🎭ある暗黒卿の気紛れな呟きⅡ🎵＋⚡✒🐱

音楽の話はしばらく置き、今度はキリスト教関係など。

何でも先日の関東地方を襲ったデカイ台風で、御茶ノ水のニコライ堂の事務所(本堂の手前。門を入ってすぐ左)の古いカワラ(？)の伝統的な屋根が吹き飛んだらしい!?🌀

まだ本堂でないから良かったものの、あれでも元通りの色彩を出すには結構、修理が大変なのでは無いか？

東日本＆東北大地震の時も東北にある正教会のかなりの数が被害受けたが、今回もまた！

何か正教会てイマイチ不運続きかな？

何でだ、一番正統派のハズなのに!!
歴史的にも十字軍に蹂躙されるわ、トルコの支配を数百年受けるわ、ロシア革命でソ連が誕生し東欧全体に宗教を虐待する共産主義が広がりギリシャ以外の正教会は迫害された。
最近はシリアなど中東の正教会がイスラム過激派の犠牲にされているし。

これは単なる地理的な理由からか、それとも解釈に拠っては正統派キリスト教会とはキリスト自身や使徒らみたいにこの世で苦悩を受けるのが本当なのか？

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>> 201 ところで正教会(オーソドックス)とカトリックの近くて遠い、または遠くて近い関係について、歴史的な理由などは確か以前にいくつもレスしたが…。

とにかく見た目に騙されてはいけない。正教会はギリシャ(と言うよりビザンツ/東ローマ帝国)を中心に中東からバルカン、ロシアまで弘まり当然、中東的(ロシアもアラブとは違う意味で、やはり中東的、モンゴルの影響に西欧が重なった東西の間の国と言えるだろう？)な外見だ。

他方、カトリックは西ローマ帝国が早々５世紀に滅亡し、後に続々侵入してきたゲルマン民族をローマ総主教(後のローマ教皇)が教化して西欧中心に弘まったから、スペインみたいに長年イスラムに支配されていた地域を除くと、全く中東とは無縁な外見をしている。

でルター以後カトリックから分かれたプロテスタントも、見た目についてはカトリック教会の影響を受け(他に誰の影響を受ければ良かったと言うのか!?)、カトリックを簡略化した方向に進んだ。

つまり見た目だけならカトリックとプロテスタントは近く、オーソドックスは両者と全く異なる感じがする。

実際、特にプロテスタントの人々は詳しい歴史や神学背景を知らなくて、こう思っているのも多いのでは？

だがカトリックの本音では、使徒伝承と言ってカトリック、オーソドックス、イギリス国教会だけがキリストの12使徒により祝福された司教らが代々受け継いできた正式な聖霊の力を持つ教会で、他のプロテスタントはハッキリ言ってしまえば異端、偽物なのだ！

これをハッキリ言って問題起こしたのが前教皇だったベネディクトゥス16世。
他の教皇や司教らも内心そう思っているが、争いを好まず本音をボカしてプロテスタントと仲良くしようとする。

なおベネディクトゥス16世はオーソドックスやイギリス国教会に対して、使徒伝承の正当性を認めるがローマ教皇の優越権(カトリックつまりローマ教皇のみがキリストに全権を託された使徒ペトルス/ぺテロの後継者で唯一の世界の教会の長だとする聖書解釈)を否定し、他の大司教/大主教らを12使徒の後継者であるからローマ教皇と同格だと考える点を取り上げ、不完全な教会と言い、オーソドックスらの反感を買った。

だがベネディクトゥス16世がどんなに嫌われた教皇だったにしても、彼の発言が正直にカトリックの立場を明らかにしている事は事実だ。
↩

• << 205 >>なおベネディクトゥス16世はオーソドックスやイギリス国教会に対して、使徒伝承の正当性を認めるがローマ教皇の優越権(カトリックつまりローマ教皇のみがキリストに全権を託された使徒ペトルス/ぺテロの後継者で唯一の世界の教会の長だとする聖書解釈)を否定し、他の大司教/大主教らを12使徒の後継者であるからローマ教皇と同格だと考える点を取り上げ、不完全な教会と言い… 上の部分だが、確かに新約聖書の福音書に依れば、キリストがペトルスに｢お前の上に私の教会を建てよう。お前が赦す者は天でも赦され、お前が罪人と定める者は天でも裁かれる｣と、要約すればこのような事を言い、ペトルスに全権を与えているような記述がある。 でカトリックの解釈だとペトルスは最後、ローマに行きそこでネロ帝時代に殉教したが、その前にローマの信者らの頭(いわゆる司教/主教)を決めて、その者を祝福した、と。 つまりペトルスが初代ローマ司教で、彼に祝福され司教になった者が二代目ローマ司教、そうやってローマ司教(教皇)が代々現代まで続いている、と考える。 対するオーソドックス(正教会)などの解釈では、ペトルスはイスラエルからローマに来る前に途中あちこち(主にギリシャ語圏の地域)を回ったわけで(飛行機もない当時、エルサレムからローマまで行くのはかなり大きな旅！)、立ち寄ったそれぞれ地域の教会で説教し布教活動し、その教会の頭を定め祝福したはずである。つまりローマはたまたまペトルスが殉教した地であるに過ぎず、彼によって祝福された他の地域の教会の頭(司教ら)も皆、ローマ司教と同等であろう、と考える。 更にキリストは弟子ら(特に12使徒)を平等に扱い、名目上ペトルスを使徒らの平等の中の第一人者にしていたに過ぎない、だから他の使徒によって布教し建てられた教会の司教らも、本質的にローマ司教と同等だとする解釈もある。 大体以上がローマ司教(教皇)の優越権に対するカトリックとオーソドックスの各々の見解だ。

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>> 202 で現実にカトリック教会は、ミサの一番肝心なユーカリスト(聖体拝領)をカトリック信者にしか許していないが、例外としてオーソドックス信者は許されている。
これはカトリックがオーソドックスに対しては、近い正統派だと考えている、或いはオーソドックスも現代ではカトリックの一部(笑)だと考えているからだろう？
後者の場合、オーソドックス側にとってはいい迷惑かも知れないが!?

他方オーソドックス側では、特に最高権威(平等の中の第一人者)であるコンスタンティノープル総主教や、ルーマニア総主教などがカトリックとの和解に積極的であるが、まだ自派(オーソドックス)信者以外にはユーカリストを認めていない！

しかも昨年の秋以来、コンスタンティノープル総主教とモスクワ総主教がウクライナ正教会の独立を巡り対立し、ロシア正教会(モスクワ総主教)側がコンスタンティノープル側と関係を絶ってしまった。

これは日本正教会(形式的にはロシア正教会の傘下)も含めて、世界中のオーソドックスがマイナーな地域の教会は曖昧な態度を取って実質どちらとも交流しているが、理論的には現状でオーソドックスが二分していて、ローマ教皇との関係もローマ、コンスタンティノープル、モスクワの三つ巴の複雑な駆引きに成ってしまっている。

コンスタンティノープルとローマ教皇の間では既に20世紀半ば和解が成立し、ヴァチカンの教皇選挙(コンクラーベ)にはコンスタンティノープル総主教もオブザーバーとして列席するくらい。

他方モスクワ総主教(ロシア正教会)はずっとローマ教皇と対立ムードだったが、近年、中東情勢や世界のリベラル化に対応すべく初めてキューバで会見し、相互協力の姿勢を打ち出した。

この段階でオーソドックスもカトリックも内実を知る者は、軽率なマスコミと違い、急に両教会の合一など有り得ないと分かっていたが、しかしそれでもコンスタンティノープルだけでなく正教会最大の信者を持つモスクワ(ロシア正教会)までもローマ教皇と対立を辞めたのは、いい兆候だとは思っていたはず。

しかし昨年の正教会内で、最高権威のコンスタンティノープルに対し、最大権力のモスクワが絶縁状叩きつけた為、またもや関係が微妙に成ってきた。
↩

• << 206 >>昨年の秋以来、コンスタンティノープル総主教とモスクワ総主教がウクライナ正教会の独立を巡り対立し、ロシア正教会(モスクワ総主教)側がコンスタンティノープル側と関係を絶ってしまった。 この部分。このモスクワ総主教(ロシア正教会)がコンスタンティノープル総主教(全正教会の名誉上の権威者)と絶交した件だが、これは前にも書いたように単に政治的理由であり、オーソドックスとしての教義はどちらも全く同じままであるから、宗教として見た場合、コンスタンティノープル側もモスクワ側も全く同じ派(オーソドックス/正教)であるのに変わりない。 こうした例は過去にも似たようなケースが幾つもあり、普通は一定期間が経過すれば互いに和解を模索し、絶交を解除、そしてまた普通に交流が始まる。 この点は、カトリックとオーソドックスの和解イコール全面的な合一では無いのと全く違う。 ただ危惧されるのが今になってオーソドックス内部の権威や権力争いが表面化し、権威は一番だが単にイスラム国家トルコのイスタンブールに細々と存在するだけのコンスタンティノープル総主教と、オーソドックス最大勢力であるロシア正教会の長であるモスクワ総主教、特に後者が近年、世界のオーソドックス全体のリーダーを露骨に目指し出した事への、コンスタンティノープルや他の伝統ある総主教らの反発が今回の絶縁の背景である。 つまり政治的にはローマ教皇との関係も兼ねて、三つ巴の複雑な駆け引きになる可能性が高いのだ！

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>> 203 ともかく、現状で理想だと考えられるのは、オーソドックス側はローマ教皇を古代に実際そうだったように、ローマ総主教として認める事(これは現実にかなり実現してきている)。更に一歩進めて、ローマ教皇を平等な総主教らの中の第一人者扱いくらいまで行けたら行っても良いのでは？

ただしこれはオーソドックスがカトリックの支配を受ける意味ではなく、ローマ総主教(教皇)側は今まで通りカトリック教会以外には口を出さない、オーソドックスはオーソドックスの総主教らで運用する。この点が重要。

またユーカリスト問題も、かなり難しいにしてもオーソドックス側も最初は予めカトリック側と打ち合わせ、当該するカトリック教会の神父に率いられた信徒のみにユーカリストを認める所から和解を進めても良いだろう!?
(オーソドックスのユーカリストは動作が単純でない為、予め動作について聖職者の指導を受けていないと現実問題として混乱を起こす点も考慮)

対してカトリック側は、現在の対応でかなり問題ないが、ベネディクトゥス16世みたいな思想を改め、オーソドックス各総主教や主教もキリストの12弟子(使徒)の祝福を受けた者から代々祝福を伝達された者だから、使徒の平等の中の第一人者ペトルス(ぺテロ)の後継者を自認するローマ教皇の傘下ではなく、互いに和解し連合作るような関係を結ぶべき者だと認める事だ！

あと頭を悩ませるのがウクライナやロシアにある東方典礼カトリック教会の問題だが、私はこちらについては深い知識に欠けるから論じない。
ただ良心的な解決案を見出して欲しいと思うだけ。

こうして東のオーソドックスと、西のカトリックは、合一とは成らないまでも、今まで以上に互いに近い、まあ一種の正統派連合みたいな関係が築ければ、一番良いのでは無かろうか？

東の性善説に対する西の性悪説とか、フィリオクェ問題などの神学的相違が存在するが、前者については近年のカトリックは積極的に他の宗教の美点を取り入れているから以前ほど問題では無くなった。
フィリオクェもギリシャ語原文には当然無いわけで、このギリシャ語原典版を十年くらい前、ローマ教皇とコンスタンティノープル総主教が合同で唱えたと言う事実は、カトリック側にも古代に正統派全体で定めた教義に還る用意が全く無いとは言えない、と考えたい！

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>> 202 ところで正教会(オーソドックス)とカトリックの近くて遠い、または遠くて近い関係について、歴史的な理由などは確か以前にいくつもレスしたが…。 … >>なおベネディクトゥス16世はオーソドックスやイギリス国教会に対して、使徒伝承の正当性を認めるがローマ教皇の優越権(カトリックつまりローマ教皇のみがキリストに全権を託された使徒ペトルス/ぺテロの後継者で唯一の世界の教会の長だとする聖書解釈)を否定し、他の大司教/大主教らを12使徒の後継者であるからローマ教皇と同格だと考える点を取り上げ、不完全な教会と言い…


上の部分だが、確かに新約聖書の福音書に依れば、キリストがペトルスに｢お前の上に私の教会を建てよう。お前が赦す者は天でも赦され、お前が罪人と定める者は天でも裁かれる｣と、要約すればこのような事を言い、ペトルスに全権を与えているような記述がある。

でカトリックの解釈だとペトルスは最後、ローマに行きそこでネロ帝時代に殉教したが、その前にローマの信者らの頭(いわゆる司教/主教)を決めて、その者を祝福した、と。
つまりペトルスが初代ローマ司教で、彼に祝福され司教になった者が二代目ローマ司教、そうやってローマ司教(教皇)が代々現代まで続いている、と考える。

対するオーソドックス(正教会)などの解釈では、ペトルスはイスラエルからローマに来る前に途中あちこち(主にギリシャ語圏の地域)を回ったわけで(飛行機もない当時、エルサレムからローマまで行くのはかなり大きな旅！)、立ち寄ったそれぞれ地域の教会で説教し布教活動し、その教会の頭を定め祝福したはずである。つまりローマはたまたまペトルスが殉教した地であるに過ぎず、彼によって祝福された他の地域の教会の頭(司教ら)も皆、ローマ司教と同等であろう、と考える。

更にキリストは弟子ら(特に12使徒)を平等に扱い、名目上ペトルスを使徒らの平等の中の第一人者にしていたに過ぎない、だから他の使徒によって布教し建てられた教会の司教らも、本質的にローマ司教と同等だとする解釈もある。

大体以上がローマ司教(教皇)の優越権に対するカトリックとオーソドックスの各々の見解だ。

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>> 203 で現実にカトリック教会は、ミサの一番肝心なユーカリスト(聖体拝領)をカトリック信者にしか許していないが、例外としてオーソドックス信者は許され… >>昨年の秋以来、コンスタンティノープル総主教とモスクワ総主教がウクライナ正教会の独立を巡り対立し、ロシア正教会(モスクワ総主教)側がコンスタンティノープル側と関係を絶ってしまった。


この部分。このモスクワ総主教(ロシア正教会)がコンスタンティノープル総主教(全正教会の名誉上の権威者)と絶交した件だが、これは前にも書いたように単に政治的理由であり、オーソドックスとしての教義はどちらも全く同じままであるから、宗教として見た場合、コンスタンティノープル側もモスクワ側も全く同じ派(オーソドックス/正教)であるのに変わりない。

こうした例は過去にも似たようなケースが幾つもあり、普通は一定期間が経過すれば互いに和解を模索し、絶交を解除、そしてまた普通に交流が始まる。

この点は、カトリックとオーソドックスの和解イコール全面的な合一では無いのと全く違う。

ただ危惧されるのが今になってオーソドックス内部の権威や権力争いが表面化し、権威は一番だが単にイスラム国家トルコのイスタンブールに細々と存在するだけのコンスタンティノープル総主教と、オーソドックス最大勢力であるロシア正教会の長であるモスクワ総主教、特に後者が近年、世界のオーソドックス全体のリーダーを露骨に目指し出した事への、コンスタンティノープルや他の伝統ある総主教らの反発が今回の絶縁の背景である。

つまり政治的にはローマ教皇との関係も兼ねて、三つ巴の複雑な駆け引きになる可能性が高いのだ！

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今度は語学の話題🎐

日本人の一部には、英語コンプレックスと言うか、語学イコール英語と考えている、偏った意見を持つ人が存在する。
(そうではなくて、日本語に誇りを持つ人々-単なる国粋主義者または英語コンプレックスの裏返しの者でなくて-は、多分尊敬に値するだろう)

ただ英語カブレの日本人がよく見落としている事として、欧米では英語は一番易しい言語の一つとされ、出来ても何も偉くなく、欧米諸国で真に格が高い言語はラテン語と古典ギリシャ語だと言う事だ！

この２言語だけは別格扱いであり(フランス語やドイツ語圏だけでなくスラヴ語圏や無論、英語圏でも)、出来る、または分かる者は真のインテリ、エリート扱いされるのだ。

まあどちらの言語も西洋文明の基礎であり、また文法が極めて難しく、習得に時間がかかる。私としては、古典ギリシャ語の方がラテン語より数段難しく感じるが、ラテン語とて現代の欧米諸語と比較したら一番難しい部類だ。(ヨーロッパ系言語の中でも文法が一番難しいとされるポーランド語やリトアニア語-ポーランド語と違い私はやった事ないし詳しくないが-と少なくとも互角だろう)


私は何も日本人に英語だけでなくラテン語や古典ギリシャ語をやれ、と勧めているわけでは無い！
真に西欧文化に関心持ち、それを極めたい人ならどの道、これらの古典語をやらねばならないし、自発的にやるだろう？
他のケースならば、ラテン語もギリシャ語も日本人の古典ではないから、誰も西洋で日本人がこれらを出来るのを期待しないだろうし。

ただし英語が全てとだけ思っていると、仮に西欧人と会話できても、それだけで終わり。薄っぺらい人だと思われるだけ。

因みにこのレスに書いたカタカナ英語や和製英語の単語も、本当は英語ではなくラテン語から来ているモノが殆ど！
ただしカタカナ英語も和製英語も、ラテン語オリジナルを一度英語の発音と言うフィルター通して日本語に入っているから、発音に関してはラテン語と余り似ていない。しかしアルファベットの綴りを見れば、ラテン語が分かる者にはハッキリ分かるのだ。

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>> 207 このラテン語&ギリシャ語の２語を別格とする考え自体、西洋の思想であり、これを全世界に主張する事は西欧植民地主義の名残だと考える者もいるだろう？

だが現状では西欧文明がまだまだ世界に与えている影響が絶大だから(生活スタイル、医学、他の学術、オリンピック、法律など殆どの文明生活の基礎)、こう主張する事もまた仕方ないだろう？

本当なら東アジアの古典は漢文(古代&中世の中国語)であり、更に仏教やアジアの東半分(インド圏も含める)についてなら、サンスクリットが漢文と並んで２大古典なのだ。
(中東イスラム圏ならやはりアラビア語か？)

だが漢文を古典とする世界や世界観は、まだ地球全体から見たらローカルなモノに過ぎず、サンスクリットは世界の精神世界(!?)や比較言語学では重要だが、インド圏や仏教圏以外では難解な古代語というイメージだ。
(ただしラテン語、更に古典ギリシャ語の専門家にまでなった者は西欧人の学者でもサンスクリットを-インド文化や仏教に関心なくても-、印欧語の古い形を研究する上で真面目で尊敬すべき言語と考える！)

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>> 208 一応確認しておけば、古典ギリシャ語は古代ギリシャで話され書かれた言語で、古代ギリシャ文明自体はヨーロッパだけでなくイスラム世界でも重要である。
またキリスト教の聖典である新約聖書がギリシャ語で書かれ、またキリスト教関係の基礎をなす教義も全てギリシャ語で書かれたから、その意味でもギリシャ語は大変重要な古典である。

ラテン語は古代ローマ人らの国語であり、ローマ共和国及びローマ帝国の拡大で帝国全域の公用語になった。哲学やキリスト教関係では先輩のギリシャ語の影響をかなり受けたが、ローマ文化同様に、それを普遍的なモノとして集大成し特にヨーロッパ各地に広めた。

つまり５世紀にローマ帝国が東西に分裂し、東ローマ帝国側は次第に本来そうだったギリシャ語圏に戻り、ギリシャ語をラテン語に代わって公用語にしていき(これゆえ東ローマ帝国をビザンツ帝国とも呼ぶ)、そのキリスト教であるオーソドックス(正教)を広めた地域-ギリシャ、ブルガリア、セルビア、ロシア等-ではラテン語は古典でもなく済ませるが、他のヨーロッパ地域つまり滅亡した西ローマ帝国の後にカトリック教会が布教した所謂、西欧文化圏-ラテン語の子孫語を話すイタリア、フランス、スペイン、ポルトガルは勿論、ドイツ、オーストリア、スイス、イギリス、北欧、またスラヴでもカトリック圏であるチェコ、ポーランド、クロアチア等-でラテン語は最大の古典なのである。

またロシア等でも、本来はギリシャ正教圏だが、近代になると西欧化の必要からギリシャ語以上にラテン語をエリートが勉強する習慣になった。

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>> 209 ところで古典ギリシャ語やラテン語について、偉大だが｢死語｣だと言う見解があるが、これは間違いで、古代のギリシャ語はかなり形を変えて現代ギリシャ語に｢変容｣したのである。(私個人は｢変容｣より｢超劣化｣と言いたいが現代ギリシャ人らを怒らせたくないから～)

他方ラテン語は各地で方言が酷くなりこれまた方言毎に｢変容｣したイタリア語、フランス語、スペイン語などに成って生きている、だけではなくて、ラテン語自体がずっと中世、近世ヨーロッパで大学や教会で正式語として使われ続け、そういう場所では当然ラテン語が話され書かれたのだ！
だから当然、学者、聖職者、また教養ある王侯貴族などもラテン語が話せ書けた。

その後もラテン語は論文等で19世紀まで、カトリック教会のミサでは20世紀半ばまで使われ(むしろラテン語以外が｢禁止｣だった)、ヴァチカンでは教皇始め高位聖職者や学者は今もラテン語を話し書きしている。
またWikipediaには諸外国語の欄にラテン語があるし、フィンランドにはラテン語放送局もある。
更にノーベル賞やイギリスのオックスフォード大学の名誉博士号授与式ではラテン語を使い、ＥＵの国歌としてベートーヴェンの第９の合唱部分が採用された時もオーストリア政府が歌詞をドイツ語からラテン語に訳して付けた。
更に言うまでもないが、現代でもヨーロッパの主な国々では中等教育の場でラテン語は勉強されている。
日本人が英語を中学高校で勉強しているように(笑)

ただヨーロッパでは中等教育は将来、数少ない国立大学に行く人の為のモノで、青少年の皆が受けるわけではなく、将来インテリに成らない人々は代わりに小学校を出たら職業訓練学校に行くから、大人でもラテン語教育を全く受けなかった人も多い。逆に言うとラテン語が少しでも出来れば一応インテリと言う意味でもある。
(古典ギリシャ語は更にラテン語を数年習った者が高校で希望すれば授業受けられるようなシステムを採用している国々が多い。)

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>> 210 つまり日本人の英語偏重も別に自由だが、まあフィリピンや東アジア、東南アジア、インド、アフリカ等の人々とのコミュニケーションには英語が必須かも知れないが、欧米人特に大学出たような人々と英語で話す時には、彼らは前のレスまでに述べたような背景を持っている事を、よく知るべきであろう!!
(豪州やニュージーランドの人々はこの限りでは無いか？
米国カナダもかなりのエリート以外、やはりラテン語なんて片鱗だけだな💦
英語の知識だけだとラテン語や古典ギリシャ語なんて、文法からして全く敷居が高過ぎるから。そして困った事に米国等では何と中等教育に外国語が選択制度で義務になっていない場合も多いから、ドイツ語、フランス語、スペイン語等も全く触れずに高校卒業する学生もかなりいる。
つまり日本人よりはるかに外国語が出来ない、のだ⤵)

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>> 211 これはヨーロッパ語と言うものは屈折言語であり、名詞や形容詞の格変化、動詞の人称変化、時制変化、態変化等を持ち、時代が古い程、この特長が強く変化の種類が多く複雑になるからだ。

つまり英語はヨーロッパ語の中で一番、格変化や動詞変化が退化していて、変化自体が元々無い日本語が母語の日本人も英語の格変化や動詞語尾変化で悩む人はまず居ないのでは？

そこで格変化、動詞語尾変化が真逆に複雑なラテン語や古典ギリシャ語を学ぶには、英語の知識からだと距離があり過ぎるのだ。

でまず現代語ならフランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語のどれかを学ぶべき。

フランス語、スペイン語などロマンス系言語は、動詞語尾変化がガッチリあり、ラテン語の子孫だからボキャブラリーがラテン語に近い場合が多いのが長所。

他方ドイツ語は、ゲルマン語だからボキャブラリーはロマンス語ほどラテン語に近くないが、名詞、形容詞などの格変化を持っているから(当然、動詞語尾変化も)、人によってはロマンス系言語学んだ場合よりラテン語が楽。更に古典ギリシャ語となればロマンス系言語できる人よりかなり有利。

ロシア語、ポーランド語などスラヴ系はもう既に変化の塊みたいな言語だから、古典語の格変化や動詞語尾変化については、改めて悩む必要ない。単に覚えるだけ。

だからまあ現実問題として日本人で古典語を始める人なら、フランス語、スペイン語、(イタリア語)、ドイツ語のどれかを学んだ経験がある者が普通だろう!?


次に簡単に発音について。

まず古代ギリシャ語から。

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>> 212 古代ギリシャ語は普通、紀元前５から４世紀の百年間にアテネで使われた方言を｢古典ギリシャ語｣として学ぶ。この時代がギリシャ文化の全盛期だったからだ。

或いはキリスト教関係でギリシャ語を学ぶならば、少し後の国際化したコイネ･ギリシャ語(新約聖書が書かれた言語)から入る。

以上、古典ギリシャ語とコイネ･ギリシャ語の間には、そんなに大差はない。一部の子音の発音が違うくらい。ただし古典ギリシャ語の方が少し難しいから、コイネから入って古典を読む場合の方が逆より辛い。


ただギリシャ語には現代ギリシャ語なるモノがあるから、現代ギリシャ人らは古典やコイネを読む場合も現代語の全く昔と違う発音で読む。
(コイネによる新約聖書原典や初期キリスト教の儀式書はギリシャの正教会ではそのまま今でも読まれる。ただし現代語の発音で)

しかしギリシャ人以外は、古典やコイネを読む場合、近代の言語学で精密に復元された発音をするのが普通。

これは面白い事に、日本人の日本式発音の方がそのまま正しい古代ギリシャ語になる。少なくとも英語、フランス語話者がそのまま読むギリシャ語よりは！

古代ギリシャ語は、発音が日本語に似て、高低アクセント(強弱ではない)、母音が多くその長短があったからだ。

ただし古典にしてもコイネにしても、声に出すのは古典や聖書の音読だけで、この言語で会話する事はまず無い。死語と言うより、現代ギリシャ語が存在するせいで(!?)

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>> 213 対するラテン語は、実際にヨーロッパ諸国でエリート言語として近代まで使われていたため、少し複雑。


まず正しい、と言うか古典的、正統的な発音は紀元前１から紀元後１世紀のやはり百年間。キケロー、カエサル、ウェルギリウス、アウグストゥスからネロ(笑)辺りまでが喋っていた発音だ！

次いで４世紀にキリスト教が公認される頃には、幾つかの子音や二重母音が少し変化する。この読み方は、日本より却ってヨーロッパで許容される。(一番良いのは勿論古典式だが)

次いで中世のカトリック教会で普通に使われた｢教会ラテン語｣の発音がある。これは古代のラテン語を幾分イタリア語みたいに発音する。
ただしこれは現代のカトリックでも使われ、また音楽でもミサやレクイエムではこの発音になるから、古典に次いで重要な発音だ。

それから近代までに各国で訛ったラテン語の発音がある。例えばCAESARカエサルなら、ドイツ式ツェーザーまたはケーザル、イタリア式チェーザル、英語式シーザーなどだ。

こういう発音は、今日ではラテン語を読む場合は間違いであるとされ、古典ラテン語の発音をすべきと直されるが、ドイツ語や英語の中に出てくる場合は慣用に従い、ツェーザーだのシーザーだのと読む。

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>> 214 つまり日本人がやる場合、純粋に古代ローマだけなら古典式発音で良く、キリスト教文書や聖歌に関わる場合、教会ラテン語の発音も知る必要があるわけだ。

ヨーロッパ諸国語が母語でないなら、ドイツ式だの英語式だのは覚えなくてもいい。

なお古典ラテン語(教会ラテン語もか!?)の発音も、古典ギリシャ語同様に日本人にかなり有利だろう？

もしアメリカ人と日本人がそれぞれ自国語の発音でラテン語を喋るなら、間違いなくアメリカ人のは古代ローマ人らに全く通じない。他方、日本人のは何とか通じる。

ただし日本のラテン語専門家がたまに書くように、日本語がラテン語発音にどのヨーロッパ語よりも有利かと言うと、思わぬ落とし穴が存在する。

それはラテン語がイタリア語と比べて母音で終わらず子音で終わる単語が多く、日本人の平仮名読みの癖が子音で終わる言語で不利な事、それからラテン語は日本語みたいに高低アクセントだけでなくドイツ語みたいな強弱アクセントも伴っていたという説も有力だからだ。

また母音はa,e,i,o,uにy(ドイツ語のuウムラウト)を加えただけだが、eは日本語より横に広く、oはかなり口を丸くする。つまり母音発音ではドイツ語が更に有利となるだろう。

(と言うかドイツ語は発音自体が頭に強アクセントが来るゲルマン式と、幾つかの子音や二重母音を独特な発音する点さえ除けば、ヨーロッパ言語の中でも意外にラテン語に発音体系が近い、とも言える。

ゲルマン語だが話者が一番大陸寄りでかつてローマ帝国領だった地域と重なる部分も多い-ライン川の西、ドナウ川の南、あと中間のリーメスより内側-から、英語や北欧語みたいな、かなりラテン語から離れた発音に成らなかったのだろう。)

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>> 215 これに追加すると、しかし人間結局、自分の言葉の癖には気付き難いのかも知れない。

恐らく私は気付かない部分で、ドイツ語にもラテン語読む話すのに他の言語の人々から見たら、他にも癖があるのかも知れない!?

まず各単語の頭に強アクセントを付けるゲルマン語特有の癖を直す。

次いでs等をzの音に濁らせない。(ただしオーストリア訛りが本来の私の場合、濁らないのが本来の姿)

あとvをuつまり英語のwの発音にして読む。→これはドイツ語よりむしろイタリア語やフランス語、スラヴ語、英語の連中が気をつけるべき事。
後はドイツ語話者は無意識に単語末のd,g等を濁らずにt,kと発音してしまう癖があるな💦

後は一般に単語最後の子音の問題も。これは流石の近代の言語学、音声学でも分からないのだが、古典ラテン語の語末の子音、例えばtをどう発音したのか？

つまり日本人にはtとはカタカナのトみたいに母音を含めないようにすればいいだけ、と思うだろうが、実は子音で終わるtにも幾つか発音の違いがあるのだ。
例えばポーランド語なら勿論母音の音はしないが、どちらかと言えばトから母音の音を抜いたように発音する。他方ドイツ語では、トゥから母音を抜いたようになる。

この微妙な違いは実は割合難しく、だからスパイになるのは大変なのだ(笑)

一般人にも変だなと思われかねないレベルだから、聞く人が詳しければすぐバレる💦

まあ語尾のtについては、ラテン語の場合、もう細かく言わずに慣れているドイツ語式のままでいい。(日本語母語なら多分、トから母音抜いた感じに発音するだろう？)

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>> 216 後はrの発音。私はどうしてもあのロシア語等スラヴ語やイタリア･オペラ(ドイツ語もオペラの場合はそう。あと教養ない田舎者も)の巻き舌が出来ないし嫌いで、自然に語頭のrはフランス語のそれに近く(正しいドイツ語ならコレ)、語末はer,orならエァー、オァーに近い発音になる。

もう語頭のrは変えない。ただし語末についてはドイツ式ではやはりダメだから、日本語のエル、オルから更にルの母音を取った感じに近くしている。


以前のレスでポーランドの小説｢Quo vadis｣に触れたが、このラテン語は正しくはクオー ワーディスのように発音されるが、ポーランド人なら間違いなく、クオ ヴァディス になるだろう？
何故ならポーランド語には母音の長短の区別が無いから。

まさかと思うが全く教養ないドイツ人なら、クオ ファーディスに成ってしまう。vは普通、ドイツ語ならfの音になるから。(ただ普通なら外国語の場合、vはfにならないくらい皆知っているハズ)

このように、僅かでも欧州各国語には無意識の癖があり、これがフランス語、更に英語ともなればもっとラテン語等とかけ離れた発音を普段しているから、面倒なのだ！

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２年連続で世界一住みやすい街にウィーンが選ばれた⤴

まあ一時シリア難民でごちゃごちゃする以前も、よく１位になってはいたのだが…

しかしこれ、10日くらい前にドイツ人から聞いて知ったところが重要😆

流石に自意識過剰なドイツの連中も最近はウィーンを古臭い街とか言わなくなり、こういうデータ見て憧れを抱くように成ったようだ。

なお、かつてはウィーンが１位か２位の時、必ずベストテン入りしていたミュンヘンや他のドイツの街が、全く最近、上位入りしなくなった。

大阪が３位というデータに特に東京人は呆れて何だかんだ言ってるようだが、これは私にも正直謎。まあ外国人にはオープンなのか、または意外に古い時代の文化財が残っているからか？

東京も７位に入っているから立派なもんだと思うが…

なお欧州では１位ウィーン以外だと10位にデンマークのコペンハーゲン。

後はカナダと豪州でベストテンが埋めつくされてる感じ。

逆にワーストテンはことごとくイスラム教の街⤵

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>> 218 これ書くとまたどうせウィーンは人種差別が激しいから、白人の視点から見て住みやすい街だろ、とか言われそうだが、違うのだ！

まあ近年、中●人が大量にやってきてマナーが滅茶苦茶、だからアジア人が皆、中●人と思われ、嫌われ易いのはある。
だがウィーンの差別とは、他のヨーロッパ諸国は勿論、日本のそれと比べても暴力伴うのは稀。つまり気にしないなら、全く実害なし(笑)

でも言葉で傷つくのも嫌だ、と言う人は、バッグか襟元に日の丸付けていけば、対日感情は昔から悪くない街だから、大丈夫なはず。

日本人に対してはまあ親日か、或いは全く無関心てのがウィーン人の一般的感覚だから。
もし中に日の丸見ても、また日本人だと認識しても、まだ中国●と区別しないで文句言う奴がいたら、それは底辺層で可哀想な人々の一人だから、相手にしないに限る。

なお白人だと住みやすい、と言うのはウィーンに限っては無い。
ドイツ人は微妙に意地悪されて嫌になるらしいし、アメリカ人(白人も)なんかもしオーストリア人がアメリカに来たら仕返ししてやる、と言ってる連中がかなり居る。
まあアメリカ人はヨーロッパ知らずに、童話の夢でも見ながらウィーンに来るから、余計扱いが冷たいとガッカリしてキレるのだろう!?

あと一見白人だが(学術的に見ても間違いなくコーカソイドだから白人のはず)、東欧やバルカン出身者は一番差別される。いわゆる社会の最底辺層。

とにかくそういう事だから、日本人は安心してもっともっとウィーンに観光や起業でやって来て(お金落として)下さいね♪











(少しは宣伝になり貢献できただろうか…？)

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ドイツはまあカトリックとプロテスタント半々の国だ。
東ドイツが統合される時、プロテスタントの割合が増えて、均衡に問題が生じるか、と一部で危惧されていたが、何の事はない。
東が加わっても、すでにドイツ全体でキリスト教辞めていく人々が増えてきたので、結局カトリックとプロテスタントの均衡には余り響かず、むしろ減っていく信者問題を抱えた両派は、協力体制をますます固めざる得なくなった。

さて音楽と宗派(教派)の問題で、一部まだ残っている傾向として、バッハはプロテスタントの大作曲家、ベートーヴェンはカトリックの大作曲家の為、互いの教会で意識して、プロテスタントはベートーヴェンを避けたがり、カトリックはバッハを避けたがる、との都市伝説(笑)がある。

しかし疑問なのだが、まあバッハには宗教音楽が多く本人も教会所属の合唱団の指導者だったけれど、ベートーヴェンはそれほどカトリック熱心でも無かったし、宗教音楽も｢ミサ･ソレムニス｣がピカイチな他は、余り有名でないミサ曲が一つ、あとカンタータ｢オリーヴ山のキリスト｣くらいしか無いではないか？

つまりベートーヴェンだけでは全然カトリックの年間儀式を埋める事が出来ないのだ。

ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナー等、オーストリアの大作曲家らが必要になる。(ベートーヴェンもオーストリアの大作曲家だったと私は確信しているが！)

するとドイツのプロテスタントの人々、もし都市伝説通りならばベートーヴェンだけでなく、ハイドン、モーツァルト、シューベルトらの宗教音楽も避けねばならず、こうなると音楽的な損失は膨大だ！


まあ一般のドイツのクラシック好きなら、こんな事いちいち気にしていない。
だが実際に熱心なプロテスタントに一部こういう傾向があるのは、私の経験から確かなのだ。

ただこういう人々は、音楽そのものが好き、詳しいと言うより、バッハを幼少時から教会で聞き、自派(プロテスタント)の音楽だから何でもかんでもバッハを愛する、という感じが多い。

しかしバッハの宗教音楽の最高傑作が｢ミサ曲,ロ短調｣、つまりカトリックの儀式用の作品なのは、皮肉な事だ！(笑)

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>> 220 ただドイツのプロテスタントには、バッハ以外にも礼拝用、または全般的な意味の宗教音楽がある。

まずメンデルスゾーン。彼もルター派信徒であり、かなり教会用の音楽を残した。

またバッハ以前の作曲家。ブクステフーデ等も。

あと同時代のテレマン、またイギリス人疑惑が強いがヘンデルにも一部ドイツ語による宗教音楽がある。

ただしプロテスタントの弱み(音楽の場合)として、基本、自国語で礼拝するから自国語に曲を付けた作曲家を使うケースがほとんどになる事。

つまりドイツのプロテスタントなら、バロック、クラシック系ならドイツ語の宗教音楽となる。
(近年、若者向けに英語のポップスじみた曲も使われるが、それでも若者の教会離れに歯止めが掛からない。)

対するカトリックは、現代では礼拝(ミサ、レクイエム等)は自国語でやるのが普通だが、20世紀半ばまではラテン語に統一されていたから、当然ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、更にはバッハがカトリック君主の為に作曲したミサ曲ロ短調も、皆ラテン語。

となると他のイタリアやフランスの作曲家のカトリック音楽も当然ラテン語だったから、例えばドイツやオーストリアでヴェルディやフォーレの作品を使用するのも何ら問題ないわけだ。

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>> 221 とは言え、やはり音楽と宗教の結びつきは微妙な点があり、これが基本的に音楽を軽視しているイスラム教や仏教でなく、音楽を(讃美歌を通して)重視しているはずのキリスト教でも、宗教的に見て｢いい音楽｣と、芸術的に見て｢傑作｣が一致しない場合が多い。

簡単に言うと、余りに芸術的に優れた宗教音楽は、大衆が身近に接し歌ったり演奏するのは簡単でないから、聖職者らから敬遠される傾向があるのだ。

かのコチコチ保守派だった前ローマ教皇ベネディクトゥス16世も、ポップスやロックは全く論外、悪魔の誘惑だと言ったが、逆に芸術的に深すぎるクラシックも難解で信仰生活には向かない云々書いていた。


だからプロテスタント教会は元より、カトリックやオーソドックスの教会に行っても、尊重され頻繁に歌われたり演奏される音楽が、単に音楽として聞いた場合、大して良くない、凡庸な事が多いのだ。

この件については、また後ほど続きを書くだろう。

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カトリックの音楽だが、大作曲家による壮大なミサ曲の傑作は、元々18～19世紀の王侯貴族の為であり(王侯貴族が注文した)、本家ヴァチカンでは長年、禁止されていた。これは一寸した驚きだろう？

でヴァチカンの正式なミサで使う聖歌はグレゴリオ聖歌が中心だった。
グレゴリオ聖歌と言っても、本当は古代末期の大教皇と呼ばれるグレゴリウス１世が制定したモノではなく、数世紀後の主にフランク王国で作られた曲なのだ。

グレゴリウス１世の時代には、ローマ教会はまだコンスタンティノープル、アレキサンドリア、エルサレム、アンティオキアと並ぶローマ帝国の５大本山の一つであり、基本的に今のギリシャの正教会で歌われる幾分中東風(？)のビザンティン聖歌とほとんど同じモノが、ただギリシャ語でなくラテン語に代えられてローマ教会では歌われていた。

当時はまだオーソドックスとカトリックの違いはなく、どちらも同じ｢正統派キリスト教｣-これを正式にカトリックと呼んだ-であり、グレゴリウス１世は今でもカトリック教会だけでなく、オーソドックス教会でも聖人に成っている。

さて単旋律のビザンティン聖歌がそのままローマ教会でも使われていたが、次第にメロディーが西欧的なフランク王国の影響で、変化してグレゴリオ聖歌の元が出来上がる。
ただし基本は単旋律、またオルガン初め楽器による伴奏は無かった。これはオーソドックス教会で今でも守られているのと全く同じ。

その後、主にゲルマン系の国(東フランク、つまりドイツ系の様々な民族)により、単旋律に完全５度で平行する対旋律が加えられる。これがポリフォニーの始まりだ。

なお当時、イタリアやフランスではこれをゲルマン人の野蛮な特質と言って嫌ったらしいが、次第にポリフォニーが流行していった。(特にフランス)

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>> 223 こうして中世後期になると、単に聖歌の旋律を５度で平行させるのではつまらないから、対旋律を主旋律と異なる動きにする試みが始まる。これが対位法の原点だ。

その後、２声を３声、４声にしたり、それぞれの声が歌になるような旋律を心掛けたり、時間をずらして主旋律をそのまま追いかけるカノンや、グレゴリオ聖歌のモチーフを使って３声、４声で次々に追いかけるフーガの元祖が生まれる。

この頃はすでにルネサンスであり、イタリアでもパレストリーナらが活躍した。

なおこうした多旋律の対位法的聖歌は、楽器の伴奏なしのアカペラで歌う事が出来、本来はそれが正統的な聖歌であった。
つまり基本的には互いに分裂し合った後の、東の正統派教会(オーソドックス/正教会)だけがアカペラ聖歌だったのでは無く、西のローマ･カトリックも同じく。ただ西では楽器も認められたに過ぎない。
(この辺は微妙で、東のオーソドックスが絶対に楽器禁止かと言うとそうでもなく、例えば韓国の正教会などは日本のそれと違いロシア式でなくギリシャ式聖歌ゆえに、アジア人にはメロディーが難し過ぎて上手く歌えない。そこでオルガンが導入されメロディーをなぞり、聖歌隊はそれに合わせて歌う。)

さて対位法は次第にイタリア、フランスよりも、北方のドイツ(特にオランダ)で発達し高度に完成されていく。

こうなるとカトリック関係なく、プロテスタントでも使われたり、宗教以外で作曲家が楽器だけによる対位法作品を作るようになる。
(スヴェーリンク、ブクステフーデからバッハ、ヘンデルまで)

また対位法以外に多旋律の｢響き｣に注目した和声学も発達し、いわゆるコラールも対位法ほど複雑でない和声法により作曲されていくようになる。

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>> 224 そしてプロテスタントではカンタータ、カトリックではミサ曲などが、オルガンだけでなくオーケストラの伴奏で歌われるようになる。

カトリックでは教皇庁のミサでは先に書いたように壮大なミサ曲を禁止し、グレゴリオ聖歌かアカペラのさほど複雑でない聖歌しか認めない傾向だったが、各国の王侯はもう教皇に遠慮しなくていい時代だったから、一流の作曲家に壮大で美しいミサ曲やレクイエムを依頼し、宮廷や屋敷、また自領の教会で演奏させた。

現代でもヴァチカンの正式なスタンスはグレゴリオ聖歌だが、名作曲家らが作った巨大な宗教音楽も黙認されている。

他方、プロテスタントは元祖ルターが聖歌を教会専属の聖歌隊だけに歌わせるのでなく、信者一般も歌うべきとし、ラテン語より大衆が分かる各国語を推奨したため、大衆の儀式への積極参加の目的は果たせた反面、次第に難解で芸術的な宗教音楽は大衆が歌えない理由で敬遠されていく。

これもバッハ、テレマンを最後に、もう18世紀後半からは一部メンデルスゾーンを例外にすれば、プロテスタントに偉大な宗教音楽が出て来なくなった理由かも知れない!?

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>> 225 さてグレゴリオ聖歌の元となったギリシャのオーソドックス(正教会)の聖歌について先に触れるべきだった。

いわゆるこのビザンティン聖歌は、これにフランク的要素を加えたグレゴリオ聖歌が明確、清楚なのに対して、ドロドロしていて神秘的な傾向がある。中東風でもある。キリスト教は中東発祥だから当然であるが…

これも勿論、単旋律でアカペラ。なおオーソドックスが東欧に広まるにつれ、スラヴ語やルーマニア語の聖歌が生まれたわけだが、概してギリシャ(ビザンティン世界)に近い地域ではギリシャ聖歌にメロディーや雰囲気が似ている傾向。

ただオーソドックスがロシアにまで広まると、ここだけは後にピョートル大帝の過激な西欧化以降、聖歌にも西欧とくにドイツのコラールの影響が入り、まず単旋律が複旋律になり、和声的に西欧的になっていく。

だからロシアやウクライナの正教会聖歌だけは、男性のみの聖歌にしても、男女混成聖歌にしても、ギリシャ風とかなり異なって聞こえる。神秘的は保たれるが、華麗さが加わる。ただ勿論、アカペラなのはギリシャのと変わらない。


さてこうして一応、各派の聖歌の発展を簡単に見たわけだが(メンデルスゾーン以降のプロテスタント讃美歌がイギリス、アメリカでどんどん軽音化するのだけは追わなかった-笑-)、要するに教会にとって聖歌は宗教儀式の一部として重要なであり、音楽家が追求する芸術音楽としての聖歌とはモチベーションが重ならないのは明白なのだ！


勿論、カトリックとオーソドックスの場合は、大教会の司教/主教レベルのミサ/聖体礼儀になると、大衆は全く歌う必要なく、専門の聖歌隊だけが歌うから、芸術レベルが高い作品の導入も可能だし、実際にある。
(ウィーンの由緒ある教会でハイドン、モーツァルト、シューベルトのミサ曲が正式にミサで使われたり、モスクワのカテドラルでチャイコフスキーやラフマニノフが作曲した聖体礼儀の為の作品がそのまま使われたり…)

ただしこれを地方の小教会や、日本の教会で(仮に大きめな教会でも)頻繁に行うのは困難。
また大教会でもニコライ堂など聖歌隊は一般信者が希望して入る、いわゆるプロの歌手でない者で構成されるから、ロシア正教で一番芸術性が高いとされるラフマニノフの晩祷や聖体礼儀のような作品は、無理と言わざる得ないのだ。

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>> 226 ただし、こう見ると、反面、芸術とは何か、芸術的に優れているとは何か、との疑問にもつき当たる！

芸術とは、古代ギリシャ語のテクネー(これはテクニック、つまり技術や技巧の語源)がラテン語訳されアルスarsと呼ばれたモノを元とする。arsアルスはartisアルティス…以下省略…と格変化する単語だから、ここからアートだのアーティストだのの芸術や芸術家を意味する英語が、フランス語経由で来たのは、誰にでも分かろう!?

ただしかし、ではグレゴリオ聖歌かビザンティン聖歌にアートは無いのか？

近代ヨーロッパ基準のアートなら、これらはまだプリミティブな領域を脱していないと言えるかも知れない。
しかしグレゴリオ聖歌にも、歌うための複雑な技巧があり専門家が指導せねばならない。ラテン語歌詞との微妙な関連をメロディーに生かす技とか…

それに芸術とはかなり真剣に専門家の下で学び、最後は皆の魂に触れ感動や浄化を起こすモノならば、グレゴリオ聖歌やビザンティン聖歌もまた芸術(アート)であろう、間違いなく。

他方、日本では｢フーガの技巧｣と訳されるバッハ晩年の大作も、原作ドイツ語では技巧の部分がKunstクンストに成っており、これは英語ならばアートと訳されるモノだ。

つまりアート、クンストとは芸術だけでなく、技巧、技術も含む概念。

だが音楽の技巧は何のためにあるか、と問えば、真の感動やカタルシスを聴衆に呼び起こす為でしかないだろう？

そうすると近代的な芸術概念ではプリミティブかも知れないグレゴリオ聖歌なども、歌われる空間、雰囲気、聞く人との関係で、場合によってはバッハやモーツァルトの宗教音楽より感動や心の光を起こす可能性が大いに有り得る。

これは昔プラトンが言ったように、善と美は同じで人間や宇宙にとって至高の存在(＝神の世界)であるならば、グレゴリオ聖歌の究極の世界も、いわゆる芸術音楽の到達点と同じという事になるのではないか？

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>> 227 さて一つ追加すると、近代ヨーロッパのいわゆるクラシック作曲家らの全てが、グレゴリオ聖歌やビザンティン聖歌を芸術音楽的にプリミティブだと見ていたわけでは無い！

まず西欧に多かったクラシック大作曲家に当然身近だったのは、ビザンティンよりもグレゴリオ聖歌であるが、例えばバッハはグレゴリオ聖歌またはそれに似たようなメロディーをテーマにして巨大な雰囲気溢れるフーガを作曲している。ミサ曲や平均律曲集の中にある。

またグレゴリオ聖歌のレクイエムの、特にディエス･イレ(怒りの日)は様々な作曲家が愛好し、有名な例ではベルリオーズが｢幻想交響曲｣に、リストが｢死の舞踏｣のテーマに、ラフマニノフが様々な作品、例えば｢死の島｣、｢パガニーニ狂詩曲｣等にハッキリと引用している。

これらはグレゴリオ聖歌の引用例だが、しかしグレゴリオ聖歌やビザンティン聖歌そのものに芸術の新鮮味を感じて、引用と言うよりそのまま引き出して作品化したケースもある。

例えばドビュッシー。彼の名作｢沈めるカテドラル/沈める寺｣は全曲がグレゴリオ聖歌の世界及びそれに５度の平行和声をつけた中世音楽そのもので(近代のクラシックの対位法や和声法では違反とされていたもの)、それを上手く斬新な不協和音の20世紀音楽の世界と結びつけている。

またサティ。彼はオカルト的結社である薔薇十字団の会員だったが、若い頃、パリにあるルーマニア人の正教会によく行き、ビザンティン的聖歌の世界を強く作品に打ち出した。特に｢６つのグノシエンヌ｣がそれである。

逆に言えばビザンティン聖歌を全く知らない人は、サティのグノシエンヌを聞きそこに現れる独特なオリエンタルなメロディーを元に、ビザンティン聖歌に近いイメージを掴むことが出来よう。

ドビュッシー、サティ以降の現代音楽となれば、更にグレゴリオ聖歌、ビザンティン聖歌を独特な形で作品に取り入れている作曲家も探せばかなり居るであろう？

私は残念ながら1930年以後の現代芸術音楽に詳しくないから、具体的には書けない。
カール･オルフの｢カルミナブラーナ｣は聖歌ではない中世の大衆(農民など)のメロディー世界を現代音楽と結びつけて成功し、現代音楽では異例のポピュラーな名曲となった。

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ところでショパンの幻想即興曲が好きな人が多いが何でだ？
こういっては失礼だが、音楽に関して素人って事か？
あれはショパンの４つの即興曲の中で一番出来が悪い。それよりも何よりも、ショパン自身、25才であれを簡単に作曲した後、ノートの奥深く閉まって一生隠し通し、死ぬ時は友人に遺言で自分の死後出てくる作品は全部破棄し焼き捨ててくれ、と頼んだのに、フォンタナの奴め、ショパンを裏切り整理して出てきた遺作を皆発表してしまったのだ！

だからショパンの頭では即興曲は全３曲。幻想即興曲なんて曲は無かった事にしていたし、大体、幻想なんてタイトル自体全くショパンは付けていなかった。

あの曲が素人に受けるのは、速く動く指(しかし重音でないし動きもエチュード10の４よりはるかに易しいのだが素人には分からない)と分かりやすい劇的さ、あと中間部分のゆったりしたメロディーだろうか？
だがあの中間部も何だかアメリカのウェスタンに出てもいいような、ショパンにしては凡庸なのだが…

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>> 229 あと以前どこかに書いたと思うが、ショパンがあの曲(幻想即興曲)を隠して死後破棄させたかった理由は、単に彼から見て駄作だからに留まらず、あの曲の短調部分をゆっくり弾くとベートーヴェンの名作｢月光｣ソナタの第１楽章(ついでに第３楽章のコーダのゆっくり下降するパッセージ部分もか？)と全く同じになってしまうからでもある。
いくら著作権が無かった当時でも、気位が高かったショパンは自作がベートーヴェンのパクりと専門家に見抜かれるのを非常に嫌がったのだろう？

弾いていると、バラード１番のコーダが同じく月光コーダに何か似ている、とか、ピアノ協奏曲１番自体が皇帝やフンメル、カルクブレンナーの作品に似ているな、とは分かるが、しかしメロディーがそのまま同じではないし、単に雰囲気や一部の形式だけ。または全般的にそう感じるわけで、これは実際に皇帝とショパンの１番両方弾いた経験ないと分からないレベルだろうから、多分評論家にもよく理解できないはず。
彼らは弾けないからね(笑)

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>> 230 この、幻想即興曲がベートーヴェン月光と全く同じ部分がある、と言うのは、実は世界的ピアニストだったクリスチャン･ツィマーマン(ツィメルマン)の師で、国際コンクールの審査員の常連でもあるポーランド人のアンジェイ･ヤシンスキー教授から、直接聞いた事なのだ。
言われてみれば確かにそう。速度の違いから、なかなか発見できない盲点だったが…

しかし流石にショパンは気位が高い！
彼と同世代の大作曲家、シューマン、リスト、メンデルスゾーン、ワーグナー、少し年上のベルリオーズなど皆ことごとくベートーヴェン崇拝者であり、シューマンもリストも自作に明らかにベートーヴェンのモチーフを取り入れているのに、ショパンだけは内心ベートーヴェンの凄さを知っていたが手放しで崇拝者には成らなかったのだ！

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>> 231 まあベートーヴェンの崇拝者は当然ドイツ、オーストリア系とフランス系に多かったが、彼らのお陰でオペラより交響曲が音楽のメインに成ったし(ワーグナーはオペラ作曲家だったが、自作をオペラとは違うベートーヴェンの第９の延長上にある総合芸術だとして楽劇と名付け、イタリア･オペラを嫌い軽蔑していた)、ピアノの技巧もベートーヴェンの弟子ツェルニーを通してリストに受け継がれ、大成した。

ショパンはそんな中で、独自のピアノ音楽を開拓したわけだから、当然、他のロマン派作曲家らと深く親密には成れなかった。
リストとは仲が良かったが、リストの作品は粗雑で大袈裟だから大嫌い。
またシューマンはショパンを高く評価したが、ショパンはシューマンの作品が嫌いだった。

まあ最高最大の作曲家ベートーヴェンを素直に崇拝し(バッハは一先ず置いて-まあバッハもロマン派作曲家らは崇拝していたが-)、その世界観が音楽の主流に成ったのは絶対に必要で不可欠だったろう？

あのヨーロッパの伝統を嫌い、ロシアはロシアの伝統(？)で事足りると唱えた５人組さえも、ベートーヴェンだけは例外で尊敬し研究した。

彼らとチャイコフスキーの最大の違いは、後者がベートーヴェンを尊敬しつつ更に一時代前のモーツァルトを愛好し研究した事だろう。

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>> 232 因みにショパンのピアノ作品の難易度を私の経験も加えて上から並べると、やはり２つのピアノ協奏曲が一番上だろう？

エチュードは難しいモノも多いが、例えば作品10なり25なりを全12曲通して高い質で演奏するなら、協奏曲を超えるかも知れないが、これをやる音楽的意味がイマイチ明確でない。

私もかつてリサイタルで作品10のエチュード全12曲を全部通して弾いたが、力の配分から難曲の一つである１番と、これまたそれ以上難しい２番の両方を続けてマックスな力で弾くのは不可能。ショパン自身もそんな為にエチュード集を作ったわけではない。

つまりエチュード全曲を通す演奏なんて、個別に弾いて修正するＣＤに及ぶはずもなく、単なる演奏者の力の誇示以外、全く音楽的な意味はない。

で協奏曲２曲が頂点。似たような２曲だが僅かに技巧では１番が上、音楽性では２番が後のショパンらしくて上だろう？

次いでエチュードの幾つかの曲。バラード４番。また24のプレリュードを全曲弾く場合も。これはエチュード全曲弾きと違い、調性的に全曲弾きに意味があるのだ。

次いで幻想ポロネーズ、華麗なる大ポロネーズ、ポロネーズ５番、舟歌、幻想曲(幻想即興曲ではない、作品49の傑作)、３つのピアノソナタ等となる。

このソナタ、ちょっと日本の音大出た程度の人なら３番が一番難しいと言うだろうが、力と手の大きさなら２番、さらに本当はマイナーなショパン17才の習作である１番が最も技巧的に難しい、てか弾きづらい。

これはまだ試行錯誤しつつ自らの技巧の頂点に登りつつある若いショパンゆえの難しさであり、この延長上に19～20才で作曲された２つのピアノ協奏曲があるからだ。

更に易しいのは、４番以外のバラード(中では１番が難しい)、スケルツォ全般、英雄ポロネーズ、また幾つかのノクターン、表現ならマズルカの幾つかが入る。

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>> 233 それ以外は大体、中級と見てよいだろう？
人によってワルツのどれかが難しいとか、ロンド、子守唄、または即興曲の何かが難しいとか、個人差が出るから。
因みに即興的なら３番は、ショパン後期独特の重音が頻繁に出て、また軽いながらあのバラード４番と同時期の作品で、独特の哀愁あり、即興曲の中では芸術的に演奏するのが一番難しいだろう？
技巧も重音をバタバタさせずに、さも単音みたいにさりげなく弾いてのける必要あるから、楽ではない。

次いで傑作とされる２番だろうな！

１番と幻想即興曲、どちらが難しいか、だが、幻想即興曲は右手と左手の４対３の音形が速いがゆえに完璧に計算し意識して弾く必要なく、対する１番は左右の速い音がキチッと揃わないとダメだからやはり１番か。


なお技巧だけは難しくても、芸術性が乏しい｢演奏会用アレグロ｣等は抜いておいた。

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>> 234 ところでショパンでは一番難しいだろう２つのピアノ協奏曲だが、これらの一見似ているようで違うのが面白い！

先に作曲されたのは２番であり、半年後に１番が完成した。どちらもショパン19～20歳の頃。

で一般に完成度は１番の方が高いと言われるが…

ただ個性に関して、私は断然２番が上だと思うのだ。

例えばシューマンも、２番を絶賛しているが、１番について触れた記事はない。

またチャイコフスキーも、割合ショパンを好きだったが協奏曲１番に関しては、平凡な作品でシューマンのピアノ協奏曲とは比較にもならん、と書いている。

平凡とか、普通の人が言うならバカげているが、チャイコフスキーの発言であり、しかもピアノ協奏曲に関しては明らかに世界的にショパンのモノより有名な作品を書いた人の意見だから、一概に切り捨てられない。

結局、１番は２番より完成度が高いが、似たタイプのベートーヴェンの皇帝などと比較すれば薄っぺらい感じはどうにも成らないし、１番が後世の音楽なり作曲家に与えた影響も小さい。(演歌くらいしか、は流石に言い過ぎか!?)

対して２番はショパン自身の後の傑作(バラード４番その他)を暗示するような作風であり、シューマンもその暗さと情熱、美しさに惹かれ、影響を被った。

ピアノ独奏曲や交響曲２番、４番などに。

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>> 235 なお大衆にはグリークやチャイコフスキーのピアノ協奏曲が超有名だろうが、音楽家やコアな音楽マニアには、ベートーヴェン亡き後の19世紀ピアノ協奏曲の最高傑作はシューマンの協奏曲,イ短調とよく言われる。(この場合、ラフマニノフのピアノ協奏曲２番や３番は20世紀初頭の作品扱い。ラヴェルの協奏曲みたいに)

私はそこまで思わないが、確かにカデンツァは素晴らしい。
またシューマンは精神的疾患が晩年に強くなり、長い作品を集中切らさずに書くのが苦手になった部分があり、ピアノとオーケストラ作品も、ピアノ協奏曲以外に第１楽章だけ書いて後は放棄した作品が２つある。こちらの方が、私には曲想が清楚で好きかも!?

またよくグリークのピアノ協奏曲にはシューマンの協奏曲の影響が強いと言われるが、これは第１楽章だけで、第２、特に第３は違う。
グリーク自身、ピアノ協奏曲についてはシューマンだけでなく、ショパン２番のあのリリックさを受け継いでいると見るべきだろう？
また第３楽章などはむしろラフマニノフ２番に強い影響を与えていると思う。

ラフマニノフ２番は、グリークとチャイコフスキーの協奏曲が無かったら、全く違ったモノに成っていたであろう！

そしてラフマニノフ３番は、単に２番を拡張したのでは全くなく、２番以降の約十年余り、様々な作曲の研究をバロックから印象派まで重ねた作曲者の一大成果、集大成であると思う。

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ではショパンが世界の音楽に残した意義は何だろう？

彼にはシューマン、リスト、ワーグナーみたいな一種の派を形成し、弟子や一派に大作曲家が現れると言う連続的現象は起きなかった。

シューマンならドイツ･ロマン派の中核的存在で、若いブラームスを見出だし助け育て、有名にした。

リストは沢山優れたピアノの弟子を持ち、彼らが活躍しまた沢山弟子を育てて、今日のピアニストの大半は系統を辿るとリストに行き着く、つまりピアノ界の元祖みたいな存在になった。

また交響詩を発明したり、ワーグナーと共に無調音楽を開拓し、現代音楽の為に欠かせない存在でもある。

ワーグナーはシューマン→ブラームス派と音楽界を２分し、結果的に勝利し音楽を自由で現代にまで行き着くモノに変えた。ブルックナー、マーラー、リヒャルト･シュトラウスなど皆、ワーグナー派だったし、近現代作曲家で究極にワーグナーの影響を受けていない人は居ない。その意味でドビュッシーに並ぶ巨人。(ドビュッシーさえ若い頃はワーグナー･マニアでそこから脱却、独自の世界を開いて印象派音楽を発明)


これに対し、ショパンは弟子が優秀でピアノ奏法を広めたわけでもないし…

で、ショパンのピアノに対する貢献は、独特な美しく個性的な作品が、後のピアノ音楽に影響与えた事に尽きる。

しかしショパンが音楽全般に与えた影響は、実はピアノ界に与えたそれより大きいかも知れない。

それは斬新な和声！
リスト、ワーグナー派の音楽を逆転させるような革命的な和声は、実はショパンの影響による。
ショパンの特に後期作品(舟唄や幻想ポロネーズ、また作品59の３つのマズルカ等)は、ワーグナーの先駆である。

私は学生時代、友人らにこれを言ったが大概真面目に受け止めて貰えなかった。しかし後にドビュッシーが全く同じ事を書いているのを見て、大いに自説に自信を得たものだ！

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>> 237 他方、彼はメロディーと和声の大天才だったのであり、対位法はシューマンらに比べてイマイチだった。

遺作に｢フーガ｣があるが、２声だけであり、普通フーガに必要な３声以上の条件を満たしていない！

ただこれは習作だったか未完成作品だったのかも知れない。

または頭の中でバッハのフーガみたいのを想像しつつ、どうしても作曲する必要に迫られず(パトロンの注文が無かった等)、無理して３声、４声にしないで何となくイメージだけフーガ的に簡単に２声にしたのかも知れない。

ただ特にフーガの名付けなくとも、他の大作曲家の作品にあるようなソナタや室内楽、交響曲の一部だけフーガ(３声以上)を応用しているような作品がショパンには無いのも、また事実である。

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>> 238 では対位法の達人でないと大作曲家では無いのか？

交響曲まで考えたら、これはかなり｢そうだ｣と言わねばならない！

交響曲の大作曲家は皆、対位法の達人だった。シューベルトは31歳で亡くなる１年前から｢本気で対位法学ばなきゃ｣なんて言っていたが、彼ほどの早熟の天才だからもう既に十分、対位法は出来ていた。もっと極めてベートーヴェンみたいに成りたかったのだろうか？

オーストリア、ドイツ系作曲家で対位法が全く苦手と言う人を一寸思い出せない。
シューベルトだって室内楽が沢山あるし、交響曲も９曲。ピアノ曲も大作｢さすらい人幻想曲｣の終楽章はフーガで始まるし、この曲自体がソナタの概念を覆し、いわゆる循環形式を発達させ、後のリストに愛され多大な影響与えている。

ワーグナー、マーラーは対位法の名人だったが、その上でわざとギリギリまでそれを破壊するような、斬新な和声と対位法の融合を行った。

現代音楽の創始者シェーンベルクも対位法の天才で、彼はそれを彼が始めた12音音楽(無調音楽)用に合う、新しい対位法を生み出したくらい。

交響作品や室内楽の大家で対位法が苦手、あるいは出来ても伝統的対位法を拒絶し、下手したら音大時代に対位法で落第しかねなかったのはドビュッシー。いかにも彼らしい♪


ただショパンには交響曲が全く無いし、室内楽も少なく、それもピアノが中心となり他の楽器は伴奏みたいなタイプの曲が殆どだったから、対位法の名人でなくてもピアノ独自の話法、魅力でもって十分だったのだろう!?

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全然話変わって、何でも最近の研究によると、あのネロ(もちろん暴君の代名詞であるローマ皇帝)が、暴君ではなく、なかなか良い統治者だったらしい!!

ま、そんな予感もしていたが、やはりショックだ！

彼はローマに火をつけたわけではないし、まあ燃え盛るローマを遠くから眺めながら悲嘆に暮れる詩は読んだにしても、これは名君でもやって構わないと言われれば確かにそうだ！

さらに半分以上燃えてしまったローマの復興に全力を注いだ。

キリスト教徒に火付けの罪着せて、闘技場で公開処刑した件は本当だろうが、大火で怒り消沈する大衆に気晴らしの見せ物を提供するのはローマ皇帝の常で、あの名君とされたトラヤヌスやハドリアヌスも別に大火など無くても、単に市民を喜ばせるために盛大な闘技を連日開き、トラヤヌスなんか120日毎日連続でやらせた記録がある。
ネロの場合も、市民を慰める目的で部下に闘技を依頼したら、部下らがたまたま一部のキリスト教徒を捕らえ、他の罪人やグラディエーターらと共に闘技場に出して殺してしまった、のが真相らしい。
まあどのみち、ネロの時代にはまだキリスト教はローマの街では珍しい新興宗教で、ユダヤ教の一派くらいに思われていたから、後の皇帝らがキリスト教によるローマ古来の神々の信仰の危機を感じて迫害命令出したのとは全く状況が異なる。

それに当時、エルサレムを中心にユダヤ人らはローマに大反乱起こしていて、ローマ軍団さえ鎮圧が難しく手を焼いていた。だからユダヤ人自体にローマで険しい目が向けられ、その同類と思われていたキリスト教徒が逮捕、闘技場行きはローマ側にしてみれば仕方ない面も大きかった。

と言うか、やはりネロ時代の最初期キリスト教は信者の大半がローマ帝国各地に住むユダヤ人だった。彼らがパウルスその他によりユダヤ教からキリスト教に改宗していったのが始まり。

ユダヤと関係ないローマ人やギリシャ人には、キリストの背景となる旧約聖書つまりユダヤ教の聖典の預言とかメシア待望思想とか理解できるはずも無し。

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>> 240 では何故、ネロがありとあらゆる罪を着せられ、後生に暴君のシンボルみたいに言われるようになったのか？

それはネロが芸術好きで、当然ギリシャ贔屓で、よくローマを留守にしてギリシャ方面に行っていたのが原因の一つ。

皇帝がローマに居ない場合、ローマ市民らは無料でのパンの配給が受けられず、これは貧しい市民らの反感買った。

しかしそれ以上に、ネロ時代にはまだ初代皇帝アウグストゥスから数えて５代目、いわゆる帝政もまだ70年くらい。
それ以前の500年くらいに及んだ共和制に比べたら、まだまだ定着しておらず、元老院議員には帝政(と言っても名目上は第一の市民を名乗るカエサル家の者が元老院全体と同格に国を統治する体制に過ぎなかったが)に我慢できず、こんなもの一時的な独裁制だから再び共和制に帰るのが本来の姿だ、と考える議員も多かった。

でネロがギリシャに行って留守中を幸いと、元老院は各地の将軍らを煽り、大袈裟にネロを暴君にして何とか暴君からローマを救ってくれるよう手紙を出したのだ。
こうした陰謀で実際各地の辺境警備を担う将軍らが軍勢率いてローマを目指す約束を交わすと、元老院はネロを国家最大の敵だと決議し、驚いたネロは逃げるしか無くなり、田舎の隠れ家で自害する。

その後はローマになだれ込んだ複数の将軍らが互いに覇権のために争い、殺し合い、最後にエルサレム大反乱を鎮圧中だったウェスパジアヌスが勝ち、新たな皇帝に。
ここにカエサルの血筋の皇帝は滅び、血統関係なく誰でも実力あれば皇帝(ローマ市民の代表)になる道が開け、また新皇帝らは血統で特別でないから元老院を尊重する時代がしばらく続く。

元老院は当然、自己正当化のためにネロの記録を捏造し、最悪の暴君の汚名を着せる。

大体こんな流れか!?

ネロに限らず、後のドミティアヌスも残虐な暴君とされていたが、やはり有能な政治家だったと判明したり、とにかく今後まだまだ常識が覆る事が沢山あるだろう!?

面白い事ではあるが。

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>> 241 なおネロの２代前のカリグラも暴君で名高いが、彼の場合、統治期間が２年くらいと短く、大して悪影響が無かったらしい。

その前のティベリウスは、20世紀半ばまで暴君扱いされていたが、有能な政治家だったと名誉回復されて久しい。

またカリグラの次、ネロの前のクラウディウスは、もうかなり前から変人だが結果的に名君の方に入る、と評価されている。

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>> 242 勿論、ローマ皇帝も３世紀の大混乱期を収拾させたディオクレティアヌスあたりから、第一の市民ではなく、ペルシャの影響でオリエント的な絶対君主(＝神)になる。
この絶対君主時代でも元老院は普通にあったが、とにかく議員も皇帝に友みたいに話し掛けられなくなり、皇帝の面前で跪拝しなければならない状態に。

ただディオクレティアヌスが皇帝を神と崇めさせる事で新たなローマの秩序作り、帝国に活を入れようとしたのに対し(それゆえ彼は絶対に皇帝を神と認めないキリスト教徒の大迫害を行った)、次のコンスタンティヌスはこれまたディオクレティアヌス後の内乱を全て鎮圧し、唯一の皇帝に成ったわけだが、自分を神だと言うよりキリスト教を公認し優遇し、自分は唯一の神から地上における統治を任された絶対君主であるとの、王権神授説の元祖となった。

この辺りは前スレや他の昔のスレ(ローマ帝国)に詳しく書いた。

さてコンスタンティヌスは、首都をビュザンティウム(後にコンスタンティノープルと呼ばれる)に移したが、その時、元老院も連れて行こうとしたが、さすがに多神教の古いローマの伝統を誇る議員らは拒否した。
そこで彼は新都に新たな元老院を作り、議員も新たに任命した。ローマ側の古い元老院がこれをバカにして笑ったのは言うまでもないが。

このように元老院は共和制、帝政関係なくローマ帝国には絶対必要なモノであった。だから後にローマ帝国が東ローマ帝国になり、ますます皇帝や宮廷の権力が増しても、コンスタンティノープルに元老院は存在した。例え御飾りに過ぎなくなっていても。

また帝政になっても初代アウグストゥスから６世紀のユスティニアヌス、更に７世紀初めまで地方の統治は、文官(貴族、元老院議員など)である総督が行い、武官(将軍)はその地の軍団の指揮官という二分策を取ってきたが、７世紀にイスラムが現れ帝国領土のかなりを奪う危機を機会に、テマ制という総督が将軍を兼ねる体制に変わる。

更に11世紀からはプロノイア制に。

ただいずれの場合も、帝政ローマ(東ローマも加える)の1400年の歴史で、皇帝のかなりが暗殺されており、ローマの支配は大衆には平和と文明をもたらしたが、皇帝には血生臭い、極めて危険なモノだったとは皮肉だ。

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東ローマ帝国も滅び、中世も終わり近代になってゆくと、まだまだ王権神授説や絶対王政は盛んだったが、いわゆる極端な暴君とされる人物(仮に捏造でも)が、居なくなる。

そりゃまあ皇帝や国王でなくて、地方貴族レベルならジル･ド･レやドラキュラ(彼も地元ルーマニアでは名君扱い)みたいのがたまに居たが。

こうなるといくら絶対君主でも、君主としての品格が必要になり、彼を名君と見るか暗君(暴君ではなく)と見るか、は、彼と関わった個人個人の運命で異なる。

プロイセンのフリードリヒ大王はドイツでは大概尊敬されている啓蒙専制君主だが、彼の宮廷に支える特に女官らには嫌な君主だったろう？
彼は女性嫌い、そして宴会などでも遠慮なく皆にずけずけ皮肉を言って宴会を滅茶苦茶にした。

またオーストリア帝国の啓蒙専制君主、皇帝ヨーゼフ２世。善意で庶民の為に色々改革したが、性急過ぎて失敗も多かった。成功例は18世紀に無償の義務教育を始め国民の知的水準を高めた事、帝室の広大な敷地を庶民に開放、憩いの場にした事など。他方、極端な倹約令を出し葬式は極めて質素にせよ、としたためにモーツァルトの葬儀は貧乏に過ぎ、どこかの共同墓地の大穴にポイ捨てだったから未だに彼の遺骨が発見されず、彼の墓が建てられない始末。

フランスのルイ14世も文化には貢献したが、戦争マニアとヴェルサイユ宮殿建設で国庫を空にし、後のフランス革命を引き起こした。

とにかく暴君は居ない。むしろ平民上がりで一代で支配者になった者の方がヤバい奴が多いかも。

ナポレオンは未だに賛否両論。ただ彼が原因で百万以上の人々が死んだ事実は変わらない。
ヒトラー、さらにスターリンや毛沢東も。専門家によると人間個人として誕生から死まで研究すると、ヒトラーと毛にはまだ同情や善意の欠片が見られるがスターリンはもう伝記作家でさえ全く同情の余地がない悪党だった、と。

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🎭さて最近、一部の者に可笑しな誤解が存在するようだから、一応書いておく。

まず日本人の多分女性のごく一部に、オーストリアを変な意味で｢高級｣だという偏見持った者がいるようだが、これは酷い間違い！

まあ歴史関係(神聖ローマ帝国云々)で正当にオーストリアの高い地位を認識しているなら良いのだが、何かそうでないミーハー的な動機だから安っぽくアホらしく見える。
他方、普通の日本人ならオーストリアとオーストラリアを間違える場合が大多数だと言うのに。

オーストリア人はドイツ人と同程度に高級であり下品でもある！
方言や周辺のスラヴ諸国出身者を考えたら、ドイツより下品な部分は下品かも知れない。

我々の国ではドイツよりヒトラーやナチズムに否定的でない者の比率が大きいし、人種に対する偏見もドイツより激しい。

ただドイツ人とくに旧東ドイツの連中が異民族に暴力振るうのに比べ、オーストリア人は口や雰囲気で差別するのがほとんどで滅多に暴力にまで発展しない違いはある。

とにかく西欧では一番右翼的な国である。

↩

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>> 245 またオーストリア人(ドイツ人も)が、日本語がかなり上手い(？)のが変とか思っている、非国際人が中に居るようだが、これも酷い誤解。

ヨーロッパ言語に詳しい人ならこんな偏見は持たないはずだが、大多数の日本人は英語しかヨーロッパ言語を知らない。しかも英語で苦しみ、あやふやな人がかなり多いのが日本の現状。

英語が母語のイギリス人やアメリカ人なら、確かに日本語は大変難しいだろう？

だがドイツ語母語の者にとってはそうでもないのだ。
あるドイツ人の言語学者が言っていたが、ドイツ文法は日本文法より難しい。

つまり漢字の読み書きが無くて、ただ正しく喋る、アルファベットで読み書きだけなら、ドイツ語母語の者が日本のネット等に書き込む方が、日本人がドイツ語のネットに書き込むより優しいのだ。

しかも最近は漢字の自動変換があるから、ある程度読めさえすれば、書く問題やフリガナについては全く問題にならない。

ドイツ語の分離動詞や再帰動詞、前置詞の格支配、接続法等の方が、日本人が間違えても自動変換で修正は無理。

では日本在住が長いドイツ系で日本語がほとんど出来ない人が多いのは何故か？

これは簡単に言えば、ヨーロッパ中心主義が潜在意識から抜けないからだ。アジアの言葉なんて真面目にやる必要ない、日本では英語で事足り。日本人こそ英語やドイツ語を話すべきだ、との傲慢な考え。
そして英語はドイツ母語者には一番易しい外国語。同じゲルマン系で1500年前にはほぼ同じ言語だった関係だから。
↩

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>> 246 更にオーストリアでもドイツでも、中等教育で英語、フランス語、ラテン語などから最低２つ学ぶ義務がある。

割合良い家庭の子供は２つのうち、１つはラテン語を取る。これはヨーロッパでは生きた古典語であり、ラテン語の教養があらゆる学術場面で必要になるからだ。

さて、ラテン語はこれまた英語母語の者には怪物並みに難しい。
日本人には更に難しい。よく日本人がラテン語始めて、英語の十倍難しいとか、フランス語とドイツ語を足して２倍したくらい難しいとか書いているが、とにかく格変化、動詞の変化が英語の百倍くらい多いのだ。

ただラテン語が出来るようになった者には、日本語は相当簡単。
ラテン語にある意味、似たような多彩な変化を持つロシア語やポーランド語が母語の人々も、割合日本語の習得が早いし上手い。

大体、西欧人で日本語が上手い人は、ラテン語を学んだ経験がある人が多いはず。
東欧スラヴは母語自体がラテン語に近いくらい難しいから、真面目にやる気なら日本語は短期間で上手くなる。

日本人は日本語が何か特別難しい言語のように思っているが、それは英語圏の人々しか知らないか、日本語をバカにして全く学ばないフランス人、ドイツ人(オーストリア人も)、ロシア人等としか接した経験がないからだ。

漢字の読みさえある程度マスターすれば、書きは自動変換あるし、文法だけなら日本語は難しい言語ではない！

同じアジア起源のアルタイ系ならトルコ語、ウラル系も含めたらフィンランド語の方がずっと日本語より難解だろう？
↩

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>> 247 とにかくオーストリア人は大使館に未登録者も含めたら、日本に100人くらい居るはず。
またドイツ人なら2000人近い。これらは正式に登録していない者も含むから、日本外務省のデータとは異なる。

更にオーストリアだけは日本との２国間協定があり、互いの国民がVISA無しに１年のうち半年間、相手の国に滞在できる。他のドイツ始めフランス、イギリス等の国々の場合は互いに３ヶ月つまり90日まで。

ロシアの場合などは、互いにVISAを取ってから行かないと１日たりとも滞在できない。

でオーストリア人が日本語のネットに書き込むはず無いとか思ってる一部の人は、全く無知はなはだしい。

オーストリア人で、日本語が出来て日本語ネットに書き込める可能性と、ラフマニノフのピアノ協奏曲３番が弾ける可能性、どっちの確率が高いのかも分からないとは！

当然、百倍以上の差で後者の確率の方が低いのに、無知とは恐ろしい、ラフマニノフ３番がピアノ最高の難曲でプロでも大半は弾けないと知らないと、全く見当違いな見解を抱いてしまう⤵

• << 250 因みに英語以外のヨーロッパ言語、特にドイツ語とラテン語について↓↓の私のスレの終わりの方で少し説明しておいたから、興味ある方は参考にどうぞ。 欧州言語の本来の複雑さが、少しは理解できるかも!? http://mikle.jp/thread/2717186/?guid=ON

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>> 248 なおラフマニノフ協奏曲３番について、細かいレスを以前沢山したが、改めて難易度についてつけ足しておく。

毎年ウィーン国立音楽大学ピアノ科卒業者を約20人としよう。入学者はずっと多いが欧州の一流音大の場合、毎年落第者が出、卒業試験コンサートでも落ちて退学も少なくないから、卒業者はもうプロ･レベルしか居ない。
だがこの卒業者の中で、普通にある程度余裕持ちラフマニノフ３番を弾ける者は居ても１人、多くて２人。
勿論、他の卒業者もまだ20代半ばで若いから、その後更に円熟し様々な技巧や経験を身に付ければ、将来弾ける可能性はある。

日本なら一応プロとして金取って演奏会やるピアニストの99％は、ラフマニノフ３番がしっかり弾けない。

ロシアだけは別。あそこはラフマニノフの故郷だし、ソ連時代に才能ある子供をモスクワに集めて天才教育受けさせ技巧の達人が他国より多い。ソ連崩壊後もソ連時代に名人で鳴らした者がモスクワ始め大都市の音大教授やって、弟子に厳しく難技巧を仕込む。
それにピアノとヴァイオリンはロシアの隠れた国技(笑)でもあり、彼らの誇りなのだ。

無論、ロシアは格差社会はなはだしいから下層民は全く芸術と無縁だが、専門にやる側は徹底してやる。

で、ロシア出身の国際的プロ･ピアニストだけは、大半がラフマニノフ３番を弾けると考えてよい。

他は、超絶技巧ピアニストと言われる者くらいしか、この曲をきちんと弾けない！

きちんと弾く、とは遅かったり四苦八苦して辛うじて何とか音だけ出せる、ではダメなのは、今更言うまでも無い。

私自身は今、これを一応弾けて、後の課題は慣れて余裕持ちつつ弾く事だ！

日本語が普通に出来るより、遥かに難しいのは当然と分かるだろう？

ウィーン大学日本語学科では、最初の２年間に当用漢字を完璧に出来るようにする。その後の２～３年で専門的研究をする。だが卒業者はそれなりに多かった(私の学生時代)。

更にポーランドのワルシャワ大学、ロシアのモスクワ大学ともなれば、普通の日本人より日本語が正確に出来る者がかなり居るのだ！

ラフマニノフ３番を弾くレベルを、日本語勉強に例えたら、欧州人が日本語で一流の文学者になるようなモノだろう！

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>> 248 とにかくオーストリア人は大使館に未登録者も含めたら、日本に100人くらい居るはず。 またドイツ人なら2000人近い。これらは正式に登録して… 因みに英語以外のヨーロッパ言語、特にドイツ語とラテン語について↓↓の私のスレの終わりの方で少し説明しておいたから、興味ある方は参考にどうぞ。

欧州言語の本来の複雑さが、少しは理解できるかも!?

http://mikle.jp/thread/2717186/?guid=ON

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