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花火24

レス0 HIT数 1048 あ+ あ-

作家
16/09/09 14:53(更新日時)

「あー、俺たちの夏が終わるなぁ~。
マンディロンとして過ごしてから、3回目の夏が終わるなぁ~。」

柳之助は、ベースを片手に前のめりになり、深くため息をついた。

俺は、ギターを片手に、斜め後ろでドラムセットに埋もれている、裕太の方を振り向いた。
裕太も俺を見ていたらしく、一瞬、目があった。その顔は、少しあきれ気味だった。

俺は、柳之助の気持ちを、多少は分かってはいるけれど、気づいていないフリをして、スルーしていた。

夏祭り、かき氷、夏フェス、花火大会、
ビアガーデン、盆踊り、俺の頭のなかを
遠い日の記憶とともに、欲求不満気味の夏が駆け巡る。

柳之助も、終わりゆく夏に、未練たらたらなのかもしれない。

「圭介。ここをもう少し、こういうアレンジにベースはした方がよくないか?」

柳之助が、ベースを弾き、俺に聴かせる。

「そうだな。それで行こう!いつか、ベースソロの曲って良くない?」

「それ、良いかもな♪」

「圭介、ドラムも適当に叩くから、聴いてくれる?ここは、こういうリズム感で良いかな?」

裕太が、ドラムを叩いた。すげーカッコいい曲になっていく。

「オッケー!通しでやってみよう!」

俺たちは、アルバム制作に楽しく没頭していた。

やがて、窓の外に夕暮れのオレンジ色が、
広がっていく。
日が長い夏が終わり、しだいに、秋風が吹いて、季節の移り変わりを感じさせる。

「裕太、柳之助。今日は何の日だと思う?」

「忘れてないぜ♪夏の終わりの花火大会の日です。」

「行こう!行こう!行こう!」

俺たち三人は、片桐さんの困惑顔を想像しながら、裕太の運転で車を走らせた。
会場に近いコンビニで俺と柳之助は、つまみと缶ビールを買った。

橋の上は、人でいっぱいだったが、誰も俺たちのことは見ていなかった。
今日の主役は花火サマーなのだ!

「タマヤー。カギヤー。」

「なんだそれ?」

「裕太、知らないのか。花火のかけ声。」

「柳之助だけだろ。あっ!キレイ~!水上花火も良いよね♪水面に咲かせる花。」

「裕太の表現、今度の曲にいただき!
俺は、垂れサクラのような打ち上げて、
金色の帯が垂れ下がってくるのが好き!」

「俺は、派手なら何でもいいけど、夏の夜空に映えれば!」

柳之助は、人でいっぱいの橋の上で、夏の欲求不満が解消されたようで、満足顔だった。

No.2375352 16/09/09 14:53(スレ作成日時)

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