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雨が降っていた2

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パンダっ子( FWvYnb
18-07-29 11:09(更新日時)

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以前「雨が降っていた」を投稿していた者です。


こちらの都合で中途半端になってしまっていました。読んでくださっていた方がいたらごめんなさい。

新たにこちらで続きを書きます。
どうか引き続きよろしくお願い致します。

No.2519090 17/08/21 00:20(作成日時)
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No.1 17-08-23 01:44
パンダっ子 ( FWvYnb )

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その日から私達は一緒に暮らし始めた。新たな住まいを決めてからにしようと思っていたけれど、友香が『もう離れたくない』と言い出して家に帰ろうとしなかったし、私も友香を帰したくなかった。

二人で家を探して、家具や食器も買い足して、麻耶に手伝ってもらって引っ越しも済ませて、そのどれもが楽しかった。

お嬢様育ちの友香に家事が出来るのかと心配したものの(何せ家には通いの家政婦さんがいたらしい)それは杞憂に終わった。友香がその家政婦さんに家事を教わっていたからだ。留守がちの母親よりもずっと親切に教えてくれたと、友香は笑いながら言った。

新しいマンションで、友香とずっと一緒にいられて、唯一の不安材料の美咲も目の前から消えてくれて、最高の気分のまま季節は冬に移っていった。

意外にも美咲は約束を守って、二度と私達に関わって来なかった。引っ 越しに追われている最中に、光流から美咲が夫について上海に行ったと聞いた。その話を友香にすると、彼女は私を抱き締めて言った。
「もう何も心配要らないね。」
その時の友香の笑顔に、私は心の底からほっとした。

クリスマスを恋人と過ごすのが夢だった私は、小さな子供みたいにその日を楽しみに待った。帰るのが一緒の家でも、オシャレをして外で待ち合わせをして、気取った店で食事をして・・・
そんなクリスマスに憧れていると話したら、友香はそういうクリスマスにしようと言ってくれた。

No.2 17-08-26 01:46
パンダっ子 ( FWvYnb )

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ホテルのフレンチレストランは恋人達や夫婦に見えるカップルで溢れていた。女性二人組の私達は少し浮いている。

でも流石はクリスマスイブの夜だ。みんな二人だけの甘い世界に浸りきっていて、私達に視線を送る人なんていない。おかげで友香と素敵なディナーを楽しむ事が出来た。

普通の恋人達なら、この食事の後にホテルの部屋でロマンチックな夜の締めくくりが出来るのだろう。
もちろん、私達だってそうしたければそうしたって構わないのだ。

だけど明日の朝、チェックアウトの際に周りを意識せずにいられるだろうか?
『あの人達、夕べ二人でここに泊まったの?クリスマスイブに?』
そんな声が聞こえて来そうな空気に耐えられるだろうか?

それに大学の子がいるかもしれない。食事をしただけなら何とも思われなくても、クリスマスイブにホテルに二人で泊まったとなると噂の的にされかねない。

二人が穏やかに暮らして行く為には、どんな小さなリスクも冒せないのだ。

私はそれでも全然平気だ。今この場でプレゼントが渡せなくたって、ホテルの部屋に泊まれなくたって、友香とこうしてここにいる事が私にとってどれ程幸せな事だろうか。
しかも今は一緒に帰る家まである。プレゼントの交換も、ハグもキスもセックスも、二人のあの部屋で思う存分に堪能できる。


No.3 17-08-26 12:10
パンダっ子 ( FWvYnb )

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「友香、今日はありがとう。私の我がままに付き合ってくれて。」
帰り道で並んで歩きながら、私は友香に感謝を伝えた。

「いいの。私もこういうのに憧れてたから。クリスマスに好きな人と一緒にお出かけなんて、嬉しいじゃない。」
そう言う友香はニコニコしていて、確かに嬉しそうだった。

「え?だって・・・」
美咲とはどこかに行かなかったの?
なんて言えない。口ごもってしまった私に友香は微笑みかけた。

「あの人とは一緒に出かけたりしなかったもの。ごはんを食べに行ったり、お茶さえ飲んだこと無いのよ。だから私もこうしていられて嬉しいの。」
「そっか、ならいいんだ。」

何となく優しい気持ちになった。二人の目が合って微笑む。マンションに着くまで、口数は少なくなったけれどその分幸せな空気が増した気がした。

マンションに着くと、正直ほっとした。コートも脱がないうちに友香が手を繋いで指を絡ませてくる。
「二人で出掛けるのはいいけど、手も繋げないのは切ないよね。」

耳元で囁きかける友香の声が、香りが、私の思考を痺れさせていく。私は友香を抱きしめた。
「だから、こうしていられることがこんなに嬉しいんだよ。」
友香は抱き合ったまま何度もうなづいた。


No.4 17-08-26 17:33
パンダっ子 ( FWvYnb )

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しばらく抱き合った後で、着替えをしようと自分の寝室に入ると、ベッドの上に大きなクマのぬいぐるみが置いてあった。背中を壁に押し当てて組んだ前脚の上にラッピングされた箱が置いてあった。

思わず笑顔になって、クマの持っていた箱を取り上げた。ぬいぐるみの頭を撫でる。それは友香が大事にしていて、実家からわざわざ持って来たものだった。

箱のラッピングを丁寧に解くと、箱の中には石(多分ダイヤ)の付いたピアスが入っていた。メッセージカードもついている。
「すごい・・・キレイ・・・」
思わず声とため息がもれた。友香のセンスは本当に良い。

メッセージカードを開く。何だかドキドキした。メッセージカードなんて、貰うのは初めてだ。
『 メリークリスマス 琴乃
あなたと一緒にいられて、私はとても幸せです。
愛しています。心が痛い程に愛しています。
友香 』

私はカードを胸に押し当てた。静かな感動にも似た感情が、身体の内側から湧き上がってくる。
クマのぬいぐるみを抱き上げて、友香の寝室をノックした。


No.5 17-08-27 03:10
パンダっ子 ( FWvYnb )

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ドアを開けると着替えたばかりの友香がこちらを振り返った。
「友香のメッセンジャー君が帰って来たよ。」
友香が私からぬいぐるみを受け取り、ギュッと抱きしめた。

「お帰りなさい。ちゃんと琴乃に届けてくれた?」
「大丈夫。ちゃんとお仕事したよね。」

友香がぬいぐるみを元の置き場所に戻した。
「友香のプレゼント、凄く嬉しい。本当にありがとう。私も友香にプレゼントがあるの、受け取って。」

私は以前友香が欲しがっていた靴を用意していた。私もカードを入れている。友香が喜ぶ様子は見たいが、目の前でカードを読まれるのは照れ臭かった。

No.6 17-08-27 15:57
パンダっ子 ( FWvYnb )

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友香は私のプレゼントを気に入ってくれたようだ。目をキラキラさせて、私を見た。
「ありがとう!欲しかったの、これ!」
「良かった。友香が先に自分で買っちゃわないかハラハラしたよ。」

友香がメッセージカードを開けた。裸を見られるよりも恥ずかしかった。もっとも、友香には何度も裸を見られているので少し慣れが生じたのかもしれなかった。

『 メリークリスマス
初めてのクリスマスですね。これからも、ずっと一緒にいたいです。
色んな記念日を、二人で過ごしていこうね。
琴乃 』

私のカードを読み終えた友香が、飛びつくように抱き付いてきた。
「もちろんよ。ずっと一緒よ。私、あなたともう離れられないんだから。」
「私もよ、友香。愛しているわ。」

友香の瞳が潤んでいる。見つめ合った私達は静かに唇を重ねた。触れるだけの、優しいキス。何度も味わったはずなのに、いつも蕩けるような快感をくれる、至福の時。

押し倒してしまいたいのを堪えて、一旦身体を離した。一緒に暮らすようになってから、性急なセックスは減っている。行為自体は濃密であることに変わりはないけれど、シャワーも浴びずに交わる事は無くなっていた。

「ね、早くお風呂入ろう。」
急かす友香が可愛くて、また押し倒してしまいたくなった。

No.7 17-08-27 18:13
パンダっ子 ( FWvYnb )

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お正月は実家には帰らない予定になっていた。成人式に合わせて帰るつもりだからだ。母はやっぱり文句を言ったが、帰らない訳ではないと言ったら納得してくれた。

「お正月、私とおばあちゃんの家に行かない?」
友香から誘いがあったのは、クリスマスの次の日だった。
「母方の祖母なの。伊豆の家におじいちゃんと住んでいたんだけど、おじいちゃんが亡くなって今は一人だから、お正月くらい一緒にいたいと思って。」

「友香のお母さんは行かないの?」
「母は行事とか関係なく行っているの。忙しい人だから、自分の体が空いた時じゃないと駄目なのよ。」
それもそうか。母親も一緒なら私を誘ったりしないだろう。

「私が行ったらお邪魔じゃない?家族水入らずなのに。」
「いいの。私とおばあちゃんだけだし、おばあちゃんはお客さん大好きだから。凄く優しい人よ。私の唯一の理解者でもあるの。」

友香の家族に会うのはやっぱり気が引ける。だけど、夏に約束していた旅行も引っ越しなどに追われて行けなかったし、クリスマスは私に合わせてくれたのだから、今回は友香に合わせるのもいいかもしれない。

「じゃあ、お邪魔じゃなかったら一緒に行きたいな。」
友香はホッとしたように、弾けるような笑顔になった。


No.8 17-08-28 01:41
パンダっ子 ( FWvYnb )

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伊豆にある友香の祖母の家は、小ぶりな洋館程の佇まいだった。
「凄っ!ホテルみたい。」
私は呆気に取られてその建物を眺め、その後でちらっと友香に目をやった。この子、どんだけお金持ちの家の子なの?

車で迎えに来てくれた執事の辻岡(つじおか)さんが荷物を出してくれていた。執事までいるなんて・・・私はもの凄く気遅れを感じ始めていた。
「どうぞ、入って。」
友香が先に建物の中に入って行く。
私は軽く深呼吸をして後に続いた。

居間に通されると友香の祖母が私達を温かく迎えてくれた。
「あら、いらっしゃい。寒い中よく来てくれたわね。」
「初めまして。宗河琴乃といいます。友香さんと仲良くさせてもらっています。本日はお招きいただきありがとうございます。」

一息に言って頭を下げた。顔を上げると、柔らかな笑顔を浮かべる老婦人が私を見ていた。若い頃の美貌の残滓がいまだに残る顔、背筋の伸びたしなやかな立ち姿、優雅な物腰。
黒目がちの大きな目と、唇の形が友香に似ていた。

「お招きだなんて、そんなに身構えなくて良いのよ。今年は友香と琴乃さんが居てくれて、賑やかに新年が迎えられそうだわ。」
人懐こい笑顔も友香に似ている。
友香がこの人を大好きと言った理由が一目でわかった。

「まずは荷物を置いて来るといいわ。部屋は一つでいいと友香に聞いていたのだけど、琴乃さんはそれでいいの?」
何も聞いていなかった私は隣にいる友香に目をやった。友香は軽くうなづいた。

「あ、は、はい。私は構いません。ありがとうございます。」
「そう。じゃあそうして頂戴。金井さん、二人の部屋に案内してあげて。」
金井さんと呼ばれた中年の女性が、私達の鞄を持って二階に案内してくれた。この家にはさっきの辻岡さんと友香の祖母の世話をする金井さん、それから料理とガーデニング担当の長谷川さんがいた。長谷川さんは通いで、辻岡さんと金井さんは住み込みで働いていた。

No.9 17-08-28 22:29
パンダっ子 ( FWvYnb )

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荷物を置いて金井さんが去って行くと、私は気になっていた事を友香に聞いた。

「友香、二人一緒の部屋はマズくない?さっきはつい大丈夫とか言っちゃったけど・・・」
「大丈夫だよ。だっておばあちゃん知ってるもの。」
「???何を?」
「だから、私達の関係。」

「ええ⁈‼︎‼︎‼︎」
今年最後にこんなに驚く出来事があるなんて、想像すらしなかった。
「友香の一番の理解者ってこういう意味だったのね・・・。」
何も知らずに顔を合わせてしまった私は、今更ながらに恥ずかしさで顔が赤くなっていた。

「それなら言っておいてよ・・・。」
思わず手で顔を覆う。ベッドに座り込んでしまった。
「だって、言ったら琴乃、来ないでしょ。琴乃をおばあちゃんに会わせたかったの。私が世界で一番大好きな人を、見て欲しかったのよ。」

そうか・・・家族が理解してくれているなんて、嬉しいよね。だから、会って欲しいって思ったんだよね。

「そう・・・そうだよね。確かに私、それを聞いてたら来なかったよ。心の準備が必要だからね。」
「ごめんね。」
友香が私の隣りに腰かけて、そっと肩に手を置いた。

「いいよ、もう。来てしまったし、挨拶だって無事に終えたしね。それより、そんなに年配の方が私達を理解してくれている事の方が驚きだよ。」
家族が同性愛を理解してくれる。それは私の憧れであり、理想だ。

私は友香が羨ましくなった。そんな理想を容易く手に入れた友香を。
「お祖母様、私をどう思ったかな?友香に相応わしくないと思われたらどうしよう。」

「大丈夫だよ。おばあちゃんは気に入らない人にはあんなにフレンドリーに接したりしないもの。」
友香の祖母の笑顔を思い出した。とても柔和な表情、私は気に入って貰えたのか?

No.10 17-08-29 00:11
パンダっ子 ( FWvYnb )

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なんだろう。麻耶以外に事情を知る人なんて初めてだから、どんな風に接していいのか分からない。
しかも、それは友香の祖母なのだ。
「普通にしてて。」
友香が私の心を見透かしたように言った。

「難しいかもしれないけど、普通にしてくれないかな?みんなで楽しく、新年を祝いたい。琴乃が嫌なら部屋も別々にしてもらう。変にベタベタもしない。だから・・・」
友香は必死だ。可愛い。友香はきっと大事だから、おばあちゃんも私の事も、大事だからこんなに必死なのだ。

「分かった、分かったよ友香。私、器用じゃないから、ボロボロかもしれないけど、私だって楽しくしたいもん。友香のお祖母様と仲良くしたいもん。部屋だって、このままでいいよ。せっかく夜を二人で過ごすチャンスを、逃す手はないよ。」
にやっと笑いかけると、友香も笑顔になった。

「それにしても・・・この部屋もホントにホテルみたいだよねー。」
キョロキョロと部屋を見回してしまう。ベッドが二つ、テーブルにソファー、シャワー室にトイレまである。完全にツインの部屋だ。
「おばあちゃんがホテルみたいな家に住みたいって言ったら、おじいちゃんがこういう作りにしちゃったんだって。おばあちゃん、愛されてるよねー。」

愛していても、してあげられる事には限界がある。友香の祖母が自分と同じ待遇を私が友香に与えられると思っていたら、そんなのは無理だ。
友香の祖母が、そこまでを理解してくれているのならいいのだけれど・・・。

不安を払拭するように、友香を引き寄せてキスをした。
私の大胆な行為を、友香は戸惑いつつも受け入れた。
長いキスの後、見つめ合って笑う友香はいつものように美しかった。


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