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君とともに

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名無し( 匿名
19-01-10 00:37(更新日時)

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 ある晴れた日曜日の昼下がり。巷で話題だという少女漫画を実写化したという映画を恋人と観に行った。恋愛禁止の職場で芽生えた甘く切ないラヴストーリーというよくある売り文句の三流映画であった。

「お茶にしようか」

 彼女は言った。映画館から出た後の事である。五番スクリーンだ。

「行く当てでもあるのか」

 僕の問いに、口角を軽く上げ、腕を絡ませてきた。

「それが旦那、ないんでやす」

 彼女はそう言うと、僕に先導するように促す。馬鹿かこの女は。

「僕はそんな店知らないよ」

「女性をエスコートするのは男性の役目デショ」

 もっともである。だが、そうは言われても、ない袖は振れぬ。足りない頭を絞りに絞って出た結果は、少しこじゃれたチェーン展開されているコーヒーショップであった。

「ありきたりだね」

 エスコートをなどと詭弁を並べてエスコートさせた上に文句まで言うかこいつは。内心腹が立っていたが、大人な僕はそれを表情に出すことはなく、唯々自分が注文したケーキを彼女に一口も分けてやることなく完食した。

「ケチ」

 知らん。先ほどから彼女が欲しいというオーラを出していたことなど微塵も気が付いていない。


 ……辞めろ、そんな目で俺を見るな。

 
 俺は、再び店員を呼び、ケーキを注文した。

「美味しいね、このケーキ」

 頂上に乗っかっている栗を落とさないようにと子供みたいな食べ方で季節限定ケーキを食べる彼女はかわいらしかった。

「ねぇ、貴方のその顔ちょっときもいよ」

 前言撤回である。

「それにしてもさ、さっきの映画どうだった?」

「どうって?」

「ほら、ここがこうよかったーとか」

 そんなことを言われても、僕には理解できない世界の話である。へぇ、という感嘆符以上の感情は湧き上がってこない。

「とても、よかったと思うよ」

「つまり、何も感じなかったわけね」

 満面の笑みで言い放った言い逃れのセリフは、スルーされてしまった。そりゃあそうだろう。こっちはまだ高校生である。職場でだの云々言われようが、あまり感じるところはない。強いて言うのであれば、主演女優の顔が僕好みであったぐらいであろうか。

「主演の天木由利さん、可愛かったよねぇ」

「そうだな。確かに、あの女優は可愛かった」

 即答する僕と、目の前の彼氏を白い眼で見る彼女。

「そこしか見てなかったと」

「ほんの出来心だったんです」

 バカみたいな会話で、休日は過ぎていく。でも、こういう休日も悪くはない。

No.2775172 19/01/10 00:37(作成日時)

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