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復讐

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小説好きさん
21/02/13 20:37(更新日時)

《4月2日 金曜日》

 幾多の現場を見てきた検視官でも、思わず目をそらしたくなるような惨状だった。
 目の前にある遺体は、これでもかというほど、包丁で滅多刺しにされており、その表情は、何かとてつもない憎しみを抱いたまま殺されたようにも見えた。

「第一発見者は?」
「マル害の職場の上司と、このマンションの管理会社の方です。昨日、重要な取引があったにも関わらず出社せず、連絡も取れなかったそうです。今日になっても姿を現さなかったため、不審に思い自宅を訪ねたところ、玄関には鍵がかかっており、管理会社に事情を話し、鍵を開けて入ったら、この有様だったということです」
「最後に連絡が取れたのは?」
「一昨日、つまり3月31日は、普通に出社して働いていたそうです。ただ、午後からは営業で外に出ていたそうで、そのまま直帰したはずとのこと」
「では、空白の時間は、一昨日の午後から、今朝までということか」
「はい、そうなります」
「しかし、あまりにも刺し傷の数がすごいな。誰かに相当憎まれていたのだろうか」
「上司によれば、成績優秀で人当たりもよく、社内でも評判は良かったそうです。それに……」
「それに、なんだ?」
「冒頭申し上げたとおり、玄関の鍵は閉まっていました。そして、このマンションはカードキータイプの鍵になっていまして、カードの発行枚数は管理会社の方で管理されているそうです。発行数は二枚。二枚とも部屋の中で確認できています。マンションの十階ですから、外からの侵入も考えづらいですし、それにベランダも他の窓も、全て鍵は閉まっていました」
「つまり、密室殺人ってわけか」
「しかし、見てください、マル害は包丁を腹に刺したまま、自分で握りしめています。自殺の可能性もあるのでは」
「自殺するのに、自分で自分をこんなに滅多刺しにする理由があるかい? それに、普通の人間なら、ひと刺しふた刺ししただけで、意識が飛んでしまうもんだ」
「そうなのですが……。今のところ、部屋の中からはマル害の指紋以外には検出されていません」
「やっかいな事件だな。分かった。ひととおり状況は把握した。鑑識を続けるぞ」

No.3230379 21/02/06 03:32(スレ作成日時)

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