メリーさん

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2011/08/31 07:31(更新日時)

メリーさんの本名は中山唯。
高校二年生。
この世にやり残した事がある唯は、「メリーさん」という役職をしながら、滞在時間を稼ぐ日々…。
しかし、メリーさんは物腰が柔らかすぎて、誰も怖がってはくれない。
そんな中で出会った男の子と、トイレの花子さんの力を借りて自分を殺した犯人を探す。
そこで見えてきた真実とは……。





※コピぺ

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No.1641544 (スレ作成日時)

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No.201

僕にパソコンをいじれる技術などがあれば、もしかしたら調べられたかもしれないが、
僕はパソコンも何も持っていない。


特にこれといって秀でるものが無い僕が思いついたのは、これしかなかった。

No.202

さっそく僕は準備に取りかかった。

メリーさんが目を覚ました。

どうしてこんなところで寝ているんだろう。
あれからどれだけの時間が過ぎたのだろうか。
どうにも記憶が混乱する。

と、机に向かい一心不乱に作業する背中。

No.203

僕に声をかけた。

「何…してるんですか?」

「おはよう、ちょっとね、古典的だけどこれしか思いつなくて。」

僕は作りかけだが、メリーさんにそれを見せる。

No.204

4月26日、O市西区交差点付近で発生したひき逃げ死亡事故への情報を求めています。
目撃された車の特徴は、
白いスポーツカー
外車
である事が分かっています。

No.205

心当たりや見た事がある方は、下記の電話番号まで情報提供をお願い致します。

××××ー××ー××××



と、書かれたA5の紙。
中心には目立つように交差点の絵。

No.206

おもしろいです
今後が楽しみです!

No.207

僕が悩んだ末に思いついたのはそれは貼り紙を作る事だった。


「私のために……
で、でもこれで本当に情報を得られるんですか?」


確かにそうだろう。というか、これで電話がかかってくればラッキーと言った感じだ。
本当の狙いは犯人にカマをかける事。

No.208

本当に白のスポーツカーの外車だったのなら
これほど犯人にとってのプレッシャーは無いだろう。
焦らせて、尻尾を見せるのを待つ。

しかしこれも賭けと言った感じだ。
白の外車じゃなければ逆に犯人に、まだ捕まらないと言う自信を持たせてしまうかもしれない。
下手をすれば捜査妨害で警察の厄介になるかもしれない。

No.209

リスクは大きいが、僕一人が出来る事と言えば
これしかなかった。

出来上がった貼り紙をコピーするために一階へと降りる。
母親の書斎にあるコピー機を使わせてもらうためだ。

No.210

出版社に勤めている母は多忙な人で、たまに僕にも手伝えと仕事をまかされる時がある。
機械オンチな僕だけど、コピーの仕方だけはマスターしている。


とりあえず200枚に設定し、カシャンカシャンと出てくる、重大な使命を背負った貼り紙をしばし見つめていた。
印刷が終わり、刷り上がった貼り紙を持つとズシリと重かった。

No.211

二階へと戻るとメリーさんは体育座りで、物思いにふけっていた。
とりあえず机を挟み、正面に座る。

どうしたのだろうかと考えていると、メリーさんが体育座りのまま、伏せ見がちで聞いてきた。


「あの…私がベットに寝ているときに
なんていうか…何かしました?」

No.212

少しメリーさんの顔が赤い。
つられて僕も赤くなる。

「な、何もしてないよ?
本当に」

「そうですか…」
と、なぜか期待を裏切られた子供のような顔を見せるメリーさん。

No.213

え、何この反応。
何かしなきゃいけなかったのか?
たまにメリーさんがおかしくなる事はあるが、今回は重症だった。


気まずい空気が流れる。
もしかして、何かしても良かったのだろうか。
衝撃的にタイムマシンが欲しくなった。


二人とも会話のないまま、時間だけが過ぎてゆく。

No.214

カチコチと時計の針がうるさい。
と、いいのか悪いのか、ガチャリと玄関のドアが開く音がした。
いろいろやっているうちに親が帰ってくる時間になっていた。

No.215

「あ、お母さん帰ってきたんですね。
きょ、今日はこの辺でおいとまさせて頂きます」

「そ、そうだね、それじゃまた明日」


そそくさとメリーさんが窓から出て行く。

ふぅ…とタメ息をついた。

No.216

明日は恐らく貼り紙を街中に貼るだけで、1日を使いきってしまうだろう。
いや、自分で刷っておいてなんだが、200枚という数を全部、貼り切る自信はない。
だが、これしかないのだ。
明日は忙しくなりそうだ。

No.217

夕食を取り、風呂に入りと、日々の日課をこなす。
明日に備え、早めに寝ることにした。
ベットに入ると、このベットで
メリーさんが寝ていたことを思い出した。
心なしかいい香りがして、僕はドキドキした。


そしてゆっくりと僕は眠りに落ちていった。
期限は残り11日。

No.218

いつも通り目が覚める。
顔を洗い用意された朝食を食べ制服に着替える。

今日は、自転車で登校するので早めに家を出る事にした。

朝から日差しが強く、夏が近いことを感じさせる。


と、背中に妙な違和感を感じた。
シャンプーをしている時に後ろが気になるような。

No.219

振り向くとやはり、メリーさんが乗っていた。


「ばぁ!」


と、メリーさんはジェスチャー付きで驚かせてくる。


「おはよう」
「あっおはようございます…」


同じ事は二度は通用しない。
メリーさんは学校に着くまでいじけていた。

No.220

僕だってこれ以上、かっこ悪いところを見せる訳にはいかないのだ。


駐輪場に自転車をとめ、カゴからいつもより重いバックを持ち、教室へと向かった。

教室の前でメリーさんと別れる。
また花子さんの所へ行くらしい。
また後でと言って、メリーさんは行ってしまった。

No.221

教室に入るとめずらしく、浩平が先に席に着いていた。


「おはよう」


「やぁおはよう。今日はバスではなかったのだな」


まぁね、と言って席へ着く。
「…ん?おまえ忙しそうだな。疲れが顔に見える」

さすが長く一緒だったせいか、浩平には分かってしまうようだ

No.222

「ちょっと厄介事がね」

幽霊と一緒にひき逃げ犯を探してるなんて言えない。
言ったところで、信じてはもらえないだろう。


「ふむ…厄介事か。
俺に手伝える事はあるか?
お前には色々と借りがある。
あるのなら力になるぞ」

No.223

借りとは、浩平が好きな女の子の仲介人に僕がなっただけなのだが、
二人が見事つき合うようになってからは、何かと借りを返すといって
色々、手伝ってくれるようになった。


義理堅い奴なのだ、こいつは。

No.224

僕は迷ったが協力者は欲しかった。

浩平なら信頼出来ると信じ、事情を話す事にした。


「ほう…惚れた女が、ひき逃げされたとは…難儀だな。
それで俺は何をすればいい」


僕はバックから昨日刷った、200枚のうちの半分を、浩平へと手渡した。

No.225

「これを街中に貼って欲しいんだ」

「心得た、お安い御用だ、こんな事」


浩平は快く引き受けてくれた。
100枚なら今日中に何とか終わりそうだ。

やはり話してよかった。
ありがとう、そう言った時に教室に担任が入ってきた。

No.226

僕は担任が好きじゃないが、短いSHPは好きだ。
いつものように早く終わった。


トイレに行こうかと思ったが、おそらく今は花子さんとメリーさんの談笑中だろう。
そんな中で事を済ます勇気は、僕には無い。


そんな事を考えていると、浩平が、ちょっとトイレにと席を立った。

No.227

ああ、ごめんよ浩平。
花子さんだけでなく、メリーさんにまで…。
何も言えない僕は薄情者なんだろうか。

No.228

退屈な時間を四時間こなし、やっと昼休みとなった。
メリーさんの姿は見えない。
まだ花子さんと話しているのだろうか。

とりあえず昼飯を片付けようとカレーパンをかじる。


やばい、本当に最近メリーさんの事しか考えてないな。


食べ終わるとガムを一つ噛んで匂い消し。
僕はトイレへと向かった。

No.229

トイレへ入るといつものバケツの上という指定席で、タバコを吸っている花子さん。


「メリーならいないぞ」


心を読まれたのか、いつもの含み笑いで僕が聞く前にそう言った。

No.230

そこまで僕は単純なんだろうか。
ちょっと悔しい。

「おまえ、メリーの事好きなんだろ」

にやにやといじめっ子のような顔で聞いてくる。

No.231

「な!?」

思わぬ攻撃にひるむ僕。
メリーさんは確かに可愛いし、性格だって悪くない。


僕はメリーさんの事が好きなんだろうか。


「…好きかどうかは分からないけど、メリーさんは大切だよ」

そう、だから犯人を見つけ出し。
メリーさんの果たせなかった事を、果たしてあげなければいけない。

No.232

そう考えた時、当たり前の事に気がついた。


全てが終わった時、メリーさんはいなくなる。


忘れていたわけじゃないが、改めて考えると僕はとても胸が苦しくなった。

No.233

最初はにやにやしていた花子さんも、僕の真剣な顔を見て、いつものしかめっ面へと戻った。


やれやれ、青臭いと花子さんは言い、携帯灰皿へとタバコを収めた。


この場にいても花子さんにいじられるだけだ。
メリーさんを探しに行こうかと思ったが、
なんだか自分がストーカー染みている気がしたので、やめておく事にした。


僕は中途半端な時間の昼休みを図書館で過ごす事にした。

No.234

図書館のドアは開いているので開館なのだろう。

中へ入り、浩平に声をかけようとしたが、何やら本を読んでいたので、邪魔しちゃ悪いと声はかけなかった。
僕も読書でもしてみようかと、文庫本のコーナーへと足を運ぶ。


気になったタイトルを取り出しあらすじを読んでは戻すといった事を繰り返すうちに
一つの本に出会った。

No.235

内容は、幼なじみの女の子が幽霊が見えるようになってしまい少しずつ日常から外れた行動をして行ってしまう、といった内容だった。

No.236

幽霊、という単語に反応した僕は、席に着いてその本を読み始めた。


なかなか面白く、時間を忘れて読みふけっていた。
清掃開始の時間が迫ったので、思いきって借りる事にした。


借りる時に浩平が、お前が本を借りるとは云々言ったいたが、軽く流す。

No.237

借りた本を教室へ置き、清掃場所へと向かった。

トイレへ入ると、花子さんとメリーさんが談笑していた。
メリーさんがこちらを向き、会釈する。
一方、花子さんはまた来やがったのかと不機嫌そうな目で僕を見る。

No.238

僕が近づくと、待て、と花子さんが僕を制止した。

「おまえ、ここの当番になってから掃除してないだろ。
私の職場なんだ、ちったあ綺麗にしろ」


なんとなく腹が立つが、言っている事は正しい。
それが僕の役割なのだ。

僕はデッキブラシで床を擦る。
メリーさんと花子さんはまた談笑を始めた。
僕はすっかり蚊帳の外。ちょっと寂しかった。

No.239

結局、掃除終了まで一言も喋らず、掃除を黙々とこなした。
これも花子さんの策略なのだろうか。

メリーさんにまた放課後にと告げ、トイレを出る。


後、二時間頑張ろう。
そうは決めたものの、いざ授業が始まると、暇で暇で仕方がなかった。

No.240

そういえば、と図書室で借りた本を読む事にした。

この主人公は日常から外れていく幼なじみをどう助けるのだろうか。

それなりにわくわくしながら、六時間目終了までずっと読みふけっていた。

No.241

授業が終わり、チャイムが鳴る。
みんなが帰り支度をする中、浩平に声をかけた。

「それじゃあ僕は西区に、浩平は東区に頼む。
徒歩で大丈夫か?」

「まかされた、いざとなれば家の者に手伝わそう」

ありがとう、そう言い残して僕は先に校門へと向かった。

No.242

駐輪所へ自転車を取りに行くとメリーさんがすでに荷台へ腰掛けていた。


メリーさんは僕に気が付くと、
あ、すみませんと言って荷台からピョンっと飛び降りた。


別に乗ってていいのにと言いながら僕は鍵を外す。
校門の所まで自転車を押して行き、そこから自転車にまたがる。

No.243

メリーさんに後ろに乗るように言った。
メリーさんが後ろに乗ると、存在感はあるのにやはり重さは感じなかった。

物が持てるのにどうなっているんだろうと思ったが、今更気にしていたらキリがないので、スルーした。

そして僕は漕ぎ始める。行き先は西区。
100枚の貼り紙を持って。

No.244

「今日中に200枚、貼れますかね?」


後ろからメリーさんが聞いてくる。
僕はペダルを漕ぎ続けながら答える。


「僕のクラスに浩平って奴がいてね、半分の100枚を貼ってくれる事になったんだよ」


「浩平…さんですか」

No.245

そういえば、メリーさんは浩平に会った事がないのか。


顔は見てるかもしれないが、名前と顔は一致しないだろう。
僕は、浩平との思い出話を少し始める事にした。


中学からの友達で、最初はおかしな奴だと思っていたが、いつの間にか仲良くなっていた。



なかなか正義感の強い人間で、何かと協力してくれる。
浩平がケーキ屋を鎮圧した話をするとメリーさんはクスクスと笑った。

No.246

「おもしろい方ですね、それにいい人」


「ああ、いい奴だよ」


そんな話をしているうちに、西区へ入っていた。

そろそろ、貼り出そうかと自転車を降りる。
バックから一枚と、家から持参したセロハンテープを取り出す。

No.247

まず、町の掲示板に貼る事にした。
テープで端の四箇所をとめる。


次は電信柱の卑猥な広告の上から、被せるように貼った。



この一枚一枚が犯人への手がかりであり、僕達の希望だった。



貼る事より、貼る場所を探し回るほうが時間がかかった。

良かった、200枚なんてとてもじゃないが貼り切れなかっただろう。

60枚を過ぎた時点で、日が傾き始めた。
僕も疲れてきたが、隣でメリーさんが申し訳なさそうな顔をしていたので、
心配させちゃいけないと平然と振る舞っていた。

No.248

「どうして、私の為にそこまでしてくれるんですか…?」


うつむいていたメリーさんは顔を上げ、そう言った。
余裕の顔をしていたつもりだが疲れが顔に出ていたのだろうか。
僕は手を休めず、貼り続けながら答える。


「分からない」
「分からない?」

No.249

気が付けば、今もこうしてメリーさんに協力している。
手伝う事が当たり前だと思っている僕さえいる。


花子さんの言う通り、メリーさんの事が好きなのだろうか。
本当によく分からないのだ。



「よく分からない…けど、最後まで協力する」
僕は言い切った。

No.250

「本当に…おかしな人ですね」

後ろで言うメリーさんの声が震えているように聞こえた。
そして最後の一枚を貼り終えた時には、もう、辺りは真っ暗だった。
時計を確認すると8時を回っていた。

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