秘密―②
秘密―②
『秘密』の続きです
初めてご覧になる方は『秘密』からお読みください🍀
『秘密』500レス
応援して下さっている皆様に
『感謝』🙈💧
キキ🙈🎵
新しいレスの受付は終了しました
- 投稿制限
- スレ作成ユーザーのみ投稿可
本社の中に入り研修の受付を済ませた
『こちらの会議室でお待ち下さい』
案内された部屋の入り口には、本部社員と思われる中年男性が立っていた
「どうぞ中にお入りください。席は自由です」
中には10名ほどの『研修生』が来ていた
私は入り口から近い一番後ろの席に座る
会議室には厚みのある絨毯がひかれ…防音壁なのだろう…全ての音が吸収され異様な空間だった
…息苦しい
身動きせず…目だけキョロキョロ
『初級研修』と言っても経験年数や年齢に制限はない
研修に来る事が出来るタイミングはそれぞれの会社で異なる
ただし…順番に研修を終えていかなければ、幹部が受けるような『上級コース』には進めない
ざっと見たところ…やっぱり歳上ばかり
既に『店長』として働いている人が『初級研修』を受けるのも決して珍しくない
…私の隣に座ったこの彼も…後から『店長』だと言う事を知る
彼が私の隣に座り10分程経った頃
「山村サキさん…どこから来たの?」
小声で彼が話しかけてきた
…何で名前を!?しかもフルネーム…あっ、名札か
警戒心たっぷりの私に笑顔を向ける彼の左胸には『佐野オサム』の名札
私は自分の出身地を言い
「佐野オサムさんはどちらからですか?」
と返す
「大阪」
へぇ~…大阪
皆がみんな『関西弁』じゃないんだ…
妙な話だが軽くカルチャーショック
「では時間になりましたので始めます。研修生起立」
若い社員の号令で皆が席を立った
背の高い佐野さんと私は、後ろの席でも目立ってしまっている気がした
「皆さんこんにちは」
そう挨拶したのは会議室の後ろにいた中年男性だった
「皆さんの研修を担当します…トレーナーの風間礼徳です。宜しくお願いします」
張りのある良く通る声
暫く風間さんの話が続き
「では、一人ずつ自己紹介をしてください。どうぞ」
「…」
「……」
「………」
えっ…誰からでしょう?
誰も指名をされず静まりかえる会議室
防音壁のお陰で耳が詰まる…
風間さんは壇上から品定めするように…ゆっくり『研修生』を見渡す
恐いっ…!
目が…目が恐いっ
スッと私の隣で動く気配がした
「私から宜しいでしょうか?」
佐野さんが手を挙げていた
皆が一斉に振り向く
…私まで
目立ってしまうじゃないっ
「どうぞお願いします」
風間さんは壇上から降りた
佐野さんは研修生の間を颯爽と歩き、脇にいる風間さんに一礼すると壇上に上がった
「大阪岸和田駅前店から参りました。佐野オサムと申します。年齢は28歳、独身。経験年数は丸10年になります…今年やっと研修に出してもらう事が出来ました。厳しいこの研修に向けて、私が取り組んで来た事があります…それは標準語です…出来は如何でしょうか?」
会場から笑いが起こった
「冗談はこのへんで…忙しい店を店長不在のままスタッフに任せて来ています。その分しっかり勉強して帰ります。宜しくお願い致します」
会場は拍手に包まれた
…かっこいいっ
この後に話す人はプレッシャーかかるよねぇ
「佐野君、君のオーナー…良く研修に出す気になったね」
風間さんは笑っている
「ケチもいい加減にしてくれと…土下座しました」
再び笑いに包まれる
「さて…次の自己紹介は誰がしてくれますか…どんどんいかないと日が暮れますよ」
………………
この後はやりにくいだろう…
「風間トレーナー、終わった人間が次の方を指名してはどうでしょうか?」
佐野さんの提案
「トップバッターをやった佐野君に権限をあげましょう…どうぞ指名してください」
お願いっ…神様!
私の気配を消してっ
「では…佐野オサムのムで…村中康介さんお願いします」
ほっ…
「はい」
村中康介さんも佐野さんと同じように『店長』だった
「弊社の社長は幸いな事に…ケチではありませんので、気持ち良く研修に送り出してくれました。その変わり…新店ですのでまだまだ何かと手がかかる店に一度戻る為に、貴重な休みを使います…また無事に戻って来られるよう皆さん一緒に祈ってください」
…そしてまた笑い
店長さん方…何故にハードルを上げるっ!?
こうして…二人に上げられたハードルを無理矢理飛び越えたり蹴り倒したり…無視したりしながら自己紹介は進んで行った
私は人前で冗談が言えるような人間ではないので、ハードルを『無視』する選択をし、そつなく自己紹介を済ませた
「…山村さん、加藤君はお元気ですか?」
「はい」
ふっ…と笑う風間さん
…今、鼻で笑いましたか…?
「加藤君に宜しくお伝えください」
「…分かりました」
これからの二週間…
風間トレーナーの指導のもと…かなり濃い時間を過ごす
年齢も経験も出身地もバラバラな16人の研修生を引っ張っていくのはこの二人…
『佐野と村中』
女の子…女性は6人だった
私が一番年下
一番上は30歳の麗子さん
もの静かで柔らかな印象を与える彼女は研修中、皆の『お姉さん』になった
女性陣が泊まるのは本社から歩いて行ける距離のホテル
それぞれ個室が与えられる
『女性同士の行き来は自由ですが、男性を部屋に入れるのは禁止します』
案内してくれた女性社員に説明を受ける
「堅いこと言うね」
そう耳打ちしてきたのは23歳の梨華さん
…研修なんだから当たり前でしょうよ
それぞれ部屋に戻り明日からの研修に備える
ベッドに横になると疲れと一日の緊張が取れた事で…
ウトウトしてしまった
はっ…と目が覚め、慌てて時計を確認する
…マズイ19時過ぎてるっ
部屋にある電話から本店事務所に電話を入れた
もう誰もいないかな
『着いたら連絡するように』
加藤さんからの言い付け
プルルッ…
「はい、株式会社野田です」
早っ…
ワンコールにも満たないうちに加藤さんが電話を取った
「…お疲れ様です…山村です」
「おぅ…随分遅い連絡だな。初日ってそんなに時間がかかったかな」
「すみません…無事に着きましたので」
不機嫌だわ…加藤さん
「疲れたろ?」
「はい、今日はもう休みます」
「…って言うかお前…今まで寝てたろ?」
……お見通し
話題変更
「トレーナーは風間さんでした加藤部長に宜しくとの事です」
「………」
「…もしもし?」
「アイツ…まだ初級コースにいたか」
へっ!?
「加藤部長…お知り合いですか?」
「…俺も初級の時は風間がトレーナーだったからな」
「そうですか…」
何となく…嫌な予感が…する
「山村、先に謝っておく…すまん」
「はい!?」
「とにかく二週間耐えろ。大丈夫、お前ならやれる」
そう励まされ電話を切られた
プーッ…プーッ…プーッ…
これは…
初級研修でトラブってますね加藤さん
数多くいるトレーナーの中で見事『風間さん』を引いてしまったのも何かの『縁』だろう…
ポジティブに考えて
寝た…
「やっぱり…初級は初級だな」
「まぁ、仕方がないよね。受けておかないと後々面倒だから」
「残り10日…店が心配」
「ホテルに帰ったらまず店に電話だろ?俺も一緒だよ」
………………
「…あの、良かったら席を変わりましょうか…?」
私を挟んだ状態で話をするのは『佐野と村中』
さっきから私の頭の上を二人の声が行き来している
この3日間はとにかく色んな『基本』の講座が続いている
『店長クラス』の二人からすると、無駄な時間のようだ…
「ごめん、ごめん勉強の邪魔したね」
村中さん
「…サキは、この世界に入って一年半って言ってたよな…初級が調度良いくらいかぁ…」
私のノートを覗き込むのは佐野さん
…ふん、ほざいてろ
3日で既に『グループ』のようなものが出来ていた
同じくらいの『レベル』同士でつるんでいる
…私は基本的に群れるのが苦手
この二人は、一番年下の私が仲間に入れてもらえてない…とでも思っているのだろうか…
この3日間、わざわざ私を挟んで席を陣取る
「…店に帰ったらこの研修をアレンジしようと思ってるから」
ん…?
とお互いの顔を見る佐野さんと村中さん
「サキちゃんは店でどんな立場なの?」
「ただのヒラ社員です」
「…アレンジしてどうするのよ?」
「研修に来れないパートさん達に教えます」
「ふ~ん…」
と、二人
正直に言うと…私もこの二人と同じ気持ちで3日が過ぎた
この一年半で自分がどれくらい仕事を叩き込まれてきたのか…良く解った
でも、時間は無駄には出来ない
何となく過ごす事も出来そうだけど…
私には私の帰りを待っている人達がいる
やっぱりそれなりの
『お土産』は必要だろう
「本日の研修は地下のキッチンに移動して頂きます」
4日目にして初めて会議室を出る
何が始まるのか知らされないまま、私達は地下へ移動した
「凄い…」
誰からともなく声が出る
案内された地下には見慣れた『お店』があった
キッチンもカウンターもレジも客席も…丸ごと用意されていた
「では今から製造のテストを行います。このテストに合格しなければ、明日から始まるロールプレイには参加出来ません」
サブトレーナーが説明をした
「3日間、基本をしましたから大丈夫でしょう?…これが合格出来ないと言う事は…研修続行不能と言う事です。宜しくお願いします」
風間トレーナーの厳しい声にしんとする私達
「ではテストを受ける順番を伝えます。順番を待つ方は隣の部屋に移転してください」
私は2グループ目
梨華さんと村中さん、そして石川さんと言う38歳の男性と一緒だった
「…製造って作ればいいんだよね」
石川さんが不安そうな顔をしている
「いつも通りやれば大丈夫ですよ」
村中さんが優しく言葉をかけた
「…わざわざグループ分けしたって事は…グループ全員が合格しないと先に進めないとか?」
甲高い声で梨華さんが言う
「…もしそうならすみません…僕まだ三ヶ月しか経験がないんです…」
……………
「製造に入った事くらいありますよね?」
村中さんが確認する
「…ありますけど…殆ど深夜勤だったのでメンテナンスが主で…」
梨華さんが大きなため息をついた
「石川さん、今から少し復習しておきましょうか?」
私は石川さんと向かい合って座り、講義の時にとっておいたノートを広げた
「慌てなくて良いのでゆっくり答えてみてください」
製造のテストと言っても…全ての物を作る事はないだろう
私は『ヤマ』をはった
「今から私が言うバーガーの製造順を下から言ってみてください」
私は5種類のハンバーガーの名前を言った
石川さんは目を瞑りたどたどしく答える
「正解。合ってます…実はこの5種類が他のバーガーの基本になってるんです。これが解っていれば、後は法則通り足したり引いたりするだけですから」
私はオープン研修で大迫さんから教わった『法則』を説明した
「なるほど…今まで気付かなかった」
石川さんの顔が明るくなった
「…後は正しいg数を目で計れるか…です」
こればかりは場数をこなすしかない
「…頑張ります」
石川さんの声はまた沈んでしまった
2グループ目の私達が呼ばれたのは約1時間後だった
『ヤマ』は的中
看板商品とフライもの、一番シンプルなバーガーを作る事になった
それぞれトレーナーの前で無言で作る
『テイクアウト用にパックしてください』
トレーナーからの指示通りパックをする
トレーナーは一度パックされた物を再度開け『中身の状態』を確認していた
力加減を間違うと開けた時に中身が飛び出していたり、バンズが潰れてしまっていたりと…意外と難しいのが『パック』
「次は指示されたバーガーの材料のg数を、一度で計りきってください」
風間トレーナーの声に…私の隣に立っていた石川さんが頭を垂れた
それぞれ薄い紙を渡された
一人ずつ指定されたバーガーの、マヨネーズやケチャップ、マスタードや玉葱などを紙の上に乗せて計っていく
村中さんはリズミカルに身体を動かし、迷う事なく紙を計りに乗せていった
「次は石川君」
…頑張れっ
心の中で祈る
石川さんはゆっくり…一度スプーンですくった玉葱を足したり減らしたり『微調整』しながら一つのバーガーの材料を計り終えた
梨華さんも…緊張しているのだろう
明らかに間違った量のマヨネーズを計りに置いてしまった
似たような名前のバーガーでも、材料のg数が微妙に違うものがある…
それぞれの計りの数字をメモし終えた風間さんが、無言でバーガーと私達を交互に見ている
「村山君と山村さんは隣の部屋へ」
石川さんと梨華さんは…そのままキッチンに残された
村中さんと隣の部屋に行くと、1グループ目の4人全員が揃っていた
「あれっ…他の2人は?」
佐野さんが村中さんを見る
「うん…」
村中さんはそれ以上何も言わなかった
「サキは合格出来たんだ」
と、佐野さん
…年齢と経験年数でよほど出来が悪いと思われてるのか…
「サキちゃん、さっき石川さんに説明してた内容だけど…うちの新人さんにも使いたいから教えてくれるかな?」
村中さんがそう間に入ってきた
「えっ?何の話し?」
すかさず佐野さんが食いつく
私は石川さんに話したバーガー製造の『法則』を二人にもう一度説明する事になった
…この日のこの出来事が『佐野と村中』の中で私の『位置』を変える事になった
製造のテストに一回で合格したのは16人中11人…
そのままキッチンに残された5人は…合格するまで居残りだった
ホテルの隣の部屋にいる梨華さんは、研修終わりから1時間後に帰って来た
自販機の前で鉢合わせする…
「お疲れ様です」
「お疲れ様。マジで疲れたわ…風間ムカつく」
「あはは…」
…私は笑うしかない
「『あなた方は本社の名を借りて、こんな偽物バーガーでお客様からお金を取ってるんですか?』だってぇ…マジでムカつく」
…あはは…
「…石川さん、もしかしたらもたないかもね…」
梨華さんが静かに言った
次の日の『ロールプレイ』を石川さんは欠席した…
「石川さんはどうされたんですか?」
「病欠」
変わらず私を挟んで座っている『佐野と村中』が声を揃える
「…全てのカリキュラムを終了しないと研修修了にはならないわよね」
麗子さんが心配そうに言う
麗子さんは群れない私に気が付いているのか…さりげない程よい距離を保ってくれている
「1日くらい研修が延びたって石川さんも大丈夫でしょ」
佐野さんがあっけらかんとした口調で言った
「佐野君、村中君ちょっといいかね」
風間さんが二人を呼んだ
…何だろう
「山村さん、もし良かったらお休みの日は皆で出掛けない?」
優しい笑顔で麗子さんが言った
その次の日の朝は石川さんに加え『佐野と村中』の姿もなかった…
「佐野兄達まで来なくなったの!?」
梨華さんは、あの『居残り』が余程悔しかったのだろう…
あの日以来、休憩中もテキストを見ながら勉強をしている
他に居残りを受けた人達もやっぱり梨華さんと同じだった
「サキちゃんは、なんか余裕って感じだよね」
テキストを持って私の隣に梨華さんが移動して来た
「そんな事ないですよ」
「まだこの仕事一年半でしょう?…私とそんなに変わらないのにさぁ。この差はなんなのよぉ」
『ロールプレイ』でも数々の指摘を受けた梨華さんは、同じくらいの『経験年数』の私に興味を持ったみたいだ
「研修の成績って会社に送られるからさぁ…頑張らないと」
梨華さんはまた勉強を始めた
3人が来たのは午前中の講義が終わって直ぐだった
「…君達は無断で講義を欠席しています…このまま店に帰りますか?」
無表情の風間さんの声に会議室はしんとなった…
「風間トレーナー、申し訳ございません」
そう言って頭を下げたのは佐野さんだった
「…理由は聴きましょう」
3人を会議室の前に立たせたまま、風間さんは空いている席に着いた
「…僕がいけなかったんです」
石川さんが下を向いたまま答えた
「石川君、どう言う意味ですか?」
風間さんが聞き返す
「…今朝…僕は皆に黙って帰ろうとしました。それを部屋の前にいた二人に止められました…」
「状況説明の連絡をすべきでした。申し訳ありません。でも石川さんはこうやって戻って来ました…研修を続けさせて頂けませんでしょうか?」
佐野さんがそう言うと
「お願いします」
と、村中さんが頭を深く下げた
「…石川君、二人はこう言っていますが君の気持ちはどうなんですか?」
石川さんは頭を下げている二人に挟まれじっと立っている
「石川さん頑張りなよ」
誰かが声をかけた
「そうだよ、頑張って」
また誰かの声…
「……皆が…そう言うなら…続けます」
…んっ?
私はその返答に疑問を持った
疑問と言うより…正直不服だった
「石川君はこう言っていますが…大事な休憩時間をさいて三人に付き合っている他の皆さんはどう思いますか?」
風間さんは椅子から立ち上がり、他の13人を見渡した
「私はこのまま研修を受けさせてあげたいです」
梨華さんが口を開いた
「皆で頑張って修了しようよ」
三人の傍に座っていた人が涙声で言った
風間さんは腕を組んだまま静かに頷いている
私達をゆっくり見渡す風間さんと目が合った
「山村さん、貴女はどう思いますか?」
…う~ん…
「…私は今の石川さんの言葉では納得がいきません」
正直に答えた
「納得がいかないと言うと?」
風間さんの眉間にシワが寄った
「人に言われて『続けます』と言うのが納得いきません…石川さんご自身の意志なのか判断しかねます。人に言われてここに残る事が本当に石川さんの為になるのか…現に一度は帰ろうとしました。ご自身で決めないと、また繰り返す可能性があります」
私の言葉に会議室はしんとなった
風間さんが小さく溜め息をついたのが解った
「…どうして今、それを君が言うかなぁ」
…えっ!?
私…何かマズイ事でも言いました?
「それは…私も同感です」
佐野さんだった
佐野さんが続けた
「私と村中さんは帰ろうとする石川さんを説得しました…時間はかかりましたが彼の口から『行きます』と言う言葉が出たのでここに来た次第です。私は研修に対する彼の意志が固まったと思っていました…それを、心配していた皆さんに伝えてくれると期待していたのですが…」
石川さんは下を向いている
「…解りました。石川君については個人面談をします…来てください」
風間さんは石川さんを見る事なく会議室を出た
石川さんは小走りに後を追って行った
あちこちでヒソヒソと声がする
私は風間さんに言われた言葉の『意味』を考えていた…
「サキ、結構クールなんだな」
「ホントだよ。あの状況であれだけ言えるなんて…驚いた」
『佐野と村中』が笑っていた
風間さんが石川さんに対してどんな『魔法の言葉』をかけたのか解らない…
それから彼は真剣に研修に取り組んだ
『佐野と村中』は石川さんの補習に自ら志願して付き合った
石川さんが『病欠』した日…二人は風間さんから、石川さんの様子に気をつけておくように言われていたらしい…
私の事を『冷たい』と言う人がいた…何を言われても、私は自分の考えを曲げるつもりはなかった
だから気にしない…でも…
「サキが言った事が冷たいとは思わないけど…結局は自分次第だろ?」
佐野さんが他の皆に聞こえるように言ってくれた
「はい、山村さん答えて」
…また私ですか…
この時以来、風間さんから確実に目をつけられた…
『先に謝っておく』
加藤さんの言葉を思い出す
…もしかしたら
私が『野田組』と言う時点でそれは決まっていたのかも知れない…
研修も後は現場実習を残すのみとなった…
明日はやっときた休み
「俺は今夜から店に戻って…明日は17時には戻って来れると思う」
「じゃぁ、夕飯外で食おう。分かりやすくハチ公前で」
『佐野と村中』が明日の休みの計画を立てていた
「サキはどうするの?」
「…私は特に何も」
麗子さんに誘われて返事をしないままだった
石川さんの一件からますます遠ざかった『女性陣』…
仕方がないかな…と思う
感情よりも理性が先に働く私はクール過ぎて…やっぱり可愛げがないらしい
「サキ、明日ここの前に16時」
「へっ!?」
「へっ?じゃないよ…一人じゃハチ公まで行けないだろ?」
…何故に私まで一緒に
あっ!…でもでも
『ハチ公』は見たい
会ってみたいっ!
……おぅッ…これが…我が同志…『ハチ公』
佐野さんに連れられ渋谷『ハチ公前』にやってきた
感激………
「…恥ずかしいからペタペタ触るなよ」
佐野さんに言われ、慌てて手を引っ込めた
写真が撮りたかったけど…我慢した
たくさんの人と時間が流れていく中、今もここでじっと…ご主人様の帰りをひたすら信じて疑わない『ハチ公』…
「そんなに見たかったの?」
「はい」
「…もしかしてカメラなんか持ってる?」
笑い転げながら佐野さんが写真を撮ってくれた
「何にしようか?」
ニコニコ笑いながら私の前の席でメニューを開いてみせる…麗子さん
「適当に頼んでよ」
佐野さんがタバコに火をつけた
「康介君はビールで良い?」
「うん」
……
村中さんと一緒に現れた麗子さん
可愛らしい笑顔で村中さんを見ている
「…麗子さんがそんなに珍しい?」
隣に座っている佐野さんが笑う
「いえ…」
私は不思議な空気の二人から目をそらした
そんな私に気が付いたのか村中さんが口を開いた
「俺と麗子さん、同じ会社なんだ」
「そうだったんですか」
なるほど納得
「で…この二人、実は恋人同士なの」
佐野さんの言葉に私はテーブルのグラスをひっくり返した…
「秘密なんだけどね」
麗子さんが小さく笑った
麗子さんは村中さんが勤める会社の一人娘
社長である『お父さん』には二人の交際をまだ宣言していないらしい
「麗子さんが研修に行きたいって言い出して…俺はお目付け役で一緒に出されたんだ。社長に言ってない手前、複雑な心境だけどね」
村中さんが苦笑いしている
「帰ったらさっさと言えよ…麗子さんもそんなに若くないだろ?」
佐野さんがニヤリと笑う
「まずは新店を成功させて…認めてもらわなきゃなぁ。相手はお嬢様だから」
村中さんがチラッと麗子さんを見た
麗子さんは『えへへ』と可愛らしい笑顔を見せている
「はいはい、ごちそうさま…乾杯しようぜ」
佐野さんが音頭をとった
「山村さんは…少し年上の人とお付き合いしてるでしょう?」
麗子さんから言われた
「ホントそんな感じ」
村中さんが頷く
「…なんかヤバい付き合いでもしてたりして」
佐野さんが私の顔を覗き込んだ
「ヤバいって?」
私はとぼける
「まっ、人生イロイロだから頑張れ」
佐野さんが意味深に言った
…研修に来て初めて館山さんの事を思い出し、随分とこの環境に『集中』していた自分に気付く
帰ったら…自分の研修報告、川崎さんの研修確認…やる事が山積みだ
明日はちょっと事務所に電話を入れてみよう
『こっちの事は何も心配しなくていい。とにかくちゃんと帰って来い』
事務所に電話をした時の加藤さん…
何となく…声が疲れてる気がした
3日間の現場実習は指定された直営店に一人で入り、その名の通り『現場』で指導を受ける
私が指定されたのは、全国でも『最高の接客』で名の知れた店だった
3日間の実習が終了すると指導者である店長からトレーナー宛に『評価』が送られる
その評価と最終日の筆記、個人面談の総合点で『研修修了』が決定される
「やっと終わった…今日で全てが決まるねぇ…」
筆記試験を終えた梨華さんが言った
「梨華ちゃんは頑張ってたから大丈夫でしょ」
佐野さんが励ます
「では名前を呼ばれた方から面談室にお入りください」
風間さんの声に、皆が緊張した表情を見せた
…私は一番最後に呼ばれるようだ
面談が終わった人は、そのまま別室に移動しているようで誰もこの部屋には戻って来ない
「…サキはずっとこの仕事を続ける?」
部屋に残っているのは佐野さんと私
「はい、好きですから」
私の言葉を聞いて佐野さんが微笑んだ
「エリアは違うけどどっちの店が全国区になるか…勝負だからな」
佐野さんが私の前に手を出す
「受けてたちます」
私はその手を握り返した
「佐野オサムさん、どうぞ」
トレーナーに呼ばれる
「ほな行ってくるわ」
佐野さんが初めて『関西弁』を喋った
「山村サキさん、お待たせしました」
えっ!?早っ…
佐野さんが面談室に入って10分も経っていない…
優秀な人には…何も言う事はないって事か
「失礼致します」
一礼して顔をあげると風間さんが腕を組んで座っている
「どうぞお座りください」
テーブルを挟んだ前の椅子をゆっくり引き腰かけた
「では最終面談を始めます」
「宜しくお願い致します」
風間さんはファイルを開き、一人で頷いたり首を傾げたりしている
…お~い風間さん
「…まずは出ている結果から伝えます」
「はい」
「筆記ですが…貴女一人だけ満点でした。現場実習でも…あの店で、これだけ高い評価がつくのは珍しいです…良く頑張りましたね」
「ありがとうございます」
『ありがとうございます』
とは言ったものの…
何故に貴方は…そんなに不満そうな顔をして話す!?
ふと風間さんが顔を上げた
「…嬉しくないの?」
「嬉しいです」
「………」
「…………」
パタンとファイルを閉じた風間さんの口から驚きの一言…
「私はね、本当は君に修了証書を渡したくないんだよ」
…はぁ!?
「何故でしょうか?」
ホントだ…筆記も現場実習も問題ないんですよねっっ
「君…まだ20歳だよね。君のこれからが僕は凄く心配」
風間さんが困ったような…でも優しい複雑な表情を見せた
「…私自身に問題があるって事ですか?」
私の言葉に風間さんが小さく溜め息をついた
「…君は加藤君に育てられてるね?」
「はい」
「やっぱりそうかぁ…」
風間さんは頭の後ろで手を組み、何かを思い出すように暫く黙った
「加藤君の初級研修のトレーナーは僕だったの」
…聞いております
「加藤と私の研修が何か関係があるのでしょうか?」
こうなったらズバリ聞く
「君達二人そっくり」
「はぁ…」
としか言い様がない
「知ってるか分からないけど…実は彼の時も修了をストップしようとしたんだ…優秀だったけどね」
「…どうしてですか?」
「うちのブランドを扱うにはクール過ぎて」
…ん?意味が解らないです風間さん
「僕達初級研修のトレーナーは、本社の理念や様々な基本、この仕事の素晴らしさを教えるのが役目なんだけど…彼はそれを飛び越えて『幹部』並みの感覚で研修を受けてた」
…解る気がする
「物事には『順序』があってね、それを時間がかかっても順番に終えていく『意味』があるんだよ」
「はい」
「加藤君にそれを教えられなかった僕にも責任はある…この二週間、君を見ていてそれを再確認したよ」
…だから研修をやり直す…とでも?
「…私は帰れないのでしょうか?」
あははと風間さんが笑った
「お返ししますよ。野田社長から文句を言われるのは懲りごりですから」
社長!
『研修修了の見送り』
を風間さんが加藤さんに告げた時…
『私には、そんな理由でここに足止めされる時間はありません』
と…加藤さんは言い放ったらしい…
仕方なく野田社長に連絡を入れたところ…
『加藤を帰さないことがうちの会社にどれだけの損害を出す事になるか、計算してから電話をかけ直せ』
と…怒鳴られたと言う事だ
「ご迷惑おかけしました」
それを聴いた私は思わず謝った
「…野田社長のところで働くにはそのくらいのクールさがないと無理なのかもね」
風間さんが笑った
「私には私の帰りを待っているスタッフがいます。ここで学んだ事は必ず…その大事なスタッフに伝えていきます」
私は風間さんに頭を下げた
『研修修了証書』
を私にくれた風間さんは
『まだ20歳なんだから、もっと色んな感情を表に出しなさい。無理をしてまわりの大人に合わせなくて良い。その時その時の年齢にしか感じる事の出来ない素直な感情を持つ事が、何年後かの君にプラスになっていくからね』
そう言って私を加藤さんの所に帰してくれた
こうして…
私にはまた一人…人生において大切な人が出来た
無事に16人全員の研修修了が決まり二週間お世話になった巨大な『本社』を後にする
16人が集まったロビーは、歓びや感動や仲間との別れの寂しさや…それぞれの色んな『感情』で溢れていた
「サキちゃん」
村中さんと麗子さんが来た
「お世話になりました」
私は挨拶をした
「こちらこそ、サキちゃんには色んな裏技を教えてもらえて良かった。お互い頑張ろうね」
村中さんと握手を交わす
「山村さん、私ね…貴女を見ていたらもう少し真剣に仕事がしてみたくなったの…また婚期が遠退きそうよ」
そう言って笑う麗子さんはやっぱり可愛かった
「お二人とも…お幸せに。仕事もお父さんの説得も頑張ってください」
「…山村さん」
後ろから声をかけられ振り返る
あの日以来、話す事がなかった石川さんだった…
「お疲れ様でした」
きちんと研修を全うした彼に敬意を込めて言った
「製造のテストの時は…ありがとう。一生懸命教えてくれた山村さんの気持ちをもう少しで無駄にするところだった」
「いいえ…修了出来たのは石川さんご自身の努力の結果です。これからも頑張ってください」
こうして石川さんとも握手を交わした
両手で握手をしながら石川さんは男泣きしていた…
遠くの方に、風間さんと話す梨華さんがキャッキャキャッキャ笑っているのが見える…
あれが…私にはない…本来の20代前半の『姿』なのだろう
私はその場で風間さんに向かって頭を下げ…ロビーを出た
「サキっ」
ホテルに向かって歩いていると急に後ろから腕を掴まれた
「…挨拶…ないん?」
息を切らせた佐野さんだった
「す…すみません」
…面談前の話で終わってたかと…思ってました
「いつ帰るん?」
「今夜の最終で」
「…そうなんや…最後に行けるやつらで飯でもって思ったんやけど…声かけようと思うたらサキ、帰ってるやん…」
佐野さんが話す『関西弁』が逆に不自然に感じて笑ってしまった
「…何笑うとるん」
「佐野さん、二週間…ありがとうございました。標準語の佐野さんも素敵でしたよ」
佐野さんの顔がみるみる真っ赤になった
「まだ時間あるやろ?ちょっと座ろか」
交差点の傍にある大きな樹の下のベンチに腰かけた
「あんなぁ…サキ。」
「…はい」
「もうちょっと自分を大事にせぇよ」
「……」
…何を突然
「俺はな…サキみたいなクールな女、好きやねん…せやけど、もっとまわりに甘えてもええと思う…」
研修中…ずっと傍にいた佐野さん
やっぱり心配していたんだ
「心配してくれてありがとう」
素直にお礼を言った
「店に帰って…ちゃんと助けてくれる人はおるんか?」
「いますよ。持ちつ持たれつだけど…」
私の言葉に佐野さんの顔がほころんだ
「そぉかぁ…それなら安心や」
…この人は本物の『店長』なんだ
「ついでにもう一つな」
「…サキみたいな女は男に気をつけた方がええ…」
「はぃ…?」
「彼氏…結婚してるんやないかぁ?」
佐野さんの顔は真剣だった
「…何でそんな事言うんですか?」
不意打ちで否定が出来なかった…
「…俺の前の女に似てるんや…サキは」
「………」
「今の話やないで…昔の話。離婚したし…その女とも別れてるからな」
「…どうしてそれを今、私に話すんですか?」
「俺もよぅわからんねん」
暫く二人で交差点を行き交う人達を見ていた…
「そろそろ私…行きます」
私はベンチから立ち上がった
「待って」
佐野さんは胸ポケットからペンを取り出し私の手を取る
「困った事があったら電話してきぃ」
私の左手の甲に携帯番号を書いた
「経験者やさかい…話くらい聴けるで」
「佐野さんって…変わった方ですね」
「…俺も放っておけばええのになぁ」
これが佐野さんとの別れだった
帰って来た私は翌日から出勤した
中番だったので先に本店事務所に寄る
「研修に行かせて下さりありがとうございました」
社長と加藤さんに修了の挨拶をする
「はい、お帰り。楽しかっただろ?サキちゃん、期待してるから頑張りなさいね」
野田社長は上機嫌だった
「お疲れ様…どうだった?」
野田社長が出掛けた後の加藤さん
私は研修での出来事や…風間さんとの最終面談のやり取りを話した
「あはは、やっぱり言われたか」
「こっちはあはは、じゃないですよ…帰れないかと思いましたっ」
「お前なら大丈夫だって俺は信じてたぞ」
………
「ところで山村。実は坂田副店長が入院しててなぁ」
「えっ!?」
「盲腸の手術でさぁ…今週末には退院出来そうなんだけど」
「そうですか…良かった」
「代わりに館山副店長が新店に行ってる。だから川崎さんは早めに本店に戻した」
「…分かりました」
今日は川崎さんは公休だった
「山村さん、研修お疲れ様でした」
柔らかな笑顔の益田店長に癒される
「こちらこそありがとうございました」
「後、川崎さんの事もお世話になりました」
益田店長が頭を下げた
「いいえ。私に出来た事は…ほんの僅かでした」
『あのな…川崎さんのマネージャーの件だけど…後は俺に任せてくれないか?』
ついさっき…加藤さんに言われたばかり
元々、私に『決定権』があった訳ではないので
『解りました』
と返事をした
…何かあったのかなぁ
とは思ったものの、歯切れの悪い加藤さんをつつく気にもなれず…
加藤さんが決めるのに、そんなに時間はかからないだろう…
そう思い事務所を後にした
「お帰りなさい」
笹岡さんの元気な声で迎えられ『帰って来た』事を実感する
「留守の間ありがとうございました。これ、お土産」
「ありがとうございます。山村さんが無事に帰って来てくれたら…それだけで良かったのにぃ」
笹岡さんがニヤリと笑う
「早速、今日からビシビシいきますからねっ」
「覚悟してまぁす」
…笹岡さんに留守の間の事をそれとなく聞いてみる
『坂田副店長が入院したぐらいで…他には特に問題はなかったですよ。川崎さんも頑張ってたし…』
…う~ん…
って事は…加藤さんの中だけで何かが引っかかってるのか
夕方になり館山さんと鈴木さんが出勤して来た…
「帰りました。留守の間ありがとうございました」
私は二人に挨拶をした
「どうだった?…9月には俺も研修だから」
「覚悟して行ってください」
「えぇぇ…っ」
社員になったのは鈴木さんの方が早かったけど、私は彼よりも先に研修に行かせてもらっていた
「お帰り」
久し振りに見た館山さんの笑窪が新鮮だった
「坂田副店長、今週末には退院するそうですね。お世話になりました」
「困った時はお互い様…それより、川崎さんの事ありがとう」
館山さんも変わらず穏やかな笑顔…
「…川崎さんの後の事は加藤部長にお任せしています」
「そう。最後に判断するのは部長の役目だから…もしダメだったとしても山村さんは気にしないで」
「…はい」
仕事が終わり事務所で日報をつけ発注の確認をする
「お疲れ様です」
事務所に加藤さんが入って来た
「お疲れ様です…どうされたんですか?」
「お前、仕事終わった?」
「はい」
「じゃぁ、帰るぞ。外で待ってる」
バタン…
それだけ言うと加藤さんは事務所から出て行った
「加藤部長どうしたの?」
近くにいた鈴木さん
「…さぁ…?」
私はパソコンをとじ帰り支度をする
「お先に失礼します」
「サキ」
裏口に通じるドアを開けた時に館山さんから呼び止められた
「これ、川崎さんから…サキに返してくださいって預かってた」
手渡されたのは川崎さんに貸していた『新人教育マニュアル』だった
「ありがとうございます」
ファイルをバッグに入れる
「…加藤部長が待ってるの?」
「…何か仕事の話があるんだと思う」
「そう…気をつけて」
館山さんはキッチンに戻って行った
駐車場に出ると加藤さんは車のエンジンをかけたまま待っていた
「乗って」
「はい…」
…う~ん…何だろ
「…髪…切ったんだな」
今頃ですか!?
…っていうか…館山さんも『髪型』の事は言わなかったなぁ
「似合ってるぞ」
!!!
どうしちゃったの…加藤さんっ
「ありがとうございます…で…ご用件はなんでしょう?」
研修に行く前に『話したい事がある』と言っていた加藤さん…きっと、その話をしたいんだろうなぁと思う…
「来年の春、4号店が出来る」
「えっ!?」
「まだ…社員は誰も知らない」
そんな大事な事…聴いちゃって良いのかしら…
「…場所が2号店から車で1時間強のところなんだ」
「はい…」
「だから…今回はお前は連れて行けない」
加藤さんが決めた事なら…それは仕方がない事だ
「分かりました」
「お前が必要じゃないって訳じゃないからな」
「はい、私は今の店で頑張ります」
「うん…」
きっと加藤さんはそこに行くのだろう
また私が『暴走』しないように…先に言ってくれたんだ
「そこに…トシを移動させる。勿論、社員としてな」
「社員!?」
「口説くのは今からだけど」
…トシ君が一緒に行ってくれたら私も安心だ
「手強いと思いますよ」
「だよな」
加藤さんが笑う
トシ君が加藤さんの口説きにどんな答えを出すのか…
「…山村…これからもよろしくな」
「こちらこそ…よろしくお願いします」
新しいレスの受付は終了しました
お知らせ
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
- レス新
- 人気
- スレ新
- レス少
- 閲覧専用のスレを見る
-
-
古文が難しい!0レス 39HIT 小説好きさん (♂)
-
真実どこにある1レス 61HIT たかさき (60代 ♂)
-
君だった0レス 166HIT 旅人さん (40代 ♀)
-
彼女たちの遍歴1レス 91HIT 小説好きさん
-
虐待されていた私31レス 780HIT 夢花*ゆめか (♀)
-
いつか王子様が
例様と私は聖子たちが来るまで、お風呂だの歯磨きだの別々の部屋でそれぞれ…(シェヘラザード)
180レス 501HIT シェヘラザード -
虐待されていた私
そのあと、お母さんが家から出るのを見計らって風呂に入り寝た 次の…(夢花*ゆめか)
31レス 780HIT 夢花*ゆめか (♀) -
とりま悪役令嬢ぽくやってみるか!
「36分24秒前にウィリアムを銃で傷付けた人を探して!」 《…(小説好きさん0)
68レス 1100HIT 小説好きさん (10代 ♀) -
古文が難しい!0レス 39HIT 小説好きさん (♂)
-
わたしとアノコ
「至らない点ばかりで申し訳ありません」 「ま家が見つかるまでだから」…(小説好きさん0)
208レス 4939HIT 小説好きさん (10代 ♀)
-
-
-
閲覧専用
独り言葉33レス 618HIT 通りすがりさん
-
閲覧専用
September〜アースウィンドあんどファイア500レス 1657HIT シェヘラザード (60代 ♀)
-
閲覧専用
Tell me a bedtime story500レス 1653HIT シェヘラザード (60代 ♀)
-
閲覧専用
お掃除やさんには裏がある5レス 185HIT 小説ファンさん
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②4レス 278HIT 小説好きさん
-
閲覧専用
September〜アースウィンドあんどファイア
けど音楽では美しいロマンチックな曲を何曲も共有して来た …(シェヘラザード)
500レス 1657HIT シェヘラザード (60代 ♀) -
閲覧専用
神社仏閣珍道中・改
(続き) などとブツブツ心の中でつぶやくうちに、かつての北の上新…(旅人さん0)
500レス 20447HIT 旅人さん -
閲覧専用
独り言葉
カテ違い つぶやき、です なんなんでしょね こんな つまら…(通りすがりさん0)
33レス 618HIT 通りすがりさん -
閲覧専用
Tell me a bedtime story
宿にチェックインしてから2人でピアノを弾いた。感動して感動して涙が出た…(シェヘラザード)
500レス 1653HIT シェヘラザード (60代 ♀) -
閲覧専用
マインドゲームス~ジョンとヨーコのバラードのその後
最後のレス。例様と私に関するスレを立てよう(シェヘラザード)
500レス 3322HIT 涼夏 名必 年性必
-
閲覧専用
サブ掲示板
注目の話題
-
世の中、簡単に離婚する人が
世の中、簡単に離婚する人が多過ぎる。 どうしたら離婚が減ると思いますか?
18レス 183HIT 結婚の話題好きさん (40代 男性 ) -
お給料諦めますか?
先月でバイト先を辞めたのですが、お給料の明細? みたいなのが毎月15日にラインで来るんですけど今月…
9レス 217HIT 通りすがりさん (30代 女性 ) -
東京で座り込んでる人たちはなんなの?
東京でよく見かけます。 池袋や新宿や渋谷や東京媽祖廟でも。 座り込んでるおじさんが多数。 ホー…
8レス 159HIT 教えてほしいさん ( 女性 ) -
遠距離恋愛中の彼との付き合い方
3ヶ月前から遠距離になっている彼について。 はじめのうちは、ラブラブなラインをしていましたが、お互…
6レス 158HIT 恋愛好きさん (20代 女性 ) -
なんで俺の好物を作らないの?
結婚2年目ですが、妻の料理に不満があります。妻は専業主婦で子供もいないので時間はあるはず。 俺は嫌…
25レス 674HIT 相談したいさん -
また婚活失敗。改善点を教えてください。
現在婚活をしてる男です。独身でも良いかもしれないと思った時期もありましたが、今は子供が欲しいと思うよ…
90レス 2683HIT 相談したいさん - もっと見る