*~年下の男~*
全て私の妄想です(*^^*)
登場人物は実在しません(*^^*)
16/06/20 22:39 追記
大変ご迷惑をおかけしました。
自己満足の世界ではありますが、また再開したいと思っとります
m(__)m
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『皆さんの中に入らないのですか?』
私との間に50cm程の距離をおいて彼は言った。
『あっ、いや、夜景に見とれてしまって・・その・・』
見苦しい言い訳。
『佐藤ゆきこさん、とおっしゃるんですね』
名札を見て、またニッコリ微笑む。
・・やだ・・年齢はスルーされた。一瞬で対象外と判断されちゃったか。
『僕も夜景を見るの好きなんですよ。・・それに・・佐藤と斉藤、なんだか似てますね!』
(いや、私、さちこなんだけど)
『・・あの・・私に気を使わずどうぞ皆さんの所に・・・・』
遮るようにアナウンスが流れた。
『えー、皆様、本日はお疲れ様でした。そろそろお時間が来たようです。お付き合いをしてみたいと思われる意中の方のお名前の記入をお願いします!なお、集計結果が出るまで暫くお待ち下さい。』
おにゅうのヒール音が車の往来音に消されていく。
私の存在すら消すように・・・
『・・・さーん、・・・・さーん、』
ん?後ろで誰か呼んでいる???
振り向くと、あの人、斉藤歩君だ。走ってこっちに向かって来る。
『歩くの....ハァハァ....速いですね』
『・・・・?』
『会場を後にするゆきこさん、、を・・見かけたもので・・』
『あのう、何か用ですか?』
(間違えてるけど、今、名前で呼んだ?なんだか、ちょっと嬉しい)
『いやぁ、もう少しお話してみたいと思って』
また、あの笑顔を見せてくる。
『良かったら、このあと、近くで食事でも行きませんか?』
なんだ???この人....気持ち悪っっ
んー、でも、確かパーティーの参加者だよね。身元は確かな人のハズ、、、、
『うわっ!鮭50円だ!!安い♪....あ!カレイも・・煮付けて冷凍しとくか・・』
彼は、品定めをしている私の後ろでカートをひいている。
例のあの笑顔で、なんだか楽しそう。
『退屈じゃないの?』
『僕、こういうの1回してみたかったんです!』
(へぇ、つうか、その内後悔するからねー)
と、お米に醤油、追加で味噌と牛乳をカゴに入れた。
色々買えて私はかなりご満悦♪
重い荷物は彼に持ってもらった。
『ごめんね。大丈夫?』とりあえず聞いてみる。
『あと、どれくらい歩くんですか?』
顔が少し歪んでみえた。
『そうねぇ、あともう少しよ!頑張って♪』
程なくしてアパートに到着。
彼の指には、スーパー袋の持ち手部分が食い込み赤くなっていた。
やり過ぎたかな・・・・
少し可哀想になった・・・・
『あの、、お腹空いてます?もし良かったら、私の家で食事しません?買ってきた食材で料理しますので・・』
提案してみた。
今日初めて会った名前しか知らない男を、部屋に上げる自分が理解出来なかったが、疲れがどっと押し寄せてきて、もう動きたくなかったのである。
(慣れない荷物を持たせた罪滅ぼしもあったのかな・・・・)
自分の言動に自問自答する前にとっさに出た言葉だった。
『良かったぁ♪僕、もう、歩けません』玄関先で寝転がる彼。
その言い方、表情、仕草が可愛くて、愛おしくて、見つめあって2人で笑った。
『ささ、どうぞ。お上がり下さい。』
『すみません。御言葉に甘え、失礼します!!』と、靴を揃える彼。
32歳の彼は、とても礼儀正しかった。
アルコール類は酎ハイしか無かった。
簡単なつまみを作り、冬はコタツになるテーブルに並ぶ様に座った。
(この部屋に家族以外の人が来たの・・いつだっけ???)
ふと、思った。
目の前にはTV。
深夜番組を放送している。
『ゆきこさん、あの・・・・』
『あ、私の名前はさちこ!幸子と読むの。よく間違えられるんだけどね』
『ああ、そっちでしたか?!迷ったんだよね~』
はにかんだ笑顔も可愛い♪
『ねぇ、歩君は若いし、かっこいいし、どうみても女性には困らない人に見えるんだけど・・・・』
ほろ酔いも手伝ってか、タメ口の私。
『いやぁ、なかなか。出会いはあっても結婚まで考えられる人には逢わないというか・・・』
『ふ~ん、なるほどね・・そうね・・恋愛と結婚は別よね』
『・・・・』
一番聞きたいコト・・・・
どうして私の後を追いかけて来たの???
『何故、私の後を追いかけて来たの?』
『え!?・・だって・・もう少し話をしてみたかったし・・迷惑だったかな?!』
『・・・・』
私の年齢は38歳。彼は6つも年下の男。
お見合いパーティーで知り合った。
興味を持ってくれるのは正直嬉しい。
けど、今から交際期間も含めると40になってしまうだろう。
当然子供も、産むのは難しくなる。
私に興味を持ったって、仮に付き合ったとしても、あなたのご両親に孫を見せてあげられないと思うわよ・・・・
本当は嬉しい一言なのに、気持ちを圧し殺し自分に期待なんかするなと一喝する。
『歩君は大丈夫だよ!若いし、かっこいいし、もっと自分をアピールすれば、私なんかじゃなくても、他の沢山の女性からアプローチがあるわよ』
『・・幸子さんて、・・さっきから若い若いって言うけど、年齢にこだわりがあるのかな?!年下は興味無い?』
『いや、そういう訳じゃないけど。私、あと2年で40だよ???普通、30前後の人なんかと考えられないって・・・・』
『今こうやって、僕と出会ったケド?』
『・・・・』
『僕は君に興味はあるし、だから追い掛けたし。』
続けて彼は言う。
『どんな人なのかもっと知りたいし、』
『・・・・』
『僕は出来れば付き合ってみたいんだけどな・・』
アルコールのせいなのか、少し赤い顔の歩君は、じっと私の顔を見る。
『・・・歩君。ありがとう。嬉しいよ♪けど、正直に言うね。もうね、私には時間が無いの。出来れば交際期間なんて省きたいのよ。結婚したいの。出来れば早めに子供を産みたいの......』
熱く語ってしまった。
酔っているのかな、私。
今日初めて知り合った年下の男にナニ言ってんだろぅ・・・・
『そっかぁ、幸子 さんて、偉いね。ちゃんと将来のコト考えてさ......』
『僕なんか、周りが煩いから適当に考えているだけなんだよね』
『ねえ・・・・』と、彼。
『ん???』と、私。
『幸子さんは若さが無いと自信が持てないの?僕から見たら、十分魅力的な女性なんだけどな・・』
歩君の優しい言葉に酔いしれつつ素直になれない私。
どう答えれば良いのか分からず、
ふとテレビに目を向けた........
無性にコーヒーが飲みたくなった。
歩君を起こさない様にそっとベッドから出る。
台所でサイフォンを取り出し、お気に入りのブルマンを入れる。
部屋全体に芳醇な香りが行き渡たる。
匂いに釣られたのか、彼も起きてきた。
『おはよう!よく眠れた???』
彼にコーヒーを渡す。
幼くみえる彼の顔に髭が少し伸びていた。
『さっちゃん、おはよ~(´Д`)』
けだるそうな彼が唇にキスをしてくれた。
今日は土曜日。
コーヒーを持って部屋に移動する。
『歩君、今日は仕事???』
『ん?!......んー、今日は休みだョ....だから、このまま、ここでゆっくりするぅ~』
私の体を引き寄せる彼。
そして
『・・・・オナカチュキマチタ......』
(お腹空きました)
甘えた声を出す。
(ぷっ!)
『そうね、トーストでもいい?』
『うん!あッ、でもその後また運動だょ!』
と、にやける彼のオデコを人差し指で突く。
無言で朝のニュース番組を2人で観る。
『あッ、でも、何処か行く?』
先程の発言で私の機嫌が悪いと思ったのかな・・・・
『ごめん、私仕事なんだ。昨日のパーティーに参加する為に、家に仕事を持ち帰ってるの。だから、帰ってくれる???』
独身で勤続19年の私......
それなりに仕事は頂いていた。
この土日にしなければ月曜日に間に合わない。
『・・そうなんだぁ
・・なら仕方ない。
これ食べたら行くよ.....』
本当は仕事より、彼と居たい。
けど、素直になれない。
(期待しちゃダメよ、彼とは一夜限りよ!この部屋を出た途端、彼は私の事なんて忘れるから...)
『じゃ、頑張って!』
そう言い残し
彼は、帰って行った・・・・
月曜日の朝、会社のロッカールームで
後輩の彩が寄って来た。
『先輩!おはようございます♪』
『彩、おはよー♪また1週間が始まったね!』
『・・あれッ???先輩・・なんだかいつもと違ーう....何か良いコトでもありましたぁ???』
鋭い突っ込みを入れてくる。
今私に1番近い存在だ。
仕事でも良きパートナーである。
『この土日良く寝たからじゃない???』
(お見合いパーティーに行ったとは口が裂けても言えない!)
(彩は29歳、彼氏持ち。
この子もそのうち、
結婚して居なくなるンだろうな)
『確かに先輩のお肌、潤ってますよ!!!』
絶対に年下の男と
エッチしたとは言えない!!!
『ささ、仕事仕事!!!』
着替えが終わり、話題を無理に変える。
『この間のさぁ、・・・・』
『先輩!5時になったので先に帰ります。』
気がつけば机に向かっている人は半分位になっていた。
『え?!もう5時???
お疲れッ、また明日ね....』
私の仕事はまだ終わらない。
土日に仕上げた企画書を見直しして、明日また再提出しなければ
....今日も残業か....
ふと、外を見る。
外はまだ明るい。
明るさが
気休めになる。
ぼーッとしてたら、歩君を思い出しそうだ.......
『さッ、仕事仕事』
ふと気がつくと警備員が見回る時間になっていた。
『遅くまでお疲れ様です。
まだ仕事かかりそうですか?』
『あッ、すみません、今帰ります』
なんとか終電は間に合った。
途中スーパーに寄り、半額になッた幕の内弁当を買って帰宅する。
アパート前でふと見上げると
私の部屋の前に黒い物体が動く
(?!誰かイタズラしてる???)
『・・あッ!・・さっちゃん!!
お帰り~遅かったね~』
小声で叫ぶ誰かが居た......
『びっくりしたじゃないの....
急に来たりして....』
玄関で靴を脱ぎながら歩君に問いかける。
『だってぇ、....』
唇を尖らせる
『土曜日のぶん・・・・』
(土曜日の???)
『もう1回しよッてお願いしたじゃん』
ぷぅって膨れる彼。
・・赤面するような事を臆面もなく言う。
若いな・・・・
『そうだッけ?!忘れた』
(本当は覚えてる)
『嘘嘘。本当に顔を見たかったんだぁ』
また、あの笑顔を見せてくる。
『さっちゃんとご飯一緒に食べたかったしぃ、土日は忙しそうだったしぃ....』
『どうしよう、弁当、買って来ちゃッた!』
『冷蔵庫に何かあったかも....
ちょっと待ってて・・・』
ピーマンと冷凍してあった牛肉で
青椒肉絲を作った。
『旨ーい!さっちゃん、料理上手だねッ♪』
『ありがと♪』
(何年独り暮らしていると思うの???)
突然現れた年下の男に
身も心も
かき回されている
『そういえば、駅までの道分かった?大丈夫だった?』
『うん、大丈夫!
僕この辺土地勘あるから....』
(昔付き合ってた彼女でも
住んでいたのかなッ....)
『そうなんだ。良かった。心配してたの。ケータイ番号も知らないし,....』
探りをいれてみる。
(普通に番号教えてッて言えば良いのに....)
『あッ、本当だね。じゃぁ、lineしようよ』
(じゃぁ、ッて....仕方なく?!
彼のlineの数、見てみたい!
でも彼女でもないしな....)
『さて、linも交換したし、
次は、さっちゃんを・・・』
と、私を抱き寄せる。
私は食欲と性欲の処理女かッて
怒りも込み上げたケド・・・・
私は
今
彼が好き
紛れもなく
私は歩君が好きなのだ
今宵も少し
素直になろう
神様
ただの女になってもいいですか?
平日の半分は私のアパートの前に彼が居た。
来れない日はlineを送ってきた。
週末は私のアパートで過ごしていた。
私が仕事を持ち帰れば私のお世話をよくしてくれた。
ある土曜日の昼・・・・
『さっちゃん、カルボナーラでいい?』
『えッ!また?!』
簡単だからなのか、よくスパゲティを作ってくれる。
『ぇぇぇッ駄目なの?!』
愛情を欲しがる犬の様に私の顔を伺う。
『この前はナポリタンだったから今日は違うょッ!?』
『そういう意味じゃなくて・・』
(ぷっ!)
歩君の眉毛が八の字になってる
私の負けだ!!
キスしたくなるでしょに・・・・
『じゃぁ、それでお願いします!』
『ほーい♪』
挙手をするアラレちゃんみたいだ....
パソコン画面を見る合間に
彼を目で追う。
洗濯物を干す彼
散らかった部屋を片付ける彼。
テレビを観て何かブツブツ言ってる彼。
私の横で
半開きの口を開けて寝ている彼。
時々
目が合うと
ドキドキする私。
歩君、
私、あなたのこと
段々好きになる。
初めて会った日から2ヶ月が過ぎた10月のある日曜日。
『ねえ、私、歩君の家
知らないンだけど・・・・』
いつもココ私のアパートだった。
『ああ!そっかぁ。そうだね。
でも何も無いよ?!
来てもつまらないよ?!』
テレビでは彼の好きなゴルフを放送していた。
『・・ふぅ~ん・・』
少しこなれてきた関係......
わざと怒ってみせた。
沈黙+顔を合わせない......
どうだ!!!
やっとテレビから目を離す。
『ごめん。なら、今から行こうよ。独り暮らしだから汚いケド』
どうせ続かない関係だと思ってる
少し位は彼女ヅラしてもいいよね
???
『では、出掛けますか♪』
どんな土地勘なのか
みせて頂きますッ!!!
アパートを出る
左へ行けばスーパー・・・・
その反対側、スーパーを背に右方向へ向かう。
歩君の後ろをついていく.......
歩君、身長ッてどれくらいあるのかな?華奢な背中を眺めていると、この人に抱かれたのかと思ったら、独り赤面してしまった.....
『ここだよ!』
『えッ!?』
私のアパートから徒歩3分。
5階建ての分譲マンションに彼は住んでいたのだ。
土地勘があって当然だった。
『ここに住んでるの???』
思わず見上げる。
立派なマンションに独り住まい。
何者???
エレベーターで最上階へ・・・・
オートロックの最新式だ・・・・
『さあ、どうぞ!お嬢さん♪』
分厚くて重そうなドアだ。
レディファースト....そんな仕草を振る舞う紳士的な歩君。
『お・お邪魔します・・・』
『うわぁぁ、広ーい。
眺めも素敵。夜景も綺麗に見えるでしょ?!』
『う~ん、疲れて帰るダケだから、、、あんま見ないかな?!』
360度見渡している私に、
『ベッドルームも見る???』
にやける彼。
(ヤダ、物欲しそうな顔してた???)
『部屋も見たし、場所も分かったから、もういいわ!』
玄関に向かおうとする
私の腕を掴み、
振り向き様に
キスをしてきた・・・・
ここは歩君の部屋・・
いつもとは違う
キスに感じた・・・
私の鼓動が激しくなってきた・・
『帰りましょ!!』
鼓動が気付かれる前に・・・・
戻り道・・・・
もう1つ確認しなければならないこと・・・・
(私達.......付き合ってルの????)
『凄いマンションに住んでいるんだ。自分で買ったの?』
『いや、親父の物件だよ。
不動産屋なんだ。僕は親父の関連会社に勤めているんだよ』
『そうなんだ....
初めて聞いた...』
『僕も初めて言った...』
あははははは・・・・♪
笑い事ではない。
もしかしてお坊っちゃん!!?
こっちは田舎者で、しかも年上!
釣り合う訳ないじゃん....
歩君の両親が許さないわッ!
『あ、でも僕の結婚相手は自分で決めるッて言ってあるから♪』
(それ、どゆ意味???
私の考えていたコト分かったの???)
先が見えない関係なんて続けてる暇はない・・・・
アパートに戻ったら思い切って彼に聞こう・・・・
『ねぇ、歩君。』
『ん?!何?』
彼は洗濯物をたたんでいる。
『あのさ、私達ッて、
付き合ってるの???』
『え???違うの?!
僕はそう思ってるけど.....
さっちゃん違うの??』
『うぅん、私は歩君が好き。
出来ればこのまま一緒に
なりたいと思ってる』
『・・・・』
『歩君も同じ気持ちなら、
出来れば早い段階で
ご両親に挨拶に行きたい。
そして結婚の了承を
頂きたいんだ』
『・・・・』
『前にも話たよね。
私には時間がないッて。
私の中では結婚は2人だけのものではないと思うの。
子供が出来ないかもしれない
孫を抱かせて上げられないかもしれない。その事が引っ掛かって、その・・・・』
言いたいコトが有りすぎて
口がモゴモゴして言葉に詰まった。
自分でも何が言いたいのか
分からなくなった。
『・・・・』
手を止めて何か考えている様子の歩君。
彼の口からどんな言葉が出てくるのか・・・・
私はまた、ドキドキしながら待った。
彼の運転する車の助手席でふと思った。
なんだかおかしい......
上手く行きすぎる......
今まで恋愛なんて上手くいかなかったのに・・・・
急に不安になった・・・・
『・・・・』
『どうした?具合悪いのか?』
心配そうに覗み込む彼。
『緊張半端ない.......』
『胃がいたいょぉぉぉぉ』
『あははは!大丈夫だって!
それとなく言ってあるから、
年齢とか,.,.....』
『ェッ,!?年齢だけ???』
『あ!名前も言ってあるよ♪』
『そういう問題じゃないでしょうに・・・・』
『あははは!可愛いなぁ、
すぐムキになる幸ちゃん。
大丈夫!!僕を信じて,...
僕に任せて!!!,』
ハンドルから手を離し私の手を握ってくる。
『運転中でしょ?!危ないわ!』
『はいはい』
出来ればずっとずっと握ってて....
今も、これからも.....
私を安心させて.....
それが出来るのは
歩君、あなただけだよ・・・・
彼の実家に到着する。
と、同時に立派な外観が目を引く。
『本物のお坊っちゃんなんだ,...』
『ええ?!違うよ!車入れてくるから先に降りて』
ここはいわゆる高級住宅街。
とんでもない人を好きになってしまったのかも・・・・
インタフォンを押す前に大きな玄関ドアが開いた。
『いらっしゃい♪幸子さん。
初めまして、母親の今日子です』
『あ!初めまして。
さ・斎藤幸子です・ほ・本日はお・お忙しいてところ
お・お時間を・・・』
緊張がピークだ!!
『玄関先で何やってんだよ!
上がって!!!』
車を車庫に入れて遅れてきた歩君が私に声を掛ける。
『おほほほ、そうね。
さ、どうぞ!お父様も
お待ちかねよ』
『失礼します』
そそうがないように.....
頑張れ、自分!!!!!
『歩が言うには年齢的に、
その・・・・』
『あ、そうです。
私には時間がありません。
ご理解頂けない場合は歩さんとご縁が無かった事にしようと思い、普通に考えると早い段階ではありますが、彼に無理にお願いしました。』
『・・成る程・・さすがしっかりしていらっしゃる。
筋を通す、曲がったことが嫌い...そんな印象を受けますな』
続けてお父様は言う。
『幸子さん、私共はね、歩が幸せになる事を1番に考えています。孫は長男の所にいるし、跡取りも長男の所でなんとかなると思っている訳ですよ。その時迄、会社があるかどうかも分からない。何も心配はいらんと思うのですがね....』
お母様はお父様の方を向いて頷いた。同じ意見ということか......
『私の方からも歩をお願いしますよ。幸子さん・・・・』
予想もしていなかった展開に
ただただ驚いた。
びっくりしている私をみた歩君、悟ったのか私の手をとり、改めて
『これからも宜しくね!
さっちゃん!!!!』
『・は・・・はい♪』
そう答えるのが精一杯だった。
結婚が決まってからは
それは目まぐるしい忙しさだった。
会社の上司、仲良しの彩に報告する。
『おめでとうございます♪先輩!なんで隠してたんですかぁ???やだなぁ~!』
『ゴメン、いや、自分でも信じられないくらい話が早く進んで....』
『お式はドコでするんですか?』
『親族だけの簡単な食事会形式なの。急すぎて式場が空いてなくて・・・・まッ、この年でウエディングドレスは、ねぇ....』
『でもぉ、お写真は撮るンですよねッ♪後で見せて下さいよッ♪』
ピョンピョン飛び上がって自分のコトの様に喜んでくれた。
(彩!!ありがとう♪)
初顔合わせから1ヶ月後
私の両親も上京し、両家の顔合わせをした。
あまりにも急に話が進んでしまい、やはり式場は難しかったが、それでも嬉しかった。
婚約指輪は貰わずエンゲージリングだけ。
裏に記念日と
A to s
歩から幸子へ
彫って貰った。
1月吉日
私達は結婚しました.....
新婚生活は私の古ぼけたアパートで生活する事にした。
大家さんに結婚した事を報告し、2人で住む許可を貰った。
荷物は歩君の洋服のみ。
彼が住んで居たマンションは、家具類はそのまま残し賃貸にした。
ココに住みたいとこだわった歩君。
『僕たち、ココから始まったんだよ!』
そう、あの日、歩君を部屋に招かなかったら・・・・
外へ食事に出ていたら・・・・
わたしが年下の男に甘えなかったら・・・・
今の幸せは無かったかもしれない.......
結婚してからも前と変わらない
日常がそこにあった。
家事が嫌いではない歩君は、
『自分以外の誰かの為に
何かをするって楽しいねえ♪
さっちゃん!!』
(相変わらず麺類を作るケドね♪)
何気ない日常・・・・
彼の声は私のBGM・・・・
彼の笑顔は私の最高の癒し・・・
歩君、
あの時追い掛けて来てくれて
ありがとう。
私は
とても
幸せです.......
結婚して1年が過ぎた。
季節は冬。
(今日は私のほうが帰宅が早いわね♪寒いし、夕飯はお鍋にしよッ♪)
相変わらず幸せな毎日を
送っていた。
『只今!』
『歩君、お帰り~♪今日は鱈鍋だよ♪』
『さっちゃん、俺・・・・』
神妙な彼。
『俺、営業部長になッたぁぁぁぁ』
『えッ?!おめでとう♪
お祝いしなきゃ!!
ワインあったかなぁ?!』
コタツで鱈鍋とビールで乾杯をした。
『それでねぇ、
これからはねぇ、
色々忙しくなるからッてねぇ、
秘書がついたんだょぉ...』
ビールでほろ酔いの彼。
呂律もおぼつかない......
『23歳のねぇ、
麻衣ちゃんッていうの、
これがねぇ、なかなか
しっかりしててねぇ』
『なんかね、
麻衣ちゃんの言う通りに
してれば良い訳.....』
『ねッ♪凄くない???』
一瞬、嫌な予感がした。
『さっちゃーん♪』
酔っぱらいの歩君がキスをしてくる。
『はいはい
酔っぱらいは
お寝んねですよー』
そのまま彼はコタツで寝てしまった
独り深夜放送を観ながら
秘書の麻衣ちゃんとやらを
考えた......
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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