ショクガンウォー!☆
バンダイキャンディ事業部からのミニプラ、アクションフィギュアなど、カバヤからのほねほねザウルス、トランスフォーマーガムやブレイブガムなど食玩たちを愛する者が競い戦う物語。
16/09/29 08:46 追記
物語内の改造はフィクション(架空)と思ってください。なかにはとてもできない例や突拍子ない破天荒なことと思います。
本気になさらないでください。
16/11/01 07:14 追記
物語の流れは『プラモ狂史郎』に沿っていますことをご了承ください。
場合によれば間々にオリジナルな展開を考慮します📝。
- 投稿制限
- スレ作成ユーザーのみ投稿可
いつもの放課後、小学校では掃除当番をする子や誰よりもいち早く帰る子達がいる。
タロウ 「今日はミニプラのトウサイジュウオーの発売日だ!急がなきゃ!」
女の子 「太郎くん、あなたは掃除当番でしょう!」
クラスメートの女の子に背中を捕まりあたふたしていると、ライバルの四角山タスクと緒巻吉太(おまけきった)がすかさず教室から走っていった。
タスク 「ざんねんだな、タロウ」
吉太 「お先に失礼しますね」アハハ
タロウ 「くっそ、負けるかよ!あいて!」
あとを追おうとするがクラスメートの女の子たちにどつかれ睨まれる。
コラ、掃除をサボらないのと。
いつの時代も女の子は強くこわいのだ。
放課後、いつもの行きつけのスーパー『食がスキ』は生鮮品や日用品、雑貨などは豊富だが、地元の子どもたちに特に人気あるコーナーがある。ゲームコーナー、いやいやちがう子どもたちのお小遣いで買える夢の玩具“食玩”である。
が、夢に破れる子どももいる。タロウだ。
タロウ 「ああ〜、キューブウルフだけない」
タスク 「残念だったな。キューブウルフは俺さまがいただいたぜ」
吉太 「食玩のアソート(割合)はメーカーによりますから」
タスクの嫌みな笑いと吉太の解説が嫌味に胸に傷つく。
食玩のアソートとは割合のこと。なぜか割合が少なく設定されているのだ。
タスク 「じゃあなタロウ!」
タスクと吉太は颯爽と自転車で駆けて去っていった。放課後と変わらないがくやしさはあった。
タロウ 「キューブウルフください!」
パート 「すまないね。ないよ。在庫を見たけどまた今度だね」
ガクッとわかりやすく首と肩を落としていると、オーナーの植岩が太った身体で話しかけてきた。
植岩 「やれやれ、済まなかったな太郎」
タロウ 「オーナー」
植岩 「けっこう人気ある食玩ははやくなくなるからな」
とほほ、とつぶやく彼にはなんの慰めにはならない。
植岩の娘であり同級生である碧が慰めた。
碧 「タロウくん元気だして」
タロウ 「ああ」
植岩 「タロウ、今度の土曜日にお前の自慢の食玩を持ってこい。タスクたちにも言ったんだが、食玩を存分に発揮できるモノが上にあるんだ」
その言葉にタロウは驚いた。
タロウ 「なんです、それは!?」
植岩 「いやいやまだヒミツだ。土曜日になってからのお楽しみだ」
オーナーが指差したスーパーのスペースは植岩親子三人が住む居住スペースだ。
碧と幼い頃から何度か遊びオーナーの食玩コレクションや改造フィギュアなど飽きるほどに見せられていたが。
タロウ 「ヒミツてケチくさいな」
植岩 「タスクたちにだって負けたくないだろう。あいつらは来ると言ってたぞ」
タロウ 「わかったわかった。来るよ!」
タスクたちと聞いて食玩好きの少年は負けずにはいられなかった。
タロウ 「じゃあなオーナー、碧ちゃん!」
手には今日買った食玩が入ったスーパーの袋を手にしながら少年は帰っていった。
ひとは彼をショクガンタロウ、またはショクガンヤロウと呼ぶ。
碧 「うふふ、タロウくんたち嬉しそうだったね」
植岩 「これで食玩はさらなる高みになるさ。メーカーにもあの子達にも」
碧 「あたしに見せてよ」
植岩 「まだまださ」
含みのある父の笑みには少年らしい面影が残っていた。父もまた食玩を愛しているのか。
そして土曜日、タロウは自宅からスーパー『食がスキ』に走っていた。
タスク 「遅いぞタロウ」
植岩 「来たなタロウ。よし、さっそく7階に向かおうか」
タロウたちは顔を見合わせた。確か六階が碧たちの居住スペースであり記憶によると7階は物置になっていたような思い出があった。
タロウ 「なんなの?」
碧 「ナイショ、もうすぐわかるから」
碧の耳に囁く声を気にしながら階段を上がっていく五人。少年たちの手には食玩を入れているケースやカバンがあった。
7階に着いて植岩オーナーは闇の中に少年たちを案内した。
瞬間、太陽のような輝きが彼らの目を覆った。
うわっ!?
タロウ「な、なんだ!こりゃ」
タロウたちの目の前には巨大なスクリーンやコンピューター、バーチャルリアリティで見かける似たようなヘルメットやシートが7階のフロアーにあった。それはまさしくSF映画のようであった。
吉太 「バーチャルリアリティのヘルメット、レシーバー内蔵。それに大容量のコンピューター。なんですかこれは」
植岩 「あっはっは!これは食玩を本物のアニメや特撮のように動かせるシミュレーションさ!」
タスク 「シミュレーション?つまり仮想現実のなかで?」
植岩 「そうさ。さて説明はおいおいするとしてみんなの食玩を見せてもらおうか」
タロウ 「なら俺からだ!俺はコイツだ」
タロウ:アサルトキングダム第1弾 ファーストガンダム アルティメットオペレーション第9弾 セイラ専用Gファイター
タスク 「ガンダムか。なら俺はこいつだ!」
タスク:アサルトキングダム第2弾 シャア専用ザク
吉太 「ボクはこれです」
吉太:全速前進ゴーカイガレオン
植岩 「ほほう、ここ数年の食玩だな。さすが男の子だな」
碧 「ガンダムに戦隊と定番ね」
ガンダムや戦隊モノの食玩は男の子がプラモデルにハマる前の段階でもある。
食玩ファンやマニアからモデラーになる者たちは現実に多くいるのである。
植岩 「このシミュレーションは食玩フィギュアを本物のアニメや特撮のように君たちが動かせるんだ」
植岩オーナーの説明を聞いてタロウたちは聞いた。
タロウ 「つまりはこのガンダムも?」
植岩 「そうだ。だけど出来映えや操り方しだいではザクにガンダムが負けることもありうるんだ」
タロウ 「」ヒエッ
タスク&吉太 「」フフフ
四人はそれぞれ巨大モニターの前にあるシートに座りバーチャルリアリティヘルメットをつけた。四人の少年少女たちはこれから始まることにドキドキと胸の動悸が内にあった。
オーナー植岩の声と共にシミュレーションがスタートした!
植岩 「ショクガンシミュレーション、スタート!」
四人の意識は仮想現実の世界へ飛んでいった……。
…
……
………
タロウの意識が目覚めるとかつてアニメで見たことがファーストガンダムのコクピットにいることに気がついた。
タロウ 「こ、ここは!?」
そこへ碧から通信が入りサブモニターに彼女の姿がアニメのセイラ・マスのように見えた気がした。彼女の搭乗機体がタロウが持ってきたセイラ専用Gファイターとわかる。
碧 「タロウくん聞こえる?いまあなたはファーストガンダムのコクピットの中にいるの。そして目的地は小惑星Bに向かってタスクくんたちと戦うの」
彼女の説明を聞きながらファーストガンダムは左右の足を踏み込み歩みを進め背中のスラスターを噴かして小惑星Bに向かった。
燃え上がれ 燃え上がれ 燃え上がれ ガンダム〜♪の主題歌が脳内に流れる気分だった。
小惑星Bに着いた時だった。瞬間、バズーカの発射音が小惑星の大地に爆ぜた!
タロウ 「うわっ!なんだ」
タスク 「俺だ!赤い彗星シャア役はこの俺様だ!」
タロウ 「タスク!?」
タスク 「もう一発くらえ!!」
食玩であるアサルトキングダムのシャア専用ザクがまるでアニメのザクのようにバズーカを発射すると中から本物の弾が出て地面が弾けた!
タロウ 「なんだと」
タスク 「まだまだ」
碧 「タロウくん、ガンダムからもビームが出るはずよ」
碧からの説明にタロウはガンダムを操りビームライフルを構えさせた。
瞬間、本物のビームがタスクのザクに向かった。
タスク 「やるじゃないかタロウ!だが、食玩の天才と呼ばれる俺様を舐めるな!」
ビームとバズーカが交錯するなかタスクのバズーカはガンダムのシールドを破壊した。
タロウ 「うわっ!」
タスク 「ハハハ!やったぜ」
タロウ 「なんの!」
タロウはやり返さんとばかりにライフルを撃ちまくると、ザクのバズーカを破壊した!
タスク 「野郎っ!!」
そこへ現れる巨大な紅の海賊船、全速前進ゴーカイガレオンの巨体であった。宇宙の星々を背景に吉太が海賊のキャプテンよろしく現れた。
吉太のアダ名はちなみにキッターだ。以後はキッターとも表示あり。
キッター 「タスク、ガレオンの内部におなじアサルトキングダムの量産型ザクに付属してるマシンガンを落とすよ」
キッターがそう言うと、本来はゴーカイガレオンの内部にはミニマシンのゴーカイマシン四台がある格納庫にザクマシンガンをはじめ各武器が格納されてた。ザクマシンガンがタスクのもとに落とされ受け取った。
マシンガンが火を噴いた。
タスク 「ハハハ!やったぜ」
タロウ 「うわっ!」
碧 「タロウくん、アルティメットオペレーション第9弾のガンダムのシールドがあったわ。代わりに使って!」
Gファイターの内部にもタロウが予備用にいれていたシールドを碧は放出した。
受け取るタロウ。
これで勝負は互角になった。
小惑星の上空ではGファイターとゴーカイガレオンが互いに戦っていた。
碧 「キッターが海賊なんて!」
キッター 「キャプテン・キッターと呼んでくれたまえ!」
Gファイターのビーム砲とゴーカイガレオンの砲が宇宙のなかでぶつかりあった。
タロウとタスクの戦いもまた熾烈を極めた。
タロウ 「しまった!弾切れか!」
ガンダムのビームライフルからエネルギーがなくなってしまった。とはいえ、小惑星の上空ではゴーカイガレオンとGファイター、地上ではタスクのザクのバズーカの猛攻。
タスク 「勝ったも同然だ!」
タロウ 「くっ!碧ちゃん、きてくれ!Gアーマーに合体だ!」
タスク 「なんだと!アサルトキングダムとアルティメットオペレーションで出来るわけないだろう!」
キッター 「えい!」
碧 「きゃああ〜!!」
ゴーカイガレオンの砲撃にGファイターは落ちてゆくが、そこにタロウのガンダムがいた。
碧 「タロウくんっ!?」
タロウ 「いまだ!」
失速するGファイターが姿勢を立て直した瞬間、一度Gファイターにガンダムがまたがった!
タスク 「にゃろう!」
キッター 「させるか!」
タロウ 「Gアーマーになるんだ!」
碧 「だけど!」
タロウ 「やるんだ!」
瞬間、ガンダムがジャンプしGファイターが前後に分かれた。
すると、ガンダムのバックパックが開きガンダムの頭部を収納した。その様子にタスクもキッターも驚いた。
タスク キッター 「なんだと!?」
下半身はそのまま後部パーツに格納され翼をつけたエンジンは後方に回転する。
ガンダムを挟んだままGアーマーへとなってゆく。
タスク 「これが食玩改造法だ!」
碧 「Gアーマーになっちゃった!」
キッターのゴーカイガレオンの砲撃にもGアーマーになったことで互いの装甲が補っているのだ。
キッター 「攻撃が利かない!?」
Gアーマーのビーム砲がゴーカイガレオンを襲い戦闘不能にした。
キッター 「」ヤラレタ
タスク 「ちくしょう!!」
ザクのバズーカの攻撃を防ぐ。Gアーマーは伊達ではなかった。
瞬間、再びGアーマーが分離しGファイターにガンダムがまたがった。
タロウ 「これで決まりだ!」
Gファイターからガンダムは飛び上がりタスクのバズーカをかわしながら仮面ライダーのようにキックを入れた!
小惑星の地面にシャア専用ザクはバラバラと散った。
タスク 「やったぜ!あらら、首のジョイントが……」ユルユル
タロウ 「へへ〜ん!やっぜ!」
タスク 「ちっくしょう!!」
ふたりの勝利と敗北の声が重なるなかシミュレーションは現実に戻っていった。
タロウ 「やったぜ!」
タスク 「なんてこった」
植岩 「ワッハッハ!みんなはじめてにしては上出来だったぞ」
7階にオーナーの喜びを含んだ笑みがこぼれる。そして彼は聞く。
植岩 「みんな、どうだった?食玩が本物のアニメみたいな動いたのは?」
タロウ 「最高だぜ!」
タスク 「負けた俺はとんだ迷惑さ」
キッター 「でもオーナーはなんでこんな大がかりな機械をつくったんです?」
植岩オーナーは子どものように自分の夢を語った。
「そうだな。想像したことはないかい?自分の手にした食玩が本物みたいに動く姿を。むかしの食玩はたいして出来がよくはなかったかもしれないがお手軽に手にしては遊んでは壊しの繰り返し、また修理や改造したり。想像の世界を実現したかったんだ」
ほぉ、と三人の少年たちが感心した時だった。シミュレーションケースをひとつひとつ見ていた碧の声が悲鳴に変わった。
碧 「きゃあああ〜!!」
碧 「ああ!?みんなのフィギュアが!!」
吉太 「タスクさんのシャアザクもタロウのガンダムもこわれている」
シミュレーションケースに入れていたそれぞれのフィギュアはシミュレーションと同様な部分が壊れていた。
タスクのザクにいたっては小惑星の大地に叩きつけられほぼ全身が破壊といっていい。
植岩 「シミュレーションの中では現実に起きたことと同じなんだ。いい加減につくっていればもろさがでるんだ」
植岩店長の声がタロウやタスクたちに伝わった。
タスクは思う。
タスク「(あの時、俺のザクはタロウのガンダムに……)」
キッと目を向けタロウの掌を握り言う。
タスク 「今度は負けないぜタロウ!」
タロウ 「俺もだ!」
吉太 「ボクも負けませんよ!」
碧 「あら、私もよ」
タロウ 「え、碧ちゃんも!?」
碧 「あら?タロウくんのためにミニプラキューブウルフを取っておいたのよ」
碧の手にはミニプラキューブウルフの箱がありタロウは目を輝かした。
タロウ 「ごめんよ!」
その日のスーパーの7階はいつまでも笑いがこだましていた。
その日、タスクが植岩の食玩の展示スペースに寄ると、タスクとキッターがまじまじとなにかを見ていた。
タロウ 「よ!なにみてんだ。こ、これは!?」
タロウが見たのは食玩とは思えないくらいスケールモデルなみにヴェザリングされた食玩の戦車だった。
タロウ 「す、すげえ」
タスク 「なんでも作ったのは大学生らしいぜ」
キッター 「大学生食玩モデラーですね」
すると、タロウは赤い戦闘機に目をやり言う。
タロウ 「お!こっちのはシャア専用か」
タスクやキッターはコケてしまいキッターは訂正する。
キッター 「それは第二次大戦で活躍したリヒト・ホーフェンカラーの戦闘機です。赤い彗星シャアのもとかもしれませんね」ハハハ
タロウ 「ほお」
植岩 「やってるなみんな」
タロウ 「店長」
植岩は戦車を手にとりみんなに言う。
植岩 「どうだみんなも。食玩にヴェザリングつまり汚し塗装やディテール勝負をしてシミュレーションをしてみるか」
タロウ 「やるさ」
タスク 「もちろん」
キッター 「ぼくも」
みんながやる気を出して頷いた。
こうして次の勝負が決まった。
タロウは食玩でどうみんなをあっと言わせるか悩んでいた。
タロウ 「う〜ん、どうしたらタスクをあっといわせることができるかな」
タスク父 「タロウ勉強してるのか?」
タロウ 「わっ!?ディス イズ ア ウルトラマン。これはウルトラマンデス」
タロウ父 「やれやれ、なんの勉強してるかと思ったら。食玩のことか」
タロウ 「あはは……」
笑ってごまかす息子に呆れながらタロウ父はむかしの食玩のことを話しだす。
タロウ父 「最近の食玩は凄いな。プラモデルやガレージキットなみだな。父さんもむかし食玩をつくってたんだぞ」
タロウ 「へぇ〜」
タロウ父 「むかしの食玩はデラックスの縮小コピーだったり可動はほとんどなかったりしたが想像力は膨らんだし改造のしがいがあったぞ」
タロウ 「ほえ〜」
タロウ父 「それで何を悩んでたんだ?」
タロウ 「食玩をどうしたら戦闘機や戦車みたいにリアルな塗装できるかと思ってさ」
息子の悩みを聞いて父は考える素振りをして自分なりの言葉を伝えた。
タロウ父 「戦闘機などがなぜ緑色に塗装されているかわかるかい」」
タロウ 「知ってるさ。上空から見れば森林などの緑と同化するからだろ」
タロウ父 「なんだ。知ってたか」
父の苦笑を見ながらあるひらめきがタロウの頭にあった。
瞬間的に何かがひらめいた!
タロウ 「そうか。これならタスクも驚くぞ!やった〜!」
タロウ父 「?」
父は怪訝な表情をしながら息子の部屋をあとにした。
そして対決の日が来た。場所はいつもの食玩シミュレーションの場。
植岩は今回はあることを皆に伝えた。
植岩 「今日は少し趣向を変えるぞ。みんなは目隠しをしてその後にシミュレーションスタートだ」
タロウ 「つまりみんなが作った食玩はわからないままスタートするということ」
植岩 「そうだ」
キッター 「碧ちゃんも作ったの?」
碧 「ウフフ、そうよ」
植岩 「さあ、みんなはシートに座って目隠しだ」
植岩の言う通りシートに座り目にはアイマスクがされた。タロウたちプレーヤーを心理的プレッシャーが襲う。
タロウ 「(みんなどんな食玩を作ったんだ。いやな予感がする……)」
シミュレーションスタート!の声が室内に響いた。みんなが叫び声をあげた……。
森林に現れたのはミニプラのジュウオウキング。カラーリングはディテールアップされている。プレーヤーはタロウ。
タロウ 「どうだ。ジュウオウキングのディテールアップ版だ!」
各部はいかにまジューマンワールドの未知なるテクノロジーで細かくディテールアップされて目を引いた。
タロウ 「さあ、最初の相手は誰だ!」
森林の向こうから木々をかき分ける巨大な影が現れた。
目をこらしてみると、トランスフォーマーシリーズ史上最大のトランスフォーマーフォートレス・マキシマスだった。
タロウ 「うわぁ!?フォートレスマキシマスだ」
キッター 「フフフ、ボクがフォートレスマキシマスで来るとは思わなかっただろう」
キッターの声が森に響きマスターソードが不気味に輝く。
ジュウオウキングは戦隊ロボで大きさは40メートルくらい、対してフォートレスマキシマスは1000メートルくらいの設定ではないか、タロウの頭に巨大なフォートレスマキシマスの巨大が揺らいだはずだった。
接近するフォートレスマキシマス……。不気味な足音……のはずだった。
タロウ 「あれ?」
キッター 「覚悟!」
タロウ 「何だ、少し大きいだけじゃないか!」
あたまひとつふたつ分ほどの大きさしかなくマスターソードをジュウオウキングのソードで受けた!
あることにタロウは気づいた。
タロウ 「DXトランスフォーマーガム第1弾のフォートレスか!?」
キッター 「やばっ!」
巨大なマスターソードがジュウオウキングを襲うが、ジュウオウキングもまた剣で受け止めた!
目の前のフォートレスマキシマスを見てあることに気づいた。
タロウ 「巨大に見えたのは足のパーツをオーバーパースにしただけじゃないか」
※説明 オーバーパースとは 近くのものはより近く、遠くのものはより遠くにする手法。この場合は足首をより太く巨大にし太ももになるほど細くしたとお考えください。要は下半身をデフォルメした改造。
キッター 「やっぱり、バレたけど負けるか」
タロウ 「正体がわかればかんたんだ!」
ジュウオウキングのソードを横に構えさせそのまま太ももに近いフォートレスマキシマスの足を切り落とした。
キッター 「やられた。けどまだまだヘッドオフ!」
タロウは思わず動きをピタリと止めた。
タロウ 「ヘッドマスターのフォートレスだけでは戦えないだろう」
キッター 「言うなよ!」
その頃、唯一の女の子の碧は洞窟をひとり進んでいた。そこに潜むフォートレスとは別な巨大な影。影は足音に気づいた。
タスク 「タロウか?タロウなら倒してやる」
タスクは気配を感じて巨大な影を動かした。すると悲鳴が上がった。
碧 「キャア!?」
タスク 「な、なんだ!?碧ちゃん。それは……」
碧の食玩は『仮面ライダーウィザード』放映当時のスタイルアクションのフレイムスタイルだった。
碧 「あたしウィザードの操真晴人くんが好きだから❤ヒーローらしいし」
タスク 「」タハッ!
タスクが操る巨大な影はずっこけてしまった。そこへタロウの声がした。
タロウ 「碧ちゃん助けにきたよ」
タスク 「来たか、タロウ!」
再びふたりの決戦の時はおとずれた。タスクの食玩は何なのか!?
森林を進むタロウのジュウオウキングの前に現れたのは、トウサイジュウオウの巨体だった。
こちらもジューマンワールドの未知のテクノロジーさをあらわしたディテールアップが施されなおかつデスガリアンぽさも加えられていた。
タスク 「ハハハ!待ちかねたぞ、タロウ」
タロウ 「トウサイジュウオウかよ!俺がこの前、手に入れそこなった!」
タスク 「くらえ!」
タロウ 「なんだ!?腕にキズが」
タスク 「キューブクロコダイルの歯にカッターを移植したのさ」
タスクの言う通り右腕のキューブクロコダイルの口内の歯は金属で輝いていた。
タスク 「くらえ!」
タロウ 「うわぁ!?」
キューブクロコダイルの歯でまわりの木々や岩が崩れジュウオウキングを襲う。
そしてトウサイジュウオウの必殺技がジュウオウキングに向けて放たれた!
タスク 「トウサイトリプルザビースト!」
トウサイトリプルザビーストの悪しき輝きがタロウのジュウオウキングを襲った!!
タロウの叫びが戦場にこだました。うわああ!?
タスク 「やったか」
おそらくこなごなに粉砕されたかダメージが軽かったとしてもキューブ形態になってるはずだが、なぜか噴煙が消えた地面にはジュウオウキングの破片やキューブ形態さえ見えなかった。
タスク 「なんだ!?どこにいった」
タスク 「どこにいった!?そこか!」
キューブクロコダイルの腕を地面に突き刺すが手応えがないのが苛立たせる。
その時だった!
3!2!1!とジュウオウキングへの合体コールが伝わった。
タスク 「どこだ!」
タロウ 「ここだ!よく見ろ!」
なんとタロウのジュウオウキングの背面は砂漠と同じ塗装が施され隠れていた!
そのままジュウオウキングの剣をタスクのトウサイジュウオウのキューブクロコダイルと右腕を斬り落とした!
タスク 「なんだと!地面の中から合体してたのかうわっ!」
タロウ 「キングソードジュウオウ斬り!!!」3!2!1!
タスク 「うわぁ!」
タロウ 「どうする!ライノスとウルフだけでまだ戦うか」
タスク 「」トホホ
戦えないわけではないがツノをなくしたライノスとキューブウルフだけでは負け意地を張るのはタスクは嫌だった。素直に敗北を認めた。
植岩 「ふむ、タロウのヤツ。背面を砂漠の迷彩塗装にするとはなかなかやるな!」
タロウ 「へへ〜ん!やったぜ」
タスク 「」オボエテロ!
だが、更なる強敵がこの後に待ち構えているのを彼は知らなかった。
今日は新作のミニプラのドテカイオーそして新規のスーパーミニプライデオンの発売日。
今日も少年たちは食玩を求めにやってくる。
一足先にタスクとキッターは二種類の食玩をフルコンプしてきた。
タスク 「やったぜ!ドテカイオーにイデオン!」
タロウ 「あっ!?」
キッター 「もうそろそろなくなるかもしれませんよ」
タロウ 「なんだって!?イデオンくださいください!!」
叫ぶ声は店長の声に脆くも崩れ去る。
植岩 「イデオンは売りきれました!!またの機会をご利用ください」
タロウ 「」トホホ
残念な表情をして帰ろうとするタロウを植岩は呼び止める。
タロウ 「なんです」
植岩 「ほら、懐かしい俺のコレクションだ」
六階にある植岩たちの居住部屋の一角にはさながら博物館のようにむかし懐かしい食玩が展示されるようにコレクションされてあった。
ヒーローモノ、ガンダム、カバヤのトランスフォーマーやダグラム、ボトムズ、勇者シリーズなどだ。
植岩 「関節などはユルくなったり劣化してるがその都度、補強してるから遊んだり展示くらいはできるぞ」
関節などは瞬間接着剤や内部を一度分解し重りを入れているようで、当時よりは劣化しているぶん補強が入り頑丈になっているようだった。
碧 「お父さんたら」ウフフ
タロウ 「すげえや。だけどいまの食玩もいずれは劣化するてことだね」
植岩 「もちろん余分に買って補強することもできるが、他のパーツから移植したり補強はできる。プラモと同じさ」ワハハ
タロウ 「でもみんながやったら店長のお店、食玩売れないぜ」アハハ
コイツ、と六階から流れてくる会話を影から聞いている謎の人物がいた。
? 「アイツがショクガンタロウことショクガンヤロウか」ククク
不気味な笑いをする少年であった……。
タロウ 「でもどうやって食玩を補強するかな」
自転車で帰り道をゆくタロウは考えることに集中していて目の前の相手に気づかなかった。
? 「あぶないっ!?」
タロウ 「」エッ コケッ!ドンガラガッシャーン!!
? 「だいじょうぶか、キミ」
タロウ 「いてて、ゴメン。よそ見してた。お兄さんこそ怪我ない?」
? 「ああ、なんともないよ」
タロウ 「お兄さんボクサー?」
タロウが見たのは汗をかいてた若いお兄さんだった。首にタオルをかけて走っていたようだ。
? 「ボクサーといっても趣味程度だけど」
この時タロウのあたまのなかにぼんやり食玩フィギュアたちが筋トレしてる姿があたまにあった。
筋トレはできなくても何か……、そうか!とひらめいた!
タロウ 「お兄さんゴメンなさい!またね!」
? 「(変わった子だな)」
そう思われてるのも知らずにタロウは走り去っていった。
そして再び戦いの日がやって来た。
そして再度の決戦の日。植岩のスーパー七階に集まるタロウとタスク。
タロウ 「あれ、キッターは?」
タスク 「あいつ風邪引いたんだよ」
タロウ 「相棒がいなくて残念だな」
タスク 「オレひとりで充分さ」
七階のシミュレーションルームにいくと見慣れないいかつい顔の少年がいた。
植岩 「紹介しよう。隣町の門矢アキラくんだ。タロウのウワサを聞いて挑戦してきたようだ」
アキラ 「よろしく」
タロウ 「ああ、よろしくな」
タスク 「よろしくな」
なんだか不気味な威圧感を持つ少年に思えた。それぞれの食玩を紹介しよう。
タロウ:FA(ファイティングアクション) ビートバスター
タスク:FA ゴーカイシルバー(改造:ゴーカイスピア付属)
アキラ:FA トッキュウ6号
植岩 「よし!シミュレーション開始だ!」
三人の少年たちが仮想現実の世界へ向かう!!
タロウ 「ビートバスター。マジイエローじゃないぜ」
ビートバスターのバイザーを上げながらタロウは笑みする。
が、戦いの場は夏の市街地らしく真夏のようだ。
タロウ 「あいつらはどこだ」
タスク 「ゴーカイシルバー!ゴールドモード!!」
突然、タスクの叫ぶ声が聞こえ向かうとゴールドモードに変身したゴーカイシルバーがゴーカイスピアを構えトッキュウ6号に向かった!
アキラ 「ふ、だいたいわかった」
タスク 「えい!」
瞬間、ユウドウブレイカーによりゴーカイシルバーがまっぷたつにされた!
タスク 「うわぁぁ……!」
タロウ 「タスク!!」
タスク 「た、タロウ……!こいつのユウドウブレイカーに気をつけろ……」
タロウ 「なんてこった。あのタスクが一撃なんて!」
フフフ、と不敵に笑うトッキュウ6号はまるで邪気を纏ったようにオーラを放ちユウドウブレイカーから電撃が流れていた。
タロウ 「なんだと」
アキラ 「トッキュウ6号の内部には小型バッテリーが入ってユウドウブレイカーと直結してるんだ」
タロウ 「な、なるほど……」
アキラ 「覚悟!」
タアー!と場所は突然、砂丘に移動した。東映ヒーローモノの食玩だからね(笑)。
アキラ 「砂漠か。だがお前の敗けだ」
タロウ 「なんの!モーフィンブラスター!!」
ユウドウブレイカーでモーフィンブラスターの射撃が弾かれる。
アキラ 「ふ、ショクガンタロウの腕もまだまだだな!」
タロウ 「そんなことはないさ!ドライブレード!」
ドライブレードとユウドウブレイカーがぶつかり合い斬撃の火花が散り合う!
アキラ 「ほう、やるな!ならこれはどうだ!」
ユウドウブレイカーの先端部分だけがジュウオウイーグルのイーグライザーのようにチェーン状になりタロウのビートバスターを絡め電撃を与えた!
タロウ 「うわわぁぁ〜!?」
アキラ 「やったか!」
タロウ 「うわわぁぁ〜!……なんてな!さほど痛みはないな」
アキラ 「なんだと!?」
タロウ 「このビートバスターの内部には紙粘土とゴムを組み合わせた軟質で中身を作っているんだ!それに見ろ!」
ずしーん!と砂地に響くビートバスターの重量を!
アキラ 「なんだと!?」
タロウ 「紙粘土の重ささ!これでもくらえ!モーフィンブラスター&ドライブレード!」
ブラスターとブレードの射撃と斬撃がトッキュウ6号を襲いダメージを喰らわす!
タロウ 「やったか!?」
フフフ、と不気味な笑みと共にトッキュウ6号のトッキュウスーツが外れていきその中からさらに不気味な姿が現れいつの間にか雨が闇のなかに落ちてゆく。
アキラ 「コイツはただのトッキュウ6号じゃないのさ」
タロウ 「その姿はザラム!?」
アキラ 「ご名答!これがコイツの真の姿さ」
ビートバスター対トッキュウ6号、いや怪人ザラムの姿となったアキラ!
互いにぶつかり合う!!
しかし!?
瞬間、シミュレーションは停止した!
アキラ 「なにをするんだ!まだ決着は!」
植岩 「キミは食玩をなんだと思っているんだ!シミュレーションは相手や食玩の出来を競うものだ!6号からザラムへの改造技術は認めるがやりすぎだ!」
しばらく黙るアキラ。
だが、くくくと不気味な笑みを口角にあらわしタロウを指差す。
アキラ 「だいたいわかった。今回はこれで満足しよう!だが、俺は諦めないぜ。食玩帝国『ディケイダー』は俺をはじめ今後、お前に挑戦する!!」
タロウ 「食玩帝国『ディケイダー』だと……」
アキラは背をみせ去っていった。新たな強敵の登場にタスク、そしてタロウは彼の背を見つめ震えがあった……。
その日、タロウはタスクや店長と共にショクガンホビーランド遊園地にやって来た。
なんでもタロウたちがショクガンホビーランド遊園地の食玩イベントにフィギュアを出品したらしいのだ。
植岩 「たいしたものだな。おまえたちの出品したフィギュアがイベントに出るなんてな」
タロウ 「ほらほら、早く行こうぜ」
こらこら、とたしなめながらイベント会場に向かうとひとだかりの群れでいっぱいだった。
まずタスクのフィギュアは航空機の食玩だった。アニメや特撮以外を作ることも彼はたしなんでいるようだった。
植岩 「ほほう、さすがはタスクだな」
タスク 「へへ、まあね。それよりタロウはどうなんだ?」
あっちさ、と指を差したのは例によってアニメや特撮部門のコーナーだ。
タスク 「またウルトラマンや仮面ライダー、戦隊か?」
タロウ 「これさ」
彼が出品したフィギュアはデカールを張られディテールアップしたアサルトキングダムをもとにしたガンキャノンだった。タスクの航空機に負けないくらいの出来映えである。
しかし、会場のとあるところからざわつきがあり行ってみるとそこには以前、出会ったアキラたちショクガン帝国『ディケイダー』のフィギュアが威圧感を持ち並んでいた。
タロウ 「こ、これは!?」
タスク 「な、なんて迫力だ!!」
アルティメットオペレーションのシャア専用ゲルググをはじめジオン軍のフィギュアが黒いカラーリングやディテールを放ちまさに悪の帝国のような威圧感を持っていた。
タスク 「ま、まったく気味の悪いやつらだぜ。フィギュアからも威圧感がたっぷりだ」
植岩 「こらこら、真の食玩モデラーはひとの作品をけなすものではないぞ」
ふたりの会話を苦笑し聞いているとふとアキラの姿が見えタロウは慌て追いかけた。
植岩 「タロウ!?どこへいく!」
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