麗香の微風
私は麗香
そう、名前なんてどうでもいいの
毎日生きて行けるだけで
こんな私に興味を持ってくれた貴方
そう、貴方の事です
好きになってもいいですか?
遠い昔にそんな事を言われた記憶が
あったわね
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宮町とは毎週末に宮町の家の近くに私が車で迎えに行きその足で行きつけの「如月」に行く事が多かった
如月でお店の咲ちゃんが宮町が行くとよくカウンターについて水割りを作ってくれる
宮町がトイレに立った時、「前の彼女は歌が上手くてよく歌っていたのよ」
トイレから戻った宮町に「ねぇ宮町の彼女さんは歌が上手かったの?」「誰がそんな事を言った!」
「咲ちゃんが教えてくれたんだよ」「もう、、」
宮町は咲ちゃんがカウンターの前に来ると「やめてくれよ~、前の事話すなんてルール違反やろ」怒って言った
前の彼女は旦那さんがいて宮町とは5年付き合っていたと聞かされていた
宮町とエッチすると旦那とはしたくないと言っては宮町を困らせていたとの事だった
そんなある日、拓が通っている小学校の担任から拓の事で話をしたい。と連絡ノートに書いてあった
何の話だろうと小学校の職員室に行くと担任の青木先生がかしこまったように
「お母さん、実は拓君が本屋さんで本を万引きをしたと一緒にいた同級生の田中君が教えてくれました。」
思いもよらない話に心臓がドキドキした。「田中君がそんな事しちゃあダメだよ!」と言ったけどそのまま持って来てしまったとの事だった。
「私がその本屋さんに電話をして事情を話しましたら、初めてだと言う事で本人に謝りに来るように言われましたのでとの事です。」
私は「ご迷惑おかけして申し訳ございません。」と言うと青木先生は「お母さんあまり拓君を叱らないで下さいね。本人は反省してもうやりません、と言ってますから」
私はただ頭を下げるしかなかった。「お母さん私も父親が居なかったので拓君の気持ちがよくわかるのです」
「もっと拓君の話を聞いてあげて下さいね」「ご迷惑おかけして本当にすみません。その本屋さんに明日、拓と謝りに行って来ます」
先生の優しさに涙が出そうだった。
次の日の夕方、仕事を終えてから拓と先生に聞いた本屋さんに謝りに行った。
拓に「この本屋さんだった?」と聞くと「うん」と頭を下げた
意を決して、レジにいる店員さんに「すみません、店長さんいますか?」と聞くと怪訝そうな顔をしながらも奥から年配の男性を呼んで来てくれた
「あの、うちの息子が本を万引きしてしまったと学校で聞いたものですから、、大変申し訳ありません」
すると店長は「本来なら警察に連絡するところですが、子供さんも小さいし初めてと言う事ですので、こうやって来られたと言う事もあり、今回は警察に連絡はしません。」
「私の不届きでご迷惑をおかけして申し訳ございません」拓と頭を下げるしかなかった。
「ただしこの次は警察に連絡しますので」
拓が持っていた本を差し出した。640円の車の本だった。「ごめんなさい、、」
小さな声で言った。
息子が中学生になるまでは宮町は毎週末は家に泊まっていた。
さすがに中学生になった今は家に泊める訳にはいかなくなった。
そんな私達が愛し合うにはホテルに泊まるしかない。
一緒にお風呂に入ると私の身体中に石鹸を付けて優しく洗ってくれた。
スケベ椅子と言うものがあるのを初めて知った。
お返しに今度は私が宮町の身体を洗う番だった。
お風呂に浸かると宮町がキスをしてきた。そのままお風呂の中で結ばれた。
ある時は宮町が激しく動く度に空気が入るのかあそこの中でキュッキュッと音がした。
その音がお風呂中に響き渡り恥ずかしさでまた興奮して来るのだった。
終わると宮町は優しくキスをしてベッドに戻って行った。
私は身体の火照りを静めるようにしばらく湯船に浸かっていた。
宮町によって心も身体も充たされていた。
それから3ヶ月ぐらい過ぎて接客にも慣れた頃
お店に年輩のお客様がやって来た
大きなブランドのバッグをお買い上げになり、プレゼントにしたいから箱に入れて欲しいとの事
その日は生憎私ともう一人準社員の2人で対応した
バックヤードに行って箱を探し、箱の大きさに合う包装紙を取り出した
お客様の前でもう一人の準社員の近藤さんが得意と言う事で包装をする事になった
包装を見ていたお客様の顔がだんだん険しくなってきた
近藤さんのラッピングが上手くいかないみたいだった
慌てて駆け寄るとラッピングの終わりの始末が端に寄ってしまっててこずっているとの事だった
2人でラッピングしようにもどうにも上手く出来ない、、、
お客様は呆れた顔で「まぁネ○ステージの社員ともあろうものが、、、」
「申し訳ありません、、、」
何とかラッピング出来たものの2人して汗だくになってしゅんとしてしまった。
気を取り直して接客しているとあっという間に正社員の人とシフトの時間が来てしまった
それから数日が過ぎ近藤さんと私はバイヤーの山崎さんに呼ばれた
「あなた達もっと真剣に仕事をして下さい!」
「はい、、、」
(だったら大きい箱のラッピングの仕方をもっと練習させてくれたら良かったのに)
私達はどれだけ大変だったのか、、、
一方的にあーだこーだ言われるだけでは話が何も頭に入って来なかった
確かにバイヤーさんは大変でしょうね
お客様がいない時の社員達の無駄話は何?
そんな時2階の靴売り場で面白い出来事があった
何と展示していた靴をお客様が履いて行き代わりに汚れた汚い靴が置いてあったらしい
は?社員の人達は何をしていたの?
何のお咎めもなし、、、ですか
ひどい目にあったような話になってる、、
何だかね、、、
それから半年過ぎた頃、仕事が終わって家に帰ると拓が指に包帯をしていた
「何で包帯してるの?指にケガでもしたの?」
「宮町さんが包丁の使い方教えてくれると言ったので教えて貰ったら指を切った。」
「えー!何も聞いてないけど大丈夫?」
「大丈夫。大した事ないから、、、」
その夜宮町から電話が掛かってきた。
「拓の事なんだけど包丁使わせたの?」
「いや、拓が包丁使った事ないと言ったから教えてやろうと思ってね。まさか指切ると思わんかったよ。」
「今まで包丁使った事ないから!最初から上手く包丁を使うなんて!無理だよ!」
「はじめから本物の包丁を使った方が使い方を覚えると思ったから!」
宮町の郷里は漁師だったから宮町は魚を捌いたりするのは得意だった
「ありがたいけどケガをするような教え方をしないで欲しいの。宮町みたいに包丁を使いなれて無いから」
「わかったよ!もう何もしないから!電話切るわ!」
こんなやり取りは仕事で疲れた身体には余計に応えた
宮町とは相変わらず週末に車で近くまで迎えに行き
行きつけの居酒屋で飲んだ後、ホテルに泊まる日を送っていた
ある日宮町を送って行く前に行きつけの喫茶店でモーニングを食べていた
ポロン♪ポロン♪
宮町の携帯が鳴った
宮町は携帯を取って着信を確認するとテーブルに置いた
まだ鳴り続けている携帯を見た私は
「出なくてもいいの?出たら?」
宮町は携帯を取り「もしもし宮町ですけど、、、」
「電話ありがとうね。はい、はい、じゃあまたね」
私は黙ったままコーヒーを飲んでいた
宮町の家の近くまで来ると車を降りるとき
「麗香に余計な詮索をされたくなかったから電話に出たんだ。また電話するから」
宮町はそういいながら車のドアを閉めた
2日振りに出勤した。今日は店長が2階の靴の店にいるとの事だった。
休憩時間に店長の所に行き、周りりに迷惑をかけていて体調も良くないので仕事を辞めたいと話をした。
「えっ、どうしたの?突然そんな事言われても、、代わりもいないから。困るよ」
「申し訳ないんですけど、もう無理なんです」
「せめて今週いっぱいは出てくれないかな」
「わかりました」
あの後、どうやって帰ったのか全く覚えていなかった
最後の日、店長に保険証を返しに行ったが居なかった
私は仕方なく社員室の入り口にある事務所に店長に伝えてくれるよう言付けて帰る事にした
事務所を出る時、近藤さんが私を探していたのかバタバタとかけてきた
「本当に辞めるんだね!また店に遊びに来てね。」
「ありがとう、今までありがとうございました。」
面接の当日、朝から緊張して落ち着かなかった
午後1時の面接に合わせて家を出た
5分前に会社に着いた
建物の横に階段があり、階段を上がって行くと会社の入り口らしき物があった
「あの、今日1時に面接をする事になっている麗香と申しますが、、」
事務員らしき人が出て来て「どうぞ、こちらでお待ち下さい。」と長椅子に案内された。
5分ぐらい待っていると年配の社長らしき人が部屋に入ってきた
慌てて立ち上がると「あ、そのままで」と言いながら手前の長椅子に座った
履歴書を差し出すと袋から出しては「ふん、ふん、」と言いながら「図面を書いていたのかね」と聞かれた
「はい、少しだけですが」
「なるほど、いつから来れるかね」
「はい、明後日からで宜しければ」
「じゃあ明後日の9時に来て下さい。社の者には話しておくから」
話が上手く行き過ぎて驚いたが生活の事を考えると正直、嬉しかった。
週末の土曜日、宮町は約束通り拓を焼き肉に連れていってくれた。
最初は遠慮していた拓も宮町に「好きなだけ食べていいから」と言われ肉を焼こうとしたら
「最初はタンから焼かないとダメだ」と言われ自由に食べられなかった
考えると私はタンを拓と食べたりした事がなかった
「タンは焼きすぎると固くなるから焼きすぎない内に食べた方がいいぞ」宮町は拓に言いながら食べ始めた。
その後はどんどんハラミ等を網に乗せていきみんなでたらふく食べた。
1時間もするとお腹がいっぱいになり拓も満足そうだった。
拓はあまり話をしなかったが宮町に「受かって良かったな!」と言われ軽く笑っていた。
私は宮町が「俺はあいつの父親にはなれないからな」
と言っていた事を思い出した。そうだね子供がいない宮町には子供の気持ちは理解出来ないんだわね。
理解しようとしないんだね、、
仕事が終わって『アラン』に行くと駐車場に市原さんの車が止めてあった
ドアを開けて『アラン』に入って市原さんを探すと窓側の席に座っていた
私の顔を見て照れたように笑った。仕事以外に外で会うのは何故か新鮮な気がした。
市原さんの前の席に座ると「何飲む?コーヒーでいい?」と聞いた。
「この店よく来るの?」
「いや、会社から近いのはこの店だと思ったからね」
「麗香さんが頑張ってくれるから助かるよ~。ところで麗香さんて年いくつなの?」
「いくつに見えますか?」
「いや、女の人は化粧するからね。年はわからないんだ」
「そうか、、44歳です。会社の人には内緒にして下さいね」
「そうなんだ~、俺と4つ違いだね。もっと若いと思ったよ。」
「やっぱり年下だったのね。なんとなくそんな気がしてたわ」
「あっ、今俺の頭見ただろう。だめだよ!誤魔化したって!」
何故か二人して笑いこけてしまった
車を家に置いて窓から外を見ていると市原さんの車が近付いて来るのがわかった
私は慌てて階段を降りて行った
車に乗り込むと市原さんはスピードを上げて走らせた
となり街に入ると「この街は原田さんが住んでるんだよ。見つかるといけないからこれを掛けてくれる?」
そう言うとダッシュボードからサングラスを出しては私に掛けるように言った
私がサングラスを掛けると「あんた以外とサングラス似合うね。謎の女になるね!」
いつの間に私は「あんた」と呼ばれた
別に「あんた」の女でもないのに、、、
市原さんは結婚していて子供が3人いる事や奥さんが夜の相手はしたくないから
よそでわからないようにやってと言われたとドキッとするような事をポツポツと話した
何でも保育園に行ってる子供と一緒に寝てしまうので
後で寝室に戻って来いと言ってもそのまま寝てしまうので喧嘩になると言う事だった
挙げ句の果てにもう疲れて面倒くさいから夜の相手はしたくないから私にわからないようにやってと言われたらしい
次の週の金曜日、仕事中に市原さんが「明日、デートしようよ!お昼一緒に食べよう!11時に迎えに行くから。」
そう言って会社の更衣室に入って行った
土曜日、11時に外を見ると市原さんの車が止まっていた。慌てて私は階段を降りて行った
『キャットカフェ』でお昼を食べようと言う事になりとなり街まで車を走らせた
もうサングラスは掛けていない。そこはサンドイッチが美味しいお店だった。
食事が済むと車を走らせながらがんこな社長のエピソードなどをこことばかりに話した
車はプラネタリウムに着いた。
プラネタリウムは拓が中学生の時に行ったきりだった
家族連れや若いカップルに混じって久し振りにはしゃいだ気分になった
こんなデートは久し振りだった。その時は宮町の事は忘れていた。
その後は、市の図書館に行った
隣街の図書館に行ったのは初めてだった
自分の住んでいる街の図書館よりも大きくてビックリした
帰りにびっくりドンキーでハンバーグセットを頼んだ
今日のデートはお金のかからない所ばかりでとても新鮮に感じられた
家に着く途中に田んぼ道に入りしばらく音楽を聴いていると
市川さんは静かにキスをしてきた
「送って行くね!ありがとう。」
「楽しかったわ」
しばらく車を走らせた。
「何で、あんたは俺に付き合ってくれたの」
市川さんが聞いて来た
「あんたは旦那がいるんでしょう?俺が可哀想だと思ったの?」
「違う。そんなんじゃない、、」
何故か私にも解らなかった、理由などなかった
宮町の顔が頭に浮かんでいた
いつしか家の前に着いた。
気まづい空気を振り払うように「気を付けてね。おやすみなさい」と言うと
市川さんは黙って頷いた
私が家に入り窓のカーテンを開けて市川さんの車を見ると
それを合図の様にして市川さんは車を走らせて帰って行った。
次の日、出勤すると市川さんは何事も無かったかの様に忙しく働いていた。
その夜、宮町から電話があった。
「今週、飲みに行こう!元気でやってるか?麗香」何やらバックから騒がしい声が聞こえて来た。
「飲んでるの?」
「飲んでるよ!今週飲みに行こう!」
「はーい、解りました。あんまり飲み過ぎないでね」
「じゃあ、また電話する!」
何なんだ、今の電話、、
私と宮町の関係が落ち着いている証拠何だろう。勝手にそう思っていた。
木曜日の午後、仕事中に市川が麗香さん、と呼び止められて紙を渡された
そこには「今日、会えない?仕事終わったらいつもの喫茶店で待ってる」と書かれていた。
私は迷ったけど行く事にした
仕事が終わって喫茶店に行くと市川の車が止まっていた
「車を置いておいでよ!迎えに行くから。」
「わかった!」
私は家に車を止めに行き市川さんの車が来るのを待った
しばらくすると市川さんの車が見えた。私は慌てて車に乗り込んだ。
「この前は俺が言い過ぎた!ごめん。」
「別に気にしてないから良いです」
近くの田んぼ道の空いてる所に車を停めて1時間ぐらい話をしている内に辺りは暗くなってきた
「あのさ、、、」と言うと突然市川さんが覆い被さって来た
助手席の椅子を倒してキスをしてきた
私は抵抗したけど無理だった、そのまま結ばれてしまった
「これからも会ってくれる?」
「あんたの彼は子供いないんだろ。気を付けなくてもいいからなんて言ってるけど種無しだろ、、、」
「そんな事関係ないけど、、、」
「もう暗くなってきたから送って行くから」
その週の土曜日に宮町から電話があった
「宮町だけど、今日飲みに行こう。今から迎えに来てくれ。」
「はーい。解りました」いつもと変わりない宮町の声
迎えに行くと宮町はすでに来ていた
「しおんに飲みに行こうか!」
しおんは最近見つけた飲み屋だったが、如月と違って騒がしい店だった。
12時近くになり、コンビニで宮町の好きなワンカップを買って近くのホテルに入った。
シャワーを浴びてベッドに入り、いつものように愛し合った。
そしていつしか眠ってしまった。
明け方に目が覚めると宮町は静かに煙草を吸っていた。私は宮町の煙草の匂いが好きだった。
ふと、宮町が私に気が付いた。
宮町は「麗香、木曜日の夕方はどこにいた?」
「会社の人とお茶してた、、」
私はドキドキしながら平静を装って言った
「そうか、、、」
宮町はチラッと私を見て
「麗香、本当の事を言ってくれ!今なら許してやるから、、、」
「、、、」
「家に行った時に連絡してくれと書いてあったのは何の事なんだ!」
やっぱり宮町は家に来て書いてある伝言を見たのだ
「あれは拓に連絡が取れないといけないから書いておいただけなの!拓の携帯の調子が悪いから、、、」
最初は何を言っているのかわからなかった
「宮町の事が嫌いなら言ってくれれば良かったのに、、、」
「もう、別れようか!」
「なんで?どうして、、、」言葉に詰まった
気まずいまま仕度をして、黙ってホテルの階段を降りて行った
そのまま宮町を家の近くまで送って行った
宮町は振り向きもせず自分の家に向かって歩いて行った
(私だって8年待ってるのに)
言葉にならない呟きだった
それから何日も眠れない日が続いた
私は宮町に本当の事を話そう、きっと宮町ならわかってくれる
嘘は付きたく無かった
それから1週間後、宮町から電話があった
「話したい事があるの」
「そうか、、、明日朝、マーメイドに来れるか?」
マーメイドは宮町の街にある喫茶店だった
朝、マーメイドに着くと宮町が車の中で待っていた
宮町は車に乗るように手招きをした
車に乗り込むと「話しがあるんだろ、どうなんだ、、、」
「ごめんなさい、、、私もなんて言っていいのかわからなくて」
「、、、」
「会社の人に誘われてて、1度だけ、、、」
「その人の事は好きなのか?」
「、、、」
「好きでもないのか!好きならわかるけど好きでもないのになんでや!」
「そんなの相手の男がかわいそうやんか!」
「そんなんでなんで俺に抱かれたんだ!あんたのやってる事は如月のママと一緒やんか!けがわらしい!!」
「もう、降りてくれ!!」
宮町の怒りは凄かった
私は黙って車を降りた
車の中でどれくらい時間がたったのだろう
まさか宮町と別れる事になるなんてなんて、、、
テレビで誰かが言っていた
好きな人が浮気をしたら本当に好きだったら許せないから別れる、好きな人の事がどうでもよかったら別れない
宮町は本当に私の事を愛していたのだろう
それから2日仕事を体調が悪いと休んだ
3日後、朝7時頃、宮町から電話があった
「麗香、、なんでなんだ、、」
「あの、、宮町、、ごめんなさい」
宮町も苦しんでいるんだ
それきり電話は切れた
宮町と別れる事がこんなに苦しいなんて、自分を責めて苦しんだ
ただ、ただ涙がこぼれた
私が初めて愛した人、そして身体で愛し合う歓びを教えてくれた人
それからは宮町の事を忘れようと仕事に没頭した
定時が近い時間の納品も進んでやるようにした
そして、ある日糸がぷつりと切れた
いつしか妹に電話をしていた
妹と待ち合わせをしたのは奇しくも如月と言う喫茶店だった
宮町の行きつけの如月だった
如月は名前こそ変わっていないが時代の流れに押されたのか
喫茶店に変わっていた
店の奥を見ると着物を着た女の人がおしぼりを用意していた
かって「ちあきなおみ~」と私を迎えてくれたあのママだった
相変わらず着物が似合っていたが少しくたびれたような後れ毛が淋しげに見えた
ママはおしぼりを置いてコーヒーの注文を取るとさっさと店の奥に戻って行った
妹の顔を見ると思わず涙がこぼれてきた
「どうしたの?彼と何かあったの?」
妹は宮町とは顔を合わせた事があり知っていた
今までのいきさつを話した
「それは姉さんが悪いわ。すんでしまった事は仕方がないけど別れたくなかったら本当の事を話しちゃダメだわ!」
「話したら許してくれると言ったから本当の事を話したんだけど、、」
「男は口ではそういうけど、そんなもんじやないわ!」
「、、、」
「いくら嘘でも何にも無かったと言わなきゃ!そんなもん男が許す訳無いんだから」
「、、、」
「私は女優よ!みたいな気持ちでやらなきゃ!本当の事なんて黙っていたらわかりゃあしないんだから」
恋愛経験豊富だとのたまう妹の言葉にますます落ち込んでいった
後からわかった事だが妹はこの時不倫をしていた
旦那さんと子供3人いての不倫に旦那さんの顔が浮かんだ
相談した相手を間違えた、とさすがの私も冷静さをなくしていたのだった
それから1時間近く過ぎた頃だろうか、
突然会場の電気が突然消えて真っ暗になった
みんなは一瞬何事が起こったのか解らずに静まりかえった
すると突然、隣の人が私の手に何かを握らせた
しばらくすると電気が付いた。その後は何事もなかったかの様に飲み会が続いた
私は恐る恐る手に握らされたものをそっと見てみた
それは営業の加藤さんの名刺だった
裏返して見ると『もし宜しければ電話を下さい!』と書いてあり携帯番号が乗っていた
思わず隣の加藤さんを見ると向かいの人にビールをついで話をしていた
まるで名刺を渡すタイミングを見計らった様に、突然電気が消えた事が不思議な感じがした
その後、加藤さんと特別に話す事もなく飲み会はお開きになった
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