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レス 19 HIT数 2325 あ+ あ-

賀州夏( ♂ MpbYnb
18-05-07 14:58(更新日時)

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金曜の午後、俺は非常に機嫌が良かった。
金曜の夜、土曜日、日曜日と三日間連続で面接だ。
面接といっても婚活サイトで知り合った女性と初めて顔を合わせる最近の俺はこの面接の為に生きてるといっても過言ではない。
俺は意気揚々と午後の仕事をこなし待ち合わせの時間が20時だった事もあり後輩の残業を手伝いながら時間を潰した。
待ち合わせの1時間前に退社してまずは理容室に入り顔剃りを行う、その後花屋でブリーフケースに入るサイズの花を買う。
いつもの様に20分前に待ち合わせ場所へ行き相手を待つ。
相手が現れるまでのこの時間が一番楽しい、俺は相手の顔を知らない相手には俺の写真を送ってあるので逃げられる事もなく安心だ。子供の時ハマったガチャガチャみたいな感覚だ、どんな人だろう?やりとり通りの人だろうか?色々考えながら道行く女性に目を向けているとあっという間だ。
一人の女性がキョロキョロと辺りを見回している
あ!ユウコさんかな?聞いていた年より上に見えるが真面目そうで教師っぽい。
人間違いだと恥ずかしいのでLINEを送ってみるとキョロキョロしている女性のスマホが鳴った。
スマホを見ているユウコさんに近づき挨拶をする。
ユウコさんはかなり礼儀正しくやりとりしていた通りの人だった。
食事をする事は事前に決めてある、俺はさぁ!ここからが本番だ!と気合いを入れる。
ここからが俺の面接だ、ユウコさんには悪いけど試させてもらいますと心の中で呟いて店へと歩き出した。

No.2627488 18/04/07 17:05(作成日時)
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No.1 18-04-07 23:55
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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5分ほど地下街を歩き店に着くとユウコさんは席を外した、身だしなみを整えに行ったのだろう。
その間に食事を注文する、ゆうこさんの好物はこの3ヶ月という前代未聞の長いLINEのやりとりで心得てる、外す事は無いだろう。
面接といっても俺は自分が選ぶ立場にあるなどとは思ってもいない。
仕事もただの公務員だし外見もごく普通の33歳の中年男だ。
俺の場合の面接というのはお互いに自分をさらけ出せるかどうかにかかっている、この歳になると時間をかけてお互いを知るなんて悠長な事は言ってられないのだ。
運命の人、一生に一度の大恋愛をして結婚したいなんて言っていたら待っているのは孤独死だけである。
そんな事を考えているうちにユウコさんが戻ってきて食事も運ばれてくる。ユウコさんは子供のように自分の好きな物ばかりの食事に表情がとても明るくなった。
オープンスペースだった事もありお互いに込み入った事は話さずに食事を終え、近くにあるガラガラに空いていた喫茶店でお茶をする事にした。
喫茶店に入るなりユウコさんは自分の職場を証明できるものを見せ俺も名刺と免許証を見せた。
それから俺はユウコさんに気を遣わずに気になっていた事を質問した、実家の事、男関係の事、財産の事などLINEでは聞けなかった事を一通り質問しユウコさんも時折証明出来るものを見せながら真剣に答えてくれた。
ユウコさんからも同じような事を質問される、俺も何も隠さずに正直に答えたが最後に意外な事を質問された。
「今の仕事を辞めれますか?」

No.2 18-04-08 01:38
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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俺が困惑しているとユウコさんは「すぐにとは言いません」
と付け加えた。
時計を見るともう終電間近だったので喫茶店を出る、ユウコさんと地下街を駅の方に向かいながらユウコさんの質問の意図を考える、試されたのか?それとも本気なのか?全く意味がわからなかった。
何かユウコさんは言いたそうだが言えないでいるみたいだ。
来てくれたお礼の花を買っていたのを思い出し、質問のせいで少しためらったが持っていてもしょうがないので改札の手前で花を渡した。花を渡した瞬間、俺は後悔した。ユウコさんは何でもない一輪のチューリップにとても感動してしまった。暫くして意を決した様なユウコさんは俺の目を見て礼儀正しい言葉とは裏腹な言葉を放つ。
「男の人から花なんて貰った事初めてです、今からお部屋にお邪魔しても良いですか?」
俺の軽いお礼の気持ちの花はユウコさんをときめかせ脳内ドーパミンとエストロゲンを分泌させてしまい、言えなかった一言を後押ししてしまった様だ。
俺は据え膳食わぬは男の恥だとか毒を食らわば皿までとか策士策に溺れるだとかいろんな言葉が頭をよぎりながらユウコさんと共に夜道を歩いて帰った。

No.3 18-04-09 01:39
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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俺はマンションにユウコさんを招き入れる、今日会ったばかりだが会うまでの時間は長かったし、身分がはっきりしていたユウコさんを部屋にあげるのは何の抵抗もなかった。
部屋に上がるとユウコさんがバッグから小さな菓子折りを取り出す、俺が好きだと話していた和菓子が入っていた。
お茶を淹れてユウコさんとソファで隣同士に座る、俺は不思議な感覚に驚いていた。
今日会ったばかりのユウコさんが空気みたいに感じる、何も気をつかう事なく和菓子を食べてお茶を飲んでいる、自然体だ。
ユウコさんが食べ終えた頃、口を開く。
「シャワー浴びても良いですか?」
俺は今まで空気だったユウコさんの生々しい提案に戸惑った。
「泊まっても大丈夫ですか?家の方は」
俺は質問を質問で返してしまった。
「心配ないですよ、泊まってくるって言ってありますから」
ユウコさんは子供じゃないんだからとでも言いたそうにウフフと笑う。
「だったら妹が出張で泊まる時用のパジャマ出しますね」
俺の妹は月に一度程、俺の部屋に泊まりに来る、初めて泊まった時に着替えが無くアイスクリームみたいなブランド名のパジャマを買わされた。
「ありがとう、お風呂借りますね」
そう言ってユウコさんは風呂場へ消えていった。
本当に妹さんのですか?と聞かれると思ったがそんな事もなかった。
ユウコさんがシャワーを浴びている間に俺にはやる事があった。
明日の面接相手に連絡をしなくてはならない、スマホを見ると何件もLINEが届いている、明後日の面接相手からも届いている。
メッセージを送るとすぐに既読されメッセージが送られてくる、俺は深いため息をつく、LINEは便利だが時間を無駄に使う場面が多く苦手である、終わりのないメッセージのキャッチボールがしんどい。
それに比べユウコさんとのやりとりは用件だけのシンプルで無駄のないものだった、3ヶ月も続いたのはそういったストレスが少ないやりとりだったからかもしれない。丁度おやすみのスタンプを送った頃、ユウコさんがシャワーを浴びパジャマ姿で出てきた。
冷蔵庫から発泡酒ではない方のビールをユウコさんへ渡すと風呂場へ向かった。


No.4 18-04-15 21:48
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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シャワーを浴びながら俺はどうしたものかと戸惑っていた。
俺のユウコさんに対する印象はどちらかといえば好印象だが、付き合いたい程かと言われればまだわからない。
こんな状態でユウコさんの積極的な行動に流されればユウコさんにも大変失礼である。
しかし、ユウコさんも付き合ってもいない相手と一夜を共に過ごす事に抵抗はないのだろうか。
ユウコさんは遊んでいるような感じはしない、それどころか男慣れしてない様に思えた。
俺はLINEでも恋愛感情的なメッセージは送ってないから勘違いされたという事もない。
ひとつだけ思い当たる事があるとしたら俺は付き合う前に何でも試したいと伝えた事がある、普通は付き合いながら理解していくものだがその付き合うという過程を俺は飛ばしたかった、時間がないからというのが建前上の理由だが本当はある女性の事を忘れられないでいる自分自身の弱さからくるものであった。

No.5 18-04-16 00:52
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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浴室から出るとユウコさんは手帳に何かを書いていた。
そういえば毎日日記を書いていて性格的にその日のうちに書かないと気が済まないと聞いていた。
俺はユウコさんが行動に移す前に手を打っておこうと思った、女性の方から誘って断られたらショックだと思ったからだ。
「ユウ…」
同時にユウコさんが話しだす。
「お家に来たのにはお話したい事があったんです」
俺の声はかき消されてしまった。
「外では言い辛くて、私の事で言っていない事があります」
ユウコさんは言い出しにくそうに言葉を詰まらす。
「実は身体に大きな火傷の痕があって……あの、そういう事も男の人とした事なくて」
それだけ言うとユウコさんはうつむいている。
俺はその瞬間ユウコさんの良い所に気が付いた、彼女は卑屈な事を言わない、こういう場合大抵の人は思っていなくても嫌ですよね?など付け加える。
「僕はどっちも気にしないですよ、ユウコさん明日の朝はレーズンパンで良いですか?」
俺がホームベーカリーを指差すとユウコさんが全てを察したらしく明るい顔で頷いた。
やった事がないからやってみたいとユウコさんが言うので説明しながらホームベーカリーに材料を入れる。
頑張ってるのに手際の悪いユウコさんを見て俺は久し振りに心が和んだ気がした。
目覚まし替わりにパンの焼ける匂いで目覚めるのが俺がお気に入りだと言うと楽しみだと言ってユウコさんはベッド、俺はソファーで眠りについた。
ドスン!ドスン!
「キャーッ」
ユウコさんの悲鳴で目覚めた。
ホームベーカリーの生地をこねる音に驚いたらしい、しばらくして生地をこねる音がやむとユウコさんの吐息が聞こえてきた。
俺は天井を見ながらある女性を思い出していた。

No.6 18-04-16 05:42
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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俺は夢を見ていた。
俺が婚活を始めて女性と会った日にいつも見るようになった夢だった。
夢の中の女性と俺は見つめあったり、口パクで俺とメッセージを伝え合う、その事が俺にとってとてもかけがえのない時間の様な感じがする。
今日は何か言っている、いつもはなんとも言えない表情だが今回は明らかに怒っている。
う、ら、ぎ、り、も、の
俺も口パクで伝える。
だ、れ、が、?
女性は呆れたような表情になり
ケ、ン、く、ん、の、ば、か
そう言って夢は終わった。
まただ、ミキが夢の中に現れた。
今日は怒っていた、俺はミキの怒った顔を思い返すとミキに怒られたいろんな事を思い出す、同時に溢れそうになった涙を手のひらで拭う、ミキが夢に現れるといつもいつのまにか泣いている。
ミキは7年前に事故で亡くなってしまった、忘れようとしても忘れる事の出来ない俺の最愛の人である。

No.7 18-04-18 23:44
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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ミキはもういないんだ、何度も自分に言い聞かせた言葉を呟きながら寝返りを打つと俺はフーっとため息をつく。
「いい匂い」
そう言いながらベッドからユウコさんが起き上がる、俺はそのセリフに聞き覚えがある。上体を起こしただけでそのまま頭を下げて二度寝してしまう。
ミキと同じだ、ミキも毎朝そうやって二度寝していた、窓から朝日がベッドの上に差し込んでくると頭を下げたまま「コーヒーが飲みたい」と呟いていた。
窓から朝日が差し込んできた、ユウコさんは頭を下げたまま「コーヒーが飲みたい」と呟く。
朝日を浴びているユウコさんが俺の目にはミキに見えていた。
朝日ってこんなに清々しいものだったんだと心から思った、7年間白黒だった俺の目に映る全てのものが色づき始めていたのがわかった。
ユウコさんとは一緒に朝ご飯を食べた後、また会う約束をした。家まで送って行くつもりだったが駅まででと言ったユウコさんに食い下がるのもなんなので大人しく駅まで送って別れた。
俺は部屋に戻るとすぐに今日と明日会う予定だった女性達に会えない事を伝えるLINEを送り、婚活サイトを退会した。
俺は引き出しにしまってあったペンダントを取り出し、握りしめてある場所へ向かった。

No.8 18-04-19 01:44
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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俺は墓地にきていた、若月家の墓の前に来るとミキのお父さんが好きだったタバコを備え、ミキのお母さんが好きだった白百合を花立にさす、線香をあげるかわりにミキが好きだったお香に火をつける。
ミキの若月家と俺の伊達家はミキの両親が俺の父親と幼馴染の親友で家族のような関係だった。
俺の母親は俺を出産した際に亡くなっており、ミキの母親は俺と兄にとって母親代わりだった。
7年前の事故はミキが両親と共に出掛けた際に起きた。現場は片側二車線の道路で目撃者の証言によると歩道を走っていた自転車が転倒し、乗っていた老人が車線に投げ出され、左車線を走っていた車がそれを避けミキ達が乗った車に接触しミキ達の車は反対車線に押し出され大型トラックと正面衝突した。ミキ達は全員即死だった。
俺はミキを待っていた、その日の午後はミキが注文したウエディングドレスを試着する予定だった。
ミキのドレスが飾ってある前でミキの妹から訃報が俺に伝えられた、その後の記憶が俺には無い。

No.9 18-04-20 00:21
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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事故は大きく報道され、世間の同情がたった一人残された当時高校一年生だったミキの妹コトミと残された婚約者の俺に集まる、それと同時に事故の原因となった老人と老人を避けた車の運転手に非難が集中した。
しかし、その非難はすぐに収まった。二人とも自殺したのだ。
俺はその事が一番許せなかった、この事故は誰のせいでもないが助かった者が死んでしまったらミキとミキの両親は無駄死にした事になる。それまでみんなに心配をかけまいと気丈に振る舞っていたコトミも泣き崩れた。
若月家は親族が居なかった事もあり、コトミは親父の養子となった。
葬儀が終わると親父と兄は家を空けがちになる。
親父は働いていた新聞社で何か調べ物をし、若月のおじさんの弁護士事務所で働いていた兄は大黒柱を失った事務所の為に奔走しているようだった。
コトミが心配だった俺は実家から職場へ通うようになる。
夜になると寂しくて眠れないというコトミを寝かしつけながら何度も朝を迎えたりもした。
そんな生活が2年ほど続いて、コトミが高校を卒業した日、いつものようにコトミを寝かしつけているとコトミが最近読んだ本の事を思い出したように話し始めた。
「ケンちゃん、ソロレート婚って知ってる?」
「知らない、何それ?」
「ソロレート婚って亡くなった人の代わりに姉妹が奥さんになる事なんだって、昔からある事なんだって」
コトミはじっと俺の目を見つめると思いもよらない事を言った。
「ケンちゃんとならソロレート婚してもいいよ」
俺は何も言わずにミキにどんどん似てきたコトミを見ていた。

No.10 18-04-22 02:30
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )

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「ソロレート婚っか…」
その日はそれだけ言うとコトミの部屋を後にした。
水を飲もうと一階に降りると父の書斎から出てきた兄のナオヒトとすれ違う、以前に比べ随分とやつれたように見える。
ナオヒトは「コトミの事は頼んだぞ」といつものセリフを言いながら俺の肩を叩く。
今まで家を空けがちだった2人が申し合わせたように帰ってきてはこの1週間、明け方まで2人で書斎で何か相談しているようだった。
その年の3月31日俺は仕事を早退し、コトミが通う大学の寮まで荷物を運び入れた、寮を使えるのは4月からなので大学から近い俺のマンションにコトミは泊まっていた。
その日のコトミは夕食時に飲めないビールを飲んだり、いつもと違う感じだった、俺は明日から一人で暮らすのが心細いんだろうと心配していた。
夜になり、いつもはコトミが寝るまで起きているのだが、その日は中々風呂から上がってこないコトミを待っているうちに先に寝てしまっていた。
俺は夢を見ていた、心地良い柔らかな感触に包まれている、今迄ミキでしか味わったことの無い感触、随分と久しぶりの感触、ミキとのキスを思い出すと同時に脳まで痺れるような快感が突き抜けて目が開く、俺の目に入ってきたのは目を閉じて俺と唇を合わせているコトミだった。
コトミはそっと俺から離れると
「ケンちゃん、お姉ちゃんの所に行こうなんて思ったらダメだよ」
そう小さく呟いて布団へ入った。
その言葉を聞いた瞬間、俺は全てを察した。
コトミはこの2年間自分を心配させる事によって俺が変な気を起こさないようにしていた、コトミが本当に明日から心配なのは俺を一人にさせる事なのだと。

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