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花火4

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小説家
15/12/26 14:55(更新日時)

「雪もちらついてきましね。長谷川検事。帰り道、気をつけた方がいいですね♪」

検察事務官の佐方賢治が、珈琲をいれながら声をかけてきた。
名前は、けんじなので、本当は検察事務官ではなく、検事になりたいと話している。

「そうね。なんだかんだと温暖化になったの、暖冬だのと言っても、四季は巡ってくるし、雪も降るし、罪人も無くならないし、仕事も増えて、歳もとり、独り身で死んでいくのよね。自然の摂理かしら。」sk

「あのー。検事がおっしゃりたいことはよく分かりませんが、才色兼備の検事が独り身で死んでいくことは、考えられません。
周りを見渡せば、案外、近くで幸せを掴めるかもしれませんしね♪」

佐方賢治は、柚子よりも1つ年下だ。以前から、賢治が柚子に対して、優しく気遣いに溢れて、誠実に接していることは分かっていた。
もしかしたら、好意を持っているかもしれないことも、薄々は気付いていた。

ただ、柚子にとっては、検事と事務官であり、それ以上でも、それ以下でもない。

しかも、何年も一緒に仕事をするわけではなく、検事には、異動がある。

柚子にとっては、実を言うと、事務官の賢治も、夢見心地でふらふら生きてる弟の圭介も、同じように見ていた。つまり、賢治がどう思おうが勝手だが、自分は、異性としては見ていないということだ。

「佐方くん。連続放火犯の事件、これどう思う。」

「あぁ。彼女にクリスマス前に降られた男が、ごみ捨て場や、空き家、停めてあったバイク便のバイク等に、次々と放火ですからね。しかも、こいつ、降った彼女のアパートの部屋に、住居不法侵入してますし、そこから、窃盗もしてますし。」

「待って、佐方くん。住居不法侵入と窃盗は、枡野悠治は認めているわけ。放火は、否認しているわけ。放火については、私も起訴するか迷うところね。」

柚子は、とある先輩検事に言われた、いつも慎重であれというのを、しっかりと仕事の中で守るようにはしている。

右から左に、せわしなく事件や、事故が流れて、怪我人や死亡人を出し、いずれ世間から知らず知らずに消えていく。

被害者だけが、しっかりと胸に刻みに時計の針が止まり、死ぬまで背負っていく。

柚子には、貧乏人と大金持ちがいるのと同じくらいに、被害者と加害者がいるのが、時に理不尽に思えるときがある。

「検事。検事の納得するようにやるのが一番良いですね。ただし、次々と控えていますけどね。ネットの世界も怖いですよ。ネットに誹謗中傷されて逆怨みの挙げ句、被害者を数人で、五時間の壮絶なリンチのうえ、殺害。傷害致死罪でしょうかね。」

「そうね。」

柚子は、こんな毎日の中で、好きなことに一途な圭介が羨ましかった。
この世は、金と名声や地位であって、決して、夢ややりがいや、生き甲斐や、そんなことではないと思って、今まで生きてきた。

まさか、圭介がプロを目指していたなんて。本人から、この前、実家に帰った時に聞き、心底から驚いたが、自分を巻き込むな、迷惑をかけるなということだけは、釘を刺しておいた。

検事の実の弟がなんて、想像するだけで身震いがするし、胃痛と頭痛が一緒に襲ってくる。

顔だけでいったら、弟の圭介よりも、事務官の賢治だろうかと、珈琲を片手に窓の外を見て、笑ってしまった。



No.2287178 15/12/26 14:55(スレ作成日時)

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