生きるのは辛いけど…
後悔ばかりの人生は
辛い💦
いつか、
心からの幸せを
感じる日は来るのかな❓
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不倫を悔いない人間は
まともじゃない。
その前にまともな人間は
不倫しないか…
あの頃はまともじゃなかったと、
今なら分かる。
今の自分だって、
いつか見返せばまともじゃないだろうけど。
そしたら私の人生
まともな時はないのか😱
彼は兄貴の飲み友達だった。
彼に初めて会い、
目尻の垂れ下がる
人懐こそうな笑顔
を見た瞬間、
好意を抱いた。
自分の好みの男性像
とは違うのに、
ときめく事もあるのが、
我ながら不可思議だった。
ただ、当時はそれが恋にまでは
発展しなかった。
数年たち、
互いに結婚した身で再会。
その数年の間に、
私は持病を患っていた。
元々、
結婚➡出産➡育児の
お決まりコースに
乗るのが嫌で働いていたけれど、
いざ病気になり、
投薬が必要になり、
当分(いつまでか未定)
妊娠出来ない身になってみると、
妻として、
女としての自信を
一気に失った。
結婚後に発病した事が、
夫へも申し訳なくて、
後ろめたくてたまらなくなっていった。
そんなの、
自身が勝手に悲劇のヒロインぶって
自己陶酔していただけなのだけど…
バカな女💢
夫は頼りない面もあるけど、
心根の優しい人。
私の不安を意に介さず、
受け入れてくれた。
ただ当時は仕事(と飲み会)が
とにかく忙しくて、
連日の深夜帰宅、
週の半分は終電に間に合わず
帰って来なかった。
帰宅後話しかけても
『疲れてるから💢』
と相手にされない。
今なら、
男には男の辛さがあると分かるのに、
あの頃の私は
自分でいっぱいいっぱいだった。
そして私はキッチンドランカー
となっていた。
わざと体を痛めつけて、
意味不明な愚痴を吐く💧
そんな時、
兄貴に誘われた飲み屋で
彼に再会した。
その時、彼の奥さんが妊娠中と知る。
何とも言えない…
複雑な心境💦
口では『おめでとう❗』
と言っても、
本心は、
羨ましい❓
悔しい❓
苦しい❓
憎らしい❓
一言では表せない感情の波が
私の心を乱した。
彼は相変わらず
笑顔が抜群に明るくて
それだけでも癒されるのに、
カラオケで、
透明感のある
伸びやかな歌声を聞いた時、
私の好意は恋へと
変わって行ったと思う。
それから兄貴の仲間の
飲み会に顔を出すようになった。
彼が、
『嫁がキツくて~💦』
と途中で帰ったり、
最初からいない時心底落胆して、
私は彼に会いたさにここに来ている事を
どんどん自覚していった。
どうしても彼を目で追ってしまう💦
隣でおしゃべり出来た時は、
心臓が口から飛び出すくらいドキドキして、
まるで学生時代の片思いみたいに
一喜一憂する自分を戒めつつも、
彼のおかげで心が癒されるのは確かで、
その小さな光を
自ら消す事は出来なかった。
酒の席の軽い話題ではなく、
彼と色んな話をしたかった。
ある日その機会がやって来た。
私を自宅近くまで送るように、
彼が兄貴に頼まれたのだ。
深夜の夜道を二人で歩き始めた。
私は酔っていて、
スムーズにおしゃべりする事が出来た。
念願叶った嬉しさで
私のテンションはどんどん上がってゆき…
途中の公園に入り込んで
ブランコをこぎ始めた。
『我ながら意味不明な事してる💧』
という意識はあったけれど、
このまま自宅に帰るのは残念で寂しくて、
彼の迷惑を考えている余裕がなかったのだ💧
彼はニコニコしながらついて来てくれた。
恐らく私は、
現在の我が家の状況や
自らの心境など溜まった思いを
話したのだと思う。
頭に血が昇っていた為
よく覚えていないのだ💧
しばらくして、
帰宅を彼が促して来て、
私は落胆…
公園を出ようと歩き出す彼について行けず、
私は立ち止まってしまった。
そんな私に彼は戸惑っている様に見える。
それでもツカツカと私に歩み寄り、
抱き締めてくれた。
ときめいた。
嬉しかった。
幸せだった。
数日後、
初めて彼と2人だけで居酒屋へ行った。
彼のこれまでの人生、
仕事や趣味の話など、
何もかもが新鮮で、
こういう話が出来る事が嬉しかった。
私が、
初めて会った時に好意を持ったと話すと、
彼も気になっていたと言ってくれた。
『そうと分かっていたら
結婚しなかったのに』
と言われた時、
私は嬉しいと同時に悔しいと思った。
ひょっとしたら、
彼と結婚したのは私だった❓
そう思うと悔しかった。
あの頃の私は、
自分しか見えていなかった。
そんな馬鹿な私でも、
彼との関係をそれ以上進展させる決心は
中々つかなかった。
私は、不倫・浮気・二股など
軽蔑して来た。
でも非日常に憧れる気持ちはなかったか
と言えば…
あるのだ。
私のように芯の弱い女は、
機会さえあれば簡単に流される。
流されて、裏切って、
束の間の幸福感に浸る。
誰よりも自分を理解してくれる人に
巡り会えたと思い、
久々にメイクや服に
気を使うのが嬉しくなる。
彼の子供が生まれた時、
私は妬ましくて苦しくて、
彼の奥さんが憎くてたまらない日々が
続いた。
いっその事、死んでしまおうか…
と思ったり、
全てをぶちまけて
めちゃくちゃにしてやろうかとも思った。
あの日々は、
今考えると滑稽で、呆れるばかりだ💧
彼との甘い時間は、
ワンシーズンにも満たなかった。
酔った彼の軽率な行動で、
夫に疑念を持たれたからだ。
その時、私は一気に夢から覚めた。
彼は私を本当に想っているのではなく、
ちょっと私に依存しているだけなのだ。
そして私も…
本当の地獄はその後にやって来た。
私は卑怯にも、
夫に潔白を主張し続け、
親まで私の擁護をしてくれた結果、
その場を収める事が出来た。
でも、
罪悪感から、
夫に普通に接する事が出来なくなった。
親の信頼を裏切った思いにも苛まれた。
夫が相手をしてくれない寂しさから
始まった不倫だったが、
それが普通なら、
世の中の妻の多くがしているはず…
私には、
夫と何事もなかったように
寄りを戻す事は出来なかった。
子供がいれば頑張ったろうが、
いないのを幸い、
私は逃げたのだ。
不倫しても、
『相手を傷付けるから
絶対認めてはいけない』
のか、
『認めて、誠心誠意尽くす』
のどちらなのか、
私には判断出来なかった。
夫は打たれ弱い部分があるので
認めなかったが、
認めて、罵倒されて、
夫の気持ちを軽くさせた方が
よかったのか、
今でも考える。
離婚理由は、
夫婦の感覚のズレだ。
不倫より前から大喧嘩を繰り返し、
実家の世話にもなっていたので、
大元はこれなのだ。
別居から離婚までの心労は、
経験しないと分からないかも知れない。
結婚時に祝ってくれた
肉親や友達の気持ちを考えると、
ひたすら申し訳ない。
夫と別居し、離婚が成立する前に
私は職場のアルバイトの男の子から
告白された。
職場の飲み会で意気投合し、
たくさんいる仲間の中でも、
気軽に声をかけられる存在だった。
無口で、
集団の輪の中には入らず、
一匹狼のような存在感のある人だ。
でも一旦酒が入ると、
正反対の性格になる変わった人。
夫とは違い、
不倫の彼とも正反対のタイプ。
『結婚しているのは分かっているけど、
うまく行っていないようだし、
今言わないと後悔すると思ったから』と
彼は言った。
やっぱり変わった人だ。
いきなりの呼び出しで
いきなりの告白…
なのに私は、
彼の正直さに胸が熱くなった。
彼と飲むと、
互いの主張を譲らず、
言いたい事を言い合った。
主張と言っても、
しゃぶしゃぶにはポン酢をつけるか、
ゴマだれをつけるかどっちだ‼
のようなあまりにもくだらないやり取り💦
でも、心地良かった。
疲れていると言う夫には遠慮し、
不倫の彼との関係に
思い詰めていた私にとっては、
いつの間にか彼とのやり取りが
救いになっていたのだ。
彼は、
私の気持ちが固まるまで待つと言う。
私の気持ち…
夫には、情はある。
不倫の彼には、何もない。
彼には、どうなんだろう…
私はいつも自分に自信が持てない。
人の意見に左右され易く、
普通と違った事をするのが怖い。
そのくせ、
そういう部分を他人に知られたくない。
見栄っ張りで、変なプライドが高い。
だから強がる。
大胆になろうとする。
でも内心は、
そんな矛盾だらけの自分が大嫌い。
彼は、
そんな私が脱力する程の自然体。
体の真ん中を、
『俺は俺』って信念が貫いている。
寄り集まって、
噂話や不満を口にすると、
その場は楽しいけれど、
自分の質を下げるだけ。
自分と他人を比べない彼は、
今までに私が出会った事のない人だった。
彼を意識する様になってしまった💧
『これも不倫なの❓』
と自問自答する。
私の人生で、
複数の異性を同時期に意識し、思い悩むなんてこれが最初で最後だろう。
告白してくれた彼はかなりの年下で、交際経験はほぼないらしい。
私には夫がいて、少し前までは不倫相手もいた。
引け目はあったが、彼には何も言わなかった…
話は反れるが、私の異性経験は6人だが、2人目、3人目に付き合った彼は、
私が処女でないと知るとあからさまに落胆した。
10代の学生ではあるまいし、彼らの幼稚さは腑に落ちなかった。
やはり付き合いは長くは続かず終わったが…
彼との関係は慎重になった。
職場の仲間込みで旅行したり、飲み会したり、スポーツして過ごす日々が続いた。
相変わらず言いたい事を言い合って、周囲からは仲の良い『姉と弟』位にしか見えなかったろう。
ある晩、仲間内で夜中に流星群を見る事になった。
寒い夜だった。
けれど空気は澄んで、しんとした夜更けのショーの始まりに私の胸は高鳴っていた。
星が流れ始め、あまりの迫力に興奮して空を見上げ続けていたら、
クラクラして、天地の区別がつかなくなって来た。
私は砂利に寝転がって空を見る事にした。
すると彼が自分のダウンジャケットを脱いで、
私の寝る場所にポンッと置いた。
それは柔らかくて、あったかくて、男臭い匂いがして、
私は安心感とときめきを覚えた。
私は気が多いのだ。
ドラマなどで、
『彼のためなら何だってする❗命をかけてもいい❗』なんてセリフがあるけれど、
そこまで激しく異性を愛するような恋を、私はした事がない。
私は恋に恋する女なのだ。
恋の始まりのときめきを、何度でも味わいたい。
けれど、想像と現実は全く違う。
不倫に憧れたり、夫以外の男性がより良く見えるような好奇心はきっと多くの妻が持つと思う。
でも、誘惑に負けた後、取り返しのつかない後悔に苦しむのだ。
好奇心に留めて、それを越えるべきでなかったと心底思う。
人を裏切って、平気な顔で生きてゆくのは本当に辛い。
私の性格もあるのだと思う。
間違ったら、リセットしてやり直さないと気が済まない性格💧
過ちを抱えたまま生きてゆけない私とは、なんて卑怯で弱い人間なのだろう。
それでも何とか自分を正当化させて生きようとして来たけれど、
この日記では全部取り払って、事実だけを書こう。
今まで怖くて出来なかったけれど、そうしないと先に進めない気がする。
昔の非道のツケが我が身に返って来た。
因果応報って本当にあるのか💧
離婚を前提に別居しているのは辛い💦
風呂はカラスの行水の私が、気付くと1時間近く湯船に浸かっているような日々。
夫は復縁を希望していたが、一度壊れた関係を元に戻す事は、とても難しい。
これまでに何度も大喧嘩を繰り返し、そのたびやり直そうとしたが、衝突は繰り返された。
互いに考えが甘く、相手に理想を求め過ぎたのだろう。
夫婦には、妥協や譲歩も必要なのに、私にはそれが出来なかった。
発病した負い目がそうさせた。
夫の誠意を疑って、自分に自信を無くしたのだ。
そしと不倫という裏切り。
夫への罪悪感は、日を追う毎に強くなる。
告白してくれた彼は、待つと言いつつも、離婚を急かすような発言が多くなった。
彼を嫌いではないが、彼にはそんな権利はなく、私の心情を思いやれない事に腹が立った。
でも、彼の存在が私を救ってくれたのも事実。
私は依存する女なのだ。
『ズルい女』な私を、夫も彼も知らない。
夫からは、サイン済みの離婚届が送られて来た。
あとは私がサインして、役所に提出するだけなのに、
私はそれが出来ない…
何故なのだろう。
愛情が残っていたのではない。
自ら言い出した離婚を、自ら完結する事が怖かった💧
自分が余りにも非情な女なのが、我ながら恐ろしかったのだ。
夫からすれば、宙ぶらりん状態が続き、余計苦しんだと思う。
離婚届は、受け取ってから1年近く経って、やっと提出出来た。
そして私は、待っていてくれた彼と、正面から向き合う事にした。
その頃彼は、すでに地元にいなかった。
就職して、単身遠くへ移り住んでいたから。
私達は遠距離恋愛から始まった。
彼は新社会人として、心身共に余裕のない毎日。
けれど私も、天職と思える職場で、充実した日々を送っていた。
若い頃だったら、遠距離恋愛という状況に酔って、悲劇のヒロイン気分になっていたろう。
でも離婚を経験して、恋愛の行き着く先の一例を経験した身は、自分を客観視するようになっていた。
逆に彼は、遠距離恋愛という状況に切ない想いを抱えて過ごしていたと思う。
彼は告白当初から結婚を意識していたらしい。
とても正直で真面目な人。
私は…、そんな彼の真っ直ぐな想いを受け止めるか迷っていた。
何度かの恋愛経験をした過程で、私は計算する女になっていたし、
遠距離恋愛を受け入れている時点で、若い頃のような情熱的な恋愛をする気力は失せていた。
彼は経験が乏しい分、私を美化し過ぎているようにも思えた。
彼との遠距離恋愛は、
月に一度の連休を取った私が、飛行機で彼の住む街へ通うというパターンが多かった。
当初は、まるで外国のように文化の違うその地を見て回るのが楽しくて、
気分は完全に旅行者 だった。
そんな日々が1年程続き、彼が仕事にも馴染んで来ると、
『結婚』をほのめかす発言が多くなった。
でも、
私にはその発言はまだ辛かった。
離婚で、負のエネルギーに散々苦しんで、相手への罪悪感も未だ消えない自分が、
次を考えるなんて出来ない。
『何て青い人なんだろう💧』
と、彼の正直さに呆れたり、怒ったり、嘆いたりしたが、
若い彼は、自分の気持ちに精一杯で、私を思いやる余裕はなかったようだ。
彼に離婚・結婚を急かされた時の憤懣は未だに燻っている。
でも、
こうやってここに書けた事で、かなり気持ちは軽くなった。
書くと言うのは、
自分を整理しつつ、癒しの効果もあるものだと思うと有難い。
仕事は楽しく、恋愛もしている。
一見、私の人生は順調のように思えるが、内心は気持ちの⤴⤵が激しく、
夢には頻繁に元夫が現れ、私は謝ったり逃げたり…
自業自得だから、誰にも言えなかった。
そんな状態での彼からの求婚は、私には重い。
『付き合わなければよかった』
なんて自分勝手な思いも頭を掠める。
私は、自己保身のためどんどん嫌な女になってゆく。
異性への愛って未だに分からない。
肉親への愛なら、優しく温かい想いがいつでも沸き上がってくるのに…
理論的に考えるものではないのだろうか。
彼をもっと知りたい。
彼ともっと一緒にいたい。
と単純に思えればいいのだろうか。
そんな気持ちはあった。
ただ、当時の私には私なりに夢があって、
資格試験を受けてみたり、
通信教育を受けてみたり、
一人前になるために努力をしていた。
学生時代バスケットに熱中して以来のやりがいある事を見付けられて、私は本当に嬉しかった。
彼の求婚を受け入れる事は、そういう努力を中途にして、
地元から遠く離れた彼の元に行くという事だ。
当時の私は、その選択肢しか考えられなかった。
他にも道はあるのに…
私は地元を離れたくはなかった。
夢を諦めたくなかった。
と言って、
私を必要として、強く求めてくれる彼を拒否する気持ちにもなれない。
人生初めての究極の選択だった。
悩んだ。
考えた。
結局、
彼と別れられないのなら、今は彼を選ぶしかないと思った。
こんな曖昧な覚悟で、道を選んだ事を後悔する事になるのだが…
彼との付き合いは、親にはずっと話せずにいた。
離婚したばかり。
かなり年下の男性。
結婚したら地元から遠く離れなければならない。
親が受け入れてくれるか、見当もつかなかった。
彼の存在を切り出してみる。
『そんな娘と思わなかった❗』と、
父は拳を振り上げたが、母が必死に止めてくれた。
怒りは最もだ。
離婚が成立する前から、不倫していたと思われて仕方ない。
けれど父は大きく息を吐き、
『とにかく会わせてみろ』と言ってくれた。
私は父を深く尊敬している。
寡黙で、感情表現が苦手で、でも情に厚く、温かくて、娘の私の意思をいつも尊重してくれる。
私を心底大事に思うからこそ、尊重してくれるのが伝わる人。
私は、
父とその飲み仲間のおじさん達に、女一人混じって飲むのは全く平気で、
父とは飲み屋のカウンターで色んな話をした。
酒が入った父は、無口でダラダラしてばかりしている家での姿とは全く違い、
軽口をたたき、酒席での粋な計らいも自然で、仲間に慕われていた。
娘としては、全くの別人を見る思いで、最初は呆気に取られてしまった。
親の、親ではない別の顔を見られたのは、当初はドン引きでも、今は幸せだったと思う。
父がどんな風に母を想い、
家族を養うためにどんな気持ちで日々働き、
普段照れて口に出せない子供達への愛情も、
酒の魔法がかかった父の口が、何度も何度も私に伝えてくれた。
父は、戦前生まれの男だから、家庭ではうまく自分を出せなかったのだろう。
代わりに夜の店でストレス発散出来ていたのにはホッとした。
まぁ、
『俺は酒で家2軒建つ位は金を使った‼』
と豪語しているのを聞くたびに、それが本当なら、天晴れでもあるが、夫・父としていかがなものか💧との疑問も残る。
いよいよ、
私・両親と、
彼・父親が対面する日が来た。
母の知り合いの小料理屋で、店自慢の魚料理を肴に乾杯した。
彼の父親は、にこやかで紳士的なロマンスグレー。
和気あいあいと会食は進み、当人同士に任せるという事で、双方の親は納得してくれた。
私と母は、
彼の父親のフェミニストぶりにすっかり舞い上がり、幸先の良さに喜んでいた。
けれど父は、
『あのお父さんは中々の曲者だぞ』
私に注意を促して来た。
でも、
その時の私には、父の言葉の意味が全く分からなかった…
彼に、
『結婚は、せめて2年待って欲しい。』
と話した。
彼は、初めは納得してくれたのに、ダメらしい💧
女として、ここまで想われるのは本望かも知れない…
半分自棄になって、私は正式に結婚して、彼の元へ移り住んだ。
何だか私ばかりが色々なモノを犠牲にしているようで…、
でも女とはそんなモノなのか…と自身に言い聞かせて、新生活をスタートさせた。
マイナスな感情も多かった新生活の始まりだが、
予想に反して、穏やかで楽しい日々が続いた。
その一番の理由は、
地元から離れた事で、元夫や離婚の罪悪感から逃れられた為だ。
地元では、元夫や、共通の知人に鉢合わせするのではないかとの不安に、いつも苛まれていた。
地元とは遠く離れたこの地で、やっと安心して出歩けるようになったのだ。
改めて、不倫の代償は大きいと気付かされた…
自分の生まれ育った地とは方言も食べ物も異なる毎日は刺激的で、
毎日新しい発見があり、故郷と比較しては違いを楽しんでいた。
夫も気遣ってくれ、年期の入った会社の寮から出て、
私の憧れのカウンターキッチンのある新築アパートで私を迎えてくれた。
私は、この選択は正解だった❗と、すっかり舞い上がってしまった…
私って…、
単純で浅はかで能天気な所はいつまで経っても変わらない💧
人生にはたくさんの岐路があって、
道を選ばなくてはならなくて、
私の選んできた道は概ね悔いのないものだったと思う。
まだ10代の頃、ひとつ悔いた事がある。
舞妓さんになれなかった事💦
京文化に惹かれていた私は、その象徴的存在の舞妓さんに憧れていた。
ところが無知な私は、花柳界は中卒で入り、舞妓でいられる期間は短く、後には芸妓になる事さえ知らなかった。
高校卒業直後、勇気を振り絞って、祇園へ電話した私は、そこで初めてそれを教えられ、お先真っ暗な気持ちになった。
今思えば、かなり間抜けで笑える思い出だ💧
人生の岐路。
若い頃の私は、自分が結婚出来るとは思っていなかった。
何故なら、
一生の相手を、世の中に数多くいる男性の中から選べないと思っていたから💦
選ぶ基準が分からなかったとも言える。
でも実際は、世の中の男性は数多くても、実際知り合えるのはほんの僅かで、
品定めなんて大層な真似は出来る訳もなかった。
最初の結婚は、勢い。
二度目は…、
結局勢いか💧
まぁ、慎重になり過ぎると、色んな事に捕らわれて、結婚なんて出来ないようにも思う。
彼との結婚は、私の運命を大きく変えてくれる素晴らしい出会いをもたらしてくれた。
私には持病があり、原因もよく分からず、薬と縁が切れる可能性はなかった。
だから子供はあきらめていた。
彼はその辺りの事情も全て納得した上で、私との結婚を望んでくれたが、
本音は違うだろう。
自分の血を受け継ぐ子供は欲しいはずだ。
何とかならないか❓
と思い詰めていた時、私は今まで出会った事のない素晴らしい主治医を見付けた。
今まで何度、病院・医者を変えたろうか。
7人の医者と、7つの病院に、毎回藁にもすがる思いで診て貰った。
ほぼ空振り。
『ストレスが原因』と言う医者もいれば、
5分で診察終了の誠意のない医者。
医学書を開いて、棒読みしながら診察もされた。
処方薬の量が多過ぎて薬物中毒になり、吐き気や手足の震え、倦怠感に襲われた事もあった。
一ヵ所だけ…、
明確に原因や患部を説明し、治療方針などもハッキリ指し示してくれた医者がいた。
けれどその病院はかなりの遠方で、通院は無理だった。
医者なんてこんなもん…と、あきらめてしまっていた。
それでも彼の為にもと、ネット検索して目星を付けた医者を訪ねてみた。
その先生は、
ボサボサ頭に無精髭、やたら早口で、こちらが口を挟む余地もないような弾丸トークで攻めて来た💧
正直、
かなり苦手な独りよがりタイプと感じた。
でも最後、
『何か聞きたい事はある❓』
と声をかけてくれた。
今までの医者は、こんなに自信満々、患者の不安を受け止めてくれなかった。
私がポツリポツリ話す質問に、早口トークで鮮やかに答えてくれ、
『子供は生める❗絶対大丈夫❗』と断言してくれた。
嬉しさと安堵と感激と興奮と…
あの時の感情は言葉では言い表せない。
持病薬を飲みながら、妊娠・出産を目指すには、妊娠前からの調整が必要だった。
血液中の薬物濃度を何度も調べ、最低ラインの摂取量を計算したり、
薬の種類を変えてみたり、
それが終わると、薬と共に葉酸も処方された。
妊娠前から葉酸を摂取する事で、薬による胎児の奇形のリスクが低くなるそうだ。
不安はあった。
もし奇形児が生まれたら、私に育てる自信はない。
奇形の子供を見るたびに、一生後悔と罪悪感に苦しむだろう。
そんな風に考える時もあった。
でも、先生のおかげで吹っ切れたように思う。
ある診察日。
先生の弾丸トークと私の質問タイムも無事終わり、
私は診察室を後にして、ロビーで会計の順番待ちをしていた。
その病院は総合大学病院なのでとても広く、患者もたくさんいて、ロビーはいつもごった返していた。
『〇〇さん‼』
と、背後から呼ばれ振り向くと、息を切らせた先生が走って来て、
『薬の飲み方についての注意事項を言い忘れたよ✨』
と言いながら、細かく指示してくれた。
私は先生の話を聞きながらも、胸がいっぱいで涙が溢れそうだった。
『こんな先生いるんだな~…』
言い忘れたなら、館内放送で私を呼び戻せばいいのに、
わざわざ走って、探して、声をかけてくれるなんて。
『頑張ろう💪』
と先生が言い戻って行った後、私はその場でボロボロ泣いてしまった。
今まで病気で悩んで来たけれど、辛かった気持ちが報われて、気持ちがスッキリ晴れたようだ。
『この先生なら信頼して私も頑張ろう❗』
と吹っ切れたのだ。
そのすぐ後、私は妊娠した。
夫は不器用で口下手なので、妊娠報告をしても照れ臭そうに笑っていた。
ちょっと物足りない気もしたが、
双方、感慨深いものがあり、穏やかな気持ちで喜びを分かち合った。
先生も喜んでくれた。
丁度、
同じ病気で妊娠した女性達の経過データを取り研究していると言うので、私も喜んで参加する事にした。
私のように悩む女性達の為に取り組んでくれる先生の熱意が嬉しかった。
先生と雑談していて知り、すごく驚いた後にすごく納得した事があった。
私が以前、
7人の医者を巡った時、1人だけ、明確で的確で頼りがいのある医者に出会った事を前に書いたが、
その医者がいた病院こそが、先生が修行を積んだ病院だったのだ。
私は、
『いい医者が受け継がれる流れというものはあるのだなぁ✨』
との感慨に浸ってしまった。
これで私の妊娠生活は絶対に大丈夫❗
同じ大学病院の産婦人科と連繋して下さる事にもなり、鬼に金棒な気持ちで、私の心は晴れ晴れとしていた。
どうも私は、つわりが比較的重い体質のようだ。
よく言われるように、ご飯の炊き上がる匂いは敵❗
そして、私の場合はシャンプーリンスの匂いにかなり苦しんだ。
安静に横になっていても、
ムカムカと吐き気が続き、
起き上がっても、
ムカムカ吐き気に足して目眩やダルさで結局横になるしかない💧
食事もほとんど食べられなかった。
話には聞いていたが、つわりがこれほど辛いとは…
夫に話してもピンと来ないようだし、
この地に友人・知人はいないし、
とにかく母が恋しくなった。
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とんでもないです。 (名無し21)
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11レス 292HIT 気になるさん - もっと見る