増加する高齢出産 そのリスクとメリット

高齢出産について

1993年以前は30歳以上の初産婦であったが、主に晩婚化の影響で30歳以上の初産婦が増えたこと、WHOをはじめとする諸外国でも同様の定義がなされているため、1991頃から35歳に引き上げられた。

  • 高齢ママ、頑張る!
  • 年齢による妊娠出産能力

    女性が妊娠し出産する能力は、最初の排卵時(一般的に11~12歳)で始まり、最後の排卵時(一般的に50歳前後)で終了する。厚生労働省と世界保健機関は、合計特殊出生率を算出する定義として15~49歳の女性を母集団としている。15歳未満と50歳以上の出産も存在するが統計の精度に影響を与えないとの考えから、合計特殊出生率を算出するための統計には含んでいない。

    時代による高齢出産の傾向

    厚生労働省の出産統計によると、多産多死の20世紀前半までは35歳以上の数に対する高齢出産の比率は20%前後。1940年代後半の戦後の混乱期の高齢出産の比率も20%前後で国を挙げて「産めるだけ産めよ」との風潮がうかがえる。1995年以後は少産少死の時代に入り、女性の晩婚化・高学歴化が進行したことの影響で、高齢出産は増加傾向になり、出産総数の対する高齢出産の比率は2000年以後は10%台前半、2004年以後は10%台後半、2008年以後は20%台前半となっている。

    高齢出産のリスク とは?

    晩婚化や医療技術の進歩など、社会環境の変化により高齢出産の時代になっているが、若い時と比べていくつかリスクが高くなっている。高齢出産のリスクは「高齢妊娠」に関するリスクと「高齢分娩」に関するリスクの2つに分けられる。ところで高齢出産が声高らかに叫ばれるようになったのは、若い世代と比べて相対的にリスクが高まるという意味であり、高齢だから即危険という訳ではない。

    高齢妊娠のリスク

    • 年齢が高まるほど卵子の質が劣化または老化し、染色体異常などが起こりやすくなる。

    卵子に加えて加齢からの精子のDNA損傷による影響も確認されており、新生児のダウン症の発症率が増加する。また、精子の能力が低下し、受精率も低下する。

    高齢分娩のリスク

    • 高齢分娩の最大のリスクはその妊産婦死亡の高さ。

    日本の妊産婦死亡は、40歳を過ぎると20~24歳の妊婦の20倍以上にまで高まるとの報告があり、母体が危険なだけではなく、流産・早産する危険性が増加する。また、第一子出産が高齢出産である場合は、母体の健康が損なわれる危険性や、流産・早産の可能性が増加する。

    高齢出産にもメリットはあるのか?

    経済的に余裕ができてから子育てができるケースが多いなど、社会的には必ずしもデメリットばかりではない。

    高齢出産に対する批判と現実

    高齢出産に対する批判としては下記のようなものがある。

    • 非高齢出産と比較して、障害を持って生まれる可能性が高い
    • 非高齢出産と比較して、親にとって身体的負荷が大きくなる可能性が高い
    • 親が高齢ということで、子の精神的負荷が大きくなる可能性が高い

    高齢出産に対する国や地域の処遇

    人口の維持、拡大のためや法が定める人としての権利という観点から、高齢出産を批判しその禁止や規制をすべきではない。

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