいか聞くと、スタンダードなストロベリー味を所望した。
僕は新発売のパイン味を食べてみる事にした。


正直、男一人でクレープ屋に並ぶのは恥ずかしかった。
クレープ屋のおっちゃんが何故かおまけして、クリームもソースも多めに付けてくれた事が気になるが、まぁいいか。

No.297

どこで食べようかと悩んでいたが、メリーさんの提案で、最後の屋上で食べる事にした。


クレープを持ったまま、メリーさんの学校へと向かう。
この屋上とは、メリーさんの学校の屋上らしい。


中からは入れないが、外の非常階段から行けば入れるという秘密を教えてもらい、
その通りに行くと本当に屋上に入れた。

No.298

ここで何をするのかメリーさんに聞いたが、
先にクレープを食べてかららしい。

僕はメリーさんにストロベリー味を手渡し、座って給水塔へと寄りかかった。


「いただきます!」
と、行儀良く、食べる前の感謝を忘れない。
口にクリームをいっぱい付けて、メリーさんはクレープを食べ始めた。

No.299

正直言って行儀は悪いが、その笑顔を見たら誰が責められるだろう。


僕は普段あまり甘い物は食べないのだが、これはうまい。
角切りのパインがいい味を出していた。


ふと、気が付くとメリーさんははむはむと自分のクレープを食べながら、僕のクレープへと目が釘付けだった。

No.300

言いたい事は分かる。


「…ちょっと食べる?」
「いいんですか?」

待ってましたと言わんばかりに、大きく一口、クレープ全体で言うと三割を穫っていった。


もぐもぐとメリーさんは満面の笑みで、おいしいを表現していた。

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