🎭ある暗黒卿の気紛れな呟きⅡ🎵＋⚡✒🐱

>> 100 あらら久しぶり(笑)

｢ゾルゲ｣の続きだが、この映画は幾分(またはかなり)左翼共産主義マンセー思想に固まっている点を除くと、監督の主観を交えないリアリズムに徹した映画なのかな、と思う。

だから、監督の主張が足りないとか、登場人物の掘り下げが弱いとかの批判があるのだろう？

まあ私は映画ド素人だから、映画に独自の主張があるべきか、またこの映画が駄作なのかは良く分からないけど…

ただ、映画だけ見てるとゾルゲや仲間らが正義を行ってるように勘違いしやすいのは問題。

ゾルゲは人類平等の共産主義の理想に憧れつつ、結局、独裁者スターリンの犬に過ぎず、スターリンの横暴を沢山知っても激しく彼を批判しない。
却ってスターリンとソ連の為に、日本人の仲間を時の内閣に送り込み、彼から日本政府が北進策(ドイツと協力してソ連を攻める)でなく南進策(インドシナ等に進攻し英米と戦う)を決断した事を聞き、大喜びし、急いでそれをスターリンに知らせる。

結果、ソ連が極東に配備していた軍勢をヨーロッパに回して、モスクワをドイツ軍から救えたと言われるが、真相は分からない。
私見ではチョビ髭(ダース･アドルフ卿)の奴がドイツ陸軍の作戦に滅茶苦茶な口出しし、それが独ソ戦一番の敗因に思われるが。


とにかくゾルゲはソ連に貢献しただけであり、日本にとってはもしかしたら仲間の内閣に深く関わった日本人(尾崎だったか？)を使い、南進論を煽らせた可能性もあるかも知れず、日本が英米とくにアメリカ相手の悲惨な戦争に巻き込まれた事に一枚絡んでいるかも知れないのだ。

少なくともそちらを望んでいたのは間違いない！

つまり日本側から見たら、単純に悪党。これドイツから見ても勿論そう。

更にゾルゲ逮捕(これは当時の日本の秘密警察がかなり優秀だったのだろう？)の後、ソ連はゾルゲなど知らない、彼はナチスのスパイだと言い張り、見せしめにソ連にいたゾルゲの妻を粛清までしている。

これに対するゾルゲ本人の対応(苦悶、絶望など)が全く描かれていない点は、さすがに人物の描き方が浅すぎるとの批判を食らっても仕方あるまい。

とにかくエンドクレジットに出るイマジンやジョン･レノンの言葉と、ゾルゲが身を捧げたソ連共産主義が全く異なるチグハグな感じも、確かにこの映画の違和感の一つであった。

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>> 101 あとまあ、ゾルゲは一応有名になったスパイだが、しかし裏を返せばゾルゲやマタハリみたいな有名スパイとは、スパイ行為が当局にバレて逮捕や処刑などされたから有名なのである。

ゾルゲ逮捕には、当時の日本の秘密警察の並々ならぬ能力があったのも事実だが、しかしゾルゲがソ連のスパイだったなら、アメリカやイギリスのスパイも当然、日本に居て日本政府や軍部の出方を探って本国に報告していたパズである。

そして、見つからず従って歴史に名前を残さない無数のスパイの方が実は優秀だった、と言うパラドックスがスパイの世界では成り立つのでは無いか!?

実際、ルーズベルトは真珠湾攻撃を事前に知っていて、重要な戦艦や空母を退避させていた、と言われる。
彼は知っていながらワザと日本側に奇襲させて、アメリカ国民の戦意を煽ったのだ、とも。

ならばこれをルーズベルトに知らせた、アメリカのスパイ(一味の何人かは日本に居たろう？)は、ゾルゲ以上に優秀なスパイとなろう。

これにてゾルゲ関係の話題を一応終える。また何か思いついたら書くかも知れないが(笑)

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アレクサンドロス大王とジンギスカン✋

征服者としてどちらも有名。しかもナポレオンみたいにヨーロッパ限定でも無ければ、最後は敗れて惨めに終わった征服者でもなく、２人共、大成功者だ。

一部の学者に言わせると、アレクサンドロスは天才に有りがちな狂気と紙一重だったのに対して、ジンギスカンは戦争や征服の才能は豊かだったが、人物としては意外に常識人(？)に近かった、とか。

だがジンギス君、宴会の席で、人生最大の楽しみがテーマに挙がった時、自分の楽しみは沢山の街を征服し、殺戮しまくる事だと堂々と言った話も伝わっており、ならばやはり常識人では無かったな!?(てかサイコパスじゃん？)

他の武将らが美女に囲まれる事とか、豪勢な生活とか、長生とか、多くの部下に慕われたい等と、極めて人間的な欲望を次々に述べている最中にだ！


ただ私の言いたいテーマはこれでは無い。

英雄の評価にも運が大きいかな、って話だ。

一応、世界一般の評価では、アレクサンドロスは偉大な征服者で古代ギリシャ文明とオリエント文明を融合させた文化人にして、世界史の大貢献者。つまりポジティブ⤴

他方ジンギスカンは残虐な野蛮人で数多の国々や繁栄していた街を破壊し尽くした、非道の征服者。ネガティブ⤵

母国モンゴルや一部のアジアで英雄として評価されていても、世界全般から見たらまあこんな評価だろう。

史実として、これが真実か否かは関係なく。


幸運なアレクサンドロスの方は、後に本家ギリシャ(マケドニアとか書くとまた現代マケドニアと混乱が生じギリシャ人らに殺されかねないから一応ギリシャにしておく)、それからローマを通してヨーロッパ全域で偉大な英雄扱い。
だけではない！
いわゆる欧米世界でのみ彼は尊敬されているのでは無いのだ！

イスラム教でも何がどうなったか、多分アラブの民間伝説からだろうが、彼アレクサンドロスは神(アラー)に選ばれ、世界を征服した善の英雄とされ、彼をイスラムの預言者の一人と扱う場合すらあるのだ。
↩

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>> 103 アレクサンドロスのアラビア語での名前はイスカンダル、またはイスケンダル。
何でもアラビア語の冠詞al(アル)が、たまたまアレクサンドロスの名前の冒頭と混乱され伝わり、アレクサンドロスからアルを除いたエクサンドロスがエクサンドル等を経てナマってイスケンダルに成ったらしい!?

とにかくアレクサンドロスはイスラム世界である中東からインドネシアまででも尊敬されている。

彼に滅茶苦茶にやられ、当初は彼を憎んでいたペルシャ/イランすら、後にイスラム化したから彼アレクサンドロスを英雄として受け入れざる得ない始末。

このように、アレクサンドロスとジンギスカン。本物の人物がどうだったかに関係なく、ハッキリとポジティブとネガティブにイメージが分かれた😒

これがヨーロッパでアレクサンドロスが敬愛されていたから、ってだけなら、欧米以外の地域は、欧米の価値観の押し付けナンタラ言っていれば済むだろうが、ヨーロッパ世界と関係ないイスラム世界でも英雄になってヨーロッパに負けず劣らず敬愛されてしまっているからね(笑)

お手上げと言うか、この２人の評価を完全に分けたモノは何なのだろう？

なかなか難しい謎だ💦

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久しぶりにラフマニノフ自演版のＣＤから、ピアノ協奏曲２番と３番を聞き、ショックを受けた⤵


上手すぎるのだ！
まあ作曲家＆ピアニストの場合、自作は自然に自分が弾きやすいような技巧で作られる傾向があるものだが、それを差し引いても60代後半のラフマニノフの超絶技巧が凄くて段違いで、自分がつくづくボンクラに思えたわ😢

改めて世界の現役の大ピアニストらのアンケートで、ダントツに史上最高のピアニストにラフマニノフが選ばれた理由に納得。
(因みに２位はアルトゥール･ルービンシュタイン、３位がホロヴィッツだった)

でまあ、こんな化物と自分を比較して落ち込んでいても仕方ないから、気持ちを取り直して３番を更に上手く弾く工夫しつつ練習した。
等身大で結構！
それでも工夫次第でベターになる部分はすべきだろ!?

でまたまた改めて発見。

いわゆる難曲、まあある程度以上の力量が要る作品となると、単純にレベルに甲乙つけ難いモノだと言う事を。
↩

• << 107 この｢上手すぎる｣だが、まず技巧が物凄くて、現代の技巧派ピアニストよりテンポが速く、しかも的確で内容も伴っている！ まあラフマニノフは身長２ｍを超える巨人で、手も大きく12度(ドからオクターブ上のソまで)が楽々届き、しかもマルファン症候群で指が常人では不可能なタコのように自由に柔らかく曲がったらしい。 だから元々、身体的に他のピアニストより圧倒的に有利な立場にあったのだ！ また20世紀前半の録音ゆえにレコードに収まる長さを考えたのか、２番も３番もとにかく速い。 ３番なんかそれでもＳＰに収まらなかったからか、所々カットされている。 ３番のカット部分は残念だが、カット無しの２番の速さとパワーが物凄く、これなら３番弾くくらい難しいでは無いか、と思える演奏。 あと十分芸術的な表現はしているが(オーケストラもフィラデルフィア管弦楽団で指揮者オーマンディやストコフスキーだし)、過剰にセンチメンタルでもロシア的でも無い演奏。 ↩

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>> 105 例えばベートーヴェンのワルトシュタイン･ソナタ。まあ大体｢熱情｣に近い難易度で、ハンマークラヴィーアだのラフマニノフ３番よりはかなり楽なハズ。

実際２～３日弾いて、古典的指慣らしに使ってみた。内容は名作だが、取り敢えずこれを近々人前で弾く予定なく、一応敬意を払いつつ指慣らしにね😉


ところがだ！
昨夕はいつもよりワルトシュタインが上手くいかない💦

何かやる気が起きない、手に力が入らない、乗り気になれない、とまあ負の連鎖…

それでも一応全曲弾き(指慣らしとしても異常に速いテンポで弾いているから、弾きづらかったのかも？)、何か落ち込んで他の曲を練習するか、休むか、ため息と共に考えながら、何気にラフマニノフ３番を始めたら、何だか割合上手く流れていき、気力も段々みなぎり、ワルトシュタインの不調から見たらウソのように弾けるでは無いか！

ラフマニノフの後は、余勢をかってリスト＆私編曲版のベートーヴェン｢英雄交響曲｣もまずまず良く力がみなぎり弾けた！

これは明らかにワルトシュタインより遥かに難しいハズなのに。

つまりこういう事か？

ある程度以上の内容と技巧を伴った作品になると、曲によって弾く側のギアも変わるし、またその日の気分や年齢に合うか合わないかも、満足にいくかいかないかの鍵になる。

ワルトシュタインを弾く時の心構え(ギア)と、ラフマニノフ３番の時では無意識レベルからして完全に違うし、こうした要素全てが関係あるのだ、と。


確か以前のスレに書いたが、ラフマニノフ３番よりもモーツァルトの協奏曲が難しい場合もあるのだ。

全く奥が深いわ、芸術の世界は！

(と詰めが甘い私は、今更ながら思ったのであった😅)

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>> 105 久しぶりにラフマニノフ自演版のＣＤから、ピアノ協奏曲２番と３番を聞き、ショックを受けた⤵ 上手すぎるのだ！ まあ作曲家＆ピアニス… この｢上手すぎる｣だが、まず技巧が物凄くて、現代の技巧派ピアニストよりテンポが速く、しかも的確で内容も伴っている！

まあラフマニノフは身長２ｍを超える巨人で、手も大きく12度(ドからオクターブ上のソまで)が楽々届き、しかもマルファン症候群で指が常人では不可能なタコのように自由に柔らかく曲がったらしい。

だから元々、身体的に他のピアニストより圧倒的に有利な立場にあったのだ！


また20世紀前半の録音ゆえにレコードに収まる長さを考えたのか、２番も３番もとにかく速い。
３番なんかそれでもＳＰに収まらなかったからか、所々カットされている。

３番のカット部分は残念だが、カット無しの２番の速さとパワーが物凄く、これなら３番弾くくらい難しいでは無いか、と思える演奏。

あと十分芸術的な表現はしているが(オーケストラもフィラデルフィア管弦楽団で指揮者オーマンディやストコフスキーだし)、過剰にセンチメンタルでもロシア的でも無い演奏。
↩

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>> 107 で先ほどアレクサンドロスとジンギスカンの比較したから、今度はバカらしいかも知れないがラフマニノフとラスプーチンの比較を思いついた！

どちらも19世紀後半のロシアに生まれた、分野は全く違うが怪物(肉体を含む)。

まあラフマニノフは貴族の出で教養あるロシア正教徒、ラスプーチンは無学な農民出のカルト宗教の修道僧。

だが人並み外れた肉体や怪物性には、共通性があろう？(と無理やり持っていく💦)

で今日の一般の評価。
ラフマニノフは大作曲家で史上最高のピアニスト。ピアノ協奏曲の特に２番や３番は人気が高く、他に宗教音楽にも優れ、とにかく立派な偉い人。半ば聖人に近いような…

他方ラスプーチン。実際には無学なりに平和主義者で、皇帝に第一次世界大戦参戦を止めさせようとしたが、最後は反感持つ貴族らによって暗殺され、そこにまた普段の噂の怪僧ぶり発揮の、青酸カリ飲ませても死なず銃で撃ってもダメ、剣で刺してもダメ、最後は皆でカーテンでグルグル巻きにして冷たい川に錘を付けて投げ込み、やっと死んだらしい、と。

で未だに帝政ロシア末期を陰で牛耳った悪の怪僧のイメージが消えず💦

まあこの２人に関しては、名曲残し人柄も悪くなかったラフマニノフが善扱いなのは当然にしても、ラスプーチンに対しても再評価すべき部分はしてやらないと、可愛そうな気がする。


ジンギスカンはモンゴルでは偉大な英雄扱いらしいから、もう今更、他国で｢名誉回復｣してやる必要も余りないと思うのは、私の偏見か？

如何かな、同志諸君!?(笑)

-｢同志｣だが、元祖マルクスのドイツ語｢ゲノーセ｣よりロシア語の｢トビャリシチェ？｣が共産主義者のイメージにピッタリくるようだ。
同様に右翼というかナチスの場合は、ドイツ語のカメラート(戦友)が一番ピッタリくるとのステレオタイプがある。以上、豆知識👍

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近年は専門家の中にはアレクサンドロスを批判する学者もいる。
まあ大概は、結果的に文化に貢献したにせよ、あれだけ戦争し敵を殺した、いわゆる征服者だから、ってのが多い。

ただ中にはアレクサンドロスに殺された者は敵のペルシャやインド人より、味方のギリシャ、マケドニア系が多かった。つまり彼はかなり粛清を実行していたのだ。
とか、
アレクサンドロスは邪悪さにおいてヒトラーに似ている、等、酷いものまで。

また、確かに彼は英雄だったが、現代に彼みたいな英雄は要らない。英雄がいない平和な世界が一番素晴らしいのだ。

という意見も。

他方、アレクサンドロスを称賛する学者も当然いる。
戦争の天才だった、単なるリアルな政治家で妥協せず最後まで夢と理想を追い求めた希に見る情熱、精神力、云々。


で、これはまた後に書くだろうが、私がアレクサンドロスを問題にしているのは、ベートーヴェンの英雄交響曲のピアノ版を弾く時に、英雄とは何か、英雄と戦争の悲惨さの関係、これらをどう捉えどう表現するか、に関わるからだ。

英雄交響曲は細かい経緯を省くが、元々ベートーヴェンの頭にナポレオンがあったわけではない！

たまたまナポレオンに献呈してみないか、と在オーストリアのフランス大使に勧められ、まあ本人もまだ皇帝なんかになる前のナポレオンに好意を寄せていたから、一時献呈しようと考えたのだ。

まあナポレオンが皇帝に成って、怒ったベートーヴェンが献呈を取り止めたのだけは有名な話だが…


でこの曲はオーケストラで弦楽器が円やかに奏でる時以上に、ピアノ独奏版だと戦争的な雰囲気が出て、特に第４楽章の終わり近くなど、ベートーヴェンが夢想だにしなかった第一次世界大戦以後の空爆の雰囲気さえ出しうる。

こうした悲惨、悲劇を、しかし最後は華麗なファンファーレで英雄らしく終えるわけだが、こうした部分の表現を皮肉交えたモノにすべきか、いやアレクサンドロスの理想像みたいに英雄は戦争の惨劇より上の次元に居る、と表現すべきか、迷うのだ。

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映画｢アンダーワールド｣シリーズ全５作を数年ぶりに、２日で全部見た。
スタイリッシュでなかなか洗練されているのは確かだ。

ただ作品ごとに過去の年代についての話が矛盾するのと(同じ逸話が600年前だったり1400年前だったり)、あとハリウッドお決まりのエンタメ性→興行収入重視の為のシーンが、所々見え見えだったのが、残念な点かな？

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>> 110 まあこういうハリウッド映画は有名だしド素人の私があれこれ書いても余り意味ないが、ならば十年(？)くらい前のロシアのＳＦ映画(ヴァンパイアや魔女も出る)｢ナイト･ウォッチ｣＆｢デイ･ウォッチ｣。

一応２編の別々の映画だが、それぞれを前編と後編と見るのが普通だろう。

まずロシア映画と言う物自体、余り沢山見ていないし、大概はハリウッド映画を安っぽくパクったようなモノだらけ(最近のは知らん！)

その前のソ連時代の映画は、大体常に独ソ戦を舞台にロシアの若者が純愛、祖国愛、そして社会主義への愛に殉じて、悪いドイツ兵(笑)に殺される悲劇を描いたワンパターン物が目立った。

ジュード･ロウ＆エド･ハリスのイギリス映画｢スコープの中の敵｣/日本版では｢スターリングラード｣は、こうしたソ連映画の定番をパロディー化したというより、虚構を暴きつつ質を高めたモノと見ていいだろう？

で｢ナイト･ウォッチ｣＆｢デイ･ウォッチ｣だが、珍しくロシア映画の安っぽさが余りなく、それなりに質が高いＳＦとして見れる。

アイデアも悪くなく、この世を善と悪の霊的軍勢による戦いと見る点など、ロシアで支配的なハズのキリスト教のロシア正教と全く異なったゾロアスター教の影響が濃厚。

まだプーチン権力が固まっていなかった時代だから、出来たのだろうか？
近年のロシアなら難しいか？
または中国などと違い、ロシアにはこのくらいの表現の自由は当たり前なのか？

見て損する映画では無い。
ただ個人的には、例によって突然論理が飛躍したり変なバカ騒ぎが始まったり、幾つか突っ込めば話自体が破綻しているようなロシア独特の世界-これはエンタメだけでなく、ゴーゴリの文学やムソルグスキーの音楽にもよくあるロシア特有の文化、芸術か!?-が少し違和感あった。

逆に、人によってはもっとロシア的な雰囲気出して欲しいと思う人も居るだろう？

(失礼💦
ソ連時代には偉大なタルコフスキーが居たわ。｢ソラリス｣等は名作。彼は…例外だな)

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🎵もう少なくとも６～７年ぶりにヘンデルの｢チェンバロの為の８つの大組曲｣を聞いた。

20代後半には一時ヘンデルに凝り、チェンバロでなくピアノでこの中から組曲１～５、更に別の曲集から｢シャコンヌと21の変奏｣など熱中して弾いたものだ。

ただ当然ながらピアノの鍵盤はチェンバロのより遥かに重いから、チェンバロの名手を真似ても速く巧みな装飾音が苦しかったり、速い曲もチェンバロ並みに飛ばすのはかなり難易度高いし、逆に遅い曲はチェンバロならではの幽玄さがピアノでは出ず(音色の理由)、余り遅いと幼稚な練習曲に聞こえたり…

まあこれはヘンデルの大組曲を知らない人でも、バッハのゴルトベルク変奏曲などを想像すれば分かる事と思う。

なおヘンデル(バッハやラモー等も)のチェンバロ作品はバロック特有の、楽譜は見取り図であり(フーガなど緻密な作品を除いて)、演奏者が勝手に装飾を加えたり、音を変えたり、繰り返しで変奏曲みたいにしたり、とにかく一種の即興演奏能力が必要。

チェンバロ奏者なら一流と呼ばれる人なら皆、これが出来ないとダメ。

私は元々、作曲が副業みたいなモノだったから、ピアノでもこれが出来るが、大半のピアニストはこうしたバロックの｢即興｣が苦手で出来ない。一流ピアニストでも出来ない人が大半。中には出来る人も少し居るが…

パイプオルガンもヨーロッパの大教会などのオルガニストなら、同様に即興演奏に長けているが、日本に来て驚いたのは日本人オルガニストは作曲が出来ない⤵

まあ宗教的背景が全く違うから、オルガン自体の伝統がなく、大半のオルガニストはピアノ科崩ればかりだからだろう、日本の場合。

とにかくヘンデルのシャコンヌや組曲の一部はずっとレパートリーとして弾いて来たが、久しぶりに一流チェンバロ演奏で大組曲８曲全部聞いて、やはりいいものだと思った。
↩

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>> 112 私が聞いたＣＤはイギリスのチェンバロ奏者のモノ。
速い曲が少し速すぎると思うが、それ以外は装飾や変奏の作り方も上手いし、一流だ。

ヘンデルの８つの大組曲には、組曲５(有名な｢調子のよい鍛冶屋｣を含む)などが他より少し易しいが、全体的にはバッハのパルティータのレベルには十分達していると言ってよい。

そしてヘンデルは現代においては、バッハの陰に隠れ過ぎていて気の毒。
バッハは無論、凄く偉大だが、ヘンデルの天才もほとんど負けず劣らず恐ろしいモノだ！

実際、バッハが評価され出したのはロマン派時代からで、それ以前のバロック、古典派時代にはヘンデルの方が遥かに評価が高かった。
明確な和声、力強いメロディーなどがバロックや古典派には受けたのだ。

他方バッハはバロック時代には難解過ぎると思われたり、実際、半音階的な和声進行が多かったから、逆にロマン派から現代までは圧倒的に評価されている。

ヘンデルだと明確すぎてロマン派の作曲家らに余り魅力無かったのだろう？

また概してバッハが宗教的、真面目、内面的、複雑で理論的なのに対して、ヘンデルは華麗、外向的、遊び心あり、あまり全集とか理論の追求に拘らないで(バッハの平均律とかフーガの技法みたいに)、豊かな才能をそのまま惜しみ無く発揮して次々に作曲していった傾向。

だからバッハの上に挙げた平均律やフーガの技法、ゴルトベルク変奏曲など複雑に凝った作品はヘンデルでは少なく、またバッハの２つ残された受難曲やミサ曲ロ短調みたいな集中度が極めて高い、一種の集大成みたいな作品にも凝らなかった。

だが、例えば合奏大組曲集にしても、変な力みが無く、貴族的雰囲気持つバックミュージックとして流していても肩凝らずに聞き流せ、それでいてこれを細かく分析しても対位法など実に優れているのだ。

水上の音楽などもそう。

そしてチェンバロ/ピアノならば、８つの大組曲始め、他の幾つかの組曲なりシャコンヌなりがそれだ！
↩

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>> 113 なおヘンデルはバッハと同じ年に、同じく中部ドイツに生まれたが、途中でイギリスに移住しイギリス国籍を取ったから、イギリスではイギリスの大作曲家扱い。
日本ではドイツに習い、ドイツの作曲家とされているようだが!?

まあ傑作、名作の大半はイギリス移住後に作曲されたが、彼の芸術家としての泉がドイツにあるのも、また事実だろう？

なお当時のイギリスはドイツつまり神聖ローマ帝国のハノーファ選帝侯と同君連合だったが、それでもドイツ/神聖ローマ帝国とイギリス/連合王国は別々の国扱いだったから、オーストリアとドイツみたいにどちらも神聖ローマ帝国でオーストリア側が皇帝家だったケースとは違い、ベートーヴェンがオーストリア人かドイツ人かを論じるのに比べ、ヘンデルについては結構シンプル(笑)

ドイツ人はドイツの作曲家だと言い、イギリス人は勿論、イギリスの数少ない貴重な大作曲家だと主張する。

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🎵ヘンデル以上に、最近、練習の合間に聞くのが、ベートーヴェンの晩年の弦楽四重奏曲。
私にとってベートーヴェンの主なジャンルでは、一番馴染みが薄かった。理由はピアノソナタやピアノ協奏曲は勿論、交響曲や序曲などもピアノで弾けるが、弦楽四重奏だけはなかなかピアノと縁が薄いからだろう？

まあ幾つかは以前からよく知っていたが、改めて12～16番を通して３回くらい聞くと、やはり好みは13番の本来の終曲だった｢大フーガ｣、それと14番全体(特に第１部と最後の第７部)。

｢大フーガ｣だけはヘンレ版から２台のピアノ用編曲が出ているが、いつかこれを誰かと弾くかどうかは分からない。

ただこの曲や、14番の第１＆第７部を聞いていると、とにかくベートーヴェンは死の直前まで、闘い、斬新な世界を追求し、どんどん霊感が湧いてくる、そんな巨匠だったとよく分かるのだ！

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突然、映画の話から入る。
最近見たＤＶＤ、｢パラドックス｣と言うメキシコ映画。

内容はある日突然、数人が脱出出来ない空間-出口が無い階段で１階まで降りると地下が続くがそれが実は９階で、とにかく上下とも無限にこれが続く。終わりが無いと言うか円みたいな世界。同様に別の数人は階段の代わりに大草原の道路で同じような状況に。
ただどちらの場合も食べ物が置いてある棚や店があり、これが食べるとまた先に行って同じ棚や店があり、食べる前みたいに満タンに成っているから飢える事はない。
そうやって数人の人々が、階段世界でも、大草原の道路世界でもそれぞれ35年間、閉じ込められる。怪我すれば死ぬのと次第に(正常に)年を取って老人になっていくのだけは、我々の世界と変わらない。

まあ一見、かつてのキューブなどソリッドスリラーかと思うような映画だが、根本的な違いは危険や恐怖が余りなく、またソリッドスリラーに比べ筋は退屈だが、アチコチの映画祭で賞を取っていること。
つまりエンタメの要素より何らかの哲学的要素が強いと言う事だ！

まあ１回見ただけでは、私の正直な意見だと退屈で、何か深いメッセージなり謎解きなりがありそうな感じがしただけ。
謎解きと言っても、以前どこかでレスしたリンチ監督の｢マルホランド･ドライブ｣ほど難解でも無いだろうし、魅力的なワクワクさせられる謎解きでもなさそうだが(笑)

ただ私がこの映画を語るのには、全く別の理由があるからだ。それは…

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>> 116 この映画のテーマ音楽に、何とシューマンの交響曲４番の第１楽章(というより全体の)メインテーマの一つが使われ、それがアチコチで流れる事だ。

階段世界の方ではいかにもチンピラ風なチョイ悪ラテン系髭男が、何とイヤホンでこの曲を聞いているところから始まる。
全く場違いでビックリ。
まあ私の癖で、映画が始まって余り時間が経っていなくても、素晴らしい音楽が流れ出すとそちらに集中し、映画の内容を追えなくなる。
これは｢スパイ･ゾルゲ｣の時の英雄交響曲でもそうだった。今回はシューマン４番。
だが別にクラシックの名作で無くとも、映画音楽でも初めて聞く音楽でも、魅力的ならばそちらに自然に聞き入ってしまう。
音楽家の宿命か？

たまに音楽なんて嫌いだ、と思うくせに、やはりいい音楽からは自由に成れない本性なのだろう？

さてこのシューマンの交響曲４番のメインテーマ、階段でない大草原の道の方の出だしでは、何と家を出る前にまだ10歳くらいの男の子がピアノで遅く拙いながらも、オーケストラのポリフォニー含むメロディー、和声を大まかに弾いているではないか!!
しかも楽譜無しに。まあシューマンの交響曲４番のピアノ編曲楽譜なんて私の記憶範囲なら、存在しない。
だから実際には映画の音楽担当係がテーマ部分だけピアノに編曲したわけだが、しかし映画の中みたいにこれを楽譜無しにオーケストラ版だけＣＤ聞いて、ピアノに編曲できる少年がいたら作曲の天才だろう？ 間違いなく。

ともかくピアノで弾かれる遅く拙い演奏にも、私は凄く心を惹かれた。


で何故、監督はこの閉ざされた空間を描く多分哲学的(自然科学つまり物理をテーマにしたＳＦでは無いはず)の映画に、シューマン交響曲４番を持って来たのか？

映画の作風から言って、全く意味など無いハズは無い。まあ多少、監督が好きな曲だったのはあるかも知れないが、全く無関係に入れた感じでは無い。

メキシコみたいな国ではインテリと大衆の知的格差が物凄く、普通のメキシコ人にシューマンの交響曲など全く無縁だろう？
まだラテン系のイタリアやスペインのクラシック名曲ならともかく、彼らに難解で異質なドイツのシューマン、しかもトロイメライとか予言の鳥でなく交響曲４番！


私には多分、その理由が分かる。そしてそれはかなりの確率で当たっているだろう？

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>> 117 それは…、第一にシューマンの交響曲４番は４つの楽章間に区切りが無く、かといってメンデルスゾーンのヴァリオリン協奏曲みたいに単につながっているのではなく、一種のロマン派が生み出した循環形式と言う有機的な全体のつながりを持っている作品である事だろう？

まあ既にベートーヴェンの第５交響曲で第１楽章と第３楽章が同じモチーフを使っていたり、第９交響曲の第４楽章初めに第１から第３楽章までの断片が現れたり、次第に交響曲やピアノソナタなどの楽章間が有機的につながり出したわけだが、シューベルトの｢さすらい人幻想曲｣などソナタ風な幻想曲を経て、この傾向は更に強まり、シューマンにいたり４つの交響曲のうち、４番は楽章が全てつながり更に幾つかあるモチーフがアチコチの楽章に現れる。

これが、この映画の閉ざされた循環する世界に、ピッタリなのだ。

また単に循環形式の交響曲やソナタならば、更に後にリストがシューマン４番を遥かに超えた有機性を完成する(ピアノソナタ,ロ短調、ピアノ協奏曲とくに２番、ダンテ＆ファウスト交響曲、その他の数多の交響詩)が、リストの作品はもっと大スペクタクルでエキセントリックな映画に似合い(神と悪魔の戦い、まさにダンテやファウストみたいな世界)、日常世界の中に潜むゾッとする恐怖や謎、暗部にはシューマンがより似合うのだ。

美しいロマンチックな旋律の陰に潜む暗く不気味で謎と哲学と狂気の世界、ホフマン的世界、これぞシューマンの素晴らしさ！

私には特に中でも、交響曲４番やヴァイオリン協奏曲、またピアノ作品ならグランドソナタやクライスレリアーナが魅力的だ。

だが謎と不気味さを映画で表すのに、クライスレリアーナの冒頭では観衆に難解過ぎるだろう？
だから先に挙げた循環形式の問題と絡めても、交響曲４番は最善の選択に見える。
(あと私の好みを言えば、ヴァイオリン協奏曲もそうだろう。ただヴァイオリン協奏曲の方が評価が分かれる。他方、交響曲４番はロマン派交響曲の傑作で定着している。１番｢春｣や３番｢ライン｣をより好む人々も多いが、やはり専門的には４番が一番優れていると見てよい。あと２番もまあ玄人好みかも!?)

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>> 118 実はこのシューマン交響曲４番、作品番号Opが120に成っているが、Op.38である交響曲１番｢春｣と同じ時期に書かれた、シューマン交響曲としては初期に属する。

ただし｢春｣が割合好評だったのに対し、この元４番は余り人気が出ず、シューマン自身、約十年後つまり２番、３番が書かれた後にかなり改訂して４番として、再度発表したモノ。

今日、普通に４番と呼ぶ場合はこの改訂版のOp.120を指し、１番｢春｣と同時期に発表された方の楽譜はブラームスが保管していたお陰で、今日では知ることが出来る。

でこの珍しい元４番の方を、ニコラウス･アーノンクールが指揮してＣＤを出している。
聞いてみると、まあシューマン交響曲全般に言われがちなオーケストレーションに華やかさや絶妙さが欠け、音がくすんでいる点が、特に元４番では顕著なようだ。

だがその問題を抜いても、アーノンクールの指揮が下手過ぎる。とにかくやたら速すぎるのだ。私はオーストリアの音楽家の文句を余り言いたくないが、アーノンクールだけは昔から指揮が好きに成れない。
原典発掘者としての彼は素晴らしいが、指揮は私の好みでは無い。
オットマール･スウィトナーの方がずっといい。

と言うのは元４番を聞いた後に、普通の４番(改訂版)はスウィトナー指揮で聞いて比較したので、彼の名前がここに出たのだ。

ドイツのヴォルフカング･サヴァリッシュの指揮だったら更にいいだろう？
昔、良かった記憶がある。

まあ指揮の比較は止めて、作品の比較だが、成る程、かつて元４番を聞いた時より今回注意深く聞いてみると、一応４つの楽章がつながっていて現４番の元として十分でありながら、やはり繰り返しや無駄なモチーフが多く、全体的に改訂版の方がコンパクトで盛り上がる。
元４番のままだったら、やはりロマン派の傑作とは成らなかったろう？
あと幾分、改訂版ではオーケストレーションも響きが良くなっているようだ。

とにかく改訂してくれたシューマン先生に大感謝！

またオーケストレーションが何だかんだ言われ易いシューマンの交響曲は、反面、指揮者にとって演奏効果を挙げるのが難しいから、指揮のコンクールなどで格好の課題曲になる。

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>> 119 つまりシューマン交響曲がかなり魅力的に指揮できたら、それは名指揮者だ！

で名指揮者らによるシューマンの４つの交響曲を聞くと、４番が一番私好みではあるが、４つ全て平均して優れていて、とにかく私はシューマン交響曲が全て好きなのだ。

まあオーケストレーションに関して、交響曲の定番名作曲家であるモーツァルト、特にベートーヴェン、あとブルックナー、マーラー、チャイコフスキー、(ベルリオーズもいたが彼のは幻想交響曲を除くと今度はオーケストレーションだけ見事で曲想やメロディーに魅力が乏しいからな～)、また交響曲では無いが交響作品のリムスキー･コルサコフ、ドビュッシー、ラヴェル等よりシューマンに問題があるのは事実だろうが、でも私はオーケストレーションが優れ内容的にも名作揃いと言われるブラームスの４つの交響曲よりはシューマンの４つの方が好きだ。
ブラームスのはハッキリ言って私には退屈。ハイハイ、ブラームス･ファンは私を素人扱いして下さって結構ですよ(笑)

音楽なんてとにかく広すぎて深すぎて、クラシックだけでも全てに通じてる人なんて居ないのだから。
まあ中にはヨアヒム･カイザーみたいな巨人も居るが、珍しいし、彼にだって穴はあるのだ！

• << 122 このオーケストレーションとシューマンの関係についてやはり一言。 シューマンのピアノ曲や交響曲を見ると、気付くのが凄く対位法的と言う事。 同時代のショパンなどが、ピアノ曲の場合、大体右手で美しいメロディー(大概、単旋律)、左手はそれを斬新な和声で伴奏するタイプなのと、かなり違う。 そう、シューマンはロマン派時代のバッハなのだ！ 生まれもザクセンだし、やはりあの辺りにはバッハと言うより対位法の伝統的土壌がありそう(もう一人の対位法の巨匠ヘンデル、また隠れた対位法の達人だったワーグナーも皆、あの地域出身。) ロマン派のバッハとはどういう事か？ バッハが宗教音楽以外、特にピアノの前身チェンバロを使って対位法の極意を極めていき、最後に音楽の捧げ物やフーガの技法に行き着いたのは有名だが、彼のチェンバロ作品はたまたま楽器でピアノみたいに両手で何でも弾けて、対位法作品が自由に弾けるゆえにチェンバロを選んだのであり、最後のフーガの技法など楽器の指定が無い。 つまりチェンバロでなくても室内楽、声楽、オルガン、何で弾いても構わないのだ。 何で弾いても、バッハが到達した深遠なフーガの世界は表現できるのだから。 あたかも真の音楽は、楽器に縛られない絶対的な数学みたいなモノだと言っているようではないか？ そしてバッハのチェンバロ作品の場合、平均律でも、いやインベンションすらどの楽器で弾いても絶対的な偉大さ、美しさは変わらない！ でシューマンの場合にも、少し似た事が言えるのでは？

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>> 120 他にＤＶＤ映画の話題と言えば、サイレント/沈黙(遠藤周作原作)、ボーン･アイデンティティ(マット･デイモンのはシリーズ全部見たが、実はマットのより15年くらい昔、リチャード･チェンバレン主演のテレビ映画｢ボーン･アイデンティティ｣があり、テレビ映画とは言えマットのに負けず劣らず魅力的なのだ。この比較もしてみたい。)

大体こんな感じ？

ただこれらを論じる前に、1980年頃流行った映画｢オーメン･シリーズ｣の３を見ていて、悪魔または悪魔教の音楽とされているモノが、リスト晩年の名作｢哀しみのゴンドラ、特に２番｣にそっくりだと発見。特に和声進行が。

リストと言えば、題材には悪魔等を頻繁に使ったが、カトリックの信仰篤く、修道士に成っていた時期もある、いわゆる｢神側｣から悪魔を見て描き、最後は神側の華々しい勝利が定番で、悲劇や悲哀、不安が根底にあるショパンやシューマンと違い、力強くベートーヴェンに似た闘争を得て勝利に至る、がモットーの作曲家の代表格だ。

ただ晩年作品だけは異質で、悲哀や虚無感を感じさせるモノが多い。とはいえ、悪魔側だの悪魔教に寝返った形跡も雰囲気も一切ない。
むしろ真に悪魔的で危険なのはスクリアビンみたいな音楽。

ドビュッシーは、カトリック神父らの中に嫌うのが居るが、それは彼の作品が天真爛漫なエロティックな要素を持つからで、我々から見たら健康で実に豊かな魅力的な善の世界だ(笑)


とにかく言いたいのはオーメンの悪魔的音楽なんて、悪魔的でも何でもなく、あれより百年以上前にリストが到達した神秘的な世界の音楽。

まあ映画音楽作曲家は、チャイコフスキーやショパン、ドビュッシーだけでなく、リスト、ワーグナーの研究も欠かせないって事。
てか連中とっくに研究していたハズ。

(シューマンはユニークな天才過ぎて、映画の中で使ったりシューマンを題材にした映画はよくあるが、彼の作品に似せた映画音楽の作曲は無理だろう!?)

• << 125 映画｢サイレント/沈黙｣。 私は遠藤周作の原作を半分くらいしか読んでいないし、もうかなり昔読んだからよく憶えていない。 ただ映画について言えば、神の沈黙、殉教者を助けない、更にはこの世で悪人がのさばり善人や信仰者が苦しみ矛盾、こうした問題については主役のカトリック神父も、私みたいなオーソドックス/正教信者も区別なく、身近で深刻な悩みである。 信仰の試練についても。 また終わりの方で先にカトリックを棄てたフェレイラ神父(リーアム･ニーソン)が言う、キリスト教も仏教も、同じ道を別の方角から説いているのだ、と言う風な話もよく分かる。 まあ私は若い時から仏教やインド哲学、更に後にはイスラムについてもかなり勉強したし、頑迷なキリスト教原理主義者では無い！ それに敢えて主人公らポルトガルのカトリック宣教師と、正教会の信徒の違いを言うなら、カトリックは迫害と言う過去を殆ど持たず、むしろ十字軍やインディオ殺害、異端審問など迫害する側に立っていた歴史が多い。 古代ローマ時代の大迫害とよく言うが、あの時代は正教会とカトリックが分かれて居なかったし、むしろキリスト教徒の本拠地から見ればキリスト教とは正教会であったのだ。 だからカトリックが被った一方的大迫害は、沈黙の時代の江戸時代初期の日本が最大のモノだったかも知れない。 それにあの時代、ポルトガルやイタリアはほぼカトリック一色だったが、ドイツなどカトリック対プロテスタントの三十年戦争があり、互いに日本の迫害などより遥かに酷い殺戮をし合っていたのだ。

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>> 120 つまりシューマン交響曲がかなり魅力的に指揮できたら、それは名指揮者だ！ で名指揮者らによるシューマンの４つの交響曲を聞くと、４番が一番… このオーケストレーションとシューマンの関係についてやはり一言。

シューマンのピアノ曲や交響曲を見ると、気付くのが凄く対位法的と言う事。

同時代のショパンなどが、ピアノ曲の場合、大体右手で美しいメロディー(大概、単旋律)、左手はそれを斬新な和声で伴奏するタイプなのと、かなり違う。

そう、シューマンはロマン派時代のバッハなのだ！

生まれもザクセンだし、やはりあの辺りにはバッハと言うより対位法の伝統的土壌がありそう(もう一人の対位法の巨匠ヘンデル、また隠れた対位法の達人だったワーグナーも皆、あの地域出身。)

ロマン派のバッハとはどういう事か？
バッハが宗教音楽以外、特にピアノの前身チェンバロを使って対位法の極意を極めていき、最後に音楽の捧げ物やフーガの技法に行き着いたのは有名だが、彼のチェンバロ作品はたまたま楽器でピアノみたいに両手で何でも弾けて、対位法作品が自由に弾けるゆえにチェンバロを選んだのであり、最後のフーガの技法など楽器の指定が無い。
つまりチェンバロでなくても室内楽、声楽、オルガン、何で弾いても構わないのだ。
何で弾いても、バッハが到達した深遠なフーガの世界は表現できるのだから。
あたかも真の音楽は、楽器に縛られない絶対的な数学みたいなモノだと言っているようではないか？

そしてバッハのチェンバロ作品の場合、平均律でも、いやインベンションすらどの楽器で弾いても絶対的な偉大さ、美しさは変わらない！

でシューマンの場合にも、少し似た事が言えるのでは？

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>> 122 まず彼の交響曲を見ると、対位法的過ぎるゆえに単なる交響的な音響が表せない場合が、よくあるように思う。
つまり対位法的過ぎて、オーケストレーションが一部十分に発揮できないか？

まあバッハだって小規模なバロック･アンサンブルしか無かった時代に生きたから問題無かったが、どんどん大規模化するオーケストラによる交響曲を作曲すべき19世紀に生きていたら、オーケストレーションの名人だったかどうかは誰にも分からないだろう。


シューマンのピアノ曲にも似た事が言える。
確かにシューマンは、ショパン、リストと並んで、ピアニストにとって最も重要なロマン派作曲家である。

ただし、ショパンやリストがピアノの音色を気遣ったり、音の高低に応じてメロディーや装飾技術を変えたのに比べて、シューマンには余りそうした配慮が少ないと感じる。

その代わり、彼はショパンなら絶対に書けないような対位法の妙技をピアノ曲で、ことごとく毎回発揮した。

つまりシューマンの場合、ピアノだろうとオーケストラだろうと、音色よりもまず音楽の絶対的な美しさ、深みを優先させている。

実際、交響曲４番をもしピアノで弾いたとしても、あの美しさ、素晴らしさはオーケストラの場合と大差ないのでは？

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>> 123 作曲家によっては、使う楽器で作品の価値が決定的に変わる場合が多い。

例えばショパンのノクターンを、ピアノでなくてオーケストラやブラスバンドで弾いたら、もう生命を失うのでは？

あのベートーヴェンですら、ピアノ作品はショパンほど絶対にピアノの音色でないとダメと言うほどでは無いけれど、交響曲に関してはオーケストラ楽器を恐ろしく絶妙に使う。

英雄交響曲の出だしを聞く度に、私はオーケストラによる何とも言えない絶妙でゾクゾクする感じを味わう。
第５交響曲だってそうだ。
第６｢田園｣もやはり出だしからしてオーケストラが素晴らしい。

皆はよくコルサコフやラヴェル(またはベルリオーズ)をオーケストラの魔術師と呼ぶが、ベートーヴェンこそがその元祖なのだ！


ともかくシューマンに帰ると、彼の音楽の美しさ、深さ(これこそシューマンの最もユニークな点で心の深い部分、陰も含めて音楽で一番絶妙に表現した作曲家だったろう)は、ある意味で楽器(の音色)を超えた所にあるのだ！

この意味で彼はロマン派における、バッハ最大の後継者だったとも言えるのだ。

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>> 121 他にＤＶＤ映画の話題と言えば、サイレント/沈黙(遠藤周作原作)、ボーン･アイデンティティ(マット･デイモンのはシリーズ全部見たが、実はマット… 映画｢サイレント/沈黙｣。

私は遠藤周作の原作を半分くらいしか読んでいないし、もうかなり昔読んだからよく憶えていない。

ただ映画について言えば、神の沈黙、殉教者を助けない、更にはこの世で悪人がのさばり善人や信仰者が苦しみ矛盾、こうした問題については主役のカトリック神父も、私みたいなオーソドックス/正教信者も区別なく、身近で深刻な悩みである。

信仰の試練についても。

また終わりの方で先にカトリックを棄てたフェレイラ神父(リーアム･ニーソン)が言う、キリスト教も仏教も、同じ道を別の方角から説いているのだ、と言う風な話もよく分かる。

まあ私は若い時から仏教やインド哲学、更に後にはイスラムについてもかなり勉強したし、頑迷なキリスト教原理主義者では無い！

それに敢えて主人公らポルトガルのカトリック宣教師と、正教会の信徒の違いを言うなら、カトリックは迫害と言う過去を殆ど持たず、むしろ十字軍やインディオ殺害、異端審問など迫害する側に立っていた歴史が多い。
古代ローマ時代の大迫害とよく言うが、あの時代は正教会とカトリックが分かれて居なかったし、むしろキリスト教徒の本拠地から見ればキリスト教とは正教会であったのだ。

だからカトリックが被った一方的大迫害は、沈黙の時代の江戸時代初期の日本が最大のモノだったかも知れない。

それにあの時代、ポルトガルやイタリアはほぼカトリック一色だったが、ドイツなどカトリック対プロテスタントの三十年戦争があり、互いに日本の迫害などより遥かに酷い殺戮をし合っていたのだ。

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>> 125 つまりあれがドイツやオーストリア出身の神父なら、また違った対応もあり得た可能性が大きい。


他方、正教会は古代ローマ時代の迫害、イスラムが興ってから絶え間無い国境戦争、更にはカトリックの十字軍に攻められ迫害受け、そして沈黙の時代にはロシア以外の正教地域は皆、イスラムのオスマン･トルコに支配され、２級市民扱い受け、理不尽な突発的な迫害も度々受けた。

更に沈黙の時代より後には、次第に弱るトルコの支配を次々に脱したと思ったら、ロシアに共産主義革命が起き、ソ連政府が生まれ、ずっとソ連によるロシアと東欧の正教会に対する迫害がゴルバチョフ時代まで続いた。

つまり正教会こそがカトリックやプロテスタントより遥かに過去に迫害を受けてきた教会であり、沈黙に描かれる問題もずっと切実だったのだ。

だから正教会は、迫害を切り抜ける知恵を自然に身に付けていった。

まず住む地域の多数派である宗教とは揉めないで、なるべく彼らの風習を理解し取り入れ、平和的にやってゆく。
だからこそ、正教会はイスラムのオスマン朝のスルタン(皇帝)の為に儀式の度に祈り、現代日本では天皇の為に祈りを捧げている数少ない(と言うより唯一の)キリスト教のメインな派である。

他の宗教とは言い争いをしない、イスラム教徒がイスラムによって天国に行けると主張したら反論せず、正教徒には正教があり、正教に従い神の国を目指す。
イスラムや他の宗教の事はそんなに詳しく分からないのだから、彼らは天国に行けるとか行けないとか考えず、敵対もしない。

まあサイレント/沈黙は、まだまだ考えさせられる事が多い映画で、一回見ただけでは語れない部分も多い。

日本にはキリスト教は根付かない、日本はそうした宗教を根から腐らせてしまう泥沼みたいな国だと、日本の奉行が言った事も、なかなか深い。

• << 129 この原作-遠藤周作の｢沈黙｣が発表されたのは、1960年頃か？ とにかく50年以上前だろう。 そして当時は、カトリック信者でもあった遠藤が、最後に神父が役人の前でキリストの像を踏む事(その時、内部で｢踏みなさい、私は常にお前やお前の苦しみと共にいたのだ｣とのキリストの声を聞く)について、これの翻訳を読んだ欧州やアメリカでは衝撃が走り、また日本でも遠藤はカトリック教会から嫌われ、一部の神父らは異端視したらしい。 当時のカトリックの考えでは、どんな事があってもキリスト像を踏んだりして棄教すれば地獄行き、唯一正しい行いはそれゆえに自分含め何人が殺されようが踏まずに、キリストの十字架刑に倣って殉教する事だったのだ。 多分、まだ第２ヴァチカン公会議も終わっていない、数百年前から頑固に中世のままを貫いていたカトリック教会だったからだろう。 まあプロテスタントとの同居が現実問題で、またニーチェなど無神論の著作を体験したり世界大戦でナチス問題と深く接したドイツやオーストリアでは、一概に遠藤を非難したり、異端視するばかりでは無かったが。 しかしカトリックが唯一の強力宗教だった南欧等や、プロテスタントもかなり多いアメリカでは、｢沈黙｣を異端的だと考えたり、また日本人の思考、キリスト教理解はユニークで我々には理解できない世界だ、とか言われたらしい。 ただここで笑えてしまうのが、カトリックならともかくプロテスタントがキリスト像や絵を踏んだ事を非難するのは、本質的にオカシイのに、何故非難する？ プロテスタントの大半にとっては、十戒の一つである偶像崇拝禁止が重要な教義であり、つまり500年前に始まった宗教改革からその後の欧州でのカトリックの壮絶な宗教戦争を通して、ずっとキリストやマリア、聖人の絵や彫像は偶像崇拝の異端だと主張し、見つければ破壊し続けて来たのだからね。 つまりプロテスタントなら、むしろ喜んで絵なりキリストの彫像を踏む、力強く何度も踏んで破壊し、日本の役人さえ驚かせ、何かヤバい奴と思わせる行動が当然だろう!? それを何で遠藤を非難した？
• << 131 このレスに書いた最後の部分、｢日本にキリスト教は根付かない｣云々から先について考察。 幾つか根拠があろう。 まず一番単純明快なのは、もう17世紀とも成れば、余程の文明が遅れた地域を除いて地球上、皆それぞれの高等宗教圏に分けられていて、そこに他の宗教が入って取って変わるのは不可能だから。 例えば中東はイスラム圏、そして日本は仏教圏。 まあ儒教は形而上学伴う高等宗教では無いから、中国や朝鮮の儒教徒が近代にキリスト教徒に変わるのは可能だった。 同様にもし日本に仏教が無くて神道だけだったら、やはりキリスト教に取って変わられる可能性が大きかった。 ただ、大衆は知らずとも、日本の当時のインテリは仏教に詳しかった。そして仏教は形而上学、哲学理論においてキリスト教に負けない、人類史上でも屈指の高度な宗教だったから、キリスト教に可能性は少なかったのだ。 日本だけではなく、タイ、ミャンマー、スリランカなど伝統仏教国はキリスト教化されなかったでは無いか？

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>> 126 ところでこの映画は、実際には英語を使われている部分がポルトガル語と考えればいいのだが、それでもやはり言葉にはそれぞれ雰囲気があり、何かイメージが湧きにくかった。

まあ私はスペイン語(正確にはカスティリア語、あの国にはバルセロナ中心のカタロニア語もあるから)とポルトガル語は、殆ど分からないが。

イタリア語やフランス語に似ている部分があると言っても、やはり違う言語だし。

ただ英語の部分が、当時の国際語ポルトガル語だとしても、あんなに沢山の日本の役人や農民が何故流暢にポルトガル語を話せる？


それより英語で思い出したのは、｢スパイ･ゾルゲ｣。これは情けない。

本来はドイツ語、ロシア語で会話されている筈の部分が皆、英語⤵

主役が英語圏の人間だから、皆(ドイツ、ロシア、日本の俳優まで)英語に合わせたのだろうが、主役が全く出ないクレムリンの奥でスターリンが側近と喋っている場面すら英語⤵

あそこくらいロシア語にしたら良かったのに。どうせ日本映画だから英語でもロシア語でも、皆、字幕が付くのだし。

それにゾルゲは駐日ドイツ大使館の準外交官で、ドイツ人だと思われていたのだから、ドイツ大使との簡単な会話くらいドイツ語でやれば良かった。雰囲気が全く変わるのに。

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>> 127 因みにボーン･シリーズではアメリカ人のボーンが数ヵ国語を流暢に喋る設定だから、マット･デイモンも何ヵ所かでなかなか綺麗なドイツ語を喋っていた。
加えてロシア語も！


ハリウッドには俳優にそれをやらせるだけの資金と力があるが、日本の映画会社には英語圏の二流俳優に片言のドイツ語やロシア語を喋らせる実力も無いのか？

または日本人の悪い特長で、欧米人が絡む場合、何でも英語だと安易に考えているのだろうか？

だとしたら、酷いものだ。

あとゾルゲの部下のクロアチア人共産主義者が日本女性と結婚するシーンで、まずニコライ堂の外観が映り、内部を写したシーンでは全く別のカトリック教会だった。

まずニコライ堂は正教会で、あの場合ならセルビア人で無ければおかしい。クロアチア人はカトリック教徒。セルビア人とクロアチア人を区別するのは正教徒かカトリック教徒か、この一点のみ。
言葉は全く同じセルボ･クロアート語。人種も全く同じ。

それに当時コチコチのヨーロッパの共産主義者がキリスト教で結婚式などやるものか？

まあ身分を欺く目的だったと、ここだけは大目な見てやってもいいが。

何だか｢スパイ･ゾルゲ｣の悪口になってきて、本筋から外れたから、ここで止める✋

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>> 126 つまりあれがドイツやオーストリア出身の神父なら、また違った対応もあり得た可能性が大きい。 他方、正教会は古代ローマ時代の迫害、イス… この原作-遠藤周作の｢沈黙｣が発表されたのは、1960年頃か？
とにかく50年以上前だろう。

そして当時は、カトリック信者でもあった遠藤が、最後に神父が役人の前でキリストの像を踏む事(その時、内部で｢踏みなさい、私は常にお前やお前の苦しみと共にいたのだ｣とのキリストの声を聞く)について、これの翻訳を読んだ欧州やアメリカでは衝撃が走り、また日本でも遠藤はカトリック教会から嫌われ、一部の神父らは異端視したらしい。

当時のカトリックの考えでは、どんな事があってもキリスト像を踏んだりして棄教すれば地獄行き、唯一正しい行いはそれゆえに自分含め何人が殺されようが踏まずに、キリストの十字架刑に倣って殉教する事だったのだ。

多分、まだ第２ヴァチカン公会議も終わっていない、数百年前から頑固に中世のままを貫いていたカトリック教会だったからだろう。

まあプロテスタントとの同居が現実問題で、またニーチェなど無神論の著作を体験したり世界大戦でナチス問題と深く接したドイツやオーストリアでは、一概に遠藤を非難したり、異端視するばかりでは無かったが。

しかしカトリックが唯一の強力宗教だった南欧等や、プロテスタントもかなり多いアメリカでは、｢沈黙｣を異端的だと考えたり、また日本人の思考、キリスト教理解はユニークで我々には理解できない世界だ、とか言われたらしい。

ただここで笑えてしまうのが、カトリックならともかくプロテスタントがキリスト像や絵を踏んだ事を非難するのは、本質的にオカシイのに、何故非難する？

プロテスタントの大半にとっては、十戒の一つである偶像崇拝禁止が重要な教義であり、つまり500年前に始まった宗教改革からその後の欧州でのカトリックの壮絶な宗教戦争を通して、ずっとキリストやマリア、聖人の絵や彫像は偶像崇拝の異端だと主張し、見つければ破壊し続けて来たのだからね。

つまりプロテスタントなら、むしろ喜んで絵なりキリストの彫像を踏む、力強く何度も踏んで破壊し、日本の役人さえ驚かせ、何かヤバい奴と思わせる行動が当然だろう!?

それを何で遠藤を非難した？

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>> 129 まあ踏むと言う行為を通じてキリスト教を否定した、と言うのが問題なのだろうが、しかし｢沈黙｣当時のプロテスタントならば日本の仏教や神道以上に、同じキリスト教のカトリックが憎むべき敵だったわけで、実際に島原の乱の時など、プロテスタントのオランダ船が島原のカトリック農民らを、沢山の大砲で砲撃、殺戮している。(江戸幕府はこれを見てオランダに好意持ったとか)


だが遠藤の勇気ある発表の時代には、プロテスタントもそんな過去を忘れ｢沈黙｣を非難したりユニークだとからかったり。だがそれから半世紀以上経ち…

今日ではカトリックは大きく変わり、禅を取り入れたり、他の宗教を頭から否定しないで良い面を研究したりするようになり、遠藤の思考もかなり理解されるようになった。

要は踏んでも、またキリスト教を棄てると言っても、重要なのは心の中であり、常にそこで神やキリストと接するのを止めないならば、キリスト教を棄てた事にも神に背いた事にも成らない、という考え方だ！

原理主義者から見たら、甘ったれた現代に迎合した思想に見えるだろうが(笑)

まあ、遠藤の思想や映画｢サイレンス/沈黙｣の世界を肯定的に考える、のを、ある意味、カトリックよりプロテスタント的な世界に近いようにも思える。

ただしプロテスタントは数千の全く異なる派に分かれ、全般的傾向では形式より内面重視とは言え、その内面が原理主義的な場合が多いのだ。だから一概に沈黙の世界をプロテスタント的とも言えない。

これはむしろ、現代の互いに他の宗教や文化を尊重する姿勢に通じるモノと考えたらいい。

また形式主義も原理主義も捨てて、真のキリストの愛に生きると言う意味でもあろう？

ただ現存するキリスト教の中では、第２ヴァチカン公会議以後、改革されたカトリック、更には正教会の中でも原理的な人々でなく寛容で真にケノーシス/謙遜、テオーシス/神化を実践すべく生きている人々に近いと言えよう。

あと私みたいな、ダラけていい加減な信徒(笑)の世界にもかな？

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>> 126 つまりあれがドイツやオーストリア出身の神父なら、また違った対応もあり得た可能性が大きい。 他方、正教会は古代ローマ時代の迫害、イス… このレスに書いた最後の部分、｢日本にキリスト教は根付かない｣云々から先について考察。

幾つか根拠があろう。

まず一番単純明快なのは、もう17世紀とも成れば、余程の文明が遅れた地域を除いて地球上、皆それぞれの高等宗教圏に分けられていて、そこに他の宗教が入って取って変わるのは不可能だから。

例えば中東はイスラム圏、そして日本は仏教圏。

まあ儒教は形而上学伴う高等宗教では無いから、中国や朝鮮の儒教徒が近代にキリスト教徒に変わるのは可能だった。

同様にもし日本に仏教が無くて神道だけだったら、やはりキリスト教に取って変わられる可能性が大きかった。
ただ、大衆は知らずとも、日本の当時のインテリは仏教に詳しかった。そして仏教は形而上学、哲学理論においてキリスト教に負けない、人類史上でも屈指の高度な宗教だったから、キリスト教に可能性は少なかったのだ。

日本だけではなく、タイ、ミャンマー、スリランカなど伝統仏教国はキリスト教化されなかったでは無いか？

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>> 131 これに関しては、近年、欧州のカトリックの高位聖職者が面白い発言をしている。

｢キリスト教にとって最大の脅威はイスラムでは無い。イスラム移民が欧州で増えてもインテリ層はイスラムには走らない。
むしろ脅威というよりキリスト教のライヴァルに成り得るのは仏教である！｣


私はこれをこう考える。
元々キリスト教が高度な神学を備えるようになったのは、古代にヘレニズム(ギリシャ哲学など)を自然に理論体系に取り入れたからだ。
イスラムもギリシャ哲学を取り入れたが、キリスト教の姉妹宗教だからキリスト教徒にとって魅力ある宗教では無い。

他方仏教だが、これはインドで発生し、当然インド哲学の一つであるが、同時に体系化する段階で、インドに侵入したアレキサンダー大王とその後継者らがもたらしたギリシャ人らの数百年間の北インド支配を経て、ヘレニズムの影響を強く受けている。
つまり仏教哲学とはインド哲学、ギリシャ哲学、更に日本に入る前には中国の老荘哲学の混合で成り立っている。
だからヘレニズムの部分でキリスト教と共通点があり、更にキリスト教にはないインド哲学と中国唯一の形而上学である老荘哲学も入っている。(日本仏教の場合。中国を経由していない仏教の場合は、インド哲学だけ、またはインドとヘレニズムの混合のみ)

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>> 132 とにかく仏教は高等宗教である。他方キリスト教もヘレニズムを自然な形で取り入れたのは正教会だけであり(だから正教会をギリシャ正教とも呼ぶ)、カトリックは11世紀に正教会と分裂した頃までにヘレニズムの記憶があやふやに成っていた。
プロテスタントに至っては、ほとんどヘレニズム抜きでヘブライズムだけの派も多い。


なおまた正教会は、ローマから北インドにまで広がっていたヘレニズムを自然に取り入れたから、仏教含むインド哲学の要素も持つ。

だから先のカトリックの高位聖職者の発言は、インド哲学の影響が殆どか全く無かったカトリックとプロテスタントにとって、仏教が最大のライヴァル(インテリ限定だが)に成り得る、と言ったのだ。

正教会の場合は、そこまで仏教がライヴァルでは無い。仏教的要素も含むから。

とにかく17世紀にも成れば世界の高等宗教の住み分けは定着している。

アラブの大半やイランがキリスト教を受け入れないのと、日本でキリスト教が根付かないのは同じ理由。

これを覆すには、武力による完全な侵略しか無いが、それさえも結果的に、高等宗教分布図を殆ど変えなかった。

イスラムのトルコに支配されていたギリシャやバルカンは、アルバニアとユーゴの一部だけイスラム化したが、他はずっと正教のままで生き残ったし、ミャンマーやスリランカもイギリス植民地だったが仏教国のままだ。
オランダ植民地だったインドネシアも大半はイスラムのまま。

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>> 133 ｢日本にキリスト教は根付かない｣云々の、他の理由の考察はまた後ほど✋

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>> 134 しかしこれは考えて見ると、殆ど無い。残念ながら💦

｢日本は外国から入った宗教や文化を何でも日本式に変えてしまう｣と一部でよく言われる事も、論拠には成らない。
何故ならこういう傾向は世界の殆ど全ての国や地域にあり、日本だけの特長では無いから。むしろ例外の国や地域があったら知りたいくらいだ。

大体、日本は仏教をインドのオリジナルと全く違うモノに変えたと言っても、これを日本以上に行なったのは中国であろう。
その中国化された仏教が日本に入ってきて、まあそこで更に少し日本化したろうが、とにかく日本に仏教が入った時、既にそれはインド･オリジナルとはかなり違っていた。

インド内でさえ、原始仏教と大乗仏教はかなり異なり、原始仏教にヘレニズムやヒンズー教が強く影響して大乗仏教に成ったのだ。


キリスト教も同じ。日本どうこうの前に、既に｢沈黙｣に出るポルトガル人宣教師らのキリスト教は｢中世カトリック｣であり、本来のキリスト教とはかなり違うのだ。

もし今、まあ手軽に元祖キリスト教に一番近いモノを見たかったら、ギリシャかキプロスに行き、ギリシャ正教会をよく見て研究するのが一番。これは学術的に見てもそう。

同じ正教会でもロシア正教会やセルビア等のいわゆるスラブ系正教会は、根本教義はギリシャのと同じだが、雰囲気や歌などがかなり違う。

同じく西方に発展していきカトリック教会となったモノは、中世にかなりゲルマン化した。

クリスマスもサンタクロースも、日本が表面だけ商業主義で軽く取り入れたどうこう言う前に、如何に古代の姿を後のカトリックやプロテスタントが自分らの地域文化に合うように変えたか、を知るべきである。
そしてそれが西欧やアメリカ経由で日本に入ったのだ。

｢商業主義｣が出たついでに言えば、日本人は商業優先で宗教の形而上的世界より現世利益のみに関心持つ、と言うような話も、日本人全員でも無ければ、日本人だけの特長でもない。

確かにフランス人や現代ギリシャ人は、日本人より遥かに政治に関心持ち、カフェで政治議論で熱くなるし、ドイツ人は日本人よりずっと理論や分析を好む。

だがこれらは程度の問題で、日本にキリスト教が根付かなかった決定的理由には成らないだろう。

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>> 135 で結局、私が考えられる範囲だと、ある民族が商業民族か、農耕民族か、遊牧民族か、等の違いは宗教の選択にまあ影響する。

例えばこういう話がある。

オスマン･トルコが初期に、次第に強くなり東ローマ(ビザンツ)帝国を脅かし出した時、ビザンツ側はトルコ人らを正教(キリスト教)に改宗させて、難を逃れようと考え、宣教師らをトルコ側に送った。
するとトルコの王は彼らを丁重に迎え話を聞いたが、最後にこう言った。
｢残念ながらそれは出来ない。我が民は馬に乗り戦闘と遊牧をし、夜、月を眺めながら剣を抜いて気持ちを高める。イスラムが我々には一番合っているのだ。｣と。

まあイスラムは元々はアラブの商人の宗教だったが、とにかくアジアの遊牧民族は、多神教や仏教だったモノがイスラムを知ると、殆どがイスラムに改宗したのは歴史的事実だ！


だから日本にも合う宗教、合わない宗教が当然、存在しよう!?

ただしここで言うべき事だが、日本が全くキリスト教を受け入れないタイプの国だ、とは言い切れない。

仮に６世紀に大陸から仏教の代わりにキリスト教が入って来たとしたらどうだったか？
仏教の場合も、神道(多神教)派の豪族と、仏教派の豪族に分かれて激しい争いがあったと聞く。
結果的に仏教派が勝利し、上手く神道を仏教に融合させ、日本宗教の基本が出来上がった、と。

ならばもし仏教の代わりにキリスト教が入り、神道派とキリスト教派の豪族が争い、キリスト教派が勝利した場合、やはり次第に円満に神道はキリスト教に取り入れられ、日本的なキリスト教が誕生しただろう？

キリスト教は多神教を全部破壊すると言うのは、間違った理解であり、それは一部の原理主義派や戦国時代にやってきた宣教師らの傲慢な連中の場合であり、一般に正教会やカトリックはキリスト教化した地域の、元々いた多神教の神々をキリスト教の天使や聖人に変えて祀る事が多かったのだ。

日本に布教に来た｢沈黙｣時代の宣教師はそうでなかったようだが、同時代、大国だった中国に派遣された宣教師らは、中国人が孔子像を拝むのを否定せず、孔子をキリスト教の偉大な聖人として教えたらしい。

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>> 136 またもっと近代、日本が第二次世界大戦に敗戦した時、一部の噂によると昭和天皇がマッカーサーに会って、今後、日本の宗教をキリスト教にして欲しい、と言ったとか言わなかったとか!?

だがマッカーサーの方で色々検討し、それを断った、とか!?(迫るソ連共産主義の前に、そんな事している時間は無いと判断したのか？)

あくまで噂だから、神道派の方々は激昂しないでね😅

でも仮に、この話が本当でマッカーサーも承諾して、アメリカによる日本のキリスト教化が行われたならば、日本は勿論、日本的ではあるが神道や仏教を捨ててキリスト教国に成っていた可能性も高い。

あれだけ敵だった米軍やアメリカの統治に、円満に従い、戦後驚くほどアメリカ化した日本だから(皮肉では全く言っていない)。

とにかく言いたいのは、理数系で無い問題の場合、何でも答えが一つと言う事は無いし、また日本人は良くも悪くも日本が世界でも稀に見るユニークで特殊な国と思いたがる傾向があるが、それも余り思い込み過ぎるのは間違いだろう、と言う事。

確かにユニークな面が多いのは認めるが、それはユーラシア大陸の東端の、周囲の波が荒くて古代中世には簡単に近付けない島国だったから、と言う理由が大きい。

もし日本が地中海の中に横たわっていたなら、全く違った歴史、文化を持っていたろう。

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さて、｢サイレンス/沈黙｣は一旦置き、｢ボーン｣シリーズに入る🎥

まずマット･デイモンのシリーズの方だが、見る順番なら
・ボーン･アイデンティティー
・ボーン･スプレマシー
・ボーン・アルティメイタム
・ボーン･レガシー(マットは出ない)
・ジェイソン･ボーン

だ。
(しかし改めてタイトルを書くと、英語ってラテン語無しでは全く存在できない感じじゃん!?
ジェイソンだけは古代ギリシャ語でギリシャ神話の英雄ヤーソンの英語読みだが。
ドイツ語もかなりラテン語からの外来語があるが、ここまで極端では無い。)


さて、まず私の定例に従い音楽から。

常にエンドクレジットで流れるポップスだが、意外に私はこの曲が気に入っている。
まあ曲だけならありふれているが、歌う男の軽く風邪ひいたような鼻が詰まった声がいい！

作品全体に関して。

最後の｢ジェイソン･ボーン｣は最初の三作の二番煎じだとの声もあるが、私はまあシリーズ全部なかなか面白く、緊張感を持ちつつ見れた。

この作品群には、ダラダラした感傷が無く、とにかくスピード、サスペンス。そしてアクション系より知的なタイプのマットが派手で素早く賢い格闘、行動する部分が魅力的。

ただどの作品にもあるカーチェイス、お約束のバイクの危険走行は、少し長すぎ私には飽きる部分。

目立った欠点はそれだけか？

あとはまあ現実にウィキリークスやスノーデン事件があるくらいだから、アメリカの情報機関が相当エグいのは分かるが、毎回少しＳＦじみた陰謀を強調し過ぎ。

あそこまで薬物で兵器化された人間や、殺し屋が世界中至るところに充満しているのは、映画ならではのフィクションだ！

まあマット演じるボーンみたいのが居たら、これはもうゴルゴやエージェント47のレベル。

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>> 138 舞台はマットが出ないスピンオフ作品｢ボーン･レガシー｣だけ、アジア(マニラ)が登場するが、他は主にアメリカの大都市、パリ、ベルリン、ロンドンとなる。

かと言って観光地を見せる目的は無く、あくまで筋の為のロケーション。

あとチューリヒ、モスクワ、アテネ、マドリード、タンジール、ベイルート、またドイツやフランスの地方都市が出る。

チューリヒやベルリンでは、マットがなかなか綺麗なドイツ語を喋るシーンがあるし、モスクワ等ではロシア語も喋る(上手いかどうかは私には分からない😞)

あとフランス語やスペイン語を喋るシーンもあったと思う。


共演女優は、第２作の途中で死ぬ役のドイツ女優フランカ･ポテンカが、｢ラン･ローラ･ラン｣時代より色っぽいドイツ美人になった。

特に第１作｢アイデンティティー｣より、数年後撮影された第２作｢スプレマシー｣の方が美人。

また第２と第３作、スピンオフの第４作にも少し出る、情報部の女部長役の女優もなかなかいい。

もう一人の第５作で殺される役の女優も１～３にも出続けだが、上の２人よりイマイチ。ただし第５作で野心持ち、情報部幹部に上りつめるハイテク女よりは余程いい。

対する情報部長官役の悪役男優らは、何人か個性的だった。缶コーヒーのＣＭに出てる彼(名前忘れた)も、その中の一人。

またボーンのライヴァルの殺し屋連中は概して一見して近寄りたくないタイプが多く(いかにも悪人面で)、あれでは現実世界なら目立って暗殺者には向かないだろう!?

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>> 139 対して、日本では余り知られていないマットのより15～20年前のアメリカのテレビ映画｢ボーン･アイデンティティー｣。

主役のボーンをリチャード･チェンバレンが演じている。
こちらはマットとは全く違い、如何にもロマンチックなハンサム(イケメンて言葉は安っぽくて似合わない)で女にモテるタイプの色男な紳士。
日本でもリチャード･チェンバレンは、アメリカ映画｢ショーグン｣で有名か？

しかし｢ショーグン｣の按針役みたいなイカツさ、泥臭さはボーン役の時には全く無い。
(だが実は彼、ゲイだったのであり、カミングアウトしている)

とにかくこちらの｢ボーン･アイデンティティー｣も素晴らしく、もしマットの方が第１作だけ、つまり｢ボーン･アイデンティティー｣だけだったら、私はリチャードの方をより上に見たい！

作風がアクションだけでなくロマンチックで、またラブシーンの音楽もロマン派的ななかなかいい曲。
だがそれだけでなく、筋もいい。

最初の地中海で船から落ち記憶を失う所から、チューリヒ経由でパリに行くまでは、マットのと大体同じ流れだが、より丁寧。

その後の展開は全く変わる。マットの方では結局悪の黒幕だった情報局長の男が、リチャードの方では育ての親だったり。

またマットのボーンは、まあ騙されたにせよ、始めから自ら殺し屋になる志願をしたのに対して、リチャードの方は国際的テロリストを炙り出す目的で、育ての親がそのテロリストに似せた殺し屋にボーンを育て上げ、偽の記憶を埋め込む。

ロマン派好みならば、マットの第１作よりこちらの方が、美しく悲しくロマンチック。そして景色も筋もなかなか良い。

共演女優が私の好みだと少々安っぽかったのが残念。ミシェル･ファイファーみたいだったら最高だったろう♪

マットの方の良さは、まずシリーズ化した事、それからロマンチックな要素をカットし、ある意味、現代的で乾いた世界を描き、その中でひたすら戦う主人公の哀しみが見える点。

あとは特にシリーズ第５作ともなればスノーデン事件より後の世界であり、ボーンがよりハイテク化した敵の監視システム(衛星監視も含む)と至難な戦いをしなければならない、際どいサスペンスだろう!?

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やはり私は映画に関して素人だな💦

マットのボーン･シリーズの女優も悪役のボスらを演じた男優も、聞いたら結構有名な俳優が多かったのに、ほとんど知らなかった。

第２～第４作に出る女部長パメラ役なんか過去にアカデミー賞貰っていた大物らしい。だから中年でも魅力的なオーラを放っていたのか!?

と言うわけで、映画の話は恥さらすだけなので止めて、音楽、宗教、歴史以外に得意な分野である言語(と言っても主に印欧語、特に西方系)について少し。

まず今回は幾つか印欧語について勝手に問題提起したい。

サンスクリットの期限や文法完成が、通説どおりにギリシャ語やラテン語より古いのか、に対する問題提起は過去にしたから、もう余り書かない。
簡単に言えばインドは歴史の年代が全く掴み難い国なので、古典語のサンスクリットも実は親類とされる古代ギリシャ語やラテン語より古いのではなく、その文法整備もアレキサンダー大王のインド遠征以後、ギリシャ人か更に数世紀後にローマ人により、ギリシャ語かラテン語を模範に行われたのでは、という新説だ。
確かにこの説の方が様々な問題がスッキリ解決する。

で今回はまず英語。

英語は言うまでもなく、印欧語の西方系の更に西ゲルマン系の中の一つ。一応、アングロ･サクソン語が母体。だからアングロ･サクソンの故郷である北ドイツとの関係から、ドイツ語、オランダ語、フリジア語と同じ西ゲルマン語に属するのだ。

だが英語は古英語と中英語の間に凄い断絶があり、更に中英語から現代にかけて、またまた急激に変化してしまった。

まあ古英語はドイツ語に当然似ていたのに、それをぶち壊した犯人は第一にイギリスを荒らしたヴァイキング(特にデンマーク人の先祖)と、フランス化したノルマン人(ノルウェー人の一部)だ。
↩

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>> 141 11世紀半ばから15世紀半ばまで、イギリス(イングランド)はフランス語を喋る王朝に支配された為に、かなりの単語や文法がフランス化した。
フランス化とはつまりロマンス語化、言い替えれば崩れたラテン語化したと言う意味。
まあ英語の中に沢山あるラテン語起源の単語は、フランス語からだけではなくて、ルネサンス時代以後に直接ラテン語から取り入れたモノだが。
同様に古典ギリシャ語起源の単語も、ラテン語を通して入った。

まあこうした言語的にも文法的にも滅茶苦茶な侵略や取り入れをやったために、大きな弊害が次第に生じた。

それは…
古代エジプト文字や漢字は、発音でなくて意味を伝える表意文字だから、文字見れば意味が分かる反面、どう読むかは勉強し暗記するしかない。

他方、ギリシャ文字やアルファベット(ラテン文字)、アラビア文字等は意味でなくて音をストレートに表す表音文字だ。
だから規則さえ理解すれば誰でも読めなければ困る。

(で当然、漢字などの表意文字は読み書きが、聞き分けより重要になり、アルファベットなど表音文字は聞き話す音を単に文字にしただけだから書くのは易しく、聞く話す方に重点が置かれる)

ところが、だ。せっかくの表音文字であるアルファベットを使っているのに、英語は発音と綴りの差が酷い。しかも一見似たように酷く見えるフランス語には、規則があり、それさえ覚えたら複雑なアルファベット配列も正しく読める。
だが現代英語にはこの規則さえ無い。てかあやふや。

これでは何の為のアルファベットなのか？
何の為の表音文字を使っているのか？

正直言って、このような合理性に欠ける言語が、単にアメリカが超大国だからと言う理由で世界の共通語みたいに成っているのは、不合理極まる。人類の知的悲劇でもある。

一部で英語の発音と綴りの距離をグンと縮める改革をしようとの動きがあるが、目下全く実現していない。↩

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>> 142 まあ英語には反面、印欧語が伝統的に持っていた名詞や形容詞の格変化、動詞の複雑な人称変化がほとんど無くなり、これがヨーロッパ語系を話す人々以外に、学習にかなり負担が少なくなった、との長所に見える部分もある。

ただしこれは印欧語なのに、中国語などに構造上近づいた事を意味し、格変化、人称変化がほとんど消滅した代わりに、語順の自由が失われた。
何故なら英語や中国語で語順を自由にしたら、何が主語で何が目的語、述語か全く分からなくなってしまうから。

そうした英語の対極にあるのが、印欧語の少なくともヨーロッパ側言語で最も文法と表音文字の規則が模範的に整っているラテン語である！

印欧語では無いが、日本語も単語の後にテニヲハを付ける事で語順が英語よりはるかに自由である。しかしラテン語の自由には遥かに及ばない。

またラテン語同様、発音と綴りが一致していて、格変化や人称変化が複雑なスラヴ系のポーランド語やロシア語であるが、ラテン語と比べて芸術的とも言える文法の規則性は無いし、全く不規則だらけの変化をする。

つまり原始(古代)の印欧語をそのまま引きずっている。

ラテン語も古代には文法の整備が不足だったろうが、ローマがどんどん拡大し、帝国になる頃には完璧に整備された。

あたかもローマ人が得意とした道路、インフラ、法律、戦術の徹底整備みたいに。

それにまたスラヴ系言語は、印欧語を西方系、東方系に分けた場合、ペルシャ/イラン語、インド諸語などと同じく東方系に属する。

西方系はギリシャ系、ラテン系(ラテン語以外にそれが崩れて生まれたイタリア、スペイン、ポルトガル、フランス、ルーマニア語など)、ゲルマン系(ドイツ語、オランダ語、フリジア語、英語など西ゲルマンと、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、アイスランドなど北ゲルマンに分かれる)、ケルト系(スコットランド、アイルランドなどで元々使われていた言語)。

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>> 143 実はラテン語にも、見習うべき先進言語、先進文化があり、それが古典ギリシャ語であったのだ。

ただしギリシャ語から多大な語彙を借用しつつ、ギリシャ語の文法を解説する言語はラテン語なのだ。

つまりラテン語は、人類によって最も整備された言語と言ってよい。

ただしラテン語には明らかにギリシャ語からの借用語がかなりある。

と言う事で、一応それ以上遡らなくていいオリジナルに完結した言語は、古典ギリシャ語である！

ギリシャ語にも古代オリエント諸語起源と思われる単語が当然あるが、しかし古代ギリシャ人らは希に見る、他言語をギリシャ化する能力に長けていたから、もう専門の言語学者でもないと、ギリシャ語に入った外来語の元の形が分からないくらいになっている。

一例を挙げれば、ペルシャ語のクシャルシャ→クセルクセス、古代エジプトのクフ(王)→ケオプス(王)、ヘブライ/アラマイ語のヨシュア→イエスース、同じくメシア→クリストース(メシアの意味をギリシャ語に翻訳しそうなった)。最後の２語は当然ながら、ラテン語でイエスス･クリストゥスになり、それを通して綴りはラテン語と同じく
JESUS CHRISTUS なのに、英語では不規則にジーザス･クライストと読む⤵

ドイツ語はラテン語と殆ど同じ読み方をする。

日本語ではイエス･キリスト。

つまりラテン語が十分に模範的で基準の言語であるが、さらに高み、奥義まで究めたいならギリシャ語を学ぶ必要がある。
ここまで。それより古い言語はもう学者の専門世界だし、またギリシャ語より古い言語でギリシャ語ほど豊かな文化を持つ言語は無い。

人類最高の叡智はギリシャ語に詰まっており、それを一般化したのがラテン語である。
(もし悟りとか内面探求に関してなら、印欧語の東方系の古典語であるサンスクリットの知識も必要になるが)

片方にギリシャ語、ラテン語、(サンスクリット)がある。

もう片方の極端に現代英語がある。

そしてドイツ語、フランス語はその中間である。
まあ幾分、ギリシャ語ラテン語寄りではあるけれど。

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>> 144 ところで現代ギリシャ語だが、これはもう便宜上、古代(古典)ギリシャ語と別の言語と扱っていいだろう。
(実際にはそう単純でないが💦)

簡単に言えば、さすがに二千年以上経過しているので、聞くだけでは古典ギリシャ語と全く別の言語と思うくらい発音が異なる。

ただしそれに合わせて綴りも変えてあり、その点ではフランス語が読まないのにも関わらずラテン語の名残と言うべき綴りを残していたり、更に英語が全く読み方が違うのにフランス語やラテン語の綴りを無駄に残しているようなケースとは違う。

まあ古典ギリシャ語と現代ギリシャ語の関係は、ラテン語とイタリア語の関係に似ている。ただしまだしもラテン語とイタリア語の方が互いに近いとは思うが…

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>> 145 次にフランス語について触れたいが、余り言語の話ばかりでもマニアック過ぎるから、今は簡単に。

まあこれほど、インテリや美人が喋れば美しく、逆に男女問わず教養ない人々が怒鳴ったり罵ったりすれば醜く聞こえる言語も珍しいだろう？
いや、どの言語でもそうだが、格差の凄さと言う点で。

また中にはフランス語の発音が難しいと考えてる人々が日本などに居るが、実はフランス語とドイツ語の発音は意外に近く、例えばドイツ語母語の者にはフランス語の発音はそんなに難しくない。
逆もそう。まあフランス人が余り真剣にドイツ語の発音を練習しないで喋れば、フランス人だとバレバレになるが(逆のパターンも然り)、しかし互いに発音は通じるレベル。

まあ言語系統は違う(ロマンス語とゲルマン語)が、フランク王国が東西に分裂し、西はフランス、東はドイツに成ったのだから(笑)
フランス語を学ぶならば、英語が母語または堪能な人より、ドイツ語が母語か堪能な人の方が楽だろう。

また欧州には独仏のバイリンガルの人々がかなり多い。どちらも方言だがスイス人で両言語圏の境界地域に住む人々、またルクセンブルク人やアルザス人、更にはオランダやベルギーにも独仏バイリンガルが居る。

またＥＵの関係もあり、独仏互いの国民もかなり相手の言語を勉強する。
だから片言ならドイツ語が理解できるフランス人も結構いる。
ドイツ語圏側でも、英語、フランス語、ラテン語のうち、中学(ギムナージウム)時代には既に最低２言語が必修。
勿論、日本の高校くらいの年齢になれば３つ授業を取っても構わないし、またラテン語を習っていた生徒は古典ギリシャ語を習い始める。

なおフランス語は全ての名詞に男性と女性の区別があるので、指示代名詞を使った場合、それがどの名詞を指すのか、英語よりはるかに明確になる。
故に国際条約などの文書では、フランス語の方が誤解や曲解の余地がかなり減る。

フランス語同様、名詞が男性と女性に分かれるのは、イタリア語はじめラテン語が崩れて生まれたロマンス系言語の大半がそう。

対するラテン語は男性、女性に加え更に中性名詞がある。

これは古典ギリシャ語も同じだし、ドイツ語もそう。

またポーランド語やロシア語などスラヴ語もそう。当然、かなりスラヴ語との関係が深い(と一応言われる)サンスクリットも同様。

• << 168 言語の話に戻って、一番難しい言語は何だろうか？ これには相対的な難解言語と、絶対的な難解言語の２種類が存在する。 相対的な難しさとは、例えば平均的アメリカ人(英語話者)から見た場合、中国語や日本語が一応、最難言語だと統計があるように、母語から他の言語を見た場合だ。 逆に日本語が母語の人から見たら、本当に一番易しいのは朝鮮語で、中国語は音の高低が難しいが同じ漢字文化圏なので、ヨーロッパ系言語が母語の人ほど苦労しない。 他に本来なら日本人が割合楽な言語にトルコ語やモンゴル語がある。 英語はかなり遠い系統の言語だから、ヨーロッパ系言語では一番易しいとは言え、日本人は苦労するのだ。 オランダ人や北欧人、またはドイツ人なら、日本人が十年かけて出来るレベルの英語を半年も勉強すれば十分出来るようになる。 例えばドイツ人にとって一番易しい言語は、一種の方言と大差ない言語であるオランダ語を除けば、英語であろう。 逆にイギリス人やアメリカ人にとって、まあまあの頭脳ならばドイツ語はフランス語やスペイン語、オランダ語に次いで楽。 ただしドイツ人が英語をやる程、楽ではない！ 互いに近い系統の言語にも文法の複雑か単純か、の違いがあるからだろう？ まあどの言語でも、一流文学を書くレベルになったら難しい。 また途上国の中でも超マイナーな言語を取り上げて、最難とか言うのは、その言語の発想が極端に他と異なっていたりするからであり、大体において途上国のマイナー言語は、それだけでは日本の中学生以上の数学も科学も、政治経済や哲学(倫理など)も単語が無くて出来ない。 だから彼らは昔の植民地宗主国の言語(フランス語、英語、スペイン語など)で学校教育を受けているのだ。 だからこういう種類の言語を最難とは言えない。 ↩

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ところで私もかなり以前に作曲したモノを、単に頭の中に閉まっているだけで、楽譜化していないのが沢山ある。

全く面倒だが、やはりそろそろ、少しずつ楽譜に書かないと💦

でもピアノが主、作曲が副である私の場合、仮に作曲で成功したとしてもピアノは止めたくない。

ラフマニノフ３番やハンマークラヴィーアと言う頂点まで達したのだから、止めたら全く勿体ない！

ただ思うのだ。ピアニストは儚く悲しい。
もし１週間練習しなければ、もうラフマニノフ３番だのハンマークラヴィーアだののレベルの曲なら、かなり下手くそに成ってしまう。

まあ元に戻すのは数日で可能だが、しかし言いたいのは、作曲家みたいにくつろいでヴァカンス取っていても、常に頭に曲が浮かべば作曲できる、１週間作曲しないからって作曲力が衰えるワケでは無いのと違い、常に物理法則との毎日数時間の戦いを強いられる、って事だ！

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>> 148 作曲家は、ピアノ曲の場合なら普通、ピアノ弾きながら作曲するが、例えば交響作品や室内楽などは、ピアノ無しで頭の中で基本を作曲してしまい、後に和声の響き等をピアノで確かめたり、オーケストラバージョンを完成させる前に、ピアノ･ソロまたは連弾、４手等の版を書き、最後にオーケストラの肉付けをするのが普通である。

つまりピアノがかなり上手く弾けるのが、大半の大作曲家には常識。そうすれば、仮に屋外で何かピアノ曲でも交響作品でも浮かんできた場合、もう頭の中にピアノが入っているから、事実上、ピアノを弾きながら作曲しているのと同じ事になる。

まあモーツァルトみたいに、最初から交響曲作るのに霊感が湧くと、頭の中で全て完成されてしまい、楽譜書く時、スコアでなくても各パート(楽器)ごとに別々の楽譜を書くことが出来るような化け物も、希にはいるが。

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>> 149 ただしここに書いた、優れた作曲家の心得は、幾分シューマンが具体的に書いた事の影響を採り入れている。

私自身が全くこの通りなのではないし、シューマン以外の大作曲家にはピアノ叩きながら常に作曲していた人もいるのだ。

だからこの問題の分析(先に色々書いたシューマンの個性とも関連して)は、また改めて書こう✋

• << 152 シューマンは良い作曲家になるための心得を、結構書いている。 中でも特に印象に残るのは、 ・ピアノ無しでも、散歩などしながら頭の中で一曲完成させられるようでなくてはならない。 ・一応出来上がった曲は必ず楽譜に書く事。そうやって曖昧な部分が無くなり、真剣に形式などが確固たるモノになるのだ。 ・勉強に終わりはない！ さて、まず最初の文章だが、これがポップスや民謡でなくて、立派なクラシックの作曲ならば、まあ常に実行できるのは天才だけであろう？ いや大概の大作曲家は、屋外では常に五線紙を持ち歩き、何か曲が浮かぶと断片だけでもそれに書き込む。 これをスケッチと言うが、とにかくかなり重要な事と見なす作曲家が多い。 また弦楽四重奏や果ては交響曲まで、現代ではコンピューターの進歩で自宅で少しずつ試演させつつ作曲を進められるが、いわゆる大作曲家らの時代には基本を頭の中で響きを想像しながら作るか、たまにピアノを借りて和声など確かめるしか無かったのだ。 ただシューマンが、自ら書いたようにほとんどピアノに触れずに作曲していたとなると、それが彼のピアノ作品にモロに現れている。 つまり以前レスしたように、ショパンやリストならばピアノの音色や、音域の高低に配慮したピアノ曲を作ったが、シューマンの場合、そういう配慮より音楽そのものの絶対的な価値に重点を置いていた感じがする点。 これは彼の対位法や形式の素晴らしさによく現れているが、反面、ピアノの演奏効果から見ると発揮しにくい、ピアニストによっては何かショパン、リストよりシックリ来ない、イマイチとか感じてしまう事にもなる。 だから私としては、自分の経験から言えば、ピアノ作品を作曲する時はなるべくピアノを弾きながら、その都度、重要なモチーフなどをスケッチしていくのがいいと思う。 多分ショパンなどは、これが徹底し過ぎていて、逆にピアノ以外の楽器(協奏曲のオーケストラ部分など)の作曲もピアノで行ったのだろう？ だから彼の場合、当然、ピアノ以外の作品が少ないのだ。(これには他の理由、例えば二十歳でフランスに亡命して主にピアノ演奏、ピアノ教師として生計を立てねば成らなくて、じっくり交響曲など作曲している環境に無かった等の理由もあるが)

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