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沙耶香の女装官能小説2(女王様と作家編)

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作家
18/07/30 08:24(更新日時)

物語

わたし水越沙耶香(仮名)はスカウトした麗奈と共に暮らしながらモデルは二年目そして新たに官能作家の道を歩むことになるが隣の部屋に麗奈の後輩早紀が引っ越してきたからたいへん。
朝は淫らにフェラチオで起こされ三角関係はますます広がる。
しかし麗奈は私の担当をはずれ代わりに担当するのはお堅い真面目な美少女。また舞先生の教室に通いながら新たに築かれる性欲に餓えた人妻たち……。
さらに私をヘッドハンディングやスカウトしようとする女装レズ雑誌の美女やAV業界、テレビ局など。私はさらに道に迷い葛藤するなか性の道を模索する。
麗奈に黙り女装SMクラブ“ヴィーナ”の女王様(見習い)としても活動していく。

物語は前回からそのままの正当な続編。
女装小説ではありますがLGBTや性同一性障害などではなく著者が女性や女性的なモノに憧れる作品です。
何度も言いますが誤解なきよう願います。

17/12/08 07:46 追記
ちなみに著者は前シリーズ同様に男性です。

登場人物紹介

水越沙耶香(♂)
ソフトサディストの性癖を持つ女装。麗奈にスカウトされそのまま沙耶香として同居。サディストではあるが本格的なSMは実は苦手。だが麗奈や早紀から愛され神無月社長の女装SMクラブ“ヴィーナ”で女王様(見習い)も兼任。

矢口麗奈
沙耶香をスカウトした張本人。もとレズ。

ニノ宮早紀
麗奈の後輩。まだ未熟。

18/01/16 05:50 追記
登場人物追加設定

冴木流菜(るな)
麗奈や沙耶香が通うフィットネスクラブに通う人妻。沙耶香とセックスをしサインを求めるが実は彼女は……。

美如月愛那(みさらぎあいな)
麗奈に代わり沙耶香の担当になった早紀より年下。実は沙耶香の学生および郷里時代を知り下着泥棒をされた被害者。ただし個人的感情の怨恨はないらしいが……。

本田透子(透・♂)
早紀に過去にいじめられた女装初心者。

No.2571700 17/12/06 06:06(スレ作成日時)

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No.1 17/12/06 12:53
作家0 

カーテンの隙間から朝陽が差し込むなかそっと音を立てずに忍び込むちいさな影。
影は目の前で眠る女性の掛け布団のなかに潜り彼女の陰部に指を触れたしかめる。あたたかく膨らみが美しいショーツに見えて影は微笑む。
これが……さんの……。
そっと影はちいさな手を這わし淫部を包み上へ下へと触れ感触や堅さを確かめ吐息がこぼれる。さらに口へ含む。
れろ…れろ…んむんむ。
びくんびくんとするショーツの内の性器は口に入り切らないほど脈打つ。
「ん……や……や。はあはあ」
こんな風に感じるんですね。愛してあげます。
ショーツの内のなかの膨らむ玉ふたつは指で触れると可愛く揺れた。
はむはむ……くちゅくちゅ。はあ……。
「や……れ、れいな…」
布団の中にいる影は少しムッとした。麗奈さんではないのに。
朝一番の溜まったのをくださいね……。
ショーツの脇から出てきたのは棒状の性器。それをくちゅくちゅじゅるじゅると口に含む。鈴口からカウパー液が絶え間なく出てきて臭くておいしい……。
「あ……やだ。イク……イキそう…麗奈…」
「麗奈さんではないです。あなたの恋人ですよ」
「……んぅ……はあ」
「イキそうならイッてください……じゅる」
びくん!と口内で性器は弾けるように揺れ亀頭を舌で転がしていく。
瞬間性器から迸る粘液が飛ばし影は慌てながらもちいさな口内でんむむと受け止め息を堪えながらも含み耐えた……。
「ああ……こんなに。沙耶香さんの……」
「……ハアハア……麗奈…もう……」
二の足が朝から痙攣するようで腰から力が抜けていた沙耶香は朝からの性行為に額や髪に汗が浮いていた。
上体を動かしベッドから動いた時にひょっこり布団の中にいた影があたまから現れた。
「おはようございます沙耶香さん」
思わず声を失いそうで咄嗟に沙耶香は下半身を見た。ショーツの中のぺニスは唾液と精液で濡れ湿り痙攣を思い起こし射精したことを悟った。
「お、おはよう……」
どうか何事も起きませんようにカーテンの隙間からの朝陽を神のように願ったが時すでに遅かった。背後から優しくも怒りを含んだ声があった。
おはよう沙耶香。そして早紀。
「あ、おはようございます麗奈さん」
なんで答えるのよと思う私。だけどマンションの上階から逃げられるところはない。
変態と叫ぶ声が一室から街に伝わった。

No.2 17/12/06 13:43
作家 

朝ごはんの一時。
箸を動かし茶碗がちいさな音を立てながら白いごはんに味噌汁、目玉焼きにウインナーにサラダなど色とりどりである。
わたし水越沙耶香は女装雑誌『クロスドレッシング ボーイ→ガール』の専属モデルであり今年度から短いながら短編小説を書かせて頂いている駆け出しの作家(見習い)。
向かいに座る大人びた女性はこの部屋の主でわたしをスカウトし女装という官能の道へ導いた矢口麗奈である。
そしてわたしの隣に座って食卓を囲んでいるのは……。
「早紀」
「おいしいですね。みんなで食べる朝食」
「そうね」
思わず私は背中が春なのに震えを覚えた。麗奈の声に冷気がある。まるで雪女のよう。
形のいい麗奈の瞳は早紀をとらえてたしかめるように言う。
「早紀、あなたのお家はどこかしら」
「お隣ですが」
「ならなぜここにいるの」
「沙耶香さんに夜這いをしたからです。朝の濃い精液がおいしかったです」
聞いてる本人がむせてしまうかのようなことを平然と言う麗奈の後輩二ノ宮早紀。
ふるふると麗奈の手が震え肩にまで伝わるのがわかる。怒りの兆候二度目は確実だった。口許が震え動く。
「なに平然と食べてるのよ!!ここは私と沙耶香の部屋よ!!」
「……だからこうして朝ごはんをごちそうに」
「招いてない」
朝からの口喧嘩を避けるために私はふたりの間を取り持つ。麗奈が嫉妬するのはわかるが早紀さんはいつもやり過ぎ。
朝食を終え麗奈はコーヒー片手に私に伝える。
「遅くなる時はひとりで食べていいから」
はいと頷く私の隣で早紀はふたりで食べてもいいんですねと言う。
「麗奈さん」
「あとご飯の時に言おうと思ったけど」
「なんです?」
「年度が変わったから私が沙耶香の担当を外れるかもしれないとだけ伝えておくわ」
聞いてないと言うといま言ったと返された。一年弱共に仕事してきた麗奈が外れる。考えたことがなかっただけ驚きが身体にあった。
「あたしは」
「早紀、あなたもよ。沙耶香から外れることもあるからちゃんと考えなさい」
は〜いといささか緊張感に欠ける声。
麗奈は言う。
「夏号にはモデルの仕事あると思うけど小説は締め切りを守ること。わかってるわね」
麗奈は私に女装を教え性癖を見抜き肉体関係を共にしただけあり言葉に愛情があった。
ふたりは出勤し姿を消していった。

No.3 17/12/06 15:41
作家 

いってきます。
麗奈と早紀は勤める双星出版社に向かう。先輩後輩の間柄であり沙耶香を取り合う仲。
バスに乗り麗奈は言う。
「よくまああんな部屋に住めるわね」
「住めば都ですって。ここだけの話、家賃少し安かったですよ」
驚く麗奈だが平静を保つがそもそも隣の部屋は早紀が住む以前は若い男性が住んでおり近所付き合いが少なかった沙耶香を強姦しようと数人でおこなった。結果的には事なきは得たがいわく付きの部屋に住むなんて。
「豪胆だわ」
「あたしですか」
「他に誰がいるのよ」
駅前まで向かい駅前のターミナルで再び乗り換えて会社に向かう。
「まったく沙耶香に手を出して泥棒猫みたい。どこからあんな方法を」
「え、まえにヒトミさんたちに教わりましたけど」
え!?と驚く麗奈の前で彼女はニコニコしている。
「だ、だってヒトミたちは怪盗で……」
「ええ、知ってた上で教わりましたがなにか」
なにかもあったものではない。怪盗に不法侵入の方法を教わったなんてとんでもない。
「とにかく今後は忍び込まないこと。わかった」
「沙耶香さんにしか手を出しませんよ」
「誰が私に手を出せと言ったの。いま沙耶香は大事な時だしヒトミたちがいなくなって立ち直らないといけないのに。とにかくよけいなことをしない」
麗奈は思う。
ヒトミたちは知る人ぞ知る怪盗ジェンダーアイ。
本来の目的は性転換した父親を探すために怪盗をしていたが姉ルイが女装者だけの街を作るために多くの街で主に十代から二十代後半までの女装者を拉致誘拐し特殊な媚薬を用い街から街へ渡り歩いていた。
しかし沙耶香はソフトサディストの性癖の持ち主で強力な媚薬に負けまいとし媚薬を克服。その後三姉妹とは和解し子種を託し彼女たちは何処かへ消えていった。
三姉妹が経営していたランジェリーショップ“EYE”は向かいの丘に住宅兼店舗がいまは残るのみ。
ハイと返事だけの後輩に呆れる。
バスは双星出版社側のバス停に着き下りる。
沙耶香が元気ないのわからないのかしらと思いながら春の配置転換を考えながら職場へ向かう。
その頃私は朝食の後片付け、洗濯、掃除お風呂掃除などをこなしていた。少しのんびりするものの麗奈の言う通り三姉妹が姿を消してから気持ちは中途半端だった。
しかしどんな人が担当になるのか期待や不安が胸によぎっていた。

No.4 17/12/06 21:27
作家 

ここは街にあるフィットネス教室の上階にあるとある一室。
トレーナー舞先生の指導のもとに集う明るい時間をもて余す人妻、平日休日のOLたちがいるなかひとり注目を浴びる異質な女性がひとりいた。
舞のかけ声で女性たちがダンスし手や足を上げるたび振るたびに女性たちの汗や体液が飛沫のように飛ぶ。
ワンツー♪ワンツー♪
女性たちの視線はショートカットでスポーティーなスタイルの舞ではない。髪をポニーテールにし知的な瞳を輝かせ胸はそこそこ巨乳、肌も白い。が鮮やかな花柄レオタードの陰部はわずかに男性器特有の縦にある膨らみと丸いふたつの睾丸。舞の前に立ち踊る沙耶香の異性装した姿に誰もが惹かれ視線を離さずにいられない……。
ああ……見られてる。
私はサイズの合ったレオタードではあったが肩紐や背中の締め付けよりも何人かの異性たちの視線に股間はレオタードの生地を破らんばかりに興奮していた。
舞が言う。
「大丈夫……?」
ええと答えるものの舞の歳も麗奈や早紀とさほど変わらなく頬が紅潮し額に汗が浮かんでいるのは身体を激しく動かしているせいではない。
私の視線は真正面の姿見に映り左右や背後にいる異性たちの瞳瞳瞳……。
「ハアハア……ん」
舞先生を除けばここにいる女性たちはみな『クロスドレッシング』誌上で応募しさらにネットで面接をし麗奈たちや私が選んだ女性読者。さらに厳選したほんの十名程度の女性たち。
「ああ……ん」
見られていることに興奮しながらこれも取材のためと自らに言い聞かす。
…………。
小一時間ほど踊り終え私は床に手をつくほどだったが舞がすぐさま飲料水を差し出してくれた。
「ハアハア……」
「いくら麗奈さんの頼みとはいえこんなことする必要あるの」
一度舞先生以外の女性たちは興奮を隠し切れないまま別室に移動したが彼女たちは好奇な視線があった。
私は言う。
「わかりませんけど……私はまだ女性を知りませんから……」
「だけどこの後に彼女たちとフリートークでしょう。できるの」
「やるしかありません」
短編小説といえど女装モノの物語を書かないとモデル以外の収入は得られない。
好奇な視線は去年の経験である程度慣れてるしたぶん予想できないことも聞かれるだろう。
舞は意外なことのように口に出した。
「てっきり女装な人と聞いてたけど意外に真剣なのね」

No.5 17/12/07 05:29
作家 

少し疲れを癒してから応募者が待っているカフェテラスに向かうとすでに話は盛り上がっている。私は挨拶した。
「このたびは私の取材に協力してくださりありがとうございます」
カフェは男性がいない少ない時間にしてもらい念のため下半身にはタオルを巻いている。応募者たちの視線は一様に私や下半身に集中してなくもないが取材と改めて断りボイスレコーダーで録音することを承諾し食事しながら取材。
本当に男なんですね。
誰かの第一声にここの一角だけ盛り上がりちょっと目を引いた。十名中六、七人は平日という時間から人妻や奥様そして残りは独身女性らしいが人妻のフェロモンにタオルで隠した下半身が興奮し膨らみがあった。
ウチの子なんて彼女云々などの話題があるなかそっと私は質問した。
「私が聞きたいのは皆さんの性体験やお子さんについてなんですがよろしいでしょうか」
一瞬場が静まりまずいことを聞いたかと思ったが杞憂だった。奥様たちは一斉に話し始めメモを取るのに必死だった。
「たまに身体が疼くのよね」
「あらいつもでしょう」
「ウチの旦那なんて」
「この前同窓会でむかしの彼に会って」
聞きメモを取るだけでお腹いっぱいになりフェロモンが堪らなく鼻腔をつい堪えた。
独身女性の人たちにも聞くとイイ男を見るとキュンとしたり可愛いイケメンなども流行りらしい。
取材をある程度終えお冷やを喉で潤した時に隣の人妻に足を触れられ声を上げた。
「きゃ」
「ダメですよ。沙耶香さんに手を出したら今後出版社から協力は得られませんので」
そんなとその人妻は口を尖らし私は動悸が破裂しそうになり男性器が熱かった。舞先生がとりなしてよかった。
「この後沙耶香さんはどうします?」
「もう少し身体を動かしたいので」
取材した人妻や独身女性たちは笑みを見せ去っていきとりあえず安堵した。去年の撮影旅行で慣れているつもりだが女性の中にいると緊張する。
「雑誌のお仕事とはいえ沙耶香さん無茶しすぎです」
言われてる意味がわからなかったが舞は言う。
「ああ見えて世の奥様たちは家や学校、近所付き合いで鬱憤が溜まってらっしゃるですから。沙耶香さんを見る目がみな獣のよう」
苦笑し彼女の案内で上階のスイミングフロアーに向かい着替えてからひとりの時を過ごした。
お昼時を過ぎたのでプールはひとが少ない。

No.6 17/12/07 06:33
作家 

水の中は心地いい。
そもそも人間いや哺乳類自体が母親の羊水の内で生まれ育つのなかだから水は母なるものかもしれない。
こんな心の呟きは麗奈たちの前で口にしない。自分だけの心。
だけど一方で思うのはワンピース以外の水着も着てみたいと思う。
去年の撮影の時もう少し大胆な水着を選んでいればよかったと思う。
背泳ぎやクロール、潜水して25メーターのプールを休みながら数回往復した。
しかしこの時にトラップ(罠)があるなど考えもしなかった。
充分に泳ぎ終え更衣室に戻り髪や身体を拭き着替え終えた時にふと気づく。ハンカチ?とはじめは思ったが目に見えた印象から違っていたがもしやと思い手に取るとベージュ色のレースのショーツ。
誰かの忘れ物だろうか。ここの更衣室は私の取材用に用意されたので十名の女性たち用でもあった。着替えの時から彼女たちに私を知ってもらう配慮である。
触れるとショーツは手に柔らかく包み込むようでわずかに淫臭がした。香水や女性特有の匂いに着替えたばかりのスカートやショーツ、ストッキングの内で男性器が隆起していた。
どうしよう置いていくべきか受付にでも忘れ物として届けるのが正しい判断と理性は訴えるが本能はついそれに逆らった。バッグにショーツを入れそそくさと私は女性用トイレの奥の個室に向かいスカートなど衣類を下ろした。
「オナニーしないと帰れないじゃない……」
言い訳とわかりながらも見知らぬ女性の使用されたランジェリーは想像力を掻き立てる。
はあはあと吐息をしながら隆起した肉棒をショーツの上から擦る。カウパー液ですでに下着は湿っていた。女性特有の匂いが鼻を突いて思わず十名の内の誰だったか思い起こすが淫らな妄想は理性を支配する。
しゅっしゅっと頭のなかでは女性に同化しながら女性を犯すサディストの性癖が妄想のなかで身体を熱くさせる。
「ああ……ンン」
少しは手淫で感じるようになったのかカウパー液は尋常ではなく鈴口から淫らな匂いをさせる。イケるかなと思った時だった。
扉がノックされ顔から身体全体が一斉に青ざめた。下着ドロとして捕まる嫌な想像に身体が硬直した。
「さ、沙紗耶香さん。どうしました、舞です」
「舞先生……?」
「開けてくれません。様子がおかしかったものですから」
逃げ隠れできなく扉を開けて彼女を入れ事情を話すと神妙な顔つきをされた。

No.7 17/12/07 10:45
作家 

ああ、本当に女装の……これが男性の……。
神妙な面持ちをしながら興味深げに呼吸を必死に保ち個室の鍵を閉め私の前に舞先生は立つ。
「あの……」
「あの…お、オナニーをしてたんですか……」
ええと曖昧に頷く。てっきり軽蔑されたかと思ったが彼女の反応は違った。膝を曲げて私の肉棒の前に顔を近づけた。
「これが男性の……」
「あ、あの舞先生?」
確かめるような私の声に彼女は正気と紅潮した表情を信号機のように繰り返しようやく語った。
「す、すみません。だ、男性のお、オチ×チ×を父や兄弟以外に見たことがないので」
はあと頷く私に彼女は自らの生い立ちを語る。
両親共にオリンピックや世界大会の常連選手として一時期名を馳せ兄弟姉妹共に野球やサッカー、バレー、水泳などいくつかの競技でオリンピックに出場したスポーツ一家で彼女は育ったという。舞は四女にあたり主に水泳や水球を得意としていたがとある世界大会の前に身体を故障し両親や家族に失望させ現在はスポーツインストラクターとしてこのクラブに籍を置いているという。
「そうだったんですか」
狭い個室で声を大きくし慌て口を塞がれた。
「知らない人いたんですね」
「いえ私はスポーツを見ないので」
そうと頷く彼女はさらに語る。体育会系家族で育ちお風呂や寝食など共に過ごしたが性経験はほんの一時期水泳や水球の仲間と少しレズをした程度という。
「あの見てわかる通りオトコなんですが」
「ハイ、エアロビクスや水泳の時に拝見してました」
「そ、それで何を」
何をしたいかされるかわからない間抜けな問いと思いながら聞くととんでもないことだった。
「私に男性の身体を教えていただきませんか」
「教えるて何を」
「オナニーや沙耶香さんのせ、セックス経験などから……」
「いまここで?」
「あ、オナニーの最中でしたがみ…見せていただけせんか」
思わずどう答えていいかわからないままオナニーを再び続けた。
「見られるなんて……」
「恥ずかしいですか」
「……聞かないでください」
かつて神無月社長の女装SMクラブ“ヴィーナ”でのオナニーショーを思い出した。
吐息が荒く性器は大きく膨らむ。ふと舞は無意識なまま目を蕩けさせ雰囲気に呑まれたように肉棒に触れた。
「舞先生?」
「あ、ごめんなさい。こんな感じなんですね」

No.8 17/12/07 15:35
作家 

ふと思う。
スポーツ選手や家庭の中だけでしか知らないなら処女なのでは。
舞の好奇ある視線はかつてのアイを彷彿させなくもない。
肉棒をゆっくり扱きながら彼女に聞いた。
「あの失礼とは思いますが舞先生は……処女ですか。間違えてたら……」
「失礼ね。処女ではなくレズでちゃんと指で先輩に処女膜をあげたわ」
少し理解に苦しみながら言葉を解釈した。先輩はたぶん女性だろうということはである。
「え……と男性経験は?」
な、ないわよと胸を張る彼女につまりそれは男性経験のない処女ではないだろうかと思いいたる。
「処女ですよね?」
「だ、男性経験がないだけよ」
ようやく話が着地点に着いたことに安堵する。男性経験がないならそう言えばいいものをと思うがプライドか自分自身への見栄だろうなと感じた。
「あの私のオナニー見て……そのどうなんですか?」
そもそも異性の自慰を目にすることはまずないし異性装ならなおさら。彼女は少しばかり目を背けながら呟く。
「ちゃんと根元から隆々として先っぽがあるんですね。あと玉がふたつあって……柔らかくかたい」
恥じらいはあるらしいが体育会系な家族らしく表現がやや幼さがある。それでもしっかり握って離さないのは興味あるはず。
さらに少し試してみる。
「舞先生の手でしてくれませんか」
「いいの?」
「やさしくいたくしない程度に」
しゅっしゅっとゆっくり扱き性的快感が身体に宿る。自分の手よりは異性の手が柔らかくそれ自体が女性器のよう。あやうく口に出しかけ舞先生のようなタイプはどうなのか考えた。
体育会系家族で生まれ育ちレズ経験はあるが性知識や経験に疎いのだろうか……。
彼女の瞳は一心に私の肉棒に注がれ手は上下にゆっくり動いては脈打つ動きに吐息が出てきたようだ。
「ハアハア……スゴい」
「ん……普通だけど」
「お父さんや兄たちにくらべたら…うん。ちいさいかな」
サラッと傷つくことを言うのは男女関係や性的なことに疎いぽかった。ボーイッシュな雰囲気もあるし。
「脱いでくれません?」
「え、私が」
手だけでも射精はたぶんそろそろイケたはずだがさらに試してみたくなる悪戯心が芽生えた。
「先生が脱いでくれたらもう少しで射精すると思います……」
少し考えて彼女はジャージやトレーナーを脱いだ。少し罪悪感がよぎらなくもない。

No.9 17/12/07 18:23
作家 

躊躇いながら胸が露になり清潔そうなスポーツブラが見えた。
一見スレンダーに見えたが着痩せするタイプだろうか。わずかに汗の匂いが漂ったと感じた時だった。
「……イッちゃう……!あ……」
びゅるる……!!と睾丸からの牡の精液は個室の壁に向かうように飛び出し舞先生の顔に白いメイクをするように飛んだ。あまりのことに彼女はしばし呆然としていたが握っていた男性器から出たモノと認識したようだった。
「これが……男の……人のもの……ん」
複雑な戸惑いがあるらしくわずかに恍惚さが見られたが戸惑いの方が大きかったようだ。
「あ、すみません。私がつい……」
「つい?なに」
彼女の下着姿に見とれたがためにいつもなら射精を我慢できたが麗奈たち以外の異性の下着姿に気を取られてたから。だがさすがにそんなことは言えない。
「い、いえ大丈夫ですか?気分悪くしたらごめんなさい」
「ああ……これが子どものもと?べっとりしてて臭くて変な匂い」
「え、ええ」
ポケットティッシュを渡し彼女は顔や髪、肩についた精液を拭う。男性経験がないのは本当らしかった。
すみませんと再度頭を下げたが彼女は私に男性を教えて欲しいとむしろお願いした。
「そんな……私は女装ですし……」
「言いにくいけど父や兄以外の普通の男性は少々苦手ぽいので……」
「か、考えておきます」
腕時計に目をやるとすでに夕方前なことに気づき拾ったショーツはバッグにしまい扉から人が他にいないか確認し彼女に別れを告げた。
「また来ますから。その折りにお話ししましょう」
「そんな。さようなら」
名残り惜しそうな舞先生を背にフィットネス教室を出て運よく来たバスに乗り帰路に着いた。
「どたばたしちゃった。夕食何にしよう」
“EYE”があった小高い丘が街から見えていた。小さなランジェリーショップだったが町の象徴にも思えるくらい愛着あったことに気づく。
バスを下り近所のスーパーでジャガイモやニンジンを手にしポトフにでもしようと決め購入。帰るとすでに五時。洗濯物を入れたたみご飯は無洗米、ポトフやサラダなどを作りある程度出来たところで一息ついた。
取材したことを思い出したり舞先生のことを再びメモした。
女装してても女性のことはわからない。特に女性の心や精神はいくら演技で真似ても相手はそれを上回る。
まだまだかな。

No.10 17/12/07 20:23
作家 

沙耶香が部屋の掃除をしてた頃麗奈たちは新年度の配置転換に心躍らす者不安な者などけっして大きくない会社だが誰もが期待と不安が胸中にあった。
「沙耶香さんの担当続けられたらいいな」
「そんなこと言うならスカウトした相手をちゃんと面倒見ること」
私生活は沙耶香に任せぱなっしだけどと麗奈はおくびに出さない。
だが新年度や春の配置転換は必ずしも思った通りになることは少ない。いいことあれば悪いこともある。
神無月社長は皆の前に出て朝礼や訓示をした後に以前から決めてあったであろう配置転換する部署や担当を読み上げる。
「矢口麗奈、来年度から発売する新刊『男の娘(こ)』の担当主任および水越沙耶香の小説担当編集に命ずる」
「え……あ、はい」
沙耶香の担当ではあるが小説担当は意外だったがさらに意外だったのは来年度に向けての男の娘の新刊雑誌の担当主任に抜擢されたのは意外すぎた。麗奈とて経験がさほどあるわけでない。
「ニノ宮早紀」
「ハイ」
「引き続き水越沙耶香のセカンド担当」
「ええ!?なんでファーストでは……」
キッと神無月社長の瞳に睨まれるが社長は言葉を続ける。
「同時に営業担当にまわること」
「ええ!?なんで営業に……」
「早紀」
麗奈が咎め早紀は不満げに表情をあらわす。見習いから沙耶香担当付きのセカンドは変わらないまま営業なんてと言いたいのは伝わる。
では沙耶香のファースト付きは誰?そんな人物がこの会社にいただろうかと思った時だった。
「美如月愛那(みさらぎあいな)、水越沙耶香のファースト担当」
え!?とこれには麗奈や早紀だけでなくほとんどの者たちは驚いた。
女性社員たちが並ぶなかあらわれたのはひとりの女性社員。
なんで彼女が……。
いつもクールな大人びた麗奈だがこの人事異動にはさすがに驚きがあった。
愛那と呼ばれた女性社員は折り目正しく45度に頭を下げながら社長からの言葉を受け取る。
「なんであたしが営業……しかもまだファーストじゃないなんて」
「早紀よしなさい」
配置転換を終え各々が部署を移動する。麗奈は小説担当へ早紀は席は変わることはないまま営業も担当。
早紀は麗奈の席についた愛那を見つめた。
なんでこんなひとなの。あたしの方が沙耶香さんのことを知ってるのに。
「よろしくお願いしますニノ宮先輩」
挨拶の声がした。

No.11 17/12/08 05:28
作家 

担当変わるんですか。それより新刊雑誌担当おめでとうございます。
ありがとう。
なんであたしがいつまでもセカンド担当なんですか。
「早紀!」
「早紀さん。私の食べる分がないんだけど」
気づけばご飯や鍋にあるはずのポトフはちゃっかりテーブルに着いていただこうとしている早紀。
「ふたり分しか作らないからたいして作ってないのに。私の分」
「わかりました。分けてあげますよ」
早紀は湯気の立つ皿からポトフを分けながらちょっと不満げ。
セカンド担当というのはメインでモデルを担当することでないらしくそこに不満があるらしい。
「早紀さん」
「はい」
「今度から、いえ明日からかもしれないけどちゃっかりご飯をいただくなら食事代をもらうわよ」
「ワンコインから千円以内で沙耶香さんの愛情あるお食事をいただけるなら」
ちゃっかりした要求に思わずふたりして黙り「いただきます」して無視した。
「なんで無視するんですか」
「静かに食べさせて。ご飯を食べる時は静かにするてしつけされなかった?」
はいととりあえず早紀は素直だが思い通りにならないと甘えや反発の意思はある。反面まっすぐなところがそんな部分で素直で見えなく評価されてないのではと思う。
「とりあえず麗奈さんは私の小説担当なんですね。ご指導ご鞭撻よろしくお願いします。そしてあらためて新刊担当主任おめでとうございます」
「こちらこそよろしく」
「沙耶香さんあたしには?」
「早紀さんもあらためてよろしくね」
はいと気持ちいい返事はする。それにしても麗奈さんが新刊担当とはどういうことだろう?
双星出版が『クロスドレッシング』以外の雑誌を出しておりそれもまた女装関係が多い。だけど中には数号しかもたず廃刊や休刊になるのが雑誌業界。
神無月社長の思惑はわからない。
「美如月さんというひとはどんなひと?」
話題を変えた。
「会ってるはずよ。去年の旅行の時に」
「あたしより後輩なのに」
なんとも情報が少ない。担当がどうあれモデルも小説も仕事をこなすだけ。
食事を終え隣の部屋に早紀を送り吐息をついた。部屋に戻ると麗奈が洗い物をしていた。
「やりますのに」
「沙耶香には私生活は世話してもらってるから」
「お風呂入れますから先に入ってくださいね」
麗奈がキッチンで食器を洗う姿が美しく見えた。

No.12 17/12/08 07:15
作家 

麗奈は気づいていた。
沙耶香が元気がないことを。今夜は麗奈の部屋で沙耶香を抱く。その沙耶香はベッドの上でメモにGスポットやオナニーの回数など小説で使うかもしれない専門用語をメモしながら背中から覇気はいささかなかった。
「沙耶香」
「な、なんです。もう今日メモするのはこれで終わりですから」
人前で仕事することを失礼とわかっているのか慌てメモやペンをしまう。麗奈は見つめる。
「“EYE”がなくなって寂しい?」
「……だってルイさんたちいなくなったしお気に入りのランジェリーがあったしアドバイスくれてたのに」
「ランジェリーショップはいくらでもあるわ」
慰め程度にしかならないが下着もまた相性や愛着がある。下着フェチの沙耶香にしたらちょっと失恋したような気持ちかもしれない。
「それにしても沙耶香センセは真面目ね。雑誌に掲載された次の月には取材だもの」
「からかわないで」
「からかってなんかいないわ……ん。可愛いネグリジェ」
「や……ん」
唇を交わし眼鏡の内の瞳の女装の同居人兼パートナーはフリルあるネグリジェから胸元を触れられ甘い声を出す。少し悪戯してみる。
「バッグから見慣れないパンティがあったけどどうしたの」
「み、見たの」
「偶然見たの。バッグからちょっとはみ出てたし。下着ドロしたの」
「し、してない。フィットネスクラブで取材の時に誰かが忘れたのを拾っただけ」
受付に届けたらいいのにと言うとそう思ったけどと言い訳めいてた。
「たまには私にもいじわるさせてくれない」
「なにするつもり?いたいのは……」
「しないわ。目隠しいい」
眼鏡を外した沙耶香に目隠しをしていくなか沙耶香は言う。
「ここでメイクされてランジェリーやドレス着て沙耶香になったんですね」
「むかし話みたいに言わないで。もうすぐ一年なのね」
「なにするつもりですか」
ちょっと不安げなのかベッドの上でもぞもぞしてる沙耶香。バッグのなかから誰のものとしれないベージュのパンティを手にする。手に触れただけで汗や愛液の感触がわずかにまだありクロッチには淫唇の跡が見えた。鼻につけると香水や同性特有の匂いだが自分よりやや濃厚な感じした。
欲求不満な人妻や奥さんかしら。
「麗奈さん」
「私の下着を当ててみてくれる?」
足元からショーツを脱いで二枚の下着を手にした。

No.13 17/12/08 18:18
作家 

下着を当てることができるか試すなんてひどい女。
「どうぞ、自信はありませんけど」
沙耶香は別に縛られてるわけでもないのにじっとして呼吸だけがベッドルームに伝わる。
今日の麗奈の下着はベージュではなく肌色に近いが比較的おしゃれなランジェリー。どこの人妻か奥さんか知らないけど負けないから。
手にした下着に意味もなく負けず嫌いな気持ちが宿りながら沙耶香の頭にそっと被せた。
「ンぅ……はあはあ……」
生々しい吐息混じりの呼吸をしネグリジェの下にあるショーツからむくむくと男性器が隆起していく。興奮してる……。
「どう?」
「いい匂い、下着のなかの蒸れた匂いが私を襲うみたい」
下着フェチであり変態ではあるが女装者である沙耶香には興奮しながらも両の手は自らの肉棒にはいかない。
「ならこれはどうかしら」
「ああ……もう。はぁ……んん……」
鼻に伝わるランジェリーの匂いの違いがわかるのか沙耶香は興奮しながらも理性をうかがわせる。。ただの変態ではない。
すぅ…はぁ…すぅ…はぁ……。
クロッチがちょうど鼻にあたり女臭を味わい堪能しながらもやはり自らの男性器には手を伸ばさない。
「いい?」
「構いませんけど間違えたらごめんなさい」
「……その時はその時よ」
「一枚目と二枚目、どちらが私の下着?」
聞きながら彼女は動悸が激しくなった。まるで好きな相手に「好き?」と聞いてるみたいに恥じらう。
「麗奈さん」
「なに」
「今日はあたたかったから蒸れませんでした?」
「少しは……かな」
少し沈黙が宿るなか沙耶香は答えた。
「一枚目の方……と思う」
思わず彼女は黙り喉を鳴らし声を出した。
「正解……なんで」
疑問に思う彼女に沙耶香は目隠しを取り少し考えるように天井を目にした。
「今日帰ってきた時に汗が見えたようだったからかな」
「そんなのこの下着の持ち主だって汗くらい」
「そうだけど、私この誰かもわからない下着の持ち主は……うまく言えないけど私を誘惑するつもりだったかもしれないと思うの」
ベージュの下着を見ながら沙耶香は呟くが声を軽くする。
「というのは冗談だけど」
「あのね」
ムキになりそうな彼女に沙耶香は口許に笑みした。
「私の身体には麗奈のランジェリーや匂いが身体に染み付いてきてるかも。だからわかったの」

No.14 17/12/09 06:01
作家 

私の前で麗奈は再びショーツを履き直す。大胆なTバックの上に私と似たようなネグリジェを羽織る。
ツンとした乳首が天井を向きながら大人ぽい胸が形のいい大きさをしてる。
「なあに?Tバックつけたい。沙耶香がつけたらタマもぜんぶはみ出しちゃうわよ」
「ちがいます。見てたのは……」
「ん?スゴいコーフンしてる。可愛がってあげるわ……ん」
ん……と互いにキスをし彼女は私が見てたところを勘違いしてたことに安堵しなくもない。
私はホルモン注射をしてなく胸は少し筋肉がついたもののほぼ平坦、成長期の女子のAカップと同じ。女装なために胸はいつもブラの内に入れたパッド。だけどオッパイも淫唇も好き……。
「はぁ……ん、今度の雑誌の発売は夏よ」
「んぅ……なんです」
今度私が載る予定の『クロスドレッシング』の発売は夏である。毎月号の雑誌ではなくアダルト向け雑誌は季刊ごともある。
悪戯ぽく麗奈は唇を交わしネグリジェの上からパッドのない私の乳首や胸を触りくすぐったい。
「や……くすぐったい」
「女の子みたい。あ、勃ってる」
「言わないで。なによ」
「ねえ、今度はどんな衣装をつけたい」
質問に答えない代わりに麗奈のウェーブかかった髪やうなじを撫でる。
「あ……ン、こたえて」
「……が着たいかな」
「なに」
「ビキニが着たいかな」
あらと彼女は驚く表情をした。
「ビキニ?」
「私は女性の気持ちが知りたいもの……」
麗奈は思う。
沙耶香は性転換などは望まないがソフトサディストの性癖ゆえにある程度責められる側の女性の気持ちを知ろうと時に自らの身体を使ってはアヌスなど痛めることもある。
変わった性癖あるいは女性になりたいけどなれないならないギリギリの一線を保つ。
「気持ちを知らなくても私と身体を交じあわせてるのに」
「ん……麗奈さん」
「ん」
「ムネ大きくなった」
思わず彼女は顔を赤くした。ちょっと悪戯しただけなのに倍に表現が返ってきた。サディストの性癖だが沙耶香は言葉責めをし羞恥心に触れた。
「……そんなこと」
「あら……ここはもうぐしょぐしょ」
指を巧みにTバックショーツの少しあるクロッチから直接這わし真下から弄ってきた。
「いや……ンン」
「すぐそこがお尻。大胆ね女性は」
皮肉とも取れる表現をし淫唇に指を出し入れする。

No.15 17/12/09 08:07
作家 

悪戯を返しショーツを食い込ませると赤貝のような花弁と剥れた淫豆が露になりキュッとやらしく締める。
「あ……ン」
「おいしい赤貝にお豆さん。チュッチュッちゅるる……」
「ン……そんな」
悶える彼女の淫唇を愛する。
先ほどのショーツ当てクイズ(?)を思い返す。実は匂いでもわかったのだがほんとはショーツの形でわかっていた。麗奈はTバックで布地が少なく後頭部に触れた時にわかり誰のモノか知らない下着は通常のパンティ。
だけどそれを承知でやってたとしたら試されたのかとも思う。
「ンン……私にも触らせて……オチ×チ×」
「ダメ……いまは私の番。赤貝みたいでふっくら、お尻は少しかたくなっちゃいました?」
「な、なってないわよ」
お尻を抱きながら卑猥な表現に頬を赤くしながらも逃げようとはしない。
「今年は麗奈さんと海に行きたいな……」
「なんでよ」
「去年は水着一回しか見れませんでしたし」
「一回で充分でしょう」
「見たいだけです……ン」
Tバックのショーツの前面はほぼ湿り愛液が口許に蜜のように垂れては口に吸い込む。
「あ……あん…イク!」
「イッてください」
「ンンンン……!あ……は、はあ…はぁ…ン」
「……は!はあ。すごい、感度よくなってません。あら」
クンニだけでよほど感じたのか膝を曲げたまま仰向けになり昇天したようだった。吐息が胸を動かしていた。
「ハアハア……」
「大丈夫ですか
「……やりすぎよ」
「ン……私の唾液で喉を……」
潤してと愛液が混ざった唾液を口にした。
「ハアハア……もう」
「きゃ……!?」
思わずショーツにある隆起した股間を掴まれ声を上げた。
「すごい、熱く大きい」
「つよく握っちゃ……いたいてば」
「ああ」
熱く大きい。けっして大きいわけではないがランジェリーの中にある男性器は独特な魅力を放つ。
もとレズの麗奈だがその奇妙な魅力は伝わる。女性下着の柔らかさや美しさの内に秘めた女の装いの世界。
呟く麗奈は頬が赤い。
「もう濡れて……」
「や……」
「責める時は強いのに責められたら弱いのね。ウフフ」
「あ……焦らさないで」
指で包み亀頭や鈴口には淫唇に劣らないほどにカウパー液が滴る。
鼻をつく牡の匂い。膨らむ肉棒や風船のような睾丸。ショーツにおさまらないほど。

No.16 17/12/09 15:35
作家 

私の性癖は少し変わっている。女性用下着ランジェリーを身に付けて性行為をする。正しくはショーツやパンティを着けて男性器を下着の端から出す。
こんな私をスカウトした麗奈は愛してくれている。頬を赤くしながら丁寧に丹念に鈴口から亀頭、幹、睾丸など舐める。
「ん……ンン、口に入らない……」
「ンン……あまり吸わないで。イッちゃうから」
「イカしたんだから、イキなさいよ……」
キュッキュッと口をすぼめ幹や睾丸がランジェリー特有の柔らかい感触に感じる。麗奈は強気、先ほどまで責められてたのに。
「麗奈」
「なに?」
「ほんとにレズだったの」
過去に触れるとぎゅうと男根を握られ痛い。慌て痛がると声が返ってくるる。
「痛い痛い」
「レズよ」
「だけどオトコの私に抱かれてるということはほんとのレズではないですよね?」
ちゅるちゅると鈴口を責めながら彼女は答える。
「レズだけど沙耶香は好き……なの」
ふと思う。
「以前に麗奈が付き合ってた人はレズだったんでしょう」
「むかしのこと。何が言いたいの」
「もしも。もしもですけどむかしのレズパートナーと再会したらどうします」
んぅ……と悩むような桃色吐息が私の肉棒に触れ彼女の顔前で揺れる。卑猥に弄ぶよう。少しして彼女は答えた。
「関係ないわ。私には沙耶香がいるしいまのお仕事が好きだもの」
「……そう」
「なんでそんなことを聞くの」
「いえ、クラブで人妻や奥さんたちと話をしたから。つい」
ちゅるちゅると彼女は口で責めながらさらに睾丸にもショーツ越しにキスをし射精感が少しずつ身体を襲う。
「イクっ……!イッちゅう……」
「ああ……凄い。きゃ……」
「ハアハア……」
「うふふ、イッちゃって顔もほっぺもベトベト……女装は女性が射精してるみたいだから……いいわ」
なぜ私はこの時彼女の過去に再び触れたのか。それはわからない。
だけど年度が変わり何かの変化はすでにあったのかもしれない。
私は麗奈を愛している。彼女もまた私を愛しているはずだった。
しかし変化の兆しはすでにあった。
「今度は下のお口でくわえてください……」
「へんたい……」
淫唇に肉棒をゆっくり挿入していく。あたたかく無数の襞が包み込む。女装と女性の性の一夜は過ぎていった……。

No.17 17/12/10 05:13
作家 

明けて月曜。
私はバス停でバスを乗り換え再び双星出版社を目指していた。
だけどふと思います。
去年の憧れのAV女優早乙女美紀さんとの出逢い。彼女に痴漢もとい痴女られたのを……。
ん……思い出したら勃っちゃう。ショーツやスカートの内で勃起する興奮を理性で醒まさせたいがなかなか一度勃起したら止まらない。
“美如月さんに気をつけて”
双星出版社があるバス停が近づいた途端に麗奈からの言葉を思い出し下着の中の性器が萎え始めた。バスを下り双星出版社の建物を眺める。
いったい何を気をつけろというのか。
具体的なことは彼女は何も言わなかった。受付を済ませたところで聞き覚えある明るい声が耳にした。
「沙耶香さ〜ん」
「早紀さん。てなにするの」
「ヌイてあげます。これからエッチな会話も出てくる打ち合わせですから」
しなくていいというのに思い出ある一階女子トイレに連れ込まれた。
「コーフンしてるじゃないですかぁ」
「これはちがう」
個室奥のトイレ。ここで美紀さんに二度目のフェラチオをされ果てたんだっけ。
早紀はスカートの上から肉棒を撫で吐息をかける。若い彼女の吐息は桃色で瞳は好奇にショーツを見つめる。
「だ、ダメだって。時間が……」
「時間なら充分あります。沙耶香さんが時間を守って三十分早く来てるじゃないですか」
「んぅ……」
上目遣いに彼女は言う。
「ほんとは何か期待してたんじゃないですか」
もしかしたら美紀に出会える期待はあったが彼女は去年私とのお仕事の後二、三本DVDを発売した後に音沙汰がなかった。
「何が」
「エッチな期待て言えばわかるじゃないですか」
吐息をかけながらショーツの上から可愛らしく小さな指で愛撫する。萎えたはずの勃起が再び堅くなった。
「んぅ……」
「沙耶香さん好みの下着ですよ」
ちらっとブラウスの胸をはだけ白に赤のアクセントが入り刺繍があるお洒落なブラが見えた。
「可愛い」
「あたしが?ブラがですか」
口を滑らしたことに気づきながらもフォローする。
「両方」
小悪魔の手中にまんまとハマッたことに気づきながらも早紀はショーツの内で鈴口を濡らしながらゆっくり脇から男性器を出して空気に触れさせる。
「こんにちは沙耶香さんのオチ×チ×♪」
可愛いくあたしの男性器に挨拶しないでと心の中で呟いた。

No.18 17/12/10 12:50
作家 

ちろちろれろれろ……。
舌先を出して可愛らしい小悪魔は私のぺニスを愛撫していく。
「んぅ……早紀さん」
「出してた方がいいですよ。打ち合わせの途中に勃起したらどうするんですか」
「そうだけど。誰かを襲うわけではないし」
「ちゅっちゅっ……じゅるじゅる……」
ん!と思わずのけ反るくらいに吸引力ある口淫に便座に座る腰さえ吸い寄せられる。
「ダメ……たら」
「だめじゃないです。せっかくあたしが隣に越してきたのに遊んでくれないし」
「昨日お邪魔したし引っ越しの手伝い少ししたでしょう……あん」
じゅるじゅる……と無視し口内で勃起し膨れ始めた男性器に奉仕していく。
「話し聞きなさい……てば」
「聞いてます。沙耶香さんのオチ×ポは気持ちよくしてと言ってます」
「どこと会話してんのよ……このイタズラ娘」
「ちょっと待ってくださいね。沙耶香さん」
待ってないとツッコミを胸中でしていたら彼女はブラウスを脱ぎ出し赤と白のコントラストのブラをはだけ桃色の乳首を鈴口にくっつけ身体に軽い性的な痺れを感じた。
「あ……んぅ」
「オチ×ポとオッパイのキスですよ」
「そんなことしたら……」
「いやですか」
「いやじゃないけど……いい……」
身体を支配する性的快楽に意思と身体が相反する。一年弱も肉体関係を続けていたら互いを知り尽くしているに等しい。
早紀はクスッと笑みしさらに麗奈よりはちいさな胸のはずだが肉棒を谷間に挟もうとしていた。
「ち、ちょっと」
「パイズリしてみますね……はむ」
「んぅ」
肉棒の左右を柔らかい胸の谷間に挟まれクッションなどとは違う母性に包まれている雰囲気。あたたかく柔らかい。
「はぁはぁ……」
「んぅ……」
「イッていいですよ。沙耶香のオチ×ポさん」
「下半身と会話しないでよ……」
胸の谷間と口淫のふたつの性的快楽に挟まれ個室トイレには淫らな匂いが広がる。
「くちゅくちゅ…んぐんぐ」
「っ……はあ」
「はむ……大きい。もうイキそう」
「は……っ…んぅ」
ショーツの内の睾丸に触れ射精を確かめるような感覚に身体が熱い。
「イキそう……」
「服や下着よごしちゃう……」
「んぅ……受け止めますよ……」
ただでさえ垂直に近い勃起をして射精の瞬間の精液は軌道が知れない。
だが身体は射精を拒み切れないでいた。

No.19 17/12/10 15:16
作家 

びゅるる!
イク!という声をちいさく抑えたが射精の勢いは止まらず早紀の口内をわずかに越えて白濁液が額や前髪に少しかかった。
「んぅ……はあ…はあ」
「んんぅ……んぐんぐ……」
淫臭と共に互いの呼吸や女装した牡の精液を飲み干さんとせんばかりに彼女の唇や舌、喉がごくごく動き肉棒が脈を打つ。
「む、無理に飲まなくていいから……」
「んぅ……だめ。これはあたしの……」
「だめ……いいから」
懸命に彼女は男性器からすべての精液を喉に入れんばかりなほどに愛情を注ぐ。あまりの吸引力にのけ反るが便座の背に背中が当たった際に瞬間的に早紀は唾液と精液が絡んだ口のまま顔をあげた。
「もう……沙耶香さん。驚かさないでよ」
「はぁはあ、それはこっちの台詞。飲んでくれるのは気持ちいいけど必ずしも気持ちいいモノではないでしょう?」
「……そうだけど。少しでも沙耶香さんの匂いを染み付けたい……」
思わずドキッとした。私が麗奈に言った言葉と同じだった。
もう少しだけとちゅるちゅると淫音を奏でながら精液を彼女は飲み干し私は額や髪に汗を浮かべていた。
呼吸を整え下着や衣服を整えながら早紀に言う。
「おでこや髪についてる。ごめん……」
「あ、ほんと」
「男の匂いさせて仕事できるの」
できますと彼女は言うが人間は匂いに敏感。せめて消臭剤でと思ったら額や髪の精液をティッシュで拭い消臭剤をバッグから出して素早くこなしていた。
慣れている。
「使います?」
「ありがとう……」
腕や肩などに使わせてもらうが下半身の匂いはシャワーを浴びない限りは消せない。まあ下半身の匂いに気づく人はそういないだろうけど。
吐息をし双星出版社のあるフロアーに向かうなか私はあることを聞く。
「美如月さんてどんな人?」
「会ったことはずですよ 」
いつ?と聞くと去年の撮影旅行と早紀は少し頬を膨らますがその理由は知れた。
「あたしの後輩で生意気なひとです」
後輩ということは早紀より若いことになるが情報が少ない。だけどもうひとつ追加された。
「むちゃぶりをモデルさんにしてるらしくモデルからも評判よくないのに」
むちゃぶりという意味がいささか理解できなかったがこれは撮影の際に明らかになる。
フロアーにたどり着き会議室に通されお茶を出されしばしひとりでいた。ほどなく早紀と共に現れた。

No.20 17/12/10 18:23
作家 

現れたのは早紀と同じくらい小柄だが地味な眼鏡をつけファッションも双星出版社は麗奈や早紀をはじめ美人や可愛い子のなか地味さは否めなかった。
こんな子がモデルたちにむちゃぶりをするなんて思いかけた時に挨拶があった。
「美如月愛那です」
名刺を渡され私もモデル用の名刺を渡す。
「初めまして水越沙耶香です」
瞬間少し嫌悪の表情が宿り「……ではないのに」と耳に聞こえた。
え、と聞き返すと今度ははっきりと返ってきた。
「初めましてではありませんと言いました」
驚いて声が出ない私に早紀が慌て間に入り囁くように言った。
「去年の旅行の時に会ってますよ」
その声に少しだけ思い出す。バスの中で名乗ろうしたような女性社員がいたことを。慌て謝ろうとするが遅かった。
「さっそくお仕事の話を。構いませんか」
「あ、ハイ」
「要望書ありますか」
「こちらですが」
メモなんですね、と早紀を間に渡されたメモを貶すニュアンスで彼女の眼鏡が蛍光灯の室内のなか輝く。
早紀は彼女の隣に座りながら少しだけ睨み思う。
なんで彼女なの。沙耶香さんだっておぼえてないくらいしかたないでしょう。
会議室のホワイトボードにひとつひとつ要望を淡々と記す早紀。
セーラー服、ブレザー、スク水、ビキニ、スポーツ用下着、レオタードなど……。
美如月の瞳は眼鏡の奥で輝く。
「可能な限りそちらの希望には沿います」
「ありがとう」
ですがと付け加えられた。嫌味かどうかはわからないが。
「相手の女性モデルとの女装レズはいらないのですか」
「いえ、けっこうです」
「ですがこちらの配慮で現地やスタジオで用意することもありますのでくれぐれも安易な性行為は控えてください」
この表情に私や早紀は思わず固まった。
なんなのこのひと。
疑問はそれだけであり撮影日時や場所などは例によって双星出版社側が用意するという。打ち合わせは二時間弱で終わったが妙に疲れ会議室を後にした。
失礼します、と美如月なる彼女は背を見せ去っていき早紀も足早に追いかけた。
あんなひとがこの会社にいたなんてと思っていたら背中を触られ思わず声をちいさく上げた。
「びっくりした。私よ私」
「あ……麗奈」
よかったら昼食しないと誘われた。双星出版の近くにあるお弁当屋で弁当ふたつ買い公園で食した。

No.21 17/12/11 05:24
作家 

麗奈は鮭弁当、私はハンバーグ弁当。
ワンコインで少々小振りだが女性向けに栄養を考えられ適度に身体によさそう。
いただきますと手を合わせ口にすると手作りらしい味が口内に伝わる。
「おいしい」
「よかった。それより美如月とはうまくいった?」
「……去年の夏に面識あったのに失敗しちゃった。それになにかむちゃぶりされそうだ」
やっぱりと彼女は箸を置いて見つめた。
「仕事ができない子ではないけどモデルにむちゃな要求したり美を……追求してるかはわからないけど」
「私ならだいじょうぶですって。麗奈さんは自分の仕事してください」
「信じたいけど」
「信じてください」
気休めにしかならないが撮影は早くても来月下旬から六月。不安がよぎらないといえば嘘になるが美如月なる彼女がどんなむちゃぶりをするかは予測できない。
「沙耶香」
「なんですか」
「たぶんまだ理解してないと思うけどこの女装の……雑誌の業界はこわいと思うの。私はあなたがつぶされないか心配」
さらに不安を重ねるような言葉にちいさく冷たい春風が流れた。とはいえ業界に身を置いているのだ。
「……麗奈さんの側を離れないようにします」
なぜこんなことを言ったのかその時はわからない。食べながら今後の小説についての構想や私生活について語ったが食べ終わり弁当箱をゴミ箱に捨てた後に彼女は言った。
「早紀につまみ食いされたでしょう」
「な、なんのこと」
「見てたの。早紀とあなたがトイレから入るの」
「すみません……」
「謝らなくていいのに。ちょっとしたイタズラよ」
クスッと麗奈は笑う。だけど私は以前に彼女の過去に触れたこともあり早紀との関係を今後続けていいか悩むところ。
「これからどうするの」
「フィットネスクラブに寄って下着を受付にでも預けるつもりです」
「もらっちゃえばいいのに」
「そうしたいけど下着ドロに思われるのはいやですから」
ちらっと下着をバッグから見せると麗奈が複雑そうな表情を見せていた。他の女性の下着を持つことへの感情だろうか。
「お仕事頑張ってください。夕食つくってますから」
「沙耶香もあまり根を詰めないでね」
この時はあんなことになるなんて互いに思っていなかったが罠はすでに近づいていたのだった。

No.22 17/12/11 12:25
作家 

昼過ぎフィットネスクラブをたずねた私が拾ったパンティを受付に届けようと迷っていた時に声がした。
「沙耶香さん」
振り返ると舞先生の側に取材をした内の見覚えある女性がいた。舞先生は事情を伝えた。私が下着を拾い持ってたことを取材した十人に連絡し確認を取ったという。
隣の女性は冴木流菜(るな)とあらためて名乗り人妻らしい落ち着きがありさいわい下着泥棒にされずに済んだ。
「すみません。私が着替えした時に落としたことに気づかず」
「いえ」
「沙耶香さん少し身体を動かしていきます?」
「今日は彼女の下着を届けに来ただけですから遠慮します」
舞先生の誘いを遠慮しながら私がクラブを後にしようとし彼女は少し残念そうに背を見せた。
「冴木さんは私にお気遣いなく。ではまた」
さりげなく去ろうとした時に彼女はそっと私に声をかけた。
「沙耶香さん。あの少しお話しがあるんですかよろしいでしょうか」
肩や胸元が見える大胆なブラウスからレースのブラが見え麗奈より大人ぽいフェロモンな色香が漂い思わず目眩に近い感じがした。迷いながらもつい答えてしまった。
「少しでよかったら」
「よかった」
誘われたのはクラブの近くにある喫茶店。彼女は珈琲を私は紅茶を頼んだ。しばしお茶の香りが漂う。
「雑誌『クロスドレッシング』の去年の三号続けての掲載見ました」
「あ、ありがとうございます」
「見た目は女性なのにちゃんとだ、男性なんですね……」
ええと声がよどまないように答える。このまま相手のペースでいいのだろうか。
実は、と彼女はそっと静かに淡々と語り始めた。
「実は主人とは倦怠期なんです」
「……はあ」
「今回沙耶香さんの取材でいろいろお話ししたでしょう。そして女装の方の……アソコを見てしまい…忘れられなく疼いてるようですの」
チラチラと胸元を見せながらも彼女はスプーンを落とし拾うように目配せした。
「……んぅ」
屈みスプーンを拾うと白い太腿と鮮やかな春色の下着が見え息が止まり黙ってしまった。
ウェイトレスを呼びスプーンを変えてもらい吐息を小さくした。
「主人は夜の相手をしてくれなくて……」
麗奈や早紀との間で揺れる気持ちがよみがえる。性的には興味はあるがふらふらと誘われるのはまずい。手に伝票を取り頭を下げ去っていった。
「そういうお話しは遠慮します」

No.23 17/12/11 15:06
作家 

意外に堅い、アソコはまだだけどガードが。
流菜はバッグから下着を出して弄びながら悪戯された感じもない。
だけどまだチャンスはあると妖しく口角を上げたのだった。
スーパーに入り動悸を抑えながら私はとにかく買い物をし部屋に帰りついた頃には吐息を整えるのは大変だった。
「はあはあ誘惑されちゃダメ」
“早世さんはいいんだ”と私の内の沙耶香が小さく囁いた。
とりあえず次の作品の構想をするが気持ちがムラムラしふとスカートの上から淫部を触れそうになり勃起を感じる。オナニーするしないを迷うか悩みながらもさいわい夕方前一回だけと自分に言い訳した。
「ハアハアハアハア……んぅ」
吐息をしながら冴木流菜の大人びた姿を思い返しながら下着を一度も自慰に使ってないことを少し大きく後悔した。やむを得ない。逃がした魚もとい手放した下着はないのだから。
「んぅ……」
勃起は以前ほどに変わりないが行為の方法によって早漏だったり遅漏だったり自制や気持ちによってかなり幅や頻度がある。必ずしも持続性はない。例外的に早紀を虐めてる場合は保つこともあるらしい。
麗奈さん早紀さんごめんなさい、と封印した昨年の企画AV(通常版)を出してデッキに入れ美紀の姿が見えた。
しゅっしゅっと擦りながらプレイした時の興奮がよみがえる。彼女とのセックスはあれが最後なのに未練はあったのか。
『センセ……のスゴい』
「んぅ……はあ、美紀さん……」
かつての自分の姿と重なり睾丸を刺激するようにし瞬間射精していた。白濁した液がモニターに弾け飛んだ。
イクッ……!イクイク。
声が漏れないようにしたつもりだが無意識な快楽は止められない。
再び吐息を整えDVDは再び封印し押し入れへ。
罪悪感があるのは麗奈や早紀に対してと思いながらもペンを取り前作からの続編として冒頭だけほんの二、三枚だけ記した。
主人公には母以外に思いを寄せた同級生が彼の性癖を知る……直前までの場面。
「こんなものだろうか」
短編だから展開は早くしないとならない。
ちなみに作家としての契約書に限っては他出版社との契約は自由とされていたがモデルや作家として仕事を抱えないこと(要)と念入りに記されていた。
契約書のコピーを見て出来るかなと思うが出来るかなではなく責任あるやり方をおこなわなくてはならない。
気づけば夕方だった。

No.24 17/12/11 20:07
作家 

再び麗奈である。
会社に戻ると早紀がいきなり腕を引っ張り愚痴を漏らした。
「聞いてくださいよ。美如月さんたら昼休み直前までカメラマンからスタジオまで勝手に決めようとしてあたしの言うこと聞かないんです」
早紀の話だけを聞いたら一方的だが必ずしもその通りとは限らないのではと思い麗奈は諭す。
「勝手をさせないためにセカンドがいるんでしょう?少なくとも私がセカンドだった時は先輩を立てた時あれば間違いやミスをフォローすることもある。去年だって早紀は何かと沙耶香をリラックスさせるために遊びにかこつけながらだけどヘルプはしてくれたでしょう。いまはまだいいかもだけど現場ではあなたがフォローしないとならないわ」
少し黙る早紀の表情は不満が見えた。わからなくもないがいまは彼女たちが沙耶香のモデル担当なのだ。
わかりました、とだけ言葉がこぼれ自分のデスクに戻るのが見え少しかつての自分の姿が見えた気がした。
麗奈も自分のデスクに戻るが夏用の取材の男の娘(こ)たちにアポイントメイントを取ったり新刊用の企画を早くても秋もしくは冬直前までにはまとめないとならない。
「あ……」
ふと気づく。男の娘たちまた女装者、若干の種類の違いはあれど沙耶香にライバルを作ることに自分は加担してしまう。もちろん沙耶香がそれを意識するとは考えにくいがこの業界もまた従来の男性女性モデルと大差ないのだ。
だけど一方では作家見習いの沙耶香に助言しないとならない。
複雑……。
神無月社長の掌の上のままと思う。こんな思いは沙耶香にしてほしくないと思うが彼女は沙耶香が持ち始めたもうひとつの一面は知らない。
すれ違いは起きていた。
夕方私はつい焼肉定食を作ったことに気づきこれでよかったかなと思う。念のため刺身やサラダなども作っているが家にいると主婦(主夫?)の気持ちは複雑だった。
女装と女性の個性の噛み合わせが一年近くなりようやくそれに気づき始めていた。それ以前にも無意識や性行為のなか気づいていたかもしれないが気づかないようにしていた。
むずかしい。
他の女装者はどうなのだろうか。私はどこかのお店やグループなどにも属してない。誰に相談したらいいか迷いもあった。
いままで気づいてないことに気づいたことに意識の奥深いところで悩んでいた。

No.25 17/12/12 04:21
作家 

ただいま、麗奈が帰ってきた。
「お帰りなさい。今夜は肉じゃがだけどよかった?」
構わないわと言いながらも微妙に複雑な表情があり好みじゃなかったと思ってしまう。
「念のためお刺身も買ったけど」
「冷蔵庫になかった?」
ふと中を見ると前の食べ残しがあり冷蔵庫を見たはずなのに気づかない迂闊を感じた。もともとふたり暮らしなために必然的に食べ残しの料理は余る傾向ある。
「え……と先にお風呂入ってください」
「うん。構わないけど」
気を悪くしたかなと麗奈は思いながらも沙耶香を気を使いすぎるところがあると思いながら先に湯に入った。
根が真面目、それは女装に関係なく沙耶香の長所であり短所。下着へのイタズラやオナニーも出会った頃に比べたら減ったように思う。
風呂から上がり下着やパジャマに着替える。自分もまた沙耶香の前で色香を漂わせなくなったかもしれない。
「先に食べてて構いません。私もお風呂します」
避けているというのもあるかもしれないが女装してる男性と暮らしてる以外は意外なほど普通な生活。肉じゃがの味は少し濃いめ。刺身は残り物から食べる。
沙耶香のお風呂は早い。二十分ほどで湯から上がる音がした。
「沙耶香」
「なんです」
「私に気を使ってる?」
まさかと沙耶香は少し苦笑した。
「ならいいけど下着は持ち主に返すことできた」
「ええ、さいわい舞先生が相手の方に取り次いでくれたので」
喉を潤し炊飯器から茶碗にご飯を入れ座り私は答えた。
「どんな人だった?」
「取材した人妻の方でした。大人ぽいひと」
「私より?」
「え、ええ……」
こんな時は返答に困る。女性がいかに自分以外の同性を気にしてるか。
「ねえ沙耶香、セックスしたいならしていいのよ」
「麗奈さん?」
思わず互いにテーブル越しに淫らな雰囲気を感じ顔を近づけあと数センチで唇が……というところで天井から音が微かにしその一分も経たないうちにインターホンが鳴り扉に目をやった。
「早紀!」
勢いよく扉を開けあわや彼女が扉にぶつけないかと思ったら見事に避けており素早くお邪魔した。
「ごちそうになりに来ました!」
茶碗やお椀に箸、それにいくらお隣とはいえキャミソールにパンツとほぼ下着姿、ソックス付き。
ちゃっかりしてると思いながら残り物も加え彼女を夕食に加えた。

No.26 17/12/12 04:56
作家 

元気よく食べる早紀をよそに私と麗奈は天井を見上げて箸が進まない。
実は“EYE”がなくなった後に私は三姉妹が私達のことにやたら詳しかったことを思い出話に花を咲かせていた時にふと気づいた。
天井や壁に覗き穴らしいのがそこかしこにあり一度私が天井裏に上がりそこから部屋を見たところそれぞれの部屋は丸見えだった。また愛液らしい跡や三姉妹の内の誰かの下着が置いてあった。
しかしすでにいなくなった姉妹を問責することはできないのでふたりの間では暗黙のこととした。だが早紀は姉妹から天井裏や覗き穴のことは聞いてたらしいと察した。
麗奈が我慢できなくなりそうになるのを感じ慌て口を塞ぐ。
「早紀、あなたね……さ、沙耶……か!?」
「無駄にいざこざ起こしてどうするんですか。私にまかせてくれませんか」
どうやって?と聞く彼女をなだめながらも考えながら口に出す。
「早紀さん」
「ふぁい」
食欲旺盛な表情は可愛らしいがこの小悪魔を手なずけないとならないと考えると複雑。
「ご飯食べに来るのは構わないわ」
「沙耶香」
「ワンコインでも構わないわ。ふたりで食べるには多すぎる時もあるし」
早紀は私を見つめる。その瞳には思い通りになるならないかの天秤で揺れ物事を量る。
スケバンかつもと女王様だから人心掌握術を量ってる。
「食べ物で釣るんですか」
「ええ、だけど物事はお金で解決しないこともあるわ。だから早紀さんがよかったら一食ごとに私そして麗奈の夜の営みいずれかを相手してほしい。もちろん相手を決めるのは早紀さんに主導権を譲渡するわ」
どう?と私は打って出た。このままではふたりの雰囲気を壊されるくらいならむしろ仲間に引き入れながら主導権を譲渡しある程度の優先権を持たせば我が儘は言えないはず。賭けでもある。
早紀は箸を置いて口を開き明るく笑みを見せた。
「わかりました。その意見に同意します」
ただしと私は付け加えた。後だしではあるが。
「夜の営みは祝祭日と土日だけ。あとふつうの遊びやショッピングなどは邪魔しないこと。私は早紀さんにも同じ時間を設けるから」
「わかりました……」
麗奈は思う。
モデルと作家見習いの仕事をするから負担になるのではと懸念し私自身もそれは承知だった。
だけど早紀を納得させることが第一だった。しかし私は“ヴィーナ”の存在を失念していた。

No.27 17/12/12 06:50
作家 

とりあえず私のおこなうことは取材やとりあえず作品を書くことだった。
取材は舞先生が協力してくれるおかげもあり人間関係はOL、人妻などそこそこの関係はできてきた。ただ作品に生かせるかは別。
また昨今の書店の少なさもやや厳しい。代わりに中古書店が住んでる街や隣街などにあるが少なからずリアルタイムとの情報に誤差が生じる。これはしかたない。
少なくとも『クロスドレッシング』のメインは女装や女装レズが好きな女性がメイン、男性読者もいるらしいが作家見習いもあり把握してるとはいえない。
月水金はフィットネスクラブに通いできる限り通い体力を作ることにした。オタクやインドア派なためにしんどいが幼い頃からの持久力に助けられた。主にエアロビクスと水泳、それにわずかだが筋トレを始めた。
ハアハアと息が荒く女装してまわりに見られているという意識さえなかった。
「無理しない方がいいです。身体を壊しますから」
「舞先生」
「身体の基本は男性ですが動きから苦手なのは見たらわかります」
はい、と素直に答えた。視線を感じるのはクラブに通う女性たちは年齢に関係なく私に興味を持ち好奇な視線があった。
休みましょうかと舞先生は私を促すがカフェテラスでもなく更衣室に誘われた。
「ここ更衣室じゃ」
「人目があったのではリラックスできません。おいしいかどうかわかりませんがお茶やお弁当作ってきました」
水筒には冷たい麦茶、可愛らしいランチパックにはチキンやタマゴ、キュウリにサラダのサンドイッチとパンや食材の匂いがそそりいただきますをした。口内に鶏肉やタマゴが溶け広がる。
「おいしいです」
「よかった。どんどん食べてください」
これでは餌に引き寄せられる若い犬や猫のように思うが食欲やタンクトップから見える彼女の胸元や肩、汗などに誘われるようだ。
スポーツ一家で生まれ育ったとはいえ女装の私に興味あるのか。迷いながらも食欲は満足させ気づくとみな平らげていた。
「ごちそうさまでした。あ、すみません。全部食べてしまい」
慌て財布からお金を出そうとしたが制された。
「いりません」
「ですけど」
あまりいい予感がしないと本能がどこかで警告していたがやはりだった。彼女は私を見つめる。
「沙耶香さん。私と寝ていただけませんか」
満腹感と共にやはりと思い軽く桃色な目眩があった……。

No.28 17/12/12 07:47
作家 

一宿一飯の恩義。
クルマが走り窓外の見慣れた街の景色が風のように去るのが見えながらそんな表現を思い出す。もちろん運転する舞先生に借りがないわけではなくありまた女性を無下に扱うことはしたくない私の信条や根っこの男の方にも真面目な両親に育てられた性格もある。
それにしても時間休を使うとは考えたものと思うがよく思い出せば去年の早紀とほぼ同じような手段で職場を抜け出したようなものだ。
女性はこと異性のことになれば頭が働く。
ショートカットな舞先生は職場から逃げ出すように必死ながら一方でハンドルを握る手は冷静。スポーツ選手が持つ内に秘めた情熱と冷静な判断力が彼女を動かしているようだ。
しかしクルマが行き着いた先は一戸建てのかなり大きい木造建築二階建ていや屋根裏含めたら三階建て。
「ここは?」
「私の実家ですが」
「ま、待って!おウチでするんですか!?」
「いまはウチに誰もいないと思いますが」
もし家族の誰かに見られたら誤解がさらに誤解を生み少なからずオリンピック選手の候補であった彼女に汚点を作るとんでもない妄想がよぎり気を取り直した。
「こ、ここではダメです!どこか別なところ」
「わ、わかりました」
クルマが次に向かったのはナビが示したのは麗奈のマンションとは反対側の海に程近い街。着いたのはマンションの地下駐車場。
「ここは」
確認のためにもう一度聞く。先ほどは人生真っ暗な妄想が見えてしまったから。
舞は言う。
「私の部屋のあるマンションです」
「最初からそうしてください……」
スポーツ選手がいささか常識に欠けるのはなにも世間一般に限ったことではないと胸中で理解した。テレビで見るおバカなもと選手は笑えるが笑えないこれでは。
「家では誰もいないからセックスでき……」
「いまは言わないでください」
マンションの住人に聞かれでもしたらそれはそれで彼女の名誉に関わる。無神経ではなく女性としてのデリカシーが少し欠けズレているようだ。
エレベーターに乗り向かったのは最上階。通路を進むと北側らしい方向に街や麗奈のマンションが見えたようだ。
どうぞと招かれ肩にはすでに一戦交えたくらいの疲れがあった。保育士の頃の子ども相手にしてるくらいの労苦だ。
中に入ると筋トレマシーンなどがあり本棚にはスポーツ関係主に水泳関係が目に見えた。
吐息した。

No.29 17/12/12 11:42
作家 

お茶を淹れてもらい安堵したと思った時だった。お茶を口から噴き出してしまい慌てた。
躊躇いなく彼女は私の目の前で下着姿になりかけていたから。
「先生!?なにを」
「これからセックスをするのでしょう。だから準備を」
「ち、ちょっと待ってください」
慌てなだめた。まずすべきことは改めて彼女の性についての意識を確かめることだった。体育会系家族で生まれ育ちレズだったのは聞いた。
「え……と、今日は生理はないですよね」
「え、ええ」
「本当ですか」
キッとつい強く睨んでしまうがかつてのアイのように怯えさせてはならないとかつての過ちがよみがえる。
「本当ですね?」
「ハイ、生理は先週でした」
なんか不安がよぎり脳裏に憤怒する麗奈と早紀の姿がありむしろ私が怯えた。
順を追わないとこのままでは彼女に言い様にされてしまう危うさがある。
「え……と、舞先生は私をオトコと認識してますよね?」
「ハイ、沙耶香さんは男性です。オチ×チ×ありますから」
「後半は答えなくていいです」
思わずツッコミしてしまう自分が情けない。プレイ以外では女性に強くなれない自分がいた。
「生理はなし、私を男性と認識」
「カウンセリングされてるみたいですね」
「え……と、シャワーは?」
念のためのエチケットとして聞いたつもりだが彼女からの答えに私はソファーに身体を沈めた。
「沙耶香さんは女性の匂いがお好きなんですよね。雑誌にそう書いてありましたけど」
彼女が持ってきた本はつい先日発売された『クロスドレッシング』の小説の内容についてだった。思わず赤面しかない。
「そ、それは物語の内容です……。多少の体臭が構わない性癖の人たちもいますがふつうはシャワーを浴びて」
「だけど私のセンパイは汗のなかしましたけど」
「あ……ハイ」
性に興味あるが性知識が豊富だったアイとは真逆のベクトルなことに納得した。理解が足りない女性なんだ。
後で聞いたらご両親やご兄弟姉妹はそんなことは教えなかったという。
ふとひらめいた。
「舞先生」
「ハイ」
「あの少し変わった形でセックスしましょうか」
ヒントはカウンセリングだった。そして実践しながら行い嫌ならやめれば済むこと。
身体を交えるまで時間が必要もしくはかかった。
私でいいのかなと再び葛藤が芽生えた。

No.30 17/12/12 14:40
作家 

あの……いいんですか?んちゅんちゅはあはあ。
キスを軽く柔らかくゆっくり交わし舞は聞いた。
「ん……先生の好きなようにしてください」
ただし痛い行為は互いに避けることとした。
「んぅ……沙耶香さん」
「はぁ……オトコの身体は平気?」
ええと彼女は少し興奮してきたのか額や肩、胸元に汗が少し見え始めた。レズの感覚のままプレイをさせた方がいいと思うが風吹先生のような医者ではないから手探り状態……。
舞はそっとスポーツブラの胸に顔を近づけ吐息がかかる。
「Aカップ……くらいでしょうか」
「もう少しあります」
「少し筋肉ありますね……」
「ほんの少しですよ」
スポーツ一家に育ったから相手の身体が気になるのか。あるいは体型フェチやマニア……?考えるのよそう。
私は聞いた。
「男性の身体に嫌悪はない?」
いちばんの心配はこれだった。真性レズの女性なら男性そのものが受け付けない可能性がある。
「ええ、だいじょうぶです……」
聞くと水泳や水球で男性の身体は見慣れてもいたらしい。懸念だったか。
シャワーは念のためにふたりとも浴びた。彼女の吐息と共に胸が揺れるのが見え淫靡だった。
「はあ…レロレロ」
「んぅ……」
「女の子みたいですね」
「やっぱり変ですよね」
聞くのはたぶん自分の内に女性に憧憬と劣等感ふたつがあるから。普段は意識しないがふとよみがえっては忘れるの繰り返し。エンドレス。
舞は上目遣いに見つめる。
「物語読みました……。お母さんや同級生の女の子に憧れて女の子になりたい男の子、沙耶香さんはそうなってます……。あ、オチ×チ×」
一言多いが彼女なりに物語は理解してくれたようだ。
「フェラチオ……はクンニのようにしてくれる?」
「愛撫すればいいんですね。わかります……」
ちゅっとちいさい唇が触れてスポーツショーツの内で揺れた。
「あのオチ×チ×は下着を脱がさないまま出してくださいね」
「え」
「右や左どちらでもこんな感じに……
ショーツの脇から出すとぷるるんと震えて男性器そのものが露になった。すると彼女はこう言った。
「お父さんのよりはちいさくて可愛いです」
苦笑いしながらちょっと泣きたくなったかも。悪気はないからいいけど。
ちゅっちゅっと形を確かめるように頬や顔全体で確かめているように愛撫し指で触れていく。

No.31 17/12/12 18:26
作家 

これでいいだろうか。
レクチャーしながらセックスしていく。だけど言葉だけでの説明は理解しにくいし官能小説や物語はフィクションでしかない。
ふと思うのはジェンダーアイのアイ。さいわい彼女の時はうまくいった方だが今回はどうだろう……。
「沙耶香さん次はどうしたら?まだ続けます?」
「あ、次は私にやらせてくれるかな。怖がらなくていいから」
舞の足をゆっくり開かせわずかに震えがあるように見えた。同じレズでも男性経験ある麗奈とのちがいだろう。
「ちょっとずついじるから痛かったら言って」
「はい……んぅ」
スポーツショーツにはすでにに淫らな沁みが出来ていて指を這わした。愛液が淫唇と布地で交わり女臭を漂わす。人並みに感じてることからレズ経験は本当のよう。そっと顔を淫部に潜らせ舌を使う。
「ん……れろれろ」
「は……うん……」
「だいじょうぶ?」
「んぅ……久しぶりにアソコを……舐められたから……」
頬が赤くショートカットの髪がちいさく揺れる。感じているのは女性の悦び。ちろちろと舌を這わし指で肉唇を浮き出させた。ふっくらと淫唇が見えクリトリスが布地越しに見えた。
ショーツの上からクリトリスをたしかめゆっくり触れ剥いた。
「あ……っ……んぅ」
「いたい?」
「ちょっと……」
敏感なのはレズ経験からだろうか。オナニーの回数を聞いた方がいいか迷いながらもショーツの上から指で弄る。
「はぁっ!あはぁ……ンン」
「答えたくないならかまわないけどオナニーはどれくらい?」
「……かい」
「何回?」
「週に一回くらい」
根が真面目なのかあるいは性行為に抵抗があるのか控え目。
しかし気になったことがあった。愛液というよりは淫唇の方からかつてのアイに似た鼻をつく甘酸っぱい感じがした気がした。ショーツを早く脱がしたい思いが急いては事を仕損じる。
「どうかしました?」
いえと私はショーツの上から弄り感度を確かめ淫唇からの愛液を絡ませた。指がべっとりせるほどに。
「あ……はぁン」
「イキそう?」
「少し」
さいわい淫唇のおもてだけを弄ったはずだが桃肉の中身が気になった。
「脱がすよ」
はいと彼女は膝をM字に曲げ頷く。太腿から下着を脱がすと生え揃ってない陰毛が少し天に向いていた。雰囲気としては性経験が少ない十代でも通じる感じ。

No.32 17/12/12 20:19
作家 

そっと淫唇の左右を見るとふと気づく。
処女膜らしい膜が少し奥の襞を守るように見え若い匂いが鼻をついた。そのまま指を挿入すると微かに破れそうな音がし指を止めた。
「沙耶香さん?」
「舞さん……これ処女膜じゃない。ちょっと自分で確認してみてくれない」
「でも処女では……うん。わかりました」
ベッドから離れバッグからコンパクトを持ってきて足を開きながら自らの秘部を映す彼女はまじまじと見つめ呟く。
本当と……。
「だけどセンパイとレズした時にちゃんと処女じゃなくなったはず」
私は考えて答えた。
「その時は指?ローターやバイブだった?」
「バイブかな。これくらいの……」
人差し指と親指で大きさを示されたが長さか大きさかわかりづらい。
「血は出た?」
「……少しシーツを濡らした程度かな」
想像すると大した大きさのバイブではなく処女膜は破られはしたが少しであり完全ではなかったかもしれない。あらためておそるおそる聞いた。
「そのセンパイさんとレズしたのはいつ頃?」
「大学生くらいですが」
「いま社会人だからこの何年間で……戻ったんじゃないかな。専門的なことは曖昧だけど」
そんなことあるんですか?と聞く彼女に私は首を傾げてしまう。彼女は納得したようなしないような表情をした。
「処女なんですか」
「処女じゃなくなったけど……少しもとに戻ったんじゃないかな」
少し触らせてと断り指に触れた感覚はたしかに敏感さを秘めた膜のようだった。
「ん……」
「処女膜と思うけど今日はやめておく?」
「なんでですか」
私は以前に処女の女性アイを相手にした時のことを伝えた。
挿入まで時間をかけ愛しながら性行為をしたが痛がる様子が彼女にあったこと性的快感に変わるまで時間を要したこと。そして必ずしも性的快感に変わるかどうかは保証できないこと。
舞は少し戸惑い指を顔にやり考えているようだったが……。
「ここまでしてもらったら……セックスしたいです」
「だけど痛みがあったら。私のせいで男性やオチ×チ×を嫌うかもしれない」
せめて事前に麗奈にでも相談し助言があればよかったが人知れない行為は誰にも相談できないむずかしさ。
舞は言う。
「私がいやですか?」
「ううん。だけどセックスは……処女喪失は大事な行為や儀式だから」
アイの表情が浮かび消えていく。

No.33 17/12/13 05:16
作家 

この時私は焦っていたのか間違えたのかもしれない。一度アイとの経験で処女をもらえるという悦びに溺れていたのか。
「いい?挿入(い)れるよ……」
「は、ハイ。よろしくおねがいします……」
ほんの先っぽ、鈴口や亀頭を処女の花弁に触れただけで表情が青い。処女膜がよみがえったのはたぶんレズでのバイブ挿入が浅く根元や深くまでされてなかったから。
ぐっと力を入れながらずぶずぶともぐちゅぐちゅともつかない淫音のなかに微かにめりともぷちぷちともつかない皮膚が破けるようなちいさな音が微かに伝わる。
「んんん!」
舞は痛みを敏感に感じているのか淫唇から挿入を拒むような感覚が男根の侵入を塞いだよう。声をかける。
「力を入れちゃダメ、力を抜いて」
「そんな……」
「オチ×チ×をセンパイと一緒に使ったバイブでも指でもいいからちがうモノと思ってみて」
「バイブ…指……」
まだ挿入に至ってない互いの陰部を彼女は見つめてそっと力を抜く素振りがあった。吐息で肩から力を抜ける。
「リラックスして」
ハイと応じるが震えが見えた。そのままゆっくり身体の歩みを進め挿入してゆくと眉間に皺が出てきた。
「っ……んん!はあ」
「そのまま力を抜いて、我慢して」
再びめりともぷちぷちとつかない破ける音が耳を打ち肉棒に赤い染みが見えた。赤い血がぬるっと男性器を塗った。シーツにこぼれた。
「ん……沙耶香さん」
記憶の内のアイと彼女の声が重なる。
「もう少し我慢して。見て……」
おそるおそる舞は赤い血に彩られた互いの陰部を見つめこの時に怯えの色に私は気づかなかった。
「い、いや……んん」
感じていると誤解した私はそのままゆっくり挿入しさらに腰を揺らし処女膜をさらに破った。
「あ……っ!んんんん」
奥歯を噛み締める彼女の表情を感じていると思いそのまま腰を抱こうとし肉棒は処女の内の襞に絡まれあたたかく熱いと感じた。同時に肉棒が性経験のなかで膨らみがあり彼女はさらに痛みを感じたのだろう。
「いい?」
いやっ!?と声がした瞬間に私の身体は彼女の両の手で突き飛ばされベッドの上から音もなく落ち身体をくの字にしたまま射精感があったのかどびゅと自らの顔に射精してしまった。
痛みから解放された舞先生はそのまま涙をベッドの上で流してしまった。
とんだ初体験をさせたことにようやく気づいた。

No.34 17/12/13 06:16
作家 

すみません。ではまた。
素っ気ない挨拶のまま彼女は私をマンションの前まで送った時は夕方近かった。
あんな経験してても職場でお仕事するのかなと女性が意外に強い一面を備えているのかと思った時に声がかかり肩が震えた。
「沙耶香」
「あ、麗奈に早紀さん。早いですね」
「舞先生のクルマなにがあったんです?」
一度部屋に帰りお茶を淹れながら私は事情を伝えた。舞先生の初体験。
麗奈は冗談めかした。
「猿も木から落ちる。沙耶香の女装レズも失敗することもある。ね?」
しかし早紀の言葉は違った。それは私に関わることだった。
「もしかしたら沙耶香さんをヘッドハンディンゲや引き抜きのためのハニートラップかも」
「どういうこと」
キョトンとする私に麗奈は早紀を咎める素振りだったがふたりは社内で私が話題になってるのだった。麗奈は私を見つめて個人的感情を含まない程度で言う。
「実は新星出版社、あ、私たちのライバル会社が沙耶香を欲しがってるという噂らしいの」
「同じように女装者や男な娘(こ)モノ向け雑誌を刊行してるんです」
ちょっと失礼と麗奈の部屋から『トランスセクシャル B&G』(新星出版社)の雑誌を持ってきた。
「あ、それ」
「麗奈さんの部屋を掃除した時に見つけたんです。本屋や中古書店で並んでるのを見ました」
「ライバル雑誌を見て研究。麗奈さん熱心だわ」
早紀と同じように私は感心したが頁をめくると内容は比較的によく似たモノであり呟く私。
「綺麗なモデルさんたちですね」
「沙耶香も知ってると思うけどウチの会社は業界では後発、弱小ではないと思うけど中堅にはまだ少し足りないかな」
そんなことないですよと意気込む早紀に笑みした。
しかし彼女は邪推する。
「舞先生とのセックスで落ち込む沙耶香さんをハンディンゲするんじゃ」
「そんなことあるんですか?」
麗奈はないとはないとは言えないけどむやみに疑わないと釘を刺す。
「だけど私はまだ二年目……」
「去年なんだかんだ売れたし話題にもなったでしょう。忘れたの」
「そうですよ。女装でもモデルなんですから自覚してください」
思わずたじたじになりながらお腹が鳴った。
「あ」
「なに?」
「夕食買いに行かないままでした」
主婦ねとからかう麗奈に苦笑が部屋からこぼれた。

No.35 17/12/13 15:09
作家 

エッチしたいな。
沙耶香に言われたでしょう。セックスは土日祝祭日。
夕食を済ませ静かな私をよそにふたりはひそひそと聞こえるように会話する。
「沙耶香さん」
「甘えた声を出してもしません。そんな気分ではないし」
だけど目ざとく麗奈は私の陰部の勃起を見つける。
「でも勃ってる」
「意思とは無関係ですってば。ひとりになりたいから部屋にいきます」
「沙耶香さ〜ん」
甘える早紀に麗奈は私が去ったことで吐息した。
麗奈は思う。
意外に傷つきやすい。ナイーブや内気な面を兼ね備えている。だけどセックスは淡白どころか人並み以上なおかつソフトSなわりに時々どS。ただし本格的なSMは苦手。
「早紀ちょっと」
「なんですか、帰ります」
「帰ってもいいけど……」
ひそひそと声をちいさくし早紀は一度出ていったが再び戻り頷いた。
「麗奈さん見てください。薔薇柄のランジェリーですよ」
「あら沙耶香を誘惑するつもり?私だって春先にキャミソールセットを買ったから。いつでも着られるように」
…………。反応なしなことにふたりは少しムッとした。
「着替えようか。今日は暑かったし」
「え」
「着替えるの」
早紀は麗奈の怖い囁きに覚悟を決め薔薇柄のランジェリーに着替え彼女もまたキャミソールにパンツになった。
「豪華ね。胸はちいさいわりにランジェリーはオトナ」
「麗奈さんこそまるで女子高生で通じるみたい」
「そうかしら」
「カップがちょっと空いちゃってるかな」
カタッと扉から音がし沙耶香が興味を示し始めた。ふたりは次々にランジェリーを着替え始めながらえっちな話題も交えた。
「沙耶香にお漏らしをさせられたこともあったわ」
「あたしの方が先ですよ。おま○こからシャー……て」
「恥ずかしいことを人にさせるんだから」
「でも新品の下着が湿っちゃいますね。麗奈お姉さま」
レズするふりなのだが麗奈は応じた。
「お姉さまなんて沙耶香に言いなさいよ」
「もう乳首やおま○こがこんなに……虐めてください」
「いいの?」
本気にしないでくださいと早紀が呟きかけた時に扉が開き沙耶香はじっと見つめていた。
あ、と声が重なり沙耶香は誘き出されたことに気づき彼女たちはある言葉を口にした。
「ハニートラップにかからないように」
ハイ……と沙耶香はちいさく頭で頷いた。

No.36 17/12/13 18:44
作家 

あれから舞先生との関係は先生と生徒の関係に戻っただけ。
麗奈や早紀はセックス行為中に私を突き飛ばした彼女について責めはしないままふつうに付き合っている。
だが彼女の考えてることはわからないまま。
また短編小説についてはいくつか候補はできたが決定的な作品はないと麗奈および小説課にダメ出しされた。
むずかしい。
短編は原稿用紙に短くまとめながら女装の魅力を伝えまた男女の読者がエッチしたくなるような作品にしないとならない。どうしても無駄に長くなってしまう。
昼過ぎ吐息をついているとインターホンが鳴り扉を開けると早紀かと思ったら意外な相手だった。
「天使(あまつか)さん?」
「お久しぶりですということもないですね。パーティーの後にはメールでやり取りしてましたから」
それは双星出版と取り引きしているランジェリーメーカーの天使下美(もとみ)の可愛らしい笑みだった。お茶を淹れ何の用かとたずねるとニコリとし返ってきた。
「ランジェリー好きな沙耶香さんにいくつか試作の下着のご意見をうかがいたくと思って。いけませんか?」
鞄を開けるとそこにはカラフルなランジェリーの様々なタイプが入っており下半身が興奮し熱くなった。
「構いませんが私のような女装でいいのですか」
「メールのやり取りの際には言いませんでしたが役に立ちましたよ」
「そう」
とりあえず手に取らせてもらい感触、デザイン、機能性などを見せてもらっていたら彼女はさらに言った。
「よかったら試着してください」
「え、でも」
「女性用下着ではありますが男性の購入者はいます。忌憚ない意見を聞かせてください」
わかりました、としぶしぶ応じながらまずはキャミソールとショーツセット偶然先日麗奈が身に付けてたランジェリーと同じモノを手にした。
「ちょっと撫で肩な私だと肩紐が落ちますね」
「肩紐が落ちる……他には」
「ショーツがお尻に食い込みません?Tバックでもないのに中途半端。私がオトコだからかな」
「中途半端な布地……」
下着を取っ替えしそんなことを繰り返しながら二、三時間過ぎていき彼女は満足したような表情だった。
「ご苦労さまでした」
「いえ着替えてきますね」
背を向け着替えようとした時に桃色な誘惑があった。
「よかったらどれか一着お礼に差し上げますが」
下着の誘惑だった。

No.37 17/12/13 21:21
作家 

実はさっきから身体が疼いてしまって……。
天使はサマーセーターと花柄スカートを脱ぎながら音もなく鮮やかな緑色の下着姿を披露し内股に羞じらいを見せた。
「見てください……。ここもう湿っています」
誘うように彼女は緑のショーツの内にある淫花からのやらしい沁みを見せながら足をM字に見せ吐息が胸を揺らす。
私の中に躊躇いがあった。舞とのセックスがうまくいかなかったことを悔やみながら早紀は相変わらず朝夜とご飯を食べにきては彼女との夜の営みは数だけは着実に増えるが麗奈も早紀も最近は私を求めない。そんな最中に性への誘惑があるとは思わなかった。
天使はちいさく笑みし私に更なる誘惑をしてきた。
「よかったら……はあ…ン。この下着つけてくれません?代わりに……」
…………。
使用済みのランジェリーの誘惑に屈したと思いながら天使のスリップ、ブラショーツはさながら大地にならぶ緑の自然のようなイオンぽい匂いと女臭が身体を包む。
私の部屋から彼女は私が身に付けていた純白レースのランジェリーで現れた。
「似合いますか」
互いの声が重なりしばし沈黙しながら唇を天使から重ねてきた。時計は三時過ぎ。
「んぅ……んぅ」
「はぁ…はぁ……」
「あたしの下着で興奮してクロッチが湿ったまま……」
「天使さん……んぅ」
リビングでの大胆なセックスは三月の早紀との行為以来。しかもマンションの階下や廊下からは買い物帰りの主婦や下校中の学生らしい声がしていた。
彼女は唇を重ねながら戸惑う私の手を取り柔らかい胸を触るように誘う。
「沙耶香さん……気持ちいいですか」
「う、うん……天使さんに包まれているみたい」
「包んであげます」
リードされている時はレズのネコのようになってしまう。基本はソフトSだがリードを譲ることで女性に気持ちを同化させたいのかもしれない。さわさわと彼女は緑色のショーツに包まれた肉棒を触れ見つめる。
「堅く柔らかく……熱い。……んぅはあ」
使用された下着独特の温もりと異性の柔らかい指が包みカウパー液がとろとろと垂れていた。
「天使さん……わたし」
「リードしたくなったらいつでも。それまでは……」
ソファーの上でさながらレズしていく感覚が身体を襲う。彼女の下着に包まれながら動悸は耳を打つように鼓動がある。
いまはこのままがいい……。

No.38 17/12/14 05:22
作家 

ああ、美しい。ランジェリーの中にオチ×ポオチ×コが現代のアンドロギュノスの美……。
天使のように愛らしい表情に恍惚とした淫靡なフェロモンを発し彼女の下着に包まれた男性器を弄る。
「んぅ……はあ…」
「手でしてかまいませんか」
ハイと私が身を委ねると彼女はショーツの唯一前面にある花を模したフリルか装飾を弄りながら内にある亀頭を指で包み上へ下へ軽く動かした。
「あ……んぅ」
「凄い。あたしの下着のなかでぴくぴくしてる」
恍惚とした彼女は右の手でゆっくり扱きカウパー液を見つめ左の手でソファーとの間にあるクロッチの内の膨らむ睾丸を弄る。
「ここもぱんぱん。これこそ究極の美……本来ランジェリーにはないオチ×コ」
顔に似合わない淫靡な表現が耳を打つと同時に私の内ではある声が再びしていた。
“いいの?このままで。貴方の望むセックスはただされるがままなの”
私の内の“沙耶香”が問う。舞との行為中には一切現れなかったのに。
「んぅ…はあはあ」
「我慢汁があたしのショーツにとろとろ……美味しい」
指でカウパー液を救い絡ませ舌で味わう天使は再び両の手でショーツに包まれた下半身を抱く。
「んぅ……沙耶香さん」
吐息を交えながら彼女は瞳を閉じキスを求めやむなく私はソファーの上から重ねた。
「んぅ……れろれろ」
「はぁ…んぅ…」
彼女はキスをされ私と替えた下着のなかに指を入れクチュクチュと鳴らした。
「沙耶香さんの…下着…あたたかい。前も後ろも下も……」
「下……?」
意味がわからない私に彼女はそっと言う。
「く、クロッチに守られた玉からの感触が……伝わります……」
羞じらいがあったのか彼女は履き替えたショーツには淫花の愛汁がある。私の下着に。
“なぜ応えないの”
また“沙耶香”はちいさく叱責を伝えた。一瞬何かにキレそうな自分がいた。
「はあはあ、そんなに変態な私がいいならご奉仕して天使さん」
キレそうな自分を抑えんがために彼女の愛らしい頬を撫で耳の皺ひとつひとつに愛撫した。
ハイ、と彼女はようやく吐息を肉棒に触れさせた。空元気でもいまは必要に思えた。
「んぅ……男とあたしの匂いが混ざって素敵」
はむと彼女はショーツからはみ出さんばかりの亀頭を形のいい唇で愛撫しくわえた。
いつもなら自分のペースで脇から肉棒を出したかったが堪えた。

No.39 17/12/14 06:52
作家 

ちろちろんちゅんちゅ。
天使は二点だけを責めた。ショーツの上から出た亀頭と鈴口そして睾丸だけ。びくんびくんと舌や口内で小さく揺れる肉棒がいとおしい。
しかしあることに彼女は気づく。沙耶香の両の手ははじめは踏ん張っていたが彼女の頭や髪を撫でもしないし首やうなじでさえ触れない。
聞いたところだと責めるひとなのに。
「沙耶香さん」
「んぅ……?」
「なぜ手を使わないのですか」
意外な言葉が返ってきた。私の手は不潔なのと。意味がわからなかったがフェラされる異性装の青年は語る。
そのむかし女装を始めたばかりにランジェリーに包まれた自慰にハマッた日々を。手淫と女装に浸る密やかな毎日。
だけどある日その姿を母親に見られ家族に知られそれ以来手を自慰に使えなくなった。
聞きたかったこととはちがうことだが天使はある程度の同情や共感はしたが何かちがうように思えた。
「これでも最近は自分の手でイケるようになった方……」
「不潔ではないです。綺麗な手をしてます」
「慰めなんて」
「あ、イキそう。イッてください」
ショーツの内で肉棒は熱く膨らみ睾丸も膨らみはじめてきた。
「あ……!イクっ…!」
「はぁ……んぅ…」
ビュルル!と彼女は沙耶香の熱い牡の樹液を顔や髪など肢体で受け止めた。熱い牡の精液の塊や匂いが陶酔するかのように身体についた。
「ああ……天使さん」
彼女は額や頬、髪についた精液をまるでファウンデーションがあるかのように手ですくいそして指に絡ませて舌につけた。
「溜まってますね。これではランジェリーの中ではよけいキツいはずです……んぅ」
「はぁ……」
「もっともっと出してください。沙耶香さんの下着を着けたあたしを」
吐息を整えながら沙耶香は命じた。
私の下着のままオナニーをして見せてと。
「はい、オナニーします。ごらんください」
天使は躊躇いないかのように牡の樹液にまみれた肢体のまま自慰を始めた。休ませるつもりないひと……。そう思いながらも彼女は応じた。
「立って……」
「はい……」
「股を開いて胸を出して……」
ああ……凄い。
射精をしたばかりの肉棒はショーツの中で復活の兆しを見せ半勃ちから力強く戻るさまが見えた。
くちゅくちゅと彼女は沙耶香と交換した下着の内にある自らの女体を弄る。
んぅと喘ぎ声が唇から漏れた。

No.40 17/12/14 14:08
作家 

妙な気分……。
声に出さないが私は私の下着を身に付けた天使にそう思った。いくらランジェリーといっても男性が身に付け使用した下着でオナニーを彼女はしてるのだから。
「んぅ……あたたかい。指では足らない。オチ×ポ…沙耶香さんのオチ×ポ……」
「ダメ……」
愛らしい表情に似合わない卑猥な表現を口に出し求めている。しかも自らショーツを紐状にさせ肉唇が露になり濡れていた。
「そんなぁ」
「ちゃんとご褒美はあげるわ。それまで我慢して」
「麗奈さんが帰ってきたらどうするんですか」
思わず背筋が凍りつきそうだったが威厳を保った。その時はその時。
「んぅ……はあ…んぅ。あたし魅力ないですか」
「そんなこと一言も言ってない。可愛らしい胸してるし」
「あ…ン。んぅ」
つい胸に触れたがその感触の柔らかさと肌のあたたかさが伝わる。
だけど妙な気分の正体がなんとなくわかった。
私は私の下着を身に付けた彼女に自分が女性になった自分を同化し頭の内で妄想していた。
「ソファーの上に上がりなさい」
「はい……おま×こしてください」
「するかしないかは私が決めるの」
腰に触りそのまま指を淫唇や淫豆に触れると私の下着なのに見た目以上に湿り愛液が地図のように湿る。
「んぅ…はぁ…んん」
「ひとの下着でここまで濡らして」
「スケベなんです」
「見ればわかるわ」
ぐちゅぐちゅと指で淫唇に触れ淫豆を剥くように弄っていくたびに腰がダンスのように触れる。
「あ……指はいや。ちゃんとオチ×ポで……」
「私の下着はどう?」
「あ……はい。男性のオチ×ポが…あるみたい」
「ならオチ×ポはいらないの」
「いや……入れてください。指だなんて」
口数が早紀より多いが普段は自分の本性や性的本能を隠したり我慢してるのだろうか。去年の旅行やパーティーの時とのギャップが激しい。
さながら天使の顔をした淫靡な小悪魔。ましてやひとの下着まで身に付けるなんて破廉恥。
“天使さんよりあなた自身が破廉恥な存在”
私の中の“沙耶香”は挑発してきた。
「挿入(い)れてあげるわ……。私も我慢できなくなったから」
「ああ……ハイ」
だけど私は彼女が身に付けていた私のショーツを膝まで下ろした。他人に貸し身に付けたショーツまで犯し汚すことはしたくない思いがあった。

No.41 17/12/14 15:28
作家 

「ほら、このままあなたのおま○こに挿入(い)れてみて」
天使は思った。
あまり触れらなかったのはやっぱり……だけど。身体は火照っていた。芯から醒ますにはこのひとのを……たぶんたいしたことないと思うけどやり過ぎたと思ったかなと思いながら自らの花唇を開き腰を抱かれていた。
「こんな私のでよかったらどうぞ」
「ンっ……ぇ…ん!?」
はじめは普通によくある性的な痛みが脳内にきたかと思ったが挿入された途端に肉棒が膣内で途端に膨れた。
「あ……ああ……」
「天使さん?」
「い、イカない。これ……」
「たまに早漏みたいな時もあるけど動かしていい?」
ああ……と頷き脳内から身体全体に走る性的な痛みと快感が身体を支配し腰を動かされた。ふつうにセックスなのに。
「ンぁ……!」
桃色の喘ぎ声と共にほんのわずかな瞬間イッた時の快感が身体に宿る。
「天使さん」
「……うう…なんなの……」
「え」
「な、何でもないわ……あ、はぁ」
膣内の襞で包んでいる感覚が臀部にあるが身体全体を突かれているみたいに身体中の毛細血管が開いたようだ。
アクメやオルガスムスというモノだろうか。
「は…あン」
「さっきまでえっちなことを言ってたクチはどうしたの」
「あ、あれは……いや」
多少演技だったとはいえ思わず身体の内から羞恥心が沸き上がった。だけど挿入されただけでここまで感じるの……?
「……天使さん」
「あ…はぁ、はい」
「気持ちいい。あなたのアソコ」
カァッと身体中から真っ赤になりそうなほどに芯から火照ってしまった。そのままソファーが揺れながら身体の熱はさらに熱くなっていく。
そんなこと言わないで。
「あ…はぁ…はぁン。いい……」
ぐちゅぐちゅと肌と肌が触れ合い慰めるはずが逆に感じてしまう。
だが沙耶香はそんなことは知らないまま抱いている。
膣内で肉棒は狂暴に女陰を犯している。犯されている。しかも自分は女装男性の沙耶香の下着を身に付け膝まで落ちたショーツにはだけたブラだがまるで下着にも沙耶香の手や舌があるよう。
失敗したと思うよりはこんなに感じちゃう。
まるで女装の女王様のよう。異性装の女王様。
熱い熱い身体が芯から熱い。身体中がおま○こみたいな気分。
ハアハアと吐息が溢れてしまう。

No.42 17/12/14 19:28
作家 

すごいすごい……。
あたし感じちゃってる。
天使はけっして不感症ではないが女装の沙耶香に抱かれることで倒錯な性的の悦びに目覚めたように喘ぐ自分がいた。
「あ…あん…沙耶香さん」
「な、なあに」
「その……言いにくいんですが……」
彼女は自分の淫らな姿がマンションの窓に薄く映る姿を見てみたくなり背を向けだっこされる格好で沙耶香の身体に再び身を沈めようとした時にもうふたつお願いした。
ひとつはコンパクトに自らの淫らな花唇を映すこともうひとつはスマホ動画に撮影すること。
「鏡はいいけど動画は……」
「あ……恥ずかしいですか」
天使は沙耶香の気持ちを考えずに自分の気持ちを優先したことに気づくがある約束をした。
「こ、個人的にあたしだけが愉しむようにします。外には絶対に流しませんから」
「ほんとに?」
「だってこんなセックス初めて……いえそれに私の下着を身に付けてオチ×チ×が出ていやらしく美しいです」
わかったと頷き再びふたりはソファーの上で身体を重ねた。
しかしこの約束が後に沙耶香に危機をもたらすなど想像すらなかった。
「はぁ……あたしの下着からオチンチンが」
「着てと言ったのは天使さんよ」
「やだ……」
もともとは単なるお遊びを兼ねたつもりだったが会社のランジェリーを雑誌で使われそれを見てるよりとても美しく何か感じるものがあった。
「あ……コンパクトにもスマホにも窓にも」
「言わないで意識しちゃうから」
「っ……ん。ごめんなさい」
「ちょっと……締めつけ…る」
沙耶香の肉棒を知らずに締めつけながらもその淫らな姿態はコンパクト、スマホそして窓に映っている。
ただの男性に抱かれてるんじゃないんだ。試しに沙耶香のショーツに包まれた睾丸に触れてみた。
柔らかいのにぱんぱん……。
「だ、ダメ。触っちゃ、すぐイッちゃうから」
「感じるんですか」
「う、うん」
だったされた沙耶香の恥じらう意外な一面を知りスマホに撮影したことに少しばかり喜びを感じた。また挿入していた肉棒も膣内で膨張している。
「あ……してください」
「う、うん」
ソファーにはすでに汗や体液、互いの我慢汁に愛液が滴りながら太陽は沈みはじめる。
天使は胸を掴まれ淫唇には自らの下着をつけた沙耶香の男性器。それに支配されようとしていた。

No.43 17/12/15 05:04
作家 

妙な娘と思いながらもなんとなくだけどネコを被っていたらしい。
淫乱な娘と思ったが膣のキツい感覚感触からたぶん麗奈や早紀ほどに経験なくそれでいて襞に包まれながらややキツい。
撮られるのは少し抵抗あるけど……。どんなつもりか知らないし。
「んぅ……天使さん」
「いいですから、もっともっと……してください……」
ソファーの上で彼女は子宮の奥を突かれながら性の悦びあたたかい感触に浸っていた。
彼女の性経験は知らない私だが下着の交換して以降なぜだが淫らに目覚めてしまったよう。
すでにソファーの上はカウパー液、愛液に体液など陰部や太腿から滴らせていた。
「んぅ……スゴい」
「え、何が」
漏らした言葉を天使は耳にした。あたしが沙耶香さんを感じさせてる。
「天使さんの」
「下美(もとみ)とよ、呼んで……いまだけでも」
「下美さんの……がキツいの。あたたかい」
「そんな……えっちじゃ……えっちなの……」
一度は否定しながらつい肯定した自らの口の動きに天使は顔や耳まで赤くした。ずんずんと突かれ肌がぱんぱんとし女陰の内では沙耶香の肉棒は膨らむ。
「あ、あ……あ…ん」
あ、イキそうと彼女はスマホや窓に映る自分の淫靡な姿に感じた。
「イキそう?」
「あ、は、ハイ。イカせて……」
ぐっと私は力を込めながらも射精感がきた。
使用された天使のランジェリーの温もりが心地いい。
「イクよ」
「ンン……ああ…はあ」
「イクっ!!イッちゃう」
「……!?あ……か……はあ……」
天使は感じた。下半身にわずかに触れる睾丸が膨らんだかと思うと根元から幹へ、幹から亀頭そして鈴口から自らの花唇にどくどくと熱く脈打ちながら射精された。
「ああ……!?すご……い」
瞬間白目を剥き出しそうになりながらアクメを感じしかもその姿はコンパクトには結合した陰部そこには自ら貸したショーツからの男性器。
さらにスマホは動画をありのまま映し汗や体液にまみれ額や髪から出ていた。愛液と射精された白濁液が絶え間なく出ていた。
薄く映る窓ガラスの痴態はまるで遠くにあるようで近くにある淫靡な姿見に見えた。
天使いや下美は恍惚としながら呟く。
「はあはあ……えっち……こんなにえっちなの……」
夢のようで夢じゃない。
ハアハアと吐息がいつまでも止まらず沙耶香の肉棒をくわえていたい。

No.44 17/12/15 06:17
作家 

いつまでも女の装いの沙耶香といたいと思う下美だがスマホが鳴り慌て取った。
「あ……はい。すみません。すぐに帰ります。ああ……あの沙耶香さんまた来ていいですか?」
「え、あ、うん」
下美は沙耶香の下着のまま慌て着替えながら淫靡な匂いのままそのままコンパクトを忘れて風のように帰っていった。
なんだったのと思いながらも私は彼女の下着を身に付けたままなことに気づきすでにに夕方。
またお買い物いくの忘れてる。とりあえず下着を替え下美の下着はたたみ直した。
そこへ聞き慣れた麗奈たちの声がただいまと飛んできた。
一瞬あたふたしたがとりあえず着替えたがソファーの上には淫らな沁みが見えるが誤魔化すしかないと覚悟を決めた。極端に叱りはすることはしないが三角関係を壊しかねない。
ただいまと麗奈と早紀は明るい声で帰ってきた。コンパクトに気づき慌て手に隠した。
「お仕事進んだ?」
「え、あ……まだ」
「なんかえっちな匂いがするような」
「オナニーでもしてました?」
う、うんとぎこちなく返しながらそれとなく自然に振る舞う。
「あ、今日お買い物いかなかったんだけど」
「たまには出前や外食でもいいけど」
「え〜、沙耶香さんの手作りがいいです」
甘える早紀をなだめる麗奈にホッとしながらも身体から淫靡な匂いは隠しようがない。さいわいオナニーと思ってくれたようだけど。
「残り物でよかったらあるけど」
「それもいいですけど」
「今日は外食にしましょう。いつも沙耶香につくってもらった悪いわ」
「あ、あのシャワー浴びてきますね……」
そそくさと私は下着は着替えたが洋服には淫らな匂いがついており洗濯篭に洋服を放り込み下着はそのままにし風呂場に入った。シャワーからの熱いお湯で消さないと……。
そんな私の様子を見てふたりは笑みしソファーの沁みを見た。
「気づかないみたいですね」
しっーっと麗奈は言う。
「自信喪失するのはそれだけ相手のことを考えるから。思い詰めるから沙耶香は」
「天使さんなにしたんでしょう」
「さあ、日が落ちるくらいまでしてたからかなりえっちしたのかな」
実はふたりは沙耶香を元気づけるために天使に仲介を頼んだ。社内の人間なら余計な悶着を起こしかねないが外部の人間なら頼めいざこざは少ないはずだった。
麗奈は思う。
沙耶香に惚れないといいけど

No.45 17/12/15 08:47
作家 

そんなふたりの気持ちを知らずに私はとりあえずもと通りだった。
相変わらずフィットネスクラブでは舞先生とは微妙な距離感だが互いに傷ついてるような悲壮感はなくふつうだった。
ある日の帰り際に冴木流菜を見かけこの前のことを彼女に詫びた。
「冴木さんこの前はすみませんでした」
頭を垂れる私に彼女は包容力あるらしいあたたかい笑みをした。
「いえ、こちらもどうかしてましたわ。沙耶香さんは女装ですから複雑な思いもあるでしょう」
いろいろと複雑な人間関係で毎日悩んでるなんて言えたものではない。居心地のいい三角関係はいつかはなくなるかもしれない。苦笑しながら私は彼女を今度はお茶に誘った。
「よかったら今度私とお茶してくれません」
「沙耶香さんからのお誘い?嬉しいわ」
「そうですか」
「いろいろ女装の方の生活も聞きたいし」
ゆるやかな髪を靡かせ香水や汗止め、シャワーの後の匂いが人妻特有のフェロモンに交ざり鼻腔に触れる。
「そんなたいした話ではないですよ」
笑ってごまかす。
「性体験なども聞きたいですわ」
そっと耳打ちされブラウス越しの巨乳と表現してかまわない胸元が肩や胸に触れた。そこへスマホが鳴りメールを見て少し驚いた。
『週末金曜日夜に女装SMクラブ“ヴィーナ”へ来し。神無月舞』
「どうかしました?」
いえと慌てバッグにしまい彼女に手を振った。
「また会いましょう」
「ええ」
私が背を向け去るなか流菜が妖しく微笑んだことを知らない。
また会いましょうか。
彼女はサングラスをかけそのままクルマで走り去った。
そして週末金曜日の双星出版社。
「早紀おわった?」
「来月下旬には沙耶香さんの撮影入りました。水着ですが美如月さんが海で撮影したいんですって」
「五月下旬か。海開きがあるわけじゃないからまあよくない?」
ええと早紀は頷くが美如月は後輩なのに彼女の言うことは聞かない。少々懸念があった。
「それより今日は沙耶香に悪いけど飲みにいきましょう」
「え、あ、すみません。急用がありまして」
「急用?なに」
「し、取材です。だから失礼します。お疲れさまでした」
なんなの?と思う麗奈だがデスクでは美如月がまだ仕事をしていた。
沙耶香がつぶれないと思うけど今回は私は現場にはいないかも。
何かが目まぐるしく動いていた。

No.46 17/12/15 13:29
作家 

あれ、いない。
週末土曜日なのにめずらしいというかほぼ初めて部屋に明かりがついていないことに麗奈は気づく。
「沙耶香」
明かりを点け呼びかけるがいない。テーブルにある書き置きを見たのと同時にメールが来た。
“申し訳ないですが今夜は取材に行きます。深夜か朝には帰りますので火の元と戸締まりには注意して休んでください。沙耶香”
“P.S 書き置きにも同じ文面があるかと思いますが見てますか?”
「見てるわよ。取材?」
なんの取材だろうとわずかにひっかかる。だけど以前のように“EYE”があるわけでなく家庭教師ではないのは明らか。着替えするのももどかしく冷蔵庫からビールを出しグラスに注ぎ喉を潤す。
取材。
なにかひっかかりをおぼえた。以前にもめずらしく朝帰りしたことがあった。
口を突いてつい出た。
「浮気かしら。まさか」
まさかと思いながらジェンダーアイの三姉妹はいないし舞先生との性行為は失敗に終わった。他に相手がいるだろうか。ビールの苦い味が舌に残った。
そのほぼ同じ頃の駅前に沙耶香がいたのを早紀は見つけた。
「沙耶香さん」
「早紀さん。早紀まで来ることないのに」
呼んだのは私自身だったが土曜の夜の駅前で彼女を見ると肯定否定どちらの感情もあった。
早紀は笑みした。
「私も社長から呼び出されたんですよ。メールで」
早紀のスマホにも同じ文面があり神無月社長の思惑はわからない。
「行きますか?」
「その前に早紀さんがウチで食事をしたツケもあるよね。一時間くらいならかまわないけど」
「大胆ですね。沙耶香さんは時々すごいです」
約束を反故にすることが嫌なだけが言ってることはたしかにそうかもと否定はできない。
早紀は少し考えて私の手を引き駅前トイレの奥の個室に誘いキスを求めた。
「感じさせてください。短い時間でも」
「長くさせると社長が待ってるものね」
「社長はいまはどうでもいいです」
彼女は可愛らしい表情をし唇を交わし舌を絡ませた。
「んぅ……」
「なあに欲求不満?」
「……そうですよぉ。隣に越してきたのにあたしを相手してくれませんから」
スーツを脱ぎながら土曜の仕事で疲れがあるはずなのに肩を掴み離さないくらいの愛情があった。
「……私が作家見習いの仕事もらっちゃったから」
「愛してください」

No.47 17/12/16 05:09
作家 

なんで社長のところに行くんですか?
早紀は沙耶香をトイレの個室で抱きながら聞くと意外な答えが返ってきた。
「女王様になるなんて私の器じゃないから断りにいくの」
「てっきり気持ちが切り替わったと思ったのに」
「そんな簡単に人の気持ちは変わらない。女王様気分は麗奈や早紀だけで充分」
プレイの際は呼び捨てになり彼女は嬉しい。そのままスカートをたくし上げると花の刺繍のショーツが純白のストッキングに包まれ男性器の陰が見えた。
「沙耶香さんのオチ×チ×さん」
「しっ聞こえる」
もうと言いながら早紀はストッキングの感触から膨らみを確かめ上へ下へと擦り頬をあて吐息した。
「ギンギンあたしや麗奈をほったらかしにした悪い子」
「どこに話しかけてるのよ」
「ハイ、こんばんはしましょうね」
時間を気にしてか早紀は甘えながらストッキングを下ろしショーツの膨らみにある男根に挨拶し布地から甘噛みをし濡らした。
「ああ……ン」
「座ってください」
私は彼女にうながされるまま便座に座り早紀がちろちろとショーツの上から湿らせた。
だけどと早紀はフェラをしながら声をかける。
「“EYE”がなくなったから元気ないですか」
「うん。それに私みたいなのが直接買えるお店は少ないでしょう」
「ショッピングモール“チェリー”があるじゃないですか」
“チェリー”はこの街にある大型ショッピングモール、ルイと何度か付き合った大型店だが大型店のランジェリーショップは人目があるから気にしやすい。
「ここはチェリーではないですけど。あらためてこんばんは」
「私の……に話しかけないで」
もとスケバンな早紀はさながら若い保母さんのように話しかけてはぺニスに話しかける。
クスクスとしながら早紀はショーツの脇からぺニスを出すが出した後の下腹部に愛撫した。
「花の刺繍の下着から生えたオチ×チ×。ンぅ」
「ちょ……お腹」
「ちゃんと愛してあげますから。あたしにも」
彼女はスーツを脱いでお洒落なブラジャーを見せ私の手を招く。
けっして大きい胸ではないが人肌のあたたかさが伝わる。とてももとスケバンとは思えない。
「ンぅ……」
早紀は顔を下腹部まで持ってきて愛撫しにくい肉棒とお腹の間を舌で這わした。
「ビンビンなのが顔に伝わる。沙耶香女王様」
「言わないで」
淫靡だった。

No.48 17/12/17 05:11
作家 

「大きくなってません?」
「勃ったらなるの」
ちがうと言ったら早紀は言う。
「ちがいます。前より大きい感じがします」
ちろちろとカリを愛撫し上目遣いに見つめ私にはわからないことを言う。
「ほんの少し大きいんです。それに気づいてるか知らないけど沙耶香さんのコレ膣内(なか)ですんごい大きくなるんです」
すんごいという表現によほど性的快感を与えられたらしいが男性の私にはわからない。プレイの時は無我夢中だし。
「そうなの」
「乳首とオチ×チ×のキスですよ」
「言わないで」
個室奥のトイレといえど駅の中ましてや金曜の夜時おり女性の声がしては消える。
「ん……」
人肌とはちがう感触の乳首の先端が鈴口に触れカウパー液が乳首を湿らす。
「ほんと立派でちゅね」
「なんで赤ちゃん言葉」
「風俗で働いてた時にこういう風に言うと男のひとは甘えたがるんでちゅよ」
遠回しにマザコンと言われてるみたいで少しムッとしないでもない。
「そういう早紀さんだってムネが大きくなった?」
「沙耶香さんのせいです」
あっさり返され女性は言うことがうまい。
「なら可愛がってあげるから」
あまりトイレでは性行為を長くすることはできない。彼女に便座の向こうにある排水器を抱かせるようにし馬のようにお尻を突き出させた。
「いっぱい愛してください。強く優しく」
「変態」
「変態は沙耶香さん。あたしはあなたの奴隷です」
「そんなこと言ってもモノにならないわ
いつまでも言葉のやり取りをしても時間がなく肉棒の先端を湿った女陰にあてがう。感触を確かめる私に早紀は言う。
「ほんと焦らしてばかりです……」
「焦らしてなんか……」
「ぐっ!?あ……は…はぁ……」
挿入が突然きて早紀は意識が痛みと性的快感なにより身体全体が痛く痺れるなかこの快感を求めていたことに悦びがある。
「早紀さん大丈夫?」
「っ……ああ、はい」
挿入してる側の沙耶香にこの快感が伝わらないのはもどかしくいやらしく淫らに思う。だけど身体全体を使って愛することはでき……。
「っ……あ!あん」
「あまり声を出しちゃダメ……」
「だって……」
「っ……」
きゅっと襞で締め付けることで沙耶香が感じるのが伝わる。ショーツから出た男根はまだ普通の大きさ。それでも膣内がキツく感じる。女装男性の男根。

No.49 17/12/17 07:59
作家 

そっと早紀は剥れた淫豆に手を這わした途端に身体に性的快感がさらに宿る。
「っ……!」
イキそうな感覚が伝わりながら足がひどく痙攣していた。
「早紀さんおイタしちゃダメ」
「っ……んぅ……だって」
「まだ私は挿入(い)れたばかり。くっ」
もちろん“ヴィーナ”に早く行かないとならないが簡単に終わらせることはしたくない。早紀には壁に手をつかせ快感を与えたいのが私の意図だった。
「っ……沙耶香さぁん」
「わがまま言わないの」
早紀の膣内にも去年よりたしかに成長があるようだ。以前は少女のようなキツさがあったが少し成熟し始めたあたたかい温もりがあった。
「うん……」
「沙耶香さん?」
「なんでもないわ」
時間が惜しいのと誤魔化しが重なり肌と肌が触れ弾くような音が密室にちいさく響く。奥へ奥へと突きだし自らのショーツが男性器そのものと擦れ快感が高まる。
「すごっ……い」
「あ…ああん……きてる……」
「早紀さん凄い」
「え……ああ…はあ」
早紀は自らが大人の肉体になってることを自覚はたぶんしていない。そっと湿った陰毛や淫豆に指を這わす。
「っ……や……やん」
「腰を振ってるのに」
沙耶香の吐息や囁きが淫らに耳に伝わり羞恥心や背徳感が早紀を襲う。
「あ……あんぅ……」
「ここも勃ってやらしい」
乳首に触れられ淫豆にもそっと指を這わされ身体全体がやらしく淫らに感じる。けっして行為自体は相手が女の装いをしてる以外はふつうのセックスなのだが快感はそれ以外にある。
異性装の異性に犯されてることで女性に犯されているような感覚が白くなる頭の内で感じる。
「っ……はあ…いや」
「何がいや……んぅ」
「沙耶香さんに……よごされちゃう……」
「よごしてないわ……」
性行為は人間の当たり前の本能なのにそこに異性装があるとただのセックスか変態な行為か物事の判別は不可能になる。
沙耶香は女装者によくあるホルモン注射や去勢は望んでないが身体からは男性の匂いがする。
そういう意味では身体は綺麗。だけど女装という異性装の内にある男性器。それに早紀は犯されている。
「っ……はあ。イキそう。イッちゃいます」
「イク?ならイキましょう……っ!」
瞬間肉棒は狂暴な牡そのものとなり彼女を犯す。白濁とした液が膣内に入り汚れていく。
吐息のなか果てていく。

No.50 17/12/17 11:24
作家 

もう回復してる……?
早紀は沙耶香が結合をゆっくり解いて吐息を整え自分を気遣いながらペーパーで陰部を拭きながらショーツに性器がしまう様を見ながらなんとなくそう見えた。
「なあに」
「いえ、もう回復してます?」
「まさか。全部出し尽くしたわけじゃないし。だけど力は失ってる」
もちろん沙耶香が力を消耗してるのはわかる。吐息や髪は乱れながらも手際よく身を整えてさらに早紀に気を使う。
「大丈夫?」
「……はい」
せめて全部出し尽くすほどの性行為をしてみたいと少し思う。沙耶香はハンカチを彼女に渡した。
「ありますから」
「私なら麗奈に気づかれても叱られるだけだから」
こんな時でも麗奈さん。嫉妬をおぼえてしまいながらもハンカチで汗を拭きトイレの外に誰もいないことを確認し手洗い場で石鹸で淫らな匂いを落とし互いにメイクを直した。沙耶香は眼鏡を外すとやりにくいのか鏡やコンパクトを使いメイクを直していた。
「不便ですね。コンタクトにしたら」
「苦手」
「綺麗な目をしてる」
「そんなことないわ」
姿見に映る沙耶香の瞳はややつり上がりはあるものの嫌味さはないがその瞳に優しさとサディストを秘めている。
そんなことを彼女が考えているとも知らずに私は先を促す。
「早くいくわよ」
「もう……」
ほんの一時間弱の背徳な行為に早紀は余韻をもう少し味わいたかったと思い駅前ビルに出た。タクシーを拾いたいが金曜の夜だから列がある。
「どうします?」
「バスで行こうか」
と私が言った時に背後から声がした。振り向くとメイドの奈々と理沙がいた。
「お迎えにあがりました」
「きゃっ!?」
「失礼しました。先ほどお二人を駅前でお見かけしましたが声をかけづらかったもので」
見られたとふたりして恥じらい思うなか奈々と理沙はリムジンに案内し車を走らせる。
そっと早紀は呟く。
「見られたんでしょうか」
「たぶん」
おそらくトイレでの行為の前後か行為中を知っていながらそれ以上は口に出さないのだろう。
「はあ」
「お疲れですか」
ドライバーを努める理沙の瞳がバックミラーに映りその瞳は軽蔑や蔑視はなくただメイドを努めるだけ。
いえと私は返す。
女王様になるつもりはないのだから平常心を持ち丁寧に断ればいい。
リムジンは一時間ほどで郊外の豪邸に到着した。

No.51 17/12/17 15:26
作家 

白亜の宮殿みたいな豪邸には気品ある彫像や噴水があり初めて来た時と変わらないままありリムジンは玄関前で止まりドアを開けようとすると奈々が開け豪邸内へ招いた。
断るんですかと早紀はちいさく聞いてきた。
「あたり前でしょう。女王様なんてやる理由がないわ」
あえて前を進む奈々に聞こえるようにわざとらしく答えた。
「ですけど」
「なに」
「女王様する沙耶香さんを見たいかな、て」
とある扉の前を通り過ぎた時に以前のショーの時のような人の声が聞こえたがそこには行かないらしい。
招かれたのはティールーム。奈々はお茶やケーキを出した後に姿を消し安堵した。早紀はまだ言っていた。
「女王様したくないんですか」
「去年の撮影でしたし麗奈や早紀さんの前でもできるでしょう」
「んぅ……」
それは嬉しいが早紀は沙耶香は欲が少ないのではと思う。もちろん収入面を気にしてのプライドや相手へのバランスなども男としてはあるだろうがあまりに少ない。
そこへ神無月社長が奈々たち四人のメイドを伴い現れた。早紀はつい緊張が走るが沙耶香は一度目線を合わしたが逸らす素振りもある。
ラクにしなさいと言う神無月社長の言葉の後に私は呼吸をちいさく悟られない程度にしさっそく断る返事をした。
「社長、女王様の件ですが私は向いてないと思い----」
「断るの?沙耶香さんらしくない」
言葉を遮られわずかに躊躇いがあったが私は理由を述べた。
「私が求めるのは女性が性的快感に達する姿をプレイし共感し時に同一化し精神や心を通わす女装セックスです。それに本格的なSMは苦手です」
聞いていた早紀は声に出さずちいさく頷く。ひどい目に遭った……。
しかし神無月社長はさらに魅惑的に誘う。
「本格的なSMなどは慣れればできるわ。沙耶香さんはあなたなりの性の追求をすればいいだけ。だけど今夜のお話はそれではないわ」
それではないという話に私は耳を傾け驚くことを言われた。
「今夜は森村奈々、水谷理沙、紺野彩香そして星野麻由の四人をひとりずつ抱いてほしいわ」
え、と私と早紀が声を出したのは同時ななか神無月社長は奈々に問う。
「今夜の沙耶香さんの性行為は?」
あわわと早紀が慌てるなか奈々は照れなか答えた。
「先ほど二ノ宮早紀さまと一度だけのようです」
言わないでと早紀は羞恥に膝に手を置いた。

No.52 17/12/17 20:33
作家 

早紀が羞恥心にあるなか私の中に困惑が生じた。女装であっても性同一性障害やLGBTでなく性的にはノーマルであり神無月社長の側にいる四人のメイドはみな魅力的である。そんな私の気持ちを察するわけもなく早紀は囁く。
断るんでしょう。私や麗奈さんに悪いとかないんですか。
ないわけないがと迷っていると神無月社長はさらに好条件を重ねる。
「時間の許す限り沙耶香さんの望むシチュエーションやプレイで構わないわ」
早紀と一戦を終えたばかりにも関わらずショーツやストッキングの内で男性器は隆起していた。
わかりましたと承諾した私を早紀は睨むが吐息をついた。
シャワーを浴びさせてくださいと私は神無月社長にお願いし早紀には丁重にもてなしをしてくださいとお願いした。
「あ、あたしもシャワーをお願いします」
早紀は社長の前であるがこのままむざむざと沙耶香を取られないために挙手した。
私たちは奈々の案内により浴場に案内された。男女の区別がないのかあるいは女装者優先か知らないが早紀も入るように薦められた。
私は奈々に質問した。
「混浴ですか」
「ええ、ただし女装の方が優先とされます。このクラブでは」
淡々とした口調には嫌味はないがその瞳はわずかに私を一点に見つめていた。麻由もだが彼女もどういうつもりなのか。
入りましょうと早紀は素早く脱ぎバスタオルで身体を隠し誘う。全裸になり私もバスタオルで身体を隠しながら中に入ると驚いた。
「金持ちの家にあるライオンがいます」
「……なんか平凡な生活から離れそう」
「充分変態なくせになに気にしてるんです」
洗いっこしましょうと早紀は笑みしながら湯を出しバスタオルを鮮やかに取った。
「脱がしましょうか?脱ぎますか」
「脱ぐわ」
バスタオルを取りながらも女言葉だが裸体は男そのままでなんだか妙。だけど彼女は湯を身体にかけソープを手にし手や胸で触れてきた。
「ちょっと……」
「見えなくてもわかるんですね」
「わかるわよ。柔らかくあたたかいし」
背中に乳房が触れながら勃起してしまう。タオルで隠すが早紀は手を侵入させる。
「ダメ。さっきしたでしょう」
「ならこっち向いて言ってください」
やれやれと思い向き合い言うが罠であることに気づかず唇を奪われた。
「だから……ん!?」
「んぅ、目が見えてない沙耶香のおクチ」

No.53 17/12/18 05:16
作家 

唇を離し早紀を離す。
「もうなんでですか」
「なんでもセックスで解決しようとしちゃダメ。そんなんだから早紀のいいところが私、ううんまわりに伝わらないんじゃないかな。会社にも……」
「もう知りません」
早紀もまた私の頑固な性格を知ってるためか無理強いはしないまま身体を洗いそのままライオンの像がある浴場で浮いたり泳いだりじっとしてたりしていた。
私も身体を丁寧に洗いながらも男性器は適度に勃起していた。意思に関係ないから厄介。早紀は私を無視していたが早風呂な私は上がる。
「ちゃんと上がるのよ」
「は〜い」
返事はするもののちょっと声に反発があるようだが脱衣所に持ってきた下着や服の代わりにバスローブが用意され奈々がおり部屋に案内された。
「こちらの部屋であたしたちとおこなうセックスを……お考えください」
そこは多くの官能小説や官能劇画、セクシー写真集やフェチな雑誌などが棚にありもちろん女装雑誌もあった。タンスには下着がクローゼットにはいくつかのコスチュームがあった。
「早紀さんのわがままには」
「わかっております。お答えします」
奈々が背を見え退出するなか女王様候補の要望にはいたれりつくせりらしい。
バスローブは落ち着かないので下着はブラショーツキャミソールの三点セットを選んだが困るのは服。ここで眠るわけではないが上からパジャマを羽織る程度にした。
シチュエーションか。
本棚には中には絶版になったマイナーな本も多くあり目移りした。
暫し考えながらちょっとうとうとしたが冷蔵庫には飲料水もあり食事はメイドたちが用意してくれるともあった。こういう場にいると麗奈を忘れていた。
う〜ん悩む。
クローゼットのなかからあるコスチュームを出して着替えメイドを呼んだ。奈々である。
「お決まりになったようですね」
念のために私は聞いた。
「相手は私から決められるんですか」
ええ、と彼女は恥じらいながら私を見つめたが奈々をはじめの相手に選ぶつもりは残酷だがなかった。
「水谷理沙さんからお願いします」
「……はい」
奈々に案内されたのは学校の教室丸々を復元したような教室。ひとつの机には私と同じようにブレザーの制服を着けた理沙がいた。
お願いしますと彼女は頭を下げ奈々は去っていく。理沙は私を見つめる。
「奈々をはじめに選ばなかったんですね」と。

No.54 17/12/18 05:46
作家 

シチュエーションは「女生徒同士のレズ」ではなく「女装生徒の私をいじめる先輩にあたる理沙が逆に犯される」というもの。
私は机のひとつに席に着いておどおどするなか理沙が声をかける。
「あらまだいたの」
「せ、先輩」
「よく通えるわね。女装しながら女子高に」
「いろいろ事情が……」
「言い訳はいいわ」
彼女は放課後誰もいない教室で唯一私の正体を知り脅しながら愉しんでいるのだったという設定。
「見せて」
隣に座り彼女は私がスカートを両手で捲るさまを見つめる。
「あいかわらずオチ×チ×あるのね沙耶香」
「やだ……」
「一日中勃起してたのかしら」
演技の内に理沙の頬が赤くなるのが見えた。本気で興奮しているらしい。
「だってこれは……」
「どういう事情であれあなたは女の子じゃないのよ。女の子の制服や下着を着て学校にいるなんて。こうしてあげる」
彼女は大胆に両足を広げ純白の下着が見えるのも構わず白いソックスで私の下着の上に足を重ねる。
「変態のくせに勃起は一人前ね」
「んぅ……許してください」
ソックスの爪先や感触が女装校生の下着に包まれた股間を襲う。理沙の足はやや躊躇いや恥じらいがあるようでぎこちない。
「はあ……こんなことされて嬉しいの」
「う、嬉しくなんか。やだ……」
「また大きくなった。はあ……すごい」
理沙の瞳に恍惚感が宿り身体が熱くなってるような感じが見えた。わずかにスカートの下のパンティに淫らな沁みがあった。
「あら今日は我慢するのね」
少し気分が乗ってきたのか理沙は私を教室の角に誘いキスをしてきた。
「んぅ……変態な沙耶香ちゃんの唇を奪っちゃった」
「ああ……」
「嫌がってなんかないわよね?」
理沙の表情は少し変わり新人メイドをいじめる表情のようだ。しかしわずかに本音も見えたよう。
「キスしちゃった、奈々より先に」
「……」
奈々に悪いという気持ちがあるらしいが淫靡な性の世界の彼女はよりのめり込むように求める。パンティの内にある男性器に触れてきた。
「いつも我慢して大変……」
「っ……」
「オトコらしくないわね。沙耶香ちゃん」
パンティの上から艶かしい指で擦られ軽く悶えた。
「ああ……やだ。もう」
「ふん、なにもできないくせに」
なんですって……と私の呟きが合図で立場が変わる。

No.55 17/12/18 07:56
作家 

ち、ちょっとやだ。見えちゃう……沙耶香。
私は彼女を窓に押しつけいきり勃った股間をスカート越しに擦りつけ怒りをあらわした。
「よくもいままで言い様にやってくれたわね」
「な、なによ。悪いのは女装したあなたが……」
「だからなに?正体を偶然知ったからて辱しめをさせられて。わかる?どれだけ傷ついたか」
「さ、叫ぶわよ」
理沙の表情は演技とは思えない困惑さがあり窓に押しつけた姿態を観察した。シチュエーションがこちらの自由というのに懸念があった。
だけどプレイをしてる限りは引き下がれない。囁く私。
「叫ぶつもり本当はないんでしょう?」
「あ、あるわよ」
形のいい瞳が背にいれ私を睨むなか股間をぐりぐりと押しつけて擦る。彼女は甘い声を漏らす。
「っ……ああ……」
「さっきまで虐めてたオチ×チ×なだけよ」
「沙耶香……!」
「私は力を入れてない。振り払うなら払えば」
実際にたいした力は入れてないが彼女は逆らう意思はほとんどない。テストか試しか知らないけど乗りかかった舟から途中足を下ろせない。
んぅ……と彼女は頬に恥じらいの薄紅があった。
「水谷先輩」
「な、なによ」
「私のオチ×チ×に感じてるんですか」
「ち、ちがうわ」
そのわりに抵抗の意思があまりになくそっと髪やうなじ、耳に触れる。本当に嫌なら普通なら逃げる。
「んぅ……はぁ」
「ちょっとスカート上げるわね」
「や……!いや……見えちゃう」
窓の外にはほんの数センチ離れた白い壁しかなくもちろん人はいない。彼女の想像だろうか。
「見えるのは先輩のパンツだけです。憧れの先輩のパンツをみんなに見せてあげて」
「や…!やだ」
「可愛らしく白い太腿、純白なんですね」
「や……勘弁して」
瞳を潤ませながら懇願し足を震わせる。
なにかに見られてる視線があったがわからない。
私は彼女がどう責められたいか考える。プレイに熱くなり自分を見失ってはいけない。
「いや……」
本気の懇願らしい声が正気を保たせる。女性は相反する言葉と性的本能は男性より別らしいからわかりにくい。
「このまま私のぺニスを感じなさい」
「ああ……」
そっと抱きながら甘えるようにしパッドの胸とぺニスの股間そして手をゆっくり肩から胸元へ秘部へと抱いた。
目の前にあるのは白い壁。だけど向こうになにかある?

No.56 17/12/18 09:05
作家 

不意に壁が上か下かわからないが動き見えちゃうの意味が理解した。
鏡……?いや……。マジックミラー……。
AVにあるマジックミラーモノなら鏡の向こうに何も知らない通行人や一般人がいてそれで女優や男優などが興奮を高めていくもの。
何なの?
“わかるわけないわ”
また沙耶香が応えてきた。性行為の最中に最近はよく現れる。意識のなかに彼女は住んでいる。
「なら見えないようにしてあげるけどやられた仕返しはするわ
強引に私は理沙の股の間に膝をいれパンティを食い込ませた。
「ああ……んんぅ!?」
「この向こうに何があるの……」
ハアハアと吐息しながら彼女は知らないと答えた。ならばと次を考えるしかない。
「ちょっといや!」
私は机をひとつ動かしその上に彼女を座らせた。いやと言うわりに一室からは逃げない様子。あくまでプレイの一環なのか。私は冷たく指図する。
「……足を開きなさい」
「……はい」
「ちがうわ。膝を上げるの」
「っ……」
彼女の悔しがるような息の詰まりを感じながら机の下には偶然かあるいは用意されたモノか筆箱にノート、教科書、なぜか生理用品までがあった。
なにこれ?
ふと視線を上げれば理沙は視線が合うとわずかに逸らした。
試しに筆箱からペンを取り顔に近づけた。落書きなどするつもりはない。
「……」
「落書きはしないわ。安心なさい」
「っ……はぁ」
やはりテストか試しのような挙動が見られた。試しにペンで胸元をツンツンと触れると胸元がちいさく揺れた。
「あ……やめ…」
「やめるの?」
出方をうかがうと答えないように誰かから言われてる感じがあった。どちらにせよ最後までやらないといけないらしい。手探りでやる以外ない。
「水谷先輩」
「っ……」
「ん……」
「ん……はあ…」
ほんの数瞬にも満たないキスをしたが逆らう意思はもとよりないようだ。麗奈や早紀でも口で私を罵り変態だのなんだの言うはず。
理沙の表情が少し赤い。キスだけで感じたのではなく視線は少し蕩けているようだった。
「失礼しますね」
「っ……いや」
私は声を無視し純白のパンティの肉唇の膨らみにペンを進ませる。ツーと下着の前面に触れると肉唇の膨らみが露になり彼女の表情が変わる。眉間に皺を寄せ苦悶がちいさくあった。
「あ……ああ…ん」
「感じてる?」

No.57 17/12/18 13:21
作家 

先っぽが尖ったモノに感じているらしい。
ふと思い当たる。先ほど膨らむ股間を押しつけた時に彼女は抵抗を見せなかった。
「あなた先が尖ったモノが好きなの?」
「んぅ……」
「え……と理沙さん」
はい……と答えてくれた。素では答えないルールでもあるのだろうか。わけがわからないままペンで肉唇を責め淫らな沁みがじんわり浮き出てきており女臭が鼻腔をつく。
ふと教室にあるモノがあることに気づき手に取り教壇の上にM字に膝をし座らせた。
「や……沙耶香」
「これで身体検査をしてあげるわ。それに呼び捨てかしら」
「……さん」
「聞こえないわ」
沙耶香さんとようやく答えだが何かステップを踏んでる感覚があるがまだわからない。
手にしたのは教師が黒板に使う差し棒。お誂え向きに置いてあったとしか思えない。つーっと私はブレザーの胸元を差し示し言う。
「胸を見せなさい」
「ああ……はい」
「下着もちゃんと見せること」
「はい……」
特に手足を拘束してないのに従っている。だけど教壇や机の中にはたいしたモノは入ってない。つまりは目の前にあるモノで対応することらしい。彼女は徐々に吐息が荒く興奮が見えた。
「いかがでしょう」
差し棒の先で彼女の胸を触れ形が揺れたり先を弾く程度にし見つめる。
「悪くはないわ理沙さん」
「……」
反応が時おりないのは何かがちがう。手探りだから頭を悩ます。そのまま見えたパンティに差し棒を示すと声が上がる。
「あ……ああ…」
「感じるの?」
「はい……」
瞬間質問を口に出すか否かで迷うなか質問してみた。
「オナニーはいつもどうしてるの?」
「はい……指や」
「指だけ?」
「いえ……」
答えがなく差し棒の先端をぐりぐり肉唇へ押し沁みがさらに際立つ。
「答えなさい」
ルールがわからないだけによけい苛つく自分がいたが神無月社長の思惑がわからないが理沙は喘ぎ答えた。
「指や……ヒールで」
「ヒール?おしゃれね」
はいと答えながら喘ぎが混ざる。だが興奮は高まっているはず。
なにかするたびに何か迷わすようだ。
思いついたまま従った方が後悔がないかもしれない。
「理沙さんこれを使ってオナニーをして」
「え」
間違えた判断かもしれないが彼女に差し棒を渡し時が過ぎるのを待つ。
「んぅ……やります」

No.58 17/12/18 15:31
作家 

これがオッパイ、乳首……陰毛。クリトリス、お、おま○こ……。
彼女は恥じらいながら自らの身体の淫部を声に出しオナニーしていた。
正しくは私が差し棒を渡した際に身体の淫部を声に出すように指示していた。
しかしなぜか私は気持ちが沸々と沸き上がらないようだった。
なぜ?それは“見られている”ことを意識してるからいつものように気持ちがリラックスされ解放された気持ちではないからとなんとなく思う。
カメラの位置さえ見えないし……。
「いいわ理沙さん」
「んぅ……」
いくぶん彼女は性的に感じているものの私と同じで理性にとらわれている感じがあった。
少しばかり感情的に行うべきか……と思いながら理性がゆっくり止めた。
“あなたらしくないわ”
私の内の沙耶香は俯瞰で見てるらしく感情的な行動を止める。やむ無く考えて少し思うままする。
「理沙さん」
私は笑みした。
その直後だった。
とある別室で見ていた神無月社長と三人のメイドは驚きの声をあげた。
「ふたりがいません」
「森村さんよく探しなさい」
モニターを操っていた奈々に神無月社長は命じるが沙耶香と理沙の姿は見えない。
どこに……、と数瞬思った時に奈々が見つけた。
「いました!」
「どこに映しなさい」
いた、と麻由は呟く。
ふたりがいたのは単に鏡もしくは壁と机の間にあるほんのできた通路的なモノ。
沙耶香は理沙にフェラチオをさせていたが鏡にはわずかにしか映らないから盲点だった。
「沙耶香さんたら」
安堵するような気持ちがありながら神無月社長たちはほっとした。麻由だけはちがう瞳でみていた。
理沙はフェラチオをしながら聞く。
「くちゅくちゅ……はあ。なんでこんな真似するんですか……」
「犬みたいに四つん這いさせたこと?」
「ちがいます。はむ……んぅ」
「たんにカメラを意識したくないだけ……と思っただけ」
気づくとはじめは窓側だけ鏡だったが全面四方が鏡だらけになっていた。わずかな死角さえもないのね。
こうなったら覚悟を決めた方がいい。まだ三人相手しないといけないらしいがどこでギブアップするか……。
しかしさいわいに理沙の表情は紅潮がはっきり見えフェラチオさせなおかつ人目につかないことの背徳感はあったよう。額や髪に汗や体液が浮き出ていた。こちらもペースが戻りはじめていた。

No.59 17/12/18 18:32
作家 

私は挿入する前に理沙に聞いた。聞くとプライドが傷つくかもしれないけど。
「私みたいな女装に犯されて恥ずかしくないの」
机をふたつほどくっつけて簡易なベッドに見立て上に乗りこうなれば見たいなら見せてやる以外にない。辱しめがあるのか理沙は答えることを躊躇う素振りが見え差し棒を淫肉の膣内に挿入し刺激した。
「あ、あ…はぁん……」
「答えなさい」
「わ、私は……」
机の上に犬のように四つん這いにされいくつかカメラがあり誰が見てるかもわからないなかいくら男といっても外見は女装の男性に犯されるのは人並みなプライドがあれば許し難いものがあるはずだった。
理沙の答えを待った。彼女は差し棒の刺激のなかようやく口を開いた。舌が赤く湿り唾液が垂れていた。
「わ、私は……この“ヴィーナ”の女王様となる者に従うことが悦び……です。だ、だから沙耶香様がじ、女王様になられるなら……いかような辱しめも願いも受け入れます」
できすぎた答えのように思え絵空事とどこかで私の内は笑っていた。しかしそんな心情を察したのか理沙は丸い形のいいお尻を振り淫らな花弁を見せていた。
「どうか私めにお仕置きをください……」
「くっ……」
軽く唇を噛む思いがしたまだ一人目なのにペースが握られている。
しかし性欲は充分に回復し悶々としたままではこの場は終われない。やむなく机の上に乗り彼女の淫唇に勃った肉棒をあてがう。
「あ、あ……早く……沙耶香様のぺニスを……っ!いたい」
思わず私は掌で白いお尻を叩いていた。一言口に出した。
「喋りすぎ」
「そんなっ……」
「よけいなこと喋りすぎよ。そんなことではメイドや奴隷もつとまらないわ」
何かのスイッチが頭の内に入り彼女を見る目が変わった。
彼女は喋りすぎていたと思う。たぶんそれが気に障ったと感じた。しかもそれは大半が演技やうわべと見抜いたのかもしれない。
「なあに?喋れば私がやさしくすると思った」
「ち、ちがいます」
「何がちがうの。やさしくしてたらただ黙って従えばいいの?そんなのメイドや奴隷の価値さえないわ」
「っ……」
息を詰めるやり取りのなか私は眼鏡の内にある冷徹な瞳を輝かせゆっくり淫唇に挿入していく。理沙は呻く。
「あ……あうう」
「犬みたいに喚かないで」
「っ……沙耶香様」
答えず淫唇の感触を確かめ奥まで入れた。

No.60 17/12/19 05:51
作家 

さ、沙耶香様……。
いざ挿入しようとする直前に彼女は呼びかける。うんざりしながら答えた。
「なに?」
彼女は制服のポケットに隠し持っていた猿轡を私に差し出し言う。
「お気に召しませんでしたらふつつかな私めの口をこれで塞いでください」
猿轡を手にしながら考える。猿轡を持ちながらなぜ黙っていたのか。理沙の瞳は哀願にもあるいは私を査定するようなどちらの色にも取れた。調子が狂う。だけど相手にお願いされたら答えるのもサディスト。あまり道具は使いたくないがやむを得ない。
しかし猿轡をする前にキスのひとつくらいはいいだろう。眼鏡を外し交わした。
「っ……はあはあ。キスがいい……」
「んぅ……喋りすぎ」
ちいさく呼吸し猿轡を彼女にすると呼吸の音だけが教室を模した一室に伝わる。
ふうふう……ふしゅうふしゅう……。
「これで口は聞けないわね」
「ふしゅうふしゅう……ああ……」
唾液が美しい顎から垂れていき机を濡らす。調子が狂っているのは否めない。
私は再び彼女の淫唇に肉棒をあてがうと彼女は悶える。
「っ……んぅぅ」
「じっとなさい。また叩かれたいの」
「っ……ふしゅう…ふしゅう……うう」
彼女自身従っていいものかどうか迷いがあるらしいと感じた。テストか試しをしてる側なのに?
「挿入(い)れるわよ」
「っ……うう」
同意のない性行為を中途半端にしてる感じは否めないが淫唇は湿り淫豆は適度に剥れている。が犯していいのかと躊躇いがあっては払拭の繰り返し。
「挿入(い)れるわ」
ぐっと腰に力を入れながらも四つん這いになった彼女の腰を抱く。
「んぅぅ……はあはあ」
「嫌なの」
聞くと首を横に振りむしろ焦らされている感じがありもどかしい。わずかに目を閉じ考えた。
後へは引けない。
「っ……!?うううう」
気持ちと身体が同調してないまま躊躇いある挿入をしたが手は彼女の身体を離さないようにした。
非情に徹しないと。
「っ……!?う…うう…!?」
彼女の淫唇に挿入し無数の襞が絡みつくと感じた途端自ら腰をゆっくり振りだした。
「じ、じっとしなさい」
「ああ……ふしゅうふしゅう……」
しかし彼女は肉棒の快感を求めるのか額や髪に汗の飛沫を散らしながら呼吸と共に動き出す。
これは……。
肌と肌が触れ合う音が一室にばんぱんと伝わる。

No.61 17/12/19 13:52
作家 

あたたかいそしてやらしい。
里沙の花唇の印象が言葉少ないがそんな感じだった。彼女の喘ぐような呼吸音が室内に伝わり懸命に腰を振っていた。
「んぅ……うう…はあ」
まるで牝犬や牝馬のように喘ぎながら声は出せないまま。途端に膣内の襞は締め付けてきて思わず腰を引こうとすりが肌を彼女はすぐに合わす。
「っ……」
たいして息の合った行為とは言えないが通常の性行為の感覚は肌にあった。ましてや机を簡易なベッドに見立てたので迂闊に動けばふたりもろとも落ちてしまう。
「はあはあ……ふしゅう…ふしゅう……んん」
「なあに」
「んぅ…んぅぅ…」
いったん結合を解きたいらしく従ったが私は驚く。
「きゃっ……!?」
淫部にはカウパー液や愛液が垂れ熱いなか彼女は私を机に倒して馬乗りになった。なんなの!?
しかし彼女は馬乗りになり呼吸を懸命にし挿入しようかどうか迷う苦悶の表情があった。落ち着きをなんとか戻し声に出した。
「挿入(い)れたいの?」
こくこくと小さく顎を動かすさまに納得するが性的興奮と理性が混乱し自分から口を聞けなくしているからコミュニケーションが取りにくい。
これだからSMは。猿轡ひとつで苦手というかやりにくい状況を心のなかで罵る。
「挿入(い)れなさい……」
ペースをこちらのモノにするチャンスがまるでない。そもそも里沙を相手にしたことはないのだから当然だがあと三人控えている。
「ふしゅう……ふしゅう……っ……!」
「無理しないでいいの。私は早紀さんと一回してるからすぐに果てるから」
もともと一、二回程度しか精力はなく稀に長時間や複数回できるがそれは女装という姿で性行為をしてるかららしい。
里沙は猿轡のままさながら馬に乗ったまま腰を揺らし落ちそうになり慌て支える。
「ちょ……あぶない」
「んん……んぅんぅ」
「セックスしたいのはわかるけど机の上はあぶない。椅子の上なら支えられるから」
膣内ではずぶずぶと陰茎を飲み込む感触があるなか里沙に振り回されぱなっし。頷く彼女と再度結合を解きながら椅子の上で再び彼女は私の淫部に腰を落とす。
セックスにスリルを求めてると思ったがそれはちがうらしい。彼女もまた私を手探りで見極めようとしている?
「……さま…んんぅ」
沙耶香さまと言っているらしいが愛液やカウパー液で淫臭を放ち再び膣内に飲み込まれる

No.62 17/12/19 18:45
作家 

これでは犯しているのか犯されているのかわからない。椅子の上ではふたりして転がり落ちそうなのでやむ無く床の上でしようとしたら麻由と綾香がマットを敷いてそのまま姿を消した。
やはりカメラから見てる……。
「………さま…はあはあ」
慌てないでとおそらく何度か結合を重ねながら性的快感は高まっているらしかった。そのまま仰向けになり何度目かの挿入を繰り返す。
「っ……ふしゅう…はあ…」
「無理しないで」
それは私も同じだった。いくら女装の性癖でも勃起は無制限にできない。射精感を感じながらも結合が解かれては少なからず萎えてしまい萎えては勃たせないとならない。理沙は眉間に皺を寄せ私の腰に手をやりずぶずぶと女陰を開かせ挿入していく。息が荒く乳房が制服や下着をはだけ揺れている。
「ああ…はあはあはあ」
彼女の視線は私を一点に見つめていたかと思うと自ら腰を揺らし膣内の襞と共にぐっと肉棒が堅くなった。
「っ……ああ」
「自分からしたかったの」
こくこくと頷きながらも何かを確かめ問うような瞳に見えた。身体が何度目かの結合と萎えては勃起を繰り返したことで身体が熱い。声が漏れた。
「っ……はあっ……」
脱水症状を起こすかもと胸の動悸や脈が身体中で打つように錯覚した。教室を模した一室なのに時計はない。すると理沙は猿轡に封じられた口からとろりとろりと粘液を含む唾液を落とし私の口に滴らせた。
「あ……ん」
「う、うん?」
「もう少しちょうだい……」
頷き彼女は馬乗りのまま唾液を与えてくれた。唾液でもわずかに喉が潤い身体が安心したと思った時に下半身の熱さを感じてしまう。
「っ……イク……」
汗や体液で上半身は制服やブラジャーを濡らしたようになり身体の上と下で熱が逆転したようだ。ほとんど肉棒にしか熱がいかない。男性器から熱を放出しない限りは身体は再び脱水症状を伴う。
「いい?イッていい」
「う…ううん!!」
「もうダメっ!イッちゃう……」
瞬間マットの上でふたりの身体は痙攣しながら果てていく。身体中の毛細血管が開いたようになり私は睾丸からの射精感に堪えきれず背を両の手で踏ん張り理沙は天井を見ながら猿轡の口のなか呼吸が喘ぐようだった。
若い膣内には白濁とした精液が彼女の身体の内に脈打つままあった。
互いに吐息をしどれだけの時間が過ぎたかわからなかった。

No.63 17/12/19 20:25
作家 

なんとも中途半端な性行為と我ながら思う。
理沙はそんな思いを知らずにどこからかメイド服を出し着替え一礼をし退出しようとするのを呼び止めた。
「沙耶香様何か」
私は机の下に大学ノートが一冊あることを見つけペンを走らせ一枚破り内容を見せた。内容は次の相手との性行為だった。頭を下げる理沙。
「配慮します」
「待って、あなたは私に何を伝えたかったの」
退出しようとする彼女は振り返り見つめ答えた。
「沙耶香様は奈々をどう思っていますか」
「奈々さん?理沙さんの側にいる彼女のこと」
躊躇っていると彼女はメイド森村奈々の胸の内を伝えた。
「奈々はあなた様をお慕いしてます。だけど沙耶香様は一向に屋敷をたずねないひどい方です」
去り際の彼女の言葉が彼女からの本心だったようだ。
しばらくは待つように指示されたが制服姿で軽く仮眠した。たいした射精ではなかったが体力の消耗が著しい。眠りについた……。
沙耶香様起きてください。
目の前にいたのは次に指名した紺野綾香。いくぶん大人ぽさがルイに似てなくもない。
案内されたのはOLのオフィスを模した一室。OLの制服と下着に着替えるように命じられた。オーソドックスな制服だが下着は明らかにランジェリーと呼ばれるタイプに近く色は上下ピンク、ストッキングは黒。
「シャワーは?」
「申し訳ありませんが私共の相手が終わるまで我慢してください」
彼女は躊躇いなく側で同じように着替えながら冷たく伝えた。
ブラジャーやショーツは慣れた手でつけストッキングは丸めてから爪先から通す。制服は上からつけスカートはキツいかなと思ったら意外にぴったりな感じ。すでに着替え終えた綾香が言う。
「少しメイクを直します」
「ん……」
化粧品の匂いが鼻をつき替えたばかりのショーツの内で勃起は再び始まっていた。綾香の大人の女性らしいフェロモンと化粧品の匂いが重なる。メイクを終えた彼女は言う。
「私から責めてよろしいんでしょうか」
「希望は理沙さんに渡して見たのでしょう。嫌がることを神無月社長やあなたたちがしないことを信じるだけよ」
口ではそういうが実際は強がりもあった。性的興奮と素の自分との間に埋められないギャップがあった。
綾香は言う。
「理沙が失礼しましたことを主に代わり謝ります」
ほんの少し気持ちが一言で軽くなった感じがした。

No.64 17/12/20 06:46
作家 

水越さん終わった?
綾香はしばらくしてから声をかけた。私は手や肩を震えさせ答えた。
「ま、まだです」
「あら感じてるのかしら。ここは」
椅子に座る私を背後から抱きながら先輩OLに扮した彼女はタイトスカートをゆっくり上げ椅子を引くと共に外に晒した。そこにはショーツとストッキングに包まれた隆起したペニスがローターと共に振動していた。ショーツの表面はじんわり湿っていた。
綾香は妖しく笑みした。
「こっちが気になって仕事ができなかったのね」
「ああ、許して」
「男性であることを黙ってあげている私にそんな風に口を聞くなんて」
前回のプレイ同様に『女装した私を綾香は秘密にしながら彼女は私を虐めるが逆転していく』パターンだが私は先ほどの失敗を踏まえローターの装着をお願いした。
彼女はストッキング越しに長い指で触れカウパー液を確かめる。
「もう濡れてやらしい」
実際彼女が再びこの一室に現れるまでしばらく私は放置されてローターはリモコンでストッキングとショーツのクロッチにあたる睾丸で振動していた。
「ああ、許してください綾香先輩……」
「いつも誰があなたのそのオチ×チ×から性欲を満足させてるの」
「あ、綾香先輩です」
「わかってるじゃない」
彼女がここSMクラブ“ヴィーナ”で女王様をしてるだけあり貫禄や魅力があった。
「も、もう帰っていいですか」
「書類もできてないのに」
「か、身体が……」
綾香の瞳はややつり目でちゃんと私を下に見ており淫部をわずかに頬を赤く染めていた。彼女は私に命令した。
「ならオナニーをしなさい。そしたら帰してあげる」
「ひ、ひどい」
「なら正体を会社にバラすわ」
ストッキングとショーツに指を触れカウパー液の匂いが沁みと共にショーツを濡らし吐息がこぼれる。当然私は本当のマゾではなくあくまで女性としての快感を同一視や共感することで性的に自分を高めていく。
ただ虐めるだけのサディストではいけないのが内にある信条であり女性とどこまで感覚や気持ちを共有できるかである。
「ごらんください綾香先輩……」
「綾香様」
さすがに女王様をしてるだけあり声や表情に威圧感がある。ただし綾香もまた女装ではなくれっきとした女性である。呟くように答えた。
「あ、綾香様……」
「本当水越さんいえ沙耶香さんは可愛いわ」

No.65 17/12/20 12:59
作家 

ローターの振動をショーツの生地越しに感じながらイッていいのだろうか。
綾香の瞳は私を下に見ながらも熱く蕩けそうな感じが伝わる。
「んぅ…はあ…はあ…」
「感じる?」
「え、ええ」
綾香は呟く。
「変態ね。だけどイッてはダメよ」
適度に挑発しながらイッてはいけないことに安堵した。まだ綾香の後に二人控えているから。
「ああ……」
綾香からは女性らしい甘く興奮した声がこぼれている。私はちらっと見つめた。
「綾香様」
「あ、はい」
「あら様付けな先輩なのに途端に可愛いらしくなったわね」
むっとした表情を見せ反発して見せるのは女王様を演じてるだけある。
「イカない程度にオナニーしなさい」
「……はい」
ローターの振動がランダムになり〈強〉〈中〉〈弱〉が襲う。リモコンを持ってるのは綾香だろう。睾丸にあるローターは刺激を与えては弱まるの繰り返し。
「っ……!」
「イッてはダメよ」
吐息し牽制しないと駆け引きの後に立場を逆転しないとならない。だけど相手は仮にも女王様経験者。どうしよう。
「イッたら……お仕置きですか」
甘えるような上目遣いで問う。身体は熱くなってカウパー液は亀頭を湿らす。彼女は少し驚きながら答える。
「え、ええ……」
戸惑いがあるのは奴隷の立場の私がそんなこと言うのは経験にないからだろうか。そっと椅子から立ち上がり甘えてみせた。
「綾香様……」
「座ってなさい」
毅然とした姿勢を示すのは女王様らしく共感したが逆らい反発しないと逆転はない。
「……はい。だけど綾香様が興味あるのは私?それともコレ?」
ローターの振動で揺れる隆々とした肉棒を示すと頬が真っ赤に見えるくらい紅に染めた。
「っ……な、なによ」
「どちらですか?もう下着のなかで私のオチ×チ×暴れそうです」
「っ……んぅ」
彼女は制服OLのまま少し太腿を閉じるように戸惑いをみせた。少しチャンスが来たように感じそれに従う。
「触ってみてもいいのですよ」
「あ……」
そっと彼女はぺニスに触れるために上体を屈めないといけない。女王様としてではなく女性としての面を見せはじめていた。
どうぞ、お触りください。
まだ彼女が女王様なのでへりくだりながらも機会をうかがう。里沙とのプレイの時は掴めなかったペースが見えてきた。
綾香の表情は興奮を抑制している

No.66 17/12/20 15:01
作家 

触れてはいいけどイカしてはいけませんから。
ハッと私の言葉に綾香は気づく。まんまと術中に嵌まったことに。
「綾香様触りたいですか」
「沙耶香さん。あなた」
ぐっと彼女は袋小路に嵌まらせたことに気づく悔しさと堪えがあった。だが触れても相手をイカしてはならないのは互いにぎりぎり限界の境界線なのだ。再び私は立ち上がる。
「このまま綾香さんの身体でイクこともできますがそれでは神無月社長は納得しないでしょう」
「それは……」
「どうなの。はっきり答えないならあなたに触れることなく一回イクけど以降の行為ができるかわからないわ」
これは賭けだった。駒は私自身と綾香。もちろん早めに行為を終えるつもりはないが目の前の異性に触れられないのは避けたい。
“よくやるわね”
私の内の沙耶香が浮かんでは消える。
綾香の瞳にはっきりと動揺の色が浮かぶ。女王様としての主導権がふたりの間に揺れている。彼女たちは私を試している限りは必要最低限射精の体力を保たせるはず。
彼女は思い切った口を開く。
「私が二回沙耶香さんを射精させてその後もできたらいいわ」
確かにSMプレイにおいては必ずしも互いの性交が必要ではない。まだ女王様としての威厳を保つプライドが肌に伝わる。
しかし私はわざとらしく吐息をつく。
「すでに私は早紀さん里沙さんと二回してるわ。さらに二回してあとふたり相手したら計六回。体力の前に意識が落ちる可能性もあるわ。男性の体力と意識は必ずしも合わない」
「……」
「意識が落ちた私の回復を待つ手はあるかもだけど私にもプライベートやお仕事があるわ。支障が出るのは避けたい」
取り引きだった。先ほど駒に喩えたがほんと盤上に立っている気持ちや興奮、緊張が性的快感と共に襲い支配する。彼女にこれ以上ローターのスイッチを押される前に勝負に出た。
「悪い話ではないでしょう。互いに無益な争いは避けない?」
勝負に出ると同時に女王様主導権争いを放棄すれば選択権は数えるほどもない。
「っ……沙耶香さん」
「抱かれる気持ちはついた?」
「……はい。従います」
彼女が手の内にあるローターのリモコンを示したことに内心安堵した。一方でヒステリーをされローターでイカされてたら勝負自体は負け。だけど綾香が神無月社長から叱りをくらう可能性もあった。
SMは主導権を握るまでも難しい。

No.67 17/12/21 05:45
作家 

脱ぎなさい。
綾香の制服の下にあったのは豹柄の下着。
「その下着は趣味?」
「ええ、ちなみに私は神無月様に見初められるまでレースクィーンでした」
「喋りすぎ。だけどコレに触れていいわ」
ところがこれが失敗だった。男性器の敏感さを失念していた。
綾香の指が触れた時にびくんびくんと脈打ち射精した。
「あ……」
「気にしないでいいわ。私自身の体力のなさよ」
言い訳に過ぎないが彼女を悪いと責めるのは個人的感情によることでしかなく信念に反する。
しかし綾香は興奮してるのか膝まずき熱いが萎えたぺニスを撫でる。
「触っていいですか」
「いいけど痛くしないで」
はいと彼女は驚くくらいに素直だがSの女王様を演じてるM気質なのだ。ならば好きなようにさせ淫らにさせてあげるのが温情だった。
「自分の身体を弄りながらオナニーしなさい」
「はい。あの……オッパイを」
「そうよ」
蕩けるような瞳から少しアイコンタクトされた感じがした。なんだろう?淫語だろうか。少し考えてから口に出してみた。
「私のコレはなにかしら?」
ショーツに包まれた男性器を示す。頬が赤い彼女はゆっくり呟く。
「お……オチ×…チ×……」
途端に羞恥心から頬が真っ赤になり足を内股にし床に座ってしまった。見た目が強気なだけにギャップがあり麗奈に似た面影を重ねる。
麗奈、彼女はいまどうしてるのか。ふと思い出すが目の前のプレイに集中しなくてはいけない。
「もう一回言ってみなさい」
「お、オチ×チ×」
「ならあなたの胸にあるのは」
「お、オッパイ。はしたないオッパイです」
淫語を発するたびに彼女は抵抗をなくしていく。マゾとはこういうものかと実感する。
言葉で責め自ら淫語を口にし内股を閉じるくらいの辱しめ。
「立って足を広げなさい。オチ×チ×は弄っていいから」
音もなくゆっくり立ち上がり太腿が露になる。掌は私の淫部に添えゆっくり撫でる。
「んぅ……」
「ああ……」
「クロッチを見せて」
ゆっくり腰を前に持ってきて沁みが下着に見えていた。しかし私は彼女を優先させた。
「オチ×チ×を勃たせて」
勃起すればするほど気力や体力を失うがプレイに集中することで自分を保つしかない。
しゅっしゅっくちゅくちゅと彼女は興奮を抑え気をつけ触れていた。

No.68 17/12/21 12:34
作家 

ぴちゃぴちゃくちゅくちゅじゅるじゅる……。
従順になった綾香は時折上目遣いに私を見つめる。喋りすぎと言われたことを気にしてる節が見られた。
気持ちいい反面難しい。責めることではなく接し方。考えて指示を出す。淫欲に溺れてはいけないと理性が訴える。
「足を開きながら綾香さんあなたは自分がしてることされてることを口に出しなさい」
はいとフェラチオの息継ぎの合間に返事し太腿を開かせ私の爪先が豹柄下着の淫部に触れる。
「んぅ……沙耶香様の足が……く、クリトリスを…」
「はっきり言いなさい」
「クリトリスを……し、刺激しています。あ…はぁはぁ」
爪先にじわりと湿る感覚は伝わるなかこちょこちょと軽く弄る。吐息が彼女から漏れる。
「あ……いや…」
「足ではいや?」
豹柄のブラジャーに包まれた胸に触れ人肌の体温を感じる。
「い、いえ……」
「イカさない程度にオチ×チ×に奉仕しなさい。あなたのおま×こは後で見せてもらうわ」
かあっと頬が赤くなり淫語に反応しながらフェラチオを続ける。
「ん、ん、沙耶香様のオ×ン×ン……おいしい……。あン、おま×こが爪先が……」
「下着が湿ってきたわね」
「ああ……ハイ」
びくんびくんとフェラチオされた肉棒がさらに反応し射精したがってるのがわかりあまりフェラチオされると再び射精してしまう恐れがある。吐息し言う。
「いいわ。今度は私がするわ」
「ああ……そんな」
「このオ×ン×ンは誰のモノ?」
彼女は俯き羞恥心のなか答えた。
「さ、沙耶香様のモノです」
彼女をオフィスの机に上げて仰向けにさせ豹柄のパンティの上から淫唇を弄ると桃色の声を発した。
「あ……ああン」
「聞いていい?」
「ああ……ハイ」
「ここではあなたが女王様をつとめているのよね」
M気質な女性が女王様を演じるのはどんな気持ちなのか好奇心があった。
「女王様はどんな気分かしら」
「……んぅ」
「答えられないなら構わないけど」
「も、もっと責めてくれたらお答えします……お願いします」
指では不十分なのだろうか。自分の手元には先ほどまで責めていたローターがありスイッチを〈弱〉にし下着の内から浮き出た淫唇にあてがう。
「んぅ……ああ!」
「気持ちいい?」
ハイ……と吐息と共に返事があり胸がちいさく揺れていた。

No.69 17/12/22 05:43
作家 

責めるのは気持ちいいですが責められ虐められる方が気持ちいいです。
ローターと指、舌で責められた綾香は腰を上下へ動かし胸が揺れるなかそう告白した。顔は見えないが羞恥心をあらわすように淫唇はパンティのクロッチや生地を湿らせていた。
「あ、あ……んん」
「気持ちいい?」
「指を……」
「指がいいのね」
コクりと頷く顎が見え愛液を生み出す淫唇へ指を這わす。まるで赤貝のようで性欲をそそり口をつけると悶える彼女。
「あ…!はぁはぁん」
「女王様より責められた方がそんなにいい?」
「はぁ、はあ……ハイ」
「だけどまえにステージを見たけど女王様のあなたは素敵……」
「そんな……あ、ありがとう…ございます」
淫唇に口をつけ指と共にに弄りながらお尻に指を這わすと腰を引いた。
「あ、あ……あ」
「なあに。はっきり答えて」
綾香は外見の強気なのと裏腹にはっきりしないところがある。本質だろうか?
彼女は自分の指を顔に近づけ羞じらうなか答えた。
「お、お尻は……」
「お尻はなあに」
「お尻はまだ……誰にも触らせてないのです」
「お尻は処女なのね」
ハイと彼女は頷きながらも瞳には興奮と怯えがあり考えた。
「いいわ。責めないわ。痔にでもなったたらいけないし」
「ああ、あの沙耶香様」
「なにかしら」
彼女はもじもじとしながら大人びた外見に似合わないことを口に出し始めた。
「わ、私の……おま○こ……右が……右の陰唇が少し大きいようですが。へんではないですか」
ちらっと彼女の顔と陰唇を見比べてしまい羞じらうのはわかるけど私は女性ではないし意見を求められても困ると思いながら答える。
「へんじゃないわ」
「だけど……」
麗奈や早紀とは違う形で彼女が羞じらいを覚えるタイプとはわかり喩えテストであっても答えないよりはマシだろう。我ながら単純かつ馬鹿。
私は机に仰向けになる彼女を起き上がらせショーツの右側から出した私の肉棒を見せる。
「見なさい」
「ああ……立派」
「ちがうわ。よく見なさい、私のオチ×チ×は下着の右から出す癖がついて左に少し曲がってるの。もしかしたらちいさい頃からかもしれない」
彼女は何を言われているかはっきりしない表情だが比較的なんでもはっきり口にするタイプと察する。
「いい?人間の性器にへんなところはないわ。自信持って」

No.70 17/12/23 06:23
作家 

綾香さんこれを見て。
私は制服姿でなおかつ中身はブラジャーとショーツそして下着の中からはぺニスを出した歪な姿。
「見た目はどんなに女性を装っても男性器があるわ。変なのは私」
無意識の内に女性を装うという表現が出ながらも歪ということを認識してるかもしれない。
しかし蕩ける瞳で彼女は呟く。
「美しいです……どうかこの淫らな私を犯してください」
「変態な私に犯されるのよ?」
構いませんと彼女は机の上で美しい脚を手で掴み広げ肉棒を受け入れようとする。三度も射精したが女装をはじめ生活した頃にくらべたら精力は増したのだろうか。
そっとカウパー液で濡れた肉棒の先端を若い花唇に押しつけ触れるとぬるぬるとあたたかい感触が触れ合う。
「っ……」
「もう四回目だから……すぐにイッたらごめんなさうね」
「っ……ハイ」
ぐっと彼女が肉棒の痛みに堪える表情は女性そのもの。根元まで挿入するまでは堪えないと彼女に失礼に値する。
“早漏なんて思われたら麗奈に悪いものね”
再び私の内の沙耶香が伝える。あたたかい感触に包まれ無数の襞が受け入れながらなんとか根元まで挿入できたよう。吐息がこぼれる。
「はあ……」
けっしてセックスがうまいわけでもないのになぜ神無月社長は私を女王様に仕立てようとするのか疑問がよぎった。綾香は見つめていた。
「ど、どうかなさいましたか?」
「い、いえ動いていいわ」
「ああ……ンン。はい……」
「っ……」
机の上で先輩OLを犯す後輩の女装OLというシチュエーション。そう思うだけで目の前の綾香の肢体と共に頭の内は白くなりながらも頭の内では桃色の妄想の性行為を浮かべる。そこでは私は犯す側犯される側どちらでもある。
肉棒が勃起したなかなくなるか折れるのではと女陰のなか思う。
「っ……」
「沙耶香様キスを……」
「キスなんてもったいない。唾でも飲んでなさい」
腰を揺らしながら唾液を彼女の口内に垂れ滴る。
「ああ……そんな」
きゅっと襞が締め付け女性は感情や気持ちで相手に好意や感情を示しているのだろうか。
迂闊に激しくすれば早くイク危険を伴うが性的煩悩は牝を求める。
女の装いをした自分が女性を犯す。襞に包まれる男性器そのものとショーツの柔らかくランジェリー特有の感触が男性の身体の自分を女性に同化させる。
んん!綾香は悶える。

No.71 17/12/24 05:09
作家 

喘ぎ声を漏らしながら綾香は感じる。
淫肉が包む肉棒は体内で大きくなりお腹を突くようにしながら脳内に淫らな性的快感を痛みと共にもたらす。
「ンン!ああ……!」
「感じる?」
「ああ……ハイ、感じます。さ、沙耶香さまのオチ×チ×!!」
それでも四回も射精を繰り返してるせいか沙耶香に慎重な動きが見られる。できる限り体位を変えては息を整え慎重さがうかがえた。今度は犬のようにお尻を突き出したかと思うと再び肉棒が挿入されては痛みと性的快感が伴い悶える。
「っ……はあはあ…はあ」
「早くイッたらごめんなさいね」
「そんな……」
懸命に相手を思い射精を我慢するだけでも男性には労苦。それでもショーツから出た沙耶香の男根は膣内で膨らんでは刺激を与える。
「ああ……」
「ひとつ聞いていい?」
「ああ……ンン!あ、ハイ……」
綾香は何を質問されるかと胸を揺らしながら脳内にはびりびりと刺激がきて理性を奪う。
「いつもはどんな風にセックスしてるの」
性的快感を伴いながらきたやらしい質問に彼女は桃色の吐息を漏らす。
「ああ……ショーで、ですか!?」
「違うわ、プライベートでよ」
「ぐっ……」
息が詰まるような肉棒のあたたかく堅くも柔らかく不思議な感触が自らの女陰を突く。沙耶香の額や髪には汗の飛沫が浮かんでは室内に散る。
「ああ……」
「答えられないの?」
ぐっと再び女陰を突いたかと思うと腰を離し息を整えるかと思えば飴と鞭を与えられた。
「綾香さん」
「ああ…はあ…はい」
「答えないなら私はここで帰るわ」
「そ、そんな。お許しください」
綾香はイカしてもらえないことに女性として至らないのではと感じた。すでに身体は火照り疼きは止めることはできない。慌て答えた。
「ま、麻由と共に夜を過ごしています……」
「そう麻由さんと」
「満足していただけましたか」
「ええ、代わりにキスしてあげる」
眼鏡を外した沙耶香から汗や体液が移る交わりをしながら唇が触れる。沙耶香は言う。
「イッてはだめよ」
「ああ……はい」
キスの交わしと共に淫唇に肉棒が挿入される。お腹の奥にまで挿入されるような快感に身体中の毛細血管が開いていくようだ。
「あ…はあ……んん」
「はあはあ」
沙耶香の息遣いが荒い。

No.72 17/12/24 06:27
作家 

性的快感が高まるほどに私は限界を身体に感じていた。
フィットネスクラブでは体力はついてきたが一回一回の射精は体力を容赦なく奪う。それでも相手を悦ばしたい気持ちとすぐさま射精してしまいたい理性もある。
「ん……沙耶香様のオチ×チ×オチ×ポオチ×コいいです」
「ぐっ……感じなさいこの変態女」
「ああ……そう。私は変態です!うれしい……」
彼女は自らや他人が発する淫語に感じる性質がありそのたびに汗や体液を飛沫のように散らせ膣内が熱い。
「いつもは麻由さんのぺニスバンドをくわえているのね。綾香さんのオマ×コ……」
きゅっきゅっと淫らな表現と共にに彼女は私の男性器を求め締める。女性の身体は複雑な反面これだけ男性を受け入れられる素晴らしい肉体美。
綾香は悶え答える。
「ああ……はしたない女です!わ、私は……」
「そうよ!変態!女装の私に犯される変態」
「く……ああ」
さすがに男根は五度目の射精を迎えようとするいくら懸命に堪えてもカウパー液や愛液、膣内の熱い性的快感に身体が保てない。
「イクわ……」
“限界じゃない”
再び私の内の沙耶香が伝える。気持ちや身体が限界を訴える。綾香は頷く。
「ああ……はい」
「イク!」
「あ!?……んんぅ」
瞬間的に熱い射精が迸る。綾香は熱い精液を受け止める。ショーツ内の睾丸は膨らんでは縮んでいき吐息が荒い。
ああ……。
綾香は沙耶香の身体を受け止めながら首や肩を抱いていた。
この方がここの女王様になれば……。
そう思うが麻由は。
しばし互いに身体を休めながら綾香は沙耶香を気遣う。
「何か必要なものはございますか」
「せめて飲料水で水分を補給したいわ」
「食べ物は?」
「遠慮するわ」
私は答えながら大学ノートに再び次の希望を記した紙を渡す。一旦退出した綾香は飲料水を持ってきては去った。
早紀との行為は自分からしたこととはいえ後悔すれば彼女を責めることになる。
喉を潤し身体を休めながら残り二回挑まないとならない。机に腕を枕にしそのまま眠りについた。そんな様子をカメラ越しに神無月社長と早紀たちが見ていた。
「もう沙耶香さんたら」
「ここへ来る前にあなたとしたことが負担になったかもね」
社長の側で口を尖らす彼女だが沙耶香はそういう人なのだと思う。
しかし私の出した要望に彼女たちは驚く。

No.73 17/12/24 14:04
作家 

目覚めた時にはすでに要望に出した下着と衣装が目の前にあった。
それはワインレッドのミニのスーツ、ブラウスにはリボンタイなにより黒い薔薇の刺繍が入ったブラジャーとTバックのショーツ。度を私に合わせた黒いフレームの眼鏡。
実はこれは神無月社長が普段身に付けてるという衣装と下着であった。
気づくと側には私とのプレイを終えた理沙と綾香がいた。
「ご用意はこれでよろしいでしょうか」
「ええ、だけど化粧は一度落とさせて。メイクは神無月社長と同じようにしてもらえるの」
ええと彼女たちはうなずく。麻由や奈々がこの場にいないのは私が神無月社長と同じ姿になることを知られたくないから。湯を用意してもらい顔につけた。
「ん……」
時間がすでに何時かわからない。まだ夜なのか夜明けを迎えたのか。自分の体内時計はあてにならない。湯でタオルを濡らし必要最低限だけ身体の隅々まで温めた。シャワーやお風呂に入ると意識が落ちそうになるがタオルで温め綺麗にするなら意識は落ちないし清潔感があった。
ふたりのメイドはその様子を口を開くことなく見つめている。
「シルクの下着……」
見た目の光沢感からなんとなく想像ついていたが神無月社長の下着がシルクだったことに喜びをおぼえた。シルクのランジェリーは数えるくらいしかなく女性下着のバリエーションの豊富さを語る。サテンなどもある。黒い薔薇の刺繍が入ったTバックショーツに足を通す。
はみ出ちゃう……。
前面は刺繍やレースがあり覆われさいわい男性器の竿は隠せるが睾丸からお尻はほぼ丸出し。ストッキングを爪先から身に付けてショーツとお揃いのブラジャーをつける。
「サイズは私に合わせてる?」
ええとふたりのメイドの声が揃う。そのわりにサイズが合わないのでパッドの重ねをほんの数枚外した。
スーツがかかったハンガーを手に取り上着から身に付けてミニのスカートを着ける。そして眼鏡をつけ変える。化粧をまだしてないので中途半端な女装で就寝や起床前後の素の自分が姿見に映る。
“男性でも女性でもない私自身……の本当の姿”
沙耶香はそっと意識の内で囁く。眼鏡を外し理沙たちにメイクをお願いした。
わずかに瞑想した。
どの程度眠ってたかわからないし体力がどう回復したかわからない。
神無月社長の姿で奈々と性行為を行う。モラトリアムねと自嘲した。

No.74 17/12/24 15:14
作家 

神無月社長に似たメイクを施され髪にはリボンはなく下ろしたまま。その方が神無月社長に近い雰囲気になる。
完璧、と私は姿見に映る自らに私はほくそ笑んだがたったひとつあるミスを置かした。鏡台の前にある輪状のアクセサリーを見落としていた。
あ、と理沙が小さく呟いたらしいが綾香に彼女は止められ私は気づかないまま次のプレイルームに案内された。そこは神無月社長のこの邸宅の仕事場であり棚には無数の本が並びいかにも社長が座りそうな木目のいい豪奢な机に椅子。窓にはカーテンが閉じまだ夜の雰囲気を漂わせていた。
綾香は言う。
「ここで奈々をお待ちください」
「沙耶香様、彼女の気持ちは……」
理沙が私的なことを口に出したことを綾香はおやめなさいと咎めた。ふたりは背を見せそっと去っていった。
さてどうプレイすればいいのか。女王様になるつもりはないが気持ちが乗ってしまってることに気づき冷静に抑制するようにつとめた。椅子に座り女性社長はこんな気持ちなのかと考える。
ひとの上に立つのだからよほど気を遣いありとあらゆることに手を伸ばしてはできないことや会社や部下に悪戯に負担を持たせなくなおかつ利益を上げないとならない。取引は口だけでは動くまい。
……私はまんまと神無月社長の掌に乗せられている。
模造し真似た神無月社長の姿でそのことに気づいた。そこへ扉がノックされ開かれた。
「お待たせしました神無月社長……?」
「奈々さんいえ森村さん」
怪訝な表情のメイドの奈々に神無月社長の口調を真似るまではよかったが椅子から立ち上がったのがいけなかった。
「今夜はご苦労様」
「いえ……?あなたは……沙耶香様……?」
気づかれたことに少し動揺し吐息し簡単に騙せないことと悟る。
「なぜ気づいたの」
奈々はわずかに頬を赤く染めながら私の左の足首を示した。
「神無月社長はいつも左足首にアンクレットをおつけになっています。ですが沙耶香様は……」
「迂闊だったわ。あのアクセサリーだったのね」
麻由や理沙がわざと言わなかったとは思わないが神無月社長への人間観察が甘かったと謙虚に思った。そもそも性行為をしたのはほんの一年前のあれきり以来。顔を会わしたのも新年度になっても数えるくらい。
奈々はさらに言う。
「それに髪や顔の雰囲気は沙耶香様そのものですから誤魔化しは通用しません」

No.75 17/12/25 05:13
作家 

そう?だけどあなたは一瞬とはいえ騙された。私が神無月社長に化けたことを……。
「ハイ、申し訳ありません……」
私の囁きに奈々は恥じらう表情を浮かべる。性的興奮がすでにあるのだろうか。四人のメイドの中では比較的普通の少女の面影を残すが。ふと自らが興奮しTバックショーツとストッキングに包まれた男性器が隆起していることに気づく。
「スカートの中を見せなさい」
「はい……」
神無月社長付きのメイドは共通して純白のガーターベルトでスカートは絶対領域ぎりぎりで下着が見え隠れしている。奈々のショーツにはすでに淫肉から沁みがじんわり浮き出ていた。
「もう濡らしていたの」
「ああ…はい、この時を待っていましたから。沙耶香様にはしたない姿をお見せするのを……」
そっと顔をメイドのスカートの内に入らせ嫌われるほどに強引に襲おうかと思ったがそれでは彼女の想いは報われない。
“わかってしまうとやりづらい?”
私の内の沙耶香を無視し美しい白い肌の足を触れながらショーツから薄く見える陰毛に顔ごと触れる。若い女臭が鼻腔を突く。
奈々は声を漏らす。
「ああ……いや」
「いや?私にこうされたかったのでしょう」
「はい……」
「だけど私はいまは神無月社長の姿をしてるのよ」
女装の上にさらに神無月社長に化けているのだ。それでも相手に好意を持てるか疑問だった。だが奈々は言う。
「し、失礼ながらも…申し上げます……」
ショーツの上から若い陰毛やクリトリスに指を這わされながら彼女は甘い喘ぎ声を漏らし答えた。
「さ、沙耶香様は……沙耶香様です……たとえどのようなお姿であろうと。あ、あたしは去年この邸宅の舞台で懸命にお、オナニーをする沙耶香様に……女の装いの男の姿に一目惚れしました。それ以前に媚薬にうなされるあなたの苦しみから悩ましい姿に……」
媚薬に苛まされた時のあの姿を彼女は神無月社長と共に見ていた。あの時の私の意識は半ば朦朧としておりはっきりとおぼえていない。
あの時から……。
私は吐き捨てるように言う。
「男性にも女性にもなれないでき損ない。女性にさえなれない考えの持ち主よ」
「っ……」
否定されたような彼女がどんな表情かわからないままショーツの上からクリトリスを甘噛みし腰が震えた。
女装を受け入れながら一方で受け入れられない矛盾や葛藤は永遠にある……。

No.76 17/12/25 09:04
作家 

脱がすわよ……。
「沙耶香様……恥ずかしい……」
苦悩や葛藤してようが行為の最中は相手の息遣いや体温、淫靡な雰囲気のなか忘れることができる。
いつから彼女は女陰を濡らしていたのだろう。汗や体液が女牝の花唇に混じり毛細血管がひとつひとつ開いているようだ。
ぴちゃぴちゃちゅるちゅる……。舌を這わしていくたびに彼女は悶える。
「ああ……ん。凄い……」
「うふふ感じてる。いけない子……」
「さ、沙耶香様……そんなきたない……」
「きたなくないわ。いい匂い甘い味……少しオシッコの匂いかしら」
「ああ……」
私の髪に触れながら恥じらい頷くように感じた。私は質問した。
「森村奈々さん」
「は、ハイ……」
「あなたはいつもどんなセックスをしてるのかしら」
この質問はすでに三人目。繰り返し聞くことで性的快感を高めているのか聞かずにいられないのかわからない。彼女はどうだろうか……。
恥じらいながら彼女は口を開いた。
「いつもジョン……」
ジョン?と疑問が浮かんだがその疑問はすぐに払拭される。
「誤解なさらないでください。お、お屋敷で飼っている犬です」
彼氏かボーイフレンドと思ったがちがい心の内で失笑した。
「い、犬のジョンに私のはしたないアソコを……沙耶香様がいま……舌を入れているところを慰めてもらってます」
そう、とクールを装いながら舌を懸命に這わしアクメにいたらせようと試みる。それこそお漏らしがしてもいいくらいに。
「っ……あ、ああ…ん」
「イキそう……?」
「はぁ…ン。神無月様の姿をした沙耶香様に責められて……へ、へんです……」
「あなたにはどちらに見えてるのかしら」
じゅるじゅるとわざと音を立てながらお尻を掴み離さないまま若い桃肉に舌をつけ愛液と唾液が混ざり粘り液がさらに舌に絡む。そのたびに腰ががくがくと揺れる。
「あ……い、イキそうです……」
「イキなさい」
「そんな……」
「私に抱かれたいなら恥ずかしさを心や肌で感じて」
サディストの精神が無意識に言葉を発していく。女王様になりたい願望かはわからない。しかし異性の淫唇から女性や母性そのものを感じる自分がいる。
「っ……は……イキそうです」
「イキなさい」
指を音もなく挿入し淫唇の花弁に触れた時だった。ビクン!と彼女は足を痙攣させた。
イッちゃう!!!

No.77 17/12/25 16:19
作家 

イッちゃう!!!
悲鳴に似た叫びと共に私の顔にオシッコに似た愛液が口や鼻を覆い顎や頬にかかった。あまりのことに驚いた。
「お、オシッコ……?」
「ああ……いえ申し訳ありません。こ、これは潮吹き……です……」
麗奈や早紀は時々尿を漏らすくらいに感じていたが奈々の感じ方はまたちがうようで両足をがくがくと痙攣させながらも懸命に堪えていた。よほどアクメだったのか。
ショーツをいささか汚してしまう責め方をしたが彼女の表情や瞳は熱く蕩けていたようだ。
顔にかかった愛液というか尿かわからないが粘った感触も少しありスーツのポケットを探ろうとしていたら奈々は膝をついて頬や顎、耳、耳の裏まで牝犬のように舌を出し舐めていた。
「申し訳ありません沙耶香様……いまはこれでお許しください……」
「あ、あなた……」
「奈々とお呼びください……」
しばし名で呼ぶことを躊躇うのは私の内にはすでに麗奈と早紀少なくともふたりの女性がいるから……。
だけどここまで献身的かつ奉仕の精神を示されたのはショックにも似た衝撃があった。
そっと口にした。
「奈々さん……」
「さんはいりませんが……嬉しい……」
彼女は左右の頬を丹念かつ丁寧に舌で潮吹きした淫らな液体を舐めながら微笑んだようだった。
こんな変態な私なのに。思わず何か感激めいたことを感じ涙がこぼれそうになったが堪えた。
ある程度舌で愛液か尿かわからない液を舐め取った彼女はメイド服からレースのハンカチを出しあらためて拭った。
「あ、ありがとう……」
「沙耶香様なんなりと未熟なあたしにご奉仕させてください」
サディストとはいえ私は本質的に女性を必要以上に汚すことを好まないスタイルなために命令や指示を促されるのは躊躇う。少し呼吸した。
「なんでもできるの」
ハイと彼女の声は涼やかな風のように耳に透き通り伝わる。こういうおとなしい声の持ち主は本質はおとなしいかもしれないが反面別な何かがあるかもしれない。
“疑うなんて失礼”
沙耶香は私に怒ったようだ。
「わかったわ。奉仕してもらおうかしら」
音もなく立ち上がりワインレッドのミニスカートをゆっくり上に上げていく。そこには正面は黒い薔薇の刺繍にレース後ろはTバックに包まれた男性器がある。
何度目かの射精を迎えたにも関わらず奈々や女装の匂いのなか淫らな興奮があった。

No.78 17/12/25 21:32
作家 

淫らな音を立てながら奈々は従順すぎるくらいにショーツとストッキングに包まれた男根を愛撫していた。それでいてけっして自分から脱がそうとしない。まるで飼い犬が待てと言われた躾を守るかのように。
「下着の上からではつまらないでしょう。ほらちゃんと生で味わいなさい」
むしろこちらが焦らされているみたいな気持ちに駆られストッキングを下ろしショーツの脇から天を向く肉棒を出した。射精を繰り返したわりに絶倫なのではないかと思えるほどに力強さがあった。確かめるように奈々は言う。
「よろしいのですか」
頷くと彼女は小さな吐息に興奮を隠してるつもりなのかゆっくりと両の手で肉棒を覆う。そのまましゅっしゅっとゆっくりゆっくり扱き慈しむ。
「っ……」
思わず手コキだけでイキそうなのは射精を繰り返しただけではなく彼女がただひたすら慈愛のような瞳や好意を向けてるのが伝わりTバックショーツの内の睾丸は性的快感として伝わり熱く膨らむ。
焦らされているみたい……。
表情には出さないつもりでも額や指先、爪先にまで快感は伝わる。まるでレズのような快感だった。
「沙耶香様感じてくださいますか……」
「あ、あなたね」
「なにか」
惚けた表情から精神が幼稚や未発達ではなく天然となんとなく察した。わざとじゃないだけむずかしい。吐息を交えて気持ちを整える。
いままで私が付き合った女性のタイプじゃない。
“ぐうの音を上げるなんて”
私の内の沙耶香が呆れる。
「お、おクチでしていいから。だけど射精させてはダメよ」
ハイと彼女は桃色の唇でカウパー液で湿った先端にチュッと口づけをしたかと思うとそのままちろりと舌を出したかと思うと唇の先だけでちゅうと吸う動きをした。思わずがぺニスの先端から力が抜けた。
「ああ……ンン」
「沙耶香様……イッてはいけません……」
「わ、わかってるわよ」
「いたらなくと申し訳ありません」
わざとではないだけに下手に考えて責めすぎると無駄な労力になるのが先に見える。かといって彼女の好きなようにさせてると精根尽き果てる。
純粋な好意なだけにむずかしい。
なんなの女性て。
“またぐうの音?”
沙耶香の声は快楽と苦痛をもたらす。私の内で生まれ育っただけなのに。
……。
「奈々さん」
「はい」
「少し罰を与えるけど構わない」
ひとつの賭けだった。

No.79 17/12/26 05:12
作家 

ぴちゃぴちゃ…ん…ンぅ…はあ…沙耶香様のオ×ン×ン……。
陶酔したかのように奈々は目の前の肉棒をいとおしく愛撫しながら膝を曲げながら潮吹きで愛液にまみれたショーツのなかに手を入れ自慰をしていた。
俗にいわれる顔面騎乗のまま女装の私の肉棒に奉仕しながらなおかつ床に身体をつけ仰向けのまま自慰をさせられているなかさながら人形のように従順だった。常識的感覚がある女性ならプライドを傷つけられ屈辱に思うことを彼女は躊躇いなくおこないあまりに献身的で奉仕していた。
「満足?」
私はできるだけぺニスを射精させないよう自らの手で時に握り彼女に触れさせないようにし問う。
「はい……いつまでもいつまでもしていたいです」
「下着を脱ぎなさい。このままで」
見下されたような姿勢のままでありながら彼女は器用に膝を曲げながら淫汁にまみれたショーツを脱ぎ私はそれを受け取る。ショーツはまるでお漏らしをしたようにべちょべちょとした汁のなかに愛液やクロッチに沁みがあった。女臭が身体に移りそうなくらい。
私はそのまま彼女のショーツを彼女に被せた。
「きゃ……」
「どう?自分が潮吹きした下着を頭につけた感想は」
顔面騎乗だけでなく自分の下着を頭に被せられたのではいくら相手に奉仕したとしても感情に憤りがあると思ったが違った。
「ああ……」
呼吸を漏らしながらも彼女は下着を仮面のようにした内の瞳はとろんと蕩け甘く呟いた。
「奈々はいけない女の子です……。自分の下着をの淫らでえっちな匂いのなか沙耶香様に……ご奉仕します……」
純白のショーツが彼女は頭に被せられたまま肉棒に無心のような表情が混ざりながら舐め始めた。
ちろちろんん……んちゅ…はあ。
何かが自分の中でちいさくも重く崩壊した感じだった。
「沙耶香様」
半ば私は彼女に何かを負けたと感じていたが奈々は言う。
「沙耶香様はご主人様……いえ女王様になって欲しいのです。私どもの……いえこの“ヴィーナ”の……」
女王様……私が?
一瞬崩壊した私の何かは再び一から何かを築こうと気持ちが立ち直る。
「女王様、私が」
はいと彼女は頷く。
ここまで奉仕されて答えないのは人や男あるいは愛された者としては申し訳ない。
ほんの少し自分のなかのサディストの部分がキレたように働く音がした。
後で奈々が語ると瞳に輝きがあったという。

No.80 17/12/26 07:33
作家 

私は何を考えているのだろう。
奉仕される愛されることに慣れてないくらいは理解してるが本心からはたぶんわかっていない。馬鹿な男の姿を女装で偽っているかもしれない。
しかしそんな醒めた思考とは裏腹に神無月社長のスーツとランジェリーを身に付けたまま椅子に座り背を向けた奈々の淫唇を受け入れようと秘部は恐ろしく熱く勃起している。Tバックのショーツは椅子の上でお尻に食い込み睾丸のふたつの玉を分けんばかり。
「ああ……入ります」
奈々の喘ぐ声に正気に戻り左右に結わえた髪が肉棒が挿入される悦びに揺れてるのが見える。しかし彼女からは私の顔が見えない。あるのは自らの淫部で濡らした下着と天井だけ。
っ……。
偶然かたまたまなのか私と奈々の声が肉棒と花唇の挿入の痛みと快感から声や息が止まるのが重なった。
私は言う。
「私の顔を求めても……キスを求めてもいけないから。罰ね」
何が罰かわからないが淫唇はそれに応えるように肉棒をくわえ膣内の襞が熱く包み込むようにしずぶずぶと腰を沈める。
「どれ奈々さんのお胸はいかがかしら」
メイド服の胸元のボタンをようやくいまさら開けてる自分に苦笑する。無駄に思考が働くと責めることさえ忘れる。
「ああ……」
「なに?嫌なの」
「ど、どうぞ。ご覧になり……お、お触りください……」
ちいさくカチンときたモノの正体がなんとなくわかった感じがした。
彼女はたぶんソフトマゾヒスト。
サディストとマゾヒストは相性という点なら性的関係なら噛み合うように合致するだろう。
そっと彼女の毛深い陰毛に手を這わし腰を抱く。
「あ…あん……」
喘ぎ声に反応するかのように根元からぺニスが溶けるのではないかと思えるくらい淫唇は締め付け求める。
「っ……おま×こを触ったわけではないんだから喚かない」
「は、ハイ……ン」
性的関係が合致するからといって相性がいいとは限らない。サディスト同士やマゾヒスト同士では恋愛や性的関係は成り立たない。
だけど私と奈々の場合においてはたぶんだが私が奈々の立場や女性ならいまの私が行う辱しめを受けたいと思うだろう。
私が女性としてなら。
「奈々」
「は、ハイ……なにか」
「あなたはどれくらい耐えられるかしら」
私は彼女を羨み妬み深い意識の底から冷たく嫉妬していた。早紀とは以前に二時間結合してた話を伝えた。

No.81 17/12/26 18:15
作家 

ああ、なんて意地悪に虐めるの……。
自分の潮吹きで濡らしたショーツを頭に被り自らの女臭、一日中履いていたため尿や淫らな愛液、汗などのたまらない匂いが自らを襲う快感に奈々は感じていた。それだけではなく自らの自然なままに生やした陰毛の下にある淫唇はいまかいまかと沙耶香の狂暴に勃起した肉棒をくわえんばかりに幾重もの陰唇を分け裂けるようにしながら挿入しようとしていた。
「っ……あ…」
「ゆっくり挿入して愉しみなさい。一瞬でイカせでもしたら許さないわ」
「そんな……」
ぐぐっとゆっくり腰を下ろしていると汗で湿った陰毛に手を這わされただけでも腰は敏感に感じる。
「ああ……沙耶香様」
「おま×こに触ってもないのになに感じてるの」
「んぅ……はあはあ」
けっして沙耶香の男性器は大きくはないがびくんびくんと脈打ち女陰に挿入(は)いっていく。
「あ、ああ……」
「なあに?変態のくせちまだ挿入(い)れないの」
「ん……」
奈々だってもちろん挿入したいが沙耶香に直接挿入(い)れてもらいたい願望と挿入(い)れるのを焦らされる願望のふたつの願望がある。
沙耶香のセックスによく似ている。
沙耶香は道具などはあまり用いないぶんそのぶん精神的に責めては焦らし相手がぎりぎりまで求めるまではセックスや挿入はしない。
奈々もまた焦らされることに悦びがありいまこの一秒一秒が貴重な時に思えた。そしてそういう意味ではサディストマゾヒストの違いはあってもふたりのセックスへの姿勢はよく似ている。
「はあはあ……んぅ」
そろそろかしら……と思った時に腰を掴まれた途端にすでに愛液や潮吹きで濡らした股間に肉棒の熱く堅い刺激が爪先から脳内にまで痺れる電流のまま襲ってきた。
「じれったい。私を焦らすなんていい度胸ね」
「く!?ぐあ……あああん……っ。は…はあ」
まるで処女を喪った時のような痛みが身体全体に走ったのを感じた。
は、挿入(は)いってる……。沙耶香様……のが……。
顎から唾液が漏れ腰や胸を抱かれながら奈々は白目を剥く寸前でオルガスムスに達したことを感じていた。
話に聞いていた限り沙耶香のセックスは普段は優しいが時折時間がかかると強引に挿入を求める。神無月舞の言葉によると“まだ若いから”らしいがそんなことは関係なかった。
「焦らせばいいってものではないわ」

No.82 17/12/27 05:40
作家 

っ……!?……め…!
いたい!ダメっと言ってるように聞こえ奈々が耳まで真っ赤にしてることに気づきながら私は躊躇いを捨てながら挿入していた。
潮吹きした淫唇の内は意外なくらい母性に満ち溢れ挿入した瞬間にイキそうになりわずかにどぴゅと漏らした。
「っ……ああ」
「イキました……」
「そうよ。イッたの」
まるで身体全体が男性器になったような感覚を全身でおぼえた。熱く身体がどうしようもない。ふとこの感覚が以前にあったことを思い出す。
媚薬!
かつてジェンダーアイに使われ一日中苛まされた媚薬と彼女の身体は似ていたように思う。
「あ……」
「沙耶香様気持ちよくありませんか」
「ち、ちがう。気持ちいいわ」
無数の襞に包まれ彼女の感度がいいのだ。瞬間ぐぐっと自らの肉棒が真っ赤に膨らむのを感じた。
熱い蕩けそう。
名器ではないがそれに匹敵する女陰の持ち主。しかし彼女自体はそれを自覚してなくゆっくり腰を振っていた。
「あ…あん…あ…沙耶香様……」
「ち、ちょっと……」
腰を掴みながら落ち着くように諭すが聞いてないかのように彼女は男根を求める。
「気持ちよく……ん…ああ。ありませんか」
「ちがうわ、気持ちいいけど……またイッちゃうから」
迂闊に陰毛やクリトリスにさえ触れるのを躊躇わせてしまうが天然かつ純真なフェロモンは下半身から私を支配していく。腰を振るうたびに私のぺニスを包むTバッグショーツをきゅっきゅっと擦り女陰と共に快感を高める。
「いくらでもイッてください。私は……ああん」
まただ!どぴゅと搾り取られるように白濁液が塊となって射精した。
「っ……ああ」
このままではとことん精魂尽き果てるまで射精させられる。
“だらしないこと”
私の内の沙耶香が呆れてることにプライドが傷ついた。
「はあはあ奈々さん」
「はい……なにか」
堪らず腰を掴み快感に浸っていたい欲望を抑えながら床でプレイした方がいいとお願いすると再び理沙と綾香がマットを持ってきて理沙は私をチラッと見ただけで去っていく。呼吸を整え私はスーツを脱いで神無月社長の姿を模したランジェリー姿となる。奈々の顔面を覆うショーツを取った。
こうなったらいくところまでいくべき。
「沙耶香様……」
私はTバッグショーツを脱いで彼女に渡し履くように命じ私は彼女の下着を身に付けた。

No.83 17/12/27 08:09
作家 

どうしたの?
別室でモニター越しに見ていた早紀は呟く。その疑問に神無月舞は答えた。
「いけないわね。沙耶香さんは奈々の膣内(なか)で数回イッて消耗してるわ」
「まさか」
神無月舞は先ほどまでの行為をVTRで巻き戻して見せると明らかに沙耶香の腰が跳ね射精をしてる動きがあった。早紀は悔しがる。
「なんなんですか彼女」
「森村奈々、彼女は自らがご主人様や女王様と認める者認めた者には限りなく従順に尽くす性癖の持ち主。何度もここで女王様候補だった男性はたいがい彼女で精根尽き果てたわ」
「そんな人と沙耶香さんとセックスさせてるんですか」
「さながら媚薬みたいなものね」
焦れる早紀だがいまは手出しをしてはいけないと社長の言葉を守り拳を握っていた。彼女は気づかないが同じくモニターを見てる麻由も複雑に瞳を凝らしていた。
奈々で果てるのかしら。
そんなことも知らずに私はできる限り自分のペースを考えていた。真っ白になりそうな頭の内で理性を働かせた。
似たような性癖であるならば共にイクことはできるはずだがあまりに彼女の女陰は純粋すぎる。
無垢なまま男性を受け入れる。それは男性の理想の女性であり性の願望である。
「沙耶香様のお下着……いい匂いがします」
女装の牡の匂いにまみれたTバッグの布を彼女は頬を紅潮させ自慰をしていた。その姿は麗奈や早紀の姿を弄ぶ自分の姿と重なる。
変態と罵るがふと気づく。
“どうするの”
黙ってと私は私の内の沙耶香を黙らせそっと彼女の下着を匂う。汗や体液、愛液の沁みが淫唇の形をつくりフェロモンを漂わし淫夢のなかにいるようだった。
よしと気合いを入れた。女装という性の歪かつ滑稽な姿だが本人はいたって真剣だった。私はマットに彼女を招く。
「沙耶香様……」
「私はまだ女王様ではないしここの女王様になるつもりはないわ」
気持ちをはっきり伝えないもやもやした気持ちを払拭しないといけない。無意識に性欲に駆られてたらしい。
奈々は納得しない表情を浮かべる。
「ですがあたしはあなたを慕っています」
「気持ちは受け取るけど答えるのはこの時だけかもしれない」
そっと慕う彼女の唇を奪った。驚くほどに柔らかくマシュマロを思わせた。女性は柔らかくあたたかい……。
羨望と嫉妬に駆られそうになるが抑えた。騎乗位で彼女の女陰を再び受け入れた。

No.84 17/12/27 17:42
作家 

私が女性ならどう相手に愛されたいか……。
眼鏡を外して奈々を抱くように受け入れ唇を重ね舌をゆっくりゆっくり絡め唾液が粘るくらいにキスをしそのまま彼女の毛深いけど純粋な花唇を受け入れた。
甘い声を奈々は漏らした。
「ん……ああ。き、気持ちいいです……」
意外なほどにすんなり挿入されて花唇を押し退けるというより指でスッと音もなく扉を開いた感じに似るが扉の向こうは女陰の花園。
「す、すごい……ああ」
「動いていいですか?」
「待って。ちゃんと奥まで挿入(い)れて」
淫音が飛沫のようにちいさく弾けるように伝わり根元からいや身体の芯から熱くなった。
少しわかったのは唇を重ねる行為をふつうの女性のように大切にしてるらしい。キスをするたびに女陰はあたたかく異性を迎え快感を与えている。早紀には悪いが彼女は小悪魔な駆け引きはしてないふつうの女性のままの女の子と思う。
「ん……キスしたいならどうぞ。して」
「はい……沙耶香様。んぅ……」
ぐちゅぐちゅと音を奏でながらきゅっきゅっと締め付けるが先ほどみたいに急な射精は以外なくらいない。まるで母の手に包まれている赤子のように肉棒から狂暴性がない……。
奈々は息継ぎのためか唇を離し唾液が唇からこぼれた。
「はあ……」
「気持ちいい?」
「は…はい……。うれしい……」
腰を淫らに揺らしながらも笑みは少女に近い表情に胸が高鳴った。
下手な小細工をしたのが裏目だったと省みながらも性的本能は快感を心から愉しむ。愉悦。
“まだまだね沙耶香”
内にいる沙耶香は私を見つめるように語る。
まだまだ。
「沙耶香様?」
「なんでもないわ。イクのは少し我慢できる?さっき少し射精したことで逆に我慢できるみたいだから」
「ああ、ハイ……。ですけどあまり長くは……」
しないわと微笑みキスを再び交わす。
後になって思うと無意識な女王様教育かテストだったと思うが行為の最中はわからない。
どの程度の時間が過ぎたかわからないがさすがに奈々の膣内は名器に匹敵するほど根元から搾り取られるほどに射精が迸り私は奈々の少女の面影を残す表情に唇を交わしながら果てて意識がわずかに落ちた。
「沙耶香様……。ありがとうございます……」
ハアハアと吐息のなかマットの上で悦びにある異性の声が伝わった。
さすがに身体がつらいが快感が上回る。

No.85 17/12/27 21:22
作家 

意識を失う前に少しアウターセックスをしたが快感を上回りながらも体力はある種の到達点に達し意識も半ば何かを越えたようだった。
沙耶香様……。
うっすら目を開けると奈々の女性らしい表情が覗き込んでいた。
「ああ……ごめんなさい。気を失って」
「お気になさらず」
気づくと神無月社長の姿のままブラウスのボタンやスカートのファスナー果てはショーツやストッキング、髪まで丁寧に整えられていた。
「ここまでする必要はないのに」
「身だしなみは女王様となられる方には大切なことです。覚えておいてください」
では失礼しますと去ろうという彼女を呼び止める。
「何か」
「奈々さんは私がこのクラブの女王様に相応しいと考えている?」
振り向いた彼女は私の側により答えた。
はい、と。
言葉がない。必ずしもセックスは上手な方ではないしサディストでも従来のSMとは違う考え方の持ち主。大学ノートを出して次の相手星野麻由への要望を記し一枚破いた。それを見た彼女は少し驚いた。
「あのこのような方法で麻由さんと……?」
「私は施しをされようがされなくても女王様になるつもりはないから。ただの変態」
「やさしい方ですとだけ申し上げておきます。準備が出来るまでお休みください」
要望を記した紙を丁寧に畳みながら彼女は去っていく。
疲れた、が心地よさもある。頭はぼんやりしてるものの性行為を繰り返してることで身体の芯や指先爪先などが熱い。
神無月社長の扮装を解いて下着姿のまま再び眠りについた。その様子を早紀と神無月社長はモニター越しに見ていた。
「もう限界です」
「だけど沙耶香さんが辞退しない限りはなにも言えないわ」
「社長なにを考えているのです」
物怖じしない早紀は訊ねたが彼女は怜悧な瞳を眼鏡の奥でモニターの沙耶香を見つめた。
しばしして私は目覚め奈々に用意された一室に案内された。
奈々は私の準備が終わるまでじっと待っており終わると一室から去っていく。
これでいい。
私はベッドに入り再び眠りにつくかもしれない意識を感じた。心地いい快感と時がわからないままの“ヴィーナ”の邸宅の一室。
麻由が扉を開け静かな足音とわずかに感じる女性らしいフェロモンの匂いで目覚めた。
「お待たせしました」
「あなたで最後かしら」
女言葉の私の姿は彼女から顔しか見えていない。

No.86 17/12/28 05:46
作家 

どうかしら。
麻由は相変わらず挑発的な瞳を向けその印象は去年の夏の出会いと変わらない。
彼女は言う。
「もう女王様気分かしら。沙耶香様」
「まさか」
ベッドから出ない私に彼女は近づき掛け布団を握り取った瞬間に女性らしいちいさな悲鳴と驚愕、見開かれた瞳に映ったのは私の全裸の姿だった。
「な……なにを」
さいわい部屋の冷暖房は効いているらしくほんの少し肌寒いか逆に暖かすぎると身体が錯覚してる。長いセックスで身体の感覚が麻痺しているようだった。すっと私は彼女の前に全裸をさらけ出した時に笑みがした。
アハ!アハハハ!
笑い声がしたことで私は開き直りながらも少しだけムッとした。
「やっぱりバカにするのね」
「ち、ちがうわ!いえちがいます」
「わかってるわ。あなたが初めて会った時から私を小馬鹿にしてたこと」
ちがいます!
素に近い私的な感情を含んだ感情的な声に私は思わず外に出した男性器と共に縮こまった。
「じ、じゃあなんなのよ」
麻由はその前に私の側によりクローゼットに備えつけられたバスローブを手にし私にかけベッドに座らせ私に謝罪をした。
「たしかに以前に挑発したことはありますがそれは私の個人的な範囲内でしたこと。不愉快とお感じになられていたならこの場で謝罪致します」
「しおらしいわ」
頭を垂れる彼女の意図が全く読めないまま彼女は意外なことを口に出す。
「私はただ……」
「ただ?」
見ると表情が真っ赤になりながら彼女は矢継ぎ早に思いを口に出した。
「わ、私はただ沙耶香様とお友だちになりたいのです!!」
「……ん?あ、あの?意味がいまいち……」
彼女はあらためて事の次第を語った。
彼女もまた媚薬の件で私が苛まされた時にその場にいたりあるいは神無月社長からの言伝てなどで風吹先生との繋がりがあり私がカウンセリングを受けていたことを知っていた。媚薬に私が苦しんでいた際に私の男性としての姿がオタクであると察したらしいが夏の撮影以来ほぼ接点がなかった。機会がおとずれても私が誤解し面と向かい話をすることはなかった。
「沙耶香様はご存じありません。秋葉原のタイガーレディのマユ」
「マユ?タイガー?」
ふと若い頃を思い出す。その昔秋葉原のとあるショップのコスプレイヤーが話題を呼んだことを。虎柄のコスプレをした女性を。
あ、と呟く。

No.87 17/12/28 15:27
作家 

思い出した。
その昔にタイガーレディのコスプレをし世に一斉風靡をしたマユつまり麻由のことを。
その頃の沙耶香はまだ学生であり女装を知り覚えたものの下着女装程度だったがオタクでもあったからそこそこ秋葉原の情報は耳にしてた。
マユ=麻由の年齢はよく知らなかったが虎のコスプレや93センチのバストで当時のマスコミやネットを賑わしていたが沙耶香が社会に出る直前くらいに突如秋葉原から姿を消したという。
「なんで神無月社長のもとにいるんですか!?」
「いろいろ事情があるのよ。メイドとして綾香と共にスカウトされたとだけ言うわ」
答えになってない。
女性はとかく複雑な深い事情があるらしい。麗奈はその典型といえるだろう。早紀もかな。
麻由は悪戯な笑みをする。
「お友だちになってもらえないかな」
「あのですね……」
わけがわからないと呟きかけながらも私の視線は彼女の巨乳の谷間に目がいく。
「えっちね。そんなに見るなんて」
「か、からかわないでください!私のだって見たくせに」
「見せたのは沙耶香さん!いえ沙耶香様!」
埒が開かないので私の方から口を開いた。
「え……とこれは女王様になる試験かテストですよね」
「お答えできません」
「っ……素直に答えないと可愛くないわ」
「可愛いわ」
口の減らない女性。しかも今度はかえすがえすと彼女から聞いてきた。
「なんで裸になってたの?男の姿そのままで」
少し歳上の雰囲気を漂わすところからマニアやオタクの扱いを心得ているというより年下の男性と接してることに慣れた雰囲気があった。
吐息をつく私は答えた。
「麻由さんには下手な小細工は通用しないと思ったから。裸は……私は自分の“男”を意識したりコンプレックスだけど弱点を見せたら後には引けなくなるから」
「そこまでするつもりだったの!?」
素っ頓狂な声を麻由は上げたがクスリと笑う。
「たしかに試験だけどそこまでする必要はないのに。あなたは真面目な人とわかるもの」
「ほめても何もありませんが」
「私は……いえ神無月様は……まだ早いか。不愉快かもしれないけどいまは私を抱いてくれない?」
「別に不愉快では」
いまの彼女の複雑な物言いから何か含みがある感じがした。
「だけどこれでいいの?男のままの私だけど」
顔以外は男性のままの姿。女装ではないのだが。

No.88 17/12/29 05:44
作家 

男の沙耶香さんより女王様としての沙耶香様に抱かれたいです。
無茶ぶりを言う麻由。
「だけど私は本格的なSMは苦手だしなにより麻由さんは聞いた話ではSでしょう?女装の私に責められることに抵抗はないの」
先ほどの奈々では本質的に私と彼女が似ていたために戸惑い抵抗を感じた。ましてや麻由はSつまりはサディストであるからそれこそ同質なはず。セックスが成り立つはずがないと私は意見した。
「さすがは沙耶香さん。性についてもオタクです。ですがそれはマゾヒスト同士のお話し。それに沙耶香さんいえ沙耶香様は男性、私は女性。私はここでマゾとしての快感を得ています。だからお好きに責め抱いてください」
「だけど……」
麻由はぎゅっと私の手を握りまっすぐ見つめる。
「女王様の沙耶香様なら……構いません」
「……ちょっと演技したでしょう?」
「あ、バレました」
あっけらかんとしてるのは彼女本来の性格かもしくは腐女子としてかわからないが内面は砕けた性格があるらしい。
女王様の衣装は惹かれる魅力がある。黒や赤のボンデージ衣装の女王。
「興味ありますよね」
私は覚悟を決めた。理沙、綾香、奈々まで抱いておいて彼女で逃げては恥をかかす。頷く私を見ると彼女は一度部屋を出てありとあらゆる女王様タイプのボンデージ衣装やランジェリーを持ってきては見せた。
オーソドックスなスリーインワン、ボディスーツタイプ、革やエナメル、チェーンなどついた装飾系。
思わず胸の内に火が灯るような感じがした。フェチな私が衣装に恋をしてるような感じがした。
「どれがいいです」
「どれでもいいけど」
「らしくないですね。企画AVの時は積極的だったのに」
「わかったわよ。ボディスーツのにしてブーツはこれ」
まんまと挑発に乗ってしまう。そういえば思い出したが秋葉原時代の麻由は適度にオタクなお客さんをからかう嗜好があるのだった。乗り気な麻由は私の着替えを手伝うという。
「ひとりでできるわ」
「やらせてよ。ただ責められるだけよりちゃんと沙耶香さんが女王様らしくなるようにつくりたいの」
呼び方がさんや様だったりタメ口になるのは気さくなのだろう。
ブーツや手袋、ボディスーツやガーターで繋ぎ女王様らしいネックレスや小さなティアラまで付けられ姿見の前に立たされ唖然とした。
まともに見れない気持ちがあった。

No.89 17/12/29 09:06
作家 

眼鏡をかけてると淫らな性を持った女教師が実は女王様だったみたいね。
「……恥ずかしい」
「恥ずかしがってるわりにここは勃ってない?」
黒のボディスーツの膨らむ淫部を触れられ慌て手を除ける。
「やめて」
「眼鏡を外してもプレイはできるんでしょう」
「できるけど心が通じあってないとできないから」
「私と沙耶香さんいえ沙耶香様は本質は同じ。違うのは男女の違い程度」
そうだろうか。男女の違いは性の相性や性癖でも埋められないものは無数にあるはず。
麻由は言う。
「沙耶香さん……沙耶香様がよければメイド以外のコスチュームでお相手しますが」
「メイド以外で?」
「興味あるでしょう。メイドをしてる女性の違う姿とか」
ないわけはない。メイドがメイドという奉仕してる姿がプライベートそのままなわけはない。どんな女性にもプライベートな姿はある。
「私はいろいろなコスプレに対応してますから」
「嫌味ね」
「素直なままよ」
そう言われると麻由に俄然興味が湧く。
ひとつだけひらめいた。そして彼女に要望を出し頷いた彼女は一度姿を消し数分経ち再び姿を現した。ホルダーネックのカットソー、ミニスカ、脚はパンティストッキング、一見ラフな姿だが胸、ウェスト、ヒップと強調して魅力にとらわれる。
「これが私の普段の姿です」
「痴漢に遭わない?」
思わず好奇心から口を滑らせ慌てたが彼女は事も無げに答える。
「ええ。だけど私に痴漢したら相手は腕は折られるかも」
絶句した私に彼女は「冗談よ」と笑みした。
「サディストならやりかねないわ」
「解釈は自由だもの」
はあと自然と吐息がこぼれる。時間がわからないもどかしさと四人ものメイドを相手にした性行為。厳密には連続してプレイしたわけではないから体力や精力は回復してるが睾丸のなかの精液は奈々を相手にした時は若干水っ気があった。
麻由は誘う。
「沙耶香様どうぞお願いします」
「向ける言葉がないわ」
「言葉はなくても身体で伝えることはできます」
失礼しますと肩に腕を回され巨乳が胸に触れながらキスをあっさりとされた。
甘美かつ若々しい唇の重ねに下半身から熱くなり劣情が湧いた。
男性の本能は女装をしても隠せないらしい。性本能に異性装は関係ないのだろうか。
「ん……お気に召しません?」
「決めるのは私」

No.90 17/12/29 19:31
作家 

ち、ちょっと……やだ。
麻由はキスをして間もなく沙耶香が背後にまわり大胆に胸に手を回したことにちいさく声が漏れた。
「やだ?これは試験なのでしょう」
「……そうだけど。これじゃ痴漢されてるみたい」
「麗奈や早紀さんより大きい。痴漢に触られたんでしょう」
麻由は思う。
言葉責めをするのかしらとも思うが沙耶香の手はカットソーの上から掌で触れ感触を確かめるようで露骨ではない。しかしボディスーツの下にある股間を押しつけてきて自然と声が漏れる。
「んぅ……」
「感じてる?」
「そんなことは……」
彼女は沙耶香に触れられながら彼の本質を見極めようとするが背後にいるので表情は見えない。ただ感じるのは掌と股間からの内にある性欲と思われる劣情だけ。
「もし私が痴漢なら腕を折られるのかしら」
「っ……」
「あらなにか言いたげ」
「ち、挑発しないで……」
してないわと沙耶香はそっと髪を撫でうなじや耳元に吐息をかけるが積極的には触れない。
焦らしてる……。
沙耶香から聞いてきた。
「こんな胸だと肩が凝るでしょう?」
「そ、そうね……」
「揉まれてるだけでいいの」
感触や大きさを確かめるようにしそっとカットソーの上から勃った乳首に触れるようで寸前で触れない。ムカつく。
「いつまで胸だけなのよ」
「他も触ってほしいの?へ・ん・た・い」
カアッと触られてる胸から頭へ心から恥ずかしくなる思いがした。まんまと沙耶香の挑発に乗る感じがしたと思うとじんわりとミニスカの内の下着が湿っているようだった。
「だ、誰が変態よ」
「麻由さんよ。こんな大きな胸にどうしてなったの」
「し、自然によ」
相変わらず背後からの悪戯を含む声に麻由は呼吸に自然に桃色な吐息が混ざり羞恥心が疼く。
うふふと背後から笑みがした。
「な、何よ」
「抵抗しないの」
「……したら沙耶香さんが何もできなくなるから」
「沙耶香様でしょう」
冷たい声が吐息と共にかかり身体の芯から思わず冷えた感覚と羞恥心を煽られる感覚がした。
「あ……あ……」
「なあに」
「まだ胸しか触ってないのに」
この人はマゾヒストの感覚をどこかで理解してると女性の勘が察していた。はじめから下心を見せないだけに質が悪い。
「……ん、ハアハア」
身体の芯から興奮し始めているのが麻由に伝わっていた。

No.91 17/12/30 06:01
作家 

や……。
油断してたらミニスカのファスナーを下ろされTバックの下着が露になった。
「あら?大胆な下着」
「っ……んぅ」
「いつもメイドの下はこんな下着?私が相手だから?」
肯定否定どちらをしても沙耶香に答えることは羞恥心を煽っているに違いない。
これが男の、いえ女装のサディストの責め方。麻由のなかである種のカルチャーショックがあった。ふつうの男性ならまず麻由が巨乳であることを責めるはずだがあえて沙耶香はしないと思った時だ。淫部に手を這わされ声が上がる。
「や……ん」
「ちょっとしか触ってなあのにそんな声をあげるなんて」
「な、なによ」
「感度がいい証拠。不感症じゃなくてよかったわ 」
不敵な笑みが吐息と共に伝わりながらもほめられたようで気持ちが安堵した。
「不安?相手の顔が見えないセックスは」
沙耶香の声は探るようでありながら指や手元はそっと抱き愛撫する。そこにはそっと彼の感情がある感じが背中越しに伝わる。腰に当たる男根の堅さと共に。
「ん……はあ」
「やらしい吐息。いつもは綾香さんたち相手にしてるからオトコの相手はどれくらいぶり?」
「や……そんなこと聞かないで」
手を這わされたパンスト越しのTバックショーツに指が淫裂を奏でるように這う。だけどけっして肉唇そのものに微妙に触れないもどかしさ。
「女装の女王様に従えないならお友だちにはなれないかもね」
冷たく研ぎ澄ましたような声に胸の内に冷たく寂しい風が吹く。
やだ。そんなこと言わないで。
「さ、沙耶香様……」
「やっと呼んでくれた。安心して冗談よ」
「ああ……」
やられた。
飴と鞭を言葉巧みに沙耶香は操り心が折れそうになるなか寸前で救う。完全に心を折らす真似はしないのはあくまで相手と対等でいたいからと思うが残酷だった。
羊の皮を被った狼。
ふつうの男性は社会ではそう称される。
しかし沙耶香はちがう。
女の装いをした女王様、いや女王様の振りさえしたソフトサディストかもしれない。
身体の芯のなかには責められたい熱い願望とわずかでもこの人に捨てられたくない冷たくしないでという思いが宿っていた。
沙耶香の声がした。
「キスしてあげるわ。そのまま顔だけ」
「んぅ……はあ」
もしかしたらいなくなってしまう思いから唇だけ重ね顔が見え心から安堵し涙が頬を伝った。

No.92 17/12/30 06:29
作家 

涙……?
私は麻由の頬を伝う水の流れに驚いた。もちろん私は完全に私ごときで落ちたとは思わない。
たんに手探りななか彼女を観察し特徴的かつ魅力的な92のバストに惹かれながらもできる限り欲情を抑えていた。だけど乳首には触れなかった。
なぜならそこが性感帯なら責めやすくはなるが相手の身体を知りすぎると身体を責めることが逆にできない。
「泣かなくていいわ」
「ああ……んぅ」
同じサディストではあるが彼女はうかつにもプレイの前にお友だちになりたいと言ってしまったのはたぶん失敗。
私なら最後まで強気な仮面を被り相手を認めた時に本音を吐露する。どちらにしても寂しがり屋なことにかわりない。
「ほら、可愛がるから」
そっと抱いていた指で涙を拭う。こんなこともたぶんに男性の姿ではできない女装であり沙耶香の姿だからできること。
「泣かないでいいわ」
「はい……」
だけど私がまだ力強くぎゅっと抱かない。女性の身体は母性あふれるものだから包容力は自然と彼女たちの方がある。
「ここはどうかしら」
ようやくカットソーの内にある乳首に触れるが触っていた時に気づいたが彼女は大胆にもノーブラだった。カットソー越しに勃った乳首の堅い感触が伝わり彼女は吐息した。
「ああ……ン」
「感じるのね」
「はい……」
やっと性感帯に触れられたことに安堵した。目に見える淫部を露骨に触れることは簡単。
しかしそれではただの痴漢の輩と同じ。相手から求めがない限りは私はできる限り用心深い。気持ちを許した相手に限り大胆に迫る。
麗奈や早紀だから大胆になれると気づく。
麗奈はどうしただろうかとふとよぎる。
その頃麗奈はマンションの一室でアルコールを手にしていた。
「取材だなんて」
プロ作家気取りもいいところ。
このところ早紀が隣に引っ越してきたばかりでまた相手してもらえない。アルコールで身体が火照りながら私服越しのパンツの内が熱い。アルコールのせいだけではない。
「沙耶香としたい……」
そっと指をパンツ越しの陰部に這わしながら内股に足がなり落ち着かない。はあ……と吐息がこぼれる。
んぅ……。
そんな彼女の様子を知らずに私は麻由に気持ちを向けていた。
同じサディストを相手にするのはむずかしい。麻由を完全に落とすことはしない。そんなことしたら厄介事。
自由でいたい。

No.93 17/12/31 06:22
作家 

自由でいたい。
そんな思いとは裏腹に神無月社長の掌の上で踊らされており麻由を相手にしている。私みたいな変態に抱かれ感激してる麻由の股間にそっと私は指を這わし驚きを漏らした。
「え」
女陰の上にあるべきはずの草原がない。麻由は吐息を漏らす。
「ああ……パイパンなんです」
「け、毛がないの」
「は、ハイ……」
無毛症というのはよく官能小説や劇画あるいは体験談でたまに耳にするが直に触れていると赤子の女性器を思わせ驚く。
「驚きました?」
「ああ、うん」
「大切に扱ってください」
恥じらいながらも麻由は私に身体を預けちいさく笑みした。一切毛がない自らの秘部を晒すのはよほど度胸がいること。
女性は時折凄い……。
偽ざる本音を胸の内で漏らした。かくいう私も中学後半か高校入学の前後くらいまでは男性らしい体毛が生える兆しはなかった。またもともと男性器が標準かそれ以下らしいことは体格を見てたらわかりそれは男性としてはコンプレックスになる。
女装しランジェリーや洋服を身につけることで男性器を隠せるというのもあるかもしれない。
などと考えながらも麻由の陰毛がないことにはいくぶんの衝撃があったのは否めない。そっと堅くなったクリトリスに指を向かわせた。
「あ……んぅ」
「とても女王様らしくないわね。ふつうの女の子よ」
「んぅ……ひどい」
「なにが」
「いつまでも後ろから責めて」
キスしたでしょうと囁きながらようやく淫唇に上から指を挿入し愛液の粘った感触が伝わる。
ねちょともびちゃともつかないちいさな淫音が彼女の肌と共に伝わる。
「んぅ……」
「まだ指の先……」
「焦らしてばかり……」
「そんな風に私はできてるの?嫌なら帰るわ」
そっと指を女陰から手を離そうとすると彼女は私の腕を離さないとばかりに触れた。そして言う。
「さ、最後までし、してください……」
「いたいわ。わかったわ」
たいして痛いわけではないが麻由の方から犯される場合も考慮した。彼女が試験だかテストだかを何かの弾みで忘れないとはいえない。
「淫乱ね。たいして触ってもないのに」
「んぅ……はあはあ」
「クリトリスも堅い」
「や……やだ」
「おとなしくしてたらちゃんとやらしてあげるわ

卑猥に挑発しながらも私は彼女の淫唇を弄る。指は愛液で濡れていた。

No.94 17/12/31 17:40
作家 

麻由の陰唇を弄りながらも無毛なために赤ん坊のオムツの世話をしてるみたいと思いつい口を滑らせた。
「赤ちゃんのを弄ってるみたい」
「……お、大人ですよ」
「だって直に弄ってるんだから」
「へ、変態」
ムッとするところだが陰唇の内は無制限に性の欲求を求めるように絡みつく。ねちょねちょとし人差し指や中指、薬指と指全体を濡らす。
「んあ……ああ」
「ムネじゃなくても感じるのね」
「んぅ……胸も」
ハイハイと愛液で湿らせた指でカットソーを上に上げ下着のない巨乳が外に触れた。乳首を軽く摘まんだだけで彼女は声を上げた。
「あ……いい」
「感度はいいんだ」
「なにいちいちたしかめてるの?」
私の慎重な愛撫にようやく気づいたらしく麻由はやや私を睨みつけた。がボディスーツ越しの肉棒をお尻にくっつけた。
「ち、ちょっと……」
「初めての相手に慎重になるのは当然でしょう?ましてや麻由さんはサディスト。ただでは感じないかもしれないわ」
半ば言い訳めいていたが口八丁手八丁を駆使する程度はしないとならない。言いながら乳首を指でコリコリと弄る。
「んぅ……そんないきなり」
「サディストなわりに甘えた声を出して。女性の園だけにいるからそうなるのかしら」
「……んぅ…は、ハイ」
否定すればいいものを正直に答えるように神無月社長に躾られているのか。表情こそは頬が赤く汗や体液が開いた毛細血管から浮き出ている。
「あ……はあはあ」
「ほんと女性は感じるところがたくさん。勉強になるわ」
「く……ひとの身体ですのに」
「従ってばかりでは不満な麻由さんの本性かしら。その方が張り合いあるわ」
麗奈や早紀はとことん責められる時は従順というか彼女たちに私は性的快感を与えている。代わりにプライベートでは対等もしくは私が尻に敷かれているくらいは承知の上。経済的な関係だけでなく対等であるにはどこかで引き際も必要不可欠。時にプライドが傷つき葛藤もあるけど。
「んぅ……あ、はあはあ」
「イカさないから。しばらくはそのままね」
「そんな……」
「理沙さん綾香さん奈々さん三人も相手したのよ。気力や余力でいま身体を動かしてるようなもの。あなただけイカせたら不公平」
たわわに実ったメロンみたいな胸を両の手一杯で弄ぶ。あまりの感触に痴漢してる気分が真っ白な頭にあった。

No.95 18/01/01 15:26
作家 

ぴちゃぴちゃれろれろ。
ベッドに腰掛けエナメルのボディスーツから出た肉棒を麻由は淫らな音を立てながら舐めていた。
「んぅ……イカせてはダメだから」
「ハイ……んぅんぐんぐ」
本来はこのクラブの女王様であるにも関わらずここまで従順になれ唇や口内はカウパー液や股間からの汗や体液を吸収しながらまるで猫のよう。
「んぅ……はあはあ」
「オナニーはしていいから」
はい、という返事のなかに桃色な吐息が混じる。92センチという目の前にあるが私は彼女にけっしてパイズリを求めようとはしなかった。口マン手マンもあり胸マンもあるくらい現代の女性は淫らだ。
私は彼女に言う。
「そんなに従順にして本心から平気?」
しばし麻由は口内にあるカウパー液をじゅるじゅると咀嚼し呼吸を整え返事を返した。
「沙耶香さ……沙耶香様がおっしゃるなら……」
「……私ならそこまで従順になれないしなりたくもないわ。たとえ男としての私であっても」
麻由の猫みたいな瞳は見つめ返し再びフェラチオを始めようとしたが言う。
「フェラをしていいなんて言ってないわ」
「あ……申し訳ありません」
「……していいわ」
再びじゅるじゅるぴちゃぴちゃと彼女の口内と陰部から淫らな音がした。オナニーについては見逃した。
極力私からは責めてないように見えるが焦らして責めるのが私のやり方。またできる限り道具を使用しない。
麻由という女性は何を考えているのか?友だちになりたいは理解できる。オタクや腐女子は似た者同士の寄り合いやグループ。だけどそれ故に自分と違ったタイプとの出会いがない世界。
ふと少しだけひらめきがありフェラチオをやめるように伝えた。
「あ……はあはあ」
吐息が荒く肩と共に巨乳は艶かしく揺れていた。
「お尻を向けなさい」
「え……いっ!?いたい」
瞬間彼女の腰を鷲掴みにし戻った体力のまま掌でお尻に皮膚が弾く音がした。
「い、いたい!痛い!」
彼女が悲鳴のように喚くのを無言で無視しただひたすら叩いた。
「……あ、ああ……んぅ……」
「痛いなら痛いと言っても構わないのよ」
「んぅ……」
先ほど肉棒を舐めていた口許はつぐむようにしていた。本格的なSMが苦手な私は叩くことを嫌うが麻由がどこまで耐えられるか彼女を試している自分に気づく。
室内には皮膚が弾く音しか伝わらない。

No.96 18/01/02 05:08
作家 

再び射精させないように69の姿勢になり私は麻由のバストにも劣らない巨尻にローションを塗り菊の穴をゆっくり柔らかくならしていく。
「お尻の経験は?」
「………んぅ」
答えなさいと再びお尻を平手で弾きローション液と共に揺れる液が飛び散る。
「あぅ……!あ、ありません……はぅ」
「ん……イッちゃう」
瞬間彼女が叩かれた際に口や指の動きひとつで私の肉棒から精液が彼女の顔や天に向かった。私は麻由に言う。
「あれほどイカしちゃいけないて言ってるのに」
「だって……沙耶香さんが……」
「言い訳しない!」
再びお尻を叩き彼女を悶えさせる。そもそも理沙たちから何回も射精してるのでイカせないようにするのは肉体的に不可能に近い。敏感になりすぎたぺニスは性的快感しか求めない。
パンパーン!と疲れた身体で麻由にお仕置きする。
「お尻を犯してあげるだけありがたく思いなさい」
「っ……は、ハイ」
第三者から見れば八つ当たりみたいな行為だし私自身も無毛な花弁に興味がないわけではない。
しかしこの時の私は合否の判定や結果はどうでもいいくらいに気持ちがイッていたかもしれない。意識にある沙耶香の声さえ聞こえない。
「ああ……」
「もうオチ×チ×に触れないで」
「そんな」
「何回もイカされたら身体がもたないわ」
麻由から身体を離しアヌスだけを徹底的に責めた。菊の穴は未発達ゆえに綺麗な桃肉色。とはいえなれさせるにも時間かかるが意識が時々射精の疲労感から奪われそう。
麻由はお尻を魅惑的にくねらせる。
「あ……はあん」
「タイガーレディのわりにお尻が弱いのね」
「んぅ……」
指が二、三本程度挿入できるくらいにならせばたぶん大丈夫なはず。私のぺニス自体は勃起時でも極端に大きいわけではないから。
「挿入(い)れるから力を抜いて……」
「ハイ……」
緊張からか麻由の腰から下が震えているのが伝わる。
「麻由さん」
「ああ許して」
「ちがうわ、怯えないで。怖がったら私は挿入(い)れられない」
沙耶香さんと助けを求めるような呟きに応えお尻を両の手で掴んだ。
初めてのアナルセックスに怯えがあるのは当然だ。呼吸を整え隆起した肉棒をそっと挿入し始めた。
「あ……ッ」
「そのまま……痔になったら病院くらい付き合うわ」
ハイ……と呟く時に力が緩み穴が入りやすい。

No.97 18/01/03 05:50
作家 

聞こえない音が皮膚や肉が破けるような音がする。霊感ではない。
アヌスからの音がお尻を突くたびに聞こえないはずなのに聞こえる。
「っ……んあ」
「麻由さん……」
初めてのアナル体験に彼女は痛みと快感のなか悶える。抵抗や拒否すればこんな目に遭わないのにと不憫に思わなくもない。
「っ……平気です。気持ちいい……」
「早めにイクから」
「っ……はあはあ」
そうは言ったもののこういう風に言うとなぜか気持ちが反転しイカないように身体は堪える。女装の女王様に犯されるサドな女性のマゾな姿なおかつ麻由は普段着である。
倒錯した世界に生きている感じがし脳内が性的快感で真っ白でありながら甘美な雰囲気。
「ああ……っ」
肉棒の先端や全体にかけてぬめっとした液体が触れ肉棒とお尻の結合部を見ると鮮血が滴っていた。
「はあ……っ」
「痛いなら痛いと言ってもいいのよ」
「気持ち……いい」
本来なら無毛なうぶな花弁で私と結ばれたいかもしれないのにあえて裏切っているのに麻由が堪える姿は痛々しくも美しい。
犯される姿に私は犯しながらどこかで自分が“女性として”犯される姿を夢想する。
「っ……お、大きい」
「そんなに大きくないわ……」
アナルセックスは挿入するされる側互いに体力を消耗するが私のぺニスはお尻の肉圧のなかで射精が近づくことを感じ膨らみを感じた。
「犬みたい」
「っ……んあ」
「私を軽蔑なさい」
「っ……いや」
牝犬みたいに惨めに犯されながらも麻由の胸にも負けないお尻は自ら揺れる。そのたびに射精感が近づく。
女性はわからない。
“わからないならわからなくてもいい。だけど麻由さんを突き放しすぎ”
私の内の沙耶香は優しく諭すようだ。
「イクわ。受け止めなさい」
「ああ……は、ハイ」
ボディスーツの内にある睾丸は容赦なく膨らみ下半身全体から身体を熱くさせる。睾丸から幹へ幹から肉棒全体そして鈴口へ一気に到達する。
イクという性的快感は女装してる私に矛盾をおおいにもたらす。
精液が麻由のアヌスへ流れてゆく。
瞬間麻由の淫部からもちいさな噴水のようにぴちゃぴちゃとベッドを濡らした。まるで赤子の小水のようだが彼女もイッたようだ。
「ああ……」
アヌスを犯されたぶんに女性としてのプライドを汚したはずなのに麻由は最後まで従順だった。

No.98 18/01/03 15:20
作家 

何度目かの射精に果てながら目覚めると麻由の顔があった。
「お気づきになりましたか」
「ああ……。……あんなセックスで満足した?」
「……はい」
わずかに返事に逡巡があり四人のなかでは感情が明確に見えていたことに安堵しなくもない。
「もう終わり?」
麻由はしばし考えながら口を開いた。
「それは神無月様の意向しだいです」
「んぅ……はあ」
「これでお友だちになって頂けますか」
あのねと文句を言う気力さえ麻由の笑みを含んだ表情に奪われ頷いたようにしてしまった。
「よかった」
その声と共に頬にキスをされて女性がよくわからないという戸惑いが渦巻く。去ろうとする麻由に普通のランジェリーを用意するように求めると頭を下げ再び現れ純白のブラショーツを渡され彼女は消えていった。
「はあ……お尻大丈夫?」
「……痛かったです」
「気持ちよかった?」
「ええ……」
着替え終えながら彼女の表情には初アナルに快感と後悔のふたつらしいのが感じた。こちらが欲望のままに動かなかったことが彼女はどう受け止めたか。
「いま何時?」
「……それはお答えできません。すみません」
申し訳ありませんからすみませんとやや親しみを込めた表現に個人的感情が見えたが疲れていた。
少し寝させてとお願いした。
はい、と彼女は答えそのまま去っていった。
そもそも本格的なSMが苦手なのに……と呟きながら意識が深い眠りの底についていた。
その様子を見ていた神無月社長と早紀は呟く。
「まったく麻由の気持ちに応えないなんて」
「沙耶香さんのツンですね」
欠伸混じりに早紀は呆れた。沙耶香さんのことわかってないのかな社長。
「早紀に部屋を用意してあげて」
「もうおしまい?」
などと彼女は寝惚けながら奈々に部屋に連れていかれ消えた。
神無月社長はモニターのなかの私を見つめた。
私が目覚めた時には奈々たち四人のメイドが揃っており思わずベッドの上で後ずさった。
「おはようございます」
帰らしてという言葉が喉寸前まで出かかった。
しかし目の前には和洋折衷の食事とお風呂の準備ができていると彼女たちは言う。
施しされてる……。
やむなく先にお風呂を求め湯で身体を清め食事に手を伸ばした。
時間がいまいつなのかわからない。
はあ……女王様てこんな生活なのかと変な想像をがした。

No.99 18/01/04 06:22
作家 

食事を終えると神無月社長が現れ私に言う。
「沙耶香さんはひどいひと。奈々にはこたえて麻由には意地悪をするんだから」
「私は女王様になるつもりはありませんから」
神無月社長は奈々たちメイドたちに退出するようにうながしふたりきりになった。
「はっきり言うわね」
「ジェンダーアイ三姉妹のことについては借りと思ってますから私は双星出版あるいは社長に恩と思って身を置いて返しますが女王様なんて……」
「麗奈や早紀についてもでしょう」
私が女装引いては沙耶香としての立場から彼女たちから離れられないことを彼女は見抜いている。会社とは契約上での関係だが私は先ほどの言葉を後々軽率な行動から意思とは無関係に裏切ることになる。
神無月社長は言う。
「麻由の気持ちくらい受け止められるのに残酷なひと」
「性格ですから」
「それだけ……んぅ」
「んぅ……もう勘弁して……」
最後よ、と眼鏡の奥の彼女の瞳は私を見つめ抱きキスを重ねる。
はあと吐息がこぼれるなか再び勃起を感じる。あれほど射精したのに。
「一年ぶりかしら」
「はい……」
神無月社長を抱いたのは昨年契約をしたばかりの頃にアナルセックスを一度だけ。
「沙耶香さん私を抱いてください。いえ沙耶香様……」
「様なんて……」
どういう意図があるのか私にはまったくわからないが性欲や劣情は回復さえしたら無制限なのだろうか。赤いスーツの胸元から彼女の白い胸の谷間が見え身体を熱くさせる。
「女王様にはなりませんから」
それには答えない彼女を私はベッドに押し倒しスーツを脱がしボタンを外し甘い母性や乳の香り、女性特有のフェロモンがする胸を愛撫した。
「ん……」
「アナルをするの?」
「は、ハイ……」
なぜか彼女は女陰を求めない。使えないというわけではないだろうに。
私は半ば沙耶香の姿のまま性の獣と化していた。凌辱とはまではいかないが社長という目上の立場にいる女性を辱しめている。
以前媚薬に苛まされた時の“男の私”は内に封じられたか克服したかわからない。
だけど胸元から髪やうなじ、背中、指や指の間、お洒落なショーツの内に潜む淫唇など唇や呼吸、指、掌、言葉責めなどをまさぐり愛撫する。
「あ……!んぅ」
「アナル好きな社長さん。変態ね」
「も、もっと……」
まるで男に甘える牝そのものに私には見えた。

No.100 18/01/05 12:23
作家 

彼女は謎の女性(ひと)と思った時に巨乳に顔を挟まれ息ができなかった。
「奈々や麻由を傷つけた罰を受けて……」
「んぅ…んぅ……」
さすがに胸で窒息させるまではいかなく寸前で解放されたが息が落ち着かなかった。睨むが彼女は私程度で堪えるわけがなくプレイに集中した。
「ん、なんで私にこだわるんですか」
「……んぅ…答えない」
答えないということは暗に何かに答える意思があるという意味にとらえられるがわからない。
「わかりません」
「いいの。それで」
ツンと澄ました表情が気に食わなくスカートからお尻を丸出しにして麻由にしたのと同じように肌を叩いた。
「ああ……」
瞬間二、三叩いただけなのにお尻は興奮しか牝猿のお尻のように赤くよく見たらショーツのクロッチにはやらしい沁みが浮き出ていた。
「……こんなことされて平気なんですか」
「……平気。沙耶香さんになら」
被虐的な立場が仮にこの時だけとしても彼女のプライドは汚されないのか。しかし喘ぐ声や表情に社長としての姿や欠片はない。ショーツを掴みそのまま紐状にし淫肉にさらに食い込ませた。その痛みと快感に神無月舞は悶える。
「うう……ン。はあ…」
「変態」
「そうです……。私は変態……」
美しいレースや花模様があるショーツの前面は淫花の沁みに汚れ見る影もない。下着という華が女性器という花弁に汚される淫靡な美しさ。それに興奮していた。
「フェラして」
「はい……」
こわいくらいな従順さが神無月舞にはあった。それは四人のメイドより上回るくらい。ふと気づく。彼女もまた麻由同様にSとMふたつの両面が備わっていることに。
ふだん私が麗奈や早紀に日常生活ではソフトサディストの一面はほぼ見せない。痴話喧嘩な時に男に戻る時はたまにあるがそれでも性的に虐めることはしないのがルール。
「ああ……はむ。れろ……」
「イカさないで」
互いに眼鏡の内に秘めた瞳同士で見つめあうが神無月舞は何度射精したかわからない肉棒に口をつける。
はむと大胆にくわえたかと思えばちろちろと幹や睾丸を下着越しに舌を這わせ時には太腿にまで赤い舌んつける。
「んぅ……」
皮膚が弱い私が以前湿疹な汗もなどに弱いことに触れたが太腿や背中なども実は敏感。彼女はそれを知っているようだった。
神無月舞は思う。
沙耶香さんいえ沙耶香様と……。

No.101 18/01/06 05:27
作家 

神無月舞は思う。
理沙や綾香を相手してた時までは自制していたのに奈々や麻由からはやや自制心が取れなくなった。戸惑いがありいまもそれはショーツの内のぺニスを通し伝わる。
評価は自分を含め彼女たちがすることを沙耶香は知らない。
女王様になるつもりがないならそれもまた構わない……。
はむはむんむんぐと唾液を垂らし肉棒を口内に含む。射精を何度かしてるにも関わらず熱く堅く美味しい……。女性と男性の匂いが混ざり溶け合う。
「あ……ッ」
瞬間口内の中で肉棒の先から熱いモノがちいさく弾けた。精液のちいさな塊が口内や喉を襲う。
イッた……。美味しい。
「はあ……んぅ」
彼女は答えた。
「どうしました?」
「別に……」
イッたことを沙耶香は彼女には責めない。快感だけに耐えている癖があるのは以前と変わらない。風吹先生とのカウンセリングでも時おり早漏や遅漏あるいは相手によって射精のタイミングの違いから悩み葛藤している。
内面がナイーブかつデリケート。
そう思った時だ。
「もういいわ」
「ハイ……」
いくら女装であっても男性。フェラチオで何度もイッてはむしろ責め苦かもしれない。
そんな思いなど知らずに私は神無月社長に一度唇を交わし余裕を取り戻したかった。
「ああ……」
「んぅ……」
「唾液……」
「ハイ……」
互いの唾液が混じり粘りながら時おり床に滴り私の股間の男性器はまたむくむくと復活した。
もうこれで最後にしてほしい。ふと思いいたる。私は神無月社長にお尻を向けさせ湿った淫唇を見つめしゃぶりついた。
「あ……ああ…ん」
「綺麗……」
「ああ……」
綺麗な赤貝を求めるように舌を這わし唾液と淫らな愛液で濡らした。ぴちゃぴちゃと音が室内に伝わる。
淫らな匂いに肉棒はショーツの内で勃起し犯したい欲望が芽生えた。ガシッと腰を掴みショーツの内にある淫唇に肉棒の先を触れさせた時にそれは裏切られた。
ダメ!と。
「なんでですか」
「ごめんなさい。おま○こはダメなの。お尻ならいくらでも犯していいから!」
「意味がわかりません」
「……沙耶香さんわかって」
何をわかれと言うのかこの時はわからなかったが懇願するような強い拒否の姿勢があった。
しかたなく私は菊の穴に舌や指を使い肉棒が受け入れられるように慣らした。
アナルセックスである。

No.102 18/01/06 15:55
作家 

これができ損ないのサディストなら淫肉を容赦なく襲うだろう。
だけど私にはそれはできないようだ。劣情や性欲はあっても女性が望まないような性行為をしてはいけない不文律が無意識下にある。
女装して憧れの対象や存在が望まないセックスをしてしまっては“ただの男”……。
“残念ね”
また沙耶香が答えたが神無月舞がなぜアナルセックスしか求めないか後にそれを知るがまだ先の話……。
不本意な気持ちではあるがショーツの脇から出た牡と化した肉棒をゆっくり美しく淫靡な菊の花に押しやる。彼女の表情が快感と苦痛に歪む。
「っ……はあ……」
アナルセックスにやはり慣れているのか挿入自体は以前と変わらずスムーズ。かといってアヌスが緩いことはない。
ぐっと肉棒をお尻の肉圧で締めてきて女性器とはちがう感触が襲う。しかも当の女性器から淫液が滴りベッドを容赦なく汚している。
「っ……」
彼女の意図がわからないがそれでも腰は性欲に動きブラウスからの揺れる胸や陰毛を湿らせる淫花に手を這わす。
「あ……ッ……」
「はあ……」
気持ちを整え麻由とは違い慣れたお尻だからか安定感があった。女性器に挿入したい思いがそのまま腰を激しく動かす性欲につながる。
パンパン!と肌と肌が触れ合いアヌスの内のなかでぺニスは肉棒と化し膨らみをおぼえる。たびたび行為の後に醒めた身体のはずだが何度も熱くなる……。
「ああ……ン!!」
彼女の悲鳴にも似た叫声がベッドルームに響く。
ふと気づく。
綾香から始まり理沙、奈々、麻由そして神無月舞社長と計五回五人との行為にSMそのものはない。あくまで女装レズという名のセックス。もちろんセックスのなか(ホモやレズなど)には互いのサドやマゾの行為が成り立てばそれはSMともいえる。
そっと私は挿入したかった淫花に手を這わし淫豆は剥れており熱い……。
「あ……ッ……!はあはあ」
過呼吸のような吐息が神無月舞から漏れる。淫花そのものが不感症ということはないのに。
疑問のあるセックスだった。
「ッ……はあはあ」
「ンぅ……」
私はやむなく一度腰を離し騎乗位に彼女を求めた。馬のまま従い犯し犯されたくらいこちらが被虐的に思えばやる気は損なわれない。ソフトサディストか男としてかはわからない。
濡れてる。
美しく綺麗な淫花を見つめアヌスに女装の男根が再び挿入された。

No.103 18/01/07 05:06
作家 

湿った淫唇を前にしアヌスに女装の私の肉棒が肉をかき分けるように挿入され神無月舞の表情が歪む。
馬になる。もちろんほんとの馬ではないがサディストはマゾヒストの気持ちを知らねばならない。
根元から男性器が折れるのではとお尻の肉圧を破る音が肌を通し伝わる。
「んぅ……」
「ああ……」
「大丈夫?沙耶香さん」
彼女の方から挿入し終えた途端に腰を振ったために男性器が折れそうに感じた。
「はあ。大丈夫」
「そう……」
ぐっと腰を掴みながら馬のようにアヌスの快感を確かめながら上下左右に振ると彼女は痛みと共に苦悶した。
「っ……あ!」
「ああ……はあはあ」
体力はいくぶん持ち直したものの限界を越えさらにその上の限界をいっている。身体がもってるのがふしぎなほど。
「っ……」
右手で腰を支え左手で淫唇に手を這わした。愛液が臀部にまで滴りさながら蜜のように絡む。女性器に挿入したい思いがあったが指を淫唇にそっと弄る。
「んあ……きゃ…」
「指くらい挿入(い)れさせて」
「ああ…はい……」
複雑な表情の彼女だった。自らの陰部に何かあるのだろうか。とろとろと淫液はアヌスからの性的快感と痛みに伴うように垂れてゆく。
熱い……。
アナルセックスの身体同士の触れ合いが下半身から熱くなるのが伝わる。肌と肌が触れ合う。
しかし愛情あるセックスだろうかか。神無月舞の考えがわからない。
ああ……と亀頭に痛みが宿りそれが根元への射精感に伝わる。繰り返した射精に身体が耐えられない。
「イキます」
「ああ……イッて」
淫唇より乳房に目がいきそのまま上体を起き上がらせ彼女を抱いた。両の腕で抱き腰を揺らせベッドを軋ませる。アヌスを破らんばかりに肉棒は熱く大きい。
「スゴい……」
「ああ……く」
「はあはあ……沙耶香さま……」
「ん……」
沙耶香様と呼ばれながらも口づけを交わす。しかし時にはキスは余計に射精をうながす。
下半身が別の生き物のようになり熱く性的快感が迸る。
どくんどくん脈打ちながら彼女のアヌスに女の装いをした牡の精液が放たれた。
「イクっ……!く……」
「ああ……」
「はあはあ……」
「んぅ……」
何度目かの射精に再び私は意識を失った。しかし神無月舞の身体を抱きながら母性溢れるあたたかさが残っていた。
吐息が耳に残った。

No.104 18/01/07 20:41
作家 

……さん…さやかさん……。
気づくとベッドの上で眠っていた。目を開けるとそこには早紀と奈々たち四人のメイドがいた。
「……いま何時?」
あれだけ性行為をしたのに私は時間を気にしていた。朝の九時くらいですと綾香の大人びた表情が答えた。
九時?
つまりはこの屋敷にきてから昨夜の夜にたずねてから半日ほど性行為をしていたことになる。奈々はのぞきこむように言う。
「お加減はいかがですか」
「……まだ少し眠いけど帰らないと」
「無茶ですよ。あんなにセックスしといて」
早紀の言うことはもっともで彼女は気遣いながらもメイドたちを睨む。
「早紀様の言うことはわかりますが私どもは沙耶香様の意思を優先しますが」
「あなたね」
麻由は挑戦的に早紀に意見した。私の意思を優先?施しじゃないこれ。
ゆっくり身体を起き上がらせると私は自らの体に衣服や下着が一枚もないことに気づき慌てた。
「な、なんで裸なの!?」
早紀や奈々は顔を赤らめるなか理沙が答えた。
「神無月様の指示でしたので」
「ふ、服と下着ちょうだい!!」
男であるにも関わらず私は少女のような辱しめに布団に身体を隠した。
「社長なに考えてるんですかね」
早紀の他人事のような言葉をよそに私の衣服や下着がクリーニングされたのを持ってきて着替えることができ安堵した。
はあ……と自然なため息がこぼれながら言う。
「帰ってかまいませんよね」
四人のメイドはそれぞれいろいろな表情を浮かべた。理沙は目を逸らし奈々は名残り惜しそうに綾香はツンとし麻由だけは言葉をかけた。
「帰るのはかまいませんが私と奈々については返事はいただけませんか」
少し上から目線なのが彼女の素顔らしい。
お友だちからというありきたりな返事をする私に早紀は少し口を尖らす。
「どこの世界に身体の関係からのお友だちがあるんですか」
去年私をつまみ食いした彼女が言うことではない。とりあえず軽食を用意され六人で食事を囲んだ。どうもこの屋敷では自由になることは少ないらしい。
食事を終え玄関の前まで案内されると神無月社長の姿があった。
「お帰りになられるのですね」
「自由にならない不自由なのは好みません」
本音だった。女王様になれば不自由かもしれない。
「沙耶香様。ですが私から呼ばれた時は来てください」
言葉はそれだけだった。

No.105 18/01/08 04:56
作家 

先に失礼しますね。
リムジンから早紀が下りマンションに向かうのを見送る。こういうことをしてると後ろめたい気持ちがよぎる。
ちいさく吐息が出るのを四人のメイドはそれぞれの顔で見つめるなかアプローチしてきたのは麻由。
「いつでも連絡してかまいませんか」
「構わないわ」
「麻由さんずるい」
「ずるいもないわ。ちゃんと沙耶香さんとお友だちになっただけ」
ならあたしもと奈々は内気な表情を浮かべながら手を挙げた。そこへ早紀からメールが来た。
“麗奈静かです。寝てるんでしょうか?”
“ありがとう。ゆっくり休んで”と返した。短い文章でも礼はつける習慣があるのは根は“異性に優しい男性”だからか。
失礼するねとマンションからたぶん見えないであろう住宅地の影からリムジンを下りて向かう。私が進むとリムジンはそっと動き姿が消えた。
神無月舞たちがいかなる評価をしたかはわからないまま部屋の前に着くと隣から早紀がちらっと目を出した。
「ただいま……」
そっと扉を開けるとさすがにリビングや食卓の上では寝てないが例によりビール瓶におつまみがあった。以前よりは控えてるようで安心したと思った時に麗奈の部屋の扉が開いた。
「おかえり……」
「ただいま。ね、寝ててよかったのに」
「取材してたの?」
「う、うん」
どこに?と迂闊に聞かれ私はメイドたちから手渡された菓子折りを渡した。近隣県の名物である。
「本当に取材だったんだ。お茶する」
うなずき露ほどに疑ってないのだろうか。彼女がどこまでを浮気(?)としているか私にはわからない。
「てっきり早紀とでもデートかなと思ったけど違ったようね」
背中越しの彼女の言葉は勘がいいのを物語るようだがお茶はすんなり出された。笑ってごまかした。
「お出かけする?」
「日曜なら」
「取材だったものね」
クスリとも明るいような嫌味を少し含んだような笑みで判別がつかない。お茶をし少し眠るねとだけ断り麗奈の顔を見るのを後にした。
この時彼女は思う。
沙耶香が何かしら変わりはじめている……。もちろんモデルや作家(見習い)が悪いわけではない。しかたなく彼女は早紀にメールをした。
“出かけない?”
これには隣の早紀もちょっとぎょっとしたが断ると不自然に思われるのが嫌だったらしくふたりして出かけたらしかった。寝息を私はしていた。

No.106 18/01/08 06:00
作家 

麗奈の誕生日は五月、なんとなくだが男の子ぽい。強気なせいか。
私の誕生日は十一月、寒い時期に入る頃。だから暑いのは苦手。
早紀の誕生日は二月、本人はバレンタインだから女の子どうこうと言っていた。
誕生日や時期によってひとがどう生まれるかはわからないが何らかの作用や影響はあるかもしれない。
取材自体はフィットネスクラブで主にニ十代や主婦たちから続けていた。
取材してわかるのは彼女たちは満たされている生活のはずなのに愚痴や不満がある。旦那さんが相手してくれないことや主婦になり時間をもて余したり子どもへのそれぞれの教育や躾、まだ肌やスタイルの変化に伴う女性としての悩みなど。
彼女たちは『クロスドレッシング ボーイ→ガール』で載った短編小説では主人公の真琴がどうなるか興味があるらしかった。
そもそも連載ものか短編で終わるかはわからないので答えは保留。身体を動かし汗をかきながら性欲にとらわれないように頭を真っ白にしながら作品の構想を練ったりモデルとしての仕事に備える。撮影は五月下旬予定と美如月は伝えてきた。
久しぶりのモデルとしての仕事に心が躍らないわけはなかった。
少し私が笑みした時に声がした。
「沙耶香さん少しいい?」
「冴木さん」
「流菜でいいわ」
お茶しないと誘われ以前に反故したこともあり私は誘われたが自宅に招かれるとは思わなかった。二階建て(一部屋根裏部屋らしいの三階)の大きな住宅だった。
どうぞ、と車から下ろされリビングに招かれた。主婦らしい所帯じみた雰囲気があるが彼女の若々しい雰囲気もあり主婦じみてはさほどなかった。
「なあに?緊張してる」
「ええ……」
麗奈や早紀たち独身女性に慣れているが人妻や主婦に慣れていない。官能小説でも人妻などは魅力的に書かれているから。
「最近主人が仕事に忙しくて」
「はあ」
クラブでもたびたび旦那さんに相手されない主婦への返事には困る。そういえば麗奈を相手にした夜はいつだったか。
「それにしても沙耶香さんの小説はおもしろいわ。まるで沙耶香さんそのまま」
ほめられているのだろうか。彼女はそのままクラブ帰りの身体の胸をさりげなくシャツ越しにチラ見させた。
「うふふ可愛い」
「からかわないでください」
誘惑されてると思うがすぐさま帰るとは言えない甘美な雰囲気があり気づくと頬に触れられた。

No.107 18/01/08 15:09
作家 

ああ……溶けそう蕩けそう。
流菜との口づけで私の股間はショーツやパンツの中でいつになく激しく勃起していた。人妻のフェロモンはさながら魅力ある蜜のように誘い身体が熱くなっていた。
「はぁ……んむ。れろ……沙耶香さんの唾おいしい……」
「はあはあ……」
「ウフ。女の子みたいな男の子みたい。それとも男の娘(こ)かしら……」
妖しい笑みに私は童貞の頃みたいにすでに興奮していたようだ。キスだけで薄い布地のショーツの内はパンパンに勃起していた。彼女の瞳は母性に溢れて乳の匂いにふと安らぎをおぼえていた。
「ああ……」
彼女の手はパンツの股間を這いそっと陰部を撫でてきてそれだけでイキそうになる。人妻の指は柔らかく細いなかに淫靡な手触りがあった。
「ああ……やめて」
彼女は私が苦悶するのを眺めながらお茶を口にし再びキスを交わした。
「やめていいの?沙耶香さんのここはどうしたいのかしら」
「っ……んぅ」
性欲に身体を動かしたい劣情が内にありながら理性は耐えようとしていた。クラブで散々身体を動かしたのに性欲というのは絶え間がないようだ。
流菜は言う。
「いきなりキスしてゴメンなさい。だけど主人とは……ご無沙汰なの。わかるでしょう?」
「ん……んぅ……」
「それに沙耶香さんも沙耶香さんの作品も素敵。あなたは真琴くんに自分を重ねて書いたんじゃないの」
流菜の表情は一番の理解者と言わんばかりのような魅惑的な魅力があるように思えた。
「そ、そんなこと……」
「ウフ、だけどここはもうギンギンね。聞いたけど同居してる女性ともご無沙汰でしょう」
麗奈とは互いに仕事モードになってからはほとんど身体を交じわせることない日々が続いていた。早紀ともだ。
「……そんなこと」
私の内には沙耶香もいるがサディストの内に少し少年に近い思いもあった。
「私が慰めてあげる。……んぅ…」
「んぅ……ああ」
キスを三度交わしながら身体が蕩けそうでパンツの中のショーツはすでにカウパー液がやらしい匂いを漂わす。彼女は汗で湿るパンツを脱がし女の装いのショーツを露にした。
「あ……いや……」
「だけどここはそんなこと言ってないわ」
髪をかき分けながら彼女はソファーに座る私を巧みに誘惑していく。柔らかい胸元や魅力的な太腿が足をとらえる。
人妻の魅力。半ば取材と思おうとした。

No.108 18/01/09 05:04
作家 

これは取材だからと半ば言い聞かせようとした。いわば性欲に負けたのだ……。
びくんびくんと刺繍のあるTバックショーツで膨らむ男性器を琉菜に撫でられながら身体が熱く震えていた。
「ああ……ン」
「可愛い。沙耶香さんと一度してみたかった」
「ああ……」
以前媚薬に苛まされた以上に人妻の魅力が私を襲う。吐息が興奮からかこぼれないなか彼女は衣服を脱いで魅惑的な下着を露にする。
「下着好き?」
「……んぅ」
「いいのよ。触って」
扇情的な黒いブラジャーにたわわに実る乳房からは乳くさい匂いが鼻腔を突きそっと手に触れた。
あたたかく柔らかい。
「あ……イケないひと」
「ご、ごめんなさい」
「いいのよ。優しくして」
女の装いしてる私だが彼女はマザコンであることを見抜いているような妖しい笑みをした。
ちゅうちゅうと私は乳首や乳房に甘える女の子のように吸い付いた。女装とか関係なく男はマザコンかもしれない。
「ン……寂しかったの。沙耶香さん」
「ン……んぅ…あ…ン」
「ここは立派な男の子……」
互いに下着姿になりながら夕方前の情事を過ごす。まだ夏にもならない日差しがリビングや緑ある芝生を照らしていく。
日常のなかの非日常かつ色香ある淫靡な昼間。
琉菜は頬を撫でキスをする。
「女の装いをしてる男の子には立派……。これで何人女性にイケないことをしたかしら」
「そんな……」
ふと気づく。
舞先生の時と同じように“私の内の沙耶香”は何も言わない。答えない。
なぜ?とも思うなか意識は性欲に奪われる。
「ああ……冴木さん」
「琉菜、琉菜と呼んで」
「琉菜さん」
身体が熱く疼きが止まらずショーツのなかで肉棒は震えるようだ。
琉菜は私の下半身に顔を向け吐息をかける。
「ああ……やらしい」
「や、やだ……」
「すごい。パンパン」
睾丸はクロッチの中で膨らむ。仕事モードで性欲が満足に満たされなかったせいかわからない。
んちゅんちゅ……。
琉菜の紅のルージュがぺニスにキスをした。吐息がこぼれる。
「ッ……あ…はあはあ」
「感じてる。欲求不満かしら」
「そんなことは……」
「だけどオチ×チ×、クリトリスはしたいて言ってるわ」
女装者は女性的な淫語に弱い。ぺニスをクリトリスと表現されたら気持ちは女性に扇情的になってしまう。

No.109 18/01/09 07:46
作家 

最近垢抜けたわ。
麗奈に今年度に入ってから言われた言葉が不意に白い頭の内によぎる。
下着や洋服が大胆になったとも彼女は言った。Tバックや肩だしの衣服とか。そしてこう言った。
女の子になりたいんじゃないの?女性化してるみたい。
そうかもしれない。
身体がではなく気持ちが。
「んぅ……」
「沙耶香さん……?泣いてるの?」
え、と気づく。自らの頬になぜか涙が伝う。慌て指ですくう。
「ううん。なんでもない」
「可愛い」
チュッとキスをされ私の内の勃起がさらに高まる。人妻の誘惑に勝てそうにない。
女の装いした牡でありオトコだから。
なぜか沙耶香の声が聞こえない。なぜ?
そんな疑問をよそに流奈は愛撫し身体を湿らせ濡らす。
「ん……はあ」
「ちゃんとえっちしてる?」
「ん……んぅ」
まるで母性に包まれているみたいな抱擁に身体を預けうなずく。
「クリトリス素敵ね。ん……」
ちゅうちゅうとショーツから突き出た亀頭を舌で愛撫され悶えた。呼吸が激しい。
「あ……ああン」
フェラでありクンニでもある行為に私は感じる。まるで少女のように。
「いいのよ。だけどお姉さんにもしてね」
ソファーに彼女は私を寝かせて69の姿勢になり扇情的な黒いショーツの内に淫らな匂いを放ち花唇や草原が見えた。
「ああ……」
「知ってるでしょう?オマ×コ」
「ん……んぅ」
「はっきり言っていいのよ」
オマ×コと恥じらいながら口にし柔らかいショーツの生地にキスをし愛液が湿り口に伝わる。
「ん……いいわ」
「はあはあ……」
「我慢してるのね。かわいそう。ここはセックスしたいて涙を流してるわ」
「んぅ……」
私もまた人妻たち同様に満たされてないのだろうか。あれほど麗奈や早紀たちで満たされているはずなのに。
だがそんな疑問より目の前の異性の魅力的な肢体にとらわれていた。
人妻の肉感ある乳房、ウェスト、丸いお尻、色香あるランジェリーに背徳感があった。まるで女王にかしずく下僕のよう。
皮肉にもサディストの裏返しである疑似的なマゾヒストの気持ちが表面にあらわれてしまう。
女性として愛されることを知ってしまったかのよう……。
ちゅるちゅるんぐんぐと流奈は躊躇いなくショーツから出たぺニスに唾液や口内で愛し舐める。ただのフェラやクンニではないバキューム。

No.110 18/01/09 15:09
作家 

じゅるじゅると卑猥な音を立てられイクのを感じ腰がソファーの上で跳ねた。
どぴゅどぴゅと下半身がなくなるような快感が身体に感じ流菜は振り返った。
「沙耶香さん。ちゃんと最後まで射精してる。すごい溜まりよう」
「ああ……」
吐息を交えながら思わず胸が傷つくような感じがあった。実は私は相手が誰であろうと最後まで射精することは少ない。
たぶん去年の関係だけでもたぶん指で数えるくらいしか最後まで射精してない。いつも出し尽くす寸前で意識して止めることもしばしば……。
「はあはあ……」
「ちゃんと出さないと身体がかわいそう」
「っ……」
彼女はじゅるじゅると音を立てながら肉棒を吸い付くし睾丸まで舌や唇で愛撫していく。ただ舐めてるのではなく睾丸からの毛細血管の臭いからも精を吸うように。
あまりの性的快感に声や呼吸は混じり蕩けあう。
「あらあらダウン?まだこれからよ」
「ああ……」
まるで逆レイプされてるような感覚に身体は支配されていく。官能小説やAVの痴女のようだ。
身体の熱さや疼きは止まらない。意識して止まるものではない。
はあはあと吐息しかこぼれなくリードしようとする気持ちがあまり湧かない。だけど性欲はあり舌を彼女の淫唇につけた。
「ん……」
「はあ…んむ」
「まるでレズしてるみたい……」
れろれろと水を求める子猫や子犬のような気分だった。だけど子猫や子犬は性欲はあっても極端には発情しないだろう。
いつもの疑似的なマゾな気持ちではなく流菜に飼われる小動物みたいな気持ちが宿っていたかも知れない。
人妻が持つ包容力か魅力はわからないが身体はただ満足を求めていた。
牡に近い女の装いの男……。
“バカ……!”
瞬間私の内の“沙耶香”がいままで応えなかったのに応えた。
え……。
なにがバカなのか。この時の私はわからないままだった。後に大変な間違いをすでにしていたことに。
「沙耶香さん。もっとして」
ハイと劣情に流されていたことなど知る由もない。女装は男性女性どちらの側にも立てない存在。それを知りながらこの時の私はそれから逃げていたかもしれない。
淫唇に漂う牝臭にただ誘われていた。
流菜の魅力的な魔惑のような肢体にただむしゃぶり求めていた。

No.111 18/01/10 15:35
作家 

流菜はほくそ笑む。
この人は私のとりこ、精を吸い尽くすだけ吸い尽くしてあげる。
それにしてもと思う。
女装で女性にオチ×コが生えたみたいでそこはいいんだけど大きさはせいぜい並か並より少し物足りないくらいみたい。同居してるらしい彼女はこんなので満足かしら?だけど味見はいいのよね。
「沙耶香さん挿入(い)れたい?」
「は、ハイ……」
「ならちゃんと言ってみて」
しばし黙る沙耶香に流菜は肉棒を弄り無理矢理言わせる。
「言いなさい、変態」
「は、ハイ。冴木さんの……」
「名前、流菜……よ」
「る、流菜さんのおま×こに私のオチ×チ×を挿入(い)れさせてください……」
マゾなのかしらと思いながら彼女は69の姿勢から騎乗位になり自らの秘唇を淫らに見せつける。
たいしたことなかったらがっかりだわとも思うが妖艶な笑みの内に隠される。
「ああ……」
「うふふ、お姉さんが沙耶香さんのオチ×コをいただくわね。ん……」
掌で踊るような女装者の肉棒をやんわりと弄ぶようにしながらもびくんびくんと動く様は男の牡なところ。女装でも変わらない。
濡れ湿った淫唇はさながら食中花のようにぱっくりやらしく開き沙耶香の肉棒を容赦なく挿入していく淫らな音が室内に伝わる。ぐちゅぐちゅ……。
「あ……ああ」
牝臭の匂いに誘われた沙耶香の表情の内に童貞少年にも似た若さが少し見えた。
可愛いんだけどバカな男と思いながらゆっくり挿入し性的快感が電流のように脳内に伝わった時だ。
え……、とわずかにアクメを越えるオルガスムスみたいなものが身体を一瞬突き抜けては消えた。
「……んぅ…はあ」
一瞬自分がいつになく感じたことに流菜は意外に思えた。
なんなのかしら?
まあいいわ。
「はあはあ……」
沙耶香からは吐息しかこぼれない。キスやフェラ程度で感じるだけだらしない。
「動くわよ。ん……れろれろ……」
キスを求めると甘えるように舌を出してきた。女装でも所詮は男はやはり隠せない。膣内の肉棒もたいして感じないはずだけど。
え……?
瞬間膣内で襞に包んだはずの肉棒が射精に至ってないのに膨らみ大きさが変わり脳内に電流が走り痺れたよう。
気のせいかしら。
「ああ……」
「動くから。すぐにイッてはダメよ」
自分から腰を動かしソファーが軋む。ふつうのセックスじゃない。

No.112 18/01/10 20:14
作家 

私は流菜の魅力にとらわれていた……。
豊かな乳房、ルージュの唇、煌めくような妖しい瞳、淫らに濡れた花唇、まるいお尻……。花唇に挿入された瞬間にイクことはないものの身体は熱くたまらなかった。
日常の中にある情事に私は迷い込んでいた。熱い身体のはずでセックスに淫らに溺れていた……。
「ああ……んぅ」
「そう。ゆっくり私を受け入れて……んぅ…はあ…っ」
私の男性器を受け入れた彼女が肉棒の膨らみに何かを感じたことに私自身は気づかない。
ただ膣内の無数の襞に包まれ母性を感じていた。人妻という他人の女性という背徳感がたまらない。彼女は豊かな乳房に私の手を招き揉むように誘う。
「んぅ……はあ。沙耶香さんたら」
「やだ……」
「揉まれてるのは私よ。えっちね」
些細な言葉のやり取りでも勃起を熱く感じた。ルイのような名器ではないが経験豊かな人妻のフェロモン、魅力的な下着姿や肢体に牡の興奮があった。ソファーが軋み昼間の日差しが庭からリビングに注ぐ。どこからか主婦たちの声が聞こえる。
「ああ……女装て素敵ね」
「んぅ……やだ」
ソフトサディストの私はレズでいうネコになっていた。ただ甘え喘ぐタチにいいように弄ばれるネコ。
まるで本当のレズの感覚だった。白く桃色で淫靡な女性同士の戯れ……。
「凄い、タママ×コが大きいわ。やらしい」
「やだ……」
騎乗位のまま後ろ手に彼女はショーツに包まれた睾丸に触れられ羞恥心が芽生える。
ぎしぎしとソファーが揺れるなか身体はただ性的興奮を求める。
「ああ……い、イキそう……」
いつもの私なら相手からリードを奪い相手が気持ちよくなることを思うはずだが流菜に支配された私はどうでもよかった。
「っ……あ…はあ…ン」
流菜は吐息に隠れながらこの人また?と膣内で肉棒がどくんと脈打つのを感じた。
「いいわ。イキなさい」
「はい……」
肉棒がただ射精したい衝動にとらわれ額や髪を汗や体液が濡らせ湿らせていた。ソファーは互いの体液で湿る。
「い、イッちゃう……!?イク……!」
瞬間唇を奪われ乳房の感触や身体から人妻のフェロモンが支配し膣内に精液が迸った!身体が緊張し痙攣し睾丸から絶え間なく牡の液が出た。
「あ……は…ぁン……」
流菜はやや絶頂にいたらないものの牡の精液を受け止めた。
たいしたことないわと薄く笑みした…。

No.113 18/01/11 05:44
作家 

情事を終え気づいた時には夕方近くになっていた。汗を拭き着替え終えた時だった。
「いまさらだけどサインいただけないかしら」
「サインですか」
「『クロスドレッシング』の新進気鋭の作家さんの」
彼女は色紙となにか大学ノートみたいを出して二回私にサインを求めた。サラサラと沙耶香の名だけを書いたが彼女は大学ノートに本名もと付け加えた。本名を書くのは気が引けたがしかたなく記した。
「ありがとう」
「……はあ」
「本当ならお茶をご馳走したいけどもうそろそろ主人が帰ってくるのでお暇してくれる?」
「ああ……はい」
なんだろう?妙な違和感を感じながら「またね」と彼女のお宅を後にした。
お買い物しないと慌てタクシーを拾い町に戻り買い物し帰ったら麗奈と早紀が仲睦まじく料理していたのが意外に思えた。
「ただいま……てやるのに」
「あら?おかえり。いつも沙耶香にやってもらったら悪いわ」
「いつもご馳走になってますか」
早紀は玄関にいる私の手を引きながら嗅ぎなれない匂いがあることに気づいたらしかった。クンクンと鼻を鳴らす。
「あれ?こんな香水してました」
「なあに。また誰かとえっちした」
あれ?と麗奈にしてはめずらしく目を丸くしたような表情をした。
「な、なに」
「いやむかしどこかで知ったような匂いな感じだけど。気のせいよね」
「気のせいじゃない」
う〜んと彼女はなにか少しひっかかるような表情をしたがすぐさま夕食に取りかかった。早紀は言う。
「人妻につまみ食いされました?」とぽつり。ちいさく笑みしごまかした。
今夜の夕食はお好み焼き。鉄板で直に焼きながら豚玉やイカ玉など。お好み焼きパーティー。
ヘラで返しながら早紀は思い出したように言う。
「あ、撮影は五月下旬になりましたよ」
「私の?」
「他に誰がいるの」
ふたりしてクスリと笑みされ去年からお仕事がなかったんだからしかたない。だけどと麗奈はちらっと見つめる。
「愛那とやって大丈夫かしら」
「あたしにですか?沙耶香さんにですか」
両方と彼女は言う。
「沙耶香撮影むちゃぶりされないといいけど」
「むちゃぶり?」
「企画AVみたいなのだったらまだ構わないけど」
この時の彼女の懸念がなんだったか私にはわからなかった。
「早紀頼んだわよ」
心許ない早紀の表情も少し見え気になる。

No.114 18/01/11 17:14
作家 

まだですか?
あたたかい日差しがマンションに差し込むなかスマホには早紀からのlineが入り私は返信する
まだよ。
五月下旬の撮影週末金曜日。
女装生活は肌の手入れやスキンケア、かんたんなメイクなどでも手抜きは許されない(まあセックスの後は手抜きもありだけど)。
麗奈はここのところまた忙しく男の娘(こ)たちの取材や来年度の新雑誌プロジェクトですでにてんてこまいな毎日。神無月社長の思惑だろうなと思う。
私も麗奈も彼女の掌で踊らされているのは否めないが麗奈はわかってるのか不安にもなる。準備はあらかじめ一週間前ほどからしていた。
ちなみに麗奈の誕生日には彼女は会社での同僚たちが催したパーティーに私が参加する形になったがマンションに戻った時は早紀を加えた三人でささやかにお祝いした。
結局私がプレゼントしたのはショッピングモール内のランジェリーショップでの下着と彼女が好きなアーティストのCDアルバムのふたつ程度。
女装してても異性にあげるプレゼントは悩むもの。アクセサリーでもよかったが金属類は高い。私のオトコとしての趣味のフィギュアなどと同じ。
まだですか?
スマホにまた返信された早紀の文面に呆れながらバッグや自前の衣装や下着を入れた旅行カバンを持つ。
あ……とリップが少し歪みハンカチで拭い扉を開けた。
「急かさないで!もうリップがゆがんだでしょう」
「……どれだけ時間かかるんですか」
「女装なのわかってるでしょう」
扉の向こうで待っていた早紀の方がオトコみたいで立場が逆転してる。
いってきますと寝てるであろう麗奈に言いマンションを後にした。
「はあ」
「もう急かすから」
「日帰りの撮影ですから一分一秒が惜しいんです」
バスに乗りながらあらためてスケジュールを聞かされた。撮影してはコーディネートや休憩のひっきりなしのスケジュール。
バスを駅前で乗り換え双星出版前のバス停で降りるとそこには小中型のバスがニ、三台。スタッフに混じり愛那の真面目そうな表情が目に入った。
おはようございますと私は挨拶した。
「……おはようございます。今日はちゃんと私の指示に従ってください」
「……はい」
「沙耶香さんにそんな口の聞き方して」
「ファーストは私です。二ノ宮先輩」
気まずい雰囲気のなか双星出版のフロアを見ると神無月社長の人影が見えた。

No.115 18/01/11 19:43
作家 

双星出版のあるフロアーの社長室らしい部屋から神無月社長らしい人影が見えた。
たいした上階ではないがあちらからこちらは小人のように見えるだろう。内心が男の時の私は何事も自分の存在も俯瞰や客観視してしまうがこの時すでに神無月社長は私いや私たちに降りかかる禍いを知っていたかもしれない……。
「ちゃんと皆さんいますか?」
撮影の主導はあくまでカメラマンにあり顔見知りの白鳥さんであることに安堵しなくもない。そもそも今日よりも前に何度も足しげくコーディネートはされてきたのだから。
ハーイと女子高生のグループに似た声が今回の撮影に立ち会う早紀たちから上がるがこの時私は愛那を甘く見ていた。それは先んじてあらわれた。バスに乗る時に彼女は私の手を引き席の隣が空いており早紀を誘うとしたがあからさまに別の女性を隣に座らせた。
「沙耶香さんっ」
「早紀先輩は別のバスに乗ってくださいね」
しずしずと彼女が別のバスに乗る姿が見え男の私でも露骨な嫌がらせに感じた。私が見つめると彼女はちいさく見つめ返し言う。
「どうかしましたか」
「いえ」
左隣に座る女性社員は独り言を装い呟く。
気をつけて、彼女のせいで業界を去った女装モデルは多くいますと。
「……あなた」
「麗奈さんも大切な時だから問題を起こさないでください」
「名前は」
忠告らしい伝えを言ったこの女性は名を名乗ることはないがどこか浮き世離れしていた雰囲気。最近のタレントなら雛蜜(壇蜜さん)みたいな女性に似ていた。
バスは走りだし街を出て高速道路に乗り朝の太陽のなか突き抜けるよう。そんななか愛那は言う。
「女性のなかにいて緊張してるんですか」
「ええ」
「そのわりにここは堅いようだけど」
開放的なホットパンツの淫部の膨らみを彼女はめざとく挑発する。
「な、なんなの」
「別に」
少し沈黙したかと思うと彼女は眼鏡の内の瞳を輝かす。
「お仕事以外で勃起するなんてしょせんは男ですね」
「あなたね」
見かけによらず私は挑発に乗ってしまう。私の女装モデルとなった“水越沙耶香”には程遠い。左隣の女性はそっと手をやり落ち着かせた。
「……」
「ふん。名前もおぼえられないやりチン」
また挑発する愛那だが私たちバスの一行はサービスエリアで小休止に入り一息ついた。
早紀は慌て私に駆けてきた。大丈夫でしたかと。

No.116 18/01/12 05:40
作家 

トイレを済ませ私は早紀に聞いてみた。
「女の子て名前を覚えてもらえないのはショックなこと?」
「愛那さんのことですか。彼女内気なわりにけっこう根に持つタイプですから。それでつぶされた女装モデルもいますが一方で彼女のおかげでいろいろ芽が出た人たちいるから重宝されてるようです」
複雑な早紀の表情は後輩に先を越された悔しさや実績が物語る。
「なら頑張りましょう。ね、早紀さん」
「はい……なら抱いてください」
身障者用の共同トイレに連れ込まれあることを彼女はさらに言う。それはあらかじめ私も知っていたこと。唇を重ねた時だ。
「そういえば美紀さんと祐さんAV業界から引退したそうですね」
「んぅ……うん」
麗奈の誕生パーティーと時を同じくらいな頃に突如AV業界やアダルトサイトをついこの前騒がした。
“早乙女美紀、前原祐引退!?”
正直ふたりのファンだった私は驚きがあった。
「沙耶香さんショック?」
「まあね」
身体に触れながら麗奈の誕生パーティー直後だったこともありふたりが出演したAV作品には突然なことにプレミアがついたり店頭(通信販売店含み)から瞬く間に消え手に入れらたのはほんのニ、三枚くらい。
早紀は私を便座に座らせフェラチオをしようとしていた。
「勃ってる。ヌイてた方がいいかもしれません。美紀さん程うまくないけど」
そう呟いた時だった。私と彼女のスマホが震動しトイレの扉が叩かれ声がした。
「沙耶香さんいるんでしょう?早紀さんも」
「な、なんで」
「あの堅物」
早紀が憎々しげに呟きながら服装を整え私たちはやむ無く行為をやめトイレを出た途端に叱責された。
「なにやってるの!?どうせつまみ食いでしょう」
「ふん」
「ファーストの私になにその態度?なまいき」
「ま、待って。早紀さんを誘ったの私。責めるなら私を責めて」
愛那はじっと私を見つめ返し言う。
「庇うのは二ノ宮先輩のためになりません。いいですか?移動中の性行為をしたらあなたを男性と公然とバラしますよ」
「そんな」
「女装モデルが男性と知れあげくにハレンチな行為をマスコミが知ったらどうなるか去年知りましたよね」
嫌なことを思い出させ私はうなだれた。さんざん傷ついたことを。
程なくバスは出て県境を抜け高速を降りて着いたのは鮮やかな空と海の砂浜だった。

No.117 18/01/13 06:00
作家 

海岸沿いにバスが止まりスタッフたちが機材を下ろすなか私も手伝う。
「沙耶香さんたら」
「なに」
「モデルだからしなくていいのに」
「モデルだからしなくてはいいかもしれないけど重たいモノくらいは持てるから」
愛那は私と早紀の会話をおもしろくなさそうに見つめるが撮影の準備が波が繰り返される砂浜のなか早紀がなにかきょろきょろしてるのに気づく。
「じっとして」
「はい……」
メイクに言われコーディネートする衣装を選ぶのは愛那が差し出したのはビキニの赤い水着。
「着替えてくださいね」
ハイと素直に従うなかバスのなかで着替え終わると早紀がこの辺をあちこち歩いていたように見え声をかけた。
「誰か探してるの」
「ま、まさか。あたしは沙耶香さん一筋です!」
なんとなくごまかしが見えるなか撮影と聞きつけた近所の人達や朝の通勤通学な人達がめざとく見つけ私は思わず気恥ずかしくなる時にサラリーマンのグループが声をかけた。
「沙耶香さん?」
え、と思うが数人いたサラリーマンのグループが寄ってきて慌て早紀の背に隠れたが彼らは言う。
「あ!早紀さんいつもお世話になっております。撮影?」
「ああ。ハイ」
目を丸くする私に早紀は囁き言う。去年のパーティーで会った先輩モデルたちだと。
「え、ええ!?」
彼らは女装名をヒロミ、だんご、キョウコと名乗るが普段は男性として暮らしていると言い普段女装してる私を羨ましいと口々に言った。
「それより担当は二ノ宮さん?」
「いえあたしではなく愛那さんです」
その名を聞いた途端に彼らは少し青ざめた。
「無茶ぶりさせられるわよ沙耶香さん」
「なんのこと」
「すぐにわかるわよ」
「だけど芽が出たひともいるけど彼女が担当になってつぶれたひともいるから」
がんばってねと女装モデルの彼らは仕事があるらしく男の姿のままでオネェ言葉で去っていた。普段はちゃんと男らしい。
「なにやってるんですか」
「いま行くわ」
愛那の小柄な身体のわりによく通る声が砂浜に伝わり私と早紀は向かう。
まずはいつもの試し撮影、次にいろいろなカメラを使う。
本番直前に愛那が言う。
「勃起させてください」
「ええ!?」
「できないならあたしが感じさせてあげます」
彼女は木陰に誘いながら身体に手を這わした。朝で人がいるなかなのに……。

No.118 18/01/13 12:16
作家 

なんで勃たせるの!?
私は軽い憤りを感じながらもすでに水着越しにぺニスに手をやる彼女に問うとバカにしたように返された。
「あたしたちの雑誌は女性が主な読者です。年頃や倦怠期の女性たちが見たいの現実にない虚構の淫らな性世界。去年企画AVに出演してわからないのですか」
「だからて」
反論しようとすると先ほどヒロミたちに聞いた無茶ぶりを聞かされた。
「勃起するのは構いませんが射精はしないでください」
「そんな無茶な。あ……ン」
「水着でも感じるのですね」
しゅっしゅっと木陰に隠れながら初夏に近いあたたかい太陽と海風という自然に囲まれる背徳感に感じていた。
「ぼ、勃起くらいすぐにするから」
「なんです?」
「や、やめて……」
ツンと澄ました表情のなか彼女は言う。
「矢口さんや二ノ宮さんに触らせてあたしが触ってはいけないのですか」
「あなたね」
「あなたではなく美如月愛那です」
「み、美如月さん……」
名前を呼んだのに彼女は事も無げにぺニスを手コキしむくむくと熱く堅く勃起させていく。吐息が荒い。
「な、なんでこんなこと……」
するのと言い終わらない内に彼女は堅くなった肉棒から手を離す。
「いいですか?萎えるのは勝手ですが勃起は維持してください」
「そんなむりよ」
「男なのに、ですか」
くっと奥歯を噛むような悔しさが宿り彼女は私の表情を見ながら木陰から先に出る。肉棒を水着の内にしまいながら歩こうとした途端に水着のポリエステルの感触がぺニス、睾丸、太腿などに擦れ感じるなか早紀が側にきた。
「すみません。スタッフに呼ばれましたので」
「……はあ。早紀さん」
「はい」
「いままで撮影中に必要以上に勃起を求める編集はいた?」
私の言葉に早紀はスタッフに交じる愛那に気づく。
「無茶ぶりさせられたんですか!?」
「か、身体に触れちゃダメ。イクから……」
水着を汚せば損害もあるから迂闊に射精してはいけないと理性が働く。
「あたしが見過ごさなければ……すみません」
「謝るよりちゃんと撮影をして……」
砂浜に足が一歩一歩進むたびにポリエステルの水着の感触が気持ちいい。
「愛那さんに文句を」
「いまはやめて」
いざこざが起きれば撮影時間がよけい長引くだけ。まして野外の撮影は一日だけ。早紀の表情に若さと苦悩を感じた。

No.119 18/01/14 15:23
作家 

白い砂浜とあたたかい初夏の陽射し、白い雲が蒼い海に映るなか撮影が始まる。
さいわいギャラリーは少なくなったがビキニの水着で勃起をし女装の姿が人目に晒されるのは恥ずかしくも少しつらい。ギャラリーのなかから声がした。
「美人ね。モデルさん?」
「なんでも女装らしいわよ。ほら去年ワイドショーをアダルトDVDの卑猥な話題で騒がした」
わずかに心に伝わるように傷つく表現が耳にいたい。
撮影中はお静かに願います、と早紀やスタッフの声がしやや鎮まったが勃起を維持するのはふつうに大変かつ無理からぬこと。
「ラクにして」
カメラマンの白鳥さんは笑みしながらも勃起云々については指示はないよう。美如月さんの独断だろうかと思うなか彼女は私を厳しく見つめる。
「髪を後ろ手に上げて」
「はい」
「少し女性ぽくなった?」
「そうですか」
先ほど会ったヒロミたちは両親や家族に内緒にしながらホルモン注射はしてるらしいと耳にした。前回の物語を読んだ読者は承知ながらわかるが私は身体にほとんど手を加えていない。全身脱毛程度のみくらい。
そんな会話に愛那は口を挟む。
タイム、ちょっと待ってくださいと。
「いまカメラのテスト中」
「沙耶香さんのぺニスが萎えてきてます」
「ち、ちょっと」
「なに萎えてるんですか」
「ま、待ってよ!雑誌に載る時はボカシが入るでしょう。ずっと勃起させる必要はないでしょう」
私の言い分に彼女はわずかに舌打ちらしい口の動きをした。
「で、ですが先ほども言いましたように女性読者が見たい被写体を見せるのがモデルのお仕事です」
「それは理解するわ。だけど必要のない勃起が必要かしら」
なにかにぷつんとキレるなにかを彼女の内に不意に感じた時だった。
「あなたは私の言う通りにしてください!業界から消えたいんですか」
「な、なにを」
「とにかくオチ×チ×を勃たせて」
水着を脱がさんばかりに彼女は私のぺニスを手にしギャラリーがまだいるなか手に触れた。慌て早紀が気づき割って入った。
「沙耶香さんやギャラリーを困らせてなにをしてるの!見なさい、ギャラリーの人達引いてるし警察に通報されるわ。許可を取ったのは午前中だけでしょう」
「く……」
今度は愛那が悔しがるような表情があった。眼鏡の奥の瞳に複雑な色が見える気がした。
愛那は私をどうしたいのか。

No.120 18/01/14 21:19
作家 

午前中の水着での撮影は散々だった。
ビキニやワンピース、パレオなど水着が着れるのは嬉しかったがカメラマンの白鳥さんと美如月愛那そして早紀が着替えや撮るたびに揉めた。そのせいにはしたくないがいささかカメラ映りに不出来な表情を残し心残りがあるが愛那はとりあえず満足していた様子だった。
あんなのでいいの?
そう思いながら地元の有名な定食屋で昼食休憩をする時も早紀は辺りをきょろきょろし呼びかけた。
「誰か探してるの」
「別にそんな」
「ふたりとも席を確保しましたから。早く」
愛那が店先にまで呼びにきて会話が続かない。定食屋では地元産の秋刀魚の塩焼きを頼み少々時期は早いが実はしっかりして美味だった。
しかし愛那は嫌味のように見つめ返し言う。
「精力をつけて二ノ宮先輩とえっちするつもりかと思いましたが違いましたね」
「あなたね」
「美如月愛那、あ・い・な」
「美如月さん」
「なに」
年齢的には早紀よりは若いことを考えたら無闇に文句を言い本気で傷つけでもしたら男性としての立場はなくなるし後々のことを考えたらどうなるかわからない。やむ無く私は黙った。
「何も言えないんですね」
「美如月」
「構わないから」
早紀と彼女がいざこざを起こせば社内で問題になるだろうから必死に抑えた。名前や顔を去年覚えなかったことがいけなかったのか、美如月愛那の小柄かつ少し幼い理知的な表情からは何も読み取れないでいた。
もどかしい。言いたいことを言えばいいと思いながらもそれを口にしたら撮影自体なくなる可能性もある。
カメラマンの白鳥さんたちもこちらをうかがいながらも何もできないでいる。
久しぶりの撮影なのに。
午後から気持ちを切り替える必要あると思うし私個人としては女心を知りたい旨もあり女装として生きている。
謙虚にしないとと思った。
しかし早紀と愛那が向かい合わせに火花を散らしてるようで秋刀魚の味が途中わからなくなった。
ごちそうさま、と私は女性たちの間から先に出て少し町の方をのぞいた。
隣の県で少々田舎の雰囲気があるがよく見たら少し昭和的なアダルトな界隈が路地裏にあるらしいのを見つけた。
ふと看板に気づく。
「女装カフェ、バー?」
やや錆びがある看板で名前は読みにくい。
「ふぇちくぃーん……」
そっとのぞいてみることにした。

No.121 18/01/15 05:41
作家 

入るとそこはアダルトグッズショップを兼ねた喫茶店もしくは夜はバーを兼ねたお店のようだった。
いらっしゃいませ。
ちいさな声で少し背筋がびくっとしたがカウンターには年下の女性、いやよく見たら中性的な女装もしくは男の娘(こ)に近い店員がいた。バイトだろうか。
「こんにちは」
こんにちは、と丁寧に返しながらも彼ないし彼女は誰かに似ていた。
アダルトショップですか?とたずねるとアダルトショップを兼ねた女装やガールズバーと答えが返ってきた。食後であったためにミルクティーをカウンターで注文し店内のアダルトグッズを眺めた。
ランジェリーやオナホ、コンドームなどがカラフルにディスプレイされ雰囲気は昭和な感じ。そもそもいまの時代アダルトグッズはAVショップか通信販売でしか売られてない。私自身も地元にいた頃に二、三度たずねただけで気づいた時には地元のアダルトショップはつぶれていた。
出されたミルクティーは紅茶、ミルクと丁寧に分けられ上品そうな感じがまずストレートな紅茶に砂糖を加えると美味しい味がした。
「昼間は喫茶店なんですね?」
「はい」
中性的な感じでいかにも早紀好みな感じがする若い子。女性は少年やショタとかこういうのに弱いらしいと思う。
ミルクを加えミルクティーにすると甘い味が先ほどまでのストレスや嫌な思いを少し解消した。
あの、と彼は私に確認するようにたずねた。
「『クロスドレッシング』の沙耶香さん……ですよね」
「あ、ハイ。そうよ」
「昨年は大変だったみたいですね。今朝の撮影も少し見させてもらいました」
ありがとう、と礼を伝えた。アダルトショップだから女装雑誌が並んでいる。『クロスドレッシング』以外にも双星出版のライバル新星出版の雑誌もあった。
そこへスマホから早紀の声がした。
「もしもし沙耶香さん。どこにいるんですか?」
「ゴメン、ちょっとお茶してた。すぐに戻るから」
お代を渡し手頃なサイズのコンドームを一箱手にしお店を後にした。
「また来るわ」
「ありがとうございます、お待ちしてます」
何か後ろ髪に引かれる思いがしながら路地裏から再び町の通りに出るとバスの前で早紀や愛那たちが待っていた。
「なにしてたんです」
「お茶と……ちょっとこれを」
コンドームを見せると愛那は口を尖らす。
「ふけつです」
バスは再び走り出した。

No.122 18/01/15 09:05
作家 

次にバスが向かうのは郊外の山の方。山にある川や木々のなかで撮影するという。
例によって早紀は別のバスに乗らされ私の隣には愛那ともうひとりの女性。私は愛那に問う。
「私が嫌いなの?」
「仕事ですから個人的感情はありません」
「そのわりにはムキになってない」
なってませんという声が小型のバスを揺らすほどにした。
明らかに個人的感情があるように見受けられたが女心は目に見えるほどにわからない。
バスは川のそばについて再び機材を下ろしバスのなかで私は夏色の下着やワンピースに着替えメイク係が化粧を施す。
「はあ」
「疲れましたか」
「いえ」
メイク係の女性は優しく接するが愛那の態度はツンツンしており取り扱い注意という表現が浮かび消えた。
まわりは山々に囲まれ上流に近い川の流れが心地よく耳に伝わる。
ありがとう、とメイクを終えワンピースを汚さない程度に身体を動かし早紀の側に寄った。
「さっきはどこにいたんですか」
「お茶してた」
「ナンパですか」
「ひとりよ」
ふと先ほどアダルトショップにいた男の娘(こ)と早紀の雰囲気が重なる感じがしたが気のせい?そこへ愛那がまたやって来た。
「撮影します」
「は〜い」
「返事はハイです」
ハイ、と返し川に下りていき撮影が再び始まる。スカートの裾を持ったり翻したり胸元を映したり女装であっても女性らしく撮影してもらえることに笑みし心にメモを残す。
“女性らしく女装であること”
無意識な言葉の意味は直接はなにかにつながらないが別ななにかにつながるかもしれない。
しかし私の内の沙耶香はあらわれたりあらわれなかったり不確かな存在。女性化が内に進んでいるのかはわからない。
清楚な夏色のワンピースを着ていてもアダルト雑誌。えっちな場面は求められる。
「スカートをあげて、お嬢様みたいに」
「……ハイ」
こういう時は自然に恥じらう。スカートの内の左右の足を風が抜けるたびに女性という存在はなんてえっちかと思う。
“麗奈のいうとおり女性化かも……”
不意に忘れかけた時に内から沙耶香の声が伝わり消えた……。
しかしここでも愛那は無茶な要求をしてきた。
再び勃起させますと。
「自分でできるわ」
「異性に触られた方が気持ちいいはずです」
「なにもあなたにされたいわけじゃ」
瞬間平手打ちが頬に飛んだ。

No.123 18/01/15 15:04
作家 

愛那の口の動きが私にだけあることを伝えてきた。
“し・た・ぎ・ど・ろ・ぼ・う”
下着泥棒ですよね?沙耶香さん。
一瞬忘れていた記憶が脳裏によぎる。
それは学生時代に故郷にいた頃にとある家のベランダに忍び込んだ若い男の子時代の自らの姿。
「あなた……あなたいったい……」
呆然自失とする私に愛那は初めて眼鏡を外し少し大人びた笑みをした。
「あたしはあなたの二学年下の後輩。あなたがそのむかし故郷の本屋で女装雑誌を立ち読みしたり購入したりまた下着女装を密かにしていたことなど。……故郷○○県にいた当時のことはよく知っているひとりです」
淡々と澄ました大人びた表情で語る彼女に私は髪が真っ白になりそうな思いで見つめていた。
「美如月愛那、○○県立○○高等学校の後輩でした」
「……な、なんで」
「誤解なきよういえば私がこの業界に入ったのは○○先輩が女装することを知ったからです」
彼女の甘い女性らしく鋭い声が山々からの風に乗り木々や川の音に混じりながら私の胸の内に刺さるように伝わった。
「だ、だからて」
「いまは私の言う通りにしてください。別にいまさらあなたを警察に突き出すつもりはありませんから」
そこへ「なにしてるの?」と早紀やスタッフたちが寄ってきて私は口を開きかけたが動かなかった。下着泥棒をしてたなんて知れたら……早紀たちに軽蔑されることが脳内を覆う。
「な、なんでもないから」
「だけどいま見てた。叩かれたでしょう。叩いたでしょう」
「ええ、ただ我が儘なモデルを指導していただけです。ですよね?」
え、ええ……と曖昧に頷く私の前で愛那は再び眼鏡をかけながら皆に指示した。
「撮影再開しましょう」
「だけど」
「ファーストは私です。二ノ宮先輩はスタッフのフォローを願います」
「わかったわ」
早紀のもとスケバンらしい鋭い瞳が愛那と私を短く凝視した。
撮影は再開された。
ただし愛那の手による愛撫による勃起をもって。
「……あなたはいったい私をどうしたいの」
早紀やスタッフたちに聞こえないように問う。
「いまは黙って変態なオチ×チ×を勃たせてください。では」
勃たせるだけして彼女は何事もなかったかのように早紀たちのもとに戻り私の姿は川辺に淫らな姿で笑みしポーズしていた。
初夏のあたたかい陽射しは裏腹に醜い過去が身体の内にあった。

No.124 18/01/15 19:25
作家 

久しぶりの撮影は散々たる気分で夕方を迎えた。
早紀の目にも撮影自体は笑顔は終えたものの沙耶香からはいつもの明るい覇気は今朝と違いまるでなかった。さいわい射精して衣装や水着を汚すことはないまでもモデルは衣装やファッションの話題が好きなはずなのにそんな話題さえも再び県内の町中に戻るまでほぼ口を聞かなかったという。
昼食を取った町で沙耶香がバスを降りたことに早紀は気づき慌て降りた。
「二ノ宮先輩は私と一緒に来て手伝ってください」
「断る。モデルさんを不愉快にさせるような人の仕事のフォローはしたくないから」
「私はただちょっとこの町で気になる女装がいたから。少し興味があるから。早紀さんは帰っても」
嫌です、美如月は帰って。お疲れ様と明らかに拒絶と沙耶香が同じ女装者に興味を持ったことに食指が複雑に働きながら三台のバスを見送った。
バス中で愛菜は悔しがるように窓から見送るだけだった……。
あとで吠え面を掻かないことです。
そんなことも知らずに早紀は沙耶香に顔を向けた。
「お疲れ様でした。あたしが未熟なばかりで久しぶりの撮影に嫌な思いをさせて」
「自業自得なの。彼女との……」
珍しく沙耶香が言い淀む。比較的誰との肉体関係があっても浮気と言われない限りは堂々としていてそれなりに関係は割り切るのに。
それよりと話題を変えた。
「沙耶香さんが興味ある女装者はこの町にいるんですか?昼間のことですよね」
「え、ええ」
しかし彼女は知らなかった。早紀もまたかつての過去と向き合うことになろうとはわかるわけもない。
すでに町に日は落ち夜に看板や街灯が灯る。地方の田舎に近い町でもそれは変わらない。
「フェチクィーン?あれですか」
聞いたことない名前だった。早紀は多くの取材をこなしてるつもりだったが自分の知らない女装専門のお店があったとは。
「可愛い女装、男の娘(こ)がいたの」
「同性愛に目覚めたんですか」
からかいにちがう、とムキになる沙耶香は扉を開けて先に入り後に続いた。
いらっしゅいませ!
瞬間早紀は沙耶香が言った女装子が目の前にいることに気づき自らの目を疑った。
それはかつてのスケバン時代に散々いじめた下級生のひとりであったことは忘れるわけもない。
「二ノ宮センパイっ!?」
「透くん!?」
ふたりの声に店内は一時静かになった。

No.125 18/01/16 04:52
作家 

フェチクィーンなるアダルトショップもしくは喫茶店あるいは女装バーのバイトの男性名は本田透であり女装名は透子。
彼ないし彼女はそのむかしスケバン時代の二ノ宮早紀にいじめられ女装させられた経験から女装に目覚めいまは郷里を出てここ○×県で昼間は男性としてスーパーなどでバイト、夜はフェチクィーンで女装してバイトしているという。
フェチクィーンのママないしマスターはバードンといういささか女装というよりはオバサンめいた怪獣みたいなひと……。性別不明?
バードンは語る。
「この子が行くところがなくて近くのアパートで世話を見てあげてるの。あ、言っとくけど身体の関係はないから」
アハハ!と豪快に笑いながら悪いひとではないらしいが私が懸念したのは透子が早紀に怨恨の感情や気持ちを持ってないかということ。いじめられ女装させられた経験は官能小説などでも人物に思いもよらぬトラウマやトラウマをもとにした性癖を与えるらしい。
「センパイのおかげでいまはこうして透子として夜は生きています」
「怒ってないの?いいのよ。罵ろうが怒ろうがなにしても」
「セックスもですか」
一瞬軽蔑の感情が早紀にも私にも少しだけ表情に出たかもしれないが肩透かしを喰らう。
「冗談です。女装してちがう自分を発見できただけでも幸せなんです。親は知りませんけど」
親にはたぶん適当なことを伝え誤魔化してる環境が見えた。
「透くんじゃなくて透子さんは早紀さんに恨みや憎しみはないの」
あえて第三者が聞くことではないかもしれないが聞かずにはいれなかった。
「ええ、ありません。はじめはたしかに女の子の下着や洋服を着てエッチして悦びも悩みもありましたけど」
「沙耶香さん」
早紀の表情にも複雑さがうかがえた。女装や異性装は本人にしかわからない悩みや葛藤があり私は透子に重ねなくもない。
このお店には朝方に出会ったヒロミたちの遊び場や女装のストレス解消になっているらしかった。
「もうなに辛気くさい話してるの?飲みましょう!」
「わ、私は飲めないから」
「ひとくちだけよ」
やむなくビールを口に苦い味が喉に広がる。バードンのママさんは正体不明すぎる。
私はヒロミたちに囲まれながら今日のことを語り早紀は透子と昔ばなしや近況を話をしていた。

No.126 18/01/16 06:46
作家 

早紀と透子が昔ばなしで話題が盛り上がるなか私はヒロミたちに囲まれ彼女たちから愛那について聞いたあるいは聞かされた。
「撮影中イカなかった?」
「それは大丈夫でしたが彼女はいつもああなのです?」
担当編集が何ヵ月か何年担当するかは外部の人間にはわからない。たまたま麗奈が昨年だけだったか。だんごは言う。
「無茶ぶりは彼女の武器。ママ、雑誌借りるわよ」
『クロスドレッシング』を手にして愛那が担当した女装モデルのページを見せる。一見ふつうなようだがはたと気づきモデルの股間は勃起されボカされているが見る人が見ればカウパー液らしい残痕(?)らしい液ぽいのはモデルの性器から少し垂れていた。それに。
「私もこんな顔をしていたかも……」
モデルの表情は苦悶と快楽のなか笑みしてる。さっきまでの自分が重なる。
「だけど」
「だけど?」
目を丸くする私に彼女たちは口々に言う。
「美如月さんのおかげでアダルトビデオに出たりテレビや他雑誌に出ることもあるの」
「他の雑誌は成人雑誌以外なら取材はアリだから」
「そんな手腕が」
あるように思えないが強引な実力を秘めているような感じは撮影中に感じた。ただでさえ私は学生時代や郷里時代を知られている……。
彼女たちは語る。
「だけれど美如月さんの強引なやり方で業界を去る人も一方で多くいるのもほんと」
「何かと私たちに無茶ぶりしたりスケジュールを入れたりするし」
「そうですか……」
少々疲れと共に力が抜けた。が彼女は私にこうも言う。
「昨年矢口さんがあなたに企画AVの企画をしたのは美如月に取られないようにしたとも言えるわね」
「守ったてこと?」
ええと彼女は私が昨年目立ったことには意図し触れないようにしながら頷いた。
「麗奈が私のために」
呟きがこぼれた。
雑誌の世界は担当と本人の相性や互いの思いやりは大切と聞く。時に飴と鞭を与えることはあるがそこでいざこざが起これば互いに両者に益はないともいう。
昨年浮き足立っていた私の裏側でそんなことがあったとは露にも知らなかった。同時に同業者の彼女たちから情報を得たことに感謝した。
「ありがとうございます。教えていただいて」
「まあ私たちは仲間だしライバルよ。美醜もあるけど」
少しドキッとした。心の美醜を言われたと勘違いしかけたからだ。
夜は更けていく。

No.127 18/01/16 08:29
作家 

……あたまいたい。
ふと目覚めると隣には早紀の可愛い寝顔だがぎょっとした。
ここは……と気づいた時には声がした。
「おはようございます。よく眠れましたか」
「と、透くん?透子さん……?」
「昨夜はお仕事もあったのにわざわざウチの店、バードンママのお店に寄って疲れたでしょう?お茶淹れますね」
「あ……ありがとう」
見ると彼女はTシャツにズボンと男らしいファッションとわかりこれからバイトと言い昨夜は早紀と昔ばなしに花を咲かせまた私はヒロミたちと女装の話題で盛り上がり気づいた時には寝てしまい透子はふたりを自分のアパートに泊めたらしい。
お茶で喉を潤し顔を洗面台を使わせてもらい礼をあらためて言う。
「いえこちらも楽しかったです」
「早紀さんを起こさないと」
「センパイ疲れてるみたいですからゆっくりさせてください」
布団の中での早紀はスヤスヤと寝息しふと気づき下半身に手をした。
「センパイも私もえっちなことはしてませんし私も男色の気はありませんから」
安心はするものの日帰りのはずなのに私のしたことから一泊してしまいスマホを確認するとニ、三回メールがあった。
“早紀とお泊まり?”
“地方でハメを外さないこと。これモデルの常識”
“帰宅前には必ず電話かメールすること。お姉さんを困らせないこと”
文面はそれなりにふつうだが表現のなかにちいさな怒りや嫉妬があるように思え吐息が出た。
「どうかしました」
「いや」
軽く差し障り程度に事情を説明すると麗奈や早紀と暮らしていることを羨ましがられた。
「センパイ楽しくやってるんですね。それに沙耶香さんも女装しての生活て楽しそう」
「苦労あるよ?人並みもだけどそれ以外にも」
「それでも羨ましいです」
愛那よりはやや幼く少年の面影があり瞳は素直な輝きを示していたので夢を壊さない程度に配慮する程度にとどめた。
「あ、すみません。そろそろ出ないと。冷蔵庫のなかは自由に使って食べてください。鍵はポストにでも置いてください。失礼します」
いってきますと透子ないし透は男性の姿でアパートを後にした。湯呑みの湯気だけが残った。
早紀が目覚めたのはそれから一、二時間ほどだった。
おはようございますと。
「おはよう。後輩くんお仕事だって」
「透……あ」
後輩を気にかける表情が少し印象に残った。

No.128 18/01/16 13:46
作家 

ふたりしてお茶をし冷蔵庫の中のモノは自由にしていいらしいことと部屋の鍵について伝えると少し複雑な顔があった。
「恨まれると思ったのに。ちょっと気が引けますね……」
本心だろうけどもしも私なら多少は怨恨はあるだろう。ただでさえ愛那は私の過去を映す存在であらわれた。
「とりあえずご飯する?」
冷蔵庫の中を使うことについて彼女は気が引けるらしく早々と部屋を後にしたいらしかった。
透子(透)の部屋の雰囲気は男女半分という感じでいかに私が麗奈にわがままを許されてるかわかった。
朝食は町の表通りにあるふつうの喫茶店でモーニングを頼んだ。早紀は昨日の私についてたずねた。
「様子がおかしかったですよね?」
「ああ……」
一瞬迷った末に口にすることにした。過去に女装に目覚めた際には郷里で下着泥棒を数回し愛那がその被害者だったこと。
下着泥棒!?
彼女の声に店内にいた数人の客が振り向き口を塞いだ。
「シーっ」
「あ、すみません」
「お願いだから大事にしないで」
すみませんと頭を下げた彼女はふとあることに気づき顔に指をやりあるモノを抜いた。
「いたっ……」
「ヒゲ、脱毛したのに」
一本小さいヒゲを見せながら感心したように呟きがあった。よけいなお世話なのに。
オトコと呟く早紀。やれやれ。
「麗奈さんに言います?」
「私の過去は言うけど美如月さんがしゃべったことは言わない」
「なんでそう異性に優しいんですか」
「別にそういうわけでは」
早紀にしたら異性を庇い甘やかしてるように見えるらしい。美如月の出方が見えないだけに困る。モーニングを食べ終え歩きながらにふつうに平凡で猥雑な町と思う。だけど空気は都会とちがい澄んでいた。
「帰りましょう」
早紀は妙に早く帰りたい雰囲気があるが待ってと町並みに目をやる。
「透くんとママさん、ヒロミさんたちに何かお礼しないと」
「そんなの……」
「嫌かもしれないけどゆうべは楽しんだでしょう。鍵を彼に返さないと」
町の土産物屋でこことはちがうお菓子を選びまずはメモにあった透くんのバイト先をたずねた。
「いらっしゃっいませ。センパイ……沙耶香さん」
こんにちは、少しいい?と断り彼が小休止の許しを得るのを待つ間も早紀は落ち着かない様子。
もしかして彼に惚れていたのだろうか。あちこち取材してたこと気にする。

No.129 18/01/16 18:28
作家 

すみません待たせてと透は礼儀正しく言ったが早紀は駄々をこねる子供のよう。気にせず私は菓子折りを渡した。
「お世話になったから。つまらないものだけど」
「ありがとうございます」
「あとこれはバードンなママさんとヒロミさんたちにも荷物になるけど」
同じ菓子折りで申し訳ないながらも彼は嫌な顔をせずに受け取りながら早紀を気にするようだ。
「早紀さん。彼に何か言うことないの?」
「別に……」
「むかしのことは昨夜水やアルコールに流したんでしょうに」
彼女は恥じらいながらポツリと呟くように言う。
「よかったらウチの雑誌で透の、透子を使ってあげるから……」
「センパイ」
「いつもはこんなこと言う子じゃないのにすみません」
いえと私と早紀を見比べるようにし彼は仕事に戻らないといけなく辺りを気にする素振り。
「お邪魔して悪かったわ。機会があったらこちらをたずねるから。お世話になりました」
こちらこそと彼は男女両方を使い分けてる器用さが私には感じられた。スーパーを後にし駅に向かう。さいわい在来線同士で帰れるが乗り換えは必要らしい。
近いのに遠くにいる関係……。
「まだ気にしてるの」
「気にしてません」
切符を手にし改札を抜け特急が運よく来て乗るなか彼女の表情はいつもの表情ともかつてスケバンだったらしい面影さえない少女そのものが顔に窓に薄く映る。特急は走り出し私はメールを麗奈にした。
“遅くなりましたけど今から帰ります”
ついでにわざとよけいな一文を加えた。
“早紀さんが午前中休んだようにお願い。ちゃんと連れていくから”
メールを送る私を彼女はじっと見つめた。
「なにしたんですか」
「午後には出勤できるようにしといたから。美如月さんには私からも謝るからついていく」
「ちょっといやですよ」
昼前の特急電車のなかで彼女の声は目立ちちいさくなった。吐息した私は言う。
「誤解ないように言うけど早紀さんの過去は過去。いまがあるから麗奈や私に出会えたんでしょう?いじけるなら仕事でいじける?それとも私?」
「ほんと沙耶香さんイヤミ」
「それだけ言えるなら憎まれ役くらい引き受ける度量あるから。いつもエッチでいじめてるんだから」
一見端から見たら女性同士の会話に乗客たちはちら見しながら何も言えない様子があった。
乗り換え駅にとりあえず着いた。

No.130 18/01/16 20:53
作家 

麗奈とはちがう意味で早紀は強きな女性だが私のファーストになれなかったことや美如月愛那に傷つけられたことは大きいようだ。もちろん私にも……。
乗り換え駅から最寄り駅で向かい軽く昼食を取るが会話はない。
「ちゃんと食べないと力出ないから」
「わかってます」
口で言うわりに箸は進んでない。透子もしくは透に怨恨がないだけマシとも思えないらしい。
双星出版のあるビルの一階ロビーに向かうと麗奈が双子の受付嬢の近くにおり気づくとこちらに来た。
「早紀」
「……午前中無断欠勤すみませんでした」
しばらく様子をうかがうことにしたが麗奈の返答はちがった。
「美如月が無断欠勤と言おうとしたのを私が沙耶香から事情を聞いて午後からの出勤にごまかしたわ。手間をかけて」
ほっと安堵したと思ったら麗奈の瞳が私を射抜く。
「日帰りのはずなのに一泊して何様」
「いいわけはしないけどなりゆき。だけど私も彼女もエッチはしてないから」
本当に?と聞く彼女にふたりしてハイと答えられ疚しさがないことは察したらしく安心した時に不運はやって来た。
「矢口さんの姿が見えないと思ったら朝帰りですか?」
嫌みを含みながら他の会社員やOLがいるなか愛那はちいさい身体でつかつかと進み眼鏡を輝かせた。麗奈は向き直る。
「事情は午前に説明したでしょう」
「ふたりが疚しいことをしたかもしれないのに」
一瞬麗奈はちらっと見たがはっきり答える。
「それはプライベートな範囲だわ。早紀が職場放棄、沙耶香は撮影を終えた段階で個人的用事で済むわ。早紀とチームワークを合わせられない美如月に責任あるんじゃない」
「それは……」
「その件は上で話しましょう。沙耶香は帰っていいわ」
「待って。私も立ち会わせて」
しかたないという素振りを見せながら私たちは双星出版のフロアーに向かう。神無月社長の姿が見えるなか早紀はタイムカードを押し吐息が見えた。
会議室に招かれ私、早紀、愛那についての責任について編集主任らしき女性と麗奈が席を交えた。
「さて何から議題にしましょうか」
編集主任らしい女性は一通り当事者三名を厳しく見つめるなか麗奈は意見した。
「美如月のモデル管理不行き届きについてを願います」
「待ってください。それは沙耶香さんのプライベートなはずでは」
却下と編集主任は冷たく突き放した。

No.131 18/01/16 21:13
作家 

編集主任は私にまず質問を向けた。
「今回、正しくは昨日の撮影でしたが沙耶香さんはモデルとして満足いくものでしたか?」
じっと愛那の視線が冷たく刺さり答えに迷うなか口に出した。
「満足いくかいかないかでしたら半々ということでしょうか」
どういうこと?と問い直し会議室に緊張が走るなか再び答えた。
「美如月さんの読者にたいしての姿勢は共感し得るものはあります」
沙耶香、と麗奈と早紀から驚きがこぼれるなかさらに私は所属する一モデルとして答えた。
「しかし無理矢理な勃起やモデルにプレッシャーをむやみに与える彼女のおどしに近い要求は苦痛と表現するものでした。撮影が満足いかない点はその点のみです」
なるほどと編集主任は頷いたが彼女は早紀に目を向けた。
「二ノ宮早紀、あなたはファーストである美如月がモデルに過剰な要求をしたのに止めなかったの?」
「沙耶香さんがよいと言いましたので」
「本当?」
「ハイ、彼女の要求に答えるつもりが本心は先ほど答えた通りです」
しばし編集主任の女性は考えるように瞳を一様に向けたがとりあえずの妥協案を意見した。それは強引なものなことに一同唖然とした。
「撮影やり直し」
ええ!?と麗奈以外は声に出した。私も。
「ただし今回の撮影素材で使える素材は使うこと。野外での撮影はムリだからスタジオで撮り直し、スケジュールはこちらで調整する」
冷徹かついざという時のために保険をかけていた上司らしく飴と鞭の両方の姿勢が見えたのは明らか。教師に叱られる生徒に戻った気分。
彼女はさらに次の議題を出した。
「二ノ宮早紀、午前中無断欠勤についてだけど」
「主任それは先ほど」
「矢口麗奈、無断欠勤は無断欠勤。事実を問いそれについて処分をするだけ。いいな二ノ宮早紀」
ハイと早紀は答えた。
「正しくは昨日午後から今日午前に至るまでの無断欠勤だが理由は?」
しばし早紀の瞳に迷いが見えわずかに私を見た。
「モデルである沙耶香が急用でバスを降りたためにモデルをひとりにしてはいかなる危険があるかもしれないと考え彼女をガードするためにバスを降り今日に至るため欠勤しました。連絡がなく申し訳ありません」
「沙耶香さん急用とは」
この上司はあらゆることを追求する姿勢には共感し信頼する以外にはない。結果的に処分があるなら早紀共にしかたない。

No.132 18/01/16 21:34
作家 

「個人的に気になった女装専門のお店、アダルトショップを兼ねた女装喫茶室もしくはバーがありそこに若い女装者がいましたから彼ないし彼女が気になりたずねました」
知り合い?と質問されたがいいえと否定した。主任は早紀を再び見つめた。
「モデルと一夜を仕事中にしたことについては……今回は不問にします」
「待ってください!なんですか!それは」
「モデルをひとりにし誰かがついていなければ水越沙耶香は以前のように性犯罪に遭うケースもあっただろう。なぜ美如月はそれを考えない?モデルに過剰な要求もだがモデルが安心して一日過ごせるメンタルや環境作りは編集担当の役目ではないか?」
「あたしでは不足だと」
愛那は私と主任を交互に見て拳が握られているのを理解した。が主任は言う。
「不足とは言ってない。が早紀について一日分の無断欠勤については何割か減給、また水越沙耶香についてもだが今回のモデル代は何割かカットさせていただく。よろしいですか?」
やや表現はちがうがどちらも給料に響くらしかった。やむを得ない。
ハイと頷く。
お茶を口にし主任は最後の議題に入る。
「美如月愛那、モデル水越沙耶香と良好な関係は築けていると認識しているのか否か」
「わ、私は一生懸命やろうと!悪いのは沙耶香さんです!」
「愛那!」
麗奈の私情を挟んだ声がここに来て飛んだ。堪えられなかったらしい。私は口を挟むかどうか迷ったが立ち上がった。
「悪いのが私として私はあなたの要求には一応答えた。他にどうしろと言いたいわけ……?」
声を押し殺し私は彼女の前に自らを駒として賭けに出た。最悪この方法は私自らに破滅を招くことだ。
「あ、あたしは……」
彼女が私が下着泥棒をした過去を暴露するならそれは事実として時効としても社会の目に晒されるかもしくは麗奈たち女性に軽蔑されるか、どちらにしても十字架を背負うくらいは肩に伝わった。
時計の針がどの程度回ったかわからないなか彼女は何も言えずあるいは言わないまま席に着いた。
しかし主任は私、早紀、愛那について結論を出さないといけないだろう。
「水越沙耶香の担当については私としては現状を維持としたい。ただし今後についてはわからないとだけ三人に伝える。以上、議題終了とする」
湯呑みのお茶が冷めるくらいの短く長い会議の緊張感から解放された。二度と経験したくない。

No.133 18/01/17 06:09
作家 

あくまで暫定的処置であり愛那もまた減給処分される旨であった。
短く長い会議ましてや私や早紀は旅先からそのまま会社をたずねたので疲労感がどっとあった。会議室を出る時に愛那は悔しがるように私たちいや私を見つめたようだ。
「言いたいことがあれば言えば?なぜ私の過去の所業についてあの場で言わなかったの」
「それは……」
昨日はあれだけ私やスタッフに要求をした彼女なのにまるで別人みたいに言い淀み言葉が続かない様子があった。
「過去のこと?」
麗奈が私に目を向けた際に愛那はそれさいわいに去ってしまった。女性はわからない……。がそんな挙動や仕草さえも反発を感じる相手にさえ異性の魅力は観察するかのように捉えてしまう。
「今晩にも言います。早紀さんは疲れてるもしれないけど今日できることはして……」
美味しいもの作って待ってるからとふたりに伝え私は双星出版を後にして一足先に帰宅したがぐったりして鏡を見ると表情が半分程度男性に戻った感じがした。
愛那の意図がまったく読めないしいつもの撮影より二倍三倍の疲労感が身体を支配していた。夕方近くになりお買い物に行き麗奈や早紀に美味しいものを食べさせたい気持ちだけで動いていた。
するとスーパーで舞先生と流菜とばったり会ってしまった。
「先生……流菜さん」
「あら沙耶香さんこんにちは」
フィットネスクラブの付き合いだからふたりがいても不思議はないがわざわざふたりとも自宅から離れたこの町のスーパーまで来てるのは意外に思えた。流菜は言う。
「ここは安いのね。ショッピングモールだと高いし」
「沙耶香さんこの辺?」
ええ、と答えながら舞先生はともかく流菜には妙な違和感あるいは形のない見えない気持ちみたいなのを感じたが疲れからの気のせいということにした。
人妻だし色っぽいせい。色香やフェロモンが魔惑的にとらえそうな魅力が流菜にあり対して舞先生は男性経験がなくむしろ爽やかな色気があった。
対照的にまぶしい……。
買い物を終え私はふたりと別れ結局はありきたりなカレーや刺身程度になってしまう。かといってお肉料理などだと精力つけるみたいで誤解を招く。
夕焼けが昨日見た透子たちの町と違い夏が近いはずなのに赤く暗い炎のように気のせいか見えた。すでにこの時に目に見えない水面下では危機を招く前兆はあったかもしれない。

No.134 18/01/17 11:57
作家 

時間は遡る。
沙耶香や早紀たちが撮影をしていた頃、麗奈は午前は男の娘(こ)についての取材をし来年度への新企画雑誌の大まかな概要をまとめながらも細かい煮つめはまだまだ必要。ペンを持ち時に指で回しながら思う。
社長は私の意図を知っているよう……。
スカウトされてからこの双星出版においては二十代の歳ながら中堅にいたるポジションであり上からも下からも目をつけられるところに自分はいる。彼女自身性欲や性癖を満たす相手が沙耶香までの相手を含みいたことも物語る。
小説課は比較的一見すると静かだが一方では男の娘向け雑誌のデスクも兼ねているため取材や情報は日々入る。
うまくやれてるのかしら……。
朝方にふたりが早く出たことは知っていた。沙耶香は二年目、早紀は三〜四年目。
さいわいにして沙耶香が一年目でつぶれなかったが早紀はいまだにセカンドの位置にいてまともにモデルを担当したことは少ない。
恋愛感情や性欲性癖などはプラスに生かせることもあれば反面自らの内面は足枷になることもある。
ただでさえ沙耶香は見た目はおとなしいわりに内面は確固たるかたい意思がある。がブレた時は壊れやすい脆さもあることを知っている。
「取材にいってきます」
まだ時間は昼前だが外で昼食を取りメールでとある官能作家先生にたずねますとした。
大変ね矢口さん。
独立を考えてる噂ね。
え?ほんと。
社長をライバルにしてるみたいね。
小説課やモデル課、営業課などに麗奈が独立するらしいという噂は沙耶香がスカウトされる数年前からあったらしい。
「こんにちは先生」
「やあ、原稿は仕上がってるよ」
官能小説家のひとり館田淳一郎、一見見た目はミドルティーンのおじさん。しかしその実は官能作家先生である。居間には彼の奥さまが麗奈にお茶菓子を出し招き原稿は丁寧にも原稿用紙を入れた大型の茶封筒とUSBメモリとふたつ渡す用心深さ。
麗奈は頭を下げた。
「いつも早いお仕事ありがとうございます」
「ははは、たいしたことでははないよ」
彼は若い頃から作家デビューし官能女装作品には定評もあり性やSM、性医学などにも多く精通している。細かい性描写、性医学にも触れ性に悩む読者にはファンも多い。デビューしたての沙耶香が卵の殻をつけた雛に等しい。
「今日は原稿だけかい?」
気軽に聞く気安さもあり彼女は口を開いた。

No.135 18/01/17 14:27
作家 

沙耶香の女性化。
精神面肉体面に限らず麗奈が館田先生に相談したのはこの内容だった。一年目はとりあえず過ごせたが二年目のいまあるいはこれから先については女性である麗奈は目に見えない不安があった。
いままで付き合った男性たちは性癖から同性を求めたり精神面の内面に気づき性転換した者バイセクシャルな者などいた、ふつうの男性に戻った者もいるが彼女と付き合った者のなかに麗奈を恨む者は思うほどに実は少ないが失恋に近い人生経験は幾多の不安を生む。
館田先生は言う。
「沙耶香くんのデビュー作『はじめての女の装い』また『真琴と義母と同級生のランジェリー』よく出来てたよ」
「それは以前にも聞きましたが、ありがとうございます」
「本人には伝えたかい」
いえ、と麗奈は沙耶香が自惚れることを危惧しあえて伝えていない。
まあかまわないが、とした後で彼は顎を撫でる。
「女装者の女性化は結局は本人しだいなんだよ」
いきなり結論を言われたことに驚きはしないが話の内容や順序からは飛躍していた。彼は春に掲載された沙耶香の頁、デビュー作小説の数頁だがわずかに数枚グラビアはちいさくあった。それは昨年より女性らしくなった姿があった。外面内面的にも……仮に麗奈がひいき目にしてもだ。
「人間というのは自己という個性があるが個性はひとりでは輝けないしまた対人関係がないと努力もしなければ磨かれもしない。たとえば私は作家だが作家は書く作業は孤独だがライバルがこう書いたら次に私は負けないようにこう書いて読者と一緒にお前たちを驚かせてやる!くらいの意気込みで毎回書いている」
黙って麗奈は聞く姿勢に徹した。作家は多くの知識があり取材経験もしくは実体験による人生の密度は並みの人より濃くそれは芸能界に生きる俳優女優に近い位置にいるから。
「女装や男性の女性化というのも相手やまわりより美しくなりたい女性らしくなりたいという願望はある。女性と同じように」
話は核心に至る。
「沙耶香くんの女性化女性らしくなることは自然なこと。それだけキミや早紀くんたちの影響は受けている」
「いずれは沙耶香が自分の性別に疑問を持つようになればどうなりますか」
失礼と思いながら口を挟んでしまうが質問の答えはすでに出ているようなものだ。
「自分を“女性”として受けいればそれは女性への性転換なのだよ」
耳が痛い言葉である。

No.136 18/01/18 05:07
作家 

そんなことも知らずに私はふたりが帰ってくることをカレーを作りぼんやりと待っていた。
頭のなかでひっかかていたのは愛那が私の過去を知っていたことであり気づくと生理痛みたいな頭の痛みを覚える。気づかないがそれくらい精神面が苦しかったかもしれない。
ただいま、といつものように麗奈と早紀が帰ってきたが早紀はぷんぷんしていた。
「ひどいですよ」
「なにが」
「朝帰りとかみんなに思われるし化粧は直しましたけど服は昨日のまんまだしシワだらけ」
「残ると言ったのは早紀さんだし半分は自業自得でしょう」
とりあえず文句をかわしながらも麗奈は私に顔を向けた。
「なあに麗奈さん」
「いえ……カレー?」
「うん。ありきたりで悪いけど」
なぜカレーにしたのかわからないがそうしたい気分だったからかもしれない。
ご飯にしましょう、と冷蔵庫からサラダや刺身なども出し背中を彼女に向けた。
三者三様の思惑や悩みがある食卓があるとは誰も気づかない。
麗奈は私の女性化、私は愛那が過去を知ることへの表現できない感情、早紀もまた過去と向き合ってしまったことの複雑さ。スプーンを鳴らしたり咀嚼する音だけがするなか私のスマホが鳴りメールを見るとぎょっとした。
“撮影はやり直し給料減棒!!オトコなら文句言わないで私に従ってください。へ・ん・た・い・!!”
言いたいことだけ言われため息がめずらしくこぼれる私をふたりは見つめた。
「どうかした?」
「美如月さんこれ」
「実力はあるんだけどモデルさんに対しては接し方が不器用かしら」
当たらずとも遠からず。麗奈は早紀を見つめる。
「こうならないように助言したのに」
「悪かったと思います。だけど……」
「沙耶香のせいにしない」
ちがいます、と早紀からもまたいつもの元気がなくカレーの香ばしい匂いがするなか誰もが少々明るさがなかった。後片付けをして早紀は一度部屋に戻り風呂に入り着替えてからまた来るかもしれないと言い帰っていく。
「なにがあったの彼女、らしくない」
「……本人から聞いて。いまは私からは言えないと思う」
皮肉にも過去と向き合わないといけないことは肩に重くのし掛かる。
「お風呂入ってきたら疲れてるんでしょう」
甘えるところは甘えるようにするなか熱いお風呂のなか私は愛那の存在がふと目の前にあった。
麗奈は……。

No.137 18/01/18 07:36
作家 

ただいま……、誰もいないけど。
愛那が帰ってきたのは実はかつて早紀が去年度までに住んでいた隣町のマンション。少々割高なものの職場には電車やバスで行ける気軽さもある比較的住みやすい環境。去年ようやく親元の実家を出ることが許され小柄な身体にはウキウキな気分もあるなかぐったりした気分はやはりあった。スーパーで出来合いの白米ご飯、お総菜などで夕食をしながらぐったりしたなかにムカムカする気分が胸に渦巻く。原因は当然沙耶香に早紀であった。
いや早紀はいい。まだセカンドしかまかされていないし未熟なところはあり脅かす存在でもなく麗奈は配置変えで小説課および新部署に異動なのだから。
お茶を淹れ湯気が立つなか忌々しく呟く。
「○○先輩、いえ沙耶香さん」
許せないという言葉を口のなかで呟く。実は沙耶香は知らないが中高と学年は離れていたものの彼女は沙耶香の学生と郷里時代を五年前後ほど知っていた。
ただし沙耶香が存在感ある学生だったわけではない。もともと沙耶香の学生時代はよくいるクラスのオタクであり図書室に通う存在感は少なくちょっとしたことでほんのたまに目立つよくいる学年のひとり。
また愛那自身ももとが小柄なためか友人関係はクラスのごく小さなグループに属するが可愛いとクラスで話題にたまになる程度の存在。
だけど中高の学校や図書室で沙耶香を見かけることはいつの頃からか気づいていた。けっしてイケメンでもなく成績が特によいわけでもないが平凡さのなかに読書をしたり本を頻繁に借りている姿が印象にあった。
話しかけることはなかったがほんのちいさく思春期の愛那は動悸がいつもより動くことがあった。だけど真面目なために恋とわからないくらいの鈍さがありそれはいまも二十歳を過ぎたいまも続いていた。
逆恨みして。
事情を知る同僚からは職場で言われむしゃくしゃしていた。
「わかってるわよ」
後片付けをしてシャワーを浴びけっして魅力ある身体ではないと本人は思っているがたぶんに少女趣味のカメラマンがいれば可愛いらしいランジェリーやロリータファッションが似合うと言うだろう。だが本人は真面目にお堅くスーツしか着ない。ちなみに同僚たちは気づいているが頑なな性格のために助言さえできない。
おぼえてなさい変態沙耶香さん……。
シャワーを浴びる彼女はかつて部屋の主さえも知らずに憎々しげに唇を噛んだ。

No.138 18/01/18 14:34
作家 

お風呂に入り湯に身体をつける間私は悩んでいた。
過去を知る美如月愛那。
男性であったことを知る彼女あるいは後輩と呼ぶべき存在か。後輩と呼ぶにはあまりに未知で畏怖な存在に思えた。
お風呂から上がり身体は癒され麗奈の視線があるなかグラスを手にしジュースを注ぎ言葉を交わす余裕さえない。
言えない、下着泥棒だなんて。
“だけど言わないと。わかってるでしょう”
すれ違いに麗奈はお風呂に向かい服や下着を背を向け脱ぐ様子が見え性欲はあるが芯から熱くなるはずが理性か戸惑いかが留めてしまうなか女性としての沙耶香の部屋に入り吐息が重たい。
しばらく無言のまま甘いジュースを喉を潤すが気分がまとまらないのか味さえわからないと思った時だ。
「沙耶香いい?」
「ああ」
肯定否定ともつかない返事のまま彼女はパジャマのまま姿を見せるがわずかに胸元にお洒落なブラジャーから色香が感じふと勃起をショーツの内でした。座る彼女は言う。
「なにがあったの」
大人びた彼女の顔をまともに見られないなか見ようとするなか嫌な想像がよぎった。
最低!変態!下着泥棒したですって!?出ていきなさい!
想像や妄想は嫌な時はとことんマイナスな方向に傾けるらしい。吐息から呼吸し私は告白に口を動かした。
「実は……」
聞いてる間彼女自身もまた困惑恥じらいあるいは女性としてなど複雑に渦巻く気持ちが無数にあるくらいは伝わる。一年も共に暮らせば以心伝心に近いくらいはわかるのがむしろつらい。
だから私は去年もしたかも知れないが頭を下げた。
ごめんなさいと。
謝って済む問題ではないが最悪別れる時は別れるのだから、話を終えた途端に覚悟はふしぎとあるからふしぎなもの。
彼女は腕を振り上げ頬に掌があたり弾ける音は、寸前で止まった。
「いい沙耶香?もしくは○○くん」
罵られるかと思ったが彼女は珍しく私の本名を口にした。
「下着泥棒をした件については現実もフィクションの官能小説にもあること。だけど犯罪は犯罪、確認したいのはひとつ。いまは、大人になってからはしてないでしょう」
「あ、ハイ……はい」
「もしいまもしてたらたとえ同居人や所属モデルだろうが警察に突き出すから」
冗談とも真剣ともつかない口調や表情は最低限彼女なりの姿勢や我慢だったかもしれない。
ごめんなさい、と涙を流す以外になかった。

No.139 18/01/18 15:21
作家 

ぽろぽろと涙を流していたら次に頬が掌に弾ける音がしてベッドに頭から突っ込んでいた。
「いい加減になさい!お姉さんほんとに怒るわよ。過去は過去、いまはいまでしょう。まったくそんなに女々しかったの」
逆鱗というのに触れたのか思わず私はベッドに突っ込んだ顔を起こし彼女の顔を見ると息を荒くしていた。
「いまのは女性としての一発よ!私が彼女に代わり叩いたと思いなさい」
「はい……」
ベッドの上で叩かれた頬に掌の形が鏡台の姿見にわずかに映る。
つくづく男は弱い。男であることが弱いのか私の本質や本性なのか。
しかし麗奈はそっと掌を左右の頬にあて唇を赤くなった頬にキスをした。
「つらい思いをして仕事したんでしょう。ちゃんと本音で話して」
「うん……」
パジャマの上着を脱いで彼女は身体をくっつけあたたかく去年より少し大ききなった乳房が胸にあたる。
抱いて、と呟く彼女に背中に触れながらそのまま甘い雰囲気に浸りたい甘えたいと思うなか肩を抱きそんな思いとはまったく逆なことをした。
「ごめんなさい。いまはそんな気分になれない。ごめんなさい」
「魅力が私にない?」
「ちがう、ただ抱いていいのかどうか」
もちろん彼女が抱いてほしいという感情や気持ちが一方でわかってるのになぜか理性や性欲が困惑な迷いがあった。
麗奈はわざとしたようだった。
「沙耶香いい?いまから言うことはちゃんと聞いて」
抱かれないことにわずかに暗い瞳をしながら彼女は館田先生から聞いたことを伝えた。
「あなたは気づいてないかもしれないけど心か気持ち内面は女性化してる。さっき私を抱かなかったことがはっきりした証拠……とは言わないけど」
表現に躊躇いがあるのは抱かれなかったことへの必死の我慢からか。つい私は否定が口走る。
「ちがうわ」
「なにがよ」
「それは……」
口をつぐむ私に彼女は冷静を保ち言う。
「お互いに忙しいことを理由にしてるかもを言い訳にしたくないけど沙耶香は女性を気持ちから抱けないんじゃない?」
なんとなく核心を突くようなひどいとも取れる表現に言葉がない。
ふとよぎるのは舞先生や流菜との交わりがあって以降気づかない変化なのか。
麗奈は私の下半身に触れ陰部をパジャマ越しに撫でた。
「勃ってるのに求めないのは女として……」
キスを唇にして彼女は部屋に姿を消した。

No.140 18/01/18 18:15
作家 

スタジオ内で夏らしいBGMが流れるなか私は水着やワンピース、夏色のキャミソールにミニスカ、カットソーなどでカシャカシャとカメラが切れる音を耳にしながら思う。
精神面の女性化。
たんに私は麗奈や早紀たちから女性の仕草や動き、メイクなどの技術を参考にし生活してるだけなのに心や精神は女性になりたがってる?こんなにも彼女たちを思うのに抱けなくなった?
性的不能(インポ)ならともかく勃起はいまも衣装やランジェリーはしてるというのに。
わからない……。
“わからないの?”
わからない。
“私はあなただからわかるつもり、いえわかってるはずなのに”
撮影中に“沙耶香”は笑顔や淫靡なスマイルの内で何度も問いかける。
その様子を正面から見つめる早紀、わずかに彼女やスタッフから脇に私を厳しい視線がありながらどこか存在感が希薄な愛那。カットや休憩が入るたびに「勃起は自分でしてください」といささか投げやりな指示は入るが触れることは一切しなくなった。
恨みの感情やつらみはないのかと思う。下着泥棒をしたのは事実、それこそ訴えるなり陥れよう思うなら覚悟はあるのにまったくなにもしてこないのは腑に落ちない。
愛那について早紀はなんとなく気づいていた。
この子オナニーしてる……?
正面から脇に目を向けながら彼女はわずかに下半身のタイトスカートの陰部に指か手をちいさくそれこそ目立たないよう微妙かつ大胆に動かしているようだった。
「ハイ、もう一枚いくわね」
白鳥さんの声がスタジオに響き撮影が終わりインタビュー取材が休憩を挟み始まる。
とはいえインタビューの内容はけっして下着泥棒について愛那は触れなかった。触れれば私の沙耶香生命が終わるか双星出版の名に泥を塗るか後者とも思いながらも多少は恋愛やランジェリーフェチについては触れてきた。
「我が社のスタッフと同居して一年あまりですがどうですか」
「女性として快適に暮らさせております」
ふと気づく。
女性として答えてるのでは……。
まさかそんな。
否定する思いがありながら精神面の女性化を皮肉にもインタビューのなかで残酷に思い知る。
「待って!いまのところは使わないで」
「沙耶香さんどうしたの……?」
つい声がインタビューしてた喫茶店のなかに飛んだ。失態に気づき口を閉ざし早紀の懐疑ある瞳が見つめていた。

No.141 18/01/18 19:48
作家 

取り乱した私を早紀がとりなしたことで事なきを得た。
いつもなら慣れた対応で取材後の数日後程度に文面や表現の添削、掲載の有無などについてのことを取材中に迂闊に口に出してしまった。
これではヒステリックかつ繊細な女性のよう……いやそのまま。
愛那は口数は少ないながら奇異な瞳で見つめるだけだった。
取材ありがとうございました。お疲れ様でした。言葉は丁寧だが言葉を交わせば何か言いたげだが愛那はその場を離れた。
通常ファーストの女性はそれこそモデルを花瓶に飾られた花のように扱うがこれは私が麗奈によく扱われたと解釈できるかもしれなく麗奈の愛情や感情の一端が見えた。
早紀は私に振り返る。
「らしくなかったです」
短く端的な表現は厳しいプロの女性。なのにファーストとして私やモデルにつけない彼女。
「ごめん、ほんとらしくなかった」
あらためて喫茶店の席について残ったお茶やケーキを口につけた。
「何があったんです」
吐息が混じりながら私は麗奈から聞いたことを伝えたことに彼女もまた驚きを隠せない様子が露になった。
「女性化?精神面……だって沙耶香さんオトコなのに。だけど」
「だけどなに」
迷う彼女もまた珈琲を口にし一拍息をし声にした。
「たしかに最近の沙耶香さんは女性らしくなりました……それが原因?」
「わからない。女性になりたい気持ちのあらわれかどうか……」
だけど、と早紀は性経験ある女性として私を見つめた。ふと気づく。
妹的な存在の彼女の内に大人の女性を肌で感じたよう。そして彼女は大人としてはっきり伝えた。
「こんなこと言うのはなんですが、最近は私も麗奈さんも抱いてくれません。まるで同性、ふつうの女性のように……見えるかもしれません」
最後の言葉は遠慮がちだが女装の異性を同性と言うにはそれなりに彼女ははっきりと私を見ている答えだった。
「私が女性……」
嬉しいと思う気持ちがあるなか馬鹿なと否定する気持ちが心の表裏にあった。麗奈や早紀を抱かないのは女性としての自分に目覚めたからか。
私は……。
言葉が続かなかった。
大人になったであろう早紀は伝票を持ち背を向けた。そこにはかつてキャピキャピとはしゃいでいた彼女はいない。
同時に私の内の男性は消えたのか。
この時すでに目に見えない敵からの砲火が双星出版を揺るがしていたことは知らない。

No.142 18/01/19 05:19
作家 

見えない敵からの砲火はすでに寸前だった。
いや実は目に見えながら誰もが気づかなかったかもしれない。
初夏から本格的な夏に切り替わり雑誌の発売を控え私は『初めての女の装い』の続編を無事に書き終えながらも私、麗奈、早紀の関係は途端に醒めたものとなっていた。性欲はあるはずなのに私が彼女たちを抱けないのでは抱かなくなったからだ……。
後になって思うが彼女たちをいかに傷つけたか私は思い知る。
私と麗奈の関係は女性と女装のルームメイトでありただの同僚になりそこには肉体関係はおろか恋愛感情さえなくなりかけていた。
いってきます、と早紀が玄関で待つなか麗奈もまた差し障りない様子かつ冷静にクールにいまの関係を保つ大人の女性の背を見せた。
“男性としても見られないなんて。オトコでもなくなったのかしら”
私の内の“沙耶香”の言う通りかもしれない。BGM代わりにテレビをつけた時にそれは起きた。
『皆さんはこの方をおぼえているでしょうか?昨年卑猥な表現で物議を醸したサヤカこと水越沙耶香、彼女が所属する双星出版社以外の会社と二重契約していることがアダルト雑誌業界を賑わしています』
お茶を淹れかけふ〜んと見ていた私はふと思う。
これわたし?
サヤカとは官能作家として活躍する別名義という形でつい先日に愛那や早紀にお願いしたネーミングであり当然それは業界内部でしか知らないはずだった。
瞬間スマホが鳴り出勤途中の麗奈たちから叫ぶような声がした。
『テレビ見てる!?』
「ええ、うん」
『どういうこと!二重契約だなんて』
『沙耶香さんなんてことを!?』
ふたりには駅前の乗り換えターミナルで待ってもらい普段着や化粧が薄いまま元栓や戸締まりを確認し慌て部屋を出た。湯気の立つ紅茶だけがあった。
慌てバスに乗り駅前に向かうと麗奈や早紀はバスに乗るようにうながし事情をちいさく慌て聞いた。
「どういうこと。二重契約だなんて」
「おぼえがない」
「だけど現にテレビが報道するなんて」
次に早紀のスマホが鳴り編集主任からの確認と沙耶香を連れてくることだが早紀は応えメールを打つ。
【いま連れてきていますが本人はまるでおぼえがないとのことです】
ふと彼女の表情を見ると以前より大人びたことに気づく。バス停を降り受付さえもどかしく双星出版のフロアーに向かうと怒号がある騒ぎだった。

No.143 18/01/19 06:21
作家 

編集主任が挨拶もそこそこに私たちに挨拶し電話の対応を終えた愛菜はキッと睨まんばかりに見つめたが言葉は必要以上になかった。
「なんてことをしてくれたんですか!二重契約だなんて」
短い言葉に感情がより込もっていただけに何も言えないが編集主任は会議室に通し事情を聞く配慮をした。出された湯飲みの湯気が他人事に見えながら混乱する頭で必死に思い出した。
「いい?冷静になって。いつどこでサインした記憶がないかゆっくり思い出して」
編集主任の言葉は感情を抑えながらも瞳は冷静を保とうと必死だった。麗奈たちの視線が痛く針のように刺さるなかサインをした記憶を探る。
がサインを求められたことは主にフィットネスクラブ、あとは町の本屋や中古書店などくらい。サインを求める人は主婦やOL、なかには『クロスドレッシング』を読んでる成人男性か学生。
「役に立ちませんね」
「美如月」
愛菜はこれ見よがしか会議室にあるテレビを点けた。ワイドショーの声が耳に入る。
『このサヤカもしくは水越沙耶香の本名は○○○○○と言いまして女装してる男性なわけですが』
ふと顔を私は上げた。
本名でサインしたのは後にも先にも一度きりなはず。麗奈は顔を覗く。
「沙耶香?」
「まさか、いやだけど」
「心当たりがあるの」
この時の動揺は計り知れなかったかもしれずに指先や身体全体が言い様のない気持ちに震えが止まらなかった。
「なんですか。答えられないんですか」
美如月と愛菜のキツい声を咎めるが私は一言だけ答えた。
「ほ、本名で一度だけサインしたことあると思う……いえある……」
私の答えに一同は驚きを隠せなかった。
「いつ」
「どこで」
「誰に」
呼吸困難になりそうでいつもなら身体を包むようなランジェリーや洋服がむしろ締め付け拘束するように感じ麗奈たちの存在がよけい女性を思わせた。
そこへ神無月社長が姿を現した。
「事情は一通りわかったかしら」
「ええ、本名でサインをしたことが一度あると本人が。まだ言質(げんち)は取れてないですが」
言い様のない感情や恐怖にとらわれ落ち着きがない私に神無月社長は屈み目を見つめた。
「いい?疚しいことがないなら堂々としてなさい。女王様なら」
最後の言葉は私にしか聞こえない。こんな時に女王様だなんて。
だが彼女は一切責める言葉は向けなかった。

No.144 18/01/19 07:56
作家 

心当たりがある。
その一言を伝え私、麗奈、早紀そして愛那はタクシーを呼びフィットネスクラブに向かう。だけど信じたくはなかったという思いとサインをした事実は容赦なく私の脳裏を駆け巡る。
「誰にサインしたの」
「相手の自宅にいけば」
「事を荒立てたら」
「相手側の思うツボ」
二重契約した相手は双星出版のライバル新星出版社であるとどこのテレビ局および週刊紙は報じていた。
またすでにSNSのなかでは私が新星出版社の雑誌でデビューすると噂され報じられているともあった。
助手席に座る私は頭を抱えながら彼女がそんなことをするわけはないと思いたいがタクシーが止まり麗奈は降りるようにうながし逸る気持ちを抑えながらフィットネスクラブ内を進むと舞先生が姿を見せた。
「おはようございます。皆さんお揃いでなにか」
いえ、と私たちは会釈した。舞先生は今朝のテレビを見てないのかまったく話題を知らないようだった。
直感ではあるが彼女ではないようだ。
やはり……と疑いが芽生えた時に背後から声がした。
「あら沙耶香さんおはよう。それに今朝はお友達がお揃いのようね」
振り向くと流奈の大人びた笑みがあり明らかに口角が上がり私に何かを伝えていた。
“サインしたわよね”
それとほぼ同時に振り向いた背中から驚きの声がちいさくはっきりとこぼれた。
お姉さま……。
今度は私たちが驚く番だった。麗奈の表情には懐かしさや親しみ、困惑などいつもは見せない表情があり知らない顔があった。
流奈はご無沙汰ねと麗奈に挨拶した。
どういうこと?
一同が驚愕し硬直かつ緊張するなか舞先生が状況をそれとなく把握したのか取りなした。
「あの皆さんよろしかったらレストルームでお茶を……」
お茶をしている場合ではなかったが私は麗奈と流奈の間にただならない雰囲気や表情に交互に見つめていた。
しかしこの場において明らかに佐伯流奈はただひとり平然になおかつ余裕がある女王のような妖艶な笑みを密かにしていた。
このなかで女装をしていた私だけがただひとり女性ではないことにいたく重い現実と違和感を感じ自分を保つことが精一杯に思った。
流奈に陥れられた。
震える拳が私の感情をすべて物語りながら早紀も愛那も言葉がなかった。
最悪の週の始まりだった……。

No.145 18/01/19 15:06
作家 

一同はみな驚いていた。
私も早紀も愛那も。なかでも麗奈は流菜はかつて学生時代から社会人にいたるまでの間かつてレズメイトだったからだ。
あらためて流菜は名乗り名刺を私たちに四枚差し出しトランプのカードのように並べそれにはこう書かれてあった。
新星出版社 トランスセクシャル B & G 担当編集主任 佐伯流菜
「あらためて新星出版社の佐伯流菜です。よろしく」
「お姉さまが新星出版社の……」
「佐伯さんあなた……」
「流菜とは呼んでくれないのかな?セックスが下手な○○クン、いえ沙耶香さん」
カアッと頭が熱くなり思わずテーブルに並べられたカップが揺れるほどに憤りを感じたた。
「あなたという人は!?わ、私をどうしろと」
「沙耶香」
麗奈も正気に戻りあらためてかつてのレズ相手をライバルの人間とようやく認識するようだった。愛那は交互に見つめながら口を挟む。
「不当な契約書を作成したのではないですか」
不当な契約、眼鏡を輝かせながら見た目は小柄ながら根は真面目らしくライバル出版社の流菜を見つめた。
しかし相手は社会に出たての数年の若い愛那を鼻で笑いそこにはすでに作成され契約された契約書を彼女はバッグから出された。
契約された年月日は流菜のお宅で身体を交わしたあの日になっており水越沙耶香あるいはサヤカ名義ならともかく私の男性としての実名がはっきりと明記されていたことが物語る。
「これが不当な契約書かしら。年端もいかないお嬢さん」
「こんな沙耶香さん。あなた」
「仲間割れしてる場合じゃないでしょう?」
早紀はこれが不当な契約書であることは一目瞭然なのだが書類一式として揃っていることが事実としてあることが問題だった。
どうしました、と舞先生の明るい表情がこの時ばかりは双星出版社側の私たちにとっては少々ムッとするものだったが口に出すほど子どもでもない。彼女にも事情を話すとようやく飲み込めたようだ。
「つまり佐伯様と矢口様はかつてレズの関係で、沙耶香さんは佐伯様と契約をうっかりされてしまったんですね」
わかりやすい表現で言われるとそうなのだが普通に怒りたい気持ちさえ舞先生の悪気ない言葉に怒りが消火されてしまう。
スポーツしかしてない人て悪気がないだけにつかれると肩に感じた。オトコのバカな体育会系よりマシかなと思うのがやっとだったりする……かな。

No.146 18/01/19 17:28
作家 

とりあえず舞先生はともかく置いとくとして私と麗奈は流菜について複雑な表情を抱きながら彼女は私に契約書を差し出し言う。
「今日はわが社にお出でいただけなかったのはこちらの連絡不行き届きということですが、こちらも秋号に向け沙耶香さんを迎える用意があり遅くとも七月下旬ないし八月上旬には取材および撮影の手配をしたいと願います。もちろん沙耶香さんの望む撮影や取材を弊社はしたい所存です」
妖艶な笑みをしながら双星出版とさほど変わらない要望書を契約書と入れ替わりに眼前に出し冷静かつ淡々とする口調だった。
誰もが二の句が告げないように固まっていた。が麗奈はかつてのレズメイトに挑む姿勢を見せた。
「お姉さ……いえ佐伯さんはレズだったのでは」
性癖あるいは恋愛遍歴に関わることは女性でも繊細かつデリケートらしくわずかに流菜は瞳の色をかつてのレズ相手である彼女に向け愛情とそうとはちがう色を同時に向けた。
「そうね、レズはレズよ。いまも」
だけどと付け加えた。
「だけどあなたは誤解したみたいだけど私はあくまで家や両親などの体裁を繕うためにはじめは結婚した。だけどとりあえず男と女装娘の味は知ったわ。レズではあったけどバイセクシャルに目覚めた、ということかしら」
「誤解はしてない。あなたは私を捨てたんじゃない」
「麗奈」
「麗奈さん」
本気で彼女が悔しがるのを私や早紀は見たことがない。愛那は傍観しながらもライバル出版社に先手を打たれたことに悔しいことにかわりない。
契約書に不備はないか落ち度はないかと愛那は探すがわからない。担当になったばかりと私との不安定な関係が彼女本来の冷静さや能力を欠けさせていた。
流菜はほくそ笑む。
「なんなら麗奈も来る?沙耶香さんと共に。だけどあなたはこんなセックス下手な相手で満足するなんて」
「さ、沙耶香はそんな人じゃないわ」
「どうかしら?私は一回この子としたけど感じたのは少なかったわ」
憤る私や麗奈の前でぬけぬけと言う流菜。
おかしい……。
もちろん沙耶香さんのセックスが誰もが感じさせるものではないかもしれないけどひどいことは早紀が経験した限り少ないし満足ある行為なはずであった。
何かが腑に落ちない。
「とにかくあらためて正式な打ち合わせは七月にでも。お願いします」
勝ち誇る流菜が去るなか双星出版側は口を開けなかった。

No.147 18/01/20 05:35
作家 

舞先生は慣れない場で誰にも言葉をかけられず去っていく。
沙耶香さんかわいそう。
ふとちいさくそんな言葉が聞こえた感じがしなくもなかった。
そこへ愛那はメールが入り驚く。
【沙耶香さんを麗奈さんの部屋に戻さないこと。早紀さんの部屋にも。いまマスコミがマンションを張ってるから。あなたが責任を持って彼女を保護すること 主任より】
「ええ!?」
小柄な身体に似合わずレストルームに声が広がる。事情を察したふたりは言う。
「必要なものある?」
「沙耶香さんがこんな子に保護されるなんて納得いきません」
「だけど戻ればどうなるか」
一様に沙耶香を見つめ三人は吐息がいろいろな意味で重いらしい。私は麗奈に必要なモノはメールにメモし送り目を合わすか合わさないか微妙だった。
「私は沙耶香さんを部屋に送ってから職場に戻ります」
「私たちはマスコミの様子を」
「早紀だけで行きなさい」
ツンと麗奈は早紀に指示し彼女もまた頷く。担当はすでに外れた身だからなにもできないのだ。
「なんであたしが沙耶香さんと……」
「ファーストなんだから」
口を尖らす早紀に愛那は渋々私を連れていく。タクシーを拾い向かった行く先に既視感をおぼえる。隣町?
一年前を思い出す。早紀につまみ食いされたことを。
「あの……ここは?」
タクシーが止まり料金を払う彼女が降りた先はかつて見た早紀が住んでたマンション、しかもエレベーターで止まった先は同じフロアーで進んだ先は同じ部屋。
どうぞ、と招く彼女の部屋にわずかに嗅ぎ慣れた早紀の匂いが鼻腔にした。お茶を淹れ彼女は軽蔑の眼差しで見つめた。
「安易に契約書にサインしてバカなんですか。先輩」
「違うわ、ちゃんと事情を言えなかったけどただの紙だった。断言してもいいわ」
「ウソ」
「なんでウソを言わないといけないの。……ケンカして解決する?」
一拍置いた私に彼女は何も言えない様子だった。歳上で先輩、なおかつ女装で接することで彼女の目には同性でありかつての先輩なことに違和感もあるはずだった。
「仕事戻りますけどえっちなことは厳禁ですから」
ちいさな背中に意地のようなモノが見えた。扉が閉まり気づくと早紀の匂いは消えていた。
かつて早紀の部屋だったことは言いそびれた。
さてどうしよう……。また問題を抱えてしまった。馬鹿なのは私だ。

No.148 18/01/20 06:58
作家 

マンションに一度戻ると早紀はマンションがマスコミに囲まれエレベーターで部屋に上がると住人の誰かがマスコミを通したのか麗奈の部屋の前にリポーターやカメラが見えた。
「取材姿勢をまだあらわしてないから」
早く会社に戻り麗奈いや愛那な主任たちと姿勢を整わせないといけない。彼女は姿を音もなく姿を消した。
一足早くに双星出版に戻った麗奈もまた会社がある建物に一年近い前の様子を思い出させた。
また、沙耶香を白日のもとに……。
悔しさとかつてのレズメイトとの間に愛憎があるなかマスコミのなかをくぐり抜けようやく双星出版に戻るが電話対応や苦情があり主任が姿を見せた。
「沙耶香さんは」
「美如月にまかせました」
不本意だがやむを得ない。彼女が同意してないこともまた承知だが。
「社長は」
主任たちが言うにはいま各テレビ局や週刊誌に旨を伝える手筈をしてるという。
去年はノーコメントを通すことで事なきを得たが、今回はマスコミがそるを許すか否か。マスコミ対応は対応が間違えると人生をつぶされるおそれがある。ただでさえいまのマスコミは性問題についてはLGBTや性同一性障害にはアンテナを張ってる。女装者が女性を愛するなんてことを勘違いや思い違いして取り上げ吊し上げされることは間違いない。
誰の目にも麗奈の顔は青ざめていたが主任は言葉をかけた。
「愛してるなら守りなさい。それだけよ」
自分の仕事をなさい、と小説課に行きなさいと指示された。
だけど自分のデスクについてもペンを持つ手に力は入らない。
戻ってきた早紀や愛那は対応に追われた。
「ですから二重契約は不当です」
「今回の件は……」
結局彼女たちの対応は夜遅くまで追われた。
麗奈は担当を外されたことである種の安堵感と一方で虚しさに近い感じがあり帰宅した。マスコミが群がるなか部屋に入り愛する人……と沙耶香に複雑な感情を抱いた。
早紀と愛那たちは明朝対応に会議したが帰宅は認められた。
「ほんと軽蔑します」
「なら担当を外れたら」
「いやです」
痴話喧嘩みたいな匂いを残しながら愛那はむしゃくしゃしながらいつものように出来合いのお弁当などを買い扉を開けたがいつもと違う雰囲気が部屋からしたことに気づく。
「ただいま……」
「おかえりなさい」
沙耶香の声に顔を上げ驚くのだった。

No.149 18/01/20 08:59
作家 

愛那の鼻腔にあたたかい白いご飯、味噌汁、卵焼き、野菜炒めなど久しぶりに嗅ぐ家庭の匂いが伝わり驚いた。
「な、なにしたんですか」
「安心して。洗濯物は溜まってるようだけど手はつけてない。掃除を簡単にして風通しををよくして外出を少しだけしてお買い物しただけ」
変装を一応してと言い訳めいたようなに聞こえながらも部屋を見ると今朝とはちがう自分が掃除したちがう清潔な雰囲気があった。
「外出してマスコミに嗅ぎつげられたら」
「その時はその時。覚悟を決めたら」
愛那にどう接していいかわからない私だがとりあえず諭すくらいはし対等かつ女性として接する程度はふつうにしようと試みた。すると。
「ありがとうございます。忙しさにかまけてたので……」
「忙しいのはいいけどプライベートはちゃんと食べて遊んでリラックス♪あと寝てもいいから。えっちの寝るじゃないから」
慌て取り繕うと彼女はまるで初めて見る人みたいに感心ぽい瞳を見せた。
「なに?」
「いえ先輩、沙耶香さん。先生みたいです」
面倒だけど私は以前の職歴の保育士であることを伝えた。なるほどと呟きがあった。ご飯にしましょう。
掌を合わせお茶を淹れ箸の音をさせ勝手にお米程度は使ったが彼女はちいさく口を動かした。
「美味しい」
「いつも出来合いのものばかりみたいね。身体に悪いの知ってるでしょう?」
「だって」
「言い訳は……親御さんの前でして。私はあなたの兄でも姉でもないから。先輩扱いはいいけどそれは個人的な範囲なら構わない」
ある程度線引きをしとかないと感情的になるのでこちらから物言いを言わせてもらった。
「……はい」
「いまは食べて。元気だして」
「はい……」
早紀以上に妹感があり学生時代の開きもあるだろうからなおさら接しにくい。
食事を終え後片付けをしながらお風呂を進めた。
「そんな悪いです」
「悪いと思うなら先にすませて。美如月さ……いえ後輩に疚しい思いを抱かせないでくれる?」
思わず本音がこぼれた。彼女が自分をどう見てるかわからないから言葉が無意識に厳しくなる。
わかりました、と彼女はお風呂に向かい着替えの気配が風呂場に入りシャワーやお湯のあたたかさが伝わる。
女性化してるはずなのに性欲は人並みにあるのを内に感じた。
どういうことだろう?風吹先生に相談に行ったかたがいいだろう。

No.150 18/01/20 11:29
作家 

いつもより疲れた身体にシャワーが肌にあたりながらも沙耶香が自分より女子力が高いのではと思い少し悔しい。
だけどご飯は美味しかったのは認める。社会人になってから親元離れニ、三年であり家庭の味があった。
だけど憎いという感情もあり複雑さは否めない。恋であるのも認めるのはそれこそ負けた気がしてしまう。
麗奈や早紀たち他の同僚がふつうに接しているのも理解できないに等しい。湯船に身体を浸かりながら自らの成人を迎えたのによくても中学生程度の身体にコンプレックスを抱く。
吐息がこぼれる。
なにもあんな言い方しなくともと思うが突き放された言い方の方が気持ちいいこともある。
だけど……。
性経験がない自分がこんなお仕事に興味持ちいま沙耶香と仕事してるには彼ないし彼女にある。
「あれが男性の……」
日帰りの撮影の際に手に触れた感触は指にまだ残っていた。
上がりました。
突き放す言い方は似たり寄ったり沙耶香は九時の報道がいまだに二重契約の話題を流していることに見つめていた。
「入るわ」
「先輩」
「いまは話しかけないで。それと来客用の布団はあるわよね?」
あります、とだけ言うと来客用の布団を用意しないと気づき背中を見送り喉を潤し急ぎ布団を敷いた。
去年に実家の両親がたずねて以来の行為だが部屋は使ってなくいまだ段ボールが積まれた部屋に招くのは仕方ないと思った。
初めて異性が部屋にいるのに。
その頃私は性欲は内にありながらまったく異性の身体を求めない不可思議な気持ちがあった。
勃起はするが性欲が異性に湧かない。むしろ姿見に映る自らの姿に欲情してる……?
わからない。
だけど流菜に見せられた契約書も頭によぎる。
違和感があった。性交をした後にサインはしたが契約書ではなかったのは事実。
だけどどう証明する。
まだわからなかった。オナニーをしようとする気持ちを抑えながら湯船に浸かり下着はそのままに愛那が出した浴衣を身に付けた。
「すみません。引っ越したばかりなのでこちらの部屋に」
「眠れたらいいから。ありがとう」
「礼を言わないでください」
冷蔵庫から彼女がアルコールを差し出すのを見て手で制した。
「飲めないの」
「うそ」
「……ひとの言うことは素直に聞くもの」
とは言いながら性欲に素直になれない自分が言うものではない。

No.151 18/01/20 20:20
作家 

「……ここが二ノ宮先輩のお部屋……だった?」
黙っておくことも出来たが私が事実を伝えると愛那はグラスを持つ手が震えていた。私は淡々とするようにつとめた。
「そう。去年私は彼女につまみ食いされて何回かこの部屋に通ったの。身体の関係も含めてね。だから驚いた」
「驚いたのはあたしです」
驚くのも無理からぬことでグラスを置いた指は震えがようやく止まるほどに落ち着きは取り戻したようだ。
「なんの因果かな」
「知りませんよ」
「美如月さんにここに連れてこられた時に早紀さんの匂いがした」
「やらしいです」
「匂いがしたのは入った時だけ。あとは美如月さんの匂いしかしなかった」
これは本当。彼女が職場に戻る際にはまるで思い出のように早紀の匂いは消えていた。
「確認してみる?」
スマホを手にした愛那は一度は触れたものの離しグラスのアルコールを口にした。
しませんと。
「女性として複雑?」
サディストとしての嗜虐心か無意識な苛々な気持ちかわからないが彼女を虐めている自分がいた。それに彼女も少し気づく。
「最低です先輩」
少し沈黙が宿った。女性の心にむやみに踏み込むのは女性化し同性として接しているのと変わらないかもしれない。
「先輩ね……美如月さんは学生時代の私を知ってるのよね?下着を泥棒したことも○○町の×丁目あたりかしら」
それとなく地元の番地を示すと羞恥に彼女は顔を赤くしムキに瞳を向けた。
「ほんと最低っ……」
目を背けた私は眼鏡を外し彼女が見えないようにした。
たぶん彼女に罵られ傷つきたかったかもしれない。麗奈や早紀を抱けなくなったのだから。吐息をつき頭を下げた。
「ごめんなさい、と言えばいい?」
「ふざけないでください」
「なら私もひとつだけ言わせてもらっていい」
なんです、とちいさな身体のわりに内にしっかりした意思の存在が見える感じがした。
「撮影の時になんでオチ×チ×に触れたの。成人雑誌の仕事をしてたら陰部がいかにデリケートか清潔を保たないといけないのわからないわけないでしょう」
瞬間彼女はちいさく股を内に閉じたように見えた。内容に性的に感じるようだったが口には出さない。
「っ……あたしはファーストだから」
なんとなく言い訳めいた声にふと女性を感じた。性的に興味ありながら何かが拒むような頑なな感じがあった。

No.152 18/01/21 04:54
作家 

ちいさな愛那の口から吐息が溢れる。
浴衣姿の沙耶香の裾から大人びた女性下着から男性器の膨らみが見えた。彼女は思う。
男性なのにうつくしい、それでいてやらしい。
彼女自身の自覚は薄いが彼女もまた女装者の淫靡な美しさに魅入られたひとり。
しかし年齢に関係なく同性のスタイルに劣等感を持ったがゆえに劣等感に苛まされ異性との初体験を過ごすことなくいびつな思春期を過ごしその原因の一端は沙耶香にもあった。学生時代の沙耶香が下着泥棒をし異性の醜い一面を知りながら一方で男性でさえ美しくなれる女装の世界。
何かが相反してることは頭で理解しているが理解よりも彼女は性への好奇心には素直に従った。それがいびつやアブノーマルであろうと……。
「いいのよ。触っても」
「ああ……」
「どうしたの」
沙耶香を見つめる。沙耶香の女装モデルはフェチ作品『G-Taste』の水越沙耶香そのもので似てる一面がありながらも沙耶香オリジナルの魅力が見え隠れする。
愛那は静かに問う。
「ほんとにオトコなんですか」
「撮影で触ったでしょう?ほら」
浴衣の胸元を見るとブラのカップの裏にパッドが露になる。躊躇いがない。
ふとTバックに似たショーツの膨らみに手が触れるか触れないかとなった時だ。彼女の理性が留めた。
「せ、セクハラです!こんなの」
「自分はしといて」
「そ、それとこれとは……」
わかったわと頷く沙耶香。沙耶香も思う。これではモテない男性と同じ。
「だけどたぶんいまの私は異性を抱けないと思うのにからかう真似して悪かったわ」
「……っ」
しばし沈黙が宿るなか愛那は言う。
「今夜はもうおやすみしてください。お互いに疲れてますから」
「そうね、おやすみなさい」
沙耶香は段ボールに囲まれた部屋に意外なくらいにあっさり姿を消し消灯した。嫌がらせと誤解してもいい部屋なのに。
濡れてる……。
愛那はアルコールを口にし替えたばかりのパンティにちいさく湿り粘液が陰毛や肌に触れたかで気づいた。
襲いもしないなんて。
実は双星出版に入った当初に大学以来合コンに参加したがなかには合コンの最中や二次会だとかにセクハラまがいを受けたことがあるが大事にならなかった。同僚に守られたのもあるが。
『二重契約。社会人としてあるまじき行為ですね』
テレビは忌々しいようにまだ伝えていた。

No.153 18/01/21 07:56
作家 

比較的新しい布団の匂いがするなか私はまた道を誤るところだったといたく実感した。
セクハラです。
麗奈や早紀ならふざけて触れることもあるが真面目な後輩には通じないらしいことに一方で安堵していた。性欲が湧かないのにサディストとしては意思が働く。しかしセックスしたいとはちがう。
堂々巡りをしてるのはわかっているが女装してるのは女の装いの内に男性を持ちあるいは隠すこと……。
もぞもぞと浴衣の裾を布団の中であげショーツ越しに淫部に触れる。カウパー液の湿りはあるがオナニーや射精したいほどにいたらない。
欠陥人間。
そんな表現が浮かび消えた……。
難しく考えすぎもわかっているが根っからの性格は直らない。
扉越しに向かいの部屋の明かりが消え愛那が自分の部屋に入り眠りについたらしい。
……後輩には悪い先輩であり女装モデルであってもまだまだいたらない。
目を閉じ眠りにつこうとするがもやもやした気持ちは眠りにいかなかった……。
……。
眠れない朝を迎えまだ日が上がらないにも関わらず薄く寝ぼけたままテレビのニュースを目にしていた。
『『クロスドレッシング』の二重契約した……』
『このサヤカなる女装モデルは以前にも……』
『……また』
『新しい情報は……』
どのチャンネルも私を延々と叩いていた。以前の時より厳しいと思わせたのは企画AVの卑猥な表現は規制がAV業界にもあり叩きにくかったからだろう。
だが今回はちがう。
二重契約などは通常の会社関係取り引きにおいてもだが俳優やタレントのダブルブッキングあるいは所属事務所間の関係に響きタレント本人はおろか事務所関係者にも衝撃だからだ。
【おはよう、起きてる?どうする今日にでも持っていく? 麗奈】
麗奈からのメールだが言葉少ないのは必要ないこと以外は記したくないのと疲れからと察した。すでに起きてたのか。
【今日はかまいません。ひとりで出来る範囲をします。がんばってね 沙耶香】
返事を返しがんばってねの表現がいかに負担になるかわかりながらもあえて伝えた。
しばらくして愛那が扉を開けて顔を見せた。
おはようございます。
おはよう、と気軽さを装いながらも挨拶した。

No.154 18/01/21 13:50
作家 

愛那の食生活はちょっと心配。
朝からコンビニ弁当やパンばかり。居させてもらってるから文句は言いたくないけど口を挟みたくなる。もちろん私だってできた女装子ではないし麗奈と暮らす前は基本はだらしない男だけど。
「美味しくないですか」
「……いつもこんな食事してるの?」
「い、いつもではないです。買ってきたんだから食べてくださいね」
私が表に出ないためにコンビニの弁当やパン、お菓子などを大量に買い出かけさせないようにする配慮も見えるだけに複雑。私は遠慮がちに言う。
「隣町なんだからマスコミもそう嗅ぎ付けないはずと思うよ。麗奈たちには必要なものは持ってくるなり宅配してもらうけど食事は自炊したいし」
「……甘いです。マスコミについては。彼らは沙耶香さんの場所くらいすぐに」
仕事はできる子というちゃんと会う前の印象とはちがう子な印象。なぜファーストにつけたか疑問が宿る。
ごちそうさま、と掌を合わしコンビニ弁当をゴミ箱に捨てあらためて自室で出勤準備。
根は真面目、小柄で可愛いのになにかもったいない。早紀みたいにファーストになれないのも気の毒だけど。モデルが口に出すわけにはいかない。漫画家が担当編集に口を出すのと同じだ。
「くれぐれもむやみに出かけないでください」
「出かけるなということ」
しばし複雑な色が宿るちいさな瞳に力がちいさくこもる。
「くれぐれも、です」
ちょっとはハードルを下げるくらいの余地はあるらしかったが真意はわからない。
私は意見として言う。
「私も一緒に行こうか?社長や主任さんたちと話をしたいし」
だがこれはまずかった。
「だ、誰のせいでこんな目に遭ってるんですか。おとなしくしてください。ファーストマネージャーの言葉に従ってください」
有無を言わせない口調や態度に空気がぴりぴりした。
いってきます。
ちいさな背中が扉に消えてほっとする気持ちと先を考える複雑さが女装の私に宿る。
扉の向こうで愛那は吐息はついた。
ふつうのオトコよりは気にかけてくれるのはいいけど……変態。
女装はいいけどデリカシーない。まるで私生活がだらしないみたいに。
むしゃくしゃする気持ちを必死に抑えながら彼女は職場にむかった。
双星出版社はまだ混乱していた。
社長である神無月社長は社長室でひとり思案していたことを愛那たちは知らない。

No.155 18/01/21 14:59
作家 

あいかわらず二重契約でワイドショーは執拗に私を叩いていた。
サインをしたことが落ち度とわかるが不当な契約であることをどう証明したらいいのか……。
むやみに出かけないでくださいと言われいくらインドアでも落ち着かない。彼女の自室はのぞかないまで室内を歩いていると昨日私が寝た部屋で何かが足にあたりつまずきかけたが驚いた。
「卒業アルバム……。これ私の年度……」
学年が下なら本来持っているはずのない卒業アルバムでありよく見たら年度がちがう二冊の卒業アルバムがあった。
「なんでこんなのを……」
テレビを消し彼女がよぶんに買ってきたパンを口にしながらアルバムを開いた。男性時代は下着泥棒の件は別にしてそれ以外は恥ずべきではないが半ば思い出は遠くにやってしまったもの。
「図書室、図書委員の私……。体育祭、先生……」
なぜ彼女がこれを持っているのか疑問に感じながら頁を開くと各クラスごとの集合写真と個人の写真、……存在感を消していた私の学生時代。
ふと気づく……。
私の名前の下に何かを書いたような線の羅列か傷みたいなのが見えた。ペンで薄く文字らしいものが浮き出た時にスマホが鳴り出た。
「もしもし」
「……沙耶香いる?」
「麗奈さん。いますが……」
呼吸にやや落ち着きはあるが疲れが見えなくないような微妙さが聞き取れるなか彼女は言う。
「社長があなたに会いたいて。意見を聞きたいらしいの」
「私の?」
「他に誰がいるの。あ……ごめん。つい」
キツい言い方に気づきながらも電話の向こうなのだから一言くらい怒鳴ればいいのにしないのは気遣いからか……。
すぐに向かうと言うと先に制された。
「マスコミに見つかったらどうするの。私と早紀が向かうから住所を教えて……え」
住所を教えると少し麗奈と早紀の声が漏れたみたいだった。
電話が切られしばらく私はインターホンが鳴るのを待つと程なく鳴った。覗き窓からふたりを確認し開けると早紀は驚いていた。
「なんで沙耶香さんがここにいるんですか」
「私じゃなくて美如月さん」
「彼女のお宅が早紀が住んでたお宅?」
麗奈の拍子抜けした声にうなずいていると当の彼女も後から来た。
「先輩たち。なんで」
「なんでじゃないでしょう。追いかけてきたんでしょう」
とんぼ帰りしたであろう彼女は何も言わない。

No.156 18/01/21 16:19
作家 

双星出版のある建物の裏口に社長が寄越したリムジンからひとり、ふたり、三人、四人、五人とメイドが降り張っていたマスコミは少しざわつくがそこに彼らの目当ての沙耶香はいなく一様に肩を落とした。
「あれ社長付きのメイドらしい」
「神無月社長の」
彼らが口々に言うなか五人のメイドのなかに実はメイドに変装した私がいたことに彼らは気づかなかったようだ。
実は愛那の部屋にいた際に麻由と綾香が姿を見せ私をメイドに変装させリムジンに乗せた。
「メイドになるなんて」
「お似合いです」
奈々の恥じらう表現に言葉がなく双星出版のフロアーに麗奈たちも程なく追いついた。麗奈たち麻由たちに連れられ社長室に通された。
神無月社長はいつものように毅然と立っていた。
「よく来てくれたわ」
「この度は私がいたらないばかりに申し訳ありません」
「事情は昨夜聞いたわ」
彼女はメイドたちに場を去るように命じ残ったのは麗奈たち、後から主任が姿を見せた。メイド姿の私にちょっと驚きがあるようだが主任は冷静さが戻る。
「メイドとは考えましたね社長」
「サングラスやコートだと目立つけどメイドだと目は引くけどコスプレか出前と思うでしょう」
神無月社長と主任は付き合いが長いらしいが話題は私になる。だけど彼女は意外なことを口にした。
「確認したいのは沙耶香さんは不当な契約なのはたしかね。間違いない?」
「ええ、はい」
記憶を辿っても契約書でなかったのはたしか。だけど証明する術がなさすぎた。
なら、と彼女は怜悧な瞳で見つめた。
「あなたはどうしたい」
少し私は考えていた。マスコミに言われぱなっしでは胸が収まらない。ましてや流菜にもだ。
「マスコミに打って出たいです」
沙耶香、と麗奈たち女性たちは驚いたが神無月社長は指を組む。
「いい?前回とはちがうのよ。マスコミに出るのは思わぬ余波があなたやあなたの家族、場合には麗奈たちも危険に晒すわ」
息が思わず詰まる。マスコミは本人だけならいざ知らず家族や知人たちまで取材するのは目に見えている。
「ノーコメントを貫き通すのもひとつの方法」
昨年はそれで乗り切ったが今回はどうなるか先が見えない。
よく考えてと社長は部屋を後にし私たちだけが残った。
指や足が震え見えない恐怖や感情が身体に宿った。

No.157 18/01/21 19:34
作家 

主任は社長室にあるテレビを点けそこにはマスコミに囲まれているリアルな映像の彼女がいた。
『サヤカ、水越沙耶香の二重契約についてどう思われますか』
『社長、コメントを』
『答えてください』
リポーターに囲まれながら社長は毅然としメイドたちに守られながらリムジンに乗り颯爽と去っていく。
麗奈は主任に振り返る。
「社長はどこに」
「答える必要はないわ」
「っ……」
私は立ち上がり主任に瞳を向けた。
「マスコミに出てはいけないんですか」
「不利になるのが見えていて相手の思うように利用されるかもしれないのよ。社長や矢口たちの気持ちがわからないあなたではないでしょう」
それだけ言うと主任は去っていき残されたのは私、麗奈たち三人の女性であった。
窓の外を見るとマスコミはさらに騒がしくなっていた。
その同じ頃流菜は新星出版の社長室に今回の件を報告していた。
「サヤカ、水越沙耶香は限りなく私たちの手元に入ることは間違いないでしょう。七月には撮影の打ち合わせ。ウフフ、彼女いや彼は淫ら罠にはまった牙の抜けたオオカミ……」
彼女の報告に社長は疑いを持つ瞳を向けた。
そうかな、と。
「どういう意味でしょう。一度寝ましたが私はあいにく感じませんでしたが……?」
社長は再び彼女に背を向け退室するように命じた。
「どういうこと」
扉の向こうで流菜は沙耶香との情事を思い出す。微かにショーツやストッキングのセンターシームを湿らす程度だが感じるにはいたらない。
とにかく沙耶香に対して包囲網を整える必要があり居場所を突き止める必要は……いやその必要はないことに気づく。
かつてのレズメイト麗奈の下にいるのだから。
あのコも欲しいところだけど。
流菜があやしい笑みをしていた頃私は麗奈に必要なものを受け取っていた。
「下着に服はこれでいい?」
「ありがとう……」
「私が担当を外れなければこんなことには」
ふたりが見つめあうのを早紀は口を挟む。
「誰が担当でも同じと思います。モデルのプライベートまでは見守られませんから」
厳しい言葉に麗奈や愛那は目を合わせなくちいさく見えた。
「早紀さんは私を軽蔑したようね」
私の表現に彼女は頬を叩くかと思えば左右に痛く引っ張り言う。
「ええ、軽蔑しました。感情的になって一人前の男気取りですか」

No.158 18/01/22 05:05
作家 

愛那の目には沙耶香たちの三角関係がいびつなものに見えた。
しかし程なくしてのことだった。
『しかしだね。沙耶香さんかな。キミが二重契約したことは新星出版は認めているんだよ』
『それは間違いです!私は契約書にサインはしたおぼえがありません』
『おぼえがなくても新星出版側はこうして我々マスコミに彼らは提示してるんだよ』
『っ……』
沙耶香は直接画面に映らず生放送の際には刷りガラスの向こうで拳を握り共に付き添う愛那と早紀は気が気でなかった。
どういうわけか社長は沙耶香の二重契約の件に限りはマスコミ出演、週刊誌の取材については認めていたが結果は芳しくなかったのは目に見えていた。
どのテレビ局も週刊誌もこぞって沙耶香に非があると報じ庇う人物はいない。
カット、ご苦労様でした。
Fテレビ系の『まるっと特報!』の生放送を終えた沙耶香たちは出演者やスタッフに頭を下げながらも次のテレビ局に向かうも局の前にはまた取材陣が連なるようにカメラやマイクを向け社長が用意したリムジンに乗り向かう。
早紀は口を尖らす。
「誰も聞いてくれませんね」
「遠吠えなのは理解してるわ。だけど声を上げないといけないと思う」
冷ややかに愛那は言う。
「無理です。あたしたちに勝てる見込みはありませんよ」
弱音や吐息する彼女に私は何も言えない。マスコミの前に出れば出るほどに不利になっていく。
綾香はリムジンのなかで実家や学校関係者たちまで取材するマスコミを車載テレビで流していた。
映さないで、と言うと彼女はあっさりテレビを消した。
その同じ頃麗奈は本来おこなうべき仕事とは別に新星出版社をたずね流菜にアポイントメントを取ると意外なほどあっさり通されたことに驚いた。
「お姉さま……いえ佐伯…さん」
エレベーターの扉が開いたところでタイミングよく彼女が真正面に立っていたことに胸がかつてのようにときめく思いといまは敵なんだからと葛藤する思いがよぎった。
ティールームに通されるが設置されたモニターには同じFテレビ系の『特ヤネ!キンヤネ』で質問攻めに遭っている刷りガラス越しの沙耶香の姿と声が伝わる。
『ですから不当な契約だと』
バカね、と流菜は麗奈にコーヒーを出しながら呟くのを耳にした。
ハニートラップにかかったんだわ。麗奈は爪が掌に食い込まんばかりに握った。どうにかしないと。

No.159 18/01/22 13:31
作家 

沙耶香がそちらに記した契約書を拝見させてください。
私的感情が移入しないように麗奈は単刀直入に申し入れたがあっさり遮断された。
「お断りします。他社の人間にそうそうあっさり見せるわけないでしょう?ニャンニャンれいな♪」
「っ……あ、あだ名で呼ばないで。それもふたりだけの……」
流菜は口許で笑う。ニャンニャンれいな、それはレズの間柄であった同士の彼女のあだ名。
ちなみに流菜はタチっ娘と言っていた。彼女は珈琲を口につける。
「契約書は見せるわけにはいかないのはあなただってわかるでしょう」
「わかってますが。ですがお姉さ……佐伯さんはOLを退社して家におさまってたのでは」
「お姉さまとは呼ばないのね。構わないのに」
呼べるわけがない。同業者かつライバル出版社の人間なのだから。
流菜は語る。
「たしかにあなたとのレズをやめて一度は家庭におさまったわ。子どもは長女がひとり長男がひとりの姉弟。主人はいいひと。だけど性にはふつう。初めての本当のセックスで感じたし女性としてのしあわせについては主人に感謝もしてる」
髪をかきあげ数年前にはなかった落ち着きを醸し出しながらも独身女性にはない魅力があり特有のフェロモンが伝わる。
「だけど家庭だけでは退屈。そんな時に近所にこの会社で働いてる若い子から聞いたの。出版社で働いてみない?ちょっと変わったところだけどと誘われて」
はじめは手伝いやアルバイト扱いだがいまは正社員に近い立場であり社長から一目置かれているとかいないから。彼女は窓外を見つめる。
「主人のおかげでバイセクシャルにもなれたし女装子は可愛いし。お金が入ってオチ×チ×がついた女の子、女装はおいしいわ」
舌を口許で動かし滑らかに艶がある色気がむかしよりあった。
ふとレズ時代がよぎり甘美な雰囲気を感じた。しかし再び裏切られる。
だけど、と彼女は言う。
「あの沙耶香というのは私からしたら童貞少年みたい、いえそのものかしら。あなたあんなので満足なの?」
「……し、失礼でしょう。さ、沙耶香に。それに沙耶香はあなたが思うほどにセックスは下手じゃないわ!」
テーブルを叩かんばかりにプライドに踏み込まれたことに声を出し社員たちがこちらを見つめ顔を赤くした。
どうかしら、と流菜はちいさく笑みし勝ち誇っていた。
女性化のせい?それともお姉さまが上手なのか。

No.160 18/01/22 15:45
作家 

悔しさに麗奈は打ちひしがれながら双星出版に戻った。
また一緒にレズしましょうと甘い囁きに危うく耳を傾けそうになる自分が少しでもいたことに心から羞じらいプライドが傷ついた。
「麗奈さん」
「いまは言葉かけないで……」
早紀や同僚たちが気遣うぶんよけいに傷つく思いがしたが気づけば愛那がいないことに気づく。
「美如月は?」
「今日は帰りました」
「沙耶香さんを匿うのと引っ越しの後片付けがあるとかで」
今朝にたずねたばかりだが彼女と沙耶香がうまくやれているか不安になる。主任が諭す。
「気になるなら様子を見にいけば?」
ところがこの言葉がもとで沙耶香にいろいろな意味で裏切られるから男女(女装とはいえ男性)間からまた大変なことになるとは露にも思わない。
「早紀もいく?」
「古巣ですよね」
以前の彼女の部屋だから躊躇いはありながらも彼女もついてきた。
インターホンを鳴らすと愛那が不機嫌そうに扉を開けた。
「先輩方なんとかしてくださいよ」
ふたりは顔を見合わせ招かれると部屋では沙耶香とメイドの麻由に奈々がいた。
「やだ麻由さんたら」
「え〜、コスプレイヤーなんてオタクからやらしい目で見られるもの」
「スゴい世界ですね」
事情を聞くと麻由と奈々はこれさいわいにと沙耶香のメンタルケアを兼ねているはずだが会話を聞く限りただのプライペートトーク。やらしい会話をしてるわけではないが麗奈早紀ともに神経に障ったらしい。
「沙耶香!」
「沙耶香さん!!」
剣幕あるふたりの声にようわく私は存在に気づいた。
「あ、……ふたりとも」
「なに遊んでるのよ!」
「そうです!今日のテレビ出演で落ち込んでるかと思ってたら」
愛那は目を背け呟く。
「帰ってから遊んでばかりでした」
「何しに匿われてるかわかってるの!!」
「今後のためですよ」
後ずさりながら久しぶりに冷や汗をかいた思いがして頭を下げた。
ごめんなさい、と。
しかしふたりの言葉は容赦ない。
「ここまで馬鹿だったとは思わなかったわ」
「ほんと軽蔑します」
ぐっと言葉に詰まる私を麻由たちは庇う。
「気分転換しただけですわ」
「それにこれは個人的な時間です」
愛那は思う。ここは私の部屋、私物化しないで。
「ご、ごめんなさい。反省します」
怒りが消えるまで時間があった……。

No.161 18/01/22 17:43
作家 

これは何だろう。
修羅場というものだろうか。先輩、この場合は女装した○○先輩いえ沙耶香さんを擁護あるいは反発して矢口先輩側と社長のお付きメイドである星野さんたちが左右に分かれている。
当事者である沙耶香さんは唯一男性であるためか口を挟めないあるいは挟まないのか。テレビ出演を民放に生出演、週刊誌は数社に限り取材しその疲れを星野さんいえ麻由たちが癒しプライペートトークしてたところに矢口先輩たちがあらわれいまにいたる。
「能天気な話をして」
「個人的な話をしたり遊んだりしてはいけないんですか」
「いまがどういう時かわかってるの」
「沙耶香さんはメイドのあたしたちと話をしてただけ」
四人の女性が女装の先輩をさながら奪い合うみたいでなんとも驚きと奇妙な新鮮さを肌に感じ見つめる。そっと沙耶香に話しかけた。
「いいのですか。ほっておいて」
「……迷惑かけて悪いわ。ちゃんと止めるから。いえ止めてみせるから」
この人の言葉遣いや表現、仕草は女性そのもの。だけどオチ×チ×に触れたのを思い出し顔を赤くし下半身がじんわり熱いなか四人の言い合いは止まらない。黄色い怒号が飛び交う。
お茶を口にしようやく沙耶香は口を開いた。
そこまでにして、と。
まず沙耶香は矢口先輩たちに頭を下げた。
「ふたりとも疲れたところで来てくれてみっともないところを見せて心から謝るわ。ごめんなさい」
ふたりの先輩は何か言いたげだが言えない。表情に好意以上の気持ちが見えた気がした。
次に星野さんいえ麻由さんたちにも頭を下げた。
「こんな時にお友だち付き合いをしたいおふたりの気持ちを汲んだ私がまずかったみたい。空気を読むべきだった。気分を悪くさせてごめんなさい」
沙耶香さまとふたりから呟きが漏れた。様という表現がひっかかる。
直感が何かを言っている。○○先輩いえ沙耶香さんは四人とただならない関係……らしいと愛那のなかの女性が諭すように伝える声が聞こえた。
先に口火を切ったのは矢口先輩。
「明日も取材あるんでしょう。悪かったわ。押しかけて美如月にも」
すみませんと早紀も頭を下げ続いて麻由たちも頭を下げた。
くれぐれもふたりとも身体を壊さないで、と麗奈の言葉を最後に四人が去っていき愛那はほっと肩を下ろした沙耶香を見つめた。
一言。
ごめんなさいと謝られた。意外な言葉が耳にした。

No.162 18/01/22 20:49
作家 

謝られるなんて意外な思いがした愛那だった。
さんざん撮影先で傷つけ無理を押しつけたのにそれについても口を出さない。女装であり男性なのに異性に頭を下げることにプライドが傷つくことはないのか。湯船に浸かりながら自分が無闇に傷つけたか少しだけ理解した気がした……。沙耶香が下着泥棒した件はまた別かもだが。
……。
上がりました。
今夜もまたテレビ報道に沙耶香の瞳は複雑な色で見つめていた。
「入ってくるね」
言葉少なであり麗奈たちにもいつもより少な目な雰囲気だった。声をかけなければ……。
「先輩」
「なあに」
「あの、よろしかったらあ…あたしの部屋は片付いてるので今夜からは……寝てください」
「上がってから聞くわ」
女言葉で意識的に避けてるようにもあえて聞かないようにもする壁があった。知らない人と接する感じが皮膚感覚にあった。ちゃんと話したことがないのは学生の時も去年もいまも同じ……。
喉を潤し段ボールがある部屋から布団を持ちとりあえず自分の部屋に持っていきベッドの隣に敷いた。
胸の心音がいつになくドキドキとした。先輩だしオトコだし女装だしとわけのわからない表現の羅列が並ぶ。
リビングに戻り報道からバラエティやドラマなどにチャンネルを変えるが報道に戻してしまう。
「さっきはなに言ってたの」
思わず手にしたグラスのなかのアルコールが揺れるなか落ち着きを取り戻す。聞いてなかったの、ムカつく……。
「こ、今夜から私の部屋で寝てくださって構いませんから……」
背を見せ冷たいお茶を口にする沙耶香から石鹸やシャンプーの匂いから異性の匂いが静かに漂う。振り向いた沙耶香は吐息する。
「いびき」
「はい……?」
「私いびきがあるから睡眠妨害や邪魔になるから……多少狭かろうがキツかろうが寝られたらいいの」
「ひとが親切にしてるのに」
「ちゃんと聞いてからにしてよ」
「だから聞きましたよ」
なんて口の利き方に愛那はムッとした。聞いてないのが悪いのに。沙耶香は口を開く。
「ためしに今夜だけいっしょする?」
「え、えっちはなしですよ……」
声が震えている。先輩それも女装の先輩が隣に寝るんだ……。
「しないわ」
意外にあっさりとしている。普通の男性なら異性が大人びてようが多少未熟な身体でも性欲があるはずなのに。
自分の部屋に招き消灯した……。

No.163 18/01/23 05:52
作家 

先輩寝ましたか?
……。
沙耶香さん?
「なに?」
返事があった。わかりやすい。愛那は先ほどの疑問を聞いてみた。
「なんで矢口先輩たちに謝ったんですか」
ああ、あれと面倒くさそうながらちゃんと答えてくれた。
「あの場合は私が悪いんだし謝った方が麗奈も早紀さんも麻由さん奈々さんにもいいの。最悪こじれる時はこじれるし……」
何か言いたげな感じがあったが無闇に争いは好まないことを感じたがなのにマスコミには打って出る。変なひと。
「何も謝らなくても」
いいの、と薄い暗闇のなかで沙耶香の自然な瞳は優しくもありちょっと何かを秘めたような落ち着きもある。
先輩……。
「沙耶香」
「……沙耶香さんガールズトークしません?」
「寝ないと身体がもたないわよ」
食指が動くのがわかりやすくおもしろい。ある意味ウソがつけないひととわかる。沙耶香が身体を起こし眼鏡を探すが見つけられないらしくそのまま見つめた。
「なあに」
子どもみたいな接せられ方は少し納得しないけど。なにを話せば……。
「先輩……いえ沙耶香さんから見てあたしは魅力ない女の子ですか」
「おやすみなさい……」
答えたくないのか布団を被る沙耶香に枕をぶつけた。いたっ。
「なにするの」
「答えてください」
呼吸をし沙耶香は答えた。
「別に魅力がないなんて思わないわ。ちいさい身体が好きな異性もいるでしょうし外見が可愛いならフリルやレースのついたおしゃれな服着れそうだし」
「子どもっぽいです」
「いつも堅苦しいスーツしか着てないからでしょう。お仕事ができるのは立派だけどプライベートは遊んだりおバカしたらいいの」
欠伸混じりな声に真剣に答えてくれる実感があり気づくと頬から水滴が一滴流れた。
「……ごめんなさい先輩」
「なんで泣くの」
「傷つけて」
「気にしてないから。寝なさい」
頬に掌を触れられながらキスくらいしてほしいくらいの保護欲みたいなあたたかいものが胸の内にあった。
「……なんで優しくするんです」
「いまいがみ合ってお互いに得する?もとはといえば私が佐伯さんの色香に迷ったんだから。悪いのは私」
色香、そんなものがあるなだろうか。愛那は自分にも女性の匂いがするのだろうか。
試してみたい衝動に駆られたがいまはやめておこう。布団に入りそっと下半身に触れた。

No.164 18/01/23 15:40
作家 

処女っ!?
ふたりで飲んでた麗奈は早紀の言葉に驚いた。
「美如月が。まさか」
「だっておかしいですよ。たしかに彼女はモデルさんを勃起させて挑発的かつ色気ある構図や写真を使って実力はあると思いますけど」
ビールを口にしながら愛那が関わった資料を見る。たしかにいくつかは男性器に関わる仕事が目立つ。
「だからて処女だなんて」
「見ましたよ。沙耶香さんの撮影の時に彼女オナニーしてましたし他の子達にも確認取りました」
「仕事はできないのにそういう情報は早いのね」
麗奈は彼女の足回りの早さ認めるがいまいちそれが生かされてるように感じない。
早紀はビールを煽りつまみを食べながら愚痴りテレビをみつめる。
「バカですね沙耶香さん。ノーコメント貫けばいいのに」
「ホントバカ。だけど私も馬鹿」
「そんな麗奈さんは」
麗奈の表情にもいくぶんの陰りが見え新星出版社で何があったかおぼろげに察しがつかないわけない。
かつてのレズ相手、こっちはかつていじめた相手が女装の世界に来るなんて。
「お互いさまです」
「何が?」
「こっちのことです」
早紀は沙耶香が精神面の女性化が進めばいずれは肉体関係さえなくなるのかと懸念してしまう。このしあわせな三角関係が破綻してしまうのか。
麗奈もまた思う。
沙耶香のセックスが下手になったのか流菜が経験ある人妻なのか。あるいは女性化によるものか。
じっと早紀は報道を見つめており少しいい瞳をするようになったみたい。以前なら他人の失敗を密かに喜んでたらしいがいまはそんな邪な思いは見えない。
「マスコミに出たら傷つくのに」
『二重契約などはタレントによくある問題であり……』
ふたりとも報道になにかがひっかかる。意図して新星出版社が流している雰囲気がある。
「ホント馬鹿」
「沙耶香さんに、ですよね?」
「当然でしょう。色香に迷ってハニートラップそのものだし」
ハニートラップ、よもやひっかかるなんてとも思うが女装していくら女性ぽくても男性でもある。男性であることを自分たちも忘れていたのか。
吐息がこぼれる。
夜は長いがまた明日がある。この騒動はいつまで続くのか。
報道の声が耳に遠くにも近くにも聞こえた。
言えないなと早紀はちらっと思う。
社長のところで女王様にもされそうだしなに考えてるの社長は…… 。

No.165 18/01/23 20:00
作家 

取材やテレビ出演をして二重契約は不当と訴えるもなかなかテレビ局はおろか視聴者には通じなく芳しくなくすでに一週間が過ぎた。
「テレビ局のお弁当や食堂にも慣れたけどね」
何しに行ってるんですかと早紀と愛那は睨みながらも彼女たちも局のお弁当は食べない時は持って帰り食費を浮かしていた。
今日のリムジンのドライバーは麻由。メイドの姿でリムジンを操るからたいしたもの。会話は聞いてるはずだが口は挟まない。
「なに考えてるんです?」
早紀は沙耶香に聞いたが答えは意外なものだった。
「なにも考えてない。相手がどう出るかなくらい」
「なにもて」
軽蔑すると以前に言ったがなにも考えてないは口をあんぐり開けないばかりだ。愛那が口を挟む。
「窮地に立ってるのわかってますよね」
「だから取材して訴えてるんじゃない」
だけど沙耶香の手には各テレビ局のディレクターやプロデューサーなどからの名刺がさながらトランプカードのようにあった。最近では二重契約の件よりバラエティやドキュメント番組などに出演してほしい依頼があったが保留である。
「なに考えてるんです」
「だからなにも考えてないから」
ちらっと早紀は本気で軽蔑しかける自分がいることに気づく。誰もが見ても徒労ではないかと怒鳴りかけた時に沙耶香と同時にスマホが鳴りふたりしてそれぞれ見つめた。
【今夜沙耶香様と早紀様をヴィーナにお招きします。神無月舞】
ふたりしてぎょっとするなかリムジンは隣町の駅前で止まり愛那が先に降りた時だ。
「沙耶香さん?降りないんですか」
「……ち、ちょっと急用があって麻由さんに連れていってもらうところがあるから」
「私はついでよ」
早紀は沙耶香の声が小さく震えてるのがわかる。うまく誤魔化せないぎりぎりな境界線。
そうですか、と彼女はドアを閉めた。
リムジンは颯爽と街中を抜けふたりして吐息した。
「うまく誤魔化してください」
「私のせい?」
早紀は目線で応えた。しかし麻由は答える。
「申し訳ありません。神無月様の意向ですので」
週末金曜日。
隣街を抜け自分たちの住む街を抜けようとした時に麻由はミラーを気にした。
「二台タクシーが尾行してます」
え、とふたりして後ろを振り向きさながらスパイみたいに伏せて見た。
「マスコミかしら」
郊外に入る前にまきますと麻由は言った。

No.166 18/01/24 04:59
作家 

まいたみたいです。
麻由の言葉を聞きながらふたりで顔を青ざめていた。フツウに運転してと言いたかったかにちがいない。
リムジンは例によって神無月社長の邸宅かSMクラブ“ヴィーナ”に入っていくが私たちはここで思わぬ出会いがあることを知らなかった。
相変わらず通された部屋はスイートルームみたいな感じなゲストルーム。綾香が現れ黒い女王様のコスチュームを見せ着替えるように命じた。
「着替えるの?」
はいとわずかに羞じらう表情が見え早紀がいるにも関わらず着替えないといけないらしい。一枚一枚ブラウスや下着を脱いでは交互にブーツやコルセットを身に付ける。
キツい……。
そう思っていたら早紀がちらっと見ながら口を開いた。
「セックスはできないのに女王様にはなるんですね」
皮肉らしかったが私は綾香に風吹先生を呼んでもらうように願う。
「週末ですので来られるかわかりませんが」
「構わないわ」
少しばかりブーツや手袋のエナメルやPVC製の感触が蒸れるのではと思い慣れない。レースの手袋の方が柔らかくいいなと思ってしまう。
「早紀さんは軽蔑してるんだ」
お茶で喉を潤した。しかし彼女はわずかに甘えるような声を出す。
「だってこんなに好きなのに。私も麗奈さんも」
と彼女が声に出した時に扉が開かれ風吹先生かと思ったがちがった。
沙耶香!?
先輩に沙耶香さん!?
里沙と奈々に連れてこられたふたりは私の姿と私が早紀といることに驚きは隠せなかった。
事情を聞くと尾行していたタクシー二台は彼女たちがそれぞれ乗っており一度まいたはずだったがふたりは偶然か運よく邸宅に辿り着いたらしい。
「あたしが矢口先輩におふたりの様子がおかしかったので伝えました」
早紀がマンションに帰らなければおかしいと思うのは当然だし一週間も共にいれば愛那もまた怪しむのは当然かもしれない。
「なんで女王様みたいな格好に」
私たちは揃って事情を説明した。
SMクラブ“ヴィーナ”で女王様になる試験かショーらしいものを受けており早紀は事情を知っていたのに麗奈に黙ってたことに謝罪した。
「社長のお宅とはちがうと思うけど」
麗奈は驚きながら彼女が言うには別に邸宅があるらしかった。
女王様……、と愛那は私の姿に唖然としているらしかった。企画AVを見たと思うが違う何かはあるらしかった。

No.167 18/01/24 12:48
作家 

何をさせられるんだろう?
私の不安をよそに早紀は麗奈と愛那にこれまでの経緯を情報交換していた。
「公開オナニーショーみたいなことをさせられたですね」
“させられた”のも正しいが“した”と言うのも恥ずかしい。
「お、オナニーショー!?」
これは愛那。顔を真っ赤にする理由が私にはわからない。他人のぺニスに触れておきながら。女性はわからない。
麗奈は私に向き直り言う。
「なんで黙ってたの。美如月が教えなかったら知らないままだったし」
「よけいな心配かけたくなかったし巻き込みたくなかった……」
たぶんに早紀は本音と思う。恋人に近しいが恋人ではない。自分たちの三角関係は肉体関係が先で恋愛感情が後から来た感情。
以前から同僚たちにはおもしろおかしく茶化されながらも彼女たちもまた三角関係がどう決着つくかは双星出版社内では話題。あと一部の受付嬢くらい。
吐息をつきわずかに嫌みらしいニュアンスの麗奈。
「セックスできないのに女王様?」
「できないというよりしたくない」
「セックスできないんですか」
愛那の言葉に一同がしばし沈黙するなか早紀はつい口にしてしまう。
「美如月さん。あなた処女でしょう」
……。
これには私の瞳が何らかの期待と桃色の妄想、懐疑など複雑な色を含んだ眼差しがゆっくり動くなか彼女は慌てた。
「な、なんでそれを!?バージンだなんて」
図星だったかと同性の麗奈たちは思うが麗奈はちらっと私は見た。
「いまスケベなことを考えた?」
「あ」
「オトコはこれですから」
早紀の表現が端的なだけに女王様のままうなだれる私とは対照的に愛那は叫ぶ。
「名誉棄損です!訴えますよ」
早紀は言う。
「セクハラ紛いなことを沙耶香さんやモデルさんたちがもしも訴えたらあなたがセクハラよ?負ける方が高いわ」
もとスケバンらしく声に凄味があり言葉にも説得力ある。それは先の主任を含めた会議でも明らかであった。
「訴えないわ。安心して」
こういう時何故異性に優しくするのか私自身わからないところ。麗奈たちは納得しない表情にも諦めと共感があるようだ。
「また優しくする」
「訴えても沙耶香さんたちモデルも恥を晒しますし会社も」
愛那もまたうなだれる。ちょっとかわいそう。
「ふたりとも若い後輩をいじめて楽しい?」
今度は彼女たちも黙る。

No.168 18/01/24 15:17
作家 

お待たせしました。
今度は奈々や里沙が風吹先生を連れて現れた。
「さて今度は何?女陰恐怖症の再発、性的不能かしら」
この人は神無月社長と深い付き合いらしく女王様な私のまわりに三人の女性がいることに驚かないことに内心驚く。
しかし驚くのは愛那。
「先輩インポ……」
「ちがうわよ。しゃべらないで」
性的不能(インポ)なら何らかの形で諦めがつくかもしれないが性欲はあるのに麗奈たちを抱けなくなっただけ。その旨を風吹先生に話したが通常カウンセリングは他人がいるところで話さないものだけど……。
風吹先生はここ最近の私の性体験をうかがい舞先生との失敗、佐伯流菜との交わりなどなど。
カルテにメモをしながら美脚が艶かしく見え女王様のショーツの内で勃起しちょっといたい。
「どこ見てるの」
「いっそのこと逆アナルされますか」
麗奈と早紀は時々容赦ない。冗談を含みながら声が冷気を帯びる。
「ふたりは本気で沙耶香さんが好きなのかしら」
冗談めかしながらの風吹先生の瞳に黙るような仕草。女装でありながらも他の異性に目がいくのは気にするくらいはふつうの恋愛感情がある。だけどその先をどう表現していいか互いにわからないかもしれない。
沙耶香さん、と風吹先生は見つめながら組んだ脚から大人びたショーツが素足の隙間から見えた。
「っ……」
「ハイ。フツウの反応、私の下着を気にするくらいなら性欲はいつも通りかそれ以上はあるようね」
それ以上て。
愛那は沙耶香がどれだけ性欲があるのか本気で疑った。
だけどと風吹先生は言う。
「え……とフィットネスクラブの舞先生かしら」
「はい?」
「処女のその人と失敗したのが原因かしら」
ペンを揺らしカルテをトントンとしながらはっきり言う。
「自信喪失かしら?それが極端にマイナスイメージ化されて女性恐怖症の一、ニ、三……何歩か手前な感じというのが初見」
女性恐怖症の手前、これには一同唖然とするなかさらに彼女は聞く。
「ついでに聞くけどその佐伯流菜さんとはいつものようにリードないし主導権は取れた?」
いえ、と私は彼女にのみ込まれたような雰囲気があり童貞少年のようなセックスをしたといまさら感じた。
「このふたつのことが原因かしら」
人差し指と中指を立てわかりやすく示し風吹先生の端正な表情に頷くしかない。
ハイと答えた。

No.169 18/01/24 19:12
作家 

ハイと答えたがすべてにおいて認められない気持ちもあった。
舞先生の初体験は失敗に終わり流菜には裏切られた思いは事実ある。だけど無為に異性に優しくする自分もいる。
セックスの時は人がちがったソフトサディストの一面が出てくる。性癖をコントロール仕切れてないのは伝わる。
だけど、と風吹先生はつり上がった瞳で麗奈たちを見つめる。
「あなたたちも沙耶香さんに甘えてないかしら。この人とセックスしてたら幸せて。だから他に何もいらないから愛してください愛しますからとか」
な、と麗奈早紀共に同じ表情をした。自分たちが診られるとは思わなかったらしい。彼女は続ける。
「リードする時も大事だけど優しく見守るのも女性の役目。三角関係でそれはムリかな」
何も言えないふたりは当たらずとも遠からずみたいに指を小さく握る。多少なりともプライドは傷ついたようだ。
「時には本気で競争する時も大切。マンネリにならないように色気で沙耶香さんを元気づけるなり勃起させたら自信喪失は吹き飛ぶわ」
ふたりは思う。
本気で……。仕事もプライベートも馴れ合ったとは思えないけどライバル……ライバルよね。
奇せずして同じことを思う。
次に風吹先生は単刀直入におくびなく愛那に目を向ける。
「あなた処女ね」
「……!」
「処女なのによくアダルト業界に入れたもの。好奇心は旺盛だけど異性は怖い、だけど興味ある。興味ある異性は近くにいるけどなかなか手を出したくても出せない」
いいように言われわなわなと震える彼女の手を私は思わず握った。
「そんなことあなたに……!」
瞳から水滴を流す彼女を庇うように私は風吹先生を見つめた。
「ま、言い過ぎたのは悪かったわ。だけど処女のままアダルト業界にいたら女性としては不幸せになるかもしれない。ちゃんと相手を見つけることね」
「……はい」
ここまで言われて本音は怒りにごうごうと燃えてるくらいに握り拳が熱く痛いように思えた。キッと睨む愛那は脆い少女が持つ女性としての感情らしかった。
裏を返せば麗奈と早紀もこの感情をいままでコントロールしていたかもしれない。
帰るわ、また機会があったら診るからと風吹先生はカルテを直し背を向けた時だ。
口でおぼえてなさいと呟く麗奈、ベーと舌を出す早紀、ただ睨む愛那。
見てはいけないものを見てしまった私の気持ち誰も考えないの。

No.170 18/01/25 06:49
作家 

とはいえこんな表情を私も知らずにしているかもしれない。
生出演や取材の時にどんな表情を撮られているか意識してない。基本は刷りガラス越しや目線は入れるようにしてるが。
気づくと麗奈と早紀が私を挟んで火花が散らんばかりに見つめてる。そっと愛那の方に逃げる。胸中ごめんなさいと誰に謝ってるのか。
「なんなんです」
「社長の知り合いのお医者様。ちょっと表現はキツいけど」
「処女でいけないんですか」
「……気にしないでと言っても無理よね」
そっと諭すような言い方で少し彼女は落ち着きを取り戻したよう。性的なことは著しく本人にしかわからない劣等感やプライドを傷つける。
「麗奈、早紀さん」
なにとふたりに見つめられ腰が引ける。前にもこんな場面があったようなとよぎり頭の中で振り払う。
「お、遅いね。今夜はなにをさせられるのかな」
知らないと麗奈は言う。それはそうだ。下手に黙ってたことが飛び火してしまう。恋愛関係や仕事関係から関係が始まっててもいまのような状況になってたかは想像にいたらない。
危機感に立たされると“男”を意識する。
“だってあなたはオトコだもの”
沙耶香が頭の内で囁く。
性同一性障害ならとっくに性転換かその準備にしてるかもだけど男の快感を持続し女装であり女性でいたいと願う。
我が儘。
“そう、我が儘”
「先輩、いえ沙耶香さん?」
「ううん、なんでもない」
沙耶香に語りかけられると意識が解離してるらしい。彼女は深層意識か潜在意識の存在あるいはすでに意識のなかで仮想に作られた存在か人格か。身体は私が持ち動かしてるのに……。
自信喪失、これは私自身が女装に関係なくもとからのメンタル的な弱さかもしれない。
「いつまでくっついてるの」
「してませんよ」
愛那から手を離され幸か不幸か。
そこへ扉が開かれ綾香に招かれた女装者に愛那と麗奈以外は驚く。
「先輩に沙耶香さん。なんで……」
そこには中性的な面立ちで似たような女王様スタイルで透子がいた。
知り合い?と聞く麗奈たちに私が事情を話し早紀は思わぬ出会いに困惑が隠しきれないでい。
ふたりの女装の女王様と麗奈に早紀にそして愛那、複雑な人間関係のように思えた。
何をさせられるのか懸念していたら神無月社長が現れ伝えた。
ファッションショーをすると。
SMではなくて?

No.171 18/01/25 08:05
作家 

ファッションショー?
同音異義語でみな一様に社長を見つめるなかルールを彼女は伝える。
沙耶香、透子のふたりではじめのみ女王様スタイルだか後の九回はコーディネートしファッションショーするという。ちなみに演出は通常のショーに準じるが性的なショーも用意するという。性交の有無を含め。
軽くめまいをおぼえそうで帰っていいかなと逃げたくなった私をよそに麗奈は口を挟む。
「なにをやってるんですか、ここで」
「いまは言えないわ」
怜悧な瞳が場にいる全員を射ぬくようだ。帰るからと麗奈が私の手を引くが先ほどの思いとは別に迷いや葛藤の内に何をされることへの淫靡な期待もまたありそう。何より自分と同じ女装者を雑誌やネットを除いては生で目にする機会は少ない。
沙耶香。
「不本意だけどここまで来たら付き合って。お願い」
妙に自分のなかで言葉がつながってない感じだが麗奈は椅子に座り直す。だけど手は離した。
「私と透く……透子さんのコーディネートは?」
「いるじゃない。一部ふたりほどオマケがついたみたいだけど」
麗奈と愛那をあっさりオマケ呼ばわりする。あまりプライドを傷つけるのは控えてと思う。
「あたしたちが沙耶香さんと透……のコーディネートするんですか」
早紀は驚く。
「他に誰がいるの。麗奈たちがいなかったら彼いえ彼女は綾香たちにお願いするつもりだったわ。だけど好都合」
なんにでも前向きなのか後には引けないかわからないけど神無月社長はバイタリティある。見た目だけなら有能な秘書なのに。
「ちょっとオトコ同士でファッションショーとは別な話しをしていいですか?」
おそるおそる逃げるように透…透子の側に向かい部屋の隅に誘う。女王様のやることではないなか女性たちの視線が背中にあるなか彼に聞く。
童貞……?
「ち、ちがいます」
「早紀さんに奪われた?」
小さく頷く。思わず口にできないほどの想像がよぎったがそれはオーバーだろうと頭の隅から消した。過激な想像とだけ読者に伝えましょう。
童貞なわけはない。仮に本人がサディストであっても性癖は自覚するものされるもの。
ん?透子さんもサディスト……?
ということは早紀さんを虐めたいのか。ダメ、袋小路に入る。
私たちが話している間にチーム分けは出来たようだった。
私に愛那、早紀。
透子に麗奈。
麗奈さん怒ってる?

No.172 18/01/25 12:20
作家 

女装子や男の娘(こ)のファッションショーは何度か耳にしてたし最近では大学やイベントなどでも行われるがここはSMクラブ。SMクラブでファッションショーに違和感があったりなかったり。なかには女王様やM奴隷が身に付けるランジェリーにフェチな性癖がない者がいないわけではない。
ちらっと麗奈を見ると複雑な表情に微かに視線に威圧感。
「透くん、いえ透子ちゃんね。よろしくお願い」
「こ、こちらこそ」
ショタの気がないはずだけど彼女が同性しかも女装の同性に親しくするのを間近に見ると嫉妬に近い感情がある。
こちらは凸凹コンビな早紀と愛那など思ってると早紀が言う。
「変なこと考えませんでしたか」
「いや」
「ならいいです」
先日の一件から妙に割り切りがよくはっきりし少し大人びた感じがある。セックスによる行為ではなく自然な感じ。
神無月社長は言う。
ちなみにオールヌードはなしと付け加えた。
あたりまえでしょう、ファッションショーなんだし。
私たちは神無月社長とメイドに連れられ衣装部屋に招かれた。そこにはドレス、制服、コスチューム、ランジェリーなどありとあらゆる衣装や下着が色鮮やかにありマネキンに飾られたドレスやランジェリー、ハンガーにかけられた制服など。
みな一様に驚く。
「会社でもこんなにないわ……」
「目移りしちゃう」
私と透子は女性陣たちの驚きようとは別に唖然としていた。
だけど私の思考回路は別にいく。神無月社長のSMクラブ“ヴィーナ”、常識的に考えて彼女だけの財力だけではたぶんに不可能なはず。邸宅に衣装、SMクラブとしての維持、屋敷などの手入れなど含めたら出資者やグループがいるのだろうか。
考えても埒が開かないので考えるのはよそう。
「女王様以外に九回ずつの衣装チェンジか」
「二ノ宮先輩考えありますか」
「沙耶香さんの意向しだい」
早紀たちは先日の件とは別に気持ちを切り替えたのかいくぶん距離は縮めたよう。女の子はわからない。
麗奈は透子を呼びスリーサイズを聞いたり好みを聞いてチョイスする。
「麗奈さんが相手だなんて」
間接的にこんな形で張り合う戦うかわからないけど意外な形でおとずれた向き合いに吐息する。
「沙耶香さん」
「ハイハイ」
「はいは一回」
早紀が麗奈に似てきたかもしれない。ふたりが協力できるのだろうか。

No.173 18/01/25 15:31
作家 

テーマを麗奈が聞くとこう返ってきた。
“女装と性と女王様”
聞いてる私だけ頭がいたいのだろうか。透子の表情も困惑あるようだ。
「女王様……」
「性なんていろいろありすぎですが」
早紀や愛那は真剣に打ち合わせしている。愛那の言うことは伝わる。
性の世界は男女が基本にあるが現代の性世界は同性愛、SM、男装女装など無数に複雑にテーマがある。文科省が知らない世界かも知れない。
早紀は私に向き直る。
「セックスはできなくても前戯はありですよね」
まっすぐ見つめる瞳はプロの女性の眼差し。力強く妹みたいなかわいげを感じさせない。
「う、うん」
「ハイです」
はい、と答えるなかふたりは改めて衣装や下着を選び綾香たち四人のメイドは二組に分かれメイクについてはできると言う。
鏡台の前で背中合わせになる私と透子。鏡の向こうに麗奈の姿が映る。
「サイズは今夜のためにお二人用に合わせてますが」
「ありがとう」
つい先日ケンカしたばかりなのに女性たちは意気投合。
「女王様でわかりやすいのはランジェリー、ムチ、アイマスク、ヒール。ヒール歩けますよね?」
「できるけど」
「けどじゃなくできますよね」
普段はパンプスだがおしゃれな時はつけてるから。
「できます」
「二ノ宮先輩はなにをするつもり」
私やメイド奈々、麻由には聞こえるように伝え思いきった演出と理解する。麗奈たちも綾香たちと話し合いながらまとまったよう。
勝ち負けがあるのか。
館田先生の女装SM官能小説では女装子たちが競う物語だけど。
ステージにはこの夜のギャラリーたちがいるらしいと社長は伝えた。
衣装やメイクチェンジは相手がステージに立ってる間のおおよそ五分。
人数的には麗奈や透子側が不利なはず。
だけど経験では麗奈が優るはず。
「前戯だけですから逃げないでくださいね」
優しく諭しながら本音は逃げたら殺しますからみたいに早紀の声が聞こえる。
必要な衣装や下着はハンガーにかけられステージ裏に走るように揺れる。後を追う私たち。神無月社長を含め八人が舞台裏に回る。
「怖い?」
麗奈が問い頷く。
「よかった。ちゃんと沙耶香はふつうのひと。怖いことは誰もが怖いんだから」
彼女の瞳は社長にわずかに移す。彼女のライバルは神無月社長ということを知らないままだった。

No.174 18/01/25 17:09
作家 

最初にステージに出るのは女王様スタイルの私と透子が順に出ていく。
BGMがロックサウンドになり舞台袖からステージに派手な照明やカラフルな色彩があたり私は出るようにうながされる。
きゃっ、と声が漏れるなかヒールで歩き髪をかきあげコルセットの背中を見せると声や吐息がギャラリーからわずかに漏れる。眼鏡を外し髪のリボンを外し正面を見据えた。さいわい誰もいない。
こんなのうそっぱちな女王様じゃないと嘆くが五分という時間はステージで立ち回らないといけない。ポーズを決めたりどこの誰とも知らないギャラリーを見つめたり。
手招きがわずかに見え舞台袖に引けるなか透子の表情が青ざめていた。
だいじょうぶ、失敗してもいいの。
そんな麗奈の囁きが透子に伝わるなか私は早紀たちのもとに向かいコルセットや手袋、ヒールなどを脱がされ次の衣装。ランジェリーにとある制服に着替える。メイクをし直され今度は淡く柔らかい。
「行ってください」
SMクラブというより本格的なファッションショー。すれ違う時にわずかに透子の表情が違い眼差しは早紀を見ていた。
「っ……」
息をつきながら私の衣装はセーラー服。ただし丈は短く絶対領域という短さ。けっして細くない足だがそれなりにギャラリーの興奮を誘う。
沙耶香さん!?という声に見ると先日のヒロミたちがいたことに一瞬固まるが透子がいるからいてもふしぎないけどとむりやり納得させた。
途端にBGMが暗い不気味な感じに変わり照明が一瞬落ちスポットライトが私を照らしもうひとつライトが当たる。
きゃっ、と同じようにセーラー服を着けた早紀は舞台袖から投げられた演技をした。
「あら可愛い子猫ちゃん、今日も虐めてほしい?」
「や、やだ……」
「あなたはフェラが好きなんでしょう」
スカートを捲ると扇情的なレースのショーツが露になりそこには勃起したぺニス。
「ほら、いつものようにして」
四つん這いになりながらぴちゃぴちゃとぺニスに舌と指を触れ早紀はまさにいじめられっ子の様子。もとスケバンの面影はない。
「沙耶香様……許して」
「許さない」
決められた台詞通りだが五分という短い間にイカせるのはまず無理。
だがギャラリーがショーとして惹かれてる雰囲気が伝わる。
はむはむ、とフェラする少女のような早紀。
だけどタイムリミット。足早に舞台袖に向かう。

No.175 18/01/25 20:31
作家 

舞台袖に戻る瞬間目を丸くした。
透子はキャミソールにスキャンティとややもすると少年の面影を残し中性らしさの雰囲気があったいかにも母性くすぐる下着のチョイス。
「自然なままでいいわ。女王様は意識しないで」
麗奈の言葉が耳に入りつい普段は意識しない闘争心にちろちろと火が点くのを感じる。
だけどコスプレのなかに女王様を感じさせるあるいは魅力を全面に出すには衣装とランジェリーの融合なにより本人の技量。コスプレと同じだが女王様というのは憧れだけでは埋まらない。
OL、女教師、ナース、バスガイド、女性ドライバー、メイドなどで早紀と戯れるが徐々にギャラリーの反応は薄い。
集中をすればするほど焦りが出てきて麗奈が透子と共に高い壁のように立ちはだかる気分。
「なんでイカないんですか」
「無茶言わないで」
愛那もまたおろおろしはじめ動揺がちいさな顔にあった。仮に射精できてインパクトあったとしてギャラリーの反応が良好とは限らない。
プロのストリッパーでも演出は事細かに綿密に打ち合わせするが私たちは即興。だけど麗奈たちも同じ条件なのに何がちがうのか時と共に焦りがメイクさえ落とす。
「どうしたらいいの。次が最後です」
「わかってるわ」
四人の女性たちは焦りが見え相手が中性的かつ年少に見える女装もしくは男の娘(こ)。
相手になくて自分にあるもの。パッドについ触れて数瞬考え閃くがおこなっていいか迷いがある。
「いい?私にまかせてもらって」
「何かあるんですか」
「やってみないとわからない」
「なんですか、それ」
私は麻由にちいさく囁き彼女は衣装ハンガーからチョイスしたブラウスを持っていきどこかへ消えたがすぐさま現れた。ランジェリーを色を選ぶ。考えてもしかたがない。サッと足に通しブラウスを羽織りステージ前に立つ。
BGMは無しに変更。無音が会場を覆う。
おおっ、とギャラリーたちの声がした。
冷たい、と肩や背中に感じるのは濡れたブラウス。ブラウスから滴る水滴がぺニスのある黒いショーツの前やお尻を濡らす。
表情だけで女王様を表現しようとするがむしろ苦悶したかもしれない。
ギャラリーたちにどう映るかわからないまま濡れたブラウスに自分の身体を抱くようにしたり眼鏡を外したり髪をいじる。
負けたかもしれない……。
黒いショーツの内のぺニスは小さくなっていた。

No.176 18/01/26 14:34
作家 

舞台から戻った私は再び透子の姿に目を丸くした。
女王様ぽいランジェリーに再びを身を包むがメイクは薄く本来の透らしい少年の面影がより目立つ印象。
意図が読めない。
麗奈さんは彼の背中をそっと押し私たちは舞台を袖から見守る。
「あんな子が沙紗香と同じサディストかしら」
ちらっと私が見ると一言。
「ひとりごと……」
透子の動きはまた先ほどの私に似ており自分の身体を抱いたり髪や頬を撫でたり舞台袖からは背中や斜め具合にしか見えない。早紀が呟く。
「勃ってますよ」
「言わないで」
「センパ……沙耶香さん同性愛者じゃ…」
ちがう、とちいさく咎めた。たしかに女装子は時にオナネタにするが一緒に身体を交じあわせたいとは思わない。
五分経ち透子は慣れない舞台で緊張から解放され少し足がふらついた。おおよそ一時間四十分ほどのステージ。
神無月社長はカーテンコールに皆に付き合うようにうながす。
いくわよ。
私、透子、麗奈、早紀、愛那に神無月社長に四人のメイドの十人。マイクを持った神無月社長は言う。
『今宵のステージはここまでと致します。メインを飾ったモデルサヤカと透子に拍手を!』
男女から満場の拍手が送られ照れや緊張など理屈ない感情や気持ち、ある種の快感は肌に伝わる。
「恥ずかしい……」
「私も」
透子の呟きに応じ続いてスタイリストおよびメイクアーティストとして麗奈と早紀たちが順に紹介される。
「なんなのこの世界」
「社長に聞いてください」
愛那だけはちいさな身体をさらにちいさくさせてるみたいでなんとなく伝わるものがあった気がした……。
処女で性の世界を知らないまま未知な世界に飛び込んだ後輩。
早紀もまた満足いくところとそうではないふたつの異なる表情。ほんの少し以前の彼女に見えて安心しなくもない。
私は……。
どんな表情だろうか。
女装として自らを着飾り装いながら……。
メイドの麻由たちはギャラリーのもとにおりパーティーをほんの数時間開くという。
舞台袖から裏に引き上げどっと身体に疲れが襲い眠気が途端に感じた。
「くしゅん!」
「早く服を着替えるかシャワーを」
麗奈だった。すると奈々がシャワールームに私を案内しお湯を浴びた。
勃起している……。湯に浴びた身体は興奮があったのかと思う。

No.177 18/01/26 18:59
作家 

シャワーから上がると奈々は着替える私の裸体が下着や衣服を身につけるのを頬を薄く紅に染め着替え終わると先に進み案内した。
向かった先は別のパーティールーム。よく四人のメイドだけで用意したものと思えるくらいの立食パーティーの料理。別ルームにはギャラリーたちの料理もあるのに。
ふと気づく。透子の視線は早紀。だけど瞳の色から愛情か憎しみかわかるわけない。
神無月社長。
赤いスーツはいつものように鮮やかだがなぜか私には赤い色が陰りある灯火のようにも見えたが気のせいだろう。キャリアウーマンは麗奈や早紀のように本質は弱くても強く生きれるのが女性だから。奈々の姿はいつの間にか去りそっと私は足を進めた。
「沙耶香さん」
「すみません。私だけシャワーを浴びさせてもらって」
麗奈の瞳が珍しく私に挑戦的な輝きのなか神無月社長は皆に聞いた。
「今夜のファッションショーは好評。即興ではあったけど矢口や美如月がいてよかったわ」
互いに顔を見合わせるも微妙な表情。特に愛那は何かを感じている。
だけど、と神無月社長は私に視線を向ける。
「沙耶香さん。何か感想は?」
躊躇い目を背け本音を口にした。
「負けました」
「何に」
「麗奈の技術の素晴らしさや技量、センスとか。あと透子さんを生かした思いっきりのよさ」
私の言葉に早紀と愛那はちいさく頷いたように見え神無月社長は次に麗奈たちにも聞いた。
「いえ、むしろ早……二ノ宮さん美如月を甘く見てた。息が合わないかと思ったら意外なくらいにいいコンビになるかもと後輩のパワーを感じました」
麗奈が早紀たちを認めている本心だろう。しかし私たちは後半そのパワーを衰えていった。
「透子さんは」
十代の面影が残る女装子。早紀を見てた視線が気になるが私事に過ぎない。
彼いや彼女は言う。
「初めてで何がなんだかわからないままでした……」
「ううん、立派なモデルさん。『クロスドレッシング』で使いたいくらい」
こういう時は麗奈は美姉のよう。嫉妬してるのだろうか……。
だけど、と神無月社長はもうひとつ聞いた。
「最後の衣装についてのコンセプトを聞きたいんだけどいい?」
濡れたブラウスにショーツしかも胸パッドを露にした私、片や中性的なままの女王様の透子。
「そうですよ。沙耶香さんなんですあれは」
疑問はもっとも。口を開いた。

No.178 18/01/26 20:57
作家 

“女王様になりたくない私”もしくは“女王様になれない沙耶香”、私が最後に披露したコスプレはそんな意味があることに神無月社長は二重契約問題以上に私を強く見据えた。
「本気で言ってるの」
「ええ、女王様になるつもりはありません」
てっきり平手打ちが飛ぶかと思ったが何かを懸命に堪え本気で必死になる表情が見えた。
なぜそんなに必死なのか。この時は知る由はない。
彼女は麗奈に透子の最後のコスプレを聞くとそれも意外だった。
「“女王様になれない女装子”もしくは“女王様になりきれない女装少年”」
私を含め皆が顔を上げた。なかでも透子本人は若い線の細い顔から驚きがあるようだった。
「女王様じゃなかったんだ……」
「ごめんなさい。私はあなたに沙耶香への私的な感情を最後に含んでしまった……」
いえ、と複雑な表情の透子。彼いや彼女はなぜそんな顔をするのか。
神無月社長はキッと感情をめずらしく露にした。
「なぜ沙耶香さんは女王様になりたくないの」
なにをそんなに怒るのか理解できない。私も麗奈も早紀も愛那に透子も。咳き込む彼女。
「ごほっ!ごほっごほっ」
そこへ麻由たちがやってきて気付け薬か何かを水と共に与えた。
「具合は」
「な…なんともないわ」
愛那は呟く。
「あ、あたしは矢口先輩にも二ノ宮先輩にも負けました。処女なのにこの業界に入ったことを……いま少し…いえとても後悔してます……」
はじめはぽろぽろと涙を流し最後は少女のようにわんわんと泣く彼女を神無月社長は抱き締めた。
「知ってたわ。ごめんなさい。だけどいまは二ノ宮と沙耶香さんとチームでいて」
なんて残酷なことをするのかと複雑な思いを抱く。処女と知りながら成人雑誌業界に入れるなんて。だけどこれは私だけの思いかもしれない。
“あなたには後輩の気持ちはわからないのね”
私の内の沙耶香の声がやたら遠く聞こえた。
今夜はみな泊まっていきなさいという神無月社長の言うことに反発をおぼえる私だが麗奈や早紀たちがはいと答えた。
愛那はまだ泣いていたが実力の差を思い知っただけによけいちいさく見えた。
「愛那さん」
「先輩……」
「少しふたりだけで話していいですか」
麗奈や早紀が大事なはずだが後輩をひとりにしてはいけない思いがあり屋敷内を歩き運よく見張らしのいいベランダに出れた。星が見えた。

No.179 18/01/27 06:25
作家 

眺めのいいベランダからは郊外の地平線にも似た景色やいくつかの街の明かりが見えた。
涙を流し終えたのか愛那は瞳が少し赤い。だけど保護欲をそそりそうで抱いてあげたい衝動をこらえた。
「なんで優しくするんですか」
「前も言ったでしょう?それしかできないから」
「矢口さんや二ノ宮さんともセックスしてましたよね」
「いまはしてないもの」
彼女は私をどうしたいのか。ちょっと勇気はいるが聞かないと先に進めないかもしれない。
「むかし私が下着泥棒した時のことを話してくれない」
目線を合わし少し屈むなか照れや羞恥があるなか少しずつ話しはじめてくれた。
彼女の言い分はこうだ。
ある日学校から帰ると朝や夕方に干した下着が忽然と消えることが幾度かありまた別の日に待ち伏せしていたら学生時代の私が忍び込むのが見えそれがよく見る先輩と知りショックを受け傷ついたという。
声をかけたい相手と思ってた相手に裏切られた思いと少し憎しみが混じる深い声が重い。
だけど女装の美しさを知るがセックスの経験を知らないまま双星出版社に入社。やや性知識は疎いがちいさな身体のわりにクソ真面目なくらいの性格があり少しずつ認められてきた。その矢先に私が麗奈にスカウトされ去年の企画AV撮影と慰安旅行の際に自分をおぼえてるかたずねたかったが相手されず憎からぬ思いがしたという。
私は言う。
「ごめんなさい、て謝っても許してくれないわね」
はい……、と小さな声が針のように胸に痛い。そんななか庭か邸宅の玄関から声がかかった。
「あ、沙耶香さ〜ん」
「いいもの見せてもらったわ」
「透くんは?」
屋敷のなかです、と返事しながら彼女たちは私が愛那といることをからかいながら夜の闇にハイヤーが消えた。
「お友だちですか」
「知り合い」
「……先輩」
「なに」
何を言われるか動悸がどくんどくん鳴るなか彼女は言う。
「お、お友だちからいでいん……付き合ってください」
「下着泥棒の?こんな私の」
はい……、とまるでいままで胸の内に溜めてたことをようやく伝えれたことの思いがあるようにはにかむ。
「……またひどいことをするかも。わたし下着や衣装好きだし」
「あ、あたしが可愛いくなれるようにアドバイスしてください」
こんなに可愛いのにと思うけど本人が自覚してないのも不憫。
わからないだらけ。

No.180 18/01/27 14:40
作家 

充分すぎるくらい可愛いのに身体の小ささと下着泥棒のショックからアンバランスに性の世界に飛び込んだ後輩。
「あのとりあえずお部屋で……」
「なんです」
「愛那さんが気持ちよく眠れるくらいはしてあげるから。だめ?」
いえ、とベランダを出ると待ち構えたように麗奈と早紀少し側に透子が見えた。
「今夜は美如月?」
「……せいぜい沙耶香さんに優しくされてたら」
麗奈は嫌味、早紀は突き放しながら何かを託すようにも取れる遠回しな表現。透子の視線はやはり早紀に向くが気づかない振りのようにも感じる。
こちらも微妙かつ複雑な関係。
綾香に愛那のゲストルームに案内され彼女用のアルコールに私用のジュース、少しばかりのお菓子を運んでもらうようにしほどなく綾香は大人びた表情で退出した。
「あんな風になれないですものね」
後ろ向きな発言はとても私を憎らしいと思った顔よりは儚げ。
「……女装してる私がいつま楽しいと思う?中身はれっきとしたオトコ。やわらかいムネはない。さらさらな髪でもない。肌はよくほめられるけど一度汗もや湿疹できたら女装の殻なんてなくなりそうなくらい服やランジェリーを身に付けながら快感と苦痛があるの。ましてや……オ×ン×ンはいつも身体にぶら下がってる。オトコを意識しながら女性も意識する。性同一性障害なら性転換したいと悩み誰かに相談しいずれは性を変えられる。だけどそこまでの意識はなれない……」
めずらしくいっぺんに本音を吐き出した感があった。ここまで言うことは少ないはずだった。彼女は黙りながら持ってこられたビスケットをカリッと噛む。
「そう思ってたんですか」
「いつもは意識しないからなんとも思わない。だけどふとした時や麗奈たちがまっとうな女性であることを意識したらああオトコなんだ……と思うの」
ビスケットを口にし甘いはずなのにちょっと苦い。彼女の味はどうなのか。
しばし黙る愛那は眠たそうに自然と肩によりかかりベッドに付き添い横にした。さながら『ふしぎの国のアリス』のアリスのような可愛いさ。
「センパイ」
「あ、は…ハイ…」
「気持ちいいこと……せ、セックスですか?」
ふと舞先生との失敗がよぎり振り払い言う。
「セックスはしないけど気持ちよくさせてあげるから」
そっとベッドに上がり軽く甘いキスは自然と重なる。
「ファーストキス……」

No.181 18/01/27 19:27
作家 

愛那が女装の異性と初めてのキスを交わした頃早紀は麗奈のゲストルームにいた。
「沙耶香さん美如月さんとしちゃいます?」
ワインを煽りながら麗奈はあっさり否定する。
「処女をもらうことはまだしないわ」
「ですよね」
かつてのアイの一件からもまわりが長いと思えるくらいの時間だった。
「それにしてもストリッパーでもないのによく舞台に立てたわね」
「人に見られてるのは慣れてますから」
早紀はそのむかしスケバン時代に同性たちがいるなか異性の透たちを性的にいじめていた。
「おいしくないです。水で割りますか」
「ワインよ」
「ならお酒」
苦い思い出が現実として目の前にやって来たことに沙耶香は辱しめをされながら愛那と向き合おうとしている。自分は透にまだ向き合いたくない。
こわい怯え復讐……。
そんな思いが再会以来よぎる。官能小説でも復讐のために凌辱されるヒロインは多々いる。
「いいお酒」
「沙耶香がいないと飲めないもの」
だけどふたりは刺激が足りない毎日だった。連日沙耶香の姿はテレビ越しに見るがここ一週間は今夜を除けばまともに会ってないに等しい。
「一度沙耶香さんが酔うところ見たいな」
「よしなさい」
興味がないわけではないがアルコールが飲めない相手に飲ませるのは酷。また人格がどう変わるかはわかったものではない。が興味は小さくあった。
麗奈は思う。
沙耶香がこの屋敷かSMクラブ“ヴィーナ”だかの女王様候補と神無月社長に聞かされ内心いや本心から一笑に付した。
ふざけないでと思った。沙耶香は一人格がある人間であり女装で変態だけど誰かの所有物ではない。
ふとワイングラスが口の前で止まる。
私も社長と同じ……?
恋愛感情からではなく肉体関係から始まったことで沙耶香を所有物のように扱い接してたのか。
「麗奈さん?」
「なんでもないわ」
ワインを煽りこんな夢や虚飾にまみれたところに沙耶香をやりたくない。SMクラブだのは政治家や会社の会長や社長たちの道楽に過ぎない。
バカバカしい。
早紀は麗奈を見つめながら黙ってる時の彼女は自分か愛する相手を考えてる表情かなとたまに思う。
こんなに思われてるのに沙耶香さんは避けてばかり……。
だからあたしが盗っちゃおうとしてるのに。
あ、あたしも馬鹿かな……。酔いながらそう思い彼女は経験を重ねた。

No.182 18/01/28 14:02
作家 

ファーストキスを終えた愛那をシャワーに向かわせた私はじっと待ちお菓子を口にしていた。
太るのよね……。
シャワーから上がった愛那はバスローブに身を包みちいさな湯気が身体を包みグラスのアルコールを口にし言う。
「せ、セックスするんですか……」
「しないてば。だけど気持ちよくはするから」
「……恥ずかしい」
ちいさな顔が赤くなるのを見ながら撮影の時に無理矢理勃起させられた立場はどうなるの。
隣に座るようにうながしいくぶん接しやすくはなったが彼女が恥ずかしがる理由をまだ察していないまま再びキスをした。
「んぅ……や」
「いやじゃないでしょう……」
「ん……」
少し舌同士が絡み唾液は粘液になり唇から滴る。勃起を堅く感じ内股を閉じてしまうなかバスローブの胸元をそっと触れる。
「……や」
「いや?」
「はい……ちいさいし矢口先輩たちみたいに大きくないし」
たしかにと思いながら私の掌は男性としては指は実は太いが一般男性より微妙にちいさい。
バスローブをそっと上から脱がすと成人女性にしてはちいさなバスト。よくて中学生なみ。だけど形はしっかり円を描いていて乳首は綺麗な桃。おっぱい自体は桃というよりは成熟前のいちごのよう。
「ちゃんと女の子じゃない」
「お、女の子ですよ」
軽口を叩くと頭を軽く叩かんばかりにふつうの女の子の反応をしたことに安堵し胸に触れた。
「ん……あ……」
「あたたかい身体、ちゃんとミルクみたいな女性の匂い」
「言わないでくださいへんたい……」
「気持ちいい?」
うん、と甘えるような初めてのソプラノボイス。胸はちいさなわりにちょっとずつ上を向く。身体がちいさく跳ねるように感じる。
たしかに身体からは処女で性に未発達な甘酸っぱい匂いが鼻腔に伝わる。
「んん……」
「オナニーしてる?」
「な、なななにを聞くんですか」
「聞いただけ」
考えるようにそっぽを向きながらポツリと呟く。
「す、少しはしますよ」
「はい。よくできました」
「バカにしないでください……」
小柄な身体なために身長がある私がロリな中学生を襲ってるように客観的に見えるとしたらちょっと気に病む。
しかしその程度ならともかく彼女がセックスを拒むにはちゃんとした深い理由があったことはこの先に知ることになる。
愛撫しながら下半身に向かう。

No.183 18/01/28 15:20
作家 

下半身に手をやりバスローブがはだけるなか白い肢体が露になる。
いや、と声が漏れるなか彼女の手はぽかぽかと頭を軽く叩く。
「ちょ……いたい」
「あ……」
一旦手を止めると可愛らしいシンプルなパンティ。後輩とはいえ高校生いや中学生を相手にしてる錯覚に陥りそうになりながら花唇の膨らみにそっとやる。
「ん……」
「ちゃんと感じるじゃない」
「……んぅ。いや」
何がいやなのかわからない。ほんの少しうっすら陰毛の繁みが見えるけど。花唇はしっかり下着の薄布を湿らせ愛液が淫らな音を奏でる。パンティの左右に手をやり脱がそうとすると。
ぽかぽかとまた頭を叩くがさらにぼかぼかと本気で叩く始末。
さすがにキレた。
「いい加減になさいよ!!本気で叩いて」
「あ……だって」
睨む私に彼女はうるっと瞳を潤ませる。愛撫するたびに頭を叩かれたのでは相手が嫌がるのわかるはずなのに。
なあに、と聞いたが何も言わない。
「ちゃんと身体は感じてるみたいだし不感症でもないみたいなのに。何がいやなの」
そっと身体を離し向き合いながら聞くがいまいちわからず悩む。
「……あ、あの。じ、じゃあ見てください。先輩の目で」
「オチ×チ×生えてない?」
生えてませんと本気で叱られた。冗談が通じない子はやっかい。
何がでてくるわけ?と思いながら顔を両手で隠し羞恥心がよほどあるのか愛那の下着を脱がして少し動きが固まった。
目の前にあるモノを指で突っついたり指で摘まんだりちょっと指で抜いたりしてたらさすがに怒る声がした。
「なにしてるんですか」
「あ、あのこれ……」
口に出さず目の前にある事実をちゃんと確認した。可愛らしいワレメの上にちいさな髪の毛がもわっとあるみたいな陰毛、いや剛……毛だろうか。『となりのトトロ』ならマックロクロスケみたいなあんな感じ。
愛那は言う。
「身体がちいさいのもですけど……中学生くらいからこんなに毛があって」
「えっと……剃ったりとかは」
口をつぐみながら告白する彼女。
「剃ってみたけどすぐに生えてきて困ってるんです」
…………。
とりあえず私は自分の体験からアドバイスのつもりで答えた。
「永久脱毛してみたら……どうかな」
陰部なので若干の辱しめはあるかもだけど。
「できますか?」
「麗奈たちに聞いてみて」
間抜けな答えだった。

No.184 18/01/28 19:13
作家 

先輩のを見せてくださいと言われベッドの上で向き合いちいさく吐息し見せた。
ショーツの脇から出ている男性の象徴。
「男の人てなんでこんなヘンなのをつけてるんですか……」
間違いなくいまこの子は世界中の男を敵に回したみたいな発想か妄想が浮かんでは消えた。
「そんなのは生物学でも勉強なさい」
悪気がないだけによけい真面目に答える自分が嫌になる。これでは子どもの疑問に答える保育士。
震える手で彼女はそっと触り掴む。
「ちょ……いたくしないで」
「しません。ただ他のモデルさんにくらべたら可愛くちいさい」
いまケンカ売った?売ったのかな。麗奈や早紀は他のモデルについて口に出すことはなかったのに。私の方が劣等感抱きそう……。
しゅっ…しゅっ…くちゅくちゅ。
ちいさい指や手で触れ上下にするために愛撫というよりくすぐったくむず痒い感じに似て腰が動く。呟く愛那。
「大きくなった……」
「バカにしてる?」
「し、してません。撮影の時はじっくり見れなかったし二ノ宮先輩にじゃまされたし」
じゃまて。公私混同してたわけだろうか。この子といるとペースが狂う。
ぺニスを扱きながら彼女は一心に見つめ言う。
「これがここに挿入(は)いるんですか」
舞先生の声が重なるようになり振り払う。
「今夜は挿入(い)れないから安心して」
「……処女だからですか」
「ちがう。あの愛那さんは……いえ愛那は今夜私に抱かれたい?抱かれる勇気はないでしょう。処女だからどうかじゃなくて相手を好きになりたい気持ち好きになる気持ちを私は大事にしたいの」
少し黙りながら愛那は言い返す。
「先輩は美化しすぎです。セックスを。あたしがセックスできなくてどんなに苦しいかわかりません」
あからさまに言われムッとするがたしかに一理あった。セックスを美化することで麗奈たちを愛することから逃げたり気持ちが女性化したり。ましてや処女の女性の気持ちはわからない。
「処女でも……イクことはできるでしょう。さっきの続きしましょう」
髪を上げ眼鏡を外し森林みたいな陰毛は湿りはあり甘酸っぱい匂いがあった。
「んぅ……」
「素直にならないとほんとオトコに相手されないわよ」
「……オトコなんて」
びくんとちいさい身体が愛撫で反応しながらレズではないはずなのにいまの言葉は微妙。女性はわからない。

No.185 18/01/29 05:48
作家 

クリトリスは節分の豆のように見えるがそれでもぷっくり膨れ感じているらしいことがわかる。
「ん……」
そっと指で這わされ舌をちろちろつけると小さな声が漏れる。真面目なせいか頑なな性で声には出したくないのかもしれない。ワレメに触れるとゆっくり陰唇が露になり処女らしい甘酸っぱい匂いが部屋に広がるみたいに感じた。
男の童貞、女の処女どうちがうだろうか。もちろん早くに経験する者もいれば遅くに経験する者もいる。
陰唇から少し蛇口を捻った水道みたいに淫液が腿に滴る。
ん……れろれろ。
「ん…あ……ああ」
「気持ちいい?」
「はい……」
か細いソプラノボイスが心許ない。処女であるがために頑なな性になりまたセックスや異性に劣等感を抱いたようだがその原因の一端は私にもある。
「ん……」
手に触れてないのに肉棒はギンギンに興奮しカウパー液で卑猥な匂いを発している。いまはクンニで彼女を満足させた方がいい。触りたい触れたいけど彼女が変に興味を持ったり逆に男性の醜い一面と思ってもいけないと思い我慢した。
ちろちろれろれろと舌を這わし未経験な花唇は女性の匂いを発しながらも蕾のような幼さがある。
「あ…ああ……ああン」
「感じたらイッて」
「そんな……」
「ちゃんと眠るまで側にいるから……」
ひどいことをしたのにと彼女はちいさく指を握りながら涙目に近い感じで見つめる。が身体はひとりでする自慰より気持ちいい……。
胸や未経験な女性器を指や舌で弄られてるだけなのに吐息がこぼれる。
「ああ……はあはあ」
「いいの。素直になって」
「あ…ン……先輩」
指はベッドのシーツを掴み爪先から頭のてっぺんまで感じたことのない性的快感が電流のように走り小さな痙攣を繰り返す。
「ん……んん」
彼女の陰唇はさほど弄ってなくとも愛液はちょろちょろながらも甘く唾液と絡む。
びくんと身体が時おり跳ねながらフィギュアのよう。お尻もけっして大きくないが桃のよう。
「んあ……」
「イッて……ね?」
「ああ……あ…」
喘ぐ声に理性が性的快感に抗いながらもちいさな身体には汗や体液が毛細血管から放ち牝の匂いが伝わる。
瞬間だった。
「……イッちゃう。イッ……ちゃう……はあはあ」
アクメを感じたのかしばらくベッドのシーツを掴みながら吐息を繰り返す。胸から呼吸の動きが伝わる。

No.186 18/01/29 09:21
作家 

彼女にランジェリーや寝巻きを着せグラスの水を飲み寝息をするまで待った。
皮肉な出逢い、と加害者である私が思うことではないが音を立てないようにしそっと扉から出ると安堵した。
「透くん……」
「少しいいですか」
やむ無く私のゲストルームに招き女装子同士で話をするのに慣れてない私だが透ないし透子には早紀の過去が重なる。
「二ノ宮先輩はボクをどう思ってるんでしょう」
ひとつ確認したいことがあった。早紀が学校を卒業する時に彼や彼の仲間もちろん被害者ではあるが辱しめをした時のことを聞いた。
「あなたもしたんでしょう?」
「……それは。…はい」
早紀が地元を離れるきっかけをつくったのは他ならぬ彼女自身でもあるが同時に彼女を辱しめた彼らだ。認めることは責任を認めた証しと受け止めることはできると思う。
私は慎重に言葉を選んだ。
「透くん……透子さんはどう早紀さんと接したいの?」
もし彼女をさらに辱しめるようなことをしたら恋愛や肉体関係などとか関係なく私は彼を追い詰めるかもしれないと沸々と内に感情がある気がした。
しかし彼は口を開く。
「ボクは……友だちからでも彼女と接したいんですが」
先ほどの愛那が彼に重なりちいさく頭痛をおぼえた。
「え……と。だけど彼女に辱しめをしたのでしょう?一言……一言でもいいから謝った?」
「話しかけようとしたら、……避けられました」
私が愛那と場を離れた直後にそうしたらしいが早紀は麗奈と離れたようだ。なにげに彼女が睨みでもしたら凄味あるが。考える……。
彼が早紀に復讐をしやしないかは少なからず彼女に感情がある私は見過ごせないが立場的には第三者。深入りは危険。
“ほっとけないのよね”
見過ごせない事態があるなら深入りしてしまう危険があるなか場に入ってしまうことを内の沙耶香は伝える。
「……私が間に入ってもいいけど」
「ほんとですか」
ただしと付け加えた。
「ただし、もしも……早紀さん追い詰めたり無闇に過去のことを話題にして脅したり金銭的な要求などはしない?」
これはあり得る事態だった。サディストが力を行使するのは性行為だけと思いたいが実社会で使うとただの暴力になる。これは私自身も密かに恐れていること。
…………。
ハイ、約束します。
私より若いだけにこの言葉を聞いても懸念はあったが信じる以外にない。

No.187 18/01/29 21:07
作家 

ようやく自分のゲストルームに戻った時は深夜を回っていた。
眠い疲れたしんどい。
メイドの誰かが置いたのはパジャマやネグリジェ、ランジェリーとあったがパジャマをチョイス。下着はそのまま。夏が近いので本来なら替えた方がいいが自分の肌でも人肌あるあたたかみが欲しかった。
クンニや相手の身体に触れ愛すことはできるのに。用を足し少し水分を補給しベッドに入り目を閉じ意識が少しずつ落ちかけた時だった。
何かが触れた。肌が敏感な私ははじめはベッド内にあった空気かなと思ったがそれはそっと肩に手に置き肩から肘……手の甲…指に触れ……。
叫ぼうとしたが何者かの左右の両手に塞がれ慌てながらベッドから這い出し明かりをつけるとそこにいたのは……。
「びっくりさせないでよ。私よ私」
一瞬オレオレ詐欺は間に合ってるとツッコミたいことを堪えベッドの上にいるのは麗奈の見慣れた肢体だった。
「な、なんでここにいるのよ!びっくりするでしょ」
シーッとしゃべらないでと咎められおそるおそるベッドに近づくと囁かれた。
「早紀は酔っちゃって寝ちゃったから久しぶりに顔を見に来たのに。そんな態度取るわけ?」
いきなりベッドに忍び込まれて驚かない人がいたら見てみたいと屁理屈を思ったがやめた。セックスできないのにどういうつもりと見つめた。
「なんでここにいるんですか。夜這い?」
「なるほど。沙耶香が寝てる間に既成事実をつくるもありか」
「いまの時代、それしたら強姦罪ですから」
とあるテレビ番組の知識を伝えると吐息をつく麗奈さん。だけどスッと表情を変え頬にキスした。
「キスだけなら子どもできないからセーフかな」
知りませんとツンする私に掛け布団を開け招くようにした。
「ここのところ疲れてるでしょう?エッチはなしで構わないからお姉さまが寝てあげる」
「子ども扱いですか」
「年下でしょう」
ぐっと勃起を感じ彼女はそれに気づいたようだか見ないような振りをした。甘えてると自らに思いながらベッドに入ると無理やり顔を向かされた。
「やっぱり男の顔してるわね」
「皮肉?」
「ちがうわ。沙耶香の中に女性は生きてるし女性を愛せる男も生きてる。何も悪いことはしてないのにテレビに叩かれて」
「いいんです。望んだことですから……」
じっと見つめる麗奈は柔らかい胸に何も言わずに抱き締めた……。

No.188 18/01/30 20:51
作家 

迂闊にサインをすべきではなかった。それも本名でだ……。
麗奈にあたたかく抱き締められながら私が思うなか抱かれた。
「なんで傷つくのに取材に応じるの」
「私は麗奈たちを抱けなくなった。罰は受けないと……」
馬鹿な人。自ら罰を受けるためだが麗奈は沙耶香から日に日に生気がないように思われた。取材やテレビ出演だけではない。性についての自分に対し自信が喪っている。
精神面が女性化や性的不能(インポ)より質が悪い。原因があるとすれば流菜とのたった一度の交わりかもしれない。
「何が罰よ……」
ぎゅっと抱き締める以外しかできないが彼女は一度は逃げたかつてのレズメイトに複雑な怒りを内に燃やした。
ふと気づくと沙耶香が手をじたばたさせていた。
「ハアハア……胸で窒息させるつもり」
「あら。女性に抱かれて女性として女装のままなのだから、魂が女性になるかも」
冗談交えた皮肉だが我ながら凄い表現と思うが本心ではない。
沙耶香は吐息し呼吸し口にした。
「いまはマスコミの前に出て意思を伝えるしかないんだから」
精神面が女性化してるはずなのに根っこは男性の部分が垣間見えた感じがした。精気はないが内に沸々とちいさくある。それが愛情や性的欲求に向かないのはかなしい。
「いったいなに考えてるの」
「考えてないてば」
「わからず屋」
沙耶香は流菜の力を知らないのだろうか。女性のレズ、特にタチは相手が誰であろうと容赦ない。ましてや人妻としての魅力をいまや持った彼女の魅力はかつてを知る麗奈でさえ魅惑的に誘惑されかけた。
「子ども扱いして」
「似たようなものよ」
口喧嘩には至らないが沙耶香の寝息に近い呼吸が胸にあたり太腿には勃起した肉棒を感じ触れたいが堪えた。少し湿ってるのは性欲はあるのにいつものサディストは秘めているのか。
今夜は我慢しよう。いえいつか再び身体を交えることができる日まで。
本当に馬鹿なひと。
だけど社長の手にも渡すことはしたくない。沙耶香はたしかにソフトサディストだけど誰かの女王様やショーのためではない。
「……疲れてたのに無理して」
気づくと胸のなかで寝息があった。いびきはないが身体から力が完全に抜けベッドに沈んでいた。髪を撫でるとこのひとを離してはいけない気がした。
流菜にも神無月社長にも渡さない。彼女は熱く固く決意した。

No.189 18/01/31 06:12
作家 

……!
気持ちよく目覚めたと同時に側にいた麗奈の存在に気づいて私はあわて下半身を見てトイレに駆け込んだ。
なにもされてない……。
複雑な安心感があると同時に彼女に悪い気持ちが胸にあった。
もしかしたら本当に私の子どもが欲しいかもしれない。だけど私は女装であり男なのだ。身勝手ではあるが独り身でいたい。だけど……。
私がトイレで短い間悩んでた少し前麗奈は実は目覚めていた。
やっちゃえばよかった。
半分以上は本心から出た呟く。さいわい昨夜は生理がない日。黙っていたら夜這いでも逆レイプでもできたかもしれない。
だけど昨夜に沙耶香がバラエティ番組でのことはどうやら事実らしい。つまりは女性でも強姦罪になるらしい。
だけどそれでもやっちゃえばよかったなと悔やむ。まただけどそれをしなかった自分にも意外な思いだ。以前なら淫乱なほどに女性男性を求めていたが沙耶香もはじめは毎日のように求めていたがしだいに互いに節度ある生活や性生活していた。
まるで夫婦みたいな。
そっとショーツの内に手を這わすと愛液は牡を求めていた。
だけどただの男ではダメ。女装それも沙耶香のように自らの性癖や受け入れてくれる女装の男性。
トイレから沙耶香がやってきて髪をあげてくれた。意外な言葉が聞こえた。
「夜這いしてくれてよかったのに。そしたらこんなところ……」
それ以上は何も言わないまま麗奈は沙耶香が自分の表情や姿態を眺めているようだったが布団の感触はあり身体は見てないっちょっとむっとする。
言葉は交わさなくても互いに通じてるところはあるらしかった。
しあわせなのかしら。
そう思った時に扉がノックされた。メイドの綾香だった。
「お目覚めですか」
「おはようございます」
「ん……沙耶香。綾香さん」
わざとらしく麗奈は目覚めて布団を外した。
「おはよう」
「おはよう……」
こんな時でも沙耶香の声は柔らかくあたたかい。つらいはずなのに。
綾香は言う。
「朝食はできておりますが皆さまとご一緒しますか?それともこちらに」
「社長も一緒?」
ええと言う彼女に沙耶香はわずかに迷うが決断が早い。
「一緒にするわ」
女王様になりたくない意思があるのはわかるがまたぶつかるのだろうか。ベッドに座りながら沙耶香を離したくない思いに駆られながら抱きつくことを我慢した。

No.190 18/01/31 13:01
作家 

朝食は比較的軽いパン食とポタージュ、サラダに紅茶など私はチョイスした。
麗奈、愛那はごはんや味噌汁、焼き魚やサラダ。早紀は私に近いがサンドイッチ。
気になった透子はいちばん若いが内容は私や早紀と変わらない。
気にしたのは彼が早紀になにをしどうするか。考えてもしかたない。
遅れて神無月社長が現れたが質のよい珈琲だけ口にし私を見た。
「沙耶香さん」
本来なら自分の社員たちな挨拶すべきだが彼女は言う。
「女王様にならない意思は理解はするわ。だけどせめて見習いでも構わないの。ほんのたまにショーに出てほしい。そちらの透子さんと共に」
「共に?」
聞いてはだめと制する麗奈をよそに妙な言い回しと思う。二重契約という不履行を犯したモデル兼作家見習いに対しへりくだっている。
ええ、と迂闊に怜悧な瞳から強い意思が宿る。愛那がちいさく挙手した。
「しかし沙耶香さんはいまトラブルの最中ですが」
「この屋敷いえこの世界では社会のことは関係ないの。美如月」
いまの表現を素直に解釈したらリアルな世界で起きてることはこの屋敷あるいは“ヴィーナ”と呼ばれるクラブには無関係とされる。裏社会や闇社会とかに相当する権力が“この世界”にあるらしかった。
「はいは〜い♪女王様したいで〜す♪」
場の雰囲気を壊すようにいやわざと早紀は壊したいらしく明るく小悪魔な一面ではしゃぐ。
だけど一蹴された。
「二ノ宮、この世界に女性の女王様は必要ないの」
しっぱい、とわざとふざける彼女の瞳がわざと牽制し自分たちに情報をもたらしたことを私たちは理解した。透子はわからないが。
一通り皆が食べ終えてから私は考え口を開いた。
「……構いませんが」
「が、なにかしら?」
「私が先の二重契約のような失敗や失態をして“この世界”が壊れることがあれば」
麗奈や早紀、愛那は思う。なんでこの人は自分をあっさり手駒にしてしまうのか。
しかし神無月社長に怖じ気ついたところは見られない。
「いいわ。壊したいなら壊せば?だけどあなたにできるかしら」
透子の存在は無視されている。神無月社長は付け加えた。
私たちふたり以外にも女装の女王様候補はいくらでもいるという。
「あたしたち以外に」
「まあありきたりね」
透子の驚きを早紀は肩まで手を挙げわざとらしく示した。
食事と話しは終わった。

No.191 18/01/31 15:06
作家 

神無月社長はモデルや作家ではなく女王様として私を欲しがっている。
お茶を後にし私たちはそれぞれ屋敷や邸内を見てまわることを許された。私の側には麗奈、少し離れ早紀に愛那、やや離れたところに透子がいた。
「なんであんなことを言ったの」
めずらしく麗奈にしては私の側から離れず表情だけ見たら恋人のようで男心が揺れた。
“たまには男に戻りなさい”
「……神無月社長がどう出るかなと思って」
「他人事みたいに言わないで」
彼女はむっとし本気で怒っているようだった。庭には噴水、少し離れたところには湖や森林もあるらしい。早紀が寄ってきた。
「失敗しました。社長は女性に眼中ないんでしょうか」
「知るわけないわ。それより透くん、いえ透子さんと話しなさい。だけどありがとう」
早紀は少し離れた透子を気にしながらも気持ちははっきりしない。かつて故郷を離れるきっかけが彼女には重たいらしい。私も似たようなものだけど。
ふとあることを思いつき早紀のスカートを……めくるには不向きなのでジッパーを下ろした。
「な、なにするんですか!?変態!」
スカートを脱がすとストッキング越しのショーツが露になりその声に透子は慌てやって来た。
「なにしてるんです!?」
「あ、ごめんなさい。二ノ宮さんが可愛かったからつい……!?」
透子から平手打ちが飛び少し私はよろけた。
「最低です!見損ないました。女性にセクハラ、いえ痴漢みたいなことして恥ずかしくないんですか」
「本田……お前」
「悪かったわね二ノ宮さん。彼とごゆっくり」
「格好つけて」
私は麗奈を伴い驚く愛那が後をつけてくるのを知りながら早紀が私の知らない過去の顔をしてたことに気づく。
それにしても女性とちがい男性の生平手打ちで奥歯が少々いたい。
早紀は私たちが姿を消しスカートを直したようだ。
「本田……ありがとう」
「いえ。だけど見損ないました。あんな人だなんて……」
ちがうと早紀は感じた。
わざとあんなことをして人前で恥ずかしい目に遭わせた。
あたしたちがふつうに話せるように。
「ちがうわ、きっかけをつくってくれたの。あの人」
「そんな……」
透子もふと昨夜のことがよぎる。早紀に気があればなにもしないまま無視できたのに。
透子は言う。
「少し昔ばなししようか」
スケバン口調に彼女は誘った。

No.192 18/02/01 05:49
作家 

ごめんなさい。
早紀は沙耶香たちの姿が見えなくなりふたりきりになった噴水や彫像の前でかつていじめた相手本田透いまは透子に頭を下げた。もちろん謝って許されるわけではない。
透子は言う。
「顔を上げてください」
「あたしは何をされても文句言えない。あんたやあんた以外にいじめた人達にも」
かつていじめていた忘れていた過去が脳裏によみがえる。グレてしまいなにもかも世間が憎かった十代の自分。脳裏に映像と共に何から何までリフレインされた。
『パンティが好きなの?どこ見てるのヘンタイ』
『み、見てません……』
『ふ〜ん、おマタに沁みができたの。おしっこかな』
『……』
『見てんじゃねえか!ヘンタイ!』
場面はみた変わる。
『そんなにパンティが好きなら着けてみる?可愛いよ。リボンがあって模様があって』
『……や、やだ』
『あんたたち可愛いし女の子みたいね。オトコじゃないみたい』
記憶の中の早紀たちはおもいおもいにパンティを脱ぎ透たちに着けていき彼らの下着は投げていく。
『ああ……』
『あら?勃ってる。ガマン汁。コーフンしてんだ。透』
『に、二ノ宮先輩』
『二ノ宮?……女王様と呼べってんだよ』
『じ、女王様……』
さらに記憶のリフレインは残酷に進みそこには女装させられた透たちの面々がいる。
『ああ……やだ』
『やだ?あたしたちの下着や制服つけてコーフンしてるよね』
スカートを捲ると勃起した若いぺニスがパンティにあり制服の下は若い十代のオトコ。
『ほら、キスだよ』
『ああ……んむ』
『舌出しな』
早紀をはじめおもいおもいに交わるスケバンと女装させられた透たち。不器用ながら若い牡のぺニスをイタズラに面白がり弄る彼女たち。
『女の子なのにオチ×チ×大きくして』
『ああ……堪忍して』
『ほら、オマ×コ舐めな』
ほぼ全裸の彼女たちは69になり若い牝の匂いと共に花弁を見せ舌を這わさせた。
『ああ……上手じゃないか。コーフンして』
『透、今日からあんたは透子だ』
『や、やだ……ん』
若い早紀は勝ち誇ったように彼に若い花唇を顔に押しつける。
さらに場面は変わる。
『オマ×コよ。スケベな透子にあげる』
『うわああ……』
『女王様早紀様のが不満なのか?ん』
童貞のぺニスを喰わんとする若い花唇。だが実は処女であった。

No.193 18/02/01 15:03
作家 

そして記憶は忌まわしい卒業式に戻る。
『な、なにすんのよ!!あんたたち』
『なにもしないさ二ノ宮先輩』
気づくとどこかの廃屋におり目にはカメラやデジカメ、ケータイ、スマホなどで何を撮るのかはじめはわからなく困惑した。
『お、犯すなら犯せば……か、覚悟はできてるんだから。スケバンサキを舐めないでよ』
廃屋のなかで両手や両足は縄やロープで拘束されながらこの時自分の声が震えていることを早紀は記憶の底で覚えていた。
しかしいじめられていた彼らの答えは違っていた。
『犯してなんになる?むしろレイプや強姦で捕まるのはボクたちだ』
『だけどスケバンサキ様がこの土地にいられないようにするだけさ』
制服を破きはしないが胸元やスカートの裾から太腿、下着が露に少しずつ露になっていく。瞬間フラッシュが目を奪う。
『きゃ……』
『なにがきゃだよ?無理やりボクたちを犯したくせに』
『進路は大学?就職?』
『し、就職。事務のお仕事を……』
『あんたみたいな不良でも人並みな仕事につけんだな』
『な、何を……』
彼らはポラロイドで撮った先ほどの早紀の肢体が写った写真をチラつかせる。
『どこの企業?』
『○○事務所……』
『ふ〜んあんたみたいな不良を雇うなんて物好き。だけどこの写真を……写真だけじゃない。ケータイやスマホで撮った画像を送りつけたらどうなるかな』
瞬間リーダー格の男子生徒の言葉に青ざめ身体が震えた。
『や、やめてくれ』
『やめてくれ?無理やり犯しといて』
リーダー格の男子生徒にもうひとりがひそひそと耳打ちし頷いた。
『ま、就職した先ですぐに辞めるのもあれだな。三ヶ月時間やるよ。三ヶ月仕事覚えたら辞めて』
彼が黙っている間に早紀は制服を脱がされ辱しめともいえるほどに下着姿や全裸に近い身体を晒されお漏らしを堪えるのが精一杯だった。
リーダー格の男子は言う。
『……この土地から消えてください。ボクたちの人生に関わらないでください。もし三ヶ月経って○○事務所や実家にいたらこの写真や画像をバラまくから』
キッと睨むがここで暴力沙汰などを起こせば卒業はおろか就職内定は取り消し。悔し涙に彼女は頷くなか男子生徒たちのなかで透だけはケータイを持ちながら彼女を見ないようにしていたと思う。彼だけが……。
気のせいか……。
「ごめんなさい」

No.194 18/02/01 18:20
作家 

「ごめんなさい」
早紀はただ謝るしかできない。ただ言い訳に過ぎないかもしれないが当時グレていた彼女もまた自らが処女であったことは内心恥ずかしいという思いがあった。なら男子の不良たちと初体験をすればいいのではという考えや意見もあった。
だけど男子の不良たちが初体験というのもスケバンであっても中身は女の子。頭悪く仮に成績がよくてもどこかに欠点が見える男子の不良たちよりは手近にいた透のような少女に似た容姿の中性的な男子生徒の方が言い聞かせやすくまたぺニスもさほど狂暴に見えることは少なく勃起時は大きいが男性的な雰囲気は感じなかった。
もっとも初体験そのものはスケバングループの誰もに痛かったらしく早紀もまた例外ではない。
そして現実に時間は戻りいまは初体験の時よりも心から胸が痛かった。
じっと透子になった彼は見つめていたがやがて口を開く。
「顔をあげてください先輩」
「……うん」
「もちろん僕は悩みましたがこうして先輩と会えただけ嬉しいです」
中性的な笑みのなかには憎しみらしい感情はほとんど見えずそっと肩に触れる。少し強ばりが彼女にあった。
「だけど……」
「ぼ、僕だけはあの時一枚も写真や画像は撮りませんでした。信じてほしいと言っても無駄ですよね」
「本当?」
ええ、と透子は頷く。
信じていいのかどうかわからないが信じたい気持ちもある。
実は双星出版社に入社してからはニ、三年は故郷に帰省してなかったがある年にやむを得ず帰省することになりもし透や彼らに会えばどうなるかわからないまま帰った。さいわいにして写真や画像がバラまかれることは盆休みや正月にはない。
だから早紀はそれ以来に限っては帰省するようにした。
「信じてくれません?」
どうする、と悩むが沙耶香の後押しがなければここまで謝罪はできなかったと思う。信じようと自身に言い聞かせた。
「信じるわ」
「よかった……、嫌われるかと思った」
ふたりが噴水や彫像の前で笑みするのを神無月社長はバルコニーから眺めていた。
あの透子という子。早紀が好きなのかしら。だがいまは沙耶香に競争相手が欲しかった。
「沙耶香さまたちは裏の湖を散歩してるようです」
そう、と彼女は二重契約については沙耶香の落ち度はあるが今回は去年と違い好きにやらせていた。彼女は待っていた。
真の好敵手が乗り出したと感じた。

No.195 18/02/01 19:54
作家 

あらあらなつかれたわね。
子猫のように愛那は昨夜添い寝をしたせいか私たちについてくる。
「愛那さん」
私は振り向き呼びかけるとびくっと肩を震わすが「おいで」と招くとようやくならぶようにした。麗奈は私越しに言う。
「あれほど毛嫌いしてたのによほど可愛いがられた?」
「ち、ちがいます。ただこのような場に慣れてなくて」
ぎゅっと私の腕を保護者のように掴む。
「えっちしたんでしょう。この人にされてよかった?」
愛那の耳にはまるでふたりが恋人や夫婦のように見え冷たいような熱いような複雑な気持ちが宿るのを感じた。
「そ、そんなこと……」
「やめなさい麗奈。若い子をからかうのは」
はい、と麗奈もまた腕を組む。両手に花だけど別にたいしたことはしてない。
湖のほとりには小屋がありベンチもあり三人で座り休んだ。湖には白鳥やカルガモなどいくつかの鳥が見えた。
「あの放してくれません?」
右に麗奈、左に愛那。肩や腕がいたい。麗奈はすっと放したが愛那はまるで保護者に守られる妹。早紀よりもだ。
「あの先輩」
「なに?」
「戻ったらあたしも二重契約についてのお仕事調べます」
「無理しないで」
愛那は私を先輩と呼ぶ。そのことに咎めはしないが麗奈は少し遠くを見つめる瞳をした。
うまくいくかしら。
かつてのレズメイト流菜に沙耶香を渡すわけにはいかないが時間は刻一刻と過ぎる。
業界内の噂では新星出版社はモデルや作家を使い捨てにするらしい悪名高い出版社らしい。
胸に不安がよぎる。
「麗奈?」
「ううん、なんでもない」
なんでもないわけがない。私がした不手際で再び双星出版社を危機に招いている。すべては私が自信喪失を性についてなくし精神が女性化し男として性欲あるがふしぎと目の前のふたりの異性に気持ちが燃えない。
責めることはできるのに再び挿入したい欲求がなぜかない。
湖にはつがいだろうか。二羽の白鳥が飛び立ち森林の上の蒼き空に消えた。
いまは平和な時かもしれないが自信喪失のきっかけは舞先生の初体験を失敗。突き飛ばされ苦いセックスをさせた。
一度彼女とあらためて面と向き合う必要はあった。話し合いからでも互いの性の在り方を知らないといけない。かつてジェンダーアイの三姉妹を克服できたからできると信じたい。
麗奈は私が深く考えてる表情を見つめていた。

No.196 18/02/02 05:11
作家 

お昼を前に私たちはお暇をし屋敷を離れ綾香と理沙、奈々と麻由の二台のリムジンに分乗した。
早紀と透子は綾香の、私と麗奈たちは奈々に分かれ土曜の昼前で少し車は多いが渋滞にはならなかった。
「先に麗奈を送ってあげて」
「構わないのに」
「疲れてるでしょう。ゆっくり休んで」
それでもこの時の行動が迂闊なことをさらにしてしまう。透子が早紀を下ろすのを見て私もやや離れたところから麗奈を下ろすなか早紀がこちらに目礼したようだ。
うまくいったのかな。
「先輩、あたしのそばにいてくれます?」
「迷惑をかけたのはこっち。伏せて、マスコミ」
麗奈たちの前にマスコミがいて思わず身を隠してしまった。疲れた彼女たちがさらにマスコミに晒されるのを見つめ複雑になる。
麻由が言う。
「こちらも離れます」
私が見つかればマスコミは私に集中砲火するだろう。だけど麗奈たちが晒されるのはつらい。
ちょうど昼になった頃にリムジンは愛那の、かつての早紀の住んでいたマンションに着いた。透子を乗せたリムジンは隣県に向かったと聞いた。
「では、また沙耶香様」
「また遊びにきていいですか」
「彼女に聞いて」
「……構いません。あたしも皆さんとガールズトークしたいです」
ぶっきらぼうな私に対し彼女はいくぶん対応が柔らかくなったようだ。手の内なのね。
麻由たちが去るなかそう思う。
それから一週間あまり再びテレビや取材に応じたがやはり誰ひとり聞いてくれない。実家の家族には頭を下げたが「信じている」とだけ母は言葉少なにあった。
連日のテレビや取材で週末になる頃には疲弊していた。
「先輩、これ」
愛那がポストを見ると新星出版社の取材依頼の封筒があり部屋に上がりふたりして読んだ。
「取材の時期が迫ってるから折り入って我が社をおたずねください」
かいつまむとそういうことだったが、私が来ない場合は私共々双星出版社を訴える用意があるという。
「いかなくていいです。こんなの」
懇願するような愛那に首を横に振る。
「だめ。麗奈や早紀さん、社長や愛那さんたちに迷惑はかけられない。週明けにでも向かうわ」
「先輩」
離さんとせんばかりに彼女は私を見つめた。ふるふる震える唇が柔らかく重なり温もりがあった。

No.197 18/02/02 15:22
作家 

シャワー浴びて私は麗奈が持ってきたランジェリーのうち最近お気に入りのレースのTバックのブラショーツセット。色はピンク。
先にシャワーを浴びていた愛那は彼女はひとり部屋に招く。一、二週間ほどの滞在だったが招かれたのは今夜が初めて。扉を開け聞いた。
「セックスしたい?クンニまででもこちらは構わないのよ」
あえて女言葉でたずねるなか彼女は可愛いらしい花柄模様のパジャマのまま膝で指が震えている。
「あ、あたしを女に、オンナにしてください。先輩、いえ……沙耶香さん……」
処女であることをニ十年とほんの少しの年月といっても内心の葛藤やプライド、麗奈たち他女性についてのコンプレックスもあると思う。見た目がちいさく可愛いと大人の女性には見られないのはプライドがよほど傷つき葛藤しただろう。
横に座り私は呼吸し告白した。
「春頃に、わたし愛那さんとおなじ処女のひとを相手にしたけど……失敗したの。なにがいけなかったかわからないけど。……愛那さんが痛い思いでほんとに嫌なら突き飛ばしても構わないから」
「そんなことしません……!バカですそのひと」
ちいさいながらいやちいさいからこそはっきり言える言葉があるのだろう。その意味では愛那はコンプレックスをある程度は自信に変えてきた女性といえた。
足りないのは他人や私みたいな存在についての寛容さ、優しく他人に接する適度なひと付き合い。
「そういう言い方はやめて。ひとにはひとの事情があるだろうから」
愛那の部屋は見た目とかわりなく少女ぽい。レースやピンクのカーテン、少女漫画や少女小説、一方では成人雑誌が仕事と併用してだろうけど体験談モノなどが見られまた一方ではふとフリルやレースある服が見られたがハンガーにあるが着た雰囲気はさほどないよう。
「これからは麗奈や早紀さんたちとうまくやっていけるわ」
再びキスを交わしそっとベッドに倒そうとするがさりげなく私自身が下になる。
「先輩、あの……?」
考えて慎重に言葉をつなぐ。
「いい?見た目は女性でも私はオトコ。わかってるでしょうけど異性の身体に触れるにはいい加減にしてはだめ。痛い時は痛いし感じる時は感じるから」
自分でしてみてとあえて彼女にリードをうながす。ちいさな指がさらに震えパッドのあるブラジャーに触れていく。
「ハアハア……」
呼吸が聞こえちいさな掌が包むよう。

No.198 18/02/02 20:25
作家 

しばらく愛那は見つめていたがやがて頬や髪、うなじに愛撫をし始めた。たぶん初めて本格的に触れるであろう異性が女装の男性というのは奇妙としかいいようがない。
「ん……んん……」
どうすれば私が感じるかわからないまま手探りをしてるようでゆっくり慎重にひとつひとつ確かめるようだ。まるで子犬や子猫が飼い主を主として認めるか否かのままに。
「ん……れろ…ちゅ…はあ」
「ん……」
「あ、いたいですか」
首をちいさく横に振りよほどでない限り好きなようにさせる。感じてる時は少しでも声にし伝える。ちいさい身体なために170ある私の身体を愛撫するには大変だけどできる限り難がないようには動かした。舌が首筋、脇、胸などにちろちろと這う。
「ん……」
「男の匂いがします……」
「そうね……」
しかし彼女は驚くようなことを興奮しながら言うが本人は気づかないようだった。
「こんなに男の身体に近づいたのはむかしお父さんとお風呂に入った時以来かな……」
ちょっとドキッとした。女装であっても異性の匂いから父親を連想するのはそれだけ大切に育てられたのではと思わせた。
「あ……はあ…ん」
彼女はもぞもぞと興奮し身体が火照ったのか右手を自らのパジャマの下に潜らせた。少しパンティラインが見え卑猥だった。
ブラジャーとパッドをそっとのけて乳首に舌を動かした。
「あ……んむ…んむ」
必死に愛撫する姿は小動物を思わせるがその瞳は少女から大人の女性になろうとする意思が宿っていた。撮影の時はムキになる少女のようだったがヴィーナでの一件がなにかを変えたようだ。
彼女は息継ぎをするように自らキスを求めた。
「あ……んむ」
「ん……なあに」
「身体が熱い……だけど風邪とかじゃなくて……お、おまん……下半身から熱いです……」
わからない何かが彼女が内に秘めた感情や気持ちを熱を持ち支配してるようだった。卑猥な表現を口にしながら頑なな性は拒む。
そっと頭を撫で抱いた。
「落ちついて。逃げないから」
「はあ……身体が」
「初めてで興奮してるだけ。私以外のモデルさんのオチ×チ×も触ったならできるわ」
「や、やだ。言わないで」
ちいさなパンチが胸を打ちながらも呼吸をしながらやがて撫でていく。パジャマを脱ぎ可愛らしいブラジャーが露になる。やがて彼女はショーツに包まれた男性器を見つめる。

No.199 18/02/03 08:18
作家 

甘い吐息をし撫でながら彼女は言う。
「ソーセージかウインナーみたい」
指で撫でながら一応の扱いは心得ているらしく愛撫に力を入れてない。また小さい指が柔らかい。
「無理しないで」
「んん……」
指で撫でながら亀頭や鈴口に吐息がかかり感じる。口を閉じたり開いたりくわえるには躊躇いがあるようだ。
「あ……はむ…はむ」
いきなりくわえる真似はせず目を閉じ形をたしかめるように甘噛みか触れる程度に唇や舌でたしかめるようだ。
撮影の時もこれくらい優しければ私や他のモデルさんに不快な思いはなかっただろう。
だけど彼女が携わった仕事を私が知る限りは男性やぺニスに人一倍興味がある証であり結果的にはモデルの魅力を発揮したことが評価され皮肉なものかもしれない。
「ん…んむ…はむ…はむ」
「ああ……」
「感じてます?」
頷き身体がベッドを揺らす。しかしショーツをキュッと持たれ引っ張られると睾丸が締まる。
「だめ……」
「あ、袋も感じるんですね。忘れてました」
「下着を脱がすか脇に出して……」
「……変なの」
小さく笑みし彼女は私の性癖を理解しTバックのクロッチの下からぺニスを出して再び撫でる。吐息にはまじまじと見る感心や驚嘆、性への気持ちなどが混じるようだ。
「だいじょうぶ?」
「まだいじらせてください……。これが好きになれるように」
思春期のトラウマや自らのコンプレックスと向き合うような姿勢が見られた。
撫でながら再び口内に含みフェラし愛撫し膨らむ睾丸を指でなぞる。
「あ……ああ……」
「先輩、ここに男の……牡の……が」
「う、うん……」
口に出すのは卑猥なことに耐えられないわりに表情は紅潮し指は自らの淫部に這わしちいさく音が耳に伝わる。
「はあ……気持ちいい」
女装の異性との触れ合いに愛那は芯から身体が熱かった。いままで好きに弄ってた頃とはちがうふしぎな感情があり指には愛液が絡む。
くちゅくちゅとし指が止まらない。毛深い陰毛へのコンプレックスさえも忘れるくらいに誰かに愛撫してもらいたい。
「せ、先輩……!」
もう我慢できずに彼女はパジャマの上と下を脱いで69の姿勢になり沙耶香に跨がった。
「な、舐めて……弄って……ください」
途中息が詰まるように切迫しながらも淫唇からは愛液が腿に流れる。
「ん……れろ…くちゅ」

No.200 18/02/04 15:12
作家 

ちいさく若い柔肉が私の眼前にあり処女の甘酸っぱい匂いがツンと鼻に感じる。
ほんの少し舌を這わしただけで愛那はびくびくと身体をのけ反らせるようだ。
「あ……ああ…ン」
「声に出していいのよ」
「あ…ン」
性行為を取材を通し中途半端にし頑なな性格もあるせいかお尻を揺らすのが精一杯のようだ。
性世界のなかで自分をさらけ出すのはよほど勇気がいる。
「せ、先輩。さ、沙耶香さん……」
「どうかした」
「も、もっとして……ください」
身体はちいさく見た目は少女のようだが心は大人の女性になろうとしいま未熟な果実から成長しようとしている。
青い性から成熟に彼女は向かおうとし淫唇からはとろとろと愛液が滴り私は舌や唇で受け止める。
「ン……んん」
ショーツの内にある男性の性器を愛撫し身体が震えながらも芯から熱い何かを感じている。
「はあ……ン……」
「だいじょうぶ?」
「オチ×チ×……気持ちいいですか」
彼女のフェラチオはけっしてうまくはないがちいさな唇や口内、指の動きに初めて本格的に触れる驚嘆、感激、異性の性器という複雑な心理が見て取れるようだ。
「う、うん」
ほんの少し眉間にシワを寄せたと思えば男性器をショーツの布地で股間を弄る。
「ちょ……!?やだ」
「はっきり言ってくださいよ」
Tバックショーツの紐状の布地がすりすりと睾丸を弄りフェラチオとはちがう快感が襲う。
「や……」
「何がいやなんですか」
「き、気持ちいい……」
そう答えるとショーツの紐状の布地で擦るのを止めながら膨らむ睾丸にちいさな手を這わす。
「オトコの人はこんなえっちなもの付けて」
「……なによ。愛那さんだってここ」
卑猥な女性器の上にあるジャングルのような陰毛を弄ると股間を震わせる。
「きゃ……やだ」
「あら?ここは恥ずかしいところでしょう」
「やだやだ。そこはだめです……」
陰毛のそばの淫豆は赤く剥れそうになりこんにちはをしていた。指を這わし森林のような陰毛でさえもじんわり汗や体液にまみれスコールのようにもみえ処女ではあるが牝臭はあった。
パンティをゆっくり剥ぎ取ると声がした。
「あ……取らないで」
「私の下半身を好きにしていいから」
コンプレックスある下半身を見られるのは羞恥なことを理解しながら前向きに接していく。
「ああ……ンん」

No.201 18/02/05 05:49
作家 

愛那は思う。
こんなオチ×チ×が身体に入るのだろうか。だけど身体の芯からの熱い疼きは感じる。
沙耶香に淫肉を指で弄られ劣等感ある森林みたいな陰毛でさえ弄りクリトリスからびくんびくんと自分が女性いや牝としての動物的性本能が身体をやらしく淫らに熱くさせる。
「ああ……はむ…んぅ」
大きい、だいじょうぶかな……。だけど睾丸。ここに男性の牡のえっちなどろどろがあるんだ。
ぴちゃぴちゃれろれろ……淫音を奏でる下半身がやらしい。えっちな子になっちゃった。
「ハアハア……ん。んむ……」
“さんざんえっちなことをしてのぞんだこでしょう”
理性と葛藤し悩みながら愛那はもうひとりの幼くもどこか大人びた笑うような声が内にした。
そう、あたしはセンパイと。沙耶香さんとひとつになりたいの。
「んあ……ああん」
「愛那さん?」
「弄って、舌でぺろぺろして……」
思わぬ言葉に彼女はそっと劣等感のひとつでもある小さな胸に触れると張りが内からあり苺みたいな乳首が興奮していた。
ああ……オナニーでもこんなになってない。
沙耶香が自分の思うまま文句を言わずに一時でも愛してくれるからこんなえっちなんだ。
「ん……ん…じゅる……」
フェラチオをしながらカウパー液からえっちで卑猥な牡の匂いが唇や頬、口内を犯す。口ま×こしてるよ……。
Tバックショーツなために沙耶香の男性器はほぼ露である。舌で睾丸に触れるとぷるるんと揺れた。
「あ……ン」
「すごい……」
男性器はたしかに変な形だけど性の営みがあった。こんなのを付けてあたしたち女性と同じ姿でいるなんて。
両性具有、アンドロギュノス。まさに女装は現代のアンドロギュノス。
ハアハアと吐息が荒い。まだ未熟な蕾のような花唇からも熱い愛液がとろとろ……。
「ああ……」
あまり呼吸をしてると過呼吸にならんばかりで男性器を指で撫でた。
しゅっしゅっと指で撫でても熱く堅くぺニスだけが別な生き物のよう。
「ん……」
「はあ……ン」
「センパイ」
「な、なに」
ちらっと愛那は沙耶香を見た。躊躇ってはいけない。そっと身体の向きを変えて唇を求めた。
「ん……」
「ン……あ」
眼鏡を外すと女性らしい表情のなかにかつて学生時代の面影があった。あたしの下着でえっちしたんですよね。
こわい思いを感じながらも決意を固めた。

No.202 18/02/05 11:05
作家 

彼女は私に跨がるようにしながらちいさく細い脚が震えていた。
「愛那さん無理しないで」
勃起した男性器を真下に見つめ蕾のような淫唇にそっとゆっくり鈴口や亀頭を撫でて声はちいさいながらはっきり答えた。
「オチ×チ×を受け入れられないと、……いつまでも子ども。身体も心も……ン…」
わずかに淫唇が亀頭に触れゆっくりちいさく花唇に触れ内の襞が神経を通し小さな痛みが伴い愛那に伝わる。
「ン……はあ。ハアハア……」
ぐぐぐと男性器の感触が神経に痛みを分かちながら脳内に処女膜を破るような音が耳や頭に伝わる。気のせいでもあり実感だった。
だいじょうぶ。
愛那は自分を女に女性にしたかった。ならば相手を信じなくてどうするの。
オチ×チ×のついた女の人。先輩であり沙耶香さん……。
「ン……っ、あ……」
何かがめりめりと耳の内を打つ音がしている。
「はあ、ハアハア……」
「愛那さん」
「少しでいいので身体を抱いてください……」
そっと腰から背中に女性の手と見紛うような白いけど少しだけ太い男性の感触が触れふしぎと愛那は父を思い出した。
幼い頃に何度かお風呂を共にした父親。
沙耶香とは似ても似つかないが腰や背中に触れられ感触に安心感が宿りぐぐぐと淫唇から赤い液体が垂れた……。
あ……!
痛いなんてものではなく頭の上から手足の指先にいたるまで痛みしか感じない。だけど必死に耐えた……。いや耐えないとならない。
「っ……はあ……」
呼吸するのもやっとのように思いながらもちいさな可愛いらしい胸が呼吸と共に揺れる。
乳房、おっぱい、乳首、左右でちいさいながら揺れ手で包む。
「はあ…ン……んむ」
もう少し。もう少し……。
自分が女ということを感じるには痛みを伴う。
処女にさようならしむかしの自分にさようなら、新しい自分に明日からなる……。
めりっとひときわ激しい音が脳内にし手足が痙攣しながら下半身は熱くやらしい。
「ンむ……ああ」
「……」
眉間に皺を寄せ沙耶香の瞳は見つめている。左右の手が引き寄せたいけど我慢している。
瞬間どくんどくんと襞の内にある男性器が膨らみがあった。
ひとつになってるんだ。
そっと足と肩の力を抜いてこのままオチ×チ×を……。
「っ……!!あ、きゃ」
口からわけのわからない息の詰まりと喘ぎで身体が固まった。

No.203 18/02/05 14:51
作家 

「っ……いた、ああ……ンん……!?はあ…ん」
根元にまでずっしりと熱い牡の性器を感じて愛那は少しだが牝の本能が内から疼くのを感じた気がした。
熱いとにかき芯から身体が熱く身体は痛みや肉棒を感じながら拒否はあるはずだが、痙攣している脳や指先、爪先は汗や体液が交わってるいる何か。性的な何かを感じしばらく身体を動かすの躊躇いがあるなか呼吸をようやくした。
はあ……。んん……。
「ん……」
ほんのわずか……少しだけどぐちゅぐちゅと胎内からの音にオチ×チ×を受け入れたとわかる感じがした。
ぐちゅぐちゅぬるぬる。
ぬるぬるは血なんだ。処女膜を破った熱いあたたかい血、……いたい。痛いことは否定しないがオチ×チ×に全身を貫かれてる感覚が理性とは別な本能が身体をゆっくり前後か左右に動かしたい。
「愛那さん……」
「ああ……ひとつになって……ます」
頷く沙耶香の表情に牝な本能がなぜか安堵のような快楽のような複雑だけど気持ちいい感覚や感情が胸に宿る。
ためしに動きたい。動いてみよう。ん……と腰を動かす。前や後ろに。
「っ……!あ…はあ。ンン……」
膣の内で異性のオチ×チ×をくわえてる。相手が女装だからかくわえてるはずだけどつながってるような変な感じ。オチ×チ×を通してつながりがある……。
「ンン……ああ。頭がジンジンしながら……へん」
沙耶香は見つめながら落ちないように抱いてくれている。それだけでもいままで仕事を通しての性行為より充実感のようなものがある。
「ああ……ハアハア。いい……おっぱいおっぱい……勃ってるあたし」
指で摘まんでも自分の乳首が天井を向いて腰をゆっくりから少しずつ激しくなりそう。
おま○このなかのオチ×チ×は女装のひとのなのに。
レズ?セックス?
考えたら頭が真っ白に蕩けそうで堪らなく身体が熱い。
「ああ……いい」
そっと沙耶香は腰や背中を抱いてようやく頬や肩、うなじを愛撫しよけいそれがくすぐったく感じた。
「きゃ……」
吐息や唇、舌が這わされくすぐったくこそばゆいがセックスのなかの行為なためにふざけている感じはしない。
おとな、大人に私はなってる……なってる。
まだまだ身体や膣内は痛みはあるけど性的快感がそれを少しずつ支配してゆく。
ふと沙耶香にキスを返す。
「んむ……」
「はあ……」
変なあたし。

No.204 18/02/06 05:16
作家 

どろっとした処女の鮮血が互いの下半身を濡らし私は愛那を犯したと気づく。
“血が怖いのはむかしから”
沙耶香は私に伝える。
しかし愛那の表情は眉間に皺を寄せ痛みと向き合いながらも牝の本能にあるがまましたがうよう。ある意味素直な姿が意外にも思えまた感嘆するものだった。
「ん……んむ……」
「はあ……」
キスを求めることで少しでも痛みをやわらげようとしてるかわからないがわずかに表情は大人の表情を感じさせた。
きゅっと膣内の襞が締め付けたようだ。
「あ……っ」
「はあ……さ、沙耶香さん。感じて……る?」
「う、うん……」
真正面に抱く彼女は見た目は愛那そのままだが明らかに女性のフェロモンを持ち始めていた。いやもとからあった魅力やフェロモンが性行為をしたことで毛細血管から室内を満たしているようだ。
すごい……、女性は見た目ではない。
そっと胸を愛撫してみると甘い声をあげながら髪が揺れ汗や体液がまみれる。
「ん……」
どろっとした花唇には愛液が肉棒を濡らし血がさらに濡らす。
「ああ……ん」
今度は愛那が私の乳首を求める。まるでレズをするように。れろれろと舌を這わしながら不器用に互いの乳首を触れ合わせる。
「あ……ン」
「沙耶香さん、先輩が……」
感じてる。ぐちゅぐちゅと下半身の結合から卑猥かつ淫らな音は絶え間ない。ベッドやシーツを濡らし身体の芯から熱い。膣内の襞は無数に肉棒を感じてじんじんとしていた。
「あ……ああン」
「っ……」
「沙耶香さん」
愛那は自分が沙耶香を求め男性に抱かれている感覚は本能で感じているが頭のどこかでは神話にあるアンドロギュノスに抱かれどこか官能的だった。彼女もまた双星出版で官能小説や別の部署の性愛劇画を読んでいたからかもしれない。
「あ………」
感じる。肉棒より下の睾丸が少しだけど膨らみぱんぱんになりながら牝を求めている。
上へ下へ突かれるたびに凸と凹はふたつになっている。一方では大人らしい性の考えを想像しながらどこか子どもぽいイメージがあり愛那はちいさく笑う感じがした。
「あ……」
「愛那さん」
「ううん、なんでもない」
結局自分は双星出版社にいて大人になれない自分と向き合うのが怖かったんだと無意識のどこかで悟った。
「っ……大きくなってる」
射精が近いらしく肉棒の肥大感があった。

No.205 18/02/06 14:51
作家 

射精する少し前……見た目は変わらないはずなのに愛那は明らかに処女という蕾から脱け殻を脱いで女の子から女性になったと本能的に感じ羨ましくもあり妬みもある。
“だけど貴方は女性でも男性として相手を悦ばせる……”
内に生きる沙耶香のこたえに迷いは一時であるにせよ克服される。
「っ……ううん」
血まみれの肉棒はずぶずぶと処女の蕾を散らした肉唇に挿入され感じていた。甘酸っぱい匂いは腰を振り快感が高まるたびに愛那は甘い声をあげ髪が揺れる。
性世界に入った少女は女性と成っている。心なしかちいさい胸は成人した女性の張りのある形を作るように半球のようでありきれいな弧を描き揺れていた。
「ああ……大きい」
「ん……ちいさいくせに生意気」
「ひどいですよ……」
セックスの行為中に冗談が通じればもう少女ではない。
ちいさい身体のわりにこの数時間の間に彼女は大人の女性になっていた。
愛那は唇を息継ぎか牡を求める牝、たぶんどちらもとして唇を求める。ちいさい愛らしい唇を重ね口内から濡れた舌が舌を求め絡めてきた。
ッ……!!
ふたりして息継ぎの呼吸が合う。蕾から成った花唇の奥の襞が吸い付き肉棒を膨らませていた。
「あ……ッ」
「イキます……?」
「イッていい?」
ハイ、とそこは呼吸と同時に彼女は応えた。
互いに腰と腰が触れ肌がベッドの上で弾けるようだ。
「ああ……ンッ!」
「落ちちゃうから」
愛那はベッドから落ちても構わないくらいに性的に感じていた。あれほど痛かった痛みはいまは少ししかない。たしかに男根が女性器の奥に挿入され痛みはあるが、突かれるたびに頭のてっぺんから指や爪先の全神経が牝となっていた。
男根が少しずつ膨らみイキたい射精したいと訴える感覚が自分を女性へと覚醒させていた。
「イクよ……」
「ああ……ハイ。ください、センパイの……いっぱい」
忌み嫌っていたはずの女装の異性と交わることがこんなに素晴らしいとは思わなかった。
きっとあたしの下着でえっちした。下着と共にいまあたしは牡であり男であり女の装いのひとに犯され気持ちいい。
「ッ……イク……」
「せ、センパイ……っ!」
瞬間抱きつきながら子宮の奥まで届きそうな迸る牡や男の精液がどくんと脈打ち発射されまるでレディースコミックのヒロインみたいな気持ちが重なる。
ああ……声が漏れた。

No.206 18/02/06 16:25
作家 

三回ほど性交を繰り返し愛那は吐息を繰り返しながら嫌ってた相手にも関わらず抱かれ一人前の女性になれた達成感と処女への喪失を同時に感じ嬉しくもあり一抹の寂しさを肌に感じた。
「はあはあ……」
「センパイ、少し待ってください」
男性の射精は目一杯運動した体力に相当するといい三回も射精すれば沙耶香が少し筋肉ある体格とはいえスタミナは並大抵の消費ではない。
冷蔵庫からアルコールとジュースを出し少し躊躇いながら甘いジュースを口に含みそのまま口内に注いだ。
「っ……!」
「……くちゅ。甘い」
「はあ、ふつうにちょうだい」
根が真面目というのは麗奈たちから聞いてたがそのぶん屈折もあるのだろう。性とノーマルに接することができない人達は大なり小なりアブノーマル。あたしもかな。自嘲しなくもない。
「センパイ、あたし」
「……ん」
「あたし沙耶香さんにもいままで仕事で接したモデルさんにも二ノ宮先輩たちにも謝罪し心を入れ換えます」
彼女もまた真面目なぶん人並みかそれ以上に反省する姿勢を見せた。幼い表情のなかにいくつかの痛みや壁を乗り越えた何かが見られたが本人は気づく由もない。
髪や肩を撫でられ異性の手が温かい。
「無理しないこと」
「……ハイ」
「あたしは愛那さんが警察に突き出したいなら構わないの。罪は消えないから……」
少し恥じらいながら彼女は聞いた。
「下着好きですか?」
「う、うん……」
「こんな大人になりきれない後輩の、でもですか」
沙耶香も躊躇いながら言う。
「どの下着かはおぼえてないけど可愛いアニマル柄やフリルのある下着では……オナニーはしたかも」
「む、変態です」
「だ、だって聞かれたから」
言わなくていいです、と思い頬や胸を触れ叩きながらこんなあたしの下着でもオナニーしてくれたのは知らずに女性だったのかもしれないと複雑な安堵ある。
戻れるならあの頃に戻りオトコの先輩と話をしたい思いがあった。
だけどそれは叶わぬ願い。時間は戻せない。
「先輩……」
気づくと沙耶香は寝息を立て呼吸を繰り返していた。すでに深夜二時すぎ。
新星出版社に彼ないし彼女は明日おもむかないといけない。
「なんとかしてあげたい……」
だけどいまは身体を休める時、そっと側に横になり布団をかぶった。
少女は大人の女性になり温もりを異性に与えた。

No.207 18/02/06 19:28
作家 

愛那が作った朝食を食べ終えた頃にインターホンが鳴りふたりして顔を見合わせた。
「行ってはだめです」
立ち上がろうとした私の腕を掴み新星出版社の誰かがここにいることを突き止めたかもしれないと思った。
しかしそれは杞憂だった。
「久しぶりね。沙耶香さんに美如月さん」
扉の向こうにいたのは去年会った早乙女美紀と前原祐のふたりだった。
聞くとふたりはAV業界を引退した後に新たにAVを含む映像会社を立ち上げたらしくその第一弾に私を起用したいという話だった。
しかし。
「有り難いお話ですが、これから新星出版社に顔を出しにいかないとなりませんので」
「二重契約の件?」
連日報道されてることもありふたりとも察しはいいが業界内でも伝わっていたらしい。
「不当な契約という証拠はないの」
「いまのところは」
「一応私たちの会社も双星出版、新星出版などにも提携の話は持ちかけているんだけど。何か協力できないかしら?」
「いまは……考える余裕ありません。そろそろ向かわないと」
玄関の扉を出て必要なものだけバッグに手にしタクシーを呼びマンションの側で待つ。
「沙耶香さん」
「愛那さんはお仕事がんばって。不出来なモデルでごめんなさい」
タクシーに乗る私を愛那たち三人が見送り彼女は追いかけようとしたがやめたようだ。
タクシーに新星出版社の住所を伝え進みしばらくして着くと驚いた。
「ここですか?」
「ええ、住所はこちらのはずです」
新星出版社は双星出版社と同じ通りのやや斜め向かいにありマスコミは双星出版社側に張りついているらしく私の姿にいまは気づいてなく建物に入っている企業名を見ると新星出版社の名があった。
自動ドアを抜けるとまるで双子の建物のように内装から瓜二つ、受付嬢も双子であるがこちらはやや大人ぽい。
企業名と新星出版社の流菜の名を伝えるとしばらくして彼女が現れた。
「この度は水越沙耶香様をお待ちしておりましたわ。どうぞ」
丁寧な口調だがどこか慇懃無礼な態度が密かに見え隠れしていた。エレベーターに乗るなか淫靡なフェロモンが漂う。
こんな近くに互いにライバル出版社があるなんて、事実は小説より奇なり……。
しかしさらに驚くべきことがあることを私はまだ知らなかった。
流菜は優雅に社長室に案内し扉を開いた。息が詰まり声を失う驚きを襲った。

No.208 18/02/07 05:07
作家 

!?
目が飛び出さんばかりに声が出ないほどに私は驚いた。
目の前にいたのは神無月社長その人だったから。
しかし目の前の神無月社長は「ちがうわ」と言う。
「神無月社長では」
ようやく出た言葉を彼女はあっさり否定し名乗った。
「私は神無月恋。舞の妹、双子の」
ワインレッドのスーツ、怜悧な瞳が眼鏡に隠されほんの少しよく見たら勝ち気な性格がより表にあらわれている精気のようなものがある。
彼女は語る。
かつて姉と共にとある男爵と名乗る女性ぬ仕えていたが男爵は失踪。その後“ヴィーナ”は姉舞のもとに託される。
またなぜ自分たち姉妹が性業界でも特殊な女装業界に飛び込んだかというと互いに競い競う存在が官能女装業界だったから。どちらか優秀であるかというためだけに。いや“ヴィーナ”を手に入れんがために。
「どう?驚いてぐうの音も出ないようね。オッホッホ!」
舞社長に比べたらこの恋とかいう女性は高飛車なようでふつうに呆れる自分がいた。
「社長。これが水越沙耶香です」
「きゃ……」
清楚なタイトスカートを外され着替えた下着が露になるがそこにあったのはレースのTバックとパンストに包まれた牡の象徴。
恋はしゃがみ私の肉棒を撫で吟味するようにうっとり見つめた。
「意外なほど立派。だけど流菜を感じさせられなかったモノだけど使えるかしら?」
屈辱に耐えながら愛那と昨夜の性交を経て自信を取り戻せたかわからないまま緊張の汗が滴る。
流菜は言う。
「契約期間はたとえ使えないチ×ポの持ち主として存分に働いてもらうからご心配なく」
「く……」
フェロモンを漂わせ流菜は私の背中越しに見つめ少しだけぎょっとしたようだった。
「え、あ……」
この時彼女は以前と少し印象が違ったことに本能的に感じたらしかったがすぐさま気を取り戻す。
「これから沙耶香を交えて企画、撮影などの打ち合わせをしますわ」
「呼び捨てにしないで」
呼び捨てにしていいのは麗奈やごく一部の親しい相手だけ。何様かわからない人妻に呼び捨てにされプライドが傷つき微かに内に燃えるなにかがあった。
“変わった……?”
私の内の沙耶香はなにかを感じたよう。
「わかりましたわ。セックス下手な沙耶香さんどうぞ」
恋社長の視線を感じながら流菜は挑発し先を歩き会議室に招いた。

No.209 18/02/07 09:10
作家 

はむ……れろくちゅ……。
淫靡な音が会議室の机の下からして指先が震え下半身が熱い。
「何か意見はありますか。沙耶香さん?」
上座の位置につく流菜は挑発的に私を見やる。吐息が荒く声が出しづらい。
「あ……」
「あらあら、フェラされだだけで声が出ないようね」
な、なんなの。これが会議?打ち合わせ……。指の側にはペンやノートなどがあるがペンさえ持つ力が入らない。
昨夜愛那と身体を交えたからではない。
「沙耶香さんには是非ともSM志向であるらしいので女王様スタイルはもちろんですが、マゾスタイルも経験して欲しく今回の撮影にはSM界の巨匠写真家小木澄真に依頼したいと思います」
小木澄真、記憶にあるSM写真家であり八十年代から九十年代にかけ活躍したSM写真家である。当時はVHSビデオ全盛でありSMブームでもあった。
澄真の写真は一様に美しく動画においても美しさは変わらず淫靡なことは変わらない。
実は私の女装の一端には美しく縛られた女性も少なからず影響しており澄真の写真集は若い頃にごく一部だが購入しコレクションであった。ある意味憧れな写真家ではあるがマゾではないのにと思うところもある。
「……イクッ…!」
会議室の机の下で思わず私は射精し精液を迸る。
「ああ……」
「凄い……」
机の下には流菜と同じく人妻のフェロモンを醸し出す女性がふたりほどおり精液を指や手のひら、頬で感じているらしかった。
快感を感じながら私は流菜を見つめた。
「意見がないようなら沙耶香さんお願いしますね」
「あなたね……」
「意見を求めたのに答えないあなたに非はありませんわ」
新星出版社のやり口が読めたことに憤りを感じながらもフェラチオの快感にはよほど下手でない限りはムリはなかった。
彼女たちはモデルに快感を与えながら意見や口を挟む余地を奪っていき編集担当の思うがままに仕事をこなしていく。たぶん他の部署も。
「はあはあ……」
「まだ大きい……はむ」
「れろれろ……」
「っ……やめ…」
机の下の快楽に私は芯から蕩けそうになりながら抵抗は許されない。名も知らぬ人妻たちの性的遊戯は止まらない。
流菜は思う。
思う存分快楽を味わいなさい……。さんざん飼って捨ててやるから。
麗奈がこんなヘタレな女装に靡くなんて。少なからずレズビアンのプライドがあった。

No.210 18/02/07 15:00
作家 

流菜は私を見下している。
男嫌い?男性とのセックスが嫌悪?
だが、私との身体を交えたことからレズビアンであっても両刀使いやバイセクシャルはいる。
午前中の仕事を終えた流菜は気が進まないなか私を預かるという。
神無月社長の双子の妹であり新星出版社の社長恋の命令ないし指示。
「ほら、乗って」
ぶっきらぼうに言いながら外国産の立派な車の助手席に乗せられ向かったのは一度来た佐伯家。車は家の敷地内の二台三台停められる駐車場に入る。
「別に殺しはしないから安心なさい。降りて」
なんなのだろう。この接し方は……。
生活に必要なものはバッグに入って……いない。内心は気が動転してたのか麗奈が持ってきた下着などは愛那のところに置いてきてしまった。
玄関を通されてっきり家のなかのどこかの部屋に通されるかと思えばそのまま真っ直ぐ突き抜け裏庭に案内された。
「ここがあなたの部屋よ。オトコのもオンナのも一通りあるから適度に好きに使いなさい」
裏庭にあったのは四畳半程度のちいさなプレハブだった。
男?女?
敏感な私の鼻腔はプレハブ室内に残る微かな性や生活感ある空気や匂いを感じる。
「お世話になるから挨拶した方がいいかしら」
「お世話してあげるから言いなさい」
私の言葉にキッと流菜はわざと高い態度で言い返した。
「これからお世話になります。よろしくお願いします」
「……素直に言えば優しくすると思ったら間違いだから」
憎しみだろうか。
私が麗奈と共に暮らした存在だからか。男だからかとしかそこから思考は伸びない。
「お茶くらい淹れてあげるわ」
踵を返し彼女は家のなかに入り私はプレハブ内を見つめ座る。広くはないが本棚にタンス、机など一見するとふつうの室内。どこがどうという特徴はないがあの雰囲気や匂いがいまは感じない。
本棚には漫画。男の子や女の子が読む漫画が並んでおり最近は漫画を読まない私にはそれしかわからない。あとはラノベ、……ん?
官能小説、官能ロマン?
それはこの部屋には似合わない大人びた文庫に見えたが漫画やラノベより奥に隠すようにあった。
「沙耶香さんお茶」
「きゃ……!」
「お茶を持ってきたわ。それとたいしたものではないけど昼食も持ってきたわ」
「あ、ありがとう」
やや侮蔑を含んだ瞳だが乱暴に食器を置くことはなく見定めする視線。

No.211 18/02/07 18:36
作家 

残り物だけど。
そのわりにご飯に味噌汁、卵焼き、煮魚、漬け物とオーソドックスではあるが懐かしい雰囲気を肌が感じていた。
「いただきます」
ご飯をつまみ味噌汁の具を咀嚼し、卵焼きを丁寧に箸で切り口に運ぶ。煮魚から骨を除いて再び口に運ぶ。
ふと声がこぼれた。
「おいしい……」
「お世辞でしょう?さっさと食べ……」
食べてと言うことを彼女は飲み込んだ。私の表情から嘘偽りがないことを感じたかもしれない。鼻を鳴らし聞く。
「なあに?坊やはこんなのがおいしいの」
「……おいしいです」
口内に広がるの母や家庭の味。女装し一度は捨てたがいまはなんとか繋がりを持つ故郷や母、家族たち。
涙腺から滴が流れた。
「な、なんで泣くのよ」
「いえ、こんなおいしいものを作れて食べるご主人や子どもさんがしあわせと思い……!」
瞬間頬が弾かれ茶碗から白い米粒がこぼれた。彼女は私を憎々しげに見つめ叫ぶ。
「二度といまのような話はやめて!」
仁王立ちしながらも足下はふるふると怒りと何か別な感情からか震えていた。
「すみません……」
米粒を拾い食べれる範囲だけ食べて家庭の味をふと思う。
麗奈や早紀に最近は作ってないなと思う。経済基盤が少ない私の負い目であり恋愛や結婚を真正面に考えられない悪い癖。
だけどふたりは口に出さない。しかし口に出さないことで想いを日々の会話やセックスに託す。
いつかは決めないといけない。
気づくと流菜は食器を持っていきお茶を出してくれた。
一見清楚な感じだがややもするとかつてのルイのように艶がありすぎ。ケバいとは違い必要以上に色香やフェロモンがあり胸元、ウェスト、脚だけでなく瞳や唇、頬、耳など身体のすべてが女性であることを強調している。スーツの上にエプロンがあっただけ人妻や主婦を感じさせたがいまはない。
「……なに」
彼女が挑発的に見つめるなか私は勇気を出して聞いてみた。
「いつまでこちらにいればいいのでしょう」
「最低でも契約期間は一年。たっぷり働いてもらうわ」
ただし、と彼女はプレハブ内にある時計を見た。
「いまからお客さまが来るわ。みんな私と同じ主婦や人妻。さっきの会議室の子達もだけど」
呼吸をし彼女は言う。
「あなたにはこの街の人妻たちの性欲を解消させてもらうわ。下手だから無理かもだけど。精液はあるんだから」

No.212 18/02/08 05:26
作家 

インターホンが鳴り彼女がプレハブを出ると三人ほどの主婦や人妻らしい女性が三人ほど姿を見せた。
「これが去年話題の沙耶香だわ」
「新星出版が欲しがるわけね」
「だけど使えるかしら」
使えないかも、と流菜はさりげなく私を馬鹿にしている。
「夕方までこの人たちの相手をしてね。私は会社に戻るわ。必要なものがあったら麗奈にでも言いなさい」
意外な言葉だった。
麗奈の名が出るのは彼女は麗奈を意識しているのだろうか。そう思っていると踵を返し去っていく。
三人は名乗る。
「私は桜子」
「夏南」
「アキ」
三人はそれぞれフェロモンや香水、大人ぽい匂いを醸し出しながら手にはお茶菓子が入った袋を出しこれからセックスしましょうという雰囲気には見えなかったが裏切られることになる。
人妻らしい清楚なブラウスやシャツ、花柄のスカートなど麗奈たちとは雰囲気が異なる。
「セックス下手なの」
アキは三人のなかで若いらしくあっけらかんとし容赦がない。
「ちがいます。冴木さんとは……」
「あらあら可愛い」
言葉を続けられない私に桜子は唇をさりげなく奪い甘いビスケットかクッキーが口内から放り込まれ溶けた。
「ん……」
「あら、もう感じた」
夏南はそっと顎や頬を撫で三人それぞれ私の身体をまさぐり始めた。
さきほどイッたばかりなのにショーツはすでにキツそうにぺニスを支えていた。
「スゴい……」
見た目とちがう私のぺニスの膨らみにアキは吐息を漏らし桜子はカーディガンやブラウスを脱いでいき花柄の清楚なブラジャーが露になり胸が見えた。
「お茶もいいけどミルクも飲んで」
「出ないでしょう。子育てはたいてい終わってるんだから」
「気分よ」
乳房が鼻先に触れ呼吸を整え口をつけた。
「あ……」
「どう」
「……気持ちいい」
「ならあたしは」
「っ……」
タイトスカートを外され射精したばかりの膨らむ股間が露になりアキは撫でる。
「まるでバイブが入ってるみたいでエッチ」
夏南は私のブラウスのボタンを外しブラジャーをはだけ乳首に愛撫した。
三人を相手なんて。
殺されるわけではないと理解しながら彼女たちに気づかれないように瞑想し気持ちを決めた。
“逃げないのね”
内にある沙耶香は私の気持ちを汲んだような含みがあった。

No.213 18/02/08 08:16
作家 

桜子、夏南、アキはそれぞれキスを私と交わし四人の舌が絡む。
唾液がねっとり絡み吐息がこぼれる。
「ん……」
「はあ……」
「どうかしらね」
「これからよ」
桜子が比較的大人びており落ち着いた雰囲気があるなか大胆に指を這わしてくる。
「ん……」
「ギンギンで堅い」
アキは若い感じがして新婚ニ、三年いやそれに満たない雰囲気を肌に感じる。
夏南は胸元に触れパッドやブラジャーをうっとり見つめ乳首に舌を這わす。
「意外にきれいな肌」
「あ、ありがとう」
指で乳首をコリコリと弄られ自然に礼が出て三人を相手にするにはひとりひとり満足させる以外にない。
“自然なままでいいの”
内なる沙耶香は私に呟く。そう思うと牡と女装の私がある程度は無意識下で同調していくよう。
熱い、熱い。
下半身や芯から熱い気持ちにしたがえばいい。
「んむ……」
「あら私にキスをしてくれるのね」
大人びた桜子のブラウスやカーディガンに触れある一定の子育てを終えた成熟な胸が魅力的に映る。
「ああ……こんな子育て終えたのに」
「乳首……コリコリ」
「やだ……」
人妻は経験豊富、ならばある程度は思うがままにさせるが言葉責めは耳や羞恥心を刺激する。
アキはそんな私のぺニスに触れてきた。
「大きなクリトリス……会社でイカされたのね」
「っ……。クリトリス弄って……」
「掌に入らないかも」
しゅっしゅっとカウパー液の卑猥な匂いが鼻腔をつく。
夏南は胸元に自らの胸を触れ合わせる。
「パッドだからちょっとつまらないわ」
「手は使えますから」
「あ……ン」
三人を同時に相手にしコミュニケーションを図るには互いに声をかけ身体を自由にさせ満足させてあげる。
睾丸に触れるアキは言う。
「タママ×コ出したばかりなのに」
「あ……ン。優しくして」
するわ、とアキは吐息をかけ指でクロッチにある睾丸を弄る。早紀より若いが少し新妻感が肌に伝わる。
「ん……」
人妻たちのフェロモンは絶え間なく私や場の空気を支配する。年上との性交がない私はあるがまま流されるかもしれない。彼女たちを満足させることに思いを注ぐ。
「あ、下着は脱がさないで」
最低限自分のルールは守り少しずつスイッチが入っていく。
変わってる、と桜子たちは笑みしあう。安堵する気持ちがあった。

No.214 18/02/08 12:46
作家 

三度ほど彼女たちにリードされ射精は三回。
「あらあらもう限界かしら」
「まだ時間あるのに」
「冴木さんの言うようにたいしたことないかしら」
桜子たちはとりあえずやり終えた満足感に口々に言いながら私はそっと上体を起こし呼吸を整えお茶菓子を口にし余力が身体にあることを感じた。
「まだまだよ」
時間は昼の一時半が過ぎたばかり。
「え、ちょっと」
「今度は私の好きなようにやらせてもらうわ」
手近にいたアキの汗や体液まみれの身体に触れると一旦は冷めた身体が再び火照り始めた。
「ん………」
「ちょっと……ん」
ディープキスをして若い新妻らしい身体を今度は直接的に積極的に触れた。ショーツの脇から出たぺニスはむくむくと力を戻し若いアキらしくブラジャーはポップな感じ、キャミソールで隠れていた胸も弧を描くように指や手元で弄る。
「んあ……沙耶香さん」
「優しくするから」
「ああ……」
すごっ、という声が夏南から漏れるなか桜子は私の様子が変わったことにわずかに目の色を変えたようだ。
「パンティを履かなくてもよかったのに」
一戦をやり終えたパンティから愛液の余韻が残ってるらしく指で花唇に触れ淫豆、柔らかい陰毛を上から這うように撫でた。
「あ……ン」
「声に出していいのよ」
「や……ン。トシくんがいるのに」
あら、と意外そうに呟く。トシというのは若い主人らしい。
さんざん他人の身体を弄っていたのにやられた途端に背徳感か罪悪感かあるいはわざとなのか。くちゅくちゅと花唇の形をパンティから露にしていく。
「ちゃんと私から搾り取らなかったようね」
「い、挿入(い)れたわよ……」
「ちがうわ。挿入と搾り取るのは」
アキは経験が浅いなか欲求不満なタイプと思われ髪やうなじには十代に近い感じがした。
「ほら。桜子さんたちに見せてあげて」
彼女をベッドに上げて背中から私は彼女を愛撫した。閉じようとする脚に私自身の脚をかけパンティの上から内の花唇を弄る。
「あ……やだ。み、見られる……」
四つの瞳が好奇に溢れアキの瞳は緊張や羞恥に硬直し始めた。
「私は見られてあなたたちに犯されたのよ。同意はしたけど」
言葉に飴と鞭を含み桜子と夏南にも暗に示した。髪にある清楚なリボンを外した。
「ああ……」
「許さないわ」
昼間に女の装いをした瞳が輝いた。

No.215 18/02/08 15:15
作家 

先に彼女たちにリードさせいくぶんの疲れはあるがある程度何かは吹っ切れた感がある。
うなじや肩、髪を愛撫し新妻らしいアキを執拗に責めた。
「ンンん……」
「ここは満足しなかったみたいね」
「さ、沙耶香さんが……」
「なあに」
「ほ、本気じゃなかったから」
そう、とうなじを愛撫しパンティの膨らみある肉唇を弄り愛液がじっとり染みをつくる。
やられる時はそれなりにやられる。マゾや犯される女性の気持ちを理解するためでもある。
「いまは本気だから」
ひっ、と彼女はなにをされるかと怯えたが理性は充分にあるのだ。
“適度にしないとひどいわ”
内なる沙耶香はまるで私をコントロールするようだ。男性であり女性に憧れたふたつの意識は重なりあってるかもしれない。
ぐちゅぐちゅ……。
「あ……やだやだ。イクイッちゃう……」
パンティ越しの花唇を指だけでなぞりクリトリスを這うようにしアキは同性にも見られ同性の装いをした沙耶香の指の動きに羞恥心が高まり身体が熱い。
アクメが身体を支配しベッドのシーツを掴む指が落ち着かず震え掴むだけ。
「あ、あ……イク……!イッちゃう……」
瞬間身体が痙攣したかと思うと、アキは天井を見上げ涎がわずかに口内から垂れた。下着を着けたままイカされ近所の桜子たちに見られたのだ。
「あらあら、まだこれからよ」
「こ、これから……やだ」
「嫌なら帰っていいわ。だけど私に報復なんて考えないことね」
ひっ、とアキは怯えそれに気づいた夏南が入れ替わるように前に出た。
「あ、あなた何なの」
「フツウの女装の変態なだけよ。指でイカされただけで堕ちそうになるなんてね」
指にはアキの淫らな液が絡み唇に運ぶ。その姿に桜子たちは私に異質な何かを感じはじめていた。
「わ、私が相手になるわ」
夏南は三人のなかで比較的開放的な感じ。オープンで明るいが怯えがあったが仲間がやられてはいてもたってもいられない感じだ。
フッと私は澄ます。
「友情かしら。素敵、嫌いじゃないわ」
「ふざけないで」
「怒るより愛しあいましょう」
ぐっと腕を掴みベッドに彼女を倒した。
「あ……ッ」
「怯えることないわ。んむ……」
「っ……れろ」
キスを重ね合わせ女性と女の装いをした異性の姿は淫靡かつまた昼間のなかの非日常の時に桜子たちは目を奪われる。

No.216 18/02/09 05:32
作家 

いいものをあげるわ。
夏南はその言葉に目を丸くしたと思ったら私は自分のショーツを脱ぎ彼女の頭に被せ次に彼女の下着を脱がし身に付けた。
「な、なにを!?変態」
「下着だけでは不満?これもあげる」
強気な夏南は下着を外そうとするより先にぺニスを顔の側に触れさせた。
「舐めて」
「あ……んむんむ」
躊躇いながら夏南は私のショーツを被りフェラを始めた。桜子たちはゆっくりと少しずつの性の逆転劇に目を奪われていく。
私はアキを見つめる。
「アキさん」
「は、ハイ……」
「夏南さんのオマ×コ舐めてあげて。できるでしょう」
おそるおそる彼女はベッドに上がりフェラをする夏南の下半身に口をつけた。
「ん……はう…」
「感じてるわ夏南さん」
「ああ……はい」
夏南は目の前の女装の異性に戸惑いや驚嘆があり牡の匂いがしたショーツ、さらには自分の下着を身に付けた沙耶香にまるで魔法のような呪縛を感じた。
男?女?なんなの、このひと……。
三回射精しぐったりして果てていたはずなのに精気がみなぎり私やアキさんを……。
「おクチと手が留守よ。ん……」
「ああ……くちゅ。あ……」
けっして肉棒の大きさは主人に匹敵しないが若さと牡、自分の明るい色のパンティに包まれた男性器は表現できない魅力があり淫靡だった。鼻には牡の匂いがするショーツ、はじめは嫌悪で取ろうとしたがフェラをしていくうちにいつまでもしていたい。
「アキさん」
「は、ハイ」
「夏南さんの、おいしい?」
「……はい」
アキもまた奇妙な呪縛を感じていた。
目の前には同性の花唇、柔らかい陰毛、成熟しているクリトリス。
何度か近所付き合いのレズと大差ないがさらに目の前にはショーツを被せられた気の強い夏南が意外なくらいに沙耶香にしたがっている。
しかも少し腰を浮かした沙耶香のぺニスを舐める夏南の口の音が聞こえ膨らむ睾丸がわずかに見える。
「ああ……」
オマ×コもいいけどオチ×チ×が欲しい。目の前に見えているのにオマ×コばかり……。
夏南に嫉妬に近い感情を覚えながら沙耶香のお尻に触れようとした時だ。
「なにしてるの」
「ああ……あたしにもオチ×チ×、オチ×ポさせて……」
「ダメよ。いまは夏南さんよ。代わりにこっちで我慢して」
パンティからお尻が出てアヌスが見えた。
「そんな……」

No.217 18/02/09 06:52
作家 

濡れている……。
ショーツの内に手を入れた桜子はすでに湿った愛液とはちがう愛液が指や花唇に絡むことを感じ目の前の淫戯から離せない。
沙耶香は夏南のパンティを身に付けた申し訳程度で身体は当然男そのものだが、表情は自分たち女性と変わらなくそれがまた不可思議な美しさがあった。
「はむはむ……んぐんぐ」
「ああ。夏南さんばかりずるい……お尻だなんて」
沙耶香は前と後ろを夏南とアキに愛撫されレズのように腰を振るがイク様子はなくふたりはもどかしさもあるはずなのに感じている。
「夏南さん」
「……ああ」
「あなたが舐めているのはなに?」
口を離し蕩けた瞳で夏南は迷いながら答えた。
「お……オチ×ポ」
すると沙耶香の瞳に冷たい輝きがわずかに入り頬を撫でた。
「よくできました、と言いたいけどちがうわ。これはクリチ×ポ」
「く……クリチ×ポ」
「よくできたけど。あなたクリチ×ポばかり舐めるのね。ここも舐めないと感じないの」
後ろにいるアキからも見えたのは膨らむ睾丸。ああずるい。
「ああ……ハイ」
「ここはなに?」
「た、タママ×コ……タマにあるマ×コ」
れろれろとパンティの内にある睾丸を牝犬が愛撫するように夏南は堕ちていく感覚を白くなる頭のなかで感じた。
「……ああ」
「あら?アキさんお口がお留守ね」
芯から身体がじんわり熱くなるなか嫉妬に近い感情の彼女は口にした。
「な、夏南さんばかり……」
「クリチ×ポが欲しい?」
「……っ。あ…はい」
選手交代ね、と沙耶香は前後に向きを変えるなか夏南もまた男性器が遠ざかることに互いに知らずに嫉妬があった。
「ああ……パンティにクリチ×ポ、クリチ×コ」
「えっちね」
アキ自身もわからない。だけどただ無性に欲しい。じゅるじゅると口に含むと夏南の唾液にカウパー液の匂いや味が口内に絡んでは弄び少しずつ喉に入れる。
ずるい、と夏南は思いながら自分のパンティを履いたお尻には毛が見えたアヌス。
「け、ケツマ×コ」
自分でも驚くくらいに卑猥な表現が出た。ほんの一言発しただけなのに芯から熱く疼く。
「ケツマンコ、好き?」
「あ……いえ」
沙耶香が振り向き冷静さを取り戻したと思った時だ。
「夏南さん仰向けになって」
優しい声に従うとそのまま沙耶香のお尻が顔面に乗り息が詰まる。
ああ!?

No.218 18/02/09 12:51
作家 

丸いお尻が若い夏南の顔面に覆い被さり息が詰まる思いがした。そのお尻にあるのは自分のパンティと女装男性のアナルである。
「ッ……!ああ……息が」
「ほら。少し上げてあげるわ」
女装の沙耶香のお尻とパンティ、頭に被ったショーツで形や重さ、牡の匂いど息ができなくなりそうになりながら一瞬でも快感があった自分に驚いた。
「ああ……れろれろ」
ケツマ×コに毛が生え奥からはくさい匂い、だけど睾丸からのタママ×コ。ぺニスとは違う卑猥さに惹かれさらに思わぬ変態的なセックスに彼女はとらわれていた。
トシくんとちがう。だけどトシくんよりエッチ……あたしもエッチ。
目の前に勃起した沙耶香の肉棒にアキはようやく口にできたことに悦びじゅるじゅるれろれろと口いっぱいにした。
「んぐんぐ……くさい」
「冴木さんの会社で射精したんだから」
しゅっしゅっと上へ下へ扱きカウパー液が口内を襲い犯す。
「んぐ…んぐ……ザーメン…精液……」
「あら?出ないかしら」
「い、いじわるしないで……」
いくら舐めたり口に含んでもカウパー液のくさい味や匂いがしなくアキは思わず甘えてしまう。
しかし沙耶香の瞳や表情はどこが冷たいが惹かれるものがあり身体の芯から惹かれていくようだ。
だけど私は三回の射精を経て自分が何をしてるか自覚はあるが、サディストの自覚が目覚めの方向に向かってることにはわかっていない。
理性では麗奈や早紀たちと過去に相手した女性とかわりないセックス。
後でわかることだが神無月舞社長が私に求めていた“女装の女王様”は“沙耶香”と共に少しずつ覚醒していた……。
しかし私にわかるわけがない。一方的に犯されたり本意ではない性行為がひとつのきっかけかもしれない。
「ああ……ちょうだい」
夏南やアキの様子がおかしいことに桜子は気づくがなにもできない。
いや指で下着の内にある乳房や花唇を弄りなぜ自分は彼女たちの中に入れないのかもどかしく淫らな気持ちがあった。
「ン……」
沙耶香の瞳が桜子を見つめるが存在を無視されたようで冷たい思いが宿る。あのふたりばかり。
「夏南さん、アキさんとクリチ×ポを舐めていいわ」
「ケツマ×コでもいい……」
「アキさんザーメンが欲しいんだって。お願い」
表現できない屈服感があるがむしろ夏南たちには快感に思えた。従わないと快感が逃げる。

No.219 18/02/09 16:17
作家 

プレハブでの一室を覗き見してる者たちがいたことを誰も知らない。
神無月舞社長たちのメイド綾香と麻由である。綾香は声を漏らす。
「凄い……」
神無月舞社長に連絡をする麻由だが彼女の返答は意外なものだった。
「沙耶香さんを見つけました。いまなら助けられますが」
「中の様子を見せて。リアルタイムで」
綾香のスマホと連動しプレハブ内が塀越しに映され彼女は見つめ言う。
「このままにしときなさい。恋や冴木という女性もわかるでしょう。沙耶香さんは扱いを間違えたら痛い目に遭う存在なことを……」
ふたりは目を合わせ「戻りなさい」と神無月舞社長の言葉に従い麻由だけはプレハブを心残りに振り返った。
瞬間私は夏南とアキの若い顔に精液が熱く迸った!
「ああ……」
「出た……」
恍惚としたふたりに対し桜子はただ自分のもとには牡の匂いが漂い誘うようでもあり指はショーツの内を弄りもどかしい。
しかし沙耶香の目にはまるで自分の存在が入らないまま女の装いの異性はちいさく妖しく笑みした。清楚で真面目な表情のはずなのにぞくっとした黒いダイヤのような美しさを連想させた。
気づかないふりのまま私は言う。
「先に可愛がって欲しいのはどちら?クリチ×ポはまだ元気だから」
「ああ、あたしから」
「ズルいわ!私からよ!」
ふたりして女装のぺニスを奪い合うさまはまさに牝と化していた。妖しい笑みする私は誘うように口に出す。
「丁寧におねだりできるかしら」
おねだり?とふたりして聞くなかレクチャーしていく。
「やらしく淫らに自分のアソコや身体をアピールするのよ。わかるわね……?」
「そんな……」
恥じらうアキより先に夏南は躊躇いながらもはしたなく口にしていく。
「わ、私の疼くこのお……オマ×コに沙耶香さん……」
「さ・ま・よ。様……」
「さ、沙耶香さま……のクリチ×ポを……ください。疼きを止めてください……」
「ああ……アキのおま×こ……我慢できません……。お願い、クリチ×ポ、チ×ポコでおま×こに栓を……して…して。指でぐちょぐちょ」
聞いている桜子でさえおかしくなりそうな卑猥な言葉が広くないプレハブに伝わる。
「夏南さんにするわ。だけどさっきみたいにセックスが下手ならごめんなさい」
「ああ……そんな」
互いに膝を立てたままベッドの上で向き合い挿入が始まった。

No.220 18/02/09 18:34
作家 

挿入は互いにスムーズに行われたが互いに向き合い淫部を晒したまましていると忘れていた初体験を夏南は心のどこかで思い出していた。
なんだか初めての頃みたい……。
だがその想いは異なる形で裏切られる。
さっきと変わらない?期待損かな、とそう思いながら沙耶香が声をかけた。
「どうされたい?」
「あ……」
さっきは騎乗位でしたがどうしようと思いながら自然と言葉が出た。
「だ、抱いてください。つ、突いてください」
「わかったわ。だけどあまり重い……いえ失礼ね。ごめんなさい」
沙耶香が言わんとしたことがわかり女性としてのプライドと羞恥心に触れられながら謝られたことが意外だった。普通の男性なら体重についてはデリカシーなく言い謝られることは少ない。
「足に乗って……」
「ん……。……ッ!ああ……!?」
けっして筋肉室ではないがそれなりに男の面影を残す足に乗り腰に深く挿入されたかと思うと身体が肉棒に貫かれた感があった。
「ん……」
「ああ……もっとして……」
「私にもペースあるから」
「そんな……」
沙耶香には独特のペースがあることは彼女たちは知らない。
“女王様”として覚醒が始まりいまだ私自身さえも自覚は少ない。
ぐちゅぐちゅと膣内に飲み込まれた肉棒は襞を感じ突き上げる。
麗奈ほどに経験はないようだけどキツい。てっきり経験数は多いかと思ったが見た目とはちがうらしい。
「ああ……ン。いやん」
「何がいやなの?」
「さ、桜子さんアキちゃんに見られて……」
「さっきもしたでしょう」
抱かれながら髪や耳に吐息が舌を這い全身に性的快感が宿る。
セックスの形自体はさきほどと変わらないのに何かが内から込み上げ子宮の奥まで突かれお尻の穴まで呼吸し収縮を繰り返しているように思える。
「だけどお尻の穴は見られてるかも」
「あ……」
性器同士の結合は駅弁スタイルのままで見られないがお尻の穴は丸出しでありはしたないことに夏南の理性は気づく。
「や、や……見ないで」
「ならこうする」
夏南は沙耶香から下ろされ結合が解かれ互いの淫部は卑猥な匂いを発しカウパー液や愛液が滴る。
「お尻の穴はこれで見られないでしょう」
「そんな……」
牝犬のように四つん這いにされ汗や体液にまみれた身体は互いに再びつながる。
「ン……ッ」

No.221 18/02/10 05:52
作家 

「ンっ……変態な沙耶香さ……沙耶香様に……犯されちゃう」
「犯される?失礼ね。同意でしょう」
「ああ……は、ハイ」
夏南自身心の内から羞恥心を煽られ見た目が強気ながらも彼女もまた寂しい一面がありそれを埋めるために流菜や桜子たちと付き合っている。
「ああ……ンン。凄い……」
「凄くないわ。私は女装の変態だもの。いわば……オチ×ポのついた女の人……」
「……ずこずこしてぇ」
男?女?女装……?
夏南の頭の中では相手が男性か女装かは問題ではない。いまはただこの快楽を自分だけのものにしたい一心。
ぷるんとした乳房が露になり沙耶香が掌で掴み乳首を摘まむ。身体に電流が走るようだ。
「ああ……ん!」
「締め付けるわ……」
「や……」
「やらしいおま×こ」
じゅわと愛液が花唇から噴き出しそうな感覚と共に沙耶香の肉棒が膣内で少しずつ膨らみアクメを感じ涎が唇を濡らす。
「ん……クリチ×ポ。く、クリチ×ポ……」
「こんな変態に犯されて卑猥な言葉を発して」
「ああ……イカせて……」
「もう?挿入(い)れたばかりなのに」
ずっと感じたい気持ちとイカせてほしい気持ちが相反しながら肌と肌が触れ合い胎内から犯されてたまらない。
「っ……おお……ん」
牝の獣みたいな声が出ているが喘ぎと重なり自分の声に思えない。
「イキましょうか」
「はあ……はあ。……ハイ……」
身体を貫く女の装いの牡の肉棒が汗や体液を噴き出し快感をいつまでも味わいたいけど身体がもたない……。
「ほら、だっこしてあげる。夏南さん」
「ああ……」
乳房がブラジャーがはだけた沙耶香の男の白い肌や乳首に振れ男性とわかってるのにどこか女性を思わせた。
「っ……く……ああ」
襞に絡む肉棒を締め付けながら花唇の一枚一枚が感じ沙耶香が身に付けてる下着は自分のもの。
自分に犯されている?私のオチ×ポ……?
挿入されてるのは頭のなかでぼんやりわかっているはずなのに犯し犯されてるふたつの奇妙な感覚が宿る。
「ん……れろくちゅ」
「れろくちゅ…はあ」
「ッ……大きい……
キスを重ねると少し萎えるように感じるが呼吸を整えるとお腹いっぱいに肉棒が膨らみをおぼえ夏南は少しずつ腰を落としていく。
「あ……ハアハア」
「イカして……」
肩に手を回し離さないとばかりに牝と化していた。

No.222 18/02/10 10:50
作家 

「っ……イク!イッちゃう……!」
イクイク……!
口から出る声と心の声が重なり牝犬になった感覚の夏南はどくんどくんと脈打つ男根から牡の樹液が注ぎこまれ額や髪には汗が、唇からは涎がとろとろと滴り爪先から足は痙攣し指はシーツを掴み悶えるだけ。
「はあ……はあ……」
「あ……まだ……」
きゅっきゅっと夏南は自ら沙耶香に生えた男根から精液を搾り取る。鈴口や亀頭が子宮の奥に当たるほどに突かれたまらなく痛みと性的快感が共存しあう。
身体がつながっている間は愛すべき主人や子ども、主婦としての日常や井戸端会議などありとあらゆることが忘れていた。性の世界に溺れていく快感があった。
「はあ…ん……」
「さ、沙耶香様。もう一回……」
キスを重ね身体を抱かれ乳房を揉まれ髪やうなじ、耳の裏まで愛され生活感あり少し太ったウェストにさえ回され彼女はお願いした。
アフターセックスで身体が火照りから醒めていくはずなのに、心は自然と求める。
しかしそれはあえなく裏切られる。
「よかったわ。きっとご主人はしあわせな人。こんなセックスができる人を奥さんにできて」
「あ……そんな」
「ちゃんとしあわせに気持ちを向けないとご主人、お子さまもいるのかしら?お母さんをするのはたいへんだけど逃げちゃいけないわ」
屈託ない沙耶香の言葉に現実に戻されしあわせなセックスとはちがう目の前の現実があることから逃げてたことを小さいけど大きく恥じる意外な自分がいた。
私は何をしてたの……。
疑問を感じるなか沙耶香はキスや愛撫をしながら離れていく。
離れていく、ああ。
「ハアハア……」
沙耶香は目の前の飲料水を口にし女装男性なのに先ほどとはちがい醒めた瞳をしていた。
それを見つめるアキに桜子。
ああ、ふたりに取られるの……。
沙耶香は言う。
「アキさん待たせたわね」
「お、お願いします……」
前に出たアキと同時に桜子がいつになく落ち着きない態度なことに彼女は気づく。
いつもはリーダー格の彼女なのにまるで構ってもらえない子どもや犬のようにちいさく幼く見えるのが錯覚か現実か。
「ん……」
「ああ……」
沙耶香とアキが愛し合い夏南はゆっくりベッドから身体を下ろした。
けっして広くないプレハブの一室が世界から切り離された隠微な内なる密室のようだ。
ここにいつまでもいたい……。

No.223 18/02/10 14:48
作家 

「アキさんこんなきたないクリチ×ポなのに。欲しいの?」
「舐めたい入れたい、ガマンできない……お願いします」
精液や愛液が混ざりどろどろと化した肉棒を彼女は蕩け恍惚した表情で触れるか触れないか迷いと欲情を露にしていた。
「舐めたいならどうぞ」
「ああ……!はむ……じゅるじゅる、おいしい……れろれろ…んぐ」
喉を鳴らし女の装いの沙耶香の男性器を卑猥な音を立て愛撫する様子に、桜子は欲情をしながらもひとりかろうじて理性を寸前で保っていた。
これがセックス?まるでふたりとも牝のよう……だけど相手は女装子、女装のひとなのに。
淫靡な匂いが漂うプレハブに彼女はこのままいたい思い沙耶香とセックスしたい思い、それに反してのわずかな理性で目の前の光景から目が離せない。
「んぐ…んぐ……」
「あらあら、牡の精液がそんなに欲しいなんて」
「精液、ザーメン、もっとちょうだい……」
この時の私の意思は沙耶香でもありまた私でもあり“女王様”であった。“女装の女王様”として意識が重なりながらも私自身の意識は程度はわからないがある程度の解離があったかもしれない。
「これを勃たせたいならあなたの下着を、ランジェリーをちょうだい」
思わぬ言葉に理性を司る私は驚く。これが自分の言葉なのと。
アキはブラジャーやショーツをいそいそと渡し私が身に付けていたブラジャーや夏南のパンティに目を奪われる。
「あら、意外に可愛らしいわ」
アキのランジェリーは純白で彩られサイズは少し小さめ、かろうじてぺニスが入る程度。
あまりの淫らな姿に三人の女性たちは息を呑む。
「沙耶香様、あたしの淫らでえっちなおま×こに、クリチ×ポをください。……お願いします」
桜子はその言葉にアキの目がイッていることに気づく。指は全裸な陰毛や花唇をぐちゅぐちゅと弄ることが止まらない。
「少し待ちなさい」
純白のアキの下着を身に付けた私は舐められ光沢ありズキンズキンと脈打つ肉棒が姿をあらわした。
いいわ、と招く。
「ああ……ハイ」
「すぐにイカさないでね。ん……」
「キス……えっちなキス……はむ」
互いに唇を重ねながらアキは肉棒に触れようとするのを私は片手で彼女を抱きながらも空いた手で塞いだ。
「ああ……」
「イカさないでと言ったはずよ」
触れたいのに触れられないのがもどかしい。

No.224 18/02/12 05:50
作家 

仰向けになりアキは足をM字形になり大胆に自らの淫唇を晒した。
「ああ……早くぅ……」
髪をかきあげ沙耶香は呼吸を整える。アキの真っ白になりそうな意識は男?女?女装?と沙耶香への意識は混濁しぺニスをつけた自分とさえ相手を錯覚している節さえあった。
ぐっと肉棒が愛液を垂らす花唇に挿入されていく。ぐずぐずずぶずぶと獣同士の性行為のように下半身からやらしい音がしていく。
「っ……ああ……すごい」
トシくんと同じなはずなのに、なんかちがう……。いままでの女装の人たちとも……。
プレハブの壁に指が触れ爪が食い込まんばかりに性的快感に支配される。
「っ……はあはあ」
「おお……ん」
花唇に挿入された途端に肉棒が大きくなったようで、アキには天井が白く見えていた。
「こんな男でも女でもないひとに犯されて恥ずかしくないの」
「っ……ああ。気持ちいい……」
「好き勝手に犯しといて」
同意では?と思う余地や理性はあるが沙耶香の言葉ひとつひとつが耳ではなく全身から伝わり快感が芽生え毛細血管から汗や体液が身体を熱く震えさえ興奮させていく。
「っ……して」
「なにを」
「お、おま×こ……おま×こして……」
よくできたわ、と沙耶香の口許が動いた。肌と肌が触れ合い睾丸の膨らむ感触が身に付けられた自分の下着から感じた。
オチ×チ×、オチ×コ、クリチ×コ……タママ×コ……。
わけのわからない卑猥で淫靡な表現だけが頭にあり恥もなく若い胸を揺らし汗や体液が身体を濡らす。
「っ……ああん。いい」
「ん……」
「っ……大きい」
沙耶香が意図をしてるかわからないが呼吸や体勢を変えるたびに男性器は膣内で大きくなりアクメを感じる。
額からは汗が浮き出て腰を振る。花唇が肉棒を締め付ける。
「あらあら、ダンナさんがいるのでしょう」
「う……ん」
「こんな私みたいなのに犯されて快感?」
「いや……言わない……もっと言って……」
言葉で責められ罵られるようで三人のなかで若いアキは罪悪感と性的快感の狭間で牝のようになっていた。
「ああ……」
「まだまだよ」
アキの理性は訴える。
さっきまでのセックスとちがう。イカしてほしいのにイカせてもらいたい。頭からおかしくなりそう。
理性ある桜子にも沙耶香の言葉は伝わる。
ああ私たちはいつもこんな淫らなことを……。

No.225 18/02/13 05:46
作家 

どの程度の時間が過ぎたのだろう。
「ああ……イカせて」
唖然とするように桜子と夏南は新妻なアキの痴態を目にしていた。アキは胎内にある肉棒は膨らみ下半身、いやお腹そのものにあるみたいで何度アクメに達したかわからなずイッたのかイッてないのかさえわからない。
「イキたいの?私はまだ平気よ」
理性的な眼鏡の輝きの内にある沙耶香の瞳はサディストである。その手はアキの肢体を包み腰を時にちいさく優しく時に激しく振り快感へ誘う。
「あ…あ……」
かつて早紀を長時間ほどもたせたあのセックスと同じであった。
私自身自覚や自意識はあるが、何度かセックスで果てる度に“沙耶香”ないし神無月舞が求める“女王様”(の素質)が覚醒しているかもしれない。
「と、トシく……ん」
「彼氏の名前を呼ぶなんていじらしい。嫉妬しちゃう」
いつの間にか犬のように四つん這いにさせ背中から髪やうなじ、耳を愛撫していきアクメや快感と共に罪悪感のようなものが彼女によぎる。
だけど身体は快感を求める。
アキは後ろ目に沙耶香を見つめた途端に腰を動かされ肉棒が花唇を突く。
「っ……ああ……んん」
「イキたい?」
「ああ……は、ハイ……」
頭の中が真っ白になり意識が落ちそうになるが、女装の女王様はそれを許してくれない。瞬間、胎内のなかで肉棒がまた膨らんだようだ。
「っ……ううん」
「まだ愉しみましょう」
「あ……あ」
呼吸困難に陥りそうになりセックスのなかで死にそうと彼女は意識が混濁していく。
「ハアハア……んん」
「イカせてあげる。私も限界。五回だものね」
桜子は沙耶香の言葉に嫌な予感を直感として感じた。
次の瞬間だった。
ああ〜っ!!いく、イッちゃう〜!!
牡と牝の卑猥な匂いと互いの白濁液と愛液が迸るものがあり、アキはぐったりと倒れた。
しかし当のアキは意識を失いかけながら身体の火照りが醒めるのを感じながら芯まで熱い何かがあった。
「はあ……ン……」
呼吸を整え沙耶香は身に付けたアキのランジェリーを一枚一枚脱いでいき自分の下着を身に付けた。
「ああ……次は」
桜子は懇願するように沙耶香を見つめるが、女の装いの彼は飲料水を口に息をついた。
沙耶香の股間にあるモノはまだ熱く堅いようで性的欲求は興奮に至る。
そこへ流菜が玄関から帰ってきて現実に戻されるのだった。

No.226 18/02/13 06:29
作家 

玄関を通り夕方買い物した食材や飲料水などを冷蔵庫などに入れ流菜はお茶を口にしプレハブへ向かう。
桜子たちにいいようにやられているだろうと口角が上がる笑みは裏切られる。
「ねえ、そろそろ……」
言葉が後に続かなかったプレハブ内は淫靡な匂いが漂いアキはぐったりと倒れ夏南の表情は赤く瞳から蕩け、桜子に至っては欲情しているのが目に見えてわかるほど。思わず声に出す。
「な、何をしたの!?」
「ナニをしただけよ」
少し“女王様の素質”が意識に残る私は髪を撫でる。
「ふ、ふざけないで」
「ああ……沙耶香さん。次は私……」
桜子の声を私は遮る。
「ごめんなさい。どうやら時間切れのようね。私はこの……冴木さんの手の内にあるもの」
そんな、と言葉の意味を理解した彼女は流菜を睨むがさらに私は言う。
「私とセックスできないからて、冴木さんを脅迫したり無理な欲求はいけないわ。もちろん犯罪もね」
「あ……」
「な、何を……あなた」
「私とセックスしたいなら冴木さんに許しをもらって。私はこの人、いえこの人と新星出版社にとらわれているんだから。だけど出版社にも手を出してはだめ」
「……はい」
諦めにも似た桜子はうなだれた。私とセックスができないことに。
夏南はアキを介抱し汗や体液を拭き身体に下着や衣服を着せていく。
なんなの!?このひと。
流菜はたかだか昼から夕方までの数時間の間に仲間である人妻たちを支配されたことに驚愕だった。
「桜子さん」
「はい……」
「今日はこれで許してね」
目の前で軽いキスを交わすさまはまるで熱々な関係のようであり桜子の表情からは憎しみが消えていくようであった。
「失礼します冴木さん」
「さようなら」
プレハブを去っていく彼女たちの様子に流菜は言葉が継げない。
夕闇のなかのプレハブ室内の沙耶香は言う。
「シャワーをいただけない?身体がべとべと
「っ……わかったわ。用意してあげるから待ってなさい」
行水でもさせてやろうと思う流菜だがそんなことをすればご近所の噂だ。
夕食の用意をしお風呂場を開けた。
「いいわ」
「ありがとう」
この時まだ私の意識は本来の意識は解離していたかもしれない。
ランジェリーを脱いで身体は淫靡な匂いだらけ。お湯で流すたびに口から息が漏れた。
「いったい……私は……なにしてたの」

No.227 18/02/13 19:29
作家 

丁寧すぎるほどに身体のすべてを洗いシャンプー、リンス、ソープで徹底していた。温かい感覚が身体を潤し“男”と認識していた。
いつまでも湯に浸かっていたい思いがあるが、実際はニ十分程度。全裸でいるのは“男”である劣等感を露にしていく複雑さと奇妙さがある。お風呂から上がりふと気づく。
私の下着じゃない。
気づくと流菜が淫らな笑みをしていた。
「今日一日私が着けていた下着。明日の夕方まで着けていなさい」
こうやってこの人は強引にヘッドハンティングや契約した女装者たちを従わせていたのかと感じる。触れると温もりがあり汗や愛液、体液などが染み込んだショーツ、ブラジャーを身に付ける。
いけない背徳感を感じすぐさま勃起していた。人妻らしい煌めくような下着に陶酔していく淫らな感触。
“いけない”
“いいのよ”
ふたつの意識が一瞬せめぎあうなかもうひとつの意識が何かを囁いた。
“生活感がこの家にない……?”
しかしこの声は流菜により遮られた。
「いい?下着姿で歩き回らないで。寝巻きは自分のを着て」
プレハブから持ってきたパジャマを着て再びプレハブに戻り飲料水を口にしふとに思う。
私は彼女たちに何をした……?
セックスを三度ほどした時には本意ではない性行為に同意はあったが犯された感覚があった。
しかしその後の意識。
本来の私の意識と沙耶香の意識が互いに俯瞰であった奇妙な感覚。
沙耶香の意識は元来は『G-Taste』の水越沙耶香がモデル。清楚な外見の女教師の内に潜む大胆かつアブノーマルな性癖を持つ女性。根が真面目な“男”の私に似た一面があるがあくまでモデル人格、だがここに麗奈と知り合う以前からひとり妄想や自慰に浸る日々、あるいは読んだ官能小説などから“優しいサディスト”もしくは“ソフトサディスト”の人格が植えつけられていった。
ただし“犯される女性”としての人格もまたあった。ただし妄想などのなかで私を犯すのは“女性”そのものである。
LGBTや性同一性障害ではなく恋愛やセックスはノーマルなために求める願望はそれであった。
だけど、麗奈と知り合い共に暮らし身体を共にしてから変わり何度か性への壁にぶつかる。
永遠に繰り返す輪廻かもしれなくても。
しかしそこに何か変質が芽生えたのか。
わからない。
そこへ流菜が夕食が持ってきた。
「ご飯よ」

No.228 18/02/13 20:49
作家 

食べなさい、と出されたのはごく普通の肉野菜炒め。
いただきます。
口にし味付けは一口した瞬間にふつうに美味しい。濃くなく薄くなく適度に柔らかく口内で味が広がる。
ご飯はおかわりはしていいと炊飯器を後から持ってきたほど。私はインドア派でたいして体力を使わないから二膳ほどしか食さない。
ニ、三十分ほどで食事を終えると「もういいの?」「ええ、ごちそうさまでした」と会話をし彼女は家の方に入り一度姿を消したかと思うと、ノートパソコンに原稿用紙にペンや鉛筆などを持ってきた。
「〆切はとりあえず八月下旬。創作短編を書いて」
「そんないきなりなんて」
「無理でも何でもやってもらうわ」
有無を言わさない口調だった。流菜の見つめる瞳は凄味があった。
わかりました、と承諾する以外にない。殺されるよりはましだろう。逃げようと思えば逃げれるがそれをしたら神無月社長や麗奈たちが訴えられでもしたら会わせる顔がない。
それと、と彼女は付け加えるように言う。
「週に何度か桜子たちみたいな人達がここに来るわ。あなたに食事を持ってくるのと……今日のようにセックスをしにね」
「……そんな身体がもたない」
「そうかしら。あなたは今日相手したじゃない。何をあなたがしたかは知らないけど」
たしかに相手はできた。が、理性と性的本能がコントロールできない恐怖が再びよぎる。以前とはちがう変質があり未知なのに。説明しても彼女はわかってくれないだろうとわかり合えない気持ちが宿る。
流菜の目には沙耶香を御しやすいように思えた。だからここにいる。
しかし桜子たちは洗脳かマインドコントロールされてたような不可思議な理解不能な様子もあった。
憎い。
そんな気持ちに近いことにふと気づく。
私から麗奈を奪った変態女装なオトコ。
ならば、とある考えがよぎる。それは麗奈が沙耶香と一緒に住んでると事実を知った時から変わらないある考え。
「逃げたら麗奈や双星出版がどうなるかわからないあなたではないでしょう」
「……逃げません」
「生意気」
沙耶香の声に少し怯えはあるが、真摯さが秘められていることに気づくが無視した。
せいぜい私が掌握したこの町の欲求不満な女性たちの誘惑に陥ればいい。
おやすみなさい。
扉を閉め冷ややかな瞳で流菜は去っていった。
この時私は早紀の存在を忘れていた。

No.229 18/02/14 06:32
作家 

慣れた習性というのはおそろしい。
女装し慣れた生活で少し寝不足であったものの慣れない部屋なのに肌の手入れなどは欠かさないことに。
そうやってると流菜が桶に水を持ち「顔を洗いなさい」とうながしまた脱水症状にならないように水やお茶など持ってくる。飼われてると肌に屈辱感があるが、彼女の下着を身に付けていると思うと興奮が宿る。
「寝れたかしら?」
「ええ……」
フンと無視ししばらくすると朝食が来た。今朝はトーストやウインナー、ソーセージ、サラダとオーソドックス。気づくのは意外にふつうな食事と感じる。
朝食を済ませ後片付けをする背中が言う。
「出かけてくるけど逃げたらわかるわよね」
「……はい」
フンとまた鼻で笑みした声がしそれ以降気配はなくなった。出かけたのだろう。
それを確認し私はパジャマから彼女が持ってきた替えの服に着替えた。下着は替えようがない。フリルのついたワンピース。サイズは微妙に肩に張る程度……ちょっときつい。
身長が170ある女性は近年はめずらしくないが、流菜のか。
鏡?
気づかなかったが、上半身程度を映す鏡が側にあった。
とりあえず私は近所の人妻たちが来る前にこのプレハブの持ち主(?)を本棚やタンスから調べることにした。
タンスからは男子ぽい下着、女子ぽい下着が半々?女装……?姉弟、兄妹、気づいたことをバッグにあったメモ帳にメモしさらにスマホから麗奈の部屋に残した使うことがなかったパソコンにメールした。
いざという時のため。もともとは作家として活動する際に麗奈がパソコンを用意したが使われなかった。こんな形で使われるとは皮肉かもしれない。
壁のハンガーにも男子の中高の制服?同じくブレザーやややおしゃれなセーラー服?
わかったのはとりあえずここまでだ。
創作短編を数枚でも書かないといけない。
慣れない環境で思考は定まらないが、本棚にある少女漫画やいくつかの成人劇画があることに気づく。官能小説が漫画より奥にあった。
流菜の子どもだろうか。
メモしておいた。
創作短編を新星出版社用に書くことは躊躇いあるなかペンを進ませる。
十時になるかならないか頃くらいに扉を叩かれた。
桜子たちとはちがう人妻や主婦たちだ。
扉が開かれ淫らな時が始まり、同時にそれは私の内の“女王様の素質”の扉が開かれることを私は知らないままだった。

No.230 18/02/14 07:41
作家 

麗奈の部屋に置かれたパソコンに私からメールが届いた頃、双星出版社では沙耶香に代わる急遽な企画を立てないといけなかった。
麗奈はこれに加われないことに拳を握るほどに悔しく沙耶香との一夜を共にした愛那は瞳が腫れており焦燥してたがとりあえず立ち直りの兆しは少し見えた。
彼女にしたら沙耶香と一年間するはずの仕事が頓挫したのは落ち込むことだが芯はしっかりしているらしいのが救い。
しかし双星出版社側から新星出版社にはいまは行動を起こさないと神無月社長から意向が伝えられた。これには麗奈は反発を示したが諌められた。まただ。
だが比較的立ち直りが早かったのは早紀である。彼女は沙耶香に代わる相手としてかつて過去に関わりあった本田透を使おうと推した。
「若い子ですが使えるのですか」
「それはやってみないとわからない」
反発を示したのは愛那。たしかに“ヴィーナ”での度胸を示したことから素質は秘めているかもしれない程度は推察できた。
「これは罪滅ぼしでもあるのよ……」
「罪……?」
愛那は早紀の言うことがわからない。麗奈は時折彼女たちの様子を見ながらこんな時でも自分の仕事をしてしまう自らが複雑だった。
相変わらず会社にはマスコミが殺到し斜め向かいの新星出版社にも来ていたが程なくこれは鎮まることとなった。
早紀は愛那を伴い隣県の透子に接触を図った。案の定というべきか彼は驚きの表情があった。
「ボクが……沙耶香さんの代わりに」
「急なことで悪いけど、雑誌に出てくれない」
愛那はまったく沙耶香や他のモデルとちがう透子を少しだけ疑いの目で見た。ヴィーナで見た時もだが中性的な印象を抱かせる。もちろん女装モデルのなかに中性的を好みなかには宝塚のような中性的な男装女装どちらとも取れるスタンスな人もいる。
彼は少し考えているようだ。
「ボクなんかがつとまりますか」
不安はもっとも。雑誌に出ることは世に出ること。例外なく世間に周知され郷里にも知られる。
早紀は言う。
「罪滅ぼしというのが私の本音。むかしあたしはあんたをいじめた。それは変えようのない過去」
ここはバードンのママがいる喫茶店。彼女はその様子を見つめていた。
「こんなことが罪滅ぼしになるなんて思わないけどいまは力を貸して。お願いお願いします」
透子の表情に困惑や考えがあった。その奥に何があるか。

No.231 18/02/14 18:07
作家 

早紀たちが透子をスカウトしていた頃、私は流菜の紹介の近所の人妻たちと戯れていた。
はじめの三、四回ほどは彼女たちにリードされ一度は果てるのだが少しの時間さえあれば女装の私の男性器は復活しサディストな“私”が目覚めの方向へ向かう。
「あら、元気なのね」
「ほんと」
冗談めかす艶のある彼女たちが笑っていられたのはそこまでだった。
「あ……あん。やだ……ああ…ン」
「す…凄い……。っ……ああ……身体が…どうにかなっちゃいそう」
比較的最初にやられた者たちは快感の絶頂に達するが残された女性は一度は恐怖に怯える。
当然だった。
だが、私はそっと頬を撫で唇を重ね髪やうなじに触れ肩の力をリラックスさせ相手から逃げたいという考えや意思を優しく奪う。
「ああ……ん」
「怖がる必要はないわ。ただ身体を重ねあわせるだけ……」
相手の性感帯や性癖を一度ではわかることは少なく二度目に触れた時に無意識下に記憶させる。理屈ではないところで“女王様の素質”に身体は動き相手に触れていた。
“これは”
“私でもどうにもならない。三人目のあなたかもしれない……”
深い意識の下で“私”と“沙耶香”は俯瞰で見つめるだけ。
「あ……ン」
「旦那様に優しくしてもらってる?何が不満かしら」
「し、主人は優しい人だけど年々セックスが淡白で……最近はセックスレス気味で……」
相手の女性は羞恥心があるなかの告白のなか身体が火照り沙耶香に預けるように快感に身をまかせる。
わかったわ。
“なにがわかったの。やめて”
“止められないみたい”
第三の人格らしい存在は相手が望むことに近い性行為をする。過激な露出やスカトロなどはしないが相手をアクメに達しさせ指やペンでイカせたり時には縛る。また相手の淫部の下に入り舌を蛇のように這わす。
身体を通し相手の快感や自分がしてることが伝わるがなす術がない。
見る者が見れば絶倫かもしれないが相手によっては指や手近な道具だけでイカし満足させていた。
私自身の意識がいつも目覚めるのは人妻たちが帰る夕方前だった。
「名残り惜しいわ」
「冴木さんはいつも愉しんでるのかしら」
「うかつなことはできないわ。沙耶香様に従いましょう」
そんな声が聞こえた。どうやら桜子達に伝えた言葉と同じ内容らしい。
流菜は淫靡な匂いのプレハブや私に嫌悪を示す。

No.232 18/02/14 21:20
作家 

流菜は麗奈がひとりになるのを見計らい彼女のマンションを訪れた。
帰宅したのを確認しインターホンを鳴らすと少し間があって扉が開き彼女は驚いたようだった。
「早紀?……お、お姉さま、何しに来たの」
「失礼ね。顔を見に来てはいけない?かつて愛したレズメイトに」
「か、帰って!あなたと話すことは……!」
扉を閉めようとするがすぐさま彼女はヒールのる爪先を間に挟み部屋に入ろうとした。
「いった〜……!」
「な、何してるのよ」
「旧交を深めあいたいだけ。他に何があるかしら」
「……何が旧交。別れたのはあなたからでしょう」
「ねぇ?こんなところで痴話喧嘩してたらあなたの大切な沙耶香だけじゃなくあなたもマスコミの餌食よ」
あからさまな脅しに麗奈は動悸が激しくなり混乱もあった。沙耶香が新星出版社側に身を預けたことで瞬く間に沈静化していた。
入ってください、と不本意に招くことにした。だがお茶をしたら帰らせるつもりだった。
彼女を招き鍵を閉めそそくさとお茶を淹れるなか仕事の書類などは自室に持っていくなか流菜は髪をかき上げた。
「安心なさい。企画を横取りしたり資料からヘッドハンディングする女装モデルは見ないわ」
「……沙耶香は」
「あら?彼いや彼女にご執心なのね。あれだけ学生時代から数年前までレズだったのに」
過去を蒸し返されるなか麗奈は熱いお茶を出した。動揺したせいか手元が震えていた。
沙耶香は不在、隣に住む早紀は透子をスカウトに行ったまままだ帰ってこないまま心細さがあった。
お茶を口につける流菜は見つめた。
「彼いや沙耶香さん?私のところで健康的に毎日近所の人妻たちとセックスしてるわ」
ただしこの表現は正しくはなかった。彼女の知らないところで桜子たちは飴と鞭を使い分けられ流菜の手はわずかに少しずつ離れていく様子があった。
「……さ、沙耶香はそんな人じゃないわ」
「あら?私が調べたところでも二ノ宮さんに美如月さん学生時代のヒトミさんたち姉妹とも関係があったわ」
「……それは私が認めたことだもの。性欲は女装の人でも発散は必要だったし」
半分程度は許容してたのは事実だがもう半分はたしかに許せない点はありちいさく深く流菜の言葉に傷ついた。
しかし彼女は決定的な言葉を彼女に言うのだった。
「あなた、愛されているかしら」

No.233 18/02/15 06:08
作家 

その言葉に麗奈は胸に痛い思いを抱く。
瞬間唇を奪われ紅い唇と下が濃厚に身体を熱くした。
「ああ……ン」
「むかしみたいに可愛がってあげるわ……」
いや、と流菜を払いのける麗奈は主のいない沙耶香の部屋に逃げていく。
「ふ、ふざけないで。あなたから私を捨てたくせに」
「それがなに?むかしと同じなことするだけよ」
流菜の瞳には沙耶香の女性を意識した室内が映り怪しく笑みした。
「ここであの人とセックスしてたのね。女装にあなたが走るなんて思わなかったわ」
「関係ないでしょう」
「……関係?あるんじゃないかしら。同性愛に近い対象を麗奈は求めたんじゃない」
「っ……」
半ば図星だった。
神無月社長にスカウトされレズである女性を求める日々のなか女装雑誌の出版社に入社した。女装レズになる直前に双星出版社の先輩女性社員たちに誘い誘われたが関係は長く続かない。その後は女装モデルに手を出し出されながらいまに至る。
沙耶香ほどではないがレズや女装レズの関係に一時期迷ったことはあるがいまはほぼないはずだった。
「忘れられる?」
流菜は麗奈の肩を抱き再び唇を交わした。甘く濃厚に蕩けそうなほどに肩の力が抜けていく。
「ああ……」
「あの頃より胸も腰もお尻もよくなったわ」
乳房を抱かれ身体が芯から火照りそうだった。ショーツにじんわり沁みができてくる。すかさず指はショーツの内に挿入される。
「あ……ンン」
「声に出してもいいのよ」
「はぁ……ン」
久しぶりの本物の同性愛=レズの快感に麗奈は身体が熱かった。淫唇を弄るかつてのレズメイトの美姉のフェロモンが甘美に誘う。愛撫され身体がベッドに倒れゆく。
「ああ……はあ」
「欲求不満な身体をもて余してかわいそう」
「そ、そんなこと……」
沙耶香はいつも愛し愛してくれた美姉に揺れ動く気持ちがあるなか理性のなかで耐える気持ちもある。
紅い舌がブラジャーやキャミソールを包む胸を襲う。レズの絶え間ない快感が指や吐息に思い出がよぎる。
「ン……」
「あら?けっこう我慢するのね」
「ああ……ハアハア」
乳首を指で弄られベッドの上で身体は悶える。牝同士の性行為に身体は熱く燃えそういや燃えていく。
沙耶香助けて、助けて、たすけて……。
いつしか彼女のなかで性的本能とは別に愛する女装男性の姿は浮かび消えていく。

No.234 18/02/15 09:07
作家 

愛那は呆れていた。
沙耶香の代役に透子を起用することはよしとしよう。また早紀がスカウトについて力を発揮し始めたのも悪いことではない。
だがそれでいいのと思う。
早紀は沙耶香が好きだったのではないかという疑問しかいまはない。
打ち合わせと称し隣県のバードンママさんのお店で透子や地元の女装モデルたちと戯れる姿に何か違和感があった。
「お先に失礼しますセンパイ」
飲み代をママさんに払い彼女は一刻も自分の部屋に帰りたかった。
お疲れ、と声が背中に伝わるが無視に近い態度をしタクシーを拾いマンションに帰り着いた頃にはぐったりだった。
だが沙耶香はいない。
ほんの一週間程度しか満たない間だが彼女には貴重な間に思えた。
恋や愛、そうとも言えるし言えないとも思うが一夜とはいえ愛してくれた。
あれから数日が経ちマスコミは二重契約に触れなくなりネットのなかでも静まりつつあった。会社もまた平静を取り戻していた。
ためしに麗奈に電話をかけてみたが呼び出し音が繰り返されるだけ。
「寝ちゃったのかな」
この時すでに麗奈がかつてのレズメイト流菜の手中に陷いかけてるとは夢にも思わない。
これからどうなるのか。コップに水を入れ喉を潤すとなぜかそう思った。精神面から以前より幼さが抜けたせいか物事や人間関係、会社内外のことが客観的にまた俯瞰で見ることができた。
どうなるというのは表現を変えたらどうするということでもある。
衣服や下着を脱いで最低限シャワーを浴び酔いを醒ましたかった。醒めれば現実があることがわかっている。
沙耶香がいない夜。そして明日明後日も……。
「もっとお仕事したかった……」
シャワーがちいさな身体をあたたかくすることでアルコールから緊張感が解放されるとは別に感情そのものから瞳から涙がぽろぽろと出ていた。
悲しいのかただ泣きたいのかわからないなか指がちいさかったはずの胸がわずかに膨らみがあった。
女なんだ。あたし……。
沙耶香とのあの一夜だけで身体がわずかに少しずつ成人女性のそれに近づいていた。胸の膨らみだけではない。
指を花唇に触れさせると、愛液がくちゅと音を立て牝の快感がゆっくりと全身に伝わる。
ああ……。
誰かと触れ合いたい。シャワーを浴び浴槽に入り身体が芯から温まるまで彼女は自慰を気を失いそうになるまでしていた。

No.235 18/02/16 05:02
作家 

いつになく早紀は酔っていた。酒に酔っているのではない。ただ雰囲気に酔いたかったかもしれない。
「ウフフ、透……透子か」
「せ、先輩」
気づくと愛那の姿が薄らぼんやりないことに気づく。帰った……?
バードンのママが透子に言う。
「終電もなくなったしいまからタクシーを呼んでひとりで帰らせるのも危ないから泊めてあげなさい」
泊まるんだ……、と半分程度はある意識でちいさく口許が笑みし身体が熱かった。
気づくと透子のアパートの階段をおぼつかない足取りで上っていた。
「先輩、上がれます」
「上がってるわよ……」
階段をゆっくりゆっくり一段ずつ上がり鍵を開けけっして広くない部屋で早紀はスーツが少し乱れながら横になっていた。
「お冷やです」
「んぅ……ちょうだい」
コップを受け取り一気に飲み干しては倒れてしまう。アルコールと化粧、女性の匂いが透子は困惑するなかコップに水を入れちゃぶ台にのせては早紀を懸命に起こそうとする。
「先輩、ここで寝てたら風邪を引きます」
「んぅ……」
ふと透子の中にこのまま早紀を襲ってやろうか襲いたい願望がある。沙耶香に彼女を恨んでないかと聞かれた時に恨んでないと答えたが、心や胸の深い奥底には過去の記憶は忘れられない形で残っている。
早紀のちいさくまるい膨らみある身体、スーツから胸元がみえ足元にはストッキングに包まれた脚。
「先輩……?」
寝たのだろうかと肩を揺すると寝息らしい呼吸がすぅすぅと口許からこぼれていた。
襲ってもいいんだ、と邪な自分の悪しき内なる声が聞こえた気がした。
そっと胸元に触れボタンをひとつひとつ外していくなか胸の動悸が激しくなっていく。
唇を奪えばいい。
躊躇いがあるなか頬から唇に唇を重ねようとした時に声がした。
「……していいよ透」
「!?」
気づくと早紀の目が開かれ睨むでもなくただ薄らぼんやりな感じで見つめてるようだが、瞳の色に哀しい色があるように感じた。
あの人を想っている?
「せ、先輩……」
「しないんならこっちからしちゃうぞぉ……ん」
口調はふざけてるようでありながら唇が重なった。一瞬驚きながらもアルコールくさい唇の柔らかさ甘さを感じ首もとに手を回された。
唇を離す早紀。
「……セックスしたいならして……」
まるで哀願するような呟きのなか少し時が流れた。

No.236 18/02/16 15:17
作家 

「先輩……」
躊躇いながらも透子は唇を返し再び重ねた。早紀からちいさな喘ぎ声が返る。
「ん……」
「はあ……ん」
沙耶香は約束を果たさないまま新星出版社の下へ行ってしまい彼女は胸の内に隙間風があるようだった。だがいまこの時は身体を芯から熱くしたかった。
「可愛いブラジャー」
「や……」
沙耶香ほど大人びてないスタンダードな純白のブラジャーが見えパッドの膨らみ、かつて強制女装させられた後輩には見えないいじらしさがあった。吐息をかけると処女のようなうぶさがある。
「ん……んん」
「声に出して」
「な、何を?」
透子は経験が少なく早紀が何を求めているかわからないが唇を重ね教えられた。
「透子の胸が、乳首が、感じるのて」
「……やだ」
「言いなさい……言って……」
ふとむかしのスケバン女王様に戻るが優しさや甘えが入り言い直した。透子は身体が熱くなる思いがした。
「と、透子の胸が……感じるの……」
「んちゅ……んん」
ブラジャーとパッドが彼女の指や唇から外され愛撫され透子は股間が堅くなるのを感じた。
「んん……れろれろ」
「あ…ハアハア…ハアハア……」
「感じてる……」
ゆっくりゆっくり愛撫しながら早紀は透子の下半身を弄る。膨らみがあり夜のお店の時は透子は中性的な女装でバードンのママのもとでバイトし女装を学んでいるらしかった。
「オ×ン×ン……見せて……」
あ、と呟く透子は慌て下半身を隠すようにした。
「なによ?見せたくないの」
「ち、ちがいます。ちょっと、その……」
「ん……見せなさい」
夜の水商売らしい派手なミニスカのファスナーを下ろすと意外な下着だったことに早紀は目を丸くした。
目の前にあったのはショーツやパンティ、スキャンティといったランジェリーではなく真っ白なブリーフだった。
「え……」
唖然とする早紀に透子はちょこんと座り勃起を手元で隠しながら語る。
まだ女装を始めたばかりで地元はおろか近所で何度か購入を試みたが恥ずかしくてできなかったという。通販で購入したのはごくわずか。
「あるんじゃない」
タンスの中には丁寧に折り畳まれたショーツやパンティが数枚あるが普段はブラジャー以外はほぼ男性下着という。女装者の苦労がうかがい知れた。
「しかたないわね。嫌かもしれないけど」
「なにを!?先輩」

No.237 18/02/17 06:23
作家 

脱ぎたての淡い赤に近い色のショーツを手元でひらひらさせ透子からブリーフを脱がせ悲鳴に近い声が出た。
「きゃっ!?」
「なに女の子みたいな声出してるのよ」
「ちょっ……ああ」
温もりあるショーツを爪先から履かされ腰にたどり着き下半身が生温かった。早紀は満足気に見つめ笑みした。
「カワイイ」
「あ……ン」
「あンだって。あんたほんと女の子になったんだ」
「だって……」
透子が言いたいことはわかる。きっかけを作ったのは自分なのだ。もじもじする彼いや彼女の目線が何かを求めるように語る。
くんくんとブリーフを匂い久しく嗅いでなかった牡のしかも沙耶香より若い匂いにアルコールとはちがう快感が脳内をくらくらとさせる。
沙耶香さんなんて……知らない……。
「暑いわ……」
「せ、センパイ!?」
下半身だけでなく早紀は自らの感情を隠しまた露にするように上着まで脱ぎ出した。同じような淡い赤のブラジャーに包まれた胸が目に映る。そのまま彼女は透子に唇を重ね言う。
「んぅ……おいしい」
「ん……はあ」
「ブラジャーも着けたげる」
ああ……。また女装させられる。
しかし透子に気持ち悪いという気持ちはない。女装の快感があるからいまがあるのだ。
そこに異性である早紀を意識してないわけではない。
勃起してる……。
生温かいショーツのなかで幹から睾丸にかけて勃ち下半身が別の生き物のようだ。
そんななか早紀は驚くべきことを透子の前でした。ブリーフを履きだした。
「シャツを借りるわね」
「せ、センパイ」
「これで透子はオンナ、あたしはオトコ」
シラフが残る透子は一瞬理解できないが、女装してる自分は女性でブリーフやシャツをつけた早紀はなぜか男性という様子だった。
お冷やを口にし早紀は言う。
「あたしを……お、犯して……。いやボクを……」
シャツからは下着を着けてない若い胸が露になりなぜか男性言葉。
ふと思う。
学生時代の再現?まさか、そんな……。
だけど理性とは別に透子もまた性欲ある男性なのだ。
「センパイ……」
おそるおそる胸に触れるとシャツの下から柔らかい感触。払いのけようとはしないが少し震えがあった。
「ああ……。もっと……大胆に……」
ブリーフの内に手を入れ淫唇から愛液が絡む。身体が熱い。
「センパイ……」

No.238 18/02/18 06:07
作家 

透子は困惑があった。
罪滅ぼしの気持ちはわからなくもないけどなぜ自分なのか。
「見て、やらしい早紀を……」
履いたブリーフの内に指を入れて自慰に浸る彼女に欲情しないわけではなくむしろ履かされた赤いショーツの内で熱く勃起していた。
「センパイ……」
「大きい……」
「ン……」
温もりあるショーツの上から撫でるだけでそれこそ射精しそうにびくんびくんと揺れていた。
「せ、センパイ!!」
「きゃ……」
呼吸を荒くしベッドに倒された早紀は少し怯え肩を震わせた。
「や、優しくして……よ」
「あ……」
「ね……」
劣情にまかそうとした自分がいたことに透子は驚く。彼自身は気づいてないが沙耶香ほどに女性としての疑似人格などはないらしかった。そんな意味では普通の男性に近い。
「ん……」
「またキス……」
「だって……」
「いいの。好きにして……」
彼の腕を取り胸をゆっくり触れさせ甘い声が出る。
「ん……ああ」
「センパイ」
「そればかり」
ふと早紀は気づく。なんとなくだがもしかしたらと思い口に出す際に躊躇いがあった。
「セックスしてる……?」
いえ、と遠慮がちに股間にあるショーツの温もりにもじもじしてる。
「オナニーは?」
「週に二、三くらいは」
「してるんじゃん」
学生時代から性交体験がないままいまに至ったらしいと察しリードを自分がしないとならないことに気づく。
「いいよ。ゆっくりして」
「ああ……はい」
「ん……」
ベッドの上で抱き合い互いの下半身が触れ合い女装のショーツと男装のブリーフの下着同士が熱い股間で擦れあう。
「ああ……」
「ペニクリ……ペニクリちゃんに犯される」
「ん……んちゅ」
ようやく彼は早紀の胸に愛撫し舌をつけた。れろれろと舌を這わし乳首が堅くなるのがわかる。
「可愛い……」
「可愛いくないよ」
「ううん……」
早紀は沙耶香とのセックスでは愛されたい思いがあったが、透子が相手になり愛したい気持ちが芽生える感じがした。
「ああ……もっと」
「はい……」
「んぅ……」
声が漏れそうでシチュエーションは行きずりな感じで安い地方のアパートの一室。ロマンチックとはいえないがなんとなくふつうで平凡な雰囲気が安らいだ。
「ン……弄って」
「はい」
ブリーフを脱がすと若い淫唇があった。

No.239 18/02/18 15:42
作家 

舐めて、と早紀は淫唇を露にしながら誘う。
「ん……れろれろ」
「ん……ああ。うまくなったわね……」
「はあはあ……」
「や、やだ、息が……」
透子の若い牡らしくよく動く舌と繰り返す呼吸が淫唇に触れる。
感じてる……。
透子の内に復讐心がなかったといえば嘘になる。いじめた側が忘れてもいじめられた側は生涯忘れられない青春時代に影を射したのだから。
だけど……。
「ん…んちゅ…れろ」
クンニで感じる早紀の姿はかつてのスケバンではなくひとりの女性なのだ。彼女に履かされたショーツのなかで自分のぺニスは熱く堅く勃起し睾丸さえひとりのオナニーの時より興奮していた。
「ああ……クリトリス触って……」
「ん……」
花唇を愛撫しながら膨れた淫豆があり触れた。柔らかくも堅い感じ。
「んっ……や…ん」
早紀は顔を天井に向け甘い声が出る。透子は思わず彼女を異性と意識してしまう自分がいることに気づく。
憎くいじめた先輩ではあり童貞をなかば逆レイプな形で奪われた青春。
仲間たちと復讐は彼女が卒業式を迎えた日に果たしはした。
だけど透子だけはカメラや写メのボタンを押すことはしなかった。郷里から追放し正月、お盆そして冠婚葬祭の時くらいしか訪れない早紀のわずかな姿。
透子は自然と女装に目覚めたかはわからない。『クロスドレッシング』のなかに彼女の名があることを知ったのは偶然だったか。
ある日通販を介してサイズがわからない女性下着一式を購入し身に付けクローゼットの内側にある鏡に映った女の装いの自分。中性的ながらなぜか自分の姿に興奮し勃起しオナニーをしたあの夜。それからは毎夜ではないが週に何度か下着女装し自慰行為をしていた。
頭の内にあったのは女性になった自分の姿、そこに女性に犯され犯す姿。
ヘンタイになったんだ……と悔やむ日もあった。
だが沙耶香の存在を知りこんなひともいるんだということを知った。
沙耶香は憧れになったこともあったが早紀と再会した時に裏切られた気持ちも内心あった。
このひとは先輩と寝た関係……。
後輩か男としてかはわからないが早紀に芽生えた複雑な感情や気持ちは根が生まれ芽が出ていたかもしれない。
「先輩……」
「さ、早紀よ……」
「早紀さん……」
ンンン、と互いに激しいキスを繰り返した。

No.240 18/02/19 05:32
作家 

んんん、とキスを離すと互いに吐息が甘く出た。
やらせて、と早紀は大胆に自分の赤に近いショーツを着けた透子の淫部に撫でた。
「ああ……ン」
「感じてる……。ねえ、郷里を離れる時は寂しかった?」
「うん……。親に女装を知られて……」
ごめん、と呟きながらショーツの上から鈴口を甘く唇で噛んで唾液を垂らした。久しぶりのオチ×チ×、沙耶香より若い、大きいかもしれない。
「ん……ちゅちゅ」
「あ……早紀……」
「名前で呼んでくれんた……先輩先輩て言ってたのに」
咄嗟なのか本音かわからないが名前で呼ばれたことに胸の内に出来た隙間が埋まる感じがした。
ぺニスは我慢してたのかショーツの内でひくひくと揺れていた。
「ん……ちゅちゅずるずる……」
「だ、ダメ!い、イッちゃう……」
オナニー経験しかない透子にしたら早紀のそれなりに経験あるフェラチオましてや酔いにまかせ牝の本能があるなかなおさら勢いや快感があった。
ぺニスを撫で早紀は見つめる。
「おクチも喉も汚して、透子のクリチ×ポで……いいから」
ちゅちゅずるずると男性器の鈴口や亀頭だけを口内に含み舌先で弄り睾丸は柔らかい指で愛撫されていた。
ああ……!?スゴい。
学生時代の頃はところどころたどたどしかったが、いまの彼女のフェラチオはバキュームのように先端を吸い上げそれだけで腰が抜けそう。
「ン……れろれろ、ガマン汁ばかり。本命が来ないね」
「ああ……早紀」
「イッてよ……ね?」
早紀はショーツの脇からぺニスを出した。この時彼女自身が沙耶香を思ってしたかわからない。
「……可愛く元気なクリチ×コ……オチ×ポ」
「ん……」
透子の瞳にはかつての憎い先輩をひとりの女性として心のどこかで見つめていた。
「はあ……はむ…じゅる」
「……ああ」
「粘るね。ガマン汁も透……透子も」
透子はこの時いくら憎かった先輩でも本能のおもむくまま汚していいか葛藤があった。
女性なんだ、この人。しかもいまは彼女のショーツを着けられ女装していることで気持ちが同化もあったかもしれない。
だが悪戯に時に大胆に責められるフェラチオの快感に身体はもう耐えられない。睾丸から膨れた熱い牡の精液がだんだんと男性器そのものに移りマグマのように亀頭から鈴口へ移り噴き出した。
「い、イ!?イッちゃう……先輩!」

No.241 18/02/19 14:39
作家 

ンっ、ごくごく……。
早紀は若い透子の牡の樹液を飲み込めた、と思った時だった……。
「……っ」
「先輩?……ま、待ってください」
青い表情に変わった彼女を察した透子は台所からコップと側にあったティッシュの箱を持ってきた。
瞬間早紀は少しばかりの間は首をふるふる横にいやいやしたようだが、身体は正直なようで口許を掌で押さえコップとティッシュの箱からティッシュを数枚取りだし背を向けた。
「っ……」
背を向けた彼女はコップに精液と少々のアルコール、咀嚼物を出しティッシュにも少し出し口を拭った。
格好悪いやっちゃいけないことしたなどありとあらゆる自己嫌悪や幻滅させ雰囲気ぶち壊し……など言葉にならない雰囲気が漂った。
透子も少し言葉に迷いながら吐息し伝えた。
「む、ムリに飲み込むモノではないですから。気にしないで。それにボクは……欲求不満気味だったのでいっぱい出しちゃって……」
苦笑いしながらなんとか場を和ませようとする後輩の言葉が痛く傷つくが彼なりに励まそうとすることに彼女は少し涙を頬に流した。
「ほんと、悪い先輩で……ごめん。すまない」
フェラチオしイカせた際にいつものように出来ると思っていたが、アルコールや胃に入れすぎたようだ。
ふと沙耶香を思い出す。
沙耶香はフェラチオされてる時でも「飲まなくていい」と釘を刺すことも実はたびたびあった。実際に沙耶香はクチと膣内に射精する分は意図したかはわからないが余力は残していたように思う。
フェラチオだけで満足しないためかあるいは相手を思ってかはいまはわからない。
こんな時に沙耶香さんなんて……。
透子に気持ちを向けようとしてるなかでも自分の心に沙耶香がいることがふしぎで複雑さもあった。あたしは遊んでたつもりだったのかな。
「先輩?」
「あ……つ、続きしようか」
じっと透子は早紀を見つめていて沙耶香より男らしい表情とわかる。
「してもいいですけど」
「な、なによ」
「一回酔いを醒ましましょう。近くに銭湯あるからいっしょにいきましょう」
「いっしょに?」
「お風呂に入りにいくだけです」
なんだ、と思いながら透子は女装を解き男装いわばふつうの姿になり近所に深夜までやってる銭湯に連れていかれた。
いまどき銭湯があるなんて貴重と思えるくらい古い銭湯がそこにあった。

No.242 18/02/19 15:52
作家 

ゆっくりあったまってきてください。
「わかってるわよ。ううん……わかった」
透子いや男装した透の姿が男湯に消え早紀はなんとも言えなかった。いま着ている服や下着は透のもので下着は彼が女装で未使用なものでいわば新品だった。なんか悪いなと思いながら女湯に向かう。
銭湯は閉まる前なのか女性客はまばらほとんど年配やお年寄りばかり、番台に座っているのも似たような雰囲気だがおじいちゃんかおばあちゃんかなぜか区別つかない。お金を払い服や下着脱いで籠に入れ財布は服の下に置いた。タオルで身体を隠しながら湯気の立つなかに入りお湯を桶に入れ身体を温めた。
「あつっ……」
江戸っ子じいさんみたいな熱湯が酔いが残る身体に染み込みむしろ酔いが醒める思いだった。
透は男湯だが、男なんだよね。といまさらあたり前なことを思った。
バカみたいと思いながら去年よりは身体に張りがあった。沙耶香のせいでこんなにえっちになったと思うと女性としての自覚があると同時に羞恥な心が素直にあった。さすがにボディソープではなくありきたりな石鹸で身体や髪を洗いさっぱりしお湯を払った。身体が綺麗になり酔いもかなり醒めそっと湯気のある湯船に入った。
どこかで水滴が落ちる音がし何年振りだろう。自宅や実家以外でこんなによそのお風呂でのんびり浸かったのは……。
沙耶香さんに知らずに仕込まれたようだ。
去年の撮影旅行の際にはいろいろなえっちな目に遭わされ麗奈と沙耶香の奪い合いの日々。
去年のことのはずなのに遠いむかしのように思える。ふしぎで複雑、だけど沙耶香への思いがないかといえばわからない……。
「ご旅行かい」
「いえ、お仕事です」
気づくといつの間にか側にいた年配の女性に話しかけられた。ウソではない。
「こんな何もないところに来るなんてね」
「……静かでいいところと思います」
「ありがとう。よその人にそう言ってもらえると長生きした甲斐あるよ」
穏やかな気持ちが宿り湯船にいつまでも長く浸かりたい。
愛那も帰らなければよかったのにと思うが後輩のことを考えてない未熟さも自覚し始めた。
しばらくし湯船から上がる頃には早紀だけが脱衣場にいた。先ほどの年配の人たちはいつの間にか帰ったようだ。
「すみません。すぐ出ますから」
「ゆっくりでいいよ。後片付けだから」
番台からの声は地方らしく気楽さがある。

No.243 18/02/19 20:39
作家 

コーヒー牛乳のお代を払い甘く喉を潤していると透からメールが入った。
【上がりましたか先輩?外で待ってます】
思わず口から牛乳が出そうなくらいに頬が赤くなった。
こういうのはむかして壁越しに呼びかけたんじゃないの?
そう思いながら早めに飲んで髪を乾かし着替え銭湯を後にした。透は落ち着かない様子だが気づく。
「先輩」
「わざわざメールしなくてもよかったのに」
だって、とわずかに声音が弱いところに内気な彼本来らしさが見えた。
アパートに帰る途中にヒロミたちに会いからかわれてしまう。
「あらあらセンパイさんと熱いこと」
「うらやましい」
「やめてください」
ヒロミたちは深夜まで飲んでいたようだ。アパートに帰る頃には日付けは変わっていた。
お茶を用意した透は何を話したらいいか迷っている。女装の時以上におとなしいかもしれない印象。だけど下半身はちいさく膨らみがあるよう。
さっきは中途半端だったせいかな。
早紀は言う。
「もう一回なら、していいよ」
「え……」
「まだ、元気なんでしょう?」
コクりと頷くところはやりたい盛りに感じ履き替えた下着はしっとり湿っていた。
「あ、あの……着替えてきます」
着替える?
そう思っていたら彼の部屋から現れた時は再び透子になっていた。それもブラジャーにショーツ、スリップの。
「お、女の子の格好しなくてもいいのに」
「センパイに、早紀に……女の子として愛されたい。……いけませんか」
まるで告白みたい、いや告白かもしれない言葉に早紀は顔を真っ赤にした。あらためてふたりは唇を重ねた。
「ン……」
「ン……やっぱり堅い」
「や……」
「いいの」
今度は失敗しないようにと早紀はミスリードしないように心がけた。
可愛らしい柄のブラジャーやショーツ、スリップと色っぽさがある。銭湯で洗ったばかりの身体とはいえ牡の匂いがないわけではない。
「あたしにもして……」
「ん……」
銭湯に入ったばかりで互いの身体は芯から熱いよう。なおさら陰部には人肌の温もりがある。
「……センパイ」
「早紀……」
「……早紀」
69の姿勢になり互いに恥部がランジェリー越しに露になる。
「一回出したのに」
「んん……」
ぴちゃぴちゃと互いの口から唾液や唇から陰部に触れる音がした。

No.244 18/02/20 16:15
作家 

再び交わる早紀と透いや透子。
銭湯であったまり疲れや酔いが醒めたせいか自然な交わりに思えた。
例外があるとすれば透子が女装であるということくらい。
凄い、一回射精したはずなのに。
抱き合い下半身のランジェリーに包まれた男性器は熱く堅い、太さや大きさは沙耶香と変わらない程度かもだけど。
凄い、ビンビン。
見た目が中性的ではあるが、ランジェリーを身に纏う肢体は女性を思わせる。ランジェリーはオーソドックスな純白のスリップ、ブラジャーやショーツは一部色が異なる柄違いの桃に黒いアクセントが入ったちょっとオシャレ。
今度はイカさないようにしないと。
「ん……くちゅ…」
「あ……」
「声は出していいよ」
「恥ずかしい……」
男なのに性経験は学生時代以来かららしい。信じるならば……。
フェラチオを巧みにすればすぐにイク可能性もあるから舌や口で濡らし快感だけもたさればいい。
イカせないなんてむずかしい……。
沙耶香は時と場所、場合いわばTPOによるがあんがいかんたんなくらい果てる時があった。それなりに経験あるはずなのに?と疑問に思うことはたまにあった。
「ん……っ…」
「痛いですか……?」
「ん……感じてるから、指や舌で……おねがい」
意外な言葉が自分から出たことに早紀は内心胸から恥ずかしくなるくらいに熱くなった。
かつていじめた相手に「おねがい」なんて……。
愛する?愛されたい?
日頃意識して考えないことを無意識に思い肢体を相手に見せているためふと相手を好きになることについて考えている。
「ん……」
相手に声を出せばいいと言いながらいざという時はむしろ声を出すのが恥ずかしい。
場所が安いアパートの一室とかロマンチック云々などシチュエーションではない。
花唇に性経験が少ない異性の舌や指が入るたびにかつては自分もありきたりな青春のなか処女を愛しい相手にあげるつもりだったが、成績不振など人に言えない多くが重なりスケバンとして学校に身を置いた。
それからは知っての通りだ。
「っ……いや」
「先輩?さ、早紀……」
「ち、ちがうの……。弄っていいの」
愛情を感じる性交というものをなんとなく理解しはじめているかもしれない。
相手に恥ずかしいところを見せて相手の性器を愛撫してゆく。
愛したいより愛することのむずかしさ、身体が熱い。

No.245 18/02/21 07:28
作家 

透子は数年振りのセックスそれも女装レズという未知なる体験に心躍っていた。
童貞喪失以来オナニーや女装を繰り返してはいたが同性を相手する気にはなれなかった。
若い花唇からはとろとろと愛液が女性らしい匂いと共に糸が垂れていた。舐めれば舐めるほど興奮が押さえられなくなる。だけど迂闊にしてしまえばまた射精してしまう。
「ん……れろれろれろれろ」
「っ……あ、はあ……」
フェラチオをしながらも早紀の甘い声が伝わる。憎いという気持ちは性欲の前では薄れるようだ。もともと彼は早紀たちに逆レイプされた男子生徒のなかで嫌な経験と当初はあったが仲間たちから復讐するという話を聞いた時には複雑だった。
すでに女装という行為に興味を持ちはじめており不本意なセックスであったことは否定しないが童貞でなかったことが少しだけ気持ちを大人にしていた。
「あ……ン」
「先輩」
「さ、早紀……」
女装という行為のなかで異性に対し興味は湧きテレビや雑誌などのタレントやモデルなどに目移りするがいつしか彼女たちの顔は早紀に似た女性を思い浮かべていた。
「あ、あまりいじらないで……」
「もう」
「イッちゃったら悪いから」
早紀は思わず少女のように胸がキュンとした感じだ。先ほどの射精を気にしてか今度はちゃんとしたい思いかわからないけど可愛く思えた。
「ん……」
つんつんと彼女は指で肉棒を弄ぶ程度にした。睾丸はパンパン、だけど女装なので男性器という認識は少ないかもしれない。
「あ……はあ。んむ」
「あ……す、吸わないで」
花唇に口ごとあてられ強引に吸われた感覚が性的快感の痺れや電流みたいな刺激でアクメに近いものを感じた。
い、イッちゃう。あたし……。
「だ、ダメ」
「先輩、……早紀」
「あたしもクチでイキたくないから……」
69の形を解いて互いに顔を向き合いキスを重ねた。
「ちゃんと……してからいこう」
「いいんですか」
「なにが」
「ボク……へんたいですし……」
沙耶香と同じようなことを言われ驚きもあるが安堵もあった。女装者がみな同じと思わないがひとり悩むことにかわりない。
「いまはしよう。考えるのはいくらでもできるから」
肉棒をゆっくり包むように撫でながらいまはこの子を愛そうと思う。
「……すぐイッたら」
「いいわ。その時はその時」
身体が重なる。

No.246 18/02/21 14:52
作家 

きれい……。
思わずそんな呟きが透子から漏れたことに気づいたかわからないが早紀は頬が赤い。
「挿入(い)、いれて……」
「う、うん……」
淫らに肢体を見せる早紀の姿が女性そのままなことにかつてのスケバンらしさはない。額や髪、うなじ、胸元乳首には指や舌で愛撫し唾液や体液にまみれ煌めくような輝きがあるなか卑猥に見えた。
だけどか弱い異性として認識していることに迷いや戸惑いもあるなかぺニスはすでに勃起し牝を求めている。
「い、入れますね……」
「ン……」
肉棒がぎんぎんにたぎりながら花唇に触れていく。内側の襞をゆっくりゆっくりこじ開けながら痛みと共に快感が頭のてっぺんから指先爪先まで感じてくる。
「ンっ……」
「あ……あの」
「いいから、し、処女じゃないんだから」
凄い表現を口走る自分に彼女は真っ赤になり顔から火が出る思いだ。
ただここ一年ほどは沙耶香の男性器しか受け入れておらず他の異性のでだいじょうぶかなと思う。もちろん男性器そのものに極端に差異があるわけではない。大小や形状に個人差があるだけ。
ここで不安になってどうするのよ。透いや……透子だし。
さいわい彼がスリップやブラジャーを身に付けていることで男性らしさを感じないことで複雑な安堵もあるかもしれない。
ちいさくゆっくり花唇をこじ開け愛液と鈴口からのカウパー液が胎内で溶け合う音がぐちゅぐちゅとしているのが伝わりそう。
「ン……ンん」
眉間に皺が寄りなぜ女性は性交の時に痛みを伴わなくてはならないのか、といまさら疑問に思う。
沙耶香さんなら強引にやるのに。
ふと彼女は足を曲げ透子の腰を掴む。
「え……」
「ぐ、ぐずぐずしてるから……」
おいで、と強引に肉棒が挿入され痛みが全身にきて頭が真っ白になりかけた……。
「あ……ああ…ん」
「せ、先輩……」
「こ、このままきて……」
快感と痛みに支配されながら変態的なセックスを求める自分が開化してるのではと早紀は思う。
今夜だけ、今夜だけでも……。
透子はかつての彼女とちがうことに驚きもあるが嫉妬らしい感情をおぼえる。
肉棒が花唇と襞に締め付けられながらランジェリーの感触と女体に情欲があった。
誰か知らないけど。
たぶんあの沙耶香かもしれないとふと対抗心らしいのが芽生えながら腰をぎこちなく揺らした。

No.247 18/02/21 21:23
作家 

ぎこちない腰の動きながら透子の肉棒はぐちゅぐちゅと淫音を奏でる。けっして大きくもなくちいさすぎでもないが淫唇を乱すように挿入していた。
「あ、あ……いい……」
沙耶香と最後にしたのは一ヶ月程度前だったか。ご無沙汰というほどではないが若い牝の肢体は牡を求めていた。透子の下半身を掴んでいた足は快感に負け腰を離し垂らしていた。
「ん……ハアハア」
「透……」
「透子…と…呼んで……」
中性的な声音でかつてのいじめられっ子な後輩は女性ぽく見えた。スリップの下には男らしい肉棒が淫唇を乱しているはずだが、ぎこちないながらもゆっくり時に激しく動く肌と肌の触れ擦れる音が快感を増す。
「と、透子……」
「ん……はい」
「も、もう……」
従順に返事する女装の後輩に内心苦笑した。なにがおかしいかわからないがかつていじめた後輩と交じりあう自分がおかしいかのか身体を許したせいかなにか力は抜けていた。
「……はあ…ン……。ん…ん…ンン」
「か、可愛い……早紀……」
「や…や…はずかしい……」
「だって……」
「も、もっと……」
「はい……」
ふと透子は早紀の太腿を掴みながら腰を激しく振りだした。あまりに突かれる快感に早紀は悶えた。
「ああ……きゃ…きゃきゃ……ンン……」
あまりの快感に天井が揺れ回るような錯覚を起こしちいさくイッたような快感を繰り返したかもしれない。さいわい透子が気を遣いゆっくりと腰を動かしたことで正気を失うことはなかった。
「ハアハア……」
「だいじょうぶです?」
「い、イッた……かも……」
大きさ的には満足するような男性器ではないが、痛みは減りいまは快感が上をいく。身体を保つためにシーツを掴み足の指さえも掴むようだ。
互いに呼吸をし一旦結合を解いた。
早紀は驚いた。
女性らしいスリップの下から彼の男性器はテントを張り卑猥な形が見えていた。思わず変態的な欲求を呟く。
「み、見せて……」
「え」
「オチ×コ……お願い……」
スリップの裾を掴みおそるおそる透子は見せた。そこにあったのは若い陰毛に包まれた男性器そのものの牡。
沙耶香とちがうのはショーツはいつの間にか脱いだか外したらしい。
喉が鳴った。
見上げると中性的な透子の顔、下半身に目をやるとスリップの下の肉棒。
もう少し女装させたらばけるのかな……。

No.248 18/02/22 05:33
作家 

再び互いの性器が淫らな音を立て結合しあう。唇を重ねて痛みと快感を分かちあう。
すごい……。
沙耶香より歳がほんの少し下の透子の男性器はギンギン。
「っ……あ……ンン」
透子が中性的な容姿でむしろ自分が女性であることに悦びを覚えた。同時に女装者が相手であるぶん男を意識しないことをどこかで再認識していた。
レズな麗奈が惹かれたのはたぶんそんなところ……。
「さ、早紀」
「ん……」
「が、ガマンできなかった……」
「イッていいよ……。恥ずかしいことじゃないから」
沙耶香とのセックスでは我慢し耐えることはひとつの快感になっていたが、時に自我を見失うくらいハードなのだ。性行為そのものが。
だけど透子は早紀を思いやり彼女もまた透子を思いやっていた。
「っ……んむ」
「はあ……れろンちゅ」
キスで快感は増し痛みは和らぎ胸元に目をやると乳首は天井を向き張りがあり淫唇はゆっくりと男根を受け入れる。
抱き透子のスリップの感触が気持ちいい。自らの女臭やお風呂上がりの石鹸混じりが混ざりあう。
「ん……」
ゆっくりと腰と腰が触れていき肌が擦れあう。すりすりとおとなしいなかにくちゅくちゅぐちゅぐちゅと男性器が花唇を乱し花唇の奥にある襞が受け入れ快感を求める。
「っ……あ…ああ…」
声が思うように続かない。甘い声が漏れていき頭のなかが真っ白、身体は性的快感を求め蕩ける。
「ん…ん…」
呼吸を小刻みにしながら透子は時おり体勢を微妙に変えていく。ぎこちなさがあるがお風呂に入る前と先ほど、そしていまの三度目で慣れ一回射精をし少し余裕があるのだろう。
先輩のなかが気持ちいい。
透子は口に出さないがそんな感じだった。むかしこの人にいじめられたのは辱しめの毎日だったが、女装という行為にはふしぎと感謝があった。
女装がなければ再会の機会はなかったにちがいない。
「っ……ン……」
スリップを身に纏い目の前に異性の肢体がある。なんて気持ちいいのだろう……。
瞬間射精感がこみ上げてきた。熱いどくどくとした性的快感に身体はマグマのように熱い。
「い、イキます……」
「ああ……うん。いいよ……!」
早紀の声は左右隣に聞こえそうな声だった。腰を激しく振り睾丸が膨らみ幹から鈴口へ熱い牡の樹液が溢れ出す。
「おお……ンン…」
「い、イク………イッちゃう……!」

No.249 18/02/22 15:09
作家 

どくんどくんと脈打つ透子の男性器から牡の樹液を感じ受け止めていた。
久しぶりにいい……。
満足したように早紀のなかの淫らな牝の彼女は満足した。
中性的な透子は数年振りのセックスに呼吸を繰り返し肩を揺らしスリップの肩紐が右肩から垂れていた。
「はあはあ……」
「ん……透?」
「ち、ちょっと興奮しすぎて……ん」
「っ……また……」
襞に包まれた肉棒から牡の精液が射精され呆れるような微笑ましいような複雑……。だけど悪い気はしない。
久しぶりに満足する性交に早紀は胸の内があたたかくなる思いがした。意外な言葉が出た。
「もう一回くらいならしていいよ」
「……い、いまそんなこと言われたら」
「え……!」
ぐっと胎内で熱かった肉棒が冷たくなったはずだが淫らな誘いある言葉に勃ちはじめたようだ。
「ああ……また出ちゃう……ご、ごめんなさっ……あ」
どぴゅどぴゅっ、とニ、三度ほど白濁液が弾けるように出たのを感じた。
「あらあら……」
「ん……」
ちいさく呼吸し冷静さを保ちたぶんプライドを汚されたと誤解してるであろう透子いや透に言う。
「……は、恥ずかしがることはないんだよ。久しぶりのセックスなんでしょう?あたしが誘惑するようなこと言えばあんたは男だからコーフンしてあたりまえ。早漏や遅漏だって相手しだいでちがうと思うから」
なぜあたしはこんなことが言えるのだろう。
早紀自身は口に出してしまってからふと沙耶香とのことを思い出す。沙耶香も気分や気持ちに左右されやすいのか若干早漏や遅漏めいた時に悩む表情をしていた。
男てほんと悩むんだ……。
「ん……っ。あ……」
おそるおそる透子が男性器をゆっくり引き抜きわずかな痛みと快感を伴い離れたことに気づく。吐息を整え透子は顔が真っ赤に近く耳まで赤い。
「お、お水いれますね」
「や、やるよ……」
ふたりしてベッドから立ち上がり行動が双子のように同調し食器棚にあるグラスに互いの手が触れた。
あ、と声が重なる。
さいわいグラスを落とすことはないがグラスを手にしたのは早紀。グラスをふたつ手にし蛇口を捻り水をいれ先に彼に渡した。
「ハイ」
「……ありがとう」
「ん……ティッシュティッシュ」
気づくと太腿から膝にかけ愛しあったばかりの精液と愛液が垂れてきてティッシュ箱を取り彼の前で拭った。

No.250 18/02/22 19:01
作家 

ティッシュ箱からティッシュを数枚取り濡れた淫部を拭いてる様子を透子が声もなく見つめていることに恥ずかしさを感じ慌てショーツを手に取り背を向け腰まで履いた。
「み、見ないでよ」
「あ……」
慌て透子も気づく。自分もぺニスを出しぱなっし、とはいえスリップ越しなので薄く見えている程度だが淫部を見せていることにかわりない。下着を手にしグラスの水で喉を潤し落ち着いた。
「み、見ていいから」
声にし振り向くとブラウスを羽織った早紀はほっとしたような表情を見せている。
女の子らしいというより女性らしい姿に透子は好きなのかな、と少し疑問に思ったがたしかに性行為の最中に愛したいと思ったことは本当の気持ちだったか。
一時の劣情。
ふとそんな言葉が浮かぶ。同級生のなかで比較的異性にモテてる人は卒業後も社会でうまくやっているらしいがなかには二股や三股はてはそれ以上……話に尾ひれがあるようだがそんな感情や気持ちにまかせ仕事などは順調でも異性関係でなにかと難を背負っているらしい。
「なによ」
「いえ……」
「はっきり言っていいから、本田」
名字で呼ばれると妙に壁があり気を使われてるのがわかる。あえて他人行儀にしないといけない線もある。
「あ、あの……」
「あたしもそっちいくわ」
居間に入り下半身は下着のまま、胸はブラウス越しに見せたまま早紀は勝手知ったるとばかりに歩くが実際はどう接していいか彼女はわからない。
小悪魔的な魅力はなりをひそめ学生時代に戻った気軽さもあるかもしれない。
「ん……」
「だからなに」
透子は気恥ずかしさもありながら答えた。
「あ、あの一時の劣情かもしれないのに。その……子どもとか……」
「子ども!?」
思わず黙る彼に早紀はそっと肩を撫でる。
「できないよ。いくらお酒に酔っても一時の劣情でセックスは誰彼求めないから」
「う、うん……」
「なあに心配してくれたの?」
「一時の劣情で……したらと思うと……」
なんとなく気持ちを察する感じになる。
「一時の感情や劣情でもいいよ。愛してくれて」
そっと彼の肩に甘えるように頭を置いた。
「ん……」
「重たい?」
「え」
「ちがうよ、あたま」
重たい女と思われたくないくらいの気持ちや優しさ程度はあった。
しばし深夜の音もな時がふたりを包む。この子と一緒ならどうかな。

No.251 18/02/22 20:57
作家 

もう一回しようか。
「え、だけどお仕事は」
「一日くらい寝てなくても平気。帰りの電車で少しだけ寝るつもりだし」
早紀の呟きに透子は時計を気にした。すでに深夜二時頃、いまから寝たとしてもほんの数時間程度の浅い眠り。
早紀は頬にキスをし肩を抱き始めた。
「いや?」
「……いやてわけじゃ」
「それにいまのうちに味見をしておかないと撮影の時にランジェリーや衣装でコーフンしちゃうし」
口実であった。必然的に男性は女性モノのランジェリーや服を見ただけでも興奮するもの。
「朝には透……、透子はバイトでしょう」
「うん……」
「あたし帰っちゃうんだし……」
「うん……」
「さっきからうんばかり……」
セックスをし互いにこのまま静かに朝まで過ごすくらいの穏やかな気持ちは互いに知らずにあったがそれでは色気がない。
からかうように早紀は口に出す。
「またむかしみたいに襲っちゃうぞ」
「……そ、それはやだ」
「なら、愛し合おう……?」
ほんの少し小悪魔な一面を彼女は自覚した。
こうやって甘えるとたしかに異性は数える程度は思い通りになるが、あくまで早紀はセックスの時にしか使わないようにしていたが、男性とて馬鹿ではないのだ。慌て言葉を変えた。
「だ、抱いて……朝まで」
あ、これも同じようなものと気づくがあんがいこんな場合に言葉は選びにくい。
じっと透子は見つめていることに気づく。
「……一回だけにしましょう先輩」
なんだ。やりたいじゃんと思いながら先輩という表現に自制が感じられた。
「……うん。いいよ」
ふたりしてちいさいベッドに横になり身体を撫で弄る。互いの牡臭牝臭の匂いが鼻腔を突くようで熱くなる。
「パンティ着けてる?」
「え、あ、ハイ」
先ほど慌て着けたらしく女性モノ下着を着けた下半身がスリップの裾を上げ見えた。
なんとも卑猥なビジュアル。女装の美しさや卑猥さは何も外見だけではない。ランジェリー姿は女性のそれと同じで全裸よりやらしい。
早紀はそっと彼の手を掴み淫部の膨らみにあてた。
「触って……」
「ん……」
透子の掌に柔らかい布地の内から若い毛と淫豆、花唇の感触が欲情を誘う。女性器の膨らみはふしぎ、男性器ほどの膨らみはないが小高い丘をイメージや草原な感じ。さわさわと触っているだけで胎内を思わせる。淫靡な丘だ。

No.252 18/02/23 05:18
作家 

さわさわと透子は女性器の膨らみを下着越しに触れている。
ぎこちないというよりは撫でている。
少しだけ肌や下着を通してぴりぴりびりびりみたいなちいさな電流を通しているみたいで早紀は声を漏らす。
「ん……」
「気持ちいいですか」
「ん……、なんか包まれてるみたい」
沙耶香との行為ではなかった穏やかで安らぎみたいな時間と思う。性的快感を求めるとはなにか違う。
「キス……いい?」
「いい……して」
唇が重なり舌が絡み唾液が粘液のように絡みながら身体が芯から再び熱くなる。
以前の自分を少なからず恥じるところがあった。沙耶香やそれ以前の女装モデルを取っ替えながら時に取材と称し女装子達と遊ぶ日々。
以前に沙耶香が言わんとしたことがいまになり違う男性を通してわかる気がした。
愛されるより愛する。
いまはこの一語を言葉にしないで伝えたい。
誰に?
透ないし透子に。
はあ、と互いに桃色な吐息をして唇から唾液が垂れた。
「うふふ、元気になった」
「な、なにが」
「オチ×チ×……」
「きゃ……」
「きゃて女の子みたいに」
バツが悪そうに少し黙る透子の頬や髪を撫でる。こういう時沙耶香ならどう伝えるのだろう。
「……いいの。じ、自分に自信持ちなさい」
「え……」
「いまの透子があるのはあたしの責任でもあるから」
と言ってしまいもし透子以外の学生時代のいじめ被害者がそれを聞いて押しかけたら身体もたないよと冗談めかし悲観した。
透子は言う。
「責任て負い目感じないでください……」
負い目。それがないわけではないがまだ時間が必要かもしれない。
「うん……」
「ちょ……」
ランジェリーに包まれた女の装いの彼は早紀に抱きつかれ戸惑いながらおそるおそる肩から背中を抱いた。
互いの肌の触れ合いに安堵した。
「ベッド」
「いきましょう……」
抱きあい再びキスをしそっと倒れた。
「透子」
「ん……」
「オチ×コ……すごい」
「……もう」
透子は思う。
先輩はとてもエッチ。むかしは軽蔑や嫌悪があったが話をして頑張り屋でもあるしエッチ。だけどとても女の子らしい。
「あたし……」
透子の次の意外な言葉に早紀は驚くことを知らない。
「こんなこと言うのもなんだけど、あの沙耶香さんに負けたくない」
え、と声が溢れた。
ええ〜!?

No.253 18/02/23 13:45
作家 

深夜なので騒がしくしてはまずいと思い口を閉じたが驚きは胸の内の動悸を脈立てる。
さながらぺニスがどくんどくんとした音が聞こえるようだ。
沙耶香さんをライバルにしたい、と透いや透子は口にしたから。
「……沙耶香さん?聞き間違えじゃなかったら沙耶香さん……?」
自分の耳がどうかしたと思い間抜けな返答しかできない。混乱してると思う。
「ええ、あの……いけません?」
「いや……いけなくはないけどまだあの人モデル二年目だしいま……よそに行っちゃったし」
ふと早紀は沙耶香について気持ちが醒め始めた自分に気づきかけていた。しかし透子は言う。
「そんなの関係ないです。先輩と親しそうだったし……」
あ、と思い当たる。
透子は早紀が沙耶香の彼女以上の存在と誤解してるのだ。
友達以上ではあるけど。
「ちがうちがう。あたしは……彼女じゃないし彼女でもなかった、と思う」
「え、それて……」
「……あまり言えないけど友達以上な人なのはたぶんほんと。セックスも……したし」
ちいさな驚きが混ざる呼吸や喉の音がした。傷つかせ驚かせた。
だけど事実だからしかたない。だけど誤解を招いてはいけない。
「あの人……」
「……あのあたしを好きになってくれて憎いのはわかるけど、身体だけの関係だったと思う。沙耶香さんが好きな人は……他にいる…から…」
それが自分でなかったのはかなしいことだが、去年手を出した段階で沙耶香は自分を本音では相手にしてなかった。
だからセックスの際に虐められ快感を味あわせながらいつかは離れるように仕向けていたかもしれない。
「わかってくれた?」
「……わかりたくないけど。先輩の言うことなら……聞きます」
歳が若くまだ整理がつかないのは何となく伝わる。自分は沙耶香にもとから暗にフラれていたのに、距離が離れ身も心も離れていったいまだからわかる。
「……つ、続きしよ」
「ん……ちょっとだけ、先輩をいじめていいですか……?」
上目遣いにお願いされ胸の内がキュンとなったと同時に軽く背筋が震えた気がした。初夏なのに。
「あ、あの……いいけど。身体に跡が残ったり痛すぎは……」
「……SMなんてしたことないです。ちょっとだけ、プライドが傷つくかもだけです」
彼はベッドの側にある棚からあるモノを出した。それは卵状のピンクローターだった。

No.254 18/02/23 19:10
作家 

ん、ん……ンン。
ピンクローターの刺激がショーツの上から花唇を刺激しベッドの上で足を卑猥にM字に開き早紀は羞恥心でいっぱいだった。
オナニーを見せてほしいというのが透子のお願いだった。
室内をローター付けて歩けとか四つん這いになってよりはましかもだけど……。
「あ、あまりまじまじ見ないで……よ」
「だって……」
ローターは(弱)だがぶるると震えながら淫豆や花唇を刺激し透子は淫部を興味深く見つめていた。やらしい。
「あ、あんたも、お……オナニーくらい…しなさ……して…よ」
「そんな……」
「なら挿入(い)れさせないわ……。このローターちゃんで果てて朝にはハイ、さようならよ」
自分だけオナニーしてる恥ずかしさからつい口走ったがもちろん本気ではない。透子は見つめながらも同じように膝を曲げ足をM字にしスリップの裾から卑猥な膨らみある形状のパンティが垣間見えた。
「ん……先輩」
「そ、それでいいわ……」
「ンン……」
うわ、と声が漏れる。可愛いらしいパンティの内にはぺニスがあるだけで扇情的に見える。しゅっしゅっとぺニスとパンティが擦れる音がちいさく伝わる。
ん……はあ…はあ…。
透子の吐息が荒い。そういえば沙耶香が女陰恐怖症になった際にあれこれしたのだった。
「ちょっといい?」
「や……」
爪先でパンティの内にある膨らみに触れ柔らかく堅くなんともいえない感触。爪先で触れているが、ローターの震えがあり爪先から足で犯してるような淫らな錯覚をおぼえた。
「ん……」
「沁みできちゃった?」
「……うん」
手元をのけたパンティにはカウパー液の沁みがじんわりできていた。
「はあ……すごいね」
「……ふ、ふつうです」
「女装なのに?」
「……ん」
肯定否定ともつかず俯く透子の側に寄り肩を抱き頭を撫でた。
よしよしと。
「ん……」
「いいの。変態でも」
透子の鼻に早紀の匂いが伝わる。シャンプー、リンス、石鹸の爽やかな匂いのなかに汗や体液、愛液からの性行為の匂いがツンとした。
「……三時。もうこんな時間。しよっか」
「……はい」
最低でも早紀は午前中の電車に乗らないと職場には間に合わない。
「先輩……」
「なんかいいね」
そっと淫部に肉棒をあてながら若い肉唇にゆっくり挿入してゆく。
朝までの一回の淫らなシンデレラ。

No.255 18/02/24 20:37
作家 

中性的ではあるが透子はランジェリーに気を使ってるせいか女性ぽく見え早紀はふしぎな気分。
だが透子はあることを言いかける。
「あの……早紀。ボク……」
「イヤな話なら後にしましょう。いまはここから元気をもらいたい」
熱く堅いぺニスをそっと握りながらイカさない程度に撫でた。
透子は思う。復讐をしようとした自分が内にあるのは事実と思う。なのにこの人はそんな自分さえ受け止めようとしてくれている。
「挿入(い)……いれますね……」
「う……うん……」
挿入される瞬間は早紀はいつも痛みが全身に走るが、沙耶香ほど透子の肉棒は挿入に痛みはふしぎとない。相性かどうかはわからないがスムーズな感じ。
「ッ……」
痛みはさほどない。軽い刺激のような電流が伝わる感じ。早紀は思う。
出産はもっと痛いんだよね……。
なぜそれを思ったか。
処女ではないが花唇を押し開け奥の襞をのけていく肉棒。
「あ……ッ、ンン」
痛みと共に性的快感が伝わる。指先や爪先に力は入るがそれは拒みではない。愛情なのだとわかる。
「ん…はあはあ……」
「もっと……奥まで……して」
「は……い……」
無理な挿入を透子がしないのはセックスに慣れてなく彼もまた女装をおこないならうことで異性たる女性の身体や心のむずかしさはそれとなく理解しているから。
女性にはなれないが女性を大切にしたい点は沙耶香とふしぎと同じ志しや信念があるらしい。
だから早紀への復讐はもとからできるわけではないが、自覚するのは少し先である。
「ッ……いい」
「ハアハア…ハアハア…」
「動いて」
ベッドが軽く軋み揺れ始めた。パンパンと肌と肌が触れていく。
あたたかく熱い。
互いに性器同士の交わりながら感じていた。汗や体液、カウパー液や愛液が胎内の奥で交わり毛細血管が無数に開く。
「あん…アン…あ…ん」
「ん…はあ…ハアハア……」
甘えるな喘ぎ声と繰り返す呼吸が性交を表現するようだ。
「ん……ハアハア……」
「……だ、だいじょ…うぶ……?」
「……は…い…」
性経験が少ない透子だがイカないようにするのは本心からはむずかしい。気を緩めたらイッてしまいそう。
異性の襞は幾重に重なり包みあたたかく母性を感じた。むかしはこの女性器にレイプまがいに喰われたのに。
いまはまるでちがう。気持ちいい。

No.256 18/02/25 15:24
作家 

気持ちいい。
素直な気持ちだった。学生の時にはおもしろ半分で犯された同じ女性器なのに、まったくちがっていた。
「ん……いい」
「ほんとですか……?」
「ん……気持ちいい」
学生時代には学校のなかでスケバンと名を馳せていた女性が目の前では女性らしい顔立ちをしていた。
キツいけどまったりぬるぬると包容感ある感触がたまらない。母の胎内に還る感覚に近い感じ。透子にはそんな感覚があった。
「ん……」
「……きゃ」
早紀は慌てた。抱き合っているなか若い陰毛や淫豆に触れられ身体中に電流が走るようだ。ただでさえ挿入され相手の顔が真正面にあるのに。
「さ、触るならい、言ってよ……」
「だって……」
「顔だって、見えちゃうし……」
思わず早紀は相手を真正面に見れないことに気づく。
あたしは透、いや透子を好きになり始めている。さんざん沙耶香さんと麗奈さんの仲をじゃましちゃったのに。
沙耶香はこんな女性になりたいのだろうか。あるいは透子も……。
「さ、……せ、センパイ?」
気づくと彼女はほろほろと涙を流していた。
「ん……ふぇ…ふぇ〜ん……ん。んん。な、なんでもないから」
泣くのをごまかしながら笑みしながら感じるだけで精一杯だった。
すべてではないが、女装者が残酷な存在とそれとなく理解してしまい沙耶香や透子が残酷かつ美しく醜い存在と心のどこかでわかった。
「あ……ハアハア…ハアハア……ん」
「やん……」
「センパイ、早紀……イキそう……」
感情の高ぶりを感じ女陰がキツく締められ身体が熱い。そっと指で涙を拭い唇で水滴を口にした。
「ああ……」
「やだ……」
「しょっぱい、あまい……」
涙なのに彼はひたむきに頬や唇にキスをした。若いぶんただひたむきだった……。
透子は思う。
この人を泣かせてはいけない。
瞬間だった。
「イキます……」
「ああ…きて…きて…」
射精の瞬間が伝わる。熱く太くなった男根が胎内で膨らむ。
「イッちゃう」
「イク……!!」
深い夜から朝陽が少しずつ照らすなか安アパートの一室のカーテンの隙間からわずかに光が届く。
あ……ああ……。
イクイク!!
はしたない声を上げ堪えながらふたりの身体は熱くなる。
透子は抱き締めながらキスをし相手の舌を絡めながら射精を感じた。
シンデレラの時間は終わる。

No.257 18/02/26 05:03
作家 

朝までのほんの数時間ふたりは軽くキスしたり抱き合ったり時間を過ごした。
スズメがさえずりをする頃に互いに着替えをはじめ透子は透の姿に戻り早紀も少し皺がついたスーツに着替えささやかな朝食をした。珈琲や紅茶、トースト、目玉焼き、サラダなどかんたんではあるがセックスの後のお腹を満たすには早紀に充分だった。
連絡するから、と早紀は言葉短くに伝えた。
「はい……」
離れるのが名残り惜しい時間に思えたがお互いに当たり前だが仕事がある。透子は朝からスーパーのバイト、早紀は出版社に戻らないといけない。
二度も朝帰り。また白い目で見られちゃうことは胸の内で覚悟していた。
「あ、あの」
「ん?」
「に、匂いが気になるなら、あそこの銭湯は早朝からやってますので」
「や……。ん……ありがとう」
女装者はふつうの男性よりは気を使う傾向があるかは微妙だが、透が気を使っているのはわかった。
玄関を出る頃には初夏の眩しい太陽が町を照らしていた。
「いってきます。気をつけて帰ってください」
地方の町とはいえ人がいないわけでなくアパートの側を学生やOL、サラリーマンの姿があり大人になると一時的な別れでも切ないと思う。
透の姿が消えた時にはほろりと涙が頬を伝った。
「あ……」
愛されるより愛することを知り理解した彼女はこの地を離れる切なさがあった。
涙や身体を洗うために昨夜の銭湯にいくと、朝早いのに年配の人達が性別に関係なくいた。番台にお金を払い衣服や下着を脱いで身体を洗う。火照りは醒めていたが胸の内は切ない。湯船に浸かり息をした。
おや、あんた。昨日の。
呼びかけたのは昨夜の地元のおばあさんだった。
「お、おはようございます」
「帰る前に一風呂かい」
ええ、とさすがに身体は洗ったからバレないよねと少し焦るがおばあさんはにこにこ笑みしていた。他の人達も。
「なんか寂しそうだね。よけいなこと言ってすまないがね。年寄りなものでね」
「いえ、たぶん寂しいのと思います」
素直な言葉が出たことに安心もあった。昨夜のセックスで彼女は自分の内を知ってしまった。
賑やかな銭湯のなか寂しい自分がいる。ただそれだけなのだ。
朝の混雑ななか帰るよりほんの少しだけまだ現実に還りたくない思いがあるが愛那に悪い。
風呂から上がりコーヒー牛乳を口にした。甘く苦い味。

No.258 18/02/26 05:41
作家 

双星出版社のある建物の側に立ち背中向こうにあるやや向かい側の新星出版社がある建物を見つめた。
沙耶香さんはライバル出版社が側にあるのを驚いただろう。
スーツの襟や袖、スカートを整え双子の受付嬢に挨拶しエレベーターでフロアーに向かう。時間は十時半過ぎ、最低限午前様の内に戻れた。
息を一回して挨拶した。
「お、おはようございます」
瞬間編集担当のほぼ皆が自分を見つめ愛那はやや軽蔑的ながら駆け寄るより先に主任が目の前に立った。
「おはよう」
やや冷たい声に応えた。
「おはよう、ございます」
「二度も朝帰りはいい度胸だけど。それなりの収穫がないと許さないわよ」
「え……と」
「私でもなくここにいる皆でもなく、読者がよ」
威圧されプレッシャーをかけられたのが伝わる。出版業界で恐ろしいのは〆切を守らないなどいくつがあるが読者こそが最大の味方であり敵になる存在なのだ。
「あ、ハイ。それについては沙耶香さんの代わりはあたし、いえわたしに……まかせてほしいのですが」
「それについては美如月とよく話し合うこと。お土産か?」
ハイ、と慌て前に持ち渡した。主任はわずかに目を細めた。
「まあ無理をしないことだな。あちらに水越沙耶香が行ってしまった以上どんな存在になるかわからない。少し休め」
主任の言葉は半ば呪縛であったが目の前から去った時に安堵し室内の雰囲気はいつもに戻る。
愛那が手を引き誰もいない応接室で睨む。
「なんとか取り繕ったんですから感謝してください」
「悪かった。ごめん、貸しひとつにしとく」
「ただでさえ先輩、いえ沙耶香さんがあちらに行ってしまい社内はピリピリなんですから」
ごめん、と詫びた。
女装の後輩と一夜を過ごしてる場合ではないのだ。
ふと気づく。
「麗奈さんは?」
少し愛那が目を逸らし小説担当の課に手を引き彼女の様子に気づく。仕事のできる彼女のペンを持つ手が動いてなく新刊向けの企画さえ滞りがあるようだった。
「矢口さんこれモデル候補の資料ですが……」
「ああ、後で見るわ……」
「お願いします」
表情が青いのだとわかる。まるで悪夢のような初体験をした女性のような性的嫌悪のようないやな何か伝わりがある気がした。
「何かあったみたいですが……」
「あの冴木とかいう……」
嫌な予感はそこにある気がした。

No.259 18/02/26 13:57
作家 

昼休み合間を見て早紀は愛那と共に声をかけ愛那にお弁当を頼み屋上に連れ出した。
「何かありました?」
さりげなく聞くこともできたがうかつな遠回しでは伝わりにくい。
ほんの一年前に沙耶香を誘惑しこの屋上がほぼ始まりだったのが皮肉であり遠いむかしのようだ。
「お姉さ……いえ、冴木流…菜に……」
「レズ……ですか」
手にした自販機の缶が震え耐えられなくなった座るベンチに置いて何かに耐えられないように泣き出した。早紀の肩に顔を預け人目もはばからず泣いていた。
「わたし……ひどい女……」
「……ちがいます。麗奈さんはいい女性(ひと)です」
「だけど……」
「過去はよくわからないけど、いまを大事にして……」
いまの自分が言えるのはそれが精一杯。
なんとなくわかったのはあの冴木流菜に犯されたと思う。愛する女装の異性とかつてのレズ相手。去年のままの自分ならこの機に乗じ何らかの手段を講じ沙耶香を奪いいつかは別れただろう。ハンカチを渡し麗奈は涙を拭った。
見ていた他社の社員たちは見て見ぬ振りをしてくれ安堵した。
「あの」
「なに?」
歳上の同性なのにいまの麗奈はちいさく見えた。彼女もひとりの女性なのだと肌に感じる。呼吸しとりあえずいまの気持ちを伝えた。
「こんな時になんですけど……さ、沙耶香さんはあたしいえ……わたしはあきらめる、かもしれないです……」
ようやく耳に入りいちおうの理解をしたであろう麗奈は涙を拭いてティッシュを出して鼻を噛んだのにくしゃみをしまた鼻を噛んでから目を丸くした。
「え……と意味がいまいち理解できないのはワタシ……?」
混乱があるせいか口に出してる日本語さえトンチンカンであった。
「……沙耶香さんをあきらめるかもしれないです、と伝えましたが。わかります?」
「……え」
ええ〜っ!?
ベンチに置いた缶が転がるくらいに立ち上がり再び屋上は人目を呼んだ。さすがにふたりが喧しいと思ったか目線で注意する者、場の空気を読み早くに去る者さまざま。
眉間に指をやる麗奈は吐息した。
「あきらめるて冗談かなにか……?」
疑いの瞳がじろりと見つめ複雑な色が見えた。意外に一途なのかなと素直に思う。早紀は言う。
「冗談でこんなこと言いませんよ……」
そこへ愛那が買い出しから戻り缶を拾い彼女も目を丸くしていた。
なにこのふたり?

No.260 18/02/26 15:12
作家 

事情を聞いた愛那はふと思う。
沙耶香さんはあたしのモノになるかもと思ったら早紀に睨まれた。
「な、なんですか」
「一回やそこらセックスしただけでオトコが自分のモノになるなんて甘い、とだけ言っとく」
む、と思うが麗奈の気持ちを考えたら複雑。社内では沙耶香と麗奈の関係は何かと話題だった。ようやく巡り巡り沙耶香と分かりあえたがいまは屋上から見えるやや向かいの新星出版社のもの。
「どうするんですか」
「沙耶香さん?あちらに行ったんだから他社のことに口出しはできないわ」
あっさり言う早紀に麗奈は見つめ返し言う。
「あなた変わったわね。さんざん私がスカウトしたモデルに手を出しては失敗したのに」
「お互い様です」
麗奈はサンドイッチ、早紀はホットドック、愛那はトンカツ弁当を口にし少しだけ笑った。
ここに沙耶香がいないことに一抹の風があるだけだ。
愛那は意見する。
「取り戻すことはできないのですか」
「契約書。あれがあちらの手の内にあるし沙耶香のサインは本物。まずムリ」
「そうですね。契約書は社会のルール、口約束なら場合ですが言ってないではねのけられますが」
悪どい、と麗奈と愛那は思う。小悪魔な早紀は頭がまわるのだ。
「美如月、あなたも少し変わった?」
「え、なんですか」
話題を変えられ彼女はきょとんとする。ふたりは上から下へ見つめる。気づいた。
「腕にシュシュなんかつけて可愛い」
「え、あ、これは」
「トンカツを口に入れたまましゃべらない。はしたない」
咀嚼しごくっと飲み込みペットボトルの烏龍茶を飲む。
「……これはべつに」
「愛那さん。むかしあたしに仕事中にむやみにオシャレしてはいけないと言わなかった?」
もとスケバンの早紀の凄味に愛那は冷や汗。
「む、むかしのことです……」
「その辺にしときなさい。美如月が女性になった証拠。赤飯でもいる?」
首を横に振る。
「さ、沙耶香さんにはいちおう感謝してます……。意地悪したあたしを……」
「抱かれて一人前か。だけど気取っちゃダメ。女の格を下げるから」
複雑な笑みをしながら麗奈は愛那にいちおう助言をした。
わからないのは沙耶香の考えだ。契約書がある以上不利は理解できる。
だが、あっさりと身を預けすぎ。
麗奈は考える。
このまま流菜のもとに預けていいのか。負けられない。

No.261 18/02/26 18:28
作家 

昼休み後に早紀は神無月社長に呼ばれた。
本田透、いや透子は使える素材なのかと聞いた。この会社では社長直々に呼ばれ確認されるのは半ば必要的なこと。早紀は慎重に言葉を選び口にした。
「まだ女装経験は浅いですが、化けさせることはできると思います。いえばけさせてみせます」
わずかに言い淀むのは沙耶香の存在がよぎりそれが敵や壁としてか不安かわからない。
ただ好意を持った相手を敵にしてしまう表現できない複雑さから解放されなければ戦うことも勝つことも上回ることもできない。
赤いスーツの神無月社長の眼鏡が輝き少し振り向いた。瞳は相変わらず怜悧、先を見ているような。
「勝てるのね?」
この一言は重く冷たい。つい最近まで沙耶香さんはこの会社に所属したモデルなのに声だけ聞けば情を感じないかのようだ。緊張感が伝わり答えた。
「か、勝ちます!やらせてください。本田透、いえ透子を契約の方向でお、お願いします……」
暫し沈黙が流れた。神無月社長の手には透子の資料らしいものが握られていた。
「……わかったわ。だけど今度は美如月とうまくやらないとあなたはいつまでもセカンドよ」
ぐっ、と悔しさを堪えた。社長に呼ばれたのは自分も透子も使える存在かという問いかけ。
「はい……」
声にようやく出して気持ちを堅めようと思う。
沙耶香さんは敵という意思、それがないと愛那も自分も透子も立場がない。ぐらぐらと頭の中が揺れそう。
瞬間ふらっと頭から倒れそうになった時だ。誰かが自分の腕や肩を支えた。
「寝不足のようね」
気づくと社長の顔が側にあり少し疲れがあるように見えた感じがした。気のせい……?
「あ、いえ……」
「少し休みなさい」
ソファーに座らされ社長のお付きのメイドのひとり麻由が現れお茶を淹れテーブルに置かれた。
「すみません……」
「男と一夜を共にしたことを咎めるつもりはないけど、無理は禁物よ」
「はい……」
麗奈はこんな神無月社長と張り合うつもりだろうか。成人雑誌の社会は食うか食われるかの世界。
神無月社長は見つめた。
「あなたも少しは想像できるだろうけど、“ヴィーナ”には沙耶香さん透子さん以外にも女王様候補は他にもいるわ」
ふつうに世間話のつもりなのか話題が変わりカップの珈琲がむせた。
「し、社長……?」
話を聞きなさいと言わんばかりの空気がある。

No.262 18/02/26 20:49
作家 

早紀は社長室を出た頃にはいつになく疲労感が身体を襲っていた。
「先輩……?」
「ああ、何でもないわ」
呼びかけた愛那でもわかるくらい何でもないわけがない表情とわかるが、いまは聞きたいことがあった。
「社長の許可は?あの本田さんの件は」
「許しが出たわ。だけど私とあなたが協力しないと新星出版にいいようにされるわ」
「え……」
言ったことが飲み込めない表情は早紀にはわかるがあえて伝えた。
「あっちには社長が認めた沙耶香さんがいるの。麗奈さんのむかしのレズメイトも……。どうなるかわからないけど力を抜いたらこちらの……負けよ」
「そんな……」
性経験が少ない愛那にはわからない言葉だった。早紀は言う。
「いまは私情を挟まないこと。新星出版に負けたくなければ中途半端はできないわ」
「っ……」
「目の前の仕事をこなしてこそプロ。今夜私の部屋で夜通し会議だけど、いい?」
「あたしの部屋では」
キッと早紀は見つめ返し吐息した。
「古巣に戻ったらあたしにとっては私情が入るわ。必要な資料をまとめて……対沙耶香さん用に勝てるように透、いえ透子をモデルに仕立てないとならない」
「……はい」
「沙耶香さんを敵と思わなければあたしもあなたも先はないと思うつもりで臨みなさい」
言ってることは正しく思われたが沙耶香にすくわれた彼女には辛い決断がいる。
「……わかりました」
ふたりが資料室に姿を消すのを麗奈はそっと見ていた。
沙耶香が敵。
彼女もまた愛した女装の異性が敵ということを認めることはむずかしかった。
だが早紀や愛那が協力しようとしてる姿は素晴らしいことのはずなのに心から喜べなかった自分がいた。
そこへスマホが鳴り手に取るとかつて愛したレズメイトの声がした。
『こんにちは麗奈』
「……」
『あら、返事もないのね』
「……なに」
自分でも驚くくらい低く暗い声がした。
沙耶香を奪い返したい。たとえどんな毒牙にかかっても取り戻さないとまた大切な存在を失う。もういやだった。
だが流菜は言う。
『ドライブでもしない』
「……ええ」
『ならそちらに迎えにいくわ。可愛がってあげる』
電話の向こうで流菜の妖しい笑みがしたのが伝わる。感じてはいけないのに同性愛に慣れ親しんだ身体の芯は熱い。
『じゃあね』
冷たく電話は切れた。

No.263 18/02/27 12:12
作家 

私の中で何かが変わりはじめていた……。
朝昼夕夜の執筆の間を縫うように桜子たち近所や町中の人妻女性がやってきては世話を見てはセックスを求める毎日。
麗奈や早紀たちでさえここまで淫乱ではなかったと思いながら私は桜子を招く。
「待てなかったの。あれから?」
ほんの二、三日程度なのに飴と鞭を使い分けられた人妻たちはただただ従順だった。彼女たちの瞳には私が女王様に見えるらしかった。
桜子は人妻の魅力を放ちながらも触れるか触れまいかと指が震えていた。
「ん……ンチュ」
「はあ……。主人とはちがう」
そう、と唇を重ねるが舌はほんの先しか絡まさないこともある。意識的か無意識に身に付いた“女王様の素質”は彼女たちを虜にしていき私は“沙耶香”ではない存在に飲み込まれていく……。
“なんとかしないと、あなたがふこうになる”
“なんの話”
“沙耶香”の伝えるふこうが何のことか私にはわからない。
ただ性欲や情欲が身体を動かす。決まって二、三回射精した後に“女王様の素質”が動かす。
「クリチンポ好き?」
仁王立ちし流菜が用意したであろうランジェリーははじめは質素だったが二、三日後くらいはやや装飾あるものに変わっていた。
だが彼女のある策略とは気づかない。
ショーツからぺニスは牝を求めけっして世の男性たちに比べたら大きくはないはずが女の装いのギャップや魅力によりちがう物体のようだ。
ああ……、と桜子はおそるおそる手に触れた。ぺニスなど主人やそれ以前の異性で見慣れてるはずなのに。
「いいわ、クチになさい……」
甘く深い吐息が鈴口や亀頭に触れ仁王立ちした私の足は震えた。私本来の理性が抗い戸惑いがあらわしていた。
「ふん……」
「どうしました?」
「何でもないわ」
“女王様の素質”の私は身体さえ乗っ取る。男女の意識さえ統合征服しかねない深く暗黒面のようだ。鼻で笑みしたのはそれだった。
はあ、くちゅれろれろ……んぐんぐ。
「オトコのモノだからどれも一緒なのに」
「さ、沙耶香様のは……オトコのモノではありません。女王様……」
「お世辞はいらないわ。お世辞を言う人は好きでないわ」
びくっと怯え私の冷たい瞳に桜子は口にぺニスを含むのを躊躇った。が私は構わず言う。
「いいわ。好きになさい」
「は、ハイ……ん」
口内に含み歯や舌、喉で味わう。

No.264 18/02/27 15:16
作家 

ちろちろレロレロングングゴクゴク……。
人妻たちのフェラチオは独身女性のそれより貪欲かつ艶かしく性感帯を一、二度交わしただけで心得ているが“女王様の素質”に動かされる私は容易に射精に至らない。だから桜子に限らずこの町の人妻たちはかんたんに性欲が満たされない。
女装の変態に膝まずいていることに町の奥様としてのプライドさえこのちいさなプレハブのなかでは忘れられる淫靡な空間のようだ。
「ああ……まだイキませんの……」
「イクかイカないかをなぜ桜子さんが決めるの?桜子さんにオチ×コがあればいいのかしら」
「ち、ちがいます。私が欲しいのは沙耶香さん……沙耶香様の男の…オスの……アレが……」
麗奈たちとプレイする時でも私はできる限り卑猥な淫語をわざと避ける傾向があったが“女王様の素質”の私はちがう。じっくりゆっくり卑猥に言葉責めをし相手を胸の内から辱しめていく。たとえばこのように。
「ご主人のを舐めたらよくはなくて。女装の私よりさぞや立派でしょう」
「ああ……」
「ああ?なにかしら」
「た、たしかに主人のは沙耶香さ……んより立派ですが……」
そこで言葉を止める桜子に人妻としての苦悩や葛藤がわずかに見え指は刺繍のあるガードルやショーツの内へいき口を開く。
「ふ、ふつうに一、二回して……おやすみしてしまいます」
「週に何回かしら」
「週末……くらいにしか」
「セックスレスでもないのに?」
本来の私が触れないことを“女王様の素質”は相手の心の内面それも奥深い部分に惜し気もなく触れていく。
“やめて”
“女王様のあなたには聞こえない。いえ聞いてない”
しばしして“彼女”から声が返る。
“そう、やめないわ。○○にも沙耶香にもこの時間は渡さない”
“私”たちはふたりして目を合わせた。意識的存在だから身体はないが驚く挙動が伝わる。それを知り“女王様”は動き出す。
桜子は告白する。
「たしかに主人と一緒になり新婚生活を経て子どもが生まれつらい時もありましたが、子どもが生まれてから思っていた生活とはちがったかもしれません」
「しあわせではないかしら」
「ハイ、しあわせです。たぶん」
告白の時は聞いている人妻たちアキたちも口を開かない。みな事情は似たり寄ったりなのだ。
「しあわせなのにこんなことをしていいのかしら」
“女王様”は残酷に進める。

No.265 18/02/27 20:32
作家 

フェラチオをしながら淫らな告白を続けさせる“女王様の私”に私はなす術がない。
桜子は言う。
「いまはセックスの……快感に…浸りたいんです……」
「わかったわ。好きなだけ愛して」
愛しなさいとは言わないが“私”は意識の内で目を背けたくなるが“沙耶香”は見てと促す。“沙耶香”は中立的に冷静なようだ。
ショーツから出た牡の肉棒や睾丸を桜子は現実逃避したい欲望のまま羨望的に淫らなフェロモンを撒きながら味わう。
「ン……ン…ン!ハア…ハア…ン…んぐ」
「なかなかイカせられないのね。ガマン汁と唾液で綺麗だけど」
「あ…ああ……」
身体の内では射精したい感覚さえ“女王様の私”は巧みに自制していた。もしかしたら遅漏であった疑惑(?)を何らかの形でわかりコントロールしているのだろうか。
だがそれは違った。
次の瞬間に仁王立ちした私の身体から牡の肉棒を自ら手コキし精液が桜子の美しい表情や吐息していた口内に飛沫が熱く飛んだ。
「ああ……」
「イクじゃない。どう?」
「き、気持ちいい……。もっと……もっと……」
恍惚とした桜子やアキたた他の人妻たちは飴と鞭で支配されていた。初夏なのにまるでプレハブ内だけは真夏の淫夢のような空間なのだ。狭い一室であるのに。
そこには唾液やフェロモン、汗や体液、カウパー液に愛液など淫汁、香水や化粧の匂いが支配し男性は私ひとりなのに淫らな楽園なのだ。絵画によくある裸体や淫靡な衣装の女性たちの姿のような世界だがそれとはちがうアブノーマルな時間なのだ。
桜子は恍惚としたまま言う。
「私のえっちでどうしようもないおま×こに……沙耶香さ…まの…オチ×コを……お願いします」
成熟した淫唇が上品なブランドものらしいショーツの隙間から見えクロッチのわずかに厚い生地には沁みがお漏らしのように見えていた。
「挿入(い)れないなんて言ってないわ」
「ああ……ン」
けっして広くないベッドの上でシーツは私や桜子たち女性の体液や汗で身体の匂いしかしない。流菜は知ってるはずなのに取り替える様子がない。
“また……”
“女王様のあなたがしてることよ……”
“沙耶香”の声に“私”は身体を取り返したいが完全に“彼女”に支配されていた。
「こんなただの人並みなクリチ×ポなのに」
「かまいませ……ん……」
肉棒はずぶずぶと花唇に挿入されていく。

No.266 18/02/28 06:35
作家 

桜子たちといつもの淫らな時を過ごす私はこの時カーテンが少し隙間が開いていることに気づかなかった。
それより少し前のこと双星出版社の向かいの歩行者用道路で待つ麗奈の前に赤いスポーツカーが滑るように姿を見せ流菜は明るく笑顔を見せた。
「乗って」
「……」
助手席に座る麗奈は彼女の手の内に乗ることは危険なこととわかりながらもその方法しかないことに内心苛立ちがあった。流菜は言う。
「ドライブに行きましょうか」
「遠慮します」
「ならホテルかな」
「強姦罪で訴えます……」
「え〜!?レズなのに」
はしゃぐ流菜の声に以前沙耶香に教わった同意のない性行為は強姦罪やそれに類する罪になることは実社会にあるのは事実だった。スマホの画面にそれを映し見せた。
唖然とする流菜。
「この前貴女が私を襲ったことも訴えようと思えばできるんです」
「訴えるのかしら」
麗奈のなかで葛藤が生じる。学生時代に男性が興味が持てないなか彼女は優しくあたたかく自分を包んでくれた彼女。
「……今回は訴えません」
「甘いわね」
車が赤信号で止まるなか軽く頬にキスされまわりのドライバーや歩行者が目を点にし見つめていた。
「や……」
思わず身を堅くした。レズの甘美な雰囲気が嫌なのではない。目の前の流菜に怯えがあるのだ。
いまの彼女はかつて自分を愛してくれた女性ではない。何かに飢えたような牝の獣のような悪意がある感じがした。
「フン、麗奈があの沙耶香とかいう変態によほどご執心なようね。だけど男なんて馬鹿な生き物よ」
「な、なによ」
「会わせてあげる」
青信号になり車は住宅地に入り昼間の静かななかをすり抜けるように入り裏庭の側にあるプレハブの少し隙間の空いたカーテンを顎で示した。
「……え、さ、沙紗耶香……」
そこで見たのは信じられない光景だった。見知らぬ女性たちと性交を重ねまるでハーレムのような淫靡な楽園だった。
「カレは私の、いえ私たちのモノ。執筆しながら撮影までの間は毎日のようにセックスしてるわ。おかげで私もくたくた」
麗奈には彼女の言うことが真実に残酷に聞こえた。だが実際はちがう。桜子たち人妻は麗奈より沙耶香に心酔し飴と鞭を巧みに使われ麗奈は最近は近所では沙耶香との取り次ぎ役にすぎない。またセックスもあれから沙耶香とはしてない。
嘔吐に似た感覚が麗奈にある。

No.267 18/02/28 16:17
作家 

流菜は彼女が口許を押さえ嘆き悲しんでいることに心から驚いた。
噂に聞いた限りでは業界内では女装モデルを取っ替え引っ替えしながら遊んでいると聞いていたから。
だがいま見た反応は愛する異性や相手への気持ちそのままだった。顔を青くし目や顔を背けたいが必死に堪える女性の姿だった。
「フン。男なんてあんなものなのよ」
流菜は人妻たちが沙耶香の術中にハマッてはいるがいまは新星出版社所属なのだ。言うなれば沙耶香も手の内なのだ。
ハアハア、と嘔吐を堪えた麗奈は気持ちを整え隣の流菜を見つめた。
「なにかしら」
「お姉さ……、冴木さんは沙耶香と何回したの」
「なにそれ、一度きりよ」
それを聞いて彼女は何故か安心した。理由はなんとなくわかった。
この人は男も沙耶香もまだ理解してない、いわばサディストを秘めた沙耶香の複雑かつ愉悦ある性行為を知らない。あの人妻たちが愉しむならそれはしかたない。早紀や愛那と変わらないだろうとあえて気持ちに蓋をした。
しかしこれがいけなかったと後に知る。
もう互いの関係が元に戻らない歯車はゆっくり自然に動き出していた。
「はあ、冴木さんがどの程度男や女装男性を知ってるか知らないけど」
「なに……」
いままで自分に圧されていた麗奈の瞳が輝いた。
「沙耶香を甘く見ないこと……」
「意味がわからないわ」
ならそれでいいと思う。少なくとも自分とのセックスが半ば沙耶香を育てたかもしれない。
神無月社長の女装SMクラブ“ヴィーナ”で女王様候補とされる沙耶香。
わずかに身震いした。この時の身震いを彼女は思い違いしたかもしれない。
沙耶香は自分の大切な人だから、きっと戻ってくると信じたに違いない。
瞬間ドライバー席の流菜は麗奈の唇を襲った。
「ンンン……!!」
「ん……はあ。あなたは私のモノよ!むかしもいまも!」
芯から身体が熱くなり麗奈はスーツやスーツの下にあるブラやショーツを包む肢体が感じるのがわかる。まだかつてのレズ経験が疼くのだ。
じわりじわりと流菜はディープキスをし舌や唾液を絡め胸に触れる。
「ん……はあ…ン」
「身体は忘れてないのね」
「……ああ」
甘美な雰囲気が車内を包む。キスを離し流菜は再び麗奈をホテルに誘う。毒牙からまだ逃れられない……。
沙耶香……。
遠ざかるプレハブを麗奈は見つめた。

No.268 18/02/28 21:12
作家 

プレハブの中で桜子を私は快美に悶えさせていた。女装を除けばただの性交なのに。
だが“女王様の私”は容赦がない。人妻の成熟している花唇に淫らに挿入していき深く深く根元まで入れていく。
「っ……おお……ンン」
プレハブは一応防音仕様の壁らしいが昼間に誰かに聞こえるのではないかと牝の獣の悲鳴が伝わるようだ。
桜子は流菜に次ぐほどのマダムや奥様たちの準リーダー格、実際はこの界隈のリーダーらしく流菜はあくまで性的関係を取り持つ元締めのようなもの。女性同士の人間関係はわかりにくいが彼女が孤立しない数少ない接点が桜子たち三人だったらしい。
理性のある私がたまたま引き当てたのに“女王様の私”がいまや主導権を握りつつある。
恍惚と汗や体液を髪や毛細血管や淫部、太腿から垂らし彼女は唇を求める。
「沙耶香様、おクチを……」
互いに淫部で結合し他の者たちが見つめるなか羞じらいなく女装の異性に求める淫靡な人妻。だが残酷に“女王様の私”は言う。
「唾でいいわ」
「ああ……ん」
挿入はされたのに腰は焦らしを与え粘りある唾液が洞窟の天から滴る水滴のように相手の口に落ちる。
「ん……」
「こんな私の何がいいのかしら?」
聞いている意識内の“私”さえ冷えるような声。理性の象徴である眼鏡を外し水越沙耶香から別の女装者の存在になっていく。
「こんな淫乱なおま×こ……懲らしめてア・ゲ・ル」
いつの頃からか身に付いた挿入した途端に無数の若く赤い襞を強引に破るようにし子宮深くに突き刺さる。
「ぐっ……おおお……」
アクメに達しそれさえ越えるようなオルガスムスに一瞬が長い時に桜子には思えた。
苦しいはずなのにいつもは貞淑で町内の奥様の姿いや心の鎧が無惨に剥がされていく。彼女にはもしかしたら人間ではなく牝の獣という感覚しか宿らないくらい快感が支配していた。
見ているアキたちも息を呑むほどだが目を離せず自慰をやめられない。
凄い……。
ああ、私にも……。
だが沙耶香に要求することはできない。気まぐれな女装の女王様は相手をランダムに選び犯す。
「こんなペニクリに犯されて悦ぶなんて」
「……は…あ…ン。あたまが……白い……感じて…いたい」
桜子の唇を容赦なく私は左右から摘まむ。美しい人妻から唾液が溢れる。
「感じなさい、この時だけでも」
ゆっくり腰を振っていく。

No.269 18/03/01 06:05
作家 

気持ちいい……。
成熟した女陰は女装のペニクリを挿入される前からとろとろと愛液を垂らしベッドや室内を淫靡にしていく。
“これが私”
“あなたよ、沙耶香。いえ……○○クン”
“沙耶香”は“私”の本名で呼ぶ。いままで避けていたのに目を背けないでと言わんばかりに諭すかのよう。
“○○、それに沙耶香”
“女王様の私”が意識の内から呼びかけた。
“私の正体は○○自身であり沙耶香。貴方も私なのよ”
“私”は“沙耶香”がぎょっとするのを見つめた。
“誰!?あなたは”
「ん……おお……あん…あん」
「女性というのも大変ね。欲求不満を抑えられなく流菜さんがいないとセックスできないなんて」
桜子や人妻たちは後ろめたさを感じセックスをしあるいは自慰をするなか身体が凍える思いがしたにちがいない。
「桜子さん程度なら不倫サークルのひとつやふたつは作れたでしょう」
「っ……は、ハイ」
「なぜ、そうしなかったの……!」
腰を跳ねベッドのスプリング上下に揺れるほどに大胆なセックスをし問い詰める。
「……や…ややンン…!感じる……!」
しかし相手が甘い声を上げた途端に腰を残酷に離さんとし桜子は慌てる。両足で掴まえることはできるがしてはならない。
「あ……ああ」
「答えるの?」
「はい……。実は以前にアキさんたちとつくっていました。この町やネットを介しての不倫サークル……」
まさに飴と鞭である。
私があくまでプレイの一環である焦らしと告白を巧みに“女王様の私”は使い辱しめを彼女たちにさせていく。
桜子は甘い吐息を漏らし告白する。
「子育てや日々の生活に疲れていた私や私たちは……セックスや不倫といういけないことにしあわせやスリルを求めていたかもしれません」
「しれません。いまこの時も……?」
いま現在おこなっている行為中でさえまさに容赦ない。誰もが目を伏せる。背徳感を心や精神から求めている非日常。
「……ハイ、いまも求めています」
「よくできました」
再び挿入されるがさらに容赦ない。犬のように四つん這いにされベッドのスプリングが壊れるのではないか私の身体が壊れるのではないかくらいに激しいセックスなのだ。
「ん……おおお…」
「満足しないのね……。この淫乱おま×こは」
成熟に近い花唇の内の無数の襞に快感を感じているのに熱い射精はまだない。

No.270 18/03/02 05:51
作家 

女性たちは性行為をしてる時は他の誰でもない性への牝になれるのだとこの時の私にはわからなかったかもしれない。
女装の私と交わることで苦しい現実から逃れられる背徳な日々。
「っ……凄い。沙耶香様……」
「子どもが出来ても知らないわよ……」
「ああ……」
蒸せ返るような汗や体液、愛液、カウパー液や香水や化粧の匂い。女装と女性の匂いでしか満たされない淫靡な時間。
女性たちは射精の時をいまかいまかと待ちわびる。精液などそこら中の男たちがいくらでも持ってるのに。
沙耶香としての“私”の内にいる“女王様”は胸やお尻を愛撫したり平手で赤くなるほど叩いたりサディストの一面を露にしていた。
「牝に成り下がって」
「ああ……私は牝です……」
花唇はぐちゅぐちゅと音を立てながら奥の襞は無数に肉棒を絡み付ける。締め付け時に呼吸するように花唇を開きアヌスからでさえも呼吸してるようだ。
「ああ……ンン」
「まだイカないわ」
「ああ……しあわせ……です……っ」
悶え牝の獣と化す桜子。ぐっと肉棒が襞の内で大きくなるが射精へまだいたらず淫らな時だがいやいや首を振りフェロモンがより刺激する。
「アキさんたちにも見せてあげなさい」
一度結合を解いて私はベッドの側の壁にもたれ吐息し正面に見えるように体位を変えていく。
「はい、皆さまに見せてあげて」
「わ、私、桜子が沙耶香様のオチ×コをおま×こをくわえます……」
「そのまま……」
ゆっくり腰を下ろさせ再び淫音が微かに伝わり聞こえるはずのない花唇が男性器をくわえ襞を破らんばかりの音が伝わるかのように桜子や女性たちも息を呑む。
桜子の背後にいる私は冷たく口角をあげ眼鏡がなくコンタクトさえなく見えないはずなのに女性たちの快感や背徳に浸る表情は見えていた。
ああ……。
ハアハア……。
イキそう……。
唖然呆然としながらも理性が残るなか自慰をし淫らに呟く。
密室のショー、それもプレハブの外はいつもと変わらない日常。営業のサラリーマンがたずねたり配達の車やタクシーが通りすぎたり井戸端会議をする主婦や近所のおばあさんなど。
だけど彼らは知らない。
「っ……はあ…ン」
「沙耶香様?」
「気持ちいいわ」
「あ、ありがとうございます……」
そこは“女王様の私”でも偽ることない本音らしい。一時の性欲が満足される。

No.271 18/03/03 08:13
作家 

人妻の成熟し経験豊富な女体に“私”が耐えられないことは“女王様”も彼女たちもそれを知りながら快感の時間を満たしている。
「イクわ……」
「ああ……ン」
甘い声と共に淫唇や襞からぐちゅぐちゅと音が伝わり射精感がショーツの内の睾丸が熱をさらに帯び膨らむ。
「ッ……くるわ」
睾丸からの射精に耐えたい気持ちと射精したい気持ちが瞬間重なるが花唇のあたたかい感触にかなうはずもない。
「イク……!」
「ああ……ンン。き、きてる……!あ…はあ…ン」
「ン……う、受け止めなさい……」
女装の女王様である牡と純粋な女性の牝の匂いが広くないプレハブに広がる。“女王様の私”は射精に至ると自然と意識から姿が消す。腰を痙攣させる意識からしだいに。
「ああ……ん」
名残りを惜しむように桜子の胸や背中、うなじや指さえ抱き締める。
それを相手は感じるのか快感に果てていくなか指でさえ彼女たちは包み込む。
花唇からは噴き出す愛液とカウパー液、牡の精液などがどくどくと出て吸い込む。甘い吐息がこぼれる。
「あ、ハアハア……沙耶香様……」
触れ重ねる指は桜子の臀部に触れられる。まるで胎内に精液を宿すかのように。
しかし意識を失っていく私。射精に慣れていても意識を失う快感、罪悪感などがある。心のどこかで麗奈を裏切る辛さ。
ハアハア……と息遣いのかそれでもアフターセックスを心がける馬鹿なのだ。
しかし意識は一瞬でも失う。
桜子は意識を失いかける私の頭を後ろ手に撫で自らの淫部と肉棒を撫でていく。
背徳の時間は終わりを告げていく。
……。
次に私が気づいた時には同じベッドの上。目を開ける私の前に桜子たちは身なりを整えていた。いつもと変わらない日常のために。
「沙耶香様ありがとうございました……」
「ムリをなさらないでください……」
「あ……」
彼女たちは私にタオルケットなどをかけながら貢ぎ物のように飲料水や手作りの料理、時には羞じらいながら自らの下着など置いていく。
「あの」
思わず私は言う。
「何か」
「いつもひどい言葉を言ってセックスをして……」
「言わないでください。沙耶香様に言われなくてもわかっています。だけどもう少しお願いします」
彼女たちの背徳感を理解してるのは“私”ではなく“女王様”。
プレハブの扉が閉められ去っていく彼女たち。

No.272 18/03/03 09:27
作家 

彼女たちが去った後、私は身体をタオルなどで拭いて清潔を保つ。
まだ流菜は戻っていないようだ。
トイレやお風呂場に限っては使用が認められており性行為後は用を足す生理現象がありやむ無く家の中に裏口から入る。用を足し冷静さが戻る。
「身体がもつの……?」
呟きながら彼女がいない時にしか流菜のことを知る時間はない。
数日の間にわかったことは生活感があるのはリビング、キッチン、トイレやお風呂場、庭やベランダくらいらしい。まだ見てない二階を見たい好奇心に駆られる。
気配がない夕方時の一戸建て住宅。マイホームだろうか。だけど女装の、それも下着姿に近いまま家の中を歩くので先ほどの桜子たちとちがう意味で後ろめたさはある。
二階に上がり扉は左にふたつ、右に三つくらいある。
左のいちばん近い扉を開けてみた。
「なにもない……?」
ふと見ると洋間だった部屋らしく畳ではなくフローリングらしき床。壁の方の床は色が変色の跡が見え何か大きな家具か調度品があったらしい。
そっと足音を立てずに進むと何かが足にあたりおののいたが虫などではなかった。
『アブノーマル・シークレット』と書かれた本。
SM雑誌の類いらしく私自身にも学生時代に立ち読み程度の経験はあり出版は新星出版らしい。
開くとSMの女王様や小説、風俗店の紹介や体験談、あとはネットがない時代なので出会いを求める男女の交歓手紙会など。
「マセてたにしては過激……」
素直な気持ちだった。左側の隣部屋、夫婦の寝室らしかったがキングサイズのベッドや本棚、ライトなどがあるが使われてない印象。
何か鼻に感じた。
「下着?男物に女物……よね」
散乱というほどではないがトランクスにランジェリーが何枚かあり手にした。
続いて右側だ。向かい側をそのまま開けるとなにもない空間。物置に使われた感はある程度。
だがなにもない。
そのまま戻るように右隣を開けると意外だった。
「可愛い……」
生活感は例によりないが白や桃などに彩られた女の子らしい部屋が目の前に広がり先ほどランジェリーを手にしたせいもあり勃起があった。
しかしひとがいるあるいは生活してるリアルタイムな雰囲気はない。タンスやクローゼットを開けると女子の制服や下着が丁寧にあった。
いたずらに触れようとしてはいけない自制があった。
次はそのまた隣。最後だ。

No.273 18/03/04 09:07
作家 

そこは先ほどの隣の部屋と似た雰囲気だが男の子の匂いはした。
だけど生活感がさほどない点も似ていた。本棚には男の子向け漫画や雑誌がありバットやグローブ、サッカーボールなどスポーツ用品が置かれていた。
普通の男の子がいたらしいという感じ。
タンスを開けるとブリーフやシャツに混ざり女性モノの下着、やや大人びた感じの柔らかい感じ。妙な違和感があった。
そこへクルマの音がし流菜が戻ってきたのがわかりわかったことが少ないながら足早に階段を下りてつまずきそうになりプレハブに戻った。
「やばっ、持ってきちゃった……」
気づくと男の子らしい部屋にあったパンティを手にしていた。慌て自分のバッグに隠した時に扉が開いた。
「おとなしくしてた?」
「……はい」
「そのわりには毎日お盛んなこと」
私の内にいる“女王様”を彼女は知らない。動悸が激しくなり冷や汗が背筋を伝うようだ。
「シャワーやお風呂いる?」
「はい……」
「なら準備するからプレハブのなかをえっちな空気で満たさないで」
「はい……」
呼びにくるわ、と踵を返す気配があり肩を落とした。監禁にはいたらないが非人間的な生活をさせられているが、下手に逆らうと何をされるかわからない。
わかったのはこの家には流菜以外の人はいないのだろうかという疑念。だけど結婚しているはず……。
ふとバッグに隠したパンティを手にしフェチな私は鼻にあてた。匂いがないと思ったのはわずか。嫌な感じはしなかったが若い男と女性らしい匂いのふたつがする気がした。あとややカビくさい。
いったい何かしら?
つい女言葉が浮かび消え再びバッグに戻した。
「準備できたわ」
「ありがとう……」
フン、と鼻を鳴らす彼女の後をついていきお風呂場で身体を洗う。性行為の有無に関係なく彼女は必ず夕方に帰宅し聞く。
お風呂場に入り身体を洗うがお風呂場も家族がいるはずなのに使用感が少ない。ほぼ私と彼女しか使用してないよう。
あたたかいお風呂から上がりまた下着姿だが下着は新しいものに替えられ洗濯機の稼働音が伝わる。
「沙耶香さん」
彼女の声は私には低く伝わる。複雑な感情があるようだ。おそるおそる私は振り返る。
「なに」
「来週には撮影よ。できたらセックスは一度控えてもらうわ」
冷たい眼差しのなか端的に伝え感情を抑えているらしい。

No.274 18/03/04 14:18
作家 

お風呂と夕食を済ませプレハブにはテレビやパソコンがあるのでひとりでいる娯楽には飽きない。強いていえば外にいけないのが難だった。
人妻たちには流菜を介し私を連れ出したいというが彼女は頑なに断る姿勢らしい。
“逃げれるのに逃げないんだから。馬鹿”
“沙耶香”の声は刺がある。“女王様”ほどではないが時折責める。まるでいつか間違いを犯すのではと思われるニュアンスだかわかるわけない。
「ここと家のなかはとりあえず見れたんだから」
流菜のまわりに旦那さんらしい人はいるらしい。あと子どもさんがふたりだろうか……。姉弟か兄妹……。
広くないプレハブに男女の下着があったことからそれは間違いないらしい。
プレハブから家を見上げた。二階の部屋に明かりは見えるがまわりの住宅と違いあまり声がしないことに気づく。そこへ裏口が開いてアルコールを口にしてた流菜が恥じらいなくネグリジェらしい姿が見えた。
「のぞき見?いい度胸してるわね」
「ちがいます……」
「麗奈はあなたの何がいいの?ナニかしら」
「……嫌味なら聞くくらいの気持ちはあるわ。入りません?」
嫌味を言われる筋合いはないがアルコールを飲まれたのはご家族が気の毒に思い誘った。
扉が閉まったと思うと開き彼女は勝手知ったるとばかりプレハブに入りビール缶とつまみを口にした。
「匂いは取れないわね。ふけつ」
「……桜子さんたちが求めるからです。身体がもたないわ」
「なら断りなさい。あなたの言うことなら彼女たちは聞くわ」
パワーバランスは内と外では変わってしまった。“女王様”が彼女たちを気にいっている限りは断るのは難しい。
ひどく恐ろしさを秘めた瞳で流菜は見つめる。
「私はあなたと寝るつもりはないから」
あてつけのような言葉にむっとしたがわけがわからない。つい私は応えてしまう。
「……挿入(い)れなくても慰めることはできると思います」
「優しくしたら、麗奈のもとに戻れると思うの?甘いわ」
「……失礼します。ん…っ」
「……ちょっ」
何故かキスを求めた。アルコールの匂いや味がする唇は麗奈を思わせた。人妻たちと六、七回セックスしたのに再び勃起していた。
やめ……、やめて!
瞬間彼女は私をベッドまで押し退けるくらいに本気の力が込められた。
「はあはあ……」
「……すみません」
肩を打つ痛みがある。

No.275 18/03/04 15:04
作家 

痛い……。
ベッドの堅いところに肩を打ったらしい。気づくと流菜は睨む瞳の中に心配する色があった。
「大丈夫?あんなことするから」
「っ……」
「待ってなさい」
ネグリジェ姿にも関わらず家から救急箱を持ってきて消毒をし湿布を貼り様子を見て病院に連れていくわと言ったのは驚きだった。
「そんな悪いです」
「誤解しないで。モデルに怪我されたのでは私の立場がないのよ」
あえて私は言った。
「警察に突き出されても文句は言いません」
「何を言ってるの」
「さっきは私自身の意思であなたに唇を求めましたが、……私の中に私とはちがう“女王様の……私”がいます。そいつは危険なヤツかもしれません。」
意味がわからないという流菜に少々話を長くし桜子たちのことを含め一応は理解してもらったようだった。彼女の一声は驚きに満ちていた。
「あなた何者……?」
こういう問いがもっとも困るがあえて私は複雑に視線を這わせ答えた。
「変態でしょうね」
「そんなのわかってるけど……」
「私は自分を受け入れられない弱さがあるから悩むし葛藤するし麗奈……麗奈たちを困らせる悪い変態です」
「……これだから男もあの子たちも」
気になる言葉が耳に残った。
「あの子たち?」
「何でもないわ。あんたなんかと飲むんじゃなかった。身体に何かあったら夜中でも早朝でも私に電話なさい」
突き放すような口振りだが一応の心配はありながら去る彼女の瞳から水滴の輝きが闇に見えた。
「あ……救急箱」
救急箱を忘れてることに気づかないくらい感情の昂りがあったらしい。あの子たちとは誰だろう?流菜の子ども……。
毎日セックスを求められ体力と意識は消耗の一途で回復は食事のたびにしているが自己を保つ保証はどこにもなかった。
「麗奈……」
呟きがこぼれどうしているのか。逃げれるのに逃げないことはたしかに愚かだ。
肩に痛みを感じながら私はベッドの上で意識が失うのを感じた。
夢のなかで私は逃れられない淫夢を見ているようだった。
私は女の装いの女王様をし女装者や女性たちの前にいて黒い革のランジェリーの女王様だった。側にいるのは神無月社長とメイドたち。そこで私は見知らぬ女性たちと性行為を繰り返し風吹先生に行為をしてない時は診られていた。
日常と非日常にしてはあり得ない光景。女王様になるのを断ったからか。

No.276 18/03/04 15:30
作家 

さいわい肩は軽い打ち身程度で日常生活に差し障りはなかった。
だがそれでも流菜はちがった一面を見せ始めた。肩をあまり使わずすむ食事を用意し時にはプレハブで時を過ごした。
人妻は母親でもある。母親らしい一面を無意識に感じておりこれならいい関係を作れたらいいと思ったが甘い考えと週が明けた途端にわかった。
「着替えて。肩はなんともないわね」
気遣いを見せながらもしばらく下着姿でほぼ過ごしていたためブラウスやスカートを身に付ける行為に安堵より複雑な気持ちがあった。
「メイクさせて」
「清楚なわりに桜子たちをひいひい言わすセックスするなんて信じられないわ」
「ちょっ……」
リップがずれ慌て拭い塗り直し髪は彼女がといてくれ整えた。子どもの世話で慣れている感じがあった。
だけどおかしい。生活感がない、部屋に。
いくわよ、と久しぶりに空の下に出され夏になった陽射しが眩しく肌にいたい。車では助手席に座らされ以前の撮影の概要を聞かされた。
撮影はSM写真家小木澄真のスタジオいやSM専門のラブホテルという。
「マゾではないのに」
「アナルに経験ないの?」
「……ないわけではないわ。使わないだけ」
減らず口な私に流菜は興味なさそうに前を見つめた。双星出版社の前を過ぎたことに気づき思わず振り返った。
「麗奈が名残り惜しい?」
「……」
「答えないのね。可哀想だわあの子が」
新星出版社の駐車場に止めロビーからスタッフが集まっている会議室にはスタッフがいた。誰もが私に視線を集中させた。
「よろしくお願いします」
よろしく、と短くみな挨拶した。流菜は一度退出し私はスタッフから席に招かれお茶を出された。
「身体もちますか。こういうのもなんですがウチの会社、撮影ハードですから……」
「気を使ってくれてありがとう。だけど気を使わないで……」
お茶を出してくれたのは若い女性。麗奈や早紀、愛那たち双星出版社の女性たちと似てるようでちがう。
その頃流菜は神無月舞の双子の妹の恋社長をたずねていた。
「準備できました」
「そう。契約が切れるまで使い倒すつもり?」
「はい……」
恋の瞳に双星出版社いや姉の舞しか映ってないようだ。
流菜は思う。
姉妹ケンカに巻き込まないでと思うが利用するされるはこの会社ではお互い様なのだ。気持ちを非情にしないとならない。。

No.277 18/03/04 16:16
作家 

お茶を飲んで気持ちを落ち着けているとある男性が挨拶に来た。
小木澄真です、と。
「あ、挨拶が遅れました。水越沙耶香です」
振り返り相手を見ると私より背は低いがダンディかつ渋い中高年だ。かといって太ってなく痩せすぎではないが渋い髭がありSM写真家らしく優しい瞳のなかにサディストの気配はあった。
「気にしなくていい」
「……はい」
だけど、と彼は声をちいさくし聞いた。
「マゾではないのに撮影は大丈夫かね」
「……大丈夫と思いますが縛られる程度は覚悟してますが蝋燭や鞭は」
考慮するとだけ彼は約束するかのように答えてくれ安堵はあった。
しかしその安堵は打ち破られる。
「申し訳ありません澄真先生。出来の悪いモデルが粗相をしましたか」
「いや挨拶しただけだよ」
「そうですか。なにぶんウチの新人ですから」
流菜は私に恥をかかせたいようだが小木澄真の方が器が大きかったようだ。後で聞いたら流菜は何かと新人いびりをするらしかった。
ほどなく撮影場所のSM専門のホテルへ向かうがそこは都内だった。
「こんなところで……」
「せいぜい虐めてあげるわ」
「……」
何の意味があるのだろう。通されたSMルームは昼前にも関わらず黄土色や濃いオレンジ色の輝きがある大人ぽくアダルトがある部屋。
「沙耶香くん、試し撮影するがいいかい?」
私は澄真に頷く。責める側なのに責められる対象として撮影されるのだ。
はじめは沙耶香のスタイルのままだが胸元のボタン、スカートの裾などを開かせられる。双星出版社は女性スタッフで固められていたが新星出版社は男性がいることに身体の内側は震えていた。
もしかしたら犯される襲われるよりも怖いのは蔑視を含めた好奇の瞳。マスコミの瞳と同じかもしれない。
ほどなく澄真は言う。
「表情はかたいけど気にしないでくれ」
「はい……」
「何を言ってるんです。いつもみたいに被虐的に撮ってください」
「冴木さんは厳しいね。だけど撮るのはボクだ」
わざと茶目っ気あるように答え場は和む。だが女性の視線は構わないが同性である男性の視線は私を頑なによりかたくさせる。
衣装に目をやる。
澄真が得意とする純白のランジェリー、黒い下着やボンデージ。清楚なブラウスにスカート、チャイナドレス、チュチュなど。
縛られるんだ……。犯されはしないが汚される。

No.278 18/03/04 18:42
作家 

撮影が始まり小木は照明やカメラをスタッフと共に話しながら私にも話しかけ表情や衣服の状態を要求や調整する。
凄い……。
撮られているうちに彼が撮ったかつてのAV女優やモデルたちの気持ちに同化していくのがなんとなくわかる。
彼が撮る被写体の特徴は主にモデル女性がひとりで憂いを秘めた表情や少し寂しさがある大人の女性。その女性たちが黒のボンデージ衣装やランジェリーを身につけ縄で拘束される。
「沙耶香さんはなりたかった職業ある?」
澄真は普通に女性に話しかけるように私に聞き答えた。
「女教師かな」
「清楚な感じが出てるよ」
お世辞は本来好まないがリラックスし自然と笑みが出ながらも「うつ向いて」など指示されるが暗い照明がアダルトな官能を満たす。
しかし澄真はSM写真家なのだ。アシスタントが縄を用意し澄真自らが私の後ろ手を縛り肩が震えた。
「怖いかい?」
「はい……」
「いつもは女性を責めてるの」
「ええ……」
後ろ手に縛られるだけとはいえ固い縄の感触が肌に触れる。
え……?勃ってる。
声には出さないがショーツの内側から堅く勃起していた。疑似的にマゾぽい経験は麗奈たちとプレイをしていたせいかあるいは……考えるのはよそう。
念を押す澄真。
「だんだんハードな縛りになったり責めるぽい場面をするけど蝋燭や鞭は控えるようにしたい」
「は、ハイ……」
「でも勃起はしてるから身体は素直かもな」
「……」
複雑だった。
後ろ手に縛られベッドで寝かされるなかシャッターが切られる。SMビデオにある拘束された女教師のよう。無表情な顔も数枚撮られた。
しかし撮影はほんとにハードになってきた。胸はパッドのまま胸の前で縄に縛られブラジャーの形が歪むほどきつく縄にしめられる。
「くっ……」
「大丈夫かい?」
「ハイ……」
撮影の合間に勃起は一時的に萎えるが縛られるたびに勃起しカウパー液が用意されたスリーインワンのショーツを湿らす。ふと気づく。
見てる……。
流菜はいままでとちがいただじっと見つめている。ふしぎとその姿勢は忘れていた麗奈を重ねるようだ。口出しをしないのはプロの写真家に意見を挟むのはよしとしないからか。
だが撮影はさらにハードになり股間や足首まで縄が迫り正直顔が青ざめた。
「股間責めはSMの基本だから耐えてくれ」
やるしかない。

No.279 18/03/04 20:17
作家 

股縄責めと左右の足にこぶがついた縄が張られていた。
「いや……」
哀願するように声がこぼれまるで女装の女教師が責められているが誰も耳を貸さないようだ。そこへ流菜がスマホを耳にあて何事か囁き一旦姿を消した。
「ゆっくり進むんだ……」
小木澄真の瞳から私いや“女王様”と同じサディストの輝きがあった。同じだ、このひとも。
ちがうのは男のままのサディストか異性装のちがいで本質は限りなく似て重なる。
縄のこぶが丸やVの字に縛られたショーツの内のぺニスいや肉棒と睾丸に進むたび痛く軽く刺激し男性器を縛る縄がショーツに擦れる。
「ああ……」
不覚にも感じていた。男性としての本質は拒絶してるが“沙耶香”は感じていた。“女性”として……。
扉が音もなく開かれマゾの快感に葛藤と快感がある私は思わず足を止めた。流菜の後に現れたのは麗奈の懐かしい姿があったからだ。
麗奈。
れ、い、な。
声もなく彼女の名を呼んだが伝わるわけはないが彼女は私の淫靡かつ縛られ拘束した姿にちいさく大きく驚きがあった。
沙耶香。
さ、や、か。
彼女もまた私と同じように声に出さない声で私を呼んだようだ。
「…あ、ああ……」
「いいよ。その表情」
澄真の声は私が感じていると思い違いしたのかギラギラとした瞳をしながら室内に伝わる。
「はあ…はあ…はあ…」
数メートルの縄を歩き終えた時にはショーツの前面はじっとりカウパー液で湿り濡れていた。クロッチの内の睾丸はまさにタマ×ンコと化していたが射精にはいたらない。
麗奈から私は顔を背けながら着替えやメイクし直されランジェリーや衣装を着替えさせられまた縄に拘束された。
我慢しよう耐えよう。いつかは終わる……。
契約さえ済めばこんな淫らな悪夢は終わるはずと開き直り思った。逃げれるのに逃げなかった落ち度だ。
澄真は一部屋ごとに撮影をしまたシチュエーションはことごとく変えていく。深窓のお嬢様、女教師、女学生、ロリータファッションなど変えていく。縄で縛られない時はいいが股縄や亀甲縛り、ベッドに四肢を拘束されたりハードなことに変わりない。
さいわい男性の相手、鞭や蝋燭がないのは救いだが目の前の麗奈の存在だけは葛藤と快感のなかでさらに複雑な感情を呼ぶには充分すぎた。
午前の撮影が終わり昼食時でさえ私たちは目線を交わすことなく互いに無言だった。

No.280 18/03/05 06:13
作家 

それでも男というのは愚かだろう。なんとかして彼女に話しかけなくてはと思うのだができない。
ふと気づく。
麗奈の表情や耳、耳の裏まで紅に染めたように赤い。顔は俯き目を合わせようとしない。しかも流菜がいるのでなかなか話しかけられない。
この場から逃げ連れ出したいがあいにく私は衣服がない下着姿。下着姿の女装と顔を真っ赤にしてる麗奈がもしSMホテルから出てくれば何事かと通行人は思うだろう。
「あらあら、かつてのルームメイトの顔さえ見れないのね」
「……っ」
気丈な麗奈はちいさく身体を震わせ視線がさだまらない。もうひとつ気づいたのは手が膝の上で握られ汗らしい玉が浮き出ている。緊張しているのとちがうがわからない。
「水越さん。ちゃんと食べてください」
流菜の同僚らしい若い子は麗奈を気にしてることに気づき箸や口が止まっていることに気づく。それなりにいいお弁当らしいが味がわかるわけない。澄真はアシスタントと打ち合わせしながら真剣さはうかがえた。
麗奈、ごめんなさい。
心の中で呟くだけで声にならない謝罪があった。新星出版社の中に入れば何かわかるかと思ったがむしろ流菜の術中に嵌まったらしい。
「ごちそうさま」
「どちらへ?」
「トイレ……」
ルーム内にトイレはあるが出来たら公共のトイレを使うようにしたい。ルーム内とはちがいエレベーター付近のトイレは比較的綺麗なトイレだったが下着姿でいつ誰に見られるともわからないが女性用トイレに入り素早く扉を閉め用を足した。
“麗奈さんを苦しめて馬鹿”
「っ……」
“沙耶香”は心の内で私を責めた。逃げられるものなら逃げたいが何もわかってない。特に流菜は早紀や愛那とはまるでちがう形で私いや私たちの関係を壊す存在。
馬鹿なのだ。
用を足しショーツをあげスリーインワンのランジェリーが気持ちいいはずだが澄真いいや流菜の手の内で拘束されていた。それは私だけではなく麗奈もだったことを知る。手洗い場で手を乾燥機で乾かした時だった。
さ、沙紗耶香……。
「れ、麗奈」
声をする方向を見ると彼女がいた。
互いに言葉が出なかった。そこ流菜がいた。
「久しぶりの対面なのにぎこちないわね」
ふたりして彼女を睨むが彼女は麗奈のスカートの裾に手をやりそこには陰部にローターが淫らに動きバイブが女陰をくわえ込み責められる姿があった。

No.281 18/03/05 11:34
作家 

“沙耶香”の言う通りに事は成っていた。
真っ赤に顔や耳にした麗奈はちいさな喘ぎや苦悶をしながら私から視線を避けているなか流菜は残酷に促す。
「久しぶりのルームメイトとの対面よ。ちゃんと挨拶しなさい」
声にならない喘ぎや悶える声が口から漏れるなか麗奈はようやく声を出した。
「久しぶり……沙耶香。ご機嫌は、いかがです……?わ、私は冴木……いえ、お…お姉様に口も耳も……お、おま×こも……調教されレズに……うう。い、いや……こんなこと言えない……」
瞬間彼女はローターやバイブのスイッチを(強)にされ苦悶し膝を曲げしゃがんだ。
「麗奈……!」
思わず私は駆け寄ろうとしたがその肩に触れるかどうか迷いが生じた。私の中の“女王様”がもしも表に出てきたら彼女をサディスティックに責めるかもしれない。
こわい……。
“あなたがやらないなら私がやるわ”
“沙耶香”は私の身体を強引に操り彼女の肩を抱いた。
「さ、沙耶香……」
「もう大丈夫。私が守るわ」
安堵する彼女の前で流菜はさらに残酷に言い放つ。
「さんざん私や人妻たちとセックスしといてよく言うわ。なに?愛かしら。性を超越した関係かしら」
意外な言葉に私には聞こえた。家庭があるならそこには愛や信頼関係がないと成り立たないはずなのに。生活感のない家……。
“沙耶香”が答えた。
「あなたは私とはあの一回しかセックスしてないわ」
「え……」
ほんとなの、と顔を上げた麗奈に“沙耶香”は頷いた。麗奈はローターやバイブを強引に下半身から自ら手で取り流菜にぶつけた。
“沙耶香”は“私”に伝えた。
“あとはまかせたわ。彼女だけでも守りなさい”
勝手なことばかり。
「こんなことして……」
「麗奈……ごめんなさい」
「ううん、私も黙って行かせなければ……」
互いの謝罪を流菜は許せない場面ばかりと怒りを露にした。
「契約書がある限りそこにいる変態男は私や新星出版のモノよ」
その通りだ。契約書がある限り私は逃げられない。
「変態変態てレズも変態でしょう。お姉様……」
流菜に対して麗奈は以前の経験からか受け入れるくらいの余裕はできたようだ。女性は強い。
「レズ以外は変態よ」
おかしい。ならなぜ新星出版にいるのか。
「ならあなたはなぜ新星出版にいるのですか」
私の問いに麗奈は口を噛むように閉じた。

No.282 18/03/05 13:21
作家 

私はゆっくり口を開き流菜に聞きながら麗奈を守るように抱いた。
「結婚していますよね」
「そうよ……」
だとしたらおかしいのだ。たしかに夜に彼女の家は二階や他の部屋に明かりは点くが会話が不自然なくらいに聞こえないことがあった。
確かめる必要があった。
「ご主人と子どもさんがふたりいますよね」
「ええ……」
麗奈は顔を上げ驚く顔をしながらまじまじと見つめていた。
確信にいたってない推理をし相手に伝えるのは無謀か勇気か……。ひとの秘密を暴いていい気持ちは正直自分が暴かれた側を考えると躊躇いがある。呼吸し言葉を選んだ。
「そのわりにはお風呂場や洗面台、キッチンなど使うことが少ないようですが……」
「なによ、その言い方」
「失礼ですがあれだけの家に家族四人程度ならもう少し生活感があると思います。なのに……」
確信にいたらない言葉や表現は失礼なのだがいまここで口に出さないと流菜に負けて膝を折る。深く呼吸しバッグからあの下着を出した。
瞬間彼女の顔が青ざめた。
ここからが完全な推理なのだ。せめて状況証拠だけでも駒をを揃えたかったと後悔もあるがやむを得ない。同時に他人の秘密を暴くのは最低なことと恥じる。
「なのにあの家には流菜さん、あなたひとりしか住んでいないのではないですか……?」
確認するように私はスリーインワンのランジェリーで女子トイレという場で伝えた。
瞬間顔をくしゃくしゃにし平手打ちが頬に飛んだ。
「っ……」
「ひとの家を見たのね」
「なら見られないように澄真先生みたいに縛るなり拘束するべき。いいえ……あなたはわざと私に見せたんじゃないの」
図星だったのか彼女は顔を背けた。
「お、お姉さま……?」
彼女は涙をほろほろと流しそこには私や麗奈を虐めた女性の姿はなかった。そこへ流菜の同僚の若い子がやって来た。
「撮影の準備ができましたが……、どうしました」
「少し時間をくれない?私はいえ私たちは流菜さんとお話ししたいから」
「撮影が長引きます」
「……澄真先生には私を好きなようにしていいからと伝えて」
男性のサディズムに身をまかせるのはさらに危険だが取り引きとしては悪くないと思う。
わかりました、と若い子は引き返していった。
どういうこと?と麗奈は私を見つめていた。
とりあえず場所を別室に移した。流菜は私を睨む。

No.283 18/03/05 15:39
作家 

SMホテルは貸し切りらしく新星出版とホテルの人しかいないらしく誰も私たちを怪しむ様子はなく別室の場所を澄真の部屋に伝え撮影に戻るとあらためて伝えた。
相変わらず流菜は私を睨む。スリーインワンとはいえ下着姿の私に気を遣うように麗奈はバスローブを羽織らせた。
「ありがとう……」
「ううん、こっちこそ」
ほんの少し関係に修復があったように思うが私はすでに引き返せないところに踏み込んでいたかもしれない。
“私”や“沙耶香”ではなく“女王様”が。
日常に彼女は現れないから油断していたかもしれない。
お茶を淹れ私は流菜を見つめた。
「冴木さん結婚はなさってますよね」
「してるわよ」
ふて腐れた顔に慎重に言葉を選ぶ。
「そのわりに二階の旦那様らしいお部屋には何もなかったです。あとお子さんのお部屋姉妹でしょうか?兄妹?あと私が使わせてもらっているプレハブはお子さんたちが学生くらいまでの歳まで使ってたのでは。間違えてたらすみません」
「謝ることなんて」
口を挟む麗奈に私は制した。彼女はふんと嘲笑う。
「それが何?なんの証拠かしら」
気が立ちやすい女性らしいが桜子たちに比べたら従順にならないのはなんとなくわかっていた。だから妥協すべくところはあえて妥協する。
「証拠ではなく推理だから気にしないでください」
「ん……」
「だけどひとつだけ。結婚されてるかあるいは別居か離婚されてる可能性は伝えます」
「え……」
私の言葉に麗奈の方が唖然としていた。バッグから部屋で拾ったパンティを出した。刺繍やレースがあり女性ぽいが匂いが男女混じりが持ち主がわかりにくい。
「それは……」
「家の中で拾いました。誰のです?旦那さんかお子さんか」
「……答える義務はないわ」
頑固な女性。それでいて他人に厳しく厄介。私は話題を変えた。
「桜子さんたちとセックスさせたのは私みたいに女装者をだしに彼女たちより上に立つため」
「そうよ……」
意外なくらいこれについてはあっさり認めた。
「私に桜子さんたちとセックスさせて麗奈にも見せた……?」
この質問は自分でも怖い。麗奈からなにもかも失う可能性はあるから。
「ええ……、今日徹底的にあんたも麗奈も絶望させたかった。なのに」
複雑な表情が感じた。麗奈には愛情を私には憎しみを。
まだ真相ではない。

No.284 18/03/05 18:01
作家 

スタッフが呼びに来て再び撮影開始という。
「このまま撮影続けるの?」
「契約書を確かめ取り返さないと」
私の言うことに麗奈は納得しない表情は当然だった。ライバル出版社のモデルになってるわけだしましてや流菜の家にいる。
生命に危険がない限りはとことん何かに近づきたがる性格。いやこれも性癖だろうか。
流菜を先頭にし私たちは従わせる形にした。
「なんの真似」
「私たちがあなたを裏切ったとまわりに知られたらあなたも都合悪いでしょう。だけど麗奈は撮影の後に解放してあげて」
「誰が……!っ……なにすんのよ」
沙耶香はしゃがみそのまま人差し指を重ね指浣腸をした。
麗奈は思う。相変わらず子どもみたいでおそろしい……。
「してください」
「……わかったわ。なんで麗奈はあなたみたいな変態と」
「……私にもわかりません。互いに恋愛感情からの関係で始まったわけではありませんから」
正直な気持ちらしかった。ボタンのかけ違いはまだ続いている。
澄真は撮影が始まる前に私に衣装チェンジをお願いした。差し出されたのはボンデージ衣装各種。エナメルや皮のスリーインワンやボディスーツ、ブーツなど。あとはバレエのチュチュなど。
「澄真先生には従うのね」
「はあ、沙耶香はただの変態じゃないもの」
ほんと麗奈はさらりと本音を言う。先ほどまでバイブやローターで辱しめをされてたとは思えない。とりあえずボディスーツとブーツである。
後は再び衣装に合わせたメイク。だけどこちらも上品や清楚さがある化粧。
「沙耶香さんそれは」
澄真に手に持ってたローターやバイブを気づかれた。というか気づかれない方がおかしい。
「あ、これは別な部屋で見つけました」
「そうかい?だけど使ったような後があるような」
「昨夜のお客さんのじゃないかしら」
後ろで麗奈の顔が羞恥で真っ赤になり姿見に映る姿から睨み返していた。こわい。
澄真は好奇心を露にし私に要求してきた。
「これ使っていいかい」
「……お手柔らかに願います」
「ローターやバイブ使うぞ」
女装はいいんだけど責められる側になるのは素直に抵抗感ある。しかも今度は同性さらにカメラマン。
変態と自覚してるけど女装生活はいろいろ難がありすぎ。こういう壁に度々ぶつかるから女装は悩む。
撮影が始まり再び縄に身体を拘束された。

No.285 18/03/05 20:16
作家 

ローターやバイブの音が(弱)(中)(強)と切り替わりそれぞれ異なる音が耳に伝わる。
素直に言えばこわい。
擬似的にマゾの快感に耐えるのは責められる側の気持ちを知る前提があるからできるがいくら雑誌掲載のためとはいえ相手は本物のSM写真家。こわい怖すぎる。
「っ……んん」
「平気かい」
声に出すと流菜に弱味を握られると考え頷く程度にした。ここまできたら開き直る気持ちが出てきた。麗奈に見られる恥ずかしさはあるが。
まずはローターの振動がボンデージボディスーツの上から振動し陰部や胸を刺激する。
「あ……ン」
澄真はカメラをアシスタントにまかせ自らは責めにまわり同性に責められる抵抗感は依然とあった。ダンディではあり経験ありそうなだけに秘めたる魅力はあるんだろうな。
シャッターが切られる音がするなか表情がどう撮られてるかわからないが特に指定はいまはない。
「ン……ちょっと」
ボディスーツの股間の膨らみにローターをあてられさすがに声が出た。感じてしまった。
しかし澄真は髭を撫で言う。
「そうそれ。縛られ拘束されてる時は感じていい」
「え」
「キミは私と同じサディズムだろう。なら相手の気持ちを知らないといけない。声や表情は自然に出るものだから堅くなることはない」
「はい……」
開き直るつもりはなかったが肩の力はいくぶん抜けた。最悪蝋燭や鞭もあるだろう。
撮影は比較的自然な流れなように思われた。
しかし澄真はある要求をした。
「イク画(え)が欲しいな」
「それは……」
先ほどの麗奈のように顔や耳が赤くなり恍惚に近い表情になりながら抵抗をした。
「いくら澄真先生を尊敬してても男にイカされるのは……嫌です」
嫌われるのを承知で口にした。私もまた頑固だった。澄真はじっと睨んだかと思うと笑みした。
「同性愛者でないのはお互いさま。私が本来女性しかSMしかしないし写真やビデオを撮るのも女性たちさ」
はっきりと本音を言いながらも弱ったなと呟く。
「イク画(え)は欲しいな。本気で感じてる表情取れないと新星さんには悪いしな」
「……お仕事ですものね」
ちらっと私は流菜と麗奈の方を見つめた。
「彼女たちに道具を使わせて私をイカせてください」
「彼女たちか」
流菜と麗奈を起用する方に持っていくが麗奈は手だけしか撮影されないようにお願いした。

No.286 18/03/06 06:40
作家 

訝しむように流菜は麗奈に聞きながらバイブを手に持つ。
「なんなのこの人」
「変態よ」
「その変態をスカウトしこんな世界に誘ったのは誰?」
私の言い方に麗奈は顔を赤くしながらローターを(弱)に作動させ胸元に触れていく。振動が気持ちいい。
「や……ン」
「や……ンだって。せっかく才能を発掘してセックスもしたのにお姉さま、いえライバル出版社にいくなんて」
「それは……」
「言わなくていいわ」
ローターが軽く揺れながら麗奈には呆れた表情が見て取れた。男が身勝手なことは彼女はある程度は理解ある。
流菜はバイブを(強)にいきなり作動させその動くさまに私は身体を震わせた。
「オトコなんてくだらない生き物よ」
「そうかもしれません。だけどこの世には男女ふたつと女装やニューハーフなどもっと複雑なの。沙耶香もそのひとり……」
「意味がわからないわ」
「目隠ししてもらおうか」
澄真の意向で私は目隠しされさらに恐怖があったが淫部は熱く堅い。それにローターらしいものが触れ感じた。
「っ……れ、麗奈」
「どういうつもりかまだわからないけどひとりにさせたことの仕返しはさせてね」
「っ……ンン」
「感じてるじゃない」
いいよ、と澄真の渋い声とシャッターの音、フラッシュの目映い感触がボンデージボディスーツの私を映す。
ハアハア、と女性に責められるのは悪いことではなく“沙耶香”が内から伝えた。
“へんたい”
女性の意識は意地悪だ。だけど一方ではこんなことを望むが以前ほど矛盾は感じない。
責められるマゾの側を擬似体験したいあるいは女性になりたい願望がこんな時には目覚めているだけ。理由はどうあれサディストの裏側にマゾヒストの一面がある。
だが“女王様”は一向に現れない。
「手で触れていいですか」
「ダメよ」
いいよ、と流菜の声を遮り澄真は麗奈に許した。彼女の柔らかい手が久しぶりに触れた。
「……ほんとどうしようもない」
「……ああ、やめ…」
「やめてほしい?そんなわけないわね」
「っ……」
目隠しをされており感じるのは肌や皮膚を通す感覚と呼吸、渇く喉だけ四肢は縛られ動けない。
「こんなのはただの汚いオチ×ポよ」
(強)のバイブがボディスーツの秘部に触れ本気で悶えた。
「ああ〜!?だめ…だめ…イク……から」
悶えながら感じていた。

No.287 18/03/07 05:48
作家 

いったいどういうことだろう?
麗奈は沙耶香を責めながら先ほどの会話を思い出していた。
ご主人やお子さんがいるのは確からしいが沙耶香が手にしていた下着。
「っ……はあはあ」
「こんなのが何がいいわけ」
沙耶香が悶えるな流菜の声に現実に戻された。現実といってもSM専門の室内のためにふしぎと現実感がないようだ。
考え麗奈は言う。
「お姉さまだって男を知ったのではないの」
「それは……、家や両親へ体裁を保つため」
「っ……ああ!?」
流菜は沙耶香に極太のバイブを(強)でボディスーツの秘部からぺニスの膨らみからカウパー液が滲み出る。
「ああ……ハアハア」
沙耶香から吐息が溢れるなか流菜は妙な関係の麗奈と沙耶香に問う。
「あなたたちはどういう関係よ?恋人なの?ルームメイトなの?」
「……たぶんどの関係も当てはまらないと思うけど私は……この人が好き…好きと思う」
麗奈は手にしたローターを私の身体に預けそっとスカートの裾に手をやる。裾から魅力的な白い肌から太腿が露になりそこは下着をつけてない淫唇が見えた。
「れ、麗奈……」
驚く流菜の前で彼女は膝を曲げたまま淫唇を露に指で触れた。
くちゅくちゅ、と指が淫唇の内の愛液の音がし再びローターを手にし沙耶香に触れる。
「私たちは恋愛から関係を持たなかった……。だから恋愛や愛情……とはちがうところで結びついてる……」
「なによ。それ」
「お姉さま見て。さ、沙耶香のココは感じてる……。彼はSだけどMでもある。なぜかわかる」
わからないわ、変態と沙耶香を罵る。
麗奈は思う。
流菜は性の世界をたいしてレズ時代のまま変わらないのかもしれない。
「沙耶香は女性を愛してる。だけど性転換するほどの気持ちにはいたらないしあくまで身体は男性、だけど女性という姿を装い愛し愛されるなかサディストとマゾヒストの両方を演じれる。どうしてかわかります?責められる女性の気持ちを理解してるから。たぶん」
「そんなの……」
麗奈はボディスーツの内で苦しそうにしてる肉棒を出すと先端からカウパー液が淫らに発している。揺れるぺニス。
「イキそう……?」
ハアハアと呼吸してる沙耶香に聞いた。
「うん……」
女装の変態のくせに甘えた声を出してと流菜はバイブを肉棒に当て悶えさせた。
「っ……ああっ!!」

No.288 18/03/07 09:11
作家 

イクッ!どぴゅどぴゅとボンデージのボディスーツとベッド、麗奈や流菜の顔や頬を滴らせるように牡の精液が飛沫のように飛ぶ。
ハアハアハアハアと沙耶香の息遣いが荒い。
「見なさい、オトコなのよ」
「……そう、男。だけど私は……レズに戻りたいか、わからない。いまのお姉さまから愛が感じられません」
複雑な麗奈の声音にはかつて愛した同性といま愛してる女の装いの異性への感情がこの場にいる誰もに伝わる。
んっ、と麗奈は射精し敏感な沙耶香の男性器に触れる。そこに躊躇いはない。あるのは実らない互いの関係なのだ。彼女は牡の精液を亀頭から指に絡めけっして快感だけでなく不快な牡の匂いでもあり舌につけると甘く苦くもあり精子というひとつの子種でもある。
「私はこのひととひとつになりたい。身も心も……だけど沙耶香はそれを望んでるのにあえて望まない。男だから経済力がまだないとか、理由をつけて。いままた新星出版やお姉さまのもとに逃げてもいる」
「ダメ男じゃない」
それは沙耶香が射精し果てた身体や心にも伝わる刺のある流菜の女性として厳しい一言だった。
しかし麗奈は指についた精液を自らの太腿の間にある淫唇の愛液と絡める。ちいさく子種のもと同士が指で絡める。
もし胎内で受精されたらふたりの子となる存在だが空気中ではそれは成されない。ただの男女の淫らな液体でしかない。
麗奈は吐息する。
「私がもし恋愛から沙耶香と出逢っていたらちがう関係だった。偽りの彼氏でも性の慰めでも女装させて性の代用にしたかもしれない」
「っ……あ、はあ…はあ…」
呼吸し目隠ししてる私にも彼女の声は伝わる。いつになく女性としての声に感じた。
「それならまだ男女の付き合いのなかふつうの女性のしあわせんつかず離れずケンカや別れたりしながらでも互いにいれたかもしれない」
「れ、麗奈……?っ……」
彼女は精液と愛液が混ざる指を私の唇に触れさせた。子種かもしれない淫らな液をなぞる。
シャッター音が無慈悲に切られる。
彼女は言う。
「ボタンのかけちがいでもいまは構わない……」
「なによ。それ」
流菜は納得しない。
麗奈は思う。
離れたくない。
いつの間にかもと同性愛者の彼女は流菜やいままでの女装者とはちがう感情を持ちはじめていた。できることならこの場で性行為をしても構わない衝動が内に熱く深くあった。

No.289 18/03/07 14:52
作家 

だけどそんなことをすれば沙耶香と結ばれるかもしれないが失うものは大きいかもしれないと過る。
早紀や愛那、同僚たちがいる双星出版社は少なからず彼女には必要に思えた。なにより神無月社長にはおよばない。
彼女には渡したくないと思うが口には出せない怯えや怖さが少女のようにあるのも事実。
「っ……!」
「ん……んむむ!?はあ…はあ…れ、麗奈」
この一瞬の唇の重ねいや熱く深いキスを澄真は逃さすシャッターを切ったが一度写真におさめたと確信しただけで二度三度とスイッチを押すことはしなかったという。
「はあ……」
「な、何よ。見せつけて……」
麗奈は流菜に目をやる。
「沙耶香は……不本意だけどお姉さまに預けます。沙耶香があなたに興味あるみたいだから、ではなく私はいつかこの人が戻ってくると信じるから」
「レズならまだしも変態同士の愛かしら?それともお涙頂戴や浪花節かしらね」
もちろん麗奈は心から納得してないが沙耶香が流菜の何かを知ろうとしてるのにそれを自分がいればたぶん邪魔や足手まといになるかもしれない。さっきのように流菜にいいようにされるおそれがあるなら沙耶香の方が適任かもしれない。
できるなら自分が身代わりになりたいがそしたら最後再び自分は同性愛の甘く美しい世界に浸れる代わりに女性や流菜の言うような変態でも構わないがそんなしあわせさえ逃すだろう。
沙耶香さんがイッたから休憩を兼ねて衣装チェンジと部屋を替えようと澄真が指示した。
縄を解かれた沙耶香は陰部を澄真のアシスタントの女性に拭かれたりタオルを渡されながら麗奈と流菜を見つめた。
この場にいる誰にも伝わるくらいの昼ドラみたいなどろどろした愛憎がふたりから感じられた。
「私にこの変態、いや水越沙耶香を預けていいのかしら」
「ええ、私はこの人を信じてます。契約が切れるまで新星出版社と冴木さんにまかせます……」
彼女にすれば賭けだった。契約はたぶんに今年度内つまりは来年度になるまで新星出版社はとことん使い倒し切り捨ては業界内では有名だった。
最悪として流菜の魔惑に嵌まり沙耶香がいくか捨てられるかあるいは何か逆転の打開策。
戻れるのだろうか。
ふたりのぶつかりあってもおかしくない剣幕に私は女性の在り方を肌に感じたかもしれない。射精の余韻で肌が立っているのではない。
まさに女心が向き合っていた。

No.290 18/03/08 06:10
作家 

しかしこれが流菜の逆鱗に触れたようで彼女の感情は私に向けられた。
澄真先生、沙耶香さんに鞭でも蝋燭でも使ってください!
「!?」
あまりの発言に私や麗奈は二の句が告げなかった。流菜は私を睨む。
「あなたが私の言うことを聞かないなら麗奈に手を出さなくても二ノ宮早紀や美如月愛那にも手を出すわ」
「卑怯よ。契約書といい正々堂々と向き合いなさいよ」
つい女言葉で私は答えたことに誰もが場がどうなるか見守る。
しかし麗奈の先ほどの場面が過り他者に迷惑がかかることを恐れる性格はある。自分さえどうにかなれば袋小路に入らなければ逆転はできるはずだった。
わかったわ、と折れる私に麗奈は少しだけ申し訳なさそうに瞳を背けた。
「麗奈が自分を責めることじゃないわ」
「沙耶香……」
「ラブシーンはやめてもらいたいわ」
とことん彼女との相性は悪いらしかった。それに尋常ではないくらいの男嫌いか私そのものを嫌うのか。
再び衣装を着替え今度はコルセットタイプのスリーインワンに加え下着姿の上から澄真に首から腰が縛られさらにパーティードレスの上からも同じように縛られる。
「つらいけどスポンサーの意向だからな」
「ええ」
「だけどまるで女性同士でひとりの女性を奪い合ってるみたいだった」
先ほどの流菜との言い合いは第三者にはそのように見えたらしくお世辞には聞こえず礼を言う。
ありがとう、と。
しかし撮影はさらに淫らに被虐的になる。股縄を通されすりすりと固い縄の感触がぺニスや睾丸を刺激する。
「っ……ああ……」
じんわりと純白のランジェリーを緊張感と不快感、縄のふしぎで固い感触が睾丸を刺激しぺニスの先端は再びカウパー液が湿る。
「足を縛るよ」
「あ……」
足を再び縛られシャッターが絶え間なく切られる。
「いいよ、沙耶香さん」
「っ……」
「耐え屈辱的な顔。オトコには見えない……」
ほめられているのに素直な喜びはないが被虐的な快感に支配されそうで怯えた。
マゾではないが擬似的かつ潜在的な被虐的な快感を身体は密かに感じている。サドとの矛盾や葛藤があるから。
「先生、蝋燭や鞭は」
「黙っていたまえ。相手が女装モデルであっても私は私の撮影をしたい。文句を言うなら出ていってもらう」
渋い声がルーム内に伝わり澄真の信念が伝わる。男の中の男なのだ。

No.291 18/03/08 13:05
作家 

衣装は破らない程度にはだけさせながら澄真は鞭や蝋燭を用意し始めた。
鞭のしなる音や蝋燭の形状などに撮られ縛られる側なのに使いたいという欲求が芽生えていた。
“沙耶香。いえ○○”
“なに……”
“アイツが起きないか心配……”
“沙耶香”はあえて意識の内で本名で“私”を呼び“女王様”を“アイツ”を呼んだ。変態な“沙耶香”でさえ怖れているらしかった。
少しの間は衣装がはだけ淫らな姿で撮影が進んでいたが、澄真は確認するように聞いた。
「私やアシスタントはSMの経験はあるが、男性にやられるのは?」
「……やられるなら女性にやられた方がいいです」
「アシスタントに女性もいるが」
澄真が指し示したのは一見どこにでもいる女性のようだが瞳や頬、スタイルなどにサディストの気質があった。
構いません、と頷く。
すると今度は両手を柱に縛られお尻を突き出す形になった。
「加減はするけど肌に傷がついてもいいの?」
女王様役のアシスタントは綺羅と名乗った。何でもSMクラブでバイトをし澄真のアシスタントなどを兼業してるようだ。
はい、とだけ答えた。すると空気を裂くように鞭が背中や肩を打った。
「あ……!」
「あら、結構耐えるのね。次は背中よ」
ひゅんっ!と背後の空気を裂く音がしながら思わず私は柱に逃げるようにしたが背は打たれた。
「い、痛い……!」
「痛いうちはまだ快感じゃないのね」
「……っ」
これがマゾなら快感になるかもしれないが痛いのは痛いのだ。
しかし美しいランジェリーに包まれた身体はちがうようだ。勃起しているのだ。
「クリチ×ポが天井を向いてるわ」
アシスタントの綺羅は女王様スタイルで卑猥に私を責める。痛みはあるが下半身はまるで快感を知ってるかのように熱く堅い。
ヒュンヒュンと宙を裂きながら鞭に打たれていた。
痛い痛い!泣き出しくらい自分が惨めにさえ思うくらい理性が働いていた。ショーツはカウパー液で滲んではいた。
「沙耶香……」
目を背けたい麗奈だが沙耶香が流菜や新星出版社の核心に近づくためなのだ。理屈はわかるが理屈と感情はちがう。
自己犠牲を美しいと表現したくないがここまでする必要があるのか。
彼女は自分に問う。
「あなた興奮してる」
隣にいた流菜が彼女の紅潮した表情に気づいたようだ。麗奈は指を秘部に上から触れている。

No.292 18/03/08 15:20
作家 

麗奈はスカートの上から自分がショーツを湿らせていることに気づく。
スカートとストッキング、ショーツの上から秘唇が興奮し熱いのが伝わる。沙耶香が痛い思いをしてるのに……。
ああ……。
「愛する人が女王様に虐められる姿に興奮するなんて」
「っ……」
微かに指をスカートの上からショーツの内にある丘を時にそっと時にぐっと撫でたり押し快感が身体に宿る。
変態なんだ、あたしも。
そう胸の中で呟く自分を以前は嫌悪や葛藤があったはずだがいまはその矛盾はほぼ考えないものだった。沙耶香との生活や触れ合い、セックスなどで獲た結論かもしれない。
彼女は快感を共有したいと思いながら叶えてはならない大人の事情もある。沙耶香と一緒になるには流菜、新星出版社そして神無月社長という壁がある。
「あなたイカないの?」
綺羅女王様は沙耶香にムチを振るいながら聞いた。
「っ……だって」
すでに肩や背中には痛々しいくらい赤い傷があった。ムチを振るう方も振るわれる方も必死だ。
私は答えた。
「はあはあ、濡れてはいますけど……」
ショーツの内では勃起したしかにカウパー液がじっとりじんわり滲み出て臭気はあった。確かめるように綺羅女王様はのぞきこみながらそっと触れた時だった。
「っ……い、イクっ……!!」
ショーツの上から綺羅の指に触れられただけで精液がショーツの内から迸った。あまりに意外な射精に彼女は少し驚いた。
「あなた……」
「はあはあ……」
縄で縛られ足は自由だが腕は拘束され膝を曲げることはできない。屈してはいけない意地みたいな思いがあった。
綺羅女王様は思う。
この人が感じてるのは鞭ではない。潜在的なマゾに近い感覚はあるがあくまでそれは意識が疑似女性として求めてるだけに思えた。
マゾヒストとしての男性では本質にないらしい。指でイッたのはショーツと女性としての指のふたつ感触がイカせたようだ。これが本当のマゾなら鞭や彼女の女王様としての存在感などで射精し果てているはず。
証拠といえるかはわからないが沙耶香は彼女に屈してはいない。
しかし流菜は思い違いをしていた。
「イッたわね。あの変態」
ほくそ笑む彼女に麗奈は思う。この女性(ひと)は性の世界を理解してない。ああ、沙耶香といっしょににイキたかった……。紅潮した彼女はバーチャル(幻想)に沙耶香と一緒だった。

No.293 18/03/09 06:34
作家 

蝋燭の先端に火が点されちいさく赤く宿る。
綺羅女王様はスリーインワンのランジェリーと澄真により下着姿で縛られた沙耶香に溶ける蝋を冷たく無慈悲に向けた。蝋が溶けベッドの上の女装の沙耶香に落ちた。
「あう……!」
「ああ……。悶えなさい」
「熱い……痛い……」
「……興奮はしてるのに」
綺羅女王様はやはりと思う。勃起はしショーツはカウパー液でいやというほど濡れ湿っているのにイカないのだ。
無慈悲に蝋を垂らし鞭を振るう。蝋と鞭、熱と痛覚は襲っており沙耶香の瞳から涙らしい滴が見えわずかに化粧を落とす。
「っ……痛い、熱い!」
たぶんにイカない相手を責めるのは綺羅も必死なのだと感じる。沙耶香の声からは時折男らしい声が混ざるのは女性として感じる部分はあるが熱や痛みがなりきりさえ拒むようだ。
「ハアハア…ハアハア……」
「凄いひと……」
「綺羅くん。やれるかい……?」
澄真でさえ思う。
イカないモデルなのだ。見た目だけなら女装モデルとしては清楚さと淫靡さを合わせもち感じ悶える表情はできてはいた。本来なら撮影はスムーズに行われたが冴木流菜により長引いていた。
ハイ、と綺羅は答えるが責める方も責められる方の労力は計り知れない。気力体力共に数時間で消耗していく。
「っ……責めてください。身体がもつ…限り……」
沙耶香からは声が必死に漏れ勃起こそはしているが射精に至らないのは本人も理解している。
綺羅は再度股間に触れてみた。今度は騎乗位のように馬乗りになり蝋を垂らした。
「っ……ああ…」
女性として綺羅は自分が欲情しているのではと思う。上体をゆっくり揺らせ沙耶香の太腿や臀部の間にショーツに包まれた陰部がある。迂闊に触れてはイクのだ。
性器そのものは敏感、ひとによってはあっさりと快感に達する。沙耶香の場合は敏感なのだ。だけどマゾヒストの感覚はほとんどないと思われる。気持ちを女性に近づけることで耐えてはいるが男性としては拒絶している。
「いけない奴隷ね」
「っ……は……」
この時私は綺羅が大胆に自分に乗っていたことに目を丸くしていた。
なぜそんなことを。
だけど彼女はボンデージスタイルのまま片手で蝋を垂らし空いた手で胸を揉みそっと彼女は自らのショーツを触れた。
感じているのを確かめたいんだ、この女性。
ンッ、とわずかに女性らしい声がした

No.294 18/03/10 08:55
作家 

挿入(い)れてみたい。
撮影中にも関わらずサディストの綺羅女王様は騎乗位の姿勢になり沙耶香のショーツから出た男性器にひそかに熱く興奮していた。
だができるわけない。
目の前に沙耶香の彼女らしい若い女性そして流菜かいる。
なにかある……。
女性の勘はそう告げていた。人間関係を見抜くほどではないがSMもまた恋愛や肉体関係、時には契約関係でもある。そうなると自分と相手を俯瞰や客観視する目は養われる。
たとえば相手がどんな性格や性癖、普段の日常生活またそれからくるストレスなど地位や関係により様々。
ただかなしいのは目の前にいる沙耶香は真性なマゾではない。真性マゾヒストでもない相手を責め一方では自分が女性として相手に惹かれ感じているかもしれない。
「っ……ンン」
ショーツの内の男性器は綺羅の下半身ショーツに程よく触れ内にある肉唇が生地越しに触れていた。
責められているのに。まるで別な生き物。
火が点る蝋が落ち沙耶香は悶え叫ぶ。
「熱い……!ん…はあ」
「……きゃ」
あやうく騎乗位の姿勢から落ちそうになるが下半身で踏ん張るように乱暴にならない。それこそ彼女を押し退けたい気持ちがあるかもしれないが必死なのだ。
この人に触れたいのと女王様としてイカせたいふたつの思いが綺羅にあった。
「っ……ハアハア」
「キスするんだ」
カメラを構える澄真から意外な指示が飛んだ。彼も興奮はしてるが綺羅ほどではない。
蝋を垂らし沙耶香が悶えてる間は女装者でも隙はできる。
いまだった。
「っ……熱い……!?ん……」
「ン……は…む……ごく…れろ」
「っ……ンン」
「はあ……」
瞬間ショーツ同士の熱い下半身が触れカウパー液の若い牡汁と愛液の牝汁が触れていた。肌は蝋に触れながら熱く火傷をおぼえそうだがよけいに芯から熱くさせていた。
さらに瞬間があった。
「っ……い、イク……」
「…!?は…は…ぁン……」
ショーツ同士が触れながら内にある女王様の女陰を感じ少しの肉唇の膨らみに挟まれイッたのだ。挿入(い)れてもないのにイクのは恥もあるかもしれないがマゾヒストとしてではない。
互いの臀部の肌に熱い白濁液がどろどろと脈打ち迸る。
「っ……ハアハアハアハア……」
四肢が動かない沙耶香にはどうしようもない。蝋に感じてないのに女体に感じる牡でもある。

No.295 18/03/11 06:17
作家 

撮影は夕方まで進み休憩を挟み沙耶香はシャワールームで鞭の痛みや蝋を洗い流していた。
よほど流菜は沙耶香が憎いらしい。それは流菜の同僚たちから見てもやりすぎだった。彼女たちや事情をよく知らないアルバイトまで疑問を抱かせるほど。
バスローブを身に纏った沙耶香は流菜の前まできてあることをお願いした。
「麗奈は疲れています。帰してあげてください」
「断るわ」
「彼女がここにいつまでもいたら双星出版で肩身が狭くなります。あちらは私がいなくなったことで新たなモデルや企画をいくらでも投入します。双星出版には彼女は必要と思うのです」
「わかったわ」
敵に塩を送るわけではないから沙耶香の言い分は飲むことにした。流菜とて麗奈が複雑な思いを抱くくらいは想像できた。なにより沙耶香がこちらの手にあるから構わないのだ。
帰りなさい、と言う流菜に麗奈は一言言った。
「気をつけて。好きよ……」
背を見せ帰る彼女の姿にまだ私たちは結ばれる運命にないかもしれないとめずらしくセンチメンタルに思う。
「はあはあ……」
「身体壊すわよ。麗奈の前だからて無理して」
「……まだ撮影続けるんでしょう」
SMは責める側責められる側互いに消耗しましてや沙耶香は潜在的や内面にある女性の“沙耶香”はマゾを秘めているが真性マゾではない。
理性と性的本能が著しく葛藤しぶつかりあうことでよけい精神的に消耗をしている。
澄真は出来た画像や写真を何枚かチェックし様子をうかがい綺羅もまた複雑な瞳を向けていた。
澄真は綺羅に言う。
「キミは女性として沙耶香クンに感じてなかったか」
「……先生。はい」
「だけど挿入はしなかったな。なにぶん撮影中でもあるしこわいスポンサーの意向だからな」
「はい……」
流菜のことだ。流菜は無茶な注文ばかりしモデルばかりかカメラマンや撮影スタッフのなかでもいい評判は少ない。
澄真は綺羅を見つめた。
「何でも沙耶香クンは“ヴィーナ”というSMクラブにいるそうだ。機会があればまた会えるかもしれないな」
「“ヴィーナ”?」
彼女も風に聞いた噂のSMクラブだが所在は不明。なんでも女装者と女性ばかりのクラブとも伝え聞く。
撮影はまだ続く。
沙耶香を縛る綺羅は複雑な気持ちを抱く。
欲情させるだけさせるなんてこの世界は時々疲れる……。

No.296 18/03/12 05:15
作家 

撮影は夜十時すぎまでにおよび私に限らず澄真や綺羅たち撮影スタッフ、新星出版のスタッフまで疲労していた。流菜も疲れはあるものの他のスタッフほどではないらしい。
お疲れさまでした。
互いの挨拶がしてようやく撮影が終わり精魂尽き果てた感がある。撮影された写真や画像については今後また調整するという。
「だいじょうぶ?」
「え……と、綺羅さんこそだいじょうぶ」
ええ、と互いに気遣う余裕はないが共に撮影を乗り切った感覚はあった。しかしそんな雰囲気さえも流菜は壊そうとする。
「沙耶香さん」
「なに」
「先に帰っていて。タクシー代、だけど表から家に入らないで」
一万円札を一枚渡し先に帰らせようとするつもりらしい。だけど言い方が気になったが聞かなかったことにした。
ホテルの下にはタクシーがすでに呼ばれ一度シャワーを浴びた身体だが身体から卑猥な匂いや化粧の匂いが混ざりタクシーのドライバーが見てる気がした。
裏口にタクシーを止めてもらいプレハブに戻り服を脱ぎ下着を取り替えた。
やはりいない……?
プレハブから流菜の家を眺めると不自然なくらい暗くひとの気配はしない。スマホを見ると麗奈からメールがあった。
【だいじょうぶ?お姉さ……冴木さんは怖い女性よ。気をつけて】
疲れた身体を動かし返信した。
【いつかちゃんと話せる時がくると思う。身体を休めて】
なにもかも疲れきって再度シャワーを浴びたいがプレハブから基本出れないし裏口は開いてなかった。精神的にも肉体的にも疲れて水分を補給し私は深い眠りについた。
意識の底、夢だろうか。
“沙耶香、いえ○○”
“なに……?”
“もう素直に生きて……、さもないとアイツが……”
アイツ?と私が深い意識の底か闇のなかから“女王様”が現れた。
具体的な姿形はないはずだが黒いサディストの気配が寝てるはずの身体を金縛りにするくらいのドス黒さがあった。
“よくも私にマゾを味あわせたもの……”
“なに?私の身体でしょう”
“ちがう。この身体は私の身体。沙耶香でもお前でもない……”
“コイツは……”
“沙耶香”はなにかを伝えようとするが届かない。
なに……、と理由のつかない恐怖が悪夢に変わろうとした時だった。
起きなさい、と現実の流菜の声に悪夢を忘れるほどに目が開かれ怖い夢のはずだったのに勃起だけはしていた。

No.297 18/03/12 14:45
作家 

お風呂に入りなさい。
朝風呂に入れるのはめずらしいと思いながら下着姿で扉を出ようとしたらパジャマを着て、と言われた。
ふたりだけのはずなのに思いながらプレハブの扉を開け裏口の扉を開けるとリビングの方から声が聞こえてきた。
「パパ、ママは?」
「ママなら裏にいるお客様に会いにいったよ」
「ふ〜ん」
「お風呂はその人のためかな」
リビングからは二、三人の男女の声が聞こえ背後にいる流菜は行きなさいと指図する。すると足に小学低学年くらいの男の子と女の子がぶつかった。
「お姉ちゃん?」
「あ……」
純粋すぎる眼差しでどことなく流菜に似たような男女の子どもに何かが深く胸に刺さる思いがした。
「挨拶なさい」
てっきり私に言われたかと思ったがちがう。
「さえきせいやです。おねえさんおはよう」
「おはよう、さえきはるかだよ」
「は、初めまして。水越沙耶香です」
「いやいやこれは挨拶が遅れました。晴雄です」
……。
女装に気づかない?子どもたちが素知らぬ振りをしてくれているかもしれないが大人が気づかないわけはない。
ただでさえ昨夜の撮影で淫らな匂いが残ってるはずで鈍感とは考えにくいのだけど。
流菜はそっと私の脇を通り言う。
「沙耶香さんはママのお友だちでこれからお風呂なの。あなたたちは朝ごはんを食べてなさい」
「おかあさんのおともだち?」
「う、うん。よろしくね……」
言い淀んだのは保育士である自分を思い出し心か意識の底で変態、葛藤、哀しみ、自分を受け入れない何かなど無数の考えや気持ち、感情が瞬間過ったからだ。
「じゃあねさやかちゃん」
「ちゃんじゃなくてさんだろ」
「さやかさんまたね」
「失礼します。ゆっくりしてください」
主人は意外なくらいに年齢があるように思う。澄真はやや歳が上だったが彼女の主人は流菜にしては若くない。中年というくらいだろう。
「(お風呂は)沸いてるから入りなさい」
「はい……」
いつの間にか風呂場と廊下にはカーテンの仕切りができていた。配慮したの。
「着替えは用意したから。私は食事をしてくるわ。ゆっくり入って」
あっさり姿を消す流菜はキッチンかリビングで朝食をするつもりらしい。
……着替えないと。
女装から男性の身体になる時に動機が大きくなった。あの子たちに女装とバレたらと思うと怖いのだ。

No.298 18/03/12 15:20
作家 

上がれない。
身体をボディソープで洗い髪にシャンプー、リンスをつけ綺麗になったはずの身体を温かい浴槽のなかで私は苦悩した。
あの子たちに正体がバレたら自分は沙耶香でいられなくなる。私の内にはまだ保育士時代の自分がいたことに気づかされた。
女装の変態ではあるが、一方では保育士であり子ども好きな一面の私がいるのも事実なのだ。
まだ勃起している。
プレハブを出た時に勃起してたはずだが晴雄や子どもたちが気づかなかったのか。気づかない振りをしたのか。
「ン……っ」
勃起をおさめるには射精にいたらすか時がきて萎えるまで待つ以外にない。
「おかあさん。さやかさんびじんだね」
「そうね。妬けちゃうくらい」
「やけるてなに?」
「ハハハ、せいやにはまだ早いか」
風呂場の扉とカーテン越しからしあわせな家庭の声に胸が熱く苦しくなる思いがした。
“沙耶香、……○○”
“あの子たちの目の前で流菜を犯せばこの家庭は壊れる。なぜやらない……”
“あなた……!”
“沙耶香”は突如目覚めた“女王様”を頭の内で咎めるが彼女は暗く不気味に笑みするだけ。
フフフ……。
その笑みは理性ある私を苦しめる。
以前の男や牡の本能ではなくもっと深く暗い部分あるいはもっともっと深く根ざしてる存在。
「ッ……ハアハア……」
長時間の湯船を身体は拒むが理性は上がれとは指示したくない。間違いなくこのままでは長くないうちに脱水症状になるだろう……。一時間二時間は耐えられるはずだが、連日のセックスと昨夜の撮影で疲労感は素直だ。
……。
どれくらい時間が経ったのか。
「沙耶香さん……?」
流菜の声がした。
あ、と声とも吐息ともつかない私の反応に彼女は安心するように息をした。
「子どもたちは主人が学校へ連れていったわ」
「ハアハア……」
「とにかく上がりなさい。風呂場で女装の男性に死なれたら夢見が悪いわ」
肩を貸され彼女はお湯で濡れるのも構わず私を風呂場から出し身体をバスタオルで拭いて水を持ってきて飲むように促した。
ごくごくと喉から音がし下半身はバスタオルで覆われているが上半身はフィットネスクラブで少し鍛えられた男性のまま。
「女装にする?オトコのままかしら」
嫌味な声音が少し含まれていた。迷った末に女装にした。
なんだ、と彼女は下着と衣服を差し示した。

No.299 18/03/12 17:29
作家 

あれが私の家族よ。
あたたかい紅茶、トースト、ジャムやサラダ、なぜかウインナーではなくソーセージなど軽食らしい朝食を私が食べる姿を見て流菜はブラックのコーヒーを口にした。
「誰が家族がいないのかしら?」
わずかに身体に緊張感が走る。
たしかにあれは家族と呼べる存在。同時に故郷にいる自らの家族を思い起こさせるには充分な存在だった。立派な主人に姉弟か兄妹かわからないが雰囲気だけでいえば後者かもしれない。
「すみません……」
「素直に謝るのね。てっきり私のあら探しをするかとおもったわ」
“セックスで屈しさせたらいいのに”
!?
咀嚼してる口の動きが止まり流菜は私に首を傾げた。
「どうかした。まずかった」
「いえ……」
「今日は私は休みだから変態なあなたと夕方まで過ごさせてもらうわ。なんなら身体で遊んであげてもいいわ」
瞬間手にしたカップを少し音を大きくさせテーブルに底をつけていた。
「な、なによ」
思わず私はテーブルの木目だけを見つめていた。
「いま……いまそんなことを言わないでください」
「変態のくせに」
キッと睨むと彼女は黙りコーヒーを口にし落ち着きを見せるようだった。
……。
この時私の股間はテーブルの下で熱く堅く勃っていた。
“私に身体を渡して”
“何者”
“あなたは私、私はあなた……。沙耶香はしょせんは疑似人格”
トーストをかじる音、サラダを咀嚼し紅茶で喉を潤しながら“私”は私の内にいる“女王様”と会話していた。
独り言とはちがう。
確実に私の内で生まれ育ち芽生えた人格らしいと“女王様”は自己紹介した。
流菜はそんな私を見つめた。軽蔑や侮蔑を含めた視線。
最後の一口まで食べ紅茶をひとしきり飲み息をつき手を合わせた。
「ごちそうさま」
「居候のわりによく食べるわね。子ども以上ね」
流菜は私を意地悪いや虐めることで満足したいらしい。私は聞いた。
「プレハブに戻った方がいいの?ここにいていいの?」
探るような言い方をしたのは勃起を見られないためでもあるが油断があった。彼女は向かい側に座っており爪先が股間に触れた。
「コーフンしてるじゃない」
「これは……」
「昨夜は綺羅さんに感じたのよね」
「あなたに私がわかるわけないわ」
アブノーマルな性のなか生きるのは快楽と葛藤の繰り返し。

No.300 18/03/12 20:33
作家 

流菜はいつもと違い自然な主婦のまま私を寛がせていた。
プレハブに戻れとも言わないまま胸チラやパンチラなどをしながらお茶をしたりテレビを見たり掃除をしたり。
「退屈ね……」
「原稿を書く必要はないんですか?」
「今日はいいわ」
何を考えてるのだろう。誘惑する様子はなく澄ました表情が気になると思った時だ。
「主人と子どもたちの部屋を見る?」
「見ましたけど」
いいからと寛いでいたのに手を引かれ二階の部屋のまずはご主人の部屋を見せられた。
「え……」
声はちいさいが驚きがあった。中は立派な書斎となっており以前見たような生活感がない部屋ではなく本や書籍それに肘掛け椅子に机と明らかに使われた形跡があった。
「どう?あなたがこの前見たのは錯覚だったんじゃないかしら」
「……」
これ見よがしに見せる様子が納得しないが黙ってた方がよさそうだ。一度は謝っているのに。
次に彼女は子どもたちの部屋の扉も開けた。そこには小学生サイズの机やベッド、本棚や小学生向けの玩具などがありそれぞれ男の子向け女の子向けに綺麗になっていた。
「さっきも見たからわかるけど私には主人も子どももいるわ」
勝ち誇る彼女の笑みに微かに肩や背中に違和感みたいな奇妙な感触があった。それは感覚や感触だけで言葉に表現しづらい。
「ぐうの音も出ないのね。そういえば空いてた部屋かしら。あれは開かずの部屋かしら」
ちょうど流菜の部屋の向かい側にあたる扉を彼女は開け私の背中を押した。
「きゃ……」
「ごめんなさい」
白々しい謝りを背にしながら目が開かれた。そこには壁には漆黒のボンデージのランジェリーや鞭や蝋燭、ローターやバイブ、首輪など昨夜のSMホテルに劣らないSMルームのようだった。
「な、なに……これ」
「昨夜も主人と子どもたちが寝てる間は愛しあったの」
「……」
おかしい。
昨夜プレハブに帰った途端に眠りについたが家から淫らな様子はまるでなかったように感じる。さらに流菜は言葉を重ねた。
「昨夜は聞こえなかったと思えるらしいけどこの部屋は防音設備があるから子どもたちには聞こえないわ」
「……!?」
瞬間首に首輪をつけられ思わず手に首輪を掴むが外れない。
「は、外してよ!」
冷たい金属の首輪の感触のなか流菜は冷酷だった。
「今日は私と遊んでもらうわ。沙耶香さん」

No.301 18/03/13 07:45
作家 

流菜は考えた。
麗奈の双星出版での立場を考えればそのまま引き抜くあるいは自分のモノにするのは彼女を危うくさせるだけ。
ならば沙耶香ごと取り込んで麗奈が手中に入った時にこの変態は用済みにすればいい。
「やめて流菜さん。冴木さん!」
沙耶香の声色は不快に思う。女性らしいソプラノな声と少し残る男性らし深いアルト声。微妙に複雑に混ざりあい男女両方として感じてしまう。
「調教してあげる。桜子たちともセックスできないままこの部屋にいるのよ」
「拉致監禁じゃない」
「進んで自分からここに来たくせに何を言うの」
抵抗していいかわからないまま腕を振りたいが沙耶香は力をすべて出していない。意図したものか女性になりきっているのかわからない。
ベッドに座らされ昨夜と同じように四肢を手錠やロープで意外なくらいあっけないくらいに抵抗がない。
「お願いやめてください……」
「オトコの力を使えばかんたんなのに」
なぜ、という言葉を流菜は飲み込んだ。何か裏があるのではと思うが桜子たちが飼い慣らされたようになったのだって理由があるはず。
もう麗奈とは連絡もさせないとばかりにスマホを取り上げた。
「これは預かるわ」
「よして冴木さん」
「うるさいわね」
ボタンをひとつひとつ外してパジャマの下を脱がすとそこには自分が用意した女性用下着。スポーツタイプのブラショーツセット。そこには勃起した男性の膨らみがあった。
「なんで勃ってるの」
「よして。いまは疲れてできるものではないわ」
嘘だった。
沙耶香は“女王様”が目覚めかけることをどこかで理解していたかもしれない。
もしも彼女が目覚めでもしたら流菜にセックスどころではなく最悪の性行為を記憶させるかもしれない。
だから私は嘘をついた。
「よして冴木さん……!?」
頬が叩かれる音がし眼鏡が枕の脇にずれた。
気づくと流菜の頬には涙の輝きが見えた。
「……んで。なんであなたなのよ」
「……なんのこと」
彼女は答えずに備えつけられた黒塗りの棚からオナホールを出した。ショーツの脇から男性器を出して強く握った。
「い、いたい!?」
「これから気持ちよくさせてあげるわ。この人造ま×こで」
ローションをオナホールに塗るようにしながら私の勃起した男性器にゆっくりぬるりとつけた。
「っ……あ…」
声が漏れた。

No.302 18/03/13 15:35
作家 

「感じるのね。ニセモノのおま×このくせに」
感じる私の姿に流菜はレズのタチらしく笑みした。
「ッ……んん」
声に出さないまでも呼吸や甘い吐息になりながらも肉棒と化した男性器は肌色のオナホールの内で膨らみカウパー液がぐちゅぐちゅと亀頭を鈴口を濡らし幹はローションの粘りともぬるぬるともつかない間の感触で膨らみが増していく。
「ッ……はあはあ」
「私はあなたを許せないわ。あなたみたいな変態が麗奈みたいな女性といることが」
オナホールで肉棒を憎々しい感情のまま上下や斜めにしたり根元から折れたりなくなるのではと思うほどに扱いたり強弱に撫でる。
「あ……!ンン。やめて……」
「やめるわけいかないわ」
「なんでよ……」
ぐぐぐと肉棒が射精にいたる快感を思い出させようとするくらいに睾丸から熱いものをおぼえる。
鋭く冷酷な気持ちと麗奈への熱い感情が混じる複雑な瞳の色で麗奈は語る。
去年の春に偶然麗奈を見かけあまりの懐かしさに声をかけようとした。
しかしそこに見慣れぬ女性がいた。後でわかったがそれは女装した男性であり名を水越沙耶香という。保育士の資格を持ち麗奈と同居しモデルとして共に仕事している。
なんであんなひとと……。
愛とも憎しみともつかない感情が胸の底に滲みのように広がった。
時には一緒に食事をしたり淫靡なセックスをしたりと女装や性差を超えた関係が許せなかった。
しかし流菜もまた一方で主婦として幸せを手にし一方では新星出版で編集の仕事に就いてまた桜子たちという人妻仲間の茶会に入りながら確実に地位やポジションを築いていたが幸せな麗奈を見るたびに表現できない胸の隙間ができる感じがした。
かつてのレズメイトに声をかけられない気づかれないまますれ違う。会社も側にあるのにだ。
去年の夏の撮影旅行の際に流菜もまた尾行し沙耶香の女装レズを見ていた。相手が麗奈だけでなく早紀という麗奈の後輩、AV女優を相手に誰彼構わずしている。
なぜ麗奈が怒りや憎しみもなくいられるかわからないことばかりだった。
なぜ幸せにしてられるのか……。
かつての愛が憎しみに変わるまで時間はいらなかった。
麗奈を自らの手に戻し女装する変態な沙耶香と別れさせてやると。
私は呼吸を荒くしながら答えた。
「逆恨みじゃない」
「黙りなさい。ほらイキなさい!」

No.303 18/03/14 14:27
作家 

イクっ!!
どぴゅどぴゅと牡の精液はオナホールの肌色を汚すように噴出し睾丸に溜まったものを出していく。
はあはあと呼吸が止まらない。
「これで何度目かしら。三回?四回五回かしら」
「さ、冴木さん……」
「まだ声を出せるほどに力はあるのね」
彼女は衣服のボタンを外し胸元や足元から下着や胸を見せながら射精し終え力を失い萎えたはずの肉棒は再び力を取り戻す。
「み、水を……」
五回か六回かそれ以上射精させられたのか身体が過呼吸と喉の渇きに襲われ窓から射し込む太陽の輝きさえまるで砂漠にいるようにまぶしく映る。
ごくごくと彼女は私の目の前でアルコールやジュースを飲んだかと思えばそのまま唇いや口内を重ね合わせる。
「ああ……んぐんぐ」
縛られ身体が動かない私は口移しでいただく喉の渇きを癒すアルコールや飲料水を必死に口内から喉へ喉から体内に吸収し喉の渇きをなくしていく。
「はあ……ン」
「はあはあ、も、もうやめて……」
「まだ半日も経ってないわ」
すでに昼過ぎで季節は初夏から夏に変わろうとしている最中。
脱水症状か過呼吸で死ぬのではと思わせるくらいに流菜は射精という責めと飲料水を与えないという性欲と生存本能に対して鞭と鞭しか用いずあれから数時間しか経ってないのに疲弊していた。
「ほら、ここは復活してる。オチ×ポオチ×コペニスに肉棒、オチ×チ×……」
口移しの間しか水分補給ができない私の股間を撫で復活した男性器を彼女は撫でたり皮や幹に爪をいれる。
い、痛いと悶え呼吸は荒く瞳から水滴は何度こぼれたかわかるわけもない。
「またイカせてあげるわ」
「や、やだ。やめて……ああ…っ……う…ん」
オナホールはひとつだけではなく形状や仕組み豊かなのがいくつもありベッドのまわりには牡の匂いがしたオナホールが散乱していた。
……!
気のせいか。ふと以前に見たこの部屋の様子と何かが重なる気がした。
「あ……ン。はあ……」
「あら?こんな時でもよく冷静になれるのね」
「……」
いったん泣いて喚くのは屈折や挫折した時の絶望や絶望感そのもの。
一度その状態を過ぎたら気持ちは自然と切り替わっていく。
表面上麗奈や早紀に敵わないようにしてたのも日頃のバランスを取るための処世術。それがこんな時でも生かされているらしかった。
どうにかしないと……。

No.304 18/03/14 15:08
作家 

気づくと夕方だった。
ぱたぱたと子どもらしい足音が階下から聞こえさらに耳に伝わった。
「ママ、さやかお姉ちゃんは?」
「仕事が済んで帰ったわ」
「ざんねんだな」
ちがう。私はこの部屋にいる。脱出しないと思った時だ。
ぐっと力をいれると四肢はベッドの上下の柱に縛られているはずなのにわずかほんのわずかにベッドが動いた気がした。一ミリにも満たないくらいだけど。
疑問に思う間もない。
ふと大声を出してみた。
「た、助けて!誰か助けて!!」
……。
恐ろしいくらいにまわりが流菜の子どもたちや外を行き交う人達や車の音など平和な日常が壁の向こうにありそのことにむしろ背筋だけでなく身体全体が冷えるようだ。
力を入れるとやはりベッドはわずかにごくわずかにだが動いている感じがした。
馬鹿だった。むざむざ流菜の手に落ちるなどという行為は愚行だった。
だが嘆いてもいられない。脱出することだけを考えて身体を動かす。
気づくとペニスはスポーツタイプのショーツにちゃんとおさまっており同じようにブラも胸にフィットしていた。
……気持ち悪い。
太腿の内側や外側に自ら出した精液のよごれがあった。
しかしあれから射精を何度かさせられたのに身体は力を失ってないのは奇妙だった。ベッドを身体だけで何度か一ミリでも動かしては休み動かしては休みを繰り返した。
階下から流菜たち家族の声がした。
「私は明日からまたお仕事に戻るけど今度の日曜日には時間を取れるわ」
「そうか。みんなでどこかへ出かけるか」
「わ〜い」
「やったね」
……。
なんだろう、この違和感。
一見するとしあわせな家庭なはずだがこの部屋といいあの家族の会話。あたたかくあまく気持ちいい空間や時間と想像はできる。
だけど奇妙な違和感は肌にひたひたとくっつく感覚……。
力が休んでは出て手首や足首には手錠やロープの跡がくい込むよう。
どこにこんな力があるのだろう。フィットネスクラブに通ったのは半年程度で筋肉がかんたんに身についたとは考えにくい。
疑問に思うのは後だった。
脱出をしたい、ここから抜け出し麗奈に会いたい!
素直にそう思えたのはこの時が心から初めてだったかもしれない。
しかしそれは叶うことはなかった。
夜になり私の体力が尽き眠りにとらわれた時に扉から流菜が現れ瞳が輝いていた。

No.305 18/03/15 13:50
作家 

ふと彼女は床に気づいたように目をやった。
ベッドが動いている……?まさか。
そう思いながらも沙耶香と麗奈が結ばれるのは見たくない思いがある。彼女の内にあるのは許せないという黒く深い愛憎である。
「ここから脱出するつもりだったかしら?縛られているのにベッドが」
「動かしてなんか」
「いない?数ミリ動いているからわかるわ」
……。
私は口を開いた。
「もうやめて。こんなこと……」
「観念したわけ……には見えないわね。これだけのベッドを縛られながら数ミリでも動かす愛、愛情。それとも私への憎しみ、なんでもいいわ」
「よ、よくない。聞いて……」
思いのたけを私は彼女に伝えた。
麗奈との出会いや早紀との関係、AV女優との撮影。恋愛からではなく始まった麗奈との関係からいまに至り私が女装したきっかけやいま私の内に存在している私とはちがう“沙耶香”と“女王様”の葛藤や“女王様”がいつか私を乗っ取るのではないかという複雑な絡み合い。
息も切れ切れな私を流菜は見つめた。わかってくれただろうかと思ったがそれは裏切られた。
「なによ。そんな話?私を騙せると思ったかしら。そんな子どもじみた話。バカにしないで」
「ち、ちがうの。本当に、ほんとの私はひ弱な男性だし舞先生のところで鍛えてはいたけどベッドは動かせないはずよ」
「たしかに男としては甘ちゃんのようだけど……」
彼女は思う。
男性としての沙耶香の生い立ちや経歴もまた調べていた。男性としては際立った特徴は少ない。ヲタクだったり女装が性癖だったり意外なのは保育士という資格持ち。
子どもたちがなついたのはわかる気がするが、麗奈についてはやはり許せない。
「痛いかもしれないけど今夜は一晩オナホでヌカせてもらうわ……」
「や、やだ……」
ぐっと身体に力がまた入る。火事場の馬鹿力なのか四肢を縛る手錠や縄が手首や足首に食い込むようになりながらもベッドが軋む音がし床からわずかに動いた。
「あなた……」
すでに体力は尽きているのにまだあるのかとふしぎに思えるくらいにベッドが動いたのがわかる。
“もう少し……”
沙耶香とはちがうサディストを秘めた声が脳内からした。
「や、やめて……」
流菜は手にしたオナホを調節しながら私の口に離乳食みたいなスープを与えるが私の声は無視していく。スープの味がわからない。

No.306 18/03/15 15:26
作家 

スープを口になんとか体力は人並みに戻る私の股間に流菜はオナホを再び着ける。
「次は電動式よ」
「ち、ちょっとやだ。お願い……」
「ベッドを動かしたくせによくそんな演技ができるわね」
「演技じゃない。本気だってば」
麗奈たちとの行為で演技して気分やシチュエーションを高めたり愛情の確認などはすることはあったが本気だった。
「あまり動かないで電動なんだから。下手に動くとオチ×コがどうなるかわからないわよ」
一度勃起状態にまでして鈴口や亀頭から幹の根元にまでオナホがすっぽり入りそこにローションを垂らされ不覚にも気持ちいい感覚が襲う。さらに流菜はできる限りぺニスがオナホから離れないように工夫し身体を固定してる四肢のように四方から男性器を睾丸と根元を萎えた状態と勃起状態を踏まえ紐で輪を作りオナホが萎えた時も離れずほぼ八割方固定していた。
「や、やめて……」
「同じことしか言わないのね。バカな男」
「旦那さんだって男じゃない」
キツく睨みながら何も言わない。
桜子たちは私と性行為をしている間は快楽に浸りながら日常という現実を理解し葛藤していた。私は彼女たちに性行為をしながら現実に戻す行為を少し手伝っただけ。
しかし流菜はちがう。
私を憎むことや麗奈を再び手にしたい欲望で現実から目を背けるような態度が成熟してる身体から沸々と感じ愛憎は私に向けられていた。
「スイッチ入れるわ」
ちいさな音がしたかと思うと肌色の電動オナホはぶるぶると震え疑似的女性器はローションのゆるやかな粘りと共にぺニスに刺激を与える。
「あ……ああ……」
“やってくれるじゃない。冴木流菜……”
ぞくっとする凄味ある女性らしい声が内からし肉体的な快感と精神の内にある“女王様”の声に熱さと冷気を等しくおぼえた。
快楽と恐怖。
「あ…あ…ああ…ンン」
「一人前に感じてるじゃない」
“麗奈は渡さない”
“あなた?”
意識の内で“女王様”に“沙耶香”は意外な声に問いかけたが彼女は応えないまま。
私自身は電動オナホと戻った体力により性的快楽に襲われ呻いていた。
「ん……ンン」
「声は出してもいいわよ。防音なんだから」
「……ああ」
肉棒と化し睾丸には与えられた栄養で精液が時間の経過と共に溜まる。それを見て残酷に言い放つ。
「一晩中そうやってなさい。射精という快楽に」

No.307 18/03/16 08:13
作家 

“さようなら”
誰に向かって離別を伝えているかわからないなか下半身が射精という快感に耐えきれず淫靡かつかなしい別れを感じさせた夢から現実に戻す。
い、いまのは……。
「あ、あ……イ、イクっ……イグぅぅぅ!!」
ハアハアと息切れを起こしながら肉棒は果て萎えていくが熱を帯びては醒めてもと通りの大きさに戻るがぺニスは綿密な計算によりオナホはどんな角度になっても自動的に時にランダムに動いて刺激していく。
「あ……やだ」
上下左右斜めいかなる角度にぺニスが萎え倒れても精液とローションが散々混じった気持ちいいのと不快な感覚は敏感になりすぎたぺニスを刺激する。
ベッドのシーツには射精後の尿意に耐えきれず漏らした尿が沁み証拠に身に付けたショーツからも尿の跡があり泣きたいいや泣いたのだろう。目元や頬には涙の跡が残酷にあった。
プライドさえずたずたにされながらも何かに堪えていた。
麗奈への愛情か自らのプライドか誇りか形はわからないが必死に自分の内にある芯のようなもの、“汚してはいけない”なにかがあった。
荒い呼吸や淫らな吐息のなか一晩中の射精に脱水症状や過呼吸に限界を感じ死をおぼえる。
死なない。生きて麗奈に再び……。
そう思った時に扉が開かれ流菜はワンピースやエプロンにいかにも清楚な雰囲気で現れたが瞳は残酷な輝きがある。
「生きてたわね。死なれたら困るもの」
「……ハアハア、やめて。お願い。あう……」
瞬間彼女は手に隠していた鞭で私の身体を打った。
「黙りなさい。生かしてあげてるんだから」
手には鞭だけでなく飲料水が入ったペットボトルにコンビニのお弁当などあった。
「手は自由にしてあげるからいまのうち食べなさい」
「あ、あなたね」
「ご主人様もしくは流菜様と呼ばないとあげないわよ」
「ご、ご主人様……」
言わなくてもわかってるわねという睨みで私を従わせようとする瞳が見えた。
「ご主人様……。私に水と食料をお、お与えください……」
ほどかれた両腕と共に身体を折り曲げお願いした。数時間ぶりの食事に生きた心地がした。
食事をしてる間に麗奈はオナホを取り替え足や腰についた精液や尿の沁みや跡を拭いていた。
「勘違いしないでね。あなたはここから解放されない。だけどお仲間を呼んであげるから心して待ってなさい」
意味深なことを伝え彼女は去っていく

No.308 18/03/19 05:46
作家 

週が明けて双星出版社に麗奈は出勤した。
透子は女の子らしくなるように教えないと。
いまのままではいいと思いますが。
早紀と愛那は以前とちがい互いに意見を言い合える仲になったのはいいこと。微笑ましい。
しかし麗奈自身は……。
流奈から新星出版社に来ないかという悪辣かつ淫靡な誘いと自分を庇うために沙耶香がさながら生け贄のような目に遭いまた自らそのような目に遭っていると思うと精彩を欠いていた。
「これではダメ。男の娘(こ)の魅力はなにひとつ伝わらないわ」
神無月社長からの厳しい一声を直接伝えられまるで新入社員のようである。神無月社長は麗奈を眼鏡の奥から怜悧に見つめる。
「沙耶香さんが自ら望んだことでしょう。受け入れなさい」
心の奥それも最深部にある本心を見透かされ鋭い言葉に麗奈は女性としてではなく少女のように心がちいさくなったように思う。
「……できません。私を新雑誌担当の企画から外してください」
弱音を吐く麗奈に神無月社長は見つめる。
「その程度なのあなた?レズであることを克服し私にいつか立ちはだかる存在になるんじゃないの。あなたのかつてのお姉さま冴木流奈そして水越沙耶香はいまは敵、ライバルよ」
その言葉に週末に見せられた淫靡な撮影がよぎり身体が芯から熱くなりながらも心のどこかは醒めていた。
「……」
神無月社長は彼女の肩に手をやる。
「ここを乗り越えないと、沙耶香はいつかも将来は結ばれないかもしれないわ」
「……っ、沙耶香をSMクラブの女王様にしようとしてるくせに」
口に出してしまい神無月社長や流奈にさえ沙耶香を取られることに麗奈は本心から怯えていたかもしれない。それは少女のように彼女の内で数少ないけがれのない思いかもしれない。
「それはそれとあなたに伝えてもわからないでしょう」
意味深であり意味不明な言葉で麗奈には届かない。
わかりません。
麗奈にはなにがなにがわからなくなっていた。
気づくと社長室から退室しており屋上にいた。夏になった暑い陽射しが照りつけ蝉の鳴き声が耳を打つ。
涙が頬に流れ泣いていた。
早紀と愛那がたまたま屋上に来て彼女に気づき慰めては励ます日々が続く夏の始まりだった。
早紀は思う。
沙耶香さんどこまで馬鹿なんですか。
愛那もまた思う。
この業界はつらいことばかりなんだと。

No.309 18/03/19 15:40
作家 

考えていた。
流菜は誰を沙耶香に差し出すか。同僚たちではまずい。なかには沙耶香に興味を持つ女性たちもいるが失踪に近い扱いになることに間違いない。
だがオナホでは沙耶香が満足しないだろう。
冴木さん、社長が呼んでます。
同僚の声に社長室に向かいふと思い浮かぶ。
社長か……。
双子の妹だかなんだか知らないが姉妹同士の争いに巻き込み利用し利用される関係。わずかに冷たい輝きの瞳があったことを誰も知らない。
「沙耶香さんの様子はどう?」
神無月恋もまた姉舞に似た端正な表情で流菜はわずかにむっとしたがあえて嘘偽りを答えなんとか彼女を家に招く方法はないか画策した。
「社長」
「何かしら」
社長の失踪はまずい事態かもしれないが沙耶香の性欲を満足させ場合によっては……と思う。ふと自然な笑みがこぼれた。
「沙耶香さんを懐柔し激励するためにウチへ来てくれませんか。ご馳走を用意します」
「あら気前がいいのね。なら週末にでも構わないかしら」
さすがに週の始めでは怪しまれるだろう、ならそれもかまわない。
「ええ、お待ちしております。沙耶香さんも喜んでくれると思います」
沙耶香という女装変態男をご馳走させて悦びを与えてあげるわ。
社長が沙耶香と共に行方不明になるかならないかはうまく立ち回らないとならないことはむずかしい。
社長室を退室した流菜はどうにか頭を回転させた。編集部に戻るとつい先頃AV業界を引退した早乙女美紀と前原祐から沙耶香についての質問や依頼があった。
『ええ昨年の『クロスドレッシング』ですか。ライバル会社ですから当然拝見しました』
「沙耶香さんはお元気です」
『そうですか。できましたらアポイントメントを取りたいのですが』
「……アポですか。まだ今後の日程については未定なのでこちらからそちらに連絡する形でよろしいでしょうか」
ええ、お願いしますと美紀や祐の声にうまく切り抜けたと思った。
電話を切り終えなんとか息をついた。
社長といいAV女優たちがなぜ沙耶香を慕うか理解に苦しむ。
しかし手駒は揃うようだ。神無月恋社長にAV女優ふたりか……。企画を立ち上げあの変態沙耶香を満足させないとならない。怪しい笑みを流菜は密かに浮かべていた。
同じ頃電話を終えた美紀と祐。
「沙耶香さんはあちらにいるようだけど」
「危険な賭けかもしれないわ」

No.310 18/03/20 05:59
作家 

ウィンウィン……ぱくっ……!ころころ……。
イクッとした瞬間にまたもオナホが割れた。割れたオナホの破片がローションと淫靡な牡の匂いをさせながらベッドの端に転がった。
あれから何日……。まだ一週間は経ってないはずと思うが理性が性欲にとらわれまいと必死だった。
はあはあ、と息をし少しは自由に動け流菜が置いたペットボトルで水分は補給したが手錠やロープの長さは限られ座るのがやっとだった。ティッシュで太腿やペットについた精液を拭いゴミ箱に捨てる。
ああ……。嘆くくらいはいつでもできた。なんとかこの状況を打破しないとならない。
「くっ……」
手首や足首には手錠やロープの跡が生々しい。水分を補給はしないとならないがペットボトルの水は限られていた。下着は日毎に変えられてもいたが朝から晩まで射精を繰り返させられ身体も下着も牡の匂いだけ。
いつかチャンスはくると思いたい。
“その時こそ私があなたになる時……”
私の内の“女王様”はいまかいまかとうかがってるようだ。身体ごと私を乗っ取るような野心を秘めた恐ろしい人格。ただ彼女もまた私が性経験の内で育った人格だろうと想像した。
“女装の女王様”“女装のサディスティン”など私は女装としてはマゾではない。疑似的ではあるがそれは女性に軽く責められる範囲やプレイ程度……。
ぱたぱたと廊下を歩く音が階下にした。
ママまだかな。
もうすぐだよ。
ただいま、て誰もいないか。遊ぼう。
うん。
流菜の子どもたちが学校から帰ってきたがはじめは助けを求めていたが純真無垢な子どもたちに自分の変態な姿を見せたらと思うとこわくて助けを呼べなかった。
すべて計算ずくだろうか。理性が崩壊しない程度に射精をしてオナホが膨らむ男性器で壊れていく。
子どもたちに見せられない……。諦めが時々やってきては立ち直る。ペットで身体を休めては理性を失わせないようにしていた。
流菜が帰ってくるまで身体を休ませた。
……。
「あら、いい気なものね」
「……お帰りなさい」
「殊勝な態度ね。主人や子どもたちにさえ助けを求めないなんて」
「子どもたちに私のこんな姿を見せられないだけ……」
強がりだった。あるいはは本気で助けを求めてないのではと葛藤もある。彼女は下着とオナホを変えては私を再び拘束はするが食事や水分は与えられていた。

No.311 18/04/01 08:58
作家 

流菜は憎々しげに思いながらも自らが間接的にと思いながら沙耶香に興味を抱いていた。
セクシーなランジェリーに包まれた肢体の女陰は牡を求めるように下着のクロッチを湿らせる。沙耶香は自らにあるであろう狂暴性か牡の性を訴えながらも飲食中はおとなしい様子。とてもそんな風に見えないから警戒心はあるがこの女装男性は自らがどんなに汚れても汚されない“なにか”意思のようなものが内にある。
私はこの人と交わりたいのか……。
沙耶香が離乳食みたいな夕食を咀嚼しながら抵抗はほぼない。
麗奈を汚したいと思う気持ちはあるがふたりの間にはほんの一年ほどしか過ごしてないのに見えないつながりがあり愛らしくも憎くもある。
まだ流菜の内には許せないなにかはあり愛憎と思うことでまだ付き合ってもらわないと意地に近い感情があった。
その頃麗奈はマンションで目の前の光景に愛那と共に呆れていた。
「なんなのこれ」
「先輩を元気つけるために……見せつけたいらしく」
早紀は早々と隣県から透いや透子を呼んで麗奈に紹介した。なにもこんな時にすることかしら……と苦いビールを口にした。
「でさえあたしはスケバン時代に透いや透子をいじめてさ」
「せ、センパイ……」
麗奈の見たところたしかに女装モデルとしての原石を本田透いえ透子と名乗った人物は秘めているように思う。それなり早紀に見る目があるくらいに成長はしたと思う……。
しかし流菜は澄真や助手の綺羅女王様を使いハードな撮影を沙耶香はなんとかこなしたらしい。
だけど連絡が取れなくなった。何があったのか。
「女性てオトコができたら変わるんですか」
少し愛那も酔っぱらったように頬が赤く酔いか沙耶香がいないストレスか。
「まあ……ね」
「なんなら4Pしちゃいます?」
「さき……」
少しばかり彼女のからかいに麗奈は沙耶香を取り戻さないとならないことにしか頭がまわってないが流菜や新星出版社は一筋縄ではいかない。
これなら慰める必要なかったかなと早紀は感じながらもようやくできた彼氏に近い存在の透子だ。
「せ、センパイ」
「冗談よ」
しかし沙耶香がいないことには社内もだが麗奈の部屋の雰囲気はいくぶんの寂しさはある。
クスッ、としながらも早紀は透子に軽いキスをした。
ん……。
「あなたね」
睨む麗奈を無視しながら透子にキスをした。

No.312 18/05/19 11:14
作家 

早紀は胸の内に躊躇いありながらも透子にキスをした。
「ん……先輩」
「はぁ……ンン…しましょ……」
麗奈や愛那が目の前にいるのも構わず早紀は性交を見せつけてでも慰めたい気持ちはあった。
睨む麗奈。
だけど透子は中性的な姿なために見方によれば宝塚の舞台の淫靡な感じがして身体が内から熱くなるのがわかった。
「さ、早紀先輩……」
そばで愛那も困惑しながらも頬が赤い。
「ン……んう」
「はぁ…はぁ……」
「うふふ、コーフンしてる……
早紀は自らもスーツを脱いで甘く柔らかい胸を揺らせ透の耳やうなじ、唇などを愛撫していく。透子の上着を脱がすとハデではなくオーソドックスな装飾ないブラジャーが現れる。
「ここコーフンしてる……」
「や……ん」
透子の甘い声が室内に伝わり愛那はもじもじと膝を内股にし指がスカートの上に触れる。
…………。
なるたけ麗奈は平常心を保ちながらも女性の身体は熱い。
沙耶香……。
ふと心が呟く。
が、早紀には聞こえない。ちらっとこちらをうかがいながらもブラジャーのカップやパッドを撫でてパッドの下から肌にある乳首をこりこりと撫で指で弧を描く。
「ん……や…ん」
「感じてる……」
透子が中性的な姿なため女装ともノーマルな性行為に見えるのが麗奈には困惑があった。
女装レズかノーマルな性交なのか。
構わず早紀は透子のスカートの淫部な膨らみに手をやり感触を確かめながら桃色の吐息を漏らす。
「オチ×チ×……」
「あ……はあ…ン」
「まだまだ気持ちいいことしてあげる……」
「ン……はい」
透子は沙耶香ほどに女装者として完成はしてないらしいが、充分な魅力や未知の可能性は秘めているらしかった。
早紀はひとを見る目が備わったのかもしれない。
だけど目の前でセックスする……。そこはちいさな沸々した怒りに似た感情があるがお互い様である。
「ん……はあはあ」
透子は見られることに羞恥と興奮がありながら椅子の上で身体が跳ねる。ショーツの上からの早紀の指が気持ちいい。
しかし早紀は言う。
「まだよ。……先輩、ベッドいいですか」
「……すれば」
「矢口先輩……」
見せつけられる性行為はある種の屈辱であり快感でもある。
早紀の意図はわかりにくい。憎くてしてるわけではないだろう。
だけど見なくてはならないとも思う。

No.313 18/06/21 09:22
沙耶香(女装) ( DQITnb )

透子と早紀のキスは一見したら男女のそれにも見えるが、中性的な外見だからか。
ン……、くちゅ。
わずかにショーツの内にある女陰が疼く。
早紀に加わり愛菜も少しずつ仲間に入り室内に淫靡な雰囲気が漂う。
見せられたって。
沙耶香……
理性と沙耶香を思うふたつの面が葛藤する。
この人……。
透子はちらりと麗奈を見つめ欲情してると感じる。なら……。
んむ、はむ……れろれろ。
三人の舌が蛇のように絡み透子は大胆に早紀と愛那の胸に手をやる。
「あ………」
「ん……ンン」
透子の素質は麗奈は知らないしまた早紀もまだ和解し愛情を抱き始めただけ。
だけど透子は沙耶香にライバル心を持っていた。
「んンン……」
「はあ……」
「スゴい……」
中性的な姿だが下着はしっかり女性用ランジェリー、そこから生えた男性器は生々しい。
くちゅくちゅ……
れろれろ……
下腹部からふたりは透子の男性器に手や舌を伸ばし味わい始めた。
「っ……」
「あ……ン」
「透子は感じやすいのね」
中性的ではあるけど蕩けそうな透子の表情は女性に近い。
はむはむ。
「っ……」
早紀は大胆にも睾丸をショーツのうちから責めていき愛那はぺニスの上から舐める。
「……」
見なければいいものと思いながら見てしまうのは性。
「矢口さん」
「な、なに」
「羨ましい?」
ムッとしたが麗奈は彼には答えなかった。耐えてやる程度の意思や理性はある。
しかしである。
「まずは愛那さんから」
「や……ン」
愛那の丸いお尻を上げて可愛らしいショーツが見え膨らむ淫部のワレメが見えたようだ。
「はあ……」
「可愛らしい」
「やだ……」
愛那は以前よりは女性らしい身なりをするようになり幼児体型も少しずつ変化していってる。
まだまだ成長の余地を残している。
透子の指先が若い愛那の女陰に挿入され愛液が指に絡む。
くちゅくちゅと。
「あ……はぁ…」
「愛那ばかりずるい」
「先輩はあと」
愛那のお尻はくねくねと揺れながら扇情的。
3Pという難しい行為を透子はできるのか。
沙耶香……。
沙耶香を取り戻したい思いはあるがまだまだなのだ熱く胸の内に葛藤があるなか透子たちの性遊戯は続く。

No.314 18/06/25 12:41
沙耶香(女装) ( DQITnb )

相手が沙耶香でなくとも相手は異性。
双星出版でも顔を合わしあげくには透子のもとで居候するという。
っ……。
まるで過去の自分の男性遍歴や沙耶香との関係者を再現するようだ。
「麗奈さん?」
「なんでもないわ」
ビールを煽りながらなんでもないわけない。身体の芯から雄を求める情欲はある。沙耶香と逃げていればと思うが流菜は何か恐ろしい。
わからないのだろうか。沙耶香がではなく他人がである。
透子は言う。
「センパイはえっちです」
「いやん」
「愛那さんも」
「っ……」
自然な言葉ながらしっかりふたりを愛撫してるようだ。頬やうなじ、髪に首筋など。
ふん。
麗奈は強がっていることを理解しながら見守り陰部に手を這わす。ショーツの内に手を回しそっと指を重ねいじる。
くちゅ……。
「はじめはセンパイから」
「ああ……ン」
「む」
まるで沙耶香を意識してるかのような透子の言葉にわずかに勘があった。
しかし透子は構わない。
「こんなやらしい身体で女装出版社のお仕事してたんですね」
「だって……」
罪滅ぼし、といいかける早紀の唇を指で塞ぐ。お約束事なのだ。
「でもあたしをこんなヘンタイにして」
するりと透子はストリップのダンサーのように衣服を床へ流れるように落とした。
「む……」
沙耶香ほど女の装いはないが逆に男性の魅力がランジェリーと交わりさながらアンドロギュノスのようだ。
愛那もお尻に顔を擦り付けた。ただし彼女はあくまで麗奈への演技もあり芝居に等しい。
「透子さん……」
「わかったわ」
透子のランジェリーはシンプルながら装飾は少ないがかえって“男性”を際立たせる。
男。
麗奈は男を意識した。それを知っているかはわからないが透子はふたりを愛撫し愛しはじめた。
「ん……」
「はあ」
「んん……」
中性的なレズビアンのように見え酔いが回りそうだった。くちゅ。わずかに女陰から淫らな音がした。
「センパイから」
「ハ〜イ」
「あらあれだけ怖かったスケバンな早紀センパイが可愛らしい」
「もう」
会話だけ聞けば女性同士と変わらない。ふたりの距離は近いのだとわかる。

No.315 18/07/04 12:34
作家 

麗奈の見たところ沙耶香ほどに女性経験はないようだけど……。
チラッと互いの目が合う。沙耶香を意識してる。
いない相手を意識させるくらいに沙耶香は大きな存在になったのかしら。
業界内、女装雑誌やAV業界そしてマスコミに波紋が広がっている。
流菜や新星出版社はやり過ぎている。
「やらせて」
早紀からスカートを脱がしゆっくり抱いていく。
「む」
早紀は早々と沙耶香への気持ちを振り切ったのか。愛那は少し気にする素振り。
透子は早紀の陰部へ愛撫しながらも自らの勃起は隠れて見えない。
なんなのかしら。
アルコールを口にしながら目の前の淫靡な光景から目は離せない。いや離さない。
「ん……」
「やらせて」
早紀は透子に愛撫を返しクンニ、フェラへと変わる。
ずるいと愛那は言いながらちょっとのけ者。
3Pは難しいんだから。
沙耶香はソフトサディストで神無月社長に女王様候補のひとりとして認められている。
「んあ……」
責められた透子は声を上げ悶えた。ぴちゃぴちゃと淫靡な音が広がる。
うふふ。
いいな。
リードする早紀、後追いする愛那。
まだ透子は二人を支配しきれてなく互いに綱引きのように引っ張りあうような行為。
沙耶香……。
彼を思う麗奈はとろんと蕩けた瞳をし見つめた。
その頃沙耶香は……。

No.316 18/07/06 09:06
沙耶香(女装) ( DQITnb )

麗奈が複雑な心境の頃、新星出版社にとある動きがあった。
サインをください、と流菜は神無月恋社長に書類を求めた。
なにかしら?
何のサインかと疑問が生じた時には彼女はスタンガンで気を失い意識をなくした。
流菜は言う
「これからこの会社は私のものですから」
ほくそ笑む。
サインされた書類は会社の権限を流菜に委託するものだった。何人かの株主にも手は回してある。
ハイヤーを呼び流菜は気を失った恋を運んだ。少々重いがプレハブに彼女を運んだ。
「沙耶香さんにお土産よ」
「神無月社長!?いえ双子の……」
驚く私を尻目に流菜は恋のスーツを脱がし縄で縛り手錠で拘束した。
「ん……」
「神無月社長、いえ恋さん……」
「んぅ……」
流菜は下着から胸を出して沙耶香の身体に恋の女体をくっつけた。
「ん……」
「ちょっ……」
「ん……さ、沙耶香さん?流菜、あなた!?」
私の声に気づいた恋は自分の事態に気づいたが時すでに遅い。
「あなた何を」
流菜は先ほどサインした書類を見せつけ勝ち誇る。
「会社は私のモノとなりました」
さらに恐ろしいことを伝えた。
「沙耶香さんの子どもを神無月恋社長に孕ませてあげる」
ふたりして青ざめた。
そして雑誌発売日。
紗耶香をモデルとした新星出版社、早紀がスカウトした透子をモデルにした双星出版社。
出版社は方向性がちがっていた。
新星出版社はSMを主体に沙耶香をモデルに、かたや双星出版社は透子の若さや新鮮さを魅力に出していた。
はじめは新星出版社がリードしたが後半は双星出版社が盛り返した。
勝負は五分五分というよりわずかに透子は負けた。
麗奈は思う。
流菜は沙耶香の魅力を不完全なままメディアに出したが反面不完全ままでも沙耶香のままなのだ。
しかし沙耶香を取り戻さないといけない。そこへ電話が入った。
『もしもし』
」お姉さ……流菜さん!?」
『勝負は痛み分けかしら』
言葉を返せない。そこへ流菜はとどめの一言を放つ。
『沙耶香さんは私たちの社長と子作りをするわ』
「なんですって」
『出産は来年の春頃かしらね』
そこで電話は切れ言葉を失った。
あまりの言葉に麗奈は身体が震えていた。

No.317 18/07/09 16:47
沙耶香(女装) ( DQITnb )

流菜は可能な限り社長不在のアリバイ作りを徹底した。
株主に手をまわし不在の際に自らが社長代理をつとめること社長付きのメイドにもとりあえずはうまく言いくるめた。
あとは自らの家に運び沙耶香との淫らな日々を過ごさせればよい。
おおざっぱかつ大胆だが、会社では社長代理を演じるつもりだが表向きは普段の自分を演じた。
その頃沙紗耶香は……。
またしてもオナホールが音もなく割れながら性欲や麗奈への思いを抱きながら理性をかろうじて保っていた。
車の音がし流菜が現れさらにその背後に神無月恋が現れた。
「社長!?社長の妹さん」
「ん〜ん〜」
猿轡をされた彼女は私のもとに並べられた。
「なんてことを」
「説得力がないわ。またオナホールを壊したのね」
「っ……」
流菜は語る。
「社長不在は社内や株主たちにうまく言いくるめたわ。沙耶香さん、そこらの人妻より神無月恋社長とセックスしたくない?」
魅惑的な表現のなかにあるなにか残酷な笑みに私は警戒した。
「なに考えてるの」
「あなたの考えてるとおりかもよ」
しかし流菜は丁寧なくらいに私と恋を扱う。猿轡を恋に使ったのは抵抗が激しいからという。
息遣いだけが荒く私は彼女に話しかけた。
「落ち着いてください。抵抗すればするほど立場が危なくなります」
「……うう」
頷くように慰められたことで恋はおとなしくした。しかし猿轡は外されない。
入浴はふたり同時。ただし私は両手足は自由だが、恋は手も足も縛られていた。
「足だけでも外してあげて」
わかったわ、と流菜は縄を解いて私たちの様子を見つめる。
恋の下着姿は神無月社長に瓜二つのように見えるがいくぶんなにかちいさい。身体がではなく気持ちぶんか。
シャワーを使い彼女をあたためた。
「ふしゅーふしゅー」
猿轡で息がまともにしにくいなかシャワーが身体をあたためる。
「猿轡までして」
少々どころかかなりやり過ぎな印象だ。
流菜はじっと見つめる。このままおとなしくしてた方が無難かもしれない。
「ん…ん…」
「私?私はできるから」
「ん……んん」
恋は私を気遣う余裕はできたらしいがこれからどうなるのか。
流菜は私と透子のとりあえずの結果について伝えた。
「結果は痛み分け。しかし沙耶香さんには作品も書いてもらうから」

No.318 18/07/10 03:29
作家 

流菜はまるですべてを仕切るかのように作品を書かせたり自ら不在な時は私に神無月恋社長の世話をさせた。
「猿轡は解いてもいいけど騒がせないで」
「……はい」
自分の内を抑えながら従順な振りをしながらも内にある“女王様”は目覚めていたかだおとなしい。
おとなしいのだ。
「はあはあ……」
猿轡を解かれた恋社長は流菜に反感の目を向けた。
「あなた、こんなことして……」
「立場がわかってないようですね」
スタンガンを見せ威圧する彼女の前に私は身体を盾にした。
「やめてください」
「あら、男なんだ」
「こんなことしてただですむと思うわけ」
恋の口調に流菜は言い返す。
「ただですまないのは社長かもしれませんよ」
夕食の用意をしますから、と彼女はプレハブから姿を消した。
安堵が宿る。
「なぜ脱出できるのに逃げないの」
「たしかに脱出はできますが二重契約で不利になるのは神無月社長や麗奈たちです」
「そのためにわざと人質に……?」
ちいさく頷く私だが同時に流菜が隠してある一面に気づく。
あの女性は私を憎みながらなにかを隠してもいた。
「夕食よ」
ミートソースのパスタだった。付け合わせにサラダもあった。
「食べさせてあげなさい」
「はい」
従順な振りをすることで身を守ることが大切。神無月恋社長に危害がいつ及ぶかわからない。
「……一流とはいかないけど主婦の味ね」
「む」
「黙って食べましょう」
主婦という表現に流菜がなにかムカついた印象があった感じだ。
そんな日々が何日か続く。
流菜は私と恋に互いの淫らな一面を見させていた。
恋は羞恥心に顔や身体を赤くした。若く美しい肢体を見せられながら涙腺から涙がこぼれる。
「ああ……」
「沙耶香さん見なさい。オナホより生身の方がいいでしょう」
「く……ハアハア」
男性の本能が再び芽生える。ただ狂暴ではなくただ普通の牡の本能。
神無月恋は一見姉である舞に似ているが妹なぶん性的経験は少ないのか。
魅惑的なショーツから淫裂から愛液が滴り汗や体液が身体を輝かせやらしい体臭が鼻腔を覆う。
「ハアハア……」
視姦されてる恋にどの程度プライドが残ってるかわからない。
だけど流菜はある考えがあるみたいにほくそ笑みした。

No.319 18/07/13 14:59
沙耶香(女装) ( DQITnb )

それからプレハブでの奇妙な生活が始まった。
流菜はなんだかんだで社長代理に新星出版社で落ち着いたようだ。
だが、態度から周囲の反発はあるようだった。
私は恋社長とプレハブのなかで生活をしていた。
時にオナニーの見せあい、唇を交わすだけ、互いにクンニやフェラチオをしたり時には腋やお尻の穴、足の指の間や裏まで舐めさせられる日々。
季節が夏になりプレハブは冷房が効いているが、互いに淫らな匂いがしていた。
執筆活動を私はしていた。皮肉にも流菜が与えた経験が短編ながら書けるようになったようだ。もちろんプロから見たら拙い表現などもあるが、女装者が女性に憧れ女装する悦びと性への興味を書いていた。
「沙耶香さん書けるのね。こんな状況で」
「ええ、恋社長のおかげでもあります」
流菜がいない昼間はふたりで会話をしたり彼女がいなくても身体を触れ合わせていた。
「セックスしたい?」
「……思うけど」
私は“女王様”の私がおとなしいのだ。人妻たちはほんの時おり顔を見せにくるが、私の支配下から離れたはずなのに慕うように時々差し入れをしてくれ麗奈に会ってるようで彼女の近況を知らせてくれた。
「ありがとうございます」
「社長さんまで監禁するなんて」
「ひどい。抗議よ。警察に訴えましょう」
しかし私は断った。
何で、という人妻たちの疑問に答えなかった。
流菜は社長代理のまま帰宅し私と恋の様子を見つめた。
「おとなしいのね」
「む。訴えたらあなたはおしまいよ」
「恋社長」
私は彼女をなだめた。
しかし流菜は言う。
「沙耶香さんから醜い性欲を出してあげないと。エッチな小説を書いてるんだから」
流菜は恋に私を責めるように指示した。
「昼間にイカしてないでしょうね?」
「沙耶香さんが断るから」
そう、とわずかに驚きはあったようだ。性欲のまま沙耶香が恋を襲わなかったのは意外なようだ。人妻たちとはあれだけ身体を交わしたのに。
「フェラチオしてあげて」
「……はい」
恋社長は姉神無月舞と一見うりふたつのようだがおとなしい表情のまま私の陰部に吐息をかけ柔らかい掌で触れた。
「はあ……、ん……れろれろ」
「ん……」
「性欲はかなり溜まってるようね」
流菜の思惑は私や恋にはわからないが女の装いした私と恋社長の淫らな性交が始まった。

No.320 18/07/17 04:21
作家 

流菜に屈服させられた神無月恋社長は従わざるえなかった。
ちろちろと沙耶香のぺニスに愛撫しながら本心は怯えがあった。
会社が乗っ取られることがではなく沙耶香同様に自分の身に何があるかわからない怖さだ。
「ん……あ」
「ちゃんと舐めてあげなさい」
ああ、恋はちいさく呻きながらも男臭のする沙耶香のぺニスを愛撫した。オナホに一日中翻弄されすでに彼の肉棒はギンギンかつ堅く男性の匂いを放つ。
が、それでも顔は女性的で理性や理知的さは失われてないようだが額には苦悶の皺があった。
あとで事情を知ればほとんど一日中性的なことに食事と入浴以外は関わってたようだ。ある時は人妻たちにまたある時は大人の玩具あるいは寝てる時でさえ官能小説の朗読CDさえ聞かされていたという。
必死に理性を保っているのがわかる。これが性欲にあふれた十代でもはじめは天国でも地獄にいつかは変わるだろう。
「恋社長でも勃つのね」
「ああ……」
「ああ……イクっ」
敏感になりすぎた沙耶香の肉棒はすぐさま射精し恋の口内や喉、顔や髪を汚した。
はあはあと息遣いが荒い。一日中拘束され射精させられてるからだ。
流菜は言う。
「次は沙耶香さんがしてあげなさい」
クンニしなさいと抵抗する恋のスーツから太腿をを開かせるとそこには扇情的なショーツに包まれた秘部がありそこはうっすら沁みができていた。
「はあ……、はあはあ」
まるで盛りのついた雄犬みたいな沙耶香だが下半身は男性のそれだが、上半身は女性らしさがあり奇妙な魅力を放つ。
ん、と沙耶香が舌を這わすと恋は吐息や舌の動きに感じてしまった。
「ああ……ンン」
「はあ……れろれろ」
「ん……」
なんとなくだが恋はわざと沙耶香は耐えているように思う。
残してきたルームメイトのたも?姉のため?
わからないが耐えることで何かを掴もうとしてるのはたしかだった。
ショーツの上から淫肉やクリトリスを刺激されながら腰が動く。パンストを脱がされその美脚の蒸れた匂いがまた刺激する。
沙耶香は男性であり女性でもあるのだ。
れろれろ……。
舌の動きや息遣いが部屋の中に伝わる。
また流菜は思う。
忌々しい。沙耶香は私から何もかも奪おうとしているようだ。ご近所の仲間たちだけでなく今度は社長も。
言いがかりではあるが彼女の不器用さがあった。麗奈も取られる。

No.321 18/07/30 08:24
作家 

流菜の思いは徹底した私への逆恨みで成り立っているのかもしれない。
「フェラされるばかりでなくお返ししてあげなさい」
恋のフェラに感じていた私に流菜は彼女の腰を動かしスーツの下にある黒いショーツが扇情的に映り湿っていた。
「きゃ」
「社長もひとりの女ね」
「流菜さん……」
スーツの上から恋の腰を撫でるように掴みストッキングやお尻を愛撫した。甘い声が響く。
「ん……ああ」
「ん……れろれろ」
「ああ……ン」
流菜はプレハブでの性行為を支配者のように見つめる。ふんと鼻が鳴った。
「ああ……やめ」
「恋社長、いまは我慢して……」
神無月舞にくらべたらひとりの女性として儚げや脆さがあったようだ。スカートとストッキングを脱がしていくと姉舞とはちがう女性の匂いがした。大人っぽいというよりわずかに少女らしさの酸っぱい感じがあった。
「ああ……」
黒いショーツのクロッチには淫裂の膨らみが見えやらしく見えた。
「ああ……」
はむ、と私は甘噛みしながら滴る愛液を太腿や足を舐めた。
「ン……ああ…ンん」
「はぁ……」
「フェラしてあげなさい社長」
はい、と恋は頬を薄く赤く染めながら私のペニスに口をつけた。
れろれろくちゅくちゅ。
「ん……」
びくんびくんとショーツの脇から元気な肉棒が姿を現して彼女の口内に触れる。
「ああ……」
「ン……」
互いに69のまま身体を交わして手足がその都度揺れていく。
恋は思う。
このまま流菜により沙耶香に犯されるのだ。
なんのために?もちろん流菜の麗奈や沙耶香への復讐のためだ。
「ん……あ」
いつの間か沙耶香は恋のショーツの上から淫豆や淫唇を襲う。女装した男性ではあるが隠微な雰囲気があった。
すごい……。
ショーツの内からびくんびくんと肉棒を揺らし口や指で淫豆や淫唇を支配していく。
えっちだ。
もちろん自らも官能女装雑誌の社長でなれているはずだが、実際の行為はそれを越えていた。
「社長、沙耶香さんの助手でもアシスタントになって満足させなさい」
流菜は冷たく言い放つ。
「く、そんな……」
恋とてプライドや誇りは人並み以上にあるが、反面その魅惑的な誘惑に駆られるおもいもあった。
「ああ……んん」
沙耶香の責めは自らのクリトリスやオマ○コを襲う。サディストの気配があった。

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