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花火9

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小説家
16/02/11 22:47(更新日時)

オレンジの三日月が綺麗な夜、俺と柳之助は、赤提灯を軒先に提げた、焼き鳥屋に入って、焼き鳥に舌づつみをうっていた。

お金が無いから、焼き鳥屋か立呑屋が俺達の定番になっている。

一人2000円以下のところをはしご酒して、たまにカラオケに行く。

「なぁ。俺達、地元から出て上京しようと思うんだ。それで、さっきの話しだが同居して、音楽に専念していかないか?やはり、上京して、初めてスタートラインに立つと思うんだよな。ここにいて、夢を追いかけてるのにも限界があるしな。」

ビールジョッキのビールを、一気に喉に流し込み、枝豆に手を伸ばしながら、柳之助が言った。

俺だって、夢を追いかけてる時から、上京のことは考えていないわけではなかった。
ただ、正直言うと、後戻りできなくなって、追い込まれた感が嫌なだけだ。

好きなことを仕事にした時の怖さが、俺の中にはある。

「俺だって、上京の件は考えてるさ。だけれども、上京した後の生活していけるかどうかだったり、俺達の音楽がどこまで通用するかだったりー。」

「大バカ野郎の長谷川圭介。って何回、言わせるんだ。俺は、全財産を音楽という夢にかける。例え、博打のようなものだとしてもだ。一度きりの人生、後悔してどうする?俺だって、不安が無いわけじゃない。ただ、デモテープを聞いて、先方が興味を興味を示してくれた。タイミング的にも、年齢的にも、今でしょ!だろ。」

その後は、いつもの音楽談義に花が咲いて、酒も進んだ。
そして、その中で、デビュー出来たら、
作詞長谷川圭介で、作曲大葛柳之助でいこうとか、バンド名は、あの頃と同じくマンディロンでいこうとか、そんな話しも出た。

「圭介。俺は、上京する期限を、来月末にしているから。そして、俺が裕太に、最期の誘いをする。それで、ダメなら俺達二人でやろう。サポートメンバーは、向こうで探すことにする。それで、いいよな?」

「うん。分かった。俺は、柳之助とこれからを信じている。いつか、今、この決断が間違ってなかったと思えるように。」

会計を済ませ、二人で店の外に出た。春には遠く、まだ、肌寒い風が頬をかすめた。
オレンジの三日月は、もう、夜空には無かった。

「裕太。元気か?」

今夜も大学病院の研修医として、泊まり込みの夜、従兄弟の柳之助から電話がかかってきた。
俺は、心身共に疲れきっていた。
そんな時の電話だった。

「全然、元気でない。死んでいるよ。何だ?用事は?」

「そりゃぁ、死んでいるところに悪いな。最期の挨拶に電話しようと思ってなぁ。俺と圭介と来月末には、上京するんだ。お前のいるところと近くはなるかな。」

「何だって?!#%」

「だから、この前、送ったデモテープが思いのほか、先方に評価してもらえてさ。
この際、勝負をかけることにしたんだ。
マンディロンでな!」

「?!#%」

俺は、柳之助の言葉に混乱して返答が出来なかった。

「それだけだ。じゃあな、体に気をつけて仕事しろよ。倉田先生。」

No.2301814 16/02/11 22:47(スレ作成日時)

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